説明

粘度指数を改善するための(メタ)アクリレートポリマー

本発明は、a)Rが、水素またはメチルを表わし、およびR1が、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表わす式(I)の(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜60質量を含有し、b)Rが、水素またはメチルを表わし、およびR2が、7〜30個の炭素原子を有するアルキル基を表わす式(II)の(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜80質量を含有し、c)Rが、水素またはメチルを表わし、nが、2〜500の範囲内の数を表わし、Aが、C2〜C4アルキレンを表わし、R3が、水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表わす式(III)の(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位15〜90質量を含有する、粘度指数を改善するための(メタ)アクリレートポリマーに関する。更に、本発明には、新規の潤滑油組成物ならびに前記の説明された(メタ)アクリレートポリマーの製造法および少なくとも1つの極性基油を含有する潤滑油組成物の粘度指数を向上させるための(メタ)アクリレートポリマーの使用が記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘度指数を改善するための(メタ)アクリレートポリマーに関する。更に、本発明は、前記(メタ)アクリレートポリマーを含有する潤滑油組成物を記載する。
【0002】
潤滑油のために合成基油を使用することは、公知技術水準である。合成基油の利点は、自体公知である。例えば、油の粘度特性は、当該油を意図的に合成することによって所定の要件に適合させることができる。既に、1931年に、オレフィンの接触重合をベースとし、および特に良好な流動点を有する潤滑剤が報告されている(A.W.Neely,R.V.Shankland,F.W.Sullivian,N.N.Vorhees,Ind.Eng.Chem.,1931,23,第604頁)。
【0003】
前述のポリオレフィンと共に、時間の経過につれて他の合成油が潤滑油分野において使用された。ここでは、エステル油、例えばアジペート、アルキル化芳香族化合物、ホスフェートエステル、シロキサンおよびポリアルキレングリコール(PAG)を挙げることができる。
【0004】
PAGは、その高い極性および不燃性のために、最初に第二次大戦中、軍用機の水性作動液に使用された(W.H.Millett,Iron Stell Eng.,41,1948)。
【0005】
後に、PAGは、特に航空機エンジン用の潤滑油としてされた(B.Rubin,E.M.Glass,SAE Q. Trans.,4,287,1950)。ここでは、殊にPAGの卓越した低温特性、例えば−50℃未満の流動点が利点であった。
【0006】
PAGの他の望ましい性質として、次の点を挙げることができる:油残渣("スラッジ")および煤の僅かな形成傾向、残渣なしの燃焼、ゴムおよびエラストマーとの高い相容性(ガスケット相容性)、良好な溶解特性。更に、PAGの高い極性は、PAGに金属表面に対する高い親和力を付与し、したがって潤滑膜は、高い負荷下であっても無傷のままである。
【0007】
この理由から、PAGは、自動車エンジン用の潤滑油としても使用された。前記用途への適用は、200万マイルを上廻る試験(mehr als 2 Mio Testmeilen)によって証明された(J.M.Russ,Lubri,Eng.,151,1946)。しかし、ここでは、経済的視点および低い技術的要件のために、PAGは成果を収めることができなかった。
【0008】
世界の石油埋蔵量が減少し、環境問題に対する意識が生じ、および特に潤滑油に対する技術的要件の輪郭が拡大した時に、合成基油への興味が増大する。
【0009】
潤滑油基油としてのポリアルキレングリコールの使用にとって1つの決定的な判断基準は、粘度である。それ故に、潤滑油のための基油は、いわゆるISO−VG種に区分される(DIN 51519による粘度種)。
【0010】
粘度指数向上剤(VII)は、多くの場合に、油温度が上昇する際に粘度低下を減少させる状態にあるポリマー添加剤である。鉱油をベースとする通常の潤滑油中に粘度指数の向上のために使用されるポリマーには、異なる種類が属する。ここでは、オレフィンコポリマー、ポリイソブテン、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、ポリイソプレン、ポリアルキルアクリレートおよびポリアルキルメタクリレートが挙げられる。PAGを基油として使用する場合には、従来のVIIは、低い溶解度のために一般に使用することができない。
【0011】
ポリアルキレングリコール基を含む、繰返し単位を有するポリマーは、公知技術水準から公知である。しかし、このポリマーは、比較的僅かな割合の前記繰返し単位を含む。
【0012】
例えば、刊行物の米国特許第2892820号明細書および米国特許第3277157号明細書には、ポリエチレングリコールをベースとする側鎖を有する、鉱油に可溶性のPAMAが記載されている。ポリアルキレングリコール側鎖を有するPAMAを使用することによって、変性されたポリマーは、洗浄性および分散性の性質を示し、この場合これらの性質は、シリンダに対して減少された塗料様付着性(lackartige Anhaftungen)によって測定可能である。この種のポリマーの類似した性質は、刊行物の欧州特許出願公開第418610号明細書A1および欧州特許出願公開第542111号明細書A2中に説明されている。更に、ポリアルキル(メタ)アクリレートコポリマーをベースとする乳化破壊剤は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19803696号明細書A1の記載から公知である。
【0013】
少なくとも1つの極性基油を含む潤滑油組成物の粘度指数を向上させるための、ポリアルキレングリコール側鎖を有するポリアルキル(メタ)アクリレートコポリマーの使用は、前記に説明された刊行物中には記載されていない。
【0014】
ところで、公知技術水準に照らしてみて、本発明の課題は、少なくとも1つの極性基油を含む潤滑油組成物の粘度指数を向上させる添加剤を提供することであった。この向上は、少なくとも1つのポリアルキレングリコールを含む潤滑油組成物において達成されるべきであった。
【0015】
従って、さらに、本発明の課題は、極めて高い効率で粘度指数を向上させる添加剤を提供することであった。それに応じて、標準に即した値への極性基油の濃稠化をもたらすために、添加剤のできるだけ少ない添加量が必要とされるべきであった。本明細書中で、油温度が上昇する際の粘度の低下は、添加剤の量が極めて僅かであっても著しく減少させることができるべきであった。
【0016】
更に、本発明の課題は、良好な分散性を有する添加剤を提供することであった。更に、この添加剤は、ゴムおよびエラストマーとの高い相容性(ガスケット相容性)を示すべきであった。従って、前記成分は、添加剤によって攻撃されない。同様に、この添加剤は、潤滑油の他の望ましい性質に不利な影響を及ぼさないようすべきであった。即ち、この添加剤は、極性基油の金属表面に対する高い親和力を損なわないようすべきであった。従って、潤滑膜は、高い負荷下であっても無傷のままである。
【0017】
更に、本発明の課題は、簡単に安価に製造することができる添加剤を提供することであり、この場合には、殊に商業的に入手可能な成分が使用されるべきであった。本明細書中で、製造は大工業的に行うことができるべきであるが、このために新規の、または構造的に高価な装置を必要とすることはない。
【0018】
更に、本発明の1つの目的は、数多くの望ましい性質を潤滑油組成物中に生じさせる添加剤を提供することであった。それによって、異なる添加剤の数を最小化することができる。即ち、好ましい添加剤は、殊に分散作用を示すべきであった。
【0019】
更に、添加剤は、基油の環境相容性に対して不利な作用を全く示さないようすべきであった。
【0020】
更に、添加剤は、特に長い保存性を示すべきであり、使用中に大きな崩壊を示すべきではなく、したがって変性された潤滑油組成物を長時間に亘って使用することができる。
【0021】
前記の課題ならびに明示的には挙げられていないものの、本明細書中で冒頭で議論した関係から容易に想到するか、もしくは推論することができる別の課題は、請求項1の全ての特徴を有する粘度指数を向上させるための(メタ)アクリレートポリマーによって解決される。本発明による(メタ)アクリレートポリマーの好ましい変形は、請求項1を引用する従属請求項に記載されている。潤滑油組成物、本発明による(メタ)アクリレートポリマーの特殊な使用および該ポリマーを製造するための好ましい方法に関連して、請求項9、12および14は、当該課題の解決を提供する。
【0022】
それに応じて、本発明の対象は、(メタ)アクリレートポリマーが
a)式(I)
【化1】

