説明

粒子ベースの経肺投与または経鼻投与用製薬の製造方法

呼吸用量改善のための経肺投与または経鼻投与用乾燥粉末製薬剤形が製造される。これらの剤形は、微粉砕混合物を混ぜた混合物であってもよいし、リン脂質を単独または他の賦形剤材料との組み合わせで含むものであってもよい。一例では、この方法は、(a)製剤を含む粒子を提供する工程と、(b)この粒子を少なくとも1種の第1の賦形剤の粒子と混合して、第1の粉末混合物を形成する工程と、(c)第1の粉末混合物を柵で囲んで(rail)上記製剤の微小粒子(microparticies)またはナノ粒子を含む微粉砕混合物を形成する工程と、(d)この微粉砕混合物を第2の賦形剤の粒子と混合して、経肺投与または経鼻投与に適した混合済み乾燥粉末混合物製薬剤形を形成する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には微小粒子などの粒子を含む製剤組成物の分野におけるものであり、特に、経肺投与または経鼻投与用の微粒子混合物剤形の製造方法に対するものである。
【背景技術】
【0002】
肺への製剤の送達および肺経由での体内への製剤の送達は、医療面での有意義な機会のひとつに相当する。多くの経肺または経鼻薬剤形が、望ましくは乾燥粉末状で生成される。治療用微小粒子の経肺剤形では、一般には空気である気体に微小粒子を分散させた後、粒子が治療薬を溶解/放出する場である肺に吸入する必要がある。同様に、経鼻剤形でも、一般には空気である気体に微小粒子を分散させた後、粒子が治療薬を溶解/放出する場である鼻腔に吸入する必要がある。経肺投与または経鼻投与時に薬剤含有粒子を十分に分散させることが重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
経肺剤形では、製剤粒子を1種または複数種の賦形剤材料と組み合わせて、薬剤粒子の分散性を少なくともある程度まで改善することが多い。また、微小粒子剤形に他の望ましい特性を与えたり、微小粒子剤形の加工性を高めたりする目的で、微小粒子および製剤に賦形剤を加えることも多い。たとえば、賦形剤を用いることで、微小粒子の投与を容易にし、貯蔵時または再構成時の微小粒子の集塊を最小限に抑え、活性剤の適切な放出または保持を容易にするおよび/または製品の貯蔵寿命を延ばすことが可能であり、これらの賦形剤と微小粒子とを組み合わせる工程によって、均一な混合が得られる点も重要である。ただし、これらの賦形剤を微小粒子と組み合わせると、製造およびスケールアップが複雑化する可能性がある。よって、このような微小粒子製薬剤形を、特に商業規模で製造するのは些細なことではない。
【0004】
一用量の吸入時に実際に肺まで送達される薬剤粒子の量がどれだけかということを、一般に呼吸用量と呼ぶ。呼吸用量は、薬剤粒子と賦形剤粒子との混合の分散性をはじめとする多くの要因に左右される。したがって、十分に分散する微小粒子剤形が得られ、ひいては可呼吸用量が高まる製造工程を提供することは有用である。
【0005】
さらに、望ましい賦形剤材料によっては、微粉砕または製剤微小粒子との混合が困難なものがある。たとえば、液状、ワックス状、非結晶性または非脆砕性であることが特徴の賦形剤は、薬剤含有粒子とは均一に混合されにくい。このような材料を従来の手法で乾燥混合しても、製薬剤形に必要な成分の均一かつ均質な混合物が得られるとは限らない。たとえば乾燥粉末剤形は、バッチ間または同一バッチ内での組成ムラの影響を受けやすいものであってはならない。さらに、製薬剤形の生成工程は、ばらつきがなく正確な剤形が得られるものでなければならない。混合または微粉砕が容易ではない賦形剤を用いて乾燥粉末剤形でこのような一貫性を実現するのは困難な場合がある。したがって、微小粒子と難混合性賦形剤との均一な混合物の製造方法を提供できれば望ましいであろう。このような方法は、望ましくは効率的かつ商業規模の生成に適合可能なものである。
【0006】
したがって、含量均一性が高く、経肺投与または経鼻投与時に十分に分散される混合済み粒子または微小粒子製薬剤形を製造するための改良された方法を提供できれば望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
経肺投与または経鼻投与用の乾燥粉末製薬剤形を製造するための方法が得られる。一実施形態では、この方法は、(a)製剤を含む粒子を提供する工程と、(b)この粒子を少なくとも1種の第1の賦形剤の粒子と混合して、第1の粉末混合を形成する工程と、(c)第1の粉末混合物を微粉砕して、上記製剤の微小粒子またはナノ粒子を含む微粉砕混合物を形成する工程と、(d)この微粉砕混合物を第2の賦形剤の粒子と混合して、経肺投与または経鼻投与に適した混合済み乾燥粉末混合物製薬剤形を形成する工程と、を含み、第2の賦形剤の粒子のほうが、微粉砕混合中の微小粒子またはナノ粒子よりも大きく、第2の賦形剤が、糖と、糖アルコールと、デンプンと、アミノ酸と、およびこれらの組み合わせとからなる群から選択される。もうひとつの態様では、(a)製剤(熱に不安定であってもよい)を含み、シェル材料をさらに含むものであってもよい第1の粒子を提供する工程と、(b)第1の粒子を少なくとも1種の賦形剤の第2の粒子と混合して、粉末混合物を形成する工程と、(c)この粉末混合物を微粉砕して、経肺投与または経鼻投与に適した粉末混合物製薬剤形を形成する工程と、を含む、安定性が改善された経肺投与または経鼻投与用の乾燥粉末製薬剤形を製造するための方法であって、粉末混合物が、上記の製剤を含む微小粒子を含み、工程(c)の粉末混合物製薬剤形中の製剤または微小粒子が、工程(a)の粒子または工程(b)の粉末混合物よりも貯蔵条件での安定性の高いものである、方法が得られる。さまざまな実施形態において、上述した方法における微粉砕工程はジェットミリングを含む。
【0008】
上述した方法の一実施形態では、少なくとも1種の第1の賦形剤の粒子が、糖と、糖アルコールと、デンプンと、アミノ酸と、およびこれらの組み合わせとから選択される材料を含む。さまざまな実施形態において、第1の賦形剤の粒子、第2の賦形剤の粒子またはその両方が、ラクトースであってもよい。一実施形態では、工程(a)の粒子が微小粒子である。工程(a)の粒子を、噴霧乾燥工程で製造してもよい。任意に、工程(a)の粒子はさらに、生体適合性合成ポリマーなどのシェル材料を含む場合がある。一実施形態では、製剤を含む微粉砕混合物の微小粒子は体積平均直径が1から10μmである。一実施形態では、第2の賦形剤の粒子は体積平均直径が20から500μmである。本方法および経肺剤形または経鼻剤形に利用できる製剤の例としては、ブデゾニド、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、モメタゾン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、アルブテロール、フォルモテロール、サルメテロール、クロモリンナトリウム、臭化イプラトロピウム、テストステロン、プロゲステロン、エストラジオール、エノキサプリン、オンダンセトロン、スマトリプタン、シルデノフィル、ドルナーゼα、イロプロスト、ヘパリン、低分子量ヘパリン、デシルジンまたはこれらの組み合わせを含む。
【0009】
もうひとつの態様では、経肺投与または経鼻投与用の乾燥粉末製薬剤形を製造するための方法であって、(a)製剤を含む粒子を提供する工程と、(b)この粒子を、(i)増量剤と少なくとも1種の非脆砕性賦形剤とを溶媒に溶解させて賦形剤溶液を形成し、(ii)賦形剤溶液から溶媒を除去して前処理済み賦形剤を乾燥粉末状で形成することによって調製される前処理済み賦形剤の粒子と混合して、一次混合物を形成する工程と、(c)一次混合物を微粉砕して、経肺投与または経鼻投与に適した微粉砕済み製薬剤形混合物を形成する工程と、を含む方法が得られる。任意に、工程(d)として、微粉砕済み製薬剤形混合物を第2の賦形剤の粒子と混合して、経肺投与または経鼻投与に適した混合済み乾燥粉末混合物製薬剤形を形成することを含んでもよい。溶媒を除去する工程には、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥またはフリーズドライを含み得る。一実施形態では、第2の賦形剤の粒子のほうが微粉砕混合中の微小粒子またはナノ粒子よりも大きく、第2の賦形剤が、糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸およびこれらの組み合わせとからなる群から選択される。一実施形態では、増量剤は、少なくとも1種の糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸またはこれらの組み合わせを含む。増量剤の例としては、ラクトース、スクロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、ガラクトース、キシリトール、エリスリトールおよびこれらの組み合わせを含む。非脆砕性賦形剤は、液状、ワックス状または非結晶性の化合物であればよい。一実施形態では、非脆砕性賦形剤が、界面活性剤、特にワックス状または液状の界面活性剤を含む。一実施形態では、前処理済み賦形剤は、ラクトースとリン脂質または脂肪酸との組み合わせを含む。乾燥粉末混合物製薬剤形は、熱に不安定なものであってもよい。
【0010】
もうひとつの態様では、(a)製剤を含む微小粒子を提供する工程と、(b)この微小粒子を少なくとも1種の第1の賦形剤の粒子と混合して、第1の粉末混合物を形成する工程と、(c)第1の粉末混合物を微粉砕して、微粉砕混合物を形成する工程と、(d)微粉砕混合物を、微粉砕混合物中の微小粒子よりも大きい第2の賦形剤の粒子と混合して、混合済み乾燥粉末混合物製薬剤形を形成する工程と、を含み、工程(d)で得られる混合済み乾燥粉末混合物製薬剤形の可呼吸用量が、工程(a)の微小粒子、工程(b)の第1の粉末混合または工程(c)の微粉砕混合の可呼吸用量に比して大きい、乾燥粉末混合物製薬剤形の製造方法が得られる。一実施形態では、工程(c)の微粉砕はジェットミリングを含む。一実施形態では、第2の賦形剤が、糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸、およびこれらの組み合わせとから選択される。一実施形態では、製剤を含む微粉砕混合物の微小粒子の体積平均直径が1から10μmである。もうひとつの実施形態では、第2の賦形剤の粒子の体積平均直径が20から500μmである。
【0011】
もうひとつの態様では、上述した方法のうちのいずれかによって製造される製薬剤形が得られる。一実施形態では、(i)製剤を含む微小粒子と(ii)賦形剤粒子との微粉砕混合物と、糖または糖アルコールの粒子であって、微粉砕混合物の微小粒子または賦形剤粒子よりも大きい粒子との混合物を含み、微粉砕混合物の混合物ではない微小粒子と、賦形剤粒子と、糖または糖アルコールの粒子との組み合わせの可呼吸用量に比して可呼吸用量の大きい混合物、乾燥粉末の経肺剤形または経鼻剤形が得られる。製剤の例としては、ブデソニド、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、モメタゾン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、アルブテロール、フォルモテロール、サルメテロール、クロモリンナトリウム、臭化イプラトロピウム、テストステロン、プロゲステロン、エストラジオール、エノキサプリン、オンダンセトロン、スマトリプタン、シルデノフィル、ドルナーゼα、イロプロスト、ヘパリン、低分子量ヘパリン、デシルジンまたはこれらの組み合わせを含む。一実施形態では、この製剤は、水に対する25℃での溶解性が10mg/mL未満である。一実施形態では、賦形剤粒子は、糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸またはこれらの組み合わせを含む。一実施形態では、糖または糖アルコールは、ラクトース、スクロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、ガラクトース、キシリトール、エリスリトールまたはこれらの組み合わせを含む。一例では、賦形剤粒子と糖または糖アルコールの粒子との両方がラクトースを含む。一実施形態では、製剤を含む微小粒子の体積平均直径が10μm未満である。たとえば、製剤微小粒子は、体積平均直径が5μm未満であってもよい。任意に、工程(a)の粒子はさらに、生体適合性合成ポリマーなどのシェル材料を含み得る。一実施形態では、糖または糖アルコールの粒子の体積平均直径が20から500μmである。
【0012】
もうひとつの態様では、ジパルミトイルホスファチジルコリンなどの少なくとも1種のリン脂質と、製剤の粒子との混合物を含む経肺投与または経鼻投与用の乾燥粉末製薬剤形が得られる。リン脂質を製剤と混合するのは、微粉砕前であっても後であってもよい。一実施形態では、剤形は、微粉砕混合物である混合の形態とすることができる。たとえば、剤形は、(a)製剤を含む粒子を提供し、(b)この粒子を少なくとも1種のリン脂質および三次賦形剤粒子と混合して、第1の粉末混合物を生成し、(c)第1の粉末混合物を微粉砕して、製剤の微小粒子またはナノ粒子、少なくとも1種のリン脂質および三次賦形剤粒子を含む微粉砕混合物を形成し、(d)微粉砕混合物を、微粉砕混合物の微小粒子(またはナノ粒子)または賦形剤粒子よりも大きい糖または糖アルコールの粒子と混合することによって生成される微粉砕混合物を含み得る。少なくとも1種のリン脂質は、ジパルミトイルホスファチジルコリンを含むものであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
製剤粒子と賦形剤粒子との極めて均一な混合物を含み、貯蔵条件下で乾燥粉末剤形の安定性が一層よい製薬剤形の経肺剤形または経鼻剤形を生成するための改良された加工方法が開発された。製剤の粒子を賦形剤と混合し、このようにして得られる混合物を微粉砕した後、別途の賦形剤粒子を第1の混合物と混合することからなる順序の工程によって、こうした工程の組み合わせなくして得られた混合物に比してこのような剤形の分散性を高められる場合があることが判明している。また、有用ではあるが微粉砕が困難な(または混合が困難な)特定の賦形剤材料であっても、それ自体にまず、液状、ワックス状、そうでなければ非脆砕性の賦形剤を、乾燥粉末状での混合および微粉砕に適した乾燥粉末状に変換する「前処理」の処置を施せば、上記の方法に利用できることも有益に発見されている。微粉砕混合物を混合することで、乾燥粉末混合物では製剤の可呼吸用量が有利に高まることが見いだされているが、これは、分散性および粒子の飛行を助けるための2通りのサイズの賦形剤粒子混合物の均一性によるものと考えられている。このように、本願明細書にて説明する工程で生成される混合剤形を用いることで、肺または鼻腔への製剤の送達が改善される。
【0014】
もうひとつの態様では、少なくとも1種のリン脂質を乾燥粉末製薬剤形に取り込むことで、可呼吸用量を有益に改善することが可能である。ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)と治療薬の粒子との微粉砕混合物を含む経肺剤形では、DPPCなしで生成した同等の剤形に比して可呼吸用量が改善され、微粉砕前の初期混合物にDPPCを含むジェットミル処理した混合物との混合で最大可呼吸用量が観察されることが、研究から明らかになっている。
