説明

紙葉類の重送検出方法および紙葉類処理装置

【課題】搬送対象の小切手の最大厚さが最小厚さの2倍以上の場合であっても小切手の厚さ検出値に基づき正確に重送判定を行うことのできる重送検出方法および紙葉類処理装置を提案すること。
【解決手段】重送検出システム1は、小切手読取装置100の搬送路101を搬送される小切手4の厚さを検出する厚さ検出器3を有し、通過する小切手4の厚さを、厚さ検出器3から一定の周期でサンプリングする。サンプリングした検出厚さの変化量Δtを順次に算出し、算出された検出厚さの変化量Δtを予め定めた閾値Th2と比較し、変化量Δtが閾値Th2以上の場合には、小切手4が重送されていると判定する。検出値の誤差成分による判定精度の低下を防止するために、検出値をサンプリング順に複数個ずつ順次に抽出して、それらの平均値を算出し、算出された各平均値の変化量に基づき重送判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路に沿って搬送される小切手などの紙葉類が重なった状態で搬送されているか否かを検出する紙葉類の重送検出方法と紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類の処理装置、例えば、小切手処理装置では、束になった状態で小切手が収納されている小切手収納部から1枚ずつ小切手を分離して搬送路に送り出し、搬送路に沿って搬送される小切手から磁気文字情報を読み取るなどの処理を行っている。処理対象の紙葉類を搬送しながら各種の処理を行う処理装置では、紙葉類を1枚ずつ搬送する必要がある。そのために、紙葉類が重なった状態で搬送された場合には、それを確実に検出して処理を中止あるいは中断するようにしている。
【0003】
紙葉類の重送を検出するための方法としては、搬送路上に厚さ検出器を配置し、この厚さ検出器の検出位置を通過する紙葉類の厚さを検出し、検出された厚さが1枚分の厚さを超えている場合には重送されているものと判断する方法が一般に採用されている。特許文献1〜5には、このような重送検出方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−225661号公報
【特許文献2】特開2005−132599号公報
【特許文献3】特開2005−306491号公報
【特許文献4】特開2005−225659号公報
【特許文献5】特開2005−225581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、検出された厚さが1枚分の紙葉類の厚さを超えているか否かに基づく重送判定では、搬送対象の紙葉類の最大厚さTmaxが、搬送対象の紙葉類の最小厚さTminの2倍未満であるという条件を前提としている。
Tmin×2>Tmax
【0006】
小切手類を処理する小切手処理装置においては、小切手類の最大厚さは0.14mmであり、最小厚さは0.10mmであるので、上記の特許文献に開示の方法により重送判定を正確に行うことが可能である。
【0007】
しかしながら、各種の紙葉類を取り扱う場合には、上記の条件から外れた厚さのものが搬送される場合が想定される。例えば、薄い紙葉類の厚さが0.075mmであり、厚い紙葉類の厚さが0.16mmの場合には、薄い紙葉類が2枚重ねの状態で搬送されたときの厚さ検出値は0.15mmであり、厚い紙葉類の厚さ0.16mmよりも薄い。したがって、この場合には、薄い紙葉類が2枚重ねで送られているのか、厚い紙葉類が1枚送られているかを区別できない。
【0008】
本発明の課題は、紙葉類の最大厚さが最小厚さの2倍以上の場合であっても紙葉類の厚さに基づき正確に重送判定を行うことのできる重送検出方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の重送検出方法は、
搬送路における予め定めた位置に、当該搬送路に沿って搬送される紙葉類の厚さを検出するための厚さ検出器を配置し、
この厚さ検出器による検出位置を紙葉類が通過する際に、当該厚さ検出器の検出値を所定の周期でサンプリングし、
サンプリングした検出値の変化量を順次に算出し、
算出された各変化量を予め定めた閾値と比較し、
前記変化量が前記閾値以上の場合には、前記紙葉類が重送されていると判定することを特徴としている。
【0010】
ここで、検出値の誤差成分による判定精度の低下を防止するためには、前記検出値をサンプリング順に複数個ずつ順次に抽出して、それらの平均値を算出し、前記検出値の変化量の代わりに、算出された各平均値の変化量を算出し、この変化量に基づき重送判定を行うことが望ましい。
【0011】
本発明の重送検出方法では、紙葉類が検出位置を通過している際における厚さの変化量を検出している。重なって紙葉類が搬送される場合には、一般に2枚の紙葉類が搬送方向の前後にずれた状態で搬送されている。したがって、この状態で検出位置を通過する紙葉類の厚さは、最初は1枚分の厚さであるが、途中から2枚分の厚さに変化する。本発明の方法では、紙葉類が重送される場合におけるかかる段差に起因する厚さ変動(変化量)に着目し、当該厚さ変動が発生した場合には重送状態であると判定するようにしている。したがって、紙葉類の最大厚さが最小厚さの2倍未満であるという従来の重送検出方法の前提条件を満たさない場合であっても精度良く重送判定を行うことができる。
【0012】
ここで、紙葉類が重なっているためにできる段差による検出厚さの変動時点と、紙葉類の先端および後端が検出位置を通過する際に生ずる検出厚さの変動時点とを区別する必要がある。
【0013】
厚さ検出器の検出位置を紙葉類の先端が通過した時点は次のように検出することができる。まず、前記検出位置に前記紙葉類が到達する前の時点において、前記厚さ検出器から厚さ零を表す零検出値を少なくとも1回サンプリングする。この零検出値の検出時点から前記厚さ検出器の検出値を所定の周期でサンプリングし、サンプリングした検出値と前記零検出値との差を順次に算出する。前記零検出値との差が所定値以上となった時点を、前記紙葉類における搬送方向の先端が前記検出位置を通過した先端通過時点であると判断する。そして、この先端通過時点、あるいは、当該先端通過時点から所定回数のサンプリング周期後の時点を、重送判定のための判定開始時点と定め、この判定開始時点以後にサンプリングされた各検出値あるいは各平均値から算出された前記変化量に基づき前記紙葉類の重送判定を行えば良い。
【0014】
この場合、先端通過時点の検出精度を高めるためには、厚さ検出器の前記零検出値を複数回サンプリングし、これらの零検出値の平均値を用いて前記先端通過時点を判断することが望ましい。
【0015】
次に、厚さ検出器の検出位置を紙葉類の後端が通過した時点は次のように検出することができる。まず、前記零検出値のサンプリング時点から所定のサンプリング期間に亘って前記厚さ検出器の検出値のサンプリングを行う。前記サンプリング期間の終了時点においてサンプリングされた前記厚さ検出器の最終検出値を前記零検出値と比較する。前記最終検出値と前記零検出値の差が所定値以下の場合には、前記サンプリング期間の終了時点において前記紙葉類の搬送方向の後端が前記検出位置を通過し終えたものと判断する。
【0016】
この場合には、検出厚さが零に戻った時点を検出することにより、紙葉類の後端が通過した時点を知ることができる。すなわち、紙葉類の前記後端が通過し終えたものと判断された場合には、前記最終検出値と、当該最終検出値のサンプリング時点より前にサンプリングされた各検出値との差を順次に遡って算出し、前記最終検出値との差が所定値を超えた時点を、前記紙葉類の前記後端が前記検出位置を通過し終えた後端通過時点であると判断する。そして、当該後端通過時点、あるいは、当該後端通過時点から複数回のサンプリング周期分だけ遡った時点を、重送判定の判定終了時点であると定め、前記判定開始時点から前記判定終了時点までにサンプリングされた各検出値あるいは各平均値の変化量に基づき前記紙葉類の重送判定を行うことができる。
