説明

粒体容器

【課題】収納部が設けられた蓋体の成形が容易である粒体容器を提供すること。
【解決手段】多数個の粒体が収容される容器本体2と、容器本体2の口部12に開閉可能に装着され、多数枚の包装紙片Pが収納される収納部24が内側に形成された蓋体3と、を備え、蓋体3は、天壁部21と、天壁部21に連設された周壁部22と、を有し、収納部24は、天壁部21と対向して配置され、包装紙片Pを保持する保持壁部41A〜41Dを有し、天壁部には、保持壁部41A〜41Dのうち包装紙片Pが載置される載置面43A〜43Dを形成して成形後に直線移動によって引き抜かれる金型の移動経路上に位置する型抜開口部25A〜25Dが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒体容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばチューイングガムのような粒体と噛み終わったチューイングガムを包んで廃棄するための包装紙片とが粒体容器に収納された状態で販売されている。
このような粒体容器において、粒体と包装紙片とが容器内で混在することを防止するため、容器の蓋体に包装紙片を収納した粒体容器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この粒体容器は、容器本体と、容器本体にヒンジ接続された蓋体と、を備えている。そして、蓋体は、天壁部と、天壁部に連設された周壁部と、蓋体の内面に形成された囲い部と、を有し、天壁部、周壁部及び囲い部によって画成されるポケット状をなす収納部に包装紙片を収納している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3101914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の粒体容器においても、以下の課題が残されている。すなわち、従来の粒体容器を射出成形によって成形する場合、収納部を形成するために、収納部のうち包装紙片が載置される載置面を形成する金型を収納部の形成位置に配置しておく必要がある。ところが、収納部がポケット状をなしているため、射出成形などにより収納部を形成した後に、形成された天壁部、周壁部及び囲い部を破損しないように載置面を形成する上記金型の移動方向を変更しながら金型を抜き出す必要がある。そのため、金型の運動が複雑になる。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、収納部が設けられた蓋体の成形が容易である粒体容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の粒体容器は、多数個の粒体が収容される容器本体と、前記容器本体の口部に開閉可能に装着され、多数枚の包装紙片が収納される収納部が内側に形成された蓋体と、を備え、前記蓋体は、天壁部と、前記天壁部に連設された周壁部と、を有し、前記収納部は、前記天壁部と対向して配置され、前記包装紙片を保持する保持壁部を有し、前記天壁部及び/または前記周壁部には、前記保持壁部のうち前記包装紙片が載置される載置面を形成して成形後に直線移動によって引き抜かれる金型の移動経路上に位置する型抜開口部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、載置面を形成するために蓋体の内側に配置しておく必要のある金型が、天壁部及び/または周壁部に形成された型抜開口部を介して直線移動によって成形された蓋体の外部に移動させることができる。これにより、載置面を形成する金型を複雑に動かすことなく簡単な直線移動で引き抜くことができる。したがって、収納部が設けられた蓋体の成形が容易に行える。このように、収納部が容器本体ではなく蓋体に配設されていることから、容器本体から粒体を取り出すときに収納部が邪魔にならず、容易に粒体を取り出せる。
【0008】
また、本発明の粒体容器において、前記天壁部及び/または前記周壁部には、前記型抜開口部を被覆する被覆部材が設けられていることが好ましい。
この発明では、型抜開口部を覆うことで、外観を良好に保てると共に、型抜開口部を介して容器本体内に異物が混入することを防止できる。
【0009】
また、本発明の粒体容器において、前記型抜開口部は、前記天壁部において平面視で前記保持壁部と重なる位置に形成されており、前記収納部は、前記天壁部における前記型抜開口部の周縁部と前記保持壁部とを接続する一対の支持壁部を備えることが好ましい。
