説明

粉体接着剤塗布装置

【課題】秘密情報印刷面の対向する面の少なくとも一方の面に粉体接着剤を迅速に塗布して圧着はがき等の作成を容易にする粉体接着剤塗布装置を提供する。
【解決手段】回転軸21aは一方の端部に塗布ローラ22を固設され他方の端部に転写・搬送ローラ23が固設される。これに対向配置された回転軸21bは一方の端部に転写・搬送ローラ23が固設され他方の端部に塗布ローラ22が固設される。塗布ローラ22が配置される筐体19の仕切り部には粉体接着剤が収容される。駆動系ギア28により回転軸21a及び21bが相互に圧接しながら回転する。用紙搬送経路25に沿って搬入された用紙14は塗布ローラ22と転写・搬送ローラ23に挟持・搬送されながら転写・搬送ローラ23から印加される転写バイアスにより塗布ローラ22の粉体接着剤を表面の端部面P1と裏面の端部面P6の表裏両面に同時に塗布される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、秘匿すべき秘密情報を印刷したはがき、封筒、その他の書類の秘密情報印刷面に対して対向する面の少なくとも一方の面に粉体接着剤を塗布して圧着はがき等の作成を容易にする粉体接着剤塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特定の個人のみへ文字情報を伝達するために、一般に、文字記載物を封書の形態にし、開封後に始めて当該個人が文字情報を確認できるようにしていた。
近年、個人情報保護が厳しく問われるようにもなり、各種事業所等では、例えば、個人の各種データ、成績表、給与明細書等の個人情報は、これを文字記載物の内部の印字箇所に記録して、印字箇所の周縁部もしくは文字記載物の全面を接着や圧着により封筒状やカード状にして配布したりしている。
【0003】
このうち、はがきサイズのカード状のものは圧着はがきと呼ばれており、通常の郵便はがきと同じ料金で利用できることから、情報提供者側の利便性が高い印字(印刷)情報秘匿システムとして、広告宣伝のダイレクトメール等にも汎用されている。
【0004】
このような圧着はがき等による印字情報秘匿システムを利用するには、従来、専門の製造業者に委託するか、高価な圧着はがき等製造・印刷装置を導入するかして秘匿情報を作成していた。
【0005】
これらの圧着はがき等製造・印刷装置を用いて秘匿情報を作成するには、接着剤を情報印字の後に塗布する方法や、情報印字の前に塗布する方法等があるが、いずれにしても秘匿情報を大量に作成するという前提が必須であり高価であった。
【0006】
また、そのような製造業者への委託は、個人情報の流出の問題も潜在的に存在しており好ましい秘匿情報の作成方法とはいえない。
ところで、近年、パソコンやプリンタの発達と相侯って、小規模事業所や個人でも利用できるように、少量単位でも簡易に圧着はがきを作成できるようにしたものも提案されている。
【0007】
例えば、感圧接着剤を予め塗布した剥離紙付きはがき用紙が販売されている。これは、2つ折り内部の印字面に所定の文字情報等を印字後に、感圧接着剤部分を圧着して投函用の圧着はがきを完成させるものである。
【0008】
また、例えば、粘着フイルムとはがき用紙を一組にしたものが販売されている。これは、2つ折り内部の印字面に所定の文字情報等を印字後に、2つ折り内部に粘着フイルムを挟むようにして圧着して、投函用の圧着はがきを作成できるようにしたものである。
【0009】
しかしながら、これでもコスト高は避けられず、取り扱いが煩雑であり、個人的に数枚の圧着はがきを作成するのなら良いが、ある程度の枚数単位で、安価で、迅速に、且つ対需要即応体制で作成できるものではない。
【0010】
そこで、粘着剤を内包したマイクロカプセルから成るトナー状粘着剤を静電印刷法により基材の表面に転写してフラッシュ定着させ、接着時には圧力によりマイクロカプセルを破壊しカプセル内の粘着剤を浸出させるようにして、圧着はがきを容易に作成できるとする提案がなされている。また、この提案では、粘着剤を溶融、混練、粉砕した粉砕トナーも示唆されている。(例えば、特許文献1参照。)
