箸の製法及び分離箸
【課題】手触りが良く、かつ、握ったときにすべりにくい箸を製造することができるとともに、歩留りを向上することができる箸の製法を提供する。
【解決手段】素材竹を所定長さ寸法ごとに切断して第1中間体を形成する第1切断工程と、周方向に所定数に分割切断して横断面扇形第2中間体を形成する第2切断工程と、第2中間体から横断面矩形第3中間体を形成する第3切断工程と、第3中間体を長手方向にずれた位置で一対の切削ローラRを回転圧接させて切削して横断面六角形第4中間体4を形成する切削工程と、第4中間体4を所定長さ寸法ごとに切断する第4切断工程を、順次有する。切削工程に使用する切削ローラRが外周面に複数本の台形溝20を備えて、切削ローラRの軸心Aを含む断面に於て台形溝が軸心Aと平行な辺E1を有する。
【解決手段】素材竹を所定長さ寸法ごとに切断して第1中間体を形成する第1切断工程と、周方向に所定数に分割切断して横断面扇形第2中間体を形成する第2切断工程と、第2中間体から横断面矩形第3中間体を形成する第3切断工程と、第3中間体を長手方向にずれた位置で一対の切削ローラRを回転圧接させて切削して横断面六角形第4中間体4を形成する切削工程と、第4中間体4を所定長さ寸法ごとに切断する第4切断工程を、順次有する。切削工程に使用する切削ローラRが外周面に複数本の台形溝20を備えて、切削ローラRの軸心Aを含む断面に於て台形溝が軸心Aと平行な辺E1を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箸の製法及び分離箸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環境保全上有利な竹を素材とした箸が製作されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、従来の箸の横断面形状は、四角又は円形であって、横断面形状が四角の箸は、4面のうち対向する2面が表面が粗く、手触りが良くないという欠点があった。また、横断面形状が円形の箸は、握ったときにすべって使いにくいという欠点があった。
さらに、従来の竹を素材とした箸の製法は、素材竹の節を用いるととげが出たり、曲がったりするので、あらかじめ節を除去しており、歩留りが悪いという欠点があった。特に、横断面形状が四角の箸の製法に於ては、切削ローラが回転軸に直交する面を有するものだったので、とげが出やすく、また、軸心直交面が焼けるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−34351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、表面粗さが粗く、手触りが良くない点である。また、握ったときにすべって使いにくい点である。また、歩留りが悪い点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る箸の製法は、素材竹を所定長さ寸法ごとに切断して第1中間体を形成する第1切断工程と、周方向に所定数に分割切断して横断面扇形第2中間体を形成する第2切断工程と、上記第2中間体から横断面矩形第3中間体を形成する第3切断工程と、上記第3中間体を長手方向にずれた位置で一対の切削ローラを回転圧接させて切削して横断面六角形第4中間体を形成する切削工程と、上記第4中間体を所定長さ寸法ごとに切断する第4切断工程を、順次有する箸の製法であって、上記切削工程に使用する上記切削ローラが外周面に複数本の台形溝を備えて、該切削ローラの軸心を含む断面に於て上記台形溝が上記軸心と平行な辺を有する方法である。
また、上記切削工程に於て、1本の第3中間体から2本〜4本の第4中間体を形成するように構成した方法である。
また、上記切削工程に於て、1本の第3中間体から3本の第4中間体を形成するように構成した方法である。
【0007】
また、本発明に係る分離箸は、素材竹の節部を節部跡として長手方向の一部に残留して切削形成されていると共に、基端部から中間部位に渡って横断面六角形であり、かつ、先端部にテーパが形成されているものである。
