説明

粒子導入体の製造方法

【課題】孔部内に粒子が導入されており、孔部内に入らずに孔部以外の面に付着した余剰粒子が少ない粒子導入体の製造方法を提供すること。
【解決手段】多数の孔部12aを表面に有する多孔質体10の孔部12a内に粒子14を一つずつ存在させるとともに、孔部12a以外の面12bに粒子14を存在させる第1工程と、第1工程にて得られた多孔質体10を液体L中に浸漬し、多孔質体10の孔部12a以外の面12bに存在する余剰の粒子14を除去する第2工程とを経ることにより、粒子導入体10を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子導入体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、粒子を規則的に配列させ、その規則性を利用して、各種機能の実現が図られている。
【0003】
例えば、電気、電子機器等の分野では、接着剤シートに規則的に粒子を配列させることにより異方導電性を付与した異方性導電膜が使用されている。
【0004】
粒子を規則的に配列させる手法としては、従来、転写型の孔部に粒子を導入し、これを転写対象物に転写させる方法が知られている。
【0005】
例えば、特許文献1には、異方性導電膜を製造する際に、粒子配列治具の非貫通孔に超音波振動により粒子を導入し、治具の非貫通孔以外の面に付着した粒子を粘着フィルムにて除去した後、接着剤層に転写する方法が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−220669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来技術は以下の点で問題があった。
【0008】
すなわち、通常、転写型等の孔部内に粒子を導入する場合、孔部形成面に孔部の数を上回る数の粒子を散布し、孔部内に粒子を導入することが多い。そして、孔部内に入らずに孔部以外の面に余剰に付着した粒子は基本的に除去される。
【0009】
しかしながら、選択的に余剰粒子だけを除去することは難しい。孔部形成面に余剰粒子が残存していると、例えば、転写の場合、転写対象物に優先的に余剰粒子が転写されてしまう。そのため、転写後に粒子の規則性が乱れ、各種機能が低下する原因になることがある。
【0010】
そうかといって、粘着フィルムを使用して余剰粒子を完全に除去しようとすると、粘着フィルムに孔部内の粒子が引っついて、孔部内の粒子も一緒に抜けてしまう。
【0011】
これを回避しようとするには、例えば、粘着フィルムと孔部内の粒子との距離を高精度に制御することが考えられるが、粘着フィルムの厚みばらつきなどを考慮すると、このような制御は難易度が高い。
【0012】
特に、転写型の場合、孔部内に導入された粒子は、転写性を良くする観点から、粒子の頂部が孔部形成面よりも突出した状態で存在している。そのため、粘着フィルムを使用すれば、孔部内に導入されている粒子の抜けが特に顕著に発生することになる。
【0013】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、孔部内に粒子が導入されており、孔部内に入らずに孔部以外の面に付着した余剰粒子が少ない粒子導入体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明に係る粒子導入体の製造方法は、多数の孔部を表面に有する多孔質体の孔部内に粒子を一つずつ存在させるとともに、上記孔部以外の面に粒子を存在させる第1工程と、第1工程にて得られた多孔質体を液体中に浸漬し、孔部以外の面に存在する粒子を除去する第2工程とを有することを要旨とする。
【0015】
ここで、上記第1工程において、上記粒子は、上記多孔質体の孔部形成面よりその頂部が突出した状態で孔部内に存在していることが好ましい。
【0016】
また、上記第2工程において、上記孔部内の粒子を物理的に押さえつけながら、上記孔部以外の面に存在する粒子を除去することが好ましい。
【0017】
また、上記第2工程における液体は、水であることが好ましい。
【0018】
また、上記第2工程において、上記多孔質体の孔部形成面と液面とのなす角が鋭角となるように、上記多孔質体を液体中に浸漬することが好ましい。
【0019】
また、上記多孔質体は、転写型であることが好ましい。
【0020】
本発明に係る粒子転写膜の製造方法は、上述した粒子導入体の製造方法により得られた粒子導入体を用い、上記粒子導入体の孔部内に導入されている粒子を、高分子膜の表面に転写し、粒子転写膜とすることを要旨とする。
【0021】
上記粒子転写膜の製造方法により得られた粒子転写膜は、例えば、異方性導電膜などの用途に好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る粒子導入体の製造方法では、多孔質体表面の孔部内および孔部以外の面に粒子を存在させた後、得られた多孔質体を液体中に浸漬し、孔部以外の面に存在する粒子を除去する。
【0023】
上記製造方法によれば、多孔質体を液体中に浸漬することで、孔部内に粒子を存在させたまま、孔部以外の面に存在する粒子を選択的に除去することができる。
【0024】
