説明

簡易型浄化装置

【課題】河川の水を浄化処理して飲料水としたり、或いは、学校や一般家庭等から排出される汚濁水を浄化処理して再利用できるようにし、また、装置自体の構造の簡略化及び小型化並びに装置の製造コスト、ランニングコストの引き下げを図れる簡易型浄化装置を提供する。
【解決手段】支持フレーム2に支持軸3hを介して鉛直回転自在に支持され、水の出入口を有して内部に汚濁水を貯留する開閉可能な密閉状の容器3と、支持軸3hに連結され、容器3を鉛直回転させる手動式の操作レバー5と、容器3内の汚濁水へ混入されて水中の汚濁物質を凝集させるポリグルタミン酸架橋物を主体とする生分解性の凝集剤と、容器3内に投入され、水中に浮遊する汚濁物質のフロックを回収する回収具6とを備えており、操作レバー5により容器3を鉛直回転させ、凝集剤を混入した汚濁水を混合攪拌してフロックを形成し、当該フロックを回収具6に付着させて回収する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に山間僻地や災害等の発生時に於いて、河川や池の水を生分解性凝集剤を用いて浄化処理して飲料水としたり、或いは、学校や一般家庭等に於いて、排出した汚濁水を生分解性の凝集剤を用いて浄化処理して再利用できるようにした簡易型浄化装置に係り、特に、河川の水や、学校に於いて絵の具や墨汁、水性塗料で汚れた筆や刷毛等を洗った時に発生する汚濁水、雑巾掛けした後の雑巾を洗った時に発生する汚濁水等を、極めて簡単な構造の小型の装置でもって浄化処理して再利用できるようにし、水不足に容易に対応することが出来るようにすると共に、水の浪費や汚濁水の処理に伴う浄化費用の問題を解決し、子供たちに水や環境問題に関心を持たせることができるようにした簡易型浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、低開発国の山間僻地等に於いては、河川や池の水を単に沈澱濾過しただけで飲用に供されている場合が多く見られる。
また、学校等では、絵の具や墨汁で汚れた筆等の洗浄や雑巾掛けした後の雑巾の洗浄には、多量の水道水を使用しているうえ、汚れた筆や雑巾等を洗浄した時に発生した汚濁水をそのままの状態で下水道に流したりしている。
【0003】
そのため、前者の場合に於いては、極めて不衛生であり、健康を害すると云う問題があり、また、後者の場合に於いては、筆や雑巾等の洗浄に要する水道代が高くなることは勿論のこと、汚濁水の処理に伴う浄化処理費用も相当なものになっており、学校等で使う水の浪費と排水が大きな問題となっている。
【0004】
そこで、これらの問題を解決するため、河川等の水や発生した汚濁水をその場で浄化処理して再利用したり、或は汚濁水を垂れ流さないようにした装置が開発され、登録実用新案第3120980号公報(特許文献1参照)として公開されている。
【0005】
即ち、前記登録実用新案第3120980号公報に開示された多目的廃水処理装置は、図12に示す如く、キャスター付きのボックス20内に、処理水(汚濁水)の凝集沈澱処理及びオゾン処理を行う凝集沈殿・オゾン処理タンク21と、凝集沈澱処理及びオゾン処理を行った処理水の濾過処理、沈澱処理及び活性炭による処理を行う濾過タンク22とを設置し、前記凝集沈殿・オゾン処理タンク21内に、処理水を循環させて攪拌する水中ポンプ23と、オゾンを含んだ空気を処理水内に放出するオゾンエアブロア24とを配設すると共に、ボックス20の外壁にオゾンを含んだ空気をオゾンエアブロア24へ供給するオゾン発生装置25を取り付けた構造となっており、絵の具や墨汁を含む汚水、グリストラップの汚水、飼育用池等の汚水を凝集沈殿剤、オゾン発生装置25、活性炭等を使用して浄化処理し、その処理水を再利用可能としたものである。
【0006】
しかし、前記多目的廃水処理装置は、水中ポンプ23やオゾン発生装置25等を必要とするため、装置自体の構造が極めて複雑になるうえ、水中ポンプ23及びオゾン発生装置25を動かすのに電力を必要とし、山間僻地では容易に使用できないうえ、装置の製造コスト及びランニングコストの引き下げを図れないと云う問題があった。
