説明

管継手の雌型継手部材

【課題】雄型継手部材を急に抜いても、弁部材が迅速に閉止位置に戻るようにした雌型継手部材。
【解決手段】 筒状の継手本体36と、継手本体内を前方に延びる流体通路管44とを有する。継手本体の内周面40と流体通路管44の外周面50との間の筒状の弁部材収納空間46には、弁部材60が上記内周面40及び外周面50に略接するようにして前後方向で変位可能に収納されて、弁開口48を閉じる閉止位置(図1)と、雄型継手部材によって押し込まれた開放位置との間で変位可能(図2)とされる。弁部材は圧縮バネ62により閉止位置に付勢される。継手本体の内周面及び流体通路管の外周面には、連通用凹部64,66が設けられ、該開放位置とされた弁部材が該閉止位置に向かって動くときに、該収納空間において該弁部材より前方の空間内にある流体が、該連通用凹部を通って、後方に流れるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手の雌型継手部材に係り、特に、前端開口、該前端開口から後方に延びる雄型継手部材受入部、及び、該雄型継手部材受入部に受け入れた雄型継手部材の流体通路に連通される流体通路を備える筒状の継手本体と、該継手本体内に設けられて、該流体通路間の開閉を行なう弁装置とを有する管継手の雌型継手部材に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の雌型継手部材には種々のものがあるが、例えば特許文献1は、次のような雌型継手部材を開示している。継手本体が、継手本体の内周面に雄型継手部材受入部を囲むように突設された外側弁座部と、外側弁座部よりも後方位置から当該継手本体内を前方に延びる流体通路管であって、流体通路を画定する内周面、継手本体の内周面との間に筒状の弁部材収納空間を形成する外周面、流体通路の前端を閉じて、外側弁座部との間に環状の弁開口を形成する内側弁座部、内側弁座部より後方位置に弁部材収納空間と流体通路管内の流体通路とを連通するための連通孔を有する流体通路管を有する。弁装置は、弁部材収納空間内において継手本体の内周面及び流体通路管の外周面に対して略接するようにして前後方向で変位可能に設けられ、外側弁座部及び内側弁座部に係合して弁開口を閉じる閉止位置と、雄型継手部材受入部内に挿入される雄型継手部材によって当接され、閉止位置から収納空所内の後方に押し込まれ、外側弁座部及び内側弁座部から離れて該弁開口を開放した開放位置との間で変位可能とされた環状又は筒状の弁部材、及び、弁部材を閉止位置に向けて付勢するバネ手段を有する。
【0003】
このような構造の雌型継手部材においては、雄型継手部材が雌型継手部材から急に引き抜かれると、雌型継手部材から内部の流体が漏れ出る虞があり、その漏出をできるだけ無くすようにすることが望まれていた。
【0004】
本願発明者が、この問題の原因を調べた結果、特に流体の粘度が高いものにおいて流体の漏出が顕著であること、そして、それが、雄型継手部材が急に引き抜かれたことに伴い、開放位置にあった弁部材が閉止位置に戻るときに、弁体の前方位置から後方位置に動くことが必要となる流体が、粘性が高いために大きな流路抵抗をうけて急激には動くことはできず、これが弁体の動きに対する抵抗となり、迅速には閉止位置に戻ることができないためであることが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3909339号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記に鑑み、雄型継手部材が急に引き抜かれても、弁部材が迅速に閉止位置に戻ることを可能にした管継手の雌型継手部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、
前端開口、及び、該前端開口から後方に延びる雄型継手部材受入部を備える筒状の継手本体であって、該継手本体の内周面に該雄型継手部材受入部を囲むように突設された外側弁座部を備える筒状の継手本体と、
該継手本体の内周面の該外側弁座部よりも後方位置から当該継手本体の前方に延びる流体通路管であって、該流体通路を画定する内周面、該継手本体の内周面との間に筒状の弁部材収納空間を形成する外周面、該流体通路の前端を閉じて、外側弁座部との間に環状の弁開口を形成する内側弁座部、該内側弁座部より後方位置において該弁部材収納空間と該流体通路とを連通するために流体通路管に設けられた連通孔を有する流体通路管と、