【0017】
なお、サンプリング期間が短い場合などにおいては、その間に紙葉類の後端が検出位置を通過し終えることができない場合がある。例えば、2枚の紙葉類の重なり量が少なく、前後に長い状態で送られている場合などにおいては、サンプリング期間中に後端が検出位置を通過し終えることができないことが想定される。この場合には、検出厚さが零に戻らないので、検出厚さに基づき、紙葉類の後端が検出位置を通過し終わっていないと判断することができる。
【0018】
この場合には、前記最終検出値がサンプリングされたサンプリング期間の終了時点、あるいは、当該終了時点から所定のサンプリング周期分だけ遡ったサンプリング時点を、重送判定の判定終了時点であると定め、前記判定開始時点から前記判定終了時点までにサンプリングされた各検出値あるいは各平均値の変化量に基づき前記紙葉類の重送判定を行うことができる。
【0019】
次に、紙葉類の先端が僅かに搬送方向の前後にずれた状態で重送される場合、紙葉類の後端が僅かに前後にずれた状態で重送されていることを精度良く検出することが必要であり、紙葉類の先端側および後端側における重送判定を短い間隔で頻繁に行うことが望ましい。
【0020】
紙葉類の先端側が僅かに前後にずれた状態で重送される場合を精度良く検出するために、前記判定開始時点から順次に得られる所定個数kの前記検出値に基づく先端側重送判定においては、
前記判定開始時点から順次に得られる2(m+n)個(m、nは整数)の検出値の組を、nを予め定めた初期値から、「1」ずつ増加して、2(m+n)=kとなるまで複数組抽出し、
各組について、その前半の(m+n)個の検出値の平均値と、その後半の(m+n)個の平均値とを算出し、これらの平均値の差分Fを算出し、
前記差分Fが前記閾値Tha以上の場合には前記紙葉類が重送されたと判定するようにしている。
【0021】
例えば、k=50、m=5、nの初期値=0の場合には、
5個ずつ10個
6個ずつ12個
7個ずつ14個



25個ずつ50個
の21の検出値の組を抽出し、各組における検出値の差分Fを算出し、差分Fが閾値以上であるか否かを判別する。抽出した各組の検出値群の間、あるいはその近傍に紙葉類の段差ができている場合には、差分Fが閾値以上になるので、当該段差が検出される。換言すると、紙葉類が重送状態であることが分かる。
【0022】
ここで、紙葉類の先端部分に欠け、破れ、穴などが付いている場合には、これらが検出位置を通過する際に、段差部分が通過する場合と同様に、厚さ検出値が変動する。欠け、破れ、穴などが付いている場合には、厚さ検出値が厚さ零の側に変動する。したがって、次のようにして、このような欠け、破れ、穴などの通過を検出して、これらの通過を段差部分が通過したと誤認してしまうことを防止できる。
【0023】
すなわち、前記先端側重送判定において抽出したk個の検出値について、各組の2(m+n)個の検出値を、サンプリング順とは逆の順序でm個ずつに分け、m個に満たない端数分の検出値は無視し、各m個ずつの検出値の各平均値amを算出する。各平均値amと前記零検出値の差が所定値以下の場合、すなわち、変動後の厚さが厚さ零を示す場合には、欠け、破れ、穴などが通過したものであると判断できるので、当該2(m+n)個の検出値に基づく前記先端側重送判定を無効とする。
【0024】
また、紙葉類の先端部が折れ曲がって二重になっている場合などにおいては、算出された差分Fが厚さが薄くなる方向に変化する。このような折れ曲がりなどによる検出値変動を重送であると誤検出することのないように、差分Fの変化方向が厚さが薄くなる方向の場合は、当該差分Fによる重送判定を無効にすればよい。
【0025】
次に、紙葉類の後端側が僅かに前後にずれた状態で重送される場合を、精度良く検出するために、前記判定終了時点から順次に遡って得られる所定個数kの前記検出値に基づく後端側重送判定においては、
前記判定終了時点から順次に遡って得られる2(m+n)個(m、nは整数)の検出値の組を、nを予め定めた初期値から、「1」ずつ増加して、2(m+n)=kとなるまで複数組抽出し、
各組について、その前半の(m+n)個の検出値の平均値と、その後半の(m+n)個の平均値とを算出し、これらの平均値の差分Fを算出し、
前記差分Fが前記閾値以上の場合には前記紙葉類が重送されたと判定するようにしている。
【0026】
この場合においても、紙葉類の後端部分に付いている欠け、破れ、穴などの通過を、段差部分が通過したものと誤認することにないようにするために、前記後端側重送判定において抽出したk個の検出値について、各組の2(m+n)個の検出値を、サンプリング順にm個ずつ分け、m個に満たない端数分の検出値は無視し、各m個ずつの検出値の各平均値amを算出し、前記紙葉類の前記後端が前記検出位置を通過し終えている場合には、各平均値amと前記最終検出値の差が所定値以下の場合には、当該2(m+n)個の検出値に基づく前記後端側重送判定の結果を無効とすればよい。
【0027】
ここで、前記紙葉類の前記後端が前記検出位置を通過し終えていない場合には、各平均値amと前記零検出値の差が所定値以下の場合には、当該2(m+n)個の検出値に基づく前記後端側重送判定の結果を無効とすればよい。
【0028】
また、紙葉類の後端部が折れ曲がって二重になっている場合などにおいては、算出された差分Fが厚さが厚くなる方向に変化する。このような折れ曲がりなどによる検出値変動を重送であると誤検出することのないように、差分Fの変化方向が厚さが厚くなる方向の場合は、当該差分Fによる重送判定を無効にすればよい。
【0029】
次に、紙葉類の搬送方向の中間部分に段差が付いている場合には、段差の前後においてそれぞれ一定厚さの検出値が継続して得られる。したがって、広い間隔で段差を検出しても精度良く段差を検出できる。また、紙葉類の前後の中間部分には大きな折り目、皺などがついている場合が多く、狭い間隔で段差判定を行うと、大きな折り目、皺を段差であると誤認し、かえって検出精度が低下する可能性もある。したがって、紙葉類の中間部分における段差の識別は次のように行うことが望ましい。
【0030】
すなわち、前記判定開始時点から前記判定終了時点までに含まれている検出値群を、サンプリング順にしたがって連続してk個ずつm個置きに抽出し、k個に至らない端数分の検出値は無視する。各k個ずつの検出値を、前半k/2個および後半k/2に分け、それぞれの平均値を算出し、各平均値の差分Fを算出する。この差分Fが前記閾値以上の場合には、段差が通過したものと判断できるので、前記紙葉類が重送されたものと判定することができる。
【0031】
この場合においても、紙葉類に破れ、穴などが付いていると、それらが検出位置を通過する際に厚さ検出値が大きく変動するので、段差が通過したものと誤認してしまう可能性がある。そこで、夫々のk個ずつの検出値群に含まれている各検出値と、前記零検出値との差が所定値以下の場合、すなわち、検出厚さが零を示している場合には、破れ、穴などが通過したものと判断し、当該k個の検出値群の平均値の差分Fに基づく前記重送判定を無効にすることが望ましい。
【0032】
