説明

糖脂質誘導体及びその製造法並びにそれらの合成中間体及びその製造法

【課題】スフィンゴシン塩基部分の置換基が炭素鎖の短いアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基等である新規な糖脂質誘導体及びそれらを経済的に量産する効率的な製造方法並びにこれらの化合物を製造するために有用な中間体の提供。
【解決手段】式(I):


(式中、R3は置換もしくは非置換の炭素数1〜7の鎖状アルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示し、R8は置換もしくは非置換の炭素数1から35のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示す)で表される糖脂質誘導体を化学的に合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な糖脂質誘導体及びその製造法並びにそれらの合成中間体及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
自己免疫疾患とは、臓器細胞であれ神経細胞であれ、「自己の細胞の破壊がきっかけとなり、破壊された細胞又はその成分に対する自己抗体ができ、自己の白血球による破壊が継続する疾患」と定義されている。また、代表的な自己免疫疾患としては、例えば多発性硬化症、重症筋無力症、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、インシュリン依存性糖尿病、特発性血小板減少性紫斑病、橋本病、バセドウ病、悪性貧血、アジソン病、萎縮性胃炎、溶血性貧血、潰瘍性大腸炎等が知られている。
【0003】
自己免疫疾患の治療にはステロイドホルモン剤、免疫抑制剤等が広く使用されているが、使用に際しては副作用の発現に十分な注意が必要であり、未だ安全で有効性の高い薬剤は見出されていない。一方、自己免疫疾患の成因に関しては、T細胞の関与が指摘されており、ヘルパーT細胞1型(Th1)/ヘルパーT細胞2型(Th2)免疫バランスが崩れたときに起こると考えられている。例えば自己免疫疾患の一つである多発性硬化症の再発に先行してTh1型のサイトカインであるIFN-γ、IL-12等の産生亢進が見られ、IFN-γの投与は多発性硬化症の再発頻度を増加させることが報告されている。即ち、多発性硬化症等の自己免疫疾患の病態においては、Th1/Th2免疫バランスのTh1への偏倚が中心的な役割を演じていると考えることができる(P. Kidd, Altern. Med. Rev. 2003, 8, 223:山村隆、脳神経、2001, 53, 707)。一方、Th1/Th2免疫バランスをTh2へ偏倚させるTh2型サイトカインとしては、IL-4, IL-5, IL-10が知られているものの、それ自体の投与では全身性の副作用の発現が懸念され、臨床適応することは実質的には不可能と考えられる。
【0004】
NKT細胞はNK細胞のマーカー(NKT受容体)とT細胞抗原受容体(TCR)の両方を発現するリンパ球であり、T細胞が主要組織適合抗原(MHC)に結合したペプチドを認識するのに対し、NKT細胞はCD1d分子に結合した糖脂質を認識し、TCRからの刺激が入ると極めて短時間で大量のサイトカインを産生する。
【0005】
例えば、式(XIV):
【化1】

で表される(2S,3S,4R)-1-O-(α-D-ガラクトシル)-2-(N-ヘキサコサノイルアミノ)-1,3,4-オクタデカントリオール(α-GalCer)は、樹状細胞(dendritic cell)上に発現する多様性の無いCD1dにより提示され、均一なα鎖(Vα14)を有するT細胞受容体を発現するNKT細胞を活性化させるリガンドとして報告された初めての物質であり、強力な抗腫瘍活性や免疫賦活作用を有することが明らかにされている(T. Kawanoら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 1998, 95, 5690参照)。最近、山村らが発見した新規な糖脂質OCHは、α-GalCerのスフィンゴシン塩基部分の炭素鎖を短くした誘導体であり、同じくCD1dに結合しNKT細胞を活性化させるリガンドであるが、α-GalCerがNKT細胞のIFN-γとIL-4産生を亢進させるのに対して、OCHはIL-4をより選択的に産生亢進し、Th1/Th2免疫バランスをTh2へ偏倚させる(K. Miyamotoら、Nature 2001, 413, 531参照)。また、マウス実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルにおいて経口投与で有効性を示すことから、自己免疫疾患領域における新しい薬剤になることが期待されている。α-GalCerに代表される糖脂質の製造法としては、スフィンゴシン塩基部分の炭素鎖の導入工程においてWittig反応を鍵反応として用いる方法が一般的である(M. Moritaら、J. Med. Chem. 1995, 38, 2176参照)。しかしながら、式(I)で表される糖脂質はα-GalCerのスフィンゴシン塩基の炭素鎖を短くした誘導体であるため、α-GalCerと同様な製造法では低収率であることが分かった。また、初期にはイオン交換樹脂やHPLCによる精製を行った後に凍結乾燥によって式(I)で表される糖脂質を得ていた。しかしながら、上記の方法では、大量合成時に大規模な設備が必要になるため、合成コスト上問題であるばかりでなく、製品の品質が一定しないという大きな問題があった。従って、式(I)で表される化合物を量産する効率的な製造法は未だ知られていなかった。更に、スフィンゴシン塩基部分の置換基が置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基である糖脂質の合成に関しては、未だ報告が無かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のような背景下に、本発明は自己免疫疾患の治療に有用な免疫抑制作用を有する新規糖脂質及びそれらを経済的に量産する効率的な製造法を提供することを目的とする。本発明はまた物性の改善された品質の良好な糖脂質を提供することを目的とする。本発明は更にこれらの化合物を製造するために有用な合成中間体及びその製造法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、式(I):
【化2】

(式中、R3は置換もしくは非置換の炭素数1〜7の鎖状アルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示し、R8は置換もしくは非置換の炭素数1〜35のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示す)
で表されるスフィンゴシン塩基部分の置換基が置換もしくは非置換の炭素鎖の短い鎖状アルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基である糖脂質の効率的な合成に成功し、更に式(I)で表される糖脂質の水和物が物性の改善された安定した結晶として得られることを見出し、本発明の目的を達成するに到った。
【0008】
即ち、本発明に従えば、式(II):
【化3】

(式中、R1及びR2は、独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示すか、又はR1及びR2は一緒になってそれらが結合する環状構造となるプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基もしくはヘキシレン基を示す)
で表される化合物に、式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId):
(R3)2CuM, R3M/CuX, R3M/BF3, R3M
(IIIa) (IIIb) (IIIc) (IIId)
(式中、R3は置換もしくは非置換の炭素数1〜7の鎖状アルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示し、MはLi、MgCl、MgBr又はMgIを示し、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はフッ素原子を示す)
で表されるアルキル金属試薬の何れか一つを作用させて、式(IV):
【化4】

(式中、R1、R2及びR3は前記定義の通りである)
で表される化合物とし、この式(IV)で表される化合物にハロゲン化アルキルスルホニル、ハロゲン化アリールスルホニル、ハロゲン化アラルキルスルホニル、アルキルスルホン酸無水物、アリールスルホン酸無水物又はアラルキルスルホン酸無水物を作用させて、式(V):
【化5】

(式中、R1、R2及びR3は前記定義の通りであり、R4はアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基又はアラルキルスルホニルオキシ基を示す)
で表される化合物とし、この式(V)で表される化合物にアジド化剤を作用させて、式(VIa):
【化6】

(式中、R1、R2及びR3は前記定義の通りである)
で表される化合物とし、この式(VIa)で表される化合物のアセタール基を脱保護するか、或いは式(V)で表される化合物のアセタール基を脱保護して、式(VIb):
【化7】

(式中、R3及びR4は前記定義の通りである)
とし、この式(VIb)で表される化合物にアジド化剤を作用させて、式(VII):
【化8】

(式中、R3は前記定義の通りである)
で表される化合物とし、この式(VII)で表される化合物を再度アセタール化して、式(VIIIa):
【化9】

(式中、R3は前記定義の通りであり、R5及びR6は、独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示すか、又はR5及びR6は一緒になってそれらが結合する環状構造となるプロピレン基、ブチレン基もしくはペンチレン基を示す)
で表される化合物とするか、又は式(VII)で表される化合物の2つの2級水酸基が保護された式(VIIIb):
【化10】

(式中、R3は前記定義の通りであり、R7はベンジル基、p-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、p-ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基又はジ(p-ニトロフェニル)メチル基を示す)
で表される化合物とし、前記式(VIIIa)又は(VIIIb)で表される化合物に、式(IX):
【化11】

(式中、R7及びXは前記定義の通りである)
で表される化合物を作用させて、式(Xa)又は(Xb):
【化12】

(式中、R3、R5、R6及びR7は前記定義の通りである)
で表される化合物とし、この式(Xa)又は(Xb)で表される化合物のアジド基をアミノ基に還元して、式(XIa)又は(XIb):
【化13】

(式中、R3、R5、R6及びR7は前記定義の通りである)
で表される化合物とし、この式(XIa)又は(XIb)で表される化合物のアミノ基をアシル化して、式(XIIa)又は(XIIb):
【化14】

(式中、R3、R5、R6及びR7は前記定義の通りであり、R8は置換もしくは非置換の炭素数1〜35のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示す)
で表される化合物とし、この式(XIIa)で表される化合物のアセタールを脱保護して、式(XIII):
【化15】

(式中、R3、R7及びR8は前記定義の通りである)
で表される化合物とし、前記式(XIIb)又は(XIII)で表される化合物の残りの保護基を脱保護する式(I):
【化16】

