説明

糖尿病および代謝障害を治療するためのクエルセチン、ミリセチンおよびクロロゲン酸の組成物

糖尿病および代謝異常を治療するための組成物および方法、ならびに天然由来の化合物の組合せを含み対象者の体重減少を達成するための組成物および方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
アメリカ心臓協会によれば、60%以上の男性および50%近くの女性が肥りすぎである。さらに、およそ13%の男性および18%の女性が肥満症である。不活発で肥りすぎの人は、同一人における一群の代謝リスク因子により特徴づけられるメタボリック・シンドロームになりやすい。
【0002】
それらは、(a) 腹部および腹部周辺における過剰の脂肪組織により示される典型的な肥満、(b)アテローム発生の脂血症(血液脂肪障害、動脈壁にプラークが生成する主に高トリグリセライドおよび低HDLコレステロール)、(c) 高血圧(130/85 mmHg以上)、 (d) インシュリン抵抗性またはグルコース不耐性(身体がインシュリンおよび血糖を適正に利用できない)、(e)プロトロンボティック状態 (例えば、血液中における高フィブリノーゲンまたはプラスミノーゲン活性因子阻害 [−1] )、ならびに(f)前-炎症性の状態(例えば、血液中におけるC-反応性プロテインに対する高感受性)を含む。
【0003】
このシンドロームの根底にある原因は、肥りすぎ/肥満症、身体的不活発および遺伝的因子である。メタボリック・シンドロームの人々は、冠動脈性心臓疾患、動脈内壁に蓄積したプラークに関連したその他の疾患(例えば、心臓発作および抹消血管性疾患)および2型糖尿病の危険性が高まった状態にある。
【0004】
アメリカ糖尿病協会によれば、60歳以上の大人の20.6%は糖尿病になっており、大人全体の34.8%は糖尿病または前−糖尿病のどちらかになっている。
メタボリック・シンドロームは、アメリカでは普通になってきている。アメリカの大人の約20〜25%が冒されていると推測される。
【0005】
この症候群は、身体がインシュリンを効果的に利用できないインシュリン抵抗性と呼ばれる一般的な代謝障害に密接に関連している。メタボリック・シンドロームは、2型糖尿病へ進展するインシュリン抵抗性症候群とも呼ばれている。
【0006】
多くの研究が、種々の植物から単離されたバイオフラボノイドによりもたらされる健康上の恩恵を報告している。癌および心臓血管性疾患の予防、ならびに炎症性疾患の治療におけるバイオフラボノイドの潜在的な役割が、文書で証明されている。
【0007】
種々の植物由来の天然の多くのバイオフラボノイドは、それらの化学構造により分類されてきた。そのような群は、フラボン類、イソフラボン類、フラバン-3-オール類およびアントシアニジン類である。
【0008】
フラボン類は、4つのグループに分けられる:(1)例えば、ルテオリン、アピゲニンおよびタンゲリチンを含むフラボン類、(2)例えば、クエルセチン、ケンフェロール、ミリセチン、クリシン、ルチン、ロイフォリン、モリン、フィセチン、イソラムネチン、パチポドールおよびラムナジンを含むフラボノール類、(3)例えば、ガランギン、ヘスペレチン、ナリンゲニン、ナリンギン、ネオヘスペリジン、ヘスペリジン、ナリルチン、プルニン、エリオジクチオール、ホモエリオジクチオールを含むフラバノン類、ならびに(4)例えばジヒドロクエルセチンおよびジヒドロケンフェロールを含む3-ヒドロキシフラバノン類または2,3-ジヒドロフラボノール。
【0009】
イソフラボン類の例は、例えばゲニステイン、ダイゼインおよびグリシテインを含む。
フラバン-3-オール類は、例えばカテキン類、ガロカテキン、カテキン3-ガレート、ガロカテキン3-ガレート、エピカテキン類、エピガロカテキン、エピカテキン3-ガレートおよびエピガロカテキン3-ガレートを含む。
【0010】
アントシアニン類は、例えばシアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペラルゴニジン、ペイオニジンおよびペチュニジンを含む。
フラボノイド類の入手し易さおよび活性は、天然由来のフラボノイド類の間で大きく変動する。
多くのフラボノイド類の健康的な恩典を得るためには、大量の投与を必要とし、現実的でなく、高価すぎることもある。
【発明の概要】
【0011】
本発明の一つの観点では、糖尿病および代謝異常を治療するための組成物が提供される。この組成物は、炭水化物含有食品の有する高カロリーの強い影響を予防することにより、体重減少および体重調整を達成するのにも有用である。
【0012】
炭水化物含有食品による上記組成物の消費は、炭水化物代謝の代謝経路に影響を与え、身体へのグルコース取り込みを減らし、筋肉へ向けられた血流中のグルコースを増やすという結果をもたらす。
