説明

管理機

【課題】作業性及び作業効率の良い管理機を提供する。
【解決手段】機体に回転可能に支持される車輪30・30と、車輪30・30の前方に配置され、前記機体に支持される耕耘装置40と、少なくとも一部が車輪30・30の車軸31・31と耕耘装置40の耕耘軸41・41との間に配置され、畝を形成する作業状態、又は畝を形成しない非作業状態に切り換え可能な培土器100と、を具備し、培土器100は、圃場に作用して畝を形成することが可能な作用部120と、作用部120を圃場に作用する状態、又は圃場に作用しない状態に切り換え可能な操作部110と、を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土を盛り上げて畝を形成する作業(培土作業)を行うための培土器を具備する管理機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土を盛り上げて畝を形成する作業(培土作業)を行うための培土器を具備する管理機に関する技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の管理機は、機体に回転可能に支持される車輪と、車輪の前方に配置されて機体に支持される耕耘装置と、車輪の後方に配置されて機体に支持される培土器と、を具備する。このような管理機において、耕耘装置により圃場の土を耕耘(耕耘作業)し、培土器により耕耘された後の土を盛り上げて畝を形成(培土作業)することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−20564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の管理機においては、車輪の車軸を中心として耕耘装置による耕耘深さ(耕深)が調節される。具体的には、車輪の車軸を中心として機体前部を下方に回動させると、当該車軸の前方に配置される耕耘装置は下降し、耕深が深くなる。また、車軸を中心として機体前部を上方に回動させると、耕耘装置は上昇し、耕深が浅くなる。
【0006】
しかし、培土器は、車輪の車軸を挟んで耕耘装置と前後反対側に配置されている。このため、耕耘装置が上昇すると当該培土器は下降し、また、耕耘装置が下降すると当該培土器は上昇する。したがって、耕深を深くして高い畝を形成したいときに培土器の位置が意に反して浅くなったり、耕深を浅くしたいときに培土器の位置が意に反して深くなったりする場合があり、作業効率及び作業性が低下する点で不利であった。
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑み、作業性及び作業効率の良い管理機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、機体に回転可能に支持される車輪と、前記車輪の前方に配置され、前記機体に支持される耕耘装置と、少なくとも一部が前記車輪の車軸と前記耕耘装置の耕耘軸との間に配置され、畝を形成する作業状態、又は畝を形成しない非作業状態に切り換え可能な培土器と、を具備するものである。
【0010】
請求項2においては、前記培土器は、圃場に作用して畝を形成することが可能な作用部と、前記作用部を圃場に作用する状態、又は圃場に作用しない状態に切り換え可能な操作部と、を具備するものである。
【0011】
請求項3においては、前記作用部は、前記耕耘装置の後方に配置され、圃場に接地可能に垂れ下げられる弾性体と、前記弾性体の少なくとも一部が進行方向後方に向かって揺動するのを規制することが可能な規制部と、を具備するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1においては、
車輪の車軸を中心として耕耘装置による耕深を変更した場合、培土器の作業深さも当該耕耘装置と同じ方向に変化するため、培土作業を効率よく行うことができる。
また、培土器を非作業状態に切り換えることで耕耘作業を行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0014】
請求項2においては、
作用部を圃場に作用する状態、又は圃場に作用しない状態に切り換えることにより、培土器を作業状態、又は非作業状態に切り換えることができ、作業性を向上させることができる。
【0015】
請求項3においては、
耕耘装置により耕耘された土の飛散を防止するカバーとしての弾性体を、培土器の作用部として兼用することができる。このため、カバーと培土器とを用途に応じて交換する必要がなく、作業性を向上させるとともに、部品コストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る管理機の全体左側面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る管理機の拡大左側面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る培土器を示す左後方斜視図。
【図4】本発明の一実施形態に係る培土器を示す右後方斜視図。
【図5】本発明の一実施形態に係る培土器を示す背面図。
【図6】本発明の一実施形態に係る培土器の動作の様子を示す拡大右側面図。
