説明

粉体可溶化方法及び粉体可溶化装置

【課題】CNM等の難溶解性粉体の表面修飾処理を高速化して、大量の表面修飾処理を低コストで行うことのできる粉体可溶化方法及びその粉体可溶化方法に基づき粉体可溶化処理を行える粉体可溶化装置を提供することである。
【解決手段】攪拌部材4の終端部5を液中電極14の対向電極として、両電極間に高電圧高周波パルス発生装置17の合成電圧Vが印加される。合成電圧Vの印加により、水面32近傍のCNTあるいは水面32に浮遊するCNT11が粉体電極となって、液中電極14との間で液中プラズマ放電27を発生させる。液中プラズマ放電27により液中電極14の周囲が沸騰状態に達し、HやOH等のラジカルを含む活性水蒸気28が生ずる。活性水蒸気28及び液中プラズマに接触することにより、浮遊CNT粉体はCNT周囲に水和層が形成され親水化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノボール(carbon nanoball:CNB)、カーボンナノチューブ(carbon nanotube:CNT)、フラーレン、ダイヤモンドライクカーボン(diamond−like carbon:DLC)、ナノダイヤパウダー等の難溶解性粉体を水やアルコール等の溶媒に溶解させる粉体可溶化方法及びその粉体可溶化方法に基づいて前記難溶解性粉体の可溶化処理を行う粉体可溶化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CNB、CNT、フラーレン、DLC等のカーボンナノ材料(carbon nanomaterials:CNM)は、電子材料、医薬品、化粧品、潤滑剤など多岐に亘る応用が可能な優れた特性を有しているため、新規な機能素材として次世代への期待が高まっており、急速な開発が進められている。
【0003】
例えば、CNTはアルミニウムの半分という軽量性、鋼鉄の数十倍の強度、更にいくら曲げても折れないしなやかな弾力性からなる優れた材料特性を具備している。しかも、CNTは構造によって電気伝導率が変わることから、シリコン以後の半導体の素材として期待されているほか、内部に筒状の中空空間を有しているため、種々の分子を内包させることが可能であり、例えば燃料電池の電極等としての利用の可能性が秘められている。CNTとしては、単層カーボンナノボール(single wall carbon nanotube:SWCNT)と多層カーボンナノボール(multi wall carbon nanotube:MWCNT)が見出されている。
【0004】
CNMの応用として、例えば、樹脂やフィルムにCNMを混練することにより機械的強度や耐摩耗性等を向上させ高機能化を図ることができる。CNMを混練するには、CNMと樹脂成分を相互に強固に化学的結合をさせるため、CNMに親水性の表面修飾を行う必要がある。例えば、CNTの表面を水酸基で修飾することにより、CNTの周りに水和層が形成されて水溶化され、この修飾CNTを樹脂に分散させることにより、上記高機能化されたCNT含有樹脂を生成することができる。
【0005】
特開2008−13810号公報(特許文献1)には、貯留部に貯留している金属塩の溶液に配置した一対の液中電極間に液中プラズマを生じさせることにより、溶媒を構成する元素や化合物のラジカルや電子を生じさせ、この生じた元素や化合物のラジカルや電子によって溶液中の金属イオンを還元することにより金属塩を構成する金属のナノ粒子を生成するナノテクノロジーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−13810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
CNMは一般的に水やアルコール等の有機溶媒に溶けにくい難溶解性を有している。このため、従来、難溶解性粉体であるCNMに親水性の表面修飾を施すには、例えばCNTの表面に酸処理等の化学的処理を行なって表面改質を行ったり、界面活性剤をCNTの表面に物理的吸着を行ったりしている。しかしながら、これらの化学的処理あるいは物理的吸着処理では、表面修飾処理に時間を要するため、事業化に向けての高速化及び大量処理を妨げる問題があった。また、化学的処理に用いる酸等によりCNM構造に影響を与えるおそれがあり、界面活性剤による表面修飾処理の場合には物理的吸着の処理制御に困難を伴う。更に、特許文献1に開示されたナノテクノロジーを用いれば、液中プラズマによりCNT等への表面修飾処理時間を短縮できるが、難溶解性のCNTを液中電極間に導く技術を必要とし、実現困難となっていた。
【0008】
従って、本発明の目的は、CNM等の難溶解性粉体の表面修飾処理を高速化して、大量の表面修飾処理を低コストで行うことのできる粉体可溶化方法及びその粉体可溶化方法に基づき粉体可溶化処理を行える粉体可溶化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、液中プラズマを用いてCNM表面を高速且つ大量に修飾処理する方法を鋭意研究した結果、液面に接したCNM自体を片方のプラズマ電極として用い、液中に配した液中電極との間で液中プラズマ放電を行うことにより、難溶解性粉体の高速且つ大量の表面修飾処理が可能となる知見を得るに至った。
【0010】
