説明

粉末食材付与装置及びそれを用いた米飯食品成形装置

【課題】本発明は、効率よく食品全体に満遍なく粉末食材を付着させることができる粉末食材付与装置を提供することを目的とする。
【解決手段】粉末食材付与装置では、搬送された米飯食品を開口が形成された搬送コンベヤ72に移送して停止した状態にする。そして、上方の粉末食材供給装置73から所定量の粉末食材を供給し、供給された所定量の粉末食材を散布装置74により米飯食品の上面に向かって散布する。その際に、米飯食品の周囲の外周領域にも粉末食材を散布し、外周領域に散布された粉末食材は搬送コンベヤ72の開口を通過して反転部材75により米飯食品Dの下面に向かって反転される。そのため、1回の散布により粉末食材を米飯食品の全体に満遍なく付与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の表面に粉末食材を散布して付与する粉末食材付与装置に関し、特に、成形された米飯食品全体に粉末食材を付与するのに好適な粉末食材付与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、米飯を型に直接供給して、押圧により所定の形状に成形することがなされてきたが、この場合、米飯粒同士を確実に接合する為に、予め冷却された米飯を用いており、型で過大に押圧されるために、得られる成型品は手作りに比べて締め固められた硬いものであった。また、離型しやすくする為に形状が限られて、角も角ばったものとなり、変化及び見栄えに乏しいものであった。
【0003】
そこで、米飯を潰すことなく成形するための種々の装置が提案されており、特許文献1には、シート状外皮材を短冊ベルト片により樋形に成形し、さらにこの短冊ベルト片を介して押圧成形子で間欠的に押圧して有芯食品を連続的に得ることができる有芯食品の製造装置が記載されている。米飯を潰さずにシート状に敷き延ばすことのできる従来公知のシート成形機とこの製造装置を組み合わせれば、外皮材が粳米からなる有芯食品を連続的に製造することも可能となる。そして、食品切断機や型打ち機との組み合わせにより、手作りのような品質の様々な形状の米飯食品を製造することができる。
【0004】
こうした米飯食品成形装置では、おにぎり等の食品を製造する場合に塩等の粉末調味料やすり胡麻等の粉末食材を米飯に振り掛けることが行われており、例えば、特許文献2では、シート状に形成した米飯シートの下面に満遍なく粉末食材を散布するようにした点が記載されている。
【0005】
また、成形したおにぎり等の食品に対して粉末食材を付与する場合には、例えば、特許文献3では、握飯を載置する台板上に予め食塩を散布しておき、散布した食塩の上に成形した握飯を置くことで握飯の下面に食塩を付着させ、さらに握飯の上方から食塩を散布して握飯の上面にも食塩を付着させるようにしている。また、特許文献4では、略扇状に形成された複数の多孔板を連結した塩分散部材を用いておにぎりの片面に塩を振りかけた後おにぎりを反転させて反対側の片面に塩分散部材を用いて塩を振りかけるようにしている。
【特許文献1】特許第2896503号公報
【特許文献2】特開2007−74978号公報
【特許文献3】特許第2997659号公報
【特許文献4】特許第3889751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
成形した食品の表面に粉末食材を付着させる場合、特許文献3に記載されているように、予め塩を散布した台板上に握飯を置いて塩を付着させると、台板上に塩が残留するようになり、次の握飯を置いたときに付着する塩の量が増えてしまうことになる。また、握飯の表面が平らでない場合には、付着する塩が不均一となり、塩を上下両面に満遍なく付着させることが困難である。
【0007】
特許文献4では、おにぎりを反転させて両面に満遍なく塩を付着させるようにしているが、おにぎりを反転させる装置が必要となるため、装置が複雑化するとともに生産効率が低下するようになる。また、反転する際におにぎりの形状が崩れたり、球状のおにぎりのようにうまく反転できないおそれがあり、様々な形状の食品に十分対応することが難しいといった課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、効率よく食品全体に満遍なく粉末食材を付着させることができる粉末食材付与装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る粉末食材付与装置は、粉末食材を所定量供給する供給手段と、供給された前記粉末食材を食品の片面領域及び当該片面領域の外周領域に散布する散布手段と、前記外周領域に散布された前記粉末食材を反転させて前記片面領域以外の領域に向かって前記食品に散布する反転手段とを備えていることを特徴とする。