【図7】本発明の他の実施形態に係る管理機の培土器を示す左後方斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明に係る管理機の一実施形態である管理機1について説明する。なお、以下では図中の矢印Fの方向を前方向と定義して説明を行う。
【0018】
図1に示す管理機1は、耕耘作業や培土作業等の管理作業を行うことが可能な作業機である。管理機1は、トランスミッション10、エンジン20、車輪30・30、耕耘装置40、補助輪50、操縦部60、培土器100等を具備する。
【0019】
図1及び図2に示すトランスミッション10は、エンジン20からの動力を変速して伝達するものである。トランスミッション10は、トランスミッションケース11、種々のギヤ及び軸等を具備する。
【0020】
トランスミッションケース11は、管理機1の左右略中央に配置され、管理機1の前後方向に延びて設けられる箱状の部材であり、管理機1の主たる構造体を成すものである。トランスミッションケース11の内部には、動力を変速及び伝達するための種々のギヤ及び軸等の部材が配置される。
【0021】
トランスミッションケース11の下部には支持フレーム12が固定される。支持フレーム12の後端には、支持ブラケット13が固定される(図4参照)。支持ブラケット13は、略矩形状の板材を側面視略L字状に折り曲げて形成される部材である。支持ブラケット13は、その長手方向を管理機1の左右方向に向けて配置される。
【0022】
図1に示すエンジン20は、駆動源となるものである。エンジン20は、エンジンフレーム21を介してトランスミッションケース11の上部に固定される。エンジン20からの動力は、伝動ケース22内のプーリ及びベルトを介してトランスミッション10に伝達される。
【0023】
図1及び図2に示す車輪30・30は、トランスミッションケース11の後端部左右両側方にそれぞれ配置される。車輪30・30は、トランスミッションケース11の後端部から左右両側方に向けて突設される車軸31・31にそれぞれ固定される。
【0024】
耕耘装置40は、圃場を耕耘するためのものである。耕耘装置40は、耕耘軸41・41、耕耘爪42・42・・・、ロータリカバー43等を具備する。
【0025】
耕耘軸41・41は、トランスミッションケース11の前端部から左右両側方に向けて突設される。
耕耘軸41・41上には、耕耘爪42・42・・・が固定される。
ロータリカバー43は、耕耘爪42・42・・・を上方から覆うものである。ロータリカバー43は、耕耘爪42・42・・・の回転軌跡に沿うように形成され、トランスミッションケース11に固定される。
【0026】
図1に示す補助輪50は、耕耘装置40の前方に配置される。補助輪50は、補助輪用フレーム51を介してトランスミッションケース11(より詳細には、トランスミッションケース11に固定されるエンジンフレーム21)に上下回動可能に支持される。
【0027】
操縦部60は、管理機1を走行及び作業させるための種々の操作を行うためのものである。操縦部60は、ハンドル61、変速レバー62、耕深調節レバー63等を具備する。
【0028】
ハンドル61は、作業中及び走行中に作業者によって把持されるものである。ハンドル61の一端(下端)は、トランスミッションケース11の後上部に固定される。ハンドル61は、後上方に向けて延設され、当該ハンドル61の他端(上端)には、クラッチレバー、アクセルレバー等の操作具が配置される。
【0029】
変速レバー62は、トランスミッション10の変速比を変更するためのものである。変速レバー62の一端(下端)は、トランスミッション10(より詳細には、トランスミッションケース11内のギヤ等)に連結される。変速レバー62は、ハンドル61の上端の前方まで延設される。
【0030】
耕深調節レバー63は、補助輪50の上下回動位置を調節するためのものである。耕深調節レバー63の一端(下端)は、リンク機構を介して補助輪用フレーム51に連結される。耕深調節レバー63は、後上方に向けて延設される。
【0031】
図1及び図2に示す培土器100は、耕耘後の土を盛り上げて畝を形成するためのものである。培土器100は、耕耘装置40の後方に配置される。培土器100の詳細については後述する。
【0032】
ここで、本発明に係る管理機の機体とは、トランスミッションケース11、支持フレーム12、支持ブラケット13、エンジンフレーム21、伝動ケース22、及び補助輪用フレーム51等の、管理機1を構成する種々の構造体を指すものとする。
【0033】
上述の如く構成された管理機1において、エンジン20からの動力はトランスミッション10において変速され、車輪30・30及び耕耘装置40に伝達される。当該動力により車輪30・30が回転駆動し、管理機1は走行することができる。また、当該動力により耕耘装置40が駆動し、圃場を耕耘することができる。さらに、培土器100によって、耕耘後の土を盛り上げて畝を形成することもできる。
【0034】
一方、変速レバー62を操作してトランスミッション10の変速比を変更することにより、管理機1の速度を変更することができる。また、耕深調節レバー63を操作して補助輪50の上下回動位置を調節することにより、耕耘装置40の耕耘深さ(耕深)を変更することができる。さらに、補助輪50の上下回動位置を最下位置に変更することで、耕耘装置40を地面から離間させ、管理機1を路上走行させることができる。