また、素材竹の節部を節部跡として長手方向の一部に残留して切削形成されていると共に、中間部位が横断面六角形であり、かつ、両端部にテーパが形成されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の箸の製法によれば、手触りが良く、かつ、すべりにくく、にぎりやすい箸を製造することができるとともに、歩留りを向上することができる。また、本発明の分離箸によれば、手触りが良い。また、握ったときにすべりにくく使いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す正面図であって、(A)は全体の正面図、(B)は要部拡大正面図を示す。
【図2】図1のX−X断面拡大図である。
【図3】製法を示す説明図である。
【図4】第1中間体を示す斜視図である。
【図5】第2中間体を示す斜視図である。
【図6】説明用拡大断面図である。
【図7】第2中間体の拡大断面図である。
【図8】第2中間体の拡大断面図である。
【図9】第3中間体の拡大断面図である。
【図10】第4中間体の拡大断面図である。
【図11】切削工程を説明する説明図である。
【図12】要部拡大断面図である。
【図13】要部拡大断面図である。
【図14】第4中間体を示す斜視図である。
【図15】完封袋に収納した状態を示す正面図である。
【図16】第2の実施の形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1・図2は、本発明の第1の実施の形態を示し、この分離箸Cは、真竹、孟宗竹等の素材竹Tから成り、分離した2本1組で使用される。素材竹Tの節部5を節部跡5Gとして長手方向の一部に残留して切削形成されていると共に、基端部6から中間部位7に渡って横断面六角形(正六角形)であり、かつ、先端部8にテーパ9が形成されている。側周面10は滑らかに切削形成されている。
【0011】
第1の実施の形態の分離箸の製法について説明する。まず、図3に示すように、素材竹Tを所定長さ寸法L1 ごとに切断して、図4に示すような第1中間体1を形成する第1切断工程を行なう。所定長さ寸法L1 は、1m以上に設定する。例えば、 1.5m〜 2.5mとし、好ましくは、2mに設定する。所定長さ寸法L1 が1m未満の場合、製造効率が悪い。素材竹Tの節部5は除去しない。次に、図5〜図7に示すように、第1中間体1を周方向に所定数(例えば、6つ)に分割切断して横断面扇形第2中間体2を形成する第2切断工程を行なう。
【0012】
そして、図8・図9に示すように、第2中間体2から横断面矩形第3中間体3を形成する第3切断工程を行なう。このとき、表皮T0 と内周面部T1 を除去する。表皮T0 は固すぎてその後の切削工程を行ないにくく、内周面部T1 はやわらかすぎて箸に不適だからである。第3中間体3の厚さ寸法t(後の分離箸Cの横断面六角形の平行な2辺の距離)は、4mm〜8mmに設定する。厚さ寸法tがこの範囲にある場合、分離箸Cを使いやすい。厚さ寸法tが上記範囲外にある場合、分離箸Cを使いにくい。
【0013】
次に、図9〜図13に示すように、第3中間体3を長手方向(走行方向)にずれた位置で一対の切削ローラRを回転圧接させて切削して横断面六角形第4中間体4を形成する切削工程を行なう。例えば、図11に示すように、一対の上切削ローラR1 、下切削ローラR2 を用いて第4中間体4を形成する。すなわち、第3中間体3に(長手方向に平行な)矢印Y方向に送りを与えて、まず、図12に示すように、上切削ローラR1 にて第4中間体4の上側半分を形成した後に、図13に示すように、下切削ローラR2 にて第4中間体の下側半分を形成することにより、第4中間体4を形成する。
【0014】
上切削ローラR1 及び下切削ローラR2 を順方向に回転させるのが切削面14を美しく滑らかにする上で好ましい。切削ローラRの回転数は、例えば、2500RPM〜3500RPMとする。切削ローラRの回転数が上記範囲にある場合、効率良く滑らかな切削面14を形成することができる。上記回転数が2500RPM未満の場合、切削面14が粗くなる虞れがある。上記回転数が3500RPMを超える場合、効率が悪くなる。
【0015】