さらに、前記散布手段は、供給された所定量の前記粉末食材を噴射口から飛散させる噴射手段と、前記噴射口の周囲に末広がり状の誘導面が形成されて飛散する前記粉末食材を所定の散布領域に誘導する誘導手段を備えていることを特徴とする。さらに、前記誘導手段は、前記片面領域に前記粉末食材を誘導する内側誘導面及び前記外周領域に前記粉末食材を誘導する外側誘導面を有することを特徴とする。さらに、前記反転手段は、前記食品の片面領域とは反対側の片面領域に対向配置されるとともに前記外周領域に散布された前記粉末食材を前記食品の中心部に向かって反転させる湾曲状の反転面を有し、当該反転面において前記粉末食材の反転方向に空気流を発生させる空気噴射手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記のような構成を有することで、散布手段により散布された粉末食材を食品の片面領域に付着させ、さらに外周領域に散布された粉末食材を反転させて片面領域以外の領域に付着させるので、食品全体に満遍なく粉末食材を付着させることができる。また、食品を反転させることなく粉末食材を付着させることができるので、粉末食材の付与動作を効率よく行うことが可能となり、生産性の低下が抑止される。
【0011】
ここで、粉末食材とは、食品や食材の表面に付与する粉末状の食材で、例えば、塩等の粉末調味料、すり胡麻、粉胡椒等の粉末食材が挙げられる。
【0012】
また、散布手段として、粉末食材を噴射させる噴射手段及び噴射させた粉末食材を誘導する誘導手段を有することで、所定の散布領域に満遍なく粉末食材を飛散させることができる。そして、誘導手段として、食品の片面領域に粉末食材を誘導する内側誘導面及び外周領域に粉末食材を誘導する外側誘導面を有することで、食品の片面領域及び外周領域に適宜振り分けて粉末食材を散布することができ、食品の片面領域とそれ以外の領域に満遍なく粉末食材を振り分けることが可能となる。
【0013】
また、反転手段として、食品の片面領域とは反対側の片面領域に対向配置されるとともに外周領域に散布された粉末食材を食品の中心部に向かって反転させる湾曲状の反転面を有するようにすれば、粉末食材を効率よく反対側の片面領域に散布することができる。そして、反転面において粉末食材の反転方向に空気流を発生させる空気噴射手段を設けることで、空気流に乗って粉末食材を食品に付着するように誘導することができ、粉末食材の付与の効率化を図ることが可能となる。
【0014】
なお、本発明において、粉末食材とは、食品や食材の表面に付与して使用する粉末状の食材で、例えば、塩等の粉末調味料、すり胡麻、粉胡椒等の粉末食材が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明に係る実施形態を備えた食品成形装置に関する全体概略正面図である。食品成形装置Aは、複数の機構により形成されており、米飯Bが成形される順に図面左の方から、米飯Bのほぐし及び供給を行う供給機構1、供給機構1から供給された米飯Bをシート状に展延するシート整形機構2、シート成形機構2でシート状に展延された米飯シート上に内材Gを供給する内材供給機構3、米飯シートの両側部を封着して米飯棒状体Cに成形する封着機構4、封着機構4で封着された米飯棒状体を切断して分割する分割機構5、分割された米飯分割体を個別に型打して仕上げ整形する整形機構6、整形された米飯食品Dに粉末食材を付与する付与機構7から構成されている。
【0017】
ここで、米飯とは、主にうるち米又はもち米から製造されたものを意味し、白飯のほか赤飯、おこわ、五目飯といったものが含まれる。
【0018】
食品成形装置Aによる米飯食品の成形工程を説明すると、まず、米飯Bを作業者が供給機構1に投入すると、米飯Bの粘性により互いに適度に粘着した米飯Bの飯塊は搬送コンベヤ11上を図面右方に搬送される。そして、米飯Bの飯塊は回転するほぐし部材12に巻き込まれることにより適度にほぐされて、搬送コンベヤ11から落下するようにシート成形機構2の上部から供給される。
【0019】
供給された米飯Bは一対の繰出ローラ21により繰り出し量が調節されて連続的に下部に繰り出されて、搬送コンベヤ22によりさらに右方に搬送されて、展延ローラ23に到達すると、所定の厚さに展延された連続したシート状の米飯シートに成形される。米飯シートは、搬送コンベヤ24上で適宜自然冷却されながら、内材供給機構3が取付けられた封着機構4に搬送される。
【0020】
