説明

粉体定量抜き出し装置

【課題】ガスハイドレートなどの付着性や結合性の激しい粉体を定量的に抜き出す粉体定量抜き出し装置。
【解決手段】多数の通気孔2を有する分散板3を容器1内に設け、前記分散板3の上方を流動層部4その下方を流動化ガス導入部5とすると共に、前記分散板3に粉体払い出し口10を設け、更に、分散板3の下方に粉体払い出し口10に対峙するスクリューコンベア11を設けた粉体定量抜き出し装置である。前記流動層部4とその下方の流動化ガス導入部5の圧力差を測定する差圧センサー22a,22bを設け、該差圧センサー22a,22bの計測値にしたがってスクリューコンベア11の回転数を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を定量的に抜き出す粉体定量抜き出し装置、特に、NHG(ガスハイドレート)などの付着性や結合性の激しい粉体を定量的に抜き出す粉体定量抜き出し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、流動層処理装置における排出装置として、流動層内に形成される流動室の底部に多数の通気孔を有する目皿板をほぼ水平に設け、この目皿板を介して熱風を吹き上げて粉粒体を乾燥、造粒、コーティングなどの粉粒体処理を行い、この製品などをスクリューコンベアによって流動層本体側壁に形成される排出口から排出する流動層処理装置において、前記スクリューコンベアを、前記目皿板の下方に配した全面に通気孔を有する樋状の案内ケーシング内に備え、かつ、前記目皿板には、前記スクリューコンベアの上方全域に開口部を形成することにより、粉粒体を流動させつつ移送するようにした流動層処理装置における排出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第3286848号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この流動層処理装置における排出装置は、案内ケーシングの全部または一部に多数の通気孔を設け、案内ケーシング内に落下した微粉を通気孔からの送風によって舞い上げて、再び、流動室に押し戻し、大粒子や造立された粒状の製品を選択的に排出するようにしたものであり、一種の造粒装置である。
【0004】
また、この装置は、目皿板上に回転攪拌部材を設け、開口部に到達できない大粒子や造粒された粒状の製品を回転攪拌部材の回転によって開口部に強制的に落とし込んで排出するようにしたものであり、大粒子や造粒された粒状の製品を定量的に排出するようにしたものでもない。
【0005】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、粉体を定量的に抜き出す粉体定量抜き出し装置、特に、NHG(ガスハイドレート)などの付着性や結合性の激しい粉体を定量的に抜き出す粉体定量抜き出し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は、次のように構成されている。
【0007】
請求項1に記載の発明に係る粉体定量抜き出し装置は、多数の通気孔を有する分散板を容器内に設け、前記分散板の上方を流動層部その下方を流動化ガス導入部とすると共に、前記分散板に粉体払い出し口を設け、更に、分散板の下方に粉体払い出し口に対峙するスクリューコンベアを設けた粉体定量抜き出し装置において、前記流動層部とその下方の流動化ガス導入部の圧力差を測定する差圧センサーを設け、該差圧センサーの計測値にしたがってスクリューコンベアの回転数を制御することを特徴とする粉体定量抜き出し装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明に係る粉体定量抜き出し装置は、前記スクリューコンベア内に、粉体定量抜き出し装置と同軸上に回転するシャッターを回動自在に設け、前記差圧センサーの計測値にしたがって前記シャッターを回動させて前記粉体払い出し口の開口幅を制御することを特徴とする請求項1記載の粉体定量抜き出し装置である。
【0009】
請求項3に記載の発明に係る粉体定量抜き出し装置は、前記シャッターの位置およびスクリューコンベアの回転数をそれぞれ独立、あるいは同時に制御することを特徴とする請求項1または2記載の粉体定量抜き出し装置である。
【0010】
請求項4に記載の発明に係る粉体定量抜き出し装置は、前記流動層部にガスハイドレートを導入する一方、前記流動化ガス導入部に冷却したガスハイドレートの原料ガスを供給することを特徴とする請求項1記載の粉体定量抜き出し装置である。
【発明の効果】
【0011】
