説明

粘着性マット及び粘着性吸盤付き支持具

【課題】粘着性マットにおいて、携帯電話機等を任意の場所に確実に固定できるとともに、取り外しや移動を容易に行うことができ、極めて安価に、かつ容易に製造できること。
【解決手段】粘着性マット1は、粘着性と弾性を有するスチレン系熱可塑性エラストマーを射出成形で一体成形してなり、表面2には略半球形状の種々の大きさの凸部3が設けられており、裏面5は平滑な面となっている。粘着性マット1の粘着力の大きい裏面5を、自動車のダッシュボードに貼り付けることによって、粘着性マット1の表面2に携帯電話機を置くだけで、自動車の走行中の揺れやショック等では全くずれることなく固定しておくことができる。複数個の凸部3が設けられているため、表面2の粘着力が適度に低下しており、必要な場合には携帯電話機を粘着性マット1の表面2から容易に、かつ、スムーズに取外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、必要な部分においては高い粘着性を有し、必要な部分においては適度な低い粘着性を有し、または不要な部分においては全く粘着性を有しない粘着性マット及び粘着性吸盤付き支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話の普及に伴って、携帯電話機を所定の場所に固定するための技術の需要が増大している。例えば、携帯電話機の販売店においては、多様な機種を有する携帯電話機を店内に見易いようにディスプレイするとともに、顧客が気に入った機種の携帯電話機を手に取って見ることができるように、取り外し自在なディスプレイ方法が要求されている。
【0003】
そこで、特許文献1においては、プラスチック・硬質紙等に折り目を設けて、前板・底板・後ろ板を三角形に組み立て、前板に粘着剤を塗布した粘着マットを固定してなる簡易ディスプレイスタンドの考案について開示している。これによって、粘着力を有する粘着マットの表面に携帯電話機を押し付けることによって、携帯電話機を着脱可能に固定することができてディスプレイスタンドとなり、低コストの原料を使用し、組み立ても容易で、机や台の上に置いてインテリアとしても使用でき、シンプルな外観から広告やデコレーション等の目的にも使用できるとしている。
【0004】
このような、粘着マットの粘着力を応用した物品の固定方法は、他の分野においても活用されている。例えば、特許文献2においては、自動販売機等の機器類を設置する場合に転倒を防止するための接合器具として、機器類の脚部を固定するアジャスター部と、アジャスター部を床面に固定するための両面粘着マットとを有する、機器類等の脚部と床面との接合器具の発明について開示している。これによって、従来のような固定金具を介したアンカーによる固定方法と比較して、床面に穴を開ける必要がないため余分な経費や時間を要せず、また機器類の撤去の際にも床面に開けられた穴を塞ぐ必要がないとしている。
【特許文献1】実用新案登録第3072381号公報
【特許文献2】特開平11−175831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の簡易ディスプレイスタンドの考案においては、粘着マットとして適量の滑り止め液と接着剤を配合した軟らかいプラスチックを使用するとしているが、かかる粘着マットは粘着力が強力なため、一般に平滑な背面を有する携帯電話機に密着して、スムーズに取外すことができず、極端な場合には粘着マットが携帯電話機とともに前板から剥がれてしまう恐れすらもある。
【0006】
更に、ユーザー用の携帯電話機ホルダーとして使用する際には、携帯電話機を使用しようとする場合や、電話が掛かってきた場合においても、スムーズに取外せずに不便を感ずることとなり、更には強力な粘着剤によって携帯電話機の背面に埃等が付着し易くなって、携帯電話機が汚れてしまうという問題点があった。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の技術を家庭電化製品、例えば液晶テレビの固定に応用した場合には、やはり両面粘着マットの粘着力が強力過ぎるために、液晶テレビの脚部裏面に両面粘着マットを接着してテレビ台の上に置いた場合には、安定性には優れるものの、液晶テレビを少しでも移動させようとすると、テレビ台の上面に密着した両面粘着マットによって、木製のテレビ台の場合には表面の木材の層が剥がれ、塗装が施されたテレビ台の場合には塗装が剥がれてしまうという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明においては、携帯電話機や液晶テレビ等を任意の場所に確実に固定できるとともに、取り外しや移動を容易に行うことができ、極めて安価に、かつ、容易に製造することができる粘着性マット及び粘着性吸盤付き支持具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明に係る粘着性マットは、少なくとも表面側が粘着性及び弾性を有する合成樹脂からなり、射出成形によって製造された粘着性マットであって、前記表面側の全面に亘って高さのほぼ同一な複数個の凸部が設けられたものである。
【0010】
ここで、「粘着性及び弾性を有する合成樹脂」としては、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、等を用いることができる。また、「複数個の凸部」の形状としては、円柱形、半球形、三角柱形、四角柱形、円錐台形等の様々な形状を採用することができる。更に、「複数個の凸部」は、高さがほぼ同一でさえあれば、形状や大きさがそれぞれ異なっていても構わない。
【0011】
請求項2の発明に係る粘着性マットは、請求項1の構成において、前記粘着性マットの裏面側が平滑で前記裏面側も粘着性を有する合成樹脂からなるものである。この場合には、表面側と裏面側に同一の粘着性及び弾性を有する合成樹脂を使用する場合には、一体に射出成形することができる。
【0012】
請求項3の発明に係る粘着性マットは、請求項1の構成において、前記粘着性マットの裏面側が平滑で前記裏面側は粘着性を有しない合成樹脂からなるものである。この場合には、表面側と裏面側とで異なる合成樹脂を使用するため、二色成形または二段成形する必要がある。
【0013】
請求項4の発明に係る粘着性マットは、請求項1乃至請求項3のいずれか1つの構成において、前記複数個の凸部は前記表面側の全面積の30%〜80%を占めるものである。