米飯シートは、封着コンベヤ41で右方に搬送されながら内材供給機構3により内材Gがその上面に供給される。内材Gは、ホッパ31内に投入されてベーンポンプ等の送給手段により圧送され、ノズル32から連続して吐出される。吐出された内材Gは、搬送される米飯シートのほぼ中央部分に棒状に配置されていく。
【0021】
内材Gが配置された米飯シートは、封着機構4において、封着コンベヤ41により搬送されながら複数の封着部材42により内材Gを内包するように米飯シートの両側部が封着されて連続した略棒状の米飯棒状体Cに形成されながら右方に搬送される。こうした封着機構は、特許文献1に記載の機構を用いるとよい。
【0022】
米飯棒状体Cは、搬送コンベヤ51で搬送されて分割機構5に導入される。分割機構5では、シャッタ装置52により包皮切断されて分割され、内部に内材Gを包み込んだ米飯分割体となり、搬送コンベヤ53及び搬送コンベヤ61により整形機構6に搬送される。
【0023】
米飯分割体は、整形機構6において搬送コンベヤ64が停止した状態で一対の横型62及び上型63により、所定の形状に型打されて米飯食品Dに仕上がられる。所定の形状に仕上げられた米飯食品Dは、搬送コンベヤ71により付与機構7に搬送される。
【0024】
付与機構7では、搬送された米飯食品Dを開口が形成された搬送コンベヤ72に移送して停止した状態にする。そして、上方の粉末食材供給装置73から所定量の粉末食材を供給し、供給された所定量の粉末食材を散布装置74により米飯食品Dの上面に向かって散布する。その際に、米飯食品Dの周囲の外周領域にも粉末食材を散布し、外周領域に散布された粉末食材は搬送コンベヤ72の開口を通過して反転部材75により米飯食品Dの下面に向かって反転される。そのため、1回の散布により粉末食材を米飯食品Dの全体に満遍なく付与することができる。
【0025】
こうして粉末食材を付与された米飯食品Dは、搬送コンベヤ76により次の包装工程等に搬出される。
【0026】
ここで、食品成形装置Aで使用するコンベヤは、粘性のある米飯が固着しにくいような材料や形状であることが好ましく、例えば深い凹凸の溝を設けたり、多数の小突起を設けて米飯との接触面積を小さくすることが好ましい。
【0027】
図2は、付与機構7に関する概略断面図であり、図3は、付与機構7に関する分解斜視図である。粉末食材供給装置73は、粉末食材が貯留されるホッパ700、ホッパ700から粉末食材を所定量ずつノズル702に投入する投入部701、投入された所定量の粉末食材を移送板703に穿設された供給孔704に送入するノズル702を備えている。移送板703は、円板状の基板の周辺部に等間隔で供給孔704が穿設されており、供給孔704の下面には半径方向に摺動溝が形成されている。摺動溝には開閉板705が半径方向に摺動可能に装着されている。開閉板705には、貫通孔705aが穿設されており、貫通孔705aが供給孔704の下部開口に一致する開放位置と下部開口からずれた閉鎖位置との間を開閉板705が移動するようになっている。
【0028】
移送板703は基台706の上面に載置されて中心に設けられた回転軸を中心に回動可能に設けられており、回転軸は図示せぬ駆動手段により回転駆動されて移送板703が回転するようになっている。そして、移送板703の回転動作に伴い図示せぬカム機構により開閉板705が半径方向に移動するようになっている。
【0029】
散布装置74は、移送板703の上方に配置されたエアノズル710、移送板703の下方に配置された誘導部材711、ガイド筒部材712を備えている。エアノズル710の空気噴射口710aは下端に設けられており、基台706の空気噴射口710aと対向する位置には挿着孔706aが穿設されている。
【0030】
誘導部材711は、外周面が円柱状で内周面に円錐状の外側誘導面713aが形成された外筒部材713及び外筒部材713の内部に配置された円錐状の内筒部材714を備えている。内筒部材714は、外筒部材713の下端が一致するように複数の連結バー715により取付固定されており、外筒部材713の内周面の下端の円周と内筒部材714の下端の円周が同心円状となるように配設されている。
【0031】
外筒部材713の上面の中心部には取付部716が立設されており、取付部716を挿着孔706aに挿着して外筒部材713が基台706に取り付けられる。取付部716の中心部には連通孔716aが穿設されており、連通孔716aは外筒部材713の内部と連通している。そして、外側誘導面713aは、円錐状の頂点部分が連通孔716aと連通し、連通孔716aから下端に向かってコーン状に形成されている。また、連通孔716aの連通方向は、エアノズル710の空気噴射口710aからの噴射方向に沿うように設定されている。
【0032】
