説明

粉末化粧料

【課題】崩壊性が良好で、密着力に優れた粉末化粧料を提供すること。
【解決手段】 粉末化粧料であって、
(A):(a)粉体と(b)油剤を、超臨界または亜臨界二酸化炭素中にて混合して得られる複合粉体 30〜100質量%、
(B):成分(A)以外の粉体 0〜69.65質量%、
(C):油剤 0〜29.5質量%
を含有し、(a)と(b)の質量割合が99.5:0.5〜70:30であって、粉末化粧料全組成中に、粉体成分を70〜99.5質量%、油剤成分を0.5〜30質量%含有する粉末化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末化粧料は、粉体を加圧成型せずに、流動性を有する粉末状又はルース状のものであり、ファンデーション、白粉、ほほ紅、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料をはじめ、ベビーパウダーのようなボディパウダーも含むものである。これらの粉末化粧料は、一般に、天然雲母や合成雲母、タルク等の板状粉体を主体とし、化粧料の種類に合わせて適宜、顔料、球状粉体、パール剤等の成分を配合して製造される。
【0003】
粉末化粧料は、塗布時には、さらさら感や滑らかな感触で、肌への密着力があり、粉散りがなく、粉っぽくないことが求められている。しかしながら、従来、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、リボンブレンダー、ニーダー等の撹拌混合機を用いて粉末成分と結合剤としての油性成分等を混合し、粉砕機で粉砕して製造していたため、以下のような問題点があった。すなわち、従来の粉末成分と結合剤としての油性成分等の混合方法では、粉末成分表面に油性成分を不均一に付着させているに過ぎず、油剤で濡れていない粉体と油剤に濡れている粉体とが存在し、部分的に肌への密着力が弱く、粉っぽい仕上がりになり、使用時に粉散りしやすい等の問題があった。
【0004】
通常、肌への密着力を向上させるため、タルクやマイカ、ステアリン酸亜鉛などの不定形粉体や板状粉体を配合することが行われるが、従来の製造方法では十分な密着性を得ることは困難であった(例えば、非特許文献1)。また、特許文献1には、デンプンのアルケニルコハク酸エステルまたはその塩と球状粉体を用いて肌への密着性を向上させる技術が知られているが、やはり従来の製造方法では、密着性や粉散りの防止効果が十分ではなかった。
【非特許文献1】光井武夫編、「新化粧品学」、株式会社南山堂、1993年1月12日、p.291、p.382
【特許文献1】特開2000−63228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、流動性に富み、油剤が粉体全体に均一に存在するため、付着力に優れ、粉っぽくなく、粉散りが少ない粉末化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、粉体と油剤を超臨界二酸化炭素中又は亜臨界二酸化炭素中で混合して得られる複合粉体を用いれば、粉体全体に油剤が微細に分散し、付着させることができるため、複合粉体の付着力が優れ、仕上がりが粉っぽくなく、粉散りが少ない粉末化粧料が得られることを見出した。
【0007】
本発明は、粉末化粧料であって、
(A):(a)粉体と(b)油剤を、超臨界または亜臨界二酸化炭素中にて混合して得られる複合粉体 30〜100質量%、
(B):成分(A)以外の粉体 0〜69.65質量%、
(C):油剤 0〜29.5質量%
を含有し、(a)と(b)の質量割合が99.5:0.5〜70:30であって、粉末化粧料全組成中に、粉体成分を70〜99.5質量%、油剤成分を0.5〜30質量%含有する粉末化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の粉末化粧料は、崩壊性が良好であるため、塗布時にしっとり感や滑らかさが得られ、また、流動性が良好で、さらさらとして、軽い感触である。さらに、密着力に優れ、塗布時に粉散りがなく、粉っぽくなく、パール感やツヤのあるふんわりした仕上がりが得られ、化粧持ちも良いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
〔成分(A)複合粉体〕
成分(A)の複合粉体は、(a)粉体と(b)油剤を、超臨界または亜臨界二酸化炭素中にて混合して得られるものである。
成分(A)の複合粉体で用いる(a)粉体としては、通常化粧料に用いられる体質顔料や着色顔料であれば特に制限されず、実質的に超臨界二酸化炭素に溶解しない無機粉体、有機粉体、有機無機の複合体及び繊維状の粉末のいずれでも使用することができる。
【0010】
無機粉体としては、例えば、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、酸化チタン、酸化亜鉛、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、硫酸バリウム、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、マンガンバイオレット、ガラスビーズ、ゼオライト、パール顔料として、ベンガラ被覆雲母、酸化チタン被膜雲母、これらの複合体等が挙げられる。
【0011】
有機粉体としては、有機顔料、高分子化合物等からなる有機粉体などが挙げられる。
