説明

粉砕物の製造装置、方法、粉砕物および加工品

【課題】
簡単な装置と操作により、穀類粒子のように軟質の薄膜を有する被粉砕物を粉砕する場合でも、効率よく難粉砕性の薄膜を破砕し、粒度のそろった微粒子の粉砕物を得、過熱を防止して効率よく粉砕を行い、無変質で、品質が優れた粉砕物を製造する。
【解決手段】
固定粉砕盤4と可動粉砕盤5間に、原料供給路55、56から原料導入部11へ原料を供給し、駆動軸21を通して可動粉砕盤5を吊り下げて、間隔調整機構7により固定粉砕盤4との間隔を調整し、駆動装置8から伝熱を防止した状態で駆動軸21に動力を伝達して可動粉砕盤5を回転させ、粗挽き分配溝17を通して原料を移動させる間に原料を粗粉砕するとともに、破砕部61で難粉砕性原料を破砕し、微粉砕部62に分配して微粉砕し、粉砕物60を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小麦、米、そば、大豆等の食品原料、その他の被粉砕物、特に粒状の被粉砕物を粉砕して、粉砕物を製造する方法、装置、粉砕物および加工品に関し、さらに詳細には対向して配置された1対の粉砕盤により、被粉砕物粒子の表面を研削するとともに粉砕して、粒度のそろった粉砕物を製造する装置、方法、粉砕物および加工品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生物、有機物、化学物質等の食品原料、その他の被粉砕物を粉砕して、粉砕物を製造する方法として、石臼のように対向して配置された1対の粉砕盤により食品原料等の被粉砕物を粉砕して粉砕物を製造する方法がある。この方法では、対向して配置された1対の粉砕盤間に食品等の原料被粉砕物を供給し、少なくとも一方の粉砕盤を回転させることにより、粉砕盤間で被粉砕物を粉砕して粉砕物を製造している。
【0003】
石臼の粉砕面は、中央部側から放射方向に溝が形成されており、中央部側の偏心位置に設けられた原料供給部から被粉砕物を粉砕盤間に供給し、中央部側で粗粉砕するとともに、順次周辺部側に送り出して、周辺部側で微粉砕するように構成されている。しかし小麦、そば、大豆等の穀類粒子は表面に可撓性の薄い表皮を有するが、このような可撓性の薄膜は難粉砕性であるため、これを有する穀類粒子を粉砕すると、内部の胚乳部等の部分は微粉砕することが可能であるが、可撓性の薄膜部分は微粉砕されることなく、粒度の大きいまま粉砕盤間を擦り抜けて周辺部側から取り出される。
【0004】
従って、このような粉砕方法では、全体として粒度のそろった微粒子の粉砕物を得ることができない。またこのような粉砕方法において、装置を小型化して効率を高くするためには、鉄製の粉砕盤を用い、これを高速回転させることが考えられるが、この場合でも、薄い表皮の部分は微粉砕できるように粉砕することは困難である。このほかロール式、その他の粉砕装置の場合でも、同様の問題点がある。
【0005】
また粉砕盤回転型の粉砕装置を高速回転させると、過熱および酸化により、原料の成分が変質し、得られる粉砕物の風味、食感などの品質が低下する。このような粉砕盤回転型の粉砕装置では、一方の粉砕盤を駆動装置により回転させる構成になっており、駆動側の粉砕盤は回転し、その駆動機構が複雑であるため、駆動側を冷却するのは困難である。反対側、すなわち固定側の粉砕盤は容易に冷却できるが、回転側の粉砕盤に冷却効果が及びにくく、粉砕物の品質の低下を防止するのは困難である。
【0006】
このような点を改善する方策として特許文献1(特開2005−87816号公報)には、1対の粉砕盤の対向する粉砕面間に粉砕部を形成し、駆動装置により可動粉砕盤を回転させ、固定粉砕盤を冷却部により冷却し、原料供給部から原料を粉砕部に供給し、冷却された不活性ガスを粉砕部に供給し、不活性ガスにより原料中の酸素を置換するとともに冷却しながら粉砕し、粉砕部から粉砕物を粉砕物取出部に取り出す粉砕物の製造方法および装置が提案されている。ここでは冷却に使用された不活性ガスを可動粉砕盤の背面に回して可動粉砕盤を冷却することが提案されているが、駆動装置に連結する可動粉砕盤が伝熱により加熱されるため、可動粉砕盤の冷却が困難であるという問題点があった。
【0007】
特許文献2(特開平11−151080号公報)には、被処理物とドライアイスとを混合、破砕し、発生する二酸化炭素で気相を置換するとともに、被処理物を凍結させ、凍結物を真空乾燥する凍結乾燥方法が示されている。しかしこの方法は、1対の粉砕盤により原料を粉砕して、品質の低下を防止しながら粉砕物を製造することを示していない。
【特許文献1】特開2005−87816号公報
【特許文献2】特開平11−151080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、簡単な装置と操作により、穀類粒子のように可撓性の薄膜を有する被粉砕物を粉砕する場合でも、効率よく難粉砕性の薄膜を破砕して微粉化することができ、これにより粒度のそろった微粒子の粉砕物を得ることができるとともに、過熱を防止して効率よく粉砕を行い、無変質で、品質が優れた粉砕物を製造できる粉砕物の製造装置、方法、粉砕物および加工品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は次の粉砕物の製造装置、方法、粉砕物および加工品である。