内筒部材714は、外周面及び内周面が共に円錐状に形成されており、外周面が外側誘導面713aに沿って所定間隔を空けて配設され内周面が内側誘導面714aとなっている。内筒部材714の頂部には内側誘導面714aに連通する導入口714bが穿設されている。そして、導入口714bの中心は、連通孔716aから延びるエアノズル710の噴射方向に一致するように設定されている。
【0033】
また、導入口714bの内部には円柱状の調整部材717が配設されている。調整部材717は、導入口714bの内径よりも小さい外径に形成されており、調整バー718の一端側にその下部が支持されている。調整バー718は、内筒部材714の内部に保持された支持部材719に上下動可能に支持されており、内筒部材714の下端から外側に折れ曲るように延設されてさらに上方に折れ曲るように形成されている。そして、調整バー718の他端側が上方に延設されて外筒部材713の上面に形成された案内部材720を貫通してその先端に操作ツマミ721が取り付けられている。こうした構成により、操作ツマミ721を操作して上下動させると、それに連動して調整部材717が導入口714b内で上下動するようになり、調整部材717の上下方向の位置調整を行うことができる。
【0034】
ガイド筒部材712は、円筒状に形成されて外筒部材713の外周を囲むように設けられている。そして、図示せぬ駆動手段により誘導部材711に対して相対的に上下動するようになっている。ガイド筒部材712の下端の端面712aには、リング状の排気口が形成されており、ガイド筒部材712の下部には排気口に連通して通気空間712bが周方向に所定幅で形成されている。通気空間712bは、外部から空気を導入する空気管712cが接続されている。したがって、空気管712cから加圧空気が通気空間712bに導入されると端面712aのリング状の排気口から空気が噴出するようになる。
【0035】
次に、粉末食材供給装置73及び散布装置74により粉末食材を所定量供給して散布する動作について説明する。粉末食材供給装置73のホッパ700、投入部701及びノズル702は、図示せぬ駆動手段により散布装置74のエアノズル710とともに上下動するようになっている。
【0036】
まず、移送板703が回動して供給孔704がそれぞれノズル702及びエアノズル710に対向した位置に位置決めされる。そして、ノズル702及びエアノズル710が下降して供給孔704を覆うように移送板713に当接した状態に設定される。
【0037】
次に、投入部701が所定量の粉末食材をノズル702を介して供給孔704に投入する。粉末食材が投入された供給孔704の開閉板705は、貫通孔705aが供給孔704からずれた閉鎖位置に設定されているため、投入された粉末食材が供給孔704から漏出することはない。
【0038】
一方、エアノズル710に対向配置された供給孔704には移送板703の回動する前の段階でノズル702から所定量の粉末食材が投入されている。そのため、供給孔704の開閉板705を移動させて貫通孔705aが供給孔704の下部開口と一致させると同時にエアノズル710の空気噴射口710aから空気を噴射させる。
【0039】
エアノズル710の噴射により供給孔704の粉末食材は貫通孔705aから外筒部材713の連通孔716aを通過して外筒部材713の内部に一気に散布される。外筒部材713内に散布された粉末食材は、外筒部材713の内周面である外側誘導面713aに沿って末広がり状に拡散していき、中央領域に拡散した粉末食材は内筒部材714の導入口714bを通過して内筒部材714の内部に導入される。そして、内筒部材714内に導入された粉末食材は、内筒部材714の内周面である内側誘導面714aに沿って末広がり状に拡散していく。
【0040】
導入口714bから導入される粉末食材の量は、調整部材717の上下位置を調整することで調整することができる。調整部材717を導入口714b内の位置からから上方に突出させるように位置調整することで、導入される粉末食材の量を減少させることができる。また、導入口714a内の位置から下方に移動させることで、導入される粉末食材の量を増加させることができる。
【0041】
粉末食材が散布される際には、ガイド筒部材712が誘導部材711より下方に移動して外筒部材713の外側誘導面713aから下方に散布される粉末食材が外方に飛散しないようにガイドする。
【0042】
以上のように、エアノズル710の噴射により散布された粉末食材は、外筒部材713の外側誘導面713aと内筒部材714の外周面との間の環状領域並びに内筒部材714の内側誘導面714aにより囲まれる中央領域に区分されて散布されるようになる。そして、環状領域及び中央領域に散布される粉末食材の量は、調整部材717により適宜調整することができる。また、中央領域に散布された粉末食材は、米飯食品Dの上面側の片面領域に散布され、環状領域に散布された粉末食材は米飯食品Dの周囲の外周領域に散布されるようになる。
