説明

紙幣入出金装置

【課題】紙幣の補充、及び入金処理を短時間で行うことができるようにする。
【解決手段】紙幣を金種別に収納する紙幣収納部4〜7のうち、紙幣収納部4は表の万円紙幣収納用、紙幣収納部5は裏の万円紙幣収納用、紙幣収納部6は表の千円紙幣収納用、紙幣収納部7は裏の千円紙幣収納用として設定し、鑑別部2での金種、表裏の鑑別結果に応じて紙幣を表と裏に揃えて該当の紙幣収納部4〜7に振分けて収納するようにして、表裏反転機構を用いることなく出金の際に表または裏に揃えて出金することができ、かつ補充回収庫から各紙幣収納部への紙幣の補充処理、及び入金処理についても表裏いずれの紙幣も補充回収庫に送ることなく紙幣収納部に収納できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客の操作により取引を実行する自動取引装置に組み込まれる紙幣入出金装置に関するもので、特に紙幣の表裏を揃えて出金する紙幣入出金装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動取引装置に組み込まれる紙幣入出金装置に備えられる表裏反転機構として、例えば、特許文献1に示される表裏反転機構がある。この表裏反転機構は鑑別部で表と鑑別された紙幣を非反転通路に送って反転することなく搬送し、鑑別部で裏と鑑別された紙幣を反転通路に送って反転するように搬送して表裏を揃えるもので、これにより紙幣入出金装置は紙幣の表裏を揃えて出金できるものとなる。
【0003】
また、表裏反転機構を備えることなく、紙幣の表裏を揃えて出金することができる紙幣入出金装置として、例えば、特許文献2に示される紙幣入出金装置がある。この紙幣入出金装置は、入金取引時に顧客が接客口に投入した紙幣のうち鑑別部で表と鑑別された紙幣のみを入出金用収納庫に収納して出金に用い、裏と鑑別された紙幣を一括収納庫(補充回収庫)に収納して表裏反転し、補充時に一括収納庫から紙幣を繰出して入出金用収納庫に収納するか、または入金取引時に表裏混在のまま入出金用収納庫に収納し、出金取引時に入出金用収納庫から繰出された紙幣のうち鑑別部で表と鑑別された紙幣のみを接客口から出金するものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−30705号公報
【特許文献2】特開平11−16024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、以下の問題がある。
すなわち、特許文献1に示される表裏反転機構により表裏反転を行う紙幣入出金装置では、表裏反転機構を備えることで装置が高価になるという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に示される紙幣入出金装置では、表裏反転機構を備えることなく紙幣の表裏を揃えて出金することができるが、入金取引時に顧客が接客口に投入した紙幣のうち鑑別部で表と鑑別された紙幣のみを入出金用収納庫に収納して出金に用いるという運用を行う場合、裏の紙幣が多いと、出金紙幣が足りなくなって補充までの間出金を停止しなければならなくなり、また入金取引時に表裏混在のまま入出金用収納庫に収納し、出金取引時に入出金用収納庫から繰出された紙幣のうち鑑別部で表と鑑別された紙幣のみを接客口から出金するという運用の場合は、出金時の紙幣の鑑別枚数が増えて、処理に時間がかかるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本発明は、補充時に補充回収庫から繰出した紙幣及び入金取引時に顧客により投入された紙幣の金種、表裏の鑑別を鑑別部で行って金種毎に紙幣を紙幣収納部に収納し、出金取引時に前記収納部から紙幣を繰出して顧客に表裏を揃えて出金する紙幣入出金装置において、同一金種の紙幣について2つの紙幣