これは、孔部以外の面に存在する粒子は、主に静電気的引力により孔部以外の面に付着している。そのため、多孔質体を液体に浸漬することにより、多孔質体の孔部以外の面とそこに付着している粒子との間に作用する静電気的引力が弱まるためであると推察される。また、液体中に多孔質体を浸漬しても、孔部内の粒子が脱落し難いのは、撥水作用等により孔部内に水が浸入し難く、粒子が保持されるためであると推察される。
【0025】
ここで、上記第1工程において、上記多孔質体の孔部形成面よりその頂部が突出した状態で上記粒子が孔部内に存在している場合には、従来の粘着フィルム等による余剰粒子の除去に比べ、有意に粒子を孔部内に残したまま余剰粒子を除去することができる。
【0026】
また、上記孔部内の粒子を物理的に押さえつけながら、上記多孔質体の孔部以外の面に存在する粒子を除去する場合には、孔部内に導入されている粒子の脱落を防止しつつ、余剰粒子の除去を確実に行いやすくなる。
【0027】
また、第2工程における液体が水である場合には、取扱い性に優れ、安価であるため、粒子導入体の製造性に優れる。
【0028】
また、上記多孔質体の孔部形成面と液面とのなす角が鋭角となるように、上記多孔質体を液体中に浸漬した場合には、孔部以外の面に付着していた余剰粒子が自重によって孔部形成面上を転がり落ちる。そのため、余剰粒子を一層除去しやすくなる。
【0029】
また、上記多孔質体が転写型である場合には、転写不良の少ない転写を行うことが可能な粒子導入型を得ることができる。
【0030】
上記製造方法により得られた粒子導入体を用い、粒子導入体の孔部内に導入されている粒子を、高分子膜の表面に転写した場合には、転写不良の少ない粒子転写膜を得ることができる。したがって、これを例えば、異方性導電膜に用いれば、異方導電性能に優れた異方性導電膜を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本実施形態に係る粒子導入体の製造方法(以下、「本製造方法」ということがある。)、本実施形態に係る粒子転写膜の製造方法、本実施形態に係る異方性導電膜について詳細に説明する。
【0032】
1.本製造方法
本製造方法は、以下の第1工程と、第2工程とを少なくとも有している。以下、各工程毎に説明する。
【0033】
<第1工程>
図1は、第1工程にて準備する多孔質体の一例を模式的に示した図である。図1に示すように、多孔質体10は、多数の孔部12aが表面に形成された孔部形成面12を有している。孔部12aは、基本的に粒子14が一つずつ導入される空間である。
【0034】
第1工程は、上記多孔質体10を使用して、孔部12a内に一つずつ粒子14を存在させるとともに、孔部12a以外の面12bに粒子14を存在させた多孔質体10を準備する工程である。
【0035】
孔部12a内に一つずつ存在させる粒子14は、本製造方法にて得られる粒子導入体20の一部を構成する粒子である。一方、孔部12a以外の面12bに存在させる粒子14は、後述の第2工程にて除去される余剰の粒子である。
【0036】
この余剰の粒子14は、基本的に孔部12aに入りきらず、主に静電気的引力等により孔部12a以外の面12bに付着している。
【0037】
図1に例示するような状態となるように、粒子14を存在させた多孔質体10を準備する方法は、特に限定されるものではない。各種の方法を採用することが可能である。
【0038】
例えば、(1)乾燥した粒子粉末またはこれを溶媒中に分散させた分散液を多孔質体10の孔部形成面12上に散布または塗布した後、刷毛、ブラシ、ブレードなどを用いて孔部形成面12の表面を擦り切るなどして、図1に示す多孔質体10を準備することができる。
【0039】
また、(2)上記散布または塗布後、外部から振動や磁力(導電性粒子の場合)を加えたり、孔部12aの底部から粒子14を吸引したりするなどして、図1に示す多孔質体10を準備することができる。
【0040】
また、(3)上記分散液中に多孔質体10を浸漬するなどして、図1に示す多孔質体10を準備することができる。
【0041】
また、(4)多孔質体10の孔部形成面12と一定距離離間させて板状部材を配置し、形成された隙間に、上記分散液を導入し、多孔質体10および/または板状部材をスライド移動させるなどして、図1に示す多孔質体10を準備することができる。
【0042】
粒子14を孔部12a内に物理的に押し込むので、孔部12a内に粒子14を確実に保持させやすいなどの観点から、好ましくは、(1)の方法により多孔質体10を準備すると良い。より好ましくは、乾式で行うことができる、孔部12a一つにつき粒子14を一つずつ導入しやすいなどの観点から、(1)の方法において乾燥した粒子粉末自体を用いて多孔質体10を準備すると良い。
【0043】
なお、粒子14が導電性を有する場合には、粒子14が孔部12a内に導入されやすくなるなどの観点から、(1)の方法において、孔部形成面12と反対側から磁力により粒子14を多孔質体10に引きつけつつ、刷毛、ブラシ、ブレードなどを用いて孔部形成面12の表面を擦り切るなどして、図1に示す多孔質体10を準備すると良い。
【0044】
上述した多孔質体10は、平板状、フィルム状、シート状などの平面体形状であっても良いし、ベルト状などの形状であっても良い。また、ロール状などの曲面体形状であっても良い。多孔質体10の材質、本製造方法にて得られる粒子導入体20の用途等に応じて選択することができる。好ましくは、第2工程において、孔部12a内に導入されている粒子14の脱落を抑制しやすい、孔部形成性などの観点から、平面体形状であると良い。