上記のように、請求項1に記載の発明は、多数の通気孔を有する分散板を容器内に設け、前記分散板の上方を流動層部その下方を流動化ガス導入部とすると共に、前記分散板に粉体払い出し口を設け、更に、分散板の下方に粉体払い出し口に対峙するスクリューコンベアを設けた粉体定量抜き出し装置において、前記流動層部とその下方の流動化ガス導入部の圧力差を測定する差圧センサーを設け、該差圧センサーの計測値にしたがってスクリューコンベアの回転数を制御するので、比較的簡便な方法でありながら、粉体、特に、NHG(ガスハイドレート)などの付着性や結合性の激しい粉体を定量的に抜き出すことができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、前記スクリューコンベア内に、粉体定量抜き出し装置と同軸上に回転するシャッターを回動自在に設け、前記差圧センサーの計測値にしたがって前記シャッターを回動させて前記粉体払い出し口の開口幅を制御するので、粉体、特に、NHG(ガスハイドレート)などの付着性や結合性の激しい粉体を定量的に抜き出すことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記シャッターの位置およびスクリューコンベアの回転数をそれぞれ独立、あるいは同時に制御するので、粉体の抜き出しの状況に応じたきめ細かい制御が可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記流動層部にガスハイドレートを導入する一方、前記流動化ガス導入部に冷却したガスハイドレートの原料ガスを供給するので、ガスハイドレートを流動化させながら、ガスハイドレートに付随する水と原料ガスとの水和反応により、ガスハイドレートの再生成および脱水を促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0016】
尚、この実施形態では、付着性の強いNGH(ガスハイドレート)を流動化させて定量的に抜き出す方法について説明する。
【0017】
図1において、1は、耐圧容器であり、その中に多数の通気孔2を有する分散板3を設けている。そして、分散板3の上方に流動層部4を形成し、分散板3の下方に流動化ガス導入部5を形成している。
【0018】
また、耐圧容器1は、その上部に粉体導入口6を有すると共に、下部に流動化ガス導入口7を有している。そして、流動層部4内の流動化ガスは、ブロア8及び冷却器9を経て流動化ガス導入部5に供給するようになっている。
【0019】
更に、この耐圧容器1は、分散板3の下方に耐圧容器1の側面を貫通して耐圧容器1の半径方向に伸長するスクリューコンベア11を備えている。
【0020】
上記分散板3は、スクリューコンベア11の真上に耐圧容器1の半径方向に伸長する長方形の粉体払い出し口10を有している(図2参照。)。スクリューコンベア11は、図3に示すように、スクリュー12と、その外側にある外筒13により形成されているが、外筒13は、分散板3の粉体払い出し口10に対応する部分に粉体払い出し口10と同様の開口部14を有している。
【0021】
ここで、スクリュー12の直径をD、粉体払い出し口10の横幅をWとすると、
W<D ・・・・・ (1)
となっている。
【0022】
更に、スクリューコンベア11は、その外筒13と、スクリュー12の間にシャッター15を有している。このシャッター15は、切欠き30を備えており(図4参照)、図2において外筒13と同軸方向に回動することで、分散板3に設けた長方形の粉体払い出し口10の開口部が切欠き30の有無により開口部の広さを変えられるようになっている。このシャッター15は、外筒13と同軸上にあり、耐圧容器1を横方向に貫通する回転軸17と歯車18を介して接している。よって、外筒13には歯車18,19用の開口がある。
【0023】
切欠き30は、シャッター15の先端に近づくにしたがって段階的に切欠き幅を広げるようにしてもよいし、連続的に切欠き幅を広げるようにしてもよい。
【0024】
この回転軸17の先端には、歯車18が設けられ、また、シャッター15の末端や側面に歯車19を取り付けており(図4参照)、この歯車18と噛み合う歯車19は、電動モーター20によって駆動するようになっている。また、上記スクリューコンベア11は、別の電動モーター21によって駆動するようになっている。
【0025】
他方、耐圧容器1は、分散板3によって仕切られた圧力差を測定するように、流動化ガス導入部5に設けられた圧力センサー取り出し口22aと、耐圧容器1の上部に設けられた圧力センサー取り出し口22bにより計測される。23は、制御装置であり、圧力センサー22a,22bからの計測値にしたがってスクリューコンベア11の回転数を制御するようになっている。なお、圧力センサー22a,22bからの計測値にしたがってシャッター15の位置を制御することもできるし、シャッター15の位置およびスクリューコンベア11の回転数を制御することもできる。