【0015】
本願明細書で使用する場合、「分散性」という用語は、肺内または噴霧化用液体キャリアの流体と接触する場合のように、気体(空気など)中での粉末(微小粒子の量または用量など)の懸濁性ならびに水性液体環境中での粉末の分散性を含む。このため、「改善された分散性」という用語は、懸濁粒子の濃度上昇または凝集体の減少を調べる方法で評価可能な可呼吸用量の増加につながる、気体中での粉末の微小粒子の粒子間干渉の低減を示す。これらの方法には、懸濁液の濁度の目視評価、濁度計または可視分光光度計を用いる直接濁度分析、懸濁粒子濃度および/または凝集粒子濃度を評価するための光学顕微鏡法または懸濁液中の粒子濃度のコールターカウンター分析がある。また、接触角測定を利用して、粉末の湿潤性の増加量として分散性の改善を検定することも可能である。空気中での分散度の改善については、カスケードインパクション、液体インピンジャー分析、浮遊時間法(エアロサイザー、TSIなど)、プルーム(plume)幾何分析などの方法を用いて評価可能である。
【0016】
本願明細書にて説明するようにして生成される製剤剤形は、患者(すなわち、上記の製剤を必要とするヒトまたは動物)に投与して有効量の治療薬、診断薬または予防薬を送達させることを目的としたものである。たとえば、この混合剤形を、当該技術分野において周知の乾燥粉末吸入器または定量吸入器を用いる肺への経口吸入によって送達させることが可能である。
【0017】
有利に、本願明細書に記載の方法では、医薬品の貯蔵安定性が改善されることがある。したがって、この加工方法は、多くのタンパク質やポリペプチドなどの熱に不安定な製剤を含有する微小粒子を含む混合物の生成に特に適していると思われる。本願明細書で使用する場合、「熱に不安定な」という表現は、たとえば約37℃といった生理学的温度よりも高い温度などの高めの温度まで温めたときに、相当量の活性を失う生物活性剤または物理的に分解されるポリマーなどの物質を示す。
【0018】
本願明細書で使用する場合、「含む(comprise)」「含む(comprising)」「含む(include)」および「含む(including)」という表現は、正反対のことが明示的に示されていない限り、オープンで非限定的な表現を意図したものである。
【0019】
方法
一態様では、微粉砕プロセスを施した第1の混合物から混合物を生成することを含む工程によって、経肺投与または経鼻投与用の乾燥粉末製薬剤形を有意に生成できることが見いだされている。また、この生成工程は一層良質な乾燥粉末混合物を生成する上での鍵であり、この工程を用いることで製剤の可呼吸用量を多少なりとも改善できる場合があることが発見されている。一実施形態では、経肺投与または経鼻投与用の乾燥粉末製薬剤形を製造するための方法は、(a)製剤を含む粒子を提供する工程と、(b)この粒子を少なくとも1種の第1の賦形剤の粒子と混合して、第1の粉末混合物を形成する工程と、(c)第1の粉末混合物を微粉砕して、製剤の微小粒子またはナノ粒子を含む微粉砕混合物を形成する工程と、(d)微粉砕混合物を第2の賦形剤の粒子と混合して、経肺投与または経鼻投与に適した混合済み乾燥粉末混合物(混合済み微粉砕混合物)製薬剤形を形成する工程と、を含む(図1を参照のこと)。好ましい実施形態では、第2の賦形剤の粒子は、好ましくは微粉砕混合物中の微小粒子またはナノ粒子よりも大きく、第2の賦形剤は、好ましくは糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸およびこれらの組み合わせから選択される。もうひとつの好ましい実施形態では、工程(d)で得られた混合済み粉末混合物製薬剤形では、工程(a)の微小粒子、工程(b)の第1の粉末混合物または工程(c)の微粉砕混合物の可呼吸用量に比して可呼吸用量が大きい。一実施形態では、少なくとも1種の第1の賦形剤の粒子は、糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸およびこれらの組み合わせから選択される材料を含む。一例では、第2の賦形剤のラクトース粒子を含む。もうひとつの例では、少なくとも1種の第1の賦形剤の粒子および第2の賦形剤の粒子はいずれもラクトースを含む。一実施形態では、工程(a)の粒子は微小粒子である。好ましい実施形態では、微粉砕はジェットミリングを含む。一実施形態では、工程(a)の粒子は噴霧乾燥プロセスによって生成される。
【0020】
もうひとつの態様では、安定性が改善された経肺投与または経鼻投与用の乾燥粉末製薬混合物剤形を生成するための方法が得られる。さらに、この生成工程は一層良質な乾燥粉末混合物を生成する上での鍵であり、この工程を用いることで、製剤、特に熱に不安定な製剤を含む微小粒子または製剤の安定性が多少なりとも改善できることが発見されている。一実施形態では、この方法は、(a)製剤を含む第1の粒子を提供する工程と、(b)第1の粒子を少なくとも1種の賦形剤の第2の粒子と混合して、粉末混合物を形成する工程と、(c)この粉末混合物を微粉砕して、経肺投与または経鼻投与に適した粉末混合物製薬剤形を形成する工程と、を含み、工程(a)の粒子または工程(b)の粉末混合物よりも工程(c)の粉末混合物製薬剤形の製剤または製剤を含む微小粒子のほうが貯蔵条件での安定性が高い。例から、蓋のない容器に入れた材料と蓋をした容器に入れた材料について貯蔵条件での安定性が改善されていることが分かる。
【0021】
本願明細書で使用する場合、「貯蔵条件での安定性」という表現は、温度、湿度および他の環境要因の影響下で、乾燥粉末混合生成物の品質が経時的にどのように変動するかを示すものであり、これが生成物の輸送および貯蔵時に発生する可能性のある生成物の分解(degradation)または分解(decomposition)の度合いを表す指標となる。安定性試験基準は当該技術分野において周知であり、これに関するガイドラインが米国食品医薬品局(FDA)から提供されている。選択する特定の試験パラメータについては、検定の対象となる特定の製剤または生成物に応じて変更してもよい。安定性を検定し得る条件の例として、40±2℃/75±5%RHおよび30±2℃/60±5%RHがある。
【0022】
一実施形態では、(a)製剤を含む粒子を提供する工程と、(b)この粒子を、(i)増量剤と少なくとも1種の非脆砕性賦形剤とを溶媒に溶解させ、賦形剤溶液を形成し、(ii)賦形剤溶液から溶媒を除去して前処理済み賦形剤を乾燥粉末状で形成することによって調製される前処理済み賦形剤の粒子と混合して、一次混合物を形成する工程と、(c)一次混合物を微粉砕して、経肺投与または経鼻投与に適した微粉砕済み製薬剤形混合物を形成する工程と、を含む、経肺投与または経鼻投与用の乾燥粉末製薬剤形を製造するための方法が得られる(図2(任意の工程なし)を参照のこと)。一例では、溶媒を除去する工程が噴霧乾燥を含む。もうひとつの例では、溶媒を除去する工程が、凍結乾燥、真空乾燥またはフリーズドライを含む。好ましい実施形態では、増量剤が、少なくとも1種の糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸またはこれらの組み合わせを含む。たとえば、増量剤を、ラクトース、スクロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、ガラクトース、キシリトール、エリスリトールおよびこれらの組み合わせとから選択してもよい。一実施形態では、非脆砕性賦形剤が、液状、ワックス状または非結晶性の化合物を含む。一実施形態では、非脆砕性賦形剤が、ワックス状または液状の界面活性剤などの界面活性剤を含む。一実施形態では、前処理済み賦形剤が、ラクトースとリン脂質または脂肪酸との組み合わせを含む。一実施形態では、製剤は熱に不安定である。
【0023】
一実施形態では、この方法はさらに、(d)微粉砕済み製薬剤形混合物を第2の賦形剤の粒子と混合して、経肺投与または経鼻投与に適した混合済み乾燥粉末混合物製薬剤形を形成することを含む。第2の賦形剤の粒子は、好ましくは微粉砕混合物中の微小粒子またはナノ粒子よりも大きいものであるとよく、第2の賦形剤は、好ましくは糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸およびこれらの組み合わせとから選択される(図2(任意の工程なし)を参照のこと)。
【0024】
一実施形態では、リン脂質を投与対象となる製剤と混合する。リン脂質を製剤と組み合わせるのは、微粉砕の前でも後でもよい。一実施形態では、剤形を、微粉砕混合物である混合物の形態とすることができる。たとえば、剤形は、(a)製剤を含む粒子を提供し、(b)この粒子を少なくとも1種のリン脂質および三次賦形剤粒子と混合して、第1の粉末混合物を生成し、(c)第1の粉末混合物を微粉砕して、製剤の微小粒子またはナノ粒子と、少なくとも1種のリン脂質と、三次賦形剤粒子とを含む微粉砕混合物を形成し、(d)微粉砕混合物を、微粉砕混合物の微小粒子または賦形剤粒子よりも大きい糖または糖アルコールの粒子と混合することによって生成される微粉砕混合物を含むものであってもよい。もうひとつの実施形態では、リン脂質を微粉砕した後、経肺送達または経鼻送達用の製剤組成物に添加するか、またはこれと混合してもよい。
【0025】
使用できるリン脂質としては、ホスファチジン酸、飽和脂質および不飽和脂質の両方のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジル誘導体、カルジオリピンおよびβ−アシル−y−アルキルリン脂質を含む。ホスファチジルコリンの例としては、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジペンタデカノイルホスファチジルコリンジラウロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジアラキドイルホスファチジルコリン(DAPC)、ジベヘノイルホスファチジルコリン(DBPC)、ジトリコサノイルホスファチジルコリン(DTPC)、ジリグノセロイルファチジルコリン(DLPC)など、ならびに、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミンまたは1−ヘキサデシル−2−パルミトイルグリセロホスフォエタノールアミンなどのホスファチジルエタノールアミンを含む。不斉アシル鎖を有する(1つのアシル鎖が炭素6個、もうひとつのアシル鎖が炭素12個など)合成リン脂質も利用できる。ホスファチジルエタノールアミンの例としては、ジカプリルホスファチジルエタノールアミン、ジオクタノイルホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジパルミトレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)ジオレオイルホスファチジルエタノールアミンおよびジリネオイルホスファチジルエタノールアミンを含む。ホスファチジルグリセロールの例としては、ジカプリルホスファチジルグリセロール、ジオクタノイルホスファチジルグリセロール、ジラウロイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジパルミトレオイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジオレオイルホスファチジルグリセロールおよびジリネオイルホスファチジルグリセロールを含む。好ましいリン脂質としては、DMPC、DPPC、DAPC、DSPC、DTPC、DBPC、DLPC、DMPG、DPPG、DSPG、DMPE、DPPEおよびDSPEがあげられ、最も好ましくは、DPPC、DAPCおよびDSPCである。
【0026】
本願明細書にて説明する工程は主に、バッチ法、連続法またはセミバッチ法を用いて実施可能なものである。これらの本願明細書にて説明する工程は任意に、混合済み剤形の成分(製剤粒子、賦形剤粒子など)の一部または全部を一緒に混合する前に別途微粉砕することをさらに含むものであってもよい。好ましい実施形態では、賦形剤および製剤は乾燥粉末状である。
【0027】
粒子の生成
当業者であれば、本願明細書に記載の方法および剤形に有用な粒子を生成するための多くの方法を想定することが可能であり、どのようにして粒子を形成または提供するのかを説明している後述の例は、本願明細書にて説明および特許請求の範囲に記載の方法および剤形を何ら限定することを意図したものではない。本願明細書に記載の方法および剤形にて使用され、またはこれに含まれる製剤を含む粒子は、当該技術分野において周知のさまざまな手法で製造可能である。好適な手法としては、溶媒沈殿、結晶化、噴霧乾燥、溶融押出、圧縮成形、流動床乾燥、溶媒抽出、ホットメルト封止、転相封止(phase inversion encapsulation)および溶媒蒸発を含む。
【0028】
たとえば、結晶化によって微小粒子を生成してもよい。結晶化方法としては、製剤の飽和溶液の蒸発時における結晶形成、高温にした製剤の飽和溶液の冷却、製剤溶液への貧溶媒の添加(沈殿晶析(drowning)または溶媒沈殿)、加圧、製剤の飽和溶液への結晶などの核生成剤の添加、接触晶析(製剤溶液とブレードなどの別の品との接触によって核生成を開始)を含む。
【0029】
粒子、好ましくは微小粒子を形成するもうひとつの方法に、噴霧乾燥によるものがある。たとえば、ストローブ(Straub)らに付与された米国特許第5,853,698号明細書、バーンスタイン(Bernstein)らに付与された同第5,611,344号明細書、ストローブ(Straub)らに付与された同第6,395,300号明細書、チッカリング(Chickering)IIIらに付与された同第6,223,455号明細書を参照のこと。本願明細書で定義する場合、製剤および/またはシェル材料を含有する溶液を「噴霧乾燥」させる工程は、溶液を噴霧して細かいミストを形成し、高温のキャリアガスと直接接触させて乾燥させる工程を示す。当該技術分野において周知の噴霧乾燥設備を利用して、製剤および/またはシェル材料を含有する溶液を乾燥用のチャンバ内に噴霧し、チャンバ内で乾燥させた後、チャンバの流出口でサイクロンを介して回収する。好適な噴霧装置のタイプの代表例としては、超音波、圧送、空気噴霧および回転円板を含む。温度については、使用する溶媒または材料に応じて変化させてもよい。流入ポートおよび流出ポートの温度を制御して、所望の生成物を生成することが可能である。製剤および/またはシェル材料の微粒子のサイズは、製剤および/またはシェル材料の溶液の噴霧に用いるノズル、ノズル圧、溶液および噴霧流量、使用する製剤および/またはシェル材料、製剤および/またはシェル材料の濃度、溶媒のタイプ、噴霧温度(流入口温度と流出口温度の両方)、ポリマーなどのシェル材料または他のマトリクス材料の分子量に応じたものである。
【0030】
