説明

紙容器のキャップ

【課題】紙容器のキャップの注出口から内容液をスムーズに注出できる紙容器のキャップの技術を提供する。
【解決手段】紙容器1は外観が直方体形状に形成され、紙容器本体1aの頂面2にキャップ5を備える。キャップ5はフランジ部6と注出部7とキャップ部8で構成され、フランジ部6は円形の開口部Sを備えて頂面2に固着される。円筒状の注出部7には紙容器本体1aの開口予定部Kを開口するための円筒状のインサート部9を備え、インサート部9の内側面9aに内容液の流れをガイドするガイド手段としての螺旋状溝部10を備える。溝部10は幅W、深さD、螺旋ピッチPで形成される。内容液Qのインサート部9の螺旋状溝部10の内部を旋回して成る螺旋流Q1が内容液Qを覆って内容液Q2として注出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を充填する液体食品用容器のキャップ構造に関し、詳しくは液体食品用の紙容器から内容液を注出する際に流れが乱れずスムーズに流出する紙容器のキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、牛乳、清涼飲料等の液体食品を充填する紙容器のキャップに関する従来技術として特許文献1に掲載の内容が知られている。図9に示すように、キャップ51が外観直方体形状の六面体から成る紙容器52の頂面53に取付けられ、キャップ51は注出部51aとフランジ部51bと、注出部51aに螺合する図示しないキャップ部とで構成される。この紙容器52であればスポーツや屋内外活動時等に手軽に持運びができて注出部51aから内容液54を注出して飲用できるので利便性に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−155954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術のキャップでは、内容液54を注出する際に、内容液54の流れ54aが、たまに、乱れが生じる不都合が生じる場合がある。そこで、本発明はかかる従来技術の不都合に鑑みなされたものであって、キャップの注出口から内容液が乱れること無くスムーズに注出できる紙容器のキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、紙基材を折り曲げて頂面と底面と複数の側面から成る紙容器本体に内容液を注出するキャップを備える紙容器のキャップであって、
キャップはフランジ部と注出部とキャップ部から成り、フランジ部が頂面に形成される開口予定部を覆って固着され、注出部の内部に内容液の流れをガイドするガイド手段を備えることを特徴としている。
【0006】
この発明の好ましい態様の発明は、請求項1に記載の紙容器のキャップであって、ガイド手段は螺旋状溝部であることを特徴としている。
【0007】
この発明の好ましい態様の発明は、請求項1に記載の紙容器のキャップであって、ガイド手段は螺旋状突起部であることを特徴としている。
【0008】
この発明の好ましい態様の発明は、請求項1に記載の紙容器のキャップであって、ガイド手段は注出部と同軸で備える回転自在のプロペラであることを特徴としている。
【0009】
この発明の好ましい態様の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の紙容器のキャップであって、注出部は紙容器本体の開口予定部を開口する筒状インサート部を備え、筒状インサート部は円筒状のインサート本体と、注出口を備える六角形状のインサート頭部とから成り、このインサート頭部はキャップ部の内底部に形成される六角形溝に上下スライド自在に収納され、注出部の外周面に形成される第一雄螺子がキャップ部の内周面に形成される第一雌螺子と螺合する一方で、注出部の内周面に形成される第二雄螺子がインサート本体の外周面に形成される第二雌螺子と螺合し、左螺子の第二雄螺子は右螺子の第一雄螺子より大きなピッチで形成され、筒状インサート部にガイド手段を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、キャップ構造はフランジ部と注出部とキャップ部から成り、フランジ部が頂面に形成される開口予定部を覆って固着され、注出部の内部に内容液の流れをガイドするガイド手段を備えるので、このガイド手段によって内容液の流れが整流される。このため、紙容器のキャップの注出口から内容液が乱れること無くスムーズに注出するのでキャップ性能が向上し紙容器の品質が向上する。