有機顔料としては、例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色226号、橙色204号、黄色205号、赤色404号、赤色405号、橙色401号、黄色401号、青色404号等が挙げられる。また、高分子化合物としては、例えば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂から選ばれた有機高分子の粉体、更に、繊維を細かくした粉末(「マイクロアート」(ユニチカ社製)20デニール相当、を裁断したもの;「NFCB-10D-0.5T」(大東化成工業社製)10デニール、0.5mm、異形断面、カーボンブラックで黒色に染色したものなど)などが挙げられる。
【0012】
粉体の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜500μm、特に0.02〜100μm、更に0.03〜50μmであるのが、塗布時の滑らか感や、発色性、カバー力の点から好ましい。
【0013】
これらの粉体は、粉体として本来表面が親水性であるものや、疎水性であるもの、粉体表面の一部または全部を親水化処理、又は疎水化処理したものを使用できる。これらの中で、疎水性又は疎水化処理粉体が、使用感や化粧持続性により優れるので好ましい。疎水化処理は、例えば、シリコーン化合物(ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン油及びその誘導体)、脂肪酸金属塩、アルキルリン酸、アルキルリン酸のアルカリ金属塩又はアミン塩、N−モノ長鎖(炭素数8〜22)脂肪族アシル塩基性アミノ酸、パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物などの疎水化処理剤を用いて行うことができ、通常の方法に従って処理することができる。親水化処理は、例えば、ポリアクリル酸等の水溶性ポリマー、シリカ、アルミナ等の無機化合物、界面活性剤等の親水化処理剤を用いて行うことができ、通常の方法に従って処理することができる。また、粉体に対する疎水化処理剤および親水化処理剤の処理量は、0.05〜20質量%、特に2〜10質量%であるのが好ましい。
特に、シリコーン油、フッ素化合物で疎水化処理した粉体を用いるのが好ましい。
【0014】
(a)粉体の形状は特に制限されず、板状、球状、不定形等のいずれでも良いが、板状粉体を用いるのが、しっとり感、滑らかさも良好であるので好ましい。特に、成分(A)複合粉体の(a)粉体は、板状粉体が30〜100質量%、更に70〜100質量%であるのが好ましい。かかる板状粉体としては、タルク、マイカ、セリサイト、窒化ホウ素、硫酸バリウム、パール顔料等が好ましい。更に、板状粉体のうち、パール顔料(酸化チタン被膜雲母など)を30〜100質量%含有するのが、仕上がりのツヤに優れるので好ましい。
【0015】
成分(A)複合粉体中、(a)粉体は、1種又は2種以上含むことができ、50質量%以上、更には80質量%以上含むことが好ましく、95質量%以下であることが、粉末化粧料の肌への密着性、塗布時の使用感や粉っぽさの抑制の観点から好ましい。
【0016】
成分(A)の複合粉体で用いる(b)油剤は、25℃で液状、固体状、半固体状のものから選ぶことができる。25℃で液状の油剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されずに使用することができる。例えば、ホホバ油等の植物油;液状ラノリン等の動物油;流動パラフィン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油などが挙げられる。
【0017】
25℃で液状の油剤は、(a)粉体の疎水性又は疎水化処理とは異なる種の油剤を用いることが好ましい。例えば、(a)粉体においてシリコーン化合物で疎水化処理された粉体を使用した場合、(b)油剤は、炭化水素油、エステル油、エーテル油、フッ素油を用いることが好ましい。また、(a)粉体においてフッ素油で疎水化処理された粉体を使用した場合、炭化水素油、エステル油、エーテル油、シリコーン油を用いることが好ましい。これは、後述する成分(A)の複合粉体が構成する造粒物の流動性や、付着性に大きく寄与する。(b)油剤は、特に炭化水素油、エステル油、エーテル油が好ましい。
【0018】
25℃で固体状の油剤としては、好ましくは40℃以上、より好ましくは60〜110℃の融点を有するもので、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物性ワックス、合成ワックス等を用いることができる。具体的には、コメヌカロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、ゲイロウ、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
【0019】
半固体状の油剤としてはイソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカダミアナッツ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、等のコレステロール誘導体、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸酸フィトステリル、等のフィトステロール誘導体、ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット、ロジン酸ジペンタエリトリット等のジペンタエリトリット脂肪酸エステル、(アジピン酸・2-エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリド等のトリグリセライド、硬化油などの部分的に水素添加されたトリグリセライド、ラノリン、ラノステロール誘導体、ワセリン等が挙げられる。
【0020】
成分(A)の複合粉体中(b)油剤は、1種以上を用いることができ、30質量%以下、更には、20質量%以下で0.5質量%以上含むことが、粉末化粧料の流動性の良さと肌への密着性と塗布時のしっとり感を出す上で好ましい。