また、事務用プリンタや複写機の交換用の印字用カートリッジに圧着用物質を入れて、それら事務用プリンタ又は複写機による印字作業と同様の操作で圧着用物質を官製はがきや封筒に塗布し、その後、圧着専用機にかけるようにし、圧着専用機にかけるところまでを1台のプリンタ又は複写機で出来るとする提案がなされている。また、この提案では、二つ折りの片面、三つ折の中央両面に圧着用物質を塗布することが示唆されている。(例えば、特許文献2参照。)
また、感熱接着剤を含むトナーを用い、電子写真方式により画像を対需要即応式で作成する方法が提案されている。この提案では、感熱接着剤の軟化温度は電子写真方式用のトナーの結着樹脂の軟化温度よりも高くなるように構成し、また、感熱接着剤の電子写真方式用トナーに占める割合を5〜60重量%とし、また、感熱接着剤の組成は熱接着性樹脂、ホットメルト及びワックス類からなる群より選ばれる1種類以上を含むようにすることが提案されている。(例えば、特許文献3参照。)
【特許文献1】特開平09−104849号公報(段落0005、0014、図1、図3、図6)
【特許文献2】特開2000−006553号公報(要約、図なし)
【特許文献3】特開2004−126231号公報(段落0085〜0087、図なし)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1の技術は、マイクロカプセル式のトナーについては構成及び組成について記載されてはいるが、粉砕トナーについては単なる思い付き程度に示唆されているのみであり、具体的な組成、製法、及び用法についての記載がなく、これでは、この分野の当業者といえども有用な粉砕トナーを作成することは勿論、試作することさえ出来ない。
【0012】
また、特許文献2の技術は、圧着専用機にかける前までの官製はがきや封筒による印字情報秘匿書類を作成するものであり、投函用に完成するには圧着専用機にかけなければならない点で利便性と経済性に欠けるものであり、また対需要即応性には程遠いものと言わざるを得ない。
【0013】
また、特許文献3の技術では、単に感熱接着剤の軟化温度が電子写真方式用のトナーの結着樹脂の軟化温度よりも高く設定されているというのみで、思い付き程度に示唆されてはいるものの感熱接着剤を含むトナーの具体的な材料処方も具体的な用法も開示されていない。また、電子写真方式は静電現像を利用するものであるが、その現実的かつ具体的な構成については開示されてもいない。
【0014】
また、トナー状の圧着はがき用粉体接着剤は今日まで市場に流通もしていない。流通している圧着はがき用粉体接着剤は液状または粘着シート状のものだけである。
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、実用性のある粉体接着剤の製造方法を確立したうえで、秘匿すべき秘密情報を印刷したはがき、封筒、その他の書類の秘密情報印刷面に対して対向する面の少なくとも一方の面に粉体接着剤を迅速に塗布して圧着はがき等の作成を容易にする粉体接着剤塗布装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の粉体接着剤塗布装置は、秘匿すべき秘密情報を印刷した用紙の上記秘密情報の印刷面に対して対向する面の少なくとも一方の面に粉体接着剤を塗布する粉体接着剤塗布装置において、上記用紙の搬送経路の用紙搬送方向に直交する方向に直列に並んで配置された複数の接着剤塗布部を備え、該複数の接着剤塗布部により上記用紙の表裏両面に上記粉体接着剤を同時に塗布するように構成される。
【0016】
上記接着剤塗布部は、例えば、上記粉体接着剤を収容する接着剤収容部と、該接着剤収容部から供給される上記粉体接着剤を周面に吸着して回転搬送する塗布ローラと、該接着剤塗布ローラに対向し圧接して配置され該接着剤塗布ローラと協働して上記用紙を挟持して搬送すると共に上記粉体接着剤を上記接着剤塗布ローラから上記用紙に転写する転写バイアスを上記用紙に印加する転写・搬送ローラと、を備えて構成される。
【0017】
この粉体接着剤塗布装置において、例えば、複数の上記接着剤塗布部は、上記接着剤塗布ローラと上記転写・搬送ローラとが対向する相互位置関係が順であるものと逆であるものが混在して配置されるように構成される。
【0018】