対象者による上記組成物の消費は、対象者における低脂肪組織と高脂肪組織との間の比の増大を促進する。
【0013】
本発明は、天然起源の化合物の組合せを用いる、糖尿病および/または肥満症を治療または予防するための組成物および方法を提供する。
一つの態様において、上記の方法は治療的に有効な量のクエルセチン、ミリセチンおよびクロロゲン酸を含む組成物を対象者に投与することを含む。該組成物は、ダイエット用のサプリメントとして、または食品への添加物として投与することもできる。
【0014】
上記の組成物は、炭水化物代謝の代謝経路を遮断するのに効果的である。特に、該組成物は、内臓におけるグルコースの吸収を阻害し、筋肉組織によるグルコース吸収を高め、炭水化物の輸送を阻害し、グルコース/脂肪の蓄積を阻害し、かつ肝臓によるグルコースの産生(グルコース新生)を阻害するのに効果的である。
【0015】
本発明の一つの観点によれば、クエルセチン、ミリセチンおよびクロロゲン酸の有効量を食品に添加することにより、炭水化物含有食品のグリセミック(glycemic)指数を低減するための組成物および方法が提供される。
一つの態様において、クロロゲン酸:クエルセチン:ミリセチンの比は、重量で約1:3:3である。
【0016】
詳細な説明
ここで用いられている次の用語および語句は、以下に示される意味を有する。
「糖尿病」は、高血糖またはケトアシドーシス、ならびに長期の高血糖状態またはグルコース耐性の低下から生じる慢性の一般的な代謝異常をいう。
「糖尿病」は、1型および2型(非インシュリン依存性糖尿病メリタス、すなわちNIDDM)疾患の両方を含む。
【0017】
「単離」は、組成物または化合物をその天然の背景から分離または変化させることをいう。
「天然由来」という語句は、化合物について用いるとき、天然に見出され得る形態にある化合物をいう。例えば、化合物が精製され、自然界でその化合物とともに見出された他の分子から少なくとも分離されているときは、その化合物は天然由来の形態にあるとはいわない。
【0018】
「天然由来の化合物」は、自然界に見出される化合物、すなわちヒトによって修飾されていない化合物をいう。天然由来の化合物は、ヒトによって作られたものでも、自然界に存在しているものでもよい。
【0019】
症状または疾患の「治療」は、治癒ならびに症状または疾病の少なくとも一つの徴候の改善をいう。
「治療的に有効」という用語は、当該技術分野で認められており、動物、特に哺乳動物、より具体的にはヒトにおいて、薬理学的に活性な物質によりもたらされる、局所的または全身的効果をいう。
【0020】
「治療的に有効な量」という語句は、いかなる治療についても適用できる、恩恵/リスクの合理的な比で、何らかの所期の局所的または全身的効果を生むような物質の量をいう。
【0021】
そのような物質の臨床的に有効な量は、対象者および治療される疾患または症状、対象者の体重および年齢、疾患または症状の重篤度、投与などの方法により変動し、当業者により容易に決定され得る。
例えば、ここに記述されるある種の組成物は、そのような治療に適用できる、合理的な恩恵/リスク比で所期の効果を生むのに十分な量で投与され得る。
【0022】
前記のグリセミック指数(GI)は、食後に血糖レベルを上昇させる限度に基づく0〜100のスケールにおける炭水化物類のランキングである。
高いGI (すなわち、70以上)を有する食品は、迅速に消化・吸収され、血糖レベルの顕著な変動をもたらすようなものである。高いGIの食品は、パン、米、穀物およびベークされたものを含む。
【0023】
低いGI(すなわち、55以下)の食品は、ゆっくり消化・吸収されて、血糖およびインシュリンのレベルを徐々に上げる。低いGIの食品は、果物、野菜、穀物全体およびマメ類を含む。
低いGIの飲食物は、1型および2型糖尿病の人々におけるグルコースおよび脂質両方のレベルを改善することが示されている。それらは、食欲および空腹の遅延をコントロールするのに役立つので、体重調整に有益である。
低いGIの飲食品は、インシュリンレベルおよびインシュリン抵抗性をも低下させる。
【0024】
体重減少を達成するために、またはメタボリック・シンドロームもしくは糖尿病の広範な徴候を低減させるためには、炭水化物代謝の代謝経路が影響を受けなければならない。
【0025】
特に、該経路は、(1) 炭水化物の分解を阻害すること、(2) 内臓から血流へのグルコースの吸収および輸送を阻害すること、(3) 筋肉組織へのグルコースの吸収および輸送を高めること、(4) 脂肪として蓄積される炭水化物を低減させ抑制すること、(5) グルコース新生を阻害すること、および(6)脂肪からグルコースが遊離するのを高めることにより影響され得る。
