説明

粘着剤及び研磨布固定用両面粘着テープ

【課題】酸及びアルカリへの耐性に優れ、研磨中に剥がれを生ずることなく、かつ、糊残りをほとんど生じさせずに剥離できる粘着剤を提供する。また、該粘着剤を用いてなる研磨布固定用両面粘着テープを提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、架橋剤とを含有する粘着剤であって、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、カルボキシル基を有するモノマーとを含有するモノマー混合物を共重合させてなる共重合体である粘着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸及びアルカリへの耐性に優れ、研磨中に剥がれを生ずることなく、かつ、糊残りをほとんど生じさせずに剥離できる粘着剤に関する。また、本発明は、該粘着剤を用いてなる研磨布固定用両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハを所定の厚さにまで研磨する工程においては、研磨機の定盤に固定された研磨布を用いて研磨が行われる。研磨布を研磨機の定盤に固定するためには、通常、両面テープが使用される。この研磨布固定用両面粘着テープには、研磨中に研磨布が剥離しない程度に充分な接着力を有するとともに、使用した研磨布を交換する際には定盤から糊残りなく剥離できることが求められてきた。
【0003】
特許文献1には、プラスチックフィルムの一方の面にニトリルゴム系粘着剤からなる粘着剤層を設け、他方の面に再剥離性の粘着剤層を設けてなる研磨布固定用両面粘着テープが開示されている。特許文献1に開示されている研磨布固定用両面粘着テープは、ニトリルゴム系粘着剤からなる粘着剤層側を研磨布に接着し、再剥離性の粘着剤層側を定盤に接着して使用する。特許文献1の実施例では、再剥離性の粘着剤層を構成する粘着剤として、アクリル酸と、アクリル酸ブチルと、酢酸ビニルとを共重合させてなる共重合体を使用している。特許文献1に開示されている研磨布固定用両面粘着テープは、両面をアクリル粘着剤とした場合に比べて、酸化セリウム微粉末の20%溶液に50℃で5日間浸漬した後も高い粘着力を維持できる。
【0004】
特許文献2には、プラスチックフィルム支持体の一方の面にアクリル系ポリマーを主成分とする粘着剤層と該粘着剤層上にポリエステル又はポリウレタンからなる熱活性粘着剤層が積層一体化された層を設け、他方の面に再剥離性の粘着剤層を設けてなる研磨布固定用両面粘着テープが開示されている。特許文献2に開示されている研磨布固定用両面粘着テープは、熱活性粘着剤層を研磨材に接着させて使用する。特許文献2に開示されている研磨布固定用両面粘着テープは、両面ともアクリル粘着剤層を用いた場合と比べて、水酸化カリウムでpH10に調整した50℃の水溶液に5日間浸漬した場合にも、高い粘着力を維持できる。
【0005】
しかしながら、近年、半導体ウエハ等を研磨する際に強酸性又は強アルカリ性のスラリー液を使用するため、特許文献1及び2に開示されている研磨布固定用両面粘着テープでは、定盤側の粘着剤層が酸やアルカリの影響で劣化しやすく、研磨中に剥離してしまうことがあるという問題があった。また、仮に特許文献1及び2に記載されている研磨布固定側の粘着剤層を定盤側にも使用した場合には、酸やアルカリに対する耐性は優れるが、使用した研磨布を交換する際に定盤から容易に剥離することができなかった。
【0006】
耐アルカリ性に優れた粘着剤として、例えば、特許文献3には、スチレンと、環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルと、鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、エチレン性二重結合を有するカルボン酸とを共重合したポリマーを主成分とする粘着剤が開示されている。特許文献3に開示されている粘着剤は、2.38質量%のTMAH水溶液に浸漬させても溶解しない。しかしながら、特許文献3に開示されている耐アルカリ性に優れた粘着剤を研磨布固定用両面粘着テープの定盤固定用粘着剤層に使用した場合には、使用した研磨布を交換する際に接着層を溶解し取り除くための剥離液が必要となり、容易に再剥離することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−145611号公報
【特許文献2】特開平6−172721号公報
【特許文献3】特開2008−063461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、酸及びアルカリへの耐性に優れ、研磨中に剥がれを生ずることなく、かつ、糊残りをほとんど生じさせずに剥離できる粘着剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該粘着剤を用いてなる研磨布固定用両面粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、架橋剤とを含有する粘着剤であって、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、カルボキシル基を有するモノマーとを含有するモノマー混合物を共重合させてなる共重合体である粘着剤である。
以下に本発明を詳述する。
【0010】
本発明者らは、特定の構造を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いることにより、酸及びアルカリへの耐性に優れるために研磨中に剥がれを生ずることなく、かつ、糊残りをほとんど生じさせずに剥離できる粘着剤が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明の粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有する。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、モノマー混合物を共重合させてなる。
上記モノマー混合物は脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有する。
上記モノマー混合物が上記脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有することにより、本発明の粘着剤は耐せん断力に優れる。また、上記脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体の極性に影響を与えず、かつ、剛直な骨格を有するため、本発明の粘着剤は、加水分解しにくくなり、耐酸性及び耐アルカリ性に優れる。
【0012】
上記脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは特に限定されないが、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルが好適である。
【0013】
【化1】

【0014】
一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは脂肪族環骨格を有する炭素数5〜15の有機基を表す。
【0015】
