説明

精製アラビノガラクタン‐タンパク質(AGP)組成物

植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎より、選択的な方法を介して単離される精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物が記載される。1つ以上の以下の効果:免疫抑制、リンパ増殖阻害、IL-2阻害、IFN-γ阻害、またはIL-10誘導のようなサイトカイン調節、ケラチノサイト増殖阻害、角質溶解活性、及びMouse Ear Swelling Test(MEST)における阻害活性を有する、植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎より単離される精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物も記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物Argemone mexicana(アザミゲシ)の葉及び/または茎より選択的な方法を介して単離される精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物に関する。
【0002】
本発明は、1つ以上の以下の効果:免疫抑制、リンパ増殖阻害、IL-2阻害、IFN-γ阻害、またはIL-10誘導のようなサイトカイン調節、ケラチノサイト増殖阻害、角質溶解活性、及びMouse Ear Swelling Test(MEST)における阻害活性を有する、植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎より単離される精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
乾癬は、過形成、上皮の肥厚、及び赤色鱗屑斑(red scale plaque)の存在を生じさせる、炎症及び異常な上皮ケラチノサイトの高増殖に特徴付けられる皮膚の疾患である。慢性的な皮膚の疾患は、その特有の臨床的症状のために認識され、かゆみを有する鱗状皮膚を生じさせる白色の鱗屑に覆われた限局性赤斑によって特徴付けられる。乾癬は、非常に目立つ疾患であり、顔面、頭皮、体幹、及び肢に頻繁に影響を及ぼす。この慢性的な疾患における病変は、典型的に寛解及び悪化されやすい。
【0004】
乾癬は皮膚の疾患として現れるが、一方でいずれの理論に拘束されずに、弱められたまたは不完全な細胞性免疫の疾患であると解されている。乾癬の臨床的な現れは上皮の変化によって主に生じるため、乾癬は過剰なケラチノサイト増殖及び異常な分化の1つであると伝統的に解されている。現在存在する証拠は、乾癬における上皮の変化が、皮膚病変におけるTリンパ球の作用によって生じること、及びTリンパ球が疾患のプロセスを誘導または維持することを示唆している。乾癬は、Tリンパ球の活性化による多数のサイトカインの産生が二次的な上皮の異常を生じさせる自己免疫疾患として記載される。調節されないリンパ球は、アポトーシス耐性ケラチノサイトの増殖を刺激するサイトカインを生産する。乾癬の皮膚病変は、真皮と上皮の双方に浸潤しているT細胞及び好中球、並びに上皮の過剰増殖及び異常なケラチノサイトの分化に関連する過剰な鱗屑と共に、炎症によって特徴付けられる[Reich K., Garbe C., Blaschke V., Maurer C., Middel P., Westhal G., Lippert U., and Neumann C., J. Invest. Dermatol., 2001, 116, 319]。
【0005】
自己免疫疾患は、自己の組織に対する免疫応答を生じる身体によって引き起こされる疾患である。自己免疫疾患の原因は未知であるが、自己免疫疾患の発生において多数の場合に遺伝素質が存在するようである。
【0006】
少数のタイプの自己免疫疾患(例えば、リウマチ熱)では、バクテリアまたはウイルスが免疫応答を開始させ、抗体またはT細胞が、感染菌の構造の一部に類似している幾つかの部分を有するために正常細胞を攻撃する。
【0007】
自己免疫疾患は2つの一般的なタイプ:多数の器官を損傷するもの(全身性自己免疫疾患)及び単独の器官または組織が自己免疫プロセスによって直接損傷されるもの(限局性)に分類される。幾つかの最も一般的なタイプの自己免疫疾患を以下にまとめる。
【0008】
【表1】