【0026】
糖尿病を治療するためには、上記の経路(2)、(3)、(5)および(6)に影響することが必要である。
体重の減少および/または調整を達成するためには、上記の経路(2)〜(6)に影響することが必要である。
糖尿病の治療または体重減少の達成には、上記の経路(1)に影響する必要はないが、そうすることが有利ではある。
【0027】
上記の少なくとも一つの代謝経路にある程度効果を有する、いくつかの天然由来の化合物がある。
バイオフラボノイド類、ならびに特にフラバノン類およびフラボン類が有用である。
フラバノン類は次に示す構造(I)を有しており、フラボン類は次に示す類似の構造(II)を有している。
【0028】
【化1】

【0029】
[式中、R、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ルチノシル基、ラムノシル基、置換されたアルコキシ基または置換されたアシルオキシ基であり、ここで、上記の置換基はヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、フェニル、ハロゲンおよびアミド基から選択される]
式(I)および(II)のバイオフラボノイド類のいくつかの例は、次の表1に示されている。
【0030】
【表1】

【0031】
上記の代謝経路のすべてに影響するバイオフラボノイド類はなく、個々の経路に影響するものが同等に有効というわけでもない。
さらに、多くのバイオフラボノイド類は酸化されやすく、熱に対して安定ではない。
バイオフラボノイド類の多くは、臨床的に有効な量で、食品に苦味または不利な味を与えるので、食品添加物として適していない。
【0032】
クエルセチン、ミリセチンおよびクロロゲン酸の組合せが、炭水化物の代謝に優れた臨床的効果を有しており、特に肥満症および糖尿病の治療、ならびに体重の減少および/または体重の調整に有用であることが見出された。
この天然由来の化合物の組合せは、自然界で単一の原材料中には見出し得ない。
【0033】
一つの態様において、上記の組成物は、クロロゲン酸、クエルセチン、ミリセチンを約1:(2-4):(2-4)、または約1:(2-3):(2-3)、または約1:3:3の重量比で含む。
クエルセチン、ミリセチンおよびクロロゲン酸を含む組成物は、ダイエット用のサプリメントとして、または食品への添加物として投与することができる。上記の組成物は、後で調理されるか、またはベークされる食品中に加えることもできる。
上記組成物の成分は、構造的に安定であって酸化されないで残り、焼いたり調理されたりする温度では熱に対しても安定である。
【0034】
有効量が炭水化物含有食品に加えられると、上記の組成物は、該組成物が加えられていない食品で経験するような、血液中にグルコースが存在するとうリスポンスを経験することなく、糖尿病(または非糖尿病)の人が該食品を摂取することを可能ならしめる。
【0035】
したがって、該食品は高GI(すなわち70以上)食品から中GI(すなわち56〜69)または低GI(すなわち55以下)食品へと変わり、糖尿病患者が該食品をより安全に摂取できるようにする。
【0036】
クエルセチン
クエルセチンは、タマネギ、セロリ、グレープおよびクランベリーを含む多くの植物中に見出されるバイオフラボノイドである。
クエルセチンの主な代謝経路阻害メカニズムは、GLUT2輸送阻害を引き起こし、腸からのグルコース吸収を遅らせることにある。クエルセチンの2番目のメカニズムは、脂質の加水分解によりグリコゲノリシスを引き起こし、脂肪組織からグルコースを放出することにある。クエルセチンの3番目のメカニズムは、脂肪酸シンターゼ(リポゲネシス)を阻害し、グルコースを脂肪として蓄積する身体の能力を低減させることにある。
【0037】
ミリセチン
ミリセチンは、サクランボ、クランベリーおよびビルベリーを含む多くのベリー類、ならびにパセリおよびルータベイガ(黄色の大蕪)を含むその他の植物中に見出されるバイオフラボノイドである。
【0038】
ミリセチンの1番目の代謝経路阻害メカニズムは、グルコシダーゼを阻害し、澱粉の分解を阻害もしくは抑制し、炭水化物の利用能を低下させることにある。ミリセチンの2番目のメカニズムは、GLUT4経路を刺激し、グルコースの筋肉および骨格組織への取込みを高め、グルコースを脂肪として蓄積する能力を低減させることにある。クエルセチンの3番目のメカニズムは、フルクトースの吸収を阻害することにある。
【0039】
クエルセチンおよび/またはミリセチンは、いくつかの方法により、それらの植物起源から入手することができる。