【0035】
以下では、図3から図6までを用いて、培土器100の詳細について説明する。
【0036】
なお、説明の便宜上、図3及び図5においてはトランスミッション10及び車輪30・30を、図4においてはトランスミッション10、車輪30・30、及び耕耘装置40を、それぞれ省略している。
【0037】
上述の如く、図3及び図4に示す培土器100は、耕耘後の土を盛り上げて畝を形成するためのものである。培土器100は、操作部110、作用部120等を具備する。
【0038】
操作部110は、作用部120を圃場に作用する状態、又は圃場に作用しない状態に切り換えるためのものである。操作部110は、第一ブラケット111、第二ブラケット112、把持部113等を具備する。
【0039】
第一ブラケット111は、板材を平面視略L字状に折り曲げて形成される部材である。第一ブラケット111の一方の面111aは、支持ブラケット13の左端部近傍に後方から当接された状態で固定される。第一ブラケット111の他方の面111bは、後方に向けて延設される。第一ブラケットの他方の面111bの後端部近傍には、当該面111bを左右方向に貫通する貫通孔111cが形成される。
【0040】
第二ブラケット112は、板材を平面視略U字状に折り曲げて形成される部材である。第二ブラケット112のうち1つの面112a(U字状の底部を成す面)は、支持ブラケット13の右端部近傍に後方から当接された状態で固定される。第二ブラケット112のうち他の面112b(前記1つの面の右端に連続する面)は、後方に向けて延設される。面112bの前後中途部には、当該面112bを左右方向に貫通する貫通孔112cが形成される。
第二ブラケット112のうち他の面112bの後端部は、さらに右後方向に向けて折り曲げられる。また、面112bの後端部には、第一切り欠き部112d、及び第二切り欠き部112eが略上下方向に並んで形成される。
【0041】
把持部113は、丸棒を折り曲げて、2つの直線部分を有する略L字状に形成される部材である。把持部113のうち一方の直線部分113aの端部近傍には、貫通孔113cが形成される。直線部分113aには平座金114が挿通され、当該平座金114は、直線部分113aの中途部に固設される。把持部113のうち他方の直線部分113bは、概ね後方に向けて延設される。
【0042】
作用部120は、圃場の土に作用して畝を形成するためのものである。作用部120は、カバー体121、規制部122等を具備する。
【0043】
カバー体121は、弾性体の一実施形態であり、ゴムにより形成される略矩形平板状の部材である。カバー体121は、その長手方向を左右方向に向けて配置される。カバー体121の長手方向の長さ(左右方向幅)は、ロータリカバー43と略同じ長さ(左右方向幅)に形成される。カバー体121の上端部は、支持ブラケット13に固定される。カバー体121の下端部は、概ね下方に向けて垂れ下げられる。
【0044】
なお、本実施形態においては、カバー体121はゴムにより形成されるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、その他の弾性を有する材料(例えば、ポリプロピレン、ナイロン等)により形成することが可能である。
【0045】
規制部122は、カバー体121の揺動を規制するためのものである。規制部122は、丸棒を略U字状に折り曲げて形成される部材である。規制部122のうち略U字状に形成される部分(U字部122a)の形状は、管理機1による培土作業により圃場に形成される溝の表面形状と略同一形状に形成される。規制部122の一端(左端)側はさらに左方向に向けて折り曲げられ、直線部分122bが形成される。規制部122の他端(右端)部は、把持部113の直線部分113a(より詳細には、平座金114のすぐ右側)に溶接等により固設される。
【0046】
なお、規制部122の形状は本実施形態に係るものに限るものではなく、例えば板材や、棒材と板材とを組み合わせて形成することも可能であり、カバー体121の揺動を規制することができるものであればよい。
【0047】
以下では上述の如く構成される培土器100の組み付け方法について詳細に説明する。
【0048】
図4に示すように、まず、操作部110の第一ブラケット111及び第二ブラケット112が支持ブラケット13にボルト等の締結具により固定される。この際、第一ブラケット111、支持ブラケット13、カバー体121、及びロータリカバー43、並びに第二ブラケット112、支持ブラケット13、カバー体121、及びロータリカバー43をそれぞれ一対のボルト及びナットで共締めにすることで固定される。これによって、ボルト等の締結部材の部品点数を削減することができる。
【0049】
次に、一体化されている把持部113及び規制部122を、第一ブラケット111及び第二ブラケット112に連結させる。
【0050】
具体的には、規制部122の直線部分122bを第一ブラケット111の貫通孔111cに、把持部113の直線部分113aを第二ブラケット112の貫通孔112cに、それぞれ右方から挿通して、回転自在に支持させる。
【0051】
その後、把持部113の直線部分113aに圧縮バネ115、及び平座金116を挿通させる。圧縮バネ115を圧縮させた状態で、ピン117を直線部分113aの貫通孔113cに挿通することにより、当該直線部分113aから圧縮バネ115、及び平座金116が抜け落ちるのを防止する。
