説明

紙カップの検査装置及びその方法

【課題】正規品種の紙カップと異品種の紙カップとを区別し、異品種の紙カップを製造工程から排出可能にする。
【解決手段】検査装置1は、製造工程における隣り合う工程間を繋ぐシューター20内を通過する紙カップを撮像するエリアカメラ3と、エリアカメラ3が撮像して得た画像データと予め用意した比較用の画像データとを比較して、紙カップが正規品種か否かを判定する判定部11と、判定部11が正規品種でないと判定した場合、正規品種でないことを報知する警告制御部12及び警告装置5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置及びその方法に関し、特に、紙カップを検査する検査装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙カップの検査に関して、特許文献1には、断熱紙カップの外装スリーブのはみ出しを検査する検査装置が記載されている。また、特許文献2には、紙カップのトップカール部に発生する形状不良を検出する紙カップ外観検査が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−71324号公報
【特許文献2】特開2001−255276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紙カップの製造現場において、その製造過程で正規品種でない異品種の紙カップが混入する場合がある。
しかし、特許文献1の技術は、断熱紙カップの外装スリーブのはみ出しを検査する検査装置であるため、正規品種の紙カップと異品種の紙カップとの判別は出来ない。
また、特許文献2の技術は、紙カップのトップカール部に発生する形状不良を検出する紙カップ外観検査であるため、正規品種の紙カップと異品種の紙カップとの判別は出来ない。
【0005】
本発明の目的は、正規品種の紙カップと異品種の紙カップとを区別し、異品種の紙カップを製造工程から排出可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するために、請求項1に係る発明は、製造工程における隣り合う工程間を繋ぐシューター内を通過する紙カップを撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像して得た画像データと予め用意した比較用の画像データとを比較して、前記紙カップが正規品種か否かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記正規品種でないと判定した場合、正規品種でないことを報知する報知手段と、を備える紙カップの検査装置である。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1の記載において、前記シューターの周囲を取り囲むように配列されて、前記シューター内を通過する前記紙カップの外周面を撮像する前記撮像手段を複数備え、前記判定手段は、各撮像手段が撮像して得た各画像データと前記比較用の画像データとを比較して、前記紙カップが正規品種か否かを判定することを特徴とする紙カップの検査装置である。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2の記載において、前記シューター内を通過する紙カップを検出したとき、信号を出力する検出手段と、前記検出手段が出力する信号を基に、前記紙カップに向けて発光する発光手段とを備え、前記撮像手段は、前記検出手段が出力する信号を基に、前記紙カップを撮像し、前記発光手段は、前記撮像手段の撮像タイミングに同期して発光することを特徴とする紙カップの検査装置である。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、製造工程における隣り合う工程間を繋ぐシューター内を通過する紙カップを検出したとき、信号を出力する検出工程と、前記検出工程で出力した信号を基に、前記紙カップに向けて発光し、かつその発光タイミングに同期して前記紙カップを撮像する撮像工程と、前記撮像工程で撮像して得た画像データと予め用意した比較用の画像データとを比較して、前記紙カップが正規品種か否かを判定する判定工程と、前記判定工程で前記正規品種でないと判定した場合、正規品種でないことを報知する報知工程と、を備える紙カップの検査方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、正規品種の紙カップと異品種の紙カップとを区別し、異品種の紙カップを製造工程から排出可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の検査装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】検査装置の一連の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の最良の形態について説明する。
(構成)
図1は、本実施形態の検査装置1の概略構成を示す側面図である。
図1に示すように、検査装置1は、センサ2、エリアカメラ3、バー照明4、PC(パーソナルコンピュータ)10、及び警告装置5を有する。
【0013】
センサ2は、シューター20内を通過する紙カップ30の進行方向に対して垂直方向に対となり配置されている。センサ2は、シューター20内を通過する紙カップ30を検出する。センサ2は、紙カップ30を検出したとき、トリガ信号をエリアカメラ3に出力する。
