説明

精密フラグメンテーション集合体およびそれから製造されるオレフィン重合触媒

【課題】狭い粒径分布を有するポリオレフィンバルク粒子を製造するのに使用され得る精密フラグメンテーション集合体を提供する。
【解決手段】精密フラグメンテーション集合体が、それから誘導され得るフラグメンテーション集合体触媒と共に開示される。また、精密フラグメンテーション集合体の製造方法が、精密フラグメンテーション集合体から精密フラグメンテーション集合体触媒を調製する方法と共に開示される。さらに、精密フラグメンテーション触媒をオレフィンの重合に使用してポリオレフィンを製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密フラグメンテーション集合体(precision fragmentation assemblage「PFA」)およびそれから製造されるオレフィン重合PFA触媒に関する。本発明は、さらにPFAを調製する方法、PFA触媒を調製する方法、およびPFA触媒を使用してポリオレフィンを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1950年代の初期においてチーグラーは、アルファ−オレフィンは金属触媒の存在下において低圧で重合され得ることを発見した。最初の均一重合触媒Cp2TiCl2−AlEt2Clが、数年間の内に報告された。チーグラー−ナッタ触媒として知られるようになった触媒のこの最初の発見および開発に続いて、まずは触媒の安定性および活性を改良することを目的として、その後は調製することができるα−オレフィンの種類を拡張することを目的として、懸命な努力が行われた。部分的に加水分解されたアルミニウムアルキル、特にメチルアルモキサン(MAO)は遷移金属触媒、特にジルコノセン錯体の活性を多大に増加させることが見出された。加えて、フルオロアリールホウ酸塩のような他の活性剤は、触媒性能を増加させた。
【0003】
シングルサイトメタロセンを含むオレフィン重合のための多くの触媒は、トルエンまたは脂肪族炭化水素等の非求核性有機溶媒において、溶液重合のための均一触媒として機能することができるが、均一系で達成され得るポリオレフィンの範囲は制限的である。可溶性触媒を使用する商業的重合プロセスは、大部分は産生される低結晶性ポリマー(例えば、エラストマーおよび非常に低密度のエチレンコポリマー)が反応媒体に可溶性であるものである。スラリー、バルクモノマーまたは気相プロセスを経由した、より高密度またはより高結晶性のポリオレフィンの産生は、結果的に不溶性生成物を生じる。バッチ重合においては、ポリオレフィン粒子は粒径が不均一である傾向がある。経済的に望ましい連続プロセスにおいては、この不均一性により反応器汚染が現れる。その結果、クランピングが必要なく円滑に反応器に供給され得る不溶性担体に基づく触媒系が求められてきた。
【0004】
開発された不溶性担体には、無機物の塩化マグネシウムおよびシリカがある。有機ポリマー粒子もまた担体として使用されてきた。前記の系により担持された金属触媒および活性剤はオレフィン重合を触媒し、効率的にポリオレフィンを産生することができるが、これらの担持触媒は反応の間に、粗い、むらのあるフラグメンテーションを生じがちである。単一担持触媒粒子から形成される単一ポリオレフィン粒子の代わりに多数の粒子が形成する。円滑にフラグメント化してポリオレフィン粒子の成長の全期間に亘り均一に分配された非常に小さな、均一なサイズの担持触媒ピースを形成する代わりに、原型担持触媒粒子からより小さなピースが脱離して重合反応器を汚染する細粒を形成し、収入の損失を伴う頻繁な中断時間の原因となる。さらに負の特徴としては、下端に関しての規格外である細粒は収量の損失を意味し、且つポリオレフィン生成物のバルク粒径分布がしばしば許容限界を超えて拡がる。加えて、原型触媒粒子から脱離しないこれらのより小さなピースの原型担持触媒は、しばしば広範囲に異なるサイズとなり、成長ポリオレフィン粒子内に不均一性を導入してポリオレフィン収量を減じる。
【0005】
ヤング等の米国特許第6,013,594号は、水または炭化水素希釈液のような液体媒体に懸濁される微粒子を噴霧乾燥することにより形成されるポリマー支持粒子を開示する。ヤングの微粒子のサイズは、噴霧乾燥されて形成された粒子における細孔径を決定する傾向があるが、このようにして形成された噴霧乾燥粒子は広いバルク粒径分布を有する。さらに、細粒は典型的に噴霧乾燥の間に生成し、その一部はより大きなバルク粒子に密着してオレフィン重合の前および間にこれらのより大きな粒子から分離し、従って望ましくない小さなポリオレフィンバルク粒子を形成して反応器の汚染を引き起こす。加えて、間隙空間、およびそれ故、多孔度が触媒ロードおよびオレフィン重合の間に維持されるよう微粒子が溶媒を吸収して膨潤する程度を最小化するために、硬質の、高度に架橋された微粒子を調製することは望ましいが、噴霧乾燥機内で最大量の粉塵形成の原因となるのは、その非常に高度に架橋された粒子である。前記の粉塵形成は、望ましいバルク粒子の収量を減少させること、爆発の危険を増加させることおよびバグハウスを詰らせその結果、コストのかかる噴霧乾燥機の停止が頻繁になることはよく知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,013,594号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
驚くべきことに、我々は、既に列挙された課題は、水性凝結または他の凝集手段によりフラグメンテーションドメインを集合させ、バルク粒子を製造することにより克服され得ることを見出した。モノマーは、凝結の前、間または後にこれらのバルクに添加される。次なる重合が、精密フラグメンテーション集合体(PFA)を生産し、これには次いで触媒成分および任意に、活性剤成分がロードされ、オレフィン重合を触媒するのに好適な精密フラグメンテーション集合体触媒(PFA触媒)を製造することができる。精密フラグメンーテション集合体における、接続相の存在、ならびに正確に制御可能な量、組成およびモルホロジーの存在は、脱離する細粒の除去、およびオレフィン重合の間、特に臨界的初期段階の間におけるPFA触媒内の応力の制御を可能にする。破局的なフラグメンテーションは回避される。1つのPFA触媒粒子は、唯1つの適当に大きなポリオレフィン粒子を生産する。特殊化された粒子形成プロセス、例えば、「スフェロイド」凝集および「ジェッティング」プロセスは、PFA触媒に変換され得る狭いバルク粒径分布を有する球状PFA粒子を形成し、それが、延いては狭い粒径分布を有するポリオレフィンバルク粒子を製造するのに使用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、精密フラグメンテーション集合体に関し、該集合体は、
(A)複数のフラグメンテーションドメイン;および
(B)1以上のフラグメンテーション帯
を含み;
該フラグメンテーションドメインは少なくとも1つの第一ポリマーを含み;さらに
該フラグメンテーション帯は
(i)1以上の接続相;
(ii)任意に、1以上の細孔相;および
(iii)任意に複数のポリマーナノ粒子
を含み;
該接続相は少なくとも1つの第二ポリマーを含み;さらに
該ナノ粒子は少なくとも1つの第三ポリマーを含む。
【0009】
本発明の第二の態様は精密フラグメンテーション集合体触媒に関し、該触媒は
(A)精密フラグメンテーション集合体;および
(B)少なくとも1つの触媒成分
を含み;
該精密フラグメンテーション集合体は
(i)複数のフラグメンテーションドメイン;および
(ii)1以上のフラグメンテーション帯
を含み;
該フラグメンテーションドメインは少なくとも1つの第一ポリマーを含み;さらに
該フラグメンテーション帯は少なくとも1つの接続相を含み、該接続相は少なくとも1つの第二ポリマーを含む。
【0010】
本発明の第三の態様は、さらに少なくとも1つの活性剤成分を含む精密フラグメンテーション集合体触媒に関する。
【0011】
本発明の第四の態様は、オレフィン重合プロセスに関し、該オレフィン重合プロセスは、
(A)少なくとも1つのオレフィンモノマーと少なくとも1つの精密フラグメンテーション集合体触媒とを接触させ;
(B)該オレフィンモノマーを重合してポリオレフィンを製造し;
(C)該ポリオレフィンを単離することを含み;
該触媒は
(i)精密フラグメンテーション集合体;および
(ii)少なくとも1つの触媒成分
を含み;
該精密フラグメンテーション集合体は
(a)複数のフラグメンテーションドメイン;および
(b)1以上のフラグメンテーション帯を含み;
該フラグメンテーションドメインは少なくとも1つの第一ポリマーを含み;さらに
該フラグメンテーション帯は少なくとも1つの接続相を含み、該接続相は少なくとも1つの第二ポリマーを含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、下記の用語は、次の定義を有する:用語「(メタ)アクリル」は、「アクリル」および「メタクリル」の両者を意味する。例えば、「メチル(メタ)アクリレート」は「メチルアクリレート」および「メチルメタクリレート」の両者を意味する。
【0013】
「フラグメンテーションドメイン」は、少なくとも1つの「第一モノマー」から調製された「第一ポリマー」の1以上のポリマー鎖を含み、他のフラグメンテーションドメインと組み合わされて、本明細書において「精密フラグメンテーション集合体」(「PFA」)と定義される、より大きな集合体を形成する。各フラグメンテーションドメインは、それ自身粒子であり、より大きなPFA粒子に組み入れられる。第一ポリマーの鎖は、任意に1以上の「テザー基(tether group)」を有することができる。
【0014】
「精密フラグメンテーション集合体」(「PFA」)は、複数のフラグメンテーションドメインの少なくとも一種の集合体である。これらのフラグメンテーションドメインの間に存在する間隙域が、「フラグメンテーション帯」である。フラグメンテーション帯は、少なくとも1つの「接続相」を含み、および任意に、1以上の細孔相を含むことができる。接続相は、個々のフラグメンテーションドメインを接続し、従ってそれらはその調製の間、PFA触媒の調製の間にPFAから脱離せず、またはPFA触媒を利用したオレフィン重合の間、成長ポリオレフィン粒子から脱離しない。
【0015】
「接続相」は、少なくとも1つの「第二ポリマー」を含み、これはフラグメンテーションドメインの「第一ポリマー」と同一組成を有しても、または有しなくともよい。「第二ポリマー」は、1以上の「第二モノマー」から調製される。
【0016】
任意の「細孔相」は、固体、液体、気体または臨界的状態の1以上の物質で充填され得る。「細孔相」の一機能は、PFAの外表面からPFAの内表面への物質の移動を容易にすることである。細孔相は、典型的には「ポローゲン」の存在下で、ポローゲンに可溶性の第二モノマーを重合し、ポローゲンに不溶性の第二ポリマーを製造することにより調製される。プロセスは、「重合誘起相分離」(「PIPS」)と称される。
【0017】
PFAは、「触媒成分」、例えば遷移金属原子、これらの遷移金属原子と会合した配位子、ならびに任意に「活性剤」、例えばアルキルアルミニウム、アルミノキサンおよびホウ酸塩でロードされ「精密フラグメンテーション集合体触媒」(「PFA触媒」)を生成することができる。PFA触媒は、オレフィンの重合を触媒するために使用され得る。前記のような各PFA触媒粒子は、重合の間に形成するポリオレフィンのより大きなバルク粒子についてのテンプレートとして作用する。用語「PFA」は、遷移金属原子、遷移金属原子と会合した配位子および任意に、活性剤をロードする前に存在する「精密フラグメンテーション集合体」を意味する。用語「PFA触媒」は、前記のロードの後のPFAを意味する。「PFA」構造体は、重合の間に、よく制御された精密フラグメンテーションのテンプレートとして役立つ。「PFA触媒」は、オレフィン重合の間に、よく制御された精密フラグメンテーションを提供するために使用され得る。このようにして、所定のサイズおよび形状のフラグメンテーションドメインは、それが一部となっているより大きなPFA触媒粒子から実質的な物理的分離をせずに、お互いに離れてオレフィン重合効率を最大化し、従ってPFA触媒粒子はいっそうより大きなポリオレフィン粒子となる。
【0018】
「フラグメンテーション帯」は、意図された、精密フラグメンテーション集合体における相対的に脆弱および/または柔軟性の帯域である。フラグメンテーション帯は、PFA内に含まれるフラグメンテーションドメイン間の間隙域を含む。隣接したフラグメンテーションドメインの表面が接触することは本発明において要求せず、それらが接触する場合には、隣接したフラグメンテーションドメイン間の接点における界面はフラグメンテーション帯の一部と見なされ得る。フラグメンテーション帯が少なくとも1つの「接続相」を含むこと、および各接続相が任意に1以上の「テザー基」を有し得る少なくとも1つの「第二ポリマー」を含むことが本発明において要求される。フラグメンテーション帯は、さらに、1以上の細孔相、1種以上の複数ポリマーナノ粒子(「PNP」)またはそれらの組み合わせを含むことができる。フラグメンテーション帯のサイズ、組成、多孔度、モルホロジーおよび均一性の程度の適当な選択がなされ、PFAフラグメンテーション速度およびフラグメンテーションパターンの精密な制御を与えることができる。
【0019】
「テザー基」は、ポリマー鎖に共有結合された官能基であり、触媒成分の一部分(例えば、遷移金属原子、または遷移金属錯体の一部である部分)、または活性剤成分の一部である部分(例えば、アルキルアルミニウム、アルミノキサンまたはホウ素ベース活性剤)と相互作用することができる官能基である。「テザー基」は、これらの部分とσ−結合、π−結合、イオン性会合、極性相互作用、共有結合、またはこれらの組み合わせによって相互作用することができる。「テザー基」は、第一ポリマー鎖、第二ポリマー鎖、任意のポリマーナノ粒子鎖またはこれらの組み合わせと共有結合され得る。
【0020】
「ポリマーナノ粒子」(「PNP」)は、0.002〜0.1、好ましくは0.002〜0.05、より好ましくは0.002〜0.02および最も好ましくは0.005〜0.01ミクロンの平均粒径を有する任意の架橋ポリマー粒子である。
【0021】
「PNP−PFA」は、さらに複数のポリマーナノ粒子を含む精密フラグメンテーション集合体である。PNP−PFAのフラグメンテーション帯はPNPを含む。PNPは、PFAに共有的にあるいはそれ以外で結合されてもよく、またはPFA内に物理的にトラップされてもよい。PFAに共有結合される場合は、PNPは第二ポリマーに、フラグメンテーションドメインに、相互に、またはこれらの組み合わせに結合され得る。
【0022】
「フラグメンテーション」は、それにより「フラグメンテーションドメイン」が触媒PFAの隣接フラグメンテーションドメインから分離するプロセスである。触媒PFAのフラグメンテーションは、オレフィン重合の間において精密に制御された方法で起きることが望ましい。好ましい態様において、フラグメンテーションドメインはお互いに離れるが、PFAからは分離しない。
【0023】
「ペンダント」基は、ポリマーの主鎖に結合している基である。用語ペンダントは、重合されたモノマー単位の実際の一部である基を記載するのに使用され得る。例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの重合単位のヒドロキシエチル基は、「ペンダントヒドロキシエチル基」、またはより一般的には「ペンダントヒドロキシ官能基」と称され得るものである。また、大きな基が主鎖ポリマーと組成的に別である場合、ポリマー主鎖に結合している大きな基を「ペンダント」と称することが一般的である。さらに「ペンダント」基は、主鎖に「ペンダントな」と記載され得る。
【0024】
「末端」基は、ポリマー鎖の端に存在し、末端の重合されたモノマー単位に化学的に結合している。例えば、末端基は、ポリマーの主鎖の組成とは別個の組成を有する。「ペンダント」基は、末端位置において生じることができる。従って「末端」基は、「ペンダント」基の特別の場合である。
【0025】
基は、また、ポリマー主鎖に対し「内部的」であり得る。「内部基」となる官能基にとって、実際の官能部分はポリマー主鎖の一部でなければならない。
【0026】
テザー基は、第一ポリマー、第二ポリマーまたはポリマーナノ粒子の鎖のペンダント、末端または内部の位置に存在することができる。テザー基は、モノマーの一部としてポリマー鎖に組み入れられることができ、または、例えば、ポリマー鎖に既に結合している官能基の後反応により組み入れられることができる。
【0027】
「Tg」は、ポリマー相の「ガラス転移温度」である。ポリマーのガラス転移温度は、その温度において、Tgより低い温度における硬質、ガラス状態からTgより高い温度における流体またはゴム状状態に転移する温度である。ポリマーのTgは、示差走査熱量測定法(DSC)により、ヒートフロー対温度転移の中間点をTg値として使用して典型的に測定される。DSC測定についての典型的な加熱速度は、分当たり摂氏20度である。種々のホモポリマーのTgは、例えば、J.BrandrupおよびE.H.Immergutにより編集された「ポリマーハンドブック」、Interscience Publishersに見出すことができる。ポリマーのTgはFox式(T.G.Fox、Bull.Am.Physics Soc.、第1巻、3号、123頁(1956)を使用して推定される。
【0028】
「有効Tg」 ポリマー中で、ある程度の溶解性を有する物質がそのポリマーに吸収される場合、そのポリマーの軟化温度は低下する。ポリマーのこの可塑化は、ポリマーの「有効Tg」を測定することにより特徴づけられることができ、典型的にはポリマーに含まれる溶媒または他の物質の量に反比例の関係を有する。その中に溶解された既知量の物質を含有するポリマーの「有効Tg」は、「Tg」について上記されたように測定される。代替的に、「有効Tg」は、ポリマーに含まれる溶媒または他の物質のTgに相当する値(例えば、凍結点)を仮定して、Fox式(上記)を使用して推定されることができる。
【0029】
「分子量」 合成ポリマーは、ほぼ常に、分子量が異なる鎖の混合物であり、即ち、「MWD」と省略される「分子量分布」が存在する。ホモポリマーについては、分布の構成はそれらが含有するモノマー単位の数が異なる。ポリマー鎖の分布を記載するこの方法は、コポリマーにも拡大される。分子量分布が存在する場合、与えられた試料の分子量の最も完全な特徴付けは全体の分子量分布の決定である。この特徴付けは、分布の構成を分離し、次いで存在するそれぞれの量を定量することにより得られる。一旦この分布が入手されれば、それから発生し得る幾つかの概略的な統計またはモーメントが存在し、その分子量のポリマーを特徴付けることができる。
【0030】
分布の2つの最も一般的なモーメントは「重量平均分子量」、「M」と「数平均分子量」、「M」である。これらは、次の通り定義される。
【0031】
【数1】