次に、本発明の紙葉類の重送検出方法においては、前記厚さ検出器として、検出厚さに対して検出値が線形関係となるものを採用し、重送検出に先立って、前記厚さ検出器における厚さ零の場合の検出値を、初期検出値Voとして読み取り、前記厚さ検出器の前記検出位置に、既知の厚さtの基準ゲージを通した場合の検出値を、基準厚さ検出値Vtとして読み取り、前記厚さ検出器の初期感度を(Vo−Vt)/tに設定しておく。このように、個体毎に感度を測定しておき、実際の前記紙葉類の重送検出においては、搬送対象の前記紙葉類の最小厚さに基づき、重送判定の基準となる厚さ変動閾値t2を設定し、前記閾値を、{(Vo−Vt)/t}×t2に設定すればよい。このようにすれば、使用環境、厚さ検出器の経時変化などに起因した感度のばらつきを補正でき、精度良く厚さ検出を行うことができ、したがって、精度良く段差に基づく紙葉類の重送判定を行うことができる。
【0033】
ここで、前記初期検出値Voおよび前記基準厚さ検出値Vtとして、それぞれ、複数回の検出値の平均値を採用することが望ましい。
【0034】
また、前記搬送路の前記検出位置に、搬送される紙葉類の厚さに応じて変位する変位部材を配置し、前記厚さ検出器により、当該変位部材の変位量を検出するようにしてもよい。
【0035】
この場合には、前記変位部材として、一端に、前記検出位置を通過する紙葉類によって変位する変位部が形成され、他端に、増幅された変位量で変位する検出部が形成された回動レバーを採用し、前記厚さ検出器によって、前記検出部の変位量を検出するようにすれば、検出感度を高めることができるので好ましい。
【0036】
なお、前記厚さ検出器としては半導体位置検出器などの光学センサを採用することができる。
【0037】
また、本発明の紙葉類処理装置は、上述の紙葉類の重送検出方法を用いたものであり、 紙葉類を挿入する紙葉類挿入部と、前記紙葉類挿入部に挿入された前記紙葉類が搬送される搬送路と、前記搬送路を通過し終えた前記紙葉類を回収する回収部と、前記搬送路に沿って前記紙葉類を搬送する搬送機構と、前記搬送路上に配置された前記厚さ検出器とを有していることを特徴としている。
【0038】
このような紙葉類処理装置により、紙葉類の最大厚さが最小厚さの2倍以上の場合であっても紙葉類の厚さに基づき正確に重送判定を行うことができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の紙葉類の重送検出方法では、搬送路を通過する紙葉類の厚さを検出する厚さ検出器の検出値に基づき、紙葉類が重送されている場合に生ずる段差が通過したか否かを検出し、段差が検出された場合には紙葉類が重送されていると判定している。したがって、紙葉類の最大厚さが最小厚さの2倍未満でなければならない、という従来の厚さに基づく重送判定の前提条件が成立しない場合であっても、紙葉類の重送状態を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明を適用した重送検出システム、厚さ検出器の主要部分の概略構成図である。
【図2】検出値のサンプリング周期およびサンプリング開始ポイントを示す説明図である。
【図3】重送判定用の第1〜第3モードを示す説明図である。
【図4】重送判定フローを示す概略フローチャートである。
【図5】重送判定動作を示す説明図である。
【図6】判定開始および判定終了ポイントの決定方法を示す説明図である。
【図7】先端処理を示す説明図である。
【図8】小切手の穴がある場合の先端処理を示す説明図である。
【図9】小切手が折れ曲がっている場合の先端処理を示す説明図である。
【図10】後端処理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した紙葉類の重送検出方法の実施の形態を説明する。
【0042】
図1(a)は、本実施の形態に係る小切手の重送検出システムの主要部分を示す概略構成図であり、図1(b)はその厚さ検出器を示す概略構成図である。重送検出システム1は、例えば、小切手読取装置100の搬送路101に配置された長さ検出器2(以下、LD検出器2と呼ぶ。)と、搬送路101におけるLD検出器2よりも下流側の位置に配置された厚さ検出器3と、これらのLD検出器2おおび厚さ検出器3の出力に基づき小切手4の重送判定を行う重送判定回路5とを有している。
【0043】
重送判定回路5は、発光パルス制御回路6を介して所定のデューティ比および周期の駆動パルス信号を厚さ検出器3に供給して、この厚さ検出器3を駆動する。厚さ検出器3の検出信号はA/D変換器7を含む信号処理回路8を介して、例えば、10ビットのデジタル値に変換された後に、重送判定回路5に供給される。重送判定回路5は、CPU、ROM、RAMを中心に構成されたマイクロプロセッサユニットであり、一定のサンプリング周期で厚さ検出器3の検出値を読み取り、読み取った検出値に基づき、搬送路101を通過する小切手4が重送されているか否かの重送判定を行う。
【0044】
厚さ検出器3は、図1(b)に示すように、LED11、一次元半導体位置検出素子12、LED駆動回路13および信号処理回路14を備えている。LED11からの検出光は、投光レンズ15を介して検出面16を照射する。検出面16からの反射光は受光レンズ17を介して一次元半導体位置検出素子12の受光面12aに収束する。一次元半導体位置検出素子12は、反射光の受光位置に応じて内分された電圧が両端から出力され、これら両端電位の差分に基づき反射光の受光位置が検出される。
【0045】
本例では、検出面16が、小切手読取装置100における磁気インク文字読取用の磁気ヘッド(以下、MICRヘッドと呼ぶ。)102の感磁面102aに小切手4を押し付けるための押さえレバー103の後端面に形成されている。押さえレバー103は、その先端面103aとMICRヘッド102の間を通過する小切手4の厚さに応じて、回動中心軸105を中心として回動する。この回動中心軸105から先端面103aまでの距離に比べて、回動中心軸105から検出面16までの距離が長いので、先端面103aの変位が増幅されて検出面16に伝わる。検出面16は厚さ検出器3に対して接近および離れる方向に変位し、この変位量に対応して、一次元半導体位置検出素子12の受光面12aにおける反射光の照射位置が移動する。したがって、一次元半導体位置検出素子12からの検出信号に基づき、厚さ検出器3の検出位置であるMICRヘッド102を通過する小切手4の厚さを知ることができる。
【0046】
図2は重送判定回路5による厚さ検出器3の検出値のサンプリング(読み取り)開始ポイントT(1)およびサンプリング(読み取り)周期を示す説明図である。重送判定回路5では、搬送路101を搬送される小切手4の先端4aがLD検出器2によって検出された時点T(0)から規定量だけ小切手の搬送が行われた後の時点T(1)から厚さ検出器3の検出値のサンプリングが開始される。本例の小切手読取装置100は、小切手搬送用のモータとしてステッピングモータ(図示せず)が使用されており、規定のステップ数(N1ステップ)だけ小切手搬送用のステッピングモータ(図示せず)によって小切手搬送が行われた後の時点T(1)から、厚さ検出器3の検出値のサンプリングが開始される。
【0047】
このサンプリング開始ポイントT(1)から、4ステップの周期で1ステップずつLED11を発光させ、発光区間において検出値のサンプリングを行う。すなわち、LED11を1ステップ送りに対応する時間Δだけ発光させ、この間に、厚さ検出器3の検出値を読み取る。読み取りは、LED発光開始時の不安定領域分(読み取りDelay)だけ遅れた時点から一定期間ΔTの間において複数回行い、読み取られた値を平均し、これを、1サンプリングポイント分の検出値として取り込む。かかるサンプリング動作を、4ステップの周期TSで繰り返し行う。例えば、1ステップは0.282mm(90dpi)に対応する長さである。
【0048】
重送判定回路5は、厚さ検出器3の検出値の読み取りを上記のように4ステップのサンプリング周期で繰り返し行い、搬送路101を通過する小切手4の重送検出を行う。本例の重送判定回路5は重送検出制御として3種類のモードが備わっている。