〔式中、Rは、水素またはメチルを表わし、R1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表わす〕で示される(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜60質量を含有し、
b)式(II)
【化2】

〔式中、Rは、水素またはメチルを表わし、R2は、7〜30個の炭素原子を有するアルキル基を表わす〕で示される(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜80質量を含有し、および
c)式(III)
【化3】

〔式中、Rは、水素またはメチルを表わし、nは、2〜500の範囲内の数を表わし、Aは、C2〜C4アルキレンを表わし、R3は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表わす〕で示される(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位15〜90質量を含有することを特徴とする、粘度指数を向上させるための(メタ)アクリレートポリマーである。
【0023】
それによって、予測不可能な方法で、極めて高い効率で粘度指数を向上させる添加剤を提供することに成功する。それに応じて、比較的僅かな添加量の添加剤は、標準に即した値で極性基油の濃稠化をもたらす。本明細書中で、油温度が上昇する際の粘度の低下は、添加剤の量が極めて僅かであっても著しく減少させることができる。
【0024】
粘度指数向上剤を改善するための(メタ)アクリレートポリマーの好ましい実施態様によれば、良好な分散性を有する添加剤が提供される。更に、粘度指数を向上させるための(メタ)アクリレートポリマーは、ゴムおよびエラストマーとの高い相容性を示し(ガスケット相容性)、したがって前記成分は、添加剤によって攻撃されない。同様に、この添加剤は、潤滑油の他の望ましい性質に不利な影響を及ぼさない。即ち、粘度指数を向上させるための(メタ)アクリレートポリマーは、極性基油の金属表面に対する高い親和力を損なわず、したがって、潤滑膜は、高い負荷下であっても無傷のままである。
【0025】
更に、粘度指数を向上させるための(メタ)アクリレートポリマーは、簡単に安価に製造されることができ、この場合には、殊に商業的に入手可能な成分を使用することができる。本明細書中で、製造は大工業的に行なうことができ、このために新規の、または構造的にコストの掛かる装置は必要とされない。
【0026】
更に、粘度指数を向上させるための(メタ)アクリレートポリマーは、潤滑油組成物中で数多くの望ましい性質を生じさせることができる。それによって、異なる添加剤の数を最小化することができる。即ち、好ましい添加剤は、殊に分散作用を示すことができる。
【0027】
更に、粘度指数を向上させるための(メタ)アクリレートポリマーは、基油の環境相容性に対して不利な作用を全く示さない。
【0028】
更に、粘度指数を向上させるための(メタ)アクリレートポリマーは、特に長い保存性を示し、使用中に大きな崩壊を示さず、したがって変性された潤滑油組成物を長時間に亘って使用することができる。
【0029】
本発明によれば、式(I)
【化4】

〔式中、Rは、水素またはメチルを表わし、R1は、直鎖状または分枝鎖状であってよい、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表わす〕で示される(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜60質量%、特に15〜40質量%、特に有利に20〜30質量%を含有する、粘度指数を向上させるための(メタ)アクリレートポリマーが提供される。
【0030】
更に、繰返し単位の概念は、当業者に公知である。本発明の(メタ)アクリレートポリマーは、特にモノマーのラジカル重合により得ることができ、この場合下記に説明されるATRP法、RAFT法およびNMP法は、本発明の範囲内でラジカル法に含まれ、それによって何らの制限も生じるものではない。これらの方法において、二重結合は、開かれ、共有結合を形成する。それに応じて、繰返し単位は、使用されるモノマーからもたらされる。質量割合を測定するために、通常、末端基または開始基は、無視してよい。それに応じて、前記ポリマーを有するそれぞれの繰返し単位の質量割合は、ポリマーの製造に使用される、相応するモノマーの質量割合からもたらされる。
【0031】
(メタ)アクリレートという表現は、メタクリレートおよびアクリレートならびに双方からなる混合物を包含する。これらのモノマーは、周知である。
【0032】
式(I)に記載のモノマーの例は、特に飽和アルコールに由来する(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、第三ブチル(メタ)アクリレートおよびペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えばシクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートである。記載されたモノマーの中、メチルメタクリレートが特に好ましい。
【0033】
更に、本発明によれば、粘度指数を向上させるための(メタ)アクリレートポリマーは、式(II)
【化5】