粒子を生成する別の方法に、マシオウィッツ(Mathiowitz)ら、J.Scanning Microscopy、4:329(1990年)、ベック(Beck)ら、ファーティリティ・アンド・ステリリティ(Fertil.Steril、31:545(1979年)、ベニータ(Benita)ら、ジャーナル・オブ・ファーマシューティ カル・サイエンス(J.Pharm.Sci.、73:1721(1984年)に記載されているような溶媒蒸発を用いるものがある。さらに別の例では、マシオウィッツ(Mathiowitz)ら、Reactive Polymers、6:275(1987年)に記載されているようなホットメルトマイクロエンカプシュレーションを利用してもよい。もうひとつの例では、マシオウィッツ(Mathiowitz)に付与された米国特許第6,143,211号明細書に記載されているような転相封止を利用してもよい。この方法を用いると、転相が起こり、一般に平均粒度10nmから10μmの離散的な粒子が自然に形成される。
【0031】
さらにもうひとつの手法では、揮発性有機溶媒にシェル材料を入れた溶液中に固体製剤または液体製剤を分散または溶解させ、この混合物を有機油中で攪拌して懸濁させ、エマルジョンを形成する溶媒除去法を利用することができる。しかしながら、溶媒蒸発とは異なり、この方法では融点が高く分子量の異なるポリマーなどのシェル材料から微小粒子を生成することが可能である。この手法で生成した粒子の外部形態は使用するシェル材料のタイプに極めて大きく左右される。
【0032】
もうひとつの手法では、押出法を利用してシェル材料の微小粒子を生成することができる。たとえば、このような微小粒子については、シェル材料(ポリホスファゼンまたはポリメチルメタクリレートなどのゲルタイプのポリマー)を水溶液に溶解させ、この混合物を均一化し、この材料を微小液滴形成装置から押し出して、逆に荷電したイオンまたはポリ電解質溶液のゆっくりと攪拌された硬化浴に落ちる微小液滴を生成することで、生成すればよい。
【0033】
賦形剤の前処理
液状、ワックス状、そうでなければ非脆砕性の賦形剤を、混合および微粉砕に適した乾燥粉末状に変えることが必要であるか望ましい場合、これらの微粉砕が困難な賦形剤材料を「前処理」する。好ましい実施形態では、本願明細書に記載の方法および剤形で使用するまたはこれに含まれる前処理済み賦形剤は、(i)増量剤と少なくとも1種の非脆砕性賦形剤とを溶媒に溶解させ、賦形剤溶液を形成した後、(ii)賦形剤溶液から溶媒を除去して前処理済み賦形剤を乾燥粉末状で形成して調製される(図3を参照のこと)。増量剤および少なくとも1種の非脆砕性賦形剤を溶媒に溶解させるには、これらの3種類の成分を適量ずつ任意の順序で混合し、十分に混合された溶液を形成するだけでよい。この工程には、当該技術分野において周知の多岐にわたる好適な溶媒除去方法を利用できる。一実施形態では、溶媒を除去する工程が噴霧乾燥を含む。もうひとつの実施形態では、溶媒を除去する工程が、凍結乾燥、真空乾燥またはフリーズドライを含む。乾燥粉末状の前処理済み賦形剤を、製剤を含む粒子と混合する前に任意に微粉砕してもよい。
【0034】
製剤の粒子を1種または複数種の前処理済み賦形剤と混合可能であり、任意に、前処理を施していない1種または複数種の賦形剤と組み合わせることも想定の範囲内である。粒子を前処理済み賦形剤と混合するのは、前処理を施していない賦形剤との混合前であっても後であってもよい。賦形剤のうちの1種または複数種に対して、製剤微小粒子と組み合わせる前にジェットミル処理を施してもよい。
【0035】
混合および微粉砕
製剤の粒子を、1つまたは複数の工程で1種または複数種の他の賦形剤微粒子材料と混合し、続いて、このようにして得られる混合物を微粉砕した後、微粉砕混合物をもうひとつの乾燥粉末賦形剤材料と混合する。固体−固体製薬混合物の含量均一性は非常に重要である。比較研究から、混合物(薬剤プラス賦形剤)を微粉砕することで、微粉砕した後に混合するか、微粉砕なしで混合をして得られる剤形よりも分散性が改善された乾燥粉末製薬剤形を得ることが可能であることが分かる。この改善された分散性は、乾燥粉末吸入器からの改善された可呼吸用量としてガス流で、あるいは、肺内の流体または噴霧化用の液体担体等の水性液体環境で実現できる。したがって、最終的な経肺剤形または経鼻剤形の性能には、3つの処理工程の順番が重要である。
【0036】
1.混合
当業者であれば、本願明細書に記載の方法および剤形における粒子ならびにそのための粒子を混合する多くの方法を想定可能であり、粒子がどのように混合されるかについて説明している後述の例は、本願明細書にて説明し、特許請求の範囲に記載の方法および剤形を何ら限定することを目的としたものではない。混合については、連続法、バッチ法またはセミバッチ法の1種または複数種の工程で実施可能である。たとえば、2種類以上の賦形剤を用いる場合、製剤微小粒子と混合する前またはこれと同時に混合可能である。
【0037】
混合については、基本的に、混合物の均一性を達成するのに効果的な1種または複数種の他の材料(賦形剤など)と微小粒子とを組み合わせるのに適したどのような手法または装置を用いてでも実施可能である。混合工程を行うには、さまざまなブレンダーを用いることができる。好適なブレンダーの代表例として、V型ブレンダー、傾斜コーンブレンダー、キューブブレンダー、ビンブレンダー、静的連続ブレンダー、動的連続ブレンダー、軌道(orbital)スクリューブレンダー、プラネタリーブレンダー、フォーバーグ(Forberg)ブレンダー、横型ダブルアームブレンダー、横型高強度ミキサー、縦型高強度ミキサー、攪拌羽根ミキサー、ツインコーンミキサー、ドラムミキサーおよびタンブルブレンダーを含む。ブレンダーは、好ましくは、医薬品に必要な衛生面が厳密に管理されたデザインのものである。
【0038】
バッチ操作にはタンブルブレンダーが好ましいことが多い。一実施形態では、好適な容器内にて2種類以上の成分(乾燥成分と少量の液体成分の両方を含み得る)を無菌状態で組み合わせて混合を達成する。タンブルブレンダーの一例に、米国ニュージャージー州クリフトン(Clifton,NJ)のグレン・ミルズ・インコーポレイテッド(Glen Mills Inc.)から販売され、スイスのバーゼル州、マシーネンファブリック(Maschinenfabrik)のウィリー(Willy) A.バッハオーフェン(Bachofen) AGが製造しているターブラー(TURBULA)(商標)がある。
【0039】
連続操作または半連続操作のために、ブレンダーには任意に、1種または複数種の乾燥粉末成分を制御しながらブレンダーに導入するためのロータリーフィーダー、スクリューコンベアまたは他のフィーダー機構を備え付けていてもよい。
【0040】
2.微粉砕
微粉砕工程を利用して、混合済み粒子を破砕および/または脱塊し、所望の粒度およびサイズ分布を達成するとともに、混合物の均一性を保証する。当業者であれば、本願明細書に記載の方法および剤形の粒子または混合物を微粉砕するための多くの方法を想定することが可能であり、どのようにしてこのような粒子または混合物を微粉砕できるのかを説明している後述の例は、本願明細書にて説明し、特許請求の範囲に記載の方法および剤形を何ら限定することを目的としたものではない。当該技術分野において周知の多岐にわたる微粉砕工程および設備を利用できる。例として、ハンマーミル、ボールミル、ローラミル、ディスクグラインダなどがある。好ましくは、ドライミリングプロセスを利用する。
【0041】
好ましい手法では、微粉砕はジェットミリングを含む。ジェットミリングについては、たとえば、チッカリング(Chickering)IIIらに付与された米国特許第6,962,006号明細書に記載されている。本願明細書で使用する場合、「ジェットミル」および「ジェットミリング」という用語は、内部の空気分級機の有無を問わず、スパイラルジェットミル、ループジェットミルおよび流動床式ジェットミルをはじめとする、いずれかのタイプの流体エネルギーインパクトミルの使用をを含み、および参照する。一実施形態では、粒子をフィーダー経由で無菌のままジェットミルに供給し、好ましくは乾燥窒素である好適な気体を用いて、ミルで微小粒子を供給および研磨する。もうひとつの実施形態では、微粉砕工程は無菌ではないが清潔である。研磨および供給時のガス圧を、材料の特性に応じて調節することが可能である。微小粒子のスループットは、ミルのサイズと容量とに左右される。微粉砕後の微小粒子については、濾過、より好ましくはサイクロンによって制御可能である。
【0042】
経肺剤形または経鼻剤形への加工
本願明細書にて説明するようにして生成される乾燥粉末混合剤形を、当該技術分野において周知の経肺剤形または経鼻剤形の形に包装する。当業者であれば、本願明細書に記載の方法および剤形における粒子混合物を加工するための多くの方法を想定することが可能であり、どのようにして経口剤形を生成するのかを説明している後述の例は、本願明細書にて説明し、特許請求の範囲に記載の方法および剤形を何ら限定することを目的としたものではない。さまざまな実施形態において、この混合剤形を、経肺投与または経鼻投与用の乾燥粉末または液体懸濁液形態で利用するために包装してもよい。剤形については、吸入器用の用量系でバルクサプライ(bulk supply)で貯蔵してもよいし、ゼラチンカプセル、ブリスターまたは当該技術分野において周知の別の単位用量包装構造などの単位用量の区画に貯蔵される用量ごとに定量化してもよい。
【0043】
微粉砕混合物に対し、最終的に経肺剤形または経鼻剤形とする前に追加の処理を任意に施してもよい。このような処理の代表例として、残留溶媒をさらに除去するための凍結乾燥または真空乾燥、材料をアニールするための温度調節、特定の粒子画分を回収または除去する(すなわち、サイズ分布を最適化する)ための分粒、顆粒化および滅菌を含む。
【0044】
一実施形態では、剤形は、(i)製剤を含む微小粒子と(ii)賦形剤粒子との微粉砕混合物と、微粉砕混合物の微小粒子または賦形剤粒子よりも大きい、糖または糖アルコールの粒子との混合物であって、微粉砕済み混合物の組み合わせの混合物ではない微小粒子と、賦形剤粒子と、糖または糖アルコールの粒子との組み合わせの可呼吸用量に比して可呼吸用量の高い混合物を含む、または実質的にそれらからなる、経肺投与または経鼻投与用の乾燥粉末製薬剤形である。糖または糖アルコールの例としては、ラクトース、スクロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、ガラクトース、キシリトール、エリスリトールまたはこれらの組み合わせを含む。さまざまな実施形態において、賦形剤粒子は、糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸またはこれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、賦形剤粒子および糖または糖アルコールの粒子がいずれもラクトースを含む。一実施形態では、製剤の水に対する25℃での溶解性が10mg/mL未満である。さまざまな実施形態において、製剤は、ブデゾニド、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、モメタゾン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、アルブテロール、フォルモテロール、サルメテロール、クロモリンナトリウム、臭化イプラトロピウム、テストステロン、プロゲステロン、エストラジオールまたはこれらの組み合わせである。好ましい実施形態では、製剤を含む微小粒子の体積平均直径が10μm未満、たとえば5μm未満である。一実施形態では、糖または糖アルコールの粒子の体積平均直径が20から500μmである。さまざまな実施形態において、工程a)の粒子はさらに、シェル材料を含み得る。たとえば、シェル材料には、生体適合性合成ポリマーを用いることができる。
【0045】
粒子および剤形成分
本願明細書にて説明するようにして生成される経肺処方剤形および経鼻処方剤形は、粒子の混合物を含む。この混合物は主に、(1)製剤を含み、任意にシェル材料を含んでもよい微小粒子またはナノ粒子と、(2)第1の賦形剤材料の微小粒子またはナノ粒子と、(3)第2の賦形剤の粒子材料とを含み、第2の賦形剤の粒子材料は、第1の賦形剤材料と同じ組成であってもなくてもよく、第2の賦形剤粒子は、第1の賦形剤材料の微小粒子またはナノ粒子よりもサイズが大きい。
【0046】
粒子
本願明細書に記載の方法において開始材料として提供される、製剤を含む粒子は、多岐にわたるサイズおよび組成で提供可能なものである。本願明細書で使用する場合、「粒子」という用語は、微小粒子およびナノ粒子ならびに、これよりも大きな粒子(寸法の最も長い部分で最大5mmなど)を含む。好ましい実施形態では、粒子は微小粒子である。本願明細書で使用する場合、「微小粒子」という用語は、特に明記しない限りミクロスフェアおよびマイクロカプセルならびに微小粒子を包含し、サイズが1から1000ミクロンの粒子を指す。本願明細書で使用する場合、「ナノ粒子」はサイズが1から1000nmである。さまざまな実施形態において、微粉砕済み製薬剤形混合物の製剤の微小粒子またはナノ粒子は体積平均直径が100μm未満、好ましくは10μm未満、より好ましくは5μm未満である。経鼻投与用では、微粉砕済み製薬剤形混合物の製剤の粒子は、好ましくは数平均直径が0.5μmから5mmである。経肺投与用では、微粉砕済み製薬剤形混合の製剤の微小粒子は、好ましくは空気動力学的直径が1から5μmであり、実際の体積平均直径(または空気動力学的平均直径)が5μmまたはこれ未満である。
【0047】
微小粒子は、形状が球状であってもなくてもよい。微小粒子は、ロッド様、球状、針状(幅と厚さとが同程度の細長い針のような粒子)、円柱状(幅と厚さが針状粒子よりも大きい、長くて薄い粒子)、フレーク状(長さと幅とが同程度の薄くて平らな粒子)、板状(長さと幅とが同程度であるがフレークよりも厚い平らな粒子)、ラス(長くて細い刃のような粒子)、エカント(長さ、幅、厚さが同程度の粒子であり、立方体形と球状の両方を含む)、薄板状(積層板)または円盤状であってもよい。「マイクロカプセル」は、外側のシェルが他の材料(本例では製剤)からなるコアを囲んでいる微小粒子として定義される。コアは、気体、液体、ゲル、固体またはこれらの組み合わせであってもよい。「ミクロスフェア」は、固体の球であってもよいし、多孔性で、マトリックス材料またはシェルに設けられた孔または空隙で形成されたスポンジのような構造またはハニカム構造を含むものであってもよく、あるいは、マトリックス材料またはシェルに設けられた多数の離散的な空隙を含み得る。
【0048】
一実施形態では、粒子は全体が製剤から形成される。もうひとつの実施形態では、粒子は、製剤のコアがシェルの中に封入されたものである。さらにもうひとつの実施形態では、製剤がシェルまたはマトリックス中にちりばめられている。なおさらにもうひとつの実施形態では、製剤はシェルまたはマトリックスを含む材料中に均一に混合される。
【0049】
粒子に関して「サイズ」または「直径」という用語は、特に明記しない限り、数平均粒度を示す。数平均粒度を説明するのに用いることが可能な(なおかつコールターカウンターに用いられる方法の代表例である)式の一例を以下に示す。
【数1】