本発明は上記課題を解決するため、上記知見に基づきになされたものであり、本発明の第1の形態は、溶媒を収容した溶媒槽の液中に少なくとも1つの液中電極を配置し、前記溶媒槽内の前記溶媒の液面に難溶解性粉体を供給し、前記難溶解性粉体により構成された粉体電極と前記液中電極との電極間に高電圧高周波パルスを印加して高電圧放電による液中プラズマを発生させ、前記難溶解性粉体を前記液中に溶解させる粉体可溶化方法である。
【0011】
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記難溶解性粉体が非導電性物質からなり、前記液中電極に対して前記溶媒の液面を介して対向電極を配置し、前記対向電極と前記液面間に前記難溶解性粉体を供給し、前記液中電極と前記対向電極との電極間に前記高電圧高周波パルスを印加したとき、前記対向電極と前記液面間に介在する前記難溶解性粉体により形成される誘電体層により前記粉体電極を構成して、前記高電圧放電による液中プラズマを発生させる粉体可溶化方法である。
【0012】
本発明の第3の形態は、第2の形態において、前記難溶解性粉体を撹拌する撹拌部材を前記溶媒槽の液面近傍に配置し、前記撹拌部材の終端部を前記対向電極として前記高電圧高周波パルスを印加し、前記撹拌部材により撹拌しながら前記難溶解性粉体を前記液面側に供給する粉体可溶化方法である。
【0013】
本発明の第4の形態は、第1、第2又は第3の形態において、前記難溶解性粉体が、カーボンナノボール(CNB)、単層又は多層のカーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等の導電性物質又はダイヤモンドライクカーボン(DLC)、ナノダイヤパウダー等の非導電性物質からなる粉体可溶化方法である。
【0014】
本発明の第5の形態は、前記第1〜第4形態のいずれかにおいて、前記溶媒が、水等の水酸基を含む液体、あるいはアンモニア水等のアミノ基を含む液体のいずれかからなる粉体可溶化方法である。
【0015】
本発明の第6の形態は、第1〜第5の形態のいずれかにおいて、前記高電圧高周波パルスは、1kV〜20kVの範囲のいずれかのピーク間電圧値を有する粉体可溶化方法である。
【0016】
本発明の第7の形態は、第1〜第6の形態のいずれかにおいて、前記高電圧高周波パルスは、0.1kHz〜300kHzの範囲のいずれかの周波数を有する粉体可溶化方法である。
【0017】
本発明の第8の形態は、第1〜第6の形態のいずれかにおいて、前記高電圧高周波パルスは、0.1μS〜100μSの範囲のいずれかのパルス幅を有する粉体可溶化方法である。
【0018】
本発明の第9の形態は、第1〜第8の形態のいずれかにおいて、前記高電圧高周波パルスは、高周波パルスにRF電圧を重畳した合成電圧からなる粉体可溶化方法である。
【0019】
本発明の第10の形態は、溶媒を収容した溶媒槽と、前記溶媒槽の液中に配置した少なくとも1つの液中電極と、前記液中電極に対向して配置した少なくとも1つの対向電極と、前記溶媒槽内の前記溶媒の液面に難溶解性粉体を供給する難溶解性粉体供給部と、前記難溶解性粉体により構成された粉体電極と前記液中電極との電極間に高電圧高周波パルスを印加する高電圧高周波パルス発生装置とを有し、前記電極間に前記高電圧高周波パルスを印加して高電圧放電を発生させ、前記難溶解性粉体を前記液中に溶解させる粉体可溶化装置である。
【0020】
本発明の第11の形態は、第10の形態において、前記液中電極に対して前記溶媒の液面を介して前記対向電極を配置し、前記電極間に前記難溶解性粉体供給部により非導電性物質からなる前記難溶解性粉体を供給し、前記液中電極と前記対向電極との電極間に前記高電圧高周波パルスを印加したとき、前記難溶解性粉体が、前記対向電極と前記液面間に介在する前記難溶解性粉体により形成される誘電体層により前記粉体電極を構成して、前記高電圧放電による液中プラズマを発生させる粉体可溶化装置である。
【0021】
本発明の第12の形態は、第10又は第11の形態において、前記溶媒槽の液面近傍に配置され、前記難溶解性粉体を撹拌する撹拌部材を備え、前記撹拌部材の終端部を前記対向電極として前記高電圧高周波パルスを印加し、前記撹拌部材により撹拌しながら前記難溶解性粉体を前記液面側に供給する粉体可溶化装置である。
【0022】
本発明の第13の形態は、第10、第11又は第12の形態において、前記高電圧高周波パルス発生装置は、基本高周波信号を複数に分周すると共に位相を複数段にずらしたスイッチング信号に基づき直流電力をスイッチングして得られたパルス電圧を合成した高周波パルスを発生させる高周波パルス発生回路からなる粉体可溶化装置である。
【0023】
本発明の第14の形態は、第10〜第13の形態のいずれかにおいて、前記高電圧高周波パルス発生装置は、RF電源と、前記RF電源のRF電圧を前記高電圧高周波パルス発生回路により発生された高周波パルスに重畳する重畳装置とを含み、前記高周波パルスに前記RF電圧を重畳した合成電圧を前記高電圧高周波パルスとして印加する粉体可溶化装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1の形態によれば、溶媒を収容した溶媒槽の液中に少なくとも1つの液中電極を配置し、前記溶媒槽内の前記溶媒の液面に難溶解性粉体を供給し、前記難溶解性粉体により構成された粉体電極と前記液中電極との電極間に高電圧高周波パルスを印加して高電圧放電による液中プラズマを発生させ、前記難溶解性粉体を前記液中に溶解させるので、前記液中電極を配置するだけの簡単な構成で、前記難溶解性粉体を前記溶媒の液面に供給することにより、前記難溶解性粉体の親水化のための表面修飾処理を液中プラズマによって高速化して連続処理し、大量の表面修飾処理を低コストで行うことができる。
