説明

粘着シート貼付装置

【課題】ガラス基板などの被貼付物上に粘着シートを所要長さに切断しながら貼付する粘着シート貼付装置における仕上がり製品の品質を高める。
【解決手段】粘着シート剥離送出部9において、帯状剥離シートから剥離されてガラス基板1の被貼付面に向けて送出される粘着シートを当該ガラス基板1の被貼付面上に貼付ローラー14により押圧貼付する粘着シート貼付装置であって、帯状粘着シートを所定長さの単位粘着シートに切断する切断手段38が粘着シート剥離送出部9よりも上手の帯状基材送給経路中に配設され、この切断手段38は、帯状剥離シート上の帯状粘着シートのみを巾方向に切断する切断刃46を備えた構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続した帯状剥離シート上に当該帯状剥離シートの長さ方向に連続した帯状粘着シートが剥離可能に貼付された帯状基材を使用し、帯状剥離シートから剥離した所要長さの粘着シートを被貼付物の被貼付面上に貼付する粘着シート貼付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばプラズマテレビなどの大型のフラットなディスプレイの表面ガラス基板に各種光学機能粘着シートを貼付する場合に利用できる粘着シート貼付装置として、特許文献1に記載のように、連続した帯状剥離シート上に当該帯状剥離シートの長さ方向に連続した帯状粘着シートが剥離可能に貼付された帯状基材を使用し、この帯状基材を被貼付物の移動経路脇に配設された粘着シート剥離送出部へ送給し、当該粘着シート剥離送出部において、帯状剥離シートから剥離されて被貼付物の被貼付面に向けて送出される粘着シートを当該被貼付物の被貼付面上に貼付ローラーにより押圧貼付する粘着シート貼付装置が知られている。この種の粘着シート貼付装置では、連続した帯状粘着シートを被貼付物における被貼付領域の大きさに合わせて裁断する必要があるが、特許文献1に記載の構成では、帯状粘着シートの巾を被貼付領域の巾に合わせる長さ方向(送り方向)に平行な裁断は、送給途中の帯状基材の両側辺を長さ方向(送り方向)に沿ってスリッターで切断することによって行い、連続する帯状粘着シートを被貼付領域の長さに合わせるための巾方向の裁断は、帯状剥離シートから剥離され且つ粘着シート剥離送出部と貼付ローラーとの間で緊張状態にある帯状粘着シートに対して行うものであった。
【特許文献1】特開平11−193172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような従来の粘着シート貼付装置における帯状粘着シートの巾方向の裁断方法では、その裁断位置が粘着シート剥離送出部と貼付ローラーとの中間位置であって、帯状剥離シートから剥離された状態(粘着面が露出した状態)の帯状粘着シートを切断することと、その切断位置の真下に粘着シート貼付前の被貼付物の被貼付面が露出している状態であるから、カッターによる切断作用時に発生する粉塵状の切り屑が粘着シートの粘着面や被貼付物の被貼付面上に付着する可能性が大きい。しかも、固定の平滑な受け面上で帯状粘着シートを巾方向に剪断する場合と比較して、空中に緊張された状態の帯状粘着シートをカッターにより巾方向に押し切る状態となるので、切断作用時に発生する粉塵状の切り屑も多くなる。従って、被貼付物の被貼付面とこれに貼付された粘着シートとの間に粉塵状切り屑を挟み込んだ不良品の発生頻度が高くなり、実用上極めて大きな問題点となっていた。又、被貼付物に対する粘着シートの貼付工程途中で被貼付物の移動(粘着シートの引き出し)を、帯状粘着シートの巾方向切断のために一時停止させる必要があって、サイクルタイムが長くなるという問題点や、上記のような巾方向切断方式であるため、前後二段の貼付ローラーや下手側貼付ローラーの直前に切断された粘着シートの遊端部を引き上げておくための吸着手段などが必要であって、粘着シート剥離送出部の構造が複雑になるという問題点もあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得る粘着シート貼付装置を提供することを目的とするものであって、請求項1に記載の本発明では、後述する実施形態の参照符号を付して示すと、連続した帯状剥離シート12a上に当該帯状剥離シート12aの長さ方向に連続した帯状粘着シート12bが剥離可能に貼付された帯状基材12を、被貼付物(ガラス基板1)の移動経路脇に配設された粘着シート剥離送出部9へ送給し、当該粘着シート剥離送出部9において、帯状剥離シート12aから剥離されて被貼付物(ガラス基板1)の被貼付面に向けて送出される粘着シート12bを当該被貼付物(ガラス基板1)の被貼付面上に貼付ローラー14により押圧貼付する粘着シート貼付装置であって、帯状粘着シート12bを所定長さの単位粘着シートに切断する切断手段38が前記粘着シート剥離送出部9よりも上手の帯状基材送給経路中に配設され、この切断手段38は、帯状剥離シート12a上の帯状粘着シート12bのみを巾方向に切断する切断刃46を備えた構成となっている。
【0005】
上記構成の本発明を実施するについて、具体的には請求項2に記載のように、前記切断手段38は、帯状基材送給経路に沿って移動可能に構成し、この切断手段38を移動させることにより、被貼付物(ガラス基板1)の被貼付領域の長さに応じて単位粘着シートの長さを変更できるようにすることができる。
【0006】
