説明

算出装置及び車椅子

【課題】 移動体の現時点の正確な位置及び向きを算出すること。外部システム等を必要とせずに、移動体単体において自律的に現時点の正確な位置及び向きを算出すること。
【解決手段】 制御装置140は、光学センサ100a、100bの各検出値を所定の変換係数に従って車椅子1の前後方向への移動変位量に変換し、これらに基づいて車椅子1の走行面に対する位置変位量及び向き変位量を算出する。そして、制御装置140は、算出した位置変位量及び向き変位量を予め定義された基準位置及び基準向きに加算していくことで、車椅子1の現時点の位置及び向きを算出する。さらに、制御装置140は、無線タグ読取装置120から入力された設置位置データに基づいて、当該時点での車椅子1の絶対位置を特定・補正するとともに、前記所定の変換係数を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に設置され、該移動体の現時点の位置及び向きを算出する算出装置及び当該算出装置を具備した車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション装置を搭載した車椅子が知られている。このナビゲーション装置は、GPS衛星から受信した電波をもとに当該車椅子の位置を特定するものであり、例えば車椅子利用者用の地図データをダウンロードしておくことによって、当該地図データを現在位置とともに表示する(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−304908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前述のようなナビゲーション装置には、GPS衛星からの電波を受信できない場合に備えて、車輪の回転数によって車椅子の移動量を算出する機能を備えたものも知られている。しかしながら、車輪の回転によって車椅子の移動量を測定した場合、測定値に利用者の体重等に起因する誤差が生じてしまい、車椅子の正確な現在位置を特定できず精度が悪いという問題があった。
【0004】
また、車椅子の利用者を目的地まで誘導することを目的として、例えば、地磁気センサといった方位センサを車椅子に搭載することにすれば、車椅子の現在の向きを検出して利用者に対して進行方向が正しいか否かを提示することが可能となる。しかしながら、特に駅構内等の鉄道施設では、電車の架線による磁界等が外乱となって測定値に誤差が生じてしまうため、正しい誘導ができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題に鑑みて為されたものであり、移動体の現時点の正確な位置及び向きを算出することを目的とする。また、更なる目的は、外部システム等を必要とせずに、移動体単体において自律的に現時点の正確な位置及び向きを算出することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、第1の発明の算出装置は、移動体に設置され、当該移動体の現時点の位置及び向きを算出する算出装置であって、
走行面に対向して設けられ、受光した前記走行面からの反射光又は前記走行面の映像に基づいて所定の検出方向の移動量を異なる位置で検出する複数の光学センサ(例えば、図1に示す左側光学センサ100a、右側光学センサ100b)と、
前記各光学センサによって検出される移動量及び各光学センサの検出方向に基づいて、前記移動体の現時点の位置及び向きを算出する算出手段(例えば、図2に示す制御装置140)と、
を備える算出装置である。
【0007】
この第1の発明によれば、走行面に対向して設けられた複数の光学センサによって、それぞれ移動体の走行面に対する検出方向への移動量を検出することで、当該移動体の現時点の位置及び向きを算出することができる。これにより、走行面を直接測定すること、複数の点で測定することができるので、移動体単体において自律的に現時点の正確な位置及び向きを算出することが可能である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明の算出装置において、
前記各光学センサの検出方向は、何れも前記移動体の前後方向であり、
前記各光学センサは、前記移動体の左右方向に離れて設置されている算出装置である。
【0009】
この第2の発明によれば、前記複数の光学センサを、移動体の左右方向に離れるように設置し、当該各光学センサにより移動体の前後方向の移動量を検出することによって、移動体の現時点の位置及び向きを検出することができる。
【0010】
第3の発明は、第2の発明の算出装置において、
前記移動体には、回転軸が固定された左右一対の車輪が設けられており、
前記複数の光学センサは、前記左右一対の車輪それぞれの接地位置近傍に設けられた少なくとも2つの光学センサである算出装置である。
【0011】
この第3の発明によれば、回転軸が固定された左右一対の車輪が設けられた移動体において、当該移動体の左右一対の車輪それぞれの接地位置近傍に少なくとも2つの光学センサを設け、各車輪の回転移動方向への移動量を検出することによって、移動体の現時点の位置及び向きを検出することができる。