【0009】
炎症のプロセスは、多数の刺激(例えば、感染物質、虚血、抗原-抗体相互作用、及び熱または他の物理的な損傷)によって誘導され得る一連の事象を伴う。各々のタイプの刺激は、主なものに対して比較的小さい変化である特徴的な形態の応答を引き起こす。巨視的なレベルでは、その応答は通常、紅斑、浮腫、圧痛、及び痛みという一般的な臨床的兆候を伴う。
【0010】
乾癬患者において認められる症状は、代謝亢進による細胞の過剰な代謝回転を原因とする上皮細胞の過形成及び異常な角質化、上皮層における炎症性応答の無力症、血管拡張、並びに上皮細胞層への白血球の移動及び浸潤を含む。しかしながら、現在は、上皮の過形成は、病巣の皮膚の領域における免疫システムの活性化に対する反応であり、続いて疾患状態の皮膚に蓄積するCD8+及びCD4+ Tリンパ球によって媒介されると解されている。実際に、現在、乾癬は最も高い有患率を有するT細胞に媒介されるヒトの炎症性疾患であると解されている。かくして、乾癬の症状は、ケラチノサイトの過剰に急速な増殖及び皮膚の表面からの鱗屑の脱落であろう。乾癬の病変では、ケラチノサイトの細胞周期の時間が約1/8に減少されており(正常な皮膚の311時間に対して36時間)、分裂細胞の数は二倍であり、結果として上皮の過形成を生じさせる。薬剤療法は、このプロセスの遅延を対象としている。
【0011】
PUVA療法が、疾患の改善と併せてリンパ球を減少させることが認められた。これらのデータは、病因におけるT細胞の役割と一致している。既知の免疫抑制剤であるシクロスポリンは、疾患の活性に対して劇的な効果を有することが認められている。シクロスポリンはT細胞の活性に対して大きな阻害効果を有するため、乾癬は基本的に炎症性疾患であるという議論が為され始めた。
【0012】
Tリンパ球は真皮に浸潤するに違いなく、次いでケラチノサイトに接着して乾癬斑を生じさせる。そのため、T細胞接着及び輸送を調節する分子は、支持できる治療標的となり、その病態生理学的な役割は非常に重要である。血管内接着は、ケモカイン誘発をブロックすること、またはインテグリンの結合(ICAM-1に対するLFA-1)をブロックすることによって阻害され得る。インテグリンのブロックまたはその表面における発現の低減は、リンパ球輸送にとって重要な事象であり、抗乾癬治療において助けとなる。
【0013】
免疫抑制、リンパ増殖阻害、IL-2阻害、IFN-γ阻害、またはIL-10誘導のようなサイトカイン調節、ケラチノサイト増殖阻害、角質溶解活性、及びMESTにおける阻害活性が、抗乾癬活性に関与することが既知である。
【0014】
乾癬の改善のために使用される各種の、毒性の場合がある治療の数は、この疾患の抵抗性の性質の証拠である。大半(90%)の感染患者は限られた形態の疾患を有するため、ジスラノール、タール剤、コルチコステロイド、及び最近導入されたビタミンD3アナログ(カルシポトリオール、カルシトリオール)を含む局所的な治療が使用され得る。少数(10%)の感染患者は、多数の全身的な治療方法を適用可能であるより深刻な状態を有する。具体的な全身的な治療は、UVB、PUVA、メトトレキサート、ビタミンA誘導体(アシトレチン)、及びシクロスポリンAのような免疫抑制剤を含む。乾癬治療のためのシクロスポリン及びFK-506の効果は、疾患の主な原因としてのT細胞の仮説を支持する。
【0015】
コルチコステロイドの局所的な使用は乾癬の症状を低減する。しかしながら、その様な治療に必要とされるそれらの長期の投与は、タキフィラキシーを生じさせ、用量を増大する必要があるか、またはより強力な薬剤を使用する必要があり、それらが局所的に乾癬の病変に適用される際には、正常な皮膚の周辺の萎縮及び蒼白または色素の損失を引き起こす[British National Formulary (BNF), March 2001, No. 41]。
【0016】
光療法(紫外線照射)の使用、あるいはソラレンの外用投与または体内投与と患部への長波長紫外線の適用とからなる光化学療法の使用は、皮膚の加齢または色素沈着の促進及び発癌誘導の可能性のような欠点を伴う[British National Formulary (BNF), March 2001, No. 41]。
【0017】
コールタールの外用は、ステロイドと比べるとより少ない副作用を伴うが、不快であり、強い悪臭、皮膚の染色などの欠点がある。コールタールの使用は刺激性皮膚炎を引き起こす可能性がある。
【0018】
メトトリキサートは、乾癬状態の治療のために選択される薬剤であるが、肝臓障害を引き起こし、及び/または酸素を運ぶ赤血球、感染と戦う白血球、及び血塊形成を促進する血小板の生産を低減する可能性があるため、厳密にモニターする必要がある。ソラレン及びメトトリキサートの長期の使用は、乾癬患者における扁平上皮癌のリスクを優位に増大する[Stern R. S., and Laird N., Cancer, 1994, 73, 2759]。
【0019】
エトレチナートのようなレチノイドは難治性乾癬患者に経口摂取されるが、それらは催奇性であり、長い期間体内に蓄積する傾向があるため、妊娠している場合は禁忌である[Stern R. S., and Laird N., Cancer, 1994, 73, 2759]。
【0020】
シクロスポリン、タクロリムス、及びアスコマイシンのような大環状免疫抑制剤の使用は、腎機能を弱めるか、または高血圧を誘導する可能性がある。ヒドロキシウレアの可能性がある副作用は、貧血並びに白血球及び血小板の減少を含む。
【0021】
合成ビタミンD3アナログであるカルシポトリオールは、乾癬の広く指示される治療の1つとなっている。しかしながら、カルシポトリオールは、強力な局所的なコルチコステロイドよりも有意に大きな皮膚の痛みを引き起こす。一般的な副作用は、病変または病変周囲の痛み、顔面または頭皮の痛み、あるいは乾癬の悪化を含む[Ashcroft D. M., Wan Po A. L., Williams H.C. and Griffiths C.E.M., BMJ, 2000, 320, 963]。
【0022】
乾癬治療に対する現在のバイオテクノロジーの手法は、この疾患の細胞増殖または免疫成分のいずれかに対する直接的な医薬を介する攻撃に関する。各種の段階において免疫応答をブロックすることが知られている、Clenoliximab、MEDI-507、ICM3、IDEC-114、SMART、抗CD3、ゼナパックス、Amavive、Hul 134、ザネリム、HuMaxCD4、IC747、IDEC-114 IDEC-131、Nuvion、DAB389IL-2、ONTAK、及びEtarnerceptのような免疫を抑制する免疫生物学的な薬剤は、現在、臨床試験の各種の段階である。
【0023】
しかしながら、上述の治療に例外なく安全で効果的であるものは存在しない。乾癬の影響の規模は、うつ病、高血圧、及びうっ血性心不全のような他の病気の影響の規模と同様である。乾癬を治療する費用は、米国において一年に患者一人当たり平均で800 USDであり、乾癬は生産力の有意な損失を引き起こし得る[Feldman S.R., American Academy of Dermatology, August 2000]。
【0024】
更に、その散発的な経過のために、乾癬は治療に対して多様な応答を示し、副作用を有する可能性もある。そのため、乾癬は治癒することが困難な疾患である。乾癬の破壊的な性質は、患者が遅かれ早かれ再発する疾患の一次的な回復を持続するために耐える意思がある副作用の程度によって増強される。
【0025】
更に、臨床的な症状及び不都合とは別として、患者の生活に対する前記疾患の精神的な影響は非常に大きい。乾癬は患者の感情及び身体的な衰弱のいかなる面にも影響する複合疾患であり、世界中で数百万のヒトの生活の質を実質的に低減する。更に、乾癬は通常明確に視覚的に認識でき、患者は顕著な苦悩、当惑、及び不快に苦しむ[Fortune D. G., Richards H. L., Main C. J., and Griffiths C. E. M., J. Am. Acad. Dermatol., 1998, 39,196]。
【0026】
乾癬の安全で、良好に適合する、効果的な治療を提供し、更に現在の治療の欠点及び限界を克服する、植物起源に由来する組成物が本出願人の米国特許出願公開第2003/0194456 A1に開示されている。
【0027】
米国特許出願公開第2003/0194456 A1は、乾癬及び他の疾患の治療及び予防のための、任意に植物Cuminum cyminum (クミン)の果実より得られる抽出物と組み合わせて、植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎より得られる抽出物を含む医薬/組成物の、有用なin vitro及びin vivo免疫学的及び薬理学的活性を開示している。水性、エタノール性、または水性-エタノール性抽出物であって良い、前記抽出物は、有用な免疫学的及び薬理学的な活性を示すのとは別に、正常な許容される限界の範囲内でより良好に適合する乾癬範囲・重度指数(Psoriasis Area and Severity Index (PASI))の値の割合における有意な低減を提供する。慢性的な斑のタイプの乾癬を有する患者に対して実施された概念研究による証明において、上述の抽出物を含む組成物が、経口投与される際に6.33±2.84から0.90±1.27までPASI値の低減を生じさせることが認められ、治療の8週間後には数人の患者において疾患の存在しない状態が認められた。
【0028】
米国特許出願公開第2003/0194456 A1は、更に、植物Argemone mexicanaの葉及び/茎より得られる抽出物の急性毒性(LD50)を、経口及び静脈内投与経路によってマウス及びラットで評価して、前記動物の重量で>1000mg/kgで50%の死亡率であることを報告している。
【0029】
植物Argemone mexicanaは、とりわけ、
i) アルカロイド、例えば、プロトピン、硝酸プロトピン、ベルベリン、硝酸ベルベリン、クリプトピン、アロクリプトピン、コプチシン、サンギナリン、ジヒドロサンギナリン、ノルサンギナリン、6-アセトニルジヒドロサンギナリン、ジヒドロヘレリスリン、ヘレリスリン、ノルヘレリスリン、6-アセトニルジヒドロヘレリスリン、(-)ヘイランチホリン(cheilanthifolin)、(-)-β-スクレリンメトヒドロキシド、(-)-α-スチロピン (-)-α及びβ-スチロピンメトヒドロキシド、(-)-ヘイランチホリン、6-アセトニルジヒドロサンギナリン、(-)-α-テトラヒドロパルマチンメトヒドロキシド、レチクリン、タリホリン(thalifoline)、ムラミン、アルゲモニン、ノルアルゲミニン、アルゲメキシカイン(argemexicaine)A、アルゲメキシカインB、N-デメチルオキシサンギナリン;(+)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-(2-ヒドロキシメチル-3,4-ジメトキシフェニルメチル)-6,7-メチレンジオキシイソキノリン、ヘレリトリン、並びにオキシヒドラスチニン;
ii)フラボノイド、例えば、イソラムネチン、イソラムネチン-3-グルコシド;イソラムネチン-3-O-グルコシド、イソラムネチン-3,7-ジグルコシド;3-メトキシクエルセチン、クエルセチン5,3',4'トリメチルエーテル、ルテオリン、アルゲメキシチン(argemexitin)、及びエリオジクチオール;
iii)脂肪酸、例えば、パルミチン酸、アラキドン酸、オレイン酸、リノール酸、ラウリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ヘキサデセン酸、リシノール酸、11-オキソ-トリアコンタン酸、及び11-トリアコンタン酸;
iv)アミノ酸、例えば、ヒスチジン、リジン、グルタミン酸、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、スレオニン、アルギニン、セリン、アスパラギン、システイン、メチオニン、トリプトファン、ヒドロキシプロリン、プロリン、L-グルタミン、ヒドロキシプロリン、β-アラニン、及びアスパラギン酸;
v)炭水化物、例えば、グルコース、及びフルクトース、並びにグリコシド;
vi)有機酸、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、及びリンゴ酸;並びに
vii)他の成分、例えば、セリルアルコール、β-シトステロール、硝酸カリウム、リン酸カルシウム、及び硫酸カルシウム
を含む各種の化合物からなることが本明細書で言及されるであろう。
【0030】
米国特許出願公開第2003/0194456 A1に開示されている水、エタノール、及びそれらの混合物を使用する抽出方法、例えば浸軟及びパーコレーションを使用して、植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎より得られる抽出物が、上述の全ての化合物を実質的に含有することが認められている。換言すると、前記抽出物は、抽出に使用された植物の部分に存在する全ての化合物からなり、すなわちアルカロイド、フラボノイド、脂肪酸、有機酸、アミノ酸、糖、及び塩の混合物からなる。
【0031】
この様に、米国特許出願公開第2003/0194456 A1に記載の方法のように得られる抽出物は、in vitro及びin vivo免疫学的及び薬理学的活性、例えば、免疫抑制、リンパ増殖阻害、IL-2阻害、IFNγ阻害、及びIL-10誘導のようなサイトカイン調節、ケラチノサイト増殖阻害、角質溶解活性、内皮細胞増殖阻害、ICAM-1のような細胞接着分子の発現阻害、MEST阻害、並びに抗乾癬活性に関与することが既知であるチロシンキナーゼであるp60srcのような酵素阻害を示すことが認められている。
【0032】
更に、米国特許出願公開第2003/0194456 A1は、植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎の上述の抽出物がn-ブタノール及びメタノールのようなアルコール性溶媒を使用して分画でき、その得られた画分も、抗乾癬活性を含むin vitro及びin vivo免疫学的及び薬理学的活性を示すことを教示している。
【0033】
米国特許出願公開第2003/0194456 A1に記載されている、植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎の水性抽出物の分画方法は、多段階の、液体-液体分配クロマトグラフィー、沈殿、及び抽出物の乾燥を介して達成され、主要な成分として実質的に多様な種類の化合物を含有する画分を提供する。
【0034】
例えば、米国特許出願公開第2003/0194456 A1に記載されている方法のような、n-ブタノール可溶性画分は、植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎の水性抽出物へのn-ブタノールの添加、水性相からのn-ブタノール層の分離、続いて水でn-ブタノール層の洗浄、及び減圧条件下における溶媒の蒸発によって粘塊としてn-ブタノール可溶性画分を得て、調製された。水性相がメタノールと混合されて、粘塊が沈殿される。固体塊が分離されて、水に溶解され凍結乾燥されて、メタノール不溶性画分が得られた。蒸発でメタノール-水混合物よりメタノール不溶性沈殿物の分離後に得られた濾過物は、固体塊としてメタノール可溶性画分を与えた。
【0035】
典型的に、植物Argemene mexicanaは、約3から4.5%のnブタノール可溶性画分;290から340の間のアルカリ価を有する46から54%のメタノール可溶性画分;並びに350から380の間のアルカリ価を有する24から30%のメタノール不溶性画分を生じた。本明細書で使用されるアルカリ価は、1gのサンプルに存在する全アルカリ性成分を中和するために必要な酸の量である。
【0036】
上述のように、前記3つの画分は、含有する化合物の組成が実質的に異なる。n-ブタノール可溶性画分は、アルカロイド、フラボノイド、及び他の低分子量化合物を含有することが認められており;メタノール可溶性画分は、アミノ酸、有機酸、及び塩を含有することが認められており;メタノール不溶性画分は、糖、有機酸、及び塩を含有することが認められた。
【0037】
しかしながら、植物Argemone mexicanaの各種の部分に対する幾年にも亘る広範な化学的な研究は、アルカロイド、フラボノイド、アミノ酸、有機酸、脂肪酸などの単離をもたらしたが、前記植物に存在する他の成分の単離及び同定に関しては、系統的な研究は全く実施及び報告されていない。
【0038】
植物界において一般的に見られる1つのその様な成分は、事実上、炭水化物がタンパク質と会合または結合しているポリサッカリドの高分子であるアラビノガラクタン-タンパク質(AGP)である。AGPは、主にアラビノース及びガラクトース基からなる。これらは、各種の量のタンパク質と結合しているポリサッカリドとして植物中で生じており、一般的に高い割合の炭水化物と比較的低い割合のタンパク質を含有し、一般的に10未満のタンパク質であるが、より多量のタンパク質を有するAGPも既知である。AGPは、Echinacea purpurea、Nicotiana alata、Vitis vinifera、Diospyros kaki、Gladiolus gandavensis、Lolium multiflorum[Anderson, R.L., Clarke, A.E., Jermyn, M.A., Knox, R.B. and Stone, B.A., Australian J. Plant Physiol., 1977, 4, 143-158]、Phaseolus vulgaris [Hawes, G. B., Adams, G.A., Phytochemistry, 1972, 11, 1461-1465]、及びAcacia arabica [Classen, B., Witthohn, K., and Blaschek, W., Carbohydrate Research, , 2000, 327, 497-504]のような大多数の高等植物に広く分布している。
【0039】
AGPは、接着特性及び水を保有する特性を有し、植物において創傷及び感染に応答する。これらは細胞の同一性及び特異的な相互作用を決定する。それらは、細胞及び組織の分化に、並びに体細胞胚形成の調節においても役割を担っている。それらは、各種の生物学的活性に関しても評価を受けている[WO 01/00682 A1, 2001]。2つのタイプのAGP(AGP I及びAGP II)が存在する。後者、つまりAGP IIは、ガラクトースの核を有して、非常に枝分かれしており、通常10%未満のタンパク質を含有し、アラビノフラノシル基及び場合によってラムノース、グルコース、マンノースなどのような他の糖によって高度に置換された側鎖を有する。ウロン酸の存在及び置換誘導体も報告されている。
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0194456 A1
【特許文献2】WO 01/00682 A1, 2001
【非特許文献1】Reich K., Garbe C., Blaschke V., Maurer C., Middel P., Westhal G., Lippert U., and Neumann C., J. Invest. Dermatol., 2001, 116, 319
【非特許文献2】British National Formulary (BNF), March 2001, No. 41
【非特許文献3】Stern R. S., and Laird N., Cancer, 1994, 73, 2759
【非特許文献4】Ashcroft D. M., Wan Po A. L., Williams H.C. and Griffiths C.E.M., BMJ, 2000, 320, 963
【非特許文献5】Feldman S.R., American Academy of Dermatology, August 2000
【非特許文献6】Fortune D. G., Richards H. L., Main C. J., and Griffiths C. E. M., J. Am. Acad. Dermatol., 1998, 39,196
【非特許文献7】Anderson, R.L., Clarke, A.E., Jermyn, M.A., Knox, R.B. and Stone, B.A., Australian J. Plant Physiol., 1977, 4, 143-158
【非特許文献8】Hawes, G. B., Adams, G.A., Phytochemistry, 1972, 11, 1461-1465
【非特許文献9】Classen, B., Witthohn, K., and Blaschek, W., Carbohydrate Research, , 2000, 327, 497-504
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
しかしながら、上述のように、Argemone mexicanaの全ての部分に対する化学的な研究が実施されているが、前記植物のある部分に存在するAGPの単離、特性決定、及び生物学的特性の理解を対象とする研究は存在していない。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明は、米国特許出願公開第2003/0194456 A1に開示されているような植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎の抽出物及び画分と比較して、非常に優れた抗乾癬活性及び他の有用な免疫学的及び薬理学的活性を示す、精製されている形態において植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎より得られる抽出物からAGPを単離するための選択的な方法を提供する。特に、本発明の選択的な方法によって得られる精製AGPにより示される非常に優れた抗乾癬活性は、その精製AGPを含む製薬組成物の製造において非常に有用であることが認められ、それにより安全で効果的な非常に適合する治療を提供し、本発明の基礎を形成する。
【0042】
そのため、本発明の1つの態様は、植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎から、高度に精製されている形態において精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物を単離するための選択的な方法を提供することである。他の態様では、本発明は、植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎から単離される、10 KDから150 KDの間の範囲の平均分子量を有する精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物を提供する。
【0043】
本発明の他の態様は、非常に安全、効果的、及び良好に適合するだけでなく、更に現在の治療法の欠点及び限界を克服する、植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎より得られる抗乾癬組成物及び乾癬の治療を提供することである。
【0044】
本発明の他の態様は、免疫抑制、リンパ増殖阻害、IL-2阻害、IFN-γ阻害、またはIL-10誘導のようなサイトカイン調節、ケラチノサイト増殖阻害、角質溶解活性、及びMEST阻害の1つ以上のような有用な免疫学的及び薬理学的特性を示す、植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎より選択的な方法で単離される精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物を提供することである。
【0045】
本発明の更なる他の態様は、皮膚炎;強皮症;湿疹;炎症性疾患、及び乾癬性関節炎、慢性関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症、過敏性腸疾患、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス、及びシェーグレン症候群のような他の自己免疫疾患;並びに/または喘息及び慢性閉塞性肺疾患のようなアレルギーのような疾患の1つ以上の治療または予防のための、植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎より選択的な方法で単離される精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物を提供することである。
【0046】
本発明の更なる他の態様は、植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎より選択的な方法で単離される精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物を含む、上述の病気及び疾患の治療及び/または予防のために使用されて良い製薬組成物を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
規定されていない限り、全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に解されるものと同一の意味を有する。
【0048】
本明細書で使用される用語「精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物」は、本発明によって植物Argemone mexicanaの茎及び/または葉の抽出物より得られる微量の他の成分を含んでも良い、本質的にアラビノガラクタン-タンパク質のみからなる組成物を意味する。精製AGP組成物はいずれの製薬学的に許容される添加剤も含まないため、精製AGP組成物は、AGP組成物を含む製薬組成物とは区別される。
【0049】
本出願人の米国特許出願公開第2003/0194456 A1では、植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎より抽出物を得て、n-ブタノール可溶性画分、メタノール可溶性画分、及びメタノール不溶性画分の各々を得るためのn-ブタノール及びメタノールを使用する前記抽出物の分画のための方法を開示した。
【0050】
米国特許出願公開第2003/0194456 A1に開示されている、植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎の各種の画分の調製方法は、
i)アルカロイド、フラボノイド、アミノ酸、有機酸、糖、及び塩から構成される抽出物を得るための多数の抽出方法を介するが、好ましくは、室温で水、エタノール、またはそれらの混合物のような溶媒を使用する多段階の連続的な侵軟及びパーコレーションを介する植物Argemone mexicanaの茎及び/または葉の抽出物の調製。これらの抽出物はそのまま使用される可能性があり、または凍結乾燥塊を得るために凍結乾燥される可能性があり、それらの双方が分画に使用された;
ii)工程i)で得られるような抽出物または凍結乾燥塊の水溶液をn-ブタノールで分配し、水性相からn-ブタノール層を分離、続いて水を使用するn-ブタノール層の洗浄、減圧条件下における溶媒の蒸発によって、アルカロイド、フラボノイド、及び他の低分子量化合物から主に構成されるn-ブタノール可溶性画分の粘塊を得る;
iii)工程ii)の水性相を約6から7倍の容量のメタノールと混合及び攪拌、並びに沈殿した固体の濾過/遠心分離、並びに乾燥によって、ポリサッカリド、有機酸、及び塩から主に構成されるメタノール不溶性画分を得る。この物質を水に溶解し、凍結乾燥して凍結乾燥粉末を得る;並びに
iv)減圧条件下において工程iii)の濾過物、つまり水性メタノール性溶液を濃縮して、アミノ酸、有機酸、及び無機塩から主に構成されるメタノール可溶性画分の固体塊を得る。
の工程を含む。
【0051】
米国特許出願公開第2003/0194456 A1に開示されている方法によって調製されるメタノール不溶性画分は、約33%の収率で単離された。明細書中に、前記画分は糖、有機酸、及び塩から構成されると言及されているが、そこではこれらの構成成分は特徴付けられていない。
【0052】
米国特許出願公開第2003/0194456 A1に開示されている方法で得られるメタノール不溶性画分は、約3重量%のAGP(水性抽出物に関して)から構成され、残部の成分は有機酸、アミノ酸、及び無機塩から構成され、すなわち、米国特許出願公開第2003/0194456 A1に開示されている方法によって得られるメタノール不溶性画分は、他の成分との混合物中のAGPから構成されることを本発明は明らかにしている。前記メタノール不溶性画分はAGPを含有するが、低濃度であり非常に不純物を含んだ形態である。
【0053】
本発明者は、非常に選択的な方法を介して、Argemone mexicanaの茎及び/または葉に関しては約0.06%の収率、またはそれから調製される凍結乾燥水性抽出物に関しては約1%の収率で、精製された形態においてAGPを単離することが可能であること、並びに単離されたAGPが、米国特許出願公開第2003/0194456 A1に開示されている方法で得られるものよりも非常に優れた抗乾癬活性を示すことを発見した。
【0054】
植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎から精製された形態でAGPを単離するための選択的な方法は、
a) 1重量部の植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎を、1から10重量部の水、C1-C3アルコール、またはそれらの混合物で抽出し、部分的または完全に濃縮または凍結乾燥されて良いが、その必要はない水性抽出物を得る;
b)部分的に濃縮された抽出物または濃縮された抽出物の水溶液をイオン交換クロマトグラフィーにかけることによって、工程a)で得られた水性抽出物、部分的に濃縮された抽出物、完全に濃縮された抽出物または凍結乾燥された抽出物の水溶液から塩基性及び酸性成分を除去して、中性水性抽出物を得る;
c)工程b)で得られた中性水性抽出物をn-ブタノールで分画して、n-ブタノール可溶性画分を得る;
d)工程c)の水性洗浄液をメタノールまたはエタノールと混合及び攪拌、並びに沈殿する固体の単離によってメタノールまたはエタノール不溶性画分を得る;並びに
e)工程d)において得られたメタノールまたはエタノール不溶性画分をゲルクロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーに連続的にかけて、精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)を得る。
の工程を含む。
【0055】
精製AGPの単離のための選択的な方法を図1に記載する。
【0056】
抽出のために、植物Argemone mexicanaの葉、茎、またはそれらの双方が使用されて良い。好ましくは、新葉、茎、またはそれらの双方が使用され、抽出の前に、これらをすり潰して粗いまたは細かいペーストにする。
【0057】
本発明の実施態様では、1重量部のArgemone mexicanaのすり潰された新葉及び/または茎を1から10重量部の水、C1-3アルコール、またはそれらの混合物で2から4回抽出し、組み合わせた抽出物を20ECから45ECの間の温度で2から20時間パーコレートする。
【0058】
他の実施態様では、1重量部のArgemone mexicanaのすり潰した新葉及び/または茎を、1から3重両部の水、C1-3アルコール、またはそれらの混合物で2から4回抽出して、組み合わせた抽出物を20ECから45ECの間の温度で2から16時間パーコレートする。
【0059】
他の実施態様では、1重量部のArgemone mexicanaのすり潰した新葉及び/または茎を、1から1.5重両部の水、C1-3アルコール、またはそれらの混合物で2から4回抽出して、組み合わせた抽出物を室温で16時間パーコレートする。
【0060】
前記C1-C3アルコールは、メタノール、エタノール、1-プロパノール、及び2-プロパノール、好ましくはエタノールより選択される。
【0061】
パーコレーション後、前記抽出物を濾過または遠心分離して、濾過物を抽出物の本来の容量のある容量まで部分的に濃縮して良く、または乾燥するまで濃縮して良く、あるいは凍結乾燥して良い。
【0062】
前記抽出物が部分的に濃縮される際は、抽出物の本来の容量の1/5から1/10の間の容量まで濃縮される。本来の抽出物が乾燥するまで濃縮または凍結乾燥される際には、乾燥抽出物または凍結乾燥粉末は、イオン交換クロマトグラフィーの前に1重量部の乾燥/凍結乾燥塊に対して12から50倍の重量の水に再溶解して良い。
【0063】
好ましい実施態様では、凍結乾燥水性抽出物を、イオン交換クロマトグラフィーの前に12倍の水に溶解した。
【0064】
部分的に濃縮された抽出物、あるいは濃縮または凍結乾燥して得られた本来の抽出物の完全な濃縮物の水溶液のいずれかをカチオン交換樹脂のイオン交換クロマトグラフィー、続いてアニオン交換樹脂のクロマトグラフィーに連続的にかけるか、または他の実施態様ではアニオン交換樹脂のイオン交換クロマトグラフィーに続いて、カチオン交換樹脂のクロマトグラフィーにかけて、中性の水性抽出物を得る。
【0065】
カチオン及びアニオン交換樹脂は、使用する抽出物の容量に対して1から50重量部の割合で使用される。
【0066】
使用されて良い適切なカチオン交換樹脂は、スルホン化ポリスチレン強酸カチオン交換体及びカルボン酸タイプ弱酸カチオン交換体を含む。適切なカチオン交換樹脂は、AG 50W(Bio-Rad, USA)、Amberlite IR-20(Rohm and Haas, USA)、Dowex 50W (Dow Chemical Co., USA)、Duolite 225 (Dia-Prosim Ltd)、Permutit RS (Permutit AG, Germany)、及びPermutite C50D (Philips and Pain-Vermorel, France)のような市販の一般的に使用されるスルホン化ポリスチレン強酸カチオン交換体;並びにAmberlite IRC-50 (Rohm and Haas, USA)、Bio-Rex 70 (Bio-Rad, USA)、Chelax 100 (Bio-Rad, USA)、Duolite 436 (Dia-Prosim Ltd)、Permutit C (Permutit AG, Germany)、及びPermutit H 及び H-70 (Permutit Co., USA)のようなカルボン酸タイプ弱酸カチオン交換体を含むが、それらに限らない。
【0067】
使用されて良い適切なアニオン交換樹脂は、脂肪族アミンタイプ弱塩基アニオン交換体及び強塩基アニオン交換体を含む。アニオン交換樹脂は、Amberlites IR-45 及び IRA-67 (Rohm and Haas, USA)、Dowex 3 (Dow Chemical Co., USA), Permutit E (Permutit AG, Germany)、Permutit A 240A (Philips and Pain-Vermorel, France)のような市販の一般的に使用される脂肪族アミンタイプ弱塩基アニオン交換体、並びにAG 2x8 (Bio-Rad, USA)、Amberlite IRA-400 (Rohm and Haas, USA)、Dowex 2x8 (Dow Chemical Co., USA)、Duolite 113 (Dia-Prosim Ltd)、Permutit ESB (Permutit AG, Germany)、及びPermutite 330D (Philips and pain-Vermorel, France)のような強塩基アニオン交換体を含むが、それらに限らない。
【0068】
この様にして得られた中性水性抽出物を凍結乾燥して良く、凍結乾燥塊を次の分画工程のためにn-ブタノールと水との間で分配して良い。代替的に、前記中性水性抽出物自体をn-ブタノールを使用する分画に使用しても良い。費用対効果のために、n-ブタノールを使用する分画のために、カチオン及びアニオン交換樹脂を通した後に得られた中性画分の溶液自体を使用することが好ましい。
【0069】
典型的に、上述の中性抽出物の凍結乾燥塊を、1部の凍結乾燥塊あたり水とn-ブタノールの混合物において分配する。溶液を静置して、n-ブタノール層を水性相から分離する。この工程を2から4回繰り返して、組み合わせた水性層をメタノールまたはエタノールを使用する更なる分画に使用する。
【0070】
本発明の例としては、カチオン(Amverlite IR 120)及びアニオン(Amberlite IRA 400)交換樹脂を通した後に得られる中性水性画分の1容量部を、約10容量部のn-ブタノールに添加する。相を混合して、静置し、水相からn-ブタノール層を分離する。前記工程を2から4回繰り返して、組み合わせた水性層をメタノールまたはエタノールを使用する更なる分画に使用する。
【0071】
上述の工程で得られた組み合わせた水性相をメタノールまたはエタノールと混合し、攪拌してメタノール/エタノール不溶性画分を沈殿させた。典型的に、水性抽出液の1容量当たり1から20倍の容量の割合でメタノールまたはエタノールを使用する。
【0072】
AGPを含有する沈殿した固体を従来の手法、例えば、デカンテーション、濾過、遠心分離などで単離し、次いで乾燥して茶色がかった非晶質の粉末を生じさせた。
【0073】
AGP-HM及びAGP-LMを含有する、この様にして得られた固体のAGPを更に連続してゲルクロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーにかけて、精製AGP-HM及びAGP-LMを得る。
【0074】
ゲルクロマトグラフィーは、従来の技術及びポリマー吸着体、例えば、XAD-2、XAD-4、またはXAD-7、好ましくはXAD-7のようなアンバーライト(登録商標)吸着体を使用して実施される。不純物を含む固体AGPを必須のカラムの上部の細いバンドで適用して、移動相である水によって洗浄する。AGPを含有する画分を回収する。
【0075】
不純物を含むAGPを含有する溶出液を、従来の技術を使用して、サイズ排除クロマトグラフィーに更にかける。セファクリル(1:25 - 1:50)を使用して、本発明の精製AGP、AGP(HM)、及びAGP(LM)を得て良い。市販のセファクリル S-100、S-200 HR、及びS-300 HRを使用して良く、好ましいものはS-200 HRである。セファクリルは、ゲルクロマトグラフィー後に得られたAGPの溶液の25から250容量部に対して、1から2重量部の比率で使用されて良い。
【0076】
1つの実施態様では、粗AGP(100mg)を水に溶解して、セファクリルS-200(25ml)にロードする。カラムを0.5ml/分の速度で溶出して、50の画分を回収した。全画分をHPLC-ELSDでモニターした。HPLCに基づく画分10から20を組み合わせてAGP-HMを回収し、画分25から35を混合してAGP-LMも回収し、AGP組成物の成分は10 KDから150 KDの間の範囲の平均分子量を有していた。
【0077】
サイズ排除クロマトグラフィーに続いて、本発明の精製AGPを従来の技術、例えば、蒸発、凍結乾燥、噴霧乾燥、冷凍乾燥などを使用して水溶液から単離して良い。
【0078】
この様にして得られる精製AGPは、10 KDから150 KDの間の範囲の平均分子量を示すことが認められた。前記精製AGPは、以下の効果:免疫抑制、リンパ増殖阻害、IL-2阻害、IFN-γ阻害、IL-10誘導のようなサイトカイン調節、ケラチノサイト増殖阻害、角質溶解活性、及びMEST阻害の1つ以上を示すことが認められた。これらは、炎症性疾患、自己免疫疾患、及びアレルギーにも関与することが既知である。これらは、抗乾癬活性、皮膚炎、強皮症、湿疹、及び鱗屑性の痒みを伴う斑にも関与することが既知である。炎症性疾患及び自己免疫疾患は、乾癬性関節炎、慢性関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症、過敏性腸疾患、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群を含む。乾癬のタイプは、乾癬斑、滴状乾癬、膿疱性乾癬、及び爪乾癬を含む。アレルギーは、喘息及び慢性閉塞性肺疾患を含む。IL-10誘導は、皮膚のリンパ球抗原または皮膚の白血球抗原が関与する、他の慢性、再発性、及び他の皮膚の病気においても有用である。
【0079】
前記精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物は、IL-10誘導を介して、優れたin vitro及びin vivo抗乾癬活性を示す。
【0080】
例えばセファクリルのサイズ排除クロマトグラフィー後に得られる、(水溶性である)本発明の精製AGPは、異なる分子量の複数の画分に構成されている。その様な画分は、10から15 KDの間の低分子量から、115から150 KDの間の高分子量までの平均分子量を有する。高分子量を有するAGPはAGP-HMと称され、低分子量のものはAGP-LMと称される。かくして、典型的なAGP組成物は、各種の割合でAGP-HMとAGP-LMとから構成される。上述のAGPは、炭水化物/モノサッカリドが共有結合の形成のために絶えずタンパク質を探索して、最終的に低分子量(AGP-LM)及び高分子量(AGP-HM)AGPを生じさせる、生物発生経路で形成されることが理解されるべきである。その様な共有結合形成は絶えず成長しており、1つの特定の方法では、最終的に10 KD未満の平均分子量のAGP-LMか、または150 KDより大きい平均分子量のAGP-HMであるかは、使用される植物の部分の少数の性質、つまり、抽出に植物Argemone mexicanaの新葉または茎のいずれが使用されるか、葉の回収条件、つまり、雨季に回収されるかどうかなどといった複数の因子に依存する。そのため、10 KDから150 KDの範囲外の平均分子量を有する精製AGP組成物が、上述の因子に依存して、本発明の方法を使用して得られ得る可能性がある。従って、10KDから150KDの範囲外の平均分子量を有するAGP組成物も、本発明の範囲内であろう。その様なAGP組成物の例は、9 KDの平均分子量の下限を有するもの、または155 KDまでの平均分子量の上限を有するAGP組成物である。
【0081】
本発明の方法で得られるAGPの容積は、炭水化物とより少ない割合のタンパク質とで構成される。AGPの炭水化物成分は、本明細書の表I及びIIより明らかであるように、アスパラギン、グルタミン、ヒドロキシプロリン、セリン、グリシン、ヒスチジン、アルギニン、スレオニン、アラニン、プロリン、チロシン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リジン、フェニルアラニンなどとして同定されている各種のアミノ酸からなるタンパク質成分に結合しているアラビノース、ラムノース、メチル化ウロン酸、マンノース、ガラクトース、グルコース、及び他の未同定の糖である。
【0082】
AGP-HM及びAGP-LMの双方のグリコシル成分が類似している、すなわちそれらに存在するモノサッカリド及びタンパク質の比率が類似性を示すだけでなく、グリコシル結合も双方の場合において類似していると解される。
【0083】
更に、2つの分子量成分の双方の生物学的活性は類似しており、大きな変化を示さない。換言すると、10 KDの分子量を有する精製AGP-LMは、免疫抑制;リンパ増殖阻害;IL-2阻害、IFN-γ阻害、及びIL-10誘導のようなサイトカイン調節;ケラチノサイト増殖阻害、角質溶解活性、MEST阻害、及び最も重要には抗乾癬活性の1つ以上を示し、150 KDの分子量を有する精製AGP-HMによって示されるものと類似している。
【0084】
本発明のAGP組成物は、アルカロイド、フラボノイド、有機酸、アミノ酸、糖、ポリサッカリド、タンパク質、プロテオグリカン(AGPを除く)、及び糖の混合物である植物抽出物に存在する他の成分を実質的に含まないAGP(AGP-HMとAGP-LMの双方)からなる。本明細書で使用される用語「実質的に含まない」は、約0.0001重量%から約10重量%の植物抽出物の他の成分を含有するAGP組成物を含むことを意図する。
【0085】
n-ブタノール画分は、アルカロイド(例えば、プロトピン、硝酸プロトピン、ベルベリン、硝酸ベルベリン、クリプトピン、アロクリプトピン、コプチシン、サンギナリン、ジヒドロサンギナリン、ノルサンギナリン、6-アセトニルジヒドロサンギナリン、ジヒドロヘレリスリン、ヘレリスリン、ノルヘレリスリン、6-アセトニルジヒドロヘレリスリン、(-)ヘイランチホリン(cheilanthifolin)、(-)-β-スクレリンメトヒドロキシド、(-)-α-スチロピンメトヒドロキシド、6-アセトニルジヒドロサンギナリン、(-)-α-テトラヒドロパルマチンメトヒドロキシド、レチクリン、タリホリン(thalifoline)、ムラミン、アルゲモニン、ノルアルゲミニン、ヘレリトリン、並びにオキシヒドラスチニン)、フラボノイド(例えば、イソラムネチン、イソラムネチン-3-グルコシド、及びイソラムネチン-3,7-ジグルコシド)及び他の低分子量化合物の混合物を含有する。
【0086】
メタノール可溶性画分は、アミノ酸(例えば、ヒスチジン、リジン、グルタミン酸、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、スレオニン、アルギニン、セリン、アスパラギン、システイン、メチオニン、トリプトファン、ヒドロキシプロリン、プロリン、及びアルパラギン酸)、糖、並びに幾つかの塩を含有する。
【0087】
メタノール不溶性画分は、幾つかの有機酸(例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、及びリンゴ酸)、モノサッカリド、ポリサッカリド、プロテオグリカン(AGPを含む)、及び塩を含有する。
【0088】
本発明の1つの実施態様では、AGP組成物は、1重量%未満の植物抽出物の他の成分を含有する。
【0089】
本発明の方法で単離された精製AGP組成物は、ConA活性化ヒトPBMCにおいてIL-10の優れたインデューサーであることが認められている。前記精製AGP組成物は200μg/mlの濃度において約371%の誘導を生じさせ、同じ200μg/mlの濃度において米国特許出願公開第2003/0194456 A1に開示されている方法で得られるメタノール不溶性画分によって示された約171%の値よりも非常に優れている。
【0090】
より具体的には、単離されたAGP組成物は、0.2から2.0μg/mlという非常に低い濃度であっても、米国特許出願公開第2003/0194456 A1に開示されている方法で得られるメタノール不溶性画分によって示されるもの以上にIL-10誘導を示すという点において優れている。
【0091】
ConA誘導ヒトPBMCによるIL-10誘導に対する本発明のAGPの濃縮物の効果と、米国特許出願第2003/0194456 A1に記載されている方法によって調製されるメタノール不溶性画分の効果との比較を表IAに記載する。
【0092】
【表2】