【0050】
式中、n=特定の直径(d)あたりの粒子数である。
【0051】
本願明細書で使用する場合、「体積平均直径」とは、体積で重み付けした直径平均である。コールターカウンターに用いられる方法の代表例である、体積平均直径を説明するのに用いることが可能な式の一例を以下に示す。
【数2】

【0052】
式中、nは特定の直径(d)あたりの粒子数を示す。
【0053】
レーザ回折粒子分析法に用いられる式の代表例である、体積平均を説明するのに用いることが可能な式のもうひとつの例を以下に示す。
【数3】

【0054】
式中、dは直径を示す。
【0055】
コールターカウンター法を利用する場合、生データを(数学的に体積分布に変換可能な)数ベースの分布に直接換算する。レーザ回折法を利用する場合、生データを(数学的に数の分布に変換可能な)体積分布に直接換算する。
【0056】
非球状粒子の場合、データを球状粒子から得られたものであるかのように扱うことで、生データを粒度分布に換算してコールターカウンターまたはレーザ回折法を用いて粒子を分析することが可能である。顕微鏡法を利用して非球状粒子の粒度を検定するのであれば、粒子体積(V)を以下のようにして求め、最も長い軸を利用して直径(d)を表すことが可能である。
【数4】

【0057】
式中、rは粒子の半径(0.5d)であり、数平均と体積平均がコールターカウンターに用いられる同じ式で計算される。
【0058】
本願明細書で使用する場合、「空気動力学的直径」という用語は、重力下では分析対象となる粒子と同じ速度で落下するとして密度1g/mLの球相当径を示す。粒子分布についての空気動力学的平均直径の値が示される。空気動力学的直径については、飛行時間法であるエアロサイザー(TSI)またはカスケードインパクションあるいは液体インピンジャー法を用いて乾燥粉末で求められる。60lpmで実施されるアンデルセンカスケードインパクションについて述べる場合、可呼吸用量はステージ0を通過した薬剤量(フィルタを通ってステージ1にある薬剤の累積量)である。
【0059】
粒度分析に関しては、コールターカウンター、光学顕微鏡法、走査型電子顕微鏡、透過電子顕微鏡、レーザ回折法、光散乱法または飛行時間法で実施可能である。コールターカウンター法について述べる場合、粉末を電解質中に分散させ、得られる懸濁液を、50μm開口の管を取り付けたコールターマルチサイザーIIで分析する。レーザ回折法を用いる場合、粉末を水性媒質に分散させ、試験対象となる材料に合わせて屈折率値を適宜選択したコールターLS230を用いて分析する。
【0060】
空気動力学的粒度分析は、カスケードインパクター、液体インピンジャーまたは飛行時間法を用いて実施可能なものである。
【0061】
本願明細書で使用する場合、「可呼吸用量」という用語は、薬剤を含む粒子または液滴が、吸入時に肺に達すると思われる空気動力学的サイズ範囲にある空気動力学的サイズを有する薬剤の用量を示す。可呼吸用量は、カスケードインパクター、液体インピンジャーまたは飛行時間法を用いて測定可能なものである。
【0062】
1.製剤
この製剤は、治療薬、診断薬または予防薬である。これは原薬(API)であってもよいし、本願明細書では広義に「薬剤」または「活性剤」と呼ぶこともある。製剤は、非晶質状態で存在してもよいし、結晶状態またはこれらの混合物の状態で存在してもよい。製剤を、蛍光標識、放射性標識などの検出可能な標識または酵素的またはクロマトグラフィ用検出剤で標識してもよい。
【0063】
この方法は、経肺投与または経鼻投与に適した多種多様な治療薬、診断薬および予防薬に適用可能である。たとえば、製剤には、気管支拡張剤、ステロイド、抗生剤、抗喘息薬、抗新生物薬、ペプチドまたはタンパク質が可能である。一実施形態では、製剤は、ブデゾニド、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、モメタゾン、フルニソリドまたはトリアムシノロンアセトニドなどのコルチコステロイドを含む。もうひとつの実施形態では、製剤は、アルブテロール、フォルモテロール、サルメテロール、クロモリンナトリウム、臭化イプラトロピウム、テストステロン、プロゲステロン、エストラジオールまたはこれらの組み合わせを含む。
【0064】
好適な薬剤の代表例として、鎮痛剤/解熱剤(アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ブプレノルフィン、塩酸プロポキシフェン、ナプシル酸プロポキシフェン、メペリジン塩酸塩、ヒドロモルホン塩酸塩、モルヒネ、オキシコドン、コデイン、酒石酸水素ジヒドロコデイン、ペンタゾシン、酒石酸水素ヒドロコドン、レボルファノール、ジフルニサル、サリチル酸トロラミン、塩酸ナルブフィン、メフェナム酸、ブトルファノール、サリチル酸コリン、ブタルビタール、クエン酸フェニルトロキサミンおよびメプロバメートなど)、抗喘息薬、抗生剤(ネオマイシン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコール、セファロスポリン、アンピシリン、ペニシリン、テトラサイクリンおよびシプロフロキサシンなど)、抗うつ剤(ネフォパム、オキシペルチン、ドキセピン、アモキサピン、トラゾドン、アミトリプチリン、マプロチリン、フェネルジン、デシプラミン、ノルトリプチリン、トラニルシプロミン、フルオキセチン、イミプラミン、パモ酸イミプラミン、イソカルボキサジド、トリミプラミンおよびプロトリプチリンなど)、抗糖尿病薬(ビグアニドおよびスルホニル尿素誘導体など)、抗真菌薬(グリセオフルビン、ケトコナゾール、イトラコニゾール(itraconizole)、ヴィルコナゾール(virconazole)、アムホテリシンB、ナイスタチンおよびカンジシジンなど)、降圧薬(プロパノロール、プロパフェノン、オキシプレノロール、ニフェジピン、レセルピン、トリメタファン、フェノキシベンザミン、パルギリン塩酸塩、デセルピジン、ジアゾキシド、一硫酸グアネチジン、ミノキシジル、レシナミン、ニトロプルシドナトリウム、インド蛇木、アルセルオキシロン(alseroxylon)およびフェントラミンなど)、抗炎症薬((非ステロイド系)セレコキシブ、ロフェコキシブ、インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン、ラミフェナゾン、ピロキシカム、(ステロイド系)コルチゾン、デキサメタゾン、フルアザコルト、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロンおよびプレドニゾンなど)、抗新生物薬(シクロホスファミド、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、メトトレキサート、フルオロウラシル、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、メチル−CCNU、シスプラチン、抗アポトーシス剤、エトポシド、カンプトセシンおよびその誘導体、フェネステリン、パクリタキセルおよびその誘導体、ドセタキセルおよびその誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、タモキシフェンおよびピポスルファンなど)、抗不安薬(ロラゼパム、ブスピロン、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼプ酸二カリウム、ジアゼパム、パモ酸ヒドロキシジン、塩酸ヒドロキシジン、アルプラゾラム、ドロペリドール、ハラゼパム、クロルメザノンおよびダントロレンなど)、免疫抑制薬(シクロスポリン、アザチオプリン、ミゾリビンおよびFK506(タクロリムス)、シロリムスなど)、抗偏頭痛薬(エルゴタミン、プロパノロールおよびジクロラールフェナゾンなど)、鎮静剤/睡眠薬(ペントバルビタール、ペントバルビタールおよびセコバルビタールなどのバルビツレート;および塩酸フルラゼパムおよびトリアゾラムなどのベンゾジアザピンなど)、抗狭心症薬(β−アドレナリンブロッカー;ニフェジピンおよびジルチアゼムなどのカルシウムチャネルブロッカー;およびニトログリセリンおよび四硝酸エリスリチルなどのニトレートなど)、抗精神病薬(ハロペリドール、コハク酸ロキサピン、塩酸ロキサピン、チオリダジン、塩酸チオリダジン、チオチキセン、フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、トリフルオペラジン、クエン酸リチウム、プロクロルペラジン、アリピプラゾールおよびリスペルジオン(risperdione)など)、抗躁薬(炭酸リチウムなど)、抗不整脈薬(トシル酸ブレチリウム、エスモロール、ベラパミル、アミオダロン、エンカイニド、ジゴキシン、ジギトキシン、メキシレチン、リン酸ジソピラミド、プロカインアミド、硫酸キニジン、キニジングルコン酸、酢酸フレカイニド、トカイニドおよびリドカインなど)、抗関節炎薬(フェニルブタゾン、スリンダク、ペニシラミン、サルサラート、ピロキシカム、アザチオプリン、インドメタシン、メクロフェナム酸、金チオリンゴ酸ナトリウム、ケトプロフェン、オーラノフィン、アウロチオグルコースおよびトルメチンナトリウムなど)、抗痛風薬(コルヒチンおよびアロプリノールなど)、抗凝血薬(デシルジン、ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパリンナトリウムおよびワルファリンナトリウムなど)、血栓溶解剤(ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼおよびアルテプラーゼなど)、抗線維素溶解薬(アミノカプロン酸など)、血液レオロジー薬(hemorheologic agent)(ペントキシフィリンなど)、抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレルなど)、抗痙攣薬(バルプロ酸、ジバルプロエクスナトリウム、フェニトイン、フェニトインナトリウム、クロナゼパム、プリミドン、フェノバルビトール(phenobarbitol)、カルバマゼピン、アモバルビタールナトリウム、メトスクシミド、メタルビタール、メホバルビタール、パラメタジオン、エトトイン、フェナセミド、セコバルビトール(secobarbitol)ナトリウム、クロラゼプ酸二カリウム、オクスカルバゼピンおよびトリメタジオンなど)、抗パーキンソン病薬(エトスクシミドなど)、抗ヒスタミン薬/かゆみ止め薬(ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、マレイン酸ブロムフェニラミン、塩酸シプロヘプタジン、テルフェナジン、フマル酸クレマスチン、アザタジン、トリペレナミン、マレイン酸デクスクロルフェニラミン、メトジラジンなど)、カルシウム調節に有用な剤(カルシトニンおよび副甲状腺ホルモンなど)、抗菌薬(硫酸アミカシン、アズトレオナム、クロラムフェニコール、パルミチン酸クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、パルミチン酸クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、メトロニダゾール、メトロニダゾール塩酸塩、硫酸ゲンタマイシン、塩酸リンコマイシン、硫酸トブラマイシン、塩酸バンコマイシン、硫酸ポリミキシンB、コリスチンナトリウム、クラリスロマイシンおよび硫酸コリスチンなど)、抗ウィルス薬(インターフェロン、ジドブジン、塩酸アマンタジン、リバビリンおよびアシクロビルなど)、抗菌剤(セフタジジムなどのセファロスポリン;ペニシリン;エリスロマイシン;および塩酸テトラサイクリン、ドキシサイクリン水和物および塩酸ミノサイクリン、アジスロマイシン、クラリスロマイシンなどのテトラサイクリンなど)、抗感染薬(GM−CSFなど)、気管支拡張剤(塩酸エピネフリン、硫酸メタプロテレノール、硫酸テルブタリン、イソエタリン、メシル酸イソエタリン、塩酸イソエタリン、硫酸アルブテロール、アルブテロール、メシル酸ビトルテロール、塩酸イソプロテレノール、硫酸テルブタリン、酒石酸水素エピネフリン、硫酸メタプロテレノール、エピネフリンおよび酒石酸水素エピネフリンなどの交感神経刺激薬;臭化イプラトロピウムなどの抗コリン薬;アミノフィリン、ジフィリン、硫酸メタプロテレノールおよびアミノフィリンなどのキサンチン;クロモリンナトリウムなどの肥満細胞安定剤;サルブタモール;臭化イプラトロピウム;ケトチフェン;サルメテロール;キシナホ酸塩;硫酸テルブタリン:テオフィリン;ネドクロミルナトリウム;硫酸メタプロテレノール;アルブテロールなど)、吸入コルチコステロイド(ジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)、ジプロピオン酸ベクロメタゾン一水和物;ブデゾニド、トリアムシノロン;フルニソリド;プロピオン酸フルチカゾン;モメタゾンなど)、ステロイド系化合物およびホルモン(ダナゾール、テストステロンシピオネート、フルオキシメステロン、エチルテストステロン、テストステロンエナタート(enathate)、メチルテストステロン、フルオキシメステロンおよびテストステロンシピオネートなどのアンドロゲン;エストラジオール、エストロピペートおよび結合型エストロゲンなどのエストロゲン;酢酸メトキシプロゲステロンおよび酢酸ノルエチンドロンなどのプロゲスチン;トリアムシノロン、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、プレドニゾン、酢酸メチルプレドニゾロン懸濁液、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、トリアムシノロンヘキサアセトニド、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシピオネート、プレドニゾロン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、テブト酸プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウムおよびコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムなどのコルチコステロイド;およびレボチロキシンナトリウムなどの甲状腺ホルモンなど)、血糖降下薬(ヒトインスリン、精製ウシインスリン、精製ブタインスリン、グリブリド、クロルプロパミド、グリピジド、トルブタミドおよびトラザミドなど)、抗高脂血症薬(クロフィブラート、デキストロチロキシンナトリウム、プロブコール、プラバスチチン、アトルバスタチン、ロバスタチンおよびナイアシンなど)、タンパク質(DNase、アルギナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼおよびリパーゼなど)、核酸(治療上有用なあらゆるタンパク質(本願明細書に記載のあらゆるタンパク質を含む)をコードする、センス核酸またはアンチセンス核酸など)、赤血球生成促進に有用な薬剤(エリスロポエチンなど)、抗潰瘍/逆流防止剤(ファモチジン、シメチジンおよび塩酸ラニチジンなど)、制嘔吐剤/鎮吐剤(塩酸メクリジン、ナビロン、プロクロルペラジン、ジメンヒドリナート、塩酸プロメタジン、チエチルペラジンおよびスコポラミンなど)、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、Kなど)、およびミトタン、ハロニトロソ尿素、アントラサイクリンおよびエリプチシンなどの他の薬剤ならびにこれらの薬剤の代替塩形態、遊離酸形態、遊離塩基形態および水和物などの代替形態を含む。これらのクラスならびに他のクラスの有用な薬剤についての説明と、各クラス内に含まれる種の一覧を、マーチンダーレ(Martindale)、「The Extra Pharmacopoeia」、第30版(The Pharmaceutical Press、ロンドン、1993年)に見ることが可能である。
【0065】
本願明細書に記載の方法および剤形の特定の例において、薬剤は、エノキサプリン、オンダンセトロン、スマトリプタン、シルデノフィル、アルブテロール、ドルナーゼα、イロプロスト、ヘパリン、低分子量ヘパリンおよびデシルジンから選択される。
【0066】
一実施形態では、本願明細書に記載の方法および剤形で用いられる製剤は、疎水性化合物、特に疎水性治療薬である。このような疎水性薬剤の例として、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パクリタキセル、ドセタキセル、アシクロビル、アルプラゾラム、アミオダロン、アモキシシリン、アナグレリド、バクトリム、バイアキシン、ブデゾニド、ブルスルファン、カルバマゼピン、セフタジジム、セフプロジル、シプロフロキシン、クラリスロマイシン、クロザピン、シクロスポリン、ジアゼパム、エストラジオール、エトドラク、ファムシクロビル、フェノフィブラート、フェキソフェナジン、ゲムシタビン、ガンシクロビル、イトラコナゾール、ラモトリギン、ロラチジン、ロラゼパム、メロキシカム、メサラミン、ミノサイクリン、モダフィニル、ナブメトン、メシル酸ネルフィナビル、オランザピン、オクスカルバゼピン、フェニトイン、プロポフォール、リトナビル、SN−38、スルファメタキサゾール、スルファサラジン、タクロリムス、チアガビン、チザニジン、トリメトプリム、バリウム、バルサルタン、ボリコナゾール、ザフィルルカスト、ジレウトンおよびジプラシドンを含む。
【0067】
本願明細書に記載の方法および剤形において有用となり得る薬剤の別の例として、セフトリアキソン、ケトコナゾール、セフタジジム、オキサプロジン、アルブテロール、バラシクロビル、ウロフォリトロピン、ファムシクロビル、フルタミド、エナラプリル、メトフォルミン(mefformin)、イトラコナゾール、ブスピロン、ガバペンチン、ホシノプリル、トラマドール、アカルボース、ロラゼパム、フォリトロピン、グリピジド、オメプラゾール、フルオキセチン、リシノプリル、トラマドール、レボフロキサシン、ザフィルルカスト、インターフェロン、成長ホルモン、インターロイキン、エリスロポエチン、顆粒球刺激因子、ニザチジン、ブプロピオン、ペリンドプリル、エルブミン、アデノシン、アレンドロネート、アルプロスタジル、ベナゼプリル、ベタキソロール、硫酸ブレオマイシン、デキスフェンフルラミン、ジルチアゼム、フェンタニル、フレカイニド、ゲムシタビン、酢酸グラチラマー、グラニセトロン、ラミブジン、マンガフォジピル三ナトリウム、メサラミン、フマル酸メトプロロール、メトロニダゾール、ミグリトール、モエキシプリル、モンテルカスト、酢酸オクトレオチド、オロパタジン、パリカルシトール、ソマトロピン、コハク酸スマトリプタン、タクリン、ベラパミル、ナブメトン、トロバフロキサシン、ドラセトロン、ジドブジン、フィナステリド、トブラマイシン、イスラジピン、トルカポン、エノキサパリン、フルコナゾール、ランソプラゾール、テルビナフィン、パミドロネート、ジダノシン、ジクロフェナク、シサプリド、ベンラファキシン、トログリタゾン、フルバスタチン、ロサルタン、イミグルセラーゼ、ドネペジル、オランザピン、バルサルタン、フェキソフェナジン、カルシトニンおよび臭化イプラトロピウムを含む。これらの薬剤は一般に、水溶性であるとされている。
【0068】