【0007】
また、この多目的廃水処理装置は、ボックス20内の上段に凝集沈殿・オゾン処理タンク21を、ボックス20内の下段に濾過タンク22をそれぞれ設置する構造となっているため、装置自体が大型化すると云う問題があった。
【0008】
更に、この多目的廃水処理装置は、凝集沈殿剤を使用して汚水の凝集沈澱処理を行うようにしているが、具体的な凝集沈殿剤の種類が記載されておらず、もしも、凝集沈殿剤にアルミニウム系凝集剤やポリアクリルアミド等の合成高分子凝集剤を用いている場合には、環境に対する安全性(2次汚染)の点に問題を残す結果となり、安全性に面に於いても問題が発生することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】登録実用新案第3120980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、河川等の水や学校や一般家庭等から排出される汚濁水を浄化処理して再利用できるようにし、水不足や水の浪費、汚濁水の処理に伴う浄化費用の問題等を解決できると共に、子供たちに水や環境問題に関心を持たせることができ、加えて、汚濁水を処理する装置自体の構造の簡略化及び小型化並びに装置の製造コスト、ランニングコストの引き下げ等を図れるようにした簡易型浄化装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、支持フレームに支持軸を介して鉛直回転自在に支持され、水の出入口を有して内部に汚濁水を貯留する密閉状の容器と、支持軸に連結され、容器を鉛直回転させる手動式の操作レバーと、容器内の汚濁水へ混入されて水中の汚濁物質を凝集させるポリグルタミン酸架橋物を主体とする生分解性の凝集剤と、容器内に投入され、水中に浮遊する汚濁物質のフロックを回収する回収具とを備えており、操作レバーにより容器を鉛直回転させ、凝集剤を混入した汚濁水を混合攪拌してフロックを形成し、当該フロックを回収具に付着させて回収する構成としたことに特徴がある。
【0012】
本発明の請求項2の発明は、容器が、円筒のタンク状に形成されており、容器の上壁部に形成されて容器内に汚濁水、凝集剤及び回収具を入れるための入口と、この入口を開閉するキャップと、容器の周壁部に形成されて容器内の様子を確認できる透明な覗き窓と、容器の下端部に設けられて容器内の浄化された水を取り出す開閉弁とを備えていることに特徴がある。
【0013】
本発明の請求項3の発明は、容器の底壁部外面に、汚濁水を入れた容器の回転をスムースに行えるようにウエイトを取り付けたことに特徴がある。
【0014】
本発明の請求項4の発明は、容器の覗き窓近傍位置又は覗き窓に、容器内の汚濁水又は浄水の量を測る目盛りを設けたことに特徴がある。
【0015】
本発明の請求項5の発明は、開閉弁の入口側に、フロックの流出を阻止するストレーナーを設けたことに特徴がある。
【0016】
本発明の請求項6の発明は、凝集剤を、ポリグルタミン酸架橋物を主体とする生分解性の粉体状凝集剤又は液体状凝集剤としたことに特徴がある。
【0017】
本発明の請求項7の発明は、回収具が、合成樹脂製のメッシュ状袋体と、メッシュ状袋体に丸めた状態で収容されたボール状不織布とから成り、水中に浮遊する汚濁物質のフロックをメッシュ状袋体及びボール状不織布に付着させて回収するようにしたことに特徴がある。
【0018】
本発明の請求項8の発明は、回収具を、紐を介してキャップの裏面に吊り下げた状態で容器内に入れたことに特徴がある。
【0019】
本発明の請求項9の発明は、容器内に汚濁水の水温を高めるヒータを配設すると共に、前記ヒータに電力を供給する手動式の発電機を操作レバーの内側に組み込み、操作レバーの回転操作により発電機を駆動して電力を発生させ、この電力をヒータに供給して汚濁水を温めようにしたことに特徴がある。
【0020】