【0093】
上述の本発明の方法で得られるAGPによって示される非常に強力な活性は、米国特許出願第2003/0194456 A1に開示される方法によって得られる抽出物/画分を使用して投与されるために必要な容量の1/100から1/1000の実質的に低減された濃度で投与して、費用効率が良く、効率的で、良好に適合する乾癬及び他の疾患の治療の提供を可能にする。
【0094】
本発明は、上述の本発明の選択的な方法で植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎より単離される、10 KDから150 KDの間の範囲の平均分子量を有する、有効量の精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物を、製薬学的に許容される添加剤との混合物中に含む製薬組成物を提供する。本発明の組成物は、安全で、効果的であり、及び良好に適合する。
【0095】
本発明の使用に適する製薬組成物は、活性成分が所望の目的を達成するために効果的な量で含有されている組成物を含む。用語「有効量」は、所望の組織、細胞、システム、動物、ヒト以外の哺乳動物、またはヒトを含む哺乳動物の生物学的または医学的な応答を誘導するAGP組成物の量を意味する。これは、本明細書に記載の病気及び/または疾患の進行の遅延、妨害、抑制、または停止が存在する可能性があるが、全ての病気及び疾患の症状の完全な除去を必ずしも意図せず、病気及び/または疾患の予防のための処理を含む場合を意味することを意図する。
【0096】
本発明のAGP組成物は、担体、希釈剤、及びフィラーなどの1つ以上の製薬学的に許容される添加剤との混合物中において、適切な投与形態に製剤化されて良い。適切な投与形態は、経口投与または局所的な投与に適切な形態である。その様な投与形態の制限されない例は、液体、乾燥粉末若しくは粉末化濃縮物、カプセル、錠剤、ペレット、顆粒、ゲル、軟膏、クリーム、エマルション、サスペンション、ディスパーション、ローション、及びピルなどである。
【0097】
一般的には、経口投与のための典型的な製薬組成物は、50から5000 mgの間の範囲の量、より好ましくは200 mgの量で活性成分としてAGP組成物を含む。
【0098】
一般的には、局所的な投与のための典型的な製薬組成物は、0.1から10重量%の間の範囲の量、より好ましくは2重量%の量で活性成分としてAGP組成物を含む。
【0099】
AGP組成物またはAGP組成物を含有する組成物の予防的または治療的用量は、1日あたり50mgから5000mg、好ましくは1日あたり200mgである。前記用量は、単回または分割した用量として投与されて良い。
【0100】
しかしながら、的確な製剤、投与経路、及び用量は、患者の状態、及び患者が病気または疾患に現在罹っているかどうか、または処理が予防のためであるかどうかを鑑みて、患者または医療従事者によって選択されて良い。予防的な用量は、病気または疾患を発生するリスクを有する患者に投与されて良い。リスクファクターは、遺伝的及び環境的なリスクファクターを含むが、それらに限らない。望まれない副作用を引き起こすこと無く、所望の結果を生じさせる用量で製薬組成物を投与することが好ましい。本明細書で使用される用語「患者」は、動物、ヒト以外の哺乳動物、またはヒトを含む哺乳動物を意味する。
【0101】
製薬学的に許容される担体との混合物中において本発明のAGP組成物を含む、経口投与及び局所的な投与のための適切な投与形態が調製されて良い。
【0102】
経口投与に適切な形態は、錠剤、カプセル、粉末化濃縮物、シロップ、エリクシル、またはサスペンションを含む。局所的な適用の適切な形態は、軟膏、クリーム、ローション、または経皮剤送達システムを含む。
【0103】
適切な製薬学的に許容される添加剤は、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、及びキシリトールのような糖;コーンデンプン、タピオカデンプン、及びジャガイモデンプンのようなデンプン;ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及びメチルセルロースのようなセルロース及びその誘導体;リン酸二カルシウム及びリン酸三カルシウムのようなリン酸カルシウム;硫酸ナトリウム;硫酸カルシウム;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;ステアリン酸;ピーナッツオイル、綿実油、ゴマ油、オリーブオイル、及びコーン油のような植物油;非イオン性、カチオン性、及びアニオン性の界面活性剤;エチレングリコールポリマー;β-シクロデキストリン;脂肪アルコール;加水分解された穀物の固形物;並びに他の非毒性の適合するフィラー、バインダー、崩壊剤、バッファー、保存剤、抗酸化剤、潤滑剤、香味剤などを含む。
【0104】
本発明の組成物は、当該技術分野において既知の従来の技術によって製造される。
【0105】
本発明の組成物は、ヒト及び/または動物に使用するために適切であり製薬学的に許容される。
【0106】
本発明のAGP組成物及び製薬組成物は、本明細書に記載の病気及び疾患の治療及び/または予防において有用である。
【0107】
本発明のAGP組成物または本発明のAGP組成物を含む製薬組成物は、乾癬斑、滴状乾癬、膿包性乾癬、及び爪乾癬を含む乾癬のような乾癬性の皮膚の病気の治療及び/または予防において使用されて良く、その様な治療を必要とする哺乳動物または乾癬性の皮膚の病気のリスクを有する哺乳動物に対する、有効量のAGP組成物または治療的に有効量のアラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物を含む製薬組成物の投与を含む。
【0108】
AGP組成物またはAGP組成物を含む製薬組成物は、炎症性疾患;乾癬性関節炎、慢性関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症、過敏性腸疾患、強直性脊椎炎、全身性エリトマトーデス、及びシェーグレン症候群のような自己免疫疾患;喘息及び慢性閉塞性肺疾患のようなアレルギーの治療または予防に使用されて良い。前記治療または予防は、その様な治療を必要とする哺乳動物またはこれらの疾患または病気の1つの発生を生じるまたは体験するリスクを有する哺乳動物に対する、有効量のAGP組成物または治療的に有効量の精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物を含む製薬組成物の投与を含む。免疫抑制を生じさせる本発明の組成物は、器官移植を受ける予定があるまたは受けている患者のためにも有用である。
【0109】
AGP組成物の構造解明及び特性決定
AGP組成物の炭水化物含有量の決定
本発明のAGP組成物の総炭水化物含有量を、標準的にD-ガラクトースを使用するフェノール-硫酸法によって測定した。AGP組成物、AGP-HM、及びAGP-LMを蒸留水で0.16mg/mlの濃度に別々に溶解した。別々に回収した3つの溶液の各々1mlに、1mlの5%フェノール溶液及び10mlの硫酸を添加した。これらをボルテックスして混合し、室温になるまで冷却した。480nmで吸収を測定した。AGP組成物の炭水化物含有量を、ガラクトース標準と比較して、各々45から98%の間であることが認められた。
【0110】
AGP組成物のタンパク質含有量の測定
本発明のAGP組成物の総タンパク質含有量を、ブラッドフォード法によって測定した。AGP組成物、AGP-HM、及びAGP-LMのタンパク質含有量は2から20%の間であった。標準物質を使用するアミノ酸分析器によって、AGP組成物を構成するアミノ酸は、アスパラギン、グルタミン、ヒドロキシプロリン、セリン、グリシン、ヒスチジン、アルギニン、スレオニン、アラニン、プロリン、チロシン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リジン、及びフェニルアラニンであると同定された。
【0111】
加水分解及びTLCによるAGP組成物のグリコシル及びアミノ酸含有量の同定
サイズ排除クロマトグラフィー後に得られる中性画分を20mg回収し、密封バイアル中で2M トリフルオロ酢酸(TFA、200μl)を使用して加水分解した。バイアルを1時間、100℃に加熱して、濃縮し、凍結乾燥した。混合物の薄層クロマトグラフィー(TLC)を標準の糖及びアミノ酸サンプルと共に実施した。観察された結果は、アラビノース、ガラクトース、グルコース、ラムノース、及びマンノースのようなモノサッカリドの存在を示した。バリン、フェニルアラニン、セリン、GABA、イソロイシン、及びヒスチジンのようなアミノ酸も観察された。
【0112】
AGP組成物のグリコシル含有量の同定
グリコシル組成分析を、酸性メタノリシスによってAGP-HM及びAGP-LMより生じるモノサッカリドメチルグリコシドのペル-O-トリメチルシリル(TMS)誘導体のガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(GC/MS)の組み合わせによって実施した。
【0113】
80℃(18から22時間)、メタノール中の1M HClにおけるメタノリシスによって、AGPの乾燥サンプルよりメチルグリコシドをはじめに調製し、続いてメタノール中でピリジン及び無水酢酸を使用して再N-アセチル化を実施した(アミノ糖の検出のため)。次いで、80℃(0.5時間)でTri-Sil(Pierce)を使用する処理によって、前記サンプルをペル-O-トリメチルシリル化した。これらの操作をYork, W. S., Darvill, A. G., McNeil, M., Stevenson, T. T., and Albersheim, P., Methods Enzymol., 1985, 230, 1-15 and Methods Enzymol., 1985, 118, 3-40に記載のように実施した。
【0114】
TMSメチルグリコシドのGC/MS分析を、All Tech EC-1フューズドシリカキャピラリーカラム(30m×0.25mm ID)を使用して、5970MSDに接続されたHP 5890 GCで実施した。
【0115】
表IにAGP組成物のグリコシル成分を記載する。
【0116】
【表3】