この発明では、天壁部に型抜開口部を形成することで、例えば2つの金型の直線的な移動によって収納部を形成することができるため、蓋体の成形がより容易に行える。すなわち、例えば、型抜開口部の形状に対応する凹凸が形成された上金型と、下金型と、を用いることにより、上金型のうち型抜開口部の形状に対応する凹凸部分が載置面を形成することができる。そして、蓋体を成形した後、上記凹凸部分が型抜開口部を通るように上金型を直線移動させることで、上金型のうち載置面を形成する凹凸部分が天壁部を破損することなく型抜開口部を通って引き抜かれる。そのため、上金型を複雑に移動させることなく蓋体を成形することができる。
【0010】
また、本発明の粒体容器において、前記保持壁部及び前記型抜開口部は、一対の前記支持壁部が互いに対向する方向に対して直交する方向に間隔をあけて複数配列されていることが好ましい。
この発明では、包装紙片の挿抜方向に沿って間隔をあけて複数の型抜開口部を天壁部に形成することとなり、収納部を構成する部分全体に対応する1つの大型の型抜開口部を天壁部に形成することと比較して、天壁部に形成される型抜開口部の面積を小さくすることができ、天壁部の強度を増大させることができる。
【0011】
また、本発明の粒体容器において、前記保持壁部は、一対の前記支持壁部が互いに対向する方向に対して直交する方向に沿って分断されていることが好ましい。
この発明では、包装紙片を載置面に沿って移動させることによってだけではなく、分断部分から包装紙片を引き抜くことによっても、収納部から包装紙片を取り出すことができる。
【0012】
また、本発明の粒体容器において、前記天壁部において一対の前記支持壁部が互いに対向する方向に対して直交する方向で前記収納部に連なる両側部分のうちの一方には、前記包装紙片が突き当たる規制凸部が形成されていることが好ましい。
この発明では、収納部に収納されている包装紙片が包装紙片の挿入方向の前方に向けて移動して収納部から落下することを防止し、包装紙片を収納部内に安定して収納することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明にかかる粒体容器によれば、載置面を形成するために蓋体の内側に配置されている金型を天壁部または周壁部に形成された型抜開口部を介して成形後の蓋体の外部に向けて簡単な直線移動で引き抜くことができる。したがって、収納部が設けられた蓋体の成形が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態における粒体容器を示す平面図である。
【図2】図1の粒体容器を示すA−A矢視断面図である。
【図3】図1の粒体容器を示すB−B矢視断面図である。
【図4】蓋体の一部を示す裏面斜視図である。
【図5】本発明を適用可能な他の蓋体の一部を示す裏面斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における粒体容器を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による粒体容器の第1の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能とするために縮尺を適宜変更している。
本実施形態における粒体容器1は、図1〜図3に示すように、容器本体2と、蓋体3と、を備えている。
図示の例では、容器本体2及び蓋体3は、共通軸線上に配置されている。以下、この共通軸を容器軸Oと称し、容器軸Oに沿って蓋体3側を上側、容器本体2側を下側とし、容器軸Oに直交する方向を径方向とし、さらに容器軸Oを中心に周回する方向を周方向とする。
【0016】
容器本体2は、図2及び図3に示すように、有底円筒状をなしており、胴部11と、胴部11の上端に連設された口部12と、を備えている。
胴部11の内部には、例えば粒状のチューイングガムなどの粒体(図示略)が多数個収容されている。そして、胴部11の上端部には、内径を大きくすることによって段差部13が形成されており、この段差部13を介して口部12が連設されている。
口部12は、円筒状をなしており、胴部11よりも径方向外方に設けられている。また、口部12の下端部の外周面には、径方向外方に突出する円環状のフランジ部14が全周にわたって形成されている。そして、口部12の上下方向の中央部の外周面には、径方向外方に突出する第1係合凸部15が全周にわたって形成されている。さらに、口部12の上端部の外周面には、径方向外方に突出する第1装着凸部16が全周にわたって形成されている。