本発明の請求項10の発明は、ヒータを渦巻き型のヒータとすると共に、前記渦巻き型のヒータを容器の底壁から離れた位置に配設し、容器の底壁とヒータとの間に細かいフロックが溜まる残留フロック貯溜空間を形成したことに特徴がある。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1の簡易型浄化装置は、支持フレームに鉛直回転自在に支持された容器と、容器を鉛直回転させる手動式の操作レバーと、容器内の汚濁水へ混入されるポリグルタミン酸架橋物を主体とする生分解性の凝集剤と、容器内に投入されて水中に浮遊する汚濁物質のフロックを回収する回収具とから成り、操作レバーにより汚濁水及び凝集剤を入れた容器を鉛直回転させ、汚濁水と凝集剤を混合攪拌して水中に浮遊する汚濁物質のフロックを形成し、当該フロックを容器内の回収具に付着させて回収する構成としているため、冒頭で述べた従来の廃水処理装置に比較して構造の簡略化及び小型化を図れると共に、混合攪拌用の水中ポンプ等を省略することができ、装置の製造コスト及びランニングコストの引き下げを図れる。
また、本発明の請求項1の簡易型浄化装置は、汚濁水及び凝集剤を入れた容器を鉛直回転させているため、汚濁水と凝集剤が効率良く混合攪拌されることになり、浄化処理を素早く行える。
更に、本発明の請求項1の簡易型浄化装置は、汚濁水と凝集剤を混合攪拌して水中に浮遊する汚濁物質を凝集させてフロックとし、当該フロックを回収具により回収するようにしているため、汚濁水を清水とすることができる。その結果、本発明の簡易型浄化装置を用いれば、学校に於いて絵の具や墨汁、水性塗料で汚れた筆や刷毛等を洗った時に発生する汚濁水や、雑巾掛けした後の雑巾を洗った時に発生する汚濁水を簡単に浄化処理して再利用することができ、水の浪費や汚濁水の処理に伴う浄化処理費用の問題を解決できると共に、子供たちに水や環境問題に関心を持たせることができる。
【0022】
本発明の請求項2〜請求項10の簡易型浄化装置は、上記効果に加えて更に次のような優れた効果を奏することができる。
【0023】
即ち、本発明の請求項2の簡易型浄化装置は、容器が、汚濁水、凝集剤及び回収具の入口と、入口を開閉するキャップと、容器内の様子を確認する透明な覗き窓と、浄水を取り出す開閉弁とを備えているため、容器内への汚濁水、凝集剤及び回収具の投入、回収具の取り出し、浄水の取り出しを簡単且つ容易に行えるうえ、透明な覗き窓により容器内の汚濁水の処理状況や汚濁水及び浄水の量を目視することができ、取扱性に極めて優れている。
【0024】
本発明の請求項3の簡易型浄化装置は、容器の底壁部外面にウエイトを取り付けているため、汚濁水を入れた容器を簡単且つ容易に鉛直回転させて容器内の汚濁水と凝集剤を混合攪拌するでき、学校で使用する場合に子供でも簡単且つ容易に使用することができる。
【0025】
本発明の請求項4の簡易型浄化装置は、容器の覗き窓近傍位置又は覗き窓に、容器内の汚濁水又は浄水の量を測る目盛りを設けているため、容器内の汚濁水の量や浄水の量を正確に知ることができる。
【0026】
本発明の請求項5の簡易型浄化装置は、容器に設けた開閉弁の流入口側にストレーナーを設けているため、容器内の浄水を取り出す際に浄水と一緒にフロックが流出したり、開閉弁がフロックにより閉塞するのを防止することができる。
【0027】
本発明の請求項6の簡易型浄化装置は、凝集剤を、ポリグルタミン酸架橋物を主体とする生分解性の粉体状凝集剤又は液体状凝集剤としているため、従前のポリアクリルアミド等の合成高分子凝集剤の場合よりも汚濁物質の凝集を効率良く行え、且つ、残留した凝集剤が速く自然分解し、自然界で容易に分解されて天然アミノ酸の一種であるグルタミン酸に変換される物質であるので安全性に於いても優れている。
【0028】
本発明の請求項7の簡易型浄化装置は、回収具が、メッシュ状袋体と、メッシュ状袋体に丸めた状態で収容されたボール状不織布とから成り、水中に浮遊する汚濁物質のフロックをメッシュ状袋体及びボール状不織布に付着させて回収するようにしているため、フロックを水中から素早く分離回収できると共に、フロックの容器外への流出を防止できる。