考え得る薬剤の他の例として、アダパレン、メシル酸ドキサゾシン、フロン酸モメタゾン、ウルソジオール、アムホテリシン、マレイン酸エナラプリル、フェロジピン、塩酸ネファゾドン、バルルビシン、アルベンダゾール、結合型エストロゲン、酢酸メドロキシプロゲステロン、塩酸ニカルジピン、酒石酸ゾルピデム、ベシル酸アムロジピン、エチニルエストラジオール、オメプラゾール、ルビテカン、ベシル酸アムロジピン/塩酸ベナゼプリル、エトドラク、塩酸パロキセチン、パクリタキセル、アトバクォン、フェロジピン、ポドフィロクス、パリカルシトール、ジプロピオン酸ベタメタゾン、フェンタニル、二塩酸プラミペキソール、ビタミンDおよび関連の類縁体、フィナステリド、フマル酸クエチアピン、アルプロスタジル、カンデサルタン、シレキセチル、フルコナゾール、リトナビル、ブスルファン、カルバマゼピン、フルマゼニル、リスペリドン、カルベマゼピン(carbemazepine)、カルビドパ、レボドパ、ガンシクロビル、サキナビル、アンプレナビル、カルボプラチン、グリブリド、塩酸セルトラリン、ロフェコキシブカルベジロール、プロピオン酸ハロベタソール、クエン酸シルデナフィル、セレコキシブ、クロルタリドン、イミキモド、シンバスタチン、シタロプラム、シプロフロキサシン、塩酸イリノテカン、スパルフロキサシン、エファビレンツ、シサプリド一水和物、ランソプラゾール、塩酸タムスロシン、モファフィニル、クラリスロマイシン、レトロゾール、塩酸テルビナフィン、マレイン酸ロシグリタゾン、ジクロフェナクナトリウム、塩酸ロメフロキサシン、塩酸チロフィバン、テルミサルタン、ジアゼパム、ロラタジン、クエン酸トレミフェン、サリドマイド、ジノプロストン、塩酸メフロキン、トランドラプリル、ドセタキセル、塩酸ミトキサントロン、トレチノイン、エトドラク、酢酸トリアムシノロン、エストラジオール、ウルソジオール、メシル酸ネルフィナビル、インジナビル、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、オキサプロジン、フルタミド、ファモチジン、ニフェジピン、プレドニゾン、セフロキシム、ロラゼパム、ジゴキシン、ロバスタチン、グリセオフルビン、ナプロキセン、イブプロフェン、イソトレチノイン、クエン酸タモキシフェン、ニモジピン、アミオダロンおよびアルプラゾラムを含む。
【0069】
もうひとつの実施形態では、製剤が画像診断用の造影剤(contrast agent)であってもよい。たとえば、診断薬が、陽電子放出型断層撮影法(PET)、コンピュータ支援断層撮影法(CAT)、シングルフォトンエミッションCT、X線、蛍光透視法、磁気共鳴映像法(MRI)または超音波映像法に有用な造影剤であってもよい。これらの造影剤が内包された微小粒子は、従来技術において利用できる標準的な手法と商業的に入手可能な設備とを用いて検出可能なものである。MRI造影剤として用いられる好適な材料の例として、可溶性の鉄化合物(グルコン酸第一鉄、クエン酸第二鉄アンモニウム)およびガドリニウム−ジエチレントリアミン五酢酸(Gd−DTPA)を含む。
【0070】
2.シェル材料
製剤を含む粒子は、シェル材料をも含むものであってもよい。シェル材料には、たとえば、選択する特定の剤形および所望の放出動態に応じて、水溶性または水不溶性、分解可能、腐食性または非腐食性、天然または合成のものが可能である。シェル材料のタイプの代表例として、ポリマー、アミノ酸、糖、タンパク質、炭水化物および脂質を含む。ポリマー系シェル材料には、腐食性または非腐食性、天然または合成のものが可能である。一般に、合成および分解の再現性が高いため、合成ポリマーのほうが好ましいことがあるが、天然ポリマーも利用できる。ポリマーについては、貯蔵寿命、送達が望まれる部位まで安定的に分布させるのに必要な時間、分解率、機械的特性、ポリマーのガラス転移点をはじめとする多岐にわたる性能要因に基づいて選択すればよい。
【0071】
合成ポリマーの代表例として、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)およびポリ(乳酸−co−グリコール酸)などのポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコライド)、ポリ(ラクチド−co−グリコライド)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリアミド、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリアルキレン、ポリ(エチレングリコール)などのポリアルキレングリコール、ポリ(エチレンオキシド)などのポリアルキレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)およびポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、これらのコポリマーおよび混合物を含む。本願明細書で使用する場合、「誘導体」には、置換、たとえばアルキル、アルキレンなどの化学基の付加、水酸化、酸化および当業者が日常的に行っている他の修飾を有するポリマーが含まれる。
【0072】
好ましい生分解性ポリマーの例としては、乳酸およびグリコール酸などのヒドロキシ酸のポリマーならびに、PEG、ポリ酸無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、これらの混合およびコポリマーを含む。
【0073】
好ましい天然ポリマーの例としては、アルブミンなどのタンパク質を含む。生成時に、ポリエチレングリコール(PEG)と共重合させたポリラクチド−co−グリコライドなどのポリマーを利用してマトリックスの生体内安定性を調節することが可能である。PEGは、外面に露出させると、PEGが親水性であり、細網内皮系(RES)による認識を遮蔽することが実証されているため、これらの材料がRESによって貪食されるまでの時間を長くできる場合がある。
【0074】
シェルに利用できる代表的なアミノ酸には、天然に発生するアミノ酸と非天然に発生するアミノ酸の両方が含まれる。アミノ酸は、疎水性であっても親水性であってもよく、Dアミノ酸、Lアミノ酸またはラセミ混合物であり得る。使用可能なアミノ酸としては、グリシン、アルギニン、ヒスチジン、トレオニン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、グルタミン酸塩、プロリン、システイン、メチオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、リジン、アラニンおよびグルタミンを含む。このアミノ酸を、増量剤として利用してもよいし、非晶質状態の薬剤用の結晶化防止剤として利用してもよく、あるいは、結晶状態の薬剤用の結晶成長インヒビターまたは湿潤剤として利用してもよい。ロイシン、イソロイシン、アラニン、グリシン、バリン、プロリン、システイン、メチオニン、フェニルアラニンまたはトリプトファンなどの疎水性アミノ酸は、結晶化防止剤または結晶成長インヒビターとして有効なことのほうが多い。また、アミノ酸は、溶解性、溶解率または濡れ性などのシェルの製薬特性に影響を与えるのに利用可能なpH依存性をシェルに持たせるよう機能することが可能である。
【0075】
シェル材料は、賦形剤材料と同一であっても異なっていてもよい。
【0076】
賦形剤、増量剤
薬剤粒子を、1種または複数種の賦形剤粒子と混合する。「賦形剤」という用語は、製剤の取り扱い性、安定性、湿潤性、放出動態および/または経肺投与または経鼻投与を容易にすることを意図した、剤形の非活性の薬学的に許容されるあらゆる成分を示す。賦形剤は、当該技術分野において周知の薬学的に許容されるキャリアまたは増量剤であってもよい。賦形剤には、シェル材料、タンパク質、アミノ酸、糖または他の炭水化物、デンプン、脂質またはこれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、賦形剤は、微小粒子状である。一実施形態では、賦形剤微小粒子は体積平均サイズが約5から500μmである。
【0077】
一実施形態では、賦形剤は前処理済み賦形剤である。前処理済み賦形剤とは、最初は乾燥粉末状で容易に取り扱うことができず、乾燥粉末での処理(微粉砕または混合物など)に適した形態に変換された賦形剤である。好ましい前処理工程については上述してある。好ましい実施形態では、前処理済み賦形剤の賦形剤は、液状、ワックス状、非結晶性化合物または他の非脆砕性化合物を含む。好ましい実施形態では、非脆砕性賦形剤は、ワックス状または液状の界面活性剤などの界面活性剤を含む。「液状」とは、材料が周囲温度および圧力条件(15〜25℃および大気圧など)で液体であることを意味する。このような界面活性剤の例として、ドクセートナトリウム(DSS)、ポリソルベート、リン脂質および脂肪酸を含む。好ましい実施形態では、界面活性剤はトゥイーン(Tween)または他の親水性非イオン界面活性剤である。前処理済み賦形剤はさらに、少なくとも1種の増量剤を含む。好ましい実施形態では、増量剤は、少なくとも1種の糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸またはこれらの組み合わせを含む。好適な増量剤の例として、ラクトース、スクロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、ガラクトース、キシリトール、エリスリトールおよびこれらの組み合わせを含む。
【0078】
本願明細書に記載の方法の特定の一実施形態では、単糖(マンニトールなど)と界面活性剤(トゥイーン(TWEEN)(商標)80など)とを水の存在下で混合した後、噴霧乾燥または凍結乾燥によって水を除去し、単糖と界面活性剤の前処理済み賦形剤を得る。次に、前処理済みの単糖界面活性剤混合を、製剤からなるまたは製剤を含む微小粒子と混合する。一例では、単糖を100から200%w/wの微小粒子で提供するのに対し、界面活性剤については0.1から10w/wの微小粒子で提供する。一例では、単糖を体積平均粒度が10から500μmで提供する。
【0079】
賦形剤に利用できる代表的なアミノ酸には、天然に発生するアミノ酸と非天然に発生するアミノ酸の両方が含まれる。アミノ酸は、疎水性であっても親水性であってもよく、Dアミノ酸、Lアミノ酸またはラセミ混合物であり得る。使用可能なアミノ酸としては、グリシン、アルギニン、ヒスチジン、トレオニン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、グルタミン酸塩、プロリン、システイン、メチオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、リジン、アラニンおよびグルタミンを含む。このアミノ酸を、増量剤として利用してもよいし、結晶状態の薬剤用の湿潤剤または結晶成長阻害剤として利用してもよい。ロイシン、イソロイシン、アラニン、グリシン、バリン、プロリン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンなどの疎水性アミノ酸は、結晶成長阻害剤として有効なことのほうが多い。また、アミノ酸は、溶解性、溶解率または濡れ性などのマトリックスの製薬特性に影響を与えるのに利用可能なpH依存性をマトリックスに持たせるよう機能することが可能である。
【0080】
賦形剤の例としては、当該技術分野において周知の界面活性剤および浸透圧性薬剤を含む。例として、デソキシコール酸ナトリウム;ドデシル硫酸ナトリウム;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、たとえば、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート(トゥイーン(TWEEN)(商標)20)、ポリオキシエチレン4ソルビタンモノラウレート(トゥイーン(TWEEN)(商標)21)、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノパルミテート(トゥイーン(TWEEN)(商標)40)、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート(トゥイーン(TWEEN)(商標)80);ポリオキシエチレンアルキルエーテル、たとえば、ポリオキシエチレン4ラウリルエーテル(BRIJ(商標)30)、ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル(BRIJ(商標)35)、ポリオキシエチレン10オレイルエーテル(BRIJ(商標)97);ポリオキシエチレングリコールエステル、たとえば、ポロキシ(poloxy)エチレン8ステアレート(MYRJ(商標)45)、ポロキシエチレン40ステアレート(MYRJ(商標)52);チロキサポール;スパン(Span)(たとえば、SPAN80、SPAN85);リン脂質、脂肪酸およびこれらの混合物を含む。
【0081】
以下の非限定的な実施例を参照すれば、本発明についてさらに理解することが可能である。
【実施例】
【0082】
ターブラー(TURBULA)(商標)反転(inversion)ミキサー(型番:T2F)を混合に利用した。流体エネルギーアルジェット(Aljet)ジェットミルを利用した。ミルでは、乾燥窒素ガスをインジェクターガスおよび研磨用ガスとして用いた。本研究では、乾燥粉末を手作業でジェットミルに供給したため、粉末供給量は一定ではなかった。粉末の供給は手作業であったが、供給量を計算で求めたところ、すべての実施例で約1から5g/分であった。供給量は、総バッチ時間に対する1つのバッチで処理される材料の総量の比である。
【0083】
実施例では、以下の材料を用いた。マンニトール(特に明記しない限り、ニュージャージー州ニューブランズウィック(New Brunswick)のスペクトラム・ケミカルズ(Spectrum Chemicals)社)、トゥイーン(TWEEN)(商標)80(ニュージャージー州ニューブランズウィック(New Brunswick)のスペクトラム・ケミカルズ(Spectrum Chemicals)社)、セレコキシブ(カナダのオンタリオ州のオンバイオ(Onbio)社)、プラスドン(Plasdone)−C15(ニューヨーク州ウェイン(Wayne)のインターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ(International Specialty Products)社)、ブデゾニド(ニューヨーク州ロングアイランド(Long Island)のバイロン・ケミカル・カンパニー(Byron Chemical Company))、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)(特に明記しない限り、イタリアのミラノのケミ(Chemi) S.p.a.)、PLGA(ドイツのインゲルハイム(Ingelheim)のベーリンガー・インゲルハイム・ファイン・ケミカルズ(Boehringer Ingelheim Fine Chemicals)社)、重炭酸アンモニウム(カリフォルニア州ガーデニア(Gardenia)のスペクトラム・ケミカルズ(Spectrum Chemicals)社)、メチレンクロリド(ニュージャージー州ギブスタウン(Gibbstown)のEMサイエンス(Science)社)、プロピオン酸フルチカゾン(インドのムーンバイ(Mumbai)のチプラ・リミテッド(Cipla Ltd.))およびラクトース(ファルマトース(Pharmatose)325M、オランダのDMVインターナショナル(International)社)。以下、トゥイーン(TWEEN)(商標)80を「トゥイーン(Tween)80」と呼ぶ。マルヴァーンマスターサイザ−(Malvern Mastersizer(英国のマルヴァーン・インスツルメンツ・リミテッド(Malvern Instruments Ltd.))を用いる乾燥粉末粒子サイジングによってラクトース(Pharmatose 325M)の体積平均直径を求めたところ、約68μmであった。
【0084】
プリセパレータ(pre−separator)を取り付けたアンデルセンカスケードインパクター(ACI)を利用して、単独またはラクトースとの混合で、微小粒子の乾燥粉末吸入器から放出される場合の空気動力学的粒度分布を求めた。ACIの各ステージのプレートならびにプリセパレータに、事前にプロピレングリコールをコーティングしておいた。60L/分の流量を用いた。実験ごとにACIで吸入器からの5つの「パフ」を回収した。このような分析では、パフ1つが試験対象となる粉末を充填したゼラチンカプセルからなるものであった。(たとえば、パフ1つあたりブデゾニド824μgまたはパフ1つあたりプロピオン酸フルチカゾン500μg)。5つのパフの後、インパクターを分解し、構成部品を溶媒(ブデゾニドの研究では50%エタノール水溶液、フルチカゾンでは65%アセトニトリル水溶液)ですすぐか溶媒に浸した。このようにして得られる材料を濾過し、および薬剤含有量をHPLCで分析した。8ポイントの較正曲線を用いて定量化を実施した(ブデゾニドの場合で0.15から70μg/mLの範囲、プロピオン酸フルチカゾンの場合で0.12から33.60μg/mLの範囲など)。「可呼吸用量」は、フィルタを介してステージ1からの材料の量であった。ブデゾニド分析で用いたHPLC条件は、溶離液としてエタノール:水(64:36)を用いたJ’sphereカラム(ODS−H80 250×4.6mm)、流量0.8mL/分、カラム温度42℃、試料温度4℃、注入量100μl、検出器波長254nmであった。プロピオン酸フルチカゾン分析で用いたHPLC条件は、溶離液としてアセトニトリル:水(68:32)を用いたJ’sphereカラム(ODS−H80 250×4.6mm)、流量1mL/分、カラム温度42℃、試料温度4℃、注入量100μl、検出器波長238nmであった。
【0085】
実施例1:異なる方法で生成した再構成後のセレコキシブ混合物剤形の微小粒子分散性の比較
3とおりの異なる工程のうちの1つによって乾燥粉末混合物剤形を調製した後、水に入れて再構成した。この乾燥粉末混合物は、5:10:1:1の比で、セレコキシブ、マンニトール、プラスドン(Plasdone)−C15およびトゥイーン(Tween)80からなるものであった。マンニトール(アイオワ州キオカク(Keokuk)のロケット・アメリカ・インコーポレイテッド(Roquette America Inc)から入手可能なペアリトール(Pearlitol) 100SD)およびトゥイーン(Tween)80については、水に溶解(104mLの水に18gのマンニトールと1.8gのトゥイーン(Tween)80)させた後、−80℃での冷凍と凍結乾燥によって、10:1の比で前処理済みであった。比較した3通りの工程は、(1)セレコキシブと前処理済み賦形剤粒子とを微粉砕なしで混合、(2)セレコキシブ粒子を別に微粉砕した後、微粉砕後の粒子を前処理済み賦形剤と混合するか、(3)セレコキシブと前処理済み賦形剤粒子とを混合後に、得られた混合物を微粉砕することであった。このようにして得られる混合物を、振盪しながら水に入れて再構成し、LS230レーザ回折粒度アナライザ(カリフォルニア州フラートン(Fullerton)のベックマン・コールター(Beckman Coulter))を用いて光散乱で分析した。3とおりのプロセス各々での粒子のサイズを比較した。サイズの比較結果を、懸濁液品質についての目視評価結果と一緒に表1に示す。図4A〜図4Bは、賦形剤粒子とセレコキシブ粒子との混合(工程1)から得た再構成後のセレコキシブについての顕微鏡検査の結果を示す。図5A〜図5Bは、賦形剤粒子と微粉砕済みセレコキシブ粒子との混合(工程2)から得た再構成後のセレコキシブについての顕微鏡検査の結果を示す。図6A〜図6Bは、ジェットミル賦形剤粒子とセレコキシブ粒子との混合(工程3)から得た再構成後のセレコキシブについての顕微鏡検査の結果を示す。
【0086】
【表1】