一つの方法では、例えば、グレープの種もしくはトマトの種のような適当な種の材料、マツの樹皮または柑橘類の皮のような植物起源からの抽出である。上記の起源材料を水か湯に浸し、該起源材料の水溶性バイオフラボノイド類を嵩高いペクチンや繊維から分離する。この果肉の沈泥を、次いで当該分野で知られている適当な酸または塩基で処理して沈殿させる。次いで、この沈殿物を再び水で洗浄し、乾燥し、次いで濃縮して、かなり純粋なバイオフラボノイド組成物が得られる。この組成物をさらに精製にして、所期のバイオフラボノイド物質を含むフラクションが得られる。
【0040】
もう一つの方法では、逆浸透を採用して、飲料製造工程の果汁から目的のバイオフラボノイドを濾過により分離する。柑橘類のような果汁の製造工程は、皮からバイオフラボノイド類を遊離させ、それらを果汁製品中に懸濁させる。これらの水溶性のバイオフラボノイド類を除去することは、それらが果汁製品を苦くしたり風味を低下させたりする傾向があるので、好ましいときもある。
【0041】
例えば、グレープフルーツのジュースを製造する間に、グレープフルーツの主なバイオフラボノイドであるナリンギンは、果汁の流れの中に放出される。ナリンギンはきわめて際立った苦味を有しているので、樹脂でコーティングされた逆浸透器具を用いて、それを製品の流れから取り除き、グレープフルーツ・ジュースの適当な風味のプロフィールを回復することが必要である。得られるバイオフラボノイドは、最後に回収され、乾燥されて、かなり純粋な物質が得られる。
【0042】
フラボノイド類は、合成法によっても製造することができる。そのような方法は、o-ヒドロキシアリールケトン類を芳香族無水物類と反応させてフラバノン類を形成する化学反応である、Allan-Robinson反応を含むことができる。
【0043】
もう一つの例は、ベンズアルデヒドと3-オキシペンタノンとの間の酸触媒アルドール縮合を必要とする、o-ヒドロキシカルコンを生成する方法である、Auwers合成である。そのアルケン基をさらにブロム化すると、水酸化カリウムとの反応によりフラバノールに変わるジブロモ付加生成物になる。
【0044】
さらなる例は、2-アセトキシアセトフェノン類を塩基と反応させて1,3-ジケトン類を形成する反応を含む、Baker-Venkataraman 転位である。この転位反応はエノレート形成を経由して進行し、それに続くアシルトランスパーによりフラバノン類を形成する。
Algar-Flynn-Oyamada反応も採用され得る。この反応では、カルコンが酸化的に環化されて、フラバノールを形成する。
【0045】
クロロゲン酸
クロロゲン酸は、ある種のシスまたはトランス桂皮酸とキニン酸との間で生成する一つ以上の一群のエステル類である。クロロゲン酸は、キニン酸におけるアシル残基の同一性、数および位置によってさらに分けられる。クロロゲン酸およびその機能類似体の例は、式(III)により表され得る。
【0046】
【化2】

【0047】
(式中、少なくとも一つの官能基R1-R4 は、独立して、式(IV)〜(VII)で表される桂皮酸官能基を表す)
【0048】
【化3】

【0049】
桂皮酸類およびそれらの誘導体は、芳香環上の置換基が異なる一連の3-フェニル-プロペン酸を含む。最もありふれた桂皮酸類は、カフェー酸、フェルラ酸、シナピン酸およびp-クマル酸である。
クロロゲン酸およびいくつかのその好ましい官能性類似体は、次の化学構造を有する。
【0050】
【表2】

【0051】
用いられるクロロゲン酸化合物は、例えば一つ以上の植物の抽出物のような天然の材料から誘導されたものが好ましい。
それは、例えばグリーンコーヒー豆、グリーンカカオ豆、シナモン、サンザシ、緑茶、リンゴおよび西洋梨のような梨果、チェリーおよびプラムのような核果、ベリーフルーツ、柑橘類、ケール、キャベツおよび芽キャベツのようなアブラナ科の野菜、ジャガイモ、トマトおよびナスのようなナス科の野菜から抽出され得る。
【0052】
それは、また、カラスムギ、大麦、ライムギ、米、トウモロコシおよび小麦のような穀物類からも導かれ得る。得られるクロロゲン酸の量およびタイプは、個々の原材料による。
【0053】
クロロゲン酸の第1の代謝経路阻害メカニズムは、複合炭水化物の輸送可能な型へのブレークダウンを阻害するアルファ−アミラーゼの阻害である。その効果は吸収され得る炭水化物の量を低減させる。
第2のメカニズムは、肝臓の糖新生を低減させるグルコース6ホスフェートの阻害である。それはグルコースを作る肝臓の能力を低減させる。
【0054】
本発明の一つの態様において、約50〜約500 mgのクエルセチン、約50〜約500 mgのミリセチン、および約25〜約150 mgのクロロゲン酸を含む組成物が提供される。
もう一つの態様において、本発明の組成物は、約100〜約200 mgのクエルセチン、約100〜約200 mgのクエルセチン、および約30〜約75 mgのクロロゲン酸を含む。
