説明

米飯用加熱装置及び保温制御方法

【課題】雑菌の増殖を抑制しつつ、米飯の保温状態を適切なものとすることのできる米飯用加熱装置及び保温制御方法を提供すること。
【解決手段】収容凹部9を備えた装置本体1と、収容凹部9に取出可能に収容される内鍋2と、装置本体1に設けられ、収容凹部9に収容された内鍋2の上方開口部を閉鎖する閉鎖位置と、開放する開放位置とに回動可能な蓋体3と、装置本体1に設けられ、収容凹部9に収容された内鍋2を加熱する加熱手段12と、加熱手段12による加熱状態を制御して非低温保温工程及び低温保温工程からなる保温制御処理を実行する加熱制御手段と、蓋体3の開閉を検出する蓋開閉検出手段と、蓋開閉検出手段での検出結果に基づいて蓋体3の開閉回数をカウントする蓋開閉回数カウント手段とを備える。加熱制御手段は、開閉回数カウント手段でカウントされた蓋体3の開閉回数に基づいて低温保温工程の時間を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯用加熱装置及び保温制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、米飯用加熱装置として、例えば、炊飯器では、炊きあがったご飯を通常保温温度と低温保温温度とでそれぞれ保温できるようにしたものがある。
【0003】
特許文献1に記載された炊飯器では、蓋開閉回数の多い時間帯に合わせて低温保温温度から通常保温温度へと上昇させるようにしている。
【0004】
特許文献2に記載された炊飯器では、蓋開閉時刻を学習し、その学習結果に応じて低温保温温度から通常保温温度に上昇させる時刻を設定するようにしている。
【0005】
特許文献3に記載された炊飯器では、蓋の開放を検知し、内鍋に収容された米飯の重量に基づいて、内部の温度を腐敗細菌栄養細胞が死滅する温度に上昇させるようにしている。
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の構成では、食事の時刻に合わせて低温保温温度から高温保温温度に上昇できるように構成されているだけであり、雑菌の繁殖については全く考慮されていない。
【0007】
また、特許文献3に記載の構成では、蓋の開放が検出されると、米飯の重量に基づいて、一律に腐敗細菌栄養細胞が死滅する温度まで上昇されてしまう。このため、米飯が黄変等を起こしやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−70152号公報
【特許文献2】特開2004−97715号公報
【特許文献3】特開平7−313355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、雑菌の増殖を抑制しつつ、米飯の保温状態を適切なものとすることのできる米飯用加熱装置及び保温制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
米飯用加熱装置を、
収容凹部を備えた装置本体と、
前記収容凹部に取出可能に収容される内鍋と、
前記装置本体に設けられ、収容凹部に収容された内鍋の上方開口部を閉鎖する閉鎖位置と、開放する開放位置とに回動可能な蓋体と、
前記装置本体に設けられ、収容凹部に収容された内鍋を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段による加熱状態を制御して非低温保温工程及び低温保温工程からなる保温制御処理とを実行する加熱制御手段と、
前記蓋体の開閉を検出する蓋開閉検出手段と、
前記蓋開閉検出手段での検出結果に基づいて蓋体の開閉回数をカウントする蓋開閉回数カウント手段と、
を備え、
前記加熱制御手段は、前記開閉回数カウント手段でカウントされた蓋の開閉回数に基づいて低温保温工程の時間を調整するようにしたものである。
【0011】
ここで、低温保温工程とは、ご飯を通常保温温度よりも低くすることにより、保温中の雑菌の繁殖は甘受しつつも、ご飯の黄変や乾燥を極力抑えることのできる低温保温温度で温調する工程を意味する。また、非低温保温工程とは、低温保温温度以外の温度、例えば、通常保温温度や高温保温温度で温調する工程を意味する。通常保温工程では、ご飯を黄変しにくく、かつ、雑菌が繁殖しにくい通常保温温度、例えば、72℃で温調する。また、高温保温工程では、通常保温温度よりも高い、雑菌を殺菌できるような温度、例えば、80℃で温調する。但し、各保温工程には、所定の保温温度で温調する期間だけではなく、その前後の温度変化する期間の両方又はいずれか一方を含めるようにしてもよい。
【0012】
前記構成により、蓋体の開閉回数が多くなれば、それだけ米飯用加熱装置内に雑菌が侵入する可能性が高くなるので、低温保温工程の時間を短く調整することにより、雑菌が繁殖する前に非低温保温工程へと復帰させることができる。
【0013】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
米飯用加熱装置を、
収容凹部を備えた装置本体と、
前記収容凹部に取出可能に収容される内鍋と、
前記装置本体に設けられ、収容凹部に収容された内鍋の上方開口部を閉鎖する閉鎖位置と、開放する開放位置とに回動可能な蓋体と、
前記装置本体に設けられ、収容凹部に収容された内鍋を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段による加熱状態を制御して非低温保温工程及び低温保温工程からなる保温制御処理とを実行する加熱制御手段と、
前記蓋体の開放時間を検出する開放時間検出手段と、
を備え、
