説明

粉体定量供給装置

【課題】排出不良が生じるのを防止し得る粉体定量供給装置を提供する。
【解決手段】ホッパー形状の粉体貯溜槽と、この粉体貯溜槽の下端排出部に設けられた開閉装置と、この開閉装置の下方に配置されるとともにその排出口に接続されて粉体貯溜槽内の粉体を定量ずつ切り出す定量切出機とを具備し、定量切出機を、底板22に導出用案内口22aが形成された円筒状ケーシング21と、この円筒状ケーシング21の底板22上に回転可能に設けられるとともに粉体の掻寄せ材29が外周に突設された円錐台形状の回転軸体27と、この回転軸体27を回転させる電動機31とから構成し、且つ回転軸体27の上端平面部に圧力センサ51を配置するとともに、この圧力センサ51による計測圧力を開閉装置の制御部に入力してその圧力値が所定範囲内となるように制御するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば薬剤などの粉体を排ガス経路内に定量供給するための粉体定量供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ごみ焼却施設などにおいては、ごみを焼却した際に発生する塩化水素ガス(HCl)、二酸化硫黄(SO)、ダイオキシンなどの有害ガス除去を目的として、燃焼排ガス中に消石灰や重曹、活性炭などの粉体薬剤を定量的に吹き込み、この反応生成物をバグフィルタにて捕集する乾式の排ガス処理設備が用いられている。
【0003】
そして、この種の排ガス処理設備においては、消石灰や重曹、活性炭などの粉体薬剤を定量供給するための粉体定量供給装置が用いられている。
ところで、この種の粉体定量供給装置としては、例えば粉体を貯溜するホッパーと、このホッパーの排出部の下方に設けられて排出される粉体をその取出口から定量的に切り出すための回転テーブルを有する粉体定量切出機と、上記ホッパーの下端開口部と回転テーブルとの周囲隙間を調整するゲートと、回転テーブル上の粉体の高さを検出することにより回転テーブル上での粉体の量を調整するための調整装置とを具備したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、この調整装置は、回転テーブル上の粉体の表面に接触してその高さを検出し得る検出レバーにより制御されるもので、この検出レバーの検出値に応じて上記ゲートの昇降が行われるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平02−38491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の構成によると、検出レバーは湾曲状のゲートの外側に配置されているため、この検出レバーにより高さを検出してゲートを開閉したとしても、ゲートの内側はホッパー側に連通した状態であり、その内側の粉体は圧密状態になっている場合がある。そのため、排出不良が生じる惧れがあるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、排出不良が生じるのを防止し得る粉体定量供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の粉体定量供給装置は、ホッパー形状の粉体貯溜槽と、この粉体貯溜槽の下端排出部に設けられた開閉装置と、この開閉装置の下方に配置されるとともにその排出口に接続されて上記粉体貯溜槽内の粉体を定量ずつ切り出す定量切出機とを具備し、
上記定量切出機を、
底板に導出用案内口が形成された円筒状ケーシングと、この円筒状ケーシングの底板上に回転可能に設けられるとともに粉体の掻寄せ材が外周に突設された円錐台形状の回転部材と、この回転部材を回転させる回転駆動機とから構成し、
且つ上記回転部材の上端平面部に圧力センサを配置するとともに、この圧力センサによる計測圧力を上記開閉装置の制御部に入力してその圧力値が所定範囲内となるように制御するようにしたものである。
【0009】