該弁部材収納空間内において該継手本体の内周面及び該流体通路管の外周面に対して前後方向で変位可能に設けられ、該外側弁座部及び内側弁座部に係合して該弁開口を閉じる閉止位置と、該雄型継手部材受入部内に挿入される雄型継手部材によって当接され、該閉止位置から該収納空所内の後方に押し込まれ、該外側弁座部及び内側弁座部から離れて該弁開口を開放した開放位置との間で変位可能とされた環状の弁部材と、
該弁部材を該閉止位置に向けて付勢するバネ手段と、
を有し、
該継手本体の内周面及び流体通路管の外周面の少なくとも一方には、連通用凹部が設けられ、該開放位置とされた弁部材が該閉止位置に向かって動くときに、該収納空間において該弁部材より前方の空間内にある流体が、該連通用凹部を通って、後方に流れるようにし、該弁部材の動きに対する抵抗を小さくするようにしたことを特徴とする雌型継手部材を提供する。
【0008】
この雌型継手部材では、上記の如き連通用凹部を設けたことにより、弁部材が開放位置から閉止位置に向かうときに生じる流体の流れの流路断面が大きくなり、従って、流体が円滑に動いて閉止位置に向かう弁部材に対する流体抵抗が少なく、雄型継手部材が急に引き抜かれても、バネ手段の付勢力により、当該弁部材が迅速に閉止位置に戻ることを可能としている。このため、流体の漏出がすくないものとすることができる。また、流体抵抗がすくないためにバネ手段の付勢力を小さくすることができ、従って、連結するときに雄型継手部材を雌型継手部材内に挿入する力が少なくて済む。
【0009】
具体的には、該弁部材が、該閉止位置にあるときに、該内側弁座部及び該外側弁座部に密封係合する環状のシール部材と、該シール部材を支持する筒状支持部材であって、該シール部材よりも後方において該継手本体の内周面に対して同軸状で近接した状態で変位可能とされた筒状部を有する筒状支持部材を備え、
該継手本体の内周面及び流体通路管の外周面が該連通用凹部を有し、
該流体通路管の外周面が前後方向に延びるシール部材近接部を有し、該弁部材が該閉止位置と該開放位置との間で変位するときに、該シール部材近接部に沿って且つ該シール部材近接部に近接して変位するようになされ、該外周面の連通用凹部は、該シール部材近接部に形成され、該弁部材が開放位置にあるときに、該環状のシール部材の内周面の前後にわたって延びるようにされており、該弁部材が該開放位置から該閉止位置に向かって動き始めるときに、該収納空間において該シール部材より前方の空間内にある流体が、該シール部材近接部の連通用凹部を通って、後方に流れるようにされており、
該環状のシール部材の外周面が、該筒状支持部材の筒状部と略同じ外径を有しており、該継手本体の内周面が、該開放位置にあるときの弁部材の該シール部材の外周面に略接する位置から該筒状支持部材の筒状部の外周面と略接するように後方に延びるガイド部を有し、弁部材が変位するときに該筒状部が該ガイド部に沿って且つ該ガイド部に近接して変位するようになされ、該継手本体の内周面の連通用凹部は該ガイド部の前端から前方に延びるように設けられるようにすることができる。継手本体の内周面のガイド部は、弁部材が閉止位置と開放位置との間で動くときに該弁部材が傾かないように案内するものである。シール部材近接部は、シール部材が当該継手本体の軸線に対して横断する方向に変位するのを阻止する作用を有する。
【0010】
更に具体的には、該筒状支持部材の該筒状部が、流体を当該筒状部の半径方向外側から内側に流れるのを許容する流体開口を有するようにすることができ、この流体開口は例えば、
筒状部に周方向で間隔をあけて設けられた連通孔とすることができる。
【0011】
以下、本発明を添付図面に示した実施形態に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る雌型継手部材と、該雌型継手部材に連結される雄型継手部材からなる管継手の縦断側面図である。
【図2】同管継手の縦断側面図であり、雌型継手部材が雄型継手部材と連結された状態を示している。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る雌型継手部材と、該雌型継手部材に連結される雄型継手部材からなる管継手の縦断側面図である。
【図4】図3の管継手の縦断側面図であり、雌型継手部材が雄型継手部材と連結された状態を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に示すように、本発明に係る雌型継手部材10は、雄型継手部材12とともに管継手14を構成する。
【0014】