前記加熱制御手段は、開放時間検出手段で検出された開放時間に基づいて低温保温工程の時間を調整するようにしたものである。
【0014】
この構成により、蓋体の開放時間が長くなれば、それだけ米飯用加熱装置内に雑菌が侵入する可能性が高くなるので、低温保温工程の時間を短く調整することにより、雑菌が繁殖する前に非低温保温工程へと復帰させることができる。
【0015】
前記内鍋内に収容されるご飯の容量を検出する容量検出手段を備え、
前記加熱制御手段は、容量検出手段で検出された容量に基づいて低温保温工程の時間を調整するのが好ましい。
【0016】
ここで、検出された容量とは、炊飯時に(容量判別で)検出された容量のほか、保温中に消費された量を推測することにより算出される残量を含む。
【0017】
前記構成により、ご飯の容量が少なくて熱容量が小さく、蓋体の開放による温度の低下度合いが大きい場合、雑菌が繁殖しやすい環境への移行が早くなるが、低温保温時間を短くすることにより対処することが可能となる。
【0018】
前記装置本体は、周囲雰囲気温度を検出するための温度検出手段を備え、
前記加熱制御手段は、温度検出手段で検出された周囲雰囲気温度に基づいて低温保温工程の時間を調整するのが好ましい。
【0019】
この構成により、周囲雰囲気温度が低くてご飯の温度が低下しやすければ、低温保温工程の時間が短くなるように調整し、早期に非低温保温工程へと復帰させることにより、雑菌が繁殖しやすい条件となることを防止することができる。
【0020】
蓋開閉検出手段は、前記非低温保温工程、又は、前記低温保温工程のいずれかで、蓋体の開閉を検出すればよい。
【0021】
前記加熱制御手段は、低温保温工程の時間の調整を、低温保温工程の時間を短くすることにより行うようにすればよい。
【0022】
前記加熱制御手段は、低温保温工程の時間を短くする場合、非低温保温工程の時間を長くすることにより、保温制御処理に要する時間を同一とするのが好ましい。
【0023】
この構成により、低温保温工程及び非低温保温工程からなる保温制御処理に要する時間を一定としつつも、低温保温工程に要する時間を短くすることにより、雑菌の繁殖を抑制することが可能となる。
【0024】
前記加熱制御手段は、低温保温工程で蓋体が開閉された場合と、非低温保温工程で蓋体が開閉された場合とで、低温保温工程の時間を変更するのが好ましい。
【0025】
この構成により、蓋体が開閉されることによりご飯の温度変化に与える影響を考慮することができ、低温保温工程の時間をより適切なものとすることが可能となる。
【0026】
前記加熱制御手段は、非低温保温工程又は低温保温工程で、蓋体の開閉が検出されることにより、低温保温工程での保温温度を上昇させるのが好ましい。
【0027】
この構成により、雑菌の繁殖を抑制することが可能となる。この場合、蓋体の開閉回数あるいは開放時間に応じて上昇させる温度を変更するようにすればよい。これにより、雑菌の侵入度合いに応じて適切な温調を行うことが可能となる。
【0028】
前記加熱制御手段は、非低温保温工程又はこれに続く低温保温工程で、蓋体の開閉が検出されることにより、前記低温保温工程に続く非低温保温工程での保温温度を上昇させるのが好ましい。
【0029】
この構成により、雑菌の繁殖をより一層効果的に防止することが可能となる。
【0030】
前記加熱制御手段は、低温保温工程の途中で、蓋体の開閉が検出されることにより、前記低温保温工程での加熱量を増大させるのが好ましい。
【0031】
この構成により、蓋体の開閉により、外気温度の影響を直接受けて低温保温温度以下となった場合であっても、加熱量を増大させることにより、早期に低温保温温度に戻すことができる。これにより、雑菌の繁殖を抑制可能とすることが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、蓋体の開閉回数や開放時間に基づいて、低温保温工程の時間を調整するようにしたので、蓋体の開放により雑菌が侵入したとしても、繁殖する前に非低温保温工程へと復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態に係る炊飯器の側面部分断面図である。
【図2】本実施形態に係る炊飯器の上板を取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】図2の部分側面断面図である。
【図5】(a)は図2の揺動部材等の内部構成部品の一部(主に、揺動部材)を示す分解斜視図、(b)及び(c)はその動作状態を示す側面図である。
【図6】本実施形態に係るブロック図である。
【図7】保温制御処理での検出温度の変化を示すグラフである。
【図8】本実施形態に係る炊飯器の制御内容を示すフローチャートである。
【図9】図8の炊飯制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図10】図8のほぐし忘れ報知処理の内容を示すフローチャートである。
【図11】図8の保温制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図12】図11の通常保温工程の処理内容を示すフローチャートである。
【図13】図11の低温保温工程の処理内容を示すフローチャートである。
【図14】(a)は蓋体の開閉回数と、通常保温時間、及び、低温保温時間との関係を示す図表、(b)は特定容量取出時間と、ご飯の減少量の関係を示す図表、(c)はご飯の残量と、各保温時間での保温時間との関係を示す図表である。
【図15】図11の保温制御処理の最中に行われる蓋閉め忘れ報知処理の内容を示すフローチャートである。