【0032】
ここで:
=分布のi番目の成分のモル質量
=分布のi番目の成分の重量
=i番目の成分の鎖の数
総計は分布における全成分に対してのものである。MおよびMは、ゲル浸透クロマトグラフィー(実施例の項を参照)により測定されるMWDから典型的に計算される。
【0033】
「粒径」は、粒子の直径である。粒子(例えば、フラグメンテーションドメイン)の集合について決定される「平均粒径」は、「重量平均粒径」、「d」であり、HPLC型紫外線検出器を装備したMatec CHDF2000粒径アナライザーを使用してキャピラリー流体力学的分別(Capillary Hydrodynamic Fractionation)技術により測定される。
【0034】
用語「粒径分布」および頭字語「PSD」は、本明細書において互換的に使用される。「多分散性」は、PSDの幅の測定手段として当該技術分野で使用される。本明細書において使用される、「多分散性」は複数の粒子についての粒径の分布についての表現である。従って「多分散性」および「PSD多分散性」は、互換的に使用される。PSD多分散性は、次式に従って重量平均粒径、dおよび数平均粒径、dから計算される:
【0035】
【数2】

【0036】
式中d=Σn/Σn
=Σn/Σnおよび
式中、nは粒径dを有する粒子の数である。
【0037】
ポリマーおよび他の成分(例えば、別のポリマーまたは低分子量物質)が混和可能であるか否かの推定は、D.W.Van Krevelenによる「Properties of Polymers」、第3版、Elsevier社、189〜225頁、1990年において詳述される良く知られた方法に従い行われ得る。例えば、Van Krevelenは、物質についての全溶解度パラメーター(δ)を次式により定義する:
【0038】
【数3】