【0117】
AGP組成物のグリコシル結合の測定
NaOH法:グリコシル結合分析のために、AGP組成物のサンプルを過メチル化し、脱重合し、還元し、アセチル化した;結果として得られた部分的にメチル化された酢酸アルジトール(PMAA)を上述のようにガスクロマトグラフィー-マススペクトロメトリー(GC-MS)によって分析した[York, W. S., Darvill, A. G., McNeil, M., Stevenson, T. T., and Albersheim, P., Methods Enzymol., 1985, 230, 1-15 ; York, W. S., Darvill, A. G., McNeil, M., Stevenson, T. T., and Albersheim, P., Methods Enzymol., 1985, 118, 3-40]。
【0118】
最初に、サンプルのアリコートを、乾燥DMSO中で水酸化ナトリウム及びヨウ化メチルを使用する処理を含む、[Ciukanu and Kerek, Carbohydr. Res., 1984, 131, 209-217] の方法によって過メチル化した。ポリマーの完全なメチル化を促進するために過メチル化を二回繰り返した。サンプルの精密な検査に従って、過メチル化された物質を2M トリフルオロ酢酸を使用して加水分解し (121℃、密封チューブ中で2時間)、NaBD4で還元し、無水酢酸/ピリジンを使用してアセチル化した。結果として得られたPMAAを、5970MSD(質量選択検出器、電子衝突イオン化モード)に接続したヒューレットパッカード5890 GCで分析し;30 m Supelco 2330結合相フューズドシリカキャピラリーカラムで分離を実施した。
【0119】
表IIにグリコシル結合を割合で記載した。
【0120】
【表4】