(式中、R3及びR8は前記定義の通りである)
で表される糖脂質誘導体の製造法が提供される。
【0009】
本発明に従えば、また前記式(VII)、式(VIIIa)、式(VIIIb)、式(Xa)又は(Xb)、式(XIa)又は(XIb)、式(XIIa)又は(XIIb)及び式(XIII)の各化合物が提供される。
【0010】
本発明に従えば、更に、前記式(I)において、R3が置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示し、R8が−(CH2)m−CH3(mは10〜25の整数を示す)、アルキル基、アルコキシ基、アミド基で置換もしくは非置換のC6〜C35のアリール基、又はアルキル基、アルコキシ基、アミド基で置換された又は非置換のC7〜C35のアラルキル基を表す新規糖脂質が提供される。
【0011】
本発明に従えば、更にまた、前記式(I)において、R3が−(CH2)n−CH3(nは0及び4〜6の整数を示す)、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示し、R8が−(CH2)m−CH3(式中、mは10〜25の整数を示す)、アルキル基、アルコキシ基、アミド基で置換されていてもよいC6〜C35のアリール基、又はアルキル基、アルコキシ基、アミド基で置換されていてもよいC7〜C35のアラルキル基を表す糖脂質を有効成分として含むTh1/Th2免疫バランスがTh1に偏倚した疾患又はTh1細胞が病態を悪化させる疾患の治療薬又はTh2型サイトカイン産生誘導剤が提供される。Th2型サイトカインとは、IL-4, IL-5, IL-10等のTh1/Th2免疫バランスをTh2に偏倚させるサイトカインである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
式(I)で表される糖脂質は、本発明によれば以下に示す方法により合成することができる。それらの方法を順次説明する。
先ず、前記出発物質(II)は、以下に反応式に示すように、公知の出発物質(XV)より、化合物(XVI)を得、次いで化合物(XVII)へ変換後、化合物(II)を得る(工程1)。この化合物(II)と有機金属試薬(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)又は(IIId)との反応により化合物(IV)を得(工程2)、化合物(V)を経由して化合物(VIa)又は(VIb)へ変換し(工程3)、これらの化合物(VIab)から化合物(VII)を得、そして化合物(VIIIa)又は(VIIIb)へ変換する(工程4)。次に、この化合物(VIIIa)又は(VIIIb)と化合物(IX)との反応により、化合物(Xa)又は(Xb)を得(工程5)、化合物(Xa)又は(Xb)から化合物(XIa)又は(XIb)を得、化合物(XIIa)又は(XIIb)へ変換し(工程6)、そして化合物(XIIa)から誘導される化合物(XIII)又は工程6で得られた(XIIb)より目的とする化合物(I)が得られる(工程7)。以下、これらの工程1〜工程7を詳しく説明する。
【0013】
工程1
公知の出発原料D-アラビトール(XV)から、式(II)の化合物を合成することができる。
【化17】

式中、R1及びR2は、独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示すか、又はR1及びR2は一緒になってそれらが結合する環状構造となるプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基もしくはヘキシレン基を示し、R9はアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基又はアラルキルスルホニルオキシ基を示す。ここで好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン置換したメチル基などのC1〜C4アルキル基(好ましいハロゲンとしてはフッ素原子、塩素原子)が挙げられる。アルキル基の好ましい置換基としては、ハロゲン原子の他、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基などがあげられる。好ましいアリール基としては、炭素数6〜12のアリール基で具体的にはフェニル基、p-トリル基、m-トリル基、o-トリル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-フェニルフェニル基、4-イソプロピルフェニル基などがあげられ、これらはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、メトキシ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基などの基で置換されていてもよく、具体的には4-メトキシフェニル基、4-クロロフェニル基、2,5-ジクロロフェニル基、4-フルオロフェニル基、4-ブロモフェニル基、4-ニトロフェニル基、3-ニトロフェニル基、2-ニトロフェニル基、4-シアノ基、4-トリフルオロメチル基などが挙げられる。
【0014】
上記反応において、式(XV)で表されるD-アラビトールはアセタール化反応を用いて式(XVI)で表される化合物を製造することができる。この化合物(XVI)の合成は、「Compendium for Organic Synthesis」(Wiley−Interscience;A Division of John Wiely & Sons社)等に記載の多様な方法を利用することができる。一例を挙げれば、化合物(XV)をベンゼン、トルエン、ジオキサン、クロロホルム等の反応に関与しない溶媒中、例えば−20℃〜100℃、好ましくは0〜80℃で1〜30当量の酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸又は塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸の存在下、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、フェニルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p-トルアルデヒド、4-フルオロベンズアルデヒド、2-ナフチルアルデヒド等と反応させる方法を利用することができる。
【0015】
上記の方法により得られた化合物(XVI)は、そのまま化合物(XVII)を製造するための原料として用いることもできるが、必要に応じて一般に用いられる精製方法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーにより精製してから利用してもよい。
【0016】
次に、化合物(XVI)を塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル等の不活性溶媒中、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の塩基の存在下、例えば−20℃〜100℃、好ましくは−10℃〜80℃で、1〜5当量の塩化メタンスルホニル、メタンスルホン酸無水物、塩化エタンスルホニル、塩化1-プロパンスルホニル、塩化1-ブタンスルホニル、塩化トリフルオロメタンスルホニル、塩化α-トルエンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、塩化p-トルエンスルホニル、塩化m-トルエンスルホニル、塩化o-トルエンスルホニル、p-トルエンスルホン酸無水物、塩化4-メトキシベンゼンスルホニル、塩化4-クロロベンゼンスルホニル、塩化2,5-ジクロロベンゼンスルホニル、塩化4-ブロモベンゼンスルホニル、塩化4-フルオロベンゼンスルホニル、フッ化2-ニトロベンゼンスルホニル、塩化3-ニトロベンゼンスルホニル、塩化4-ニトロベンゼンスルホニル、塩化4-tert-ブチルベンゼンスルホニル、塩化2-ニトロ-α-トルエンスルホニル、フッ化α-トルエンスルホニル等のスルホニル化剤と1〜72時間反応させることにより、化合物(XVII)を得ることができる。この際、驚くべきことに触媒量(例えば化合物(XVI)1モル当り0.01〜2モル)のジn-ブチルスズオキシドを加えることにより、化合物(XVI)の一級水酸基が選択的にスルホニル化され、反応が短時間で進行することが分かった。
【0017】
上記の方法により得られた化合物(XVII)は、そのまま化合物(II)を製造するための原料として用いることもできるが、必要に応じて一般に用いられる精製方法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーにより精製してから利用してもよい。
【0018】
化合物(XVII)は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の不活性溶媒中、例えば−20℃〜120℃、好ましくは−10℃〜80℃でナトリウム、カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエチラート、カリウムtert−ブトキシド等の塩基で、処理することにより、化合物(II)を得ることができる。
【0019】
本工程により得られた化合物(II)は、そのまま次工程の原料として用いることもできるが、必要に応じて一般に用いられる精製方法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーにより精製してから利用してもよい。
【0020】
工程2
工程1で得られた式(II)で表される化合物に、式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)又は(IIId)で表される有機金属試薬を反応させることにより、式(IV)で表される化合物を得ることができる。
【化18】

式中、R1及びR2は前記定義の通りであり、R3は置換又は非置換の炭素数1〜7の鎖状アルキル基(好ましい置換基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソブチル基、シクロヘプチル基、イソペンチル基、イソヘキシル基などがあげられる)、置換又は非置換の、好ましくは炭素数3〜8のシクロアルキル基、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基を示し(好ましい置換基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、メトキシ基、塩素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基などがあげられる)、置換又は非置換の、好ましくは炭素数6〜18のアリール基、例えばフェニル基、ピリジル基、ナフチル基を示し(好ましい置換基としてはメチル基、エチル基、メトキシ基、フッ素原子、塩素原子、フェニル基、2-フルオロフェニル基、フェノキシ基、フェニルメチル基、シクロペンチル基、シクロペンチルオキシ基、トリフルオロメチル基、アシルアミノ基、シアノ基、シクロヘプチル基、シクロヘプチルオキシ基などがあげられる)、置換又は非置換の、好ましくは炭素数7〜18のアラルキル基、例えばフェニルメチル基、フェニルエチル基、ピリジルメチル基、ナフリルメチル基を示し(好ましい置換基としてはフッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、シクロペンチル基、シクロペンチルオキシ基などがあげられる)、MはLi、MgCl、MgBr、MgIを示し、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子を示す。
【0021】
即ち、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)又はフッ化ホウ素の存在下又は非存在下、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン等の不活性溶媒又はそれらの混合溶媒中、例えば−78℃〜0℃、好ましくは−50℃〜−10℃で、化合物(II)に対して1〜6当量のアルキルリチウム試薬又はGrignard試薬を加え、同温度で1〜5時間攪拌する。その中に化合物(II)を加え、更に1〜5時間攪拌することにより、目的とする化合物(IV)を得ることができる。
上記の方法により得られた化合物(IV)は、そのまま化合物(V)を製造するための原料として用いることもできるが、必要に応じて一般に用いられる精製方法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーにより精製してから利用してもよい。
【0022】
工程3
工程2で得られた式(IV)で表される化合物は化合物(V)に変換後、アジド化反応を行うことにより、式(VIa)で表される化合物を得ることができる。
【0023】
また、化合物(V)を脱アセタール化して式(VIb)で表される化合物を得ることができる。
【化19】