【0087】
これらの結果から、加工方法が得られる懸濁液の品質に影響することが明らかに分かる。また、上記の結果から、他の方法で生成される剤形に比して微粉砕混合物剤形のほうが利点があることも分かる。
【0088】
得られる微細懸濁液に肉眼で見える粒子が少ししか含まれないことから分かるように、混合済みセレコキシブ粒子をジェットミル処理すると、分散性の改善された粉末が得られた。この懸濁液は、未処理のセレコキシブ微小粒子や混合済みセレコキシブ微小粒子の懸濁液よりも良いものであった。
【0089】
懸濁液の光学顕微鏡画像(図4〜図6)では、他の2つの微小粒子試料と比較して、混合とジェットミリングのどちらの後でも懸濁される微小粒子の数が増え、なお一層均一になったことから分かるように、個々の粒子の分散性が変化しただけで、個々の粒子形態の有意な変化は何ら認められない。
【0090】
実施例2:ブデゾニド含有微小粒子の生成
2種類のブデゾニド試料を調製した。試料2aを以下のようにして調製した。8.0gのPLGA、0.48gのDPPC、2.2gのブデゾニドを、392mLのメチレンクロリドに溶解させ、1.1gの重炭酸アンモニウムを10.4gの水に溶解させた。この重炭酸アンモニウム溶液をブデソニド/PLGA溶液と組み合わせ、ローター−ステーターホモジナイザーを用いて乳化した。このようにして得られるエマルジョンを、空気噴霧ノズルと乾燥用ガスとしての窒素とを用いてベンチトップ噴霧乾燥器で噴霧乾燥させた。噴霧乾燥条件はエマルジョン流量20mL/分、乾燥用ガス速度60kg/時、流出口温度21℃とした。生成物回収容器を噴霧乾燥器から取り外して真空ポンプに結合し、回収した生成物を53時間かけて乾燥させた。
【0091】
試料2bを36.0gのPLGA、2.2gのDPPC、9.9gのブデゾニドを、1764mLのメチレンクロリドに溶解させ、3.85gの重炭酸アンモニウムを34.6gの水に溶解させて調製した。この重炭酸アンモニウム溶液をブデソニド/PLGA溶液と組み合わせ、ローター−ステーターホモジナイザーを用いて乳化した。このようにして得られるエマルジョンを、空気噴霧ノズルと乾燥用ガスとしての窒素とを用いてベンチトップ噴霧乾燥器で噴霧乾燥させた。噴霧乾燥条件はエマルジョン流量20mL/分、乾燥用ガス速度60kg/時、流出口温度21℃とした。生成物回収容器を噴霧乾燥器から取り外して真空ポンプに結合し、回収した生成物を72時間かけて乾燥させた。
【0092】
実施例3:プロピオン酸フルチカゾンを含む微小粒子の生成
プロピオン酸フルチカゾンを含む微小粒子を、3.0gのPLGA、0.36gのDPPC、2.2gのプロピオン酸フルチカゾンを、189mLのメチレンクロリドに溶解させ、0.825gの重炭酸アンモニウムを7.6gの水に溶解させて生成した。この重炭酸アンモニウム溶液をプロピオン酸フルチカゾン/PLGA溶液と組み合わせ、ローター−ステーターホモジナイザーを用いて乳化した。このようにして得られるエマルジョンを、空気噴霧ノズルと乾燥用ガスとしての窒素とを用いてベンチトップ噴霧乾燥器で噴霧乾燥させた。噴霧乾燥条件は以下のとおりとした。エマルジョン流量20mL/分、乾燥用ガス速度60kg/時、流出口温度20℃。生成物回収容器を噴霧乾燥器から取り外して真空ポンプに結合し、回収した生成物を49時間かけて乾燥させた。上記の方法で生成した2つのバッチを手作業で混合して、単一の混成(combined)バッチを生成した。
【0093】
実施例4:ブデゾニドを含む微小粒子の空気動力学的粒度分布および貯蔵安定性に混合とミリングとが及ぼす影響
3種類のブデゾニド剤形試料を調製した。試料4aを以下のようにして調製し、微小粒子混合物(「混合物」)を生成した。試料2aで得られたような微小粒子(5.25g)と27.6gのラクトース(ファルマトース(Pharmatose)325M)とを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて30分間混合した。
【0094】
試料4bを以下のようにして調製し、微小粒子をジェットミル処理した混合物(ジェットミル処理した混合物すなわち「JMB」)を生成した。試料2bで得られたような微小粒子(6.00g)と31.52gのラクトース(ファルマトース(Pharmatose)325M)とを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて30分間混合した。続いて、このようにして得られる混合済み乾燥粉末を、ホソカワ製スパイラルジェットミル(インジェクターガス圧3バール、研磨用ガス圧2バール)に手作業で供給した。
【0095】
試料4cを以下のようにして調製し、微小粒子をジェットミル処理した混合物の混合物(ジェットミル処理した混合物の混合物すなわち「BJMB」)を生成した。試料2aで得られたような微小粒子(6.01g)と15.05gのラクトース(ファルマトース(Pharmatose)325M)とを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて30分間混合した。続いて、得られた混合済み乾燥粉末を、ホソカワ製スパイラルジェットミル(インジェクターガス圧3バール、研磨用ガス圧2バール)に手作業で供給した。次に、このようにして得られる微粉砕混合物(16.39g)と12.88gのラクトース(ファルマトース(Pharmatose)325M)とを、725mLの容器に入れてターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて30分間混合した。
【0096】
試料4a〜cを蓋のない容器に入れ、30℃および60%RHで保管した。選択した時刻に、材料をゼラチンカプセルに充填(1カプセルあたり公称ブデゾニド824μg)し、Cyclohaler乾燥粉末吸入器を用いてアンデルセンカスケードインパクションで分析した。結果を表2に示す。
【0097】
【表2】