【0055】
本発明の組成物は、ダイエット用のサプリメントの形態で、食品もしくは飲料添加物として、または医薬組成物として投与することができる。
クエルセチン、ミリセチンおよびクロロゲン酸に加えて、本発明の組成物は一つ以上の添加物を含んでいてもよい。
【0056】
本発明の組成物には、湿潤剤、乳化剤、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香料、保存剤および抗酸化剤が含まれていてもよい。
【0057】
医薬的に許容される抗酸化剤の例は、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどのような水溶性の抗酸化剤、(2)アスコルビルパルミテート、、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガレート、アルファ−トコフェロールなどのような油溶性の抗酸化剤、ならびに(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などのような金属キレート剤を含む。
【0058】
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤、散剤、顆粒剤、または水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液、または水中油型もしくは油中水型の液体エマルジョン、エリキシル剤あるいはシロップ剤の形態であってよく、これらの製剤は所定量の本発明の化合物を活性成分として含む。
【0059】
本発明の経口投与用の固形の投与形態において、活性成分は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムのような医薬的に許容される一つ以上の担体、および/または次の(1)澱粉、乳糖、蔗糖、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸のような賦形剤もしくは増量剤、(2)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、蔗糖および/またはアカシアのような結合剤、(3)グリセロールのような湿潤剤、(4)寒天、炭酸カルシウム、バレイショもしくはタピオカ澱粉、アルギン酸、ある種のシリケートおよび炭酸ナトリウムのような崩壊剤、(5)パラフィンのような溶解遅延剤、(6)4級アンモニウム化合物のような吸収促進剤、(7)例えばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートのような湿潤剤、(8) カオリンおよびベントナイトクレーのような吸着剤、(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物のような滑沢剤ならびに(10) 着色剤と混合され得る。
【0060】
カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、医薬組成物は緩衝剤を含んでいてもよい。同じようなタイプの固形の組成物は、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量のポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いるソフトおよびハードゼラチンカプセルにおいて、充填剤としても採用され得る。
【0061】
本発明の一つの態様において、組成物は飲料または食品の形態で投与される。例えば、本発明の組成物は、クッキー、ナッツ入りチョコレートケーキ、クラッカー、ブレクファストバー、エナジーバー、 コーンフレークなどの穀物食およびケーキのようなベークされた食品に添加することもできる。
【0062】
本発明の組成物は、フルーツジュース、炭酸飲料、エナジードリンク、コーヒーまたはお茶に加えてもよい。
クエルセチン、ミリセチンおよびクロロゲン酸は、熱に対して安定であり、保管中に酸化されない。
【0063】
本発明の組成物の個々の成分、すなわちクエルセチン、ミリセチンおよびクロロゲン酸は、消耗される食品の炭水化物と、化学的にも物質的にも反応しない。むしろ、炭水化物の代謝に対する効果は、3成分と炭水化物の代謝に与る酵素との直接的な化学反応によっている。
したがって、該効果は、化学的な反応率によって決定され、それはフラボノイド成分ならびにGLUT2およびGLUT4のような酵素系成分の濃度によって決定される。
【0064】
一つの態様において、重量比1:3:3のクロロゲン酸、ミリセチンおよびクエルセチンの混合物からなる組成物の有効な濃度は、食品とともに消耗される組成物において約200 mg〜約500 mgの範囲である。