【図16】炊飯終了後、高温保温工程、低温保温工程、通常保温工程の順で実行する保温制御処理に於ける温度変化を示すグラフである。
【図17】炊飯終了後、低温保温工程、高温保温工程の順で実行する保温制御処理に於ける温度変化を示すグラフである。
【図18】炊飯終了後、低温保温工程、通常保温工程の順で実行する保温制御処理に於ける温度変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0035】
(1.全体構成)
図1は、本発明に係る米飯用加熱装置の一例である炊飯器を示す。この炊飯器は、大略、収容凹部9を備えた炊飯器本体1と、収容凹部9に取出可能に収容される内鍋2と、炊飯器本体1に回動可能に設けた蓋体3とを備える。
【0036】
(1−1.炊飯器本体1)
炊飯器本体1は、外胴4と、内胴5とを備える。外胴4と内胴5とによって環状空間が形成されている。環状空間の上方開口部は肩体6によって閉鎖されている。肩体6の前方側の両側部には係止受部7がそれぞれ形成されている。係止受部7には、後述するロック部材23の係止爪部29が係脱可能となっている。内胴5は、底面に設けた保護枠8とで、内鍋2が収容される収容凹部9を構成している。外胴4の下方開口部は底板10によって閉鎖されている。
【0037】
炊飯器本体1には次のような各部材が設けられている。すなわち、保護枠8の下方側にはフェライトコア11及び誘導加熱コイル12がこの順で取り付けられている。誘導加熱コイル12は、電源回路(図示せず)から電力が供給されることにより、収容凹部9内に収容された内鍋2を電磁誘導作用により誘導加熱する。内胴5の外周部には、胴ヒータ13が配設されている。胴ヒータ13は、炊飯終了後の保温制御工程で使用する。誘導加熱コイル12によって誘導加熱される内鍋2の温度は、保護枠8に設けた本体側温度センサ14によって検出されるようになっている。
【0038】
(1−2.蓋体3)
蓋体3は、図1から図4に示すように、上板15と下板16とを備え、炊飯器本体1に支軸3aを中心として、内鍋2の上方開口部を閉鎖する閉鎖位置と、開放する開放位置とに回動可能に設けられている。また、蓋体3には、前方部に閉鎖手段17が設けられ、中央部下面から後方部上面にかけて排気通路が形成されている。さらに、蓋体3には、蓋体側温度センサ34、揺動部材35、フォトインタラプタ36、等の内部構成部品18が収容されている。さらにまた、蓋体3には、下板16の下面に金属製のヒータカバー19で覆われた蓋ヒータ20が取り付けられ、又、内鍋2の上方開口部を閉鎖する内蓋21が着脱可能となっている。
【0039】
(1−2−1.閉鎖手段17)
閉鎖手段17は、操作部材22、ロック部材23及びソレノイド24からなる。
【0040】
操作部材22は、上板15に形成した装着孔15a内に配置され、支軸22aを中心として回動可能となっている。操作部材22は、上板15に形成した開口に押込操作可能に位置する操作部25と、この操作部25を押込操作することによりロック部材23を作動させる押圧部26とを備える。
【0041】
ロック部材23は、炊飯器本体1に対して蓋体3を閉鎖位置に位置決めするためのもので、押圧受部27と脚部28とを備える。押圧受部27は、操作部材22の押圧部26によって押圧可能な平板状に形成されている。脚部28は、押圧受部27から両側次いで下方側へと延びる略L字形に形成されている。脚部28の下端部には係止爪部29が形成され、炊飯器本体1に形成した係止受部7に係脱可能となっている。ロック部材23は、下板16に支軸23aを中心として回動可能に取り付けられ、図示しないスプリングによって蓋体3を閉鎖位置に位置決めできるように付勢されている。
【0042】
ソレノイド24は、通電の有無により進退するロッド30を備える。ロッド30の先端には押圧部材31が配設されている。ロッド30は前進位置で、パッキン31aを介して後述する球状部材48を押圧可能となっている。ここでは、ソレノイド24には、通電によりロッド30を後退位置に移動させ、通電を遮断することにより前進位置に復帰させる2ポジションソレノイドが使用されている。
【0043】
(1−2−2.排気通路)
排気通路は、蓋体3を構成する下板16の中央部に形成した収容部32から、上板15の後方部に設けた蒸気口ユニット33に至る経路である。収容部32には、後述する内蓋21の調圧弁45が配置されている。
【0044】
(1−2−3.内部構成部品18)
内部構成部品18としては、蓋体側温度センサ34、揺動部材35、フォトインタラプタ36、等が含まれる。蓋体側温度センサ34は、蓋体3の近傍温度を検出し、後述する蓋ヒータ20の通電制御に利用する。
【0045】
揺動部材35は、図5に示すように、移動部材37に一体的に設けた保持部38に揺動可能に支持されるようになっている。保持部38を構成する支持壁39には、揺動部材35の回動を停止するストッパ部40が設けられている。揺動部材35は、ストッパ部40に対して所定間隔を有して下側に位置する被検出部41を備える。フォトインタラプタ36は、発光素子と受光素子からなり、その光路が遮られるか否かによって蓋体3の開閉状態を検出する。すなわち、蓋体3が開放していれば、光路が遮られないため、受光素子は受光可能であり、閉鎖していれば、光路が遮られるため、受光素子は受光不可能となる。
【0046】
(1−2−4.内蓋21)