【0045】
多孔質体10が有する孔部12aは、孔部12a内に粒子14を保持できれば、貫通孔であっても非貫通孔であっても良い。また、孔部12aは、貫通孔および非貫通孔の両方から構成されていても良い。孔部12aは、多孔質体10の形状などを考慮して適宜選択することができる。例えば、多孔質体10が平板状などの平面体形状であれば、非貫通孔、貫通孔の何れも選択可能である。多孔質体10がロールなどの曲面体形状であれば、非貫通孔を選択すると良い。
【0046】
孔部12aの形状としては、具体的には、例えば、四角柱、六角柱などの略多角柱状、四角錐、三角錐などの略角錐状、略円柱状、略半球状などを例示することができる。好ましくは、粒子導入性、孔部形成性などの観点から、略多角柱状、略円柱状などの形状が好ましい。
【0047】
孔部12aは、例えば、格子状、千鳥状、ハニカム状、縞状などに規則的に配列されて形成されていても良いし、ランダムに形成されていても良い。本製造方法により得られる粒子導入体20の用途等に応じて選択することができる。好ましくは、粒子導入体20の利用価値が高くなるなどの観点から、孔部12aは、規則的に配列されていると良い。
【0048】
孔部12aは、導入された粒子14の頂部を孔部形成面12より突出可能な深さに形成されていることが好ましい。転写用途などに有用な粒子導入体20(粒子転写型)が得られるからである。
【0049】
具体的には、粒子14の平均粒径に対する孔部12aの深さの比(=孔部12aの深さ/粒子14の平均粒径)の上限は、粒子14の転写性等に優れるなどの観点から、好ましくは、1未満、より好ましくは、0.95以下、さらに好ましくは、0.9以下であると良い。
【0050】
一方、粒子14の平均粒径に対する孔部12aの深さの比(=孔部12aの深さ/粒子14の平均粒径)の下限は、粒子保持性、粒子導入のしやすさの確保などの観点から、好ましくは、0.5以上、より好ましくは、0.6以上、さらに好ましくは、0.75以上であると良い。
【0051】
孔部12aは、導入される粒子14の粒径よりも若干大きな開口を有していると良い。孔部12a一つにつき、粒子14が一つずつ導入されやすくなるし、粒子14の導入性を確保しやすいからである。
【0052】
具体的には、粒子14の平均粒径に対する孔部12aの開口の大きさの比(=孔部12aの開口の大きさ/粒子14の平均粒径)の上限は、孔部12a一つにつき粒子14が一つずつ導入されやすくなるなどの観点から、好ましくは、2未満、より好ましくは、1.8以下、さらに好ましくは1.6以下であると良い。
【0053】
一方、粒子14の平均粒径に対する孔部12aの開口の大きさの比(=孔部12aの開口の大きさ/粒子14の平均粒径)の下限は、粒子導入性の確保などの観点から、好ましくは、1以上、より好ましくは、1.05以上、さらに好ましくは、1.1以上であると良い。
【0054】
なお、上記孔部12aの深さとは、多孔質体表面をレーザー顕微鏡で観察し、任意に選択した孔部10個について測定した深さの平均値である。また、上記孔部12aの開口径は、多孔質体10表面をレーザー顕微鏡で観察し、任意に選択した孔部10個について測定した各開口部分の直径の平均値である。また、上記粒子14の粒径とは、粒度分布測定装置(セイシン企業製、「PITA−1」)等にて測定した平均粒径である。
【0055】
多孔質体10の材質としては、孔部12aを支障なく形成することができれば特に限定されるものではない。例えば、Si、セラミックス、ガラス、金属等の無機材料や、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の各種樹脂、ゴムなどの有機材料や、これら無機材料と有機材料との組み合わせなどを用いることができる。
【0056】
本製造方法にて得られる粒子導入体20を転写用途に適用する場合には、微細な孔部12aを形成しやすいなどの観点から、Si、金属、各種樹脂などの材質を好適に選択することができる。
【0057】
上述した多孔質体10は、エッチング法、電鋳法、光造形法などや、孔部12aを形成可能な突起部を有する部材を多孔質体形成材料に押しつける方法など、多孔質体10の材質などに応じて適宜最適な方法を用いて準備することができる。
【0058】
本製造方法にて使用する粒子14は、特に限定されるものではなく、本製造方法にて得られる粒子導入体20の用途等に応じて選択することができる。
【0059】
上記粒子14としては、具体的には、例えば、各種樹脂粒子の表面に1層または2層以上の導電性層(金、銀、白金属、ニッケル、銅などの各種金属やその合金等による金属めっき層やスパッタ層等)を有する粒子;上記金属やその合金等からなる各種金属粒子;カーボン粒子等の導電性粒子、各種樹脂粒子;シリカ粒子等の絶縁性粒子などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
【0060】
<第2工程>
第2工程は、第1工程にて準備した多孔質体10を液体中に浸漬し、多孔質体10の孔部12a以外の面12bに存在する粒子14を除去する工程である。
【0061】
図2は、第1工程にて準備した多孔質体を液体中に浸漬した状態の一例を模式的に示した図である。
【0062】
