説明

紙葉類処理装置

【課題】方向が混在する紙葉類を処理する紙葉類処理装置において、方向変換時のダメージを防止するため、各方向に集積後に方向変換する方向変換装置を備えた紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】紙葉類Pの判別結果に基づいて、搬送方向を表面・正方向(FF方向)に揃える場合、集積庫71aに集積されたBR方向の紙葉類が所定枚数(100枚紙葉類)に到達すると、方向変換装置81は、その100枚紙葉類をY軸反転する。同様に、当該集積庫72aに集積されたBF方向の紙葉類が100枚紙葉類に達すると方向変換装置82は、その100枚紙葉類をX軸反転する。集積庫73aに集積されたFR方向の紙葉類が100枚紙葉類に到達すると、方向変換装置83は、その100枚紙葉類をZ軸反転する。この結果、上記Y軸反転、X軸反転又はZ軸反転によって当該100枚紙葉類は、FF方向に取り揃えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価証券などの紙葉類束の種類及び搬送方向を判別して集積し、その後、当該集積紙葉類を指定方向に方向変換する方向変換装置を備えた紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券などの紙葉類を処理する紙葉類処理装置は、処理単位に応じて一括して投入された紙葉類束から取出装置によって紙葉類を1枚ずつ取出して搬送し、紙葉類判別装置によって当該紙葉類の品質(形状、損傷、印刷など)を判別し、正常な券(以下、正券と称する。)、不良券(以下、損券と称する。)及び搬送異状券や2枚取り券などの排除券に区分して集積装置によって一次集積し、その一次集積された枚数が所定の枚数に達した場合には、紙帯などで施封する装置である。
【0003】
この種の紙葉類処理装置で、一般的に低速機と言われる装置では、紙葉類判別装置の判別結果に基づいて搬送路の途中に設けた当該紙葉類の表裏(2方向)あるいは表裏・正逆(4方向)の取り揃えを搬送路の途中に設けた方向変換装置で行う方法が知られている。この方向変換装置としては、例えば、スイッチバック変換装置、方向変換装置又はこれらを複合した変換装置が知られている。
【0004】
しかしながら、これらの方法は、紙葉類を高速に処理する場合、紙葉類に対して、搬送の駆動、停止又はねじれなどの変形を加えるために、紙葉類にダメージを与えやすいという課題があった。また、搬送路の途中に配置するために装置の大型化とその費用が別途必要になるという課題があり、中・高速機では、上述した紙葉類の方向変換装置が採用されていない。低速機と思われる方向変換装置の一例を示す(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−137862号公報 (第4頁、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の装置は、紙葉類の短手搬送方法を採用しており、搬送時の抵抗が大きく、折れやすいために高速搬送装置には一般的に使用されておらず、高速搬送時に紙葉類にダメージを与えずに紙葉類を方向変換する装置として適さないという不具合がある。
【0006】
なお、上述したスイッチバック変換装置又は方向変換装置は、紙葉類を高速に処理する場合、紙葉類に対して、搬送停止又はねじれなどの変形を加えるために、紙葉類に汚れ、傷などのダメージを与えやすいという課題があった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、紙葉類を処理する際に紙葉類に汚れ、傷などのダメージを与えずに処理できる方向変換装置と、それを搭載した紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の紙葉類処理装置は、紙葉類が積層された紙葉類束から前記紙葉類を1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類を判別して処理する紙葉類処理装置であって、前記紙葉類を判別する紙葉類判別手段と、この紙葉類判別手段の判別結果に基づいて前記紙葉類を集積する複数の集積庫と、この集積庫に集積する紙葉類の種類、表裏及び正逆からなる搬送方向を