切削ローラRが切削ローラRの軸心A廻りの切削面Eを有する。言い換えると、軸心Aを含む断面に於て、切削面Eは軸心Aと平行な辺E1 として現れる。そして、切削ローラRが軸心Aに直交する切削面をほとんど有さない。特に、図13に示すように、第4中間体4の横断面の六角形の各辺13は、切削ローラRの軸心Aに平行又は傾きをもって切削形成される。さらに言えば、切削ローラRは、外周面に複数本の台形溝20を有し、溝底に相当する(軸心Aと平行な)辺E1 、及び、傾斜角度60°の傾斜辺E3 ,E3 を有する。
【0016】
切削工程に於て、1本の第3中間体3から2本〜4本の第4中間体4を形成する。1本の第3中間体3から形成する第4中間体4の本数が、上記範囲にある場合、効率良く素材竹Tを活用することができる。好ましくは、図9に示すように、1本の第3中間体3から3本の第4中間体4を形成するように構成する。
【0017】
図14に示すように、第4中間体4を所定長さ寸法L2 ごとに切断する第4切断工程を行なう。所定長さ寸法L2 を20cm〜23cmに設定する。所定長さ寸法L2 が上記範囲にある場合、分離箸Cを使いやすい。所定長さ寸法L2 が上記範囲外にある場合、分離箸Cを使いにくい。
その後、図1に示すように、先端部8にテーパ9を形成する。そして、図15に示すように、2本の分離箸Cを完封袋Hに収納する袋収納工程を行なう。
【0018】
図16は第2の実施の形態を示す。この分離箸Cは、素材竹T(図3参照)の節部5を節部跡5Gとして長手方向の一部に残留して切削形成されていると共に、中間部位7が横断面六角形であり、かつ、両端部12にテーパ9が形成されている。
【0019】
第2の実施の形態の分離箸の製法は、第1の実施の形態の分離箸の製法と同様であって、両端部12にテーパ9を形成する点のみが異なる。
【0020】
なお、本発明に於て、切断位置によっては節部跡5Gを有さない分離箸Cも製造され得るが、2本の分離箸Cのうち少なくとも1本が節部跡5Gを有する場合、本願発明の技術的範囲に属するものとする。また、分離箸Cの横断面が角部にR状面取りをされたものも本願発明の範囲に含むものとする。すなわち、角部の(例えば半径 0.3mm程度の小さな)R形状は無視するものとする。
【0021】
本発明は、設計変更可能であって、例えば、一対の切削ローラRを、左切削ローラと右切削ローラとするも良い(図示省略)。すなわち、一対の切削ローラRを当てる向きは、上下に限定されない。
【0022】
以上のように、本発明は、素材竹Tを所定長さ寸法L1 ごとに切断して第1中間体1を形成する第1切断工程と、周方向に所定数に分割切断して横断面扇形第2中間体2を形成する第2切断工程と、第2中間体2から横断面矩形第3中間体3を形成する第3切断工程と、第3中間体3を長手方向にずれた位置で一対の切削ローラRを回転圧接させて切削して横断面六角形第4中間体4を形成する切削工程と、第4中間体4を所定長さ寸法L2 ごとに切断する第4切断工程を、順次有する箸の製法であって、切削工程に使用する切削ローラRが外周面に複数本の台形溝20を備えて、切削ローラRの軸心Aを含む断面に於て台形溝20が軸心Aと平行な辺E1 を有するので、切削ローラRにての切削が確実に美しく切削できる。すなわち、手触りが良く、かつ、すべりにくく、にぎりやすい分離箸Cを製造することができるとともに、歩留りを向上することができる。節部5を残し得るので安価に製造することができる。また、真っ直ぐな分離箸Cを製造することができる。また、とげが発生することを防止することができ、安全な分離箸Cを製造することができる。側周面10がなめらかな(全ての切削面14が美しい)分離箸Cを製造することができる。
【0023】
また、切削工程に於て、1本の第3中間体3から2本〜4本の第4中間体4を形成するように構成したので、効率良く素材竹Tを用いることができる。
また、切削工程に於て、1本の第3中間体3から3本の第4中間体4を形成するように構成したので、より一層効率良く素材竹Tを用いることができる。
【0024】
また、素材竹Tの節部5を節部跡5Gとして長手方向の一部に残留して切削形成されていると共に、基端部6から中間部位7に渡って横断面六角形であり、かつ、先端部8にテーパ9が形成されているので、手触りが良い。また、握ったときにすべりにくく使いやすい。さらに、細かい食物もつかみやすい。
【0025】