【0039】
式中、δ、δおよびδは、それぞれ溶解度パラメーターの分散性、極性および水素結合についての要素である。δ、δおよびδについての値は、多くの溶媒、ポリマーおよびポリマーセグメントについて決定されており、Van Krevelenの基寄与法(group contribution method)を使用して推定され得る。例えば、与えられた組成を有するポリマーが特定の溶媒と混和可能であるか否かを推定するためには、ポリマーについてのδおよび溶媒についてのδを計算する。典型的には、2つのΔδ間の差異が25より大きい(即ち、Δδ>5)場合、ポリマーおよび溶媒は混和可能ではない。これらの計算は、特定の溶媒がその溶媒に可溶性のモノマーの重合の間にポローゲンとして作用するか否かを決定するために特に有用である。そのような場合において、このようにして形成されたポリマーが重合の間または後に溶媒から沈殿することが望ましい。
【0040】
代替として、組成において相違する2つのポリマーが混和可能か否かを決定することが望まれる場合、同一の計算が遂行され得るが、混和性について予想されるΔδの上限は、想定下にある1つまたは両方のポリマーの分子量が増加するに連れて減少するであろう。この減少は、混合される成分の分子量が増加するにつれて生じる混合エントロピーの減少と平行するものと考えられる。例えば、100の重合度をそれぞれ有する2つのポリマーは、たとえそれらの混合物についてのΔδの値が9または実に4(即ちΔδ=3、または実に2)であるとしてもおそらく非混和性となるであろう。さらに高い分子量のポリマーは、さらに低い値のΔδであっても非混和性であり得る。混和性情報の他のソースとしては、Olabisi等の「Polymer−Polymer Miscibility」、Academic Press、NY、1979年;Coleman等の「Specific Interactions and Miscibility of Polymer Blends」、Technomic、1991年;およびA.F.M.Bartonの「CRC Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters」、第二版、CRC Press、1991年が挙げられる。
【0041】
本発明に有用なフラグメンテーションドメインは、当該技術分野で公知の任意の適当な方法により調製されることができ、これらに限定されないが、エマルション重合、サスペンション重合、マイクロエマルション重合、スラリー重合、溶液重合、重合誘起相分離、熱誘起相分離および溶媒誘起相分離が挙げられる。これらの方法の記載は、Blackley,D.C.の「Emulsion Polymerisation」;Applied Science Publishers:ロンドン、1975年;Odian,G.の「Principles of Polymerization」;John Wiley & Sons社:ニューヨーク、1991年;「Emulsion Polymerization of Acrylic Monomers」;ローム・アンド・ハース、1967年に開示されている。フラグメンテーションドメインの平均粒径が0.8ミクロン〜20ミクロンの範囲である場合、重合の好ましい方法は水性サスペンション重合である。
【0042】
フラグメンテーションドメインの平均粒径が0.04ミクロン〜0.8ミクロン未満の範囲である場合、好ましい重合は水性エマルション重合である。0.02ミクロン〜0.04ミクロン未満の粒径範囲にあるフラグメンテーションドメインを調製することが望まれる場合、それらを調製するためにはマイクロエマルション技術を使用することが好ましい。ポリマーナノ粒子(PNP)の調製について有用な溶液技術および重合誘起相分離技術により、0.002ミクロン〜0.02ミクロン未満の粒径のフラグメンテーションドメインを調製することが好ましい。典型的には、フラグメンテーションドメインの平均粒径は0.002ミクロン〜20ミクロン、好ましくは0.002ミクロン〜10ミクロン、より好ましくは0.1ミクロン〜5ミクロンおよび最も好ましくは0.5ミクロン〜3ミクロンである。これらの範囲および本明細書において使用される全てその他の範囲は、その両端を含み、組み合わせ可能である。与えられたフラグメンテーションドメインの複数の粒子のPSD多分散性は、典型的には1.000(即ち、単分散性)〜5、好ましくは1.000〜1、より好ましくは1.000〜1.3および最も好ましくは1.000〜1.1である。特に好ましい態様は、与えられたフラグメンテーションドメインの複数の粒子が単分散性であるもの、即ち、それらが多分散性としての単一性を発揮するものである。2以上のサイズのフラグメンテーションドメインが、混合により組み合わされることができ、あるいは当該技術分野でよく知られた技術を使用してその場(in situ)で調製されることができ、マルチモダールフラグメンテーションドメイン粒径分布を形成する。組成および/またはモルホロジーの異なるフラグメンテーションドメインもまた、これらの方法により組み合わされ得る。例えば、一種類のテザー基を有するフラグメンテーションドメインは、他の種類のテザー基を有するフラグメンテーションドメインと組み合わされ得る。
【0043】
本発明に有用なフラグメンテーションドメインは少なくとも1つの第一ポリマーを含まなくてはならず、これは本明細書において与えられる非網羅的一覧からの少なくとも1つの第一モノマーから形成されるホモポリマーまたはコポリマーであり得る。第一ポリマーは任意の手段により製造される任意のポリマーまたはコポリマーであり得るが、付加ポリマーおよび縮合ポリマーは特に有用であり、好ましい。これら二種類のポリマーのうち、付加ポリマーが特に好ましい。付加ポリマーが形成される第一モノマーは、フリーラジカル重合が可能なエチレン性不飽和モノマーである。モノエチレン性不飽和モノマーの例としては、C〜C30直鎖または分岐鎖アルキル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレートおよびイソボルニル(メタ)アクリレート;スチレン、置換スチレン;ブタジエン;フマレート、マレエート、シンナメートおよびクロトネートのようなα,β−不飽和カルボニル官能基を含有するモノマー;(メタ)アクリロニトリル;およびこれらの組み合わせが挙げられる。ハロゲン含有第一モノマーの非限定的な一覧としては、2−ブロモエチルアクリレート、2−ブロモエチルメタクリレート、4−ブロモスチレン、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ペンタフルオロフェニルアクリレート、ペンタフルオロフェニルメタクリレート、2−(ペルフルオロアルキル)エチル(メタ)アクリレート類、2−(ペルフルオロドデシル)エチルアクリレート、2−(ペルフルオロドデシル)エチルメタクリレート、2−(ペルフルオロヘキシル)エチルアクリレート、2−(ペルフルオロヘキシル)エチルメタクリレートおよびフッ化ビニリデンが挙げられる。本発明の第一モノマーは、さらにシロキサンまたはシランモノマーであり得るが、エチレン性不飽和シロキサンモノマーが特に好ましいケイ素含有モノマーである。本発明に有用なケイ素含有モノマーとしては、ジビニルシラン、トリビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、ジビニルメチルシラン、メチルトリビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、ジビニルフェニルシラン、トリビニルフェニルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、テトラビニルシラン、ジメチルビニルジシロキサン、ポリ(メチルビニルシロキサン)、ポリ(ビニルヒドロシロキサン)、ポリ(フェニルビニルシロキサン)およびこれらの混合物が挙げられる。
【0044】
本発明の第一ポリマーの形成は、縮合重合により代替的に達成され得る。典型的に、縮合ポリマーは2つの異なる多官能性第一モノマー間の反応生成物として形成され、それぞれはお互いの反応基と反応性の反応基を有する。前記の反応基対の例は、パラフェニレンジイソシアネートとヘキサメチレンジアミンである。架橋は、例えば、ジエチレントリアミンのような3官能性モノマーを組み入れることにより達成され得る。それらから縮合ポリマーを調製する他の好適なモノマーおよび方法は、US−A−4,360,376号およびUS−A−3,577,515号に見出される。
【0045】
第一ポリマーは、任意に1以上のテザー基を含むことができる。テザー基は、触媒成分、活性剤成分または両者と相互作用することができる任意の基であり得る。テザー基の一部として前記の相互作用をすることのできる官能基としては、エポキシ、ビニル、アリル、第一級アミノ、第二級アミノ、イミノ、アミド、イミド、アジリジニル、ヒドラジド、アミジノ、ヒドロキシ、ヒドロペルオキシ、カルボキシル、ホルミル、メトキシカルボニル、カルバモイル、スルホン(SO)、スルフィン(SO)、スルフェノ(S)、チオール、チオカルボキシル、チオホルミル、ピロリル、イミダゾリル、ピペリジル、インダゾリルおよびカルバゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
第一モノマーとして好適であり、かつこれらの官能基を有するモノエチレン性不飽和モノマーの例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートを包含するアルコール;酢酸ビニルおよびアセトキシスチレンを包含するビニルエステル;グリシジル(メタ)アクリレートを包含するエポキシド;N−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジ(メチル)アミノエチル(メタ)アクリレートを包含するアミン;および(メタ)アクリルアミドおよび置換(メタ)アクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
多エチレン性不飽和モノマーの例としては、ブタジエン、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルケトン、ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。フッ化多エチレン性不飽和モノマーもまた第一モノマーとして有用である。例えば、1,3−[CH2:CHCO2CH2CHOHCH2OC(CF3)2]2C6H3Rf(式中、RfはUS4,914,171号に開示されているようなC1−C30ペルフルオロアルキルである)の構造を有するフッ化ジアクリレートである。架橋モノマーとしても役立つ多エチレン性不飽和モノマーから誘導されたポリマーは、典型的には不完全な反応の結果として未反応のエチレン性不飽和(例えば、ビニル基およびアリル基)を有する。本発明に有用な官能基は、通常は、ペンダントテザー基またはペンダントテザー基の一部としてポリマー鎖に含まれるが、ある場合においては、官能基はポリマーの主鎖の一部であり得る。例えば、ブタジエンの1,4付加の結果として、第一ポリマーの主鎖に存在する炭素−炭素二重結合は、前記の官能基であろう。
【0048】
第一ポリマー中に、重合単位として存在する多エチレン性不飽和モノマーのレベルは、典型的には第一ポリマーの重量を基準にして0.5重量パーセント〜100重量パーセント、好ましくは2重量%〜100重量%、より好ましくは10〜80重量%および最も好ましくは20〜60重量%である。第一ポリマー中に、重合単位として存在するモノエチレン性不飽和モノマーのレベルは、典型的には第一ポリマーの重量を基準にして0重量パーセント〜99.5重量パーセント、好ましくは0重量%〜98重量%、より好ましくは20〜90重量%および最も好ましくは40〜80重量%である。
【0049】
フラグメンテーションドメインは、単一相または多数相を含むことができる。多数相が存在する場合、少なくとも1つの相は第一ポリマーを含有する。他の相は、例えば、異なる組成の他の第一ポリマー;固体、液体、または気体または超臨界状態の非ポリマー;およびこれらの組み合わせを含むことができる。細孔相は真空でもよく、または空気もしくは他の気体、あるいはこれらの組み合わせを含有することができる。フラグメンテーションドメインは任意の形状を有することができる。例えば、フラグメンテーションドメインは、球形、楕円形または半球形であり得る。特に好ましい形状は球形である。1を超える相を含むフラグメンテーションドメインは、任意のモルホロジーを有することができ、例えば、シェルが連続および破壊されてない、コア/シェル;シェルが単一の孔を有する、コア/シェル;およびシェルが多数の孔または細孔を有する、コア/シェルをはじめとする。多数相フラグメンテーションドメインの調製法の例は、米国特許第5,835,174号、第5,976,405号、第6,037,058号、第6,271,898号および第5,972,363号、および特許公報EP−0915147号、US−2002−0110690号およびEP−2002−256005号に開示されている。
【0050】
水性エマルション重合およびマイクロエマルションが本発明の第一ポリマーを調製するために使用される場合、界面活性剤および開始剤が反応媒体に存在することを当業者は認識するであろう。慣用の界面活性剤がモノマーの重合前、間および後にエマルション重合系を安定化させるために使用され得る。エマルションポリマーにとって、これら慣用の界面活性剤は、通常は総モノマー重量を基準にして0.1重量パーセント〜6重量パーセントのレベルで存在するであろうが、一方でマイクロエマルション重合は30重量%の高いレベルを要求することができる。有用な界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;非イオン性界面活性剤、例えば、グリセロール脂肪族エステルおよびポリオキシエチレン脂肪族エステル;および両性界面活性剤、例えば、アミノカルボン酸、イミダゾリン誘導体およびベタインが挙げられる。
【0051】
エマルション重合の開始は、付加重合を開始するために好適なラジカルを発生することができるフリーラジカル前駆体(本明細書において開始剤とも称される)の熱分解により遂行されることができる。例えば、無機ヒドロペルオキシド、無機ペルオキシド、有機ヒドロペルオキシドおよび有機ペルオキシドのような好適な熱開始剤は、モノマーの重量を基準にして0.05重量パーセント〜5.0重量パーセントのレベルで有用である。水性エマルション重合およびマイクロエマルション重合の分野で公知のフリーラジカル開始剤としては、水溶性フリーラジカル開始剤、例えば過酸化水素、tert−ブチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート;過硫酸アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、またはリチウム)塩または過硫酸アンモニウム;アゾビスイソブチロニトリルまたは2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドのようなアゾ開始剤;またはこれらの混合物が挙げられる。前記の開始剤は、また、還元剤と組み合わされてレドックス系を形成することができる。有用な還元剤としては、アルカリ金属メタ重亜硫酸塩のような亜硫酸塩、または次亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、イソアスコルビン酸、またはナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートが挙げられる。フリーラジカル前駆体および還元剤は共に、本明細書においてレドックス系と呼ばれ、使用されるモノマーの重量を基準にして約0.01%〜5%のレベルで使用され得る。レドックス系の例としては、t−ブチルヒドロペルオキシド/ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート/Fe(III);t−ブチルヒドロペルオキシド/イソアスコルビン酸/Fe(III);および過硫酸アンモニウム/重亜硫酸ナトリウム/ヒドロ亜硫酸塩ナトリウム/Fe(III)が含まれる。重合温度は、フリーラジカル開始剤分解定数および反応器圧能力などのものに依存して、10℃〜110℃であり得る。
【0052】
メルカプタン(例えば:モノマーの総重量を基準にして0.05〜6重量%のn−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、ブチルまたはメチルメルカプトプロピオネート、メルカプトプロピオン酸)のような連鎖移動剤が任意の顕著なゲル画分の形成を制限するために、またはエマルション重合において分子量を制御するために使用され得るが、通常、ゲル画分、架橋の程度、高レベルのフラグメンテーションドメインを維持して、連鎖移動剤が一般には使用されないように、または典型的に総モノマー重量を基準にして1.0重量%未満の低レベルで使用されるようにすることが好ましい。
【0053】
フラグメンテーションドメインの第一ポリマーが水性サスペンション重合により形成される場合、エマルション重合について上記により列挙された開始剤が使用され得る。サスペンション重合により形成されたフラグメンテーションドメイン(即ち、約0.8ミクロン〜20ミクロン以上より大きいサイズを有する粒子)の安定化は、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、部分的に鹸化されたポリビニルアセテート、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアクリル酸のポリアクリル酸コポリマー、ポリエチレングリコール、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを包含する水溶性ポリマーを使用して好都合に達成される。
【0054】
本発明の別の好ましい態様において、疎水性キャビティを有する「高分子有機化合物」がフラグメンテーションドメインを形成するために使用される重合媒体に存在する。好ましくは、高分子有機化合物は、非常に低い水溶性を有するエチレン性不飽和モノマーまたはモノマーでない他の分子を移送するのが必要な場合使用される。非常に低い水溶性を有するモノマーの例としては、ラウリルまたはステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。「非常に低い水溶性」とは、25℃〜50℃における水溶性が50ミリモル/リットルを超えないことを意味する。例えば、高分子有機化合物は、水性コポリマー組成物を形成するために使用されるモノマー組成物、マクロモノマー水性エマルションまたは重合反応混合物に添加され得る。疎水性キャビティを有する高分子有機化合物を使用するための好適な技術は、例えば、US−A−5,521,266号およびUS−A−6,037,058号において開示されている。
【0055】
「精密フラグメンテーション集合体」(「PFA」)は「フラグメンテーションドメイン」の集合体であり、その中の間隙空間が「フラグメンテーション帯」であり、これは、少なくとも1つの「接続相」および任意に少なくとも1以上の「細孔相」を含む。典型的には、フラグメンテーション帯の総容積の、PFA内に含まれるフラグメンテーションドメインの総容積に対する比は、0.10〜10、好ましくは0.20〜2.0、より好ましくは0.30〜1.0および最も好ましくは0.3〜0.5である。
【0056】
接続相は、フラグメンテーションドメインが、その調製の間、PFA触媒の調製の間またはPFA触媒を使用したオレフィン重合の間にPFAから分離しないように個々のフラグメンテーションドメインを接続する。「接続相」は、フラグメンテーションドメインの「第一ポリマー」と同一組成を有してもよくまたは有さなくてもよい、少なくとも1つの「第二ポリマー」を含む。「第一ポリマー」の調製に有用なものとして上記により列挙された任意の第一モノマーは、第二ポリマーの調製のための第二モノマーとしても有用である。典型的には、第二ポリマーの総重量の第一ポリマーの総重量に対する比は、0.005〜10、好ましくは0.01〜1.0、より好ましくは0.05〜0.5および最も好ましくは0.1〜0.20である。第二ポリマー中に重合単位として存在する多エチレン性不飽和第二モノマーのレベルは、典型的には第二ポリマーの重量を基準にして0.1重量パーセント〜100重量パーセント、好ましくは0.5重量%〜50重量%、より好ましくは1.0〜20重量%および最も好ましくは2.0〜10重量%である。第二ポリマー中に重合単位として存在するモノエチレン性不飽和モノマーの量は、典型的には第二ポリマーの重量を基準にして0重量パーセント〜99.9重量パーセント、好ましくは50重量%〜99.5重量%、より好ましくは80〜99重量%および最も好ましくは90〜98重量%である。上記により列挙されたような連鎖移動剤は、第二ポリマーの鎖長を調節するために使用され、それにより、例えば組成等の他のパラメーターと協調して使用される場合、接続相の強度および柔軟性を精密に調節することができる。
【0057】
任意の「細孔相」は、固体、液体、気体または超臨界状態の1以上の物質で充填され得る。特定の理論に拘束されるわけではないが、細孔相が存在する場合、その細孔相は溶媒、触媒成分、活性剤成分およびオレフィンモノマーのような物質のPFA外表面からPFAの内表面への移動を促進することが考えられる。本発明のPFA中で有用なモルホロジーは、細孔相の個々の細孔が相互連結していない場合または細孔相が存在しない場合にも存在するが、細孔相が存在し、かつ少なくともこれらの細孔の一部が相互連結し、PFAの外部およびPFAの内部の間に溶媒、触媒成分、活性剤成分および他物質を移動させるために通路が存在することが好ましい。より好ましくは、大部分または全部の細孔が相互連結する。最も好ましくは、細孔相および接続相は、共連続性(即ち、1種より多い接続相および/または1種より多い細孔相が存在する場合、2連続性または多連続性である)である。典型的にcc/gで表されるPFAの乾燥重量当たりのPFAの細孔容積は、0.1〜9.0、好ましくは0.30〜4.0、より好ましくは0.5〜3.0および最も好ましくは1.0〜2.5である。ミクロンでの平均細孔径は、典型的に0.005〜10、好ましくは0.01〜2.0、より好ましくは0.02〜1.0および最も好ましくは0.02〜0.50である。0.005〜10ミクロンの細孔径を有する全ての細孔に対する0.050ミクロン未満のサイズの細孔から導出される総細孔容積のパーセントは、典型的には20〜95、好ましくは30〜80、より好ましくは40〜70、および最も好ましくは50より大きく60までである。細孔相容積の接続相容積に対する比は、典型的には0.10〜100、好ましくは0.50〜10、より好ましくは1.0〜5.0および最も好ましくは2.0〜5.0である。
【0058】
細孔相が本発明のPFAのフラグメンテーション帯に存在しない場合、第二ポリマーの架橋度は、触媒ロードの間に第二ポリマーが触媒成分および活性剤成分を有する溶液で十分膨潤し、これらの成分がPFA内部に浸透できるような架橋度であることが好ましい。同じことがPFA触媒により触媒されるオレフィン重合の間において、オレフィンモノマーの浸透についても当てはまる。それ故、細孔相がフラグメンテーション帯に存在しない場合、第二ポリマー中において重合単位として存在する多エチレン性不飽和モノマーのレベルは、第二ポリマーの重量を基準にして0.05重量パーセント〜10重量パーセントが好ましく、より好ましくは0.1重量%〜5重量%および最も好ましくは0.2〜1重量%である。さらに細孔相がフラグメンテーション帯に存在しない場合、第二ポリマー中に重合単位として存在するモノエチレン性不飽和モノマーのレベルは、第二ポリマーの重量を基準にして90重量パーセント〜99.95重量パーセントが好ましく、より好ましくは95〜99.9重量%および最も好ましくは99〜99.8重量%である。多くのモノマー(例えば、ブチルアクリレート)が自己架橋を行うことは当該技術分野ではよく知られている。前記のモノマーが存在する場合、望ましい架橋度を達成するため多エチレン性不飽和モノマーのレベルを減少し、また、ある場合にはそれらの使用を全く除去することが可能となり得る。
【0059】
本発明のPFAのフラグメンテーション帯は、「ポリマーナノ粒子」、PNPを任意に含有することができる。前記のPNP含有PFAは、代替的に「PNP−PFA」と称され得る。本発明に有用なPNPは、第三モノマーとして任意のモノマーおよび第一ポリマーの調製に好適な第一モノマーとして本明細書において開示された種類のモノマーを使用して調製され得る。PNPの組成は、第一ポリマー、第二ポリマーまたは双方の組成と同一であり得るが、その組成は、いずれかまたは双方から広く変動することができる。重合単位としてPNP中に存在する多エチレン性不飽和モノマーのレベルは、典型的にはPNPの重量を基準にして2重量パーセント〜100重量パーセント、好ましくは5重量%〜100重量%、より好ましくは10〜80重量%および最も好ましくは20〜60重量%である。重合単位としてPNP中に存在するモノエチレン性不飽和モノマーのレベルは、典型的にはPNPの重量を基準にして0重量パーセント〜98重量パーセント、好ましくは0重量%〜95重量%、より好ましくは20〜90重量%および最も好ましくは40〜80重量%である。PNPは、典型的にはミクロン単位で0.002〜0.1、好ましくは0.002〜0.05、より好ましくは0.002〜0.02、および最も好ましくは0.005〜0.01の平均粒径を有する架橋ポリマーである。PNPのPSD多分散性は、典型的には1.00〜5.0、好ましくは1.00〜3.0、より好ましくは1.00〜1.5および最も好ましくは1.00〜1.3である。複数のPNPがPFA中に存在する場合、複数のPNPはPFAから脱離することなく、触媒成分および任意の活性剤成分でのロードの間中および引き続いてのオレフィン重合の間中PFA内に分散されたまま留まる。PNPの、第二ポリマー、フラグメンテーションドメイン、他のPNPまたはこれらの組み合わせへの、この結合は、共有結合、イオン会合および極性相互作用またはこれらの組み合わせを含む任意の手段により達成され得る。PNPのPFA内への物理的トラップもまた利用され得る。
【0060】
本発明に有用なPNPは、PFAの形成の間にPNPのPFA構造(例えば、フラグメンテーションドメイン、接続相および他のPNP)への結合を引き起こすのに好適な官能基を全く含まなくてもよいが、本発明に有用なPNPは前記の結合を提供することができる少なくとも1つの前記の「結合基」を有することが好ましい。好ましい結合基は、フリーラジカル重合および縮合重合の間に成長するポリマー鎖へのモノマー単位の結合を提供する上で有用な官能基を包含する。フリーラジカル重合において関与する有用な結合基は、例えば、ビニル基およびアリル基であり得る。縮合重合において関与する有用な結合基は、上で詳述したアミンおよびイソシアネートのような部分である。より好ましくは、結合基は、フリーラジカル重合可能なエチレン性不飽和基である。2以上の前記の結合基を有するPNPが第二ポリマーを形成するためにモノマーの重合の間に存在する場合、多エチレン性不飽和モノマーまたは他の多官能性モノマーが存在することは必要でないこともあり、または少量が必要とされてもよい。その場合には、PNP自身は第二ポリマーについての必要な架橋度を提供することができる。しかしながら、この場合でさえ、第二ポリマーを調製するのに使用される多エチレン性不飽和モノマーまたは他の適当な多官能性モノマーのレベルの範囲は、上記したものと同一であることが望ましい。
【0061】
本発明のPNPは、典型的には5,000〜1,000,000の範囲、好ましくは10,000〜500,000の範囲およびより好ましくは15,000〜100,000の範囲の「見掛けの重量平均分子量」を有する。本明細書において、「見掛けの重量平均分子量」は、標準ゲル浸透クロマトグラフィー法、例えば、THF溶媒を40℃、3Plgel(商標)カラム(Polymer Labs、マサチューセッツ州アマースト)、100オングストローム(10nm)、10オングストローム(100nm)、10オングストローム(1ミクロン)、長さ30cm、内径(ID)7.8mm、分当たり1ミリリットル、100マイクロリットルの注入量、において使用して、Polymer Labs CALIBRE(商標)ソフトウェアを使用して標準挟ポリスチレンにキャリブレーションしたPNP粒子の大きさを意味する。
【0062】
本発明に有用なポリマーナノ粒子は、上記した特性を有するPNPを提供するために当該技術分野で公知の手段により調製され得る。PNPを調製する方法は、以下の公報:EP−2002−1245587号、EP−2002−1245644号、US−2002−0193521号およびUS−2002−0177522号に記載されている。
【0063】
本発明に有用なPFAはフラグメンテーションドメインを凝集することにより調製されることが好ましい。フラグメンテーションドメインを凝集する工程と同時にまたは逐次的に、次の追加の成分:第二ポリマーを形成するために重合される少なくとも1つの第二モノマー;任意に、1以上のポローゲン;任意に、複数のPNP;および開始剤:が凝集粒子に添加される。代替的に、第二ポリマーは、縮合ポリマーであることができる。そのような場合、開始剤は必要ではない。凝集は、当該技術分野で公知の任意の手段で達成され得る。凝集の好ましい方法としては、噴霧乾燥、凝結、ジェッティングおよびこれらの組み合わせが含まれる。より好ましくは、凝集法は凝結、ジェッティングおよびこれらの組み合わせから選択される方法である。最も好ましい凝集法は、凝結である。一旦形成されたモノマー、開始剤および任意の成分を包含する凝集粒子は、モノマーの重合を引き起こすのに好適な条件に付されて第二ポリマーを形成する。重合の間にポローゲンが存在する場合、そのポローゲンは第二モノマーがポローゲンに溶解可能であるが、第二ポリマーは重合の間または後にポローゲンから分離して細孔相を占めるよう選択(上記のvan Krevelen法を参照のこと)されるべきである。凝集の好ましい方法は、凝結である。好ましい態様において、複数のフラグメンテーションドメインを含有する水性エマルションは、第二ポリマーが製造される水性乳化モノマー混合物と混合される。
【0064】
任意にポローゲンを含有するモノマー液滴の液滴径は、典型的には10ミクロン未満、および好ましくは1ミクロン以下である。モノマー液滴およびフラグメンテーションドメインは、次いで、例えば、多価カチオンを混合された水性系に添加することにより不安定化される。フラグメンテーションドメインおよびエマルション液滴の不安定化および凝結を引き起こす上で有用な物質の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化バリウム、塩化第一鉄、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、鉄ミョウバン、塩化水素酸、硫酸、リン酸、および酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。特に有用なカチオンは、Mg2+およびCa2+である。挟い粒径分布を有する球形粒子は、PFA、PFA触媒およびポリオレフィン生成物において望ましくなり得るので、粒子分別に良く知られた方法が、PFA粒子のPSDを狭めるのに使用され得る。例えば、分別は望ましい粒径画分を維持しながら複数のPFA粒子をスクリーニングすることにより達成され得る。挟PSDおよびより球形の凝集粒子を得るためのより好ましい方法は、US−A−4,401,806号、US−A−4,897,462号、US−A−5,514,772号およびUS−A−4,277,426号に記載されたような「スフェロイド凝結」を遂行することである。挟PSDを得るための他の好ましい方法は、US−A−3,922,255号に開示されたような「ジェッティング」によるものである。所望の場合、スフェロイド凝結により調製されるPFA粒子のPSDは、さらなる分別によりいっそうさらに狭められ得る。噴霧乾燥がPFAの形成に利用される場合、複数のフラグメンテーションドメイン、モノマーおよび任意のポローゲンを含む水性系は、単離の間または後に、重合発生を伴いながら噴霧乾燥され得、またはフラグメンテーションドメインは最初に噴霧乾燥により凝集体として単離され、次いでモノマーおよび任意のポローゲンが注入され、重合される。
【0065】
本発明のさらなる態様において、精密フラグメンテーション集合体は、異なる種類のフラグメンテーションドメインの1以上の層により包囲されたフラグメンテーションドメインのコアが存在する構造を有することが望ましい。フラグメンテーションドメインの種類のこれらの相違としては、官能基の種類および量を含む組成;粒径およびPSD;粒子モルホロジー;および架橋度が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、特定のフラグメンテーションドメイン種が、2以上の領域を有するPFAにおいて1を超える層(コアを含む)において利用されることができ、そのフラグメンテーションドメインの濃度は層と層とで変化することができ、または変化しなくてもよい。これらの「積層化PFA」において、一層についてのフラグメンテーション帯は他の層と同一でもまたは異なっても良い。フラグメンテーション帯または複数の帯の調製は、例えば、全てのフラグメンテーションドメイン層が形成された後、または1層以上のフラグメンテーションドメインが形成された後に、第二モノマーおよび任意のポローゲンの単一重合により達成され得る。例えば、異なる種類のフラグメンテーション帯はフラグメンテーションドメイン各層の形成の前、間または後に、あるいは唯1つ以上のこれらの層の形成の前、間または後に、あるいはこれらの組み合わせにおいて形成され得る。さらに、1種類より多いフラグメンテーションドメインが同一層に存在してもよく、層がお互いに相互浸透性でもよい。積層化PFAを製造する好ましい方法は、段階凝結である。例えば、第一段階は、1種以上のフラグメンテーションドメインの凝結により形成され、次の層は他のフラグメンテーションドメインを引き続き凝結することにより形成される。任意の種類の集合体は、異なる種類または濃度のフラグメンテーションドメインの区域(フラグメンテーションドメインを含まない区域を包含する)を有するように形成され得るが、好ましい態様はフラグメンテーションドメインの区域がコア区域の周りに集中的に存在するものである。1以上の層の積層化PFAが、接続相を含まないフラグメンテーション帯を有してもよいが、但し少なくとも1つの層は接続相を含む。最外層が接続相を含むことが特に好ましい。
【0066】
例えば、フラグメンテーションドメインの量に対する第二ポリマー、細孔相およびPNPの量;第二ポリマーのTg;および第二ポリマーの架橋度の選択は、得られるPFAを触媒成分、活性剤成分および任意の会合溶媒でロードする容易性および均一性、ならびにオレフィンモノマーのPFA触媒への浸透の容易性に影響を及ぼす。さらに、これらの要因は精密に操作され、フラグメンテーションドメインがオレフィン重合の間にお互いから離れることができる程度を制御し、かつオレフィン重合の間、特に初期段階(即ち、オレフィンモノマーの最初の10〜20パーセントの消費の間)にPFA触媒粒子内の局在化した歪を制御することができる。前記の局在化した歪の適正な制御は、オレフィン重合の間にPFA触媒粒子内の応力を減少して、その粒子の一部の脱離を最小化し、または、除去して、分離した、より小さな粒子を形成する。前記の粗く、制御されない脱離の除去は、回避されるべきである、というのはそれが反応器の汚染および停止、ポリオレフィン生成物の平均粒径の減少、およびポリオレフィンPSDの歪曲および拡大の原因となるからである。オレフィン重合の精密な制御を与える他の要因は、テザー基の量、種類および位置である。テザー基は、フラグメンテーションドメイン、第二ポリマー、PNPまたはこれらの組み合わせに結合され得る。多数の種類のテザー基が、PFAにおいて使用され得る。実際、複数の種類のテザー基が、第一ポリマー、第二ポリマーまたはPNPの同一鎖に組み入れられることさえできる。さらに、フラグメンテーションドメインが1より多い相を含む場合、異なる種類のテザー基がフラグメンテーションドメインにおいて異なる位置に置かれ得る。例えば、フラグメンテーションドメインがボイドを囲むポリマーシェルを含む場合、シェルの外表面に一種のテザー基を、およびシェルの内表面に他の種類を組み入れることが可能である。このようにして、PFA内の触媒成分および活性剤成分の配置は精密に制御されることができ、1より多い種類の触媒環境が単一のPFA粒子内に形成され得る。
【0067】
例えば、異なる種類のフラグメンテーションドメインがPFA上に連続した凝結法において積層化される一連の凝結工程において、PFAの構造が構築され得ることは、本発明のさらなる利点である。所望の場合には、フラグメンテーション帯を製造するために使用される成分の量および種類もまた1つの凝結工程から次の工程にかけて変化され得る。
【0068】
本発明のPFAは、例えば、噴霧乾燥、ろ過およびオーブン乾燥、凍結乾燥および脱蔵押出しを包含する良く知られた方法で粉末として、PFAの水性ディスパーションまたはスラリーから単離され得る。好ましい方法は、ろ過および流動床乾燥による凝結PFAの分離である。PFAは、次いで、典型的に脂肪族または芳香族炭化水素あるいはこれらの混合物等の担体溶媒中において触媒成分および任意に活性剤成分でロードされ得る。触媒成分および任意の活性剤成分についての担体溶媒(例えば、脂肪族または芳香族炭化水素)と同一または混和可能なポローゲンを使用してPFAを調製することはいっそうさらに好ましい。このようにして、PFAは、その場でロードされて、中間単離工程をせずにPFA触媒を形成し得る。
【0069】
本発明に有用な複数PFA粒子のミクロン単位での平均粒径は、典型的には1〜1000、好ましくは10〜500、より好ましくは20〜100、および最も好ましくは40〜70である。複数PFA粒子のPSD多分散性は、典型的には1.0〜5.0、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.0〜1.5および最も好ましくは1.0〜1.3である。BET N吸収により測定されるm/gでのPFAの表面積は、典型的には10〜2000、好ましくは50〜1000、より好ましくは100〜800および最も好ましくは200〜800である。PFAのg当たりのテザー基のミリモル数で与えられる、PFAに結合されたテザー基の総量は、典型的には0.0〜10、好ましくは0.01〜5.0、より好ましくは0.05〜3.0、および最も好ましくは0.10〜2.0である。
【0070】
本発明の「PFA触媒」のストック混合物は、触媒成分、任意に活性剤成分および本発明のPFAを無水溶媒と混合することにより調製される。脂肪族および芳香族炭化水素のような非極性溶媒が好ましい。これらの物質の配合は空気に敏感に反応する物質を操作するために当該技術分野でよく知られた技術を使用して無水条件下で遂行される。例えば、この配合は、乾燥アルゴン雰囲気の下でグローブボックス内の物質の操作により達成され得る。乾燥することができ、触媒成分、活性剤成分、PFAまたはこれらの任意の組み合わせと反応せずもしくは有害に相互作用せず、さらに有用な濃度において触媒および活性剤成分を可溶化できる任意の溶媒が、触媒成分の調製のためにおよびオレフィン重合における引き続いての使用のために溶媒として使用され得る。芳香族炭化水素、アルキル置換芳香族炭化水素およびC−4〜C−20アルカンが好ましい。触媒成分および活性剤成分のストック溶液を形成する好ましい態様において、溶媒は無水トルエンである。触媒成分、例えば(BuCp)ZrClは、活性剤溶液、トルエン中の10%MAO溶液と混合される。15分後、溶液は淡い黄−橙色に変わる。PFA触媒を調製する好ましい態様において、乾燥トルエン中の複数PFA粒子のスラリーは触媒成分および活性剤成分のストック溶液(例えば、トルエン中の(BuCp)ZrCl/MAO溶液)を加えながら振とうされる。PFA粒子は着色(この実施例では黄−橙色)し、一方溶液は透明および無色または非常に淡い色になるが、これは触媒成分がPFA内に吸収されたことを示す。トルエンは減圧下で除去され、溶媒(例えば乾燥ヘプタン)で置換される。溶媒中でのPFA触媒スラリーは、次いで乾燥アルゴンおよびオレフィンモノマー(下記参照のこと)と共に加圧される圧力反応器に移され、オレフィン重合を開始する。ここに記載した好ましい態様の方法は溶媒中の触媒成分および活性剤成分の溶液を最初に調製し、溶媒中のPFA粒子のスラリーにその溶液を添加することを伴うが、触媒成分、活性剤成分、PFAおよび溶媒の任意の順序での組み合わせが本発明の実施において使用され得る。添加順序の変更を伴う組み合わせ方法の非限定的な例としては、溶媒中の活性剤成分溶液を溶媒中のPFAスラリーに添加し、続いて溶媒中の触媒成分溶液を添加する方法;溶媒中の触媒成分溶液を溶媒中のPFAスラリーに添加し、続いて溶媒中の活性剤成分溶液を添加する方法;溶媒中のPFAスラリーを触媒成分、活性剤成分および溶媒の溶液に添加する方法;触媒成分、活性剤成分および溶媒の溶液を乾燥PFAに添加する方法;溶媒中の触媒成分溶液を乾燥PFAに添加し、続いて溶媒中の活性剤成分溶液を添加する方法;または溶媒中の活性剤成分溶液を乾燥PFAに添加し、続いて溶媒中の触媒成分溶液を添加する方法が挙げられる。さらに触媒成分および活性剤成分のいずれかまたは双方の使用を伴う方法もまた本発明において実施され得る。さらにまた、多数の溶媒が使用され得る。1を超える溶媒が使用される場合、これらの溶媒はお互いに混和可能であることが好ましい。列挙した任意の方法の組み合わせにおいて、1以上の活性剤成分が使用され得、1以上の触媒成分が使用され得、さらに1以上のPFAが使用され得ることがさらに理解される。
【0071】
PE、PPおよびそれらのコポリマーのための本発明のチーグラー・ナッタベースのPFA触媒は、当業者には明白である多様な方法により調製され得る。TiCl/MgCl触媒系は、得られる触媒に商業的に望ましい球形のモルホロジーを課しながら、PFA構造内に形成される。このようにしてPFA触媒は、高バルク密度、球形ポリマー粒子を製造するために任意の商業的プロセス型(気相、バルクモノマー、スラリー)で使用され得る。
【0072】
チーグラー・ナッタベースのPFA触媒を製造する典型的方法は、好適なマグネシウム前駆体をPFA粒子に導入することである。好ましくは、マグネシウム種の溶液が使用される。好適なMg前駆体としては、例えば、グリニャール試薬、マグネシウムアルコキシドおよび混合Mg/Tiアルコキシドが挙げられる。溶媒は除去されてマグネシウム含浸PFA粒子を与え、その粒子は次いで好適な塩素化剤に付されてPFA内にMgCl粒子を与える。好適な塩素化剤は当業者に知られているが、例えば、TiCl、塩化チオニル、塩化ベンゾイルが挙げられる。得られるマグネシウム含浸PFAは、次いで四塩化チタンで処理され、PFA触媒を生成することができる。(塩素化剤としてTiClが使用される場合、さらなる四塩化チタンでの処理は任意である。)典型的には、この最後の工程は、80〜120℃の範囲の温度において遂行され、(反応器汚染およびPPの場合にアタクチックPP生成の原因となるであろう任意の可溶性チタン種を除去するために)次いで得られるPFA触媒は過剰の脂肪族炭化水素で洗浄される。任意の電子供与体の不在下で製造されるPFA触媒は、PE製造用に好適である。テザー基に存在し得る任意の電子供与体に加えて、電子供与体がPFA触媒に組み入れられ触媒活性を向上させ、さらにPPの場合には立体選択性を向上させることができる。好適な電子供与体としては、THF、エチルベンゾエートのような芳香族エステル、ジ−n−ブチルフタレートのようなフタレートおよびジエーテルが挙げられる。PP触媒用の好ましい電子供与体ファミリーは、エチルベンゾエートのような芳香族エステル、ジ−n−ブチルフタレートのようなフタレートおよびジエーテルである。
【0073】
本発明に従い有用に使用される「触媒成分」は、遷移金属の有機金属組成物である。遷移金属触媒は、好ましくはチーグラー・ナッタ型またはフィリップ型触媒であり、より好ましくはUnipol(商標)触媒、Insite(商標)触媒またはVersipol(商標)触媒のようなシングルサイト触媒である。最も好ましい触媒はジルコニウム、チタン、クロム、バナジウム、鉄、コバルト、パラジウム、銅およびニッケルの有機金属化合物をベースにしたものである。
【0074】
本発明の触媒組成物の調製において触媒成分として使用され得るビス(シクロペンタジエニル)4族金属化合物の例示的な、非限定的な例は、下記に列挙される:ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジエチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジプロピル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジネオペンチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジ(m−トリル)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジ(p−トリル)および化学的/構造的に関連する化合物を包含するジヒドロカルビル置換ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム化合物;ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジヒドリドおよび化学的/構造的に関連する化合物を包含するジヒドリド置換ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム化合物;ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムヒドリドクロリドおよび化学的/構造的に関連する化合物を包含するヒドリドハライド置換ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム化合物;ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルヒドリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム(フェニル)(ヒドリド)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム(メチル)(ヒドリド)および化学的/構造的に関連する化合物を包含するヒドロカルビルヒドリド置換ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム化合物;(メチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ジブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルおよび化学的/構造的に関連する化合物を包含する(モノヒドロカルビル置換シクロペンタジエニル)ジルコニウム化合物;(ジメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルおよび化学的/構造的に関連する化合物、ジメチル部分がジクロリドで置換された化合物を包含する(多価ヒドロカルビル置換シクロペンタジエニル)ジルコニウム化合物;メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジヒドリド、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジヒドリド、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジヒドリドおよび化学的/構造的に関連する化合物および対当するジクロリドを包含する(橋掛け−シクロペンタジエニル)ジルコニウム化合物;キラルおよびC−対称化合物;メチレン(シクロペンタジエニル)(1−フルオレニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(1−フルオレニル)ジルコニウムジヒドリド、イソプロピル(シクロペンタジエニル)(1−フルオレニル)ジルコニウムジメチル、イソプロピル(シクロペンタジエニル)(1−オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシル(メチルシクロペンタジエニル)(1−フルオレニル)ジルコニウムジヒドリド、メチレン(シクロペンタジエニル(テトラメチルシクロペンタジエニル))ジルコニウムジメチルおよび化学的/構造的に関連する化合物および対当するジクロリドを包含する非対称橋掛け−ジシクロペンタジエニル化合物;エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチルおよびジメチルシリルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジヒドリドを包含する対称橋掛け−置換ジシクロペンタジエニル化合物のラセミおよびメソ異性体;ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコナシクロブタン、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコナシクロペンタン、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコナインダンおよび1−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコナ−3−ジメチルシラ−シクロブタンを包含するジルコナサイクル;ビス(シクロペンタジエニル)(1,3−ブタジエン)ジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)(2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン)ジルコニウムおよびビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(ベンザイン)ジルコニウムを包含するオレフィン、ジオレフィンおよびアリーン配位子置換ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム化合物;ならびに(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニルメチレン)ジルコニウムヒドリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニルメチレン)ジルコニウムフェニルおよび化学的/構造的に関連する化合物を包含する、シクロペンタジエニルラジカル上の置換基が金属に結合したビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム化合物である。
【0075】
触媒成分として本発明の触媒組成物を有用に含むビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムおよびビス(シクロペンタジエニル)チタン化合物の例示的な、しかし非限定的な例は、AltおよびKoepplによる刊行物、例えばChem.Rev.、第100巻、1205−1222頁、2000年およびHlatkyによるChem.Rev.、第100巻、1347−1376頁、2000年に開示され、その内容は本発明によって有用に使用される。化学的におよび構造的に関連したビス(シクロペンタジエニル)ハフニウム化合物およびビス(シクロペンタジエニル)チタン化合物ならびに本発明の触媒組成物において有用な第4族金属の他の触媒は、オレフィン重合におけるそれらのそれぞれの化学構造および反応性に基づいて当業者には明白であろう。
【0076】
本発明の触媒組成物の調製に使用され得る、炭素またはケイ素基を介して窒素基に橋かけしているシクロペンタジエニル環を含有する第4および6族化合物の例示的な、非限定的な例としては、ジメチルシリシクロペンタジエニル−ターシャリーブチルアミドジルコニウムジメチル、ジメチルシリシクロペンタジエニル−ターシャリーブチルアミドチタニウムジメチル、ジメチルシリテトラメチルシクロペンタジエニル−ターシャリーブチルアミドジルコニウムジメチル、ジメチルシリターシャリーブチルシクロペンタジエニル−ターシャリーブチルアミドジルコニウムジメチル、ジメチルシリテトラメチルシクロペンタジエニル−ターシャリーブチルアミドチタニウムジメチル、ジメチルシリターシャリーブチルシクロペンタジエニル−ターシャリーブチルアミドチタニウムジメチル、ジメチルシリテトラメチルシクロペンタジエニル−ターシャリーブチルアミドハフニウムジメチル、ジメチルシリターシャリーブチルシクロペンタジエニル−ターシャリーブチルアミドハフニウムジメチル、ジメチルシリテトラメチルシクロペンタジエニル−ターシャリーブチルアミドジルコニウムジメチル、エチレンテトラメチルシクロペンタジエニルジメチルアミノクロミウムジメチルおよび対当するジクロリドが挙げられる。
触媒成分として、本発明の触媒組成物を有用に含む二座、三座または他の多座配位子を含有する第4または6族金属錯体の例示的な、非限定的な例は、(NC(CH3)2CH2CH2C(CH3)2N)Cr(CH2C6H5)2およびビス[N−(3−t−ブチルサリチリデン)フェニルアミナト]ジルコニウムジクロリドが挙げられる。
【0077】
触媒成分として、本発明の触媒組成物を有用に含む二座、三座または他の多座配位子を含有する第8〜11族金属錯体の例示的な、非限定的な例は、IttelおよびBrookhartによる刊行物、例えばChem.Rev.、第100巻、1169−1203頁、2000年、Hlatkyによる、Chem.Rev.、第100巻、1347−1376頁、2000年、およびGibson、Angewによる、Chem.Int.Ed.38、428−447頁に開示されており、その内容は本発明によって有用に使用される。触媒成分として、本発明の触媒組成物を有用に含む好ましい第8〜11族触媒は:
【0078】
【化1】