第2工程では、液体L中における多孔質体10の姿勢は、特に限定されることはない。多孔質体10が平面体形状の場合、孔部12a中に導入されている粒子14が脱落し難いなどの観点から、多孔質体10の孔部形成面12が液面側となるように浸漬するのが好ましい。
【0063】
この場合、図2(a)に示すように、多孔質体10の孔部形成面12と液体Lの液面とがほぼ平行となるように浸漬しても良いし、図2(b)に示すように、多孔質体10の孔部形成面12と液体Lの液面とのなす角が鋭角となるように浸漬しても良い。
【0064】
図2(b)のようにした場合には、図3に示すように、孔部12a以外の面12bに付着していた余剰の粒子14が、自重によって孔部形成面12上を自然に転がり落ちるため、余剰の粒子14を一層除去しやすくなる利点がある。
【0065】
多孔質体10の孔部形成面12と液体Lの液面とのなす角としては、余剰の粒子14が転がり落ちやすくなる、孔部12a内に導入されている粒子14の脱落を抑制しやすいなどの観点から、好ましくは、20°〜80°の範囲内、より好ましくは、30°〜70°の範囲内に設定すると良い。
【0066】
なお、浸漬する液体Lの種類は、液体Lの取扱い性、多孔質体10や粒子14の材質、製造コストなどを考慮して選択することができる。好ましくは、水、アルコール類などを好適に用いることができる。より好ましくは、取扱い性に優れ、安価であるなどの観点から、水を好適に用いることができる。
【0067】
第2工程では、液体L中にて、多孔質体10の孔部12a以外の面12bに付着している余剰の粒子14を除去する。余剰の粒子14の除去は、図3に示したように、自重によって孔部形成面12上を滑らせて落としても良いし、強制的に行っても良い。強制的に除去した場合には、生産性を向上させることができる。
【0068】
図4は、液体中にて、多孔質体の孔部以外の面に付着している余剰の粒子を強制的に除去する様子を模式的に示した図である。
【0069】
強制的な除去方法としては、液体L中にて、刷毛、ブラシ、ブレードなどの粒子除去部材16を用いて、孔部12a内に導入されている粒子14を物理的に押さえつけながら孔部形成面12上を擦り切るなどして、孔部12a以外の面12bに存在する粒子14を除去する方法などを例示することができる。このような方法を用いた場合には、孔部12a内に導入されている粒子14の脱落を防止しつつ、余剰の粒子14の除去を確実に行いやすくなる。
【0070】
余剰の粒子14を除去した後は、多孔質体10を液体Lから分離する。この際、必要に応じて、乾燥等を行っても良い。
【0071】
これにより図5に示すように、多孔質体10の孔部12a内に粒子14が一つずつ導入されており、孔部12a以外の面12bに余剰の粒子14がほとんど付着していない粒子導入体20を得ることができる。
【0072】
なお、上述した第2工程は、複数回繰り返し行っても良い。
【0073】
得られた粒子導入体20は、例えば、粒子転写型などとして、異方性導電膜の製造などに利用することができる。また、多孔質体10の材質によっては、これを例えば、異方性導電膜の骨格の一部として用いることも可能である。
【0074】
2.粒子転写膜の製造方法
粒子転写膜の製造方法は、本製造方法により得られた粒子導入体を用い、粒子導入体の孔部内に導入されている粒子を、高分子膜の表面に転写し、粒子転写膜を得る方法である。
【0075】
具体的な転写方法としては、粒子導入体の粒子導入面に高分子膜を接触させれば良い。
【0076】
上記転写時には、加熱および/または加圧を伴っていても良い。具体的には、ラミネート手法などを適用することができる。
【0077】
上記転写時に加熱を行う場合、その加熱温度としては、高分子膜を構成する高分子の粘度(硬化するものは硬化前の状態)が、好ましくは、2×10Pa・s以下、より好ましくは、1.5×10Pa・s以下、さらにより好ましくは、1×10Pa・s以下となる温度を選択すると良い。高分子膜表面に粒子が食い込みやすく、転写率が良くなるからである。
【0078】
なお、上記粘度は、応力制御型レオメータ(例えば、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製、「AR500」などが上市されている。)により測定される値である。
【0079】
また、上記転写時に加圧を行う場合、その加圧力は特に限定されることはない。転写率、高分子膜の膜強度などを考慮して選択すれば良い。通常、0.01〜1MPa程度である。
【0080】
なお、高分子膜が粘着性を有する材料よりなる場合には、特に加熱、加圧などを行わなくても転写可能である。
【0081】
上記高分子膜を構成する材料としては、具体的には、各種の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂やゴムなどを用いることができる。粒子転写膜の用途などに応じて適宜選択することができる。
【0082】
より具体的には、例えば、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ビスマレイミドトリアジン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基などの官能基を1種または2種以上含むゴムやエラストマーなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