(b)油剤として、25℃で固体状又は半固体状の油剤を用いる場合には、成分(A)の複合粉体中に0.1質量%以上、更には1質量%以上含み30質量%以下、更には20質量%以下含有するのが、肌密着性や、塗布時の使用感の滑らかさの観点から好ましい。
また、(b)油剤として、25℃で液状の油剤と固体状又は半固体状の油剤を組み合わせて用いる場合は、25℃で液状の油剤と25℃で固体状又は半固体状の油剤の質量割合は、(液状の油剤):(固体状及び又は半固体状の油剤)=10:1〜1:10、特に2:1〜1:2であるのが、粉っぽさの低減や肌への密着力、使用感の滑らかさの観点から特に好ましい。
【0021】
成分(A)の複合粉体において、(a)粉体と(b)油剤の質量割合は、99.5:0.5〜70:30、好ましくは99.5:0.5〜80:20である。この範囲内であれば、粉末化粧料の流動性の良さと肌への密着性と塗布時のしっとり感を出す上で好ましい。
【0022】
本発明において、成分(A)の複合粉体は、(a)粉体と(b)油剤を、超臨界二酸化炭素中又は亜臨界二酸化炭素中で混合し、撹拌することにより得られる。
二酸化炭素は、一般に無毒であり、その臨界温度が304.15K、臨界圧力が7.38MPaである。超臨界二酸化炭素とは、臨界温度(Tc)以上でかつ臨界圧力(Pc)以上の圧力である二酸化炭素をいい、亜臨界二酸化炭素とは、温度が二酸化炭素の臨界温度以上であるか、又は圧力が二酸化炭素の臨界圧力以上である二酸化炭素をいう。臨界点近傍の超臨界二酸化炭素は、わずかな圧力変化によって密度が急変するという性質を有する。
【0023】
より具体的には、二酸化炭素の圧力及び/又は温度を高めると、二酸化炭素の密度が急増するため、溶質の二酸化炭素に対する溶解度が急激に増加し、逆に二酸化炭素の圧力及び/又は温度を低下させると、溶質の二酸化炭素に対する溶解度を急激に低下させることができる。従って、圧力及び温度の調節することで、容易に溶質と二酸化炭素との分離が可能となる。
【0024】
超臨界二酸化炭素中又は亜臨界二酸化炭素中で、(a)粉体と(b)油剤を混合する際の温度は、混合後の二酸化炭素の除去や、減圧を効率的に行う観点から、304.15〜373.15Kであることが好ましく、より好ましくは313.15〜353.15Kである。また圧力は、7.2〜50MPaであることが好ましく、より好ましくは10〜40MPaである。この条件下で、成分(b)は、超臨界二酸化炭素中又は亜臨界二酸化炭素中に均一溶解又は分散する。
【0025】
減圧する方法は、特に限定されない。減圧時の断熱膨張作用により温度低下が生じるが、容器の温度を制御することにより、容器内の二酸化炭素を液化二酸化炭素としてもよく、気体二酸化炭素としてもよい。減圧時に攪拌を行ってもよい。また、油剤が二酸化炭素に溶解又は分散する条件であれば、混合時の二酸化炭素の状態は気体でも液体でもよいが、混合時および減圧時において、二酸化炭素が液体にならない条件になるように温度および圧力を調整するほう好ましい。このことにより、毛管現象の発生を防ぎ、成分(A)複合粉体の部分的な凝集による崩壊性の低下を防止することができる。
【0026】
より具体的には、縦軸を圧力、横軸に温度をとった相図を作成した場合二酸化炭素の臨界点と固体、液体、気体の三重点を結ぶライン以下(気体相)を通るように行うことが望ましく、例えば、二酸化炭素の減圧膨張を効率的に行う観点から、好ましくは304.15〜373.15K、より好ましくは304.15〜353.15K、更に好ましくは313.15〜333.15Kである。
【0027】
なお、成分(A)複合粉体の製法において減圧とは、超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素、気体状態の二酸化炭素、液体状態の二酸化炭素の圧力を低下させることをいう。
【0028】
上記のように、超臨界二酸化炭素又は亜臨界二酸化炭素を用いた場合には、他の超臨界流体とは異なり、低温で操作を行なうことができるため、操作が容易であるとともに、二酸化炭素は無害で危険性がなく、安価であるので、製造コストを削減することができるという利点がある。
【0029】
超臨界二酸化炭素又は亜臨界二酸化炭素内で混合された粉体と油剤は、容器に備えられている排気バルブ等を開放し、容器内を減圧させることにより、超臨界二酸化炭素又は亜臨界二酸化炭素中に溶解又は分散していた油剤が、析出し、成分(A)複合粉体が形成される。
【0030】
超臨界二酸化炭素又は亜臨界二酸化炭素中では、(b)油剤は均一に溶解又は分散するため、圧力及び温度を調節することで、超臨界二酸化炭素又は亜臨界二酸化炭素中での溶解度をコントロールでき、(a)粉体全体に微細に均一に成分(b)を分散させることが可能となる。
このようにして得られた成分(A)は、成分(a)が成分(b)を介して、弱く二次凝集した複合粉体となる。これは、従来のミキサー、ブレンダー、ニーダー等の撹拌混合機によって得られた複合粉体や、溶媒法で得られた複合粉体とは全く異なった粒子であり、使用感や仕上がりの異なったものとなることがわかった。より具体的には、成分(A)は、(a)粉体が(b)を介してカードハウス構造のような集合体となる。複合粉体の大きさは(a)粉体の種類により異なってくるが、(a)粉体の粒子径が5〜150μmの場合、平均粒径が20〜300μmに調整される。
【0031】