上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルは特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−エチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルモノマーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、アルカリ水溶液の浸透性が低く、かつ、エステル加水分解を受けにくいことから、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルが好適である。
【0016】
上記モノマー混合物中における上記脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量は特に限定されないが、好ましい下限は5重量%、好ましい上限は25重量%である。上記脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量が5重量%未満であると、得られる粘着剤の凝集性が低くなり、研磨布固定用両面粘着テープに用いた場合、研磨時に粘着剤に加わるせん断力に耐えられずに研磨布が剥がれたり、使用した研磨布を交換するために再剥離する際に凝集破壊して糊残りが生じたりすることがある。上記脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量が25重量%を超えると、得られる粘着剤の粘着性が低くなり、研磨布固定用両面粘着テープに用いた場合、研磨時に研磨布が剥がれることがある。
上記脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量のより好ましい下限は7重量%、より好ましい上限は23重量%である。
【0017】
上記モノマー混合物は炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有する。
上記モノマー混合物が、上記炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有することにより、得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体の疎水性が高くなり、酸性水溶液やアルカリ性水溶液の粘着剤中への浸透が抑制され、加水分解の影響を受けにくくなるため、本発明の粘着剤は耐酸性及び耐アルカリ性に優れる。また、上記炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを用いることにより、得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度(Tg)が低くなり、本発明の粘着剤は密着性に優れる。
【0018】
上記鎖式骨格の炭素数が5以下であると、得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体の疎水性が低くなるため、共重合体内部へ酸性水溶液やアルカリ性水溶液が浸透しやすくなる。浸透した酸やアルカリは、触媒として作用して(メタ)アクリル酸エステル共重合体のエステル部位の加水分解反応を引き起し、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の化学劣化が発生する。上記鎖式骨格の炭素数が15以上であると、得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体のTgが高くなるため、得られる粘着剤の流動性が低下し、密着性が悪くなる。
上記鎖式骨格の炭素数の好ましい下限は7、好ましい上限は12である。
【0019】
上記炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは特に限定されないが、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好適である。
【0020】
【化2】

【0021】
一般式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数6〜14のアルキル基を表す。
【0022】
上記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステルは特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸イソテトラデシル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、水溶液の浸透が低く、かつ、エステル加水分解を受けにくいことから、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが好適である。
【0023】
上記モノマー混合物中における上記炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量は特に限定されないが、好ましい下限は65重量%、好ましい上限は92重量%である。上記炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量が65重量%未満であると、得られる粘着剤の粘着性が低くなり、研磨布固定用両面粘着テープに用いた場合、研磨時に研磨布が剥がれることがある。上記炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量が92重量%を超えると、得られる粘着剤の凝集性が低くなり、研磨布固定用両面粘着テープに用いた場合、研磨時に粘着剤に加わるせん断力に耐えられずに研磨布が剥がれたり、使用した研磨布を交換するために再剥離する際に凝集破壊して糊残りが生じたりすることがある。
上記炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量のより好ましい下限は70重量%、より好ましい上限は90重量%である。
【0024】
上記モノマー混合物はカルボキシル基を有するモノマーを含有する。
上記モノマー混合物が、上記カルボキシル基を有するモノマーを含有することにより、本発明の粘着剤は凝集性に優れ、かつ、高い界面接着力を有する。そのため、本発明の粘着剤を研磨布固定用両面粘着テープに用いた場合、再剥離する際の糊残りの発生を防止することができ、かつ、研磨時に回転方向のモーメントとして接着面に対して加わる力による粘着剤層又は接着界面でのボイドの発生を抑制し、ボイドに酸又はアルカリスラリー液が浸透して接着面積が低下することによる研磨布の剥離を効果的に防止することができる。
【0025】
上記カルボキシル基を有するモノマーは特に限定されず、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する不飽和カルボン酸、エチレン性二重結合を有する不飽和カルボン酸等が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイル基を有する不飽和カルボン酸は特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイル酢酸、(メタ)アクリロイルプロピオン酸、(メタ)アクリロイル酪酸、(メタ)アクリロイルペンタン酸等が挙げられる。
上記エチレン性二重結合を有する不飽和カルボン酸は特に限定されず、例えば、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸、これら不飽和カルボン酸の無水物等が挙げられる。これらのカルボキシル基を有するモノマーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