式中、R1、R2及びR3は前記定義の通りであり、R4はアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基又はアラルキルスルホニルオキシ基を示す。
【0024】
化合物(IV)を無溶媒条件下、又は塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル等の不活性溶媒中、例えば−20℃〜100℃、好ましくは−10℃〜80℃で、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の塩基の存在下、1〜5当量の塩化メタンスルホニル、メタンスルホン酸無水物、塩化エタンスルホニル、塩化1-プロパンスルホニル、塩化1-ブタンスルホニル、塩化トリフルオロメタンスルホニル、塩化α-トルエンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、塩化p-トルエンスルホニル、p-トルエンスルホン酸無水物、塩化4-メトキシベンゼンスルホニル、塩化4-クロロベンゼンスルホニル、塩化2-ニトロベンゼンスルホニル、塩化3-ニトロベンゼンスルホニル、塩化4-ニトロベンゼンスルホニル、塩化2-ニトロ-α-トルエンスルホニル、フッ化α-トルエンスルホニル等のスルホニル化剤と、例えば1〜72時間反応させることにより、化合物(V)を得ることができる。
【0025】
本反応により得られた化合物(IV)は、そのまま化合物(V)を製造するための原料として用いることもできるが、必要に応じて一般に用いられる精製方法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーにより精製してから利用してもよい。
【0026】
次に、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の不活性溶媒中、例えば0〜200℃、好ましくは20〜120℃で、化合物(V)を1〜50当量のアジ化ナトリウム、アジ化リチウムと反応させることにより、化合物(VI)を得ることが出来る。この際、本反応においては、必要に応じてトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の塩基を添加してもよい。
【0027】
また、化合物(V)を常法により脱アセタール化して化合物(VIa)を得ることが出来る。脱アセタールの条件は、「Protective Groups In Organic Synthesis」(John Wiley & Sons社)等に記載の多彩な方法を用いることができる。例えば、化合物(V)を塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の無機酸又は有機酸とメタノール、エタノール、2−プロパノール、ジオキサン、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性溶媒の混合液中、−20〜100℃、好ましくは0〜50℃で、攪拌することにより、化合物(VIa)を得ることができる。更に、化合物(V)においてR1とR2の両方又は何れか一方の置換基が置換されていてもよいアリール基を表わす場合、メタノール、エタノール、2-プロパノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等の反応に関与しない溶媒中、Pd-C、Pd(OH)2、PtO2等の存在下、4-メチルシクロヘキセンを加えて加熱還流するか、又は室温で水素添加することにより、化合物(VIa)を得ることができる。
【0028】
工程4
工程3で得られた式(VIa)で表される化合物を脱アセタール化するか、或いは式(VIb)で表される化合物へのアジド化反応により化合物(VII)を得、改めてアセタール化することにより、式(VIIIa)で表される化合物を得ることができる。また、化合物(VII)の一級水酸基を選択的にトリチル化した後、残りの水酸基をアリールメチルエーテル誘導体に変換し、脱トリチル化することにより、化合物(VIIIb)を得ることができる。
【0029】
【化20】

(式中、R1、R2及びR3は前記定義の通りであり、R5及びR6は、独立に、水素原子、置換又は非置換の、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基(好ましい置換基はフッ素原子、メトキシ基などをあげることができる)、置換又は非置換の炭素数6〜12のアリール基(例えば、フェニル基、p-トリル基、m-トリル基、ナフチル基)、置換又は非置換の、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基(好ましい置換基はメチル基、エチル基、フッ素原子、メトキシ基などをあげることができる)を示すか、又はR5及びR6は一緒になってそれらが結合する環状構造となるプロピレン基、ブチレン基又はペンチレン基を示し、R7はベンジル基、p-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、p-ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基又はジ(p-ニトロフェニル)メチル基を示す。
【0030】
先ず、化合物(VIa)を常法により脱アセタール化して化合物(VII)を得る。脱アセタールの条件は、「Protective Groups In Organic Synthesis」(John Wiley & Sons社)等に記載の多くの方法を用いることができる。例えば、化合物(VI)を塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の無機酸又は有機酸とメタノール、エタノール、2−プロパノール、ジオキサン、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性溶媒の混合液中、例えば−10℃〜100℃、好ましくは0〜50℃で、攪拌することにより、化合物(VII)を得ることができる。
【0031】
また、化合物(VIb)に対して、工程3の化合物(V)から化合物(VIa)への変換と同様のアジド化反応を行うことにより、式(VII)で表される化合物を得ることができる。即ち、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の不活性溶媒中、化合物(VIb)を1〜50当量のアジ化ナトリウム、アジ化リチウムと0〜200℃、好ましくは20〜120℃で、反応させることにより、化合物(VII)を得ることができる。この際、本反応においては、必要に応じてトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の塩基を添加してもよい。
【0032】
本反応により得られた化合物(VII)は、そのまま化合物(VIIIa)又は(VIIIb)を製造するための原料として用いることもできるが、必要に応じて一般に用いられる精製方法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーにより精製してから利用してもよい。
次に、化合物(VII)に対してアセタール化反応を行うことにより、化合物(VIIIa)を得ることができる。アセタール化の条件は、「Protective Groups In Organic Synthesis」(John Wiley & Sons社)等に記載の多くの方法を用いることができる。即ち、化合物(VII)を有機酸又は無機酸の存在下、無溶媒条件下、又はジエチルエーテル、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性溶媒中、例えば0〜200℃、好ましくは20〜120℃で、アセタール化試薬と反応させることにより、化合物(VIIIa)を得ることができる。この際、アセタール化試薬としては、アセトン、2,2-ジメトキシプロパン、2-メトキシプロペン、2-エトキシプロペン、ベンズアルデヒド、ベンズアルデヒドジメチルアセタール、シクロヘキサノン、シクロヘキサノンジメチルアセタール、シクロペンタノン、シクロペンタノンジメチルアセタール等を用いることができる。
【0033】
また、化合物(VII)の一級水酸基をトリチル化、続いて他の二級水酸基をアリールメチル化した後、脱トリチル化することにより、化合物(VIIIb)を得ることができる。トリチル化の条件としては、例えば0.8〜2当量の臭化トリチル又は塩化トリチルを、ジエチルエーテル、テトラヒフドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の不活性溶媒中、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウム、カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ルチジン等の塩基存在下、例えば−50℃〜120℃、好ましくは−20℃〜80℃で反応させる条件が挙げられる。また、アリールメチル化剤としては、塩化ベンジル、臭化ベンジル、p-メトキシベンジルクロリド、m-メトキシベンジルクロリド、p-ニトロベンジルクロリド、p-ニトロベンジルブロミド等が挙げられ、アリールメチル化の反応条件としては上記のトリチル化の条件を用いることができる。また、脱トリチル化の条件としては、「Protective Groups In Organic Synthesis」(John Wiley & Sons社)等に記載の多彩な方法を用いることができ、例えば、無溶媒条件下、又は塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジオキサン、水、メタノール、エタノール、2-プロパノール、tert-ブタノール等の溶媒中、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、硝酸等の酸又は硫酸銅(II)の存在下、例えば−50℃〜150℃、好ましくは−20℃〜100℃で反応させる条件が挙げられる。
【0034】
本反応により得られた化合物(VIIIa)又は(VIIIb)は、そのまま化合物(Xa)又は(Xb)を製造するための原料として用いることもできるが、必要に応じて一般に用いられる精製方法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーにより精製してから利用してもよい。
【0035】
工程5
工程4で得られた式(VIIIa)又は(VIIIb)で表される化合物の化合物(IX)とのグリコシデーション反応により、化合物(Xa)又は(Xb)を得ることができる。
【化21】

式中、R3、R5、R6、R7及びXは前記定義の通りである。
【0036】
即ち、化合物(VIIIa)又は(VIIIb)を、ヘキサン、シクロヘキサン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、エーテル、テトラヒフドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド等の不活性溶媒又はそれらの混合液中、三フッ化ホウ素、過塩素酸銀、塩化スズ(II)、四塩化チタン、四塩化スズ等のLewis酸又は臭化テトラn-ブチルアンモニウム等のハロゲン化アンモニウム塩存在下、例えば−100℃〜50℃、好ましくは−78℃〜30℃で、化合物(IX)と反応させることにより、化合物(Xa)又は(Xb)を得ることができる。本反応に用いるLewis酸やハロゲン化アンモニウム塩は単独又は複数の組み合わせでもよく、また、その際に必要に応じてモレキュラーシーブを添加してもよい。
【0037】
本反応により得られた化合物(Xa)又は(Xb)は、そのまま次工程の原料として用いることもできるが、必要に応じて一般に用いられる精製方法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーにより精製してから利用してもよい。
【0038】
工程6
工程5で得られた式(Xa)又は(Xb)で表される化合物のアジド基をアミノ基に還元して化合物(XIa)又は(XIb)を得、続くカルボン酸誘導体とのアミド化反応により、化合物(XIIa)又は(XIIb)を得ることができる。
【化22】

式中、R3、R5、R6、R7及びXは前記定義の通りであり、R8は置換又は非置換の炭素数1〜35のアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアラルキル基を示す。
【0039】
先ず、アジド基をアミノ基に選択的に還元する反応においては、化合物(Xa)又は(Xb)を、亜鉛/塩酸、水素化リチウムアルミニウム等の金属試薬やトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン等のトリアリールフォスフィン或いはトリアルキルフォスフィンで処理するか、或いはPd-C、Pd-CaCO3-Pb、Pd-BaSO4、PtO2等の存在下、室温で水素添加することにより、化合物(XIa)又は(XIb)へ変換することができる。
【0040】
次に、得られた化合物(XIa)又は(XIb)をカルボン酸とのアミド化反応により、化合物(XIIa)又は(XIIb)に誘導することができる。アミド化反応は、「Compendium for Organic Synthesis」(Wiley−Interscience;A Division of John Wiely & Sons社)等に記載の多くの方法を利用することができる。一例を挙げれば、化合物(XIa)又は(XIb)を、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、テトラヒフドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド等の不活性溶媒中、カルボン酸の活性化剤存在下、例えば-50℃〜120℃、好ましくは-20℃〜80℃で、対応するカルボン酸と反応させることにより、化合物(XIIa)又は(XIIb)が得られる。カルボン酸の活性化試薬としては、四塩化ケイ素、無水酢酸、塩化アセチル、クロル炭酸エチル、ヨウ化2-ヨード-1-メチルピリジニウム、ヨウ化2-クロロ-1-メチルピリジニウム、ジフェニルホスフィニルクロライド、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール/DCC、塩酸1-エチル-3-(3-ジエチルアミノプロピル)カルボジイミド、エトキシアセチレン、トリメチルシリルエトキシアセチレン、カルボジイミダゾール、ジフェニルホスホリルアジド、ジエチルホスホリルシアニデート等が挙げられる。また、必要に応じてp-トルエンスルホン酸、ポリリン酸等の酸又はトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン、2,6-ルチジン等の塩基を加えても良い。
【0041】
本反応により得られた化合物(XIa)又は(XIb)並びに化合物(XIIa)又は(XIIb)は、そのまま次工程の原料として用いることもできるが、必要に応じて一般に用いられる精製方法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーにより精製してから利用してもよい。
【0042】
工程7
工程6で得られた式(XIIa)で表される化合物を脱アセタール化して化合物(XIII)を得、脱アリールメチル化することにより、化合物(I)を得ることができる。また、式(XIIb)で表される化合物を脱アリールメチル化することによっても、同様に化合物(I)を得ることができる。
【化23】

