説明

管理制御プログラムおよび管理装置およびその方法

【課題】
コストをかけずに、メーカーや機種に依存しないMIBによるネットワーク管理システムを構築できるようにした管理制御プログラムおよび管理装置およびその方法を提供する。
【解決手段】
データ記憶装置20には、各ベンダーメーカーにより独自に定義されたプライベートMIBのオブジェクトIDを保持するオブジェクトID管理テーブル22が設けられており、管理装置10は、このオブジェクトIDを指定してネットワークを介して接続されたプリンタ30のMIBから当該オブジェクトIDに対応する値を取得し、この取得したデータによりプリンタ30の管理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して接続された1または複数の管理対象機器を管理情報(MIB)により管理する管理制御プログラムおよび管理装置およびその方法に係わり、詳しくは、管理対象機器の管理情報を自動的に取得し、その状態を管理する管理制御プログラムおよび管理装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークに接続され動作するネットワーク機器、例えば、プリンタ等にて構成されたネットワークをネットワーク管理プロトコルであるSNMP(Simple Network Management Protocol)により管理する技術が知られている。
【0003】
この場合、その制御の対象となる機器(管理対象機器)はMIB(Management Information Base)と呼ばれる管理情報(管理情報ベース)を持っており、管理を行なう機器は管理対象機器のMIBを取得し、その状態に基づいて管理を行うこととなる。
【0004】
MIBは、インターネット標準化団体であるIETF(Internet Engineering Task Force)のRFC−1759等で定義されており、自装置の状態を管理装置に知らせるために公開する情報である。
【0005】
このMIBには、オブジェクトと呼ばれる単位毎に情報が格納されており、そのオブジェクトにはそれぞれ識別子(オブジェクトID)が割り当てられている。管理装置は、このオブジェクトIDを指定することで、情報の取得を管理対象機器に対して要求し取得することとなる。
【0006】
従来、このMIBを用いた管理装置の技術としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られており、この特許文献1の発明によると、MIBへ非対応の機器、あるいはMIBへの対応が不完全な機器に対しても、MIBに対応した機器と同様にMIBを用いた管理を行えるという技術について言及されている。
【0007】
また、特許文献2の発明によると、ネットワーク上の装置にSNMPによりアクセスし、ステータス情報、構成情報を収集し、その情報をメールで送信することにより、他社機を含めた管理を行うという技術について言及されている。
【特許文献1】特開2000−207321号
【特許文献2】特開2002−297461号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述したMIBには大きく2通りあり、上述したRFC−1759等で定義された一般的なMIBと、各社ベンダーメーカーが独自に定義したMIBとがある。この後者に当たるベンダーメーカー独自のMIBは、プライベートMIBと呼ばれ、前者のRFC−1759等で定義された一般的な標準MIBと区別される。
【0009】
このプライベートMIBは、他のメーカーあるいは他の機種と差別化を図るために、それぞれ独自の情報が定義されており、公開もされていないので、自社の機器でしかプライベートMIBの管理は行えなかった。
【0010】
そのため、例えば、課金に使用するメーター値(出力枚数)などの情報を収集するためには、各社が提供している管理装置をメーカー毎に用意するか、若しくは手動で情報を収集するしか方法がなく、コスト増大の要因あるいは煩雑な作業を生じさせていた。
【0011】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、コストをかけずに、メーカーや機種に依存しないMIBによるネットワーク管理システムを構築できるようにした管理制御プログラムおよび管理装置およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、管理装置と1または複数の管理対象機器とをネットワークを介して接続し、前記管理装置にメーカー独自に定義されたプライベート管理情報のオブジェクト識別情報および前記管理対象機器の機器識別情報を少なくとも予め保存する記憶装置を設け、ネットワーク管理プロトコルを用いて前記管理対象機器の管理情報を取得して該管理対象機器の状態を管理する管理装置の処理をコンピュータに実行させる管理制御プログラムであって、前記記憶装置から前記管理対象機器のプライベート管理情報のオブジェクト識別情報を取得する第1のステップと、前記機器識別情報により特定される前記管理対象機器にアクセスし、前記第1のステップで取得したオブジェクト識別情報に対応する値を該管理対象機器のプライベート管理情報から取得する第2のステップと、前記第2のステップで取得した前記オブジェクト識別情報に対応する値を前記記憶装置に記憶して管理する第3のステップとを含むことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記管理対象機器のプライベート管理情報をスキャンしてオブジェクト識別情報と、該オブジェクト識別情報に対応する値を取得する第4のステップを更に含むことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記第4のステップで取得したプライベート管理情報の中から所定の条件に合致するオブジェクト識別情報を検索し、該オブジェクト識別情報に対応する属性をユーザ指示に従って設定する第5のステップを更に含み、前記第3のステップは、前記第4のステップで取得した前記オブジェクト識別情報に対応する値と、前記第5のステップで設定された属性とを対応付けて前記記憶装置に記憶して管理することを特徴とする。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項2の発明において、前記第4のステップで取得したプライベート管理情報のオブジェクト識別情報が前記記憶装置に予め保存されている場合には、該オブジェクト識別情報の属性を既知であると判別する第6のステップと、前記第6のステップによりオブジェクト識別情報の属性が既知であると判別された場合に、前記記憶装置に予め保存されているオブジェクト識別情報の属性を用いて前記第4のステップで取得したオブジェクト識別情報の属性を設定する第7のステップとを更に含み、前記第3のステップは、前記第4のステップで取得した前記オブジェクト識別情報に対応する値と、前記第7のステップで設定された属性とを対応付けて前記記憶装置に記憶して管理することを特徴とする。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項2の発明において、前記第4のステップで取得したプライベート管理情報のオブジェクト識別情報が前記記憶装置に予め保存されている場合には、該オブジェクト識別情報の属性を既知であると判別する第8のステップと、前記第8のステップによりオブジェクト識別情報の属性が既知でないと判別された場合に、該オブジェクト識別情報の属性の推測を行う第9のステップとを更に含み、前記第3のステップは、前記第4のステップで取得した前記オブジェクト識別情報に対応する値と、前記第9のステップで推測された属性とを対応付けて前記記憶装置に記憶して管理することを特徴とする。