である。
【0079】
化学的におよび構造的に関連した触媒的に活性のある鉄、コバルト、ニッケル、パラジウムおよび銅化合物,ならびに他の本発明の触媒組成物において有用な第8〜11族金属の触媒は、オレフィン重合におけるそれらのそれぞれの化学構造および反応性に基づいて当業者には明白であろう。
【0080】
本発明の「触媒成分」は、典型的には0.0001ミリモル/グラム〜2.00ミリモル/g、好ましくは0.0001ミリモル/g〜1.5ミリモル/g、より好ましくは0.0005ミリモル/g〜1.5ミリモル/gおよび最も好ましくは0.001ミリモル/g〜1.00ミリモル/gの濃度(PFAのグラム(乾燥重量)当たりの金属のミリモル数として定義される)である本発明の「PFA触媒」中の成分である。
【0081】
これらのPFA触媒の活性剤成分は、トリエチルまたはトリイソブチルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウムであり得る。PP製造用に使用される場合、触媒は典型的には、第三成分(電子供与体)と組み合わせて使用され、立体選択性を向上させる。内部供与体として芳香族エステルを有する触媒の場合には、好ましい第三成分(または外部供与体)もまた芳香族エステルであり、例えばパラ−エトキシ−エチルベンゾエート等をはじめとする。一方フタレートが内部供与体として使用される場合に好ましい外部供与体はシランであり、例えばジシクロヘキシルジプロポキシシランのようなジアルキルジアルコキシシランをはじめとし、ジエーテルの場合には外部供与体は厳密には必須ではないが、任意にシラン供与体がさらに立体選択性を改善するために使用され得る。
【0082】
本発明の「PFA触媒」を有用に含む「活性剤成分」の例示的な、しかし非限定的な例は、ChenおよびMarksによる刊行物、例えばChem.Rev.、第100巻、1391−1434頁、2000年、Coatesによる、例えばChem.Rev.、第100巻、1223−1252頁、2000年、Resconi等による、例えばChem.Rev.、第100巻、1253−1346頁、2000年、Fink等による、例えばChem.Rev.、第100巻、1377−1390頁、2000年、AltおよびKoepplによる、例えばChem.Rev.、第100巻、1205−1222頁、2000年およびHlatkyによるChem.Rev.、第100巻、1347−1376頁、2000年、に開示され、その内容は本発明によって有用に使用される。本発明の触媒組成物を有用に含む活性剤成分は、例えば、Al(C2H5)3、Al(CH2CH(CH3)2)3、Al(C3H7)3、Al((CH2)3CH3)3、Al((CH2)5CH3)3、Al(C6F5)3、Al(C2H5)2Cl、Al2(C2H5)3C12、AlC13のようなアルミニウムアルキル;メチルアルミノキサン(MAO)、変性メチルアルミノキサン(MMAO)、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、ヘプチルアルミノキサンおよびメチルブチルアルミノキサンのようなアルミノキサン;およびこれらの組み合わせが挙げられる。活性剤成分の化学量論的および非化学量論的な量の双方が本発明の「PFA触媒」に有用に使用される。化学的および構造的に有用なアルミニウム化合物、ならびに他の本発明の触媒組成物に有用な第13族元素の触媒は、それらの各々の化学構造およびオレフィン重合における活性に基づいて当業者にとって明らかであろう。
【0083】
活性剤成分は、さらにヒドロキシアルミノキサンを含む。ヒドロキシアルミノキサンおよびそれらを調製する方法はUS−A−6,160,145号に開示される。ヒドロキシアルミノキサンは、そのアルミニウム原子の少なくとも1つに結合したヒドロキシル基を有する。これらのヒドロキシアルミノキサンを形成するために、十分な量の水がアルキルアルミニウム化合物と反応して少なくとも1つのHO−Al基を有し、且つd−またはf−ブロック有機金属化合物と反応して炭化水素を形成するのに十分な安定性を有する化合物が結果として形成される。
【0084】
ヒドロキシアルミノキサン反応物を形成するのに使用されるアルキルアルミニウム化合物は、トリメチルアルミニウム以外の任意の好適なアルキルアルミニウム化合物であり得る。従って少なくとも1つのアルキル基は2以上の炭素原子を有する。好ましくはアルキルアルミニウム化合物中の各アルキル基は、少なくとも2つの炭素原子を有する。より好ましくは、各アルキル基は2〜約24の範囲の、およびさらにより好ましくは2〜約16の範囲の炭素原子を有する。より好ましくは2〜約9の範囲の炭素原子を各々有するアルキル基である。アルキル基は環式(例えば、シクロアルキル、アルキル置換シクロアルキルまたはシクロアルキル置換アルキル基)または非環式の、線状または分岐鎖アルキル基であり得る。好ましくは、アルキルアルミニウム化合物は分子中に少なくとも1つ、望ましくは少なくとも2つ、および最も好ましくは3つの分岐鎖アルキル基を含有する。最も好ましくは、アルミニウムアルキルの各アルキル基は、第1級アルキル基、即ち、各アルキル基のアルファ炭素原子が2つの水素原子を有する。
【0085】
ヒドロキシアルミノキサン反応物を形成するのに使用され得る好適なアルミニウムアルキル化合物としては、水素化ジアルキルアルミニウムおよびアルミニウムトリアルキルが挙げられる。水素化ジアルキルアルミニウムの例としては、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジプロピルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジ(2,4,4−トリメチルペンチル)アルミニウム、水素化ジ(2−エチルヘキシル)アルミニウム、水素化ジ(2−ブチルオクチル)アルミニウム、水素化ジ(2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプチル)アルミニウム、水素化ジ(2−ヘキシルデシル)アルミニウム、水素化ジシクロプロピルカルビニルアルミニウム、水素化ジシクロヘキシルアルミニウム、水素化ジシクロペンチルカルビニルアルミニウムおよび類似の水素化ジアルキルアルミニウムが挙げられる。ヒドロキシアルミノキサンを形成するのに使用され得るトリアルキルアルミニウム化合物の例としては、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリヘプチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムおよびそれらのより高次の直鎖同族体;トリイソブチルアルミニウム、トリス(2,4,4−トリメチルペンチル)アルミニウム、トリ−2−エチルヘキシルアルミニウム、トリス(2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプチル)アルミニウム、トリス(2−ブチルオクチル)アルミニウム、トリス(2−ヘキシルデシル)アルミニウム、トリス(2−ヘプチルウンデシル)アルミニウム、およびそれらのより高次の分岐鎖同族体;トリ(シクロヘキシルカルビニル)アルミニウム、トリ(2−シクロヘキシルエチル)アルミニウム、および類似のシクロ脂肪族アルミニウムトリアルキル;ならびにトリ(ペンタフルオロ)アルミニウムが挙げられる。トリイソブチルアルミニウムは、ヒドロキシアルミノキサンを製造するのに特別に望ましいアルキルアルミニウム化合物であることが証明されている。ヒドロキシイソブチルアルミノキサン(HOIBAO)は、好ましいヒドロキシアルミノキサンである。ヒドロキシイソブチルアルミノキサンは、本質的に未反応のトリイソブチルアルミニウムを全く含まない。有用な活性剤成分としては、さらにUS−A−5,922,631号に開示されるようなアルミノキサン塩組成物(アルミノキシナート)が挙げられる。
【0086】
本発明に有用な活性剤成分としては、さらに有機ボラン化合物、無機ボラン化合物およびホウ酸塩アニオンが挙げられる。本発明のPFA触媒中に使用されるホウ素含有活性剤成分の好ましい例は、トリフルオロボラン、トリフェニルボラン、トリス(4−フルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(トリル)ボラン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、ジメチルアニリニウム(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ナトリウム[B{3,5−(CF],[H(OEt[B{3,5−(CF]である。化学量論的および非化学量論的な量の双方の活性剤が、本発明の触媒マトリックスに有用に使用され、これはトリアリールカルベニウムテトラアリールボレート、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、例えばN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレートおよび化学的に関連した第13族化合物;ジアルキルアンモニウム塩、例えばジ(i−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロンおよび化学的に関連した第13族化合物;トリアリールホスホニウム塩、例えばトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ボレートおよび化学的に関連した第13族化合物を使用している。金属化合物を引抜き、活性化する能力を発揮する任意の錯体アニオンまたは前記のアニオンを形成する化合物は、本発明の触媒組成物の範囲である。本発明のPFA触媒に有用である化学的および構造的に有用なホウ素化合物は、オレフィン重合におけるそれらのそれぞれの化学構造および活性に基づいて当業者には明白であろう。
【0087】
本発明の「活性剤成分」はアルミニウム含有活性剤であり、典型的には0.01ミリモル/グラム〜50ミリモル/g、好ましくは0.01ミリモル/g〜20ミリモル/g、より好ましくは0.05ミリモル/g〜10ミリモル/gおよび最も好ましくは0.1ミリモル/g〜5ミリモル/gの濃度(PFAのグラム(乾燥重量)当たりのアルミニウムのミリモル数と定義される)で存在する。活性剤成分がホウ素ベースである場合、典型的には、0.0001ミリモル/グラム〜50ミリモル/g、好ましくは0.0001ミリモル/g〜20ミリモル/g、より好ましくは0.0005ミリモル/g〜10ミリモル/gおよび最も好ましくは0.001ミリモル/g〜5ミリモル/gの濃度(PFAのグラム(乾燥重量)当たりのホウ素のミリモル数と定義される)で存在する。
【0088】
本発明は、また、触媒成分、活性剤成分およびPFAの賢明な選択により、特定のポリオレフィン製造のための一般的なプロセスを提供する。本プロセスは、PFA触媒の存在下でオレフィン、例えばエチレンまたはプロピレンを、単独であるいはより高次のα−オレフィン、ジオレフィンまたはシクロオレフィンの存在下で重合することを含む。PFA触媒内の上記の触媒成分の組み合わせは、本発明のプロセスに従い利用性を有する。
【0089】
本発明の利点は、オレフィン重合のための商業的に重要な触媒成分および任意に活性剤成分と反応あるいは相互作用するPFAのテザー基の能力が得られ、オレフィンモノマーの範囲の重合において利用性を有するPFA触媒を得られることである。触媒成分および活性剤成分とPFAのテザー基との反応は、追加の利点を与える、すなわち、触媒を安定化し、活性化しさらに担持する。加えて、PFAの構造および組成の精密な制御が可能であり、その結果フラグメンテーションが、オレフィン重合プロセスに限定され、フラグメンテーションドメインがPFA粒子から脱離することなくお互いが離れる程度だけに制限される。
【0090】
本発明はオレフィンの重合のためのPFA触媒に関し、このPFA触媒はPFA、触媒成分および任意に活性剤成分の反応または他の相互作用により形成される。PFA触媒は、オレフィンの重合のための一般的触媒プロセスに有用性を有する。特に、触媒的にエチレンを、高密度ポリエチレン(HDPE)および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)のような、より高分子量のポリエチレンホモポリマー、ならびに1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンのようなアルファ−オレフィンとのコポリマーに転換するプロセスにおいて有用性を有する。これらのオレフィンポリマーは、押出し、インジェクション成形、熱形成、回転成形、ホットメルト加工および関連技術により製品に加工するよう意図される。加えて、本発明のポリオレフィンは、エチレンおよびプロピレンのホモポリマー、より高次のアルファ−オレフィンまたはジオレフィンとのエチレンおよびプロピレンのコポリマー、ならびにプロピレンの立体規則性ポリマーである。
【0091】
本発明に従い、ポリオレフィンは触媒プロセスにおいてPFA触媒を使用してオレフィンモノマーから調製され得る。ここでオレフィンモノマーは、2〜12の炭素原子を有する非分岐脂肪族オレフィン、4〜12の炭素原子を有する分岐脂肪族オレフィン、2〜12の炭素原子を有する非分岐および分岐脂肪族α−オレフィン、4〜12の炭素原子を有する共役オレフィン、8〜20の炭素を有する芳香族オレフィン、3〜12の炭素原子を有する非分岐および分岐シクロオレフィン、2〜12の炭素原子を有する非分岐および分岐アセチレンならびにこれらの組み合わせである。また、本発明に従い、オレフィンモノマーは、さらに2〜60の炭素原子ならびにO、N、B、Al、S、P、Si、F、Cl、Br等の少なくとも1つの原子およびこれらの組み合わせを有する極性オレフィンモノマーを含む。
【0092】
特に、オレフィンモノマーは、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ヘキセン、ブタジエン、1,6−ヘキサジエン、スチレン、アルファ−メチルスチレン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、シクロオクタジエン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、アセチレン、ジアセチレン、アルキニルベンゼン、ジアルキニルベンゼン、エチレン/1−ブテン、エチレン/イソプロペン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/プロペン、エチレン/シクロペンテン、エチレン/シクロヘキセン、エチレン/ブタジエン、エチレン/1,6−ヘキサジエン、エチレン/スチレン、エチレン/アセチレン、プロペン/1−ブテン、プロペン/スチレン、プロペン/ブタジエン、プロピレン/1−ヘキセン、プロペン/アセチレン、エチレン/プロペン/1−ブテン、エチレン/プロペン/1−ヘキセン、エチレン/プロペン/1−オクテン、および種々のこれらの組み合わせである。
【0093】
一態様において、本発明のPFA触媒は、エチレンホモ重合およびエチレン/高次アルファ−オレフィンの共重合において、高活性を発揮する多くの触媒成分および任意に活性剤成分と共に有用に使用され、狭い分子量分布および/または均一分岐分布を有するエチレンホモポリマーおよびコポリマーの合成を可能にする。調製されるHDPEおよびLLDPE樹脂は、比較的高い耐衝撃強度および透明性を有するフィルムの製造;押出し、インジェクション成形、熱形成、回転成形、ホットメルト加工による物品および有用な物体への成形加工;単分散性、無機粒子状添加剤または変性剤を有するポリエチレンの加工;ならびにエチレンを含むポリマーを使用して被覆された表面、物品および有用な物体の加工において使用するよう意図されている。
【0094】
PFA触媒の一般的利用性についての態様例は、ポリエチレンの生産である。ポリエチレン(PE)の3クラス、すなわち、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を、現状ではこれらそれぞれのクラスは異なる触媒系を必要とするが、本発明のPFA触媒を使用してその全部を調製することができる。HDPEは、チーグラー・ナッタおよびクロムベースの重合法を使用して調製される線状、半結晶性エチレンホモポリマーである。LLDPEは、チーグラー・ナッタ、クロムベースまたはメタロセンベースの触媒を使用して商業的に調製されるエチレンおよびα−オレフィン(1−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテン)のランダムコポリマーである。LDPEは、高温および高圧プロセスを使用して商業的に調製される分岐エチレンホモポリマーである。HDPE、LDPEおよびLLDPEは、オレフィンを本発明のPFA触媒で反応させて全て調製され得る。
【0095】
PFA触媒の一般的利用性についての他の態様例は、エチレンおよびより高次のアルファ−オレフィンのコポリマーの生産である。ポリマーを製造する場合、チーグラー・ナッタ触媒は通常中程度の広さから非常に広い分子量分布のポリエチレン樹脂を製造し、これは6より大きいMWD値により特徴付けられる。前記の触媒系における広い分子量分布の発生は、不均一な触媒サイトに起因する。PFAをチーグラー・ナッタ触媒と反応させ、本発明のPFA触媒を形成することにより、エチレンの重合は6未満のMWD値により特徴付けられるような、より挟い分子量分布をもたらすことができる。
【0096】
本発明の他の有用な態様において、多環式コポリマーが調製され、これは少なくとも1つのポリシクロオレフィンモノマーおよび少なくとも1つのアクリレートまたはメタクリレートモノマーから共重合される繰り返し単位を含む。本明細書で使用される用語「ポリシクロオレフィン」はノルボルネン型モノマーを意味する。用語ノルボルネン型モノマーは、ノルボルネン、置換ノルボルネン、およびモノマーが少なくとも1つのノルボルネンまたは置換ノルボルネン部分を含有するそれらの任意の高次環式誘導体を意味する。置換ノルボルネンおよびそれらの高次環式誘導体は、ペンダントヒドロカルビル置換基または酸素原子を含有する官能性置換基を含有する。これらの多環式コポリマーおよびそれらを調製する上で有用なモノマーの一覧は、US−B1−2001−6,265,506号およびUS−B1−2001−6,303,724号に記載されている。
【0097】
本発明のプロセスにおいて、エチレンまたはプロピレン等のオレフィンは、単独あるいは3以上の炭素原子を有するより高次のアルファ−オレフィンとともに、PFA触媒の存在下で重合され、PFA触媒それ自身は、PFAと少なくとも1つの触媒成分および少なくとも1つの活性剤成分を配合することにより形成される。本発明に従い、エチレンおよび3〜20の炭素原子を有する、より高次のアルファ−オレフィンのオレフィンコポリマーを製造することもできる。コモノマー含量は、PFA、触媒成分および活性剤成分の選択によって制御され得る。
【0098】
本発明の精密フラグメンテーション集合体は、活性成分の制御された放出を可能にする、デリバリー構造体としても有用であり、限定されないが、医薬品、殺生物剤、除草剤、防黴剤、殺虫剤、殺菌剤、肥料、化粧品、香料、液晶、ならびに着色剤、例えば顔料、多色性染料および非多色性染料が挙げられる。それらは、トリガー放出を含む、二重および多重放出機構を提供するのに特に有用である。
【0099】
本発明のPFAは、さらに酵素固定化担体として使用され得、特に担体の制御された分解が望ましい場合に使用され得る。
本発明のPFAは、また、マクロレティキュラー樹脂としても有用である。PFAは、伝統的なマクロレティキュラー樹脂が現在使用されている基本的に如何なる用途にも好適である。特に、PFAは、伝統的なマクロレティキュラー樹脂と比較してPFAの内部への物質の接近をより良く制御すること、およびパックされたカラムにおいて、より良い流動特性(例えば、より低い圧力低下)を付与する点で伝統的なマクロレティキュラー樹脂よりも利点を提示する。PFAは、イオン交換樹脂を製造するために好適に(例えば、酸性または塩基性官能基を有するテザー基で)官能化され得る。球形粒子を超えて、PFAが基本的に任意の形状および如何なるサイズに製造されるモノリス構造であるモノリスとして、PFAは製造され得る。例えば、PFAモノリスは、数センチメートルの直径および数メートルの長さを有する円筒形状を有する。
【0100】
実験
PFAにおけるエチレン性不飽和基のレベルの測定
本発明に有用なPFA中に含まれるエチレン性不飽和基の量を特徴づけ、定量するために固体13CNMR(核磁気共鳴)が使用された。
【0101】
多孔度の測定
実施例により本明細書に記載されるPFAの多孔度は、Brunauer等によるJ.Am.Chem.Soc.第60巻、309頁(1938年)に開示された方法に従い窒素吸着により測定された。
【0102】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用した分子量測定
サイズ排除クロマトグラフィーとして知られるゲル浸透クロマトグラフィーは、それらのモル質量よりむしろ溶液中での流体力学的サイズに従いポリマー鎖の分布の構成を実際に分離する。系は、次いで既知の分子量および組成を有する標準によりキャリブレーションされ、溶出時間と分子量とを相関させる。GPCの技術は、「Modern Size Exclusion Chromatography」W.W.Yau、J.J.Kirkland、D.D.Bly著;Wiley Interscience、1979および「A Guide to Materials Characterization and Chemical Analysis」、J.P.Sibilia著;VCH、1988年、81−84頁に詳細に論じられている。
【0103】
例えば、低分子量試料(例えば、10,000)用の分子量情報は、次のように測定され得る:試料(低分子量粒子を含有する水性エマルション)は、THF中に、THFの容積当たり約0.1重量%の試料の濃度で溶解され、6時間振とうされ、続いて0.45μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜フィルターを通してろ過された。分析は、上記溶液100μlを直列に連結され、40℃に維持された3基のカラムに注入することにより遂行される。3基のカラムは、PLゲル5 100、PLゲル5 1,000およびPLゲル5 10,000のそれぞれのものであり、Polymer Labs社、マサチューセッツ州アマーストより入手可能である。使用された移動相は、1ml/分におけるTHFフローである。検出は示差屈折率による。系は、挟い標準ポリスチレンでキャリブレーションされた。試料についてのPMMA−当量分子量は、標準ポリスチレンについてK=14.1×10−3ml/gおよびa=0.70および試料についてK=10.4×10−3ml/gおよびa=0.697を使用してMark−Houwink相関により計算される。
【0104】
実験実施例
本発明の一部の態様が、次の実施例により詳細に記載される。表1に示される次の略語が実施例で使用される。
【0105】
【表1】