〔式中、Rは、水素またはメチルを表わし、R2は、直鎖状または分枝鎖状であってよい、7〜30個の炭素原子を有するアルキル基を表わす〕で示される(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜80質量%、特に15〜70質量%、特に有利に20〜60質量%を含有する。
【0034】
式(II)に記載のモノマーの例は、特に次の通りである:
飽和アルコールに由来する(メタ)アクリレート、例えば
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、
2−第三ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、
3−イソプロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、
デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、
5−メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、
2−メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、
5−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、
ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、
2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5−イソ−プロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、
4−第三ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、
5−エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、
3−イソ−プロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、
オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、
エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、
ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレートおよび/またはエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリレート;
シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば
3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、
2,4,5−トリ−第三ブチル−3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、
2,3,4,5−テトラ−第三ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート。
【0035】
長鎖アルコール基を有する(メタ)アクリレートは、例えば(メタ)アクリレートおよび/または(メタ)アクリル酸と、長鎖脂肪アルコールとの反応によって得ることができ、その際、一般に種々の長鎖アルコール基を有する(メタ)アクリレートの混合物が生じる。前記の脂肪アルコールには、とりわけ、Oxo Alcohol(登録商標)7911、Oxo Alcohol(登録商標)7900、Oxo Alcohol(登録商標)1100; Alfol(登録商標)610、Alfol(登録商標)810;Lial(登録商標)125およびNafol(登録商標)型(Sasol社);Alphanol(登録商標)79(ICI社);Epal(登録商標)610およびEpal(登録商標)810(Afton社); Linevol(登録商標)79,Linevol(登録商標)911およびNeodol(登録商標)25E(Shell社); Dehydad(登録商標)、Hydrenol(登録商標)−およびLorol(登録商標)型(Cognis社);Acropol(登録商標)35およびExxal(登録商標)10(Exxon Chemicals社);Kalcol(登録商標) 2465(Kao Chemicals社)が属する。
【0036】
特に、アルコール基中に7〜15個の炭素原子を有する(メタ)アクリレートに由来する、(メタ)アクリレートポリマー中の繰返し単位の割合は、(メタ)アクリレートポリマーの製造に使用されるモノマーの質量に対して5〜80質量%、殊に有利に15〜70質量%、特に有利に20〜60質量%である。更に、16〜30個の炭素原子を有する(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位0.5〜60質量%、特に有利に1〜20質量%を含有する(メタ)アクリレートポリマーが好ましい。
【0037】
本発明の好ましい実施態様によれば、式(II)のモノマーの混合物が使用されてよく、その際、この混合物は、特にアルコール基中に7〜15個の炭素原子を有する少なくとも1つの(メタ)アクリレートならびにアルコール基中に16〜30個の炭素原子を有する少なくとも1つの(メタ)アクリレートを含有する。アルコール基中の7〜15個の炭素原子を有する(メタ)アクリレートとの、アルコール基中の16〜30個の炭素原子を有する(メタ)アクリレートに対する質量比は、特に10:1から1:10の範囲内、特に有利に5:1から1.5:1の範囲内にある。
【0038】
更に、本発明によれば、粘度指数を向上させるための(メタ)アクリレートポリマーは、式(III)
【化6】

〔式中、nは、繰返し単位の数を表わし、一般に2〜150の範囲内、殊に3〜50の範囲内、特に有利に4〜20の範囲内の数を表わし、Aは、C2〜C4アルキレン、例えば1,2−エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,2−プロパンジイル、1,2−ブタンジイルまたは1,4−ブタンジイルを表わし;Rは、水素またはメチルを表わし、R3は、水素または1〜4個のC原子を有するアルキル、特にメチルまたはエチルを表わす〕で示される(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位15〜90質量%、特に25〜70質量%、特に有利に30〜60質量%を含有する。
【0039】
式(III)の(メタ)アクリレートに由来するモノマーは、本発明の範囲内でポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとも呼称される。
【0040】
特に有利に使用可能な(ポリ−C2〜C4−アルキレングリコール)−モノ(メタ)アクリル酸エステルは、式(III)中の繰返し単位A−O少なくとも50質量%、特に少なくとも70質量%、殊に少なくとも90質量%、特に全部がエチレングリコールまたは酸化エチレンに由来することを示す。それに応じて、式(III)中の前記単位A−O特に少なくとも50質量%、殊に少なくとも70質量%、殊に有利に少なくとも90質量%、特に全部がCH2−CH2−Oを表わす。更に、本発明の好ましい実施態様によれば、式(III)中の繰返し単位少なくとも50質量%、特に少なくとも70質量%、殊に少なくとも90質量%、特に全部がプロピレングリコールまたは酸化プロピレンに由来することができる。
【0041】
好ましいポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートには、殊にアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートが属し、これは、上記式(III)中の基R4としてのアルキル基によって区別される。本明細書中で、殊にMPEG−(メタ)アクリレートとも呼称されるメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートは、特に好ましい。
【0042】
式(III)に記載のモノマーの製造は、とりわけ、出願番号PCT/EP2005/009466で欧州特許庁において2005年09月02日に出願されたWO 2006/024538および出願番号PCT/US2004/015898で米国特許庁(USPTO)において2004年05月20日に出願されたWO 2005/000929中に説明されており、この場合開示の目的のためにこれらの刊行物が指摘され、これらの刊行物中に記載されたポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートおよびその製造方法は、本願に含まれる。即ち、ヒドロキシ基を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸とエポキシドとの反応によって得ることができる。更に、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートは、アルキル(メタ)アクリレートをアルコキシポリアルキレングリコール、殊にメトキシポリアルキレングリコールとエステル交換することによって得ることができる。
【0043】
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートの分子量の質量平均は、特にGPCにより測定した、200〜6000g/molの範囲内、特に有利に250〜1000g/molの範囲内にある。
【0044】
式(III)に記載の好ましい(メタ)アクリレートには、とりわけ、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチルメタクリレート、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルアクリレート、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、メチルジプロピレングリコールメタクリレート、メチルトリプロピレングリコールメタクリレート、メチルトリプロピレングリコールアクリレート、メチルジプロピレングリコールアクリレート、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルメタクリレートが属する。殊に、Evonik Roehm GmbH社から商品名VISIOMER(登録商標)BDGMAで商業的に入手可能である、CAS−No.7328−22−5を有するブチルジグリコールメタクリレートは、特に興味深い。Evonik Roehm GmbH社から商品名VISIOMER(登録商標)ETMAで商業的に入手可能である、CAS−No.39670−09−2を有するエチルトリグリコールメタクリレートは、特に好ましい。
【0045】
更に、有利に使用すべきポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートは、CAS−No.26915−72−0を有するメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートである。このメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートは、有利に350〜5500の範囲内の分子量の数平均を有し、したがって上記式(III)中のnは、特に6〜120の範囲内にある。前記モノマーは、殊にPlex(登録商標)6850−0、Plex(登録商標)6969−0、Plex(登録商標)6968−0およびPlex(登録商標)6965−0またはVISIOMER(登録商標)MPEG 750 MA W、VISIOMER(登録商標)MPEG 1005 MA W、VISIOMER(登録商標)MPEG 2005 MA WおよびVISIOMER(登録商標)MPEG 5005 MA Wの商品名でEvonik Roehm GmbH社から商業的に入手可能である。
【0046】
本発明による(メタ)アクリレートポリマーは、式(I)〜(III)の前記に説明された(メタ)アクリレートと共重合可能である他のモノマーを含むことができる。これについては、とりわけ、アリール(メタ)アクリレート、例えばベンジルメタクリレートまたはフェニルメタクリレート、この場合アリール基は、それぞれ非置換であることができるか、または4回まで置換されていてよく;
スチレン、側鎖中にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えば□−メチルスチレンおよび□−エチルスチレン、環上にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばビニルトルエンおよびp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレンおよび
テトラブロモスチレン;
マレイン酸およびマレイン酸誘導体、例えばマレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、
無水マレイン酸、メチルマレイン酸無水物、マレインイミド、メチルマレインイミド;
イタコン酸およびイタコン酸誘導体、例えばイタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステルおよび
無水イタコン酸;
フマル酸およびフマル酸誘導体、例えば
フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステルおよび
無水フマル酸が属する。
【0047】
1つの特殊な実施態様によれば、殊に式(III)のモノマーと区別される分散性モノマーが使用されてよい。
【0048】
分散性モノマーは、久しく潤滑油中のポリマー添加剤の官能化のために使用されており、したがって、当業者に公知である(R.M.Mortier,S.T.Orszulik(編者):"Chemistry and Technologyof Lubricants",Blackie Academic & Professional,London,第2版.1997参照)。好ましくは、殊に式(IV)
【化7】