雄型継手部材12は、筒状の継手本体16と、該継手本体内に設定され、圧縮バネ18により付勢されて、当該雄型継手部材の流体通路22を閉じるための閉止位置(図1)とされている弁部材20とを有する。弁部材20は、環状シール21を支持する円筒状の弁本体23と、該弁本体の後面中央に設けられた突起25に先端がかしめられて該弁本体23に固定されたバネ受け部材27とを有する。バネ受け部材27は、金属板をプレス加工したものであり、円環状にされて圧縮バネ18を受けるバネ受け部27aと、該バネ受け部27aの周縁に設けられた筒状のバネ保持部27bとを有し、バネ受け部27aには流体を通すための孔(図示せず)が設けられている。
【0015】
雌型継手部材10は、前端開口30、前端開口30から後方に延び、雄型継手部材12を受け入れるための雄型継手部材受入部32を有する継手本体36、及び、該継手本体36の後端にネジ係合され、該継手本体内を前方に延びる流体通路管44を有する。
【0016】
継手本体36は、その内周面に雄型継手部材受入部32を囲むように突設された外側弁座部42を備える。流体通路管44は、流体通路34を画定する内周面、継手本体36の内周面40との間に筒状の弁部材収納空間46を形成する外周面50、該流体通路34の前端を閉じて、継手本体36の外側弁座部42との間に環状の弁開口48(図2)を形成する内側弁座部52、内側弁座部52より後方位置において弁部材収納空間46と流体通路34とを連通するために設けられた連通孔54とを有する。連通孔54は、90°間隔で4つ設けられるようにされている。
【0017】
弁部材収納空間46内には、継手本体36の内周面40及び流体通路管44の外周面50に対して前後方向で変位可能に設けられ、外側弁座部42及び内側弁座部52に係合して弁開口48を閉じる閉止位置(図1)と、雄型継手部材受入部32内に挿入される雄型継手部材12によって当接され、閉止位置から弁部材収納空間46内の後方に押し込まれ、外側弁座部42及び内側弁座部52から離れて弁開口48を開放した開放位置(図2)との間で変位可能とされた環状又は筒状の弁部材60、及び、弁部材60を閉止位置に向けて付勢する圧縮バネ62を有する。
【0018】
継手本体36の内周面40及び流体通路管44の外周面50には、それぞれ環状の連通用凹部64,66が設けられて、開放位置とされた弁部材60が閉止位置に向かって動くときに、弁部材収納空間46において弁部材より前方の空間内にある流体が、連通用凹部64,66を通って、後方に流れるようにし、前述した従来の管継手のようにこの連通用凹部が設けられていない場合に比べて、該弁部材60の動きに対する抵抗を小さくするようにしてある。
【0019】
弁部材60は、具体的には、閉止位置にあるときに、外側弁座部52及び内側弁座部42に密封係合する環状のシール部材68と、シール部材68の後面に取り付けられ継手本体36の内周面40に対して近接して同軸状に配置された筒状部70を有する筒状支持部材72と、シール部材68の前面側に取り付けられ、弁部材60が開放位置から閉止位置に向かうときに、弁開口48内に入って、弁部材60が継手本体36と同軸状になるように案内するガイド部76を有するガイド部材75とを有する。筒状支持部材72及びガイド部材75とシール部材68とは接着剤などにより接続される。
【0020】
流体通路管44の外周面50は、環状のシール部材68の内周面68aより僅かに小さな直径を有し、弁部材60が、閉止位置と開放位置との間で変位するときに環状のシール部材68の内周面68aがほぼ摺動するようにされたシール部材近接部50aを有し、連通用凹部66は、図2に示すように、弁部材60が開放位置にあるときに、環状のシール部材68の内周面68aの前後にわたって延びるようにされており、弁部材60が開放位置から閉止位置に向かって動き始めるときに、弁部材収納空間46においてシール部材68より前方の空間内にある流体が、連通用凹部66を通って、後方に流れるようにされている。
【0021】
シール部材68の外周面68bは、筒状支持部材72の筒状部70と略同じ外径を有している。継手本体36の内周面40は、開放位置にあるときの弁部材60のシール部材68の外周面68bに略接する位置から後方に延びるガイド部40aと該ガイド部40aの前端から前方に延びる上記の連通用凹部64とを有する。ガイド部40aは、筒状支持部材72の筒状部70の外周面70aと略接するようにされており、開放位置と閉止位置との間で変位する弁部材が傾かないように案内する。連通用凹部64は、弁部材60が前後に動くときに、その前後の空間の間で流体が流れやすくするものであるが、特に、弁部材60が開放位置から閉止位置に向かって動くときに、弁部材60の前方から後方に流体が流れやすくし、弁部材60の動きに対する抵抗を小さくする。
【0022】