内蓋21は、図1に示すように、金属製の内蓋本体42、蓋パッキン43及び樹脂枠44を備え、ヒータカバー19の下部に着脱可能となっている。内蓋21の中央部には、蓋体3の収容部32内に配置される調圧弁45が一体的に形成され、上方に向かって突出している。調圧弁45は、弁座部材46と、これを覆うカバー47と、これらの内部に収容される球状部材48とからなる。弁座部材46には上壁に通気孔49が形成されている。上壁の上面を球状部材48がカバー47によって移動範囲を規制されながら転動し、通気孔49を開閉する。カバー47の上部には、周方向に所定間隔をもって排気孔50が形成されている。また、カバー47には、ソレノイド24のロッド30によって押圧される押圧部材31がパッキン31aを介して出没する。
【0047】
ここで、ソレノイド24と調圧弁45の関係を簡単に説明する。すなわち、ソレノイド24に通電してロッド30を後退位置に移動させると、調圧弁45の内部から押圧部材31が退避し、球状部材48は通気孔49を閉鎖する。これにより、内鍋2と内蓋21とで形成される内部空間は密封状態となる。そして、炊飯時に発生した蒸気のために大気圧を超える所定圧力を超える上限圧力まで上昇すれば、その上限圧力により球状部材48が移動して通気孔49を開放することにより、内部空間は加圧(閉)状態に維持される。ここでは、球状部材48には、炊飯鍋10内の圧力が1.20atmから1.25atmに昇圧すると、その圧力で移動して通気孔49を開放する重量のものを使用している。一方、ソレノイド24への通電を遮断してロッド30を前進位置に移動させると、調圧弁45の内部に押圧部材31が突出し、球状部材48が転動して通気孔49を開放する。これにより、内部空間は非加圧(開)状態となる。
【0048】
前記フォトインタラプタ36からの蓋開閉信号は、図6に示すように、制御装置(ここでは、マイコン51)へと入力されるようになっている。マイコン51には、蓋開閉信号が入力されるほか、前記各温度センサから検出温度が入力される。マイコン51は、保温制御時、後述するように、蓋開閉信号の頻度をカウントし、そのカウント値や、検出温度に基づいて誘導加熱コイル12への通電を制御する。
【0049】
(2.動作)
次に、前記構成からなる炊飯器の動作について説明する。ここでは、図8のフローチャートに示すように、炊飯制御処理(ステップS1)、ほぐし忘れ処理(ステップS2)、及び、保温制御処理(ステップS3)について説明する。
【0050】
(2−1.炊飯制御処理)
まず、図示しない記憶装置(メモリ)に記憶したプログラムに従って、図9のフローチャートに示すように、予熱工程(ステップS11)、昇温工程(ステップS12)、沸騰維持工程(ステップS13)、炊き上げ工程(ステップS14)、むらし工程(ステップS15)からなる炊飯制御処理を実行する(例えば、特開2007−195730号公報参照)。
【0051】
昇温工程では、誘導加熱コイル12に100%(フルパワー)の電力を供給し、内鍋2内の水を沸騰させる。このとき、従来公知の方法によって炊飯容量の判別を行う(例えば、特開2004−73311号公報参照)。沸騰維持工程は、誘導加熱コイル12への通電を制御して、前記沸騰状態を維持する。沸騰維持工程の開始から所定時間が経過すれば、炊き上げ工程に移行し、沸騰維持工程に比べて誘導加熱コイル12への通電率を上昇させる。そして、炊き上げ工程で、ドライアップが検出されれば、むらし工程に移行する。その後、むらし工程の開始から所定時間経過すれば、炊飯終了となる。
【0052】
(2−2.ほぐし忘れ報知処理)
炊飯終了後、本発明の特徴部分である保温制御処理へと移行するが、このとき、図10のフローチャートで示すようにしてご飯のほぐし忘れの報知処理を実行する。
【0053】
ほぐし忘れの報知処理では、まず、炊飯の終了からほぐし忘れ時間のカウントTを開始する(ステップS21)。そして、フォトインタラプタ36が受光しているか否か、すなわち蓋体3が開放されているか否かを判断する(ステップS22)。フォトインタラプタ36が受光していれば、蓋体3が開放されてご飯がほぐされていると判断し、ほぐし忘れ時間をクリアする(ステップS23)。また、ほぐし忘れブザー報知カウントHTをクリアし(ステップS24)、保温制御処理へと移行する。
【0054】
一方、フォトインタラプタ36が受光していなければ(ステップS22:NO)、ほぐし忘れブザーの報知カウントが1以上であるか否かを判断する(ステップS25)。報知カウントが1以上であれば、ほぐし忘れ時間が10分以上であるか否かを判断する(ステップS26)。報知カウントが1以上で、かつ、ほぐし忘れ時間が10分以上である場合、ブザー(図示せず)によってユーザに報知する(ステップS27)。そして、報知カウントに1を加算し(ステップS28)、ほぐし忘れ時間をクリアした後(ステップS29)、ステップS21に戻って前記処理を繰り返す。報知カウントが1未満であれば、ほぐし忘れ時間が30分以上であるか否かを判断する(ステップS30)。30分以上であれば、前記ステップS27に移行し、30分未満であれば、ステップS22に戻って前記処理を繰り返す。
【0055】
このように、炊飯終了後、蓋体3が閉鎖されたままで、ご飯がほぐされていないと判断される場合には、30分経過することによりブザーで報知し、その後は10分毎に報知するようにしている。これにより、ユーザがほぐし忘れることを確実に防止し、ご飯を良好な状態とすることが可能となる。
【0056】
なお、ほぐし忘れ処理は、炊飯終了から所定時間(例えば、1時間)の間だけ行うようにすればよい。保温制御処理に移行してからある程度時間が経過すると、ご飯をほぐすことによる効果がそれほど期待できなくなるからである。
【0057】
(2−3.保温制御処理)