前記切断手段38による帯状粘着シートの巾方向切断は、この粘着シート貼付装置に対し被貼付物(ガラス基板1)がバッチ式に1枚ずつ供給される場合では、1枚の被貼付物(ガラス基板1)に対する粘着シートの貼付工程が完了した後、次の被貼付物(ガラス基板1)がこの粘着シート貼付装置を備えた粘着シート貼付開始位置にセットされるまでの準備時間中、即ち、帯状基材12の送給停止中を利用して行うことができ、被貼付物移動経路上を連続的に移動してくる被貼付物に対して当該被貼付物の各被貼付領域に順番に粘着シートの貼付を行う連続供給方式では、1つの被貼付領域に対する粘着シートの貼付が完了した後、次の被貼付領域の始端が到着するまでの待ち時間における帯状基材12の送給停止中を利用して行うことができる。
【0007】
即ち、本発明の粘着シート貼付装置では、送給停止状態の帯状基材12に対して帯状粘着シート12bの巾方向切断を行うことが可能であるから、従来周知の各種方式の切断手段が利用できるのであるが、特に請求項3に記載のように、帯状基材12の巾方向に走行する走行切断刃46と、当該走行切断刃46に対面する帯状基材受け面39aとを備えた構成の切断手段38を利用するのが望ましい。この場合、請求項4に記載のように、前記切断手段38の走行切断刃46は、円形外周が刃縁である円形刃体50から構成し、この円形刃体50をその円形中心の周りに回転自在に軸支すると共に、切断作用時に当該円形刃体50を回転不能に固定するための固定具61を併設することができる。
【0008】
又、上記請求項3や4に記載の構成を採用する場合、請求項5に記載のように、前記切断手段38には、帯状基材12の送給経路中の垂直経路部11Bの両側に配置された左右一対の並列棒状部材39,40を設け、一方の棒状部材40に前記走行切断刃46を支持案内するレール48を敷設し、他方の棒状部材39に前記帯状基材受け面39aを設けることができる。更にこの場合、請求項6に記載のように、前記切断手段38は、帯状基材12の送給経路中の水平経路部11Aに沿って水平移動可能に構成して、請求項2に記載の構成と同様に、切断手段38を移動させることにより、被貼付物(ガラス基板1)の被貼付面の長さに応じて単位粘着シートの長さを変更できるようにすると共に、当該切断手段38には、帯状基材12の水平経路部11A中に垂直経路部11Bを形成する帯状基材案内ローラー33,34を併設し、この垂直経路部11Bの左右両側に前記左右一対の並列棒状部材39,40を配設することができる。
【0009】
更に、請求項7に記載のように、前記粘着シート剥離送出部9には、被貼付物(ガラス基板1)の移動方向と同一方向に送出される帯状基材12から帯状剥離シート12aのみを反転させて帯状粘着シート12bを帯状剥離シート12aから剥離送出させるターンガイド13と、このターンガイド13から帯状粘着シート12bの送出方向に隣接する位置に、被貼付物(ガラス基板1)の移動経路に対し遠近方向に出退移動自在に設けられた貼付ローラー14と、前記ターンガイド13と被貼付物(ガラス基板1)の移動経路との間に配置されて前記貼付ローラー14のある側に向かってエアーを吐出するエアー吐出配管29とを配設することができる。
【発明の効果】
【0010】
上記構成の本発明に係る粘着シート貼付装置によれば、帯状粘着シートを被貼付物の被貼付面の長さに合った所定長さの単位粘着シートに切断する巾方向切断手段が粘着シート剥離送出部よりも上手の帯状基材送給経路中に配設されていて、この切断手段の切断刃により、帯状剥離シート上の帯状粘着シートのみを巾方向に切断する構成であるから、粘着シート剥離送出部から少なくとも被貼付物の被貼付領域の長さ分だけ上手側に切断手段の位置が離れることになる。しかも帯状剥離シート上に貼付されている状態の帯状粘着シートを切断するのであるから、この帯状粘着シートの切断時に飛散する粉塵状切り屑は極めて少ない。従って、当該切断手段の位置で発生した僅かな量の粉塵状切り屑が、粘着シート剥離送出部に隣接して移動する粘着シート貼付前の被貼付物の被貼付面や貼付される直前の粘着シートの粘着面などに付着する可能性は極端に少なくなるか又は皆無となる。即ち、被貼付物の被貼付面とこれに貼付された粘着シートとの間に粉塵状切り屑を挟み込んだ不良品の発生が殆ど無くなり、高品質の製品を効率よく製造することができる。
【0011】
又、粘着シート剥離送出部から送出された帯状粘着シートを単純に貼付ローラーで被貼付物の被貼付面上に押圧貼付するだけで良いので、従来のものと比較して貼付ローラーを含む粘着シート剥離送出部そのものの構成がシンプルになり、安価に構成することができる。更に、従来のように、被貼付物に対する粘着シートの貼付工程途中で被貼付物の移動(粘着シートの引き出し)を、帯状粘着シートの巾方向切断のために一時停止させる必要がなくなり、被貼付物に対する1枚の粘着シート貼付のサイクルタイムを短くし、作業効率を高めることができる。
【0012】
尚、請求項2に記載の構成によれば、取り扱う被貼付物の被貼付領域の長さが変動する場合でも、切断手段を移動させて、当該切断手段と粘着シート剥離送出部との間の経路長さを、被貼付物の被貼付領域の長さと同一か又は、当該被貼付領域の長さが短いときにはその長さの整数倍の長さに変えることにより、新規に取り扱う被貼付物の被貼付領域の長さに適合した長さの単位粘着シートを容易に得ることができるのであるが、場合によっては、切断手段の位置を変えないで、当該切断手段と粘着シート剥離送出部との間の経路長さを、ダンサーローラーなどを利用した経路長さ変更手段によって変更可能に構成することも可能である。
【0013】
又、請求項3に記載の構成によれば、帯状基材受け面と走行切断刃との間で帯状基材を挟んで、当該走行切断刃の走行により帯状基材の帯状粘着シート部分のみを切断することができるので、非常に薄いフィルム状(薄膜状)の帯状粘着シートであっても、正確に帯状粘着シート部分のみを切断することができると共に、従来のような押し切りではなく、正確に剪断することができるので、粉塵状切り屑の発生量も大巾に抑制できる。