【0025】
本発明における表面修飾処理は、水に限らず、アルコール、各種有機溶媒、ナトリウム含有液等の溶媒に適用することができる。また、前記難溶解性粉体には、水、アルコール、有機溶媒などに溶解しにくいCNMに限らず、難溶解性を有する炭素由来の微粉末やナノ粒子、炭素被覆をしたセラミック粒子等を使用することができ、また導電性物質に限らず非導電性物質にも適用することができる。
前記液中電極の設置数は少なくとも1つあればよく、多数個設置することにより、液中プラズマの発生率を高め、より効率的な表面修飾処理を行うことができる。
【0026】
本発明の第2の形態によれば、前記難溶解性粉体が非導電性物質からなり、前記液中電極に対して前記溶媒の液面を介して対向電極を配置し、前記対向電極と前記液面間に前記難溶解性粉体を供給し、前記液中電極と前記対向電極との電極間に前記高電圧高周波パルスを印加したとき、前記対向電極と前記液面間に介在する前記難溶解性粉体により形成される誘電体層により前記粉体電極を構成して、前記高電圧放電による液中プラズマを発生させるので、前記液中電極を配置するだけの簡単な構成で、前記難溶解性粉体を前記対向電極と前記液面間に介在するように供給することにより、非導電性物質からなる難溶解性粉体の表面修飾処理を液中プラズマによって高速化して連続処理し、大量の表面修飾処理を低コストで行うことができる。
【0027】
本発明の第3の形態によれば、前記難溶解性粉体を撹拌する撹拌部材を前記溶媒槽の液面近傍に配置し、前記撹拌部材の終端部を前記対向電極として前記高電圧高周波パルスを印加し、前記撹拌部材により撹拌しながら前記難溶解性粉体を前記液面側に供給するので、前記撹拌部材の撹拌作用により前記難溶解性粉体を前記液面側に連続的な供給を行え、しかも前記撹拌部材の終端部を前記対向電極として前記高電圧高周波パルスを印加することにより、液中プラズマによる表面修飾処理の高速化及び連続処理を促進して、より一層の大量処理化及び低コスト化を実現することができる。
前記撹拌部材は、スクリュー、羽根板、螺旋部材、コイル状部材等、前記難溶解性粉体を前記液面側に連続的な供給可能な形態の搬送回転翼部材を使用することができる。
【0028】
本発明の第4の形態によれば、カーボンナノボール(CNB)、単層又は多層のカーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等の導電性物質又はダイヤモンドライクカーボン(DLC)、ナノダイヤパウダー等の非導電性物質からなるCNMに適用することにより、難溶解性粉体であるCNMに対して液中プラズマによる表面修飾処理を高速且つ大量に施した修飾CNMを生成して低価格な高機能化結合材料を得ることができる。
【0029】
本発明の第5の形態によれば、水等の水酸基を含む液体、あるいはアンモニア水等のアミノ基を含む液体のいずれかからなる前記溶媒を使用することにより、例えば、水酸基を含む液体を使用してCNMの表面にOH基を結合可能なラジカルを液中プラズマにより発生させたり、またアミノ基を含む液体を使用してアミノ基を結合可能なラジカルを発生させたりして、前記難溶解性粉体の表面修飾処理の高速化且つ大量処理化を実現することができる。
【0030】
本発明の第6の形態によれば、前記高電圧高周波パルスは、1kV〜20kVの範囲のいずれかのピーク間電圧値を有するので、表面修飾処理に好適な液中プラズマ放電を発生させて、前記難溶解性粉体の表面修飾処理の高速化且つ大量処理化を実現することができる。
【0031】
本発明の第7の形態によれば、前記高電圧高周波パルスは、0.1kHz〜300kHzの範囲のいずれかの周波数を有するので、表面修飾処理に好適な液中プラズマ放電を発生させて、前記難溶解性粉体の表面修飾処理の高速化且つ大量処理化を実現することができる。
【0032】
本発明の第8の形態によれば、前記高電圧高周波パルスは、0.1μS〜100μSの範囲のいずれかのパルス幅を有するので、表面修飾処理に好適な液中プラズマ放電を発生させて、前記難溶解性粉体の表面修飾処理の高速化且つ大量処理化を実現することができる。
【0033】
本発明の第9の形態によれば、前記高電圧高周波パルスは、高周波パルスにRF電圧を重畳した合成電圧からなるので、RF電圧(高周波電力)によりプラズマ発生を促進し、高周波パルスによるプラズマ中のラジカルやイオンの誘引を行え、表面修飾処理に好適な液中プラズマ放電を発生させることができ、前記難溶解性粉体の表面修飾処理の高速化且つ大量処理化を実現することができる。
【0034】
本発明の第10の形態によれば、前記溶媒槽の液中に少なくとも1つの液中電極を配置し、前記溶媒槽内の前記溶媒の液面に難溶解性粉体を前記難溶解性粉体供給部により供給し、前記難溶解性粉体により構成された粉体電極と前記液中電極との電極間に前記高電圧高周波パルス発生装置により高電圧高周波パルスを印加して高電圧放電による液中プラズマを発生させ、前記難溶解性粉体を前記液中に溶解させるので、前記液中電極を配置するだけの簡単な構成で、前記難溶解性粉体を前記溶媒の液面に供給することにより、前記難溶解性粉体の親水化のための表面修飾処理を液中プラズマによって高速化して連続処理し、大量の表面修飾処理を低コストで行うことのできる粉体可溶化装置を提供することができる。
【0035】