【0014】
ここで、シューター20は、紙カップ30の製造工程において隣り合う工程間を繋ぐものであり、紙カップ30がその中を一定の姿勢を保ちながら通過できるような形状をなしている。このときの紙カップ30の姿勢とは、紙カップ30の進行方向に対して法線方向に、紙カップ30の品種が識別できる印刷面などが向いている状態である。紙カップ30は、空気圧の力でこのシューター20内を通過する。シューター20は、複数本のステー(ガイド棒)より構成されており、紙カップ30の移動空間の周囲の円筒面上にこの複数本のステーを互いに平行に等間隔で並べたものである。
【0015】
エリアカメラ3は、センサ2に対して紙カップ30の進行方向の下流側に配置されている。図示していないが、エリアカメラ3は複数配置されており、複数のエリアカメラ3は、シューター20の周囲を取り囲むようにして配列されている。この複数のエリアカメラ3により、シューター20内を通過する紙カップ30の外周面全体を撮像している。すなわち、紙カップ30の外観を網羅できるようにエリアカメラ3が配置されている。
【0016】
本実施形態では、カメラ視野幅が150mmとなるように6台のエリアカメラ3を配置している。なお、エリアカメラ3の台数はこれに限定されるものではなく、他の台数、例えば8台であっても良い。
各エリアカメラ3は、センサ2からのトリガ信号の入力タイミングで露光(撮像)を開始する。同時に、各エリアカメラ3は、各バー照明4にトリガ信号を出力する。また、各エリアカメラ3は、それぞれ撮像結果を画像データとして出力する。
【0017】
バー照明4は、エリアカメラ3に対応して複数配置されており、シューター20内に有るエリアカメラ3の視野内を照らすように配置されている。各バー照明4は、対応する各エリアカメラ3からのトリガ信号の入力タイミングでストロボ発光する。なお、センサ2からのトリガ信号を基に、バー照明4がストロボ発光するような構成であっても良い。
本実施形態では、エリアカメラ3の台数に対応して、6台のバー照明4が配置されている。また、バー照明4は照射幅を120mmとしている。なお、バー照明4の台数はこれに限定されるものではなく、他の台数、例えば8台であっても良い。
【0018】
PC10は、各エリアカメラ3が得た複数の画像データを取り込む。PC10は、その各画像データを基に、紙カップ30が正規品種か否かを判定する。そのため、PC10は、判定部11、警告制御部12、及び記憶部13を有する。例えば、これら構成は、PC10において演算処理部により構成されている。
記憶部13には、PC10が各種処理で使用するプログラム13aや各種データが記憶されている。各種データには、予め用意された比較用の画像データとして、正規品種の紙カップ30の画像データ(正規品種に基づく画像データ)がある。例えば、その画像データは、LAN(Local Area Network)等の通信手段を介してデータサーバから取得したものであったり、使用者又は管理者により予め登録されたものであったりすることができる。
【0019】
判定部11は、各エリアカメラ3から入力された各画像データ(以下、入力画像データという。)と、記憶部13に記憶されている画像データ(以下、比較用画像データという。)とをパターンマッチングにより比較し、入力画像データに係る紙カップ30が正規品種か否かを判定する。判定部11は、複数の入力画像データの何れかが比較用画像データと一致するとき、例えば、マッチングの度合が予め設定した閾値よりも大きいとき、入力画像データに係る紙カップ30が正規品種であると判定する。警告制御部12は、判定部11が正規品種ではないと判定するときには、警告装置5を駆動して、警告音を出力する。
【0020】
(動作等)
図2は、以上のような検査装置11の一連の動作を示す。
図2に示すように、先ずステップS1において、検査装置1では、センサ2が紙カップ30を検出すると、ステップS2に進み、各バー照明4が該紙カップ30に向けて発光し、その発光タイミングに同期して、各エリアカメラ3が該紙カップ3を撮像する。
続くステップS3において、検査装置1では、判定部11が、各エリアカメラ3が撮像して得た各入力画像データと比較用画像データとをパターンマッチングで比較し、紙カップ30が正規品種か否かを判定する。
【0021】
続くステップS4において、検査装置1では、判定部11が正規品種でないと判定したとき、警告制御部12が警告装置5を駆動して警告音を出力させる。
以上のように、本実施形態では、検査装置1は、シューター20内を通過する紙カップ30を検出したときに、その検出した紙カップ30を撮像して、それにより得た画像データと比較用画像データとを比較して、正規品種でないと判定した場合、正規品種でないことを警告装置5の警告音により報知している。
【0022】
これにより、検査装置1は、正規品種の紙カップと異品種の紙カップとを区別し、異品種の紙カップを製造工程から排出可能にすることができる。この結果、検査装置1は、異品種の紙カップが混入されたまま箱詰めされ出荷されるのを防ぐことができる。
さらに、検査装置1では、製造工程で広く利用されている各種工程間を繋ぐシューター20を利用しているので、製造工程中に検査設備を設けることなく、簡易に正規品種の紙カップと異品種の紙カップとを区別することができる。
【0023】
また、検査装置1では、バー照明4をストロボ発光させて撮像している。これにより、シューター20内を高速で通過する紙カップ30を、十分な明るさのもとで明確に撮像することができる。