保温制御処理では、図11のフローチャート及び図7のグラフに示すように、まず、第1設定時間(ここでは、4時間)の間、通常保温を行い(通常保温工程:ステップS41)、その後、第2設定時間(ここでは、通常、8時間)の間、低温保温を行う(低温保温工程:ステップS42)。
【0058】
通常保温工程では、図12のフローチャート及び図7のグラフに示すように、誘導加熱コイル12、胴ヒータ13及び蓋ヒータ20はオフ状態とし(ステップS51)、ご飯の温度を低下させる。そして、本体側温度センサ14での検出温度Thを読み込む(ステップS52)。検出温度Thが通常保温温度(ここでは、72℃)まで低下すれば(ステップS53)、この温度に維持されるように誘導加熱コイル12及び胴ヒータ13への通電を制御する(ステップS54)。この間、フォトインタラプタ36が受光することによる蓋開閉信号に基づいて、蓋体3が開閉されたか否かを判断する。ここでは、蓋体3の開閉回数をカウントし(ステップS55)、記憶装置に記憶する(ステップS56)。そして、第1設定時間が経過することにより(ステップS57)、低温保温工程へと移行する。
【0059】
低温保温工程では、図13のフローチャート及び図7のグラフに示すように、胴ヒータ13及び蓋ヒータ20への通電をオフ状態とし(ステップS61)、ご飯の温度を低下させる。そして、本体側温度センサ14での検出温度Thを読み込む(ステップS62)。検出温度Thが低温保温温度(ここでは、60℃)よりも低下すれば(ステップS63)、この温度に維持されるように誘導加熱コイル12及び胴ヒータ13への通電を制御する(ステップS64)。この間、前記同様にして、フォトインタラプタ36からの蓋開閉信号に基づいて蓋体3の開閉回数をカウントし(ステップS65)、記憶装置に記憶する(ステップS66)。
【0060】
ところで、低温保温工程を実施する時間は、前述の通り、第2設定時間(8時間)であるが、通常保温工程あるいは低温保温工程での蓋体3の開閉回数に応じて、開閉回数が多くなれば多くなるほど、この第2設定時間のうち、低温保温時間が短くなるように調整する(ステップS67)。具体的には、図14(a)の表に示すように、蓋体3の開閉回数に応じて低温保温時間を、蓋体3の開閉回数が0回のとき8時間としていたものを、1回のとき7時間50分、2回のとき7時間40分というふうに、開閉回数が1回増える毎に10分ずつ短くする(8時間−n×10分)。これは、低温保温工程では通常保温工程に比べてご飯に含まれる雑菌(主に、枯草菌)が増殖しやすい上、蓋体3の開閉回数が多いほど、それだけ周囲雰囲気や使用するしゃもじ等から雑菌が侵入し、ご飯が腐敗する原因となるからである。特に、蓋体3の開閉によりご飯の温度が低温保温温度よりも低下すると、雑菌の繁殖は促進されてしまう恐れがある。また、通常保温温度に復帰する際、低温保温温度よりも低い温度から昇温する必要があるため、余分な時間がかかり、結果的に低温保温工程に要する時間が長くなってしまう。そこで、前述のように、蓋体3の開閉回数に応じて第2設定時間を短く調整することにより、低温保温工程を行う場合であっても雑菌の発生を適切に抑制する。
【0061】
その後、低温保温工程に移行してから第2設定時間が経過すれば(ステップS68)、誘導加熱コイル12及び胴ヒータ13への通電率を上げて、再び通常保温工程に復帰させ、雑菌の増殖を抑制する。
【0062】
(2−4.蓋閉め忘れ報知処理)
ところで、前記保温制御工程では、蓋体3を開放したままで閉め忘れることも想定される。そこで、本実施形態では、次のようにして蓋閉め忘れ報知処理を行うようにしている。
【0063】
すなわち、図15のフローチャートに示すように、まず、フォトインタラプタ36で、受光素子が受光しているか否かを判断する(ステップS71)。受光素子が受光することにより、蓋体3が開放状態にあることが検出されれば、蓋閉め忘れ時間TWのカウントを開始する(ステップS72)。そして、蓋閉め忘れ報知カウントHTが1以上であるか否かを判断する(ステップS73)。初期状態では、蓋閉め忘れ報知カウントHTは0であるので、蓋閉め忘れ時間TWが5分以上であるか否かを判断する(ステップS75)。ここでの判断に要する時間は、ご飯が炊き上がってから初めて蓋体3が開放される場合であるので、ご飯をよそう対象となる数量が多くて時間がかかると判断し、長い目に設定している。
【0064】
蓋閉め忘れ時間が5分以上であれば、ブザーにより報知し(ステップS76)、蓋閉め忘れのブザー報知のカウントHTに1を加算する(ステップS77)。そして、蓋閉め忘れ時間のカウントをクリアした後(ステップS78)、ステップS71に戻って前記処理を繰り返す。前記ステップS73で、蓋閉め忘れカウントHTが1以上であれば、食事の途中で蓋体3を開放する場合であると考えられるので、蓋閉め忘れ時間が2分以上であるか否かを判断する(ステップS74)。蓋閉め忘れ時間が2分以上であれば、前記同様、ステップS76でブザーにより報知し、ステップS77及びステップS78を経てステップS71に戻って前記処理を繰り返す。
【0065】
前記ステップS75で、蓋閉め忘れ時間が5分未満であると判断されるか、あるいは、前記ステップS74で、蓋閉め忘れ時間が2分未満であると判断されれば、フォトインタラプタ36の受光素子が受光しているか否かを判断する(ステップS79)。受光していれば、前記ステップS73に戻って同様な処理を繰り返し、受光していなければ、ブザー報知HTのカウントをクリアし(ステップS80)、さらに蓋閉め忘れ時間TWのカウントをクリアした後(ステップS81)、前記ステップS71に戻って同様の処理を繰り返す。
【0066】