【実施例】
【0106】
実施例1.1. エマルション重合によるフラグメンテーションドメインの調製
最初に、水1831グラム、ラウリル硫酸ナトリウム7グラム(28%水溶液)および酢酸0.5グラムが、パドルスターラー、温度計、窒素スパージおよび加熱マントルを装備した5リットル丸底フラスコに添加された。第一モノマーエマルションは、高速ミキサーを使用して、2リットルビーカー中でスチレン800グラム、ジビニルベンゼン200グラム、ラウリル硫酸ナトリウム36グラム(28%水溶液)および水311グラムを乳化することにより別個に調製された。開始剤溶液は、150mlビーカー中においてt−ブチルヒドロペルオキシド2グラム(70%水溶液)と水98グラムを混合することにより調製された。還元剤溶液は、150mlビーカー中でヒドロキシメタンスルフィネートナトリウム溶液2グラム(78%水和物として)と水98グラムとを混合することにより調製された。ケトル装填物は70℃に加熱された。モノマーエマルション、開始剤溶液および還元剤混合物は、反応温度を70℃に維持しながら同時に、しかし別々にケトルに供給された。全ての供給は同時に開始された。モノマー供給の持続時間は75分であり、一方他の供給の持続時間は100分であった。バッチは供給の完了の後、30分間維持され、次いで25℃に冷却された。フラグメンテーションドメインラテックスの最終ポリマー含量(ここでは、「第一ポリマー」はスチレン/DVBコポリマー)は29%(非揮発性重量/総ラテックス重量)であると重量測定により決定され、ポリマー収量は97%を示した(最終ポリマー含量の理論値は30%であった)。ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより測定された残存スチレンモノマーは、フラグメンテーションドメインラテックス試料中500ppm未満であった。フラグメンテーションドメイン粒径は、光散乱および走査型電子顕微鏡により150nmであると測定された。ラテックスの一部は乾燥され、次いでトルエンで抽出された。トルエン可溶性ポリマー画分は、乾燥フラグメンテーションドメイン試料の0.2重量%未満であり、フラグメンテーションドメイン内の架橋度が非常に高いことを示した。
【0107】
実施例1.2. エマルション重合によるフラグメンテーションドメインの調製
最初に、水1831グラム、ラウリル硫酸ナトリウム7グラム(28%水溶液)および酢酸0.5グラムは、パドルスターラー、温度計、窒素スパージおよび加熱マントルを装備した5リットル丸底フラスコに添加される。第一モノマーエマルションは、高速ミキサーを使用して、2リットルビーカー中で第一モノマー組成物(表1.2中のモノマー1、2および3参照)1000グラム、ラウリル硫酸ナトリウム36グラム(28%水溶液)、および水311グラムを乳化することにより別個に調製される。開始剤溶液は、150mlビーカー中においてt−ブチルヒドロペルオキシド2グラム(70%水溶液)と水98グラムを混合することにより調製される。還元剤溶液は、150mlビーカー中でヒドロキシメタンスルフィネートナトリウム溶液2グラム(78%水和物として)と水98グラムとを混合することにより調製される。ケトル装填物は70℃に加熱される。モノマーエマルション、開始剤溶液および還元剤混合物は、反応温度を70℃に維持しながら同時に、しかし別々にケトルに供給される。全ての供給は同時に開始される。モノマーエマルション供給の持続時間は75分であり、一方他の供給の持続時間は100分である。バッチは供給の完了の後、30分間維持され、次いで25℃に冷却される。フラグメンテーションドメインラテックスの最終ポリマー含量(ここでは、「第一ポリマー」は重合単位としてモノマー組成の組成を有する)は約29%(非揮発性重量/総ラテックス重量)であると重量測定により予測され、ポリマー収量は97%を示す(最終ポリマー含量の理論値は30%であった)。ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより測定された残存総モノマーは、フラグメンテーションドメインラテックス試料中500ppm未満であるべきである。フラグメンテーションドメイン粒径(ナノメーター)は、光散乱および走査型電子顕微鏡により150nmである。ラテックスの一部は乾燥され、次いでトルエンで抽出される。トルエン可溶性ポリマー画分は、乾燥フラグメンテーションドメイン試料の0.2重量%未満であり、フラグメンテーションドメイン内の架橋度が非常に高いことを示すはずである。
【0108】
表1.2 実施例1.2の調製のためのモノマー装填物
【表2】