【0052】
また、第二ブラケット112の面112bと平座金116との間に配置される圧縮バネ115の付勢力により、当該平座金116及びピン117を介して把持部113及び規制部122が左方に向かって付勢される。規制部122が左方に向かって付勢されることにより、当該規制部122のU字部122aの右端部近傍は、第二ブラケット112の第一切り欠き部112d又は第二切り欠き部112eのうちいずれか一方に係止される。これによって、規制部122の、直線部分122b及び直線部分113aを中心とする回動が規制される。
【0053】
上述の如く、把持部113と規制部122を一体化しておくことで、当該把持部113及び規制部122を容易に管理機1(より詳細には、第一ブラケット111及び第二ブラケット112)に組み付けることができる。
【0054】
以下では、上述の如く構成される培土器100の動作態様について詳細に説明する。
【0055】
まず、図3に示すように、規制部122が第一切り欠き部112dに係止されている場合について説明する。以下、この場合の培土器100の状態を「作業状態」と記す。
【0056】
この場合、規制部122は概ね後下方に向けて延設された状態で回動が規制されている。したがって、当該規制部122によって、カバー体121の左右中央部分(詳細には、背面視において規制部122のU字部122aに囲まれる部分)の後方への揺動が規制される。
【0057】
この状態(作業状態)において、耕耘装置40により圃場を耕耘しながら管理機1を前進させると、カバー体121の左右両端部は、当該耕耘装置40により耕耘された後の土に接触し、当該土の抵抗力により後方に揺動する。また、カバー体121の左右中央部は、耕耘装置40により耕耘された後の土に接触するが、規制部122によって後方への揺動が規制されているため後方に揺動することがない。このため、カバー体121の左右中央部に接触した土は左右に盛り上げられて畝を形成する。このように、作業状態においては、畝を形成する培土作業を行うことができる。
【0058】
また、培土器100が作業状態である場合に、車軸31・31を中心として耕耘装置40を下方(左側面視(図2参照)半時計回り)に回動させると、耕深を深くすることができる。この場合、培土器100も車軸31・31より前方に位置しているため、下方に回動する。また、耕耘装置40を上方に回動させると、培土器100も同様に上方に回動する。従って、耕耘装置40の耕深とともに培土器100の作業深さも同一方向に調節することができ、作業性の向上を図ることができる。
【0059】
次に、規制部122を第一切り欠き部112dに係止されている状態(作業状態)から、第二切り欠き部112eに係止されている状態に変更する方法について説明する。以下、規制部122が第二切り欠き部112eに係止されている場合の培土器100の状態を「非作業状態」と記す。
【0060】
作業状態から非作業状態に切り換える場合、作業者は、把持部113(詳細には、直線部分113b)を把持し、圧縮バネ115の付勢力に反して当該把持部113を右方に引っ張り、規制部122と第一切り欠き部112dとの係止を解除する(図5参照)。
【0061】
作業者は、当該把持部113を右方に引っ張ったまま上方(左側面視において、直線部分113aを中心に反時計回り)に回動させ(図6参照)、規制部122が第二切り欠き部112eと対向する位置に達したところで当該把持部113を離す。これによって、把持部113は再び圧縮バネ115の付勢力により左方に摺動し、規制部122と第二切り欠き部112eとが係止する。このようにして、培土器100は、作業状態から非作業状態に切り換えることができる。なお、非作業状態から作業状態への切り換えも同様に行うことができる。
【0062】
次に、図6に示すように、規制部122が第二切り欠き部112eに係止されている場合(非作業状態)について説明する。
【0063】
この場合、規制部122は概ね後方に向けて延設された状態で回動が規制されている。したがって、当該規制部122によって、カバー体121の後方への揺動が規制されることはない。
【0064】
この状態(非作業状態)において、耕耘装置40により圃場を耕耘しながら管理機1を前進させると、カバー体121は当該耕耘装置40により耕耘された後の土に接触し、後方に揺動する。このため、当該土が盛り上げられることはなく、畝を形成することはない。この場合のカバー体121は、耕耘装置40により耕耘される土が後方へと飛散するのを防止するカバーとして用いられる。このように、非作業状態においては、畝を形成せず、耕耘作業のみを行うことができる。
【0065】
以上の如く、本実施形態の管理機1は、機体に回転可能に支持される車輪30・30と、車輪30・30の前方に配置され、前記機体に支持される耕耘装置40と、少なくとも一部が車輪30・30の車軸31・31と耕耘装置40の耕耘軸41・41との間に配置され、畝を形成する作業状態、又は畝を形成しない非作業状態に切り換え可能な培土器100と、を具備するものである。
このように構成することにより、車輪30・30の車軸31・31を中心として耕耘装置40による耕深を変更した場合、培土器100の作業深さも耕耘装置40と同じ方向に変化するため、培土作業を効率よく行うことができる。また、培土器100を非作業状態に切り換えることで耕耘作業を行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0066】