【0014】
上記請求項3に記載の構成を採用する場合に請求項4に記載の構成によれば、円形刃体の真円精度が多少低くとも、実際の切断作用時には回転させないで固定して円周刃縁の一部分のみを切断に供することができるものであるから、切断作業前の帯状基材受け面と円形刃体の刃縁との間の間隙さえ正確に調整しておけば、正確に帯状粘着シート部分のみを切断することができる。しかも、切断に供している刃縁部分の磨耗度が許容範囲を超えてしまう前に、円形刃体を所要角度だけ回転させて新しい刃縁部分を切断に供するように調整することにより、長期間にわたって良好な切断作用を継続させることができる。
【0015】
更に、請求項3や4に記載の構成を採用する場合、帯状基材受け面と走行切断刃との間の間隙を高精度に維持しなければならないが、請求項5に記載の構成によれば、前記走行切断刃を支持案内するレールを備えた一方の棒状部材と、前記帯状基材受け面を備えた他方の棒状部材とが、上下ではなく左右横方向に並列しているので、これら長尺で重量物となる2本の棒状部材が重力で撓んで変形したとしても、そしてその撓み代が同一でなくとも、左右横方向に並列する2本の棒状部材間の水平横方向の間隔、即ち、切断刃と帯状基材受け面との間隔には実質的に変化が生じない。従って、帯状基材受け面と走行切断刃との間の間隙を長期間にわたって高精度に維持することができ、常に所期通りの良好な切断作用を行わせることができる。
【0016】
更に、請求項6に記載の構成によれば、切断手段を移動させて、請求項2に記載の構成を採用したときと同様に、被貼付物の被貼付領域の長さに適合した長さの単位粘着シートを得ることができるのであるが、そのときの切断手段の移動方向が水平方向であって垂直上下方向ではないため、装置全体の高さを低くし、設置安定性や保守作業性を高めることができ、しかも、切断手段に対応する帯状基材送給経路部は上下垂直方向として、請求項5に記載の構成を採用したときの作用効果をも得ることができるのである。
【0017】
又、請求項7に記載の構成によれば、ターンガイドから送出される粘着シートの先端部が貼付ローラーで被貼付物の被貼付面に押圧される前に当該被貼付面に接触するのを、エアー吐出配管から吐出されるエアー流により防止し、当該エアー流で被貼付物の被貼付面から浮き上がった状態で貼付ローラー側へ送出される粘着シートの先端部を、被貼付物の被貼付面側へ進出移動する貼付ローラーにより被貼付面へ押圧して貼付作用を開始させることができるので、被貼付物の被貼付面と粘着シートとの間に気泡を残存させることのない良好な貼付を実現させることができる。この構成は、粘着シート剥離送出部において粉塵状切り屑を発生させる従来の構成において実施した場合、発生した粉塵状切り屑がエアー流により粘着シートの粘着面に付着し易くなって実用に供し得ないことになるが、本発明の構成は粘着シート剥離送出部において粉塵状切り屑を発生させるものではないため、エアー流で粘着シートの先端部を貼付ローラー側へ付勢する構成が実現可能になったのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の具体的実施例を添付図に基づいて説明すると、図1及び図2において、1は被貼付物であるガラス基板であって、水平往復動テーブル2上の定位置にセットされる。水平往復動テーブル2は、ガラス基板1の積み下ろし作業位置P1と粘着シート貼付開始位置P2との間をガイドレール2a,2b上で直線的に定速往復移動するものであり、積み下ろし作業位置P1には、当該積み下ろし作業位置P1で停止する水平往復動テーブル2の前端と一致するガラス基板前端位置決め固定ガイド3と、積み下ろし作業位置P1で停止する水平往復動テーブル2の横側方の待機位置と当該テーブル2上のガラス基板側辺位置決め位置との間でテーブル移動方向(以下、前後X方向という)と直交する左右Y方向に水平往復移動自在なガラス基板側辺位置決め可動ガイド4とが併設されている。
【0019】
而して、積み下ろし作業位置P1で停止した水平往復動テーブル2上には、ガラス基板側辺位置決め可動ガイド4がこの水平往復動テーブル2上のガラス基板側辺位置決め位置まで進出している。従って積み下ろし作業位置P1で停止している水平往復動テーブル2上にガラス基板1を載置するとき、当該ガラス基板1の前端がガラス基板前端位置決め固定ガイド3に当接し且つ当該ガラス基板1の一側辺がガラス基板側辺位置決め可動ガイド4に当接するように載置することにより、当該ガラス基板1を水平往復動テーブル2上のX,Y両方向に関して正確に所定位置に位置決めすることができる。ガラス基板1を所定位置に載置したならば、ガラス基板側辺位置決め可動ガイド4を待機位置に後退させることにより、固定ガイド3と可動ガイド4とを積み下ろし作業位置P1に残して、水平往復動テーブル2を粘着シート貼付開始位置P2へ走行開始させることができる。
【0020】
水平往復動テーブル2の走行駆動手段5は如何なる方式のものでも良いが、この実施形態では、水平往復動テーブル2の移動経路下側定位置に前後X方向と平行に支承された回転螺軸6と、当該回転螺軸6を正逆回転駆動するモーター7と、水平往復動テーブル2の底部に設けられて前記回転螺軸6に螺嵌する雌ネジ体8とから構成され、回転螺軸6の正逆回転駆動により、水平往復動テーブル2を積み下ろし作業位置P1と粘着シート貼付開始位置P2との間で定速往復走行させることができる。
【0021】