【0017】
また、請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記第9のステップは、前記管理対象機器に特定の処理を実行させる指示を行い、当該指示前後の該管理対象機器のプライベート管理情報の値の増分を監視して、該オブジェクト識別情報の属性を推測することを特徴とする。
【0018】
また、請求項7の発明は、請求項5の発明において、前記第9のステップは、前記管理対象機器に特定の処理を実行させる指示を行い、該管理対象機器のプライベート管理情報の中から当該指示に基づく値が設定されたオブジェクト識別情報を検索して、該オブジェクト識別情報の属性を推測することを特徴とする。
【0019】
また、請求項8の発明は、請求項5の発明において、前記第9のステップは、オブジェクト識別情報に対応する値が既知である場合に、その既知の値が設定されたオブジェクト識別情報を前記管理対象機器のプライベート管理情報の中から検索して、該オブジェクト識別情報の属性を推測することを特徴とする。
【0020】
また、請求項9の発明は、請求項1乃至5の発明において、前記第3のステップにより前記記憶装置に記憶されたプライベート管理情報に基づいてレポート作成する第10のステップを更に含むことを特徴とする。
【0021】
また、請求項10の発明は、1または複数の管理対象機器とネットワークを介して接続され、ネットワーク管理プロトコルを用いて前記管理対象機器の管理情報を取得して該管理対象機器の状態を管理する管理装置において、メーカー独自に定義されたプライベート管理情報のオブジェクト識別情報および前記管理対象機器の機器識別情報を少なくとも予め保存する記憶装置と、前記記憶装置から前記管理対象機器のプライベート管理情報のオブジェクト識別情報を取得するデータ取得手段と、前記機器識別情報により特定される前記管理対象機器にアクセスし、前記データ取得手段で取得したオブジェクト識別情報に対応する値を該管理対象機器のプライベート管理情報から取得する情報取得手段と、前記情報取得手段で取得した前記オブジェクト識別情報に対応する値を前記記憶装置に記憶して管理するデータ設定手段とを具備することを特徴とする。
【0022】
また、請求項11の発明は、1または複数の管理対象機器とネットワークを介して接続され、ネットワーク管理プロトコルを用いて前記管理対象機器の管理情報を取得して該管理対象機器の状態を管理する管理装置の管理制御方法において、メーカー独自に定義されたプライベート管理情報のオブジェクト識別情報および前記管理対象機器の機器識別情報を少なくとも記憶装置に予め保存し、前記記憶装置から前記管理対象機器のプライベート管理情報のオブジェクト識別情報をデータ取得手段で取得し、前記機器識別情報により特定される前記管理対象機器にアクセスし、前記データ取得手段で取得したオブジェクト識別情報に対応する値を該管理対象機器のプライベート管理情報から情報取得手段で取得し、前記情報取得手段で取得した前記オブジェクト識別情報に対応する値を前記記憶装置にデータ設定手段で記憶して管理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、メーカー独自に定義されたプライベート管理情報(プライベートMIB)のオブジェクト識別情報(オブジェクトID)および管理対象機器の機器識別情報を少なくとも記憶装置に予め保存し、該記憶装置に保存されたオブジェクト識別情報を取得して、機器識別情報により特定される管理対象機器の管理情報から該オブジェクト識別情報に対応する値を取得し、それを記憶して管理するように構成したため、プライベートMIBのオブジェクトIDに対応する値の取得を自動で行うことができる。
【0024】
これにより、コストをかけずに、メーカーや機種に依存しないMIBによるネットワーク管理システムを構築することができる。
【0025】
また、他社機の詳細な情報、例えば課金メーターの値等を自動で取得できるようになり、従来手動で行われていた作業を省き簡略化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明に係わる管理制御プログラムおよび管理装置およびその方法の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
図1は、本発明に係わる管理装置を配して構成したネットワーク管理システムの全体構成の一例を示す図である。なお、本実施例においては、管理対象機器がプリンタである場合を示す。
【0028】
このネットワーク管理システムでは、管理装置10と、複数台のプリンタ30(以下、プリンタ30aおよびプリンタ30bおよびプリンタ30nを総称してプリンタ30という)とがネットワークを介して接続されており、管理装置10にはさらにデータ記憶装置20が接続される。
【0029】
管理装置10は、SNMPにより各プリンタ30のMIBを取得し、プリンタ30の状態を管理する。より具体的には、データ記憶装置20に予め保存されたオブジェクトIDを取得および指定して、プリンタ30のMIBから当該オブジェクトIDに対応する値を取得し、この取得した値によりプリンタ30の管理を行う。
【0030】
管理装置10は、ハードウェア構成として、各種情報の表示を行う表示装置である表示部11と、各種データ入力を行う入力装置である操作部12と、管理装置10を統括制御する演算装置である制御部13と、プログラムの実行等を行う際の作業領域であるメモリ14と、ネットワークに接続されたプリンタ30等と通信を行う通信インターフェース装置である通信部15と、プログラム等の各種データを記憶する記憶部16とを具備して構成される。この構成において、本発明係わる管理制御処理は、主として制御部13において行われる。
【0031】