【0029】
本発明の請求項8の簡易型浄化装置は、回収具を、紐を介してキャップの裏面に吊り下げた状態で容器内に入れているため、汚れた回収具を取り出す際には、キャップを容器から外して持ち上げれば良く、容器内の回収具を簡単且つ容易に取り出すことができる。
【0030】
本発明の請求項9の簡易型浄化装置は、容器内に汚濁水の水温を高めるヒータを配設すると共に、前記ヒータに電力を供給する手動式の発電機を操作レバーの内側に組み込み、操作レバーの回転操作により発電機を駆動して電力を発生させ、この電力をヒータに供給して汚濁水を温めようにしているため、浄化処理する汚濁水の水温が低い冬季や寒冷地域に於いて使用する場合でも、低水温の汚濁水の温度を水浄化処理に適した温度(通常10℃以上、好ましくは10〜25℃、より好ましくは20℃付近)に上げることができ、凝集剤の凝集性能に悪影響を及ぼすことがない。また、手動式の発電機を備えているため、電力を学校等のコンセントから取る必要がなく、ランニングコストの低減を図れるうえ、山間僻地等の電源のない場所でも使用することができる。
【0031】
本発明の請求項10の簡易型浄化装置は、ヒータを渦巻き型のヒータとすると共に、前記渦巻き型のヒータを容器の底壁から離れた位置に配設し、容器の底壁とヒータとの間に細かいフロックが溜まる残留フロック貯溜空間を形成しているため、回収具に分離回収されなかった細かいフロックが残留フロック貯溜空間に溜まることになり、このフロックが開閉弁から排出されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態に係る簡易型浄化装置の正面図である。
【図2】図1に示す簡易型浄化装置の側面図である。
【図3】図1に示す簡易型浄化装置の平面図である。
【図4】図1のA−A線拡大断面図である。
【図5】図2のB−B線拡大断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る簡易型浄化装置の正面図である。
【図7】図6に示す簡易型浄化装置の側面図である。
【図8】図6に示す簡易型浄化装置の平面図である。
【図9】図6のC−C線拡大断面図である。
【図10】図6のD−D線拡大断面図である。
【図11】図7のE−E線拡大断面図である。
【図12】従来の廃水処理装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図5は本発明の第1実施形態に係る簡易型浄化装置1を示し、当該簡易型浄化装置1は、例えば、学校に於いて絵の具や墨汁、水性塗料で汚れた筆や刷毛等を洗った時に発生する汚濁水や、雑巾掛けした後の雑巾を洗った時に発生する汚濁水を浄化処理して再利用できるようにし、水の浪費や汚濁水の処理に伴う浄化費用の問題を解決できると共に、子供たちに水や環境問題に関心を持たせることができるようにしたものであり、主に汚濁水の水温が10℃以上になる夏季等の季節や温暖地域で使用されるものである。
【0034】
即ち、前記簡易型浄化装置1は、支持フレーム2と、支持フレーム2に鉛直回転自在に支持され、内部に汚濁水を貯留する開閉可能な密閉状の容器3と、容器3を鉛直回転させる手動式の操作レバー5と、容器3内の汚濁水へ混入されて水中の汚濁物質を凝集させる凝集剤と、容器3内に投入され、水中に浮遊する汚濁物質のフロックを回収する回収具6とから成り、操作レバー5の回転操作により容器3を鉛直回転させ、凝集剤を混入した汚濁水を混合攪拌してフロックを形成し、当該フロックを回収具6に付着させて回収するようにしたものである。
【0035】
具体的には、前記支持フレーム2は、ABS樹脂等の合成樹脂材により形成されており、図1〜図3に示す如く、対向状に配置した三角形状の一対の支持板2aと、両支持板2aの下端部同士を連結する帯状の一対の連結板2bとから成る。
【0036】