式中、R3、R5、R6、R7及びR8は前記定義の通りである。
【0043】
脱アセタール化及び脱アリールメチル化の条件としては、「Protective Groups In Organic Synthesis」(John Wiley & Sons社)等に記載の多彩な方法を用いることができる。例えば、脱アセタール化の条件としては、工程4の中で示した方法により、実施可能である。また、脱アリールメチル化の条件としては、メタノール、エタノール、2-プロパノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等の反応に関与しない溶媒中、Pd-C、Pd(OH)2、PtO2等の存在下、4-メチルシクロヘキセンを加えて加熱還流するか、或いは室温で水素添加する条件が挙げられる。
【0044】
本反応により得られた化合物化合物(XIIa)は、そのまま化合物(XIII)の製造原料として用いることもできるが、必要に応じて一般に用いられる精製方法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーにより精製してから利用してもよい。また、本反応により得られた化合物(I)は、必要に応じて一般に用いられる精製方法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーにより精製することができる。
【0045】
本発明の式(I)において、R3が−(CH2)n−CH3(nは0及び4〜6の整数を示す)、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基又は置換又は非置換のアラルキル基を示し、R8が−(CH2)m−CH3(式中、mは10〜25の整数を示す)、アルキル基、アルコキシ基、アミド基で置換された又は非置換のC6〜C35のアリール基、又はアルキル基、アルコキシ基、アミド基で置換された又は非置換のC7〜C35のアラルキル基を表す糖脂質、並びに式(I)中、R3が−(CH2)n−CH3(nは0〜6の整数を表す)、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアラルキル基を表し、R8が−(CH2)m−CH3(mは10〜25の整数を表す)を表す糖脂質の水和物は、Th1/Th2免疫バランスがTh1に偏倚した疾患又はTh1細胞が病態を悪化させる疾患の治療薬の有効成分として有用であり、またTh2型サイトカイン産生誘導剤の有効成分としても有用である。
【0046】
本発明の式(I)の糖脂質は、低毒性であり、例えば化合物107を5週齢のマウスに投与した実験では、一回あたり300μg/kgの週2回、4ヶ月にわたる腹腔内投与を受けた10例全例が生存していた。本発明の化合物(I)の製造においては、従来のα-GalCerと同様にスフィンゴシン塩基部分の炭素鎖の導入工程をWittig反応で実施した場合、低収率であり、実用的な合成法には成りえなかった。本発明では、エポキシ中間体への有機金属試薬を用いる付加反応により、スフィンゴシン塩基部分の炭素鎖の導入を効率的に行っており、式(I)で表されるスフィンゴシン塩基部分の置換基が置換もしくは非置換の炭素鎖の短い鎖状アルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基である糖脂質を簡便に高収率で製造することができる。また、本発明の式(I)の糖脂質の水和物においては、物性及び品質の改善が見られた。例えば、化合物107は明確な融点を示さずに120℃又はそれ以上で徐々に融解し、示差走査熱量分析(DSC)や粉末X線結晶解析においても結晶性を示さないが、化合物107の一水和物である化合物129においては、融点が142〜145℃であり、示差走査熱量分析(DSC)や粉末X線結晶解析において明確な結晶性を示すことが分った。即ち、本発明に従えば品質の一定した製品を大量に安定供給することが可能である。本発明の糖脂質(I)は、それ自体単独で投与しても良いが、所望により他の通常の薬理学的に許容される汎用の担体と共に、目的とする製剤に調製することができる。即ち糖脂質(I)を有効成分として単独、又は汎用の賦形剤と共にカプセル剤、錠剤、注射剤等の適宜な剤形として、経口的又は非経口的に投与することができる。
本発明のTh1/Th2免疫バランスがTh1に偏倚した疾患又はTh1細胞が病態を悪化させる疾患の治療薬又はTh2型サイトカイン産生誘導剤としての投与量は、患者の症状、年齢、投与経路、剤形、投与回数等に依存するが、通常、0.001mg〜5000mg/日/人、好ましくは0.01mg〜500mg/日/人である。
【実施例】
【0047】
以下、参考例及び実施例に基づいて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものではないことはいうまでもない。
【0048】
参考例1:1,3−O−ベンジリデン−5−O−[(4−メチルフェニル)スルフォニル]−D−アラビトール(化合物1)の合成
D−アラビトール及びベンズアルデヒドより合成可能な1,3−O−ベンジリデン−D−アラビトール(R. Wildら, Liebigs Ann. Org. Bioorg. Chem. 1995, 5, 755−764)(34.0g, 141mmol)の塩化メチレン(1.2L)懸濁液に、氷冷下、酸化ジブチルすず(702mg, 2.82mmol)、塩化p−トルエンスルホニル(27.0g, 141mmol)を少量ずつ、更にトリエチルアミン(19.7ml, 141mmol)を加え、0℃〜室温で21時間攪拌した。反応混合物を濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(塩化メチレン:メタノール=20:1)にて精製することにより、表題化合物55.3g(収率99%)を得た。
【0049】
参考例2:4,5−アンハイドロ−1,3−O−ベンジリデン−D−アラビトール(化合物2)の合成
参考例1で合成した化合物1 (51.1g, 130mmol)の脱水テトラハイドロフラン(800ml)溶液に、氷冷下カリウムt−ブトキシド(18.1g, 161mmol)を加え、0℃〜室温で38時間攪拌した。反応混合物に水を加え、生成物を酢酸エチルで抽出(3回)、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)にて精製することにより、表題化合物26.2g(収率92%)を得た。
【0050】
実施例1:1,3−O−ベンジリデン−D−アラビノ−1,2,3,4−ノナンテトラオール(化合物3)の合成
ヨウ化銅(I) (42.9g, 225mmol)の脱水テトラハイドロフラン(560ml)懸濁液に、2.64M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(341ml, 900mmol)を−40℃で滴下し、−30℃〜−10℃で30分〜2時間攪拌した。次いで、実施例2で合成した化合物2 (50.0g, 225mmol)の脱水テトラハイドロフラン(400ml)溶液を−40℃で滴下し、−30℃〜−20℃で約3時間攪拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、生成物を酢酸エチルで抽出、有機層を飽和食塩水にて洗浄、硫酸マグネシウムにて乾燥、濾過後、減圧濃縮し、表題化合物58.4g(収率93%)を得た。
【0051】
実施例2:1,3−O−ベンジリデン−D−アラビノ−1,2,3,4−オクタンテトラオール(化合物4)の合成
化合物2と2M 臭化プロピルマグネシウム/テトラハイドロフラン溶液を用い、化合物3の合成と同様にして表題化合物を得た。
【0052】
実施例3:1,3−O−ベンジリデン−D−アラビノ−1,2,3,4−ヘプタンテトラオール(化合物5)の合成
化合物2と1.0M臭化エチルマグネシウム/テトラハイドロフラン溶液を用い、化合物3の合成と同様にして表題化合物を得た。
【0053】
実施例4:1,3−O−ベンジリデン−D−アラビノ−1,2,3,4−ヘキサンテトラオール(化合物6)の合成
化合物2と1.0Mメチルリチウム/ジエチルエーテル溶液を用い、化合物3の合成と同様にして表題化合物を得た。
【0054】
実施例5:1,3−O−ベンジリデン−D−アラビノ−1,2,3,4−デカンテトラオール(化合物7)の合成
化合物2と2.0M臭化ペンチルマグネシウム/ジエチルエーテル溶液を用い、化合物3の合成と同様にして表題化合物を得た。
【0055】
実施例6:6−フェニル−1,3−O−ベンジリデン−D−アラビノ−1,2,3,4−ヘキサンテトラオール(化合物8)の合成
化合物2と2.0M塩化ベンジルマグネシウム/テトラハイドロフラン溶液を用い、化合物3の合成と同様にして表題化合物を得た。
【0056】
実施例7:5−シクロペンチル−1,3−O−ベンジリデン−D−アラビノ−1,2,3,4−ペンタンテトラオール(化合物9)の合成
化合物2と1.0M臭化シクロペンチルマグネシウム/テトラハイドロフラン溶液を用い、化合物3の合成と同様にして表題化合物を得た。
【0057】
実施例8:5−(4−メチルフェニル)−1,3−O−ベンジリデン−D−アラビノ−1,2,3,4−ペンタンテトラオール(化合物10)の合成
化合物2と1.0M臭化p−トリルマグネシウム/ジエチルエーテル溶液を用い、化合物3の合成と同様にして表題化合物を得た。
【0058】
実施例9:5−(2−クロロ−3−ピリジニル)−1,3−O−ベンジリデン−D−アラビノ−1,2,3,4−ペンタンテトラオール(化合物11)の合成
化合物2と1.0M塩化2−ピリジニルマグネシウム/テトラハイドロフラン溶液を用い、化合物3の合成と同様にして表題化合物を得た。
【0059】
実施例10:1,3−O−ベンジリデン−2−O−メタンスルホニル−D−アラビノ−1,2,3,4−ノナンテトラオール(化合物12)の合成
実施例1で合成した化合物3 (3.90g, 13.9mmol)の脱水ピリジン(142 ml)溶液に、−40℃で塩化メタンスルホニル(1.05ml)を滴下し、反応混合物を−40℃〜−30℃で5時間、室温で終夜攪拌した。反応混合物を濃縮、次いでトルエンを用いて共沸(2回)させた後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=3:2)にて精製することにより、表題化合物4.65g(収率93%)を得た。
【0060】
実施例11:1,3−O−ベンジリデン−2−O−メタンスルホニル−D−アラビノ−1,2,3,4−オクタンテトラオール(化合物13)の合成
実施例2で合成した化合物4より、実施例10と同様にして表題化合物を合成した。
【0061】
実施例12:1,3−O−ベンジリデン−2−O−メタンスルホニル−D−アラビノ−1,2,3,4−ヘプタンテトラオール(化合物14)の合成
実施例3で合成した化合物5より、実施例10と同様にして表題化合物を合成した。
【0062】
実施例13:1,3−O−ベンジリデン−2−O−メタンスルホニル−D−アラビノ−1,2,3,4−ヘキサンテトラオール(化合物15)の合成
実施例4で合成した化合物6より、実施例10と同様にして表題化合物を合成した。
【0063】
実施例14:1,3−O−ベンジリデン−2−O−メタンスルホニル−D−アラビノ−1,2,3,4−デカンテトラオール(化合物16)の合成
実施例5で合成した化合物7より、実施例10と同様にして表題化合物を合成した。
【0064】
実施例15:6−フェニル−1,3−O−ベンジリデン−2−O−メタンスルホニル−D−アラビノ−1,2,3,4−ヘキサンテトラオール(化合物17)の合成
実施例6で合成した化合物8より、実施例10と同様にして表題化合物を合成した。
【0065】
実施例16:5−シクロペンチル−1,3−O−ベンジリデン−2−O−メタンスルホニル−D−アラビノ−1,2,3,4−ペンタンテトラオール(化合物18)の合成
実施例7で合成した化合物9より、実施例10と同様にして表題化合物を合成した。
【0066】
実施例17:5−(4−メチルフェニル)−1,3−O−ベンジリデン−2−O−メタンスルホニル−D−アラビノ−1,2,3,4−ペンタンテトラオール(化合物19)の合成
実施例8で合成した化合物10より、実施例10と同様にして表題化合物を合成した。
【0067】
実施例18:5−(2−クロロ−3−ピリジニル)−1,3−O−ベンジリデン−2−O−メタンスルホニル−D−アラビノ−1,2,3,4−ペンタンテトラオール(化合物20)の合成
実施例9で合成した化合物11より、実施例10と同様にして表題化合物を合成した。
【0068】
実施例19:2−アジド−1,3−O−ベンジリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物21)の合成
実施例10で合成した化合物12 (4.60g, 12.8mmol)の脱水ジメチルホルムアミド(128ml)溶液に、アジ化ナトリウム(10.0g)を加え、110℃で7時間攪拌した。反応混合物に水を加え、生成物を酢酸エチルで抽出、有機層を飽和食塩水にて洗浄(2回)、硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=8:1)にて精製することにより、表題化合物1.53g(収率39%)を得た。
【0069】
実施例20:2−アジド−1,3−O−ベンジリデン−D−リボ−1,3,4−オクタントリオール(化合物22)の合成
実施例11で合成した化合物13より、実施例19と同様にして表題化合物を合成した。
【0070】
実施例21:2−アジド−1,3−O−ベンジリデン−D−リボ−1,3,4−ヘプタントリオール(化合物23)の合成
実施例12で合成した化合物14より、実施例19と同様にして表題化合物を合成した。
【0071】
実施例22:2−アジド−1,3−O−ベンジリデン−D−リボ−1,3,4−ヘキサントリオール(化合物24)の合成
実施例13で合成した化合物15より、実施例19と同様にして表題化合物を合成した。
【0072】
実施例23:2−アジド−1,3−O−ベンジリデン−D−リボ−1,3,4−デカントリオール(化合物25)の合成
実施例14で合成した化合物16より、実施例19と同様にして表題化合物を合成した。
【0073】
実施例24:6−フェニル−2−アジド−1,3−O−ベンジリデン−D−リボ−1,3,4−ヘキサントリオール(化合物26)の合成
実施例15で合成した化合物17より、実施例19と同様にして表題化合物を合成した。
【0074】
実施例25:5−シクロペンチル−2−アジド−1,3−O−ベンジリデン−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物27)の合成
実施例16で合成した化合物18より、実施例19と同様にして表題化合物を合成した。
【0075】
実施例26:5−(4−メチルフェニル)−2−アジド−1,3−O−ベンジリデン−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物28)の合成
実施例17で合成した化合物19より、実施例19と同様にして表題化合物を合成した。
【0076】
実施例27:5−(2−クロロ−3−ピリジニル)−2−アジド−1,3−O−ベンジリデン−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物29)の合成
実施例18で合成した化合物20より、実施例19と同様にして表題化合物を合成した。
【0077】
実施例28:2−アジド−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物30)の合成
実施例19で合成した化合物21 (11.4g, 37.3mmol)のメタノール(180ml)溶液に、氷冷下6N塩酸水溶液(17.8ml)を加え、室温で終夜攪拌した。反応混合物をトリエチルアミン或いは炭酸カリウムにて中和後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=15:1)にて精製することにより、表題化合物6.1g(収率79%)を得た。
【0078】
実施例29:2−アジド−D−リボ−1,3,4−オクタントリオール(化合物31)の合成
実施例20で合成した化合物22より、実施例28と同様にして表題化合物を合成した。
【0079】
実施例30:2−アジド−D−リボ−1,3,4−ヘプタントリオール(化合物32)の合成
実施例21で合成した化合物23より、実施例28と同様にして表題化合物を合成した。
【0080】
実施例31:2−アジド−D−リボ−1,3,4−ヘキサントリオール(化合物33)の合成
実施例22で合成した化合物24より、実施例28と同様にして表題化合物を合成した。
【0081】
実施例32:2−アジド−D−リボ−1,3,4−デカントリオール(化合物34)の合成
実施例23で合成した化合物25より、実施例28と同様にして表題化合物を合成した。
【0082】
実施例33:6−フェニル−2−アジド−D−リボ−1,3,4−ヘキサントリオール(化合物35)の合成
実施例24で合成した化合物26より、実施例28と同様にして表題化合物を合成した。
【0083】
実施例34:5−シクロペンチル−2−アジド−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物36)の合成
実施例25で合成した化合物27より、実施例28と同様にして表題化合物を合成した。
【0084】
実施例35:5−(4−メチルフェニル)−2−アジド−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物37)の合成
実施例26で合成した化合物28より、実施例28と同様にして表題化合物を合成した。
【0085】
実施例36:5−(2−クロロ−3−ピリジニル)−2−アジド−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物38)の合成
実施例27で合成した化合物29より、実施例28と同様にして表題化合物を合成した。
【0086】
実施例37:2−O−メタンスルホニル−D−アラビノ−1,2,3,4−ノナンテトラオール(化合物39)の合成
実施例10で合成した化合物12 (87.0mg, 0.242mmol)のエタノール(5ml)溶液に、水酸化パラジウム (45mg)を加え、常圧、室温で終夜攪拌する事により水素添加した。触媒を濾去、濾液を減圧濃縮し、表題化合物65.7mg(収率100%)を得た。
【0087】
実施例38:2−アジド−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物30)の合成
実施例37で合成した化合物39 (36.9mg, 0.136mmol)の脱水ジメチルホルムアミド(1ml)溶液に、アジ化ナトリウム(18mg)を加え、95℃で3時間攪拌した。反応混合物に水を加え、生成物を酢酸エチルで抽出、有機層を飽和食塩水にて洗浄(2回)、硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=15:1)にて精製することにより、表題化合物17.2mg(収率58%)を得た。
【0088】
実施例39:2−アジド−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物40)の合成
