説明

粘着フィルム又はシート

【課題】粘着対象物品に対し適度な粘着力を有し、且つ、軟化点、熱変形温度等の熱的特性、引張強度、耐衝撃性、スティフネス等の機械特性、ヘイズ、グロス、光透過度等の光学特性に優れ、加えてフィッシュアイの発生がほとんど無く、表面平滑で外観も極めて良好なため物品の表面保護用、特に、液晶表示装置や有機薄膜EL装置の構成材である液晶パネル板、反射板、偏光板、有機蛍光体薄膜、透明電極等の精密電子部材の表面保護用に好適な粘着フィルム又はシート(表面保護用フィルム)を提供する。
【解決手段】ポリプロピレン樹脂基材層(A)と酢酸ビニル単位含量が7.5〜50重量%のエチレン・酢酸ビニル共重合体からなる粘着層(B)とからなる粘着フィルム又はシート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着フィルム又はシートに関し、より詳細には、適度な粘着力を有し、引張強度、耐衝撃性、スティフネス(剛性)等の機械特性やヘイズ、グロス、光透過度等の光学特性に優れ、加えてフィッシュアイの発生がほとんど無い等、表面平滑で外観も極めて良好なため物品の表面保護用、特に、液晶表示装置や有機薄膜EL装置の構成部材である液晶パネル板、反射板、偏光板、有機蛍光体薄膜、透明電極等の精密電子部品の表面保護用に好適な粘着フィルム又はシートに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着フィルム又はシートは、従来から、合成樹脂板、化粧板、金属板及び塗装鋼板等の製品の表面を、塵の付着、汚れおよび傷から保護するための表面保護フィルムとして、又、窓ガラス表面の保護用フィルムとして、自動車の焼付塗装時やプリント基板のハンダ浸積時の表面保護用フィルムとして、更には、液晶表示装置や有機薄膜EL装置の構成部材である液晶パネル板、反射板、偏光板、有機蛍光体薄膜、透明電極等の精密電子部品の表面保護用として、エレクトロニクス分野にも広く用いられている。
【0003】
そして一般的に粘着フィルム又はシートには、基材層と粘着層との間の接着は強く、一方、被保護物品表面と粘着層との間では、自然に自己剥離したり或いは極軽い振動や衝撃で脱落したりすることが無く、然も、開封剥離時には被保護物品表面に粘着物質を残すことなく、スムーズに剥離できるよう該表面との間では適度な粘着強度を保有することが求められる。
従来、このような要求を満たす素材として基材層ではポリエチレン等のエチレン系樹脂が、粘着層ではエチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂が一般に用いられている。
特に、その製造時に有機溶媒を使用しない共押出法により積層されたポリエチレン樹脂基材層とエチレン・酢酸ビニル共重合体粘着層からなるフィルム、シートが多用されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、高密度ポリエチレンから成る基材層の片面に、酢酸ビニル含有量が18〜26%のエチレン・酢酸ビニル共重合体から成る粘着層を積層した表面保護フィルムが開示されている。
【0005】
しかしながら、基材層に用いられるポリエチレン等のエチレン系重合体樹脂は、軟化点や融点等の熱的特性、引張強度、耐衝撃性、スティフネス等の機械特性、ヘイズ、グロス、光透過度等の光学特性が、それが使用される用途の如何によっては必ずしも充分とは云えないことがあった。
又、ポリエチレン樹脂フィルムは、その成形、加工時に屡々フィッシュアイが発生するという問題があった。
【0006】
フィッシュアイとはフィルム又はシートのような透明又は半透明プラスチック中の異物又は欠陥で、小さな球形の塊として見えるものを云う。
フィッシュアイの生じる原因の一つは塊部分と周囲の樹脂が良く混ざっていないことにあると云われているが、ポリエチレン、特に高圧法低密度ポリエチレンはその重合反応の工程中で極微小な不均質部分が発生し樹脂中に混入することが多く、フィルムに加工した際、フィッシュアイを発生する頻度が他種樹脂に比較して高いと云われている。
【0007】
フィッシュアイの発生はフィルムの外観を著しく損ねるだけでなく、特に、その用途が、電子部品の製造加工処理や製品の表面保護用等の場合は保護すべき対象電子部品の性能に悪影響を及ぼすことがある。
【0008】