前記容器3は、ABS樹脂等の合成樹脂材により円筒のタンク状に形成されており、図4及び図5に示す如く、容器3の上壁部には、容器3内に汚濁水、凝集剤及び回収具6を入れるための入口3aが形成されている。この入口3aは、入口3aの周縁部に着脱自在に螺着されるキャップ3bにより開閉自在となっている。
また、容器3の周壁部には、図1及び図4に示す如く、容器3内の様子(汚濁水の浄化状況、汚濁水の量、浄化水の量)を確認するための縦長の透明な覗き窓3cが設けられている。この覗き窓3c近傍の容器3外壁面には、容器3内の汚濁水や浄化水の量を測る目盛り3dが設けられている。
更に、容器3の下端部には、図1、図2及び図4に示す如く、底壁から1cm位離れた位置に開閉弁3eが設けられており、容器3内の浄化された水を取り出せるようになっている。この開閉弁3eには、コックが使用されており、その入口側には、フロックの流出を阻止する金属製又は合成樹脂製の網構造のストレーナー3fが設けられている。また、開閉弁3eの出口には、ビニールホースが接続可能となっている。
加えて、容器3の底壁部外面には、汚濁水を入れた容器3の回転をスムースに行えるようにウエイト3gが取り付けられている。
【0037】
そして、前記容器3は、図4に示す如く、周壁部の外壁面に対向状に取り付けた支持軸3hを支持フレーム2の両支持板2aに設けた軸受4に支持させることによって、支持フレーム2に鉛直回転自在に支持されている。
【0038】
前記操作レバー5は、ABS樹脂等の合成樹脂材により形成されており、容器3の一方の支持軸3h端部に連結されて容器3自体を支持軸3hを中心にして鉛直回転させることができるようになっている。
【0039】
前記凝集剤は、ポリグルタミン酸架橋物を主体とする生分解性の粉体状凝集剤であり、この実施形態に於いては、粉体状凝集剤として、下記の成分量(wt%)を有する凝集剤(日本ポリグル株式会社製・製品名PGα21Ca)が使用されている。
成分構成(wt%)
PGα21Ca=14%、C=0.5%、O=45%、Na=8%、Al=0.5%、Si=12%、Cl=0.4、Ca=15%、K=0.1%、Fe=15%。
【0040】
尚、前記PGα21Caは、生分解性を有するγ=ポリグルタミン酸を主体とする新規な自然分解性の物質であり、下記の構造式で表されるものである。
【化1】

【0041】
また、凝集剤内のO、Ca、Fe、Si等は通常2CaSO・HO、NaCO・HO、NaSO、MgSO・6HO、Al(SO)・18HO等の化学構造式で表される物質の型で当該凝集剤内に含まれている。
【0042】
前記回収具6は、図4及び図5に示す如く、ポリエステルやポリプロピレン等の合成樹脂製繊維を細かく編んで形成したメッシュ布(この実施形態では、2.0mm×2.0mmメッシュのメッシュ布)を球状に形成したメッシュ状袋体6aと、ポリエステルやポリプロピレン等の合成樹脂製繊維により形成され、メッシュ状袋体6aに丸めた状態で収容されたボール状不織布6bとから成り、水中に浮遊する汚濁物質のフロックをメッシュ状袋体6a及びボール状不織布6bに付着させて回収するものである。
尚、回収具6は、容器3内へ自由状態で投入されているが、図4、図5、図9及び図11に示す如く、合成樹脂製の紐7によりキャップ3bの裏面に吊り下げした状態で容器3内に入れるようにしても良い。
【0043】
尚、この実施形態に於いては、簡易型浄化装置1の寸法は、高さ48cm、幅43cm、奥行37.5cmに、容器3の寸法は、高さ33cm、直径30cmにそれぞれ設定されている。
また、凝集剤は、付属品として付けられており、0.1g〜0.3gの凝集剤(汚濁水1リットル当り0.1g〜0.3gの凝集剤を使用)を密封状の小さい袋に詰めたものものが100袋〜500袋(100リットル〜500リットル分)用意されている。この凝集剤は、数g単位、10g単位、数十g単位、100g単位又は数百g単位で密封状の袋に詰めるようにしても良いことは勿論である。
更に、回収具6は、付属品として付けられており、ソフトボール又は野球のボール位の大きさのものが100個用意されている。