この場合、例えば、上記相互位置関係が順である上記接着剤塗布部の上記接着剤塗布ローラと上記相互位置関係が逆である上記接着剤塗布部の上記転写・搬送ローラとが1本の回転軸に連結され、上記相互位置関係が順である上記接着剤塗布部の上記転写・搬送ローラと上記相互位置関係が逆である上記接着剤塗布部の上記接着剤塗布ローラとが1本の回転軸に連結されているように構成してもよい。
【0019】
また、この粉体接着剤塗布装置において、例えば、複数の上記接着剤塗布部は、それぞれ上記接着剤収容部と上記接着剤塗布ローラと上記転写・搬送ローラとを備え、それぞれ独立に本体装置の駆動系により駆動されるように構成することも出来る。
【0020】
更に、この粉体接着剤塗布装置において、例えば、複数の上記接着剤塗布部は、上記接着剤収容部にそれぞれ粉体接着剤残量検知センサを備えると共に、上記接着剤収容部を共通の接着剤搬送機構により連結され、上記粉体接着剤残量検知センサにより上記粉体接着剤の残量が規定量以下となったことが検知された上記接着剤塗布部の上記接着剤収容部に、上記粉体接着剤の残量が規定量以上の上記接着剤塗布部の上記接着剤収容部から上記接着剤搬送機構により上記粉体接着剤が融通されるように構成してもよい。
【0021】
この場合、上記搬送機構は、例えば、搬送パイプと該搬送パイプ内に組み込まれて正逆両方向に回転可能な搬送コイルとから構成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、例えばZ折り圧着はがきのような秘密情報印刷済み用紙の圧着すべき表裏の2面に対して同時に圧着用の接着剤を塗布することが出来るので、圧着はがき等の作成が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
最初にトナー状の粉体接着剤の材料処方及び具体的な作製方法について説明する。
【0024】
尚、この粉体接着剤は、秘匿情報印刷面を圧着後の剥離開封時に、反対面への文字移りが発生しない粉体接着剤として開発されたものである。
先ず、結着樹脂として軟化温度110±4℃の炭化水素系樹脂(シクロオレフィンとエチレンの共重合体)90質量%以上、帯電制御剤0.3〜3質量%、ワックス1〜9質量%を用意する。
【0025】
これらを、ミキサーにて混合し、その混合物を二軸スクリュー混練機にて温度をかけながら混練し、この混練物を冷却し、機械式粉砕機にて2mm程度にまで粉砕し、気流式粉砕機にてさらに微粒子にまで粉砕し、適切な粒子径に分級を行う。
【0026】
その後、この混練粉砕物を、シリコンオイル又はアルキルジシラザンにて表面処理済みのシリカ微粒子0.1〜5質量%(対混練粉砕品)及びアルミナを外添し、軟化温度106℃で、平均粒径(体積D50)9.0μmのトナー状の透明な粉体接着剤を得る。
【0027】
このようにして作成された接着剤は、接着剤塗布装置で用紙に塗布される。この接着剤は粉体接着剤であり、常温では固体である。そして、加熱されることにより溶融され、加圧されることにより接着効果が発揮される。
【0028】
(実施形態2)
ところで、粉体接着剤の塗布では、塗布面に選択的に塗布する方法もあるが、通常はベタに塗布する方が簡便である。そして、ベタに塗布するとなると、電子写真方式における選択的な画像形成に用いられる感光体ドラムを介さずとも、現像装置の現像ローラを接着剤塗布ローラとして、この接着剤塗布ローラだけで直接用紙に接着剤を塗布しても支障がないと考えられる。
【0029】
図1(a) は、そのような考えに基づいて構成された実施形態2における粉体接着剤塗布装置を含む圧着はがき作成システムの構成原理図であり、同図(b) 〜(d) は、粉体接着剤の塗布手順を示す図である。尚、同図(c),(d) には、粉体接着剤を転写された状態を示す平面図と後側面図を示している。
【0030】
また、本例においては、近年ページ数が多いほど秘密の情報量をより多く記載できるということで、Z折りの圧着はがきが広く用いられていることに鑑み、Z折り圧着はがきを例にとって説明する。
【0031】
また、この圧着はがき作成システムでは、圧着はがき用紙の紙面に予め印字用トナーで可変情報を印字し、その紙面の印字面に重ねて、上述した粉体接着剤が塗布されるものとする。