【0011】
この発明の好ましい態様によれば、ガイド手段は螺旋状溝部であるので、螺旋状溝部の内部を内容液が旋回しながら螺旋流として注出するため、内容液はこの螺旋流で覆われながら流れるので乱れること無く、請求項1と同様の効果が確実に得られる。
【0012】
この発明の好ましい態様によれば、ガイド手段は螺旋状突起部であるので、内容液が一対の螺旋状突起部で囲まれて旋回しながら螺旋流として注出するため、請求項2と同様の効果が確実に得られる。
【0013】
この発明の好ましい態様によれば、ガイド手段は注出部と同芯で備える回転自在のプロペラなので、内容液がプロペラを回転しながら螺旋流として流れるので請求項2と同様の効果が確実に得られる。
【0014】
この発明の好ましい態様によれば、第二雄螺子は第一雄螺子より大きなピッチで形成されるので、キャップ部を左回りに回転すると、キャップ部が上昇すると同時にインサートがキャップ部の上昇スピードより早く下降するので、キャップ部が注出部から外れると同時にインサート部が開口予定部を破断できる。そして、注出部の筒状インサート部に備えるガイド手段によって内容液を注出することができるので、請求項1乃至請求項4のいずれか1項と同様の効果が確実に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一の実施形態における、外観が直方体形状の紙容器本体1aの頂面2にキャップ5を備えた状態を示すキャップ付紙容器1の斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態における、図1のA−A断面図で、キャップ5の注出部7に備えるスライダー9に螺旋状溝部10が形成された状態を示す図である。
【図3】本発明の第一の実施形態における、紙容器本体1aを形成する帯状包材20の平面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態における、図3のB−B断面図で、開口予定部Kの状態を示す断面図である。
【図5】本発明の第一の実施形態における、注出部7に備えるスライダー9から内容液Q2を注出する状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態における、キャップ5のインサート部9に螺旋状突起部30を設けた状態を示すキャップ5の断面図である。
【図7】本発明の第三の実施形態における、キャップ5のインサート部9に回転自在の四翼のプロペラ31を設けた状態を示すキャップ5の断面図である。
【図8】本発明の第四の実施形態における、キャップ5の注出部7にプルタブ32を設けた状態を示すキャップ5の断面図である。
【図9】従来例における、キャップ付紙容器52の頂面53に設けたキャップ51から内容液54を注出する状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本発明の実施形態>
以下に、本発明の第一の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
<紙容器のキャップの構成>
【0017】
図1、図2に示すように、キャップ付き紙容器1は矩形の頂面2と底面3と四側面4(正面4a、裏面4b、側面4c、側面4d)で外観が直方体形状に形成された紙容器本体1aの頂面2の開口予定部Kを覆ってキャップ5を備え、紙容器本体1aにジュース等の内容液が充填される。
【0018】
キャップ5はフランジ部6と注出部7とキャップ部8で構成され、注出部7にキャップ部8が螺合する。フランジ部6と注出部7は一体形成され、フランジ部6に注出部7の内径と同径の開口部Sを備える。なお、開口部Sは開口予定部Kと同じ大きさの円形である。
【0019】
ここで、注出部7には開口予定部Kを開口するための円筒状のインサート部9を備え、インサート部9の内側面9aに内容液の流れをガイドするガイド手段としての螺旋状溝部10を備える。螺旋状溝部10は断面の幅W、深さD、螺旋ピッチPで形成される。
【0020】