従って、この対策に関する研究も既に多数提案され、例えば、特許文献2には、高圧法ポリエチレンの製造に際して重合容器出口から未反応ガス分離器に移送する気液混合流体の管内線速度を一定速度範囲に維持し、これにより配管内でのファウリングの発生を抑制し、異物が剥がれてポリエチレン樹脂中に混入し、フィルムにした場合にフィッシュアイを発生するのを回避する発明が開示されている。
又、特許文献3には、高圧法ポリエチレンの製造に於いて重合圧等の重合条件を特定に調整して得られた特定メルトフローレート(MFR)、特定密度、特定ヘーズの樹脂素材を用い、従来品に比してフィルム単位面積当たりのフィッシュアイ個数を低減したポリエチレンフィルムの発明が開示されている。
【0009】
しかしながら、現在に至るも、尚、ポリエチレンフィルムのフィッシュアイ発生頻度は充分満足できる程度には低減されていなく、特に、電子・情報分野で用いる保護フィルム等の用途では前記ポリエチレンに替わる基材層用の樹脂素材が求められていた。
【0010】
【特許文献1】特開平8−170056号公報
【特許文献2】特開2004−161878号公報
【特許文献3】特開2002−273203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者等は上記要望を満たすべく鋭意研究を重ねた結果、ポリプロピレン基材層と特定のエチレン・酢酸ビニル粘着層との組み合わせが上記諸課題を解決できることを知り、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0012】
従って、本発明の目的は、粘着対象物品に対し適度な粘着力を有し、且つ、軟化点、熱変形温度等の熱的特性、引張強度、耐衝撃性、スティフネス等の機械特性、ヘイズ、グロス、光透過度等の光学特性に優れ、加えてフィッシュアイの発生がほとんど無く、表面平滑で外観も極めて良好なため物品の表面保護用、特に、液晶表示装置や有機薄膜EL装置の構成材である液晶パネル板、反射板、偏光板、有機蛍光体薄膜、透明電極等の精密電子部材の表面保護用に好適な粘着フィルム又はシートを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、ポリプロピレン樹脂基材層(A)と酢酸ビニル単位含量が7.5〜50重量%のエチレン・酢酸ビニル共重合体からなる粘着層(B)とからなる粘着フィルム又はシートが提供される。
【0014】
特に、ポリプロピレン樹脂基材フィルムの片面に前記粘着層(B)を積層した態様のものが好適である。
【0015】
又、前記基材層(A)と粘着層(B)とは共押出により形成されることが好ましい。
【0016】
又、前記粘着層(B)は、更に、粘着付与剤を含むことが好ましい。
【0017】
又、前記基材層(A)は、ポリプロピレンホモポリマーまたはランダム共重合プロピレン樹脂から成ることが好ましい。
【0018】
本発明の粘着フィルム又はシートは、物品、部材の表面保護用フィルムとして、とりわけ、精密電子部品の表面保護用フィルムとして好適で、殊に、液晶表示装置又は有機薄膜EL装置の構成部材の表面保護用に好適に用いられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の粘着フィルム又はシートは基材層と粘着層との層間接着強度が高く、然も粘着層は被粘着対象物品面に対し適度な粘着力を有し、且つ、その基材層は軟化点、熱変形温度等の熱的特性、引張強度、耐衝撃性、スティフネス等の機械特性、ヘイズ、グロス、光透過度等の光学特性に優れ、加えてフィッシュアイの発生がほとんど無く、表面平滑で外観も極めて良好なため、例えば、合成樹脂板、化粧板、金属板及び塗装鋼板等の表面保護、窓ガラス表面の保護、自動車の焼付塗装時やプリント基板のハンダ浸積時の表面保護等、物品の表面保護用に有用であり、特に、液晶表示装置や有機薄膜EL装置の構成部材である液晶パネル板、反射板、偏光板、有機蛍光体薄膜層、透明電極層や半導体チップやプリント回路基板等の精密電子部品の表面保護用に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明に係る実施形態について詳細且つ具体的に説明する。