集積庫ごとに設定する集積庫設定手段と、この集積庫設定手段によって前記集積庫に集積された紙葉類の取り揃え方向を設定する取揃方向設定手段と、前記集積庫に集積された紙葉類が所定枚数に到達したとき、当該所定枚数の紙葉類を前記取揃方向設定手段で設定された取り揃え方向に一括して変換する方向変換手段と、この方向変換手段によって変換された前記所定枚数の紙葉類を結束する結束手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3記載の紙葉類処理装置は、紙葉類が積層された紙葉類束から前記紙葉類を1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類を判別して処理する紙葉類処理装置であって、前記紙葉類を判別する紙葉類判別手段と、この紙葉類判別手段の判別結果に基づいて前記紙葉類を集積する複数の集積庫と、この集積庫に集積する紙葉類の種類、表裏及び正逆からなる搬送方向を集積庫ごとに設定する集積庫設定手段と、この集積庫設定手段によって前記集積庫に集積された紙葉類の取り揃え方向を設定する取揃方向設定手段と、前記複数の集積庫に集積された紙葉類の合計枚数が設定枚数に到達した際、前記各集積庫に集積された紙葉類ごとに前記取揃方向設定手段で設定した方向に方向変換する方向変換手段と、この方向変換手段によって方向変換された前記紙葉類を積層し、当該積層された紙葉類を結束する結束手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の請求項4記載の紙葉類処理装置は、紙葉類が積層された紙葉類束から前記紙葉類を1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類を判別して処理する紙葉類処理装置であって、前記紙葉類を判別する紙葉類判別手段と、この紙葉類判別手段の判別結果に基づいて前記紙葉類を集積する複数の集積庫と、この集積庫に集積する紙葉類の種類、表裏及び正逆からなる搬送方向を集積庫ごとに設定する集積庫設定手段と、この集積庫設定手段によって前記集積庫に集積された紙葉類の取り揃え方向を設定する取揃方向設定手段と、前記集積庫に集積された紙葉類がそれぞれ所定枚数に到達したとき、当該所定枚数の紙葉類をそれぞれ結束して把を形成する結束手段と、この結束手段によって結束された把を、前記取揃方向設定手段によって設定された取り揃え方向にそれぞれ変換する方向変換手段と、この方向変換手段によって方向変換された把を排出する排出手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、紙葉類を処理する際に紙葉類に汚れ、傷などのダメージを与えずに紙葉類の方向変換できる方向変換装置、及びそれを搭載した紙葉類処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1による方向変換装置を搭載した紙葉類処理装置100の概略構成図である。
【0014】
紙葉類処理装置100には、紙葉類供給部1、取出部4、搬送路5、紙葉類判別手段としての判別部6(紙葉類判別装置6a、6bの総称)、集積庫を備えた集積部7(集積装置71〜74の総称)、方向反転装置81〜84、結束装置85などが備えられている。さらに、この紙葉類処理装置100を操作又は動作モードを設定する操作表示部33及び印字装置31などが備えられている。
【0015】
操作表示部33は、また、紙葉類Pの種類、表裏及び正逆からなる搬送方向を集積庫ごとに設定する集積庫設定手段有する。
【0016】
また、操作表示部33は、上記集積庫設定手段によって集積庫7に集積された紙葉類Pの取り揃え方向を設定する取揃方向設定手段を有する。従って、例えば、処理した紙葉類Pの最終の把姿を表・正方向(FF方向)に設定することができる。
【0017】
紙葉類供給部1には、例えば紙葉類束Ps1個を手動で供給する場合の他、紙葉類束Psを装填したカセットを複数個セットするカセット供給装置を用いる場合もある。
【0018】
取出部4は、紙葉類束Psを一括して供給する供給部4a、及びこの供給部4aに供給された紙葉類束Psから紙葉類Pを一定間隔で1枚ずつ取出す取出ロータ4bが備えられている。
【0019】