【0121】
AGP組成物の分子量の測定
AGP組成物、AGP-HM、及びAGP-LMを、より良好なベースラインの安定性のための対向流熱交換器と共に、統合された溶媒及びサンプル管理ユニット、及び断熱フローセル及びオプティクスを含む屈折率検出器を取り付けたWaters aqueous GPC instrument, Model Alliance 2690を使用して分析した。前記クロマトグラフィーワークステーションは、データ獲得及び調節ソフトウェア並びにデータ処理のためのMilleniumソフトウェアを含む。GPCカラムは、半硬質ゲルに基づく親水性ポリマーからなるTosoh Corporation (TSK-GEL PW Type)社製のものである。ポリサッカリド(デキストラン)の排除限界は、1,000から7,000,000分子量である。これらのカラムは、合成水溶性ポリマー、オリゴマー、及びポリサッカリド、核酸、タンパク質、ペプチドなどのような生物学的な物質の分析及び調製のための分離のために設計されている。プルランキットは、カラムのキャリブレーションのための各種の分子量のポリサッカリドサンプルからなる。
【0122】
各種の空隙率のカラム、移動相の濃度及び性質、流速、検出器の感度などのような変化する分析条件を使用して、GPC法が開発されている。ポリサッカリドサンプルを使用する最適な分離は、0.2M 硝酸ナトリウム溶液を使用することによって得られ、以下がポリサッカリドに基づく薬剤分子の特性決定ための適切な分析条件であった。
【0123】
AGP組成物の分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した溶出時間と比較することによって決定した。その比較に基づいて、AGP組成物の平均分子量の範囲は10KDから150KDの間であることが認められた。
【0124】
AGP-LM及びAGP-HMの分子量も同様に測定した。前記比較に基づいて、前記成分の平均分子量が、各々13KD及び115KDであることが認められた。
【0125】
AGP組成物のフーリエ変換赤外(FT-IR)スペクトル
KBrペレット中のヌジョールマル(Nujol mull)を使用して、フーリエ変換赤外スペクトロメーター(8201 PC Shimadzu)によって測定される本発明のAGP-HMのIRスペクトルは、ヒドロキシル基の存在を示す3400cm-1の広い吸収バンド及びCH結合の伸縮を示す2850-2960cm-1のバンドを示した。
【0126】
h)AGP組成物の1H核磁気スペクトル
本発明のAGPの1H NMRスペクトルを、Bruker DRX 500 Nuclear Magnetic Resonance Spectrometerにおいて500 MHzで、D2O中において記録した。
【0127】
メチル化分析によって検出された主な結合タイプの全ての示量性のプロトンの帰属を実施した。1H NMRスペクトルでは、β-D-Gal-p基(δ4.22-4.47)及びα-L-Ara-f基(δ5.17-5.33)に相当するH-1シグナルが検出された。H-2からH-6のβ-D-Gal p基、H-2からH-5のα-L-Ara f基、及びH-2からH-5のグルコース、ラムノース、及びマンノースの小さな基に相当する、δ3.53-4.22の非常に多くのシグナルが存在した。これらのシグナルを特定の基に分析及び帰属するために、2D等核及び異核実験を実施した。各種の結合タイプの2Dスペクトルで同定されるスピン系への帰属は、表IIの結合のデータ、及び他のAGPの文献に報告されているNMRデータとの比較の双方によって支持された。
【0128】
アノマープロトン:δ5.33及びδ5.17に観察されるアノマープロトンを、末端及び5-結合α-L-Ara f基の各々に帰属した。δ5.17のシグナルを末端α-L-Rha pにも帰属し、δ5.10を4-結合α-L-Rha pに帰属した。同様に、δ4.61のシグナルを3-結合α-L-Rha pに帰属した。δ4.56のシグナルを6-結合β-D-Galpに帰属した。δ4.61のシグナルを3-結合β-D-Gal pに帰属し、δ4.56及び4.57のシグナルを末端β-D-Gal p及び3-, 6-結合β-D-Gal pに帰属した。
【0129】
H-2プロトン:δ4.31及び4.22のシグナルを、H-2の末端及び5-結合α-L-Ara f基の各々に帰属した。更に、δ3.45のシグナルを末端β-D-Gal pに帰属し、δ3.74のシグナルを3-, 6-及び3,6-結合β-D-Gal p基に帰属した。δ4.03、3.74、及び3.57のシグナルを、H-2プロトンの4-結合、3-結合、及び末端α-L-Rha pの各々に帰属した。
【0130】
H-3プロトン:δ4.03のシグナルを末端及び5-結合α-L-Ara f基に帰属した。更に、δ3.81のシグナルを末端及び6-結合β-D-Gal pに帰属した。同様に、δ4.31のシグナルを3-及び3,6-結合β-D-Gal p部分に帰属した。δ3.93、3.63、及び3.57のシグナルを4-結合、末端、及び3-結合α-L-Rha pの各々に帰属した。
【0131】
H-4プロトン:δ4.22のシグナルを末端及び5-結合α-L-Ara fに帰属した。δ3.63のシグナルを3-及び6-結合β-D-Gal p基に帰属した。更に、δ3.86及び4.03のシグナルを、末端及び3,6-結合β-D-Gal pの各々に帰属した。同様に、δ3.63、3.09、及び2.82のシグナルを、4-結合、3-結合、及び末端α-L-Rha p部分に帰属した。
【0132】
H-5プロトン:δ3.81のシグナルを6-及び3,6-結合β-D-Gal pに帰属した。同様にδ4.03のシグナルを末端及び3-結合β-D-Gal pに帰属した。δ3.91及び3.93のシグナルを、末端及び5-結合α-L-Ara fの各々に帰属した。δ4.22、4.03、及び3.09のシグナルをH-5の末端、4-結合、及び3-結合α-L-Rha pに帰属した。δ4.03、3.45、及び4.03のシグナルは、H-5の3-結合β-D-Gal p及び末端β-D-Gal p基の各々に帰属できるであろう。
【0133】
H-6プロトン:δ3.93のシグナルを6-及び3,6-結合β-D-Gal pに帰属した。δ3.91及び3.81のシグナルを末端及び3-結合β-D-Gal pの各々に帰属した。δ1.03、1.34、及び1.40に観察されたメチルプロトンは、3-結合、4-結合、及び末端α-L-Rha p部分に帰属可能であった。
【0134】
上述の帰属は、HOMOCOSY実験を実施することによって更に確認した。
【0135】
アミノ酸基:アミノ酸であるバリン、ロイシン、及びイソロイシンのメチル基は、δ1.03で観察され、スレオニン及びアラニンに帰属可能なメチルは、δ1.34及び1.40の各々に位置した。
【0136】
アルギニン、アスパラギン、グルタミン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、プロリン、及びバリンのCα、Cβ(C-H, CH2)、Cγ(CH2)、及びCδ(CH2)プロトンは、δ1.3-2.8の間に観察された。
【0137】
アスパラギン、ヒスチジン、フェニルアラニン、及びチロシンのC-β(CH2, CH)、Cγ、Cδプロトンは、δ2.8-3.5の間に観察された。
【0138】
アラニン、アルギニン、グルタミン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、スレオニン、及びバリンのCαプロトンは、δ3.5-3.9の間に観察された。
【0139】
アスパラギン、ヒスチジン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、及びチロシンのCαプロトン、並びにセリン及びスレオニンのCβプロトンは、δ3.90-4.2の間に観察された。
【0140】
δ6.6-7.5の低磁場領域における弱いシグナルは、N-H及びフェニルアラニン及びチロシンの芳香族プロトンに帰属した。
【0141】
i)AGP組成物の13C核磁気スペクトル
アノマー炭素:13CNMRスペクトルにおいて、δ109.10及び107.37のシグナルを、末端及び5-結合α-L-Ara f部分に帰属した。δ103-102の間のシグナルを、末端、3-結合、6-結合、及び3,6-結合β-D-Gal p基に帰属した。δ103-102の間に同様にオーバーラップするシグナルを、4-結合β-D-Glu p、4-結合β-D-xyl p、末端β-D-Glc p、及び3-結合α-L-Rha pのアノマー炭素に帰属した。
【0142】
C-2:δ81.97のシグナルを、5-結合α-L-Ara f部分に帰属した。δ72.94及び72.72に認められるC-2のシグナルを、末端及び6-結合β-D-Gal p基の各々に帰属した。δ72.56のシグナルを、3-及び3,6-結合β-D-Gal p基に帰属した。同様に、末端及び6-結合β-D-Glc pに帰属可能なC-2シグナルは、δ74.81、74.60、及び73.33の各々に観察された。末端、3-結合、及び4-結合に帰属可能なα-L-Rha p基におけるC-2シグナルは、δ80.02、76.55、及び70.68の各々に観察された。δ81.24のシグナルは、2-結合β-D-Man p基に帰属した。
【0143】
C-3:δ76.55のシグナルは、末端及び5-結合α-L-Ara fに帰属した。δ74.81のシグナルは、末端及び6-結合β-D-Gal pに帰属した。更に、δ81.97のシグナルは、3-及び3,6-結合β-D-Gal p基に帰属した。δ76.55及び74.81のシグナルは、末端、4-結合、及び6-結合β-D-Glc p部分に帰属した。同様に、δ80.02、76.55、及び70.6のシグナルを、末端、3-結合、及び4-結合α-L-Rha p部分の各々に帰属した。
【0144】
C-4:δ83.85のシグナルは、末端及び5-結合α-L-Ara f部分に帰属した。δ70.15のシグナルを、末端β-D-Gal p基に帰属した。δ70.68のシグナルを、3-及び6-結合β-D-Gal p基に帰属した。一方で、δ73.33のシグナルを、3,6-結合β-D-Gal p基に帰属した。δ80.02、70.68、及び70.15のシグナルを、6-結合及び末端β-D-Glc p部分の各々のC-4に帰属した。δ81-83のシグナルを、3-結合、4-結合、及び末端α-L-Rha p部分のC-4に帰属した。
【0145】
C-5:5-結合α-L-Ara fのC-5によるシグナルはδ69.17に観察され、一方で、末端α-L-Ara fのシグナルはδ61.25に観察された。3-結合、6-結合、及び末端β-D-Gal p基によるC-5シグナルはδ74-77に観察されたが、末端によるC-5シグナルは、β-D-Glc p部分の場合ではδ75-76に観察された。
【0146】
C-6:6-及び3,6-結合β-D-Gal p基によるC-6シグナルはδ69.17に観察され、一方で3-結合及び末端のシグナルはδ60.93及び61.25の各々に観察された。末端β-D-Glc p基におけるC-6シグナルはδ60-62の間に観察され、δ70.1のシグナルは6-結合に観察された。
【0147】
メチル:δ16.7、19.9、及び22.2に観察されたシグナルは、α-L-Rha pのメチル基に帰属した。
【0148】
上述の帰属は、HETCOR実験を実施することによって更に確認した。
【0149】
アミノ酸:δ16.70のシグナルは、バリンのCγ及びCδメチル、アラニンのCβメチル、及びメチオニンのCδメチルに帰属した。δ19.97のシグナルは、スレオニンのCγメチルに帰属した。δ22.22のシグナルは、アルギニン、ロイシン、イソロイシン、及びリジンのCγ(CH2)及びCγ(C-H)、並びにロイシンのCδ及びCεメチルに帰属した。
【0150】
δ31.01のシグナルは、アルギニン、メチオニン、リジン、及びプロリンのCβ(CH2)、
並びにグルタミンのCγ(CH2)に帰属した。
【0151】
δ38.05のシグナルは、アスパラギン、ロイシン、フェニルアラニン、及びチロシンのCβ(CH2)、グリシンのCα、並びにアルギニン及びリジンのCδ(CH2)に帰属した。δ48.45のシグナルは、アラニン、アスパラギン、及びロイシンのCαプロトン、並びにプロリンのCδに帰属した。
【0152】
δ59.81のシグナルは、アルギニン、システイン、グルタミン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、及びチロシンのCαに帰属した。δ60.9のシグナルは、バリン及びスレオニンのCαプロトンに帰属し、δ61.25のシグナルは、プロリンのCαプロトン及びセリンのCβプロトンに帰属した。
【0153】
δ68.38のシグナルは、スレオニンのCβ(CH)に帰属した。
【0154】
δ108-140の間のシグナルは、ヒスチジンのオレフィンプロトン及びフェニルアラニンの芳香族プロトンに帰属した。
【0155】
δ155.64のシグナルは、アルギニンのCε及びチロシンのC-4に帰属し、一方でδ166.19のカルボニルシグナルはグルタミンに帰属した。
【0156】
低磁場領域では、δ171-175の間に観察されたシグナルを、アミノ酸であるアラニン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、及びチロシンのカルボニル基に帰属した。
【0157】
結論として、AGP-HMの構造は、主鎖としての6-結合ガラクトピラノース及び3,6-結合ガラクトピラノース、並びに末端位におけるアラビノフラノシル、アラビノピラノシル、ラムノピラノシル、グルコピラノシル、及びガラクトピラノシル基からなる。AGPは、更に、3-結合及び4-結合ラムノピラノシル、2-結合マンノピラノシル、2-結合グルコピラノシル、3-結合及び4-結合ガラクトピラノシル、6-結合及び3,6-結合グルコピラノシル、並びに4-結合キシロピラノシル基をメチルウロン酸と共に含有する。AGP組成物のアミノ酸成分は、アスパラギン、グルタミン、ヒドロキシプロリン、セリン、グリシン、ヒスチジン、アルギニン、スレオニン、アラニン、プロリン、チロシン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リジン、及びフェニルアラニンと同定した。しかしながら、アミノ酸の結合部位は決定していない。AGP-LMも同様な構造を有するが、分子量は異なる。上述のデータに基づいて、以下の構造がAGP組成物に関して提案されている(図2)。AGP-HM及びAGP-LMの双方が類似の生物学的活性を有しているため、いかなる生物学的試験にもAGP組成物を使用した。
【0158】
AGP組成物の免疫学的及び薬理学的特性
IL-2、IFN-γ、IL-10、及び他のin vivo活性、例えばモルモットにおける遅延型過敏症(DTH)のようなサイトカインアッセイを以下に記載する。米国特許出願公開第2003/0194456 A1に開示されている方法によって得られるような水性抽出物の生物学的活性と、本発明のAGP組成物の生物学的活性の比較を表IIIに記載する。
【0159】
【表5】