【0017】
蓋体3は、図1から図3に示すように、有頂円筒状をなしており、天壁部21と、天壁部21の外周縁に連設された周壁部22と、周壁部22よりも径方向内側に配置された内筒部23と、積重ねられた包装紙片Pを収納する収納部24と、を備えている。
【0018】
天壁部21は、平面視でほぼ円板状をなしている。そして、天壁部21には、帯状の型抜開口部25A〜25D(以下、総称して型抜開口部25と称することもある)が型抜開口部25の長手方向と直交する方向に沿って間隔をあけて一列に形成されている。
この型抜開口部25の配列方向は、収納部24に対する包装紙片Pの挿抜方向と平行になっている。なお、本実施形態では、型抜開口部25Aから型抜開口部25Dに向かう方向を包装紙片Pの挿入方向(図1に示す矢印A1方向)、その反対方向を包装紙片Pの引抜方向(図1に示す矢印A2方向)とする。
また、天壁部21の裏面における型抜開口部25Dよりも包装紙片Pの挿入方向の前方には、下方に向けて突出する規制凸部26が形成されている。規制凸部26は、薄板状をなしており、型抜開口部25の長手方向と平行に形成されている。
【0019】
周壁部22は、ほぼ円筒状をなしており、口部12の上側部分の外周を囲む上筒部31と、口部12の下側部分の外周を囲んで口部12に嵌合される下筒部32と、を備えている。
上筒部31は、天壁部21の外周縁から垂下した円筒状をなしている。そして、上筒部31の内周面の下端部には、径方向内方に向けて突出し、口部12の第1装着凸部16と係合する第2装着凸部33が全周にわたって形成されている。さらに、上筒部31の外周面における包装紙片Pの引抜方向の外縁部には、径方向外方に向けて突出する突出部34が形成されている。
【0020】
下筒部32は、ほぼ円筒状をなしており、包装紙片Pの挿入方向の外縁部がヒンジ部35を介して上筒部31における包装紙片Pの挿入方向の外縁部と接続されている。また、下筒部32の内周面には、径方向内方に向けて突出し、口部12の第1係合凸部15と係合する第2係合凸部36が全周にわたって形成されている。
さらに、下筒部32の上端のうち包装紙片Pの引抜方向の外縁部と周方向の中心とするほぼ半周部分は、剥離帯部37を介して上筒部31の下端に接続されている。また、剥離帯部37とヒンジ部35との間には、後述の第1破断部38Aが延設されている。
剥離帯部37は、帯状をなしており、下筒部32の上端と上筒部31の下端との間において周方向に沿って配置されている。そして、剥離帯部37は、上筒部31よりも薄肉とされた第1破断部38Aを介して上筒部31の下端に接続されると共に、下筒部32よりも薄肉とされた第2破断部38Bを介して下筒部32の上端に接続されている。さらに、剥離帯部37の長手方向の一端部には、径方向外方に突出するツマミ部39が形成されている。
【0021】
内筒部23は、ほぼ円筒状をなしており、天壁部21の外周縁よりも径方向内側において天壁部21の裏面から下方に向けて突出している。また、内筒部23における包装紙片Pの挿入方向側の外縁部を周方向の中心とするほぼ半周部分における高さは、図2及び図3に示すように、他方の半周部分の高さよりも高くなっている。
【0022】
収納部24は、図1から図3に示すように、天壁部21と対向する4つの保持壁部41A〜41D(以下、総称して保持壁部41と称することもある)と、天壁部21と各保持壁部41A〜41Dとを接続する4対の支持壁部42A〜42D(以下、総称して支持壁部42と称することもある)と、を備えている。
【0023】
保持壁部41A〜41Dは、帯状をなしており、天壁部21よりも下方に形成されている。また、各保持壁部41A〜41Dは、平面視で各型抜開口部25A〜25Dと重なるような位置に形成されている。そして、各保持壁部41A〜41Dの上面は、多数枚の包装紙片Pが載置される載置面43A〜43D(以下、総称して載置面43と称することもある)となっている。
【0024】
支持壁部42は、天壁部21における型抜開口部25の長手方向の両端縁から下方に向けて形成されており、平面視で型抜開口部25と重なる保持壁部41における長手方向の両端部に連設されている。すなわち、例えば、一対の支持壁部42Aは、天壁部21における型抜開口部25Aの長手方向の両端縁と保持壁部41Aの長手方向の両端部とを接続している。