【0065】
一つの態様において、その日のはじめに摂取される1日当たりの1回投与量は、約750 mgである。
もう一つの態様において、本発明の組成物は、1日に3回、1回の投与量約250 mgで投与される。
1日に投与される組成物の全量は、一つの態様において、少なくとも250 mg、または少なくとも500 mg、または少なくとも750 mg、または少なくとも900 mgである。
【0066】
対象者が消耗する食品の量には拘束があり得ないので、典型的な1人前あたり約250 mgの組成物を投与するために、組成物の濃度は、食物のタイプおよび典型的な1人前の食物の量に従って変動する。
例えば、次に示されるように、食品が変わるに従って、組成物の濃度も変動する。
【表3】

【0067】
食料が飲料を含むとき、本発明の組成物は、飲料1mlにつき約0.5〜約1.5 mg飲料に添加され得る。
食料がベークされた食品を含むとき、本発明の組成物は、ベークされた食品1gにつき約2.5 mg〜約10 mgの量で添加され得る。
【0068】
以下の実施例において、本発明の組成物および方法の態様を説明する。
これらの実施例は説明するためのものであり、本発明の組成物および方法の範囲を限定するものと考えてはならない。
【実施例】
【0069】
実施例1
クロロゲン酸50 mg、ミリセチン200 mgおよびクエルセチン200 mgを含むゼラチンカプセルを、食品とともに、1日3回経口投与する。
【0070】
実施例2
クエン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース100 mg、クロロゲン酸100 mg、ミリセチン300 mgおよびクエルセチン300 mgを含む錠剤を、日の出とともに1日1回経口投与する。
【0071】
実施例3
パン中の総炭水化物15 グラムにつき、クロロゲン酸50 mg、ミリセチン150 mgおよびクエルセチン50 mgを含むようにパンを製造する。
【0072】
実施例4
1人前のクッキーおよそ30 gにつき、クロロゲン酸75 mg、ミリセチン100 mgおよびクエルセチン100 mgを含むように、ジンジャーブレッドクッキーを製造する。
【0073】
実施例5
クロロゲン酸75 mg 、ミリセチン300 mgおよびクエルセチン300 mgを含むように、スポーツパウダーバー100 gを製造する。
【0074】
実施例6
クロロゲン酸50 mg、ミリセチン100 mgおよびクエルセチン100 mgを含む粉末を、例えば調理した後、食べる前のスクランブル・エッグのような食品上に振りかける。
【0075】
実施例7
14重量%のクロロゲン酸、52重量%のミリセチンおよび34重量%のクエルセチンのブレンドを含む組成物を、グレープフルーツ・ジュースのような天然の果汁製品に、ジュース1 gにつき組成物1 mgとなるように、天然の果汁製品にブレンドする。
【0076】
実施例8
重量比1:3:3のクロロゲン酸、ミリセチンおよびクエルセチンを、エアーサスペンジョン・コーティングを介してマイクロカプセル化されたエリキシル中に懸濁する。マイクロカプセル化された材料を、ナッツ入りチョコレートクッキー・ミックスに、該クッキー・ミックス1 g につきマイクロカプセル化された材料2 mgの量で加える。該クッキー・ミックスは、ホームベーキングまたは商業的ベーキング用に乾燥ミックスとして販売されるか、あるいはベークされた商品として販売される。
【0077】
実施例9
重量比1:3:3のクロロゲン酸、ミリセチンおよびクエルセチンを、蔗糖砂糖溶液に溶解する。それを結晶化させて、その構造中に組み込まれたフラボノイドを有するテーブル・シュガーを形成させる。この砂糖製品は、標準的な蔗糖砂糖と同様に、コーヒーからベークされた商品にわたる他の食料品において着香料として用いられる。
【0078】
本発明は、種々の態様に関連して説明されたが、それらの種々の変形例は、本明細書を読めば、当業者にとって明らかであるということが理解されるべきである。
ここに記載された物品の種々の態様の特徴は、一つの物品中に組み合わせることができる。
【0079】
したがって、ここに記載された本発明は、添付された特許請求の範囲に含まれるそのような変形例をカバーすることを意図しているということが、理解されるべきである。
なお、この出願は、2007年3月19日に出願された米国仮出願第60/895,486号の恩典を請求するものであり、その全体がここに組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的に有効量のクエルセチン、ミリセチンおよびクロロゲン酸を含む、糖尿病または肥満症を治療または予防するための組成物。