上記モノマー混合物中における上記カルボキシル基を有するモノマーの含有量は特に限定されないが、好ましい下限は2重量%、好ましい上限は10重量%である。上記カルボキシル基を有するモノマーの含有量が2重量%未満であると、粘着剤の凝集性や界面接着力が低くなり、研磨布固定用両面粘着テープに用いた場合、使用した研磨布を交換するために再剥離する際に凝集破壊して糊残りが生じたり、研磨時に研磨布が剥がれたりすることがある。上記カルボキシル基を有するモノマーの含有量が10重量%を超えると、粘着剤のタックが低下して初期接着性が悪くなり、研磨布が剥がれることがある。
上記カルボキシル基を有するモノマーの含有量のより好ましい下限は2.5重量%、より好ましい上限は9重量%である。
【0027】
上記モノマー混合物は、アミノ基及び/又はアミド基を有するモノマーを含有することが好ましい。
上記モノマー混合物が、上記アミノ基及び/又はアミド基を有するモノマーを含有することにより、本発明の粘着剤は高い凝集性を有する。これは、上記カルボキシル基を有するモノマーと上記アミノ基及び/又はアミド基を有するモノマーとが、イオン結合又は水素結合を形成することによって擬似的に架橋しているためであると推定される。そのため、本発明の粘着剤を研磨布固定用両面粘着テープに用いた場合、再剥離する際の糊残りの発生を防止することができ、かつ、研磨時に回転方向のモーメントとして接着面に対して加わる力による粘着剤層又は接着界面でのボイドの発生を抑制し、ボイドに酸又はアルカリスラリー液が浸透して接着面積が低下することによる研磨布の剥離を効果的に防止することができる。
【0028】
上記アミノ基及び/又はアミド基を有するモノマーは特に限定されず、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。これらのアミノ基及び/又はアミド基を有するモノマーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、加水分解を受けにくく、また、上記脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、上記炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び/又は上記カルボキシル基を有するモノマーと共重合しやすいことから、アクリルアミドが好適である。
【0029】
上記モノマー混合物中における上記アミノ基及び/又はアミド基を有するモノマーの含有量は特に限定されないが、好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は2重量%である。上記アミノ基及び/又はアミド基を有するモノマーの含有量が0.1重量%未満であると、粘着剤の凝集性が低くなり、研磨布固定用両面粘着テープに用いた場合、使用した研磨布を交換するために再剥離する際に凝集破壊して糊残りが生じたり、研磨時に研磨布が剥がれたりすることがある。上記アミノ基及び/又はアミド基を有するモノマーの含有量が2重量%を超えると、粘着剤のタックが低下して初期接着性が悪くなり、研磨布が剥がれることがある。また、上記アミノ基及び/又はアミド基を有するモノマーの含有量が2重量%を超えると、得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体の吸水性が高くなるため、共重合体内部へ酸性水溶液やアルカリ性水溶液が浸透しやすくなることがある。浸透した酸やアルカリは、触媒として作用して(メタ)アクリル酸エステル共重合体のエステル部位の加水分解反応を引き起こし、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の化学劣化が発生することがある。
上記アミノ基及び/又はアミド基を有するモノマーの含有量のより好ましい下限は0.2重量%、より好ましい上限は1.5重量%である。
【0030】
上記モノマー混合物は、上記脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、上記炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、又は、上記カルボキシル基を有するモノマーと共重合可能な他のモノマーを含有してもよい。更に、上記アミノ基及び/又はアミド基を有するモノマーを含有する場合には、上記モノマー混合物は、上記脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、上記炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、上記カルボキシル基を有するモノマー、或いは、上記アミノ基及び/又はアミド基を有するモノマーと共重合可能な他のモノマーを含有してもよい。なお、本明細書中、このようなモノマーを、単に「他のモノマー」ともいう。
上記他のモノマーを含有することにより、本発明の粘着剤は、得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体の分子間相互作用が増大することによって高い凝集力を得ることができる。更に、上記他のモノマーが極性基を有する場合には、本発明の粘着剤は、該極性基が研磨布等の被着体表面と相互作用を起こすことによって高い界面接着力を得ることができる。
【0031】
上記他のモノマーは特に限定されず、例えば、エチレン性二重結合を含むニトリル誘導体、エチレン性二重結合を含むアルコール誘導体、エチレン性二重結合を含むエーテル誘導体等が挙げられる。
【0032】
上記モノマー混合物中における上記他のモノマーの含有量は特に限定されないが、好ましい上限は15重量%である。上記他のモノマーの含有量が15重量%を超えると、得られる粘着剤の粘着性が低くなり、研磨布固定用両面粘着テープに用いた場合、研磨時に研磨布が剥がれることがある。
上記他のモノマーの含有量のより好ましい上限は12重量%である。
【0033】
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は20万、好ましい上限は100万である。上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量が20万未満であると、得られる粘着剤の凝集性が低くなり、使用した研磨布を交換するために再剥離する際に凝集破壊して糊残りが生じることがある。上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量が100万を超えると、接着力が低下し、得られる粘着剤を研磨布固定用両面粘着テープに用いた場合、研磨時に研磨布が剥がれることがある。
なお、本明細書において上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算して測定した値を意味する。具体的には、例えば、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体をテトラヒドロフラン(THF)により100倍に希釈して得られた希釈液をフィルターで濾過し、得られた濾液をカラム(例えば、Water社製の商品名「2690 Separations Model」等)を用いてGPC法により測定することができる。
【0034】