データ記憶装置20には、プリンタ管理テーブル21と、オブジェクトID管理テーブル22と、データ管理テーブル23とが記憶される。ここで、図2を参照しながらこれらテーブルの詳細について説明する。
【0032】
プリンタ管理テーブル21は、管理対象となる機器(本実施例においてはプリンタ30)に関するデータを保持するテーブルである。そのテーブル構成としては、プリンタ30の名称を保持する「ホスト名」と、プリンタ各々を特定(識別)するための情報(本実施例においてはIPアドレス)を保持する「IPアドレス」と、プリンタ30の種類を区別するための情報(本実施例においては機種名)を保持する「機種名」とを具備して構成される。
【0033】
オブジェクトID管理テーブル22は、MIBのオブジェクトIDに関するデータを保持するテーブルであり、特に、各ベンダーメーカーにより独自に定義されたプライベートMIBのオブジェクトIDを保持する。そのテーブル構成としては、プリンタ30の種類を区別するための情報(本実施例においては機種名)を保持する「機種名」と、MIBのオブジェクトIDを保持する「オブジェクトID」と、そのオブジェクトIDの属性を保持する「属性パラメータ」と、その属性パラメータのデータの型を保持する「データの型」とを具備して構成される。
【0034】
このプリンタ管理テーブル21と、オブジェクトID管理テーブル22とに保持される「機種名」は同一のものであり、この「機種名」によってプリンタ管理テーブル21とオブジェクトID管理テーブル22の各レコードは対応付けられる。
【0035】
データ管理テーブル23は、管理対象となるプリンタ30のMIBから取得したデータを保持するテーブルであり、管理装置10は、このデータ管理テーブル23に保持されたデータによりプリンタ30の管理を行う。そのテーブル構成としては、レコードが保存された日時を保持する「日時」と、オブジェクトIDの属性を保持する「属性パラメータ」と、そのオブジェクトIDの値を保持する「データ」とを具備して構成される。
【0036】
このプリンタ管理テーブル21と、オブジェクトIDテーブル22とで保持される各項目の設定値は、予め管理者等により設定されるものである。一方、データ管理テーブル23で保持される各項目の設定値は、管理装置10により自動的に設定されるものである。
【0037】
図1に戻り、管理対象機器としてのプリンタ30は、ネットワークを介して管理装置10と接続されており、その機能としては、各種印刷物の出力を行う。このプリンタ30は、内部にMIBを保持する。このMIBには、例えば、プリンタのステータスや、プリンタでの消耗品の使用状況や、アラート履歴等の情報(オブジェクト)が含まれる。
【0038】
また、同図に示されるプリンタ30は、それぞれ異なったベンダーメーカーによって製造されたものであり、それぞれ機種が異なる。例えば、プリンタ30aは、メーカーAにより製造されたものであり、プリンタ30bは、メーカーBにより製造されたものである。そのため、プリンタ30は、それぞれ対応するプライベートMIBが異なることになる。
【0039】
ここで、図1および図2を参照しながら、このネットワーク管理システムにおける一連の処理の流れを説明する。なお、ここでは、「ホスト名:プリンタa」の「オブジェクトID:.1.3.6.1.4.1.253.3.7.7.7」に対応する値をプリンタaから取得する場合の処理の流れを示す。
【0040】
まず、管理装置10がデータ記憶装置20のプリンタ管理テーブル21およびオブジェクトID管理テーブル22からプリンタaのIPアドレス、オブジェクトID等を取得する。図2で言うと、「IPアドレス:192.168.10.11」、「オブジェクトID:.1.3.6.1.4.1.253.3.7.7.7」を取得する(ステップ1)。続いて、取得したIPアドレスを用いてプリンタaにアクセスし、プリンタaのMIBからオブジェクトIDに対応する値を取得する。ここでは、当該オブジェクトIDに対応する値として1000を取得したものとする。
【0041】
そして、この取得した値をデータ記憶装置20のデータ管理テーブル23に保存する。この保存した値が図2に示すデータ管理テーブル23の1レコード目に示される。このようにして取得保存したデータを用いてプリンタaの管理が行われることとなる。
【0042】
なお、図1に示したネットワーク管理システムの構成においては、データ記憶装置20内にプリンタ管理テーブル21、オブジェクトID管理テーブル22、データ管理テーブル23を格納する場合を説明したが、これらのテーブルを管理装置10内の記憶部16に格納するようにしてもよい。
【0043】
図3は、図1に示した管理装置10における制御部13の機能的な構成の一部を示すブロック図である。なお、ここでは、本発明に係わる構成要素のみを挙げて説明する。
【0044】
制御部13は、各種処理機能部として、情報取得部41と、データ管理部42とを具備して構成される。
【0045】
情報取得部41は、プリンタ30にアクセスし、SNMPのコマンド(GetRequestコマンド)を用いて当該プリンタのMIBを取得する。より具体的には、プリンタ管理テーブル21より取得したIPアドレスを用いてプリンタにアクセスし、オブジェクトID管理テーブル22より取得したオブジェクトIDを指定して当該プリンタのMIBから当該オブジェクトIDに対応する値を取得する。
【0046】
データ管理部42は、データ記憶装置20のテーブルの管理全般を行う。データ管理部42は内部に、各テーブルからデータを取得するデータ取得部42aと、各テーブルにデータを設定するデータ設定部42bとを備える。以上が本発明に係わる制御部13の機能的な構成の一部を示す各機能ブロック図の説明である。
【0047】
図4は、本発明に係わる管理装置10の動作を説明するフローチャートである。
【0048】
まず、管理装置10は、データ取得部42aによりデータ記憶装置20のプリンタ管理テーブル21から「ホスト名」と「機種名」と「IPアドレス」とを取得する(ステップS101)。この取得に失敗した場合には(ステップS102でNO)、この処理を終了する。
【0049】
取得に成功した場合には(ステップS102でYES)、管理装置10は、データ取得部42aによりデータ記憶装置20のオブジェクトID管理テーブル22から「機種名」に対応する「オブジェクトID」と「属性パラメータ」とを取得する(ステップS103)。この取得に失敗した場合には(ステップS104でNO)、この処理を終了する。
【0050】
取得に成功した場合には(ステップS104でYES)、管理装置10は、取得した「IPアドレス」を用いてMIBの取得対象となるプリンタ30にアクセスする(ステップS105)。
【0051】
アクセスが正常に行われると、管理装置10は、情報取得部41によりプリンタ30のMIBから「オブジェクトID」に対応する値を取得する(ステップS106)。この取得に失敗した場合には(ステップS107でNO)、この処理を終了する。