粘着シート貼付開始位置P2で停止する水平往復動テーブル2の前端部上方には、粘着シート剥離送出部9が設けられ、当該水平往復動テーブル2の上方位置には、帯状剥離シート巻取り装置部10と、この帯状剥離シート巻取り装置部10の上側に位置する帯状粘着シート切断装置部11とが設けられている。本発明において使用される帯状基材12は、図1Bに示すように、連続する帯状剥離シート12aの片面に同じく連続する帯状粘着シート(ガラス基板1に貼付される光学機能粘着シート)12bが剥離可能に貼付一体化されたもので、巾は、ガラス基板1上の被貼付領域の巾(左右Y方向の長さ)よりも広く、所要長さのものがロール状に巻回されている。
【0022】
粘着シート剥離送出部9の構成は基本的に従来周知のものであって、図3に示すように、帯状粘着シート12bを帯状剥離シート12aから剥離送出させるターンガイド13と、このターンガイド13から帯状粘着シート12bの送出方向に隣接する位置に設けられた昇降自在な貼付ローラー14とを備えている。貼付ローラー14は、昇降ガイド15に昇降自在に支持され且つ昇降駆動手段16で昇降駆動される昇降部材17の下端に、左右Y方向の水平支軸14aによって自転可能に軸支されている。この実施形態に示す昇降駆動手段16は、昇降部材17から垂直上方に固着立設された垂直螺軸18と、この垂直螺軸18に螺嵌し且つ定位置に自転のみ可能に支承された雌ネジ体19と、この雌ネジ体19を歯車列20を介して正逆回転駆動するモーター21とから構成され、当該モーター21により雌ネジ体19を正逆回転駆動することにより、垂直螺軸18を介して昇降部材17(貼付ローラー14)を、上側退避レベルと帯状粘着シート12bをガラス基板2上に押圧貼付させる下側貼付レベルとの間で定速度で昇降駆動させることができる。
【0023】
尚、図3に仮想線で示すように、昇降部材17には、貼付ローラー14の真上位置で当該貼付ローラー14と平行にバックアップローラー22を必要に応じて軸支することができる。このバックアップローラー22は、貼付ローラー14の撓み変形を矯正できるだけの剛性を有するもので、少なくとも貼付ローラー14が下側貼付レベルにあるとき、その上辺に当接するものであり、必要に応じて貼付ローラー14から上方に離間させることができるように、貼付ローラー14に対して昇降可能に構成することができるものである。
【0024】
粘着シート剥離送出部9のターンガイド13は、図4に示すように、左右一対のアーム材23間に、左右Y方向と平行に架設された帯状板材から成るもので、その上側には、重力でターンガイド13の先端部上面との間で帯状基材12を挟む押さえ板24が併設されている。左右一対のアーム材23は、固定機枠側に左右Y方向と平行に軸支されたガイドローラー25の両端支軸25aの周りに上下揺動自在に支承されて当該支軸25aから斜め前方下方に延出するもので、このアーム材23から後方に突設されたレバー23aを上下両側から挟み付ける上下一対のストッパーボルト26a,26bが固定機枠側に設けられ、これらストッパーボルト26a,26bの調整によりターンガイド13の先端レベルを上下に微調整できるように構成されている。又、押さえ板24は、左右Y方向と平行な回転自在軸27を介して左右一対のアーム材23のそれぞれに軸支されて前方に延出する左右一対の上下揺動部材28間に両端が固着された帯状板材から成るものである。
【0025】
又、ターンガイド13の先端下側には、左右Y方向と平行にエアー吐出配管29が架設されている。このエアー吐出配管29には、下側貼付レベルに位置する貼付ローラー14の下辺付近に向かってエアーを吐出するエアー吐出口29aを長さ方向適当間隔おきに多数配設したものである。従って、このエアー吐出配管29は、その両端を支持する配管支持部材30に対して自転可能に支承すると共に、当該エアー吐出配管29を自転させてエアー吐出口29aの向きを上下に微調整できるように構成するのが望ましい。
【0026】
図1に示すように、帯状粘着シート切断装置部11は、帯状基材12の原反ロール12Aから繰り出され且つ所定の巾に帯状基材12を巾を調整するために帯状基材12の左右両側辺を切断するスリッター31を経由して引き出されてくる帯状基材12の前後X方向と平行な水平経路部11Aに組み込まれたもので、図2及び図3に示すように、左右一対のガイドレール32a,32b上に前後X方向に往復移動自在に支持され、前記帯状基材水平経路部11A中に帯状基材12の垂直経路部11Bを形成するための、左右Y方向と平行な上下一対のガイドローラー33,34を備えている。従って、帯状基材水平経路部11Aは、その始端位置となる左右Y方向と平行な位置固定のガイドローラー35から帯状粘着シート切断装置部11の上側ガイドローラー33に至る上側水平経路部11Aaと、帯状粘着シート切断装置部11の下側ガイドローラー34から帯状基材水平経路部11Aの終端位置となる左右Y方向と平行な位置固定のガイドローラー36に至る下側水平経路部11Abとから構成され、帯状基材水平経路部11Aの終端位置となる前記ガイドローラー36の真下に、前記粘着シート剥離送出部9の後側に配設された前記ガイドローラー25が位置するように構成されている。
【0027】
帯状粘着シート切断装置部11の詳細を図5〜図7に基づいて説明すると、この帯状粘着シート切断装置部11は、前記ガイドローラー33,34の他に、前記ガイドレール32a,32b上に前後X方向に往復移動自在に支持された走行体37と切断手段38とを備えている。走行体37は、左右Y方向と平行で前後X方向に適当間隔を隔てて互いに並列する2本の棒状部材39,40をその両端部で前後X方向の連結部材41a,41bにより連結して成る平面形状が横長の矩形枠状体であって、各部材39〜41bは断面四角形の鋼材から成るもので、重力による撓み変形が殆ど無いか十分に少ない角パイプ材又は中実(無垢)の棒鋼材が使用できる。この走行体37の左右両端部下側に、前記ガイドレール32a,32bに滑動自在に嵌合するスライドガイド42が付設されると共に、走行体37の左右両端部の前方上側に前記上側ガイドローラー33の両端を軸支する左右一対の軸受け部材43が上向きに突設され、走行体37の左右両端部の下側に前記下側ガイドローラー34の両端を軸支する左右一対の軸受け部材44が下向きに突設されている。