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体を製造する方法は特に限定されず、例えば、上記脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、上記炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、及び、上記カルボキシル基を有するモノマーと、必要に応じて配合する他のモノマーとを含有するモノマー混合物を、重合開始剤の存在下にてラジカル反応させる重合方法等が挙げられる。
上記重合方法は特に限定されず、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の従来公知の重合方法を用いることができる。
【0035】
上記溶液重合に用いる溶媒は特に限定されず、例えば、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、酢酸シクロヘキシル、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0036】
上記溶液重合に用いる溶媒の配合量は特に限定されないが、上記モノマー混合物100重量部に対して、好ましい下限は25重量部、好ましい上限は300重量部である。上記溶媒の配合量が25重量部未満であると、得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体の分子量分布が広くなって粘着剤の粘着性や凝集性が低くなり、研磨布固定用両面粘着テープに用いた場合、研磨時に粘着剤に加わるせん断力に耐えられずに研磨布が剥がれたり、使用した研磨布を交換するために再剥離する際に凝集破壊して糊残りが生じたりすることがある。上記溶媒の配合量が300重量部を超えると、研磨布固定用両面粘着テープを作製する際に粘着層の厚みを均一にすることが困難になったり、溶剤を除去する手間が必要となったりすることがある。
【0037】
上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ラウロイルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシピバレートが好適である。
【0038】
上記重合開始剤の配合量は特に限定されないが、上記モノマー混合物100重量部に対して、好ましい下限は0.02重量部、好ましい上限は0.5重量部である。上記重合開始剤の配合量が0.02重量部未満であると、重合反応が不充分となったり、重合反応に長時間を要したりすることがある。上記重合開始剤の配合量が0.5重量部を超えると、得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量が低くなりすぎたり、分子量分布が広くなりすぎたりすることがあり、その結果、得られる粘着剤を研磨布固定用両面粘着テープに用いた場合、研磨時に粘着剤に加わるせん断力に耐えられずに研磨布が剥がれたり、使用した研磨布を交換するために再剥離する際に凝集破壊して糊残りが生じたりすることがある。
【0039】
本発明の粘着剤は、架橋剤を含有する。
上記架橋剤を含有することにより、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に架橋構造を形成することができる。また、上記架橋剤の種類や量を適宜調整することによって、本発明の粘着剤のゲル分率を調整することが容易になる。
【0040】
上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、耐熱性及び耐久性等の性能を発現しやすいことから、イソシアネート系架橋剤が好適である。
【0041】
上記架橋剤の配合量は特に限定されないが、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体100重量部に対して、好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は4重量部である。上記架橋剤の配合量が0.1重量部未満であると、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の架橋が不充分となり、得られる粘着剤を研磨布固定用両面粘着テープに用いた場合、使用した研磨布を交換するために再剥離する際に凝集破壊して糊残りが生じることがある。上記架橋剤の配合量が4重量部を超えると、得られる粘着剤の粘着力やタックが低下することがある。
上記架橋剤の配合量のより好ましい下限は0.2重量部、より好ましい上限は2.5重量部である。
【0042】
本発明の粘着剤は、更に、粘着付与樹脂を含有してもよい。
上記粘着付与樹脂は特に限定されず、例えば、キシレン樹脂、フェノール樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、キシレン樹脂が好適であり、キシレン樹脂のアルキルフェノール反応物がより好適である。
【0043】
本発明の粘着剤は、更に、必要に応じて着色剤、充てん剤、老化防止剤等の従来公知の添加剤を含有してもよい。
【0044】
本発明の粘着剤を含有する粘着剤層を、基材の少なくとも一方の面に積層一体化してなる研磨布固定用両面粘着テープもまた、本発明の1つである。
【0045】
上記基材は特に限定されず、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等からなる合成樹脂フィルムや、ポリウレタン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂等からなる発泡シート等が挙げられる。なかでも、平坦であり、厚みのぶれが小さく、一定の強度を有することから、ポリエステル系樹脂からなる合成樹脂フィルムが好適である。
【0046】
上記基材の厚みは特に限定されないが、非発泡体である場合には、好ましい下限は15μm、好ましい上限は300μmである。上記非発泡体である基材の厚みが15μm未満であると、得られる研磨布固定用両面粘着テープを研磨機の定盤から剥離させる際に基材が破断して綺麗に剥離させることができないことがある。上記非発泡体である基材の厚みが300μmを超えると、研磨布と得られる研磨布固定用両面粘着テープとを圧着させる際の圧力の調整が困難となり、研磨布と研磨布固定用両面粘着テープとの接着強度が低下することがある。上記非発泡体である基材の厚みのより好ましい下限は20μm、より好ましい上限は200μmである。
【0047】
上記基材が発泡体である場合には、上記基材の厚みの好ましい下限は50μm、好ましい上限は3000μmである。上記発泡体である基材の厚みが50μm未満であると、得られる研磨布固定用両面粘着テープを研磨機の定盤から剥離させる際に基材が破断して綺麗に剥離させることができないことがある。上記発泡体である基材の厚みが3000μmを超えると、研磨の際の圧力により基材が押し込まれて変形し、研磨物の研磨精度が低下することがある。上記発泡体である基材の厚みのより好ましい下限は100μm、より好ましい上限は2000μmである。
【0048】
上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は20μm、好ましい上限は100μmである。上記粘着剤層の厚みが20μm未満であると、粘着力が不充分となり、研磨中に研磨布が剥離してしまうことがある。上記粘着剤層の厚みが100μmを超えると、粘着剤層の凝集性が低くなり、使用した研磨布を交換するために再剥離する際に凝集破壊して糊残りが生じることがある。上記粘着剤層の厚みのより好ましい下限は25μm、より好ましい上限は80μmであり、更に好ましい下限は30μm、更に好ましい上限は60μmである。