【0026】
続いて、粉体であるガスハイドレートの定量払い出し作業について説明する。
【0027】
流動化ガス導入口7から耐圧容器下部の流動化ガス導入部5にガスハイドレートの原料ガスgを供給すると同時に、耐圧容器上部の粉体導入口6から粉体状のガスハイドレートaを供給すると、分散板3に設けた多数の通気孔2から流動層部4に流入する原料ガスgによって粉体状のガスハイドレートaが流動化する。
【0028】
そして、分散板3に設けた粉体払い出し口10に流入したガスハイドレートaがスクリューコンベア11によって耐圧容器の外に定量的に払いだされる。
【0029】
ところで、分散板3に設けた粉体払い出し口10上のガスハイドレートの流動状態は、圧22a,22bによって監視されており、その圧力差が大きくなると、分散板3の上に存在するガスハイドレートaの量が増加していることになり、スクリューコンベア11の回転数を上げ、払い出し量を増加させる。このように、分散板3上のガスハイドレートaの量を一定に保つように制御する。この場合、スクリューコンベア11の回転数を制御する代わりにシャッター15を回動させて分散板3に設けた長方形の粉体払い出し口10の開口幅を広くなるように制御してもよい。更には、スクリューコンベア11の回転数とシャッター15の位置とを同時に制御してもよい。
【0030】
他方、圧力差が小さい場合は、分散板3上のガスハイドレートaの量が減少していることになり、前記とは逆の制御を行う。
【0031】
また、耐圧容器1の流動層部4に粉体状のガスハイドレートaを導入する一方、流動化ガス導入部5に冷却したガスハイドレートの原料ガスgを供給することにより、ガスハイドレートaを流動化させながら、ガスハイドレートに付随する水と原料ガスとの水和反応により、ガスハイドレートの再生成および脱水を促進することができる。
【0032】
以上の説明では、付着性の強いNGH(ガスハイドレート)を流動化させて定量的に抜き出す場合について説明したが、これに限らず、その他の粉体を定量的に抜き出す場合についも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る粉体定量抜き出し装置の概略構成図である。
【図2】本発明の粉体定量抜き出し装置の横断面図である。
【図3】本発明の粉体定量抜き出し装置をスクリューコンベア側から見た断面図である。
【図4】シャッター及びシャッター駆動手段の斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 容器
2 通気孔
3 分散板
4 流動層部
5 流動化ガス導入部
10 粉体払い出し口
11 スクリューコンベア
12 スクリュー
13 外筒
15 シャッター
17 回転軸
22a,22b 差圧センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の通気孔を有する分散板を容器内に設け、前記分散板の上方を流動層部、その下方を流動化ガス導入部とすると共に、前記分散板に粉体払い出し口を設け、更に、分散板の下方に粉体払い出し口に対峙するスクリューコンベアを設けた粉体定量抜き出し装置において、前記流動層部とその下方の流動化ガス導入部の圧力差を測定する差圧センサーを設け、該差圧センサーの計測値にしたがってスクリューコンベアの回転数を制御することを特徴とする粉体定量抜き出し装置。
【請求項2】
前記スクリューコンベア内に、粉体定量抜き出し装置と同軸上に回転するシャッターを回動自在に設け、前記差圧センサーの計測値にしたがって前記シャッターを回動させて前記粉体払い出し口の開口幅を制御することを特徴とする請求項1記載の粉体定量抜き出し装置。
【請求項3】
前記シャッターの位置およびスクリューコンベアの回転数をそれぞれ独立、あるいは同時に制御することを特徴とする請求項1または2記載の粉体定量抜き出し装置。
【請求項4】
前記流動層部にガスハイドレートを導入する一方、前記流動化ガス導入部に冷却したガスハイドレートの原料ガスを供給することを特徴とする請求項1記載の粉体定量抜き出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−175402(P2006−175402A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373544(P2004−373544)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】