【0012】
第4の発明は、第1〜第3の何れかの発明の算出装置において、
前記各光学センサは移動変位量を検出するセンサであり、
前記算出手段は、
前記各光学センサによって検出される前記移動変位量及び前記各光学センサの検出方向に基づいて、前記移動体の位置変位量及び向き変位量を求める変位量算出手段(例えば、図2に示す制御装置140)と、
前記変位量算出手段により算出された位置変位量及び向き変位量を、予め定義された基準位置及び基準向きに加算していくことで、前記移動体の現時点の位置及び向きを求める加算算出手段(例えば、図2に示す制御装置140)と、
を有する算出装置である。
【0013】
この第4の発明によれば、各光学センサによって検出される移動変位量及び各光学センサの検出方向に基づいて移動体の位置変位量及び向き変位量を算出し、当該算出した位置変位量及び向き変位量を予め定義された基準位置及び基準向きに加算していくことで、当該移動体の現時点の位置及び向きを算出することができる。
【0014】
第5の発明は、第4の発明の算出装置において、
前記加算算出手段は、前記基準位置及び基準向きに対する相対的な前記移動体の位置及び向きを求める手段(例えば、図2に示す制御装置140)であり、
前記算出手段は、移動空間中の異なる位置に予め定められた複数の通過位置を通過した際に前記加算算出手段が算出した前記移動体の位置及び向きから、前記移動体の前記移動空間に対する位置及び向きを算出する対空間算出手段(例えば、図2に示す制御装置140)を有する算出装置である。
【0015】
この第5の発明によれば、異なる位置に予め定められた複数の通過位置を通過した際の、当該通過位置における移動体の基準位置及び基準向きに対する相対的な位置及び向きから、当該移動体の移動空間に対する位置及び向きを算出することができる。
【0016】
第6の発明は、第5の発明の算出装置において、
前記通過位置には、当該移動空間に対する当該位置を示すデータを所定の近距離無線通信で発信する発信器(例えば、図1に示す無線タグ50)が備えられており、
前記発信器と前記近距離無線通信を行う無線通信手段(例えば、図2に示す無線タグ読取装置120)と、
前記無線通信手段の通信によってデータが得られた時点の前記移動体の位置を、当該得られたデータに基づく通過位置と判断する通過位置判断手段(例えば、図2に示す制御装置140)と、
を備える算出装置である。
【0017】
この第6の発明によれば、移動空間に備えられた発信器との近距離無線通信によってデータが得られた時点の移動体の位置を、当該得られたデータに基づく通過位置と判断することができる。
【0018】
また、第7の発明は、第6の発明の算出装置において、
前記通過位置判断手段により判断された通過位置で、算出していた前記移動体の現時点の位置を補正する算出位置補正手段(例えば、図2に示す制御装置140)を備える算出装置である。
【0019】
この第7の発明によれば、移動空間に備えられた発信器との近距離無線通信によってデータが得られた時点の移動体の位置を、当該得られたデータに基づく通過位置と判断することで、当該移動体の現時点の位置を補正することができる。
【0020】
第8の発明は、第5〜第7の何れかの発明の算出装置において、
前記通過位置は複数有り、前記基準位置も通過位置の1つである算出装置である。
【0021】
この第8の発明によれば、移動空間中の所定の通過位置を、移動体の基準位置とすることができる。
【0022】
第9の発明は、第1〜第8の何れかの発明の算出装置において、
前記移動体の地上高を測定する地上高測定手段(例えば、距離センサ)と、
前記各光学センサによって検出される移動量に基づく前記算出手段の算出値が、前記移動体の地上高の変化により生じる誤差を、前記地上高測定手段によって測定される地上高に基づいて補正する算出誤差補正手段(例えば、図2に示す制御装置140)と、
を備える算出装置である。
【0023】
この第9の発明によれば、各光学センサによって検出される移動量に基づいて移動体の現時点の位置及び向きを算出する際の、当該移動体の地上高の変化によって生じる誤差を補正することができる。
【0024】
第10の発明は、第1〜第9の何れかの発明の算出装置を具備した前記移動体である車椅子である。
【0025】
この第10の発明によれば、第1〜第9の何れかの発明と同等の効果を奏する算出装置を具備した車椅子を実現できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、走行面に対向して設けられた複数の光学センサによって、それぞれ移動体の走行面に対する検出方向への移動量を検出することで、当該移動体の現時点の位置及び向きを算出することができる。これにより、走行面を直接測定すること、複数の点で測定することができるので、移動体単体において自律的に現時点の正確な位置及び向きを算出することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照し、本発明を適用した算出装置について、移動体を車椅子とし、移動空間(絶対座標系)を駅構内として、算出装置が、駅構内を移動する車椅子の現時点の位置及び向きを算出する場合を例にとって説明する。尚、以下では、説明を簡明にするため、車椅子1が移動空間のXY平面上を移動することとして説明する。