【0043】
以上の供給及び散布動作が終了した後ノズル702及びエアノズル710を上昇させて移送板703を回動させる。そして、次の供給孔704を対向配置させて再びノズル702及びエアノズル710を下降させて同様の供給及び散布動作を繰り返すことで、効率よく粉末食材を所定量供給して散布させることが可能となる。
【0044】
反転部材75は、ガイド筒部材712の下方に配設されており、上部の反転部730及び下部の排出部731からなる。反転部730は、上面が平面視矩形状の搬送面732となっており、搬送面732の中央部分には湾曲面状に窪んだ平面視円形状の反転面733が形成されている。反転面733は、周縁部から中心に向かってなだらかに傾斜して中央部分は中心に向かって盛り上がるように湾曲形成され、さらにその中心部に排出口734が穿設されている。搬送面732には、反転面733の両側部に複数の案内溝735が等間隔で平行となるように形成されている。そして、図4に示すように、搬送コンベヤ72の紐状ベルト72aが案内溝735に沿って案内されるようになっている。紐状ベルト72aは、搬送ローラ72bに張架されており、搬送コンベヤ72の駆動ローラにより搬送面732の上面を移動することで米飯食品Dが反転面733の上部に搬送されるようになる。そして、紐状ベルト72aの間には粉末食材が通過する開口領域が形成されている。
【0045】
排出部731は、排出口734に連通する貯留部736が内部に形成されており、排出口734から排出される粉末食材が貯留されるようになっている。
【0046】
次に、散布された粉末食材が反転部材75により反転する過程を説明する。まず、ガイド筒部材712が下降して搬送面732に当接すると、端面712aの排気口が反転面733の外周縁とほぼ一致するか外周縁よりもわずかに内部に位置するように設定される。そして、米飯食品Dの周囲の外周領域に散布された粉末食材は、ガイド筒部材712により外方に飛散しないように反転面733に向かって散布される。反転面733は、中心部に向かってなだらかに傾斜しているため反転面733に衝突した粉末食材は中心部に向かうように反転される。そのため、米飯食品Dの側面領域や下面領域に粉末食材が付着するようになる。
【0047】
その際に、ガイド筒部材712排気口から空気が噴出することで反転面733の外周縁から中心部に向かう空気流を発生させ、米飯食品Dに付着せずに反転面733に滞留した粉末食材を吹き上げて米飯食品Dに吹き付けるようにする。また、発生した空気流は排出口734を通って貯留部736内に吹き込むようになるので、反転面733に残留した粉末食材は空気流に乗って貯留部736に回収されるようになる。
【0048】
図5から図8は、付与機構7において粉末食材を付与する過程に関する説明図である。図5では、ノズル702及びエアノズル710が下降して移送板703の供給孔704を覆うように当接している。この状態でまずノズル702から供給孔704に所定量の粉末食材が投入される。また、ガイド筒部材712は上昇した位置に待機し、搬送コンベヤ71により米飯食品Dが搬送されて搬送コンベヤ72に移送される。
【0049】
図6では、ノズル702及びエアノズル710が上昇して移送板703が回動し、図5に示す段階で粉末食材が投入された供給孔704がエアノズル710の噴射口に対向した位置に設定される。一方、米飯食品Dは搬送コンベヤ72に移送されて搬送され、反転面733に対向配置されて搬送コンベヤ72が停止する。そして、ガイド筒部材712が下降して反転面733を覆うように設定される。
【0050】
図7では、ノズル702及びエアノズル710が下降して移送板703の供給孔704を覆うように当接し、エアノズル710に対向配置された供給孔704の開閉板705が移動して貫通孔705が供給孔704と一致するのとほぼ同時にエアノズル710が空気を噴射して粉末食材が外筒部材713の内部に散布される。散布された粉末食材は内筒部材714により環状領域及び中央領域に区分けされて拡散する。
【0051】
そして、内筒部材714の内部に導入された中央領域の粉末食材は内側誘導面714aに沿って米飯食品Dの上面側の片面領域全体に散布されて満遍なく付着する。また、外筒部材713の外側誘導面713aと内筒部材714の外周面との間に散布された粉末食材は米飯食品Dの外周領域に誘導されて、搬送コンベヤ72の紐状ベルト72aの間を通り抜け、反転面733に衝突する。粉末食材は、衝突により米飯食品Dに向かって飛散し、その表面に付着する。また、粉末食材が散布された際にガイド筒部材712の下端から空気が噴出して反転面733に沿った空気流が発生し、反転面733に滞留する粉末食材を吹き上げて米飯食品Dに付着させる。こうして、米飯食品Dの側面領域や下面領域に満遍なく粉末食材が付着し、米飯食品D全体に満遍なく粉末食材が付与されるようになる。