各支持壁部42A〜42Dと対応する保持壁部41A〜41Dと天壁部21とによって囲まれた空間では、包装紙片Pの挿抜方向の開口端が、隣接する空間の開口端と対向しており、隣接する空間と連通している。ここで、一対の支持壁部42が互いに対向する方向に対して直交する方向は、包装紙片Pの挿抜方向と平行になっている。
また、天壁部21の上面には、型抜開口部25A〜25Dを被覆するラベル(被覆部材)44が貼付されている。
【0025】
以上のような構成の粒体容器1の蓋体3における収納部24は、例えば図示しない上金型及び下金型を用いた射出成形によって製造される。
上金型及び下金型には、収納部24の形状に対応する凹凸が適宜形成されている。ここで、上金型には、型抜開口部25A〜25Dに対応する凸部が形成されている。この凸部の先端面は、保持壁部41A〜41Dの上面である載置面43A〜43Dを形成する。また、下金型には、保持壁部41A〜41Dに対応する凹部と、保持壁部41A〜41Dの間の空間に対応する凸部と、が形成されている。
【0026】
このような上金型及び下金型それぞれに形成された凹凸を位置合せした状態で蓋体3の形成材料を射出すると、上金型及び下金型の間にあるキャビティに形成材料が充填される。このとき、上金型の上記凸部の先端面によって保持壁部41A〜41Dの上面である載置面43A〜43Dが形成される。そして、形成材料を硬化した後に、上金型を蓋体3に対して上方に向けて直線移動させると、上金型の移動経路上に型抜開口部25A〜25Dが形成されているため、載置面43A〜43Dを形成する上記凸部が天壁部21を破損させることなく成形後の蓋体3から引き抜かれる。
その後、天壁部21の上面にラベル44を貼付して各型抜開口部25を被覆する。
【0027】
続いて、以上のような構成の粒体容器1の使用方法を説明する。まず、剥離帯部37の一端部に形成されているツマミ部39を摘んで周壁部22の周方向に沿って引っ張り、剥離帯部37と上筒部31及び下筒部32とを接続する薄肉の第1及び第2破断部38A、38Bを破断する。これにより、剥離帯部37と上筒部31及び下筒部32とは、分離する。このとき、剥離帯部37を分離可能とすることで、改竄防止効果を得ることができる。
そして、突出部34を摘んで天壁部21及び上筒部31を引き上げて第1及び第2装着凸部16、33の係合を解除し、天壁部21及び上筒部31をヒンジ部35回りに回動させる。この引き上げ操作によって、剥離帯部37とヒンジ部35との間に延設された第1破断部38A部分が破断される。このとき、内筒部23のうちヒンジ部35側の部分は、弾性変形しながら口部12の上端部を乗り越え、その後、内筒部23のうちヒンジ部35側の下端部は、弾性復帰して口部12の上端に当接して支持される。これにより、天壁部21及び上筒部31が不用意にヒンジ部35回りで回動して口部12の上端開口部が閉塞されることを防止する。
このとき、収納部24内に収納されている包装紙片Pが自重によって包装紙片Pの挿入方向の前方である下方向に向けて移動しようとするが、包装紙片Pが規制凸部26に突き当たるため、包装紙片Pが収納部24から落下しない。
【0028】
その後、粒体容器1を傾けたり、粒体容器1内に指を入れたりすることによって、口部12の開口部を介して容器本体2内に収納されている粒体を取り出す。このとき、包装紙片Pが収納部24内に収納されているため、容器本体2内にある粒体の取り出しが包装紙片Pによって妨げられない。
また、収納部24内に収納された包装紙片Pを挿入方向とは反対方向である引抜方向に引き抜いて包装紙片Pを収納部24から取り出す。そして、必要数の包装紙を包装紙片Pから取り出した後、包装紙片Pを収納部24の挿入方向に差し込んで包装紙片Pを収納部24に収納する。予め必要枚数だけ取り出すようにしても良い。
その後、天壁部21及び上筒部31をヒンジ部35回りに回動させて口部12の上端開口部を遮蔽する。以上のようにして、粒体容器1から粒体を取り出す。
【0029】
このような構成の粒体容器1によれば、蓋体3の損傷を防止し、金型の複雑化を抑制した状態で蓋体3を形成することができる。
また、天壁部21にラベル44を貼付して型抜開口部25を閉塞することで、蓋体3の外観を良好に保てると共に、型抜開口部25を通って容器本体2の内部に異物が混入することを防止できる。
さらに、収納部24内に収納されている包装紙片Pが規制凸部26に突き当たるので、包装紙片Pが挿入方向前方にさらに移動して収納部24から落下せず、包装紙片Pを収納部24内で安定して収納することができる。