【0014】
請求項5の発明に係る粘着性マットは、請求項1乃至請求項4のいずれか1つの構成において、前記複数個の凸部は略半球形状または略半球形状の頂部を平坦にカットした略台形形状を有するものである。
【0015】
請求項6の発明に係る粘着性マットは、請求項5の構成において、前記複数個の凸部の外径は2mm〜10mmの範囲内であるものである。
【0016】
請求項7の発明に係る粘着性吸盤付き支持具は、少なくとも吸盤の吸着面側が粘着性及び弾性を有する合成樹脂からなり、射出成形によって製造された粘着性吸盤付き支持具であって、前記吸盤の内部及び前記吸盤以外の部分は剛性を有する合成樹脂からなるものである。
【0017】
ここで、「粘着性及び弾性を有する合成樹脂」としては、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、等を用いることができる。また、「剛性を有する合成樹脂」としては、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)樹脂、ポリプロピレン等を始めとする熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等を始めとする熱硬化性樹脂を用いることができる。そして、この場合には、吸盤の吸着面側と吸盤の内部及び吸盤以外の部分とで異なる合成樹脂を使用するため、二色成形または二段成形する必要がある。
【0018】
請求項8の発明に係る粘着性吸盤付き支持具は、請求項7の構成において、前記剛性を有する合成樹脂は熱可塑性樹脂であるものである。ここで、「熱可塑性樹脂」としては、ABS樹脂、ポリプロピレン等を始めとする、熱可塑性エラストマー以外の剛性を有する熱可塑性樹脂を用いることができる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明に係る粘着性マットは、少なくとも表面側が粘着性及び弾性を有する合成樹脂からなり、射出成形によって製造された粘着性マットであって、表面側の全面に亘って高さのほぼ同一な複数個の凸部が設けられたものである。
【0020】
ここで、「粘着性及び弾性を有する合成樹脂」としては、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、等を用いることができる。また、「複数個の凸部」の形状としては、円柱形、半球形、三角柱形、四角柱形、円錐台形等の様々な形状を採用することができる。更に、「複数個の凸部」は、高さがほぼ同一でさえあれば、形状や大きさがそれぞれ異なっていても構わない。
【0021】
かかる構成によって、粘着性マットの裏面を任意の場所に、両面テープや接着剤等で固定しておき、表面に携帯電話機を置くことによって、携帯電話機の背面が粘着性及び弾性を有する合成樹脂からなり、高さのほぼ同一な複数個の凸部の全体に亘って粘着して、少しの力が加わった程度ではずれることがない。したがって、例えば、自動車の車内に本発明の粘着性マットを設置することによって、自動車の走行中の揺れやショック等では全くずれることなく固定しておくことができる。
【0022】
そして、複数個の凸部が設けられていることによって、粘着性マットの表面の粘着力が適度に低下しているため、必要な場合には携帯電話機を粘着性マットの表面から容易に、かつ、スムーズに取外すことができる。そして、携帯電話機の背面が汚れる恐れもない。更に、射出成形によって製造されるため、極めて安価に大量生産することができる。
【0023】
また、粘着性マットの裏面を液晶テレビ等の脚部の裏面に固定して、複数個の凸部が設けられている表面を下にしてテレビ台等に載置することによって、粘着性マットの表面の適度な粘着力によって液晶テレビ等の転倒が確実に防止され、しかも粘着性マットの表面がテレビ台等の上面に必要以上に密着しないため、液晶テレビ等を移動させる場合にも、テレビ台等の上面を傷めることが全くなく、スムーズに移動させることができる。
【0024】
このようにして、携帯電話機や液晶テレビ等を任意の場所に確実に固定できるとともに、取り外しや移動を容易に行うことができ、極めて安価に、かつ、容易に製造することができる粘着性マットとなる。
【0025】
請求項2の発明に係る粘着性マットにおいては、粘着性マットの裏面側が平滑で裏面側も粘着性を有する合成樹脂からなる。この場合には、表面側と裏面側に同一の粘着性及び弾性を有する合成樹脂を使用する場合には、一体に射出成形することができる。
【0026】
これによって、粘着性マットの裏面側を粘着力で貼り付けることによって、粘着性マットを任意の場所に設置することができる。例えば、車内に設置する場合には、ダッシュボード等の表面に粘着性マットの裏面側を押し付けて貼り付ければ良く、室内で用いる場合には、机等の平坦な表面に貼り付ければ良い。また、携帯電話機の販売店においては、プラスチック等からなる三角形の台に貼り付けるだけで、ディスプレイスタンドとなる。
【0027】
更に、液晶テレビ等の転倒防止に用いる場合には、液晶テレビ等の脚部の裏面に、粘着性マットの裏面側を貼り付ければ良い。そして、繰り返し使用して埃等が付着して、表面側の粘着力が低下してきた場合には、粘着性マットの裏面側を剥がして取り外し、水洗いして乾燥することによって、元の粘着力が復元して再び使用することができる。
【0028】
このようにして、携帯電話機や液晶テレビ等を任意の場所に確実に固定できるとともに、取り外しや移動を容易に行うことができ、極めて安価に、かつ、容易に製造することができる粘着性マットとなる。
【0029】
請求項3の発明に係る粘着性マットにおいては、粘着性マットの裏面側が平滑で裏面側は粘着性を有しない合成樹脂からなる。この場合には、表面側と裏面側とで異なる合成樹脂を使用するため、二色成形または二段成形する必要がある。
【0030】
本発明に係る粘着性マットの用途としては、例えばパソコン用のマウスパッドがある。すなわち、裏面側に粘着性を有しない、滑り性の優れた合成樹脂を用いることによって、裏面側を上にしてデスクに載置すれば、マウスを移動させても下面の表面側の粘着力によって、粘着性マットがずれることがなく、上面は滑り性の優れた合成樹脂によって平滑に成形されているためマウスの移動も極めてスムーズにでき、高品質のマウスパッドとなる。
【0031】