【0160】
AGP組成物に対する毒物学的試験
AGP組成物の急性毒性(LD50)を、経口及び静脈内の経路によってマウス及びラットにおいて評価した。投与あたりで経路ごとに各種族に由来する10の動物群に投与して、15日目に計測した。
【0161】
以下の値がAGP組成物に関して認められた
マウスp.o.のLD0 : >5000mg/kg b.wt.
マウスi.v.のLD0 : >1000mg/kg b.wt.
ラットp.o.のLD0 : >5000mg/kg b.wt.
ラットi.v.のLD50 : >250mg/kg b.wt.。
【0162】
AGP組成物の生物学的アッセイ
ヒトIL-10産生の評価方法の説明
乾癬における治療の潜在能力に関して、AGP組成物の効力を評価するために、そのin vitro IL-10産生における役割を、ConA誘導PBMCを使用するIL-10産生アッセイによって評価した[Raychudhuri S. P., Farber E. M., Raychudhuri S. K., Int. J. Immunopharmacol., 1999, 21,609]。
【0163】
簡潔には、ヒトPBMC(末梢血単核細胞)を分離して、10 μg/ml ConAを各種の濃度のAGP組成物と共に使用して刺激を与え、5%CO2でCO2インキュベーターにおいて37℃で48時間インキュベートした。上清を回収して、ELISAで定量するまで-70℃で凍結した。使用したヒトIL-10 ELISAキットは、培養物上清中のIL-10の検出のためのR and D Systemからのものであった。誘導割合は対照を参照して算出した。結果を表IVに記載する。
【0164】
Argemone mexicanaより単離されたAGP組成物は、0.0002 μg/mlから200 μg/mlの範囲においてConA活性化ヒトPBMCでIL-10の産生における増大を示した。IL-10は乾癬治療における調節的サイトカインであると見られており、抗乾癬治療を誘導することがよく知られている。
【0165】
IL-10誘導は、乾癬、皮膚炎、強皮症、炎症性疾患、並びに他の自己免疫疾患、例えば乾癬性関節炎、乾癬斑、滴状乾癬、慢性関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症、過敏性腸疾患、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、アレルギー、例えば喘息、慢性閉塞性肺疾患、並びに関連疾患、例えば湿疹及び鱗屑性の痒みを伴う斑の治療及び/または予防において有用である。IL-10誘導は、皮膚のリンパ球抗原または皮膚の白血球抗原が関与する他の慢性、再発性、及び他の皮膚の病気においても有用である。
【0166】
【表6】