【0083】
これら材料中には、硬化剤、硬化促進剤、改質剤、酸化防止剤、充填剤などの各種添加剤が、必要に応じて、1種または2種以上添加されていても良い。
【0084】
上記高分子膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、粒子転写膜の用途、粒子の粒径、高分子膜の膜強度、製造性などを考慮して決定することができる。
【0085】
例えば、粒子転写膜を異方性導電膜に利用する場合には、上記高分子膜の膜厚の上限としては、適正な抵抗値が得やすくなる、圧着時の粒子の動きなどの観点から、好ましくは、上記粒子の粒径の3/2倍以下、より好ましくは、上記粒子の粒径の1倍以下、さらに好ましくは、上記粒子の粒径の2/3倍以下などであると良い。
【0086】
一方、上記高分子膜の膜厚の下限としては、粒子の転写性、圧着時の粒子の動きなどの観点から、好ましくは、上記粒子の粒径の1/10倍以上、より好ましくは、上記粒子の粒径の1/5倍以上、さらに好ましくは、上記粒子の粒径の1/3倍以上などであると良い。
【0087】
なお、上記高分子膜は、上記高分子材料を適当な固形分量、粘度となるように調製した塗液を、コーターなどの公知の塗工手段を用いて基材上に塗工し、必要に応じて乾燥させる方法、上記高分子材料を平坦な膜状にプレス成形する方法などにより準備することができ、特に限定されるものではない。
【0088】
3.異方性導電膜
本実施形態に係る異方性導電膜は、上述した粒子転写膜の製造方法により得られた粒子転写膜をその一部として用いている。なお、この場合には、粒子は、基本的に導電性を有している。
【0089】
図6は、本実施形態に係る異方性導電膜の一例を模式的に示した断面図である。図6に示すように、異方性導電膜30は、粒子転写膜32(導電性粒子32a、高分子膜32b)と、接着層34とを有している。
【0090】
上述した異方性導電膜は、例えば、次のようにして製造することができる。粒子転写膜は、基本的には、高分子膜の一方面に粒子が転写されており、転写された粒子は、膜表面に突出している。
【0091】
この転写面に接着層を被覆すれば、上記異方性導電膜を製造することができる。
【0092】
また、転写された粒子の脱落などを抑制するなどの観点から、転写した粒子を高分子膜に確実に保持させ、その後、この膜の少なくとも一方面に接着層を形成することによっても、異方性導電膜を製造することができる。
【0093】
転写した粒子を高分子膜に保持させる方法としては、例えば、(1)粒子を加圧する方法、(2)高分子膜を加熱して軟化させ、粒子の自重により粒子を膜内に埋没させる方法などを例示することができる。これら方法は、互いに組み合わせて行っても良い。
【0094】
粒子を確実に膜に保持させやすいなどの観点から、(1)の方法が良い。より好ましくは、(1)の方法において、高分子膜を加熱しながら粒子を加圧すると良い。具体的には、ラミネート手法などを適用することができる。なお、上記加圧は、粒子の上にセパレータなどの介在物を任意に介して行うことができる。
【0095】
上記加圧を行う場合、その加圧力は特に限定されることはない。膜強度、型強度、膜厚、粒子の強度などを考慮して選択すれば良い。通常、0.01〜1MPa程度である。
【0096】
上記加熱を行う場合、その加熱温度は特に限定されることはない。加熱温度は、使用する高分子の種類、耐熱性などによっても異なるが、好ましくは、高分子のガラス転移温度+20℃〜+40℃程度の温度を選択すると良い。膜内に粒子を埋め込みやすくなるからである。
【0097】
粒子は、膜内にその全てが埋め込まれていても良いし、膜表面のうち、少なくとも一方面にその一部が露出していても良い。
【0098】
なお、上記粒子の埋め込み程度は、加圧力、加圧時間、加熱温度、加熱時間などを適宜調節することで可変させることができる。
【0099】
一方、上記接着層の形成方法としては、具体的には、例えば、接着層材料を適当な固形分量、粘度となるように調製した塗液を、コーターなどの公知の塗工手段を用いて粒子の保持面に塗工し、必要に応じて乾燥させる方法、上記方法などにより予め作製しておいた膜状の接着層を貼り合わせる方法などを例示することができる。
【0100】
上記接着層を構成する材料としては、具体的には、各種の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂やゴムなどを用いることができる。
【0101】
より具体的には、例えば、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ビスマレイミドトリアジン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シアネート系樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基などの官能基を1種または2種以上含むゴムやエラストマーなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
【0102】
なお、これら材料中には、硬化剤、硬化促進剤、改質剤、酸化防止剤、充填剤などの各種添加剤が、必要に応じて、1種または2種以上添加されていても良い。