〔式中、Rは、水素またはメチルを表わし、Xは、酸素、硫黄または式−NH−または−NRa−(式中、Raは1〜10個、有利に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表わす)のアミノ基を表わし、R4は、2〜50個、殊に2〜30個、特に2〜20個の炭素原子および少なくとも1個、特に少なくとも2個のヘテロ原子を有する基を表わす〕で示されるヘテロ環式ビニル化合物および/またはエチレン系不飽和の極性エステルまたはアミド化合物は、分散性モノマーとして使用されてよい。
【0049】
式(IV)の分散液モノマーの例は、とりわけアミノアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヘテロ環式(メタ)アクリレートおよび/またはカルボニル含有(メタ)アクリレートである。
【0050】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートには、とりわけ
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレートおよび
1,10−デカンジオール(メタ)アクリレートが属する。
【0051】
カルボニル含有(メタ)アクリレートは、例えば
2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、
カルボキシメチル(メタ)アクリレート、
N−(メタクリロイルオキシ)ホルムアミド、
アセトニル(メタ)アクリレート、
コハク酸−モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、
N−(メタ)アクリロイルモルホリン、
N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリジノン、
N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ピロリジノン、
N−(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノン、
N−(2−(メタ)アクリロイルオキシペンタデシル)−2−ピロリジノン、
N−(3−(メタ)アクリロイルオキシヘプタデシル)−2−ピロリジノンおよび
N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)エチレン尿素、
2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートを含む。
【0052】
ヘテロ環式(メタ)アクリレートには、とりわけ2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、
オキサゾリジニルエチル(メタ)アクリレート、
2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリレート、
1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドン、
N−メタクリロイルモルホリン、
N−メタクリロイル−2−ピロリジノン、
N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリジノン、
N−(3−メタクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノンが属する。
【0053】
アミノアルキル(メタ)アクリレートには、殊に
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、
N,N−ジエチルアミノペンチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジブチルアミノヘキサデシル(メタ)アクリレートが属する。
【0054】
更に、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドは、分散性モノマーとして使用されてよい。
【0055】
更に、燐含有(メタ)アクリレート、硼素含有(メタ)アクリレートおよび/または珪素含有(メタ)アクリレート、例えば
2−(ジメチルホスファト)プロピル(メタ)アクリレート、
2−(エチレンホスフィト)プロピル(メタ)アクリレート、
ジメチルホスフィノメチル(メタ)アクリレート、
ジメチルホスホノエチル(メタ)アクリレート、
ジエチル(メタ)アクリロイルホスホネート、
ジプロピル(メタ)アクリロイルホスフェート、
2−(ジブチルホスホノ)エチル(メタ)アクリレート、
2,3−ブチレン(メタ)アクリロイルエチルボレート、
メチルジエトキシ(メタ)アクリロイルエトキシシラン、
ジエチルホスファトエチル(メタ)アクリレートは、分散性モノマーとして使用されてよい。
【0056】
好ましいヘテロ環式ビニル化合物には、とりわけ、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、
4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルイミダゾール、
2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、
2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、
ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾールおよび水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾールおよび水素化ビニルオキサゾールが属する。
【0057】
特に好ましい分散性モノマーには、殊に少なくとも1個の窒素原子を含有するエチレン系不飽和化合物が属し、この場合この化合物は、特に有利に前記に説明されたヘテロ環式ビニル化合物および/またはアミノアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリルアミドおよび/またはヘテロ環式(メタ)アクリレートから選択される。
【0058】
上記のエチレン系不飽和モノマーは、単独で、または混合物として使用することができる。更に、定義された構造、例えばブロックコポリマーまたはグラフトポリマーを得るために、主鎖の重合の中にモノマー組成物を変化させることが可能である。
【0059】
とりわけ、有利に5000〜1000000g/mol、特に有利に10000〜200000g/mol、殊に有利に40000〜100000g/molの範囲内の質量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリレートポリマーは、特に興味深い。
【0060】
(メタ)アクリレートポリマーの数平均分子量Mwは、特に5000〜800000g/mol、特に有利に8000〜200000g/mol、殊に有利に30000〜100000g/molの範囲内にあることができる。
【0061】
更に、多分散度指数Mw/Mnが1〜5の範囲内、特に有利に2.5〜4.5の範囲内にある(メタ)アクリレートポリマーは、好ましい。数平均分子量および質量平均分子量は、公知方法、例えばゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されることができる。前記方法は、詳細には出願番号PCT/EP2006/065060で欧州特許庁において2006年08月04日に出願されたWO 2007/025837および出願番号PCT/EP2007/003213で欧州特許庁において2006年04月07日に出願されたWO 2007/03238中に記載されており、この場合これらの中で説明された、分子量を測定するための方法は、開示の目的のために本願に含まれる。
【0062】
本発明による櫛形ポリマーは、種々の方法で製造されてよい。1つの好ましい方法は、記載されたモノマーの自体公知のラジカル共重合にある。
【0063】
即ち、前記のポリマーは、特にラジカル重合により、ならびに制御されたラジカル重合の関連方法、例えばATRP(=Atom Transfer Radical Polymerisation:原子移動ラジカル重合)、NMP(Nitroxide−mediated Polymerisationニトロキシドを介した重合)またはRAFT(=Reversible Addition Fragmentation Chain Transfer:可逆的な付加断片化連鎖移動)により得ることができる。
【0064】
通常のフリーラジカル重合は、特にUllmanns’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版に記載されている。一般にはこのために、重合開始剤ならびに場合により連鎖移動剤が使用される。
【0065】
使用可能な開始剤には、とりわけ、当業界で周知のアゾ開始剤、例えばAIBNおよび1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、ならびに
ペルオキシ化合物、例えばメチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、第三ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ケトンペルオキシド、第三ブチルペルオクトエート、
メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、
ジベンゾイルペルオキシド、第三ブチルペルオキシベンゾエート、第三ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイル−ペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、第三ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、第三ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジクミルペルオキシド、1,1−ビス(第三ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、