インサート部9は注出口Tとして六角形状のインサート頭部11を備え、インサート頭部11はキャップ部8の内底部8aに形成された六角形溝8bに上下スライド自在に収納される。注出部7の外周面に第一雄螺子7aが形成され、キャップ部8の内周面に形成される第一雌螺子8bと螺合する。さらに、注出部7の内周面に第二雄螺子7bが形成され、第二雄螺子7bがインサート本体9aの外周面に形成される第二雌螺子9bと螺合する。ここで第一雄螺子7aは右螺子で第二雄螺子7bは左螺子であり、第二雄螺子7bは第一雄螺子7aより大きなピッチで形成される。フランジ部6、注出部7、キャップ部8、インサート部9は各々樹脂成形される。
【0021】
図3、図4に示すように、帯状の包材20には紙容器本体1aを成型容易とするための複数の折り目が形成され、紙容器一個分に該当する領域Eにおいて、縦方向の折り目21、22、23、24、横方向の折り目25、26、27、28、斜め方向の8本の折り目29、がそれぞれ形成される。上記紙容器本体1aの正面4a側の頂面2に該当する領域に内容液を注ぐための円形の開口予定部Kが形成される。
【0022】
包材20の構成は、外側から内側にかけて順に、外側層20a、紙基材20b、接着層20c、バリヤー層20d、二層の内側層20eから成り、紙基材20bの外側面にデザイン等20fが予め印刷される。外側層20a、内側層20eは低密度ポリエチレン樹脂、接着層20cはポリエチレン或いはエチレン共重合体等の樹脂、バリヤー層20dはアルミ箔等で形成される。開口予定部Kは開口容易とするために紙基材20bが円形状に切り抜かれる。
【0023】
「キャップ付き紙容器の製造工程の説明」
図示しない充填機において、帯状包材20を下方に搬送しながら両端部を重ねて筒状に縦線シールして内容液を充填した後に、横線シールして紙容器一個分に該当する領域Eを切離して原型容器を形成し、縦方向の折り目21、22、23、24、横方向の折り目25、26、27、28、及び斜め方向の複数の折り目29を折り曲げて、矩形の頂面2と底面3と四側面4から成る外観直方体形状の紙容器本体1aが連続形成される。
【0024】
キャップ5を紙容器本体1aの頂面2に取付ける方法は、図示しない装置でフランジ部6の裏面の領域S1をマイクロフレーム等で溶融し、頂面2の開口予定部Kに位置合わせして固着する。
【0025】
<紙容器のキャップの作用>
上記、円筒状の注出部7には紙容器本体1aの開口予定部Kを開口するための円筒状のインサート部9を備え、第一雄螺子7aは右螺子で第二雄螺子7bは左螺子で、第二雄螺子7bは第一雄螺子7aより大きなピッチで形成される。このため、キャップ部8を左回りに回転すると、キャップ部8が上昇すると同時にインサート9がキャップ部8の上昇スピードより早く下降する。その結果キャップ部8が注出部7から外れる前に、インサート部9が確実に開口予定部Kを破断する事ができるので、キャップ部8を開けると内容液が注出できる状態である。
【0026】
図5に示すように、インサート部9の内側面9aに内容液の流れをガイドするガイド手段としての螺旋状溝部10を備えるので、紙容器1を傾けて内容液Qを注出する際に内容液Qの一部は螺旋状溝部10の内部を旋回しながら螺旋流Q1として注出する。このため、内容液Qは螺旋流Q1で覆われながら略層流の内容液Q2として注出するので流れがスムーズで安定して乱れる事も無くなくなり、キャップ性能が向上し紙容器としての品質が向上する。なお、螺旋状溝部10の断面の幅W、深さD、螺旋ピッチPは内容液の流動性等を考慮して最適な寸法に設定される。
<本発明の第二の実施形態>
【0027】
本発明の第二の実施形態を図6に基づいて説明するが、図2、図5と同様の構成に関しては同符号を用いて重複する説明を省く。
【0028】
図6に示すように、インサート部9に内容液の流れをガイドする螺旋状突起部30が幅F1、ピッチPで設けられ、インサート部9の内径Fとすると螺旋状突起部30の幅F1は、F1<F/2の範囲で形成される。このため、内容液Qは内側面9aと一対の螺旋状突起部30に囲まれて旋回しながら螺旋流Q1となる一方で、内容液Qを中央部に覆いながら注出口Tから注出することができるので、内容液Q2は流れが乱れること無くスムーズに注出できるので、キャップ性能が向上し紙容器の品質が向上する。なお、インサート部9の内径Fに対する螺旋状突起部30の幅F1は内容液全体の流動性を考慮して設定される。
<本発明の第三の実施形態>
【0029】