【0103】
上記接着層を構成する材料としては、好ましくは、被接続物との密着性に優れるなどの観点から、熱硬化性樹脂を主に含んでいると良い。熱硬化性樹脂のうち、好ましくは、エポキシ系樹脂などである。
【0104】
なお、熱硬化性樹脂を用いる場合、当該熱硬化性樹脂は、半硬化されてプリプレグとされていても良い。
【0105】
上記接着層の厚みは、接着層と接着する被接続物が有する導体(ICチップのバンプなど)の高さ、被接続物同士(ICチップと配線基板など)の間に生じる隙間量などを考慮して決定することができる。
【0106】
上記接着層の厚みの上限は、好ましくは、接着層と接着する被接続物が有する導体の高さの3倍以下、より好ましくは、2倍以下、さらにより好ましくは、1.75倍以下であると良い。
【0107】
上記接着層の厚みの下限は、好ましくは、接着層と接着する被接続物が有する導体の高さの1倍以上、より好ましくは、1.2倍以上、さらにより好ましくは、1.3倍以上であると良い。
【実施例】
【0108】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【0109】
1.粒子導入体の作製
(実施例1)
<第1工程>
ドライエッチング法を用いて、シリコン基板表面に、約8°に傾斜して千鳥状に規則的に配列した略円柱状の孔部(断面:直径5.5μmの略円形状、深さ:3.5μmの非貫通孔、ピッチ:9μm)を多数形成し、Si型を作製した。なお、この多孔質体としてのSi型は、後述する転写用途に用いる転写型である。また、孔部形成領域は、10cm×10cmである。
【0110】
次いで、ジビニルベンゼン系架橋樹脂よりなる粒子の表面に、Niめっき層、Auめっき層が順に被覆された、平均粒径4μmの樹脂めっき粒子(積水化学工業(株)、「ミクロパールAU−204」)を、上記Si型の孔部形成面上に散布した。
【0111】
次いで、孔部形成面と反対側に設置した永久磁石((株)西興産業製、フェライト磁石、1000ガウス)にて、樹脂めっき粒子を型に引きつけつつ、刷毛にて適当な押圧力をかけながら孔部形成面上を擦り切った。その後、孔部形成面をマイクロスコープにて観察したところ、実質的に孔部一つにつき樹脂めっき粒子が一つずつ存在していた。また、孔部以外の面には、余剰の樹脂めっき粒子がところどころに付着していた。また、孔部内に存在する樹脂めっき粒子は、Si型の孔部形成面よりその頂部が突出されていた。
【0112】
以上により、表面に多数の孔部が規則的に配列形成されたSi型の孔部内に一つずつ樹脂めっき粒子が存在するとともに、孔部以外の面に樹脂めっき粒子が存在するSi型を準備した。
【0113】
<第2工程>
次に、上記準備した、樹脂めっき粒子を有するSi型を水中に1分間浸漬した後、Si型を水中より引き上げて乾燥させた。なお、Si型の孔部形成面と水面とのなす角は45°とした。これにより実施例1に係る粒子導入体を得た。
【0114】
(実施例2)
実施例1に係る粒子導入体の作製において、第1工程にて準備した、樹脂めっき粒子を有するSi型を水中に浸漬した後、ナイロン製ブラシにて粒子導入面を押さえつけながら擦り切った後、Si型を水中より引き上げて乾燥させた以外は同様にして、実施例2に係る粒子導入体を得た。
【0115】
(比較例1)
実施例1に係る粒子導入体の作製と同様にして、樹脂めっき粒子を有するSi型を準備した。
【0116】
次いで、このSi型の粒子導入面に水をかけて洗浄した後、乾燥させることにより、比較例1に係る粒子導入体を得た。
【0117】
(比較例2)
実施例1に係る粒子導入体の作製と同様にして、樹脂めっき粒子を有するSi型を準備した。
【0118】
次いで、このSi型を水中に浸漬することなく空気中にて、ナイロン製ブラシで粒子導入面を押さえつけながら擦り切った。これにより、比較例2に係る粒子導入体を得た。
【0119】
(比較例3)
実施例1に係る粒子導入体の作製と同様にして、樹脂めっき粒子を有するSi型を準備した。
【0120】
次いで、このSi型を水中に浸漬することなく、エアダスター(サンワサプライ(株)製、「CD−24ECO」)を用いて粒子導入面に空気を吹き付けた。これにより比較例3に係る粒子導入体を得た。
【0121】
(比較例4)
実施例1に係る粒子導入体の作製と同様にして、樹脂めっき粒子を有するSi型を準備した。
【0122】
次いで、このSi型を水中に浸漬することなく、PETフィルムを布でこすって帯電させた帯電フィルムを粒子導入面に押しつけた後、帯電フィルムを剥離した。これにより比較例4に係る粒子導入体を得た。
【0123】
(比較例5)
実施例1に係る粒子導入体の作製と同様にして、樹脂めっき粒子を有するSi型を準備した。
【0124】
次いで、このSi型を水中に浸漬することなく、粒子導入面上にて、ビーズ(平均粒径100μm)を転がした。これにより比較例5に係る粒子導入体を得た。
【0125】
2.粒子導入体の評価
各粒子導入体の孔部形成領域9箇所をマイクロスコープにて観察した。そして、孔部以外の表面に粒子が存在しないか、ほとんど見られなかった場合を、余剰粒子の除去性に優れるとして「A」、孔部以外の表面に粒子が散在していた場合を、余剰粒子の除去性に劣るとして「B」と評価した。
【0126】