【0049】
図3は重送判定回路5において実行される重送検出制御の3種類のモードを示す説明図である。第1モードは、図3(a)に示すように、検出された小切手4の厚さtが予め設定された一定の閾値Th1を超えた場合を重送であると判定するモードである。このモードでは、搬送対象の小切手4の最大厚さが最小厚さの2倍未満であることが検出のための前提条件とされる。この場合、小切手4の重なり量が少ない場合には検出が困難あるいは不可能である。
【0050】
第2モードは、図3(b)に示すように、LD検出器2によって検出される小切手4の長さLが、予め設定された一定の閾値L(Th)を超えた場合を重送であると判定するモードである。閾値L(Th)は、搬送対象の小切手の最大長さを超える値に設定される。
【0051】
第3モードは本発明によるものであり、図3(c)に示すように、検出された小切手4の厚さtから厚さ変動Δtを検出し、厚さ変動Δtが一定の閾値Th2を超えた場合、すなわち、重なって搬送されている小切手4の段差4bが検出された場合を重送であると判定するモードである。この場合にも、小切手4の重なり量が少ない場合には検出が困難あるいは不可能である。
【0052】
本例の重送判定回路5では、例えば、モード切替操作によって、第1および第2モードの組み合わせ、あるいは、第3および第2モードの組み合わせによって、小切手4の重送検出を行うようになっている。すなわち、小切手読取装置100における読み取り対象の小切手4の最大厚さが最小厚さの2倍未満という前提条件を満たすことが分かっている場合には、第1および第2モードの組み合わせにより重送検出を行えばよい。多様な小切手を読み取る場合のように、このような厚さの前提条件が保証されない場合には、第3および第2モードの組み合わせにより重送検出を行えばよい。
【0053】
(厚さ検出器の初期感度の設定)
重送検出システム1の厚さ検出器3は、その検出値が小切手4の厚さと線形関係となる。本例では、個体差、組み付け誤差などに起因する感度のばらつきを補正するために、出荷前の段階、例えば、厚さ検出器3を搬送路101に組み付けた後に当該厚さ検出器3の出力感度を測定し、重送判定回路5の内蔵メモリなどに測定した出力感度が設定される。
【0054】
出力感度の測定においては、まず、厚さ検出器3における厚さ零の場合の検出値を、初期検出値Voとして読み取る。次に、厚さ検出器3の検出位置に、既知の厚さtの基準ゲージを通した場合の検出値を、基準厚さ検出値Vtとして読み取る。読み取った値から、厚さ検出器3の初期感度である(Vo−Vt)/tを算出する。
【0055】
本例では、測定誤差などを除去するために、小切手無しの状態で厚さ検出器3の検出値を複数回、例えば、5サンプリングポイント分だけ読み取り、これらの検出値の平均値をVoとする。また、基準ゲージを通した場合においても検出値を複数回、例えば、5サンプリングポイント分だけ読み取り、これらの検出値の平均値をVtとし、初期感度を算出して、内蔵メモリなどに設定している。例えば、基準ゲージの厚さtは0.20mmとされる。
【0056】
(重送検出用の閾値Th1、Th2、L(Th)の設定)
重送検出システム1による重送検出用の各閾値Th1、Th2、L(Th)は次にように設定することができる。
【0057】
まず、第1モード(図3(a))における閾値Th1は、厚さ検出器3の初期感度を用いて、次式により求める。
【0058】
Th1={(Vo−Vt)/t}×t1
【0059】
厚さt1は紙厚閾値であり、例えば、搬送対象の小切手4の最大厚さが0.14mm、最小厚さが0.10mmの場合には、これらの間の値0.17mmとされる。
【0060】
同様に、第3モード(図3(c))における厚さ変動の閾値Th2は次のように設定する。まず、搬送対象の小切手4の最小厚さに基づき、重送判定の基準となる厚さ変動値t2を設定し、この厚さ変動値t2に対応する厚さ検出器3の出力値を、重送判定用の閾値Th2として設定する。厚さ検出器3の初期感度を用いて、この閾値Th2は次式により求める。
【0061】
Th2={(Vo−Vt)/t}×t2
【0062】
例えば、搬送対象の小切手4の最小厚さが0.075mmの場合には、厚さ変動値t2は測定誤差などを考慮して、例えば0.05mmとされる。
【0063】
なお、第2モード(図3(b))における長さの閾値L(Th)は、搬送対象の小切手4の最大長さを超える値に設定される。
【0064】
(重送検出制御:第3モード)
次に、図4は重送検出システム1の第3モード(図3(c))による重送検出動作を示す概略フローチャートである。図5は、小切手4(1)と小切手4(2)が重なった状態で検出位置を通過した場合に厚さ検出器3から得られる出力波形例を示す説明図であり、小切手4(1)に対して小切手4(2)が先端側においてΔL1後方にずれ、後端側においてΔL2後方にずれている重送状態の場合のものである。
【0065】
これらの図を参照して説明すると、小切手4(1)、4(2)が重なった状態で搬送路101に沿って搬送されてくると、小切手4(1)の先端4aがLD検出器2によって検出される(図4のステップST1)。小切手4(1)、4(2)を所定量(N1ステップ数)だけ搬送した後の時点から、厚さ検出器3の検出値(AD変換値)aのサンプリングが開始される(図4のステップST2、3、図5の時点T(1))。このサンプリング開始ポイントT(1)は、例えば、厚さ検出器3の検出位置(MICRヘッド102の読取位置)から所定距離だけ手前に小切手4(1)の先端4aが到達した時点である。
【0066】
サンプリングは、図2を参照して説明したように、小切手が4ステップ分搬送される毎に行われる。1ステップ分の送り量が0.282mm(90dpi)の場合には、4ステップ(1.128mm送り)毎に、検出値aがサンプリングされる。サンプリング期間の終了時点は、搬送対象の最大長さの小切手の後端が検出位置を通過し終えた後の時点とされ、この時点において検出値のサンプリングを終了する(図4のステップST4、図5の時点T(r))。
【0067】
この後は、サンプリングした検出値a(1)〜a(r)(r:正の整数)を演算処理して(ステップST5)、サンプリング期間に含まれているサンプリングポイントT(1)〜T(r)の中から、重送判定のための判定開始ポイントおよび判定終了ポイントを決定する(図4のステップST6、7、図5の時点T(p)およびT(q))。
【0068】
しかる後に、判定開始ポイントT(p)から判定終了ポイントT(q)までの間に得られた各検出値a(p)〜a(q)(p,q:正の整数)を抽出し、抽出した検出値を演算処理して、小切手4の先端側における重送判定のための先端処理(図4のステップST8、図5の区間T(p)〜T(p+49))、小切手4の中間部分における重送判定のための中間処理(図4のステップST9、図5の区間T(p)〜T(q))および、小切手4の後端側における重送判定のための後端処理(図4のステップST10、図5の区間T(q−49)〜T(q))を実行して、小切手4が重送状態であるか否かを判別する(図4のステップST11)。
【0069】
以下に、上記の各ステップにおける処理内容を説明する。
【0070】
(ステップST7:判定開始ポイントの決定)
厚さ検出器3の検出位置を重送状態の小切手4(1)の先端4aが通過した時点は次のように検出される。
【0071】
図5を参照して説明すると、検出位置に小切手4(1)が到達する前の時点、すなわち、サンプリングされた検出値aの中から、そのサンプリング開始ポイントT(1)からサンプリング順に5サンプリングポイント分の検出値(AD変換値)a(1)、a(2)、a(3)、a(4)、a(5)を抽出し、それらの平均値を算出する。この平均値を、紙厚が零の場合を表す零検出値Dであると定める。