このようにして、任意の場所に確実に固定できるとともに、取り外しや移動を容易に行うことができ、極めて安価に、かつ、容易に製造することができる粘着性マットとなる。
【0032】
請求項4の発明に係る粘着性マットにおいては、複数個の凸部は表面側の全面積の30%〜80%、より好ましくは全面積の50%〜70%を占める。
【0033】
本発明者は、鋭意実験研究を重ねた結果、複数個の凸部の面積が表面側の全面積の30%〜80%を占める場合に、より優れた粘着性マットとなることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
【0034】
すなわち、複数個の凸部の面積が表面側の全面積の30%未満であると、表面側の粘着力が低過ぎて、携帯電話機のホルダー等に使用した場合、設置場所の傾斜が急であったりすると、振動等でずれる恐れがあり、一方、複数個の凸部の面積が表面側の全面積の80%を超えると、表面側の粘着力が大き過ぎて、携帯電話機のホルダー等に使用した場合、取り外しがスムーズに行かない場合が起こる恐れがある。したがって、複数個の凸部の面積は、表面側の全面積の30%〜80%の範囲内であることが好ましい。
【0035】
更に、複数個の凸部の面積が、表面側の全面積の50%〜70%の範囲内であると、携帯電話機のホルダー等に使用した場合、設置場所の傾斜が急であっても振動等でずれる恐れが全くなく、また取り外しも確実にスムーズにできるため、より好ましい。
【0036】
このようにして、携帯電話機や液晶テレビ等を任意の場所に確実に固定できるとともに、取り外しや移動を容易に行うことができ、極めて安価に、かつ、容易に製造することができる粘着性マットとなる。
【0037】
請求項5の発明に係る粘着性マットにおいては、複数個の凸部は略半球形状または略半球形状の頂部を平坦にカットした略台形形状を有する。
【0038】
複数個の凸部を略半球形状とした場合には、粘着性マットの表面側に接着させる面(携帯電話機の背面、液晶テレビ等の脚部が載置されるテレビ台の上面、等)に対する接触面積が小さくなるため、取り外しや移動がより容易になり、一方、複数個の凸部を略半球形状の頂部を平坦にカットした略台形形状とした場合には、接触面積が大きくなるため密着力が大きくなる。
【0039】
したがって、粘着性マットの用途や粘着性マットの表面側に使用される合成樹脂の粘着力に応じて、複数個の凸部を略半球形状または略台形形状とすることによって、粘着性マットの表面側の粘着性をより適切に調節することができる。そして、凸部を略半球形状または略半球形状の頂部を平坦にカットした略台形形状とすることによって、射出成形用の金型の製作も容易になり、射出成形時における型離れ性も向上するため、製造もより容易になる。
【0040】
このようにして、携帯電話機や液晶テレビ等を任意の場所に確実に固定できるとともに、取り外しや移動を容易に行うことができ、極めて安価に、かつ、容易に製造することができる粘着性マットとなる。
【0041】
請求項6の発明に係る粘着性マットにおいては、複数個の凸部の外径は2mm〜10mmの範囲内、より好ましくは3mm〜7mmの範囲内である。
【0042】
本発明者は、鋭意実験研究を重ねた結果、複数個の凸部が略半球形状または略半球形状の頂部を平坦にカットした略台形形状を有する場合において、複数個の凸部の外径が2mm〜10mmの範囲内である場合に、より優れた粘着性マットとなることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
【0043】
すなわち、複数個の凸部の外径が2mm未満であると、複数個の凸部を表面側に密に設けた場合には接触面積が大きくなり過ぎてスムーズな取り外しや移動等がし難くなる恐れがあり、複数個の凸部の外径が5mm程度以上の凸部の中に複数個の凸部の外径が2mm未満のものを混在させた場合には、高さをほぼ同一にすることが困難となって、固定に関与しない無駄な部分となってしまう恐れがある。
【0044】
一方、複数個の凸部の外径が10mmを超えると、複数個の凸部を表面側に密に設けることが困難になるため、接触面積が小さくなってしまい、必要な適度な粘着力が得られない可能性がある。したがって、複数個の凸部の外径は2mm〜10mmの範囲内であることが好ましい。
【0045】
更に、複数個の凸部の外径が3mm〜7mmの範囲内である場合には、接触面積が大きくなり過ぎたり小さくなり過ぎたりする恐れが全くなく、適度な粘着力を確保することができる。そして、複数個の凸部の外径が6mm〜7mmのものの間に、複数個の凸部の外径が3mm〜4mmのものや、4mm〜5mmのものを混在させることによって、複数個の凸部を表面側に密に設けることができ、適度な粘着力をより確実に得ることができるため、より好ましい。
【0046】
このようにして、表面側に適度な粘着力を確保することによって、携帯電話機や液晶テレビ等を任意の場所に確実に固定できるとともに、取り外しや移動を容易に行うことができ、極めて安価に、かつ、容易に製造することができる粘着性マットとなる。
【0047】
請求項7の発明に係る粘着性吸盤付き支持具は、少なくとも吸盤の吸着面側が粘着性及び弾性を有する合成樹脂からなり、射出成形によって製造された粘着性吸盤付き支持具であって、吸盤の内部及び吸盤以外の部分は剛性を有する合成樹脂からなる。
【0048】
ここで、「粘着性及び弾性を有する合成樹脂」としては、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、等を用いることができる。また、「剛性を有する合成樹脂」としては、ABS樹脂、ポリプロピレン等を始めとする熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等を始めとする熱硬化性樹脂を用いることができる。そして、この場合には、吸盤の吸着面側と吸盤の内部及び吸盤以外の部分とで異なる合成樹脂を使用するため、二色成形または二段成形する必要がある。
【0049】
吸盤付き支持具の用途としては、例えば自動車の車内に、GPS車載レーダー等の高性能機器や温度計・湿度計等のセンサーや方位磁石等を取り付ける場合がある。しかし、通常のプラスチック製吸盤では吸着力が小さ過ぎて、ダッシュボード等の細かい凹凸のある面には吸着し難く、吸着しても走行時の揺れや衝撃ですぐに外れてしまう。GPS車載レーダー等の高性能機器や温度計・湿度計等のセンサーや方位磁石等は、壊れ易いので、このような通常の吸盤で取り付けることができない。