(1) 中央部に原料導入部を有し、下側の周辺部に粉砕面を有する固定粉砕盤と、
固定粉砕盤の下側に対向して配置され、上側の中央部側に研削面、周辺部に微粉砕面、および中央部側から微粉砕面側に向かって回転後方側に湾曲して伸びる粗挽き分配溝を有し、固定粉砕盤との間に粉砕部を形成する可動粉砕盤と、
可動粉砕盤の中央部に固着され、固定粉砕盤を貫通して固定粉砕盤の上方に伸びる駆動軸と、
駆動装置から伝熱を防止した状態で駆動軸に動力を伝達する動力伝達機構と、
駆動軸を通して可動粉砕盤を吊り下げ、固定粉砕盤との間隔を調整する間隔調整機構と、
固定粉砕盤および/または可動粉砕盤を冷却する冷却機構と、
固定粉砕盤の原料供給部へ原料を供給する原料供給路と、
固定粉砕盤および可動粉砕盤間の周辺部から排出される粉砕物を取出す粉砕物取出部と
を有する粉砕物の製造装置。
(2) 固定粉砕盤は、下側の中央部側に研削面および/または粗挽き分配溝が形成された上記(1)記載の装置。
(3) 可動粉砕盤は、研削面に研磨材層が形成された上記(1)または(2)記載の装置。
(4) 可動粉砕盤の微粉砕面は、中央部側から外周部に向かって回転後方側に湾曲する細溝が形成された上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の装置。
(5) 粗挽き分配溝の回転前面側には、外周方向に伸びる浅い分配部が形成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の装置。
(6) 原料供給路が複数設けられ、複数の原料を原料導入部へ供給するようにされた上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の装置。
(7) 中央部に原料導入部を有し、下側の周辺部に粉砕面を有する固定粉砕盤と、
固定粉砕盤の下側に対向して配置され、上側の中央部側に研削面、周辺部に微粉砕面、および中央部側から粉砕面側に向かって回転後方側に湾曲して伸びる粗挽き分配溝を有する可動粉砕盤間に、原料供給路から原料導入部へ原料を供給し、
駆動軸を通して可動粉砕盤を吊り下げて、間隔調整機構により固定粉砕盤との間隔を調整し、
固定粉砕盤および/または可動粉砕盤を冷却しながら、駆動装置から伝熱を防止した状態で駆動軸に動力を伝達して可動粉砕盤を回転させ、
原料導入部から粗挽き分配溝を通して原料を移動させる間に原料を粗粉砕するとともに、固定粉砕盤と可動粉砕盤の研削面間で難粉砕性原料を破砕し、粗粉砕物を粗挽き分配溝から粉砕面間に分配して微粉砕し、
固定粉砕盤および可動粉砕盤間の周辺部から排出される粉砕物を取出す
ことを特徴とする粉砕物の製造方法。
(8) 複数の原料供給路から、複数の原料を原料受入部へ供給して混合粉砕する上記(7)記載の方法。
(9) 1の原料が冷却材であり、冷却材により冷却しながら粉砕を行う上記(8)記載の方法。
(10) 上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の粉砕物の製造装置を用いて粉砕物を製造する上記(7)ないし(9)のいずれかに記載の方法。
(11) 上記(7)ないし(10)のいずれかに記載の方法によって得られる粉砕物。
(12) 上記(11)記載の粉砕物を含む加工品。
【0010】
本発明において、粉砕の対象となる原料は、粉砕できるものであれば制限はなく、小麦、米、そば、大豆等の食品原料、ならびに生物、有機物、化学物質等のその他の原料が挙げられる。これらの中では、小麦、そば、大豆のように表面に可撓性の薄い表皮を有する穀類粒子、その他の難粉砕性の薄膜を有する粒子状物が原料として適しているが、これらに限らない。
【0011】
本発明の粉砕物の製造方法に用いるための粉砕物の製造装置は、中央部に原料導入部を有し、下側の周辺部に粉砕面を有する固定粉砕盤と、固定粉砕盤の下側に対向して配置され、上側の中央部側に研削面、周辺部に微粉砕面、および中央部側から微粉砕面側に向かって回転後方側に湾曲して伸びる粗挽き分配溝を有し、固定粉砕盤との間に粉砕部を形成する可動粉砕盤と、可動粉砕盤の中央部に固着され、固定粉砕盤を貫通して固定粉砕盤の上方に伸びる駆動軸と、駆動装置から伝熱を防止した状態で駆動軸に動力を伝達する動力伝達機構と、駆動軸を通して可動粉砕盤を吊り下げ、固定粉砕盤との間隔を調整する間隔調整機構と、固定粉砕盤および/または可動粉砕盤を冷却する冷却機構と、固定粉砕盤の原料供給部へ原料を供給する原料供給路と、固定粉砕盤および可動粉砕盤間の周辺部から排出される粉砕物を取出す粉砕物取出部とを有する装置である。
【0012】