【0072】
この零検出値Dと、6サンプリングポイント以後の検出値a(6)、a(7)、a(8)・・・とを順次に比較し、それらの差(変動幅)を算出する。この差が予め定めた値を超えたサンプリングポイントを、小切手4の先端4aが通過した時点であると判断する。
【0073】
例えば、図6(a)に示すように、検出値a(p−5)と検出値a(p−4)の差が予め定めた値を超えた場合には、検出値a(p−4)のサンプリングポイントが先端4aの通過時点であると判断する。この先端通過時点から所定回数後のサンプリングポイント、例えば、当該ポイントを含み5サンプリングポイント後のポイントT(p)(検出値a(p))が判定開始ポイントとして設定される。判断基準となる差(変動幅)は、例えば、0.03mmの厚さに対応する検出値変動が採用される。
【0074】
なお、先端通過時点T(p−4)をそのまま判定開始ポイントとすることも可能である。本例では、小切手4(1)の先端4aが押さえレバー103を押すので、押さえレバー103のチャタリングが収束して検出値が安定するために要する時間後の時点である5サンプリングポイント後の時点を判定開始ポイントとしている。
【0075】
(ステップST7:判定終了ポイントの決定)
重送状態の小切手4(2)の後端4bが厚さ検出器3の検出位置を通過し終えた時点は次のように検出される。
【0076】
まず、図5を参照して説明すると、サンプリングされた検出値a(1)〜a(r)の中から、そのサンプリング終了ポイントT(r)からサンプリング順とは逆に遡って5サンプリングポイント分の検出値a(r)、a(r−1)、a(r−2)、a(r−3)、a(r−4)を抽出し、これらの平均値を算出する。この平均値を最終検出値Eとする。
【0077】
この後は、算出された最終検出値Eを零検出値Dと比較する。小切手4の後端4cがサンプリング終了時点T(r)において検出位置を通過し終えている場合には、厚さ検出器3の検出値は厚さ零を表す値になる。したがって、最終検出値Eと零検出値Dの差が、測定誤差を考慮した所定値以下の場合には、サンプリング終了ポイントT(r)において小切手4(2)の後端4c検出位置を通過し終えていると判断することができる。
【0078】
この場合には、検出厚さが零に戻った時点を検出することにより、小切手4の後端4cが通過した時点を知ることができる。すなわち、最終検出値Eと、サンプリングポイントT(r−5)、T(r−6)、T(r−7)・・・における検出値a(r−5)、a(r−6)、a(r−7)・・・とを、順次に遡って比較し、それらの差が初めて所定値を超えた時点を、小切手4(2)の後端4cが検出位置を通過し終えた後端通過時点T(q+4)であると決定することができる。後端検出の場合においても、例えば、0.03mmの厚さに対応する検出変動が発生した場合に後端4cが通過したものと判断できる。
【0079】
本例では、図6(b)に示すように、後端通過時点T(q+4)から所定回数のサンプリングポイント、例えば、当該後端通過時点を含む5サンプリングポイントだけ遡ったサンプリングポイントT(q)を判定終了ポイントとして設定している。この理由は、判定開始ポイントT(p)を設定した場合と同様に、押さえレバー103が変位する前の静定状態まで戻った時点を判定終了ポイントに決定するためである。
【0080】
一方、2枚の小切手4(1)、4(2)の重なり量が少なく、前後に長い状態で送られている場合などにおいては、サンプリング終了ポイントT(r)においても後端4cが検出位置を通過し終えることができないことが想定される。この場合には、検出厚さが零に戻らない。よって、上記のように算出した最終検出値Eが、零検出値Dに比べて大きな差がある場合には、小切手4(2)の後端4cが検出位置を通過し終わっていないと判断できる。
【0081】
この場合には、サンプリング終了ポイントT(r)、あるいは、当該終了ポイントから所定のサンプリングポイント分、例えば5サンプリングポイント分だけ遡ったサンプリングポイントT(r−4)の時点を、重送判定の判定終了時点に決定することができる。
【0082】
(ステップST8:先端処理)
本例の小切手4の先端側部分における重送判定処理は次のように行われる。まず、判定開始ポイントT(p)からサンプリング順に所定個数k(ここではkは4以上の整数とする)の検出値a(p)、a(p+1)、a(p+2)・・・a(p+k)(p:正の整数)を抽出する。次に、抽出したk個の検出値から、2(m+n)個(ここでは、mは2以上の整数、nは0以上の整数、とする)の検出値の組を、nを予め定めた初期値から、「1」ずつ増加して、2(m+n)=kとなるまで複数組抽出し、各組について、その前半の(m+n)個の検出値の平均値と、その後半の(m+n)個の平均値とを算出し、これらの平均値の差分Fを算出する。
【0083】
本例では、k=50、m=5、nの初期値=0とされている。したがって、図7に示すように、50のサンプリングポイントT(p)〜T(p+49)での検出値a(p)〜a(p+49)から、
5個ずつの組:a(p)〜a(p+4),a(p+5)〜a(p+9)
6個ずつの組:a(p)〜a(p+5),a(p+6)〜a(p+11)
7個ずつの組:a(p)〜a(p+6),a(p+7)〜a(p+13)



25個ずつの組:a(p)〜a(p+24),a(p+25)〜a(p+49)
の21組が抽出される。そして、各組における検出値の差分F(1)〜F(21)を算出し、各差分が閾値Th2以上であるか否かを判別する。抽出した各組の検出値群の間、あるいはその近傍に小切手4の段差4bができている場合には、差分F(1)〜F(21)のうちの少なくとも一つが閾値Th2以上になり、段差4bが検出される。換言すると、小切手4が重送状態であることが分かる。
【0084】
例えば、図7においては、小切手4(1)、4(2)の段差4bが通過して検出値が大きく変化する部分を中心として前後に14個ずつの組となっている場合の差分F(10)が閾値Th2を大きく上回り、重送状態であることが分かる。
【0085】
ここで、小切手4(1)、4(2)の先端部分に欠け、破れ、穴などが付いている場合には、これらが検出位置を通過する際に、段差4bが通過する場合と同様に、厚さ検出値aが変動する。欠け、破れ、穴などが付いている場合には、厚さ検出値aが厚さ零の側に変動する。したがって、次のようにして、このような欠け、破れ、穴などの通過を検出して、これらの通過を段差部分が通過したと誤認してしまうことを防止できる。
【0086】
すなわち、抽出したk個の検出値について、各組の2(m+n)個の検出値を、例えば、サンプリング順とは逆の順序でm個ずつに分け、m個に満たない端数分の検出値は無視し、各m個ずつの検出値の各平均値amを算出する。各平均値amと零検出値Dの差が、誤差を考慮した所定値以下の場合、すなわち、変動後の厚さが厚さ零を示す場合には、欠け、破れ、穴などが通過したものであると判断できる。
【0087】
図8を参照して説明すると、図7の場合と同様にk=50、m=5のとき、小切手4(1)の先端部分の穴4dが空いているものする。この場合、14個ずつの検出値の組a(p)〜a(p+13),a(p+14)〜a(p+27)では、穴4dによって差分F(10)が閾値Th2を超えて、重送であると判断されてしまう。
【0088】