本発明の粘着フィルム又はシートに於いて、基材層の構成樹脂であるポリプロピレン樹脂としては、プロピレン単独重合体(ポリプロピレンホモポリマー)の他、プロピレンを主体とし、これに少量のエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等の炭素原子数2、4〜20のα−オレフィン類の少なくとも1種を共重合させたプロピレン・αオレフィン共重合体等のポリプロピレン系共重合体樹脂を挙げることができる、共重合体はランダム共重合体、ブロック共重合体の何れも用いることができるがランダム重合体が好ましい。
【0021】
本発明でプロピレン共重合体を用いる場合、プロピレン共重合体に於けるプロピレン以外の他の単量体(例えばαオレフィン)成分の含有量は、通常、10モル%以下、好ましくは8モル%未満である。
【0022】
このプロピレン重合体のメルトフローレート(MFR)は、通常、0.1〜100g/10分(JIS K7210−1999、荷重:2.16kg、温度:230℃)、好ましくは1〜20g/10分である。
【0023】
又、前記プロピレン重合体(又は共重合体)の特性を損なわない限りに於いて、該重合体(共重合体)に相溶する少量の他種樹脂成分を配合した樹脂組成物を用いることもできる。
前記プロピレン重合体或いは共重合体に組合せで配合される他樹脂成分として、例えば、ポリエチレン、ポリブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。
【0024】
本発明で基材層に用いる上記ポリプロピレン樹脂素材の好適態様として、示差走査熱量計(DSC)による熱分析での潜熱量が80KJ/Kg以下、より好ましくは30〜79KJ/Kgの、所謂、軟質ポリプロピレン或いは他のα−オレフィン単位を少量、例えば、0.01〜10モル%以下含有する軟質プロピレン系共重合体を挙げることが出来る。
上記樹脂は、フィルム素材として加工性に富み、且つ、得られるフィルムは柔軟で低温脆化耐性に比較的優れる点から好ましい。
【0025】
本発明では、上記基材層に積層される粘着層の構成樹脂としてエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)からなる樹脂を用いる。
【0026】
本発明においては前記エチレン・酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル成分単位含有量が7.5〜50重量%、更に好ましくは10〜50重量%、 最も好ましくは10〜28重量%にあることが前記粘着層と基材層との間の好適な層間接着、被保護対象物品との適度な粘着強度付与の観点から好ましい。また前記エチレン・酢酸ビニル共重合体は190℃、2160g荷重に於けるメルトフローレート(MFR)(JIS K7210−1999に準拠)が0.1〜100g/10分、特に1〜30g/10分であることが好ましい。
本発明に於いては該粘着層を構成する樹脂としてエチレン・酢酸ビニル共重合体だけでなく、エチレン・酢酸ビニル共重合体に粘着付与剤等を配合した樹脂組成物も使用できる。粘着付与剤の配合量はエチレン・酢酸ビニル共重合体100重量部に対して0〜10重量部程度が好ましい。
【0027】
前記粘着層に必要に応じて添加される粘着付与剤としては、ロジン誘導体、テルペン系樹脂、石油系樹脂等を例示出来る。
前記粘着層には、該層の特性を損なわない限度に於いて、更に他種樹脂を配合しても差し支えない。
【0028】
このような樹脂として、例えば、エチレンと(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸との共重合体であるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル、エチレン・(メタ)アクリル酸エチルエチレン・(メタ)アクリル酸イソブチル等のエチレンと前記不飽和カルボン酸のアルキルエステルとの共重合体であるエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸・メタクリル酸イソブチル等のエチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル共重合体樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒重合ポリエチレン等のポリエチレン類やエチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン等、炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であるエチレン系樹脂類、ポリプロピレン等のプロピレン系樹脂、ポリブテン等のブテン系樹脂、4−メチル−1−ペンテンのようなオレフィン系樹脂等の樹脂類を挙げることができる。