【0028】
図1は、車椅子1の背面図である。本実施形態では、車椅子1本体の左右側部に設けられ、回転軸が固定された左右一対の車輪5a、5bの接地位置近傍において、それぞれ光学センサ100a、100bが設けられている。この光学センサ100a、100bは、それぞれ車椅子1の走行面(地面)と対向して設けられ、受光した走行面からの反射光又は前記走行面の映像に基づいて車椅子1の移動を光学的に検出する。
【0029】
具体的には、各光学センサ100a、100bは、例えばイメージセンサ、走行面の画像をイメージセンサに投影するレンズ、走行面の画像の移動量を判断する画像処理回路、画像メモリ等により構成され、イメージセンサが走行面の画像を連続して取り込み、画像処理回路が取り込まれた画像を画像処理して前回取り込まれた画像と比較することで、画像の移動量を検出する。詳細は後述するが、このように各光学センサ100a、100bによって検出された走行面の画像の移動量(例えば、撮影画像中の移動ドット数)が、それぞれ予め設定された所定の変換係数に従って車椅子1の前後方向への移動変位量(例えば、2cmといった実際に車椅子1が移動した距離)に変換され、これらに基づいて車椅子1の現時点の位置及び向きが算出されることとなる。尚、以下では、左側部の車輪5aの接地位置近傍に設けられた光学センサ100aのことを適宜「左側光学センサ100a」、右側部の車輪5bの接地位置近傍に設けられた光学センサ100bのことを適宜「右側光学センサ100b」という。
【0030】
また、車椅子1は、無線タグ読取装置120を備えている。この無線タグ読取装置120は、アンテナや制御回路等により構成されるものであり、駅構内の所定位置に設置される発信器としての無線タグ50との間で電磁誘導による近距離無線通信を行って、無線タグ50から当該無線タグ50の設置位置のデータ(設置位置データ)を受信する。この設置位置データは、駅構内における当該無線タグの位置を示す絶対座標値で表される。詳細は後述するが、この無線タグ読取装置120が読み取った無線タグ50の設置位置データによって、駅構内における車椅子1の絶対位置が特定・補正されるとともに、前記所定の変換係数が補正されることとなる。
【0031】
[機能構成]
図2は、車椅子に設けられた算出装置10の主要機能ブロックの構成例を示す図である。図2において、算出装置10は、左側光学センサ100aと、右側光学センサ100bと、無線タグ読取装置120と、制御装置140と、記憶装置160と、図示しない入力装置及び表示装置とを備えて構成されている。
【0032】
また、図2において、駅構内の所定位置に設置される無線タグの例として、A駅の南口券売機前、南口旅行案内所前、南口改札の各位置にそれぞれ設置された無線タグ50−1〜50−3を示している。各無線タグは、無線タグ読取装置120との間で近距離無線通信を行うものであり、メモリやアンテナ、電源回路、制御回路等で構成され、メモリに記憶された設置位置データを無線タグ読取装置120に送信する。
【0033】
左側光学センサ100a及び右側光学センサ100bは、図1に示して説明したように、回転軸が固定された左右一対の車輪5a、5bそれぞれの接地位置近傍において走行面に対向するように設けられ、走行面の画像の移動量を検出して検出値を制御装置140に出力する。この左側光学センサ100a及び右側光学センサ100bによる画像の移動量の検出処理は、例えば数ミリ秒毎といった所定の時間間隔で実行される。尚、この左側光学センサ100a及び右側光学センサ100bによる移動量の検出処理は、走行面の画像が変化した際に実行されるものであってもよい。また、左側光学センサ100a及び右側光学センサ100bは、走行面の移動変位量を直接検出するものであってもよい。
【0034】
無線タグ読取装置120は、駅構内に設置された無線タグとの間で近距離無線通信を行って、当該無線タグから送信された設置位置データを制御装置140に出力する。例えば、車椅子1がA駅の南口改札を通過した場合には、無線タグ読取装置120と南口改札に設置された無線タグ50−3との間で近距離無線通信が行われ、無線タグ読取装置120は、受信した無線タグ50−3の設置位置データを制御装置140に出力する。
【0035】
制御装置140は、CPU等で構成され、算出装置10を構成する各機能部への指示やデータの転送等を行って算出装置10を統括的に制御する。具体的には、左側光学センサ100a及び右側光学センサ100bから入力される検出値や、無線タグ読取装置120から入力される設置位置データ、或いは図示しない入力装置から入力される操作信号等に応じた処理プログラムを記憶装置160から読み出して実行し、処理結果を記憶装置160に保存する。
【0036】