【0028】
前記走行体37は、図1〜図3に示す走行駆動手段62によってガイドレール32a,32b上を前後X方向に往復走行駆動される。この実施形態に使用された走行駆動手段62は、ガイドレール32a,32bを各別に支持する前後X方向と平行な固定フレーム63a,63bの外側に軸支された前後一対左右二組のタイミングプーリー64a,64b及び65a,65bと、これらタイミングプーリー間に前後X方向に掛張された左右一対のタイミングベルト66a,66bと、この各タイミングベルト66a,66bの一箇所を走行体37の左右両端外側に固定するベルト固定部材67a,67bと、左右一対のタイミングベルト66a,66bを掛張する後端側の左右一対のタイミングプーリー64a,65aを互いに連動連結させる左右Y方向の連動軸68と、この連動軸68を正逆回転駆動するモーター69とから構成されている。而して、モーター69を稼働させて左右一対のタイミングベルト66a,66bを同一方向に回動させることにより、走行体37をガイドレール32a,32b上で前後X方向に走行させることができる。
【0029】
切断手段38は、走行部材45と、この走行部材45に取り付けられた切断刃46と、走行部材45を介して切断刃46を走行駆動する切断刃駆動手段47とから構成されている。走行部材45は側面視形状がL字形のものであって、走行体37における前側棒状部材40の内側垂直面に敷設された左右Y方向と平行なガイドレール48に、垂直部の背面に取り付けられたスライドガイド48aを介して支持され、走行体37の前後両棒状部材39,40間を左右Y方向に往復走行し得るものである。切断刃46は、走行体37の前後両棒状部材39,40間において垂直に起立するように走行部材45の水平部上に固着立設された垂直固定軸49に取り付けられた円形刃体50の円周刃縁で構成されている。
【0030】
切断刃駆動手段47は、走行体37の左右両端部上側の前寄り位置に垂直支軸で軸支されたタイミングプーリー51a,51bと、両タイミングプーリー51a,51b間に掛張されたタイミングベルト52と、このタイミングベルト52の一箇所を前記走行部材45の垂直部上端背面に固定するベルト固定部材53と、一方のタイミングプーリー51aを正逆回転駆動するモーター54とから構成され、このモーター54を稼働させてタイミングベルト52を正逆回動させることにより、走行部材45(切断刃46)をガイドレール48に沿って左右Y方向に往復走行させることができるものである。尚、モーター駆動されない方のタイミングプーリー51bは、タイミングベルト52の張力を調整するために、左右Y方向に位置調整固定自在に軸支されている。又、左右両タイミングプーリー51a,51bは、走行体37の左右両端部上側に付設された架台55a,55bの下側に配置されて当該架台55a,55bに片持ち状に軸支され、モーター54は架台55aの上側に搭載されている。
【0031】
前記円形刃体50を支承する垂直固定軸49は、図8及び図9に示すように、走行部材45の水平部上に前後X方向に位置調整自在に固定される軸クランプ56に下端部が挟持固定され、当該軸クランプ56の上側で垂直固定軸49に嵌装された支持座板57で支持されるように、円形刃体50が垂直固定軸49にベアリング58を介して回転可能に嵌装されるが、この円形刃体50から上方に突出する垂直固定軸49の上端には、2本の固定ボルト59で当該垂直固定軸49に固定される固定盤60が設けられ、この固定盤60を垂直に螺合貫通する少なくとも1本(図示例は2本)の回転刃体固定具(ボルト)61が設けられ、当該固定具61を弛緩させたときは回転刃体50を垂直固定軸49の周りで回転させることができるが、当該固定具61を螺進させてその先端を回転刃体50の上面に圧接させることにより、回転刃体50を回転不能に固定できるように構成している。而して、走行部材45に対する軸クランプ56の位置を前後X方向に位置調整することにより、円形刃体50の円周刃縁、即ち、切断刃46と、走行体37の後側棒状部材39の内側垂直面で構成された帯状基材受け面39aとの間の間隙が、帯状基材12を構成している帯状剥離シート12aの厚さ相当に調整される。
【0032】
上記構成の粘着シート貼付装置は、以下のように使用することができる。即ち、原反ロール12Aモーター69引き出された帯状基材12は、スリッター31を経由し、帯状粘着シート切断装置部11を備えた水平経路部11Aの始端位置にあるガイドローラー35から、上側水平経路部11Aa、帯状粘着シート切断装置部11の上側ガイドローラー33、帯状粘着シート切断装置部11内の垂直経路部11B、帯状粘着シート切断装置部11の下側ガイドローラー34、下側水平経路部11Ab、水平経路部11Aの終端位置にあるガイドローラー36、粘着シート剥離送出部9が併設されたガイドローラー25、及び粘着シート剥離送出部9のターンガイド13まで掛け渡される。そしてこのターンガイド13で帯状基材12をUターンさせることにより、このUターン時の内側に位置する帯状剥離シート12aを外側に位置する帯状粘着シート12bから剥離し、最終段の帯状剥離シート巻取り装置部10まで引き出して当該帯状剥離シート巻取り装置部10の帯状剥離シート巻取り軸10aに先端を巻回固定する。尚、ターンガイド13上での帯状基材12は、重力でこのターンガイド13上に重なる状態の押さえ板24の先端と当該ターンガイド13の先端部上面との間を通過し、帯状剥離シート12aから剥離された帯状粘着シート12bがターンガイド13の先端部から上方に浮き上がるのを押さえ板24で阻止される状態にある。