【0052】
取得に成功した場合には(ステップS107でYES)、管理装置10のデータ設定部42bは、情報取得部41により取得した値と、日時、ホスト名、属性パラメータをセットにしてデータ管理テーブル23に保存する(ステップS108)。そして、この処理を終了する。
【0053】
以上説明したように本発明においては、各ベンダーメーカーにより独自に定義されたプライベートMIBのオブジェクトIDをオブジェクトID管理テーブル22に予め保持しておき、このオブジェクトIDを指定してプリンタ30のMIBから当該オブジェクトIDに対応する値を取得するように構成したため、プライベートMIBのオブジェクトIDに対応する値の取得を自動で行うことができる。
【0054】
これにより、コストをかけずに、メーカーや機種に依存しないMIBによるネットワーク管理システムを構築することができる。
【0055】
また、他社機の詳細な情報、例えば課金メーターの値等を自動で取得できるようになり、従来手動で行われていた作業を省き簡略化することができる。
【実施例2】
【0056】
実施例2では、管理対象機器から自動でプライベートMIBを取得し、そのオブジェクトIDに対応する属性(属性パラメータ)を推測し自動で設定するか、あるいは手動で設定するようにした場合の実施形態について説明する。
【0057】
なお、実施例2の全体構成は上記実施例1の図1で説明したものと同一であるため、その説明は省略し、ここでは、機能的な構成と動作について説明する。
【0058】
図5は、実施例2に係わる制御部13の機能的な構成の一部を示すブロック図である。なお、上記実施例1を説明した図3と同一の符号が付してあるものは同様に動作するため、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0059】
制御部13は、各種処理機能部として、情報取得部41と、データ管理部42と、MIB情報スキャン部43と、MIB情報判断部44と、MIB情報推測部45と、MIB情報管理部46とを具備して構成される。すなわち、上記実施例1を説明した図3に、MIB情報スキャン部43と、MIB情報判断部44と、MIB情報推測部45と、MIB情報管理部46とを加えた構成となる。
【0060】
MIB情報スキャン部43は、プリンタ30にアクセスし、プライベートMIBのスキャンを行いMIBの一覧を取得する処理部である。具体的には、SNMPのコマンド(GetRequestコマンドおよびGetNextRequestコマンド)を用いて「オブジェクトID:.1.3.6.1.4.1(MIB−2)」以下のオブジェクトIDを検索し、MIBの一覧を取得する。例えば、図6に示すように「ホスト名」に対応して「オブジェクトID」と「データの型」および「データ」の一覧を取得する。この場合、「ホスト名:プリンタb」に対してプライベートMIBのスキャンを行った結果が示されている。
【0061】
MIB情報判断部44は、上記MIB情報スキャン部43で取得したオブジェクトIDが既知の情報であるか否かを判断する処理部である。既知であるか否かは、取得したオブジェクトIDと同一のIDを持つオブジェクトIDがデータ記憶装置20のオブジェクトID管理テーブル22に既に存在するか否かにより判断し、同一のオブジェクトIDがあるならば既知と判断し、ないならば未知(既知でない)と判断することとなる。
【0062】
このMIB情報判断部44により既知であると判断されたオブジェクトIDは、データ設定部42bにより、既知の属性パラメータと対応付けられてデータ記憶装置20に保存されるが、既知でないと判断されたオブジェクトIDに対しては、後述するMIB情報推測部45により属性パラメータの推測処理が行われる。
【0063】
MIB情報推測部45は、上記MIB情報判断部44で既知でないと判断されたオブジェクトIDの属性パラメータを推測する。このオブジェクトID推測処理についての詳細は後述するが、例えば、当該オブジェクトIDに対応する属性パラメータがプリンタのステータスであるか、消耗品であるか、あるいはアラート履歴であるのか等を推測する。
【0064】
MIB情報管理部46は、上記MIB情報スキャン部43で取得したMIBの一覧から条件に合致するオブジェクトIDの検索を行ったり、編集を行ったりする処理部であり、MIBの管理全般を行う。主な機能としては、条件に合致するオブジェクトIDを検索する機能、ユーザ所望の属性パラメータを設定する機能、オブジェクトIDに対応する値を取得する機能、スキャンしたMIBをデータ記憶装置20等に保存する機能、既知のオブジェクトIDを登録保存する機能を備え、これらの機能は、後述するMIB情報管理画面にて提供される。
【0065】
なお、実施例2では、データ記憶装置20のプリンタ管理テーブル21で保持される各項目の設定値は、予め管理者等により設定しておくが、オブジェクトID管理テーブル22およびデータ管理テーブル23で保持される各項目の設定値は、管理装置10により自動的に設定されることとなる。
【0066】
ここで、図7乃至9を参照しながら、MIB情報推測部45による属性パラメータの推測方法の一例として3通りの方法を説明する。
【0067】
1つ目の例は、プリンタ30に特定の指示を行った後に、当該指示前後のプリンタ30のMIBの値の増分を比較しオブジェクトIDの属性パラメータを推測する方法である。ここでは、プリンタ30に対して白黒およびカラーを指定した印刷指示を行い、白黒、カラーに関するオブジェクトIDを推測する場合を説明する。
【0068】
まず、MIB情報推測部45からプリンタ30に対して、カラー2ページ/白黒1ページの印刷指示を行った後、当該プリンタ30からMIBのスキャンを行うと、図7(ステップ1)に示す結果が得られたとする。
【0069】
図7(ステップ1)には、印刷指示前のMIBのスキャン結果として「データ1回目」と、印刷指示後のMIBのスキャン結果として「データ2回目」とを含む結果が示される。この値を比較すると、2行目と4行目が1増加し、3行目と5行目が2増加している。したがって、前者が白黒ページであり、後者がカラーページであると推測できる。しかし、それぞれ2つの候補が存在するので、さらにカラー5ページ/白黒3ページの両面印刷の指示を行い、絞り込みを行うと、図7(ステップ2)に示す結果が得られたとする。
【0070】
図7(ステップ2)には、図7(ステップ1)の後にさらに、印刷指示(カラー5ページ/白黒3ページの両面)を行った後のMIBのスキャン結果として「データ3回目」を含む結果が示される。この値を比較すると、白黒3ページの両面印刷では、印刷した面数は3、用紙枚数は2である。したがって、データが2増加している2行目が白黒の印刷枚数であり、データが3増加している4行目が印刷面数であることが推測できる。