さらに、上記構成において、粉体が重曹であるとともに、圧力センサによる計測圧力の範囲が0.002〜0.01MPaとなるように開閉装置を制御するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成によると、開閉装置の下方に配置された円錐台形状の回転部材の上端平面部に圧力センサを取り付けるとともに、この圧力センサによる計測圧力が所定範囲となるように、定量供給機の上方に設けられた開閉装置における開度を自動的に調節するようにしたので、例えば粉体として薬剤を定量供給する際に、従来のようにゲートの外側での粉体の高さを検出して回転テーブル上での粉体の量を調節する場合に比べて、当該定量供給機内で薬剤が固着しまたは固結するのを防止することができ、したがって薬剤の排出不良を無くし、排ガス経路に安定して定量供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係る粉体定量供給装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】同実施例に係る粉体定量供給装置の要部構成を示す断面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る粉体定量供給装置を具体的に示した実施例に基づき説明する。
本実施例においては、例えばごみ焼却施設に設けられて焼却炉から排出された燃焼排ガス中の有害物質を除去するために、粉末状の薬剤、すなわち粉体を排ガス経路である煙道に導くためのものである。
【0013】
図1に示すように、この粉体定量供給装置1は、粉体を貯溜するためのホッパー形状の粉体貯溜槽2と、この粉体貯溜槽2の下端の排出部に設けられた開閉装置3と、この開閉装置3の下方に配置されて粉体を定量的に切り出すための定量切出機4と、この定量切出機4から定量的に切り出された粉体を空気輸送にてごみ焼却炉の排ガス経路例えば排ガス煙道(図示せず)に導くための空気輸送手段5とから構成されている。
【0014】
上記粉体貯溜槽2は、円筒状部2aとこの円筒状部2aの下端に接続された逆円錐形状のホッパー部2bとから構成されており、このホッパー部2bの下端に円形の排出口2cが設けられている。
【0015】
上記開閉装置3は、上記ホッパー部2bの排出口2cに接続し得る所定高さの円筒部11と、この円筒部11に側方から出退自在につまり水平方向でスライド自在に設けられたつまりスライド式の平面視が円形のゲート12と、このゲート12をスライドさせる駆動機13とから構成されている。この駆動機13は、例えば電動シリンダ14と、この電動シリンダ14を制御してゲート12による排出口2cの開度を調節する制御部15とから構成されている。
【0016】
上記定量切出機4は、図1〜図3に示すように、粉体を導出し得る導出用案内口22aが左右位置で形成された底板22および粉体を導入し得る案内筒24が設けられた蓋板23を有して所定高さの円柱状空間室25を有する円筒状ケーシング21と、この円筒状ケーシング21の底板22の中心部に設けられた筒状支持部材26に鉛直軸心回りで回転自在に支持された回転軸体27と、この回転軸体27の上側に設けられた円錐台形状の被覆部材としてのコーン部28と、このコーン部28の外周面から例えば四方に突設されて粉体を所定箇所に掻き寄せるための棒状の掻寄せ材29と、これら各掻寄せ材29の先端同士を連結する棒状連結材30と、上記回転軸体27の下端部に連結されて当該回転軸体27を回転させるための電動機(回転駆動機の一例)31と、上記底板22に形成された各導出用案内口22aに対応して配置されて粉体を定量的に導出する、すなわち切り出すための粉体導出手段32とから構成されている。
【0017】
上記コーン部28の中心部には、すなわちコーン部28を挿通して突設された案内筒24内の回転軸体27の両側には粉体を切り崩すための攪拌片33が一対設けられており、またこの案内筒24の底板部24aには粉体を円柱状空間室25内に導くための導入穴24bが複数個形成されている。なお、回転軸体27とコーン部28とにより回転部材が構成されている。
【0018】
上記粉体導出手段32は、空気供給口42aが設けられた底板部42を有する所定高さの円筒状ケーシング41と、粉体取入口43aおよび空気排出口43bが形成された蓋板43と、上記底板部42の空気供給口42aおよび蓋板43の空気排出口43bにそれぞれ設けられた空気輸送手段5である空気輸送管6との接続用ノズル44と、上記底板部42上で鉛直軸心回りで回転自在に設けられて粉体を所定量ずつ粉体取入口43aから空気排出口43b側に移動させるための環状移動用枠材45と、上記円筒状ケーシング41の底部に取り付けられるとともに連結軸材46を介して連結されて上記環状移動用枠材45を回転させるための電動機47とから構成されている。なお、環状移動用枠材45は、梯子を環状にしたもので、環状移動用枠材45,45同士の間に粉体を充満させて粉体取入口43aから空気排出口43b側に運ぶためのものである。また、空気輸送管6の端部にはブロワー7が設けられている。
【0019】
そして、上記回転軸体27の上端平面部27aには、圧力を計測し得る圧力センサ(面圧センサともいう)51が配置されるとともに、この圧力センサ51で計測された計測値が上記開閉装置3の駆動機13の制御部15に入力されて、面圧が所定範囲内となるようにゲート12の開度が調節(制御)される。