【0044】
次に、上述した簡易型浄化装置1を用い、学校に於いて絵の具や墨汁、水性塗料で汚れた筆や刷毛等を洗った時に発生する汚濁水や、雑巾掛けした後の雑巾を洗った時に発生する汚濁水を浄化処理する場合について説明する。
【0045】
先ず、容器3のキャップ3bを開けて容器3内に汚濁水を入れると共に、汚濁水の量に見合った凝集剤を容器3内に入れ、回収具6をキャップ3bの裏面に紐7で連結した状態で容器3内に入れた後、容器3の入口3aをキャップ3bにより閉塞する。
このとき、容器3内に入れる汚濁水の量は、透明な覗き窓3c及び目盛り3dにより測ることができるので、容器3内に入れる凝集剤の量も簡単且つ正確に判る。
【0046】
次に、操作レバー5を握って容器3を数分間鉛直回転させ、容器3内の汚濁水と凝集剤とを混合攪拌する。そうすると、凝集剤により水中の汚濁物質が凝集し始めると共に、凝集したフロックが回収具6のメッシュ状袋体6a及びボール状不織布6bに付着して水中より回収される。これにより、容器3内の汚濁水が浄化処理されて清水となる。
このとき、容器3内の汚濁水の処理状況を透明な覗き窓3cから覗くことができるので、汚濁水が清水になった時点で容器3の回転操作を止めることができるため、必要以上に浄化処理操作を行うこともない。
【0047】
そして、汚濁水が清水になったら、開閉弁3eを開放して容器3内の清水を取り出し、これを再利用する。
このとき、開閉弁3eの流入口側にストレーナー3fを設けているため、清水と一緒にフロックが流出したり、開閉弁3eがフロックにより閉塞するのを防止することができる。
また、汚濁水の浄化処理により回収具6が汚れたら、その回収具6はゴミ箱に捨てる。この回収具6は、キャップ3bの裏面に紐7を介して吊り下げられているため、容器3からキャップ3bを外して持ち上げると、容器3内から簡単且つ容易に取り出すことができる。
【0048】
上述した簡易型浄化装置1は、学校に於いて絵の具や墨汁、水性塗料で汚れた筆や刷毛等を洗った時に発生する汚濁水や、雑巾掛けした後の雑巾を洗った時に発生する汚濁水の浄化に使用した場合、汚濁水を浄化処理して再利用することができ、水の浪費や汚濁水の処理に伴う浄化費用の問題を解決できると共に、子供たちに水や環境問題に関心を持たせることができる。
【0049】
図6〜図11は本発明の第2実施形態に係る簡易型浄化装置1を示し、当該簡易型浄化装置1は、例えば、学校に於いて絵の具や墨汁、水性塗料で汚れた筆や刷毛等を洗った時に発生する汚濁水や、雑巾掛けした後の雑巾を洗った時に発生する汚濁水を浄化処理して再利用できるようにし、水の浪費や汚濁水の処理に伴う浄化費用の問題を解決できると共に、子供たちに水や環境問題に関心を持たせることができるようにしたものであり、主に汚濁水の水温が10℃以下になる冬季等の寒い季節や寒冷地域で使用されるものである。
【0050】
即ち、前記簡易型浄化装置1は、支持フレーム2と、支持フレーム2に鉛直回転自在に支持され、内部に汚濁水を貯留する開閉可能な密閉状の容器3と、容器3を鉛直回転させる手動式の操作レバー5と、容器3内の汚濁水へ混入されて水中の汚濁物質を凝集させる凝集剤と、容器3内に投入され、水中に浮遊する汚濁物質のフロックを回収する回収具6と、容器3内に配設されて汚濁水の水温を高めるヒータ8と、操作レバー5の内側に組み込まれ、ヒータ8に電力を供給する手動式の発電機9とから成り、操作レバー5の回転操作により発電機9を駆動して電力を発生させ、この電力をヒータ8に供給して低水温の汚濁水を凝集剤の凝集反応に適した温度にまで温め、また、操作レバー5の回転操作により容器3を鉛直回転させ、凝集剤を混入した汚濁水を混合攪拌してフロックを形成し、当該フロックを回収具6に付着させて回収するようにしたものである。
【0051】
この簡易型浄化装置1は、上述した第1実施形態に係る簡易型浄化装置1にヒータ8及び手動式の発電機9を新たに付加したものであり、支持フレーム2、容器3、操作レバー5、凝集剤及び回収具6は、第1実施形態に係る簡易型浄化装置1のものと同じ構造及び同じ形状に形成されている。