従来法で得られた複合粉体は、微視的に観察するとおにぎり状の二次凝集物が多数形成されて、それぞれが非常に硬い粒子を形成していた。更に、結合剤に相当する油剤が不均一に存在するため、油剤で濡れていない粉体と油剤に濡れている粉体とが存在しており、粉末化粧料の色と肌に塗布した際の色が異なったり、仕上がりに色むらができたりしていた。更に、硬い二次凝集物は塗布時に崩れ難く、滑らかさを損ない、油剤に濡れていない部分の粉体は、密着力が低く塗布後に脱落してしまうという問題を有していた。しかし、本発明に用いられる成分(A)の複合粉体は、微細に均一に分散した油剤を介した複数の粉体の弱い二次凝集によって形成されるため、本発明の粉末化粧料では、塗布時の摩擦により容易に崩壊し、非常になめらかな使用感が得られる。さらに、成分(A)の複合粉体中では、結合剤である油剤が均一に粉体中に微細に分散しているので、塗布膜は密着力があり、発色性に優れ、色むらがほとんど生じない美しい仕上がりとなる。そして、粉末化粧料の色と肌に塗布した際の色の差がほとんどないことから、使用者が安心して使用できるというメリットを有する。更に、油剤が付着していない粉体がなくなるので、塗布時の粉散りが非常に少なくなるという利点を有する。
【0032】
このようにして得られた成分(A)の複合粉体は、そのまま化粧容器に充填することが、性能を維持できるので好ましい。また、更に、処方の最適化を図るため、成分(A)の複合粉体に、成分(B)、(C)を追加することができる。
成分(A)の複合粉体は、全組成中に30〜100質量%、好ましくは50〜100質量%含有される。
【0033】
〔成分(B)粉体〕
更に、本発明の粉末化粧料は、成分(A)の複合粉体以外の(B)粉体を含有することができる。成分(B)の粉体は、使用感の調整、色調合わせ、色バリエーションの付与の目的から用いられる。
粉体としては、通常化粧料に用いられる体質顔料や着色顔料であれば特に制限されず、無機粉体、有機粉体、有機無機の複合体及び繊維状の粉末のいずれでも使用することができる。
【0034】
無機粉体としては、例えば、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、酸化チタン、酸化亜鉛、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、硫酸バリウム、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、マンガンバイオレット、酸化チタン被膜雲母、ベンガラ被覆雲母、ガラスビーズ、ゼオライトこれらの複合体等が挙げられる。
【0035】
有機粉体としては、有機顔料、高分子化合物等からなる有機系粉体などが挙げられる。
有機顔料としては、例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色226号、橙色204号、黄色205号、赤色404号、赤色405号、橙色401号、黄色401号、青色404号等が挙げられる。また、高分子化合物としては、例えば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂から選ばれた有機高分子の粉体、更に、繊維を細かくした粉末(「マイクロアート」(ユニチカ社製)20デニール相当、を裁断したもの、「NFCB-10D-0.5T」(大東化成工業社製、10デニール、0.5mm、異形断面、カーボンブラックで黒色に染色したもの)などが挙げられる。
【0036】
粉体の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜500μm、特に0.02〜100μm、更に0.03〜50μmであるのが、塗布時の使用感や、発色性、カバー力の点からので好ましい。
【0037】
これらの粉体は、粉体として本来表面が親水性であるものや、疎水性であるもの、粉体の一部または全部を表面が親水化処理、又は疎水化処理したものを使用でき、これらの中で疎水性又は疎水化処理粉体は、使用感や化粧持続性により優れるので好ましい。疎水化処理は、例えば、シリコーン化合物(ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン油及びその誘導体)、脂肪酸金属塩、アルキルリン酸、アルキルリン酸のアルカリ金属塩又はアミン塩、N−モノ長鎖(炭素数8〜22)脂肪族アシル塩基性アミノ酸、パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物などの疎水化処理剤を用いて行うことができ、通常の方法に従って処理することができる。親水化処理は、例えば、ポリアクリル酸などの水溶性ポリマー、シリカ、アルミナなどの無機化合物、界面活性剤などの親水化処理剤を用いて行うことができ、通常の方法に従って処理することができる。また、粉体に対する疎水化処理剤および親水化処理剤の処理量は、0.05〜20質量%、特に2〜10質量%であるのが好ましい。
特に、シリコーン油、フッ素化合物で疎水化処理した粉体を用いるのが好ましい。
【0038】
これらの中で、滑らかさを付与する粉体としては、水及び油に不溶の界面活性剤多価金属塩粉末、樹脂粉末、アミノ酸系粉末から構成される有機板状粉体があり、Nε−ラウロイル−L−リジン(アミホープLL、味の素社製、平均粒子径:長径12μm、短径10μm、厚さ0.4μm)などが好ましい。また、無機板状粉体としては窒化ホウ素や、有機無機複合粉体としては窒化ホウ素被覆シリコーンエラストマー粉体が好ましい。
【0039】
また、使用感にさらさら感を付与するためには無機球状粉体、有機球状粉体が好ましい。かかる球状粉体としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム等の無機球状粉体;ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンとアクリル酸の共重合体、シリコーン樹脂等の有機球状粉体や、さらにこれらの複合粉体、体質顔料や着色顔料等を通常の方法により球状に造粒したものなどが挙げられる。球状粉体の平均粒径は、1〜15μm、特に3〜10μmであるのが、使用感が良いので好ましい。