【0071】
同様に、5ページのカラー両面印刷に対して、データが3増加している3行目がカラーの印刷枚数であり、データが5増加している5行目がカラーの印刷面数であると推測できる。以上が1つ目のMIB情報推測部45によるオブジェクトIDの属性パラメータ推測方法である。
【0072】
2つ目の例は、プリンタ30に特定の指示を行った後に、プリンタ30のMIBの中から当該指示に基づく値が設定されたオブジェクトIDを検索することによりオブジェクトIDの属性パラメータを推測する方法である。ここでは、プリンタ30でアラーム鳴動等のアラート(警告)を意図的に生じさせる指示を行い、アラート履歴のオブジェクトIDを推測する場合を説明する。
【0073】
まず、MIB情報推測部45からプリンタ30に対して、当該プリンタのトレイには存在しない、若しくは非対応の用紙サイズを指定した印刷指示を行った後、当該プリンタ30からMIBのスキャンを行うと、図8に示す結果が得られたとする。この場合、プリンタ30では、「用紙なし」というアラートが発生することとなる。
【0074】
図8には、プリンタ30でアラート発生後のMIBのスキャン結果が示される。通常、アラート履歴のオブジェクトIDは、あるIDのサブツリーにアラートの一覧が格納される。例えば、「オブジェクトID:.1.3.6.1.4.1.253」以下の4.4.4というオブジェクトIDがアラート履歴を示す場合には、4.4.4.1〜4.4.4.50に50個のアラートが格納される。そして、新しいアラートが発生する度に、4.4.4.50に新しいアラートが挿入され、4.4.4.1の値が削除される。つまり、最新のアラートは末尾に挿入されることになる。
【0075】
この場合、「用紙なし」というアラートを意図的に発生させたので、末尾に「用紙なし」が設定されるオブジェクトIDの親がアラート履歴であると推測できる。したがって、「オブジェクトID:.1.3.6.1.4.1.253.4.4.4.50」に「用紙なし」が設定されているため、その親である「オブジェクトID:.1.3.6.1.4.1.253.4.4.4」がアラート履歴を示すオブジェクトIDであると推測できる。以上が2つ目のMIB情報推測部45によるオブジェクトIDの属性パラメータ推測方法である。
【0076】
3つ目の例は、既知の情報を利用してオブジェクトIDの属性パラメータを推測する方法である。ここでは、プリンタ30本体に貼付されたシリアル番号を既知の情報とし、当該シリアル番号が設定されたMIBをシリアル番号のオブジェクトIDと推測する場合を説明する。
【0077】
図9(上側)に示される既知の情報があるとする。この場合、既知の情報として「ホスト名:プリンタb」、「機種名:Apeos6560」、「シリアル番号:NC100081650507」がある。
【0078】
そして、プリンタ30からMIBのスキャンを行うと、図9(下側)に示す結果が得られたとする。この結果により、1行目の「NC100081650507」という値は、図9(上側)に示される既知のシリアル番号と一致する。したがって、「オブジェクトID:.1.3.6.1.4.1.253.5.5.5.1」がシリアル番号を示すオブジェクトIDであることが推測できる。以上が3つ目のMIB情報推測部45によるオブジェクトIDの属性パラメータ推測方法である。
【0079】
ここで、図10乃至12を用いて、MIB情報管理画面の一例について説明する。先に述べた通り、このMIB情報管理画面で提供される各機能はMIB情報管理部46により実現される。なお、図10乃至12に示される画面は全て同一の画面であり、その違いとしては画面内で選択されたタブページが異なることにある。
【0080】
まず、図10は、タブページで「管理情報の検索」が選択された場合のMIB情報管理画面が示される。このタブページでは、スキャンによって取得したMIBの検索が行える。
【0081】
この画面では、検索条件を選択し、かかる条件に合致するデータを取得することができる。具体的には、画面上で検索項目として用意された「1.機種名」、「2.データの型」、「3.データ」、「4.オブジェクトID」からプルダウンメニューにてそれぞれ検索条件を選択し、その内、有効化させる検索条件を「検索式(テキストボックス)」に指定して検索ボタン(検索式を実行)を押下することで、選択した条件と合致したMIBを得ることができる。すなわち、MIB情報管理部46の機能の内、条件に合致するオブジェクトIDの検索機能、オブジェクトIDに対応する値を取得する機能が、この画面上で実現される。
【0082】
同図に示す画面例では、検索条件として「1.機種名:プリンタa」、「2.データの型:Counter32」をプルダウンメニューにて選択し、有効化させる検索条件として「検索式」に「1」、「2」を指定して検索を行っている。すなわち、検索項目の「1.機種名」と「2.データの型」を条件として、この条件に合致するデータを取得する。なお、「検索式」の「1」と「2」は、検索項目の番号と対応し、「+」はANDを示す。
【0083】
次に、図11は、タブページで「検索結果」が選択された場合のMIB情報管理画面が示される。このタブページでは、上記図10で説明した管理情報の検索により得られた結果の参照、編集が行える。
【0084】
この画面では、MIBの検索結果の参照、編集が行える。具体的には、検索条件と合致する機種名、データの型、データ、オブジェクトIDの参照が行えるとともに、これらに対応する属性パラメータの編集が行える。
【0085】
また、検索結果として条件に合致したMIBが一覧表示されており、このMIBにはそれぞれ「NO1」、「NO2」といった番号とともにチェックボックスが併設される。この併設されたチェックボックスを選択し、保存ボタン(チェックした管理情報を保存)を押下することで、選択したMIBを保存することができる。すなわち、MIB情報管理部46の機能の内、ユーザ所望の属性パラメータを設定する機能、スキャンしたMIBをデータ記憶装置20等に保存する機能が、この画面上で実現される。
【0086】
同図に示す画面例では、「NO1」のMIBに属性パラメータとして「白黒印刷枚数」を入力し、チェックボックスにチェックし保存する場合が示される。
【0087】
次に、図12は、タブページで「管理情報の直接入力」が選択された場合のMIB情報管理画面が示される。このタブページでは、MIBが既知である場合に、その値を直接登録できる。
【0088】
この画面では、既知の機種名、オブジェクトID、属性パラメータを入力し、そのMIBを登録できる。同図に示す画面例では、「機種名:プリンタa」、「オブジェクトID:.1.3.6.4.1.253.3.8.8.8」、「属性パラメータ:ワンカラー印刷枚数」を登録する場合が示される。すなわち、MIB情報管理部46の機能の内、既知のオブジェクトIDを登録保存する機能が、この画面上で実現される。以上がMIB情報管理画面についての説明である。