従って、図1〜図5に示す第1実施形態に係る簡易型浄化装置1と同じ部位・部材には同一の参照番号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0052】
前記ヒータ8は、図9〜図11に示す如く、渦巻き型のヒータ8に形成され、容器3の底壁から1cm位離れた位置に配設されて支持具10により支持固定されており、容器3の底壁とヒータ8との間に細かいフロックが溜まる残留フロック貯溜空間を形成するようになっている。この実施形態に於いては、ヒータ8には、防水型のシーズヒータが使用されている。
【0053】
前記手動式の発電機9は、ケーシング9a内に発電用回転機9b及び増速ギア装置9cが配設されており、増速ギア装置9cの入力軸を手で回して発電用回転機9bを回転させることによって電気を発生させるものである。この手動式の発電機9には、従来公知のものが用いられており、増速ギア装置9cの入力軸を容器3の外壁面に取り付けた一方の支持軸3hと兼用させている。
また、手動式の発電機9は、支持フレーム2の片方の支持板2a外面に固定されており、増速ギア装置9cの入力軸、即ち、容器3の一方の支持軸3h端部には、操作レバー5が取り付けられている。
更に、手動式の発電機9のケーシング9a内には、前記支持軸3hが挿通される中空軸型のスリップリング装置11(静止体から回転体に対して電力と電気信号を伝達することのできる装置)が設けられており、発電機9により得られた電力をリード線12を介してヒータ8に供給するようになっている。
尚、リード線12は、支持軸3hに形成した中空穴に通されており、その一端部がスリップリング装置11の集電環に、また、その他端部がヒータ8にそれぞれ接続されている。
【0054】
而して、前記簡易型浄化装置1によれば、容器3内に汚濁水、凝集剤及び回収具6を入れ、操作レバー5を回転させると、発電機9により得られた電力がヒータ8に供給されて汚濁水を温め、また、容器3が鉛直回転して凝集剤を混入した汚濁水が混合攪拌されてフロックが形成され、このフロックが回収具6に回収されて汚濁水が浄化される。
【0055】
この第2実施形態に係る簡易型浄化装置1は、上述した第1実施形態に係る簡易型浄化装置1と同様の作用効果を奏することができる。
しかも、この簡易型浄化装置1は、容器3内の汚濁水を温めることができるため、浄化処理する汚濁水の水温が低い冬季や寒冷地域に於いて使用する場合でも、低水温の汚濁水の温度を水浄化処理に適した温度(通常10℃以上、好ましくは10〜25℃、より好ましくは20℃付近)に上げることができ、凝集剤の凝集性能に悪影響を及ぼすことがない。
また、この簡易型浄化装置1は、容器3の底壁とヒータ8との間に細かいフロックが溜まる残留フロック貯溜空間を形成しているため、回収具6に回収されなかった細かいフロックが残留フロック貯溜空間に溜まることになり、このフロックが開閉弁3eから排出されるのを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の簡易型浄化装置1は、学校で排出される汚濁水を浄化処理するだけでなく、河川の水や一般家庭で排出される汚濁水を浄化処理しても良く、或は、地震や洪水等の災害時に河川、池、プール等の水を浄化処理し、これを生活用水として使用することもできる。
【符号の説明】
【0057】