実施例28で合成した化合物30 (4.00g, 18.4mmol)のジメトキシプロパン(73ml)溶液に、氷冷下、p−トルエンスルホン酸一水和物(175mg, 0.92mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。次いで反応混合物にメタノールを加え、室温で1時間攪拌後、反応混合物を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製することにより、表題化合物3.61g(収率75%)を得た。
【0089】
実施例40:2−アジド−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−オクタントリオール(化合物41)の合成
実施例29で合成した化合物31より、実施例39と同様にして表題化合物を合成した。
【0090】
実施例41:2−アジド−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ヘプタントリオール(化合物42)の合成
実施例30で合成した化合物32より、実施例39と同様にして表題化合物を合成した。
【0091】
実施例42:2−アジド−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ヘキサントリオール(化合物43)の合成
実施例31で合成した化合物33より、実施例39と同様にして表題化合物を合成した。
【0092】
実施例43:2−アジド−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−デカントリオール(化合物44)の合成
実施例32で合成した化合物34より、実施例39と同様にして表題化合物を合成した。
【0093】
実施例44:6−フェニル−2−アジド−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ヘキサントリオール(化合物45)の合成
実施例33で合成した化合物35より、実施例39と同様にして表題化合物を合成した。
【0094】
実施例45:5−シクロペンチル−2−アジド−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物46)の合成
実施例33で合成した化合物35より、実施例39と同様にして表題化合物を合成した。
【0095】
実施例46:5−(4−メチルフェニル)−2−アジド−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物47)の合成
実施例34で合成した化合物36より、実施例39と同様にして表題化合物を合成した。
【0096】
実施例47:2−アジド−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物48)の合成
乾燥させたモレキュラーシーブス(4A, 粉末)(1.96g)に、実施例39で合成した化合物40 (431mg, 1.68mmol) 及びフッ化2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル(Hayashiら, Chem. Lett. 1984, 1747)(1.22g, 2.26mmol)の脱水クロロホルム(39ml)溶液を加え、室温で30分間攪拌した。次いで三フッ化ホウ素−エーテル錯体(201μl, 1.59mmol)の脱水クロロホルム(7ml)溶液を、−50℃で滴下し、反応混合物を−50℃〜−30℃で6時間、0℃で終夜攪拌した。モレキュラーシーブスを濾去後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、生成物をクロロホルムにて抽出、有機層を硫酸マグネシウムを用いて乾燥、濾過後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1〜5:1)にて精製することにより、表題化合物712mg(収率57%)を得た。
【0097】
実施例48:2−アジド−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物48)の合成
乾燥させたモレキュラーシーブス(4A, 粉末)(340mg)のトルエン(3.4ml)及びジメチルホルムアミド(1.4ml)の混合懸濁液に、実施例39で合成した化合物40 (100mg, 0.389mmol) 、2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル−α−D−ガラクトピラノースより合成可能な臭化2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル(Spohrら, Can. J. Chem.. 2001, 79, 238)(428mg, 0.710mmol)及びテトラn−ブチルアンモニウムブロミド(377mg, 1.17mmol)を加え、室温で5日間攪拌した。反応混合物にメタノール(0.1ml)を加え、室温で1時間撹拌後、ろ過し、ろ液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=7:1)にて精製することにより、表題化合物206mg(収率68%)を得た。
【0098】
実施例49:2−アジド−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−オクタントリオール(化合物49)の合成
実施例40で合成した化合物41より、実施例47と同様にして表題化合物を合成した。
【0099】
実施例50:2−アジド−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ヘプタントリオール(化合物50)の合成
実施例41で合成した化合物42より、実施例47と同様にして表題化合物を合成した。
【0100】
実施例51:2−アジド−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ヘキサントリオール(化合物51)の合成
実施例42で合成した化合物43より、実施例47と同様にして表題化合物を合成した。
【0101】
実施例52:2−アジド−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−デカントリオール(化合物52)の合成
実施例43で合成した化合物44より、実施例47と同様にして表題化合物を合成した。
【0102】
実施例53:6−フェニル−2−アジド−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ヘキサントリオール(化合物53)の合成
実施例44で合成した化合物45より、実施例47と同様にして表題化合物を合成した。
【0103】
実施例54:5−シクロペンチル−2−アジド−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物54)の合成
実施例45で合成した化合物46より、実施例47と同様にして表題化合物を合成した。
【0104】
実施例55:5−(4−メチルフェニル)−2−アジド−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物55)の合成
実施例46で合成した化合物47より、実施例47と同様にして表題化合物を合成した。
【0105】
実施例56:2−アミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物56)の合成
実施例47で合成した化合物48 (2.58g, 3.31mmol)のエタノール(260ml)溶液に、パラジウム−炭酸カルシウム(鉛被毒化済)(リンドラー触媒)(2.60g)を加え、常圧、室温で終夜攪拌する事により水素添加した。触媒を濾去、濾液を減圧濃縮し、表題化合物2.46g(収率99%)を得た。
【0106】
実施例57:2−アミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−オクタントリオール(化合物57)の合成
実施例49で合成した化合物49より、実施例56と同様にして表題化合物を合成した。
【0107】
実施例58:2−アミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ヘプタントリオール(化合物58)の合成
実施例50で合成した化合物50より、実施例56と同様にして表題化合物を合成した。
【0108】
実施例59:2−アミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−デカントリオール(化合物59)の合成
実施例51で合成した化合物51より、実施例56と同様にして表題化合物を合成した。
【0109】
実施例60:6−フェニル−2−アミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ヘキサントリオール(化合物60)の合成
実施例53で合成した化合物53より、実施例56と同様にして表題化合物を合成した。
【0110】
実施例61:5−シクロペンチル−2−アミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物61)の合成
実施例54で合成した化合物54より、実施例56と同様にして表題化合物を合成した。
【0111】
実施例62:5−(4−メチルフェニル)−2−アミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物62)の合成
実施例55で合成した化合物55より、実施例56と同様にして表題化合物を合成した。
【0112】
実施例63:2−テトラコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物63)の合成
n−テトラコサン酸(1.22g, 3.31mmol)のジメチルホルムアミド(90ml)及び塩化メチレン(210ml)混合懸濁液に、氷冷下、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(761mg, 3.97mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(536mg, 3.97mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。次いで、反応混合物に、実施例56で合成した化合物56 (2.46g, 3.26mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.38ml, 7.97mmol)の塩化メチレン(120ml)溶液を加え、30℃で終夜攪拌した。反応混合物を酢酸エチル/ジエチルエーテル=4/1の混合溶媒で希釈後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸、水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1〜3:1)にて精製することにより、表題化合物3.25g(収率89%)を得た。
【0113】
実施例64:2−トリコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物64)の合成
実施例56で合成した化合物56とトリコサン酸より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0114】
実施例65:2−ドコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物65)の合成
実施例56で合成した化合物56とドコサン酸より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0115】
実施例66:2−トリコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−オクタントリオール(化合物66)の合成
実施例57で合成した化合物57とトリコサン酸より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0116】
実施例67:2−ドコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ヘプタントリオール(化合物67)の合成
実施例58で合成した化合物58とドコサン酸より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0117】
実施例68:2−トリコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ヘキサントリオール(化合物68)の合成
実施例51で合成した化合物51を、実施例56と同様に水素添加して得られた化合物と、トリコサン酸より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0118】
実施例69:2−ドコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−デカントリオール(化合物69)の合成
実施例59で合成した化合物59とドコサン酸より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0119】
実施例70:2−トリコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−デカントリオール(化合物70)の合成
実施例59で合成した化合物59とn−トリコサン酸より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0120】
実施例71:6−フェニル−2−テトラコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ヘキサントリオール(化合物71)の合成
実施例60で合成した化合物60とn−テトラコサン酸より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0121】
実施例72:5−シクロペンチル−2−テトラコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物72)の合成
実施例61で合成した化合物61とn−テトラコサン酸より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0122】
実施例73:5−(4−メチルフェニル)−2−テトラコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物73)の合成
実施例62で合成した化合物62とn−テトラコサン酸より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0123】
実施例74:2−(3−フェニルプロパノイルアミノ)−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物74)の合成
実施例56で合成した化合物56と3−フェニルプロパン酸より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0124】
実施例75:2−(5−フェニルペンタノイルアミノ)−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物75)の合成
実施例56で合成した化合物56と5−フェニルペンタン酸より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0125】
実施例76:2−[3−(4−オクチルオキシフェニル)プロパノイルアミノ]−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物76)の合成
実施例56で合成した化合物56と3−(4−オクチルオキシフェニル)プロパン酸(Wissnerら、J. Med. Chem. 1992, 35, 4779.)より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0126】
実施例77:2−[3−(4−ヘキサデカニルオキシフェニル)プロパノイルアミノ]−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物77)の合成
実施例56で合成した化合物56と3−(4−ヘキサデカニルオキシフェニル)プロパン酸(Wissnerら、J. Med. Chem. 1992, 35, 4779.)より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0127】
実施例78:2−{5−[4−(4−オクチルベンゾイルアミノ)フェニル]ペンタノイルアミノ}−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物78)の合成
実施例56で合成した化合物56と5−[4−(4−オクチルベンゾイルアミノ)フェニル]ペンタン酸(Wissnerら、J. Med. Chem. 1992, 35, 4779.)より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0128】
実施例79:2−[3−(4−オクタデシルフェニル)プロパノイルアミノ]−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物79)の合成
実施例56で合成した化合物56と3−(4−オクタデシルフェニル)プロパン酸(Clark, J. Chem. Soc. 1957, 2202.)より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0129】
実施例80:2−(4−ノナデシルベンゾイルアミノ)−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物80)の合成
実施例56で合成した化合物56と4−ノナデシル安息香酸(Parkerら、J. Med. Chem. 1977, 20, 781.)より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0130】
実施例81:2−[5−(4−テトラデシル−1−ピペラジニル)ペンタノイルアミノ]−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物81)の合成
実施例56で合成した化合物56と5−(4−テトラデシル−1−ピペラジニル)ペンタン酸(Buzasら、J. Med. Chem. 1980, 2, 149.)より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0131】
実施例82:2−[5−(4−ヘキシルオキシフェニル)ペンタノイルアミノ]−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物82)の合成
実施例56で合成した化合物56と5−(4−ヘキシルオキシフェニル)ペンタン酸(Rona, J. Chem. Soc. 1962, 3629.)より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0132】