【0050】
そこで、本発明においては、射出成形における二色成形の技術を駆使して、吸盤の吸着面側が粘着性及び弾性を有する合成樹脂からなり、吸盤の内部及び吸盤以外の部分は剛性を有する合成樹脂からなる構造とすることによって、吸盤を吸着させるときには吸盤の内部の剛性を有する合成樹脂によって吸盤を大きく開かせ、一旦吸着したら吸盤の吸着面が粘着性及び弾性を有する合成樹脂からなるため、大きな吸着力を発揮して容易に外れないものとした。
【0051】
これによって、吸盤付き支持具の吸盤と反対側の支持部分に、GPS車載レーダー等の高性能機器や温度計・湿度計等のセンサーや方位磁石等の本体に設けられた嵌め込み部分を嵌め込んで固定し、吸盤付き支持具の吸盤をダッシュボード等に吸着させることによって、これらのセンサー類を車内に確実に、かつ、着脱可能に固定することができる。
【0052】
このようにして、吸盤が強力な吸着力を有するとともに、極めて安価に、かつ、容易に製造できる粘着性吸盤付き支持具となる。
【0053】
請求項8の発明に係る粘着性吸盤付き支持具においては、剛性を有する合成樹脂が熱可塑性樹脂である。ここで、「熱可塑性樹脂」としては、ABS樹脂、ポリプロピレン等を始めとする、熱可塑性エラストマー以外の剛性を有する樹脂を用いることができる。
【0054】
剛性を有する合成樹脂として熱硬化性樹脂を使用すると、二色成形または二段成形した後に、熱硬化性樹脂を硬化させるために更に加熱する必要がある。したがって、射出成形に要する時間がより長くなり、射出成形の量産性のメリットが低減して、製造コストが高くなってしまう恐れがある。これに対して、剛性を有する合成樹脂として熱可塑性樹脂を使用することによって、二色成形または二段成形した後は、冷却後直ちに取り出すことができ、より量産性に優れたものとなる。
【0055】
このようにして、吸盤が強力な吸着力を有するとともに、極めて安価に、かつ、容易に製造できる粘着性吸盤付き支持具となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下、本発明に係る粘着性マットの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施の形態2以降において、実施の形態1の部分と同一の記号及び同一の符号は、実施の形態1と同一または相当する機能部分を意味し、実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
【0057】
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1に係る粘着性マットについて、図1乃至図4を参照して説明する。
【0058】
図1(a)は本発明の実施の形態1に係る粘着性マットの全体構成を示す平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は全体構成を示す斜視図である。図2(a)は本発明の実施の形態1の変形例に係る粘着性マットの全体構成を示す平面図、(b)は(a)のB−B断面図、(c)は全体構成を示す斜視図である。
【0059】
図3(a)は本発明の実施の形態1に係る粘着性マットを用いて自動車のダッシュボードに携帯電話機を固定した状態を示す斜視図、(b)はその状態を横から見て示す側面図である。図4(a)は本発明の実施の形態1の変形例に係る粘着性マットを用いたディスプレイスタンドに携帯電話機を固定した状態を示す斜視図、(b)はその状態を横から見て示す側面図、(c)は携帯電話機を外したディスプレイスタンドの全体構成を示す斜視図である。
【0060】
図1(a)に示されるように、本実施の形態1に係る粘着性マット1は、「粘着性及び弾性を有する合成樹脂」としてのスチレン系熱可塑性エラストマーを、射出成形で一体成形してなる、色付き半透明の柔軟なゴム状マットである。色は、水色・黄色・赤色・青色・レモン色・紫色等、自由に着色することができ、ユーザーの好みに合わせて選択することができる。また、無色(白色)半透明にすることもできる。
【0061】
図1(a),(c)に示されるように、粘着性マット1の表面2には、複数個の凸部としての略半球形状の種々の大きさの凸部3が設けられており、凸部3の外径は小さいものは3mmから、大きいものは7mmまで様々である。また、複数個の凸部3の面積は表面2側の全面積の約70%を占めている。更に、図1(b)に示されるように、粘着性マット1の裏面5は、平滑な面となっている。
【0062】
したがって、本実施の形態1に係る粘着性マット1は、特許請求の範囲の請求項1,請求項2,請求項4,請求項5及び請求項6の発明に係る粘着性マットに該当する。よって、粘着性マット1は、請求項1,2及び請求項4乃至請求項6に係る発明の作用効果を奏する。
【0063】
なお、粘着性マット1全体の大きさは7cm×4.5cmで、厚さは凸部3の頂点から裏面5までで、3.8mmである。また、粘着性マット1の表面2には、粘着面としての複数個の凸部3以外に、商品名等を印刷したラベルを貼り付けるためのラベル面4が設けられている。
【0064】
また、図2(a)に示されるように、本実施の形態1の変形例に係る粘着性マット1Aは、「粘着性及び弾性を有する合成樹脂」としてのスチレン系熱可塑性エラストマーを、射出成形で一体成形してなる、色付き半透明の柔軟なゴム状マットである。色は、水色・黄色・赤色・青色・レモン色・紫色等、自由に着色することができ、ユーザーの好みに合わせて選択することができる。また、無色(白色)半透明にすることもできる。
【0065】
図2(a),(c)に示されるように、粘着性マット1Aの表面2Aには、複数個の凸部としての略半球形状の頂部を平坦にカットした略台形形状の種々の大きさの凸部3Aが設けられており、凸部3Aの外径は小さいものは3mmから、大きいものは7mmまで様々である。また、複数個の凸部3Aの面積は表面2A側の全面積の約70%を占めている。更に、図2(b)に示されるように、粘着性マット1Aの裏面5は、平滑な面となっている。
【0066】
したがって、本実施の形態1の変形例に係る粘着性マット1Aは、特許請求の範囲の請求項1,請求項2,請求項4,請求項5及び請求項6の発明に係る粘着性マットに該当する。よって、粘着性マット1Aは、請求項1,2及び請求項4乃至請求項6に係る発明の作用効果を奏する。
【0067】