【0033】
一方、帯状粘着シート切断装置部11の走行体37は、この帯状粘着シート切断装置部11の切断手段38における切断刃46(円形刃体50)のある位置からターンガイド13の先端までの帯状基材12の移動経路長さが、ガラス基板1上における粘着シート貼付領域の前後X方向の長さと同一か又は、当該粘着シート貼付領域の前後X方向の長さが短いときはその長さの整数倍となるように、走行駆動手段62を稼働させてガイドレール32a,32b上で前後X方向に所定位置まで走行させ、停止固定させておく。
【0034】
係る状態で帯状剥離シート巻取り装置部10の帯状剥離シート巻取り軸10aやスリッター31の駆動回転体、及びスリッター31で帯状基材12から切り離された左右両側辺のスリットかす巻取り装置70など、全ての駆動対象回転体を回転駆動させ、ガラス基板1上における粘着シート貼付領域の左右Y方向の巾に合わせて左右横巾がスリッター31で調整された帯状基材12をターンガイド13の先端まで所要の張力で掛張させる。このとき、図5に示すように、帯状粘着シート切断装置部11内の垂直経路部11Bを上から下に垂下する帯状基材12は、走行体37の後側棒状部材39の内側垂直面、即ち、帯状基材受け面39aに接して垂下しており、この帯状基材受け面39aに接している位置で帯状基材12の帯状粘着シート12bのみを切断手段38における切断刃46(円形刃体50)で左右巾方向に切断する。
【0035】
即ち、前記のように、切断刃駆動手段47を稼働させて走行部材45を、帯状基材12から横側方に離れているガイドレール48の一端停止位置から他端停止位置までガイドレール48に沿って左右Y方向に定速走行させることにより、当該走行部材45と一体に移動する切断刃46(円形刃体50)をして、帯状基材受け面39aに接している帯状基材12に対し帯状粘着シート12bの厚さ分だけ食い込ませた状態で左右Y方向に定速走行させ、以て、帯状基材12上の帯状粘着シート12bのみを左右巾方向に切断する。
【0036】
このとき切断刃46を構成する円形刃体50は、回転刃体固定具(ボルト)61によって垂直固定軸49に固定されており、円形刃体50の円周刃縁の一部分のみが切断刃46として作用するので、当該切断刃46として作用する円形刃体50の円周刃縁の一部分と帯状基材受け面39aとの間の間隙が帯状基材12の帯状剥離シート12aの厚さと等しくなるように、走行部材45上の円形刃体50の位置、即ち、軸クランプ56の位置を調整しておきさえすれば、円形刃体50の真円精度に関係なく、確実に帯状粘着シート12bのみを左右巾方向に切断することができる。勿論この場合、走行部材45の走行を案内するガイドレール48と帯状基材受け面39aとの間の間隔が走行部材45の走行領域の全域にわたって一定であることが前提であり、従って、走行体37の前後両棒状部材39,40間に高い平行精度が要求される。しかし上記構成によれば、帯状基材受け面39a
を構成する棒状部材39とガイドレール48を支持する棒状部材40とは、前後に並列しており、仮に重力で撓み変形が生じると仮定しても、ガイドレール48と帯状基材受け面39aとの間の水平方向の間隔に変動を来す恐れは実質的に皆無となり、当該間隔の精度は維持できるので、上記のように確実に帯状粘着シート12bのみを左右巾方向に切断することができるのである。
【0037】
上記のように所定位置で帯状粘着シート12bを左右巾方向に切断した帯状基材12は、上記のように帯状剥離シート巻取り装置部10の帯状剥離シート巻取り軸10a、その他の全ての駆動対象回転体を回転駆動させることにより、ターンガイド13側へ送るのであるが、その送り長さは、ガラス基板1上における粘着シート貼付領域の前後X方向の長さと等しくする。従って、先に述べたように、切断刃46の位置からターンガイド13の先端までの帯状基材12の移動経路長さがガラス基板1上における粘着シート貼付領域の前後X方向の長さの整数倍となるように、走行体37の位置がセットされているときは、最初に切断した帯状粘着シート12bの切断位置がターンガイド13の先端に到達するまでの間、1〜複数回、帯状基材12の送りを停止して切断手段38を稼働させることになる。
【0038】
何れにしても、最初に切断した帯状粘着シート12bの切断位置がターンガイド13の先端に到達して帯状基材12が停止した状態で帯状基材12の準備が完了し、この帯状基材12が停止している間に、切断手段38が作動して、次の位置での帯状粘着シート12bの切断が実行される。尚、最初に切断した帯状粘着シート12bの切断位置がターンガイド13の先端に到達するまでの間に、ターンガイド13によってUターンする帯状剥離シート12aから剥離送出される帯状粘着シート12bは、全て除去される。
【0039】
一方、積み下ろし作業位置P1で停止している水平往復動テーブル2上では、先に説明したように所定位置にガラス基板1がセットされる。そしてこのガラス基板1がセットされた水平往復動テーブル2が走行駆動手段5の稼働により積み下ろし作業位置P1から粘着シート貼付開始位置P2まで走行し、停止するが、このときの水平往復動テーブル2の停止位置は、搭載されているガラス基板1上の粘着シート貼付領域の前端がターンガイド13の先端の真下となる位置である。
【0040】