実施例83:2−[5−(4−テトラデシルオキシフェニル)ペンタノイルアミノ]−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物83)の合成
実施例56で合成した化合物56と5−(4−テトラデシルオキシフェニル)ペンタン酸(Rona, J. Chem. Soc. 1962, 3629.)より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0133】
実施例84:2−{5−(4’−ペンチル−[1, 1’−ビフェニル]−4−イル)ペンタノイルアミノ}−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3,4−O−イソプロピリデン−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物84)の合成
実施例56で合成した化合物56と5−(4’−ペンチル−[1, 1’−ビフェニル]−4−イル)ペンタン酸(Sakaguchiら、Syn. Lett. 1997, 5, 624.)より、実施例63と同様にして表題化合物を合成した。
【0134】
実施例85:2−テトラコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物85)の合成
実施例63で合成した化合物63 (89mg, 0.081mmol)のメタノール(1ml)/塩化メチレン(5ml)/4N塩酸−ジオキサン(100μl)混合溶液を室温で2時間攪拌後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=30:1)にて精製することにより、表題化合物70mg(収率82%)を得た。また、表題化合物は、化合物63の80%酢酸水混合液を45℃で終夜攪拌後、反応混合物を減圧濃縮することによっても得られた。
【0135】
実施例86:2−トリコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物86)の合成
実施例64で合成した化合物64より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0136】
実施例87:2−ドコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物87)の合成
実施例65で合成した化合物65より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0137】
実施例88:2−トリコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−オクタントリオール(化合物88)の合成
実施例66で合成した化合物66より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0138】
実施例89:2−ドコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ヘプタントリオール(化合物89)の合成
実施例67で合成した化合物67より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0139】
実施例90:2−トリコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ヘキサントリオール(化合物90)の合成
実施例68で合成した化合物68より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0140】
実施例91:2−ドコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−デカントリオール(化合物91)の合成
実施例69で合成した化合物69より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0141】
実施例92:2−トリコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−デカントリオール(化合物92)の合成
実施例70で合成した化合物70より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0142】
実施例93:6−フェニル−2−テトラコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ヘキサントリオール(化合物93)の合成
実施例71で合成した化合物71より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0143】
実施例94:5−シクロペンチル−2−テトラコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物94)の合成
実施例72で合成した化合物72より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0144】
実施例95:5−(4−メチルフェニル)−2−テトラコサノイルアミノ−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物95)の合成
実施例73で合成した化合物73より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0145】
実施例96:2−(3−フェニルプロパノイルアミノ)−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物96)の合成
実施例74で合成した化合物74より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0146】
実施例97:2−(5−フェニルペンタノイルアミノ)−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物97)の合成
実施例75で合成した化合物75より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0147】
実施例98:2−[3−(4−オクチルオキシフェニル)プロパノイルアミノ]−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物98)の合成
実施例76で合成した化合物76より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0148】
実施例99:2−[3−(4−ヘキサデカニルオキシフェニル)プロパノイルアミノ]−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物99)の合成
実施例77で合成した化合物77より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0149】
実施例100:2−{5−[4−(4−オクチルベンゾイルアミノ)フェニル]ペンタノイルアミノ}−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物100)の合成
実施例78で合成した化合物78より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0150】
実施例101:2−[3−(4−オクタデシルフェニル)プロパノイルアミノ]−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物101)の合成
実施例79で合成した化合物79より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0151】
実施例102:2−(4−ノナデシルベンゾイルアミノ)−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物102)の合成
実施例80で合成した化合物80より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0152】
実施例103:2−[5−(4−テトラデシル−1−ピペラジニル)ペンタノイルアミノ]−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物103)の合成
実施例81で合成した化合物81より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0153】
実施例104:2−[5−(4−ヘキシルオキシフェニル)ペンタノイルアミノ]−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物104)の合成
実施例82で合成した化合物82より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0154】
実施例105:2−[5−(4−テトラデシルオキシフェニル)ペンタノイルアミノ]−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物105)の合成
実施例83で合成した化合物83より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0155】
実施例106:2−{5−(4’−ペンチル−[1, 1’−ビフェニル]−4−イル)ペンタノイルアミノ}−1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物106)の合成
実施例84で合成した化合物84より、実施例85と同様にして表題化合物を合成した。
【0156】
実施例107:2−テトラコサノイルアミノ−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物107)の合成
実施例85で合成した化合物85 (70mg,0.66mmol)のメタノール(3ml)/クロロホルム(1ml)の混合溶液に、窒素気流下、水酸化パラジウム(25mg)を加え、常圧、室温で3時間攪拌する事により水素添加した。触媒を濾去、濾液を減圧濃縮し、表題化合物を定量的(46mg)に得た。
【0157】
実施例108:2−トリコサノイルアミノ−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物108)の合成
実施例86で合成した化合物86より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0158】
実施例109:2−ドコサノイルアミノ−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物109)の合成
実施例87で合成した化合物87より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0159】
実施例110:2−トリコサノイルアミノ−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−オクタントリオール(化合物110)の合成
実施例88で合成した化合物88より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0160】
実施例111:2−ドコサノイルアミノ−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ヘプタントリオール(化合物111)の合成
実施例89で合成した化合物89より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0161】
実施例112:2−トリコサノイルアミノ−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ヘキサントリオール(化合物112)の合成
実施例90で合成した化合物90より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0162】
実施例113:2−ドコサノイルアミノ−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−デカントリオール(化合物113)の合成
実施例91で合成した化合物91より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0163】
実施例114:2−トリコサノイルアミノ−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−デカントリオール(化合物114)の合成
実施例92で合成した化合物92より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0164】
実施例115:6−フェニル−2−テトラコサノイルアミノ−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ヘキサントリオール(化合物115)の合成
実施例93で合成した化合物93より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0165】
実施例116:5−シクロペンチル−2−テトラコサノイルアミノ−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物116)の合成
実施例94で合成した化合物94より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0166】
実施例117:5−(4−メチルフェニル)−2−テトラコサノイルアミノ−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ペンタントリオール(化合物117)の合成
実施例95で合成した化合物95より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0167】
実施例118:2−(3−フェニルプロパノイルアミノ)−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物118)の合成
実施例96で合成した化合物96より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0168】
実施例119:2−(5−フェニルペンタノイルアミノ)−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物119)の合成
実施例97で合成した化合物97より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0169】
実施例120:2−[3−(4−オクチルオキシフェニル)プロパノイルアミノ]−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物120)の合成
実施例98で合成した化合物98より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0170】
実施例121:2−[3−(4−ヘキサデカニルオキシフェニル)プロパノイルアミノ]−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物121)の合成
実施例99で合成した化合物99より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0171】
実施例122:2−{5−[4−(4−オクチルベンゾイルアミノ)フェニル]ペンタノイルアミノ}−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物122)の合成
実施例100で合成した化合物100より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0172】
実施例123:2−[3−(4−オクタデシルフェニル)プロパノイルアミノ]−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物123)の合成
実施例101で合成した化合物101より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0173】
実施例124:2−(4−ノナデシルベンゾイルアミノ)−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物124)の合成
実施例102で合成した化合物102より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0174】
実施例125:2−[5−(4−テトラデシル−1−ピペラジニル)ペンタノイルアミノ]−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物125)の合成
実施例103で合成した化合物103より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0175】
実施例126:2−[3−(4−ヘキシルオキシフェニル)ペンタノイルアミノ]−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物126)の合成
実施例104で合成した化合物104より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0176】
実施例127:2−[3−(4−テトラデシルオキシフェニル)ペンタノイルアミノ]−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物127)の合成
実施例105で合成した化合物105より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0177】
実施例128:2−{5−(4’−ペンチル−[1, 1’−ビフェニル]−4−イル)ペンタノイルアミノ}−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール(化合物128)の合成
実施例106で合成した化合物106より、実施例107と同様にして表題化合物を合成した。
【0178】
実施例129:2−テトラコサノイルアミノ−1−O−α−D−ガラクトピラノシル−D−リボ−1,3,4−ノナントリオール 1水和物(化合物129)の合成
実施例107で合成した化合物107をエタノール−水(10:1)より再結晶し、表題化合物を得た。
【0179】
mp: 142−145℃ (EtOH−H2O). [α]D30: +53.9 (c=0.5, py). Anal. Calcd. For C39H79NO10: C, 64.87; H, 11.03; N, 1.94. Found: C, 64.71; H, 10.88; N, 1.94.
【0180】
上記参考例及び実施例で得た物理化学的データを表Iに示す。
【0181】
【表1】