【0029】
これら樹脂は2種以上配合されて良い。
これらの内では、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体等のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸イソブチル共重合体等のエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸・メタクリル酸イソブチル共重合体等のエチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル共重合体樹脂、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒重合ポリエチレン等やエチレン・1−ブテン共重合体等のエチレン・α−オレフィン系共重合体樹脂等が好ましい。
これら他種樹脂は、粘着層の物性を損なわない範囲、たとえば前記エチレン・酢酸ビニル共重合体100重量部に対し0〜30重量部程度迄加えることができる。
【0030】
本発明に於いては、前記粘着層を構成するエチレン・酢酸ビニル共重合体や該共重合体に粘着性付与剤等を配合した樹脂組成物は、被保護物品の表面層がPET(ポリエチレンテレフタレート)やOPP(延伸配向ポリプロピレン)フィルム、ポリエーテルフィルム、ポリカーボネートフィルムである場合をも考慮してその接着性の観点から該樹脂単位量当たりの酢酸ビニル単位含量が7.5〜50重量%、好ましくは10〜28重量%の範囲にあることが好ましく、特に10〜19重量%の範囲が好ましい。
【0031】
粘着層を構成する上記エチレン・酢酸ビニル共重合体は、この種の共重合体樹脂を製造する公知の方法に従って、高圧フリーラジカル重合で直接共重合させることによって得ることが出来る。
【0032】
上記共重合体又は樹脂組成物には、更に、必要に応じて、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン、4,4’−ジオクチルフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミン等の酸化防止剤、炭酸鉛、オルトケイ酸鉛、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸カルシウム、ジブチル錫等ラウレート等の熱安定剤、従来公知のフェノール系酸化防止剤,リン系酸化防止剤,イオウ系酸化防止剤等のような各種添加剤を例えば0〜5重量%程度まで配合する事ができる。
【0033】
次に、本発明の粘着フィルム又はシートの製造方法について説明する。
積層フィルム、シート等の成形方法としてはキャスト法,インフレーション法, ドライラミネート法、ウエットラミネート法、押出ラミネート法 共押出成形法等があるが、溶剤を使用しないため労働環境衛生面で優れ、且つ、製造コスト、生産効率面でも優れる共押出成形法が好ましい。
【0034】
共押出成形法として、より具体的には、ポロプロピレン樹脂溶融物とエチレン・酢酸ビニル共重合体溶融物とを多層共押出Tダイからフィルム押出し、冷却ロールにて冷却する所謂多層共押出キャスト法を挙げることができる。
【0035】
形成される積層フィルム又はシートのポリプロピレン樹脂フィルム層(基材層)は通常未延伸状態で用いるが、一軸又は二軸延伸されていても良く、この場合は、例えば、予め製作したポリプロピレン2軸延伸フィルムを繰り出し部より一定速度で繰り出し、ラミネート部に導き、該ラミネート部で、シリンダー内に所定温度に加熱溶融され、連続的にTダイスから薄膜状に押出されたエチレン・酢酸ビニル樹脂の溶融薄膜を前記ポリプロピレン延伸フィルム面上に直接垂らし、冷却ロールと圧縮ロール間で前記ポリプロピレンフィルムとエチレン・酢酸ビニル共重合体ラミネート樹脂とを圧縮、冷却した後に、巻取り部で積層フィルム製品として巻取る。