また、素材竹Tの節部5を節部跡5Gとして長手方向の一部に残留して切削形成されていると共に、中間部位7が横断面六角形であり、かつ、両端部12にテーパ9が形成されているので、手触りが良い。また、握ったときにすべりにくく使いやすい。さらに、細かい食物もつかみやすい。そして、分離箸Cの両端部12を用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 第1中間体
2 第2中間体
3 第3中間体
4 第4中間体
5 節部
5G 節部跡
6 基端部
7 中間部位
8 先端部
9 テーパ
12 両端部
20 台形溝
A 軸心
E 切削面
E1 辺
L1 所定長さ寸法
L2 所定長さ寸法
R 切削ローラ
T 素材竹
【技術分野】
【0001】
本発明は、箸の製法及び分離箸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環境保全上有利な竹を素材とした箸が製作されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、従来の箸の横断面形状は、四角又は円形であって、横断面形状が四角の箸は、4面のうち対向する2面が表面が粗く、手触りが良くないという欠点があった。また、横断面形状が円形の箸は、握ったときにすべって使いにくいという欠点があった。
さらに、従来の竹を素材とした箸の製法は、素材竹の節を用いるととげが出たり、曲がったりするので、あらかじめ節を除去しており、歩留りが悪いという欠点があった。特に、横断面形状が四角の箸の製法に於ては、切削ローラが回転軸に直交する面を有するものだったので、とげが出やすく、また、軸心直交面が焼けるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−34351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、表面粗さが粗く、手触りが良くない点である。また、握ったときにすべって使いにくい点である。また、歩留りが悪い点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る箸の製法は、素材竹を所定長さ寸法ごとに切断して第1中間体を形成する第1切断工程と、周方向に所定数に分割切断して横断面扇形第2中間体を形成する第2切断工程と、上記第2中間体から横断面矩形第3中間体を形成する第3切断工程と、上記第3中間体を長手方向にずれた位置で一対の切削ローラを回転圧接させて切削して横断面六角形第4中間体を形成する切削工程と、上記第4中間体を所定長さ寸法ごとに切断する第4切断工程を、順次有する箸の製法であって、上記切削工程に使用する上記切削ローラが外周面に複数本の台形溝を備えて、該切削ローラの軸心を含む断面に於て上記台形溝が上記軸心と平行な辺を有する方法である。
また、上記切削工程に於て、1本の第3中間体から2本〜4本の第4中間体を形成するように構成した方法である。
また、上記切削工程に於て、1本の第3中間体から3本の第4中間体を形成するように構成した方法である。
【0007】
また、本発明に係る分離箸は、素材竹の節部を節部跡として長手方向の一部に残留して切削形成されていると共に、基端部から中間部位に渡って横断面六角形であり、かつ、先端部にテーパが形成されているものである。
また、素材竹の節部を節部跡として長手方向の一部に残留して切削形成されていると共に、中間部位が横断面六角形であり、かつ、両端部にテーパが形成されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の箸の製法によれば、手触りが良く、かつ、すべりにくく、にぎりやすい箸を製造することができるとともに、歩留りを向上することができる。また、本発明の分離箸によれば、手触りが良い。また、握ったときにすべりにくく使いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す正面図であって、(A)は全体の正面図、(B)は要部拡大正面図を示す。
【図2】図1のX−X断面拡大図である。
【図3】製法を示す説明図である。
【図4】第1中間体を示す斜視図である。
【図5】第2中間体を示す斜視図である。
【図6】説明用拡大断面図である。