本発明の第11の形態によれば、前記液中電極に対して前記溶媒の液面を介して対向電極を配置し、前記対向電極と前記液面間に前記難溶解性粉体供給部により、非導電性物質からなる前記難溶解性粉体を供給し、前記液中電極と前記対向電極との電極間に前記高電圧高周波パルスを印加したとき、前記対向電極と前記液面間に介在する前記難溶解性粉体により形成される誘電体層により前記粉体電極を構成して、前記高電圧放電による液中プラズマを発生させるので、前記液中電極を配置するだけの簡単な構成で、前記難溶解性粉体を前記対向電極と前記液面間に介在するように供給することにより、非導電性物質からなる難溶解性粉体の表面修飾処理を液中プラズマによって高速化して連続処理し、大量の表面修飾処理を低コストで行うことのできる粉体可溶化装置を提供することができる。
【0036】
本発明の第12の形態によれば、前記溶媒槽の液面近傍に配置され、前記難溶解性粉体を撹拌する撹拌部材を備え、前記撹拌部材の終端部を前記対向電極として前記高電圧高周波パルスを印加し、前記撹拌部材により撹拌しながら前記難溶解性粉体を前記液面側に供給するので、前記撹拌部材の撹拌作用により前記難溶解性粉体を前記液面側に連続的な供給を行え、しかも前記撹拌部材の終端部を前記対向電極として前記高電圧高周波パルスを印加することにより、液中プラズマによる表面修飾処理の高速化及び連続処理を促進して、より一層の大量処理化及び低コスト化を実現することのできる粉体可溶化装置を提供することができる。
【0037】
本発明の第13の形態によれば、前記高電圧高周波パルス発生装置は、基本高周波信号を複数に分周すると共に位相を複数段にずらしたスイッチング信号に基づき直流電力をスイッチングして得られたパルス電圧を合成した高周波パルスを発生させる高周波パルス発生回路からなるので、前記高周波パルスの印加により表面修飾処理に好適な液中プラズマ放電を発生させて、前記難溶解性粉体の表面修飾処理の高速化且つ大量処理化を実現することのできる粉体可溶化装置を提供実現することができる。
【0038】
本発明の第14の形態によれば、前記高電圧高周波パルス発生装置は、RF電源と、前記RF電源のRF電圧を前記高電圧高周波パルス発生回路により発生された高周波パルスに重畳する重畳装置とを含み、前記高周波パルスに前記RF電圧を重畳した合成電圧を前記高電圧高周波パルスとして印加するので、表面修飾処理により好適な液中プラズマ放電を発生させて、前記難溶解性粉体の表面修飾処理の高速化且つ大量処理化を実現することのできる粉体可溶化装置を提供実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係るCNT可溶化装置の概略構成図である。
【図2】前記実施形態に用いる高電圧高周波パルスの波形図である。
【図3】前記実施形態におけるCNT表面修飾処理制御部の概略構成ブロック図である。
【図4】前記CNT表面修飾処理制御部における表面修飾処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の別の実施形態に係る粉体可溶化装置の概略構成図である。
【図6】図5の粉体可溶化装置におけるプラズマ発生機構を説明するための等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0041】
図1は本発明の一実施形態に係るCNT可溶化装置の概略構成を示す。
本実施形態に係るCNT可溶化装置は本発明の可溶化方法に基づきCNT(難溶解性粉体)を水に溶解させて、表面修飾処理を行うための親水化処理装置である。本発明に係る可溶化方法によれば、水(溶媒)31を収容した溶媒槽1の水中に2つの液中電極14を配置し、溶媒槽1内の溶媒の水面にCNT7を供給し、CNT7により構成された粉体電極と液中電極14との電極間に高電圧高周波パルスを印加して高電圧放電による液中プラズマ放電27を発生させてCNT7を水中に溶解させることができる。
【0042】
溶媒槽1の開放口には、中央部が開口した蓋体2が取り付けられている。溶媒槽1内に溶媒の水31がほぼ満たされ、溶媒槽1上部に蓋体2がシール部材26を介してねじ部25により螺着して冠着されている。蓋体2の中央部は水面32側に垂下された筒形状を有する。各液中電極14は蓋体2の開口に向けて配置されている。蓋体2の開口周辺からは、液中電極14の配線が導出されている。溶媒槽1及び蓋体2は絶縁性樹脂により形成されている。液中電極14は導電線の先端部分を上方に向けた針状電極を形成している。導電線の両端以外はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の絶縁カバー材15により覆われて、水中及び蓋体2を経て外延されている。液中電極14の先端は水面32から5〜20mmの位置に設定されている。
【0043】
蓋体2の開口部分にはCNT材を収容する導電性筒体3が嵌着されている。筒体3の上側部にはCNT導入口9が開口されており、CNT導入口9にCNT搬入部6の搬入管8が連通接続されている。CNT搬入部6には開閉蓋12が取着されており、開閉蓋12を開いてCNT7をCNT搬入部6内に投入可能になっている。CNTは水等に難溶解性を有しており、水面32上に浮遊した状態で供給される。搬入管8はCNT導入口9に向けて緩やかに湾曲した管路を形成し、投入されたCNT7が自然落下により搬入管8に沿って筒体3に徐々に導入されていく。搬入管8のCNT導入口9手前側にはCNT投入検知センサ24が設置されている。CNT投入検知センサ24は、CNTの通過を検出して、センサ付近における搬入管8内の残存CNTの有無を検出する。
【0044】