収納部を設け、前記鑑別部での表裏の鑑別結果に応じて表の紙幣と裏の紙幣を前記2つの紙幣収納部に別々に収納することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このようにした本発明は、同一金種の紙幣について2つの紙幣収納部を設け、鑑別部での金種、表裏の鑑別結果に応じて紙幣を表と裏に揃えて該当の紙幣収納部に収納するようにしているため、表裏反転機構を用いることなく出金の際に表または裏に揃えて出金することができ、かつ補充回収庫から各紙幣収納部への紙幣の補充処理、及び入金処理についても表裏いずれの紙幣も補充回収庫に送ることなく紙幣収納部に収納できるので、紙幣の補充、入金処理を短時間で行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施例の内部構成を示す概略側面図
【図2】紙幣補充時の紙幣の流れを示す概略側面図
【図3】紙幣補充手順を示すフローチャート
【図4】紙幣補充時の紙幣の振分け処理を示すフローチャート
【図5】入金取引時の紙幣の流れを示す概略側面図
【図6】入金取引時の紙幣収納手順を示すフローチャート
【図7】入金取引時の紙幣の振分け処理を示すフローチャート
【図8】紙幣を移動する場合の紙幣の流れを示す概略側面図
【図9】紙幣の移動を決定するための処理手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明による紙幣入出金装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は第1の実施例の内部構成を示す概略側面図で、図において1は接客口、2は入金や出金の際に紙幣を鑑別して計数する鑑別部、3はこの鑑別部2によって入金可能な真券と鑑別された紙幣を一時保留する一時保留部であり、これらは装置筺体の上部に配置されている。
【0012】
4〜7は紙幣を金種別に収納する紙幣収納部(紙幣収納庫)で、装置筺体の下部側に左右方向に並べて配置されており、ここで紙幣収納部4は表の万円紙幣収納用、紙幣収納部5は裏の万円紙幣収納用、紙幣収納部6は表の千円紙幣収納用、紙幣収納部7は裏の千円紙幣収納用として設定されている。
【0013】
8は補充回収庫で、上部に紙幣繰出し口を有し、下部には紙幣の回収部8aを有している。9はこの回収部の下側に一体に形成された補充回収リジェクト部で、この補充回収リジェクト部9は補充時のリジェクト紙幣を収納するものとなっている。
【0014】
10は出金取引時に顧客が取忘れた紙幣を取込んで収納する取忘れ紙幣収納部(取忘れ紙幣収納庫)、11と12は入出金時のリジェクト紙幣を収納する第1、第2の入出金リジェクト収納部(リジェクト紙幣収納庫)で、これら補充回収庫8、補充回収リジェクト部9、取忘れ紙幣収納部10、第1、第2の入出金リジェクト収納部11と12は装置筺体の奥側に上下に重ねて配置され、装置筺体に対して着脱できるようになっている。
【0015】
13は紙幣の搬送路で、この搬送路13は、接客口1、鑑別部2、一時保留部3、紙幣収納部4〜7、補充回収庫8、補充回収リジェクト部9、取忘れ紙幣収納部10、第1、第2の入出金リジェクト収納部11と12のそれぞれの間で紙幣を挟持して搬送するように設けられている。
尚、図示しないが搬送路13の分岐部等には紙幣の搬送方向を切替える切替えブレードが設けられている。
【0016】
上述した構成の作用について説明する。
尚、以下に説明する各部の動作は、図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない制御部により制御されるものとする。