固定粉砕盤および可動粉砕盤はそれぞれ、鉄、その他の金属により盤状に形成される。円盤状に形成するのが好ましいが、他の形状でもよい。固定粉砕盤は、中央部に原料導入部を有し、下側の周辺部に粉砕面を有する。可動粉砕盤は、上側の中央部側に研削面を有し、周辺部に微粉砕面を有し、中央部側から粉砕面側に向かって回転後方側に湾曲して伸びる粗挽き分配溝を有する。これにより固定粉砕盤および可動粉砕盤を対向させたとき、固定粉砕盤の下側の面と、可動粉砕盤の上側の面との対向面間に、粉砕部が形成される。この粉砕部は、固定粉砕盤と可動粉砕盤の研削面との間に形成される破砕部、および固定粉砕盤と可動粉砕盤の微粉砕面との間に形成される微粉砕部からなり、粗挽き分配溝は原料を移動させる間に原料を粗粉砕する粗粉砕部を形成する。固定粉砕盤の下側は、全域にわたって粉砕面が形成されていてもよく、また可動粉砕盤と同様に中央部側に研削面および/または粗挽き分配溝が形成され、周辺部に微粉砕面が形成されていてもよい。
【0013】
固定粉砕盤および可動粉砕盤を対向させて配置したとき形成される粉砕部は、固定粉砕盤と可動粉砕盤の研削面との間に形成される破砕部、および固定粉砕盤と可動粉砕盤の微粉砕面との間に形成される微粉砕部からなり、粗挽き分配溝は原料を移動させる間に原料を粗粉砕する粗粉砕部を形成する。周辺部の微粉砕部における固定粉砕盤の粉砕面と可動粉砕盤の微粉砕面との間隔は、取り出される粉砕物の粒度により決まるが、一般的には5〜2000μm、好ましくは10〜200μmとなるように構成することができる。中央部側の破砕部における固定粉砕盤の粉砕面と可動粉砕盤の研削面の間隔は、供給される被粉砕物の粒度により決まるが、一般的には0.5〜20mm、好ましくは1〜10mmとなるように構成することができる。
【0014】
破砕部を形成する研削面は、被粉砕物粒子の表面を研削して、表面に形成された可撓性の薄い表皮等の難破砕性の薄膜を破壊し、あるいはひびを入れて破砕するとともに、被粉砕物粒子の全部または一部を粗粉砕するように構成される。研削面は粉砕盤を構成する材質により一体的に構成することもできるが、粉砕盤を構成する材質よりも硬度の高い材質により構成するのが好ましい。このような研削面としては、ダイヤモンド粒子、CBN(窒化ホウ素)粒子、WA(白色酸化アルミナ)粒子等の砥粒を含む研磨材層を有するものが挙げられる。研磨材層としては、ダイヤモンド粒子、CBN粒子、WA粒子等の砥粒を、Ni等の金属のメッキ層、その他の固着手段により研削面に固着した固着層からなるものが好ましい。ダイヤモンド粒子、CBN粒子、WA粒子等の砥粒粒子の粒径は0.005〜0.6mm、好ましくは0.05〜0.5mm、固着層の厚みは0.005〜0.3mm、好ましくは0.025〜0.25mmで、これらの砥粒粒子が不定形の粒子状でサンドペーパ状に突出するように固着層を形成するのが好ましい。研磨剤層を形成した研削面の上面は、微粉砕面と同一面としてもよいが、微粉砕面より深くして後退面に形成するのが好ましい。研削面の深さは、供給される被粉砕物の粒度により決まるが、一般的には0.5〜10mm、好ましくは1〜8mmとすることができる。
【0015】
粉砕盤の周辺部に形成される微粉砕面は、中心側(研削部側)から周辺側に放射状に伸びる円弧状細溝を有するものが好ましい。この円弧状細溝は、粉砕盤の回転に応じて粉砕盤上で観察される微粉末の流れにほぼ一致する円弧状(回転中心から粒子が全方向に放射されたときに形成される渦巻状)の溝であるものが好ましい。ここで円弧状とは、円弧、だ円弧、スパイラル状等の円弧に似た形状のものを意味する。粉砕面に形成される円弧状細溝は、幅10〜500μm、好ましくは50〜500μm、深さ50〜1000μm、好ましくは100〜500μmであり、研削加工、レーザ加工、ウオータジェット加工等により形成することができる。少なくとも一方の粉砕盤の粉砕面の円弧状細溝は研削加工あるいはレーザ加工による溝であるものが好ましい。
【0016】
粉砕盤形成される粗挽き分配溝は、原料を移動させる間に原料を粗粉砕する粗粉砕部を形成し、粗粉砕物を粗挽き分配溝から微粉砕部に分配するように、中央部側から微粉砕面側に向かって回転後方側に湾曲して渦巻き状に伸びる。この粗挽き分配溝は、粗粉砕物を微粉砕部に均一に分配するように、粉砕盤の外周円と同心円に近い円弧状で微粉砕部に連絡するのが好ましい。このとき外周円と同心円に近い円弧状の粗挽き分配溝が形成できない場合には、粗挽き分配溝の回転前面側に外周方向に伸びる浅い分配部を形成して、外周円と同心円に近い円弧状で微粉砕部に連絡するのが好ましい。粗挽き分配溝は研削面より深く、分配部は両者の中間の深さとするのが好ましい。これらの深さは供給される被粉砕物の粒度により決まるが、一般的には粗挽き分配溝は0.5〜20mm、好ましくは1〜10mm、分配部は0.5〜20mm、好ましくは1〜10mmとなるように構成することができる。
【0017】