筒体3内には、CNT導入口9より搬入されたCNT材を攪拌する導電性攪拌部材4が配設されている。攪拌部材4はコイル状の攪拌翼体を有し、該攪拌翼体の回転軸19は筒体3を貫通して上方に外延され、連結部材22を介して駆動モータ21の回転軸に連結されている。攪拌部材4は縦状に配置されており、その攪拌体の上端部はCNT導入口9に付近に達し、終端部5は蓋体2の中央部を経て水面32に所定距離(5〜20mm)を隔てて空中に配置されている。CNT材はCNT導入口9より攪拌体全体を覆う充填状態まで搬入可能である。攪拌部材4を毎秒数回転の回転数で回転させると、その攪拌輸送作用により、筒体3内に充填されたCNT10は水面32側に向けて供給される。
【0045】
本実施形態においては、筒体3内のCNT材に通電してCNT自体を粉体電極とすることにより、液中電極14との間に高電圧高周波パルスを印加して液中プラズマ放電を発生させるプラズマ発生機構を構成している。
【0046】
図2は高電圧高周波パルス発生装置17の高電圧高周波パルス波形を示す。図3は本実施形態におけるCNT表面修飾処理制御部40の概略構成を示す。
高電圧高周波パルス発生装置17は、発振器42の基準周波数に基づき高電圧高周波パルスを発生する高電圧高周波パルス発生回路41と、RF電源43と、RF電源43のRF電圧を高電圧高周波パルス発生回路41により発生された高周波パルスに重畳する重畳装置44とからなる。重畳装置44によりRF電源電圧が重畳された高電圧高周波パルスが印加電圧Vとして粉体電極と液中電極14間に印加可能となっている。高電圧高周波パルス発生回路41は、発振器42の基準周波数に基づき高周波を発生させ、それを多数個に分周し、且つ位相をずらす分周位相制御回路と、分周位相制御回路の複数個の出力信号をスイッチングして合成し高電圧高周波パルスを生成するスイッチング回路を含む。
【0047】
図2の(2A)、(2B)は夫々、高電圧高周波パルス発生回路41、RF電源43の電圧波形を示す。同図(2C)はこれらの出力電圧(Va、Vb)を重畳装置44により合成した合成電圧Vの波形を示す。(2B)及び(2C)においては(2A)の電圧波形に対し模式的に図示している。
【0048】
液中プラズマ放電の発生には、高電圧高周波パルス(合成電圧V)の周波数を高くし、あるいは立ち上がりを急峻にすることにより、効率的に放電発生を誘引することができる。即ち、本実施形態では、液中プラズマ放電発生の効率を高めるために、以下のパルス発生条件に基づいて高電圧高周波パルス(合成電圧V)が高電圧高周波パルス発生装置17から出力される。
高電圧高周波パルス発生回路41の高電圧高周波パルスVaは1kV〜20kVの範囲のいずれかのピーク間電圧値Vppに設定される。高電圧高周波パルスVaの周波数Fは、0.1kHz〜300kHzの範囲のいずれかの周波数値に設定される。高電圧高周波パルスVaのパルス幅Wは、0.1μS〜100μSの範囲のいずれかのパルス幅値に設定される。RF電源43のRF電圧Vbは13.56MHz、27.12MHzあるいは40.68MHzのいずれかの周波数に基づいて発生される。
【0049】
高電圧高周波パルス発生装置17によって発生された合成電圧Vは、図1に示すように、接続線16を通じて液中電極14と、接続線18及び導電性リング20を通じて攪拌部材4に印加されている。筒体3に充填されているCNT10全体に与えるように合成電圧Vが接続線18、23を通じて筒体3にも印加されている。合成電圧Vを使用すれば、RF電圧(高周波電力)によってプラズマ発生が促進され、且つ、高周波パルスによるプラズマ中のラジカルやイオンの誘引を行って、より効率的な液中プラズマ放電を発生させることが可能になる。
【0050】
上記構成のCNT可溶化装置において、攪拌部材4の終端部5を液中電極14の対向電極として、両電極間に高電圧高周波パルス発生装置17の合成電圧Vが印加される。合成電圧Vの印加により、水面32近傍のCNTあるいは水面32に浮遊するCNT11が粉体電極となって、液中電極14との間で液中プラズマ放電27を発生させる。液中プラズマ放電27により液中電極14の周囲が沸騰状態に達し、HやOH等のラジカルを含む活性水蒸気28が生ずる。この活性水蒸気28及び液中プラズマに接触することにより、浮遊CNT粉体はCNT周囲に水和層が形成され親水化(水溶化)される。活性水蒸気28は上昇して、水面32近傍の空中CNTを通過するので、液面上の空中CNTも親水化することができる。親水化された修飾CNT29、30は水中に溶解して自重により溶媒槽1の底部に落下していく。溶媒槽1の底部に堆積した修飾CNT33を回収することにより、修飾CNTからなる高機能化結合材料を得ることができる。
【0051】
上記CNT可溶化装置によれば、攪拌部材4によるCNT材の輸送撹拌を行いながら、水の界面付近において液中プラズマによる親水化処理を行うことができる。従って、上記CNT可溶化装置の稼働により、CNTの表面修飾の連続処理化及び高速化を実現でき、しかも大量に修飾CNMを生成して高機能化結合材料の低価格化を実現することができる。
【0052】
上記CNT可溶化装置は図3に示すCNT表面修飾処理制御部40による表面修飾処理の連続処理管理機能を具備する。
【0053】