まず、補充回収庫8から紙幣収納部4〜7への紙幣の補充について説明する。図2は紙幣補充時の紙幣の流れを示す概略側面図、図3は紙幣補充手順を示すフローチャートで、このフローチャートにSで示したステップに従って説明する。尚、補充回収庫8には万円、千円の紙幣が表裏不揃いのまま混在して収納され、図示しない上下動可能なステージ上に集積されているものとする。
【0017】
紙幣補充時には、まず補充回収庫8に設けられている図示しない繰出し手段により補充回収庫8上部の紙幣繰出し口から紙幣を1枚ずつ繰出し(S1)、繰出した紙幣を搬送路13により順次鑑別部2に搬送して、この鑑別部2で金種及び表裏の鑑別を行い、鑑別後の紙幣を搬送路13により紙幣収納部4〜7へ搬送して、万円、千円の紙幣を鑑別結果に応じて紙幣収納部4〜7へ振分けて収納する(S2)が、その際、紙幣収納部4〜7に設けられているフル検知センサまたはニアフル検知センサによりフルまたはニアフルが検知された金種の紙幣を補充回収庫8の回収部8aに搬送して収納する。
【0018】
図4はこのときの紙幣の振分け処理を示すフローチャートで、鑑別2での鑑別により表の万円紙幣か否かを判断し(S2a)、表の万円紙幣の場合、紙幣収納部4がフルまたはニアフルか否かを判断する(S2b)。そして、フルまたはニアフルではない場合、表の万円紙幣を紙幣収納部4に搬送して収納し(S2c)、フルまたはニアフルである場合は、表の万円紙幣を補充回収庫8の回収部8aに搬送して収納する(S2d)。
【0019】
紙幣が表の万円紙幣ではない場合、裏の万円紙幣か否かを判断し(S2e)、裏の万円紙幣の場合、紙幣収納部5がフルまたはニアフルか否かを判断する(S2f)。そして、フルまたはニアフルではない場合、裏の万円紙幣を紙幣収納部5に搬送して収納し(S2g)、フルまたはニアフルである場合は、裏の万円紙幣を補充回収庫8の回収部8aに搬送して収納する(S2h)。
【0020】
また、紙幣が裏の万円紙幣ではない場合、表の千円紙幣か否かを判断し(S2i)、表の千円紙幣の場合、紙幣収納部6がフルまたはニアフルか否かを判断する(S2j)。そして、フルまたはニアフルではない場合、表の千円紙幣を紙幣収納部6に搬送して収納し(S2k)、フルまたはニアフルである場合は、表の千円紙幣を補充回収庫8の回収部8aに搬送して収納する(S2l)。
【0021】
更に、紙幣が表の千円紙幣ではない場合、裏の千円紙幣か否かを判断し(S2m)、裏の千円紙幣の場合、紙幣収納部7がフルまたはニアフルか否かを判断する(S2n)。そして、フルまたはニアフルではない場合、裏の千円紙幣を紙幣収納部7に搬送して収納し(S2o)、フルまたはニアフルである場合は、裏の千円紙幣を補充回収庫8の回収部8aに搬送して収納する(S2p)。
紙幣が裏の千円紙幣でもない場合、つまり万円紙幣、千円紙幣以外の異金種あるいは金種不明の紙幣はリジェクトとして補充回収リジェクト部9に搬送して収納する(S2q)。
【0022】
そして、このように紙幣を1枚ずつ処理する毎に補充回収庫8からすべての紙幣を繰出したか否かを制御部が補充回収庫8に設けられている図示しないエンド検知センサの検知結果に基づいて判断し(S3)、補充回収庫8からすべての紙幣を繰出すまで、S1、S2、S3の処理を繰り返す。
このようにして万円、千円の紙幣を表裏鑑別結果に応じて紙幣収納部4〜7へ振分けて表と裏の紙幣を別々に収納し、紙幣収納部4〜7がフルまたはニアフルの場合は、万円、千円の紙幣とも補充回収庫8の回収部8aに収納する。
【0023】
補充回収庫8からすべての紙幣を繰出すと、補充回収庫8の回収部8aに紙幣が存在するか否かを制御部が回収部8aに設けられている図示しないエンド検知センサの検知結果に基づいて判断し(S4)、回収部8aに紙幣が存在しない場合は紙幣の補充処理を終了するが、回収部8aに紙幣が存在する場合、その紙幣を図示しないステージ上に移し替えた後、補充回収庫8から図示しない繰出し手段により紙幣を1枚ずつ繰出し(S5)、繰出した紙幣を搬送路13により順次鑑別部2に搬送して、鑑別部2で金種及び表裏の鑑別を行い、鑑別後の紙幣を搬送路13により紙幣収納部4〜7へ搬送して、万円、千円の紙幣を鑑別結果に応じて紙幣収納部4〜7へ振分けて収納する(S6)。