このように蓋閉め忘れ報知処理によれば、蓋体3の開閉がいつの時点で行われたのか、すなわち、炊飯終了後の食事開始初期であるのか、食事の途中であるのかを判断し、それぞれに応じた時間設定で蓋閉め忘れを報知することができる。
【0067】
(3.他の実施形態)
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0068】
前記実施形態では、蓋体3の開閉回数を、フォトインタラプタ36の受光素子が受光するか否かで判断するようにしたが、次のようにして検出するようにしてもよく、検出手段は特に制限されない。
【0069】
すなわち、蓋体3に永久磁石、炊飯器本体1にリードスイッチを設ける。そして、蓋体3が閉鎖位置に位置するとき、永久磁石によりリードスイッチをオン状態となり、開放位置に位置するとき、オフ状態となるので、このオン・オフ信号に基づいて蓋体3の開閉回数を検出するようにしてもよい。また、蓋体3の回動中心にエンコーダを設けて蓋体3の開閉を検出するようにしてもよい。さらに、蓋体3に設けた操作部25(図示せず)の操作状態に基づいて蓋体3の開閉回数を検出するようにしてもよい。
【0070】
前記実施形態では、蓋体3の開閉回数に基づいて、低温保温工程を実施する第2設定時間を調整するようにしたが、蓋体3の開放時間に基づいて調整するようにしてもよい。例えば、通常保温工程又は低温保温工程での蓋体3の開放時間を1分単位で管理し、この開放時間が1分増える毎に、低温保温工程の第2設定時間が10分単位で短くなるように設定すればよい。
【0071】
また、通常保温工程で蓋体3が開放された場合と、低温保温工程で蓋体3が開放された場合とで、第2設定時間を短縮する時間を変更するようにしてもよい。例えば、蓋体3が通常保温工程で開放された場合、その回数や時間に応じて5分単位で短くし、低温保温工程で開放された場合、10分単位で短くするようにすればよい。
【0072】
また、低温保温工程に要する第2設定時間は、内鍋2に収容されるご飯の容量を考慮して調整するようにしてもよい。すなわち、ご飯の容量が少なければ、それに応じて保有する熱容量も小さくなり、蓋体3の開放により温度の低下度合いが大きくなる。このため、ご飯の温度が雑菌の繁殖しやすい環境へと変化しやすくなる。そこで、炊飯制御処理の昇温工程で判別した炊飯容量から、蓋体3の開閉回数あるいは開放時間に基づいてご飯の容量の減少度合いを予測する。そして、ご飯の減少度合いからご飯の残量を算出し、算出したご飯の残量に基づいて低温保温工程に要する第2設定時間を調整すればよい。
【0073】
具体的に、蓋体3の開放時間に基づいてご飯の残量を算出し、低温保温工程に要する第2設定時間を設定する場合について説明する。
【0074】
すなわち、まず、ご飯の減少量を、蓋体23の開放時間tが特定容量取出時間taを基準とする時間帯のいずれに属するのかで判断する。ここに、特定容量取出時間taとは、この時間でご飯がほぼ1cup分減少したと考えられる時間(1cup分のご飯をよそうのに要する時間)を意味する。また、本実施形態においては、内鍋2に収容可能な最大ご飯容量は5cupとする。
【0075】
図14(b)の表に示すように、開放時間tが特定容量取出時間ta未満である場合には、米飯の減少は無いと判断する。また、蓋体23の開放時間tが特定容量取出時間ta以上2ta未満である場合には、米飯の減少量は0.5cupであると判断する。以下同様に、2ta≦t<3taでは1.0cup、3ta≦t<4taでは1.5cup、4ta≦t<5taでは2.0cup、…という風に、特定容量取出時間が1ta増える毎に0.5cupずつご飯が減少したと判断する。
【0076】
以上のようにしてご飯の減少量が判断されれば、図14(c)の表に従って、炊飯制御処理の昇温工程で判別した炊飯容量と、予測したご飯の減少量とから算出したご飯の残量RAが、少量(0cup≦RA≦1cup)、中量(1cup<RA≦3cup)、満量(3cup<RA≦5cup)のいずれに属するのかを判断する。そして、低温保温工程に要する時間を、少量では7時間(H)、中量では8時間(H)、満量では9時間(H)とする。本実施形態では、低温保温工程前の通常保温工程にて蓋体3の開閉が行われた例として、低温保温工程での減少時間分、通常保温工程の時間を増加しているが、この通常保温工程の時間は固定であっても構わない。
【0077】
さらに、低温保温工程に要する第2設定時間は、炊飯器の周囲雰囲気温度を考慮して調整するようにしてもよい。すなわち、周囲雰囲気温度が低ければ低い程、蓋体3を開放した際にご飯の温度が低下しやすく、雑菌が繁殖しやすい環境に変化しやすくなる。そこで、例えば、周囲雰囲気温度が5℃低くなる毎に、第2設定時間を10分単位で短くなるように設定すればよい。
【0078】
ところで、前記各実施形態では、蓋体3の開閉回数等に応じて低温保温工程に要する第2設定時間が短くなるように調整するだけとしたが、保温制御処理に要する時間が変化しないように、通常保温工程に要する時間を調整するようにしてもよい。すなわち、第2設定時間が短くなった分、通常保温工程に要する時間の長さを長くし、保温工程全体での要する時間を一定とする。具体的には、蓋体3の開閉回数に応じて第2設定時間の長さを10分単位で短くする場合、通常保温工程に要する時間の長さを10分単位で長くすればよい。この場合、低温保温工程の前に行われる通常保温工程(第1通常保温工程)又は低温保温工程の後に行われる通常保温工程(第2通常保温工程)のいずれの時間を調整するようにしてもよい。第1通常保温工程の時間を長くする場合、低温保温から通常保温に復帰する時刻が変化することを防止することができる。例えば、就寝時に低温保温工程を実行し、朝食時に通常保温工程に復帰させることにより、ご飯の温度を食事に最適な状態とすることが可能となる。また、第1通常保温工程の終了間際や低温保温工程中に蓋体3が開閉された場合、第1通常保温工程の時間を調整することはできないため、第2通常保温工程の時間を長くすることにより保温制御処理に要する時間を一定とすればよい。