CNT表面修飾処理制御部40はCPU、表面修飾処理制御プログラムを記憶するプログラム記憶メモリのROM及びワーキングメモリのRAMからなるマイクロプロセッサにより構成されている。CNT表面修飾処理制御部40には、CNT投入検知センサ24及び起動SW45による入力信号が入力される。起動SW45の押下により表面修飾処理制御プログラムを起動させることができる。また、CNT表面修飾処理制御部40には、各種データの設定入力を行うためのキー入力装置46が接続されており、キー入力装置46による設定データは液晶表示装置47に外部出力されて表示される。
【0054】
搬入管8途中に設置されたCNT投入検知センサ24によって、搬入管8内の残存CNTがないことを検出してから一定時間tの経過によりCNT導入口9付近の投入CNT13がすべて筒体3内に投入されたと判断され、その判断時点から、筒体3内の一定量のCNT10がすべて親水化されるまでの所要処理時間Tデータを予め計測して取得しておき、所要処理時間Tデータに基づき表面修飾処理の連続処理管理が実行される。終了検知時間(t+T)は終了検知タイマ設定モードにおいてキー入力装置46による設定入力操作により予め前記ROMに設定、記憶される。
【0055】
外部出力手段として、高電圧高周波パルス発生回路41、RF電源43及び撹拌部材4用の駆動モータ21がCNT表面修飾処理制御部40に接続されている。CNT表面修飾処理制御部40は高電圧高周波パルス発生回路41、RF電源43及び駆動モータ21に夫々、駆動制御信号を出力する。CNT表面修飾処理制御部40には、表面修飾処理の開始及び終了状態、撹拌部材4の駆動状態、CNT投入有無を夫々、報知するLEDランプからなる稼働状態表示器48が接続され、各稼働状態に応じたランプ点灯信号が稼働状態表示器48に出力される。
【0056】
図4は表面修飾処理制御プログラムに基づき実行される表面修飾処理手順を示す。
表面修飾処理の実行に先立ち、終了検知タイマ設定モードにおいて、キー入力装置46を操作して、表面修飾処理の終了検知時間(t+T)の入力設定が行われる。次に、起動SW45のONにより表面修飾処理制御プログラムが起動すると、CNTの投入済みか否か判断する(ステップS1、S2)。CNT投入検知センサ24がONか否かによりCNTの投入済みが確認される。CNT投入検知センサ24がONしていないとき、CNT材投入未了と判断して稼働状態表示器48のCNT材投入未了ランプの点灯で報知される。CNT材投入未了時には、開閉蓋12を開いてCNT7をCNT搬入部6内に投入し、CNT投入検知センサ24がONするまで筒体3内に充填する(ステップS8)。
【0057】
CNT投入検知センサ24がONし、CNTの投入済みが確認されたとき(ステップS2)、高電圧高周波パルス発生回路41及びRF電源43を駆動し、合成電圧Vを発生させる(ステップS3)。同時に、駆動モータ21を駆動して撹拌部材4を回転させる(ステップS4)。高電圧高周波パルス(合成電圧V)の発生及び撹拌部材4の回転開始により、水面32近傍あるいは水面32に浮遊するCNT11が粉体電極となって、液中電極14との間で液中プラズマ放電27を発生させるプラズマ発生機構により、筒体3内のCNT10が攪拌部材4による撹拌輸送作用を受けて速やかに親水化されていく。
【0058】
筒体3内のCNT10の表面修飾処理が進行し、CNT投入検知センサ24がOFFとなると、CPUのタイマ機能が作動して、予め設定された終了検知時間(t+T)の計時が開始され、終了検知時間(t+T)の経過により投入CNTの全量の表面修飾処理の終了と判断し(ステップS5)、高電圧高周波パルスの発生及び撹拌部材4の回転を停止する(ステップS6、S7)。表面修飾処理の終了時には稼働状態表示器48の終了ランプの点灯で報知される。
【0059】
上記表面修飾処理手順により、表面修飾処理の連続処理管理が行われるので、液中プラズマによる親水化処理を自動化することができ、修飾CNTの高速且つ大量生成工程の省人化及び低コスト化を図ることができる。
【0060】
上記実施形態においては、CNTに限らず、例えば、カーボンナノボール(CNB)やフラーレン等の導電性物質からなるCNM等の難溶解性粉体に対する表面修飾処理を行うことができる。
【0061】
図5は本発明の別の実施形態に係る粉体可溶化装置の概略構成を示す。
上記実施形態の粉体可溶化装置は、難溶解性粉体自体に通電し粉体電極として使用するので、CNT、CNB、フラーレン等の導電性物質からなるCNM等の難溶解性粉体に対する表面修飾処理に好適であるが、図5は、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、ナノダイヤパウダー等の非導電性物質からなる難溶解性粉体に対する表面修飾処理に好適な粉体可溶化装置を示す。以下の実施形態はDLCの水溶化の一例である。
【0062】
ボトル形状の溶媒槽50上方の筒部53には蓋体70が冠着されている。溶媒の水51が筒部53根元付近まで満たされている。4個の液中電極71は水面52に向けて配置されている。液中電極71の配線は溶媒槽50の側部から漏水防止シール材73を介して外方に導出されている。溶媒槽50及び蓋体70は絶縁性樹脂により形成されている。液中電極71は、液中電極14と同様に、導電線の先端部分を上方に向けた針状電極を形成している。導電線の両端以外はPTFE製の絶縁カバー材72により覆われて、水中及び溶媒槽50を経て外延されている。液中電極71の先端は水面52から5〜20mmの位置に設定されている。
【0063】
筒部53の側面にはDLC導入口58が開口されており、DLC導入口58にDLC搬入路59が連通接続されている。DLC搬入路59の上部は開口されており、DLC67を溶媒槽50内に投入可能になっている。DLCは水等に難溶解性を有しており、水面52上に浮遊した状態で供給される。