固定粉砕盤の下側は、全域にわたって粉砕面が形成されていてもよく、また可動粉砕盤と同様に中央部側に研削面および/または粗挽き分配溝が形成され、周辺部に微粉砕面が形成されていてもよいが、可動粉砕盤と同様に形成する場合は、研削面、粗挽き分配溝および微粉砕面は前記と同様に形成することができる。全域にわたって粉砕面を形成する場合は、その粉砕面は前記微粉砕面と同様に形成してもよいが、もっと粗い研削溝とすることもできる。粉砕面に形成する溝の深さは、供給される被粉砕物の粒度により決まるが、一般的には0.5〜10mm、好ましくは1〜8mmとすることができる。
【0018】
固定粉砕盤および可動粉砕盤は、それぞれ上記で異なる構成とすることを示した点以外はほぼ同形状で作成し、これらを重ね合わせて用いられる。このとき粉砕部の微粉砕面に形成される円弧状細溝は、交差する方向に重ね合わせられる。このような粉砕盤対は、水平方向に配置されるのが好ましいが、斜め方向に傾斜していてもよい。固定粉砕盤は装置本体の支持部等に固定し、可動粉砕盤の中央部に固着される駆動軸を固定粉砕盤の原料導入部を貫通して固定粉砕盤の上方に伸ばし、間隔調整機構に連結して可動粉砕盤を吊り下げる。駆動軸は、ベルト等の断熱性の動力伝達機構により、駆動装置から伝熱を防止した状態で動力を伝達するように連絡する。
【0019】
固定粉砕盤および/または可動粉砕盤は、冷却素子等による冷却機構で冷却するように構成するのが好ましいが、放熱、通気等の手段で冷却してもよい。原料供給路は固定粉砕盤中央部の原料導入部に接続し、原料導入部から粗挽き分配溝を通して原料を粉砕部に供給するように構成されるが、原料導入部で破砕または粗粉砕するように構成することもできる。原料供給路を複数設け、複数の原料を原料導入部へ供給するように構成することもでき、この場合、一方の原料が冷却材であり、冷却材により冷却しながら粉砕を行うようにしてもよい。粉砕物取出部は、固定粉砕盤および可動粉砕盤間の周辺部から排出される粉砕物を取出すように、容器状、ホッパー上等の形状に構成してもよく、また自然落下式、通風排出式等の排出方式を採用できる。
【0020】
本発明の粉砕物の製造方法は、上記のような装置により、原料を粉砕して粉砕物を製造する。すなわち中央部に原料導入部を有し、下側の周辺部に粉砕面を有する固定粉砕盤と、固定粉砕盤の下側に対向して配置され、上側の中央部側に研削面、周辺部に粉砕面、および中央部側から粉砕面側に向かって回転後方側に湾曲して伸びる粗挽き分配溝を有する可動粉砕盤間に、原料供給路から原料導入部へ原料を供給し、駆動軸を通して可動粉砕盤を吊り下げて、間隔調整機構により固定粉砕盤との間隔を調整し、固定粉砕盤および/または可動粉砕盤を冷却しながら、駆動装置から伝熱を防止した状態で駆動軸に動力を伝達して可動粉砕盤を回転させ、原料導入部から粗挽き分配溝を通して原料を移動させる間に原料を粗粉砕するとともに、固定粉砕盤と可動粉砕盤の研削面間で難粉砕性原料を研削および破砕し、粗粉砕物を粗挽き分配溝から粉砕面間に分配して微粉砕し、固定粉砕盤および可動粉砕盤間の周辺部から排出される粉砕物を取出すことにより粉砕物を製造する。
【0021】
粉砕部では回転粉砕盤の回転により、粗挽き分配溝を通して原料を移動させる間に原料を粗粉砕し、研削面によって被粉砕物粒子の表面を研削して、表面に形成された可撓性の薄い表皮等の難粉砕性の薄膜を破壊し、あるいはひびを入れて破砕するとともに、原料またはその破砕物の一部を粗粉砕する。研削面として、ダイヤモンド粒子、CBN粒子、アルミナ粒子等の砥粒を含む研磨剤層を有するものを採用すると、研削面から突出する不定形の粒子が薄膜に突き刺さって破壊しやすくなる。
【0022】
粗粉砕物は粗挽き分配溝から微粉砕部に分配される。このとき粗挽き分配溝は中央部側から微粉砕面側に向かって回転後方側に湾曲して渦巻き状に伸びるため、粗挽き分配溝が粉砕盤の外周円と同心円に近い円弧状で微粉砕部に連絡することになり、粗粉砕物は微粉砕部に均一に分配される。このとき外周円と同心円に近い円弧状の粗挽き分配溝が形成できない場合には、粗挽き分配溝の回転前面側に外周方向に伸びる浅い分配部を形成することにより、外周円と同心円に近い円弧状で微粉砕部に連絡し、粗粉砕物は微粉砕部に均一に分配される。
【0023】
粉砕盤の周辺部に形成される微粉砕部では、研削部および粗挽き分配溝で破砕および粗粉砕された粗粉砕物が微粉砕面間でせん断、破砕されて粉砕され、小粒径の粉砕物が形成される。このとき研削部で破壊され、あるいはひびを入れられて破砕された薄い表皮等の難粉砕性の薄膜も粉砕面間でせん断、破砕されることにより小粒径に粉砕され、全体が均一な小粒径の粉砕物となる。微粉砕面が中心側(研削面側)から周辺側に放射状に伸びる円弧状細溝を有する場合、円弧状細溝によりせん断、破砕効果が大きくなり、破砕効率が高くなる。特に研削加工、レーザ加工による円弧状細溝はエッジ部がシャープであるため、せん断、破砕効果が大きい。
【0024】