本発明の第三の実施形態を図7に基づいて説明するが、図2、図5と同様の構成に関しては同符号を用いて重複する説明を省く。
【0030】
インサート部9の内部に回転自在の四翼のプロペラ31を設ける。プロペラ31の軸部31aは支持棒31bを介してインサート9と同芯に備えるので、内容液Qがプロペラ31を旋回しながら螺旋流Q1となる。このため、内容液Q2は螺旋流Q1として注出口Tから乱れること無くスムーズに注出することができるので、キャップ性能が向上し紙容器の品質が向上する。
<本発明の第四の実施形態>
【0031】
本発明の第四の実施形態を図8に基づいて説明するが、図2、図5と同様の構成に関しては同符号を用いて重複する説明を省く。
【0032】
注出部7に開口手段としてのプルタブ32を備え、プルタブ32はプルリング33と開口基部34から成り、開口基部34は注出部7の基部7aと薄肉部35で連結し、開口基部34は開口予定部Kに固着する。このため、プルリング33を引き上げることで開口基部34が薄肉部35を破断して開口予定部Kを容易に開口できる。そして、注出部7に螺旋状溝部10が形成されるので、第一の実施形態と同様の効果が得られる。
【0033】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、キャップ5は紙容器本体1aの頂面2が傾斜する場合や6角柱状の紙容器等々色んな形状の紙容器に対して適用することができる。注出部9に備える回転自在の四翼のプロペラ31は内容液の流動性に対応して例えば三翼でも構わない。螺旋状溝部10と螺旋状突起部30を同時に備える構成でもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 紙容器
1a 紙容器本体
2 頂面
5 キャップ
6 フランジ部
7 注出部
8 キャップ部
9 インサート部
9a 内側面
10 螺旋状溝部
D 深さ
K 開口予定部
P 螺旋ピッチ
Q 内容液
Q1 螺旋流
S 開口部
W 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材を折り曲げて頂面と底面と複数の側面から成る紙容器本体に内容液を注出するキャップを備える紙容器のキャップであって、
前記キャップはフランジ部と注出部とキャップ部から成り、前記フランジ部が前記頂面に形成される開口予定部を覆って固着され、前記注出部の内部に内容液の流れをガイドするガイド手段を備えることを特徴とする紙容器のキャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の紙容器のキャップであって、前記ガイド手段は螺旋状突起部であることを特徴とする紙容器のキャップ。
【請求項3】
請求項1に記載の紙容器のキャップであって、前記ガイド手段は螺旋状溝部であることを特徴とする紙容器のキャップ。
【請求項4】
請求項1に記載の紙容器のキャップであって、前記ガイド手段は前記注出部と同芯で備える回転自在のプロペラであることを特徴とする紙容器のキャップ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の紙容器のキャップであって、前記注出部は紙容器本体の前記開口予定部を開口する筒状インサート部を備え、前記筒状インサート部は円筒状のインサート本体と、注出口を備える六角形状のインサート頭部とから成り、このインサート頭部は前記キャップ部の内底部に形成される六角形溝に上下スライド自在に収納され、前記注出部の外周面に形成される第一雄螺子が前記キャップ部の内周面に形成される第一雌螺子と螺合する一方で、前記注出部の内周面に形成される第二雄螺子が前記インサート本体の外周面に形成される第二雌螺子と螺合し、左螺子の第二雄螺子は右螺子の第一雄螺子より大きなピッチで形成され、前記筒状インサート部に前記ガイド手段を備えることを特徴とする紙容器のキャップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−184066(P2011−184066A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50640(P2010−50640)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】