そこで、サンプリング順とは逆の順番に、28個の検出値を5個(=m)ずつ5つに分け、端数となる3個の検出値a(p+2)〜a(p)を無視する。各5個ずつの検出値について、それぞれ平均値amを算出し、これを零検出値Dと比較する。この差が実質的に無い場合には、厚さ零を示す平均値であるので、欠け、破れ、穴などが通過したことに起因して検出値が変動したものと判断することができる。穴4dの位置に対応している検出値の平均値amは、厚さ零を示す平均値になる。したがって、14個ずつの検出値の組に基づき重送であるとの判定結果が出ている場合であっても、当該判定結果を無視すればよい(無効にすればよい)。これにより、段差4bと穴4dとを区別できる。
【0089】
一方、小切手4(1)の先端部分が折れ曲がって二重になった状態で搬送される場合には、当該折り曲げ部分の通過時点で検出値が大きく変動し、重送であると誤判定される可能性がある。そこで、本例では、算出された各差分Fの変化の方向が小切手厚さが薄くなる方向の場合には、当該差分に基づき重送判定を無効にしている。
【0090】
図9を参照して説明すると、図7の場合と同様にk=50、m=5のとき、小切手4(1)の先端部分が折り曲げられて重なっており厚さが2倍となっているものとする。この場合、14個ずつの検出値の組a(p)〜a(p+13),a(p+14)〜a(p+27)では、この重なり部分4eと、その後ろ側の薄い部分との厚さの変化によって、差分F(10)が閾値Th2を超えて、重送であると判断されてしまう。この場合の差分F(10)は、前半側の14個の検出値の平均値に対して、後半側の14個の検出値の平均値が小切手厚さが薄くなる方向に変化している。差分F(10)が閾値Th2を超える値であっても、変化の方向が小切手厚さが薄くなる方向であるので、当該差分F(10)による重送判定を無効とされる。この結果、このように折れ曲がって二重になっている重なり部分4eに起因する誤判定を防止できる。
【0091】
(ステップST10:後端処理)
次に、小切手4(2)の後端側が僅かに前後にずれた状態で重送される場合を精度良く検出するために、図7、図8に示す場合と同様にして重送判定が行われる。
【0092】
図10を参照して説明すると、この場合には、サンプリングされた検出値a(p)〜a(q)の中から、判定終了ポイントT(q)から順次に遡って所定個数k(kは4以上の整数)の検出値を抽出する。
【0093】
これらk個の検出値から、判定終了ポイントから順次に遡って得られる2(m+n)個(mは2以上の整数、nは1以上の整数)の検出値の組を、nを予め定めた初期値から、「1」ずつ増加して、2(m+n)=kとなるまで複数組抽出し、各組について、その前半の(m+n)個の検出値の平均値と、その後半の(m+n)個の平均値とを算出し、これらの平均値の差分Fを算出し、差分Fが閾値Th2以上の場合には小切手が重送されたと判定する。具体的には上記の先端処理と同様である。
【0094】
本例では、k=50、m=5、nの初期値=0とされている。したがって、図10に示すように、50のサンプリングポイントT(q)〜T(q−49)の検出値a(q)〜a(q−49)から、
5個ずつの組:a(q)〜a(p−4),a(q−5)〜a(q−9)
6個ずつの組:a(q)〜a(q−5),a(q−6)〜a(q−11)
7個ずつの組:a(q)〜a(q−6),a(q−7)〜a(q−13)



25個ずつの組:a(q)〜a(q−24),a(q−25)〜a(q−49)
の21組が抽出される。そして、各組における検出値の差分F1(1)〜F1(21)を算出し、各差分が閾値Th2以上であるか否かを判別する。抽出した各組の検出値群の間、あるいはその近傍に小切手4の段差4bができている場合には、差分が閾値Th2以上になるので、当該段差が検出される。換言すると、小切手4が重送状態であることが分かる。例えば、図10においては、小切手4(1)、4(2)の段差4b1が通過して検出値が大きく変化する部分を中心として前後に14個ずつの組となる場合に、差分F1(10)が閾値Th2を大きく上回り、重送状態であることが分かる。
【0095】
ここで、小切手4(1)、4(2)の後端部分に欠け、破れ、穴などが付いている場合には、これらが検出位置を通過する際に、段差4b1が通過する場合と同様に、厚さ検出値aが変動する。欠け、破れ、穴などが付いている場合には、厚さ検出値aが厚さ零の側に変動する。したがって、先端処理の場合と同様にして、欠け、破れ、穴などの通過を検出して、これらの通過を段差部分が通過したと誤認してしまうことを防止すればよい。
【0096】
すなわち、抽出したk個の検出値について、各組の2(m+n)個の検出値を、例えば、サンプリング順にm個ずつに分け、m個に満たない端数分の検出値は無視し、各m個ずつの検出値の各平均値amを算出する。各平均値amと最終検出値Eの差が、誤差を考慮した所定値以下の場合、すなわち、変動後の厚さが厚さ零を示す場合には、欠け、破れ、穴などが通過したものであると判断できる。
【0097】
ここで、小切手4(2)の後端4cが検出位置を通過し終えていない場合には、各平均値amと零検出値Dが実質的に同一であるか否かを判別し、同一である場合には、重なっている小切手に欠け、破れ、穴などがあるものと判断し、当該2(m+n)個の検出値に基づく後端側重送判定の結果を無効にすればよい。
【0098】
一方、小切手4(2)の後端部分が折れ曲がって二重になった状態で搬送される場合には、当該折り曲げ部分の通過時点で検出値が大きく変動し、重送であると誤判定される可能性がある。そこで、本例では、上述の先端部分が折れ曲がっている場合と同様の処理を行い、算出された各差分Fの変化の方向が、小切手厚さが厚くなる方向の場合には、当該差分に基づき重送判定を無効にしている。
【0099】
(ステップST9:中間処理)
次に、小切手4(1)、4(2)の搬送方向の中間部分に段差4b、4b1が付いている場合には、段差の前後においてそれぞれ一定厚さの検出値が継続して得られる。したがって、広い間隔で段差を検出しても精度良く段差を検出でき、演算処理時間も少なくて済む。また、小切手4(1)、4(2)の前後方向の中間部分には大きな折り目、皺などがついている場合が多く、狭い間隔で段差判定を行うと、大きな折り目、皺を段差であると誤認し、かえって検出精度が低下する可能性もある。したがって、小切手の中間部分における段差の識別は次のように行っている。
【0100】
まず、判定開始ポイントT(p)から判定終了ポイントT(q)までに含まれている検出値a(p)〜a(q)を、サンプリング順にしたがって連続してk個ずつm個置きに抽出し、k個に至らない端数分の検出値は無視する。たとえば、連続する50個ずつ(k=50)の検出値を5個(=m)置きに抽出する。すなわち、50個ずつの検出値a(p)〜a(p+49)、a(p+54)〜a(p+104)、a(p+109)〜a(p+159)・・・を抽出する。判定終了ポイントT(q)の側における50未満の端数は無視する。
【0101】
そして、50個ずつの検出値を、前半25個(k/2)および後半25個(k/2)に分け、それぞれの平均値am1、am2を算出し、各平均値の差分Fを算出する。この差分Fが閾値Th2以上の場合には、段差4b、4b1が通過したものと判断でき、小切手4が重送されたものと判定する。
【0102】
この場合においても、小切手4の破れ、穴などが付いていると、それらが検出位置を通過する際に厚さ検出値が大きく変動するので、段差が通過したものと誤認してしまう可能性がある。そこで、夫々の50個(=k)ずつの各検出値のそれぞれと、零検出値Dとの差が実質的に無い場合、すなわち、検出厚さが零を示している場合には、破れ、穴などが通過したものと判断し、当該50個の検出値の平均値の差分Fに基づく重送判定を無効にする。
【0103】
(モード2:長さによる重送検出方法)
上記の重送検出方法では、検出値のサンプリング間隔が図2に示すように4ステップ周期であり、搬送距離に換算すると、1.128mm毎である。また、重送検出のためのサンプリングポイント数の最小値は10である。したがって、小切手4の重なり量が、約12mm未満の場合(=1.128mm×10ポイント)には、重送検出ができない。