なお、粘着性マット1A全体の大きさは7cm×4.5cmで、厚さは凸部3Aの頂点から裏面5までで、3.6mmである。また、粘着性マット1Aの表面2Aには、粘着面としての複数個の凸部3A以外に、商品名等を印刷したラベルを貼り付けるためのラベル面4が設けられている。
【0068】
これらの本実施の形態1に係る粘着性マット1、及び本実施の形態1の変形例に係る粘着性マット1Aを、自動車の車内における携帯電話機ホルダーとして応用した場合について、図3を参照して説明する。図3(a)に示されるように、本実施の形態1に係る粘着性マット1の裏面5を自動車のダッシュボード6に貼り付けることによって、粘着性マット1の表面2に携帯電話機7を置くだけで、自動車の走行中の揺れやショック等では全くずれることなく固定しておくことができる。
【0069】
そして、図3(b)に示されるように、複数個の凸部3が設けられていることによって、粘着性マット1の表面2の粘着力が適度に低下しているため、必要な場合には携帯電話機7を粘着性マット1の表面2から容易に、かつ、スムーズに取外すことができる。また、携帯電話機7の背面が汚れる恐れもない。更に、粘着性マット1は、射出成形によって製造されるため、極めて安価に大量生産することができる。
【0070】
また、図3(a),(b)に示されるように、一般に自動車のダッシュボード6の表面は水平ではなく傾斜しており、更に表面に微小な凹凸が施されている場合が多いが、上述の如く、粘着性マット1の裏面5は平滑であって粘着性が大きいため、微小な凹凸を有するダッシュボード6の表面にも密着して、容易に剥がれないように固定される。そして、粘着性マット1の表面2の粘着力も適度に維持されているため、図3(b)に示されるように、携帯電話機7を置く表面2が傾斜していても、携帯電話機7がずれることはない。
【0071】
更に、粘着性マット1は、ダッシュボード6の表面から剥がすことができるため、長期間の使用によって粘着性マット1の表面2に埃等が付着して、粘着性マット1の表面2の粘着性が低下した場合には、粘着性マット1をダッシュボード6から剥がして、表面2を水洗いして埃等を除去し、自然乾燥することによって、元の粘着性が復元して再び使用することができる。
【0072】
なお、粘着性マット1を車内における携帯電話機ホルダーとして使用する場合には、走行時に揺れやショック等を受けることを考慮すると、ダッシュボード6の表面に接着したときに粘着性マット1の表面2の傾斜が45度以下になるように、粘着性マット1を貼り付けるダッシュボード6の位置を選択することが好ましい。また、粘着性マット1の表面2には、携帯電話機7だけでなく、ボールペンやシャープペンシル、眼鏡等を置くこともできる。
【0073】
以上説明した本実施の形態1に係る粘着性マット1による作用効果は、本実施の形態1の変形例に係る粘着性マット1Aにおいても同様に得ることができる。したがって、本実施の形態1の変形例に係る粘着性マット1Aも、同様に車内における携帯電話機ホルダーとして使用することができる。
【0074】
このようにして、本実施の形態1に係る粘着性マット1,1Aにおいては、携帯電話機等を任意の場所に確実に固定できるとともに、必要な場合には取り外しを容易に行うことができ、汚れても簡単に水洗いすることができ、極めて安価に、かつ、容易に製造することができる。
【0075】
次に、本実施の形態1に係る粘着性マット1、及び本実施の形態1の変形例に係る粘着性マット1Aを、携帯電話販売店の店内における携帯電話機のディスプレイスタンドとして応用した場合について、図4を参照して説明する。
【0076】
図4(a)に示されるように、本実施の形態1の変形例に係る粘着性マット1Aの裏面5を、プラスチック製等の三角形のスタンド9の前面に貼り付けて、粘着性マット1Aの表面2Aに携帯電話機7を載せるだけで、携帯電話機7を安定して固定し、陳列することができる。そして、顧客等が気に入った携帯電話機7を手に取って良く見たい場合には、粘着性マット1Aの表面2Aに複数個の凸部3Aが設けられていることによって、表面2Aの粘着力が適度に低下しているため、極めてスムーズに取外すことができる。
【0077】
図4(b)に示されるように、携帯電話機7のディスプレイスタンド8として使用する場合には、粘着性マット1Aの傾斜が50度〜70度になるが、自動車の車内で使用する場合と異なり、揺れやショックを受けることがないので、50度〜70度の傾斜でも、粘着性マット1Aの表面2Aにおいて携帯電話機7がずれる恐れはない。
【0078】
また、図4(c)に示されるように、携帯電話機7を取外した状態において、粘着性マット1Aのラベル面4に、携帯電話機7の機種名等を印刷したラベル4Aを貼り付けておくことによって、複数の携帯電話機7を同時に取外した場合でも、それぞれの携帯電話機7を確実に元のディスプレイスタンド8に戻すことができる。
【0079】
そして、長期間の使用によって、粘着性マット1Aの表面2Aに埃等が付着して、粘着性マット1Aの表面2Aの粘着性が低下した場合には、粘着性マット1Aをスタンド9の前面から剥がして、またラベル4Aもラベル面4から剥がして、表面2Aを水洗いして埃等を除去し、自然乾燥することによって、元の粘着性が復元して再び使用することができる。
【0080】
以上説明した本実施の形態1の変形例に係る粘着性マット1Aによる作用効果は、本実施の形態1に係る粘着性マット1においても同様に得ることができる。したがって、本実施の形態1に係る粘着性マット1も、同様にプラスチック製等の三角形のスタンド9の前面に貼り付けることによって、携帯電話販売店の店内における携帯電話機のディスプレイスタンドとして使用することができる。
【0081】
このようにして、本実施の形態1に係る粘着性マット1,1Aを用いた携帯電話機のディスプレイスタンドにおいては、携帯電話機を確実に固定してディスプレイできるとともに、必要な場合には取り外しを容易に行うことができ、汚れても簡単に水洗いすることができ、極めて安価に、かつ、容易に製造することができる。
【0082】
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2に係る粘着性マットについて、図5乃至図7を参照して説明する。
【0083】