供給部4aには、紙葉類束Psを載置する供給台としてのバックアッププレート4c、このバックアッププレート4cに載置された紙葉類束Psの最上面の紙葉類Pの取出位置を検知する取出位置検知装置(図示しない)が備えられている。この取出位置検知装置の検知結果に基づいて紙葉類束Psの最上面の紙葉類Pが取出位置になるようにバックアッププレート4cを上下方向に駆動する駆動装置(図示しない)が備えられている。
【0020】
取出ロータ4bは、吸引孔4b1を備えた円筒状回転体及びその駆動装置(図示しない)で構成される。この取出ロータ4bは、内部が負圧になるように構成されており、取出ロータ4bが1回転するごとに吸引孔4b1によって紙葉類束Psの最上面にある紙葉類Pが1枚吸引される。この取出ロータ4b1の回転に伴って1枚取り出されるため、一定の間隔で連続的に紙葉類Pが搬送路5に送出される。
【0021】
搬送路5は、搬送ベルト、搬送ローラ及び駆動モータ(図示しない)で構成される。また、この搬送路5によって搬送された紙葉類Pの搬送先を決める分岐ゲートG1〜G4は搬送制御部20によって制御される。
【0022】
判別部6は、搬送される紙葉類Pの下面を判別する紙葉類判別装置6a及び上面を判別する紙葉類判別装置6bを備えている。この紙葉類判別装置6bは、紙葉類判別装置6a同様に構成されている。これら紙葉類判別装置6a、6bは、それぞれ搬送される紙葉類Pを検知するセンサ(図示しない)、紙葉類Pを照明する光源、及び紙葉類Pによる反射光を撮像するカメラを有し、これらセンサ及びこのカメラから得られた画像を読み取り、前もって設定された標準データと比較判別し下記判別を意行う。
【0023】
すなわち、紙葉類判別装置6a及び6bによって読み取られたデータは、標準データと比較判別することにより、紙葉類判別装置6a及び6b個別に又は総合的に判別されて、搬送される紙葉類Pの種類(以下、券種と称する。)及び搬送方向(表裏及び正逆)が判別される。
【0024】
さらに、その券種及び搬送方向に基づいて当該紙葉類Pの真偽(本物の紙葉類又は偽物の紙葉類)、搬送異状(ピッチ、スキュー、位置ずれ)などが判別される。この判別結果は、主制御部30に送信される。紙葉類処理装置100の形態によっては、紙葉類判別装置6a、6bそれぞれ個別に判別した結果が主制御部30に送信され、主制御部30で総合判別する場合もあるがこの何れの場合にも本発明の構成範囲に含まれる。
【0025】
主制御部30は、紙葉類判別装置6a及び6bから受信した判別結果を搬送制御部20に送信する。搬送制御部20は、受信した判別結果に基づいて上記分岐ゲートG1〜G4を制御し、紙葉類Pの区分先を設定する。この設定に基づいて、当該紙葉類Pは集積部7又は排除券集積装置75に搬送される。
【0026】
集積部7には、紙葉類を集積する集積装置71〜74が備えられている。これら集積装置71〜74は、羽根車集積装置を有しており、高速に搬送される紙葉類Pの搬送速度を吸収しながら紙葉類Pを停止させ、集積庫71a〜74aに集積させることができる。以上説明した構成部分は、実施例1から以下に示す実施例4まで共通に用いられている。
【0027】
また、上記排除券は、排除券集積装置75に集積される。
【0028】
図2は、図1に示す方向変換装置81〜84によって方向変換する場合の流れを示すフローチャートである。図3は、本発明の実施例1による方向変換装置81〜84を用いた方向変換方法を説明する図である。図4は、本発明の実施例1による方向変換装置81〜84の動作を具体的に説明する図である。以下、図1、図3、図4も参照して説明する。
【0029】
最初に紙葉類供給部1に紙葉類束Psが供給される(S1)。供給された紙葉類束Psは、紙葉類束Psの捌き、反転など、当該紙葉類束Psを取り出しやすくするための前処理装置2、3による前処理を必要とする場合がある。図はこの前処理を行った場合を示しているが、処理する紙葉類束Psの品質によってはこの処理を省くことができる。
【0030】
このようにして、前処理が終了した紙葉類束Psは、取出部4に供給される。
【0031】
この取出部4に供給された紙葉類束Psは、取出ロータ4bが1回転するごとに1枚取出ロータ4bに当接する最上面の紙葉類Pから順番に取り出される(S2)。
【0032】