【0167】
ヒトIL-2及びIFN-γ産生の評価方法の説明
乾癬における治療の潜在能力に関して、AGP組成物の効力を評価するために、in vitro IL-2及びIFN-γ調節における役割を、フィトヘマグルチニン(PHA)誘導PBMCを使用するIL-2及びIFN-γ産生阻害アッセイによって評価した[Brynskov J, Tvede N., Gut., 1990, 31(7), 795]。
【0168】
この試験の目的は、ヒトリンパ球由来のPHAに誘導されたIL-2及びIFN-γ産生に対するAGPの効果を評価することである。簡潔には、末梢血単核細胞(PBMC)を健康な固体より得た。1mlあたり100万のPBMCを、5%CO2でCO2インキュベーターにおいて37℃で48時間、PHA(5μg/ml)を各種の濃度のArgemone mexicnaより単離されたAGP組成物と共に使用して刺激を与えた。上清を回収し、-70℃で凍結した。使用したヒトIL-2及びヒトIFN-γELISAキットは、培養物上清におけるIL-2及びIFN-γの検出のためのR and D Systemからのものであった。阻害割合は対照を参照して算出した。Argemone mexicanaの葉及び/または茎より単離されたAGP組成物は、0.002μg/mlから20μg/mlの間で、マイトジェンに誘導されたIL-2産生に対する阻害が見られた(図4)。マイトジェンIL-2産生に対する阻害活性は免疫抑制的であることが知られており、乾癬の治療及び/または予防において有用であることが良く確立されている。結果を表Vに記載する。
【0169】
【表7】

【0170】
Argemone mexicanaより単離されたAGP組成物は、0.0002μg/mlから2μg/mlの範囲で、マイトジェンに誘導されたIFNγ産生に対して阻害的である事が認められた。マイトジェンに誘導されたIFN-γ産生に対する阻害活性は免疫抑制的であることが知られており、乾癬の治療及び/または予防において有用であることが良く確立されている。結果を表VIに記載する。
【0171】
【表8】

【0172】
ヒトGMCSF及びTNF-α産生のための評価方法の説明
乾癬における治療の潜在能力に関して、本発明のAGP組成物の効力を評価するために,in vitro顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)及びTNF-α調節における役割を、ConA及びLPSによって刺激を受けたPBMCを使用するGMCSF及びTNFγ産生阻害アッセイによって評価した。
【0173】
簡潔には、ヒトPBMCを健康なボランティアの血液より分離して、10 μg/ml ConAを各種の濃度のAGP組成物と共に使用して刺激を与え、5%CO2でCO2インキュベーターにおいて37℃で48時間インキュベートした。5μg/mlのLPSを添加して、同一の条件下で24時間インキュベートした。上清を回収して、ELISAでサイトカインを定量するまで凍結した。阻害の割合は対照を参照して算出した。
【0174】
Argemone mexicanaより単離されたAGP組成物は、0.02μg/mlから2μg/mlの範囲でマイトジェンに誘導されたGMCSF産生に対して阻害的であることが認められた(図6)。このマイトジェンに誘導されたGMSCF産生に対する阻害活性は免疫抑制的であることが知られており、乾癬の治療及び/または予防において有用であることが良く確立されている。結果を表VIIに記載する。
【0175】
【表9】

【0176】
Argemone mexicanaより単離されたAGP組成物は、0.002μg/mlから2μg/mlの範囲で、マイトジェンに誘導されたTNF-α産生に対して阻害的であることが認められた(図7)。このマイトジェンTNF-α産生に対する阻害活性は免疫抑制的であることが知られており、乾癬の治療及び/または予防において有用であることが良く確立されている。結果を表VIIIに記載する。
【0177】
【表10】

【0178】
NGF誘導ヒトケラチノサイト増殖に対するAGP組成物の効果
ケラチノサイトをGIBCO(USA)より購入し、増殖因子を添加したケラチノサイト-血清フリー培地(GIBCO, # 10744-019)において維持した。2000細胞を含有する約150μlのKGM(ケラチノサイト増殖因子)を、96ウェル平底プレートの各ウェルに添加した。翌日に、容量で1:2のKGM:KBM(ケラチノサイト基本培地)で培地を交換した。30μlの希釈したAGP組成物を、細胞対照ウェルを除いて、3つの複製の各ウェルに添加した。100ng/mlのNGF(神経成長因子)を各ウェルに添加した。培地をインキュベートの8日後に除去した。細胞をPBSですすいだ。LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)発生リシス溶液を添加して、37℃で10分間インキュベートした。492 nmの波長でELISAリーダーにおいてODを測定した。増殖/阻害の割合を算出した。結果を表IXに記載する。
【0179】
【表11】

【0180】
Argemone mexicanaより単離されたAGP組成物は、0.0001μg/mlから40μg/mlの範囲で、NGFに誘導されたヒトケラチノサイト増殖に対して阻害的である事が認められた(図8及び9)。NGFに誘導されたヒトケラチノサイト増殖に対する阻害活性は免疫抑制的である事が知られており、乾癬の治療及び/または予防において有用であることが良く確立されている。
【0181】
モルモットにおける遅延型過敏症を使用するin vivo免疫抑制の評価方法の説明
モルモットにおける精製タンパク質誘導体(PPD)に誘導された遅延型過敏症を阻害する能力に関して、AGP組成物のin vivoの効力を評価するために、標準的な方法を使用した。簡潔には、モルモットを、フロイント完全アジュバントと共に100 μgのPPDを皮内で刺激を与えた。フロイント非完全アジュバントと共に100 μgのPPDの2回の追加ブースターを1週間間隔で与えた。AGP組成物を、28日間、1日1回経口投与した。28日目に、前記動物に100 μgのPPDを皮内で曝露して、その24時間後に、対照とPPDを注射されたものの皮膚の厚みの差をノギスで測定した。皮膚の厚みの差は、同じモルモットにおいて生理食塩水を注射した皮膚の厚みを差し引いて算出した。阻害の割合は、生理食塩水で刺激した動物を参照して算出した。
【0182】
Argemone mexicanaより単離されたAGP組成物は、0.10から100mg/kg p.oの用量で、20から65.89%の阻害の範囲において、PPDで刺激された及びPPDを曝露されたモルモットに対して免疫抑制的であることが認められた。PPDを曝露されたモルモットにおける皮膚の厚みの50%阻害(ED50)を誘導する有効量は、0.508mg/kg p.oであることが認められた(図10)。強力な免疫抑制特性が良く確立され、抗乾癬治療にとって有利である。
【0183】
DTHモデルにおける免疫抑制は、免疫抑制が必要とされる複数の疾患、例えば乾癬、皮膚炎、強皮症、炎症性疾患、並びに他の自己免疫疾患、例えば乾癬性関節炎、乾癬斑、及び滴状乾癬のための有用なモデルである。結果を表Xに記載する。
【0184】
【表12】

【0185】
TPAの評価方法の説明
Balb/Cマウスをランダム化して、実験の5日前にケージで気候順化した。毛をアンフレンチの局所的な適用によって除去し、適切に洗浄した。各群は6匹のマウスからなった。アセトンの対照群及びTPA(12-O-テトラデカノイルホルボール13-アセテート)の対照群を、試験薬の群と共に実施した。AGP組成物を推奨される媒体(アセトン)に溶解し、1日1回で4日間経口投与した。20μlの100nM TPAを洗浄した皮膚の表面に対して2日目に適用し、吸収させた。動物をTPAの適用の72時間後に屠殺した。皮膚片を3日間10%ホルマリン中で固定化した。組織病理学的なスライドを標準的な方法に従って作製した。表皮の厚みを、オキュロメーターを使用して少なくとも10の異なる領域で測定し、結果を阻害の割合で表わした(図11)。結果を表XIに記載する。
【0186】
【表13】

【0187】
Mouse Ear Swelling Test(MEST)を使用するin vivo免疫抑制の評価方法の説明
標準的な方法を、マウスにおいてDNFBに誘導される遅延型過敏症を阻害する能力に関して、AGP組成物のin vivoの効力を評価するために使用した[Cornacoff J. B, House R. V, Dean J. H., Fundam. Appl. Toxicol., 1988, 10(1), 40 ; Fundam. Appl. Toxicol., 1992, 19(1), 157]。
【0188】
簡潔には、C57BL6マウスを試験に使用した。マウスの後ろに対して0.2%のDNFB(1:4のオリーブオイル及びアセトン中)で刺激した。3回の追加抗原投与としてDNFBの適用を3日ごとに実施した。前記マウスに0.2%DNFB(1:4のオリーブオイル及びアセトン中)を耳介に対して曝露した。耳の中央における耳の厚みを、24時間後にノギスで測定した。各種の用量で経口的に与え、ネガティブコントロールに対する阻害の割合を算出することによって分析を実施した。結果を表XIIに記載する。
【0189】
【表14】