また、複数の型抜開口部25A〜25Dを形成することにより、収納部24を構成する部分全体に対応する1つの大型の型抜開口部を天壁部21に形成するよりも型抜開口部25の面積を小さくし、天壁部21の強度を増大させることができる。
【0030】
なお、本実施形態では、例えば図5に示す蓋体50の収納部51のように、帯状をなす保持壁部52A〜52D(以下、総称して保持壁部52と称することもある)の長手方向の中央部分が分断されていてもよい。このとき、分断された保持壁部52は、保持壁部52の長手方向の両端部に設けられた支持壁部42A〜42Dによって片持ち梁状に支持されている。また、天壁部53には、包装紙片Pの挿抜方向に沿う第1及び第2型抜開口部54A〜54D、55A〜55D(以下、総称して第1及び第2型抜開口部54、55と称することもある)が形成されており、第1及び第2型抜開口部54、55は、包装紙片Pの挿抜方向に平行な方向に沿って2列に配列されている。
【0031】
このように、引抜方向に包装紙片Pを移動させることによってだけでなく、片持ち梁状に設けられている保持壁部52の先端部が天壁部53から離間する方向に弾性変形して分断部分から包装紙片Pを抜き出すことによって、包装紙片Pを取り出すことができる。また、上述した第1の実施形態よりも天壁部21における第1及び第2型抜開口部54、55の面積をより小さくすることができ、天壁部53の強度をより増大させることができる。
【0032】
次に、本発明による粒体容器の第2の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1の実施形態と同様である。したがって、図6においては、図1と同一構成要素に同一符号を付し、この説明を省略する。
【0033】
第2の実施形態における粒体容器100では、図6に示すように、蓋体101の天壁部102には型抜開口部が形成されておらず、周壁部103及び内筒部104に第1及び第2型抜開口部105、106が形成されている。
蓋体101は、有頂筒状をなしており、天壁部102、周壁部103、内筒部104及び収納部110を備えている。
【0034】
天壁部102は、平面視でほぼ円板状をなしている。
周壁部103の上筒部には、側面視でほぼ矩形をなす第1型抜開口部105が形成されている。第1型抜開口部105は、平面視においてヒンジ部に対して周方向で90度時計回りに回転させた位置に形成されている。また、周壁部103には、第1型抜開口部105を閉塞するラベル111が貼付されている。
内筒部104には、側面視において第1型抜開口部105と重なる第2型抜開口部106が形成されている。第2型抜開口部106は、第1型抜開口部105と同様の形状をなしており、第1型抜開口部105と同様に平面視においてヒンジ部に対して周方向で90度時計回りに回転させた位置に形成されている。これら第1及び第2型抜開口部105、106は、収納部110に収納される包装紙片Pの挿抜方向(図6に示す矢印A3方向及び矢印A4方向)に沿って配列されている。
【0035】
収納部110は、保持壁部112及び一対の支持壁部113を備えている。
保持壁部112は、平面視でほぼ矩形の板状をなしており、天壁部102よりも下方に形成されている。そして、天壁部102の上面は、多数枚の包装紙片Pが載置される載置面115となっている。
支持壁部113は、天壁部102の裏面から垂下しており、保持壁部112のうち包装紙片Pの挿抜方向に垂直な方向における両端部と天壁部102とを接続している。一対の支持壁部113が互いに対向する方向に対して直交する方向は、包装紙片Pの挿抜方向と平行になっている。
また、天壁部102の裏面における保持壁部112よりも包装紙片Pの挿入方向の前方には、下方に向けて突出する規制凸部114が形成されている。
【0036】
以上のような構成の粒体容器100の蓋体101においても、上述した第1の実施形態と同様に、損傷を防止し、金型の複雑化を抑制した状態で蓋体101を形成することができる。
さらに、周壁部103の外面にラベル111を貼付して第1型抜開口部105を被覆することで、外観を良好に保つことができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、上記第1及び第2の実施形態では、保持壁部の長手方向の両端部が支持壁部を介して天壁部に接続されているが、保持壁部を片持ち梁状の構成としたり、支持壁部を介して天壁部に接続される端部を挿抜方向に沿って交互に変更した構成としたりしてもよい。