【0104】
そこで、本例では、LD検出器2の検出信号に基づき、搬送されている小切手4の長さを検出し、検出された長さLが、搬送対象の小切手4の最大長さを超える場合には重送状態であると判別している。すなわち、検出長さLが閾値L(Th)を超える場合には重送状態であると判別している。
【0105】
(モード1:厚さによる重送検出方法)
なお、本例における厚さに基づく重送検出方法を簡単に説明する。
【0106】
まず、小切手4が無い状態での厚さ検出器3の検出値を読み込む。すなわち、サンプリングされた検出値の中から、そのサンプリング開始ポイントT(1)からサンプリング順に5サンプリングポイント分の検出値a(1)〜a(5)を抽出し、それらの平均値を算出する。この平均値を、紙厚が零の場合を表す零検出値Aであると定める。これは、第3モードにおける零検出値Dと同様である。
【0107】
この後は、サンプリングされた検出値a(r)をサンプリング順に順次に零検出値Aと比較し、その差分Cを算出する。
C=A−a(r)
【0108】
算出された差分Cが閾値Th1を超えているか否かを判別する。
【0109】
差分Cが閾値Th1を超えた状態が連続して複数ポイント分、たとえば25ポイント分連続した場合には、重送状態であると判断する。複数ポイントに亘って判別する理由は、小切手に折れ、しわなど付いている場合の誤検出を回避して検出精度を高めるためである。
【0110】
また、上述の小切手の重送検出方法を、紙葉類処理装置に用いることもできる。この紙葉類処理装置は、小切手を束にして挿入しセットする紙葉類挿入部と、この紙葉類挿入部に連通するもので、細溝から成る小切手の搬送路と、この搬送路に連通するもので、小切手を回収する回収部と、搬送路に沿って紙葉類を搬送する搬送機構とを備えている。
【0111】
搬送路上には、上述の厚さ検出器3を配置すると共に、小切手に印刷された磁気文字インクを読み取る磁気ヘッドと、小切手の表面と裏面の画像を読み取るそれぞれのスキャナを配置する。
【0112】
この紙葉類処理装置は、CPUやメモリなどから成る制御部を有し、上述の小切手の重送検出方法を実現できるように構成されている。制御部は、重送状態であると判断すると、搬送を停止してエラー処理を行う。ディスプレイやLEDなどの表示部にエラー表示し、エラー状態であることを接続された上位のコンピュータに知らせる。
【符号の説明】
【0113】
1 重送検出システム、2 LD検出器、3 厚さ検出器、4,4(1),4(2) 小切手、4a 先端、4b,4b1 段差、4c 後端、4d 穴、4e 折り曲がりによる重なり部分、5 重送判定回路、6 発光パルス制御回路、7 A/D変換器、8 信号処理回路、11 LED、12 半導体位置検出素子、13 LED駆動回路、14 信号処理回路、15 投光レンズ、16 検出面、17 受光レンズ、Th2 閾値、D 零検出値、E 最終検出値、a(1)〜a(r) 検出値、T(1)〜T(r) サンプリングポイント、T(p) 判定開始ポイント、T(q) 判定終了ポイント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路における予め定めた位置に、当該搬送路に沿って搬送される紙葉類の厚さを検出するための厚さ検出器を配置し、
この厚さ検出器による検出位置を紙葉類が通過する際に、当該厚さ検出器の検出値を所定の周期でサンプリングし、
サンプリングした検出値の変化量を順次に算出し、
算出された各変化量を予め定めた閾値と比較し、
前記変化量が前記閾値以上の場合には、前記紙葉類が重送されていると判定することを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の紙葉類の重送検出方法において、
前記検出値をサンプリング順に複数個ずつ順次に抽出して、それらの平均値を算出し、
前記検出値の変化量の代わりに、算出された各平均値の変化量を算出し、
当該平均値の変化量に基づき前記の重送判定を行うことを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の紙葉類の重送検出方法において、
前記検出位置に前記紙葉類が到達する前の時点において、前記厚さ検出器から厚さ零を表す零検出値を少なくとも1回サンプリングし、
この零検出値の検出時点から前記厚さ検出器の検出値を所定の周期でサンプリングし、
サンプリングした検出値と前記零検出値との差を順次に算出し、
前記零検出値との差が所定値以上となった時点を、前記紙葉類における搬送方向の先端が前記検出位置を通過した先端通過時点であると判断し、
この先端通過時点、あるいは、当該先端通過時点から所定回数のサンプリング周期後の時点を、判定開始時点と定め、
この判定開始時点以後にサンプリングされた各検出値あるいは各平均値から算出された前記変化量に基づき前記紙葉類の重送判定を行うことを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項4】
請求項3に記載の紙葉類の重送検出方法において、
前記零検出値を複数回サンプリングし、
これらの零検出値の平均値を用いて前記先端通過時点を判断することを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の紙葉類の重送検出方法において、
前記零検出値のサンプリング時点から所定のサンプリング期間に亘って前記厚さ検出器の検出値のサンプリングを行い、
前記サンプリング期間の終了時点においてサンプリングされた前記厚さ検出器の最終検出値を前記零検出値と比較し、
前記最終検出値と前記零検出値の差が所定値以下の場合には、前記サンプリング期間の終了時点において前記紙葉類の搬送方向の後端が前記検出位置を通過し終えたものと判断し、そうでない場合には、前記紙葉類の前記後端が前記検出位置を通過し終わっていないと判断することを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項6】
請求項5に記載の紙葉類の重送検出方法において、
前記紙葉類の前記後端が通過し終えたものと判断された場合には、
前記最終検出値と、当該最終検出値のサンプリング時点より前にサンプリングされた各検出値との差を順次に遡って算出し、
前記最終検出値との差が所定値を超えた時点を、前記紙葉類の前記後端が前記検出位置を通過し終えた後端通過時点であると判断し、
当該後端通過時点、あるいは、当該後端通過時点から複数回のサンプリング周期分だけ遡った時点を、判定終了時点であると定め、
前記判定開始時点から前記判定終了時点までにサンプリングされた各検出値あるいは各平均値の変化量に基づき前記紙葉類の重送判定を行うことを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項7】
請求項5に記載の紙葉類の重送検出方法において、
前記紙葉類の前記後端が通過し終わっていないと判断された場合には、
前記最終検出値がサンプリングされたサンプリング期間の終了時点、あるいは、当該終了時点から所定のサンプリング周期分だけ遡ったサンプリング時点を、判定終了時点であると定め、
前記判定開始時点から前記判定終了時点までにサンプリングされた各検出値あるいは各平均値の変化量に基づき前記紙葉類の重送判定を行うことを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の紙葉類の重送検出方法において、
前記判定開始時点から順次に得られる所定個数kの前記検出値に基づく先端側重送判定においては、