一方、孔部内の粒子の脱落割合が20%未満であった場合を、耐粒子脱落性に優れるとして「A」、20%以上30%未満であった場合を、耐粒子脱落性にやや劣るとして「B」、30%以上であった場合を、耐粒子脱落性に劣るとして「C」と評価した。
【0127】
表1にその評価結果をまとめて示す。
【0128】
【表1】

【0129】
表1の結果を相対比較すると以下のことが分かる。すなわち、比較例1では、水を用いてはいるものの、液/気界面にて粒子の凝集が見られ、余剰の粒子を除去することは困難であった。また、孔部内の粒子の脱落が多数発生した。
【0130】
比較例2は、孔部内の粒子を物理的に押さえつけているものの、水中にてこれを行っていないので、余剰粒子を除去することが困難であった。
【0131】
比較例3は、空気の吹きつけにより、孔部以外の面に付着していた余剰粒子は除去できたものの、それと同時に孔部内の粒子も吹き飛び、孔部内の粒子の脱落が多数発生した。
【0132】
比較例4は、帯電フィルムに孔部内の粒子が付着し、粒子の脱落が発生した。
【0133】
比較例5は、余剰粒子の除去性、耐粒子脱落性に問題はなかった。しかし、余剰粒子の除去にビーズを用いたため、これが粒子導入面に残存するという新たな問題が発生した。なお、残存ビーズは、余剰粒子と同様に転写性などを阻害する。
【0134】
これらに対し、実施例は、第1工程、第2工程を経ている。そのため、実施例によれば、比較例に比較して、相対的に多くの粒子が孔部内に導入されており、かつ、孔部以外の面に存在する粒子が相対的に少ない粒子導入体を得られることが確認できた。
【0135】
また、実施例2の方法によれば、孔部内の粒子をほとんど脱落させずに、強制的に余剰粒子を除去できる。そのため、生産性に優れることが分かる。
【0136】
3.粒子転写膜の作製
先ず、接着性を有する高分子膜を以下の手順により準備した。すなわち、アルコール可溶ポリアミド系樹脂23.39質量部と、フェノキシ系樹脂(東都化成(株)製、「EFR−0010M30」)25.16質量部と、エポキシ系樹脂(東都化成(株)製、「FX289EK75」)4.9質量部と、エポキシ系樹脂(東都化成(株)製、「FX305EK70」)2.67質量部と、メラミン系樹脂(三和ケミカル(株)製、「ニカラックMX−750」)1.37質量部と、硬化剤(四国化成(株)製、「C11Z」)0.38質量部と、硬化剤(三菱ガス化学(株)製、「F−TMA」)0.57質量部と、メタノール24.26質量部と、トルエン48.05質量部と、メチルセロソルブ69.2質量部とを混合し、高分子溶液を調製した。
【0137】
次いで、コンマコーターを用い、連続的に供給されるベース基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み38μm、リンテック(株)製「PET38X」)の離型面に、上記高分子溶液を塗工した。
【0138】
次いで、この塗工層を160℃で90秒間乾燥させ、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂よりなる平坦な高分子膜(厚み4μm)を形成した。その後、この高分子膜の表面に、セパレータ(ポリエチレンテレフタレート、厚み75μm、リンテック(株)製、「PET75C」)の離型面を合わせて巻き取った。
【0139】
これにより、ベース基材とセパレータとの間に挟持された、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする高分子膜(幅100mm、50m)を用意した。
【0140】
次に、基台上に、粒子導入面を上向きにして各実施例に係る粒子導入体を載置した。
【0141】
次いで、各粒子導入体の上方に、一対の支持ロール間に所定の張力で張った高分子膜を配置した。なお、高分子膜は、一方の供給源から、セパレータが剥離されつつ連続的に供給され、他方の巻き取り源に連続的に巻き取り可能に設定されている。
【0142】
次いで、両支持ロールを下降させることにより、粒子導入体の粒子導入面に高分子膜を押しつけた。
【0143】
次いで、上記状態のまま、115℃に保持した加熱加圧式ゴムロールを用いて、0.01〜1MPaの加圧力で高分子膜のベース基材側表面に当該ロールを押しつけ、当該ロールを0.5m/minで移動させることにより、加熱・加圧を行った。
【0144】
上記操作により、粒子導入体の表面に高分子膜が貼り付いた状態になるので、高分子膜表面に空気を吹き付け、25℃まで冷却した。
【0145】
次いで、両支持ロールを上昇させ、粒子導入体から高分子膜を引き離した。その結果、粒子導入体の孔部内に導入されていた粒子が、規則性を保ったまま高分子膜表面に転写された。
【0146】
次いで、粒子導入体の大きさ分だけ、高分子膜を走行させた。
【0147】
次いで、新しい粒子導入体を基台上に載置した。この際、高分子膜に転写された粒子と、新たな粒子導入体に導入されている粒子との位置を光学顕微鏡で確認し、同ピッチになるように位置合わせを行った。
【0148】
次いで、両支持ロールを下降させ、粒子導入体の粒子導入面に高分子膜を押しつけ、それ以降の工程を繰り返し行った。これにより、各実施例に係る粒子導入体を用いて、長尺物の各粒子転写膜を得た。
【0149】
4.異方性導電膜の作製
次に、得られた各粒子転写膜を用い、各異方性導電膜を以下の手順により作製した。
【0150】