記憶装置160は、更新記憶可能なフラッシュメモリ等のROMやRAMといった各種ICメモリ、或いはハードディスクドライブ等で構成され、算出装置10の動作に係る各種処理プログラムや当該処理プログラムによる処理結果等のデータを記憶する。特に、本実施形態を実現するため、現在位置・向き検出プログラム162が格納され、制御装置140は、この現在位置・向き検出プログラム162に従って現在位置・向き検出処理を実行する。
【0037】
具体的には、制御装置140は、左側光学センサ100a及び右側光学センサ100bの各検出値を前記所定の変換係数に従って車椅子1の前後方向への移動変位量に変換し、これらに基づいて車椅子1の走行面に対する位置変位量及び向き変位量を算出する処理を行う。詳細には、制御装置140は、左側光学センサ100a及び右側光学センサ100bの検出値から得られた車椅子1の移動変位量の平均値をもとに車椅子1の位置変位量を算出するとともに、差分をもとに車椅子1の向き変位量を算出する。
【0038】
そして、制御装置140は、算出した位置変位量及び向き変位量を予め定義された基準位置及び基準向きに加算していくことで、車椅子1の現時点の位置及び向きを自律的に算出する。
【0039】
さらに、制御装置140は、無線タグ読取装置120から設置位置データが入力された場合には、当該設置位置データによって表される無線タグの設置位置を車椅子1の通過位置と判断し、入力された設置位置データに基づいて、当該時点での車椅子1の駅構内における絶対位置を特定・補正するとともに、前記所定の変換係数を補正する処理を行う。
【0040】
ここで、現在位置・向き検出処理について図3を参照して説明する。制御装置140は、無線タグ読取装置120から入力される設置位置データをもとに算出するが、車椅子1の現時点の位置及び向きを、車椅子1の駅構内における絶対位置が特定されるまでの間は予め定義された基準位置及び基準向きに対する車椅子1の相対位置及び相対向きとして算出する。
【0041】
図3(a)は、算出された相対位置及び相対向きに基づく、当該車椅子1の移動軌跡の一例を示す図である。本実施形態では、車椅子1の相対位置は、移動開始位置を原点とした座標系(相対座標系:XR−YR)の座標値として算出されるものであって、相対位置及び相対向きは、例えば、相対座標系XR−YRの原点を前記予め定義された基準位置、XR軸方向を基準向き(0°)とし、この基準位置及び基準向きに前述のように算出された位置変位量及び向き変位量を加算していくことで算出される。
【0042】
また、図3(a)では、地点Aの無線タグから設置位置データを受信した時点での車椅子1の相対位置P10と、地点Bの無線タグから設置位置データを受信した時点での車椅子1の相対位置P20とを示している。制御装置140は、このように近距離無線通信を行った無線タグの設置位置(地点A、B)を車椅子1の通過位置と判断する。そして、制御装置140は、無線タグ読取装置120が2つ目の無線タグと近距離無線通信を行った時点で、駅構内における車椅子1の現時点の絶対位置及び絶対向きを算出する。
【0043】
例えば、図3(b)は、地点A及び地点Bの各無線タグと近距離無線通信を行った時点での車椅子1の相対向きをもとに、図3(a)に示す相対座標系XR−YRにおける移動軌跡を車椅子1が移動する駅構内に対応する絶対座標系XA−YAに座標変換した図である。このように、制御装置140は、無線タグ読取装置120が2つ目の無線タグと近距離無線通信を行った時点で、当該2つ目の無線タグの設置位置(地点B)に従って駅構内における車椅子1の絶対位置(地点B)を特定するとともに、2つの無線タグの設置位置の位置関係(地点A及び地点Bの位置関係)と、各無線タグと近距離無線通信を行った時点での車椅子1の相対向きとに基づいて、特定した絶対位置(地点B)における車椅子1の絶対向きを算出する。
【0044】
そして、前述のように、車椅子1の駅構内における絶対位置が特定されて絶対向きが算出されたならば、当該特定された絶対位置を基準位置、算出された絶対向きを基準向きとし、この基準位置及び基準向きに前述のように算出された位置変位量及び向き変位量を加算していくことで、車椅子1の現時点の位置及び向きを得る。
【0045】
尚、無線タグ読取装置120が新たに無線タグと近距離無線通信を行った際には、当該無線タグの設置位置に基づいて、車椅子1の絶対位置が適宜補正されることとなる。
【0046】
図3(c)は、無線タグ読取装置120が地点Cの無線タグと近距離無線通信を行うまでの駅構内に対応する絶対座標系XA−YAにおける車椅子1の移動を示す図である。図3(c)によれば、無線タグ読取装置120が地点Cの無線タグと近距離無線通信を行った時点での車椅子1の絶対位置P30及び絶対向きと、実際の無線タグの設置位置(地点C)との位置及び車椅子の向きに誤差が生じているが、このような場合には、制御装置140は、車椅子1の絶対位置を、無線タグの設置位置(地点C)に補正するとともに絶対向きを再度算出する。そして、制御装置140は、当該補正された絶対位置を基準位置、再度算出された絶対向きを基準向きとし、この基準位置及び基準向きに前述のように算出された位置変位量及び向き変位量を加算していくことで、車椅子1の現時点の位置及び向きを得る。
【0047】