【図7】第2中間体の拡大断面図である。
【図8】第2中間体の拡大断面図である。
【図9】第3中間体の拡大断面図である。
【図10】第4中間体の拡大断面図である。
【図11】切削工程を説明する説明図である。
【図12】要部拡大断面図である。
【図13】要部拡大断面図である。
【図14】第4中間体を示す斜視図である。
【図15】完封袋に収納した状態を示す正面図である。
【図16】第2の実施の形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1・図2は、本発明の第1の実施の形態を示し、この分離箸Cは、真竹、孟宗竹等の素材竹Tから成り、分離した2本1組で使用される。素材竹Tの節部5を節部跡5Gとして長手方向の一部に残留して切削形成されていると共に、基端部6から中間部位7に渡って横断面六角形(正六角形)であり、かつ、先端部8にテーパ9が形成されている。側周面10は滑らかに切削形成されている。
【0011】
第1の実施の形態の分離箸の製法について説明する。まず、図3に示すように、素材竹Tを所定長さ寸法L1 ごとに切断して、図4に示すような第1中間体1を形成する第1切断工程を行なう。所定長さ寸法L1 は、1m以上に設定する。例えば、 1.5m〜 2.5mとし、好ましくは、2mに設定する。所定長さ寸法L1 が1m未満の場合、製造効率が悪い。素材竹Tの節部5は除去しない。次に、図5〜図7に示すように、第1中間体1を周方向に所定数(例えば、6つ)に分割切断して横断面扇形第2中間体2を形成する第2切断工程を行なう。
【0012】
そして、図8・図9に示すように、第2中間体2から横断面矩形第3中間体3を形成する第3切断工程を行なう。このとき、表皮T0 と内周面部T1 を除去する。表皮T0 は固すぎてその後の切削工程を行ないにくく、内周面部T1 はやわらかすぎて箸に不適だからである。第3中間体3の厚さ寸法t(後の分離箸Cの横断面六角形の平行な2辺の距離)は、4mm〜8mmに設定する。厚さ寸法tがこの範囲にある場合、分離箸Cを使いやすい。厚さ寸法tが上記範囲外にある場合、分離箸Cを使いにくい。
【0013】
次に、図9〜図13に示すように、第3中間体3を長手方向(走行方向)にずれた位置で一対の切削ローラRを回転圧接させて切削して横断面六角形第4中間体4を形成する切削工程を行なう。例えば、図11に示すように、一対の上切削ローラR1 、下切削ローラR2 を用いて第4中間体4を形成する。すなわち、第3中間体3に(長手方向に平行な)矢印Y方向に送りを与えて、まず、図12に示すように、上切削ローラR1 にて第4中間体4の上側半分を形成した後に、図13に示すように、下切削ローラR2 にて第4中間体の下側半分を形成することにより、第4中間体4を形成する。
【0014】
上切削ローラR1 及び下切削ローラR2 を順方向に回転させるのが切削面14を美しく滑らかにする上で好ましい。切削ローラRの回転数は、例えば、2500RPM〜3500RPMとする。切削ローラRの回転数が上記範囲にある場合、効率良く滑らかな切削面14を形成することができる。上記回転数が2500RPM未満の場合、切削面14が粗くなる虞れがある。上記回転数が3500RPMを超える場合、効率が悪くなる。
【0015】
切削ローラRが切削ローラRの軸心A廻りの切削面Eを有する。言い換えると、軸心Aを含む断面に於て、切削面Eは軸心Aと平行な辺E1 として現れる。そして、切削ローラRが軸心Aに直交する切削面をほとんど有さない。特に、図13に示すように、第4中間体4の横断面の六角形の各辺13は、切削ローラRの軸心Aに平行又は傾きをもって切削形成される。さらに言えば、切削ローラRは、外周面に複数本の台形溝20を有し、溝底に相当する(軸心Aと平行な)辺E1 、及び、傾斜角度60°の傾斜辺E3 ,E3 を有する。
【0016】
切削工程に於て、1本の第3中間体3から2本〜4本の第4中間体4を形成する。1本の第3中間体3から形成する第4中間体4の本数が、上記範囲にある場合、効率良く素材竹Tを活用することができる。好ましくは、図9に示すように、1本の第3中間体3から3本の第4中間体4を形成するように構成する。
【0017】