【0190】
Argemone mexicanaの葉及び/または茎由来のAGP組成物は、DNFBに感作されたC57BL6マウスに対して免疫抑制的である事が認められた。AGP組成物のED50は6.43 mg/kgであると測定された(図12)。強力な免疫抑制特性が良く確立されており、乾癬の治療または予防のために有利である。
【0191】
MESTモデルにおける免疫抑制は、免疫抑制が必要とされる複数の疾患、例えば、乾癬、皮膚炎、強皮症、炎症性疾患、並びに他の自己免疫疾患、例えば乾癬性関節炎、乾癬斑、滴状乾癬、慢性関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、アレルギー、例えば喘息、慢性閉塞性肺疾患、及び湿疹、鱗屑性の痒みを伴う斑のような関連疾患のための効果の評価において有用である。
【0192】
本発明は、以下の限定されない実施例によって更に説明される。
【実施例】
【0193】
(実施例1)
AGP組成物、AGP-HM、及びAGP-LMの単離
Argemone mexicanaの10 Kgの新葉を磨り潰して、脱イオン水(15 L)で抽出した。そのスラリーを遠心分離して、水性抽出物を真空条件下において40℃未満で濃縮した。濃縮物を凍結乾燥して、0.54 Kgの乾燥固形物を得た。500gの乾燥水性抽出物を6 Lの水に溶解し、遠心分離してデカンテーションした。上清をカチオン交換カラム(5 L)に流速10 ml/分でロードした。溶出液(7.5 L)を回収し、濃縮して(2.5 L)、アニオン交換カラム(5 L)にロードした。溶出液(3 L)を濃縮して約1.5 Lにした。他の0.5 kgの物質(水性抽出物)で、前記実験を繰り返した。
【0194】
組み合わせた溶出液(各々1.5 L)を混合し、2.5 Lまで濃縮して、カチオン交換カラムにロードした。溶出液(3 L)を1.2 Lまで濃縮し、アニオン交換カラムにロードした。溶出液(1.5 L)を凍結乾燥して、42.39 gの粉末を得た。
【0195】
42 gの上記の粉末を600 mlの水に溶解し、n-ブタノール(3×400 ml)と水との間で分配した。n-ブタノール層を除いた。3 Lのメタノールを水性層(600 ml)に注いで、固体を沈殿させた。溶液を遠心分離し、上清をデカンテーションした。上清を約300 mlの容量まで濃縮した。メタノール(1 L)を再び注いで、メタノール不溶物を沈殿させた。溶液を遠心分離し、上清をデカンテーションした。双方の実験からの沈殿した固体を凍結乾燥した(8.75 g)。乾燥物を水に溶解して、XAD-2カラムに二回かけた。水溶出液を凍結乾燥して、6.10 gのAGP組成物を得た。これを更にセファクリルクロマトグラフィーにかけて、5 mgのAGP-HMと10.3 mgのAGP-LMとを得た。
【0196】
(実施例2)
AGP組成物、AGP-HM、及びAGP-LMの単離
Argemone mexicanaの22 Kgの新葉を磨り潰し、脱イオン水(36 L)で抽出した。そのスラリーを遠心分離し、水性抽出物を真空条件下において40℃未満で濃縮した。濃縮物を凍結乾燥し、1.25 Kgの乾燥固形物を得た。
【0197】
1.2 Kgの乾燥水性抽出物を12 Lの水に溶解し、遠心分離して、デカンテーションした。上清をカチオン交換カラム(5 L)に10 ml/分の流速でロードした。溶出液(15.5 L)を回収し、濃縮して(5.5 L)、アニオン交換カラム(5 L)にロードした。溶出液(6.25 L)を約3.2 Lまで濃縮した。
【0198】
溶出液(3.2 L)を2.6 Lまで濃縮し、カチオン交換カラムにロードした。溶出液(4 L)を1.5 Lまで濃縮し、アニオン交換カラムにロードした。溶出液(1.6 L)を凍結乾燥し、54 gの粉末を得た。
【0199】
40 gの上記の粉末を700 mlの水に溶解し、n-ブタノール(3×500 ml)と水との間で分配した。n-ブタノール層を除いた。4 Lのメタノールを水性層(675 ml)に注いで、固体を沈殿させた。溶液を遠心分離し、上清をデカンテーションした。上清を400 mlまで濃縮した。メタノール(3 L)を再び注いで、メタノール不溶物を沈殿させた。溶液を遠心分離し、上清をデカンテーションした。沈殿した固体を凍結乾燥した(7.3 g)。こうして得られた乾燥物を水に溶解し、XAD-2カラムに二回かけた。水溶出液を凍結乾燥し、5.5 gのAGP組成物を得た。これをセファクリルクロマトグラフィーに更にかけて、4.5 mgのAGP-HM及び12.4 mgのAGP-LMを得た。
【0200】
(実施例3)
表XIIIに記載の成分を均質になるまで混合し、次いでサイズ「00」の硬質ゼラチンカプセルに充填した。処理領域は、18-22ECで40±5% RHに理想的に維持した。
【0201】
【表15】

【0202】
本発明の組成物の製造のための典型的な方法を以下に示す。
【0203】
活性剤、ミクロクリスタリンセルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、及びコロイド状二酸化ケイ素を均質に成るまで混合する。それらをサイズ「00」の硬質ゼラチンカプセルに充填する。処理領域は、18-22ECで40±5% RHに理想的に維持した。
【0204】
局所的な適用を実施する際に、植物Argemone mexicanaの量は0.1重量%から10重量%の抽出物の範囲である。
【0205】
AGPと担体とを含む局所的に適用する軟膏のための単位製剤を表XIVに記載する。
【0206】
【表16】

【0207】
局所的に適用する軟膏の製造のための典型的な方法は、従来の方法による滑らかなゲルになるまで全ての成分をゆっくりと混合する工程、及びチューブに充填する工程を含む。
【0208】
本明細書で使用される略語/表記の説明
アラビノガラクタン-タンパク質:AGP
高分子量アラビノガラクタン-タンパク質:AGP-HM
低分子量アラビノガラクタン-タンパク質:AGP-LM
【図面の簡単な説明】
【0209】
【図1】図1は、精製AGP組成物を単離するための選択的な方法の概略図である。
【図2】図2は、AGP組成物の提案された構造を示す。
【図3】図3は、IL-10誘導に対するAGP組成物の効果を示す。
【図4】図4は、IL-2阻害の割合に対するAGP組成物の効果を示す。
【図5】図5は、IFNγ阻害の割合に対するAGP組成物の効果を示す。
【図6】図6は、GMCSFの阻害に対するAGP組成物の効果を示す。
【図7】図7は、ヒトTNFαの阻害に対するAGP組成物の効果を示す。
【図8】図8は、NGFに誘導されたヒトケラチノサイト増殖に対するAGP組成物の効果を示す。
【図9】図9は、NGFに誘導されたヒトケラチノサイト増殖に対するAGP組成物の効果を示す。
【図10】図10は、PPDを曝露したモルモットにおける皮膚の厚みに対するAGP組成物の効果を示す。
【図11】図11は、Balb/cマウスにおいてTPA(12-O-テトラデカノイルホルボール-13-アセテート)によって誘導された表皮の厚みの阻害に対するAGP組成物の効果を示す。
【図12】図12は、メスのC 57/BL 6マウスにおけるDNFB誘導Mice Ear Swelling Testに対するAGP組成物の効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)1重量部の植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎を、1から10重量部の水、C1-3アルコール、またはそれらの混合物で抽出して水性抽出物を得る工程;及び前記抽出物を部分的若しくは完全に濃縮または凍結乾燥する工程;
ii)工程i)で得られた水性抽出物、部分的に濃縮した水性抽出物、または完全に濃縮若しくは凍結乾燥した抽出物の水溶液を連続的にイオン交換クロマトグラフィーにかけて、中性水性抽出物を得る工程;
iii)工程ii)で得られた中性水性抽出物をn-ブタノールで分画して、水性相とn-ブタノール相とに分離する工程;
iv)工程iii)で得られた水性相をメタノールまたはエタノールと混合及び攪拌して、沈殿する固体を単離して不溶性画分を得る工程;並びに
v)工程iv)で得られた不溶性画分を、連続的にゲルクロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーにかけて、精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物を得る工程
の工程を含む方法によって得ることが可能な、植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎より単離される、10 KDから150 KDの間の範囲の平均分子量を有する、精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物。
【請求項2】
前記C1-3アルコールが、メタノール、エタノール、1-プロパノール、または2-プロパノールより選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記イオン交換クロマトグラフィーが、カチオン交換クロマトグラフィーと、その後に続くアニオン交換クロマトグラフィーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記イオン交換クロマトグラフィーが、アニオン交換クロマトグラフィーと、その後に続くカチオン交換クロマトグラフィーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記カチオン交換クロマトフラフィーが、スルホン化ポリスチレン強酸カチオン交換体またはカルボン酸タイプ弱酸カチオン交換体で実施される、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
前記アニオン交換クロマトグラフィーが、脂肪族アミンタイプ弱塩基アニオン交換体または強塩基アニオン交換体で実施される、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項7】
他のアルカロイド、フラボノイド、アミノ酸、有機酸、脂肪酸、並びに植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎に存在する他の化合物を実質的に含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
主鎖として6-結合ガラクトピラノース及び3,6-結合ガラクトピラノース、並びに末端位にアラビノフラノシル、アラビノピラノシル、ラムノピラノシル、グルコピラノシル、及びガラクトピラノシル基、並びに3-結合及び4-結合ラムノピラノシル、2-結合マンノピラノシル、2-結合グルコピラノシル、3-結合及び4-結合ガラクトピラノシル、6-結合及び3,6-結合グルコピラノシル、4-結合キシロピラノシル基をメチルウロン酸と共に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
45から98重量%の炭水化物から構成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
2から20重量%のタンパク質から構成される、請求項1に記載の精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物。
【請求項11】
i) 1重量部の植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎を、1から10重量部の水、C1-3アルコール、またはそれらの混合物で抽出して水性抽出物を得る工程;及び前記抽出物を部分的若しくは完全に濃縮または凍結乾燥する工程;
ii) 工程i)で得られた水性抽出物、部分的に濃縮した水性抽出物、または完全に濃縮/凍結乾燥した抽出物の水溶液を連続的にイオン交換クロマトグラフィーにかけて、中性水性抽出物を得る工程;
iii)工程ii)で得られた中性水性抽出物をn-ブタノールで分画して、水性相とn-ブタノール相とに分離する工程;
iv)工程iii)で得られた水性相をメタノールまたはエタノールと混合及び攪拌して、沈殿する固体を単離して不溶性画分を得る工程;並びに
v)工程iv)で得られた不溶性画分を、連続的にゲルクロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーにかけて、精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物を得る工程
の工程を含む、アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)組成物の単離方法。
【請求項12】
前記C1-3アルコールが、メタノール、エタノール、1-プロパノール、または2-プロパノールより選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記イオン交換クロマトグラフィーが、カチオン交換クロマトグラフィーと、それに続くアニオン交換クロマトグラフィーである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記イオン交換クロマトグラフィーが、アニオン交換クロマトグラフィーと、それに続くカチオン交換クロマトグラフィーである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記カチオン交換クロマトフラフィーが、スルホン化ポリスチレン強酸カチオン交換体またはカルボン酸タイプ弱酸カチオン交換体で実施される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記アニオン交換クロマトグラフィーが、脂肪族アミンタイプ弱塩基アニオン交換体または強塩基アニオン交換体で実施される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項17】
前記ゲルクロマトグラフィーが、アンバーライトポリマー吸着体で実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記サイズ排除クロマトグラフィーがセファクリルで実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記ゲルクロマトグラフィーが、XAD-2、XAD-4、及びXAD-7より選択されるアンバーライトポリマー吸着体で実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記サイズ排除クロマトグラフィーが、セファクリルS-100、セファクリルS-200 HR、及びセファクリルS-300 HRより選択されるセファクリルで実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
治療的に有効量の請求項1から10のいずれか一項に記載の精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)、及び製薬学的に許容される添加剤を含む製薬組成物。
【請求項22】
少なくとも1つの非毒性の適合するフィラー、バインダー、崩壊剤、バッファー、保存剤、抗酸化剤、潤滑剤、または香味剤を更に含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記製薬学的に許容される添加剤が、糖、デンプン、セルロース及びその誘導体、リン酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ステアリン酸、植物油、非イオン性、カチオン性、及びアニオン性の界面活性剤、エチレングリコールポリマー、β-シクロデキストリン、脂肪アルコール、または加水分解された穀物の固形物より選択される、請求項21に記載の製薬組成物。
【請求項24】
植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎より単離される、10 KDから150 KDの間の範囲の平均分子量を有する精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)。
【請求項25】
治療的に有効量の請求項59に記載の精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)、及び製薬学的に許容される添加剤を含む製薬組成物。
【請求項26】
植物Argemone mexicanaの葉及び/または茎より単離される、10 KDから150 KDの間の範囲の平均分子量を有する精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)。
【請求項27】
哺乳動物の乾癬、炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー、湿疹または鱗屑性の痒みを伴う斑、あるいは皮膚の病気の治療のための医薬の製造における、請求項1から10、24、または26のいずれか一項に記載の精製アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)の使用。
【請求項28】
哺乳動物の乾癬、炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー、湿疹または鱗屑性の痒みを伴う斑、あるいは皮膚の病気の治療のための医薬の製造における、請求項21から23、または25のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項29】
前記疾患が、皮膚炎、強皮症、湿疹、乾癬性関節炎、慢性関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症、過敏性腸疾患、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、及び鱗屑性の痒みを伴う斑からなる群より選択される、請求項24または25に記載の使用。
【請求項30】
前記アレルギーが喘息または慢性閉塞性肺疾患である、請求項24または25に記載の使用。
【請求項31】
前記乾癬が、乾癬斑、滴状乾癬、膿疱性乾癬、及び爪乾癬からなる群より選択される、請求項24または25に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−511613(P2008−511613A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529142(P2007−529142)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【国際出願番号】PCT/IN2005/000132
【国際公開番号】WO2006/025068
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(504265031)ルピン・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】