また、上記第1の実施形態では、複数の保持壁部を包装紙片の挿抜方向に沿って配列しているが、第2の実施形態のように大面積の保持壁部を1つのみ配置した構成としてもよい。このとき、天壁部に形成される型抜開口部の形状は、平面視で大面積の保持壁部と重なるような形状となる。
上記第2の実施形態では、1つの保持壁部のみを有する構成となっているが、第1の実施形態のように複数の保持壁部を包装紙片の挿抜方向に沿って配置した構成としてもよい。また、保持壁部の中央部分を分断していないが、第1の実施形態の変形例と同様に、保持壁部の中央部分を分断してもよい。
保持壁部は、蓋体の周壁部内面から径方向に突設されてもよい。
蓋体のうち天壁部または周壁部に型抜開口部が形成されているが、天壁部及び周壁部の双方に型抜開口部を形成してもよい。
型抜開口部は、天壁部または周壁部に貼付されたラベルによって被覆されているが、ラベル以外の他の部材で被覆されてもよく、また、天壁部または周壁部の内面側から被覆されていてもよく、被覆部材によって被覆されていなくてもよい。
天壁部には、規制凸部が形成されているが、規制凸部を形成しなくてもよい。
容器本体内に収容される粒体は、チューイングガムに限らず他の粒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明によれば、収納部が設けられた蓋体の成形が容易である粒体容器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0039】
1,100 粒体容器、2 容器本体、3,50,101 蓋体、12 口部、21,53,102 天壁部、22,103 周壁部、24,51,110 収納部、25,25A〜25D 型抜開口部、26,114 規制凸部、41,41A〜41D,52,52A〜52D,112 保持壁部、43,43A〜43D,115 載置面、44,111 ラベル(被覆部材)、54,54A〜54D 第1型抜開口部(型抜開口部)、55,55A〜55D 第2型抜開口部(型抜開口部)、105 第1型抜開口部(型抜開口部)、106 第2型抜開口部(型抜開口部)、P 包装紙片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数個の粒体が収容される容器本体と、
前記容器本体の口部に開閉可能に装着され、多数枚の包装紙片が収納される収納部が内側に形成された蓋体と、を備え、
前記蓋体は、天壁部と、前記天壁部に連設された周壁部と、を有し、
前記収納部は、前記天壁部と対向して配置され、前記包装紙片を保持する保持壁部を有し、
前記天壁部及び/または前記周壁部には、前記保持壁部のうち前記包装紙片が載置される載置面を形成して成形後に直線移動によって引き抜かれる金型の移動経路上に位置する型抜開口部が形成されていることを特徴とする粒体容器。
【請求項2】
前記天壁部及び/または前記周壁部には、前記型抜開口部を被覆する被覆部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の粒体容器。
【請求項3】
前記型抜開口部は、前記天壁部において平面視で前記保持壁部と重なる位置に形成されており、
前記収納部は、前記天壁部における前記型抜開口部の周縁部と前記保持壁部とを接続する一対の支持壁部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の粒体容器。
【請求項4】
前記保持壁部及び前記型抜開口部は、一対の前記支持壁部が互いに対向する方向に対して直交する方向に間隔をあけて複数配列されていることを特徴とする請求項3に記載の粒体容器。
【請求項5】
前記保持壁部は、一対の前記支持壁部が互いに対向する方向に対して直交する方向に沿って分断されていることを特徴とする請求項3または4に記載の粒体容器。
【請求項6】
前記天壁部において一対の前記支持壁部が互いに対向する方向に対して直交する方向で前記収納部に連なる両側部分のうちの一方には、前記包装紙片が突き当たる規制凸部が形成されていることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の粒体容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−111208(P2011−111208A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271675(P2009−271675)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】