ところで、紙カップ製造現場において紙カップを出荷する際には、紙カップを重ねたスタックの状態にして箱詰めを行い出荷している。このスタックの状態になると個々の紙カップの品種判別が不可能になる為、スタックの状態にする工程以前で紙カップを検査する必要がある。また、製造工程のどの工程においても異品種の紙カップが混入する可能性があるため混入したまま出荷されるのを防ぐためには、スタックの状態になる直前で紙カップを検査するのが好ましい。
【0024】
これに対して、本実施形態では、検査装置1を、スタックの状態になる直前のシューター20に設置することができる。この結果、本実施形態の検査装置1は、スタックの状態になる直前で紙カップを検査でき、異品種の紙カップが混入されたまま箱詰めされ出荷されるのを効果的に防ぐことができる。
【0025】
なお、本実施形態では、検出手段としてセンサ2を用いている。また、撮像手段としてエリアカメラ3を用いている。また、判定手段として判定部11を用いている。また、報知手段として警告制御部12及び警告装置5を用いている。また、発光手段としてバー照明4を用いている。
【0026】
(変形例)
本実施形態の変形例では、製造工程に混入が予想される品種の画像データを比較用画像データとし、この比較用画像データと各入力画像データとをパターンマッチングにより比較しても良い。この場合、検査装置1は、混入が予想される品種の画像データに各入力画像データの何れかが一致する場合、正規品種ではないと判定する。例えば、混入が予想される品種とは、同一ラインを使用して異なる時間帯で製造されている異なる品種や、隣接するラインで製造されている異なる品種等である。
【0027】
また、シューター20を構成するステー(ガイド棒)の数に応じて、検査装置1を構成する必要があることは言うまでもない。すなわち、6本や8本のステー(ガイド棒)が有る場合には、それら各ステー(ガイド棒)の間を撮像可能な位置に6個又は8個のエリアカメラ3、バー照明4等を備えるようにする。これは、シューター20内を通過中の紙カップ30は回転可能で、紙カップ30の品種を識別できる特徴的な印刷部分が、どのステーの間から見えるかは決まっていないので、全てのステーの間を撮像することが必要になるためである。
【0028】
また、本実施形態の変形例として、正規品種でないと判定したとき、モニターに正規品種でない表示をして報知しても良い。
また、本実施形態の変形例として、正規品種でないと判定したとき、排除装置等によりその紙カップ30を製造ラインから自動的に排除しても良い。
【符号の説明】
【0029】
1 検査装置、2 センサ、3 エリアカメラ、4 バー照明、5 警告装置、11 判定部、12 警告制御部、13 記憶部、20 シューター、30 紙カップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造工程における隣り合う工程間を繋ぐシューター内を通過する紙カップを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像して得た画像データと予め用意した比較用の画像データとを比較して、前記紙カップが正規品種か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記正規品種でないと判定した場合、正規品種でないことを報知する報知手段と、
を備える紙カップの検査装置。
【請求項2】
前記シューターの周囲を取り囲むように配列されて、前記シューター内を通過する前記紙カップの外周面を撮像する前記撮像手段を複数備え、
前記判定手段は、各撮像手段が撮像して得た各画像データと前記比較用の画像データとを比較して、前記紙カップが正規品種か否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の紙カップの検査装置。
【請求項3】
前記シューター内を通過する紙カップを検出したとき、信号を出力する検出手段と、前記検出手段が出力する信号を基に、前記紙カップに向けて発光する発光手段とを備え、
前記撮像手段は、前記検出手段が出力する信号を基に、前記紙カップを撮像し、
前記発光手段は、前記撮像手段の撮像タイミングに同期して発光することを特徴とする請求項1又は2に記載の紙カップの検査装置。
【請求項4】
製造工程における隣り合う工程間を繋ぐシューター内を通過する紙カップを検出したとき、信号を出力する検出工程と、
前記検出工程で出力した信号を基に、前記紙カップに向けて発光し、かつその発光タイミングに同期して前記紙カップを撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像して得た画像データと予め用意した比較用の画像データとを比較して、前記紙カップが正規品種か否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で前記正規品種でないと判定した場合、正規品種でないことを報知する報知工程と、
を備える紙カップの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−209111(P2011−209111A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77099(P2010−77099)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】