【請求項2】
クエルセチン約50 mg〜約500 mg、ミリセチン約50mg〜約500 mgおよびクロロゲン酸約25mg〜約150 mg を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
クエルセチン約100 mg〜約200 mg、ミリセチン約100mg〜約200 mgおよびクロロゲン酸約30mg〜約75 mgを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
クロロゲン酸:クエルセチン:ミリセチンの重量比が約1:3:3である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
医薬的に許容される担体を、請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成物と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項6】
消耗し得る担体を、請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成物と組み合わせて含むダイエット用サプリメント。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成物を含む食品添加物。
【請求項8】
消耗し得る担体を、請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成物と組み合わせて含む食品。
【請求項9】
消耗し得る担体が、クッキー、ナッツ入りチョコレートクッキー、クラッカー、ブレクファストバー、エナジーバー、穀物食またはケーキである、請求項8に記載の食品。
【請求項10】
消耗し得る担体が飲料である、請求項8に記載の食品。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成物を対象に投与することを含む、糖尿病または肥満症を治療または予防する方法。
【請求項12】
前記の組成物を1日に少なくとも750 mg投与する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
クエルセチン、ミリセチンおよびクロロゲン酸を含む組成物の有効量を食品に添加することを含む、炭水化物含有食品のグリセミック指数を低下させる方法。
【請求項14】
食品が飲料であり、前記の組成物が該飲料1mlにつき約0.5mg〜約1.5 mg飲料に添加される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
食品がベークされたものであり、前記の組成物が該ベークされたもの1gにつき約2.5 mg〜約10 mgの量でベークされたものに添加される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記の組成物におけるクロロゲン酸:クエルセチン:ミリセチンの重量比が約1:3:3である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
クエルセチン、ミリセチンおよびクロロゲン酸を含む組成物の有効量を含む、炭水化物含有食品のグリセミック指数を低下させるためのダイエット用サプリメント。
【請求項18】
前記の組成物が、クエルセチン約50 mg〜約500 mg、ミリセチン約50mg〜約500 mgおよびクロロゲン酸約5mg〜約150 mgを含む、請求項17に記載のダイエット用サプリメント。
【請求項19】
前記の組成物中のクロロゲン酸:クエルセチン:ミリセチンの重量比が約1:3:3である、請求項17に記載のダイエット用サプリメント。

【公表番号】特表2010−522185(P2010−522185A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554635(P2009−554635)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/056474
【国際公開番号】WO2008/115723
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(509261360)エーティーエム メタボリックス エルエルエルピー (1)
【氏名又は名称原語表記】ATM METABOLICS LLLP
【住所又は居所原語表記】6039 Cypress Gardens Boulevard, #238, Winter Haven, Florida 33884 U.S.A.
【Fターム(参考)】