【0024】
この場合の紙幣は、前回の表裏鑑別後の振分けの際に該当の紙幣収納部4〜7のいずれかがフルまたはニアフルであることによって補充回収庫8の回収部8aに一旦回収された紙幣で、再び補充回収庫8上部の紙幣繰出し口から繰出されて表裏鑑別されるときは表裏が反転されているため、同一金種の表あるいは裏の紙幣を収納する紙幣収納部4〜7のいずれかに収納できる可能性があり、該当収納部がフルまたはニアフルでない場合は収納するが、該当収納部がフルまたはニアフルの場合は補充回収庫8の回収部8aに搬送して収納する。
【0025】
そして、このように紙幣を1枚ずつ処理する毎に補充回収庫8からすべての紙幣を繰出したか否かを制御部が補充回収庫8に設けられている図示しないエンド検知センサの検知結果に基づいて判断し(S7)、補充回収庫8からすべての紙幣を繰出すまで、S5、S6、S7の処理を繰り返して、紙幣の補充処理を終了する。
以上の補充処理により万円紙幣及び千円紙幣を表と裏に揃えて紙幣収納部4〜7に補充収納することができるので、出金取引の際に紙幣を表または裏に揃えて顧客に出金することが可能となる。
【0026】
次に、入金処理について説明する。図5は入金取引時の紙幣の流れを示す概略側面図、図6は紙幣収納手順を示すフローチャートで、このフローチャートにSで示したステップに従って説明する。
入金取引では、顧客により接客口1に一括投入された紙幣を、接客口1に設けられている図示しない繰出し手段により1枚ずつ繰出し、繰出した紙幣を搬送路13により順次鑑別部2に搬送して、この鑑別部2で鑑別を行い、真券と鑑別された紙幣を金種毎に計数した後、搬送路13により一時保留部3に搬送して集積する。
【0027】
すべての紙幣の鑑別、計数が終了し、一時保留部3に集積した紙幣の金種毎の枚数、合計金額を図示しない表示部に表示する。その表示内容を見て顧客が確認キーの押下により入金を指示すると、一時保留部3に搬送して集積された紙幣を、一時保留部3に設けられている図示しない繰出し手段により1枚ずつ繰出し(S11)、繰出した紙幣を搬送路13により順次鑑別部2に搬送して、この鑑別部2で金種、表裏の鑑別を行う。
鑑別後の紙幣を搬送路13により紙幣収納部4〜7へ搬送して、万円、千円の紙幣を鑑別結果に応じて紙幣収納部4〜7へ振分けて収納する(S12)が、その際、紙幣収納部4〜7に設けられているフル検知センサによりフルが検知された金種の紙幣を第1の入出金リジェクト収納部11または第2の入出金リジェクト収納部12に搬送して収納する。ここでは第1の入出金リジェクト収納部11に収納するものとする。
【0028】
図7はこのときの紙幣の振分け処理を示すフローチャートで、鑑別2での鑑別により表の万円紙幣か否かを判断し(S12a)、表の万円紙幣の場合、紙幣収納部4がフルか否かを判断する(S12b)。そして、フルではない場合、表の万円紙幣を紙幣収納部4に搬送して収納し(S12c)、フルである場合は、表の万円紙幣を第1の入出金リジェクト収納部11に搬送して収納する(S12d)。
【0029】
紙幣が表の万円紙幣ではない場合、裏の万円紙幣か否かを判断し(S12e)、裏の万円紙幣の場合、紙幣収納部5がフルか否かを判断する(S12f)。そして、フルではない場合、裏の万円紙幣を紙幣収納部5に搬送して収納し(S12g)、フルである場合は、裏の万円紙幣を第1の入出金リジェクト収納部11に搬送して収納する(S12h)。
【0030】
また、紙幣が裏の万円紙幣ではない場合、表の千円紙幣か否かを判断し(S12i)、表の千円紙幣の場合、紙幣収納部6がフルか否かを判断する(S12j)。そして、フルではない場合、表の千円紙幣を紙幣収納部6に搬送して収納し(S12k)、フルである場合は、表の千円紙幣を第1の入出金リジェクト収納部11に搬送して収納する(S12l)。