(a)HEMA:130g=1.00モル;260g=2.00モル;(b)GMA:142g=1.00モル;284g=2.00モル;(c)AOH:58g=1.00モル;116g=2.00モル
【0109】
実施例1.3. エマルション重合によるフラグメンテーションドメインの調製
最初に、水1793グラム、実施例1.2のフラグメンテーションドメインラテックス(粒径=150nm;600nmのフラグメンテーションドメインを製造するためにシードとして使用される)53.9グラムおよび酢酸0.5グラムは、パドルスターラー、温度計、窒素スパージおよび加熱マントルを装備した5リットル丸底フラスコに添加される。第一モノマーエマルションは、高速ミキサーを使用して、2リットルビーカー中で、第一モノマー組成物(表1.3中のモノマー1、2および3参照)984.4グラム、ラウリル硫酸ナトリウム42.4グラム(28%水溶液、表1.2参照)および水311グラムを乳化することにより別個に調製される。開始剤溶液は、150mlビーカー中においてt−ブチルヒドロペルオキシド2グラム(70%水溶液)と水98グラムを混合することにより調製される。還元剤溶液は、150mlビーカー中でヒドロキシメタンスルフィネートナトリウム溶液2グラム(78%水和物として)と水98グラムとを混合することにより調製される。ケトル装填物は70℃に加熱される。モノマーエマルション、開始剤溶液および還元剤混合物は、反応温度を70℃に維持しながら同時に、しかし別々にケトルに供給される。全ての供給は同時に開始される。モノマーエマルション供給の持続時間は75分であり、一方他の供給の持続時間は100分である。バッチは供給の完了の後、30分間維持され、次いで25℃に冷却される。フラグメンテーションドメインラテックスの最終ポリマー含量(ここでは、「第一ポリマー」は重合単位としてモノマー組成の組成を有する)は約29%(非揮発性重量/総ラテックス重量)であると重量測定により予測され、ポリマー収量は97%を示す(最終ポリマー含量の理論値は30%であった)。ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより測定された残存総モノマーは、フラグメンテーションドメインラテックス試料中500ppm未満であるべきである。フラグメンテーションドメイン粒径は、光散乱および走査型電子顕微鏡により600nmであると測定される。ラテックスの一部は乾燥され、次いでトルエンで抽出される。トルエン可溶性ポリマー画分は、乾燥フラグメンテーションドメイン試料の0.2重量%未満であり、フラグメンテーションドメイン内の架橋度が非常に高いことをしめすはずである。
【0110】
表1.3 実施例1.3の調製のためのモノマー装填物
【表3】