図示の例では、筒状支持部材72の筒状部70に周方向で間隔をあけて設けられた連通孔74が設けられており、連通用凹部64を介して弁部材60のシール部材68の後方に流れた流体が、該連通孔74を介して、当該弁部材60の後方の空間に流れるのを容易にしている。
【0023】
図示の例では、継手本体36は、半径方向に延びる施錠孔内に設定された球状の施錠子80と、継手本体36の外周面上に前後方向で変位可能とされた操作スリーブ82と、該操作スリーブ82を図示のように施錠子80を半径方向外側から内向きに押圧する施錠位置に付勢する圧縮バネ84とを有している。雄型継手部材12を雌型継手部材10内に連結する場合には、作業者が操作スリーブ82を、図で見て、左方に変位させ、該操作スリーブ82の内周面の大径とされた施錠子開放部86が施錠子80の半径方向外側位置となるようにして、雄型継手部材12を挿入し、挿入した段階で、作業者が操作スリーブを離すことによって、圧縮バネ84により操作スリーブ82が図示の位置に変位され、それにより施錠子80を雄型継手部材12の外周面に設けた施錠子受入溝90に嵌合させて、雄型継手部材及び雌型継手部材を連結固定する。
【0024】
図2に示すように雌型継手部材10に連結されていた雄型継手部材12を、操作スリーブ82を左方に変位させて施錠子開放位置とし、雌型継手部材10から右方に引き抜くと、圧縮バネ62のバネ力により弁部材60が雄型継手部材12に追従するように右方に変位する。
【0025】
このとき、弁部材収納空間46の弁部材60より後方の空間は容積が大きくなり流体の充填が必要になり、一方、弁部材収納空間46の弁部材60より前方の空間では容積が小さくなり流体が弁体の後方空間内に流れるようにすることが必要となる。本願発明に係る雌型継手部材10では、弁部材60の特に動き始めの段階では、流体通路管44の外周面に設けた連通用凹部66がシール部材68の前後にわたって延びるようにされているので、この連通用凹部66を介して流体が弁部材60の後方空間内に充填されるようになり、当該弁部材が円滑に変位することを可能としている。また、継手本体36の内周面40に設けた連通用凹部64は、弁部材60が動き始めて間もなく、シール部材68が連通用凹部64のある位置となり、該シール部材68の前方位置にある流体が該連通用凹部64を介して後方に流れ、筒状部70に形成された連通孔74を介して、当該弁部材60の後方空間内に流れやすくなる。このようにしていることにより、雄型継手部材12が急に引き抜かれても、弁部材が速やかに閉止位置に戻り、流体が当該雌型継手部材から漏出するのをできるだけ少なくするようにすることができる。
【0026】
弁部材60が変位するときになるべく傾きがないようにすることが好ましく、継手本体36の内周面のガイド部40aは長くすることが好ましく、図示の例では、弁部材60が閉止位置にあるときに、その筒状部70の後端がガイド部40aの前端と重なるようにして、弁部材60が開放位置に動き始めたときから該ガイド部40aが該弁部材60を案内できるようにしている。
【0027】
図3及び図4は、本発明に係る雌型継手部材10aの第2の実施形態を示している。この実施形態に係る雌型継手部材は、その構成要素が第1の実施形態のものと略同じであり、同じ部材には同じ参照番号を付して示している。
【0028】
この雌型継手部材10aにおいては、第1の実施形態において流体通路管44に設けられていた連通用凹部66が設けられておらず、その代わりに、流通路管44を半径方向で貫通する連通用穴66aが設けられている点で特徴を有する。すなわち、第1の実施形態では、弁部材60が開放位置から閉止位置に向かうときに、弁部材前方にある流体を連通用凹部66を通して該弁部材60の後方空間に送るようにしたが、雌型継手部材10aでは、連通用穴66aを介して流体通路34の流体を弁体後方の空間に補給するようにし、それにより、当該弁体の動きに対する抵抗を低減するものである。
【0029】
以上、本発明に係る雌型継手部材の実施形態につき説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、弁部材の筒状支持部材の筒状部に連通孔74を設けるようにしたが、筒状部の後端縁から前方に延びる溝(スリット)とすることも可能である。
【符号の説明】
【0030】