さらにこの際、制御装置140は、前回近距離無線通信を行った無線タグの設置位置(地点B)と、無線タグ読取装置120が地点Cの無線タグと近距離無線通信を行った時点での車椅子1の絶対位置P30との位置関係、及び実際の無線タグの設置位置(地点C)との位置関係に従って、前記所定の変換係数を補正する。したがって、例えば車椅子1の利用者の体重や重心位置等に起因する各光学センサ100a、100bの走行面からの地上高の変化によって生じる、該光学センサ100a、100bの検出値(例えば、画像中の10ドット)から実際の移動変位量(例えば、5cm)を求める際の変換誤差を、補正することが可能となる。
【0048】
図2に戻り、記憶装置160には、データとして、相対位置情報164と、通過無線タグ位置情報166と、車椅子移動情報168とが格納される。
【0049】
相対位置情報164は、移動開始位置から車椅子1の絶対位置が特定されるまでの間の車椅子1の相対位置及び相対向きを蓄積記憶する。図4は、相対位置情報164のデータ構成例を示す図である。図4に示すように、相対位置情報164には、移動開始時を基準とした経過時間(t)と対応付けて、相対座標系XR−YRにおける車椅子1の相対位置の座標値と、相対向きと、無線タグ読取フラグとが設定される。制御装置140は、駅構内における車椅子1の絶対位置が特定されるまでの間は、左側光学センサ100a及び右側光学センサ100bからの検出値をもとに車椅子1の相対位置及び相対向きを算出し、移動開始からの経過時間(t)と対応付けて相対位置情報164に追加して書き込む。
【0050】
また、無線タグ読取フラグは、該当する相対位置で無線タグを読み取ったか否かを表すフラグ情報であり、制御装置140は、無線タグ読取装置120から設置位置データが入力された場合には、当該時点での相対位置に対応する無線タグ読取フラグに“ON”を設定する。
【0051】
通過無線タグ位置情報166は、無線タグ読取装置120から入力された無線タグの設置位置データを蓄積記憶する。図5は、通過無線タグ位置情報166のデータ構成例を示す図である。前述のように、無線タグ読取装置120から入力される設置位置データは、車椅子1が移動する駅構内における当該無線タグの位置を示す絶対座標値で表される。この通過無線タグ位置情報166には、制御装置140により通過位置と判断された無線タグの設置位置が移動開始からの経過時間(t)と対応付けて蓄積記憶される。
【0052】
車椅子移動情報168は、絶対位置が特定されてからの車椅子1の絶対位置及び絶対向きを蓄積記憶する。図6は、車椅子移動情報168のデータ構成例を示す図である。図6に示すように、車椅子移動情報168には、移動開始時を基準とした経過時間(t)と対応付けて、絶対座標系XA−YAにおける車椅子1の絶対位置の座標値と、絶対向きとが設定される。制御装置140は、駅構内における車椅子1の絶対位置が特定された以降は、左側光学センサ100a及び右側光学センサ100bの検出値をもとに車椅子1の絶対位置及び絶対向きを算出し、移動開始からの経過時間(t)と対応付けて車椅子移動情報168に追加して書き込む。
【0053】
[処理の流れ]
次に、本実施形態において制御装置140が実行する現在位置・向き検出処理の流れについて説明する。図7は、現在位置・向き検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。尚、ここで説明する処理は、制御装置140が現在位置・向き検出プログラム162を読み出して実行することにより実現される。
【0054】
現在位置・向き検出処理において、制御装置140は、先ず、左側光学センサ100a及び右側光学センサ100bの各検出値を前記所定の変換係数に従って車椅子1の前後方向への移動変位量に変換し、これらに基づいて車椅子1の走行面に対する位置変位量及び向き変位量を算出する(ステップS10)。
【0055】
続いて、制御装置140は、相対座標系XR−YRの原点を前記予め定義された基準位置、XR軸方向を基準向きとし、この基準位置及び基準向きにステップS10で算出された位置変位量及び向き変位量を加算していくことで、車椅子1の相対位置及び相対向きを算出する(ステップS20)。またこの際、制御装置140は、移動開始からの経過時間と対応付けて、算出した相対位置及び相対向きを相対位置情報164に追加して書き込む。
【0056】
そして、制御装置140は、無線タグを検知した場合、すなわち、無線タグ読取装置120から無線タグの設置位置データが入力された場合には(ステップS30:YES)、ステップS20で算出した相対位置及び相対向きに対応する無線タグ読取フラグを“ON”に設定して、相対位置情報164を更新する(ステップS40)。
【0057】
続いて、制御装置140は、相対位置情報164の無線タグ読取フラグを参照して検知した無線タグは2つ目の無線タグか否かを判定し、2つ目ではない場合、すなわち検知した無線タグが1つ目の無線タグの場合には(ステップS50:NO)、ステップS10に戻って上記した処理を繰り返す。
【0058】