固定粉砕盤と可動粉砕盤の間隔は、間隔調整機構により調整することにより、粉砕物の粒度を調整できる。可動粉砕盤は駆動軸により間隔調整機構に吊り下げ、駆動軸をベルト等の断熱性の動力伝達機構で動力伝達することにより、駆動装置からの伝熱を防止した状態で可動粉砕盤を回転させることができる。このため発熱は可動粉砕盤の回転による摩擦熱に限られる。このため固定粉砕盤および/または可動粉砕盤を冷却機構で冷却することにより、装置を冷却して原料および粉砕物を冷却でき、これにより品質の劣化を防止できる。可動粉砕盤を例えば50〜200rpmで高速回転させると、通常の粉砕装置では過熱および酸化により、原料の成分が変質し、得られる粉砕物の風味、食感などの品質が低下するが、本発明では上記のように発熱が阻止されるので、変質、品質低下が防止される。
【0025】
また可動粉砕盤を高速回転させると、粉砕物が粉砕盤間で糊化して詰まることがあるが、粗挽き分配溝が中央部側から微粉砕面側に向かって回転後方側に湾曲して渦巻き状に伸びて、粗挽き分配溝が粉砕盤の外周円と同心円に近い円弧状で微粉砕部に連絡することにより、粗粉砕物が微粉砕部に均一に分配されて、閉塞が防止され、糊化が防止される。粗挽き分配溝の外周円と同心円に近い円弧状の粗挽き分配溝が形成できない場合には、粗挽き分配溝の回転前面側に外周方向に伸びる浅い分配部を形成することにより、外周円と同心円に近い円弧状で微粉砕部に連絡し、粗粉砕物は微粉砕部に均一に分配される。この場合、粗粉砕物が微粉砕部を通過する距離が長いと糊化が起こりやすいが、微粉砕部の全域にわたってある程度短く、均一にすると糊化が防止される。このため外周円と同心円に近い円弧状で微粉砕部に連絡させると、粗粉砕物は放射方向に微粉砕部に均一に分配され、短く均一な距離の微粉砕部を通過するため、糊化が防止される。
【0026】
粉砕物は固定粉砕盤および可動粉砕盤間の周辺部から排出され、粉砕物取出部から取り出される。複数の原料供給路を設ける場合は、複数の原料を原料受入部へ供給して混合粉砕することができる。この場合、一方の原料が冷却材である場合は、冷却材を混合粉砕することにより、冷却しながら粉砕を行い、発熱、酸化、変質等を防止することができる。
【0027】
本発明の粉砕物は、上記の方法によりよって得られる粉砕物であり、穀類粒子のような可撓性の難粉砕性薄膜を有する場合でも、全体が均一な粒径の微粒子が得られる。
本発明の加工品は、上記の微粒子の粉砕物を含む加工品であり、全体が均一な粒径の微粒子により、優れた品質の加工品が得られる。
【発明の効果】
【0028】
以上のとおり、本発明によれば、中央部に原料導入部を有し、下側の周辺部に微粉砕面を有する固定粉砕盤と、固定粉砕盤の下側に対向して配置され、上側の中央部側に研削面、周辺部に粉砕面、および中央部側から粉砕面側に向かって回転後方側に湾曲して伸びる粗挽き分配溝を有する可動粉砕盤間に、原料供給路から原料導入部へ原料を供給し、駆動軸を通して可動粉砕盤を吊り下げて、間隔調整機構により固定粉砕盤との間隔を調整し、固定粉砕盤および/または可動粉砕盤を冷却しながら、駆動装置から伝熱を防止した状態で駆動軸に動力を伝達して可動粉砕盤を回転させ、原料導入部から粗挽き分配溝を通して原料を移動させる間に原料を粗粉砕するとともに、固定粉砕盤と可動粉砕盤の研削面間で難粉砕性原料を破砕し、粗粉砕物を粗挽き分配溝から粉砕面間に分配して微粉砕し、固定粉砕盤および可動粉砕盤間の周辺部から排出される粉砕物を取出すようにしたので、簡単な装置と操作により、穀類粒子のように可撓性の薄膜を有する被粉砕物を粉砕する場合でも、効率よく難粉砕性の薄膜を破砕して微粉化することができ、これにより粒度のそろった微粒子の粉砕物を得ることができるとともに、過熱を防止して効率よく粉砕を行い、無変質で、品質が優れた粉砕物を製造できる粉砕物の製造装置、方法、粉砕物および加工品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
図1は実施例1の粉砕物の製造装置を示す縦断面図、図2は図1のA−A部分断面図、図3は図2の部分拡大図、図4(a)は固定粉砕盤の下面図、(b)はそのB−B断面図、図5(a)は可動粉砕盤の上面図、(b)はそのC−C断面図である。
【0030】
図1ないし図5において、粉砕物の製造装置1は、装置本体2の保持部3に固定された固定粉砕盤4と、固定粉砕盤4の下側に対向して配置される可動粉砕盤5と、可動粉砕盤5に動力を伝達する動力伝達機構6と、間隔を調整する間隔調整機構7と、動力伝達機構6に動力を伝達する駆動装置8と、原料供給部9と、粉砕物取出部10を有する。
【0031】
固定粉砕盤4は、中央部に原料導入部11を有し、下側の周辺部に微粉砕面12を有する。可動粉砕盤5は、上側の中央部側に研削面15、周辺部に微粉砕面16、および中央部側から粉砕面側に向かって回転後方側に湾曲して伸びる粗挽き分配溝17を有する。固定粉砕盤4も微粉砕面12の内周側に、研削面13および粗挽き分配溝14を有する。微粉砕面12、16には、微粉砕溝19が形成され、研削面15には研削材層20が形成されている。微粉砕溝19は高密度で多数隣接して形成されているが、理解しやすいように少数を図示している。可動粉砕盤5の粗挽き分配溝17の回転前面側には、外周方向に伸びる浅い分配部18が形成されている。固定粉砕盤4と可動粉砕盤5の間には、粉砕部30が形成されている。
【0032】