また、培土器100は、圃場に作用して畝を形成することが可能な作用部120と、作用部120を圃場に作用する状態、又は圃場に作用しない状態に切り換え可能な操作部110と、を具備するものである。
このように構成することにより、作用部120を圃場に作用する状態、又は圃場に作用しない状態に切り換えることにより、培土器100を作業状態、又は非作業状態に切り換えることができ、作業性を向上させることができる。
【0067】
また、作用部120は、耕耘装置40の後方に配置され、圃場に接地可能に垂れ下げられるカバー体121(弾性体)と、カバー体121の左右中央部(少なくとも一部)が進行方向後方に向かって揺動するのを規制することが可能な規制部122と、を具備するものである。
このように構成することにより、耕耘装置40により耕耘された土の飛散を防止するカバーとしてのカバー体121(弾性体)を、培土器100の作用部120として兼用することができる。このため、カバーと培土器100とを用途に応じて交換する必要がなく、作業性を向上させるとともに、部品コストの削減を図ることができる。
【0068】
なお、本実施形態に係る操作部110は、作用部120を圃場に作用する状態、又は圃場に作用しない状態の2つの状態に切り換えるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、3つ以上の状態に切り換えるものとすることも可能である。例えば、第二ブラケット112にさらに切り欠き部を形成し、作用部120を圃場に作用する状態をさらに複数段階に調節可能とすることができる。これによって、培土器100により形成される畝の高さ(培土器100が圃場に作用する際の深さ)を段階的に調節することも可能となる。
また、作用部120のたわみや変形を防止して圃場に確実に作用させる(剛性を上げる)ために、第一ブラケット111に、第二ブラケット112と同じ構成の切り欠き部を設けることも可能である。
【0069】
また、本実施形態に係る操作部110は、圧縮バネ115の付勢力により規制部122を第二ブラケット112に係止させるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、ストッパ等の別部材を用いて係止させるものとしても良い。また、把持部113を設けることなく、直接規制部122を握って、作用部120が圃場に作用する状態、又は作用しない状態に切り換えるようにしてもよい。
【0070】
また、本実施形態に係る作用部120は、カバー体121及び規制部122から成るものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、図7に示す作用部220のように、板材を平面視略V字状に折り曲げて(又は、複数の板材を平面視略V字状になるように組み合わせて)、後方に向かって外側に広がるような形状に構成することも可能である。すなわち、作用部120は、圃場に作用することによって畝を形成することが可能な形状及び材質であれば良い。
【0071】
また、本実施形態に係る管理機1は、車輪30・30の前方に耕耘装置40が配置される、いわゆるフロントロータリ式の管理機であるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、本発明は、車輪30・30の後方に耕耘装置40が配置される、いわゆるリアロータリ式の管理機において、当該管理機のハンドルの向きを前後逆方向に切り換えた際(ハンドルターン時)にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 管理機
30 車輪
31 車軸
40 耕耘装置
41 耕耘軸
100 培土器
110 操作部
120 作用部
121 カバー体(弾性体)
122 規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に回転可能に支持される車輪と、
前記車輪の前方に配置され、前記機体に支持される耕耘装置と、
少なくとも一部が前記車輪の車軸と前記耕耘装置の耕耘軸との間に配置され、畝を形成する作業状態、又は畝を形成しない非作業状態に切り換え可能な培土器と、
を具備する管理機。
【請求項2】
前記培土器は、
圃場に作用して畝を形成することが可能な作用部と、
前記作用部を圃場に作用する状態、又は圃場に作用しない状態に切り換え可能な操作部と、
を具備する、請求項1に記載の管理機。
【請求項3】
前記作用部は、
前記耕耘装置の後方に配置され、圃場に接地可能に垂れ下げられる弾性体と、
前記弾性体の少なくとも一部が進行方向後方に向かって揺動するのを規制することが可能な規制部と、
を具備する、請求項2に記載の管理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−49(P2012−49A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137737(P2010−137737)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】