説明

管体加熱保温装置

【課題】容易且つ迅速に設定できる管体加熱保温装置の提供。
【解決手段】本発明は、管の外周面を覆う被覆体の内周面に発熱部としての発熱塗料が帯状に配設されたことを特徴とする。
又、帯状の発熱部は被覆体の内周面に間隔を置いて複数行平行に配設されたことを特徴とする。
又、発熱塗料は袋帯状シート発熱部に封入された状態で被覆体の内周面に配設されたことを特徴とする。
又、発熱塗料は塗布により施されたことを特徴とする。
又、発熱塗料はシルク印刷により施されたことを特徴とする。
又、被覆体は筒体であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管体例えば上水道等の管路の一部又は全部の管を加熱保温する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管路の所望部分を加熱したり一定温度に保つ保温をするに当り、例えば上水道管の蛇口に近い地上露出部の管の凍結を防止する等の場合に当っては、発熱部としてニクロム線等の電熱線が封入された帯状に長いヒータ(以下、帯状ヒータという)を管の外周に螺旋状に直接巻き付け、巻き付けた帯状ヒータに更に保温テープや保温材を被せるという工程で装置を構成し、帯状ヒータに付属のサーモスタット等の温度制御手段を用いて所望の温度に加熱し保温させていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような従来の手法では、第1に帯状ヒータを管に螺旋状に巻き付けてゆかねばならず、第2に螺旋状に巻き付けるに当っては、帯状ヒータ自体が重なると加熱事故を生じるので、重ならないよう適度な間隔を保ちながら慎重に巻き付けてゆく必要である、第3に所望温度に加熱し或いは保温するには外気の条件に応じて巻き付け間隔を一定に保った状態にて巻き付けてゆく必要がある等々、極めて面倒な手間を要し、しかも、熟練を要する煩雑な作業が必要であった。
【0004】
本発明は、上記のよう課題の解決を目的とし、煩雑な手間や施工を要さず、熟練者でなくても、容易且つ迅速に設定できる管体加熱保温装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の管体加熱保温装置の発明は、管の外周面を覆う被覆体の内周面に発熱部としての発熱塗料が帯状に配設されたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の管体加熱保温装置において、帯状の発熱部は被覆体の内周面に間隔を置いて複数行平行に配設されたことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の管体加熱保温装置において、発熱塗料は袋帯状シート発熱部に封入された状態で被覆体の内周面に配設されたことを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の管体加熱保温装置において、発熱塗料は塗布により施されたことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の管体加熱保温装置において、発熱塗料はシルク印刷により施されたことを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の管体加熱保温装置において、被覆体は筒体であることを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項6に記載の管体加熱保温装置において、筒体は長手に向かって一筋の割り筋を有することを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7の何れかに記載の管体加熱保温装置において、被覆体は断熱材で形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1乃至請求項8の各発明によれば、何れも、煩雑な手間や施工を要さず、熟練者でなくても、容易且つ迅速に設定できる管体加熱保温装置を提供することができる。
【0014】
請求項1の発明によれば、予め被覆体の内周面に発熱部が施されているので、従来のように発熱部を管に直接巻き付ける作業が必要となくなり、被覆体を管に被せるだけの極めて簡単な作業で済む。特に、既設の管に対する施工においては極めて容易である。
【0015】
請求項2の発明によれば、予め所定間隔にて帯状の発熱部が被覆体の内面に配設されているので、発熱部の配設間隔を調整する必要がなくなる。
【0016】
請求項3の発明によれば、発熱塗料が封入されたシート状の袋を被覆体の内周面に装着することで、発熱部を被覆体の内周面に容易に配設することができると共に、発熱塗料自体の取り扱いが容易となる。
【0017】
請求項4の発明によれば、発熱塗料を塗布するだけで発熱部を予め被覆体の周面に容易に設けることができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、発熱塗料をシルク印刷という手段で効率的に発熱部を予め被覆体の周面に容易に設けることができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、被覆体を予め目的の管の外径に応じた筒体に形成しておくことによって、管への巻き付け作業が無用となる。
【0020】
請求項7の発明によれば、筒体に設けた一条の割り筋を広げることによって被覆体を極めて容易に管に被せることができる。特に、既設の管に対する装着作業が極めて容易となる。
【0021】
請求項8の発明によれば、被覆体を断熱材で構成することによって、内周面に発熱部が施された被覆体自体を管の断熱材(保温材)として用いることができ、その断熱作用によって、発熱部における少ない発熱量により効率よく管を加熱することができると共に効率よく保温効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の最良の実施の形態としての管体加熱保温装置の実施例を図1乃至図4に基づいて説明する。
図1は筒状被覆体の外観斜視図、図2は筒状被覆体の内周面側の展開状態の平面図、図3は図2のA−A断面図、図4は図2の筒状被覆体の内周面側の展開状態の端面図である。
【実施例】
【0023】
図1乃至図4に示す管体加熱保温装置は、発熱塗料をシルク印刷にて袋帯状シールに封入した発熱部を、筒状に形成した被覆体の内周面に、間隔を置いて複数行平行に配設された装置である。
【0024】