【0064】
筒部53内には、DLC搬入路59より搬入されたDLC材を攪拌する攪拌部材55が配設されている。攪拌部材55は積層状に配置した3枚のプロペラ型攪拌翼体からなり、該攪拌翼体の導電性回転軸54は蓋体70を貫通して上方に外延され、連結部材76を介して駆動モータ57の回転軸に連結されている。攪拌部材55は縦状に配置されており、最上部の攪拌翼体はDLC導入口58付近に位置する。回転軸54の終端には、多数の貫通穴が形成されたメッシュ状対向電極56が取着されている。該貫通穴はDLC粉体が通過可能な大きさ(1mm径)を有する。対向電極56は平坦な円板形状を有し、その平坦面を水面52に並行に、所定距離(5〜20mm)を隔てて空中に配置されている。DLC67はDLC搬入路59より搬入して攪拌体全体を覆う充填状態まで搬入可能である。攪拌部材55を毎秒数回転の回転数で回転させると、その攪拌輸送作用により、筒部53内に充填されたDLC78はメッシュ状対向電極56の貫通穴を通過して水面52側に向けて供給される。
【0065】
液中電極74と対向電極56の電極間には、高電圧高周波パルス発生装置60により、前記実施形態の高電圧高周波パルス発生装置17によって発生された合成電圧と同様にして、合成電圧Vが発生されて印加される。即ち、図5に示すように、合成電圧Vが、接続線61〜64を通じて各液中電極71と、接続線65、導電性リング66及び回転軸54を通じて対向電極56に印加されている。
【0066】
図6は図5の実施形態におけるプラズマ発生機構を説明するための等価回路図である。
図5の実施形態においては、液中電極71と対向電極56との電極間に高電圧高周波パルス(合成電圧V)を印加したとき、対向電極56と液面52間に介在するDLC粉体の誘電率により形成される誘電体層によって粉体電極を構成して、高電圧放電による液中プラズマを発生させるプラズマ発生機構を構成している。
【0067】
上記構成の粉体可溶化装置において、攪拌部材55の終端部に設けた対向電極56と液中電極71の電極間に高電圧高周波パルス発生装置60の合成電圧Vが印加される。合成電圧Vの印加により、対向電極56の下方で水面52上に介在するDLC層77による誘電体79が粉体電極を構成して、前記プラズマ発生機構に基づき、液中電極71との間で液中プラズマ放電74を発生させる。液中プラズマ放電74により液中電極71の周囲が沸騰状態に達し、HやOHのラジカルを含む活性水蒸気75が生ずる。この活性水蒸気75及び液中プラズマに接触することにより、水面52上に浮遊するDLC粉体はDLC周囲に水和層が形成され親水化(水溶化)される。活性水蒸気75は上昇して、水面52近傍の空中DLCを通過するので、液面上の空中DLCも親水化することができる。親水化された修飾DLC68、69は水中に溶解して自重により溶媒槽50の底部に落下していく。溶媒槽50の底部に堆積した修飾DLCを回収することにより、修飾DLCからなる高機能化結合材料を得ることができる。
【0068】
前記プラズマ発生機構に基づいて、高電圧放電による液中プラズマを発生させるので、液中電極71及び対向電極56を配置するだけの簡単な構成で、非導電性の難溶解性粉体を対向電極56と液面52間に介在するように、攪拌部材55の撹拌輸送作用により供給することにより、DLC等の非導電性物質の表面修飾処理を液中プラズマによって高速化して連続処理し、大量の表面修飾処理を低コストで行うことができる。
る。
【0069】
図1及び図5の実施形態では溶媒に水31、51を用いた水溶化の例を示したが、アンモニア水を溶媒に使用してアミノ基により修飾した修飾CNMなどを生成することができる。例えば、CNTにアミノ基により修飾することにより、ポリアミドとの分散性に優れた修飾CNTからなる高機能化結合材料を高速且つ大量に製造することができる。
【0070】
本発明は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明によれば、難溶解性粉体の親水化のための表面修飾処理を液中プラズマによって高速化して連続処理し、大量の表面修飾処理を低コストで行うことができるので、例えばCNM材の利用分野、特に高機能化結合材料への応用範囲の拡大を図ることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 溶媒槽
2 蓋体
3 筒体
4 攪拌部材
5 終端部
6 CNT搬入部
7 CNT
8 搬入管
9 CNT導入口
10 CNT
11 CNT
12 開閉蓋
13 CNT
14 液中電極
15 絶縁カバー材
16 接続線
17 高電圧高周波パルス発生装置
18 接続線
19 回転軸
20 導電性リング
21 駆動モータ
22 連結部材
23 接続線
24 CNT投入検知センサ
25 ねじ部
26 シール部材
27 液中プラズマ放電
28 活性水蒸気
29 修飾CNT
30 修飾CNT
31 水
32 水面
33 修飾CNT
40 CNT表面修飾処理制御部
41 高電圧高周波パルス発生回路
42 発振器
43 RF電源
44 重畳装置
45 起動SW
46 キー入力装置
47 液晶表示装置
48 稼働状態表示器
50 溶媒槽
51 水
52 水面
53 筒部
54 回転軸
55 攪拌部材
56 対向電極
57 駆動モータ
58 DLC導入口
59 DLC搬入路
60 高電圧高周波パルス発生装置
61 接続線
62 接続線
63 接続線