【0049】
本発明の研磨布固定用両面粘着テープの製造方法は特に限定されず、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0050】
まず、本発明の粘着剤に溶剤を加えて粘着剤溶液を調製し、得られた粘着剤溶液を基材の表面に塗布し、粘着剤溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して粘着剤層を形成する。次に、形成した粘着剤層の上に離型フィルム又は剥離紙を、離型処理面が粘着剤層に対向した状態になるように重ね合わせる。
【0051】
上記溶剤は特に限定されず、例えば、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
【0052】
次いで、新たに用意した離型フィルムの離型処理面に粘着剤溶液(本発明の粘着剤でもよいし、本発明の粘着剤と異なる粘着剤でもよい)を塗布し、粘着剤溶液中の溶剤を完全に乾燥除去することにより、離型フィルムの表面に粘着剤層が形成された積層フィルムを作製する。
【0053】
基材における粘着剤層を形成した側と反対側の面に対して、得られた積層フィルムの粘着剤層が対向した状態になるように重ね合わせて積層体を作製する。
得られた積層体を、ゴムローラ等を用いて加圧することで、基材の両面に粘着剤層が積層一体化され、かつ、粘着剤層の表面に離型フィルム又は剥離紙が剥離可能に積層されてなる研磨布固定用両面粘着テープを得ることができる。
【0054】
また、同様の要領で離型フィルム又は剥離紙の表面に粘着剤層が形成された積層フィルムを2組作製し、得られた2組の積層フィルムを基材の両面に、積層フィルムの粘着剤層を基材に対向させた状態になるように重ね合わせて積層体を作製し、得られた積層体を、ゴムローラ等を用いて加圧することで、基材の両面に粘着剤層が積層一体化され、かつ、粘着剤層の表面に離型フィルム又は剥離紙が剥離可能に積層されてなる研磨布固定用両面粘着テープを得ることができる。
【0055】
本発明の研磨布固定用両面粘着テープにおいて、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液又は0.1mol/Lの塩酸に、80℃で1週間浸漬した後の上記粘着剤層の加水分解率は特に限定されないが、1%未満であることが好ましい。上記加水分解率が1%以上であると、酸又はアルカリスラリー液と接触する粘着剤層端部が劣化して、研磨時に研磨布が剥がれることがある。
【0056】
本発明の研磨布固定用両面粘着テープにおいて、上記粘着剤層のゲル分率は特に限定されないが、好ましい下限は30重量%、好ましい上限は80重量%である。上記ゲル分率が30重量%未満であると、使用した研磨布を交換するために再剥離する際に凝集破壊して糊残りが生じることがある。上記ゲル分率が80重量%を超えると、粘着剤の粘着力やタックが低下することがある。
上記ゲル分率のより好ましい下限は45重量%、より好ましい上限は75重量%である。
【0057】
なお、上記ゲル分率は、下記の方法により測定することができる。
本発明の研磨布固定用両面粘着テープを50mm×25mmの平面長方形状に切断して試験片を作製する。得られた試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、200メッシュのステンレスメッシュを介して試験片を酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させる。そして、乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(3)を用いてゲル分率を算出する。なお、試験片に用いる研磨布固定用両面粘着テープには、離型フィルム又は剥離紙は積層されていない。
ゲル分率(重量%)=100×(W−W)/(W−W) (3)
式(3)中、Wは基材の重量を表し、Wは浸漬前の試験片の重量を表し、Wは浸漬し乾燥した後の試験片の重量を表す。
【0058】
本発明の研磨布固定用両面粘着テープにおいて、JIS Z0237に準拠して測定されたステンレス板(SUS)に対する180°引き剥がし粘着力は特に限定されないが、好ましい下限は10N/25mmである。上記180°引き剥がし粘着力が10N/25mm未満であると、研磨時に研磨布が剥がれることがある。上記180°引き剥がし粘着力のより好ましい下限は15N/25mmである。
【0059】
本発明の研磨布固定用両面粘着テープにおいて、一辺20mmの平面正方形状の試験片を用いて、JIS Z0237に準拠した保持力試験を、60℃、1kgf、1時間の条件で行った際の剥離長さは特に限定されないが、好ましい上限は0.5mmである。上記剥離長さが0.5mmを超えると、粘着剤の凝集力が小さすぎて研磨時に加わるせん断力に対する応力が弱く、研磨布固定用両面粘着テープの接着面でずれが生じ、研磨布の平坦性が低下して研磨精度が低下することがある。また、研磨布固定用両面粘着テープの接着面にずれが発生した状態で研磨使用を続けると、研磨布が剥がれることがある。
【0060】
本発明の研磨布固定用両面粘着テープにおいて、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液又は0.1mol/Lの塩酸に、30℃で、170時間浸漬した後の上記粘着剤層の重量増加率は特に限定されないが、10%未満であることが好ましい。上記重量増加率が10%以上であると、粘着剤層に酸又はアルカリスラリー液が染み込みやすくなって粘着剤の化学的分解が起こり、研磨時に研磨布が剥がれることがある。上記重量増加率は、5%未満であることがより好ましい。
なお、上記重量増加率は、下記式(4)を用いて求めることができる。
重量増加率(%)=100×(W−W)/(W−W) (4)
式(4)中、Wは基材の重量を表し、Wは浸漬前の試験片の重量を表し、Wは浸漬後の試験片の重量を表す。
【0061】
本発明の研磨布固定用両面粘着テープにおいて、100mm×25mmの試験片を用いて、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液又は0.1mol/Lの塩酸に30℃で24時間浸漬した後に、JIS Z0237に準拠して測定した、SUSに対する180°引き剥がし粘着力は特に限定されないが、好ましい下限は10N/25mm、好ましい上限は25N/25mmである。上記180°引き剥がし粘着力が10N/25mm未満であると、研磨時に研磨布が剥がれることがある。上記180°引き剥がし粘着力が25N/25mmを超えると、使用した研磨布を交換する際に再剥離することが困難となることがある。上記180°引き剥がし粘着力のより好ましい下限は15N/25mm、より好ましい上限は23N/25mmである。
【0062】
本発明の研磨布固定用両面粘着テープは、100mm×25mmの大きさに切断し、粘着剤層をガラス板に貼り付け、JIS Z0237に準拠した保持力試験を、23℃、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中、又は、23℃、0.1mol/Lの塩酸中にて、156gの錘を用いて行った場合の剥離速度が8mm/分以下であることが好ましい。上記剥離速度が8mm/分を超えると、研磨時に研磨布が剥がれることがある。
なお、研磨布固定用両面テープは端から15mmを剥離しておき、端部に156gの荷重を垂下させて測定すればよい。
【0063】