雌型継手部材10,10a;雄型継手部材12;管継手14;筒状本体16;圧縮バネ18;弁部材20;環状シール21;流体通路22;弁本体23;突起25;バネ受け部材27;バネ受け部27a;バネ保持部27b;前端開口30;雄型継手部材受入部32;流体通路34;継手本体36;内周面40;ガイド部40a;外側弁座部42;流体通路管44;弁部材収納空間46;弁開口48;外周面50;シール部材近接部50a:内側弁座部52:連通孔54;弁部材60;圧縮バネ62;連通用凹部64,66;連通用穴66a;シール部材68;内周面68a;外周面68b;筒状部70;筒状支持部材72;連通孔74;ガイド部材75;施錠子80;操作スリーブ82;圧縮バネ84;施錠子開放部86;施錠子受入溝90

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端開口、及び、該前端開口から後方に延びる雄型継手部材受入部を備える筒状の継手本体であって、該継手本体の内周面に該雄型継手部材受入部を囲むように突設された外側弁座部を備える筒状の継手本体と、
該継手本体の内周面の該外側弁座部よりも後方位置から当該継手本体の前方に延びる流体通路管であって、流体通路を画定する内周面、該継手本体の内周面との間に筒状の弁部材収納空間を形成する外周面、該流体通路の前端を閉じて、外側弁座部との間に環状の弁開口を形成する内側弁座部、該内側弁座部より後方位置において該弁部材収納空間と該流体通路とを連通するために連通孔を有する流体通路管と、
該弁部材収納空間内において、該外側弁座部及び内側弁座部に係合して該弁開口を閉じる閉止位置と、該雄型継手部材受入部内に挿入される雄型継手部材によって当接され、該閉止位置から該収納空所内の後方に押し込まれ、該外側弁座部及び内側弁座部から離れて該弁開口を開放した開放位置との間で前後方向で変位可能とされた環状の弁部材と、
該弁部材を該閉止位置に向けて付勢するバネ手段と、
を有し、
該継手本体の内周面及び流体通路管の外周面の少なくとも一方には、連通用凹部が設けられ、該開放位置とされた弁部材が該閉止位置に向かって動くときに、該収納空間において該弁部材より前方の空間内にある流体が、該連通用凹部を通って、後方に流れるようにし、該弁部材の動きに対する抵抗を小さくするようにしたことを特徴とする雌型継手部材。
【請求項2】
該弁部材が、該閉止位置にあるときに、該内側弁座部及び該外側弁座部に密封係合する環状のシール部材と、該シール部材を支持する筒状支持部材であって、該シール部材よりも後方において該継手本体の内周面に対して同軸状で近接した状態で変位可能とされた筒状部を有する筒状支持部材を備え、
該継手本体の内周面及び流体通路管の外周面が該連通用凹部を有し、
該流体通路管の外周面が前後方向に延びるシール部材近接部を有し、該弁部材が該閉止位置と該開放位置との間で変位するときに、該環状のシール部材の内周面が該シール部材近接部に沿って且つ該シール部材近接部に近接して変位するようになされ、該外周面の連通用凹部は、該シール部材近接部に形成され、該弁部材が開放位置にあるときに、該環状のシール部材の内周面の前後にわたって延びるようにされており、該弁部材が該開放位置から該閉止位置に向かって動き始めるときに、該収納空間において該シール部材より前方の空間内にある流体が、該シール部材近接部の連通用凹部を通って、後方に流れるようにされており、
該環状のシール部材の外周面が、該筒状支持部材の筒状部と略同じ外径を有しており、該継手本体の内周面が、該開放位置にあるときの弁部材の該シール部材の外周面に略接する位置から該筒状支持部材の筒状部の外周面と略接するように後方に延びるガイド部を有し、弁部材が変位するときに該筒状部が該ガイド部に沿って且つ該ガイド部に近接して変位するようになされ、該継手本体の内周面の連通用凹部は該ガイド部の前端から前方に延びるように設けられている請求項1に記載の雌型継手部材。
【請求項3】
該筒状支持部材の該筒状部が、流体を当該筒状部の半径方向外側から内側に流れるのを許容する流体開口を有する請求項2に記載の雌型継手部材。
【請求項4】
流体開口が筒状部に周方向で間隔をあけて設けられた連通孔とされている請求項3に記載の雌型継手部材。
【請求項5】
該閉止位置とされた該弁部材よりも後方の位置で、流体通路管を貫通して設けられ、該流体通路と該弁部材収納空間とを連通する連通用穴を有する請求項1に記載の雌型継手部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−75053(P2011−75053A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228432(P2009−228432)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000227386)日東工器株式会社 (158)
【Fターム(参考)】