1は簡易型浄化装置、2は支持フレーム、3は容器、3aは入口、3bはキャップ、3cは透明な覗き窓、3dは目盛り、3eは開閉弁、3fはストレーナー、3gはウエイト、3hは支持軸、5は操作レバー、6は回収具、6aはメッシュ状袋体、6bはボール状不織布、7は紐、8はヒータ、9は手動式の発電機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレーム(2)に支持軸(3h)を介して鉛直回転自在に支持され、水の出入口を有して内部に汚濁水を貯留する密閉状の容器(3)と、支持軸(3h)に連結され、容器(3)を鉛直回転させる手動式の操作レバー(5)と、容器(3)内の汚濁水へ混入されて水中の汚濁物質を凝集させるポリグルタミン酸架橋物を主体とする生分解性の凝集剤と、容器(3)内に投入され、水中に浮遊する汚濁物質のフロックを回収する回収具(6)とを備えており、操作レバー(5)により容器(3)を鉛直回転させ、凝集剤を混入した汚濁水を混合攪拌してフロックを形成し、当該フロックを回収具(6)に付着させて回収する構成としたことを特徴とする簡易型浄化装置。
【請求項2】
容器(3)は、円筒のタンク状に形成されており、容器(3)の上壁部に形成されて容器(3)内に汚濁水、凝集剤及び回収具(6)を入れるための入口(3a)と、この入口(3a)を開閉するキャップ(3b)と、容器(3)の周壁部に形成されて容器(3)内の様子を確認できる透明な覗き窓(3c)と、容器(3)の下端部に設けられて容器(3)内の浄化された水を取り出す開閉弁(3e)とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の簡易型浄化装置。
【請求項3】
容器(3)の底壁部外面に、汚濁水を入れた容器(3)の回転をスムースに行えるようにウエイト(3g)を取り付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の簡易型浄化装置。
【請求項4】
容器(3)の覗き窓(3c)近傍位置又は覗き窓(3c)に、容器(3)内の汚濁水又は浄水の量を測る目盛り(3d)を設けたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の簡易型浄化装置。
【請求項5】
開閉弁(3e)の入口側に、フロックの流出を阻止するストレーナー(3f)を設けたことを特徴とする請求項2に記載の簡易型浄化装置。
【請求項6】
凝集剤を、ポリグルタミン酸架橋物を主体とする生分解性の粉体状凝集剤又は液体状凝集剤としたことを特徴とする請求項1に記載の簡易型浄化装置。
【請求項7】
回収具(6)は、合成樹脂製メッシュ状袋体(6a)と、メッシュ状袋体(6a)に丸めた状態で収容されたボール状不織布(6b)とから成り、水中に浮遊する汚濁物質のフロックをメッシュ状袋体(6a)及びボール状不織布(6b)に付着させて回収するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の簡易型浄化装置。
【請求項8】
回収具(6)を、紐(7)を介してキャップ(3b)の裏面に吊り下げた状態で容器(3)内に入れたことを特徴とする請求項2に記載の簡易型浄化装置。
【請求項9】
容器(3)内に汚濁水の水温を高めるヒータ(8)を配設すると共に、前記ヒータ(8)に電力を供給する手動式の発電機(9)を操作レバー(5)の内側に組み込み、操作レバー(5)の回転操作により発電機(9)を駆動して電力を発生させ、この電力をヒータ(8)に供給して汚濁水を温めようにしたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の簡易型浄化装置。
【請求項10】
ヒータ(8)を渦巻き型のヒータ(8)とすると共に、前記渦巻き型のヒータ(8)を容器(3)の底壁から離れた位置に配設し、容器(3)の底壁とヒータ(8)との間に細かいフロックが溜まる残留フロック貯溜空間を形成したことを特徴とする請求項9に記載の簡易型浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−196642(P2012−196642A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63507(P2011−63507)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(510132554)株式会社ポリグルインターナショナル (4)
【Fターム(参考)】