【0089】
図13は、実施例2に係わる管理装置10における属性パラメータ設定処理の動作を説明するフローチャートである。
【0090】
まず、管理装置10は、データ取得部42aによりデータ記憶装置20のプリンタ管理テーブル21から「ホスト名」と「機種名」と「IPアドレス」とを取得する(ステップS201)。この取得に失敗した場合には(ステップS202でNO)、この処理を終了する。
【0091】
取得に成功した場合には(ステップS202でYES)、管理装置10のMIB情報スキャン部43は、取得した「IPアドレス」を用いてMIBのスキャン対象となるプリンタ30にアクセスする(ステップS203)。
【0092】
アクセスが正常に行われると、MIB情報スキャン部43は、プリンタ30のプライベートMIBをスキャンしてMIBの一覧を取得する(ステップS204)。先に述べた通り、SNMPのコマンド(GetRequestコマンドおよびGetNextRequestコマンド)を用いて「オブジェクトID:.1.3.6.1.4.1(MIB−2)」以下のオブジェクトIDを検索し、対応するMIBの一覧を取得する。
【0093】
この取得に失敗した場合には(ステップS205でNO)、この処理を終了するが一方、取得に成功した場合には(ステップS205でYES)、取得したMIBを一時的に記憶部16(あるいはメモリ14)に保存する(ステップS206)。
【0094】
以下、ステップS207からステップS215の処理を実行し、この取得したMIBから順番にオブジェクトIDを取得し、当該オブジェクトIDに対応する属性パラメータを自動、あるいは手動により設定する。
【0095】
まず、一時的に記憶部16に保存したMIBからオブジェクトIDを取得し(ステップS207)、取得したMIBのオブジェクトIDが既知であるか否かをMIB情報判断部44で判断する(ステップS208)。すなわち、取得したオブジェクトIDと同一のIDを持つオブジェクトIDがデータ記憶装置20のオブジェクトID管理テーブル22に既に存在するか否かを判断する。
【0096】
この判断により、取得したオブジェクトIDが既知であると判断された場合には(ステップS208でYES)、当該オブジェクトIDに既知の属性パラメータを設定する(ステップS209)。
【0097】
また、取得したオブジェクトIDが未知(既知でない)であると判断された場合には(ステップS208でNO)、MIB情報推測部45により、属性パラメータの推測処理を行う(ステップS210)。すなわち、上述した図7乃至9の処理を行ってオブジェクトIDの属性パラメータを推測する。
【0098】
そして、属性パラメータの推測処理が終了すると、ユーザに対し、推測した属性パラメータの設定変更を行うか否かの選択指示を要求する。具体的には、推測した属性パラメータの値を変更するか否かを選択させる選択画面等を表示部11に表示する。
【0099】
ここで、手動変更なしが指示された場合には(ステップS211でNO)、当該オブジェクトIDに推測した属性パラメータを設定するが一方(ステップS212)、手動変更が指示された場合には(ステップS211でYES)、ユーザは、MIB情報管理画面を用いて手動でオブジェクトIDに対する属性パラメータ等の設定を行う(ステップS213)。
【0100】
このようにして属性パラメータが既知の情報、推測、あるいはユーザ手動により設定されると、データ設定部42bは、オブジェクトIDと、その属性パラメータとを含むデータをオブジェクトID管理テーブル22に、属性パラメータを含むデータをデータ管理テーブル23にそれぞれ保存する(ステップS214)。すなわち、オブジェクトID管理テーブル22には、オブジェクトIDと属性パラメータとともに、機種名、データの型をセットにして保存し、データ管理テーブル23には、上記実施例1同様に、日時、ホスト名、属性パラメータをセットにしてデータ管理テーブル23に保存する。
【0101】
ここで、まだ未処理のオブジェクトIDがある場合には(ステップS215でNO)、再び、ステップS207に戻り、次のオブジェクトIDに対して上述したステップS214までの処理を同様に行うこととなるが一方、全てのオブジェクトIDに対する属性パラメータの設定処理および保存処理が終わると(ステップS215でYES)、全てのプリンタに対して上記ステップS201からステップS215までの処理を行ったか否かを判断する(ステップS216)。すなわち、プリンタ管理テーブル21に保持されたプリンタ30全てに対する属性パラメータ設定処理が終了したか否かの判断である。
【0102】
この判断により、まだ未処理のプリンタ30があると判断した場合には(ステップS216でNO)、再び、ステップS201に戻り、次のプリンタ30に対して上述した処理を行うが一方、全てのプリンタ30に対する処理が終了したと判断した場合には(ステップS216でYES)、この処理を終了する。
【0103】
以上説明したように実施例2においては、実施例1の構成に加えて、管理対象となるプリンタ30から自動でプライベートMIBを取得し、そのオブジェクトIDに対応する属性パラメータを推測し自動で設定するか、あるいは手動で設定するかするように構成したため、オブジェクトID管理テーブル22に予めプライベートMIB等のオブジェクトIDを設定しておく必要がなくなるので、実施例1の効果に加えてさらに、管理者等にかかる負荷を軽減することができる。
【実施例3】
【0104】
実施例3では、プリンタ30から取得したMIBに基づいてプリンタ30の状態や、情報を数値あるいはグラフ化されたデータにしてエクセル(表計算ソフト)等のファイルにレポート出力する場合の実施形態について説明する。
【0105】
なお、実施例3の全体構成は上記実施例1の図1で説明したものと同一であるため、その説明は省略し、ここでは、機能的な構成と動作について説明する。
【0106】
図14は、実施例3に係わる制御部13の機能的な構成の一部を示すブロック図である。なお、上記実施例1を説明した図3と同一の符号が付してあるものは同様に動作するため、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0107】
制御部13は、各種処理機能部として、情報取得部41と、データ管理部42と、レポート作成部47とを具備して構成される。すなわち、上記実施例1を説明した図3に、レポート作成部47を加えた構成となる。
【0108】
レポート作成部47は、データ記憶装置20に保存されたデータ管理テーブル23に保持された内容に基づいてレポートを作成する処理部である。このレポート作成部47によるレポート作成処理の概要を説明する。