64 接続線
65 接続線
66 導電性リング
67 DLC
68 修飾DLC
69 修飾DLC
70 蓋体
71 液中電極
72 絶縁カバー材
73 漏水防止シール材
74 液中プラズマ放電
75 活性水蒸気
76 連結部材
77 DLC
78 DLC
79 誘電体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒を収容した溶媒槽の液中に少なくとも1つの液中電極を配置し、前記溶媒槽内の前記溶媒の液面に難溶解性粉体を供給し、前記難溶解性粉体により構成された粉体電極と前記液中電極との電極間に高電圧高周波パルスを印加して高電圧放電による液中プラズマを発生させ、前記難溶解性粉体を前記液中に溶解させることを特徴とする粉体可溶化方法。
【請求項2】
前記難溶解性粉体が非導電性物質からなり、前記液中電極に対して前記溶媒の液面を介して対向電極を配置し、前記対向電極と前記液面間に前記難溶解性粉体を供給し、前記液中電極と前記対向電極との電極間に前記高電圧高周波パルスを印加したとき、前記対向電極と前記液面間に介在する前記難溶解性粉体により形成される誘電体層により前記粉体電極を構成して、前記高電圧放電による液中プラズマを発生させる請求項1に記載の粉体可溶化方法。
【請求項3】
前記難溶解性粉体を撹拌する撹拌部材を前記溶媒槽の液面近傍に配置し、前記撹拌部材の終端部を前記対向電極として前記高電圧高周波パルスを印加し、前記撹拌部材により撹拌しながら前記難溶解性粉体を前記液面側に供給する請求項2に記載の粉体可溶化方法。
【請求項4】
前記難溶解性粉体が、カーボンナノボール(CNB)、単層又は多層のカーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等の導電性物質又はダイヤモンドライクカーボン(DLC)、ナノダイヤパウダー等の非導電性物質からなる請求項1、2又は3に記載の粉体可溶化方法。
【請求項5】
前記溶媒が、水等の水酸基を含む液体、あるいはアンモニア水等のアミノ基を含む液体のいずれかからなる請求項1〜4のいずれかに記載の粉体可溶化方法。
【請求項6】
前記高電圧高周波パルスは、1kV〜20kVの範囲のいずれかのピーク間電圧値を有する請求項1〜5のいずれかに記載の粉体可溶化方法。
【請求項7】
前記高電圧高周波パルスは、0.1kHz〜300kHzの範囲のいずれかの周波数を有する請求項1〜6のいずれかに記載の粉体可溶化方法。
【請求項8】
前記高電圧高周波パルスは、0.1μS〜100μSの範囲のいずれかのパルス幅を有する請求項1〜6のいずれかに記載の粉体可溶化方法。
【請求項9】
前記高電圧高周波パルスは、高周波パルスにRF電圧を重畳した合成電圧からなる請求項1〜8のいずれかに記載の粉体可溶化方法。
【請求項10】
溶媒を収容した溶媒槽と、前記溶媒槽の液中に配置した少なくとも1つの液中電極と、前記液中電極に対向して配置した少なくとも1つの対向電極と、前記溶媒槽内の前記溶媒の液面に難溶解性粉体を供給する難溶解性粉体供給部と、前記難溶解性粉体により構成された粉体電極と前記液中電極との電極間に高電圧高周波パルスを印加する高電圧高周波パルス発生装置とを有し、前記電極間に前記高電圧高周波パルスを印加して高電圧放電を発生させ、前記難溶解性粉体を前記液中に溶解させることを特徴とする粉体可溶化装置。
【請求項11】
前記液中電極に対して前記溶媒の液面を介して前記対向電極を配置し、前記電極間に前記難溶解性粉体供給部により非導電性物質からなる前記難溶解性粉体を供給し、前記液中電極と前記対向電極との電極間に前記高電圧高周波パルスを印加したとき、前記難溶解性粉体が、前記対向電極と前記液面間に介在する前記難溶解性粉体により形成される誘電体層により前記粉体電極を構成して、前記高電圧放電による液中プラズマを発生させる請求項10に記載の粉体可溶化装置。
【請求項12】
前記溶媒槽の液面近傍に配置され、前記難溶解性粉体を撹拌する撹拌部材を備え、前記撹拌部材の終端部を前記対向電極として前記高電圧高周波パルスを印加し、前記撹拌部材により撹拌しながら前記難溶解性粉体を前記液面側に供給する請求項10又は11に記載の粉体可溶化装置。
【請求項13】
前記高電圧高周波パルス発生装置は、基本高周波信号を複数に分周すると共に位相を複数段にずらしたスイッチング信号に基づき直流電力をスイッチングして得られたパルス電圧を合成した高周波パルスを発生させる高周波パルス発生回路からなる請求項10、11又は12に記載の粉体可溶化装置。
【請求項14】
前記高電圧高周波パルス発生装置は、RF電源と、前記RF電源のRF電圧を前記高電圧高周波パルス発生回路により発生された高周波パルスに重畳する重畳装置とを含み、前記高周波パルスに前記RF電圧を重畳した合成電圧を前記高電圧高周波パルスとして印加する請求項10〜13のいずれかに記載の粉体可溶化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−101140(P2012−101140A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249018(P2010−249018)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(598033929)株式会社栗田製作所 (12)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【Fターム(参考)】