成分(B)の粉体中、30〜100質量%が球状粉体であるのが好ましい。
【0040】
これらの中でも、平均粒子径3〜30μm(レーザー回析式粒度分布測定)の粉体が好ましく、中でもオルガノポリシロキサンエラストマー、ポリメチルシルセスキオキサン、架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体などのシリコーン類が、滑らかな伸び広がりの点で好ましい。
市販品としては、ナイロンであるナイロン12SP−500(東レ社製)、ポリメタクリル酸アルキルであるマツモトマイクロスフェアーM−101、305(何れも、松本油脂製薬社製)、ポリスチレンであるガンツパールGS−0605(ガンツ化成社製)、オルガノポリシロキサンエラストマーであるトレフィルE505、E506、E701(何れも、東レ・ダウコーニング社製)、ポリメチルシルセスキオキサンであるトスパール2000B(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体であるKSP−100、300(何れも信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0041】
成分(B)粉体は、1種以上を用いることができ、使用感を向上させる観点から、全組成中に0〜69.65質量%、特に0〜10%含有するのが好ましい。
また、粉末化粧料全組成中に、全粉体成分((a)+(B))は、70〜99.5質量%、好ましくは80〜95質量%含有される。
【0042】
〔成分(C)油剤〕
本発明の粉末化粧料は、(C)油剤を含有することができる。成分(C)油剤は、25℃で液状、半固体状および固体状から選ばれる1種以上の油剤を用いることができる。成分(C)は、使用感、密着力、粉っぽさの調整の観点から含有される。
25℃で液状の油剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されずに使用することができる。例えば、ホホバ油等の植物油;液状ラノリン等の動物油;流動パラフィン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油などが挙げられる。
【0043】
25℃で固体状の油剤は、好ましくは40℃以上、より好ましくは60〜110℃の融点を有するもので、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物性ワックス、合成ワックス等を用いることができる。具体的には、コメヌカロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、ゲイロウ、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
【0044】
また、25℃で半固体状の油剤としてはイソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカダミアナッツ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、等のコレステロール誘導体、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸酸フィトステリル、等のフィトステロール誘導体、ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット、ロジン酸ジペンタエリトリット等のジペンタエリトリット脂肪酸エステル、(アジピン酸・2-エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリド等のトリグリセライド、硬化油などの部分的に水素添加されたトリグリセライド、ラノリン、ラノステロール誘導体、ワセリン等が挙げられる。
これらのなかで、使用感、密着力、粉っぽさの調整の観点から流動イソパラフィン、スクワランが好ましい。成分(C)の油剤は、(a)粉体の疎水化処理とは関係なく使用することができる。
【0045】
成分(C)の油剤は、1種以上を用いることができ、使用感を維持しつつ、粉っぽさを低減させる観点から、全組成中に0〜29.5質量%、特に0〜10質量%含有するのが好ましい。
また、粉末化粧料全組成中に、全油剤成分((b)+(C))は、0.5〜30質量%、好ましくは、5〜20質量%含有される。
【0046】
成分(A)複合粉体と、(B)粉体、(C)油剤は、前記のような配合割合になるよう、ミキサーで混合され、均一にされた後、粉末化粧料として使用することができる。
【0047】
本発明の粉末化粧料は、更に通常の化粧料に用いられる成分、例えば、保湿剤、紫外線吸収剤、色素、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤、ビタミン類、抗炎症剤、香料、その他の薬剤等を、適宜含有することができる。これらの成分を配合する場合には、成分(A)の複合粉体を製造する際に含有させることもできるし、成分(A)と、成分(B)、(C)を混合する際に含有させることもできる。
【0048】
本発明の粉末化粧料は、例えば、ファンデーション、フェイスパウダー、白粉、ほほ紅、アイシャドウ、マスカラ等のメイクアップ化粧料や、ボディパウダーなどとして好適である。
【実施例】
【0049】
実施例1〜17及び比較例1〜7(粉末状おしろい)
表1及び表2に示す組成の粉末状おしろいを、下記製造方法により製造した。得られたおしろいについて、崩壊性;流動性;塗布時のさらさら感、しっとり感、滑らかさ、軽さ及び粉散りのなさ;仕上がり時の密着力、粉っぽさのなさ、ツヤ、パール感、ふんわり感及びムラつきのなさ;化粧持ちを評価した。結果を表3に示す。
【0050】
(製造方法)
(1)実施例1〜17:
(1−1)成分(A)複合粉体の製造;
各成分(a)粉体、(b)油剤を合わせて50g量りとり、オートクレーブ(内容量500mL、AKICO社製)内に充填し、密閉した。充填後、ボンベより二酸化炭素を供給し、圧力25MPa、温度45℃に設定し、超臨界状態に保つ。この温度及び圧力条件で、攪拌速度を250r/minとして、30分間オートクレーブ内の各成分の攪拌を行った。
次いで、攪拌速度を100r/minとし、オートクレーブに付属した排気バルブを徐々に開放し、10−25分間で大気圧まで減圧を行った。この時断熱膨張作用により容器内の温度が低下するが、二酸化炭素の液相を経由しないように内部の温度調節を行った。具体的には、減圧途中の内部圧力7MPa時のオートクレーブ内の温度が308〜318Kであり、減圧終了時の温度が305〜318Kであった。大気圧に到達後、攪拌を止め、成分(A)の複合粉体を得た。
【0051】
(1−2)粉末状おしろいの製造;
上記製法で得られた成分(A)の複合粉体を、メッシュに通した後、容器に充填して、粉末状おしろいを得た。
【0052】
(2)比較例1〜7:
粉体成分をヘンシェルミキサーにて混合した後、油剤成分を添加し、さらに混合する。得られた複合粉体をアトマイザーにて粉砕し、メッシュを通した後、容器に充填し、粉末状おしろいを得た。
【0053】
(評価方法)
(1)崩壊性:
粉末化粧料をスパチュラで1かき取り、上腕部に載せる。それを人差し指で軽く押さえつけ、粒子が崩壊するまでの回数を求めた。以下の基準で示した。
◎;1回で崩壊。
○;2〜3回で崩壊。
△;4〜5回で崩壊。
×;5回以上で崩壊又は崩壊せず。
【0054】
(2)流動性(メッシュの通りやすさ):
化粧料を1mmのメッシュ付き容器に充填し、この容器を逆さにして1分間振ったとき、容器外に出た粉体を計量した。流出した粉体の割合(%)を求め、流動性の指標とした。この数値が大きいほど、流動性が高いと評価される。
【0055】
(3)塗布時のさらさら感:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を顔に塗布したときの感触を官能評価した。「さらさら感がある」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「さらさら感がある」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「さらさら感がある」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「さらさら感がある」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「さらさら感がある」と評価したパネラーが0〜3名。
【0056】
(4)塗布時のしっとり感:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を顔に塗布したときの感触を官能評価した。「しっとり感がある」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「しっとり感がある」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「しっとり感がある」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「しっとり感がある」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「しっとり感がある」と評価したパネラーが0〜3名。
【0057】
(5)塗布時の滑らかさ:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を顔に塗布したときの感触を官能評価した。「滑らかさがある」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「滑らかさがある」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「滑らかさがある」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「滑らかさがある」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「滑らかさがある」と評価したパネラーが0〜3名。
【0058】
(6)塗布時の軽さ:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を顔に塗布したときの感触を官能評価した。「軽さがある」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「軽さがある」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「軽さがある」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「軽さがある」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「軽さがある」と評価したパネラーが0〜3名。
【0059】
(7)塗布時の粉散りのなさ:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を顔に塗布したときの状態を官能評価した。「軽さがある」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「粉散りしない」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「粉散りしない」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「粉散りしない」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「粉散りしない」と評価したパネラーが0〜3名。