可動粉砕盤5の中央部に駆動軸21が、固定ネジ22および駆動ピン23を有するハブ24により固着されている。駆動軸21の上部は、固定粉砕盤4の原料導入部11を貫通して固定粉砕盤4の上方に伸び、動力伝達機構6を通して間隔調整機構7に連結され、可動粉砕盤5を吊り下げている。動力伝達機構6は、駆動装置8としてのモータから伝熱を防止した状態で駆動軸21に動力を伝達するするように、プーリ26、27間に断熱性の動力伝達部材28としてベルトが架け渡されている。29は駆動装置8としてのモータの回転を制御する制御装置である。
【0033】
間隔調整機構7は、装置本体2の保持部3に支持されるキャップ31に調節レバー32を有する内筒33がネジ付けられ、内筒33内の摺動保持部34に回転軸21の回転盤35が摺動保持され、回転保持部36を介して押圧部材37がキャップ31に設けられている。これにより回転軸21に懸架された可動粉砕盤5が、固定粉砕盤4と当接しながら間隔調整機構7内の回転保持部36に押圧部材37による押圧力で押しつけられ、調節レバー32の回転により間隔調整が施されて固定粉砕盤4と可動粉砕盤5の間隙が変化しても、平行に回転する機構が構成されている。
【0034】
固定粉砕盤4には、これらを冷却する冷却機構として、熱伝導板41を介して冷却素子42が取り付けられ、放熱ファン43により放熱することにより冷却する冷却部44が構成されている。可動粉砕盤5を冷却する冷却機構としては、間隔調整機構7に上記と同様の構成を有する冷却部44が設けられ、駆動軸21を通して可動粉砕盤5を冷却するように構成されている。この他の冷却機構として、放熱ファン43により排気することにより、流通する気流で全体を冷却するように構成されている。
【0035】
原料供給部9としては、主原料ホッパー51および副原料ホッパー52から主原料53および副原料54を供給する原料供給路55、56が、固定粉砕盤4の原料導入部11に連絡している。原料供給路55、56には、内部の主原料53および副原料54の有無を静電容量により検出するセンサ57、58が設けられて制御装置29に信号を入力し、空擦を防止するように構成されている。粉砕物取出部10は、固定粉砕盤4および可動粉砕盤5間の周辺部から排出される粉砕物60を受けて取出すように、容器状に構成されている。容器状の粉砕物取出部10の上部両側には、放熱ファン43により排気することにより気流が流通する吸気路65および排気路66が形成されている。
【0036】
固定粉砕盤4および可動粉砕盤5はそれぞれ、鉄、その他の金属により円盤状に形成されている。固定粉砕盤4と可動粉砕盤5を対向させたとき、固定粉砕盤4の下側の面と、可動粉砕盤5の上側の面との対向面間に、粉砕部30が形成される。この粉砕部30は、固定粉砕盤4と可動粉砕盤5の研削面13との間に形成される破砕部61、および固定粉砕盤4と可動粉砕盤5の微粉砕面16との間に形成される微粉砕部62からなり、粗挽き分配溝17は原料を移動させる間に原料を粗粉砕する粗粉砕部63を形成する。
【0037】
粉砕物の製造方法は、上記のような装置1により、原料を粉砕して粉砕物を製造する。すなわち主原料ホッパー51および副原料ホッパー52から主原料53および副原料54を原料供給路55、56を通して、固定粉砕盤4の原料導入部11へ供給し、間隔調整機構7の調節レバー32の回転により固定粉砕盤4と可動粉砕盤5の間隔を調整し、冷却素子42で固定粉砕盤4を冷却し、冷却部44で駆動軸21を通して可動粉砕盤5を冷却しながら、動力伝達機構6により駆動装置8から伝熱を防止した状態で駆動軸21に動力を伝達して可動粉砕盤5を回転させる。これにより原料導入部11から粗挽き分配溝14を通して原料を移動させる間に原料を粗粉砕するとともに、固定粉砕盤4と可動粉砕盤5の研削面15間で難粉砕性原料を破砕し、粗粉砕物を粗挽き分配溝14から微粉砕面12、16間に分配して微粉砕する。微粉砕された粉砕物60は、固定粉砕盤4と可動粉砕盤5間の周辺部から排出されので、粉砕物60を粉砕物取出部10に取出すことにより粉砕物60を製造する。
【0038】
粉砕部30では、回転粉砕盤5の回転により、粗挽き分配溝14を通して原料を移動させる間に原料を粗粉砕する。破砕部61では、研削面13、15によって被粉砕物粒子の表面を研削して、表面に形成された可撓性の薄い表皮等の難粉砕性の薄膜を破壊し、あるいはひびを入れて破砕するとともに、原料またはその破砕物の一部を粗粉砕する。粗粉砕物は粗挽き分配溝14から微粉砕部62に分配される。このとき粗挽き分配溝14、17は中央部側から微粉砕面12、16側に向かって回転後方側に湾曲して渦巻き状に伸びるため、粗挽き分配溝14、17が粉砕盤4、5の外周円と同心円に近い円弧状で微粉砕部62に連絡することになり、粗粉砕物は微粉砕部62に均一に分配される。このとき外周円と同心円に近い円弧状の粗挽き分配溝17が形成できない場合には、粗挽き分配溝17の回転前面側に外周方向に伸びる浅い分配部18を形成することにより、外周円と同心円に近い円弧状で微粉砕部62に連絡し、粗粉砕物は微粉砕部62に均一に分配される。