一方、制御装置140は、2つ目の無線タグと判定した場合には(ステップS50:YES)、入力された設置位置データに基づいて車椅子1の現時点の絶対位置を特定する(ステップS60)。そして、制御装置140は、相対位置情報164及び通過無線タグ位置情報166を参照し、2つの無線タグの設置位置の位置関係と、各無線タグと近距離無線通信を行った時点での車椅子1の相対向きとに基づいて、車椅子1の現時点の絶対向きを算出する(ステップS70)。
【0059】
次に、制御装置140は、ステップS60で特定した絶対位置及びステップS70で算出した絶対向きを移動開始からの経過時間と対応付けて車椅子移動情報168に設定する(ステップS80)。
【0060】
続いて、制御装置140は、ループAの処理を当該現在位置・向き検出処理を終了するまで繰り返す(ステップS90〜ステップS150)。
【0061】
ループAでは、制御装置140は、先ず、左側光学センサ100a及び右側光学センサ100bの各検出値を前記所定の変換係数に従って車椅子1の前後方向への移動変位量に変換し、これらに基づいて車椅子1の走行面に対する位置変位量及び向き変位量を算出する処理を行う(ステップS100)。
【0062】
続いて、制御装置140は、車椅子移動情報168に設定される最新の絶対位置及び絶対向きに、ステップS100で算出された位置変位量及び向き変位量を加算していくことで、車椅子1の現時点の絶対位置及び絶対向きを算出する(ステップS110)。またこの際、制御装置140は、移動開始からの経過時間と対応付けて、算出した絶対位置及び絶対向きを車椅子移動情報168に追加して書き込む。
【0063】
そして、無線タグを検知した場合には(ステップS120:YES)、制御装置140は、当該検知した無線タグの設置位置を車椅子1が通過したと判断し、先ず、通過無線タグ位置情報166及び車椅子移動情報168を参照して、前回検出した無線タグの設置位置と今回検出した無線タグの設置位置との位置関係、及び前回検出した無線タグの設置位置と車椅子1の現時点の絶対位置との位置関係に従って、前記所定の変換係数を補正する(ステップS130)。
【0064】
続いて、制御装置140は、入力された設置位置データに基づいて車椅子1の現時点の絶対位置及び絶対向きを補正する(ステップS140)。すなわち、制御装置140は、車椅子移動情報168に設定される最新の絶対位置を入力された設置位置データに置き換える処理を行う。この結果、新たに検知した無線タグの設置位置が基準位置となり、このときの絶対向きが基準向きとなる。
【0065】
そして、現在位置・向き検出処理を終了するならばループAを終了し、本処理を終了する。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によれば、回転軸が固定された左右一対の車輪それぞれの接地位置近傍に設けられた、当該車椅子1の前後方向を検出方向とした左側光学センサ100a及び右側光学センサ100bの各検出値によって、車椅子1の走行面に対する位置変位量及び向き変位量を算出し、算出した位置変位量及び向き変位量を予め定義された基準位置及び基準向きに加算していくことで、車椅子1単体において自律的に現時点の位置及び向きを算出することができる。
【0067】
また、無線タグ読取装置120が駅構内に設置された無線タグと近距離無線通信を行ってその設置位置のデータを受信することで、当該時点での車椅子1の駅構内における絶対位置を特定・補正するとともに、前記所定の変換係数を補正することが可能となる。
【0068】
したがって、駅構内における車椅子1の現時点の絶対位置及び向きを正確に検知することができる。さらに、外部システム等を必要とせずに、移動体単体において自律的に現時点の正確な位置及び向きを算出することができる。
【0069】
[変形例]
以上、本発明についての好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記したものに限らず、発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更可能である。
【0070】
例えば、上記した実施形態では、算出装置10の備える無線タグ読取装置120が駅構内に設置された無線タグと近距離無線通信を行うことにより、車椅子1の駅構内における絶対位置及び絶対向きを特定・補正する場合を例にとって説明したが、絶対位置及び絶対向きを特定・補正する方法はこれに限られない。
【0071】
具体的には、以下のようにしてもよい。すなわち、算出装置10を、例えばGPS衛星からの電波を受信するGPS受信装置をさらに備えた構成とし、当該GPS受信装置で受信した電波から車椅子1の現在位置情報を抽出することにより、駅構内における車椅子1の初期の絶対位置を特定するとともに、適宜のタイミングで車椅子1の絶対位置を補正することとしてもよい。
また、絶対向きについては、算出装置10を、例えば地磁気センサといった方位センサを備えた構成とし、当該方位センサの検出値に基づいて駅構内における車椅子1の初期の絶対向きを特定することとしてもよい。また、電車の架線による磁界等の外乱の影響が少ない場所においては、この方位センサの検出値に基づいて車椅子1の絶対向きを補正することとしてもよい。