図1において、管体加熱保温装置1は、図示されていない管の外周面を覆うように被せられる被覆体2と、この被覆体2内周面に施された発熱部3とで構成されている。
この被覆体2を、目的とする管の形態(外径等)に相応するよう予め筒体に形成された断熱材で形成しておくと、被覆体2自体を管の断熱材即ち保温材として用いることができるので、その断熱作用によって、発熱部3において、より少ない発熱量により効率よく加熱することができると共に効率よく保温することができる。
【0025】
又、この筒体に形成された被覆体すなわち筒状被覆体2には、予め筒の長手に向かって一筋の割り筋21が形成されており、この割り筋21を押し広げて筒状被覆体2の内周面側を開放するように拡開させることによって、目的とする管(図示せず)の長手方向の側面側から、当該管の外周に被覆体2を極めて容易に装着させることができる。
特に、螺旋状の巻き付けが容易でない既設管路の管への装着においては、特に容易且つ迅速に行うことができる。
【0026】
発熱部3は、被覆体2の内周面に近時開発された発熱塗料を直接に塗布することもできるが、この実施例では、図2乃至図3に示すように、被覆体2の内周面に袋帯状シート発熱部31を配設している。発熱塗料はこの袋帯ジォウシートの内面にシルク印刷の手段で施され、封入されている。以下、この発熱部3を袋帯状シート発熱部31ともいう。
【0027】
尚、発熱塗料とは通電によって発熱する塗料であればよく、その構成は問わない、このような発熱塗料の例としては特開2007−84716公報に開示された発熱塗料がある。
【0028】
図2乃至図3において、この袋帯状シート状発熱部31は、二枚の帯状の絶縁フィルム32,32の間に発熱塗料33がサンドウィッチ状に挟まれた状態でシルク印刷されて封入されており、図2に示すように、帯状の発熱部即ち袋帯状シート状発熱部31は被覆体2の内周面に、適当な間隔を置いて複数行平行に配設されている。
尚、図中の符号34は通電用のリード線でありこの例では1本の袋帯状シート発熱部31の両端側に各々適宜配設されている電極部35に通じている。
【0029】
このように、予め、被覆体2の内周面に、所定間隔にて帯状の発熱部31を配設しておくことによって、発熱部31の配設間隔を現場において一々調整しながら手巻きする必要がなくなる。
又、発熱塗料33が封入されたシート状の袋即ち袋帯状シートを被覆体2の内周面に装着することで、発熱部3を被覆体2の内周面に極めて容易に配設することができると共に、発熱塗料即ち発熱部3自体の取り扱いも容易となる。
【0030】
又、上記の実施例によれば、従来に較べて、煩雑な手間や施工を要さず、熟練者でなくても、容易且つ迅速に設定することができ、管路を構成する所要部の管部分を加熱し、或いは、加熱のタイミングを適宜制御手段によって繰り返すことで、所要の一定温度範囲での保温も効率的に行うことができる。
【0031】
又、予め被覆体2の内周面に発熱部3を施しておくことができるので、従来のように発熱部を管に直接巻き付ける作業が必要となくなり、被覆体2を管に被せるだけの比較的簡単な作業で済むため、既設の管に対する施工が極めて容易となる。
【0032】
尚、上記実施例のように、必ずしも被覆体2を筒体状に形成する必要は無く、管に被覆可能な帯状或いは平面状としてもよい。
又、発熱部3としての発熱塗料31も、必ずしも袋帯状シート等に封入する必要はなく、筒状或いは帯状或いは平面状の被覆体の内周面に、発熱塗料31を直接単純に塗布してよい。
更に又、被覆体2は必ずしも断熱材(保温材)を用いる必要も無い。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、上水道管等の比較的細いパイプ状の管のみならず、径の大きな筒胴体状の容器等を含む管体の加熱保温装置として広く産業上利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】筒状被覆体の外観斜視図である。
【図2】筒状被覆体の内周面側の展開状態の平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2の筒状被覆体の内周面側の展開状態の端面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 管体加熱保温装置
2 被覆体(筒体)
3 発熱部
31 袋帯状シート発熱部(発熱部)
33 発熱塗料(袋帯状シート)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の外周面を覆う被覆体の内周面に発熱部としての発熱塗料が帯状に配設されたことを特徴とする管体加熱保温装置。
【請求項2】
帯状の発熱部は被覆体の内周面に間隔を置いて複数行平行に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の管体加熱保温装置。
【請求項3】
発熱塗料は袋帯状シート発熱部に封入された状態で被覆体の内周面に配設されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管体加熱保温装置。
【請求項4】
発熱塗料は塗布により施されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の管体加熱保温装置。
【請求項5】
発熱塗料はシルク印刷により施されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の管体加熱保温装置。
【請求項6】
被覆体は筒体であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の管体加熱保温装置。
【請求項7】
筒体は長手に向かって一筋の割り筋を有することを特徴とする請求項6に記載の管体加熱保温装置。
【請求項8】
被覆体は断熱材で形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の管体加熱保温装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−41619(P2009−41619A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205585(P2007−205585)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(594109934)
【出願人】(507267252)
【出願人】(503367701)新日本エコ・システム株式会社 (5)
【Fターム(参考)】