本発明の研磨布固定用両面粘着テープは、以下の方法により測定したねじりせん断試験において、剥離までの時間が3分以上であることが好ましい。
まず、10mm×10mmの大きさに切断した研磨布固定用両面粘着テープを用いて、100mm×50mm×1.8mmの大きさのガラス板と50mm×15mm×2mmの大きさのアクリル板とを、ガラス板の短辺の端から20mmかつ長辺の端から20mmの位置を粘着剤層の中心となるようにし、アクリル板の短辺の端から7.5mmかつ長辺の端から7.5mmの位置を他方の粘着剤層側の中心となるようにして貼り合わせる。
次いで、アクリル板における研磨布固定用両面粘着テープの中心から30mm離れた位置に200gの錘を垂下させ、23℃、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中、又は、23℃、0.1mol/Lの塩酸中に浸漬させる。
水酸化ナトリウム水溶液中又は塩酸中への浸漬の開始から、ガラス板からアクリル板が研磨布固定用両面粘着テープごと剥離するまでにかかる剥離時間を測定する。
図1にねじりせん断試験の測定方法を表す模式図を示した。
上記剥離までの時間が3分未満であると、研磨時に研磨布が剥がれることがある。
【発明の効果】
【0064】
本発明によれば、酸及びアルカリへの耐性に優れ、研磨中に剥がれを生ずることなく、かつ、糊残りをほとんど生じさせずに剥離できる粘着剤を提供することができる。また、本発明によれば、該粘着剤を用いてなる研磨布固定用両面粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】ねじりせん断試験の測定方法を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0067】
(実施例1〜8及び比較例1〜8)
(1)(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器に、表1に示した配合量の各モノマー、及び、溶媒として酢酸エチルを加えた後、反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート0.1重量部を添加した。その後、70℃にて5時間還流させて、(メタ)アクリル酸エステル共重合体溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体について、カラムとしてWater社製「2690 Separations Model」を用いてGPC法によりポリスチレン換算による重量平均分子量を測定した。結果を表1に示した。
【0068】
(2)研磨布固定用両面粘着テープの製造
得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体100重量部に対して、酢酸エチル(不二化学薬品社製)125重量部と、表2に示した配合量のイソシアネート系架橋剤(積水フーラー社製、「硬化剤 UA」)を添加し、攪拌して、粘着剤溶液を得た。
【0069】
厚み23μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材フィルムの表面に、得られた粘着剤溶液を塗布し、100℃で5分間乾燥させることにより粘着剤溶液中の酢酸エチルを除去し、厚み30μmの粘着剤層を形成した。形成した粘着剤層上に、離型処理が施された厚み38μmのPET離型フィルムを離型処理面が粘着剤層に対向するように重ね合わせ、定盤固定用粘着剤層を有するフィルム(A)を得た。
一方、離型処理が施された厚み50μmのPET離型フィルムを用意し、このPET離型フィルムの離型処理面に得られた粘着剤溶液を塗布し、100℃で5分間乾燥させることにより、厚み50μmの研磨布用粘着剤層を有するフィルム(B)を得た。
フィルム(A)の粘着剤層を形成した側と反対側の面に、フィルム(B)の粘着剤層が対向するようにフィルム(A)とフィルム(B)とを重ね合わせて積層体を作製した。得られた積層体上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを1往復させた後、23℃で7日間養生することにより、PET基材フィルムの両面に粘着剤層が積層一体化された研磨布固定用両面粘着テープを得た。
【0070】
<評価>
実施例1〜8及び比較例1〜8で得られた研磨布固定用両面粘着テープについて以下の評価を行った。結果を表2に示した。
【0071】
(1)加水分解率
得られた研磨布固定用両面粘着テープを縦50mm×横50mmの平面正方形状の試験片に切り出し、粘着剤層上に設けたPET離型フィルム(後述する実施例9〜16においては、剥離紙及びPET離型フィルム)を両面とも剥離した。この試験片を0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、80℃で1週間浸漬した。その後、各溶液について核磁気共鳴(NMR)測定を行い、加水分解で生成したアルコール量の定量を行い、下記式(5)を用いて加水分解率を求めた。
加水分解率(%)=100×A/A (5)
式(5)中、Aは生成したアルコールのmol数を表し、Aは粘着剤のモノマー換算mol数を表す。なお、粘着剤のモノマー換算mol数は下記式(6)を用いて求めることができる。
粘着剤のモノマー換算mol数=Σ(B×r/M) (6)
式(6)中、Bは試験片の定盤固定用粘着剤層の粘着剤重量を表し、rは粘着剤中のモノマーi成分の配合率を表し、Mはi成分のモノマーの分子量を表す。また、試験片の定盤固定用粘着剤層の粘着剤重量は下記式(7)を用いて求めることができる。
粘着剤重量=W−W (7)
式(7)中、Wは基材の重量を表し、Wは浸漬前の試験片の重量を表す。
また、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の代わりに、0.1mol/Lの塩酸を用いて同様の評価を行った。
【0072】
(2)ゲル分率
得られた研磨布固定用両面粘着テープを50mm×25mmの平面長方形状に切断して試験片を作製し、この重量Wを測定した。試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、200メッシュのステンレスメッシュを介して試験片を酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させた。乾燥後の試験片の重量Wを測定した。基材として用いたPETフィルムの重量Wを用いて、上記式(3)によりゲル分率を算出した。
【0073】
(3)180°引き剥がし粘着力
得られた研磨布固定用両面粘着テープの研磨布用粘着剤層上に厚み38μmのPETフィルムを裏打ちした後、縦100mm×横25mmの平面長方形状の試験片を切り出した。この試験片の定盤固定用粘着剤層をステンレス板上に重ね合わせて2kgのローラで押圧し、試験片をステンレス板上に貼着した。温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて30分間放置した後、引張試験機を用いてJIS Z0237に準拠して180°引き剥がし粘着力(対SUS)を測定した。
また、同様の方法により180°引き剥がし粘着力(対ガラス)を測定した。
【0074】
(4)保持力
得られた研磨布固定用両面粘着テープの研磨布用粘着剤層上に38μm厚みのPETフィルムを裏打ちし、一辺20mmの平面正方形状の試験片を切り出した。切り出した試験片を2kgのローラで押圧して、この試験片の定盤固定用粘着剤層をステンレス板上に貼着させた後、40℃で、60分間養生させた。