【0032】
同図(a) において、圧着はがき作成システムは、右から左へ、給紙装置1、粉体接着剤塗布装置2、折り装置3、圧着装置4、出来上がり圧着はがき収納装置5から成る。
上記の粉体接着剤塗布装置2は、用紙搬送装置6、接着剤塗布部7、定着器8、及び両面印刷反転装置9を備えている。
【0033】
上記の接着剤塗布部7は粉体接着剤が収容されている粉体接着剤容器11と、その粉体接着剤容器11の下端開口部に回転可能に配設された塗布ローラ12を備えている。また、接着剤塗布部7には、用紙搬送装置6の搬送ベルト13を介して塗布ローラ12に対向配置された転写ローラ10が設けられている。
【0034】
同図(a) において、先ず、給紙装置1にはZ折り圧着はがき用の用紙14が収容される。次に、不図示の給紙コロ等により給紙装置1から用紙14が一枚ずつ取り出されて粉体接着剤塗布装置2に矢印aで示すように給送される。
【0035】
同図(b) は、上記給紙装置1から粉体接着剤塗布装置2に給送される用紙14を上から見た図である。
粉体接着剤塗布装置2においては、粉体接着剤容器11の塗布ローラ12が、その周表面に均一な粉体接着剤層を形成しながら回転している。塗布ローラ12は、転写ローラ10と協働して、塗布ローラ12の直下を通過する用紙14の表面の一方の端部側の2面P1及びP2に、同図(c) に示すように、粉体接着剤15を静電的に転写(塗布)する。
【0036】
ここで、Z折り圧着はがき用の用紙14の面構成を定義する。同図(c),(d) に示すように、本例において、用紙14の面は、Z折りする前の表紙の一方の端部頁面を面P1、中央頁面をP2、他方の端部頁面を面P3、表紙の面P1の裏面頁面を面P4、表紙の面P2の裏面頁面を面P5、表紙の面P3の裏面頁面を面P6とする。
【0037】
同図(b) のように面P1及びP2に粉体接着剤を転写(塗布)された用紙14は、同図(a) の矢印bで示すように定着器8に向けて搬送される。用紙14は、定着器8により熱と圧力を加えられて、面P1及びP2に転写された粉体接着剤15を紙面に溶融定着される。
【0038】
その後、用紙14は、矢印c及び矢印d示すように両面印刷反転装置9に向けて搬送される。用紙14は両面印刷反転装置9により表裏を反転されて前後が入れ替わった状態となり、矢印e、f、gで示すように最初の給紙方向に搬送され、反転により裏面を上に向けて再び矢印aで示すように粉体接着剤塗布装置2に給送される。
【0039】
粉体接着剤塗布装置2で、同図(d) に示すように、裏面の面P5及びP6に粉体接着剤15を塗布された用紙14は、転写された粉体接着剤15を定着器8により紙面に定着された後、矢印hで示すように折り装置3に向けて搬送される。
【0040】
同図(d) は、用紙14の裏面の面6に粉体接着剤15を転写された状態を示す平面図と後側面図を示している。すなわち、同図(d) に示すように、用紙14表面の面P1と裏面の面P6とに粉体接着剤15が塗布されている。
【0041】
折り装置3に搬入された用紙14は、折り装置3によりZ折りされて、圧着装置4に搬送され、圧着装置4により面P1と面P2、及び面P5と面P6が圧着されて、投函可能な圧着はがきが完成する。なお、Z折り装置は、一般に知られているZ折り装置を用いることができる。
【0042】
図2(a) は、参考のため、上記折り装置3によりZ折りされた用紙14の状態を示す図であり、同図(b) は、Z折りされた用紙14が矢印Hで示すように圧着装置4に挿通される状態を示す図である。
【0043】
上記の図1(c),(d) のように面P1と面P2、及び面P5と面P6の表裏両面に粉体接着剤15を塗布されたはがき用紙14は、図2(a) に示すように、折り装置3によってZ折りにされる。このとき、はがき用紙14は、粉体接着剤15を塗布された接着面同士が重なり合うように折られる。
【0044】
折り装置3によってZ折りされた用紙14は、圧着装置4によって、接着されて1枚のはがきとなる。
なお、上述した実施形態では、用紙14をZ折したときに対向する2面に粉体接着剤15を塗布しているが、粉体接着剤15を塗布する方法は、これに限るものではない。
【0045】