【0039】
粉砕盤4、5の周辺部に形成される微粉砕部62では、研削部61および粗挽き分配溝14、17で破砕および粗粉砕された粗粉砕物が微粉砕面12、16間でせん断、破砕されて粉砕され、小粒径の粉砕物60が形成される。このとき研削部61で破壊され、あるいはひびを入れられて破砕された薄い表皮等の難粉砕性の薄膜も粉砕面12、16間でせん断、破砕されることにより小粒径に粉砕され、全体が均一な小粒径の粉砕物60となる。
【0040】
固定粉砕盤4と可動粉砕盤5の間隔は、間隔調整機構7により調整することにより、粉砕物60の粒度を調整できる。可動粉砕盤4は駆動軸21により間隔調整機構7に吊り下げ、駆動軸21をベルト等の断熱性の動力伝達部材28を有する動力伝達機構6で動力伝達するにより、駆動装置8からの伝熱を防止した状態で可動粉砕盤5を回転させることができる。このため発熱は可動粉砕盤5の回転による摩擦熱に限られる。このため固定粉砕盤4および/または可動粉砕盤5を冷却機構で冷却することにより、固定粉砕盤4および可動粉砕盤5からなる粉砕装置を冷却して原料および粉砕物を冷却でき、これにより品質の劣化を防止できる。可動粉砕盤5を高速回転させると、通常の粉砕装置では過熱および酸化により、原料の成分が変質し、得られる粉砕物の風味、食感などの品質が低下するが、上記のように発熱を阻止ことにより、変質、品質低下が防止される。
【0041】
また可動粉砕盤5を高速回転させると、粉砕物60が粉砕盤4、5間で糊化して詰まることがあるが、粗挽き分配溝14、17が中央部側から微粉砕面12、16側に向かって回転後方側に湾曲して渦巻き状に伸びて、粗挽き分配溝14、17が粉砕盤4、5の外周円と同心円に近い円弧状で微粉砕部62に連絡することにより、粗粉砕物が微粉砕部62に均一に分配されて、閉塞が防止され、糊化が防止される。粗挽き分配溝17の外周円と同心円に近い円弧状の粗挽き分配溝17が形成できない場合には、粗挽き分配溝17の回転前面側に外周方向に伸びる浅い分配部18を形成することにより、外周円と同心円に近い円弧状で微粉砕部62に連絡し、粗粉砕物は微粉砕部62に均一に分配され、閉塞が防止され、糊化が防止される。この場合、粗粉砕物が微粉砕部62を通過する距離が長いと糊化が起こりやすいが、微粉砕部62の全域にわたってある程度短く、均一にすると糊化が防止される。このため外周円と同心円に近い円弧状で微粉砕部62に連絡させると、粗粉砕物は放射方向に微粉砕部62に均一に分配され、短く均一な距離の微粉砕部62を通過するため、糊化が防止される。
【0042】
粉砕物60は固定粉砕盤4および可動粉砕盤5間の周辺部から排出され、粉砕物取出部10から取り出す際、放熱ファン43により吸気路65から吸気し、排気路66から排気することにより流通する気流で全体を冷却することができる。複数の原料供給路55、56を設けることにより、複数の原料を原料受入部11へ供給して混合粉砕することができるが、この場合、一方の原料例えば副原料54がドライアイス等の冷却材である場合は、この冷却材を主原料53と混合粉砕することにより、冷却しながら粉砕を行い、発熱、酸化、変質等を防止することができる。
【0043】
図6は実施例2の粉砕物の製造装置を示す縦断面図であり、粉砕物取出部10は密閉されたホッパー状に形成され、吸気路65および排気路66により吸気、排気することにより気流を流通させて粉砕物60を排出するとともに、全体を冷却するように構成されている。その他の構成および操作は実施例1と同様である。
【0044】
以上のとおり、上記の粉砕物の製造装置、方法では、簡単な装置と操作により、穀類粒子のように軟質の薄膜を有する被粉砕物を粉砕する場合でも、効率よく難粉砕性の薄膜を破砕して微粉化することができ、これにより粒度のそろった微粒子の粉砕物を得ることができるとともに、過熱を防止して効率よく粉砕を行い、無変質で、品質が優れた粉砕物60を製造することができる。
上記により得られる粉砕物60は、穀類粒子のような可撓性の難粉砕性薄膜を有する場合でも、全体が均一な粒径の微粒子であり、無変質で、品質が優れた粉砕物である。
また上記の微粒子の粉砕物を含む加工品は、全体が均一な粒径の微粒子であり、無変質で、品質が優れた粉砕物を含むことにより、優れた品質の加工品が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、小麦、米、そば、大豆等の食品原料、その他の被粉砕物、特に粒状の被粉砕物を粉砕して、粉砕物を製造する方法、装置、粉砕物および加工品に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例1の粉砕物の製造装置を示す縦断面図である。
【図2】図1のA−A部分断面図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】(a)は固定粉砕盤の下面図、(b)はそのB−B断面図である。
【図5】(a)は可動粉砕盤の上面図、(b)はそのC−C断面図である。