【0079】
また、前記各実施形態では、蓋体3の開閉回数等に拘わらず、低温保温温度は一定としたが、この低温保温温度を調整するようにしてもよい。すなわち、蓋体の開閉回数等に応じて、低温保温温度を初期値から所定温度(例えば、5℃)単位で上昇させるようにすればよい。これにより、低温保温工程であっても、より雑菌が繁殖しにくい状態とすることが可能となる。
【0080】
また、前記各実施形態では、蓋体3の開閉回数等に拘わらず、通常保温温度は一定としたが、この通常保温温度を調整するようにしてもよい。すなわち、蓋体3の開閉回数等に応じて通常保温温度を上昇させるようにすれば、雑菌がより一層繁殖しにくい環境とすることができ、場合によっては雑菌を死滅させることも可能となる。
【0081】
また、このように、通常保温温度や低温保温温度を上昇させる場合、温度で管理する代わりに、誘導加熱コイルへの通電量等、加熱量で管理することも可能である。すなわち、前記実施形態では、低温保温温度よりも低下して通常保温温度に復帰するのに要する時間が長くなることを考慮することにより、低温保温工程の時間を短くして、通常保温工程に移行する時間が変化しないようにしたが、低温保温工程が終了する時間を変化させることなく、加熱量を増大することにより、通常保温温度までの復帰時間を短くすればよい。この場合、前述のようにして検出したご飯の容量に基づいて、ご飯の温度を何度に調整できるのかを演算して加熱量を決定するようにしてもよい。
【0082】
また、前記各実施形態では、炊飯完了後に、通常保温工程、低温保温工程の順で実行する保温制御処理について説明したが、これに限らず、例えば、次のようにしてもよい。
【0083】
図16は、炊飯終了後、高温保温工程、低温保温工程、通常保温工程の順で実行する保温制御処理に於ける温度変化を示す。この処理では、炊飯終了後であっても、比較的高温の米飯を食したい人用に温調している。この場合、高温保温工程及び通常保温工程が非低温保温工程となる。
【0084】
図17は、炊飯終了後、低温保温工程、高温保温工程の順で実行する保温制御処理に於ける温度変化を示す。この処理では、炊飯終了後、当分の間食する時間がない場合、即座に低温保温工程とすることにより、米飯の応変等を極力抑えることが可能となっている。また、消費電力を抑制することも可能となる。また、低温保温工程が終了すれば、高温保温工程に移行することにより、増殖した雑菌を殺菌することが可能となっている。この場合、高温保温工程が非低温保温工程となる。
【0085】
図18は、炊飯終了後、低温保温工程、通常保温工程の順で実行する保温制御処理に於ける温度変化を示す。この処理では、当分の間、食する時間がない場合、即座に低温保温工程とすることにより、米飯の応変等を極力抑えたり、消費電力を抑制したりできる点は、図17に示すものと同様であるが、その後通常保温工程へと移行している点が相違する。この場合、通常保温工程が非低温保温工程となる。なお、雑菌の繁殖を極力抑えるために、低温保温工程の時間は短く設定するのが好ましい。
【0086】
また、前記各実施形態では、米飯用加熱装置として、炊飯器の例について説明したが、米飯の保温のみを目的として使用される電子ジャー等であっても同様に、前述の保温制御方法を採用することが可能である。
【0087】
また、前記各実施形態では、各保温工程での期間を、所定の保温温度で温調する期間だけではなく、それ以前の工程から温度変化する期間を含めるようにしたが、この期間を含めないようにしてもよく、また、それ以降の工程へ温度変化する期間を含めるようにしてもよい。
【0088】
また、前記各実施形態では、各保温工程の時間は一定(前記例では、第1設定時間を4時間、第2設定時間を8時間)としたが、炊飯中の容量判別で判別された容量により変更するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…炊飯器本体
2…内鍋
3…蓋体
4…外胴
5…内胴
6…肩体
7…係止受部
8…保護枠
9…収容凹部
10…底板
11…フェライトコア
12…誘導加熱コイル
13…胴ヒータ
14…本体側温度センサ
15…上板
16…下板
17…閉鎖手段
18…内部構成部品
19…ヒータカバー
20…蓋ヒータ
21…内蓋
22…操作部材
23…ロック部材
24…ソレノイド
25…操作部
26…押圧部
27…押圧受部
28…脚部
29…係止爪部
30…ロッド
31…押圧部材
32…収容部
33…蒸気口ユニット
34…蓋体側温度センサ
35…揺動部材
36…フォトインタラプタ
37…移動部材
38…保持部
39…支持壁
40…ストッパ部
41…被検出部
42…内蓋本体
43…蓋パッキン
44…樹脂枠
45…調圧弁
46…弁座部材
47…カバー
48…球状部材
49…通気孔
50…排気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容凹部を備えた装置本体と、
前記収容凹部に取出可能に収容される内鍋と、
前記装置本体に設けられ、収容凹部に収容された内鍋の上方開口部を閉鎖する閉鎖位置と、開放する開放位置とに回動可能な蓋体と、