【0036】
これ等の積層フィルム、シートに於けるポリプロピレン基材層の厚さは特に限定されるものではないが、30〜100μm程度が、又、エチレン・酢酸ビニル樹脂層の厚さは、10〜40μm程度が好ましい。
【0037】
本発明の粘着フィルム又はシートの主な用途としては、合成樹脂板、化粧板、金属板、塗装鋼板の表面保護、窓ガラス表面保護、自動車の焼付塗装時やプリント基板のハンダ浸積時の表面保護、液晶表示装置や有機薄膜EL装置の構成部材である液晶パネル板、反射板、偏光板、有機蛍光体薄膜層、透明電極層や半導体チップやプリント回路基板等の精密電子部品の表面保護等を挙げることができる。
【実施例】
【0038】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0039】
「実施例1」
共押出多層キャスト成形装置(65mmφ、50mmφ)を用いてポリプロピレン(ランダム共重合プロピレン樹脂:F327)とエチレン・酢酸ビニル共重合体(エバフレックス:P1007)とを共押出し、これを所定サイズのフィルム状に裁断して試料積層フィルムを得た(ポリプロピレン樹脂層厚さ/エチレン・酢酸ビニル共重合体層厚さ=40/20μm)。
この試料フィルムを用いて下記項目のフィルム性能を評価した。
結果を表1に示した。
【0040】
「評価項目及び方法」
機械特性
引張破断点強度=JIS K6781に準拠
耐衝撃値(フィルムインパクト)= ASTM D3420に準拠
剛性値(フィルムスティフネス)= 東洋精機(株)製ループスティフネステスターを用い、スパン100mm、幅25mm、押込距離15mmで測定し、剛性の尺度とした。
光学特性
ヘイズ=JIS K7136に準拠
グロス=JIS K7105に準拠
透過率(トランス)=ASTM D1746に準拠
全光線透過率=JIS K7361に準拠
粘着特性
アクリル板への粘着性=JIS Z0237準拠
【0041】
「比較例1」
実施例1のポリプロピレンに替えてポリエチレン(エボリューSP2540)を用いた以外は実施例1と同様にして試料フィルムを作製し、実施例1と同様に評価した(ポリエチレン層/エチレン・酢酸ビニル層=40/20μm)。
結果を表1に示した。
【0042】
【表1】

【0043】
表1から、本発明の粘着フィルムは、従来品とほぼ同等の被表面保護物品に対する粘着性(この場合対アクリル板表面との粘着性)を有し、然も、引張強度、フィルムインパクト、フィルムスティフネス(フィルムの腰:形状安定性)、ヘイズ(曇り)やグロス(輝き)光線透過性等は、従来品に比較して顕著に優れることが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン樹脂基材層(A)と酢酸ビニル単位含量が7.5〜50重量%のエチレン・酢酸ビニル共重合体からなる粘着層(B)とからなる粘着フィルム又はシート。
【請求項2】
ポリプロピレン樹脂基材フィルムの片面に前記粘着層(B)を積層した請求項1記載の粘着フィルム又はシート。
【請求項3】
前記基材層(A)と粘着層(B)とが共押出により形成された請求項1又は2記載の粘着フィルム又はシート。
【請求項4】
前記粘着層(B)が、更に粘着付与剤を含む請求項1乃至3の何れかに記載の粘着フィルム又はシート。
【請求項5】
前記基材層(A)がポリプロピレンホモポリマーまたはランダム共重合プロピレン樹脂から成る請求項1乃至4の何れかに記載の粘着フィルム又はシート。
【請求項6】
物品、部材の表面保護用フィルムとして用いられる請求項1乃至5の何れかに記載の粘着フィルム又はシート。
【請求項7】
精密電子部品の表面保護に用いられる請求項6記載の粘着フィルム又はシート。
【請求項8】
前記精密電子部品が液晶表示装置又は有機薄膜EL装置の構成部材である請求項7記載の粘着フィルム又はシート。

【公開番号】特開2008−255233(P2008−255233A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−99237(P2007−99237)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(000174862)三井・デュポンポリケミカル株式会社 (174)
【Fターム(参考)】