【0020】
以下、薬剤として重曹を用いた場合について、その供給方法を具体的に説明する。
例えば、粉体貯溜槽2の円筒状部2aの寸法が3mφ(直径)×6mH(高さ)であり、ホッパー部2bの寸法が、上部で3mφ、下部で0.5mφ、そして高さが約2.6mである場合、充填高さを約6mにすると、重曹(嵩密度が0.6〜0.8である)その重量が約37トンとなる。この重量を面圧にすると約0.066MPaである。
【0021】
そして、重曹の切出し量を10、20、30kg/hと変化させるとともにゲート12を開閉させる際の面圧を0.001〜0.02MPaの範囲で変化させて重曹の切り出し状態を観察した。
【0022】
この結果を、下記の表1に示しておく。
【0023】
【表1】

この表1から分かるように、0.002〜0.01MPaの範囲である場合には、重曹の供給状態が良好であった。つまり、安定した供給が行われているのが分かった。
【0024】
すなわち、コーン部28に取り付けた圧力センサ51で計測される面圧が0.001〜0.02MPaの範囲となるようにゲート12の開度を自動的に調節するようにしたので、定量供給機4内で薬剤が固着しまたは固結するのを防止することができ、したがって粉体である薬剤を排ガス経路に安定して定量供給することができる。
【0025】
より具体的に説明すると、ゲートの下方に配置された回転軸体の上端平面部に圧力センサを取り付けるとともに、この圧力センサによる計測圧力が所定範囲となるように、定量供給機の上方に設けられた開閉装置における開度を自動的に調節するようにしているので、すなわち、直接、粉体が落下する箇所での圧力を検出して制御を行っているので、薬剤などの粉体を定量供給する際に、従来のようにゲートの外側での粉体の高さを検出して回転テーブル上での粉体の量を調節する場合に比べて、定量供給機内にて薬剤が固着しまたは固結するのを確実に防止することができ、したがって薬剤の排出不良を無くし、排ガス経路に安定して定量供給することができる。
【0026】
なお、粉体である薬剤としては、重曹以外に、例えば消石灰(嵩密度が0.5〜0.65である)、活性炭(嵩密度が0.5〜0.55である)などが用いられる。この場合の圧力センサ51による計測圧力についても、重曹の場合と同様に、0.002〜0.01MPaの範囲とされる。
【0027】
また、開閉装置3として、スライド式のゲート12ではなく、カメラのシャッターのような絞り機構を用いることもできる。
【符号の説明】
【0028】
1 粉体定量供給装置
2 粉体貯溜槽
3 開閉装置
4 定量切出機
5 空気輸送手段
11 円筒部
12 ゲート
13 駆動機
14 駆動シリンダ
15 制御部
21 円筒状ケーシング
22 底板
22a 導出用案内口
27 回転軸体
28 コーン部
29 掻寄せ材
31 電動機
32 粉体導出手段
41 円筒状ケーシング
42 底板部
42a 空気供給口
43 蓋板
43a 粉体取入口
43b 空気排出口
47 電動機
51 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパー形状の粉体貯溜槽と、この粉体貯溜槽の下端排出部に設けられた開閉装置と、この開閉装置の下方に配置されるとともにその排出口に接続されて上記粉体貯溜槽内の粉体を定量ずつ切り出す定量切出機とを具備し、
上記定量切出機を、
底板に導出用案内口が形成された円筒状ケーシングと、
この円筒状ケーシングの底板上に回転可能に設けられるとともに粉体の掻寄せ材が外周に突設された円錐台形状の回転部材と、この回転部材を回転させる回転駆動機とから構成し、
且つ上記回転部材の上端平面部に圧力センサを配置するとともに、この圧力センサによる計測圧力を上記開閉装置の制御部に入力してその圧力値が所定範囲内となるように制御することを特徴とする粉体定量供給装置。
【請求項2】
粉体が重曹であるとともに、圧力センサによる計測圧力の範囲が0.002〜0.01MPaとなるように開閉装置を制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の粉体定量供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−121709(P2012−121709A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275196(P2010−275196)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】