【図6】実施例2の粉砕物の製造装置を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 製造装置
2 装置本体
3 保持部
4 固定粉砕盤
5 可動粉砕盤
6 動力伝達機構
7 間隔調整機構
8 駆動装置
9 原料供給部
10 粉砕物取出部
11 原料導入部
12、16 微粉砕面
13 研削面
14、17 粗挽き分配溝
15 研削面
18 分配部
19 微粉砕溝
20 研削材層
21 駆動軸
22 固定ネジ
23 駆動ピン
24 ハブ
26、27 プーリ
28 動力伝達部材
29 制御装置
30 粉砕部
31 キャップ
32 調節レバー
33 内筒
34 摺動保持部
35 回転盤
36 回転保持部
37 押圧部材
41 熱伝導板
42 冷却素子
43 放熱ファン
44 冷却部
51 主原料ホッパー
52 副原料ホッパー
53 主原料
54 副原料
55、56 原料供給路
57、58 センサ
60 粉砕物
61 破砕部
62 微粉砕部
63 粗粉砕部
65 吸気路
66 排気路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に原料導入部を有し、下側の周辺部に粉砕面を有する固定粉砕盤と、
固定粉砕盤の下側に対向して配置され、上側の中央部側に研削面、周辺部に微粉砕面、および中央部側から微粉砕面側に向かって回転後方側に湾曲して伸びる粗挽き分配溝を有し、固定粉砕盤との間に粉砕部を形成する可動粉砕盤と、
可動粉砕盤の中央部に固着され、固定粉砕盤を貫通して固定粉砕盤の上方に伸びる駆動軸と、
駆動装置から伝熱を防止した状態で駆動軸に動力を伝達する動力伝達機構と、
駆動軸を通して可動粉砕盤を吊り下げ、固定粉砕盤との間隔を調整する間隔調整機構と、
固定粉砕盤および/または可動粉砕盤を冷却する冷却機構と、
固定粉砕盤の原料供給部へ原料を供給する原料供給路と、
固定粉砕盤および可動粉砕盤間の周辺部から排出される粉砕物を取出す粉砕物取出部と
を有する粉砕物の製造装置。
【請求項2】
固定粉砕盤は、下側の中央部側に研削面および/または粗挽き分配溝が形成された請求項1記載の装置。
【請求項3】
可動粉砕盤は、研削面に研磨材層が形成された請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
可動粉砕盤の微粉砕面は、中央部側から外周部に向かって回転後方側に湾曲する細溝が形成された請求項1ないし3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
粗挽き分配溝の回転前面側には、外周方向に伸びる浅い分配部が形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
原料供給路が複数設けられ、複数の原料を原料導入部へ供給するようにされた請求項1ないし5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
中央部に原料導入部を有し、下側の周辺部に粉砕面を有する固定粉砕盤と、
固定粉砕盤の下側に対向して配置され、上側の中央部側に研削面、周辺部に微粉砕面、および中央部側から粉砕面側に向かって回転後方側に湾曲して伸びる粗挽き分配溝を有する可動粉砕盤間に、原料供給路から原料導入部へ原料を供給し、
駆動軸を通して可動粉砕盤を吊り下げて、間隔調整機構により固定粉砕盤との間隔を調整し、
固定粉砕盤および/または可動粉砕盤を冷却しながら、駆動装置から伝熱を防止した状態で駆動軸に動力を伝達して可動粉砕盤を回転させ、
原料導入部から粗挽き分配溝を通して原料を移動させる間に原料を粗粉砕するとともに、固定粉砕盤と可動粉砕盤の研削面間で難粉砕性原料を破砕し、粗粉砕物を粗挽き分配溝から粉砕面間に分配して微粉砕し、
固定粉砕盤および可動粉砕盤間の周辺部から排出される粉砕物を取出す
ことを特徴とする粉砕物の製造方法。
【請求項8】
複数の原料供給路から、複数の原料を原料受入部へ供給して混合粉砕する請求項7記載の方法。
【請求項9】
1の原料が冷却材であり、冷却材により冷却しながら粉砕を行う請求項8記載の方法。
【請求項10】
請求項1ないし6のいずれかに記載の粉砕物の製造装置を用いて粉砕物を製造する請求項7ないし9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
請求項7ないし10のいずれかに記載の方法によって得られる粉砕物。
【請求項12】
請求項11記載の粉砕物を含む加工品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−268507(P2007−268507A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101271(P2006−101271)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【出願人】(502283800)有限会社つくば食料科学研究所 (5)
【Fターム(参考)】