図5(a)は本発明の実施の形態2に係る粘着性マットの全体構成を示す平面図、(b)は(a)のC−C断面図である。図6(a)は本発明の実施の形態2の変形例に係る粘着性マットの全体構成を示す平面図、(b)は(a)のD−D断面図である。図7(a)は本発明の実施の形態2に係る粘着性マットを液晶テレビの固定用に使用した状態を示す斜視図、(b)は粘着性マットの使用状態を示す拡大図である。
【0084】
図5(a)に示されるように、本実施の形態2に係る粘着性マット11は、上記実施の形態1に係る粘着性マット1,1Aと同様に、「粘着性及び弾性を有する合成樹脂」としてのスチレン系熱可塑性エラストマーを、射出成形で一体成形してなる、色付き半透明の柔軟なゴム状マットである。色は、水色・黄色・赤色・青色・レモン色・紫色等、自由に着色することができ、ユーザーの好みに合わせて選択することができる。また、目立たないように、黒色や無色(白色)半透明にすることもできる。
【0085】
図5(a)に示されるように、粘着性マット11の表面12には、複数個の凸部としての略半球形状の種々の大きさの凸部13が設けられており、凸部13の外径は小さいものは3mmから、大きいものは7mmまで様々である。また、複数個の凸部13の面積は表面2側の全面積の約60%を占めている。更に、図5(b)に示されるように、粘着性マット11の裏面15は、平滑な面となっている。
【0086】
したがって、本実施の形態2に係る粘着性マット11は、特許請求の範囲の請求項1,請求項2,請求項4,請求項5及び請求項6の発明に係る粘着性マットに該当する。よって、粘着性マット11は、請求項1,2及び請求項4乃至請求項6に係る発明の作用効果を奏する。なお、粘着性マット11全体の大きさは4cm×4cmで、厚さは、凸部13の頂点から裏面15までで4mmである。
【0087】
また、図6(a)に示されるように、本実施の形態2の変形例に係る粘着性マット11Aは、「粘着性及び弾性を有する合成樹脂」としてのスチレン系熱可塑性エラストマーを、射出成形で一体成形してなる、色付き半透明の円形の柔軟なゴム状マットである。色は、水色・黄色・赤色・青色・レモン色・紫色等、自由に着色することができ、ユーザーの好みに合わせて選択することができる。また、無色(白色)半透明にすることもできる。
【0088】
図6(a)に示されるように、粘着性マット11Aの表面12Aには、複数個の凸部としての略半球形状の頂部を平坦にカットした略台形形状の種々の大きさの凸部13Aが設けられており、凸部13Aの外径は小さいものは3mmから、大きいものは7mmまで様々である。また、複数個の凸部13Aの面積は表面12A側の全面積の約60%を占めている。更に、図6(b)に示されるように、粘着性マット11Aの裏面15Aは、平滑な面となっている。
【0089】
したがって、本実施の形態2の変形例に係る粘着性マット11Aは、特許請求の範囲の請求項1,請求項2,請求項4,請求項5及び請求項6の発明に係る粘着性マットに該当する。よって、粘着性マット11Aは、請求項1,2及び請求項4乃至請求項6に係る発明の作用効果を奏する。なお、粘着性マット11Aの直径は4cmで、厚さは、凸部13Aの頂点から裏面15Aまでで4mmである。
【0090】
これらの本実施の形態2に係る粘着性マット11、及び本実施の形態2の変形例に係る粘着性マット11Aを、液晶テレビをテレビ台の上に載置する場合の緩衝材及び転倒防止材として使用した場合について、図7を参照して説明する。
【0091】
図7(a)に示されるように、液晶テレビ16等のディスプレイ装置は、ユーザーが見易く目が疲れない高さにセットするために、テレビ台18等の上に載置される場合が殆どである。このとき、液晶テレビ16の金属製の脚部17の裏側に、本実施の形態2に係る粘着性マット11が貼り付けられて、緩衝材及び転倒防止材として使用される。
【0092】
より詳しくは、図7(b)に示されるように、本実施の形態2に係る粘着性マット11の裏面15を上に向けて脚部17の裏側に貼り付け、表面12の凸部13がテレビ台18の表面に接するようにして、液晶テレビ16をテレビ台18の上に載置する。これによって、金属製の脚部17の裏側が直接テレビ台18の表面に接することによって、テレビ台18の表面が傷付けられるのを防止することができる。
【0093】
ここで、図7(a)に示されるように、脚部17の5ヵ所に貼り付けられた粘着性マット11の表面12の凸部13は、液晶テレビ16の重量によってテレビ台18の表面に押し付けられる。しかしながら、粘着性マット11の表面12は、複数個の凸部13が設けられることによって、平滑な面を有する裏面15よりも粘着力が低下して、地震等によって液晶テレビ16が揺れても液晶テレビ16の転倒を防止できるだけの、適度な粘着性を有している。
【0094】
そして、平滑な面を有する裏面15のような強力な粘着性は有していないため、液晶テレビ16を長期間テレビ台18の上に載置して、液晶テレビ16を移動させようとする際にも、適度な粘着性を有する粘着性マット11の表面12は、スムーズにテレビ台18の表面から離れる。
【0095】
したがって、表裏とも平滑な面を有する粘着性マットを使用した場合のように、粘着性マットが過度にテレビ台18の表面に密着してしまい、剥がそうとすると木製のテレビ台の場合には表面の木材の層が一緒に剥がれてしまい、塗装が施されたテレビ台の場合には塗装が一緒に剥がれてしまうというような事態が生ずる恐れが全くない。
【0096】
そして、粘着性マット11は、「粘着性及び弾性を有する合成樹脂」としてのスチレン系熱可塑性エラストマーからなるため、長期間液晶テレビ16の重量で圧縮されていても、液晶テレビ16の重みが取り除かれるとともに強力な弾性で元の形状及び厚さに復元して、何回でも使用することができる。
【0097】
また、粘着性マット11の表面12に埃等が付着して、適度な粘着性が得られなくなった場合には、粘着性マット11を脚部17の5ヵ所から剥がし、水洗いして埃等を除去して自然乾燥することによって、適度な粘着性を取り戻し、何回でも繰り返し使用することができる。
【0098】
以上説明した本実施の形態2に係る粘着性マット11による作用効果は、本実施の形態2の変形例に係る粘着性マット11Aにおいても、同様に得ることができる。したがって、本実施の形態 2の変形例に係る粘着性マット11Aも、同様に、液晶テレビ16の金属製の脚部17の裏側の数箇所に貼り付けることによって、緩衝材及び転倒防止材として使用することができる。
【0099】