【0109】
ここで、図15乃至17を参照しながら、レポート作成部47によるレポート作成処理の概要を説明する。
【0110】
このレポート作成処理では、図15に示すレポート出力画面から所定の操作を行い、レポート出力することとなる。
【0111】
このレポート出力画面では、出力を所望する項目(属性パラメータ)と、その期間とを選択し、「選択した内容を出力」ボタンを押下することで、そのレポート作成を行うことができる。同図に示す例では、ビリングメーター1と、ビリングメーター2と、ビリングメーター3とが出力を所望する項目に選択され、その期間として2005年1月から2005年4月分が選択され、レポート作成される設定になっている。そして、ここでは、データ記憶装置20のデータ管理テーブル23には、図16に示すデータが格納されているものとする。
【0112】
すなわち、プリンタcおよびプリンタdの月毎のビリングメーターの値のレポート作成を行うことになる。例えば、プリンタcのビリングメーター1の値は、1月は100、2月は200である。したがって、2月のビリングメーターの値は、200−100=100となる。全ての月毎に同様の計算を行い、レポートに出力する。そのレポートの一例が図17に示される。この図17に示されたレポートを参照することで、ビリングメーターのような課金メーターの値等の使用状況を数値あるいはグラフ化されたデータにより、ユーザは容易に把握できることになる。
【0113】
図18は、実施例3に係わる管理装置10におけるレポート作成処理の動作を説明するフローチャートである。
【0114】
この処理は、ユーザ操作によりレポート作成画面から出力を所望する項目(属性パラメータ)と、その期間とが選択され、「選択した内容を出力」ボタンが押下されると、開始される。
【0115】
この処理が開始されると、レポート作成部47は、レポート作成画面からユーザにより選択されたレポート対象項目(属性パラメータ)と、その期間を取得する(ステップS301)。
【0116】
そして、この取得した値を用いてデータ取得部42bは、データ記憶装置20のデータ管理テーブル23からレポート出力対象データを取得する(ステップS302)。この取得に失敗した場合には(ステップS303でNO)、この処理を終了する。
【0117】
取得に成功した場合には、レポート作成部47は、データ管理テーブル23から取得したデータに基づいて図17に示すようなレポートを作成し(ステップS304)、この処理を終了する。
【0118】
以上説明したように実施例3においては、実施例1の構成に加えて、プリンタ30から取得したMIBに基づいてエクセル(表計算ソフト)等のファイルにレポートを出力するように構成したため、例えば、ビリングメーターのような課金メーターの値等の使用状況を数値あるいはグラフ化されたデータにしてレポート出力することができるので、ユーザにプリンタ30の状態や情報を容易に把握させることができる。
【0119】
なお、上記実施例1乃至3においては、管理対象機器がプリンタである場合を説明したが、これに限られず、ネットワークに接続されて動作するネットワーク機器なら何でもよく、例えば、複合機、複写機、ファックス等や、パーソナルコンピュータ、ルータ等でもよい。
【0120】
なお、上記実施例1乃至3においては、本発明に係わる管理装置により本発明を実施するように構成したが、この管理処理をコンピュータにインストールされた管理制御プログラムにより行うように構成してもよい。
【0121】
この他、本発明は、上記および図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。例えば、実施例1乃至3を用いて、本発明に係わる管理装置について説明したが、この実施例1乃至3の実施形態を全て、あるいは一部を組み合わせて実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明の管理制御プログラムおよび管理装置およびその方法は、ネットワークを介して接続された1または複数の管理対象機器を管理情報(MIB)により管理する管理装置全般に適用可能であり、特に、メーカーや機種に依存することなく、MIBによるネットワーク管理システムを構築する場合に有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明に係わる管理装置を配して構成したネットワーク管理システムの全体構成の一例を示す図である。
【図2】本発明に係わるプリンタ管理テーブル21と、オブジェクトID管理テーブル22と、データ管理テーブル23のテーブルレイアウトの一例を示す図である。
【図3】本発明に係わる管理装置10における制御部13の機能的な構成の一部を示すブロック図である。
【図4】本発明に係わる管理装置10の動作を説明するフローチャートである。
【図5】実施例2に係わる制御部13の機能的な構成の一部を示すブロック図である。
【図6】プライベートMIBのスキャンを行った結果の一例を示す図である。
【図7】MIB情報推測部45による属性パラメータの推測方法の一例を示す図である(1つ目)。
【図8】MIB情報推測部45による属性パラメータの推測方法の一例を示す図である(2つ目)。
【図9】MIB情報推測部45による属性パラメータの推測方法の一例を示す図である(3つ目)。
【図10】MIB情報管理画面の画面レイアウトの一例を示す図である(管理情報の検索)。
【図11】MIB情報管理画面の画面レイアウトの一例を示す図である(検索結果)。
【図12】MIB情報管理画面の画面レイアウトの一例を示す図である(管理情報の直接入力)。
【図13】実施例2に係わる管理装置10における属性パラメータ設定処理の動作を説明するフローチャートである。
【図14】実施例3に係わる制御部13の機能的な構成の一部を示すブロック図である。
【図15】レポート出力画面の画面レイアウトの一例を示す図である。
【図16】レポート作成部47によるレポート作成処理の概要を説明する図である。
【図17】レポート作成部47によるレポート作成処理の概要を説明する図である(レポートの一例)。
【図18】実施例3に係わる管理装置10におけるレポート作成処理の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0124】
10 管理装置
11 表示部
12 操作部
13 制御部
14 メモリ
15 通信部
16 記憶部
20 データ記憶装置
21 プリンタ管理テーブル
22 オブジェクトID管理テーブル
23 データ管理テーブル
30 プリンタ
41 情報取得部
42a データ取得部(データベース管理部:42)
42b データ設定部(データベース管理部:42)
43 MIB情報スキャン部
44 MIB情報判断部
45 MIB情報推測部
46 MIB情報管理部