図3(a),(b) は、他の塗布方法を示す図であり、同図(c) は、そのZ折り方法を示す図である。同図(a) に示すように、先ず表面の塗布で、面P1の1頁分だけに粉体接着剤15が塗布される。続いて両面印刷反転装置9により表裏を反転された用紙14は、同図(b) に示すように面P6の1頁分だけに粉体接着剤15が塗布される。
【0046】
そして、折り装置3では、同図(c) に示すように、粉体接着剤15が塗布された面P1が粉体接着剤15が塗布されていない面P2に矢印iで示すように折り込まれ、続いて、粉体接着剤15が塗布された面P6が粉体接着剤15が塗布されていない面P5に矢印jで示すように折り込まれる。
【0047】
このように粉体接着剤15を塗布すれば、粉体接着剤15の塗布量が1/2で済むから経済的である。
(実施形態3)
ところで、上記の実施形態2では、両面印刷反転装置9によって用紙14の表裏を反転させて、第1面と第2面への粉体接着剤の塗布を行っている。
【0048】
このように同一の粉体接着剤塗布機により塗布するため、用紙14の両面に粉体接着剤15を塗布する時間は、V折りはがきのように片面のみに粉体接着剤を塗布する時間に比較して、反転搬送の分も含めると2倍以上かかる。
【0049】
すなわち、最も普及しているZ折りはがきの場合、V折りはがきに比べて用紙一枚当りの粉体接着剤の塗布処理が遅くなる。
この問題は、一回の用紙搬送で粉体接着剤を表裏に塗布することができれば解消される。この一回の用紙搬送で粉体接着剤を表裏に塗布する粉体接着剤塗布装置について、第3の実施形態として以下に説明する。
【0050】
尚、以下に説明する第3の実施形態においては、図3に示したように 粉体接着剤15を、用紙14の表裏いずれにおいても、1頁分の面(面P1と面P6)のみに塗布するようにしている。
【0051】
図4は、本例の粉体接着剤塗布装置の側面図である。同図に示すように、本例の粉体接着剤塗布装置16は、塗布・転写ユニット17と仮定着ユニット18を備えている。
塗布・転写ユニット17は、斜め縦断面がV型となる筐体19の底部近傍に、回転周面を対向して配置された二本の回転軸21(21a、21b)を備えている。
【0052】
一方の回転軸21aは、図の奥行き方向手前側に塗布ローラ22、図の奥行き方向向う側に転写・搬送ローラ(図では陰になって見えない)を固着している。そして、他方の回転軸21bは、図の奥行き方向手前側に転写・搬送ローラ23、図の奥行き方向向う側に塗布ローラ(図では陰になって見えない)を固着している。
【0053】
また、仮定着ユニット18は、1対の発熱・押圧ローラ対24が対向配置されている。発熱・押圧ローラ対24は、塗布・転写ユニット17により粉体接着剤15を図3(b),(c) に示すと同様の状態に両面同時に塗布されて搬送経路25を矢印方向に搬送されてくる用紙を挟持・搬送しながら熱と圧力とで粉体接着剤15を紙面に仮定着する。
【0054】
図5(a) は、上記塗布・転写ユニット17を透視的に内部構成と共に示す斜視図であり、同図(b) はその回転駆動部分のみを取り出して示す平面図、同図(c) はその側面図、同図(d) は同図(a) の用紙14を上から見た図である。尚、同図(a),(b) には、図4と同一の構成部分には図4と同一の番号を付与して示している。
【0055】
同図(a),(b) に示すように、塗布・転写ユニット17の構成は、筐体19の両端部側に形成される粉体接着剤15の塗布部17a及び17cと、中央部に位置する回転軸部17bとに3分される。
【0056】
同図(b) に示すように、回転軸21aは、中央部は露出したままの状態であり、軸の一方の端部には塗布ローラ22が固定して連結され、他方の端部には転写・搬送ローラ23が固定して連結されている。
【0057】
これに対して対向して配置された回転軸21bも、中央部は露出したままの状態であるが、軸の一方の端部には転写・搬送ローラ23が固定して連結され、他方の端部には塗布ローラ22が固定して連結されている。
【0058】
このように、いずれの塗布部17a又は17cも、塗布ローラ22に対して転写・搬送ローラ23が対向して圧接している。塗布ローラ22は帯電性に富む柔軟な樹脂部材で構成され、転写・搬送ローラ23は導電性のある柔軟な樹脂部材で構成されている。