前記判定開始時点から順次に得られる2(m+n)個(m、nは整数)の検出値の組を、nを予め定めた初期値から、「1」ずつ増加して、2(m+n)=kとなるまで複数組抽出し、
各組について、その前半の(m+n)個の検出値の平均値と、その後半の(m+n)個の平均値とを算出し、これらの平均値の差分を算出し、
算出した前記差分の少なくとも一つが前記閾値以上の場合には前記紙葉類が重送されたと判定することを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項9】
請求項8に記載の紙葉類の重送検出方法において、
前記先端側重送判定において抽出したk個の検出値について、
各組の2(m+n)個の検出値を、サンプリング順とは逆の順序でm個ずつに分け、m個に満たない端数分の検出値は無視し、
各m個ずつの検出値の各平均値amを算出し、
各平均値amと前記零検出値の差が所定値以下の場合には、当該2(m+n)個の検出値に基づく前記先端側重送判定を無効とすることを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項10】
請求項8に記載の紙葉類の重送検出方法において、
算出した前記差分が、検出厚さが減少する方向の差分である場合には、当該差分が算出された前記2(m+n)個の検出値に基づく前記先端側重送判定を無効とすることを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項11】
請求項6または7に記載の紙葉類の重送検出方法において、
前記判定終了時点から順次に遡って得られる所定個数kの前記検出値に基づく後端側重送判定においては、
前記判定終了時点から順次に遡って得られる2(m+n)個(m、nは整数)の検出値の組を、nを予め定めた初期値から、「1」ずつ増加して、2(m+n)=kとなるまで複数組抽出し、
各組について、その前半の(m+n)個の検出値の平均値と、その後半の(m+n)個の平均値とを算出し、これらの平均値の差分を算出し、
算出された前記差分の少なくとも一つが、前記閾値以上の場合には前記紙葉類が重送されたと判定することを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項12】
請求項11に記載の紙葉類の重送検出方法において、
前記後端側重送判定において抽出したk個の検出値について、
各組の2(m+n)個の検出値を、サンプリング順にm個ずつ分け、m個に満たない端数分の検出値は無視し、
各m個ずつの検出値の各平均値amを算出し、
前記紙葉類の前記後端が前記検出位置を通過し終えている場合には、各平均値amと前記最終検出値の差が所定値以下の場合には、当該2(m+n)個の検出値に基づく前記後端側重送判定の結果を無効とし、
前記紙葉類の前記後端が前記検出位置を通過し終えていない場合には、各平均値amと前記零検出値の差が所定値以下の場合には、当該2(m+n)個の検出値に基づく前記後端側重送判定の結果を無効とすることを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項13】
請求項11に記載の紙葉類の重送検出方法において、
算出した前記差分が、検出厚さが増加する方向の差分である場合には、当該差分が算出された前記2(m+n)個の検出値に基づく前記先端側重送判定を無効とすることを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項14】
請求項6または7に記載の紙葉類の重送検出方法において、
前記判定開始時点から前記判定終了時点までに含まれている検出値群を、サンプリング順にしたがって連続してk個ずつm個置きに抽出し、k個に至らない端数分の検出値は無視し、
各k個ずつの検出値を、前半k/2個および後半k/2に分け、それぞれの平均値を算出し、
各平均値の差分を算出し、
算出された前記差分のうちの少なくとも一つが、前記閾値以上の場合には前記紙葉類が重送されたものと判定することを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項15】
請求項14に記載の紙葉類の重送検出方法において、
夫々のk個ずつの検出値群に含まれている各検出値と、前記零検出値との差が所定値以下の場合には、当該k個の検出値群の平均値の差分に基づく前記重送判定を無効にすることを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項16】
請求項1に記載の紙葉類の重送検出方法において、
前記厚さ検出器として、検出厚さに対して検出値が線形関係となるものを採用し、
重送検出に先立って、前記厚さ検出器における厚さ零の場合の検出値を、初期検出値Voとして読み取り、
前記厚さ検出器の前記検出位置に、既知の厚さtの基準ゲージを通した場合の検出値を、基準厚さ検出値Vtとして読み取り、
前記厚さ検出器の初期感度を(Vo−Vt)/tに設定し、
前記紙葉類の重送検出においては、
搬送対象の前記紙葉類の最小厚さに基づき、重送判定の基準となる厚さ変動閾値t2を設定し、
前記閾値Thaを、{(Vo−Vt)/t}×t2に設定することを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項17】
請求項16に記載の紙葉類の重送検出方法において、
前記初期検出値Voおよび前記基準厚さ検出値Vtとして、それぞれ、複数回の検出値の平均値を採用することを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項18】
請求項17に記載の紙葉類の重送検出方法において、
前記搬送路の前記検出位置に、搬送される紙葉類の厚さに応じて変位する変位部材を配置し、
前記厚さ検出器により、当該変位部材の変位量を検出することを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項19】
請求項18に記載の紙葉類の重送検出方法において、
前記変位部材として、一端に、前記検出位置を通過する紙葉類によって変位する変位部が形成され、他端に、増幅された変位量で変位する検出部が形成された回動レバーを採用し、
前記厚さ検出器によって、前記検出部の変位量を検出することを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項20】
請求項19に記載の紙葉類の重送検出方法において、
前記厚さ検出器として、半導体位置検出器などの光学センサを採用することを特徴とする紙葉類の重送検出方法。
【請求項21】
請求項1から20のいずれかに記載の紙葉類の重送検出方法を用いた紙葉類処理装置であって、
搬送対象の紙葉類を挿入する紙葉類挿入部と、
前記紙葉類挿入部に挿入された前記紙葉類が搬送される搬送路と、
前記搬送路を通過し終わった前記紙葉類を回収する回収部と、
前記搬送路に沿って前記紙葉類を搬送する搬送機構と、
前記搬送路上に配置された前記厚さ検出器とを有していることを特徴とする紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−41194(P2012−41194A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−264455(P2011−264455)
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【分割の表示】特願2007−215633(P2007−215633)の分割
【原出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】