47 レポート作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置と1または複数の管理対象機器とをネットワークを介して接続し、前記管理装置にメーカー独自に定義されたプライベート管理情報のオブジェクト識別情報および前記管理対象機器の機器識別情報を少なくとも予め保存する記憶装置を設け、ネットワーク管理プロトコルを用いて前記管理対象機器の管理情報を取得して該管理対象機器の状態を管理する管理装置の処理をコンピュータに実行させる管理制御プログラムであって、
前記記憶装置から前記管理対象機器のプライベート管理情報のオブジェクト識別情報を取得する第1のステップと、
前記機器識別情報により特定される前記管理対象機器にアクセスし、前記第1のステップで取得したオブジェクト識別情報に対応する値を該管理対象機器のプライベート管理情報から取得する第2のステップと、
前記第2のステップで取得した前記オブジェクト識別情報に対応する値を前記記憶装置に記憶して管理する第3のステップと
を含むことを特徴とする管理制御プログラム。
【請求項2】
前記管理対象機器のプライベート管理情報をスキャンしてオブジェクト識別情報と、該オブジェクト識別情報に対応する値を取得する第4のステップ
を更に含むことを特徴とする請求項1記載の管理制御プログラム。
【請求項3】
前記第4のステップで取得したプライベート管理情報の中から所定の条件に合致するオブジェクト識別情報を検索し、該オブジェクト識別情報に対応する属性をユーザ指示に従って設定する第5のステップ
を更に含み、
前記第3のステップは、
前記第4のステップで取得した前記オブジェクト識別情報に対応する値と、前記第5のステップで設定された属性とを対応付けて前記記憶装置に記憶して管理する
ことを特徴とする請求項2記載の管理制御プログラム。
【請求項4】
前記第4のステップで取得したプライベート管理情報のオブジェクト識別情報が前記記憶装置に予め保存されている場合には、該オブジェクト識別情報の属性を既知であると判別する第6のステップと、
前記第6のステップによりオブジェクト識別情報の属性が既知であると判別された場合に、前記記憶装置に予め保存されているオブジェクト識別情報の属性を用いて前記第4のステップで取得したオブジェクト識別情報の属性を設定する第7のステップと
を更に含み、
前記第3のステップは、
前記第4のステップで取得した前記オブジェクト識別情報に対応する値と、前記第7のステップで設定された属性とを対応付けて前記記憶装置に記憶して管理する
ことを特徴とする請求項2記載の管理制御プログラム。
【請求項5】
前記第4のステップで取得したプライベート管理情報のオブジェクト識別情報が前記記憶装置に予め保存されている場合には、該オブジェクト識別情報の属性を既知であると判別する第8のステップと、
前記第8のステップによりオブジェクト識別情報の属性が既知でないと判別された場合に、該オブジェクト識別情報の属性の推測を行う第9のステップと
を更に含み、
前記第3のステップは、
前記第4のステップで取得した前記オブジェクト識別情報に対応する値と、前記第9のステップで推測された属性とを対応付けて前記記憶装置に記憶して管理する
ことを特徴とする請求項2記載の管理制御プログラム。
【請求項6】
前記第9のステップは、
前記管理対象機器に特定の処理を実行させる指示を行い、当該指示前後の該管理対象機器のプライベート管理情報の値の増分を監視して、該オブジェクト識別情報の属性を推測する
ことを特徴とする請求項5記載の管理制御プログラム。
【請求項7】
前記第9のステップは、
前記管理対象機器に特定の処理を実行させる指示を行い、該管理対象機器のプライベート管理情報の中から当該指示に基づく値が設定されたオブジェクト識別情報を検索して、該オブジェクト識別情報の属性を推測する
ことを特徴とする請求項5記載の管理制御プログラム。
【請求項8】
前記第9のステップは、
オブジェクト識別情報に対応する値が既知である場合に、その既知の値が設定されたオブジェクト識別情報を前記管理対象機器のプライベート管理情報の中から検索して、該オブジェクト識別情報の属性を推測する
ことを特徴とする請求項5記載の管理制御プログラム。
【請求項9】
前記第3のステップにより前記記憶装置に記憶されたプライベート管理情報に基づいてレポート作成する第10のステップ
を更に含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の管理制御プログラム。
【請求項10】
1または複数の管理対象機器とネットワークを介して接続され、ネットワーク管理プロトコルを用いて前記管理対象機器の管理情報を取得して該管理対象機器の状態を管理する管理装置において、
メーカー独自に定義されたプライベート管理情報のオブジェクト識別情報および前記管理対象機器の機器識別情報を少なくとも予め保存する記憶装置と、
前記記憶装置から前記管理対象機器のプライベート管理情報のオブジェクト識別情報を取得するデータ取得手段と、
前記機器識別情報により特定される前記管理対象機器にアクセスし、前記データ取得手段で取得したオブジェクト識別情報に対応する値を該管理対象機器のプライベート管理情報から取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段で取得した前記オブジェクト識別情報に対応する値を前記記憶装置に記憶して管理するデータ設定手段と
を具備することを特徴とする管理装置。
【請求項11】
1または複数の管理対象機器とネットワークを介して接続され、ネットワーク管理プロトコルを用いて前記管理対象機器の管理情報を取得して該管理対象機器の状態を管理する管理装置の管理制御方法において、
メーカー独自に定義されたプライベート管理情報のオブジェクト識別情報および前記管理対象機器の機器識別情報を少なくとも記憶装置に予め保存し、
前記記憶装置から前記管理対象機器のプライベート管理情報のオブジェクト識別情報をデータ取得手段で取得し、
前記機器識別情報により特定される前記管理対象機器にアクセスし、前記データ取得手段で取得したオブジェクト識別情報に対応する値を該管理対象機器のプライベート管理情報から情報取得手段で取得し、
前記情報取得手段で取得した前記オブジェクト識別情報に対応する値を前記記憶装置にデータ設定手段で記憶して管理する
ことを特徴とする管理装置の管理制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2007−4269(P2007−4269A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180756(P2005−180756)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】