取り出された紙葉類Pは、判別部6によって紙葉類Pの搬送状態(搬送異状券、2枚取券、スキュー券など)、真偽、券種及び搬送方向、又は厚さなどが判別される(S3)。この判別結果は、主制御部30に送信される。主制御部30は、その判別結果を搬送制御20に送信する。搬送制御部20は、受信した判別結果に基づいて、分岐装置G1〜G4を駆動して当該紙葉類Pの区分先を設定する。
【0033】
例えば、上記紙葉類Pの判別結果が排除券の場合、当該紙葉類Pは、分岐装置G1によって排除券集積装置75に集積される(S4、S5)。
【0034】
次に、上記紙葉類Pの判別結果に基づいて、例えば、搬送方向を表面・正方向(以下、表・正方向又はFF方向(図4(1A)参照)と称する。)に揃える場合に付いて説明する。
【0035】
上記判別部6による当該紙葉類Pの判別の結果、紙葉類Pの搬送方向が裏面・逆方向(以下、裏・逆方向又はBR方向と称する(図4(4A)参照)。この場合には、分岐装置G2が駆動され、当該紙葉類Pは、集積装置71の集積庫71aに集積される(S7)。
【0036】
当該集積庫に集積された紙葉類Pが所定枚数(例えば、100枚)に到達すると(S8)、方向変換装置81に渡される。この集積された100枚の紙葉類Pを100枚紙葉類と称する。
【0037】
方向変換装置81は、上記BR方向に集積後形成された把HをY軸反転(Y軸の周りに180°反転することをいう。)する。このY軸反転によって、当該100枚紙葉類は、FF方向に取り揃えられる(S9)(図4(4C)、(4D)参照)。
【0038】
このようにして取り揃えられた100枚紙葉類は、紙帯によって結束され把Hが形成される(S10)。
【0039】
上記判別部6による当該紙葉類Pの判別の結果、紙葉類Pの搬送方向が裏面・正方向(以下、裏・正方向又はBF方向(図4(3A))と称する。)の場合には、分岐装置G3が駆動され(S10)、当該紙葉類Pは、集積部72の集積庫72aに集積される(S11)。
【0040】
当該集積庫72aに集積された紙葉類Pが所定枚数(例えば、100枚紙葉類)に到達すると、方向変換装置82に渡される(S12)。方向変換装置82は、上記BF方向に集積された100枚紙葉類をX軸の周りに180°反転する(以下、X軸反転という。)。このX軸反転によって、当該100枚紙葉類は、FF方向に取り揃えられる(S13)(図4(3C)、(3D)参照)。
【0041】
このようにして取り揃えられた所定枚数(例えば、100枚紙葉類)からなる100枚紙葉類は、結束手段としての結束装置85により結束帯(例えば紙帯)によって結束され把Hが形成される(S25)。なお、上記結束帯には、紙状テープ又はビニルテープなどが用いられる。
【0042】
以上のようにして形成された把Hは、コンベア9などに載置されて次の工程に排出される(S32)。
【0043】
上記判別部6による当該紙葉類Pの判別の結果、紙葉類Pの搬送方向が表面・逆方向(以下、表・逆方向又はFR方向と称する(図4(2A)参照)。)の場合には、分岐装置G4が駆動され(S14)、当該紙葉類Pは、集積部73の集積庫73aに集積される(S15)。
【0044】
当該集積庫73aに集積された紙葉類Pが所定枚数(例えば、100枚紙葉類)に到達すると、方向変換装置83に渡される(S16)。方向変換装置83は、上記FR方向に集積された100枚紙葉類をZ軸の周りに180°反転する(以下、Z軸反転という。)。このZ軸反転によって、当該100枚紙葉類は、FF方向に取り揃えられる(S17)(図4(2C)、(2D)参照)。
【0045】
このようにして取り揃えられた100枚紙葉類は、紙帯によって結束され把Hが形成される(S25)。
【0046】
上記判別部6による当該紙葉類Pの判別の結果、紙葉類Pの搬送方向が表面・正方向(以下、表・正方向又はFF方向と称する。)の場合には、分岐装置G1〜G4が駆動せず、当該紙葉類Pは、集積部74の集積庫74aに集積される(S18)。
【0047】
当該集積庫74aに集積された紙葉類Pが所定枚数(例えば、100枚紙葉類)に到達すると、当該100枚紙葉類は、FF方向に取り揃えられているため、方向変換装置84では方向変換を行わずに結束装置85に渡される。
【0048】
結束装置85は、100枚紙葉類を紙帯によって結束し、把Hを形成する(S25)。このようにして結束された把Hは排出され(S32)、次工程に渡される。