【0098】
表2のデータから、試料4c(BJMB材料)の場合にT=0で可呼吸用量が最も大きくなることが分かる。また、表2のデータから、試料4b(JMB材料)の場合に30℃/60%RHで3ヶ月間保管後に可呼吸用量の変化が最も小さいことも分かる。よって、材料が熱または湿度に影響されやすい場合、(i)製剤を含む微小粒子と(ii)賦形剤粒子(325Mラクトースなど)との微粉砕混合物である材料を使用すると好ましいことがある。
【0099】
実施例5:プロピオン酸フルチカゾンを含む微小粒子の空気動力学的粒度分布および安定性に混合とミリングとがおよぼす影響
3種類のプロピオン酸フルチカゾン剤形試料を調製した。試料5aを以下のようにして調製し、微小粒子の混合物を生成した。実施例3の微小粒子(0.51g)と4.49gのラクトース(ファルマトース(Pharmatose)325M)とを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて60分間混合した。
【0100】
試料5bを以下のようにして調製し、微小粒子をジェットミル処理した混合物を生成した。実施例3の微小粒子(0.765g)と6.735gのラクトース(ファルマトース(Pharmatose)325M)とを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて60分間混合した。続いて、このようにして得られる混合済み乾燥粉末を、流体エネルギーアルジェット(Aljet)スパイラルジェットミル(インジェクターガス圧8バール、研磨用ガス圧4バール)に手作業で供給した。
【0101】
試料5cを以下のようにして調製し、微小粒子をジェットミル処理した混合物の混合物を生成した。実施例4の微小粒子(1.82g)と3.18gのラクトース(ファルマトース(Pharmatose)325M)を、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて30分間混合した。このようにして得られる混合済み乾燥粉末を、流体エネルギーアルジェット(Aljet)スパイラルジェットミル(インジェクターガス圧8バール、研磨用ガス圧4バール)に手作業で供給した。続いて、このようにして得られる微粉砕混合(2.50g)および6.50gのラクトース(ファルマトース(Pharmatose)325M)を、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて30分間混合した。
【0102】
試料5a〜cの材料をゼラチンカプセルに充填(1カプセルあたり公称プロピオン酸フルチカゾン500μg)した後、蓋付きの容器に入れて30℃および60%RHで保管した。選択した時刻に、Cyclohaler乾燥粉末吸入器を用いてアンデルセンカスケードインパクションで材料を分析した。結果を表3に示す。
【0103】
【表3】

【0104】
表3のデータから、ジェットミル処理した混合物の混合物である試料5cの場合にT=0で可呼吸用量が最も大きくなることが分かる。また、表3のデータから、ジェットミル処理した混合物である試料5bの場合に30℃/60%RHで3ヶ月間保管後に可呼吸用量の変化が最も小さいことも分かる。よって、乾燥粉末剤形が熱または湿度に影響されやすい場合、(i)製剤を含む微小粒子と(ii)賦形剤粒子(ファルマトース(Pharmatose)325Mラクトースなど)との微粉砕混合物である材料を使用すると好ましい。
【0105】
実施例6:混合物にDPPCを加えて、プロピオン酸フルチカゾンを含む微小粒子のジェットミル処理した混合物を生成することが可呼吸用量におよぼす影響
2種類のプロピオン酸フルチカゾン剤形試料を調製した。試料6aを以下のようにして調製し、DPPCの非存在下でプロピオン酸フルチカゾンの微小粒子をジェットミル処理した混合物(「DPPCなしのJMB」)を生成した。プロピオン酸フルチカゾン(20.83mg)と980.68mgのラクトースとを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて10分間混合した。このようにして得られる混合済み乾燥粉末を、流体エネルギーアルジェット(Aljet)スパイラルジェットミル(インジェクターガス圧8バール、研磨用ガス圧4バール)に手作業で供給した。
【0106】
試料6bを以下のようにして調製し、混合物にDPPCを添加してプロピオン酸フルチカゾンの微小粒子をジェットミル処理した混合物(「DPPC添加JMB」)を生成した。プロピオン酸フルチカゾン(20.13mg)と、DPPC(20.88mg)と、960.60mgのラクトースとを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて10分間混合した。このようにして得られる混合済み乾燥粉末を、流体エネルギーアルジェット(Aljet)スパイラルジェットミル(インジェクターガス圧8バール、研磨用ガス圧4バール)に手作業で供給した。
【0107】
これらの材料をゼラチンカプセルに充填(1カプセルあたり公称プロピオン酸フルチカゾン500μg)し、Cyclohaler乾燥粉末吸入器を用いてアンデルセンカスケードインパクションで分析した。結果を表4に示す。
【0108】
【表4】

【0109】
表4のデータから、微粉砕の前に混合物にDPPCを添加した試料6bの場合に可呼吸用量が最も大きくなることが分かる。
【0110】
実施例7:混合物にDPPCを加えて、ブデゾニドを含む微小粒子のジェットミル処理した混合物を生成することが可呼吸用量におよぼす影響
2種類のブデゾニド剤形試料を調製した。試料7aを以下のようにして調製し、DPPCの非存在下でブデゾニドの微小粒子をジェットミル処理した混合物(「DPPCなしのJMB」)を生成した。ブデゾニド(0.165g)と4.835gのラクトースとを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて10分間混合した。このようにして得られる混合済み乾燥粉末を、流体エネルギーアルジェット(Aljet)スパイラルジェットミル(インジェクターガス圧8バール、研磨用ガス圧4バール)に手作業で供給した。
【0111】
試料7bを以下のようにして調製し、混合物にDPPCを添加してブデゾニドの微小粒子をジェットミル処理した混合物(「DPPC添加JMB」)を生成した。ブデゾニド(0.165g)と、DPPC(0.165g)と、4.67gのラクトースとを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて10分間混合した。続いて、このようにして得られる混合済み乾燥粉末を、流体エネルギーアルジェット(Aljet)スパイラルジェットミル(インジェクターガス圧8バール、研磨用ガス圧4バール)に手作業で供給した。
【0112】
これらの材料をゼラチンカプセルに充填(1カプセルあたり公称ブデゾニド825μg)し、Cyclohaler乾燥粉末吸入器を用いてアンデルセンカスケードインパクションで分析した。結果を表5に示す。
【0113】
【表5】

【0114】
表5のデータから、微粉砕の前に混合物にDPPCを添加した試料7bの場合に可呼吸用量が最も大きくなることが分かる。
【0115】
実施例8:混合物にDPPCを加えて、プロピオン酸フルチカゾンを含む微小粒子のジェットミル処理した混合物を生成することが可呼吸用量におよぼす影響
2種類のプロピオン酸フルチカゾン剤形試料を調製した。試料8aを以下のようにして調製し、DPPCの非存在下でプロピオン酸フルチカゾンの微小粒子のジェットミル処理した混合物(「DPPCなしのBJMB」)を生成した。プロピオン酸フルチカゾン(40.94mg)と、960.35mgのラクトースとを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて10分間混合した。このようにして得られる混合済み乾燥粉末を、流体エネルギーアルジェット(Aljet)スパイラルジェットミル(インジェクターガス圧8バール、研磨用ガス圧4バール)に手作業で供給した。続いて、このようにして得られる微粉砕混合物(780mg)と782.40mgのラクトースとを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて10分間混合した。
【0116】
試料8bを以下のようにして調製し、微粉砕前に混合物にDPPCを添加してプロピオン酸フルチカゾンの微小粒子をジェットミル処理した混合物の混合物(「DPPC添加BJMB」)を生成した。プロピオン酸フルチカゾン(38.44mg)と、DPPC(37.58mg)と、923.79mgのラクトースとを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて10分間混合した。このようにして得られる混合済み乾燥粉末を、流体エネルギーアルジェット(Aljet)スパイラルジェットミル(インジェクターガス圧8バール、研磨用ガス圧4バール)に手作業で供給した。続いて、このようにして得られる微粉砕混合物(750mg)と692.23mgのラクトースとを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて10分間混合した。
【0117】
これらの材料をゼラチンカプセルに充填(1カプセルあたり公称プロピオン酸フルチカゾン500μg)し、Cyclohaler乾燥粉末吸入器を用いてアンデルセンカスケードインパクションで分析した。結果を表6に示す。
【0118】
【表6】

【0119】
表6のデータから、微粉砕の前に混合物にDPPCを添加した試料8bの場合に可呼吸用量が最も大きくなることが分かる。表7は、剤形にDPPCを加えることと、ジェットミル処理した混合物の混合処理を伴う工程を実施することとの複合効果を示す。
【0120】
【表7】

【0121】
剤形中DPPC添加BJMBである実施例8bの場合に可呼吸用量が最も大きくなる。
【0122】
実施例9:プロピオン酸フルチカゾンおよびポリマーの微小粒子の生成
プロピオン酸フルチカゾンを含む微小粒子を、以下のようにして生成した。8.0gのPLGAと、0.48gのDPPCと、2.2gのプロピオン酸フルチカゾンとを、363.6mLのメチレンクロリドに溶解させた。4.0gの重炭酸アンモニウムを36.4gの水に溶解させた。この重炭酸アンモニウム溶液をプロピオン酸フルチカゾン/PLGA溶液と組み合わせ、ローター−ステーターホモジナイザーを用いて乳化した。このようにして得られるエマルジョンを、空気噴霧ノズルと乾燥用ガスとしての窒素とを用いてベンチトップ噴霧乾燥器で噴霧乾燥させた。噴霧乾燥条件はエマルジョン流量20mL/分、乾燥用ガス速度60kg/時、流出口温度20℃とした。生成物回収容器を噴霧乾燥器から取り外して真空ポンプに結合し、49時間かけて乾燥させた。
【0123】
実施例10:混合物にDPPCを加えて、プロピオン酸フルチカゾンおよびポリマーの微小粒子のジェットミル処理した混合物を生成することが可呼吸用量におよぼす影響
2種類のプロピオン酸フルチカゾン剤形試料を調製した。試料10aを以下のようにして調製し、微小粒子とラクトースとの混合物にDPPCを添加せずにプロピオン酸フルチカゾンおよびポリマーの微小粒子をジェットミル処理した混合物(「DPPCなしのJMB」)を生成した。実施例9で調製したような微小粒子(0.48523g)と4.515gのラクトースとを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて10分間混合した。このようにして得られる混合済み乾燥粉末を、流体エネルギーアルジェット(Aljet)スパイラルジェットミル(インジェクターガス圧8バール、研磨用ガス圧4バール)に手作業で供給した。
【0124】
試料10bを以下のようにして調製し、微小粒子とラクトースとの混合物にDPPCを添加してプロピオン酸フルチカゾンおよびポリマーの微小粒子のジェットミル処理した混合物(「DPPC添加JMB」)を生成した。実施例9で調製したような微小粒子(0.29134g)と、DPPC(0.0613g)と、2.648gのラクトースとを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて10分間混合した。このようにして得られる混合済み乾燥粉末を、流体エネルギーアルジェット(Aljet)スパイラルジェットミル(インジェクターガス圧8バール、研磨用ガス圧4バール)に手作業で供給した。
【0125】
これらの材料をゼラチンカプセルに充填(1カプセルあたり公称プロピオン酸フルチカゾン500μg)し、Cyclohaler乾燥粉末吸入器を用いてアンデルセンカスケードインパクションで分析した。結果を表8に示す。
【0126】
【表8】