【0182】
【表2】

【0183】
【表3】

【0184】
【表4】

【0185】
【表5】

【0186】
【表6】

【0187】
【表7】

【0188】
【表8】

【0189】
【表9】

【0190】
【表10】

【0191】
【表11】

【0192】
【表12】

【0193】
【表13】

【0194】
【表14】

【0195】
【表15】

【0196】
【表16】

【0197】
【表17】

【0198】
【表18】

【0199】
【表19】

【0200】
【表20】

【0201】
【表21】

【0202】
【表22】

【0203】
【表23】

【0204】
【表24】

【0205】
【表25】

【0206】
【表26】

【0207】
【表27】

【0208】
【表28】

【0209】
【表29】

【0210】
【表30】

【0211】
【表31】

【0212】
【表32】

【0213】
糖脂質誘導体によるサイトカイン産生試験(in vitro)
C57BL/6マウス(6〜8週齢、雌)脾臓より脾細胞を調製し、10%Fetal Bovine Serum (GIBCO社製)、5x10-5M 2−メルカプトエタノール(GIBCO社製)、1mMピルビン酸(SIGMA社製)および25mM HEPE(SIGMA社製)を添加したRPMI1640培地(ナカライ社製)に懸濁した。96穴平底プレート(IWAKI社製)に5x10e5 cells/wellにて播種し、各糖脂質誘導体を最終濃度100ng/mlにて添加した。37℃、5%CO2存在下で72時間培養後、培養上清を回収した。培養上清中のIL-4およびIFN-γ量をELISA (BD Pharmingen EIA Kit)により測定した(表2)。
【0214】
【表33】

【0215】
その結果、α-GalCerについては、従来の報告通り、IFN-γが著しく優位に産生されることが確認された。一方、本発明に係わる化合物は、α-GalCerと比較してIFN-γの産出作用が弱く、IL-4を優位に産生させることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0216】
本発明によれば、スフィンゴシン塩基部分の置換基が炭素鎖の短いアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基又は置換又は非置換のアラルキル基である糖脂質誘導体を化学的な全合成によって、経済的、効率的に量産することができ、それらを有効成分として含むTh1/Th2免疫バランスがTh1に偏倚した疾患又はTh1細胞が病態を悪化させる疾患の治療剤もしくはTh2型サイトカイン産生誘導剤が提供される。更に、これらの化合物を製造するために有用な中間体も提供するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II):
【化1】