【0059】
そして、これら複数(本例では2箇所)の塗布部17a及び17cは、一方の塗布ローラ22と転写・搬送ローラ23とが対向する相互位置関係が順であるとすると、他方の塗布ローラ22と転写・搬送ローラ23とが対向する相互位置関係は逆になっている。
【0060】
上記二本の回転軸21a及び21bには、それぞれ軸の一端(同図(b) では右側端部)にギア26及び27が取り付けられて相互に歯合している。そして、ギア27には本体装置側の駆動系のギア28が歯合している。これにより、回転軸21a及び21bは、ギア26及び27を介して、本体装置側の駆動系のギア28により回転駆動される。
【0061】
筐体19の、塗布ローラ22が配置されている部分は、特には図示しないが、他と仕切られて粉体接着剤の収容部を形成している。
その収容部には粉体接着剤が収容され、内部には、例えば、粉体接着剤を攪拌する攪拌部材、その粉体接着剤を塗布ローラに供給する供給ローラ、供給ローラから供給された粉体接着剤の層厚を一定に規制するドクターブレード等が配設されている。
【0062】
また、転写・搬送ローラ23には、不図示の高圧電源から転写用バイアス電圧が印加されるようになっている。
本体装置側の駆動系のギア28により駆動されて、二本の回転軸21a及び21bは図5(a) の矢印m及びnで示すように相互に圧接しながらそれぞれ回転する。
【0063】
用紙14は、図5(a) において、下側より用紙搬送経路25(図示)に沿って塗布・転写ユニット17に搬入され、塗布ローラ22と転写・搬送ローラ23により挟持されて搬送されながら、塗布ローラ22の周面に一定の厚さの層で形成されている粉体接着剤を、転写・搬送ローラ23から印加される転写バイアス電圧の作用により紙面に転写(塗布)され、図4に示した仮定着ユニット18へと搬送される。
【0064】
図5(d) は、仮定着ユニット18へと搬送される用紙14を、仮定着ユニット18側から見た図である。同図(d) に示すように、用紙14は、塗布・転写ユニット17により、表面の一方の端部の面P1と裏面の他方の端部の面P6の表裏両面に粉体接着剤15を同時に塗布されて、塗布・転写ユニット17から排出され、仮定着ユニット18へと搬送される。
【0065】
仮定着ユニット18で粉体接着剤を仮定着された後の用紙14は、図1の場合と同様に、折り装置3でZ折りされ、圧着装置4で圧着されて、出来上がり圧着はがき収納装置5に収納される。
【0066】
尚、本例では、一本の回転軸に塗布ローラと転写・搬送ローラを配設したが、塗布ローラの径と転写・搬送ローラの径が異なる場合は、独立した回転軸をローラごとに取り付け、それぞれに駆動伝達部を別配置すればよい。
【0067】
(実施形態4)
図6(a) は、第4の実施形態における塗布・転写ユニットを透視的に内部構成と共に示す斜視図であり、同図(b) はその内部構成を透視的に示す平面図である。尚、同図(a),(b) には、図5(a),(b) と同一の構成又は機能の部分には、図5(a),(b) と同一の番号を付与して示している。
【0068】
図6(a) に示すように、本例の塗布・転写ユニット17´は、図5(a) に示した塗布・転写ユニット17の筐体19のV字型を成す一方の端部上に粉体接着剤の予備収容部29を連設した外観を有している。
【0069】
予備収容部29の図の手前側側面には、接着剤カートリッジ31が挿入されるカートリッジ挿入口32が形成されている。このカートリッジ挿入口32に接着剤カートリッジ31を挿入し、その封印を、予備収容部29内部において解除することにより接着剤カートリッジ31内の粉体接着剤15を予備収容部29内に移動させて、予備収容部29内に、大量の補充用の粉体接着剤を収容させることができる。
【0070】
また、本例の塗布・転写ユニット17´においては、その内部に、図の左側の塗布ローラ部から図の右側の塗布ローラ部に亘って、粉体接着剤15を搬送する搬送パイプ33が設置されている。この搬送パイプ33の内部には、粉体接着剤15を搬送する搬送コイル34が組み込まれている。
【0071】