1,1−ビス(第三ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
クミルヒドロペルオキシド、第三ブチルヒドロペルオキシド、
ビス(4−第三ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、前記化合物の2つまたはそれ以上の互いの混合物ならびに前記化合物と同様にラジカルを形成することができる、記載されていない化合物との混合物が属する。連鎖移動剤として、殊に油溶性のメルカプタン、例えばn−ドデシルメルカプタンまたは2−メルカプトエタノールまたはテルペンの群からの連鎖移動剤、例えばテルピノールが適している。
【0066】
ATRP−法は、自体公知である。これは"リビング"ラジカル重合であるが、メカニズムの記載により限定されるべきではないと考えられる。この方法で遷移金属化合物は、移動可能な原子基を有する化合物と反応される。この場合、移動可能な原子基は、遷移金属化合物上に移動され、このことにより金属が酸化される。この反応の際に、エチレン基に付加する基が形成される。しかし、遷移金属化合物上への原子基の移動は可逆的であるので、原子基は成長しているポリマー鎖に逆戻りし、このことによって制御された重合系が形成される。
【0067】
それに応じて、ポリマーの構造、分子量および分子量分布は、制御されうる。
【0068】
この反応実施は、例えばJ−S.Wang等によりJ.Am.Chem.Soc.、第117巻、第5614〜5615頁(1995)に、およびMatyajaszewskiによりMacromolecules、第28巻、第7901〜7910(1995)に記載されている。更に、特許出願WO96/30421、WO97/47661、WO97/18247、WO98/40415およびWO99/10387には、前記のATRPの変法が記載されている。
【0069】
更に、本発明によるポリマーは、例えばRAFT法によって得られてもよい。この方法は、例えばWO 98/01478およびWO 2004/083169中に詳細に記載されている。
【0070】
重合は、常圧、減圧または過圧で実施されてよい。また、重合温度は、重要ではない。しかし、温度は一般に−20℃〜200℃、有利に50℃〜150℃、特に有利に80℃〜130℃の範囲内にある。
【0071】
重合は、溶剤を用いても用いなくても実施することができる。この場合、溶剤の概念は、広く理解すべきである。溶剤は、使用されるモノマーの極性により選択され、この場合には、殊にエステル油が好ましい。エステル油には、殊にカルボン酸および/または燐酸に由来するエステル化合物が属する。
【0072】
燐化合物に由来するエステル油には、殊にアルキルアリールホスフェートエステル、トリアルキルホスフェート、例えばトリブチルホスフェートまたはトリ−2−エチルヘキシルホスフェート;トリアリールホスフェート、例えば混合されたイソプロピルフェニルホスフェート、混合された第三ブチルフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェートまたはトリクレシルホスフェートが属する。更に、溶剤として使用されてよい有機燐化合物の種類は、アルキル置換基および/またはアリール置換基を有することができるホスホネートおよびホスフィネートを含む。ジアルキルホスホネート、例えばジ−2−エチルヘキシルホスホネート;アルキルホスフィネート、例えばジ−2−エチルヘキシルホスフィネートは、基油として使用されてよい。好ましいアルキル基は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状炭素鎖を有する。
【0073】
アリール基に関連して、6〜10個の炭素原子を有する基が好ましく、この場合この基は、アルキル基で置換されていてよい。
【0074】
更に、カルボン酸エステルをベースとする溶剤が使用されてよい。このカルボン酸エステルは、通常、アルコール、例えば一価アルコールまたは多価アルコールとカルボン酸、例えば一価カルボン酸または多価カルボン酸との反応生成物である。
【0075】
本明細書中で、部分カルボン酸エステルが使用されてもよい。
【0076】
カルボン酸エステルは、Rが独立して1〜40個の炭素原子を有する基であるような式R−COO−Rを有するカルボン酸エステル基を有していてよい。好ましいエステル化合物は、少なくとも2個のエステル基を有する。この化合物は、少なくとも2個の酸基を有するポリカルボン酸および/または少なくとも2個のヒドロキシル基を有するポリオールをベースとすることができる。
【0077】
好ましいポリカルボン酸基は、2〜40個、有利に4〜24個、殊に有利に4〜12個の炭素原子を有することができる。好ましいポリカルボン酸エステルは、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸および/またはドデカン酸のエステルである。ポリカルボン酸エステルのアルコール成分は、特に1〜20個、有利に2〜10個の炭素原子を有する。
【0078】
前記に説明されたエステルを製造するための好ましいアルコールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノールおよびドデカノールである。
【0079】
1つの好ましい実施態様によれば、ポリカルボン酸および正確に1個のヒドロキシル基を有するアルコールに由来する化合物が使用される。前記化合物の例は、とりわけUllmanns Encyclopaedie der Technischen Chemie,第3版,第15卷,第287〜292頁,Urban & Schwarzenber(1964)中に説明されている。
【0080】
少なくとも2個のエステル基を有するエステル基化合物を製造するのに好ましいポリオールは、通常、2〜40個、特に4〜22個の炭素原子を有する。例は、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2’,2’−ジメチル−3’−ヒドロキシプロピオネート、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメタノールプロパン、トリメチロールノナン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトールおよびジペンタエリトリトールである。ポリエステルのカルボン酸成分は、1〜40個、特に2〜24個の炭素原子を有することができる。例は、直鎖状または分枝鎖状の飽和カルボン酸、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、2,2−ジメチルブタン酸、2,2−ジメチルペンタン酸、2,2−ジメチルオクタン酸、2−エチル−2,3,3−トリメチルブタン酸、2,2,3,4−テトラメチルペンタン酸、2,5,5−トリメチル−2−第三ブチルヘキサン酸、2,3,3−トリメチル−2−エチルブタン酸、2,3−ジメチル−2−イソプロピルブタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸;直鎖状または分枝鎖状の不飽和カルボン酸、例えばリノール酸、リノレン酸、9−オクタデセン酸、ウンデセン酸、エライジン酸、エイコサンペンタエン酸、エルカ酸、ブラッシジン酸および油酸である。前記酸は、数多くの純度で商業的に得ることができる。
【0081】
脂肪酸混合物、例えばトール油脂肪酸は、同様に使用されてよい。
【0082】
少なくとも2個のエステル基を有する特に好ましいエステル化合物は、とりわけジイソノニルアジペート、ネオペンチルグリコールタラート、ネオペンチルグリコールジオレエート、プロピレングリコールタラート、プロピレングリコールジオレエート、ジエチレングリコールタラートおよびジエチレングリコールジオレエートである。この場合、タラートは、トール油脂肪酸混合物に由来するエステルを意味する。
【0083】
数多くの前記化合物は、BASF社から商品名(登録商標)Plastomoll DNAで、Inolex Chemical Co.社から商品名(登録商標)Lexolube 2G−214で、Cognis Corp.社から商品名(登録商標)ProEco 2965で、Uniqema Corp.社から商品名(登録商標)Priolube 1430および(登録商標)Priolube 1446で、およびGeorgia Pacific社から商品名(登録商標)Xtolube 1301および(登録商標)Xtolube 1320で商業的に入手することができる。
【0084】
本発明によるポリマーをラジカル重合で製造するために使用すべきモノマーは、一般に商業的に得ることができる。
【0085】
本発明による(メタ)アクリレートポリマーは、殊に極性基油をベースとする潤滑油配合物の粘度指数を向上させるために使用される。極性基油は、通常、極性基、殊にエステル基および/またはエーテル基を有する化合物を含む。
【0086】
この極性基油には、とりわけ有機エステル、例えばカルボン酸のジエステルおよびポリエステル、例えばアジペート、ホスフェートエステル、ポリアルキレングリコール、ポリエーテルおよびシリコーンオイルが属する。
【0087】
好ましい極性基油には、殊に特に燐酸エステルおよび/またはカルボン酸エステルを含む、前記に説明されたエステル油が属する。更に、(メタ)アクリレートを重合させることによって得ることができるエスエル油が使用されてよい。このためには、とりわけ欧州特許出願公開第0471266号明細書A1中に説明された合成油が属し、この場合出願番号EP 91113123.3で1991年8月5日に欧州特許庁において出願された欧州特許出願公開第0471266号明細書中に説明された、(メタ)アクリレートをベースとする油は、開示の目的のために参考文献の記載によって本願に含まれる。前記油は、Evonik RohMax GmbH社の商品名(登録商標)Viscobaseで商業的に入手可能である。