【0060】
(8)仕上がりの密着力:
10名の専門パネラーにより、スポンジで各化粧料を上腕に塗布したときの仕上がりを、皮丘への粉体の付き方を中心に評価した。「密着力がある」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「密着力がある」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「密着力がある」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「密着力がある」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「密着力がある」と評価したパネラーが0〜3名。
【0061】
(9)仕上がりの粉っぽさのなさ:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を顔に塗布したときの仕上がりを官能評価した。「粉っぽくない」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「粉っぽくない」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「粉っぽくない」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「粉っぽくない」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「粉っぽくない」と評価したパネラーが0〜3名。
【0062】
(10)仕上がりのツヤ:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を顔に塗布したときの仕上がりを官能評価した。「ツヤがある」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「ツヤがある」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「ツヤがある」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「ツヤがある」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「ツヤがある」と評価したパネラーが0〜3名。
【0063】
(11)仕上がりのパール感:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を顔に塗布したときの仕上がりを官能評価した。「パール感がある」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「パール感がある」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「パール感がある」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「パール感がある」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「パール感がある」と評価したパネラーが0〜3名。
【0064】
(12)仕上がりのふんわり感:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を顔に塗布したときの仕上がりを官能評価した。「ふんわりして見える」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「ふんわりして見える」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「ふんわりして見える」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「ふんわりして見える」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「ふんわりして見える」と評価したパネラーが0〜3名。
【0065】
(13)仕上がりのムラつきのなさ:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を顔に塗布したときの仕上がりを官能評価した。「ムラつきしない」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「ムラつきしない」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「ムラつきしない」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「ムラつきしない」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「ムラつきしない」と評価したパネラーが0〜3名。
【0066】
(14)化粧持ち:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を顔に塗布して5時間後の仕上がりを官能評価した。「化粧持ちがよい」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「化粧持ちがよい」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「化粧持ちがよい」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「化粧持ちがよい」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「化粧持ちがよい」と評価したパネラーが0〜3名。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