次いで、PETフィルムの下面に試験片が水平に位置した状態となるように配設し、60℃において、試験片の長さ方向の端部に1kgfの荷重を垂直方向に付加し、試験片に荷重を付加してから1時間後の剥離長さを、ルーペを用いて測定した。
【0075】
(5)薬液浸漬後の重量増加率
得られた研磨布固定用両面粘着テープを縦50mm×横50mmの試験片に切り出した後、粘着面上に設けたPET離型フィルム(後述する実施例9〜16においては、剥離紙及びPET離型フィルム)を両面とも剥離し、浸漬前の研磨布固定用両面粘着テープの重量を測定した。その後、30℃、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に粘着面が容器に触れないよう浸漬させ、170時間放置した。所定時間経過後、研磨布固定用両面粘着テープを水酸化ナトリウム水溶液中から取り出し、表面に付着した水を圧縮空気で除去した後、浸漬後の研磨布固定用両面粘着テープの重量を測定した。その後、酢酸エチルを用いて両面の粘着剤を完全に除去し基材の重量を測定し、式(4)より重量増加率を算出した。
また、30℃、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の代わりに、30℃、0.1mol/Lの塩酸を用いて同様の評価を行った。
【0076】
(6)薬液浸漬後の180°引き剥がし粘着力
得られた研磨布固定用両面粘着テープの研磨布用粘着剤層上に38μm厚みのPETフィルムを裏打ちし、縦100mm×横25mmの平面長方形状の試験片を切り出した。切り出した試験片を2kgのローラで押圧し、この試験片の定盤固定用粘着剤層をステンレス板上に貼り着けてから、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて30分間放置した。次いで、試験片を貼り付けたステンレス板を30℃、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬させ、24時間放置した。その後、ステンレス板を取り出して軽く水洗した後、圧縮空気で付着した水を除去し、引張試験機を用いてJIS Z0237に準拠して180°引き剥がし粘着力を測定した。
また、30℃、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の代わりに、30℃、0.1mol/Lの塩酸を用いて同様の評価を行った。
【0077】
(7)薬液中での保持力
得られた研磨布固定用両面粘着テープの研磨布用粘着剤層上に38μm厚みのPETフィルムを裏打ちし、縦100mm×横25mmの平面長方形状の試験片を切り出した。切り出した試験片を2kgのローラで押圧し、この試験片の定盤固定用粘着剤層をガラス板上に貼り着けてから、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて30分間放置した。試験片の端から20mmを剥離し、156gの錘を取り付けた。錘を取り付けた状態で、23℃、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、剥離が40mm進むまでの時間を計測して、速度を計算した。
また、23℃、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の代わりに、23℃、0.1mol/Lの塩酸を用いて同様の評価を行った。
【0078】
(8)ねじりせん断試験
得られた研磨布固定用両面粘着テープを10mm×10mmの大きさに切断し、100mm×50mm×1.8mmの大きさのガラス板と50mm×15mm×2mmの大きさのアクリル板とを、ガラス板の短辺の端から20mm、かつ、長辺の端から20mmの位置に研磨布固定用両面粘着テープの定盤固定用粘着剤層側の中心がきて、アクリル板の短辺の端から7.5mm、かつ、長辺の端から7.5mmの位置に研磨布固定用両面粘着テープの研磨布固定用粘着剤層側の中心がくるようにして貼り合わせた。次いで、アクリル板の研磨布固定用両面粘着テープの中心から30mmの位置に200gの錘を垂下させた。錘を垂下させた状態で、23℃、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した。浸漬の開始から、ガラス板からアクリル板が研磨布固定用両面粘着テープごと剥離するまでにかかる剥離時間を測定した。
また、23℃、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の代わりに、23℃、0.1mol/Lの塩酸を用いて同様の評価を行った。
【0079】
(9)研磨中剥がれの有無
得られた研磨布固定用両面粘着テープを、ゴムロールを用いて研磨布に貼り着けた。次いで、研磨布側からゴムロールを押し当てることにより、研磨装置の定盤に研磨布を固定した。
ガラス板を被研磨試験体とし、研磨スラリー(Cabot Microelectronics社製、「SS25」又は「W2000」)を用い、研磨圧力49.0kPa、回転数100rpmで5分間研磨を行った。その後、研磨布固定用両面粘着テープと定盤の界面について、剥離状態を目視にて観察した。同様にして研磨と観察とを10回行った結果、10回中、1回も剥がれがなかった場合を「○」と、10回中、1回も剥がれがなかったものの、浮きが発生した場合を「△」と、10回中、1回以上剥がれが見られた場合を「×」と評価した。
【0080】
(10)再剥離性
(9)に記載した研磨中剥がれの有無の評価後、定盤から研磨布固定用両面粘着テープを剥離し、定盤上に粘着剤が残っているか否か確認した。粘着剤残りが認められなかった場合を「○」とし、粘着剤残りが認められた場合を「×」と評価した。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
(実施例9〜16)
(1)(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造
表3に示した配合量の各モノマーを用いた以外は実施例1〜8及び比較例1〜8と同様にして、(メタ)アクリル酸エステル共重合体溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体について、実施例1〜8及び比較例1〜8と同様にして、GPC法によりポリスチレン換算による重量平均分子量を測定した。結果を表3に示した。
【0084】
(2)研磨布固定用両面粘着テープの製造
得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体100重量部に対して、酢酸エチル(不二化学薬品社製)125重量部と、表4に示した配合量のイソシアネート系架橋剤(積水フーラー社製、「硬化剤 UA」)を添加し、攪拌して、粘着剤溶液を得た。
【0085】
厚み23μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材フィルムの表面に、得られた粘着剤溶液を塗布し、100℃で5分間乾燥させることにより粘着剤溶液中の酢酸エチルを除去し、厚み30μmの粘着剤層を形成した。形成した粘着剤層上に、剥離紙を離型処理面が粘着剤層に対向するように重ね合わせ、定盤固定用粘着剤層を有するフィルム(A)を得た。
一方、離型処理が施された厚み50μmのPET離型フィルムを用意し、このPET離型フィルムの離型処理面に得られた粘着剤溶液を塗布し、100℃で5分間乾燥させることにより、厚み50μmの研磨布用粘着剤層を有するフィルム(B)を得た。