【0031】
更に、紙幣が表の千円紙幣ではない場合、裏の千円紙幣か否かを判断し(S12m)、裏の千円紙幣の場合、紙幣収納部7がフルか否かを判断する(S12n)。そして、フルではない場合、裏の千円紙幣を紙幣収納部7に搬送して収納し(S12o)、フルである場合は、裏の千円紙幣を第1の入出金リジェクト収納部11に搬送して収納する(S12p)。
紙幣が裏の千円紙幣でもない場合、つまり万円紙幣、千円紙幣以外の異金種あるいは金種不明の紙幣はリジェクトとして第1の入出金リジェクト収納部11に搬送して収納する(S12q)。
【0032】
そして、このように紙幣を1枚ずつ処理する毎に一時保留部3からすべての紙幣を繰出したか否かを制御部が一時保留部3に設けられている図示しないエンド検知センサの検知結果に基づいて判断し(S13)、一時保留部3からすべての紙幣を繰出すまで、S11、S12、S13の処理を繰り返して入金処理を終了する。
【0033】
ところで、上述した入金取引において、紙幣収納部4〜7がフルになった場合、該当金種の紙幣を収納する第1の入出金リジェクト収納部11または第2の入出金リジェクト収納部12は、一旦紙幣を収納すると再び繰出しを行うことができない構造となっているため、この第1の入出金リジェクト収納部11または第2の入出金リジェクト収納部12に多くの紙幣が収納された場合、装置としては紙幣のリサイクル率が下がることになる。
【0034】
このようなリサイクル率の低下を回避するため、本実施例では、紙幣収納部4〜7に対して個々に収納枚数を管理するカウンタを設け、紙幣収納部4〜7に紙幣を収納あるいは紙幣収納部4〜7から紙幣を繰出す毎に、カウンタ値を増減するものとして、紙幣収納部4〜7内の紙幣の枚数を図示しない制御部が把握可能とし、例えば顧客による取引が行われていない装置の空時間等に同一金種の表裏の紙幣について、収納量が多い紙幣収納部から収納量が少ない紙幣収納部へ紙幣を移動することにより、補充処理や入金取引等において表と裏のどちらか一方の紙幣が多い場合でも、紙幣収納部4〜7のフルが生じないようにする。
【0035】
図8は紙幣収納量が多い紙幣収納部から紙幣収納量の少ない紙幣収納部へ紙幣を移動する場合の紙幣の流れを示す概略側面図であり、ここでは紙幣収納部4に収納された表の万円紙幣を表裏反転して裏の万円紙幣を収納する紙幣収納部5へ移す例を示している。
【0036】
この場合、図8(a)に示したように紙幣収納部4から紙幣を繰出し、搬送路13により鑑別部2を経由させて補充回収庫8上部の紙幣繰出し口に搬送して、補充回収庫8内に一度回収する。次に、図8(b)に示したように紙幣を紙幣繰出し口から繰出し、搬送路13により鑑別部2を経由させて補充回収庫8の回収部8aに搬送することで表裏反転して収納した後、その紙幣を図示しないステージ上に移し替える。そして、図8(c)に示したように補充回収庫8から図示しない繰出し手段により紙幣を1枚ずつ繰出して、繰出した紙幣を搬送路13により鑑別部2に搬送し金種、表裏の鑑別を行った後、搬送路13により紙幣収納部5へ搬送して収納する。
紙幣収納部5に収納された裏の万円紙幣を表の万円紙幣を収納する紙幣収納部4へ移動する場合も同様であり、紙幣収納部6と7との間で千円紙幣を移動させる場合も同様である。
【0037】
図9はこのような紙幣の移動を決定するための処理手順を示すフローチャートで、図示しない制御部により処理される。以下、この処理手順をSで示したステップに従って説明する。
まず、表の万円紙幣を収納した紙幣収納部4と裏の万円紙幣を収納した紙幣収納部5のそれぞれの紙幣有高(収納枚数)を比較して(S21)、表の万円紙幣のほうが多いか否かを判断し(S22)、同じの場合はS29へ移行する。
【0038】