【0088】
特に意外なことに、本発明による(メタ)アクリレートポリマーは、ポリアルキレングリコールの粘度比の向上のために使用されてよい。ポリアルキレングリコールは、当業界で公知であり、この場合前記ポリエーテルは、一般にアルキレンオキシド(酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン等)を開始剤、例えばアルコールとアニオン開環重合させることによって得ることができる(Ullmann Encyclopedia of Industrial Chemistry,第5版,VCH,ISBN 3−527−20100−9)。この場合、アルキレンオキシドのアニオン重合の触媒として、一般にアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムが使用される。
【0089】
潤滑剤を配合するための基油としての前記ポリアルキレングリコールの使用および要件は、例えばFDA規則21 CFR 178.3910(Surface lubricants used in manufacture of metallic articles 金属製品の製造において使用される表面潤滑剤)または21 CFR 173.340,21 CFR 178.3570(lubricants with incidental food contact 偶発的な食物接触を有する潤滑剤)に記載されている。ポリアルキレングリコール基油の特性決定は、該基油の粘度、該基油の平均モル質量ならびにモル質量分布および配合されたアルキレンオキシドモノマーの割合により行なわれる。
【0090】
潤滑剤基油としてのポリアルキレングリコールの使用にとって1つの決定的な判断基準は、粘度である。それ故に、潤滑剤のための基油は、いわゆるISO−VG種に区分される(DIN 51519による粘度種)。
【0091】
本発明によれば、ポリアルキレンホモポリマー、殊にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよび/またはポリブチレングリコール、またはポリアルキレンコポリマー、殊にエチレングリコール単位、プロピレングリコール単位および/またはブチレングリコール単位を含有するコポリマーが使用されてよい。本明細書中で、ランダムコポリマーならびにブロックコポリマーが使用されてよい。
【0092】
好ましいポリアルキレングリコールの数平均分子量は、特に200〜4000g/molの範囲内、特に有利に350〜2000g/molの範囲内にある。この値は、例えばGPCによって、または低い分子量においては、蒸気圧浸透法によって測定することができる。
【0093】
更に、殊に潤滑油配合物に使用されてよいポリアルキレングリコールの詳細は、殊にRudnik,L.R.Shubkin,R.L.,Synthetic Lubricants and High−Performance Functional Fluids,第2版,1999,第6章およびMang,Th.,Dresel W.,Lubricants and Lubrication,第2版,2007,第5.3章中に記載されており、この場合これらの刊行物は、開示の目的のために参考文献の記載によって本願に含まれる。
【0094】
潤滑油(基油)として、殊にASTM 445により40℃で測定した、3mm2/秒〜400mm2/秒、特に有利に5mm2/秒〜350mm2/秒の範囲内の粘度を有する油を使用することができる。
【0095】
これらの基油は混合物として使用することもでき、かつ多様なものが市販されている。即ち、前記に説明されたポリアルキレングリコールは、殊にClariant社から入手可能であり、また、Dow社から商品名(登録商標)Synaloxで、およびKlueber Lubrication社から商品名(登録商標)Kluebersynthで入手可能である。
【0096】
潤滑油組成物中の(メタ)アクリレートポリマーの濃度は、特に該組成物の全質量に対して、特に0.1〜40質量%の範囲内、殊に有利に1〜30質量%の範囲内、特に有利に2〜25質量%の範囲内、全く有利に5〜20質量%の範囲内にある。
【0097】
前記成分と共に、潤滑油組成物は、別の添加剤および補助剤を含有していてよい。前記添加剤には、とりわけDI添加剤(分散剤、洗浄剤、消泡剤、腐蝕防止剤、酸化防止剤、耐摩耗添加剤および極圧添加剤、摩擦調整剤)および/または染料が属する。
【0098】
有利な潤滑油組成物は、ASTM D445によれば40℃で測定した、10〜500mm2/秒の範囲内、特に有利に22〜200mm2/秒の範囲内の粘度KV40を有する。100℃で測定した、動粘度KV100は、特に少なくとも6.5mm2/秒、特に有利に少なくとも7.5mm2/秒、殊に有利に少なくとも8.0mm2/秒である。
【0099】
本発明の1つの特殊な視点によれば、好ましい潤滑油組成物は、ASTM D 2270により測定した、100〜400の範囲内、特に有利に150〜350の範囲内、殊に有利に175〜275の範囲内の粘度指数を有する。
【0100】
本発明による潤滑油組成物は、殊にトランスミッションオイル、エンジンオイルまたは圧媒油として使用されてよい。意外な利点は、殊に本発明による潤滑剤をマニュアル(manual)トランスミッション、オートマチックトランスミッションと同様の自動変速を実現するマニュアル(automated manual)トランスミッション、デュアルクラッチ(double clutch)トランスミッションまたはダイレクトシフトトランスミッション(DSG)、自動(automatic)変速機構および自動無段階変速機構(continuous variable transmission CVC)に使用する際に達成することができる。更に、本発明による潤滑剤は、殊にトランスファーケース(transfer case)トランスミッションおよびアクスル(axle)トランスミッションシステムまたは差動伝動系(differential)中に使用されてよい。
【0101】
次に、本発明を、実施例および比較例につき説明するが、これによって本発明は限定されるものではない。百分率で説明された記載は、別記しない限り、質量に関連するものである。
【0102】
略称
DPMA=ドデシル−ペンタデシルメタクリレート(Shell社の(登録商標)Neodol 25 Eから製造した)
LIMA=ドデシル−ペンタデシルメタクリレート(Sasol社の(登録商標)LIAL 125から製造した)
MMA=メタクリル酸メチルエステル
ETGMA=2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチルメタクリレート
NVP=N−ビニル−2−ピロリドン
MAS=メタクリル酸
DMAPMA=3−ジメチルアミノプロピルメタクリレート
DMAEMA=2−ジメチルアミノエチルメタクリレート
MOEMA=2−(4−モルホリニル)エチルメタクリレート
OEMA=2−(3−オキサゾリジニル)エチルメタクリレート。
【0103】
カーボンブラックによる斑点試験の実施:
相応する油中での得られたポリマーの分散作用を測定するために、例えばA.Schillingによって"Les" Huiles pour Moteurs et le Graissage des Moteurs,第1卷,1962,第89頁以降に若干変更された形で記載されているような斑点試験を実施した。このために、150mlのテフロン製ビーカー中に、カーボンブラック1.5g(ランプブラック、Degussa社のSpezialschwarz 4)、配合物50gおよび引続き275個の鋼製ボール(d=2mm)を装入した。調製された試料を15分間Red Devil 5400 塗料練り機を用いて振盪し、次に高速篩別機(280μm)を介して篩別した。その後に、それぞれの分散液20μlを斑点として濾紙(5892、ホワイトリボン、無灰定量ろ紙、d=90mm)上に施す。80℃で乾燥炉中に1時間の貯蔵後、試料を評価した。評価のために、カーボンブラック斑点の直径d1およびこのカーボンブラック斑点を取り囲む油斑点の直径d2を測定し、それぞれの直径の割合として%で表現した(評価=d1/d2*100%)。評価が高ければ高いほど、すなわちカーボンブラック斑点に関連して取り囲む油斑点の直径が小さければ小さいほど、分散作用は、ますます良好になる。規定の方法を2回実施した。
【0104】
斑点試験の全ての評価は、2回の個々の試験の総和としてもたらされる。従って、劣悪なカーボンブラック分散を有する製品は、良好なカーボンブラック分散作用を有する製品よりも低い値をもたらす。
【実施例】
【0105】
実施例1〜10
サーベル型攪拌機、冷却器、PT100を有する温度調節器、供給ポンプおよびN2供給管路を備えた装置の2 Lの反応フラスコ中に、組成が第1表中に説明されているモノマー混合物49.3gおよび(登録商標)Plastomoll DNA 444.0g(ジイソノニルアジペート;BASFから入手可能)を装入した。この装置を、化学変化が起こらないようにし、そして100℃に加熱した。
更に、組成が第1表中に説明されているモノマー混合物506.7gおよび第三ブチルペル−2−エチルヘキサノエート9.4gを含有するモノマー/開始剤混合物を製造した。反応フラスコ中の混合物が100℃の温度に達した後に、第三ブチルペル−2−エチルヘキサノエート1.68gを添加し、同時にモノマー/開始剤混合物の供給をポンプを用いて開始した。添加を同様に100℃で210分間に亘って行なった。供給の終結から2時間後に、再び第三ブチルペル−2−エチルヘキサノエート1.1gを添加し、さらに100℃で2時間攪拌した。55.6%の澄明な溶液が得られた。GPCにより得られた、ポリマーのモル質量の質量平均は、同様に第1表中に説明されている。
【0106】
【表1】