(a)シードは実施例1.2からのフラグメンテーションドメインラテックスである;(b)HEMA:130g=1.00モル;260g=2.00モル;(c)GMA:142g=1.00モル;284g=2.00モル;(d)AOH:58g=1.00モル;116g=2.00モル
【0111】
実施例2. ポリマーナノ粒子(PNP)の調製
500mLの反応器に、熱電対、温度調節器、パージガス入口、パージガス出口を有する水冷還流凝縮器、スターラーおよび添加漏斗が装備された。モノマー1、モノマー2および任意にモノマー3(表2参照)からなるモノマー混合物201.60g;ミネラルスピリッツ中のt−アミルペルオキシピバレート75%溶液(Luperox 554−M−75)1.60g;およびジイソブチルケトン(「DIBK」)180.00gが添加漏斗に装填された。次いで、180.00gのDIBKを含有する反応器は、熱を適用して反応器の内容物を75℃にする前に窒素で30分間フラッシュされる。反応器の内容物が75℃に到達したとき、添加漏斗内のモノマー混合物は90分かけて反応器に均一に装填される。モノマー混合物添加の終了から、30分後、ミネラルスピリッツ中のt−アミルペルオキシピバレート75%溶液(Luperox 554−M−75)0.06gおよびDIBK2.00gからなる、30分間間隔の2つのチェーサーアリコートのうち最初のものが添加された。第二のチェーサーアリコートの終わりにおいて、反応器の内容物は反応を完了させるために80℃において2時間半維持される。得られるポリマーは、ヘプタンでの沈殿により単離され、ろ過により収集されそして真空下で乾燥され白色粉末を生じる。この物質は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに再溶解される。このようにして形成されたナノ粒子は、動的レーザー光散乱により測定されると、6nmの平均粒径および1.5のPSD多分散性を有し、さらにGPCにより測定されると約14,500g/モルの数平均分子量および1.6のMw/Mn分布を有する22,500g/モルの分子量を有すべきである。
【0112】
表2. 実施例1.4のPNPの調製に使用されるモノマー
【表4】

【0113】
実施例3.1. 凝結および引き続いての重合による精密フラグメンテーション集合体の調製
最初に水475グラムおよび無水硫酸マグネシウム25グラムが、パドルスターラー、温度計、窒素スパージおよび加熱マントルを装備した3リットルビーカーに添加された。溶媒−モノマー−開始剤溶液は、100mlビーカー中でスチレン19グラム、ジビニルベンゼン5グラム、キシレン48グラムおよびt−ブチルペルオクトエート0.5グラムを混合することにより調製された。溶媒−モノマー−開始剤溶液(72.5グラム)は、次いでラウリル硫酸ナトリウム(28%水溶液)3グラムおよび水25グラムと共に150mlビーカーに添加され、高速超音波ミキサーを使用して乳化された。有機相の液滴径は、光学顕微鏡により測定すると約1ミクロン未満であった。このようにして形成された溶媒−モノマー−開始剤エマルションは、次いで実施例1.1からのフラグメンテーションドメインラテックス500グラムと混合されてエマルション−ラテックス混合物を形成した。硫酸マグネシウム溶液ケトル装填物は、25℃において500RPMで撹拌され、一方でエマルション−ラテックス混合物は5分間添加された。硫酸マグネシウムの存在下において、フラグメンテーションドメインラテックスおよび乳化モノマー−溶媒−開始剤エマルションを、スラリー状混合物に共凝結した。得られたスラリー混合物を、85℃の温度に加熱し、120分間維持してモノマーを重合させた。反応混合物は、約1ミクロン未満の細孔径を有するフリットステンレススチール漏斗を通してろ過された。濾液は、透明であった。精密フラグメンテーション集合体粒子は5,000グラムの脱イオン水で洗浄された。フィルターケークは真空オーブン中で60℃および0.1気圧において2日間乾燥された。PFA生成物の重量は、162グラム(理論的総量の96%である)であった。粉末状PFA試料は、走査型電子顕微鏡で試験され約1〜20ミクロンの粒径(PSD多分散性は2以下)を有することが判明した。個々の粒子は、多孔性であった。
【0114】
実施例3.1は、フラグメンテーションドメイン、モノマーおよびポローゲン(トルエン)の凝集(ここでは、凝結)に引き続き、フラグメンテーションドメイン間の間隙空間内に第二ポリマーを形成するためのモノマーの重合が効果的に行われることを実証する。重合プロセスの間に重合誘起相分離(PIPS)が起き、そこでは第二ポリマーがポローゲン(キシレン)から沈殿してフラグメンテーション帯内に(間隙空間内に)接続相および細孔相を形成する。この実施例において、細孔相は最初にキシレンで占められ、次いで乾燥の間に空気により置換される。
【0115】
実施例3.2. スフェロイド凝結および引き続いての重合による精密フラグメンテーション集合体の調製
最初に水497.5グラムおよび無水硫酸マグネシウム2.5グラムが、パドルスターラー、温度計、窒素スパージおよび加熱マントルを装備した3リットルビーカーに添加された。溶媒−モノマー−開始剤溶液は、100mlビーカー中でスチレン19グラム、ジビニルベンゼン5グラム、キシレン48グラムおよびt−ブチルペルオクトエート0.5グラムを混合することにより調製される。溶媒−モノマー−開始剤溶液(72.5グラム)は、ラウリル硫酸ナトリウム(28%水溶液)3グラムおよび水25グラムと共に150mlビーカーに添加され、高速超音波ミキサーを使用して乳化される。有機相の液滴径は、光学顕微鏡にて測定すると約1ミクロン未満である。このようにして形成された溶媒−モノマー−開始剤エマルションは、次いで500グラムのフラグメンテーションドメインラテックスと混合されてエマルション−ラテックス混合物(フラグメンテーションドメインラテックス1.2.A〜1.2.Iは、ここではそれぞれPFA3.2.A〜3.2.Iを調製するために使用される)を形成する。硫酸マグネシウム溶液ケトル装填物は、65℃において500RPMで撹拌され、一方でエマルション−ラテックス混合物は1分間添加される。硫酸マグネシウムの存在下において、フラグメンテーションドメインラテックスおよび乳化モノマー−溶媒−開始剤エマルションは、スラリー状混合物へと共凝結し、その中で形成されたバルク粒子は形状がスフェロイド状であり、挟い粒径分布を示す。得られるスラリー混合物を、85℃の温度に加熱し、120分間維持してモノマーを重合させる。反応混合物は、25℃に冷却され、約1ミクロン未満の細孔径を有するフリットステンレススチール漏斗を通してろ過される。濾液は、透明である。精密フラグメンテーション集合体粒子(PFA粒子)は5,000グラムの脱イオン水で洗浄される。フィルターケークは真空オーブン中で60℃および0.1気圧において2日間、乾燥される。PFA生成物の重量は、162グラム(理論的総量の96%)である。PFA粒子は、50ミクロンの平均粒子径および1.3の粒径分布の多分散性を有する。PFAの特性、例えば上記により示される実験方法によりそのPFAから調製されたPFA触媒のエチレン重合効率、が表3.2に示されている。
【0116】
表3.2 150ナノメートルの平均粒径のフラグメンテーションドメインを有する、多様に官能化されたPFA粒子の特性
【表5】

(a)BBCZCは金属錯体(BuCp)ZrClである;(b)PFA触媒は実施例H.1の方法を使用して調製され、ここで、触媒成分はビスシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルおよび活性剤成分はN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート;(c)PFA触媒は実施例H.2の方法を使用して調製され、ここで、触媒成分および活性剤成分はマグネシウムエトキシレートと過剰のチタニウムテトラクロリドとの反応から調製される;(d)効率およびポリオレフィン粒径は、全ての場合において実施例Jの方法を使用して評価される。
【0117】
実施例3.3. スフェロイド凝結および引き続いての重合による精密フラグメンテーション集合体の調製
特性が表3.3に列挙されているPFAを調製するためにこの実施例において、実施例3.2の操作が行われる。PFA試料3.3.A〜3.3.Iは、溶媒、モノマーおよび開始剤と共にそれぞれフラグメンテーションドメインラテックス1.3.A〜1.3.Iの65℃凝結により調製される。PFA粒子は50ミクロンの平均粒径および1.3の粒径分布の多分散性を有する。PFAの特性、例えば上記により示される実験方法によりそのPFAから調製されたPFA触媒のエチレン重合効率、が表3.3に示される。
【0118】
表3.3 600ナノメートルの平均粒径のフラグメンテーションドメインを有する、多様に官能化されたPFA粒子の特性
【表6】

(a)BBCZCは金属錯体(BuCp)ZrClである;(b)PFA触媒は実施例H.1の方法を使用して調製され、ここで、触媒成分はビスシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルおよび活性剤成分はN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート;(c)PFA触媒は実施例H.2の方法を使用して調製され、ここで、触媒成分および活性剤成分はマグネシウムエトキシレートと過剰のチタニウムテトラクロリドとの反応から調製される;(d)効率およびポリオレフィン粒径は、全ての場合において実施例Jの方法を使用して評価される。
【0119】
実施例3.4. PFAの調製。フラグメンテーション帯、フラグメンテーションドメインラテックス、第二ポリマー、第二ポリマー中の架橋モノマーおよびPNPの量;ならびに第二ポリマーのTgにおける変化
本実施例の精密フラグメンテーション集合体は、次のように溶媒−モノマー−開始剤溶液が調製される点を除き、実施例3.2の操作に従い調製される:溶媒−モノマー−開始剤溶液は、100mlビーカー中で、モノマー1、モノマー2、モノマー3(表3.4.dのみを参照)、PNP溶液、キシレンおよび0.5グラムのt−ブチルペルオクトエート(数量について表3.4.a、b、およびdを参照)を混合することにより調製される。フラグメンテーションドメインラテックスは、実施例3.4.Aおよび3.4.Bについて実施例1.1のラテックスである。フラグメンテーションドメインラテックスは、実施例3.4.Dについて表3.4.dに示される通りである。フラグメンテーションドメインラテックスは、全ての場合において65℃に維持されている硫酸マグネシウム溶液に添加されている。PFA粒子は、50ミクロンの平均粒径および1.3の粒径分布の多分散性を有する。PFA特性、例えば上記により与えられる実験方法によりそのPFAから調製されたPFA触媒のエチレン重合効率、が表3.4.a.1に示されている。
【0120】
表3.4.a. 実施例3.4.Aについてのモノマー、溶媒およびPNP溶液装填物
【表7】

(a)PNPは,組成Sty/DVB=80/20(重量ベース)の2.Aである。
【0121】
表3.4.a.1 第二ポリマーが室温より高いTgを有する場合の、フラグメンテーション帯のサイズ、量および第二ポリマーの架橋、およびPNP含量を変えたPFA粒子の特性
【表8】

(a)PFA触媒は実施例H.1の方法を使用して調製され、ここで、触媒成分はビスシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルおよび活性剤成分はN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート;(b)PFA触媒は実施例H.2の方法を使用して調製され、ここで、触媒成分および活性剤成分はマグネシウムエトキシレートと過剰のチタニウムテトラクロリドとの反応から調製される;(c)効率およびポリオレフィン粒径は、全ての場合において実施例Jの方法を使用して評価される。
【0122】
表3.4.b. 実施例3.4.Bについてのモノマー、溶媒およびPNP溶液装填物
【表9】

(a)PNPは,組成MMA/ALMA=95/5(重量ベース)の2.Cである。
【0123】
表3.4.b.1. 第二ポリマーが室温より低いTgを有する場合の、フラグメンテーション帯のサイズ、量および第二ポリマーの架橋、およびPNP含量を変えたPFA粒子の特性
【表10】

(a)PFA触媒は実施例H.1の方法を使用して調製され、ここで、触媒成分はビスシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルおよび活性剤成分はN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート;(b)PFA触媒は実施例H.2の方法を使用して調製され、ここで、触媒成分および活性剤成分はマグネシウムエトキシレートと過剰のチタニウムテトラクロリドとの反応から調製される;(c)効率およびポリオレフィン粒径は、全ての場合において実施例Jの方法を使用して評価される。
【0124】
表3.4.d. フラグメンテーションドメイン、第二ポリマーおよびPNPの官能化における変化を有するPFA
【表11】