図14に示すように、第4中間体4を所定長さ寸法L2 ごとに切断する第4切断工程を行なう。所定長さ寸法L2 を20cm〜23cmに設定する。所定長さ寸法L2 が上記範囲にある場合、分離箸Cを使いやすい。所定長さ寸法L2 が上記範囲外にある場合、分離箸Cを使いにくい。
その後、図1に示すように、先端部8にテーパ9を形成する。そして、図15に示すように、2本の分離箸Cを完封袋Hに収納する袋収納工程を行なう。
【0018】
図16は第2の実施の形態を示す。この分離箸Cは、素材竹T(図3参照)の節部5を節部跡5Gとして長手方向の一部に残留して切削形成されていると共に、中間部位7が横断面六角形であり、かつ、両端部12にテーパ9が形成されている。
【0019】
第2の実施の形態の分離箸の製法は、第1の実施の形態の分離箸の製法と同様であって、両端部12にテーパ9を形成する点のみが異なる。
【0020】
なお、本発明に於て、切断位置によっては節部跡5Gを有さない分離箸Cも製造され得るが、2本の分離箸Cのうち少なくとも1本が節部跡5Gを有する場合、本願発明の技術的範囲に属するものとする。また、分離箸Cの横断面が角部にR状面取りをされたものも本願発明の範囲に含むものとする。すなわち、角部の(例えば半径 0.3mm程度の小さな)R形状は無視するものとする。
【0021】
本発明は、設計変更可能であって、例えば、一対の切削ローラRを、左切削ローラと右切削ローラとするも良い(図示省略)。すなわち、一対の切削ローラRを当てる向きは、上下に限定されない。
【0022】
以上のように、本発明は、素材竹Tを所定長さ寸法L1 ごとに切断して第1中間体1を形成する第1切断工程と、周方向に所定数に分割切断して横断面扇形第2中間体2を形成する第2切断工程と、第2中間体2から横断面矩形第3中間体3を形成する第3切断工程と、第3中間体3を長手方向にずれた位置で一対の切削ローラRを回転圧接させて切削して横断面六角形第4中間体4を形成する切削工程と、第4中間体4を所定長さ寸法L2 ごとに切断する第4切断工程を、順次有する箸の製法であって、切削工程に使用する切削ローラRが外周面に複数本の台形溝20を備えて、切削ローラRの軸心Aを含む断面に於て台形溝20が軸心Aと平行な辺E1 を有するので、切削ローラRにての切削が確実に美しく切削できる。すなわち、手触りが良く、かつ、すべりにくく、にぎりやすい分離箸Cを製造することができるとともに、歩留りを向上することができる。節部5を残し得るので安価に製造することができる。また、真っ直ぐな分離箸Cを製造することができる。また、とげが発生することを防止することができ、安全な分離箸Cを製造することができる。側周面10がなめらかな(全ての切削面14が美しい)分離箸Cを製造することができる。
【0023】
また、切削工程に於て、1本の第3中間体3から2本〜4本の第4中間体4を形成するように構成したので、効率良く素材竹Tを用いることができる。
また、切削工程に於て、1本の第3中間体3から3本の第4中間体4を形成するように構成したので、より一層効率良く素材竹Tを用いることができる。
【0024】
また、素材竹Tの節部5を節部跡5Gとして長手方向の一部に残留して切削形成されていると共に、基端部6から中間部位7に渡って横断面六角形であり、かつ、先端部8にテーパ9が形成されているので、手触りが良い。また、握ったときにすべりにくく使いやすい。さらに、細かい食物もつかみやすい。
【0025】
また、素材竹Tの節部5を節部跡5Gとして長手方向の一部に残留して切削形成されていると共に、中間部位7が横断面六角形であり、かつ、両端部12にテーパ9が形成されているので、手触りが良い。また、握ったときにすべりにくく使いやすい。さらに、細かい食物もつかみやすい。そして、分離箸Cの両端部12を用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 第1中間体
2 第2中間体
3 第3中間体
4 第4中間体
5 節部
5G 節部跡
6 基端部
7 中間部位
8 先端部
9 テーパ
12 両端部
20 台形溝
A 軸心
E 切削面
E1 辺
L1 所定長さ寸法
L2 所定長さ寸法
R 切削ローラ
T 素材竹