この搬送コイル34には、同図(b) に示すように、一方の端部(図6(b) では下方右端部)にコイル駆動軸35が取り付けられており、このコイル駆動軸35の端部にはギア36が固着されている。ギア36には、本体装置側の駆動系のギア37が歯合している。
【0072】
また、図では定かに見えないが、搬送パイプ33には、予備収容部29に連通する仕切り部17d、回転軸21aに連結する塗布ローラ22が配置されている仕切り部17e、及び回転軸21bに連結する塗布ローラ22が配置されている仕切り部17fに位置する部分に開口部が形成されている。
【0073】
その開口部が粉体接着剤内に埋没しているときは、粉体接着剤が開口部を介して搬送パイプ33内に流入し、開口部が粉体接着剤外に露出しているときは、搬送パイプ33内の粉体接着剤が開口部を介して搬送パイプ33外に流出する。
【0074】
また、回転軸21aに連結する塗布ローラ22が配置されている仕切り部17e内及び回転軸21bに連結する塗布ローラ22が配置されている仕切り部17f内には、それぞれ粉体接着剤の残量を検出する接着剤残量検出センサ(圧電センサ)38及び39が配設されている。
【0075】
上記の構成において、用紙14への粉体接着剤15の塗布の処理は、図5の場合と同様である。ただし、本例では、以下に説明するように粉体接着剤15が筐体19の内部を移動する。
【0076】
先ず、接着剤カートリッジ31から仕切り部17dに粉体接着剤が大量に補充され塗布部17aの仕切り部17eにも流入する。
塗布部17cの仕切り部17f内の粉体接着剤が規定量以下になると、接着剤残量検出センサ39が残量無しを検出し、その検出信号が本体装置の制御装置に送信される。
【0077】
この残量無し検出信号を受信して、本体装置の制御装置は、駆動系ギア37を駆動する。これにより、搬送コイル34が回転し、搬送パイプ33内を粉体接着剤が流動し始める。
【0078】
そして、仕切り部17d又は17eに補充されている粉体接着剤が搬送パイプ33の開口部より搬送パイプ33内に流入し、搬送コイル34により仕切り部17fへと搬送され、仕切り部17f内のバイプ開口部から仕切り部17fへと排出される。
【0079】
この粉体接着剤の仕切り部17d又は17eから仕切り部17fへの搬送は、仕切り部17fへの接着剤残量検出センサ39の検出信号値が規定値以上になるまで継続される。これにより、粉体接着剤は、仕切り部17f内の残量が規定値以上になるまで仕切り部17d又は17eから仕切り部17fへ搬送される。
【0080】
尚、図示はしないが、より多くの接着剤残量検出センサの設置及びその配設位置により、より精細な粉体接着剤の残量検知が可能となる。
また、塗布・転写ユニット17´の交換時期に近い時期では、例えば塗布部17aの粉体接着剤残量が、塗布部17cの粉体接着剤残量よりも少なくなる場合もある。
【0081】
このようなときは、搬送コイル34を逆回転させて、仕切り部17fに在る粉体接着剤を仕切り部17eに逆搬送するようにすることもできる。
本例によれば、粉体接着剤の補充が一回で両方の塗布部へ補充できるため、ユーザの作業負担が軽減される。また、粉体接着剤が2箇所の塗布部間で融通しあうため、粉体接着剤を有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】(a) は第2の実施形態における粉体接着剤塗布装置を含む圧着はがき作成システムの構成原理図であり、同図(b) 〜(d) は、粉体接着剤の塗布手順を示す図である。
【図2】(a) は参考のため折り装置によりZ折りされた用紙の状態を示す図、(b) はZ折りされた用紙が矢印Hで示すように圧着装置に挿通される状態を示す図である。
【図3】(a),(b) は粉体接着剤の他の塗布方法を示す図、(c) はその用紙のZ折り方法を示す図である。
【図4】第3の実施形態における粉体接着剤塗布装置の側面図である。
【図5】(a) は第3の実施形態における粉体接着剤塗布装置の塗布・転写ユニットを透視的に内部構成と共に示す斜視図、(b) はその回転駆動部分のみを取り出して示す平面図、(c) はその側面図、(d) は(a) の用紙を上から見た図である。