このようにして、本実施の形態2に係る粘着性マット11,11Aにおいては、液晶テレビ等の家庭電化製品を任意の場所に確実に固定できるとともに、テレビ台等の表面を傷付ける恐れが全くなく、必要な場合には取り外しを容易に行うことができ、汚れても簡単に水洗いすることができ、極めて安価に、かつ、容易に製造することができる。
【0100】
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3に係る粘着性マットについて、図8を参照して説明する。図8(a)は本発明の実施の形態3に係る粘着性マットの全体構成を示す斜視図、(b)は(a)のE−E断面図、(c)は本発明の実施の形態3に係る粘着性マットの使用状態を示す斜視図である。
【0101】
図8(a)に示されるように、本実施の形態3に係る粘着性マット21は、表面22側に「粘着性及び弾性を有する合成樹脂」としてのスチレン系熱可塑性エラストマーを、裏面側24に「粘着性を有しない合成樹脂」としてのシリコーン樹脂を用いて、二色成形法を用いて射出成形によって製造された、表面22側が半透明で裏面25側が不透明の樹脂製マットであり、マウスパッドとして用いられるものである。
【0102】
図8(a),(b)に示されるように、粘着性マット21の表面22には、複数個の凸部としての略半球形状の種々の大きさの凸部23が設けられており、凸部23の外径は小さいものは2mmから、大きいものは8mmまで様々である。また、複数個の凸部23の面積は表面22側の全面積の約80%を占めている。更に、図8(b),(c)に示されるように、粘着性マット21の裏面25は平滑な面となっており、裏面25側は粘着性を有しない合成樹脂からなっている。
【0103】
したがって、本実施の形態3に係る粘着性マット21は、特許請求の範囲の請求項1,請求項3,請求項4,請求項5及び請求項6の発明に係る粘着性マットに該当する。よって、粘着性マット21は、請求項1及び請求項3乃至請求項6に係る発明の作用効果を奏する。なお、粘着性マット21全体の大きさは22cm×25cmで、厚さは、凸部23の頂点から裏面25までで6mmである。
【0104】
本実施の形態3に係る粘着性マット21を、パソコン用のマウスパッドとして用いた場合について、図8(c)を参照して説明する。図8(c)に示されるように、本実施の形態3に係る粘着性マット21を、表面22を下にしてデスク上に置き、裏面25の上にマウス26を載せて操作する。マウス26は、ボール式マウスでも、光学式マウスでも構わない。
【0105】
これによって、「粘着性及び弾性を有する合成樹脂」としてのスチレン系熱可塑性エラストマーからなる表面22側がデスクの表面と接触するため、マウス26をいかに素早く動かしてもマウスパッドとしての粘着性マット21がずれることがなく、しかも表面22側には複数個の凸部23が設けられているため、粘着性が適度に低下しており、粘着性マット21がデスク表面に貼り付いてしまうことがなく、自由に移動させることができる。
【0106】
一方、裏面側24は「粘着性を有しない合成樹脂」としてのシリコーン樹脂からなるため、裏面25におけるマウス26の移動が極めてスムーズに行うことができ、使い易いマウスパッドとなる。そして、射出成形によって大量生産されるため、低コストで供給することができる。
【0107】
このようにして、本実施の形態3に係る粘着性マット21においては、マウスパッドとして任意の場所に確実に固定でき、容易にずれないようにできるとともに、マウスの操作がスムーズに行え、必要な場合には移動を容易に行うことができ、汚れても簡単に水洗いすることができ、極めて安価に、かつ、容易に製造することができる。
【0108】
実施の形態4
次に、本発明の実施の形態4に係る粘着性吸盤付き支持具について、図9を参照して説明する。図9(a)は本発明の実施の形態4に係る粘着性吸盤付き支持具の全体構成を示す斜視図、(b)は(a)のF−F断面図、(c)は本発明の実施の形態4に係る粘着性吸盤付き支持具の使用状態を示す斜視図である。
【0109】
図9(a),(b)に示されるように、本実施の形態4に係る粘着性吸盤付き支持具31は、「剛性を有する合成樹脂」としてのABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)樹脂からなる吸盤33の内部33A及び吸盤以外の部分(支持部分)32と、「粘着性及び弾性を有する合成樹脂」としてのスチレン系熱可塑性エラストマーからなる吸盤33の吸着面側33Bから構成され、二色成形法を用いて射出成形によって製造されたものである。ここで、ABS樹脂は、熱可塑性樹脂である。
【0110】
したがって、本実施の形態4に係る粘着性吸盤付き支持具31は、特許請求の範囲の請求項7及び請求項8の発明に係る粘着性吸盤付き支持具に該当する。よって、粘着性吸盤付き支持具31は、請求項7及び請求項8に係る発明の作用効果を奏する。
【0111】
本実施の形態4に係る粘着性吸盤付き支持具31を、GPS車載レーダー用の支持具として用いた場合について、図9(c)を参照して説明する。図9(c)に示されるように、GPS車載レーダー35を、粘着性吸盤付き支持具31の支持部分32にしっかり嵌め込んで固定し、粘着性吸盤付き支持具31の吸盤33を固定部分(例えば、自動車のダッシュボード)に押し付ける。
【0112】
これによって、吸盤33の内部33Aは「剛性を有する合成樹脂」としてのABS樹脂からなるため、押し付け力に応じて吸盤33が大きく開き、固定部分にしっかり吸着される。そして、一旦吸着したら、吸盤33の吸着面33Bが粘着性及び弾性を有する合成樹脂としてのスチレン系熱可塑性エラストマーからなるため、大きな吸着力を発揮して容易に外れることがない。
【0113】
また、本実施の形態4に係る粘着性吸盤付き支持具31によって、太陽電池で作動するセンサー等を支持する場合には、車内に取り付けたままでは充電ができないので、吸盤33を外して車外に持ち出し、屋外の太陽光で充分に充電して、また車内に取り付けて使用することができる。更に、吸盤33の吸着力が低下してきた場合には、吸盤33の吸着面33Bを水洗いして埃等をよく落とし、自然乾燥させることによって、また元の吸着力が復元して、何度でも繰り返し使用することができる。
【0114】
このように、吸盤付き支持具31の吸盤33と反対側の支持部分32に、GPS車載レーダー35等の高性能機器や温度計・湿度計等のセンサーや方位磁石等の本体を嵌め込んで固定し、吸盤付き支持具31の吸盤33をダッシュボード等に吸着させることによって、これらのセンサー類を車内に確実に、かつ、着脱可能に固定することができる。