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材竹(T)を所定長さ寸法(L1 )ごとに切断して第1中間体(1)を形成する第1切断工程と、周方向に所定数に分割切断して横断面扇形第2中間体(2)を形成する第2切断工程と、上記第2中間体(2)から横断面矩形第3中間体(3)を形成する第3切断工程と、上記第3中間体(3)を長手方向にずれた位置で一対の切削ローラ(R)を回転圧接させて切削して横断面六角形第4中間体(4)を形成する切削工程と、上記第4中間体(4)を所定長さ寸法(L2 )ごとに切断する第4切断工程を、順次有する箸の製法であって、
上記切削工程に使用する上記切削ローラ(R)が外周面に複数本の台形溝(20)を備えて、該切削ローラ(R)の軸心(A)を含む断面に於て上記台形溝(20)が上記軸心(A)と平行な辺(E1 )を有することを特徴とする箸の製法。
【請求項2】
上記切削工程に於て、1本の第3中間体(3)から2本〜4本の第4中間体(4)を形成するように構成した請求項1記載の箸の製法。
【請求項3】
上記切削工程に於て、1本の第3中間体(3)から3本の第4中間体(4)を形成するように構成した請求項1記載の箸の製法。
【請求項4】
素材竹(T)の節部(5)を節部跡(5G)として長手方向の一部に残留して切削形成されていると共に、基端部(6)から中間部位(7)に渡って横断面六角形であり、かつ、先端部(8)にテーパ(9)が形成されていることを特徴とする分離箸。
【請求項5】
素材竹(T)の節部(5)を節部跡(5G)として長手方向の一部に残留して切削形成されていると共に、中間部位(7)が横断面六角形であり、かつ、両端部(12)にテーパ(9)が形成されていることを特徴とする分離箸。
【請求項1】
素材竹(T)を所定長さ寸法(L1 )ごとに切断して第1中間体(1)を形成する第1切断工程と、周方向に所定数に分割切断して横断面扇形第2中間体(2)を形成する第2切断工程と、上記第2中間体(2)から横断面矩形第3中間体(3)を形成する第3切断工程と、上記第3中間体(3)を長手方向にずれた位置で一対の切削ローラ(R)を回転圧接させて切削して横断面六角形第4中間体(4)を形成する切削工程と、上記第4中間体(4)を所定長さ寸法(L2 )ごとに切断する第4切断工程を、順次有する箸の製法であって、
上記切削工程に使用する上記切削ローラ(R)が外周面に複数本の台形溝(20)を備えて、該切削ローラ(R)の軸心(A)を含む断面に於て上記台形溝(20)が上記軸心(A)と平行な辺(E1 )を有することを特徴とする箸の製法。
【請求項2】
上記切削工程に於て、1本の第3中間体(3)から2本〜4本の第4中間体(4)を形成するように構成した請求項1記載の箸の製法。
【請求項3】
上記切削工程に於て、1本の第3中間体(3)から3本の第4中間体(4)を形成するように構成した請求項1記載の箸の製法。
【請求項4】
素材竹(T)の節部(5)を節部跡(5G)として長手方向の一部に残留して切削形成されていると共に、基端部(6)から中間部位(7)に渡って横断面六角形であり、かつ、先端部(8)にテーパ(9)が形成されていることを特徴とする分離箸。
【請求項5】
素材竹(T)の節部(5)を節部跡(5G)として長手方向の一部に残留して切削形成されていると共に、中間部位(7)が横断面六角形であり、かつ、両端部(12)にテーパ(9)が形成されていることを特徴とする分離箸。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−963(P2013−963A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133834(P2011−133834)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(592085780)やなぎプロダクツ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(592085780)やなぎプロダクツ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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