フィルム(A)の粘着剤層を形成した側と反対側の面に、フィルム(B)の粘着剤層が対向するようにフィルム(A)とフィルム(B)とを重ね合わせて積層体を作製した。得られた積層体上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを1往復させた後、23℃で7日間養生することにより、PET基材フィルムの両面に粘着剤層が積層一体化された研磨布固定用両面粘着テープを得た。
【0086】
<評価>
実施例9〜16で得られた研磨布固定用両面粘着テープについて以下の評価を行った。結果を表4に示した。
【0087】
(1)加水分解率
実施例1〜8及び比較例1〜8と同様にして評価を行った。
【0088】
(2)ゲル分率
実施例1〜8及び比較例1〜8と同様にして評価を行った。
【0089】
(3)180°引き剥がし粘着力
実施例1〜8及び比較例1〜8と同様にして評価を行った。
【0090】
(4)保持力
実施例1〜8及び比較例1〜8と同様にして評価を行った。
【0091】
(5)薬液浸漬後の重量増加率
実施例1〜8及び比較例1〜8と同様にして評価を行った。
【0092】
(6)薬液浸漬後の180°引き剥がし粘着力
実施例1〜8及び比較例1〜8と同様にして評価を行った。
【0093】
(7)薬液中での保持力
実施例1〜8及び比較例1〜8と同様にして評価を行った。
【0094】
(8)ねじりせん断試験
実施例1〜8及び比較例1〜8と同様にして評価を行った。
【0095】
(9)研磨中剥がれの有無
実施例1〜8及び比較例1〜8と同様にして評価を行った。
【0096】
(10)再剥離性
(9)に記載した研磨中剥がれの有無の評価後、更に24時間放置し充分に接着力が昂進した後に、定盤から研磨布固定用両面粘着テープを剥離し、定盤上に粘着剤が残っているか否か確認した。粘着剤残りが認められなかった場合を「○」と、一部粘着剤残りが認められた場合を「△」と、全面に粘着剤残りが認められた場合を「×」と評価した。
【0097】
【表3】

【0098】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明によれば、酸及びアルカリへの耐性に優れ、研磨中に剥がれを生ずることなく、かつ、糊残りをほとんど生じさせずに剥離できる粘着剤を提供することができる。また、本発明によれば、該粘着剤を用いてなる研磨布固定用両面粘着テープを提供することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 ガラス板
2 両面粘着テープ
3 アクリル板
4 錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、架橋剤とを含有する粘着剤であって、
前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、カルボキシル基を有するモノマーとを含有するモノマー混合物を共重合させてなる共重合体である
ことを特徴とする粘着剤。
【請求項2】
モノマー混合物は、脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量が5〜25重量%、炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量が65〜92重量%、かつ、カルボキシル基を有するモノマーの含有量が2〜10重量%であることを特徴とする請求項1記載の粘着剤。
【請求項3】
モノマー混合物が、更に、脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、又は、カルボキシル基を有するモノマーと共重合可能な他のモノマーを15重量%以下含有することを特徴とする請求項2記載の粘着剤。
【請求項4】
脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、(メタ)アクリル酸シクロへキシルであり、炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルであり、かつ、カルボキシル基を有するモノマーは、(メタ)アクリル酸であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の粘着剤。
【請求項5】
モノマー混合物は、更に、アミノ基及び/又はアミド基を有するモノマーを含有することを特徴とする請求項1記載の粘着剤。
【請求項6】
モノマー混合物は、脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量が5〜25重量%、炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量が65〜92重量%、カルボキシル基を有するモノマーの含有量が2〜10重量%、かつ、アミノ基及び/又はアミド基を有するモノマーの含有量が0.1〜2重量%であることを特徴とする請求項5記載の粘着剤。
【請求項7】
モノマー混合物が、更に、脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、或いは、アミノ基及び/又はアミド基を有するモノマーと共重合可能な他のモノマーを15重量%以下含有することを特徴とする請求項6記載の粘着剤。
【請求項8】
脂肪族環骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、(メタ)アクリル酸シクロへキシルであり、炭素数6〜14の鎖式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルであり、カルボキシル基を有するモノマーは、(メタ)アクリル酸であり、かつ、アミノ基及び/又はアミド基を有するモノマーは、(メタ)アクリルアミドであることを特徴とする請求項5、6又は7記載の粘着剤。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の粘着剤を含有する粘着剤層を、基材の少なくとも一方の面に積層一体化してなることを特徴とする研磨布固定用両面粘着テープ。
【請求項10】
粘着剤層は、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液又は0.1mol/Lの塩酸に、30℃で、170時間浸漬した後の重量増加率が10%未満であることを特徴とする請求項9記載の研磨布固定用両面粘着テープ。
【請求項11】
一辺20mmの平面正方形状の試験片を用いて、JIS Z0237に準拠した保持力試験を、60℃、1kgf、1時間の条件で行った際の剥離長さが0.5mm以下であることを特徴とする請求項9又は10記載の研磨布固定用両面粘着テープ。
【請求項12】
100mm×25mmの試験片を用いて、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液又は0.1mol/Lの塩酸に30℃で24時間浸漬した後に、JIS Z0237に準拠して測定した、SUSに対する180°引き剥がし粘着力が10〜25N/25mmであることを特徴とする請求項9、10又は11記載の研磨布固定用両面粘着テープ。

【図1】
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【公開番号】特開2010−150493(P2010−150493A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20597(P2009−20597)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】