【0052】
反転面733に残留する粉末食材は空気流に乗って排出口734から貯留部736に導入される。そのため、次の粉末食材の散布の際に残留したものが付与されることがほとんどなくなり、常に所定量の粉末食材を米飯食品Dに付着させるようにすることができる。
【0053】
また、ノズル702からは供給孔704に所定量の粉末食材が投入されて次の粉末食材の散布に備えるようになっており、粉末食材の散布動作を効率よく行うことができる。
【0054】
図8では、ガイド筒部材712を上昇させて搬送コンベヤ72により米飯食品Dを搬送して次の搬送コンベヤ76に移送する。また、ノズル702及びエアノズル710が上昇して、図6と同様に次の散布動作を繰り返す。
【0055】
以上説明したように、一度の散布動作により所定量の粉末食材を米飯食品全体に満遍なく付与することができ、また食品自体を反転させる必要がないので、成形した食品の型崩れが生じることなく短時間で食品に粉末食材を付着させることが可能となる。
【0056】
また、本発明は、米飯食品以外の食品についても粉末食材を容易に付与することができ、幅広い食品に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る実施形態に関する全体概略正面図である。
【図2】付与機構に関する概略断面図である。
【図3】付与機構に関する分解斜視図である。
【図4】搬送コンベヤの搬送面に関する一部拡大斜視図である。
【図5】付与機構において粉末食材を付与する過程に関する説明図である。
【図6】付与機構において粉末食材を付与する過程に関する説明図である。
【図7】付与機構において粉末食材を付与する過程に関する説明図である。
【図8】付与機構において粉末食材を付与する過程に関する説明図である。
【符号の説明】
【0058】
A 食品成形装置
B 米飯
C 米飯棒状体
D 米飯食品
G 内材
1 供給機構
2 シート成形機構
3 内材供給機構
4 封着機構
5 分割機構
6 整形機構
7 付与機構
72 搬送コンベヤ
73 粉末食材供給装置
74 散布装置
75 反転部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末食材を所定量供給する供給手段と、供給された前記粉末食材を食品の片面領域及び当該片面領域の外周領域に散布する散布手段と、前記外周領域に散布された前記粉末食材を反転させて前記片面領域以外の領域に向かって前記食品に散布する反転手段とを備えていることを特徴とする粉末食材付与装置。
【請求項2】
前記散布手段は、供給された所定量の前記粉末食材を噴射口から飛散させる噴射手段と、前記噴射口の周囲に末広がり状の誘導面が形成されて飛散する前記粉末食材を所定の散布領域に誘導する誘導手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の粉末食材付与装置。
【請求項3】
前記誘導手段は、前記片面領域に前記粉末食材を誘導する内側誘導面及び前記外周領域に前記粉末食材を誘導する外側誘導面を有することを特徴とする請求項2に記載の粉末食材付与装置。
【請求項4】
前記反転手段は、前記食品の片面領域とは反対側の片面領域に対向配置されるとともに前記外周領域に散布された前記粉末食材を前記食品の中心部に向かって反転させる湾曲状の反転面を有し、当該反転面において前記粉末食材の反転方向に空気流を発生させる空気噴射手段を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の粉末食材付与装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の粉末食材付与装置を備えていることを特徴とする米飯食品成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−261310(P2009−261310A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114241(P2008−114241)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(390013941)株式会社コバード (30)
【Fターム(参考)】