【0107】
実施例11および比較例1〜4
サーベル型攪拌機、冷却器、PT100を有する温度調節器、供給ポンプおよびN2供給管路を備えた装置の2 Lの反応フラスコ中に、組成が第2表中に説明されているモノマー混合物49.3gおよびPlastomoll DNA 444.0gを装入した。この装置を、化学変化が起こらないようにし、そして100℃に加熱した。更に、組成が第2表中に説明されているモノマー混合物506.7gおよび第三ブチルペル−2−エチルヘキサノエート9.4gを含有するモノマー/開始剤混合物を製造した。反応フラスコ中の混合物が100℃の温度に達した後に、第三ブチルペル−2−エチルヘキサノエート1.68gを添加し、同時にモノマー/開始剤混合物の供給をポンプを用いて開始した。添加を同様に100℃で210分間に亘って行なった。供給の終結から2時間後に、再び第三ブチルペル−2−エチルヘキサノエート1.1gを添加し、さらに100℃で2時間攪拌した。55.6%の澄明な溶液が得られた。この溶液にNVP17.8gおよびPlastomol DNA 14.2gを添加し、および130℃に加熱した。この温度に達した後に、第三ブチルペルベンゾエート1.4gを添加した。それから1時間後、2時間後および3時間後に、第三ブチルペルベンゾエート0.72gを添加した。最後の開始剤添加後に、なお130℃で2時間攪拌した。55.6%の澄明な溶液が得られた。ブルックフィールドによって得られた粘度(BV100)は、同様に第2表中に説明されている。
【0108】
【表2】