先ず、粒子転写膜表面にセパレータ(ポリエチレンテレフタレート、厚み38μm、リンテック(株)製「PET38C」)を重ね、これを、温度140℃、加圧力0.1MPa、加熱加圧時間60秒の条件で、熱ラミネートした。
【0151】
これにより、高分子膜表面に転写された樹脂めっき粒子を、その規則的な配列を維持したまま膜内に埋め込んだ。
【0152】
次に、ジシクロペンタジエン型エポキシ系樹脂(大日本インキ(株)製、「エピクロンHP7200HH」)90質量部と、ニトリルゴム(NBR)(日本ゼオン(株)製、「ニポール1072J」)10質量部と、硬化剤(旭化成ケミカルズ(株)製、「ノバキュアHXA3932HP」)187質量部とを、固形分量が42%となるようにトルエンにて希釈し、接着剤溶液を調製した。
【0153】
次いで、コンマコーターを用い、連続的に供給されるベース基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み38μm、リンテック(株)製「PET38C」)の離型面に、上記接着剤溶液を塗工した。
【0154】
次いで、この塗工層を110℃で90秒間乾燥させ、接着層(厚み20μm)を形成した。その後、この接着層の表面に、セパレータ(ポリエチレンテレフタレート、厚み38μm、リンテック(株)製、「PET38B」)の離型面を合わせて巻き取った。
【0155】
これにより、ベース基材とセパレータとの間に挟持された接着層を用意した。
【0156】
次に、上記セパレータを剥離して露出させた接着層の表面と、上記粒子転写膜の表面(転写面側)とを重ね合わせ、これを貼り合わせた。
【0157】
以上により、粒子転写膜の片面に接着層を形成した。
【0158】
上記の通りにして、粒子転写膜と接着層の2層構造からなる各異方性導電膜を作製した。
【0159】
以上、本発明の一実施形態、一実施例について説明したが、本発明は上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】第1工程にて準備する多孔質体の一例を模式的に示した図である。
【図2】第1工程にて準備した多孔質体を液体中に浸漬した状態の一例を模式的に示した図である。
【図3】自重によって孔部形成面上を転がらせて余剰の粒子を除去している様子を模式的に示した図である。
【図4】液体中にて、多孔質体の孔部以外の面に付着している余剰の粒子を強制的に除去する様子を模式的に示した図である。
【図5】本製造方法により製造される粒子導入体の一例を模式的に示した図である。
【図6】本実施形態に係る異方性導電膜の一例を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
【0161】
10 多孔質体
12 孔部形成面
12a 孔部
12b 孔部以外の面
14 粒子
16 粒子除去部材
20 粒子導入体
L 液体
30 異方性導電膜
32 粒子転写膜
32a 導電性粒子
32b 高分子膜
34 接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の孔部を表面に有する多孔質体の孔部内に粒子を一つずつ存在させるとともに、前記孔部以外の面に粒子を存在させる第1工程と、
第1工程にて得られた多孔質体を液体中に浸漬し、孔部以外の面に存在する粒子を除去する第2工程と、
を有することを特徴とする粒子導入体の製造方法。
【請求項2】
前記第1工程において、前記粒子は、前記多孔質体の孔部形成面よりその頂部が突出した状態で孔部内に存在していることを特徴とする請求項1に記載の粒子導入体の製造方法。
【請求項3】
前記第2工程において、前記孔部内の粒子を物理的に押さえつけながら、前記孔部以外の面に存在する粒子を除去することを特徴とする請求項1または2に記載の粒子導入体の製造方法。
【請求項4】
前記第2工程における液体は、水であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の粒子導入体の製造方法。
【請求項5】
前記第2工程において、前記多孔質体の孔部形成面と液面とのなす角が鋭角となるように、前記多孔質体を液体中に浸漬することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の粒子導入体の製造方法。
【請求項6】
前記多孔質体は、転写型であることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の粒子導入体の製造方法。
【請求項7】
請求項1から6の何れかに記載の粒子導入体の製造方法により得られた粒子導入体を用い、前記粒子導入体の孔部内に導入されている粒子を、高分子膜の表面に転写し、粒子転写膜とすることを特徴とする粒子転写膜の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の粒子転写膜の製造方法により得られた粒子転写膜を用いた異方性導電膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−203305(P2009−203305A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45720(P2008−45720)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】