【0072】
また、光学センサ100a、100bとして、自動焦点機能を備えた光学センサ100a、100bを用いることとしてもよい。或いは、算出装置10を、赤外線やレーザ或いは超音波などを照射してその反射を検知するまでの時間差から距離を求める距離センサを備えた構成とし、この距離センサの検出値をもとに前記所定の変換係数を補正してもよい。
これによれば、車椅子1の走行面の凹凸の変化や、光学センサ100a、100bから車椅子1の走行面までの距離の変動等による、各光学センサ100a、100bの検出値の誤差を補正することができる。
【0073】
また、上記した実施形態では、車椅子1が無線タグ読取装置120を具備し、駅構内の所定位置に設置された無線タグと近距離無線通信を行うことで、当該車椅子1の駅構内における絶対位置を特定・補正することとしたが、これに限定されるものではなく、算出装置10を、赤外線通信やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信装置を備えた構成とし、駅構内の所定位置に設置された近距離無線通信装置からその設置位置のデータを受信することにより、車椅子1の駅構内における絶対位置を特定・補正することとしても構わない。
【0074】
また、上記した実施形態では、無線タグ読取装置120が2つの無線タグと近距離無線通信を行った場合に車椅子1の絶対位置を特定することとしたが、例えば、移動空間を建物とした場合であって、建物の入り口が1つしかなく、また、この入り口から建物内に入る車椅子1の向きが必ず一定方向になるような場合には、当該建物の入り口に設置された一の無線タグと近距離無線通信を行うだけで車椅子1の絶対位置を特定することができる。
【0075】
また、上記した実施形態で説明した、相対位置情報164(図4参照)、通過無線タグ位置情報166(図5参照)、及び車椅子移動情報168(図6参照)のデータ構成は一例であって、これに限られない。
【0076】
例えば、上記した実施形態では、相対位置情報164として、移動開始位置から車椅子1の絶対位置が特定されるまでの間の車椅子1の相対位置及び相対向きを蓄積記憶することとしたが、無線タグを読み取った時点、すなわち無線タグ読取装置120から設置位置データが入力された時点での相対位置及び相対向き、及び現時点での相対位置及び相対向きのみを記憶しておくこととしてもよい。
また、通過無線タグ位置情報166として、無線タグ読取装置120から入力された無線タグの設置位置データを蓄積記憶することとしたが、無線タグ読取装置120から入力された最新の無線タグの設置位置データのみを記憶しておくこととしてもよい。
また、車椅子移動情報168として、絶対位置が特定されてからの車椅子1の絶対位置及び絶対向きを蓄積記憶することとしたが、無線タグを最後に読み取った時点、すなわち無線タグ読取装置120から設置位置データが最後に入力された時点での絶対位置及び絶対向き、及び現時点での絶対位置及び絶対向きのみを記憶しておくこととしてもよい。
或いは、無線タグ読取装置120から設置位置データが最後に入力された時点での絶対位置及び絶対向きと、当該時点からの現時点における相対位置及び相対向きのみを記憶することとしてもよい。
【0077】
また、上記した実施形態では、無線タグが、当該無線タグの位置を示す絶対座標値で表される設置位置データを記憶し、算出装置10が、無線タグの位置を示す絶対座標値そのものを読み取ることで車椅子1の絶対位置を特定することとしたが、以下のようにしてもよい。すなわち、各無線タグが、当該無線タグの位置を示す絶対座標の識別符号を記憶し、制御装置140が、無線タグ読取装置120により読み取られた無線タグの絶対座標の識別符号を絶対座標値に変換することにより、車椅子1の絶対位置を特定することとしてもよい。
【0078】
さらに、上記した算出装置10によって算出された駅構内における車椅子1の現時点の位置及び向きを利用して、当該車椅子1の利用者に対して、目的地までの移動経路を提示する誘導案内を行うこととしてもよい。具体的には、記憶装置160内に、駅構内において車椅子が利用可能な経路がどのようにつながっているかや、当該経路沿いに配置された設備や機器等に関する情報を含む地図データを予め記憶しておく。そして、制御装置140は、車椅子1の現時点の絶対位置を含む地図を表示装置(不図示)上に表示し、車椅子1の現在位置を報知する。またこの際、当該地図上に目的地までの移動経路を表示する、目的地へ向かうための進行方向を表示する、さらには現時点での絶対向きが目的地へ向かうための進行方向と異なる場合に進むべき進行方向を報知する等、車椅子1の利用者に目的地へ到達するための誘導案内を行う。
【0079】
また、上記した実施形態では、算出装置は車椅子に具備されることとして説明したが、算出装置10が搭載される移動体は車椅子に限定されるものではなく、例えば自動車や自律走行するロボット等にも同様に適用可能である。
また、上記した実施形態では、車椅子が移動する移動空間を駅構内としたが、これに限定されず、図書館や公民館といった施設等の建物内や道路であってもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】車椅子の背面図。