【0109】
使用例
説明されたポリマーによる粘度指数の向上をポリアルキレングリコール中で試験し、この場合には、低い粘度のポリアルキレン油(PAG 1:Dow Chemicals社のUCON 50−HB−55)および高い粘度のポリアルキレン油(PAG2:Shell社のSINALOX 50−S220)を使用した。得られた結果は、第3表中および第4表中に説明されている。この配合物を100℃で約8mm2/秒の粘度に調節した(ASTM D445)。典型的な配合変数KV40(ASTM D445)および粘度指数VI(ASTM 2270)を測定した。得られた値は、第2表から確認することができる。
【0110】
【表3】

【0111】
実施例1と実施例9と実施例10との比較は、メチルメタクリレートを使用することによって、ポリマーの濃稠化作用を改善することができ、したがって、基油を一定の粘度に調節するために、微少量のポリマーが必要とされることを示す。本発明のデータは、殊に驚異的である。それというのも、メタクリル酸の使用によるポリマーの極性の上昇だけでは、極性基油中で粘度指数の向上を達成させるのに使用されうる添加剤の提供のためには不十分であるからである。
【0112】
【表4】

【0113】
第3表および第4表から、記載された可溶性のPAMAを用いてPAGを添加することによって、PAGの粘度指数が顕著に上昇しうることが明らかになる。温度が上昇する際にそれと共に減少される粘度低下に基づいて、PAGのための温度使用範囲は、潤滑剤の用途において、著しく拡大されうる。
【0114】
更に、前記に説明されたカーボンブラックの斑点試験を実施した。
【0115】
第5表は、分散性VII(実施例4〜7および11)および2つの非分散性VII(実施例1および8)についての実験室分散試験後の評価を示す。前記試験を第3表中に示された配合物につき実施した。実施例4〜7および11に記載のポリマーは、意外なことに、カーボンブラックを極めて良好に分散させるという性質を示す。これは、斑点試験における全評価が全体的に高いことに顕著であるだけでなく、カーボンブラックに関連した、油の粘度上昇が明らかに減少されることでもある。
【0116】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘度指数を向上させるための(メタ)アクリレートポリマーにおいて、
(メタ)アクリレートポリマーが
a)式(I)
【化1】

〔式中、Rは、水素またはメチルを表わし、R1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表わす〕で示される(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜60質量を含有し、
b)式(II)
【化2】

〔式中、Rは、水素またはメチルを表わし、R2は、7〜30個の炭素原子を有するアルキル基を表わす〕で示される(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜80質量を含有し、および
c)式(III)
【化3】

〔式中、Rは、水素またはメチルを表わし、nは、2〜500の範囲内の数を表わし、Aは、C2〜C4アルキレンを表わし、R3は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表わす〕で示される(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位15〜90質量を含有することを特徴とする、粘度指数を向上させるための(メタ)アクリレートポリマー。
【請求項2】
ポリマーが10000〜200000g/molの範囲内の分子量の質量平均を有する、請求項1記載の(メタ)アクリレートポリマー。
【請求項3】
ポリマーが分散性モノマーに由来する繰返し単位を有する、請求項1記載の(メタ)アクリレートポリマー。
【請求項4】
分散性モノマーが少なくとも1個の窒素原子を含有し、およびヘテロ環式ビニル化合物および/またはアミノアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリルアミドおよび/またはヘテロ環式(メタ)アクリレートを含む、請求項3記載の(メタ)アクリレートポリマー。
【請求項5】
ポリマーが式(I)
【化4】

〔式中、Rは、水素またはメチルを表わし、R1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表わす〕で示される(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位15〜40質量を含有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の(メタ)アクリレートポリマー。
【請求項6】
ポリマーが式(II)
【化5】

〔式中、Rは、水素またはメチルを表わし、R2は、7〜30個の炭素原子を有するアルキル基を表わす〕で示される(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位15〜70質量を含有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の(メタ)アクリレートポリマー。
【請求項7】
ポリマーが式(III)
【化6】

〔式中、Rは、水素またはメチルを表わし、nは、2〜500の範囲内の数を表わし、Aは、C2〜C4アルキレンを表わし、R3は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表わす〕で示される(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位25〜70質量を含有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の(メタ)アクリレートポリマー。
【請求項8】
ポリマーが分散性モノマーに由来する繰返し単位0.5〜10質量%を含有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の(メタ)アクリレートポリマー。
【請求項9】
少なくとも1つの極性基油および請求項1から8までのいずれか1項に記載の少なくとも1つの(メタ)アクリレートポリマーを含有する潤滑油組成物。
【請求項10】
潤滑油組成物が請求項1から8までのいずれか1項に記載の(メタ)アクリレートポリマー2〜30質量%を含有する、請求項9記載の潤滑油組成物。
【請求項11】
極性基油が少なくとも1つのポリアルキレングリコールを含有する、請求項9または10記載の潤滑油組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの極性基油を含有する潤滑油組成物の粘度指数を向上させるための、請求項1から8までのいずれか1項に記載の(メタ)アクリレートポリマーの使用。
【請求項13】
少なくとも1つの極性基油を含有する潤滑油組成物中の分散剤としての、請求項3または4記載の(メタ)アクリレートポリマーの使用。
【請求項14】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の(メタ)アクリレートの製造法において、式(I)、(II)および(III)の(メタ)アクリレートを含有する混合物をラジカル重合させることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の(メタ)アクリレートの製造法。
【請求項15】
重合をエステル油中で行なう、請求項14記載の方法。

【公表番号】特表2013−517355(P2013−517355A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549269(P2012−549269)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069113
【国際公開番号】WO2011/088929
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(312017709)エボニック オイル アディティヴス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Oil Additives GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】