表の万円紙幣のほうが多い場合は、紙幣収納部4内の表の万円紙幣の有高(枚数)と紙幣収納部5内の裏の万円紙幣の有高(枚数)の合計を2で割った値を紙幣収納部4内の表の万円紙幣の有高(枚数)から減算して移動枚数を算出する(S23)。そして、その算出した移動枚数が予め設定された閾値以上か否かを判断し(S24)、閾値未満の場合はS29へ移行するが、閾値以上の場合は、前記のように紙幣収納部4から移動枚数分だけ表の万円紙幣を繰出し、搬送路13により鑑別部2を経由させて補充回収庫8の紙幣繰出し口に搬送して、補充回収庫8内に回収する(S25)。
【0039】
前記S22で裏の万円紙幣のほうが多いと判断した場合は、紙幣収納部4内の表の万円紙幣の有高(枚数)と紙幣収納部5内の裏の万円紙幣の有高(枚数)の合計を2で割った値を紙幣収納部5内の裏の万円紙幣の有高(枚数)から減算して移動枚数を算出する(S26)。そして、その算出した移動枚数が予め設定された閾値以上か否かを判断して(S27)、閾値未満の場合はS29へ移行するが、閾値以上の場合は、紙幣収納部5から移動枚数分だけ裏の万円紙幣を繰出し、搬送路13により鑑別部2を経由させて補充回収庫8の紙幣繰出し口に搬送して、補充回収庫8内に収納する(S28)。
【0040】
次に、表の千円紙幣を収納した紙幣収納部6と裏の千円紙幣を収納した紙幣収納部7のそれぞれの紙幣有高(収納枚数)を比較して(S29)、表の千円紙幣のほうが多いか否かを判断し(S30)、同じの場合はS37へ移行する。
【0041】
表の千円紙幣のほうが多い場合は、紙幣収納部6内の表の千円紙幣の有高(枚数)と紙幣収納部7内の裏の千円紙幣の有高(枚数)の合計を2で割った値を紙幣収納部6内の表の千円紙幣の有高(枚数)から減算して移動枚数を算出する(S31)。そして、その算出した移動枚数が予め設定された閾値以上か否かを判断し(S32)、閾値未満の場合はS37へ移行するが、閾値以上の場合は、紙幣収納部6から移動枚数分だけ表の千円紙幣を繰出し、搬送路13により鑑別部2を経由させて補充回収庫8の紙幣繰出し口に搬送して、補充回収庫8内に回収する(S33)。
【0042】
前記S30で裏の千円紙幣のほうが多いと判断した場合は、紙幣収納部6内の表の千円紙幣の有高(枚数)と紙幣収納部7内の裏の千円紙幣の有高(枚数)の合計を2で割った値を紙幣収納部7内の裏の千円紙幣の有高(枚数)から減算して移動枚数を算出する(S34)。そして、その算出した移動枚数が予め設定された閾値以上か否かを判断して(S35)、閾値未満の場合はS37へ移行するが、閾値以上の場合は、紙幣収納部7から移動枚数分だけ裏の千円紙幣を繰出し、搬送路13により鑑別部2を経由させて補充回収庫8の紙幣繰出し口に搬送して、補充回収庫8内に回収する(S36)。
【0043】
次に、補充回収庫に回収した紙幣が有ったか否かを判断し(S37)、無かった場合は処理を終了し、回収した紙幣が有った場合は、補充回収庫8の紙幣繰出し口から図示しない繰出し手段により紙幣を繰出し、搬送路13により鑑別部2を経由させて補充回収庫8の回収部8aに搬送することで表裏反転して収納した後、その紙幣を図示しないステージ上に移し替える(S38)。
【0044】
そして補充回収庫8の紙幣繰出し口から図示しない繰出し手段により紙幣を1枚ずつ繰出して、繰出した紙幣を搬送路13により鑑別部2に搬送して、金種、表裏の鑑別を行い、その鑑別結果に基づいて搬送路13により紙幣収納部4〜7に搬送し、振分けて収納する(S39)。
【0045】
このように、同一金種の紙幣について、紙幣収納部内の紙幣の有高(枚数)を調べ、表(または裏)の紙幣が多いとき、移動枚数を算出して紙幣収納量の多い紙幣収納部から紙幣収納量の多い紙幣収納部へ表(または裏)の紙幣を移動させるようにしているため、表の紙幣を収納する紙幣収納部と裏の紙幣を収納する紙幣収納部のどちらか一方がフルになって、紙幣が第1の入出金リジェクト収納部11または第2の入出金リジェクト収納部12に収納されてリサイクルされなくなることを抑制することができる。