【図2】算出装置の主要機能ブロックの構成例を示す図。
【図3】現在位置・向き検出処理を説明するための図。
【図4】相対位置情報のデータ構成例を示す図。
【図5】通過無線タグ位置情報のデータ構成例を示す図。
【図6】車椅子移動情報のデータ構成例を示す図。
【図7】現在位置・向き検出処理の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0081】
1 車椅子
10 算出装置
100a 左側光学センサ
100b 右側光学センサ
120 無線タグ読取装置
140 制御装置
160 記憶装置
162 現在位置・向き検出プログラム
164 相対位置情報
166 通過無線タグ位置情報
168 車椅子移動情報
50−1〜3 駅構内無線タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設置され、当該移動体の現時点の位置及び向きを算出する算出装置であって、
走行面に対向して設けられ、受光した前記走行面からの反射光又は前記走行面の映像に基づいて所定の検出方向の移動量を異なる位置で検出する複数の光学センサと、
前記各光学センサによって検出される移動量及び各光学センサの検出方向に基づいて、前記移動体の現時点の位置及び向きを算出する算出手段と、
を備えることを特徴とする算出装置。
【請求項2】
前記各光学センサの検出方向は、何れも前記移動体の前後方向であり、
前記各光学センサは、前記移動体の左右方向に離れて設置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の算出装置。
【請求項3】
前記移動体には、回転軸が固定された左右一対の車輪が設けられており、
前記複数の光学センサは、前記左右一対の車輪それぞれの接地位置近傍に設けられた少なくとも2つの光学センサである、
ことを特徴とする請求項2に記載の算出装置。
【請求項4】
前記各光学センサは移動変位量を検出するセンサであり、
前記算出手段は、
前記各光学センサによって検出される前記移動変位量及び前記各光学センサの検出方向に基づいて、前記移動体の位置変位量及び向き変位量を求める変位量算出手段と、
前記変位量算出手段により算出された位置変位量及び向き変位量を、予め定義された基準位置及び基準向きに加算していくことで、前記移動体の現時点の位置及び向きを求める加算算出手段と、
を有する、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の算出装置。
【請求項5】
前記加算算出手段は、前記基準位置及び基準向きに対する相対的な前記移動体の位置及び向きを求める手段であり、
前記算出手段は、移動空間中の異なる位置に予め定められた複数の通過位置を通過した際に前記加算算出手段が算出した前記移動体の位置及び向きから、前記移動体の前記移動空間に対する位置及び向きを算出する対空間算出手段を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の算出装置。
【請求項6】
前記通過位置には、当該移動空間に対する当該位置を示すデータを所定の近距離無線通信で発信する発信器が備えられており、
前記発信器と前記近距離無線通信を行う無線通信手段と、
前記無線通信手段の通信によってデータが得られた時点の前記移動体の位置を、当該得られたデータに基づく通過位置と判断する通過位置判断手段と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の算出装置。
【請求項7】
前記通過位置判断手段により判断された通過位置で、算出していた前記移動体の現時点の位置を補正する算出位置補正手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の算出装置。
【請求項8】
前記基準位置も通過位置の1つであることを特徴とする請求項5〜7の何れか一項に記載の算出装置。
【請求項9】
前記移動体の地上高を測定する地上高測定手段と、
前記各光学センサによって検出される移動量に基づく前記算出手段の算出値が、前記移動体の地上高の変化により生じる誤差を、前記地上高測定手段によって測定される地上高に基づいて補正する算出誤差補正手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の算出装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の算出装置を具備した前記移動体である車椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−65762(P2006−65762A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250315(P2004−250315)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】