前記装置本体に設けられ、収容凹部に収容された内鍋を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段による加熱状態を制御して非低温保温工程及び低温保温工程からなる保温制御処理を実行する加熱制御手段と、
前記蓋体の開閉を検出する蓋開閉検出手段と、
前記蓋開閉検出手段での検出結果に基づいて蓋体の開閉回数をカウントする蓋開閉回数カウント手段と、
を備え、
前記加熱制御手段は、前記開閉回数カウント手段でカウントされた蓋の開閉回数に基づいて低温保温工程の時間を調整することを特徴とする米飯用加熱装置。
【請求項2】
収容凹部を備えた装置本体と、
前記収容凹部に取出可能に収容される内鍋と、
前記装置本体に設けられ、収容凹部に収容された内鍋の上方開口部を閉鎖する閉鎖位置と、開放する開放位置とに回動可能な蓋体と、
前記装置本体に設けられ、収容凹部に収容された内鍋を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段による加熱状態を制御して非低温保温工程及び低温保温工程からなる保温制御処理を実行する加熱制御手段と、
前記蓋体の開放時間を検出する開放時間検出手段と、
を備え、
前記加熱制御手段は、開放時間検出手段で検出された開放時間に基づいて低温保温工程の時間を調整することを特徴とする米飯用加熱装置。
【請求項3】
前記内鍋内に収容されるご飯の容量を検出する容量検出手段を備え、
前記加熱制御手段は、容量検出手段で検出された容量に基づいて低温保温工程の時間を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の米飯用加熱装置。
【請求項4】
前記装置本体は、周囲雰囲気温度を検出するための温度検出手段を備え、
前記加熱制御手段は、温度検出手段で検出された周囲雰囲気温度に基づいて低温保温工程の時間を調整することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の米飯用加熱装置。
【請求項5】
蓋開閉検出手段は、前記非低温保温工程、又は、前記低温保温工程のいずれかで、蓋体の開閉を検出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の米飯用加熱装置。
【請求項6】
前記加熱制御手段は、低温保温工程の時間の調整を、低温保温工程の時間を短くすることにより行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の米飯用加熱装置。
【請求項7】
前記加熱制御手段は、低温保温工程の時間を短くする場合、非低温保温工程の時間を長くすることにより、保温制御処理に要する時間を同一としたことを特徴とする請求項6に記載の米飯用加熱装置。
【請求項8】
前記加熱制御手段は、低温保温工程で蓋体が開閉された場合と、非低温保温工程で蓋体が開閉された場合とで、低温保温工程の時間を変更することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の米飯用加熱装置。
【請求項9】
前記加熱制御手段は、非低温保温工程又は低温保温工程で、蓋体の開閉が検出されることにより、低温保温工程での保温温度を上昇させることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の米飯用加熱装置。
【請求項10】
前記加熱制御手段は、非低温保温工程又はこれに続く低温保温工程で、蓋体の開閉が検出されることにより、前記低温保温工程に続く非低温保温工程での保温温度を上昇させることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の米飯用加熱装置。
【請求項11】
前記加熱制御手段は、低温保温工程の途中で、蓋体の開閉が検出されることにより、前記低温保温工程での加熱量を増大させることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の米飯用加熱装置。
【請求項12】
収容凹部を備えた装置本体と、
前記収容凹部に取出可能に収容される内鍋と、
前記装置本体に設けられ、収容凹部に収容された内鍋の上方開口部を閉鎖する閉鎖位置と、開放する開放位置とに回動可能な蓋体と、
前記装置本体に設けられ、収容凹部に収容された内鍋を加熱する加熱手段と、
を備えた米飯用加熱装置で行う保温制御方法であって、
少なくとも第1設定温度で温調する工程を有する非低温保温工程と、少なくとも第1設定温度とは異なる第2設定温度で温調する工程を有する低温保温工程とを行う保温制御処理を実行し、
前記蓋体の開閉回数をカウントし、カウントされた蓋の開閉回数に基づいて低温保温工程の時間を調整することを特徴とする保温制御方法。
【請求項13】
収容凹部を備えた装置本体と、
前記収容凹部に取出可能に収容される内鍋と、
前記装置本体に設けられ、収容凹部に収容された内鍋の上方開口部を閉鎖する閉鎖位置と、開放する開放位置とに回動可能な蓋体と、
前記装置本体に設けられ、収容凹部に収容された内鍋を加熱する加熱手段と、
を備えた米飯用加熱装置で行う保温制御方法であって、
少なくとも第1設定温度で温調する工程を有する非低温保温工程と、少なくとも第1設定温度とは異なる第2設定温度で温調する工程を有する低温保温工程とを行う保温制御処理を実行し、
前記蓋体の開放時間を測定し、測定された開放時間に基づいて低温保温工程の時間を調整することを特徴とする保温制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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