以上で水平往復動テーブル2上にセットされたガラス基板1に対する粘着シートの貼付準備が整ったことになり、係る状態から貼付工程が実行される。即ち、帯状剥離シート巻取り装置部10の帯状剥離シート巻取り軸10a、その他の全ての駆動対象回転体を回転駆動させることにより、帯状基材12の帯状粘着シート12bを帯状剥離シート12aから剥離しながらターンガイド13から送出させる作用と、貼付ローラー14を昇降駆動手段16により下降させる作用と、水平往復動テーブル2を粘着シート貼付開始位置P2から積み下ろし作業位置P1に向けて走行させる作用とが同時に開始される。このとき、ターンガイド13からの帯状粘着シート12bの送出速度(帯状剥離シート巻取り軸10aによる帯状剥離シート12aの巻取り速度)と水平往復動テーブル2(ガラス基板1)の走行速度とが等しくなるように制御される。そして貼付ローラー14の下降速度は、当該貼付ローラー14の真下位置に、帯状粘着シート12bの先端とガラス基板1上の粘着シート貼付領域の前端とが前後X方向に関して一致した状態で到達したときに、丁度、貼付ローラー14がガラス基板1上の粘着シート貼付領域の前端との間で帯状粘着シート12bの先端を挟み付ける下降限レベルに達するように制御される。
【0041】
尚、貼付ローラー14によって帯状粘着シート12bの先端がガラス基板1の粘着シート貼付領域の前端に挟み付けられる前に、即ち、ターンガイド13の先端から送出されて空中を貼付ローラー14側へ移動する帯状粘着シート12bの先端が重力で垂れ下がってガラス基板1上に接し、この後、貼付ローラー14でガラス基板1側に押圧されると、帯状粘着シート12bとガラス基板1との間にエアーが取り込まれて気泡が発生する可能性がある。従って、ターンガイド13からの帯状粘着シート12bの送出を開始する直前からエアー吐出配管29に適当圧力のエアーを供給し、エアー吐出口29aから吐出するエアー流で、ターンガイド13から送出される帯状粘着シート12bの先端部分を垂れ下がらないように斜め上方に付勢し、当該帯状粘着シート12bの先端を下降する貼付ローラー14の周面に当接させるように制御することができる。この制御により、帯状粘着シート12bの先端が貼付ローラー14でガラス基板1側に押圧される前にガラス基板1上に接することが回避され、帯状粘着シート12bとガラス基板1との間に気泡が発生するのを確実に防止できる。エアー吐出配管29への圧力エアーの供給は、貼付ローラー14による帯状粘着シート12bの貼付作用が開始された後は、停止することができる。
【0042】
上記のようにして、走行する水平往復動テーブル2上のガラス基板1に対する帯状粘着シート12bの貼付作用が開始されるが、この後、水平往復動テーブル2は、積み下ろし作業位置P1に到達するまで継続的に走行し、貼付ローラー14は、ガラス基板1上の粘着シート貼付領域の終端位置が通過し終わるまで下降限レベルに留まり、帯状基材12の帯状粘着シート12bをターンガイド13から送出させる作用は、ガラス基板1上の粘着シート貼付領域の前後X方向長さ分だけ帯状粘着シート12bを送出し終わるまで、即ち、帯状粘着シート12b上の次の巾方向切断位置がターンガイド13の先端に達するまで、継続される。これによって、水平往復動テーブル2上にセットされた1枚のガラス基板1上の粘着シート貼付領域に対する、帯状粘着シート12bから切り離された1枚の粘着シートの貼付工程が完了する。
【0043】
上記粘着シートの一貼付工程が完了すると、帯状剥離シート巻取り装置部10の帯状剥離シート巻取り軸10aなどによる帯状基材12の送出作用を停止させると共に、この帯状基材12の送出作用を停止させている間に、切断手段38を稼働させて次の位置での帯状粘着シート12bの巾方向の切断を実行させ、貼付ローラー14は上昇限レベルまで上昇させ、水平往復動テーブル2上の粘着シート貼付済みのガラス基板1は、当該水平往復動テーブル2が積み下ろし作業位置P1で停止した状態で当該水平往復動テーブル2上から取り出し、次のガラス基板1と積み替える。そして、次のガラス基板1が搭載された水平往復動テーブル2を積み下ろし作業位置P1から粘着シート貼付開始位置P2まで走行させて停止させることにより、次のガラス基板1に対する粘着シートの貼付工程を開始させることができる。
【0044】
尚、上記粘着シートの貼付工程の繰り返しにより、切断手段38における切断刃46(円形刃体50の円周刃縁の一部)の磨耗などで、帯状粘着シート12bに対する切断性能が低下すれば、円形刃体50を固定している回転刃体固定具(ボルト)61を弛緩させ、垂直固定軸49に対して円形刃体50を回転させて、その円周刃縁の内の未使用部分を帯状基材受け面39aに対向させ、この状態で再び回転刃体固定具(ボルト)61を締結し、円形刃体50を固定すれば良い。このとき、帯状基材受け面39aとこれに対向する円形刃体50の円周刃縁との間の間隙が帯状粘着シート12bの厚さと同一になるように、走行部材45上の円形刃体50の取付位置(軸クランプ56の取付位置)を微調整することができる。
【0045】
上記実施形態では、本発明装置を、水平往復動テーブル2上に搭載されて走行するガラス基板1に対して粘着シートを貼付させる装置として実施した具体例を示したが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、ガラス基板1のような板状の被貼付物であっても、ローラーコンベヤやスラットコンベヤなどで一方向に搬送される板状被貼付物に対して粘着シートを貼付する装置としても実施することができるし、被貼付物が板状ではなく、連続したシート状(フィルム状)である場合にも、本発明の構成を適用した粘着シート貼付装置を構成することができる。この場合、水平に移動する連続シート状被貼付物に対して粘着シートを貼付させることもできるし、垂直上下方向に移動する連続シート状被貼付物に対して粘着シートを貼付させることもできる。更に、被貼付物の両面に同時に粘着シートを貼付させるように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】A図は装置全体の概略側面図、B図は使用する帯状基材の一部分を示す斜視図である。