(式中、R1及びR2は、独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示すか、又はR1及びR2は一緒になってそれらが結合する環状構造となるプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基もしくはヘキシレン基を示す)
で表される化合物に、式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId):
(R3)2CuM, R3M/CuX, R3M/BF3, R3M
(IIIa) (IIIb) (IIIc) (IIId)
(式中、R3は置換又は非置換の炭素数1〜7の鎖状アルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアラルキル基を示し、MはLi、MgCl、MgBr又はMgIを示し、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はフッ素原子を示す)
で表されるアルキル金属試薬の何れか一つを作用させて、式(IV):
【化2】

(式中、R1、R2及びR3は前記定義の通りである)
で表される化合物とし、この式(IV)で表される化合物にハロゲン化アルキルスルホニル、ハロゲン化アリールスルホニル、ハロゲン化アラルキルスルホニル、アルキルスルホン酸無水物、アリールスルホン酸無水物又はアラルキルスルホン酸無水物を作用させて、式(V):
【化3】

(式中、R1、R2及びR3は前記定義の通りであり、R4はアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基又はアラルキルスルホニルオキシ基を示す)
で表される化合物とし、この式(V)で表される化合物にアジド化剤を作用させて、式(VIa):
【化4】

(式中、R1、R2及びR3は前記定義の通りである)
で表される化合物とし、この式(VIa)で表される化合物のアセタール基を脱保護するか、或いは式(V)で表される化合物のアセタール基を脱保護して、式(VIb):
【化5】

(式中、R3及びR4は前記定義の通りである)
とし、この式(VIb)で表される化合物にアジド化剤を作用させて、式(VII):
【化6】

(式中、R3は前記定義の通りである)
で表される化合物とし、この式(VII)で表される化合物を再度アセタール化して、式(VIIIa):
【化7】

(式中、R3は前記定義の通りであり、R5及びR6は、独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示すか、又はR5及びR6は一緒になってそれらが結合する環状構造となるプロピレン基、ブチレン基もしくはペンチレン基を示す)
で表される化合物とするか、又は式(VII)で表される化合物の2つの2級水酸基が保護された式(VIIIb):
【化8】

(式中、R3は前記定義の通りであり、R7はベンジル基、p-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、p-ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基又はジ(p-ニトロフェニル)メチル基を示す)
で表される化合物とし、前記式(VIIIa)又は(VIIIb)で表される化合物に、式(IX):
【化9】

(式中、R7及びXは前記定義の通りである)
で表される化合物を作用させて、式(Xa)又は(Xb):
【化10】

(式中、R3、R5、R6及びR7は前記定義の通りである)
で表される化合物とし、この式(Xa)又は(Xb)で表される化合物のアジド基をアミノ基に還元して、式(XIa)又は(XIb):
【化11】

(式中、R3、R5、R6及びR7は前記定義の通りである)
で表される化合物とし、この式(XIa)又は(XIb)で表される化合物のアミノ基をアシル化して、式(XIIa)又は(XIIb):
【化12】

(式中、R3、R5、R6及びR7は前記定義の通りであり、R8は置換又は非置換の炭素数1〜35のアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアラルキル基を示す)
で表される化合物とし、この式(XIIa)で表される化合物のアセタールを脱保護して、式(XIII):
【化13】

(式中、R3、R7及びR8は前記定義の通りである)
で表される化合物とし、前記式(XIIb)又は(XIII)で表される化合物の残りの保護基を脱保護することを特徴とする式(I):
【化14】

(式中、R3及びR8は前記定義の通りである)
で表される糖脂質誘導体の製造法。
【請求項2】
式(VII):
【化15】

(式中、R3は置換又は非置換の炭素数1〜7の鎖状アルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示す)
で表される化合物。
【請求項3】
式(VIIIa):
【化16】

(式中、R3は置換又は非置換の炭素数1〜7の鎖状アルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示し、R5及びR6は、独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示すか、又はR5及びR6は一緒になってそれらが結合する環状構造となるプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基もしくはヘキシレン基を示す)
で表される化合物。
【請求項4】
式(VIIIb):
【化17】

(式中、R3は置換又は非置換の炭素数1〜7の鎖状アルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示し、R7はベンジル基、p-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、p-ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基又はジ(p-ニトロフェニル)メチル基を示す)
で表される化合物。
【請求項5】
式(Xa)又は(Xb):
【化18】

(式中、R3は置換されていてもよい炭素数1〜7の鎖状アルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示し、R5及びR6は、独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示すか、又はR5及びR6は一緒になってそれらが結合する環状構造となるプロピレン基、ブチレン基もしくはペンチレン基を示し、R7はベンジル基、p-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、p-ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基又はジ(p-ニトロフェニル)メチル基を示す)
で表される化合物。
【請求項6】
式(XIa)又は(XIb):
【化19】

(式中、R3は置換もしくは非置換の炭素数1〜7の鎖状アルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示し、R5及びR6は、独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示すか、又はR5及びR6は一緒になってそれらが結合する環状構造となるプロピレン基、ブチレン基もしくはペンチレン基を示し、R7はベンジル基、p-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、p-ニトロベンジル基もしくはジフェニルメチル基、ジ(p-ニトロフェニル)メチル基を示す)
で表される化合物。
【請求項7】
式(XIIa)又は(XIIb):
【化20】

(式中、R3は置換もしくは非置換の炭素数1〜7の鎖状アルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示し、R5及びR6は、独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示すか、又はR5及びR6は一緒になってそれらが結合する環状構造となるプロピレン基、ブチレン基もしくはペンチレン基を示し、R7はベンジル基、p-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、p-ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基、又はジ(p-ニトロフェニル)メチル基を示し、R8は置換もしくは非置換の炭素数1〜35のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示す)
で表される化合物。
【請求項8】
式(XIII):
【化21】

(式中、R3は置換もしくは非置換の炭素数1〜7の鎖状アルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示し、R7はベンジル基、p-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、p-ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基又はジ(p-ニトロフェニル)メチル基を示し、R8は炭素数1〜35のアルキル基を示す)
で表される化合物。
【請求項9】
式(I)中、R3が置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示し、R8が−(CH2)m−CH3(mは10〜25の整数を示す)、アルキル基、アルコキシ基、アミド基で置換された又は非置換のC6〜C35のアリール基、或いはアルキル基、アルコキシ基、アミド基で置換又は非置換のC7〜C35のアラルキル基を表す糖脂質。
【請求項10】
式(I)中、R3が−(CH2)n−CH3(nは0及び4〜6の整数を示す)、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を示し、R8が−(CH2)m−CH3(式中、mは10〜25の整数を示す)、アルキル基、アルコキシ基、アミド基で置換された又は非置換のC6〜C35のアリール基、或いはアルキル基、アルコキシ基、アミド基で置換された又は非置換のC7〜C35のアラルキル基を表す糖脂質を有効成分として含むTh1/Th2免疫バランスがTh1に偏倚した疾患又はTh1細胞が病態を悪化させる疾患の治療薬。
【請求項11】
式(I)中、R3が−(CH2)n−CH3(式中、nは0及び4〜6の整数を表す)、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を表し、R8が−(CH2)m−CH3(mは10〜25の整数を表す)、アルキル基、アルコキシ基、アミド基で置換された又は非置換のC6〜C35のアリール基、或いはアルキル基、アルコキシ基、アミド基で置換された又は非置換のC7〜C35のアラルキル基を表す糖脂質を有効成分として含有するTh2型サイトカイン産生誘導剤。
【請求項12】
式(I)中、R3が−(CH2)n−CH3(nは0〜6の整数を表す)、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を表し、R8が−(CH2)m−CH3(mは10〜25の整数を表す)を表す糖脂質の水和物。
【請求項13】
式(I)中、R3が−(CH2)n−CH3(nは0〜6の整数を表す)を表し、R8が−(CH2)m−CH3(mは10〜25の整数を表す)を表す糖脂質の水和物。
【請求項14】
式(I)中、R3が−(CH2)3−CH3を表し、R8が−(CH2)22−CH3を表す糖脂質の水和物。
【請求項15】
式(I)中、R3が−(CH2)n−CH3(nは0〜6の整数を表す)、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を表し、R8が−(CH2)m−CH3(mは10〜25の整数を表す)を表す糖脂質の水和物を有効成分として含有するTh1/Th2免疫バランスがTh1に偏倚した疾患、又はTh1細胞が病態を悪化させる疾患の治療薬。
【請求項16】
式(I)中、R3が−(CH2)3−CH3を表し、R8が−(CH2)22−CH3を表す糖脂質の水和物を有効成分として含有するTh1/Th2免疫バランスがTh1に偏倚した疾患、又はTh1細胞が病態を悪化させる疾患の治療薬。
【請求項17】
式(I)中、R3が−(CH2)n−CH3(nは0〜6の整数を表す)、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基を表し、R8が−(CH2)m−CH3(mは10〜25の整数を表す)を表す糖脂質の水和物を有効成分として含有するTh2型サイトカイン産生誘導剤。
【請求項18】
式(I)中、R3が−(CH2)3−CH3を表し、R8が−(CH2)22−CH3を表す糖脂質の水和物を有効成分として含有するTh2型サイトカイン産生誘導剤。

【公開番号】特開2011−63593(P2011−63593A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229896(P2010−229896)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【分割の表示】特願2005−505007(P2005−505007)の分割
【原出願日】平成16年2月13日(2004.2.13)
【出願人】(510147776)独立行政法人国立精神・神経医療研究センター (4)
【Fターム(参考)】