【表3】

【0070】
実施例18〜25及び比較例8〜14(粉末状チーク)
表4に示す組成の粉末状チーク(ルースタイプ)を、下記製造方法により製造した。得られたチークについて、実施例1〜17と同様にして、崩壊性;流動性;塗布時のさらさら感、しっとり感、滑らかさ、軽さ及び粉散りのなさ;仕上がり時の密着力、粉っぽさのなさ、ツヤ、パール感、ふんわり感及びムラつきのなさ;化粧持ちを評価した。なお、実施例1〜17において、おしろいを顔に塗布して評価を行ったものは、チークでは、頬に塗布して評価を行った。結果を表5に示す。
【0071】
(製造方法)
(1)実施例:
上記製法で得られた成分(A)の複合粉体を、メッシュに通した後、容器に充填して、粉末状チークを得た。
【0072】
(2)比較例:
粉体成分をミキサー(ヘンシェルミキサー)にて混合した後、油剤成分を添加し、さらに混合する。得られた複合粉体をアトマイザーにて粉砕し、メッシュを通した後、容器に充填し、粉末状チークを得た。
【0073】
【表4】

【0074】
【表5】

【0075】
実施例26〜30
上記製法で得られた成分(A)の複合粉体に、成分(B)、(C)を添加し、ヘンシェルミキサーにて混合した。得られた粉体は、メッシュを通した後、容器に充填し、粉末状おしろい又は粉末状チークを得た。
【0076】
(実施例26)
上記方法により、粉末状おしろいを得た。このおしろいは密着力があり、滑らかさに非常に優れ、色むらがなかった。
(成分)
実施例1の成分(A)複合粉体 88(質量%)
(B)有機球状粉体(KSP−100) 10
(C)シリコーン油(6cs) 2
【0077】
(実施例27)
上記方法により、粉末状おしろいを得た。このおしろいは密着力があり、滑らかさに非常に優れ、流動性が高かった。
(成分)
実施例3の成分(A)複合粉体 70(質量%)
(B)有機球状粉体(KSP−100) 8
(B)プラスチックパウダー(D800) 17
(C)スクワラン 5
【0078】
(実施例28)
上記方法により、粉末状おしろいを得た。このおしろいは密着力があり、滑らかさに非常に優れ、流動性が高かった。
(成分)
実施例8の成分(A)複合粉体 50(質量%)
(B)窒化ホウ素(粒径4μm、水島合金鉄社製、SHP-4) 45
(C)スクワラン 5
【0079】
また、窒化ホウ素として、SHP-3(粒径5〜7μm)、SHP-5(粒径14〜16μm)、SHP-6(粒径9〜11μm)を用いた場合にも、同様の粉末おしろいが得られた。
【0080】
(実施例29)
上記方法により、粉末状チークを得た。このチークは密着力があり、滑らかさに非常に優れ、赤みの鮮やかさがあった。
(成分)
実施例20の成分(A) 複合粉体 95(質量%)
(B)ベンガラ 5
【0081】
(実施例30)
上記方法により、粉末状チークを得た。このチークは密着力があり、滑らかさに非常に優れ、しっとり感があった。
(成分)
実施例24の成分(A)複合粉体 95(質量%)
(C)スクワラン 5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末化粧料であって、
(A):(a)粉体と(b)油剤を、超臨界または亜臨界二酸化炭素中にて混合して得られる複合粉体 30〜100質量%、
(B):成分(A)以外の粉体 0〜69.65質量%、
(C):油剤 0〜29.5質量%
を含有し、(a)と(b)の質量割合が99.5:0.5〜70:30であって、粉末化粧料全組成中に、粉体成分を70〜99.5質量%、油剤成分を0.5〜30質量%含有する粉末化粧料。
【請求項2】
(a)粉体の一部または全部が、疎水化処理された粉体である請求項1記載の粉末化粧料。
【請求項3】
疎水化処理された粉体が、シリコーン処理及び/又はフッ素処理粉体である請求項2記載の粉末化粧料。
【請求項4】
(b)油剤が、(a)粉体の疎水化処理とは異なる種の油剤である請求項2又は3記載の粉末化粧料。
【請求項5】
(a)粉体中、30〜100質量%が板状粉体である請求項1〜4のいずれか1項記載の粉末化粧料。
【請求項6】
板状粉体のうち、30〜100質量%がパール顔料である請求項5記載の粉末化粧料。
【請求項7】
(b)油剤が、炭化水素油、エステル油及びエーテル油から選ばれる1種以上の油剤である請求項1〜6のいずれか1項記載の粉末化粧料。
【請求項8】
成分(B)の粉体のうち、30〜100質量%が球状粉体である請求項1〜7のいずれか1項記載の粉末化粧料
【請求項9】
粉末化粧料の製造方法であって、
(A):(a)粉体と(b)油剤を、超臨界または亜臨界二酸化炭素中にて混合して得られる複合粉体 30〜100質量%、
(B):成分(A)以外の粉体 69.65質量%、
(C):油剤 0〜29.5質量%
を含有し、(a)と(b)の質量割合が99.5:0.5〜70:30であって、粉末化粧料全組成中に、粉体成分が70〜99.5質量%、油剤成分が0.5〜30質量%となるように混合する粉末化粧料の製造方法。

【公開番号】特開2010−132592(P2010−132592A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309160(P2008−309160)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】