【0046】
以上説明したように第1の実施例によれば、同一金種の紙幣について2つの紙幣収納部を設け、鑑別部での金種、表裏の鑑別結果に応じて紙幣を表と裏に揃えて該当の紙幣収納部に収納するようにしているため、表裏反転機構を用いることなく出金の際に表または裏に揃えて出金することができ、かつ補充回収庫から各紙幣収納部への紙幣の補充処理、及び入金処理についても表裏いずれの紙幣も補充回収庫に送ることなく紙幣収納部に収納できるので、紙幣の補充、入金処理を短時間で行うことができるという効果が得られる。
【0047】
また、同一金種の紙幣を裏表に分けて収納する2つの紙幣収納部について、紙幣収納部内の紙幣の有高(枚数)を調べ、表(または裏)の紙幣が多いとき、移動枚数を算出して紙幣収納量の多い紙幣収納部から紙幣収納量の少ない紙幣収納部へ表(または裏)の紙幣を移動させるようにしているため、表の紙幣を収納する紙幣収納部と裏の紙幣を収納する紙幣収納部のどちらか一方がフルになって、紙幣が第1の入出金リジェクト収納部11または第2の入出金リジェクト収納部12に収納されてリサイクルされなくなることを抑制することができ、紙幣を表または裏に揃えて出金することができる機能を確保しつつ紙幣のリサイクル効率を上げることができるという効果が得られる。
更に、入金、出金の際、補充回収庫を通すことなく、紙幣の表裏を揃えることができるので、処理時間が短くて済むという効果も得られる。
【符号の説明】
【0048】
1 接客口
2 鑑別部
3 一時保留部
4〜7 紙幣収納部
8 補充回収庫
9 補充回収リジェクト部
10 取忘れ紙幣収納部
11 第1の入出金リジェクト収納部
12 第2の入出金リジェクト収納部
13 搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補充時に補充回収庫から繰出した紙幣及び入金取引時に顧客により投入された紙幣の金種、表裏の鑑別を鑑別部で行って金種毎に紙幣を紙幣収納部に収納し、出金取引時に前記収納部から紙幣を繰出して顧客に表裏を揃えて出金する紙幣入出金装置において、
同一金種の紙幣について2つの紙幣収納部を設け、前記鑑別部での表裏の鑑別結果に応じて表の紙幣と裏の紙幣を前記2つの紙幣収納部に別々に収納することを特徴とする紙幣入出金装置。
【請求項2】
請求項1記載の紙幣入出金装置において、
前記補充回収庫は紙幣繰出し口と回収部を備えていて、紙幣繰出し口から繰出した紙幣を回収部に搬送して回収した後、再び前記紙幣繰出し口から繰出すことで紙幣の表裏が反転するものとし、
表の紙幣を収納した紙幣収納部の紙幣収納枚数と、裏の紙幣を収納した紙幣収納部の紙幣収納枚数の一方が多いとき、紙幣の移動枚数を算出し、算出した移動枚数分だけ紙幣を収納枚数が多い紙幣収納部から繰出して前記紙幣繰出し口へ搬送して前記補充回収庫に回収した後、前記紙幣繰出し口から紙幣を繰出し、回収部に搬送して回収し、更に前記紙幣繰出し口から繰出して前記収納枚数が少ない紙幣収納部に収納することで紙幣の移動を行うことを特徴とする紙幣入出金装置。
【請求項3】
請求項2記載の紙幣入出金装置において、
前記紙幣の移動は、入出金取引が行われていない空時間に行うことを特徴とする紙幣入出金装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−113567(P2012−113567A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262847(P2010−262847)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】