フラグメンテーションドメインラテックス:例えば、実施例3.4.D.1〜3.4.D.10は実施例1.1のフラグメンテーションラテックス、重量=374.1グラムである;例えば、実施例3.4.D.11〜3.4.D.13は実施例1.2.E、重量=374.1グラムである;さらに例えば、実施例3.4.D.14〜3.4.D.16は実施例1.2.A、重量=374.1グラムである。(a)PNPは実施例2.A、PNPの重量に基づいて80重量%のスチレンおよび20重量%のDVBである;(b)PNPは実施例2.B、65重量%のスチレン、15重量%のAOHおよび20重量%のDVBである;(c)PNPは実施例2.C、95重量%のMMAおよび5重量%のALMAである;(d)PNPは実施例2.D、80重量%のMMA、15重量%のHEMAおよび5重量%のALMAである。
【0125】
表3.4.d.1. 第二ポリマーが室温より低いTgを有する場合の、フラグメンテーション帯のサイズ、量および第二ポリマーの架橋、およびPNP含量を変えたPFA粒子の特性
【表12】

(a)BBCZCは金属錯体(BuCp)ZrClである;(b)PFA触媒は実施例H.1の方法を使用して調製され、ここで、触媒成分はビスシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルおよび活性剤成分はN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート;(c)PFA触媒は実施例H.2の方法を使用して調製され、ここで、触媒成分および活性剤成分はマグネシウムエトキシレートと過剰のチタニウムテトラクロリドとの反応から調製される;(d)効率およびポリオレフィン粒径は、全ての場合において実施例Jの方法を使用して評価される。
【0126】
実施例4.1 m−クロロ過安息香酸(MCPBA)を使用したビニル含有PFAのエポキシ化
500mlの口の狭いガラス瓶に、5.0グラムのPFA粒子(38μm〜45μmの間の直径を有する粒子を提供するために選別された)および150グラムの1,2−ジクロロエタンが装填された。ビンは、実験室規格の振とう器上に置かれ、1時間穏かに撹拌された。次いでビンは取りはずされ、30分間、氷浴に置かれる。1,2−ジクロロエタン20mlおよびm−クロロ過安息香酸(名目上75%活性)からなる溶液が調製され、ここでm−クロロ過安息香酸は、表4.1.aに示される量(PFAのグラム当たりの試薬のグラムで与えられる)においてであり、ビニル基のミリモル数当たりのMCPBAの望ましいミリモル数に依存する。この溶液は、冷却された反応ビンに迅速に添加され、そしてビンは振とう器に置かれ、20時間、穏かに撹拌される。主として振とう器の機構により発生する熱のために、この間に反応混合物の温度は30℃に上昇する。
【0127】
反応混合物は、微細多孔性フィルターディスクを装備した125mlのガラスフィルターカラムに注入される。反応溶媒は真空下で除去され、固体樹脂は1,2−ジクロロエタン100mlと混合され、続いて真空下で除去される。このプロセスは1,2−ジクロロエタンの2つの100ml追加分で繰り返される。洗浄プロセスは次いで禁止剤を含まないテトラヒドロフランの3部分で繰り返される。固体樹脂は、次いで窒素フロー下でカラムにおいて乾燥され、続いて室温、減圧下乾燥される。
【0128】
表4.1.a. 重合単位としてPFA中に存在するDVBの総モル数に基づいたMCPBA使用レベル
【表13】

【0129】
表4.1.a.1. 二重結合含有PFA粒子のエポキシ化により官能化されたPFA粒子の特性
【表14】

(a)BBCZCは金属錯体(BuCp)ZrClである;(b)効率およびポリオレフィン粒径は、全ての場合において実施例Jの方法を使用して評価される。
【0130】
実施例G. 触媒成分(BuCp)ZrClおよび活性剤成分メチルアルミノキサン(MAO)のトルエン中のストック溶液の調製
この実施例の操作は、乾燥アルゴン雰囲気下でグローブボックス内において遂行された。(BuCp)ZrCl(9.5mg以下)は20mlのバイアルビンに置かれ、続いてトルエンの10%MAO溶液3.2mlが添加された。15分後、溶液は淡い黄橙色に変わった。
【0131】
実施例H. PFAからのPFA触媒の標準的調製。 この手順はPFA触媒を調製するのに使用された。
この実施例の操作は、乾燥アルゴン雰囲気下でグローブボックス内において遂行される。2mlのトルエン(100mg)が、スラリーを形成させるために20mlのバイアルビンに装填される。スラリーを振とうしながら、(BuCp)ZrCl/MAOストック溶液の270μl(Zr20μモル/gエポキシ化樹脂以下)がスラリーに加えられる。約20分の後、PFA粒子は黄橙色になり、一方で溶液は透明になり、これは(BuCp)ZrCl/MAOがPFA中に吸収されたことを示している。30分後、トルエンは約1時間で減圧下で除去され淡黄色の粉末を生じる。その粉末(60mg)は、次いで600mlパーボンベスリーブ(Parr bomb sleeve)内のヘプタン300mlに懸濁される。次いでスリーブは、アルゴンで40psig以下まで加圧されたパーボンベ内に密封される。パーボンベは、次いでグローブボックスから取り出され、エチレン重合の調製におけるエチレン系に結合される。
【0132】
実施例H.1 触媒成分としてビスシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルおよび活性剤成分としてN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートを含有するPFA触媒の調製
実施例は、エチレンの重合および共重合に有用な本発明の、特有の第4族触媒を含むPFA触媒の調製を例示する。全ての操作は、乾燥したおよび不活性のアルゴン雰囲気下グローブボックス内で遂行される。
0.500gのPFAに対し5mlのトルエンが添加される。このPFAは30分間、トルエンを吸収する。次に、2mlトルエン中のビスシクロペンタジエニルジルコニウムジメチル0.053gとN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.145gとの反応から生成した暗橙色の油が、トルエンに膨潤したPFAに添加される。その油は、その物質と迅速に反応して明るい橙色の生成物および無色のトルエン溶液を生じる。45分間の混合の後、その物質はろ過され、10mlのトルエンで洗浄され、続いて酸素を含まない乾燥ヘプタン2×20mlで洗浄される。ろ過から得られたベージュ色の生成物は、真空下で乾燥され、0.580gの触媒を生じる。この生成物は、PFA触媒のグラム当たり計算値0.27ミリモルのZrを含有する。
【0133】
実施例H.2 チーグラー・ナッタ触媒および活性剤成分を含有するPFA触媒の調製
実施例は、チーグラー・ナッタ触媒および活性剤成分を含有するPFA触媒の調製を例示する。全ての操作は、乾燥したおよび不活性のアルゴン雰囲気下グローブボックス内で遂行される。0.500gのPFAに対し5mlのクロロベンゼンが添加される。このPFAは30分間、クロロベンゼンを吸収する。その後クロロベンゼン2ml中のマグネシウムエトキシレート(0.11g、1.0ミリモル)の溶液が添加される。混合物は30分間撹拌され、次いでPFA内にないクロロベンゼンは真空下で除去される。クロロベンゼン5ml中の塩化チタン(0.21g、1.1ミリモル)溶液が、次いでPFA/Mg(OEt)に添加される。45分間の混合の後、その物質は濾過され、10mlのトルエンで洗浄され、続いて酸素を含まない乾燥ヘプタン2×20mlで洗浄される。このPFA触媒は、真空下で乾燥され、0.580gの触媒を生じる。この生成物は、PFA触媒のグラム当たり計算値0.22ミリモルのTiを含有する。
【0134】
実施例J. 600mlParr反応器におけるPFA触媒を評価するための標準的エチレン重合手順
この操作は、下記に記載される全てのオレフィン重合実施例において使用される。内部ガラススリーブを含む600mlパー反応器は、オーブン中110℃以下で一晩乾燥され、次いで、乾燥アルゴン雰囲気を有するグローブボックス内に置かれる。予め秤量された量のPFA触媒(典型的には60mg以下)が反応器スリーブに装填され、次いで酸素を含まない乾燥ヘプタンが希釈剤としてスリーブに添加される。反応器は組み立てられ、密封され、アルゴンで40psigに加圧され、次いでドライボックスから取り出される。反応器は、次いで予め加熱した加熱マントル中に置かれ、スウェージロッククイックコネクトフィッテイング(Swagelok quick−connect fitting)による手段でエチレン供給ラインに接続される。コネクトは、直ちにエチレンで85psigに10回、圧力パージされる。撹拌軸は、次いで動力に接続され、撹拌が約200rpmにおいて開始される。反応器を目標の重合温度まで暖めている間、水供給および排出ラインは冷却コイルに接続される。一度、反応器が目標重合温度に達したら、アルゴン加圧は、チェックプロテクテッドベント(check−protected vent)の付いた3方向バルブを介してエチレン接続部を通してベントされる。反応器は、次いでエチレンで85psigまで加圧され、エチレン供給についての圧力調節器によりその圧力に維持される。エチレン供給はデータアクイジッションコンピューターに接続された熱流量計により測定される。温度は、冷却コイルを通して冷却水フローを調整することにより目標温度の3℃以内に維持される。望ましい重合バッチ時間の後、エチレンフローは停止され、反応器は大気圧となるまでベントされる。反応器は次いで解体され、生成物は紙フィルター上に集められ、約100ccのメタノールで洗浄される。洗浄されたポリエチレン生成物はフィルター上で乾燥され、続いて80℃の真空オーブン中で恒量となるまで乾燥される。この実験の部で先行する幾つかの表において、PFA情報と共に、ポリオレフィン生成についての粒径および効率についての結果が示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精密フラグメンテーション集合体粒子であって、
(A)0.1〜3ミクロンの平均粒径を有する複数のフラグメンテーションドメイン粒子の集合体;および
(B)1以上のフラグメンテーション帯;
ここで、該フラグメンテーションドメイン粒子は少なくとも1つの第一ポリマーを含み、該少なくとも1つの第一ポリマーはスチレン、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、グリシジル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、およびこれらの組み合わせから選択されるモノマーにより製造され;
該フラグメンテーション帯は前記フラグメンテーションドメインの間の間隙域であり、および
前記フラグメンテーション帯は
(i)前記フラグメンテーションドメイン粒子を接続する1以上の接続相;
(ii)任意に、1以上の細孔相;および
(iii)任意に複数のポリマーナノ粒子
を含み;
前記第一ポリマーは、第一ポリマーの重量を基準として、重合単位として20重量%〜100重量%の量で存在する少なくとも1種の多エチレン性不飽和モノマーを含み;
前記接続相は少なくとも1つの第二ポリマーを含み、該少なくとも1つの第二ポリマーはスチレン、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、およびこれらの組み合わせから選択されるモノマーにより製造され、該第二ポリマーは、第二ポリマーの重量を基準として、重合単位として0.05重量%〜100重量%の量で存在する少なくとも1種の多エチレン性不飽和モノマーを含み;さらに
前記ナノ粒子は少なくとも1つの第三ポリマーを含み;該少なくとも1つの第三ポリマーはスチレン、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、グリシジル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、およびこれらの組み合わせから選択されるモノマーにより製造される;および
(C)ポリマー鎖に共有結合した1以上のテザー基、ここで該ポリマー鎖は前記第一ポリマー、前記第二ポリマー、前記第三ポリマーおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される鎖である;
を含み、
ここで、該テザー基はエポキシ基であり、該精密フラグメンテーション集合体粒子は10〜500ミクロンの粒径を有する、精密フラグメンテーション集合体粒子。
【請求項2】
複数のポリマーナノ粒子が必須成分である請求項1に記載の精密フラグメンテーション集合体粒子。
【請求項3】
(A)請求項1に記載の精密フラグメンテーション集合体粒子;および
(B)第4族メタロセン化合物およびTiCl/MgClチーグラーナッタベースの触媒からなる群から選択される、少なくとも1つの触媒;および
(C)N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートである、活性剤成分;
を含む、精密フラグメンテーション集合体オレフィン重合触媒。
【請求項4】
該フラグメンテーション帯がさらに少なくとも1つの細孔相を含む請求項3に記載の触媒。
【請求項5】
該フラグメンテーション帯がさらに少なくとも1つの第三ポリマーを含む複数のポリマーナノ粒子を含み、第一ポリマー、第二ポリマーおよび第三ポリマーのいずれかは、第一ポリマー、第二ポリマーおよび第三ポリマーの他のいずれかと同じであっても異なっていても良い、請求項3または4に記載の触媒。
【請求項6】
さらに、ポリマー鎖に共有結合した1以上のテザー基を含み、ここで該ポリマー鎖は該第一ポリマー、該第二ポリマーおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される鎖である請求項3または4に記載の触媒。
【請求項7】
さらに、ポリマー鎖に共有結合された1以上のテザー基を含み、ここで該ポリマー鎖は該第一ポリマー、該第二ポリマー、該第三ポリマーおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される鎖である請求項5に記載の触媒。
【請求項8】
オレフィン重合プロセスであって、ここで該オレフィン重合プロセスは:
(A)少なくとも1つのオレフィンモノマーと請求項3〜7のいずれか1項に記載の少なくとも1つの精密フラグメンテーション集合体オレフィン重合触媒とを接触させ;
(B)該オレフィンモノマーを重合してポリオレフィンを製造し;
(C)該ポリオレフィンを単離することを含む、
オレフィン重合プロセス。
【請求項9】
(A)水性媒体中で第一モノマーを重合して、前記水性媒体中に分散された複数のフラグメンテーションドメインを形成し、前記フラグメンテーションドメインは第一ポリマーを含み;
(B)第二モノマーを前記フラグメンテーションドメインと前記水性媒体中で混合し;
(C)任意に、ポロゲンを前記フラグメンテーションドメインと前記水性媒体中で混合し;
(D)任意に、複数のポリマーナノ粒子を前記フラグメンテーションドメインと前記水性媒体中で混合し;
(E)前記複数のフラグメンテーションドメインを凝集させて、前記フラグメンテーションドメイン、前記第二モノマー、任意に前記ポロゲン、および任意に前記ポリマーナノ粒子を含む1以上の凝集体粒子を形成し;および
(F)前記第二モノマーを重合して第二ポリマーを形成する:
工程を含む請求項1記載の精密フラグメンテーション集合体粒子の製造方法。
【請求項10】
(A)水性媒体中で第一モノマーを重合して、前記水性媒体中に分散された複数のフラグメンテーションドメインを形成し、前記フラグメンテーションドメインは第一ポリマーを含み;
(B)第二モノマーを前記フラグメンテーションドメインと前記水性媒体中で混合し;
(C)任意に、ポロゲンを前記フラグメンテーションドメインと前記水性媒体中で混合し;
(D)複数のポリマーナノ粒子を前記フラグメンテーションドメインと前記水性媒体中で混合し;
(E)前記複数のフラグメンテーションドメインを凝集させて、前記フラグメンテーションドメイン、前記第二モノマー、任意に前記ポロゲン、および任意に前記ポリマーナノ粒子を含む1以上の凝集体粒子を形成し;および
(F)前記第二モノマーを重合して第二ポリマーを形成する:
工程を含む請求項2に記載の精密フラグメンテーション集合体粒子の製造方法。
【請求項11】
前記精密フラグメンテーション集合体を単離し;および前記精密フラグメンテーション集合体を乾燥させるか、または乾燥可能にする工程をさらに含む、請求項9または10に記載の方法。

【公開番号】特開2010−215920(P2010−215920A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−122644(P2010−122644)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【分割の表示】特願2004−6268(P2004−6268)の分割
【原出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】