【0115】
このようにして、本実施の形態4に係る粘着性吸盤付き支持具31においては、吸盤33が強力な吸着力を有するとともに、射出成形によって大量生産できるため、極めて安価に供給することができ、かつ、容易に製造することができる。
【0116】
上記各実施の形態においては、粘着性マット及び粘着性吸盤付き支持具の粘着性部分を構成する合成樹脂として、スチレン系熱可塑性エラストマーを使用した場合のみについて説明したが、スチレン系熱可塑性エラストマー以外にも、粘着性及び弾性を有する合成樹脂であって容易に射出成形できるものであれば、他の合成樹脂(特に、熱可塑性エラストマー)をもちいることもできる。
【0117】
また、上記各実施の形態においては、粘着性マットの表面側に設けられる複数個の凸部として、略半球形状または略半球形状の頂部を平坦にカットした略台形形状のもののみについて説明したが、複数個の凸部の外形はこのような円形に限られるものではなく、三角形・四角形・楕円形・多角形等の他の形状を有するものでも良い。
【0118】
本発明を実施するに際しては、粘着性マット及び粘着性吸盤付き支持具のその他の部分の構成、形状、数量、材質、大きさ、接続関係等についても、上記各実施の形態に限定されるものではない。
【0119】
なお、本発明の実施の形態で挙げている数値は、臨界値を示すものではなく、実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1(a)は本発明の実施の形態1に係る粘着性マットの全体構成を示す平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は全体構成を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は本発明の実施の形態1の変形例に係る粘着性マットの全体構成を示す平面図、(b)は(a)のB−B断面図、(c)は全体構成を示す斜視図である。
【図3】図3(a)は本発明の実施の形態1に係る粘着性マットを用いて自動車のダッシュボードに携帯電話機を固定した状態を示す斜視図、(b)はその状態を横から見て示す側面図である。
【図4】図4(a)は本発明の実施の形態1の変形例に係る粘着性マットを用いたディスプレイスタンドに携帯電話機を固定した状態を示す斜視図、(b)はその状態を横から見て示す側面図、(c)は携帯電話機を外したディスプレイスタンドの全体構成を示す斜視図である。
【図5】図5(a)は本発明の実施の形態2に係る粘着性マットの全体構成を示す平面図、(b)は(a)のC−C断面図である。
【図6】図6(a)は本発明の実施の形態2の変形例に係る粘着性マットの全体構成を示す平面図、(b)は(a)のD−D断面図である。
【図7】図7(a)は本発明の実施の形態2に係る粘着性マットを液晶テレビの固定用に使用した状態を示す斜視図、(b)は粘着性マットの使用状態を示す拡大図である。
【図8】図8(a)は本発明の実施の形態3に係る粘着性マットの全体構成を示す斜視図、(b)は(a)のE−E断面図、(c)は本発明の実施の形態3に係る粘着性マットの使用状態を示す斜視図である。
【図9】図9(a)は本発明の実施の形態4に係る粘着性吸盤付き支持具の全体構成を示す斜視図、(b)は(a)のF−F断面図、(c)は本発明の実施の形態4に係る粘着性吸盤付き支持具の使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0121】
1,1A,11,11A,21 粘着性マット
2,2A,12,12A,22 表面
3,3A,13,13A,23 凸部
5,15,15A,25 裏面
7 携帯電話機
8 ディスプレイスタンド
16 液晶テレビ
17 脚部
18 テレビ台
31 粘着性吸盤支持具
32 支持部分
33 吸盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表面側が粘着性及び弾性を有する合成樹脂からなり、射出成形によって製造された粘着性マットであって、
前記表面側の全面に亘って高さのほぼ同一な複数個の凸部が設けられたことを特徴とする粘着性マット。
【請求項2】
前記粘着性マットの裏面側が平滑で前記裏面側も粘着性を有する合成樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の粘着性マット。
【請求項3】
前記粘着性マットの裏面側が平滑で前記裏面側は粘着性を有しない合成樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の粘着性マット。
【請求項4】
前記複数個の凸部は前記表面側の全面積の30%〜80%を占めることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の粘着性マット。
【請求項5】
前記複数個の凸部は略半球形状または略半球形状の頂部を平坦にカットした略台形形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の粘着性マット。
【請求項6】
前記複数個の凸部の外径は2mm〜10mmの範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の粘着性マット。
【請求項7】
少なくとも吸盤の吸着面側が粘着性及び弾性を有する合成樹脂からなり、射出成形によって製造された粘着性吸盤付き支持具であって、
前記吸盤の内部及び前記吸盤以外の部分は剛性を有する合成樹脂からなることを特徴とする粘着性吸盤付き支持具。
【請求項8】
前記剛性を有する合成樹脂は熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の粘着性吸盤付き支持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−39374(P2009−39374A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208790(P2007−208790)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(501391478)株式会社日新化学 (1)
【Fターム(参考)】