【図2】装置主要部の概略平面図である。
【図3】装置主要部の概略側面図である。
【図4】粘着シート剥離送出部の詳細を示す縦断側面図である。
【図5】帯状粘着シート切断装置部の詳細を示す縦断側面図である。
【図6】帯状粘着シート切断装置部の詳細を示す一部切欠き平面図である。
【図7】帯状粘着シート切断装置部の詳細を示す一部切欠き背面図である。
【図8】切断刃部分の詳細を示す平面図である。
【図9】同切断刃部分の詳細を示す一部縦断正面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 ガラス基板(被貼付物)
2 水平往復動テーブル
2a,2b,32a,32b,48 ガイドレール
5 水平往復動テーブルの走行駆動手段
7,21,54,69 モーター
9 粘着シート剥離送出部
10 帯状剥離シート巻取り装置部
10a 帯状剥離シート巻取り軸
11 帯状粘着シート切断装置部
11A 水平経路部
11Aa 上側水平経路部
11Ab 下側水平経路部
11B 垂直経路部
12 帯状基材
12A 帯状基材の原反ロール
12a 帯状剥離シート
12b 帯状粘着シート
13 ターンガイド
14 貼付ローラー
16 貼付ローラー昇降駆動手段
24 押さえ板
25,33〜36 ガイドローラー
29 エアー吐出配管
31 スリッター
37 走行体
38 切断手段
39,40 棒状部材
39a 帯状基材受け面
41a,41b 連結部材
45 走行部材
46 切断刃
47 切断刃駆動手段
49 垂直固定軸
50 円形刃体
52,66a,66b タイミングベルト
53,67a,67b ベルト固定部材
56 軸クランプ
60 固定盤
61 回転刃体固定具(ボルト)
62 走行体の走行駆動手段
70 スリットかす巻取り装置
P1 ガラス基板積み下ろし作業位置
P2 粘着シート貼付開始位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した帯状剥離シート上に当該帯状剥離シートの長さ方向に連続した帯状粘着シートが剥離可能に貼付された帯状基材を、被貼付物の移動経路脇に配設された粘着シート剥離送出部へ送給し、当該粘着シート剥離送出部において、帯状剥離シートから剥離されて被貼付物の被貼付面に向けて送出される粘着シートを当該被貼付物の被貼付面上に貼付ローラーにより押圧貼付する粘着シート貼付装置であって、帯状粘着シートを所定長さの単位粘着シートに切断する切断手段が前記粘着シート剥離送出部よりも上手の帯状基材送給経路中に配設され、この切断手段は、帯状剥離シート上の帯状粘着シートのみを巾方向に切断する切断刃を備えている、粘着シート貼付装置。
【請求項2】
前記切断手段は、帯状基材送給経路に沿って移動可能に構成され、この切断手段の移動により単位粘着シートの長さを変更できるようにした、請求項1に記載の粘着シート貼付装置。
【請求項3】
前記切断手段は、帯状基材の巾方向に走行する走行切断刃と、当該走行切断刃に対面する帯状基材受け面とを備えている、請求項1又は2に記載の粘着シート貼付装置。
【請求項4】
前記切断手段の走行切断刃は、円形外周が刃縁である円形刃体から成り、この円形刃体をその円形中心の周りに回転自在に軸支すると共に、切断作用時に当該円形刃体を回転不能に固定するための固定具が併設されている、請求項3に記載の粘着シート貼付装置。
【請求項5】
前記切断手段は、帯状基材送給経路中の上下垂直経路部の両側に配置された左右一対の並列棒状部材を備え、一方の棒状部材に前記走行切断刃を支持案内するレールが設けられ、他方の棒状部材に前記帯状基材受け面が設けられている、請求項3又は4に記載の粘着シート貼付装置。
【請求項6】
前記切断手段は、帯状基材送給経路中の水平経路部に沿って水平移動可能に構成され、この切断手段には、前記水平経路部中に上下垂直経路部を形成する帯状基材案内ローラーが併設され、前記左右一対の並列棒状部材は、前記上下上下垂直経路部の左右両側に配設されている、請求項5に記載の粘着シート貼付装置。
【請求項7】
前記粘着シート剥離送出部には、被貼付物の移動方向と同一方向に送出される帯状基材から帯状剥離シートのみを反転させて帯状粘着シートを帯状剥離シートから剥離送出させるターンガイドと、このターンガイドから帯状粘着シートの送出方向に隣接する位置に、被貼付物の移動経路に対し遠近方向に出退移動自在に設けられた貼付ローラーと、前記ターンガイドと被貼付物の移動経路との間に配置されて前記貼付ローラーのある側に向かってエアーを吐出するエアー吐出配管とが配設されている、請求項1〜6の何れか1項に記載の粘着シート貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−63059(P2008−63059A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241563(P2006−241563)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000130916)株式会社サンテック (4)
【Fターム(参考)】