【0127】
表8のデータから、微粉砕の前に混合物にDPPCを添加した試料10bの場合に可呼吸用量が最も大きくなることが分かる。
【0128】
実施例11:混合物にDPPCを加えて、プロピオン酸フルチカゾンおよびポリマーの微小粒子をジェットミル処理した混合物の混合物を生成することが可呼吸用量におよぼす影響
2種類のプロピオン酸フルチカゾン剤形試料を調製した。試料11aを以下のようにして調製し、微小粒子とラクトースとの混合物にDPPCを添加せずにプロピオン酸フルチカゾンおよびポリマーの微小粒子のジェットミル処理した混合物の混合物(「DPPCなしのBJMB」)を生成した。実施例9で調製したような微小粒子(0.242g)と1.129gのラクトースとを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて10分間混合した。このようにして得られる混合済み乾燥粉末を、流体エネルギーアルジェット(Aljet)スパイラルジェットミル(インジェクターガス圧8バール、研磨用ガス圧4バール)に手作業で供給した。続いて、このようにして得られる微粉砕混合物(0.723g)と1.371gのラクトースとを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて10分間混合した。
【0129】
試料11bを以下のようにして調製し、微小粒子とラクトースとの混合物にDPPCを添加してプロピオン酸フルチカゾンおよびポリマーの微小粒子をジェットミル処理した混合物の混合物(「DPPC添加BJMB」)を生成した。実施例9で調製したような微小粒子(1.2147g)と、DPPC(0.2502g)と、5.521gのラクトースとを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて10分間混合した。このようにして得られる混合済み乾燥粉末を、流体エネルギーアルジェット(Aljet)スパイラルジェットミル(インジェクターガス圧8バール、研磨用ガス圧4バール)に手作業で供給した。続いて、このようにして得られる微粉砕混合(6.301g)と4.979gのラクトースとを、ターブラー(Turbula)ブレンダーで96rpmにて10分間混合した。
【0130】
これらの材料をゼラチンカプセルに充填(1カプセルあたり公称プロピオン酸フルチカゾン500μg)し、Cyclohaler乾燥粉末吸入器を用いてアンデルセンカスケードインパクションで分析した。結果を表9に示す。
【0131】
【表9】

【0132】
表9のデータから、微粉砕の前に混合物にDPPCを添加した試料11bの場合に可呼吸用量が最も大きくなることが分かる。表10は、剤形にDPPCを加えることと、ジェットミル処理した混合物の混合処理を伴う工程を実施することとの複合効果を示す。
【0133】
【表10】

【0134】
剤形中DPPC添加BJMBである実施例11bの場合に可呼吸用量が最も大きくなる。
【0135】
本願明細書に引用した文献ならびに、ここに引用されている資料を、参照によって明確に援用する。上述した詳細な説明から、当業者には本願明細書に記載の方法および装置の修正および改変が自明であろう。このような修正および改変は、添付の特許請求の範囲内に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本願明細書に記載したような賦形剤と薬剤およびもうひとつの賦形剤の微粉砕混合物との乾燥粉末混合を含む製薬剤形の経肺剤形または経鼻剤形を生成するための工程の一実施形態の工程図である。
【図2】本願明細書に記載したような薬剤と前処理済み賦形剤との微粉砕済み乾燥粉末混合を含む製薬剤形の経肺剤形または経鼻剤形を生成するための工程の一実施形態の工程図である。
【図3】非脆砕性賦形剤を前処理して乾燥粉末状にするための工程の一実施形態の工程図である。
【図4】図4A及び図4Bは、賦形剤粒子とセレコキシブ粒子との混合物から得られる再構成後のセレコキシブの光学顕微鏡画像である。
【図5】図5A及び図5Bは、賦形剤粒子と微粉砕済みセレコキシブ粒子との混合物から得られる再構成後のセレコキシブの光学顕微鏡画像である。
【図6】図6A及び図6Bは、賦形剤粒子とセレコキシブ粒子とのジェットミル処理した混合物から得られる再構成後のセレコキシブの光学顕微鏡画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経肺投与または経鼻投与用の乾燥粉末製薬剤形を製造するための方法であって、
a)製剤を含む粒子を提供する工程と、
b)前記粒子を少なくとも1種の第1の賦形剤の粒子と混合して、第1の粉末混合物を形成する工程と、
c)前記第1の粉末混合物を微粉砕して、前記製剤の微小粒子またはナノ粒子を含む微粉砕混合物を形成する工程と、
d)前記微粉砕混合物を第2の賦形剤の粒子と混合して、経肺投与または経鼻投与に適した混合済み乾燥粉末混合物製薬剤形を形成する工程と、
を含み、
前記第2の賦形剤の粒子が、前記微粉砕混合物中の前記微小粒子またはナノ粒子よりも大きく、ならびに前記第2の賦形剤が、糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸、およびこれらの組み合わせとからなる群から選択される、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1種の第1の賦形剤の前記粒子が、糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸、およびこれらの組み合わせから選択される材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の粉末混合物にリン脂質も混合される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の賦形剤の粒子がラクトースを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1種の第1の賦形剤の前記粒子および前記第2の賦形剤の前記粒子の両方がラクトースを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
経肺投与または経鼻投与用の乾燥粉末製薬剤形を製造するための方法であって、
a)製剤を含む粒子を提供する工程と、
b)前記粒子を、i)増量剤と少なくとも1種の非脆砕性賦形剤とを溶媒に溶解させて賦形剤溶液を形成し、ii)前記賦形剤溶液から前記溶媒を除去して前処理済み賦形剤を乾燥粉末状で形成することによって調製される前記前処理済み賦形剤の粒子と混合して、一次混合物を形成する工程と、
c)前記一次混合物を微粉砕して、経肺投与または経鼻投与に適した微粉砕済み製薬剤形混合物を形成する工程と、
を含む、乾燥粉末製薬剤形を製造するための方法。
【請求項7】
前記微粉砕済み製薬剤形混合物を第2の賦形剤の粒子と混合して、経肺投与または経鼻投与に適した混合済み乾燥粉末混合物製薬剤形を形成することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の賦形剤の粒子が、前記微粉砕混合物中の前記微小粒子またはナノ粒子よりも大きく、前記第2の賦形剤が、糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸、およびこれらの組み合わせとから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記増量剤が、少なくとも1種の糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸およびこれらの組み合わせを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記増量剤が、ラクトース、スクロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、ガラクトース、キシリトール、エリスリトール、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記非脆砕性賦形剤が、液状、ワックス状または非結晶性化合物を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記非脆砕性賦形剤が界面活性剤を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記界面活性剤がワックス状または液状の界面活性剤を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記前処理済み賦形剤が、ラクトースとリン脂質または脂肪酸との組み合わせを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記経肺投与または経鼻投与に適した微粉砕済み製薬剤形混合物が熱に不安定である、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒を除去する前記工程が、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、フリーズドライまたはこれらの組み合わせを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
a)製剤を含む微小粒子を提供する工程と、
b)前記微小粒子を少なくとも1種の第1の賦形剤の粒子と混合して、第1の粉末混合物を形成する工程と、
c)前記第1の粉末混合物を微粉砕して、微粉砕混合物を形成する工程と、
d)前記微粉砕混合物を、前記微粉砕混合物中の前記微小粒子よりも大きい第2の賦形剤の粒子と混合して、混合済み乾燥粉末混合物製薬剤形を形成する工程と、
を含み、
工程(d)で得られる前記混合済み乾燥粉末混合物製薬剤形の可呼吸用量が、工程(a)の前記微小粒子、工程(b)の前記第1の粉末混合物または工程(c)の前記微粉砕混合物の可呼吸用量に比して大きい、乾燥粉末混合物製薬剤形の製造方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種の第1の賦形剤の粒子がリン脂質を含む、請求項1または17に記載の方法。
【請求項19】
前記リン脂質がジパルミトイルホスファチジルコリンを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の賦形剤が、糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸、リン脂質、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項1または17に記載の方法。
【請求項21】
前記製剤を含む前記微粉砕混合物の前記微小粒子の体積平均直径が1〜10μmである、請求項1または17に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の賦形剤の前記粒子の体積平均直径が20〜500μmである、請求項1または17に記載の方法。
【請求項23】
工程a)の前記粒子が微小粒子である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
工程a)の前記粒子が噴霧乾燥工程によって生成される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
工程a)の前記粒子がシェル材料をさらに含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記シェル材料が生体適合性合成ポリマーを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記微粉砕がジェットミリングを含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記製剤が、ブデゾニド、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、モメタゾン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、アルブテロール、フォルモテロール、サルメテロール、クロモリンナトリウム、臭化イプラトロピウム、テストステロン、プロゲステロン、エストラジオール、エノキサプリン、オンダンセトロン、スマトリプタン、シルデノフィル、ドルナーゼα、イロプロスト、ヘパリン、低分子量ヘパリン、デシルジンまたはこれらの組み合わせを含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1種のリン脂質と製剤の粒子との微粉砕混合物を含む、経肺投与または経鼻投与用の乾燥粉末製薬剤形。
【請求項30】
前記リン脂質を前記製剤の前記粒子と組み合わせて混合物を生成した後、前記混合物を微粉砕する、請求項29に記載の剤形。
【請求項31】
前記リン脂質を微粉砕した後、前記微粉砕済みのリン脂質を前記製剤の前記粒子と混合する、請求項29に記載の剤形。
【請求項32】
前記微粉砕混合物がさらに、(i)製剤を含む微小粒子と、(ii)少なくとも1種のリン脂質と、(iii)三次賦形剤粒子とを含み、糖または糖アルコールの粒子は前記微粉砕混合物と混合され、および前記微粉砕混合物の前記微小粒子または賦形剤粒子よりも大きい、請求項29に記載の剤形。
【請求項33】
前記三次賦形剤粒子が、糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸またはこれらの組み合わせを含む、請求項32に記載の剤形。
【請求項34】
前記糖または糖アルコールが、ラクトース、スクロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、ガラクトース、キシリトール、エリスリトールまたはこれらの組み合わせを含む、請求項33に記載の剤形。
【請求項35】
前記少なくとも1種のリン脂質がジパルミトイルホスファチジルコリンを含む、請求項29〜34のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項36】
(i)製剤を含む微小粒子と(ii)賦形剤粒子との微粉砕混合物と、
糖または糖アルコールの粒子であって、前記微粉砕混合物の前記微小粒子または賦形剤粒子よりも大きい粒子との混合物と、
を含み、
前記混合物は、微粉砕混合物の混合物の組み合わせ(blend−of−milled−blend)ではない、前記微小粒子と、前記賦形剤粒子と、糖または糖アルコールの前記粒子との組み合わせの可呼吸用量に比して可呼吸用量が大きい、経肺投与または経鼻投与用の乾燥粉末製薬剤形。
【請求項37】
前記混合物が、
a)製剤を含む粒子を少なくとも1種の第1の賦形剤の粒子と混合して、第1の粉末混合物を形成する工程と、
b)前記第1の粉末混合物を微粉砕して、前記製剤の前記微小粒子を含む微粉砕混合物を形成する工程と、
c)前記微粉砕混合物を糖または糖アルコールの前記粒子と混合して、前記混合物を形成する工程と、
を含む工程によって生成される、請求項36に記載の剤形。
【請求項38】
前記微粉砕混合物が、
a)製剤を含む粒子を提供する工程と、
b)前記粒子を、i)増量剤と少なくとも1種の非脆砕性賦形剤とを溶媒に溶解させ、賦形剤溶液を形成し、ii)前記賦形剤溶液から前記溶媒を除去して前処理済み賦形剤を乾燥粉末状で形成することによって調製される前記前処理済み賦形剤の粒子と混合して、一次混合物を形成する工程と、
c)前記一次混合物を微粉砕して前記微粉砕混合物を形成するする工程と、
を含む工程によって生成される、請求項36に記載の剤形。
【請求項39】
前記賦形剤粒子が、糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸、リン脂質またはこれらの組み合わせを含む、請求項36〜38のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項40】
前記糖または糖アルコールが、ラクトース、スクロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、ガラクトース、キシリトール、エリスリトールまたはこれらの組み合わせを含む、請求項36〜39のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項41】
前記賦形剤粒子および前記糖または糖アルコールの前記粒子がいずれもラクトースを含む、請求項40に記載の剤形。
【請求項42】
前記糖または糖アルコールの前記粒子の体積平均直径が20〜500μmである、請求項36〜41のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項43】
製剤を含む前記微小粒子の体積平均直径が10μm未満である、請求項36〜42のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項44】
工程(a)の粒子がシェル材料をさらに含む、請求項37または38に記載の剤形。
【請求項45】
前記シェル材料が生体適合性合成ポリマーを含む、請求項44に記載の剤形。
【請求項46】
前記製剤が、水に対する25℃での溶解性が10mg/mL未満のものである、請求項29〜45のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項47】
前記製剤が、ブデゾニド、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、モメタゾン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、アルブテロール、フォルモテロール、サルメテロール、クロモリンナトリウム、臭化イプラトロピウム、テストステロン、プロゲステロン、エストラジオール、エノキサプリン、オンダンセトロン、スマトリプタン、シルデノフィル、ドルナーゼα、イロプロスト、ヘパリン、低分子量ヘパリン、デシルジンまたはこれらの組み合わせを含む、請求項29〜45のいずれか一項に記載の剤形。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−519972(P2009−519972A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545974(P2008−545974)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/062093
【国際公開番号】WO2007/070851
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(505113768)アキュスフィア, インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】