【図6】(a) は第4の実施形態における塗布・転写ユニットを透視的に内部構成と共に示す斜視図、(b) はその内部構成を透視的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0083】
1 給紙装置
2 粉体接着剤塗布装置
3 折り装置
4 圧着装置
5 出来上がり圧着はがき収納装置
6 用紙搬送装置
7 接着剤塗布部
8 定着器
9 両面印刷反転装置
10 転写ローラ
11 粉体接着剤容器
12 塗布ローラ
13 搬送ベルト
14 用紙
15 粉体接着剤
16 粉体接着剤塗布装置
17、17´ 塗布・転写ユニット
17a、17c 塗布部
17b 回転軸部
18 仮定着ユニット
19 筐体
21(21a、21b) 回転軸
22 塗布ローラ
23 転写・搬送ローラ
24 発熱・押圧ローラ対
25 搬送経路
26、27 回転軸ギア
28 本体装置駆動系ギア
29 予備収容部
31 接着剤カートリッジ
32 カートリッジ挿入口
33 搬送パイプ
34 搬送コイル
35 コイル駆動軸
36 ギア
37 本体装置側駆動系ギア
38、39 接着剤残量検出センサ(圧電センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
秘匿すべき秘密情報を印刷した用紙の前記秘密情報の印刷面に対して対向する面の少なくとも一方の面に粉体接着剤を塗布する粉体接着剤塗布装置において、
前記用紙の搬送経路の用紙搬送方向に直交する方向に直列に並んで配置された複数の接着剤塗布部を備え、
該複数の接着剤塗布部により前記用紙の表裏両面に前記粉体接着剤を同時に塗布する、
ことを特徴とする粉体接着剤塗布装置。
【請求項2】
前記接着剤塗布部は、
前記粉体接着剤を収容する接着剤収容部と、
該接着剤収容部から供給される前記粉体接着剤を周面に吸着して回転搬送する塗布ローラと、
該接着剤塗布ローラに対向し圧接して配置され該接着剤塗布ローラと協働して前記用紙を挟持して搬送すると共に前記粉体接着剤を前記接着剤塗布ローラから前記用紙に転写する転写バイアスを前記用紙に印加する転写・搬送ローラと、
を備えていることを特徴とする請求項1記載の粉体接着剤塗布装置。
【請求項3】
複数の前記接着剤塗布部は、前記接着剤塗布ローラと前記転写・搬送ローラとが対向する相互位置関係が順であるものと逆であるものが混在して配置される、ことを特徴とする請求項1又は2記載の粉体接着剤塗布装置。
【請求項4】
前記相互位置関係が順である前記接着剤塗布部の前記接着剤塗布ローラと前記相互位置関係が逆である前記接着剤塗布部の前記転写・搬送ローラとが1本の回転軸に連結され、
前記相互位置関係が順である前記接着剤塗布部の前記転写・搬送ローラと前記相互位置関係が逆である前記接着剤塗布部の前記接着剤塗布ローラとが1本の回転軸に連結されている、
ことを特徴とする請求項3記載の粉体接着剤塗布装置。
【請求項5】
複数の前記接着剤塗布部は、それぞれ前記接着剤収容部と前記接着剤塗布ローラと前記転写・搬送ローラとを備え、それぞれ独立に本体装置の駆動系により駆動されることを特徴とする請求項2記載の粉体接着剤塗布装置。
【請求項6】
複数の前記接着剤塗布部は、前記接着剤収容部にそれぞれ粉体接着剤残量検知センサを備えると共に、前記接着剤収容部を共通の接着剤搬送機構により連結され、
前記粉体接着剤残量検知センサにより前記粉体接着剤の残量が規定量以下となったことが検知された前記接着剤塗布部の前記接着剤収容部に、前記粉体接着剤の残量が規定量以上の前記接着剤塗布部の前記接着剤収容部から前記接着剤搬送機構により前記粉体接着剤が融通される、ことを特徴とする請求項2記載の粉体接着剤塗布装置。
【請求項7】
前記搬送機構は、搬送パイプと該搬送パイプ内に組み込まれて正逆両方向に回転可能な搬送コイルとから成る、ことを特徴とする請求項6記載の粉体接着剤塗布装置。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−190521(P2007−190521A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12999(P2006−12999)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】