【0049】
上述した実施例は、搬送方向が表・正方向(FF方向)の場合に付いて説明したが、これに限るものではなく、他の方向に取り揃えることができるのは当然である。
【0050】
以上説明したように、本発明の実施例1によれば、紙葉類束Psを供給後、それを構成する紙葉類Pの処理の途中で紙葉類に対して搬送、停止又はねじれなどの変形を加えることによる紙葉類にたいするダメージを与えずに100枚紙葉類の方向を設定した方向に揃えることができる。
【0051】
紙葉類に対する搬送、停止又はねじれなどの方向変換を加えても低速の場合は、その運動エネルギーが小さいためにダメージが少ないが、高速の場合には、運動エネルギーが大きいために、ダメージが大きくなる。従って、本実施例で説明した方法は、中・高速の紙葉類処理装置に適用した場合にその効果が大きい。
【実施例2】
【0052】
図5は、本発明の実施例2に基づき、集積後に方向変換装置によって方向変換する場合
の処理の流れ示すフローチャートである。図6は、方向変換装置による方向変換方法を具体的に説明する図である。以下、実施例1と同一処理の部分には同一符号を付しその部分の説明を省略し、異なる部分の説明を行う。すなわち、紙葉類供給部1に紙葉類束Psが供給されてから(S1)、当該紙葉類Pが紙葉類判別装置によって判別され、紙葉類Pの搬送方向によって集積庫71a〜74aに集積されるまでは実施例1と同様である。
【0053】
以上の処理によって集積庫71a〜74aに集積された紙葉類Pの合計枚数が所定の枚数(例えば、100枚)に達した場合を以下(1)〜(4)に示す(図6参照)。
集積庫74a(FF方向):50枚(図6(1B)参照)・・・(1)
集積庫73a(FR方向):15枚(図6(2B)参照)・・・(2)
集積庫72a(BF方向):20枚(図6(3B)参照)・・・(3)
集積庫71a(BR方向):15枚(図6(4B)参照)・・・(4)
合計:100枚
集積庫71a〜集積庫74aに集積された上記(1)〜(4)に示す紙葉類Pは、それぞれ、方向変換装置81〜84に送られ、実施例1同様に方向変換される。すなわち、上記(1)は反転を行わず(S20、図6(1C))、(2)はZ軸反転が行われ(S16、図6(2C))、(3)はX軸反転がおこなわれ(S13、図6(3C))、(4)はY軸反転が行われる(S8、図6(4C))。なお、上記ステップS20においては、方向反転処理は行われないが、集積庫74aに集積された紙葉類を次のステップに受け渡す処理が行われる。
【0054】
このようにして、取り揃えられた紙葉類P(図6(1E)〜(4E))は積層されて100枚紙葉類が形成される(図6(F))。このようにして形成された100枚紙葉類は、結束装置85〜88に渡される。
【0055】
結束装置85は、受け渡された100枚紙葉類を紙帯で結束して把Hを形成する(S25、図6(G))。
【0056】
このようにして形成された把Hは、排出される(S32)
以上説明したように、本発明の実施例2によれば実施例1と同様の効果が得られる。すなわち紙葉類束Psを供給後、それを構成する紙葉類Pの処理の途中で紙葉類Pに対して搬送、停止又はねじれなどの変形を加えることによる紙葉類Pにたいするダメージを与えずに紙葉類Pの方向を指定した方向に揃えて積層し、100枚紙葉類とし、その100枚紙葉類を結束して把Hを形成することができる。
【0057】
また、本実施例2では、例えば100の倍数からなる端数の紙葉類の場合であっても、集積庫に紙葉類が残留することなく、100枚ごとに搬送方向の揃った把Hを形成することができるという効果がある。
【実施例3】
【0058】
図7は、本発明の実施例3に基づき、集積後に方向変換装置によって方向変換する場合の処理の流れ示すフローチャートである。図8は、方向変換装置による方向変換方法を具体的に説明する図である。以下、実施例1と同一処理の部分には同一符号を付しその部分の説明を省略し、異なる部分の説明を行う。すなわち、紙葉類供給部1に紙葉類束Psが供給されてから(S1)、当該紙葉類Pが判別部6によって判別され(S3)、紙葉類Pの搬送方向によって集積庫71a〜74aに集積されるまでは実施例1と同様である(S7、S11、S15、S18)。
【0059】
以上の処理によって集積庫71a〜74aに集積された紙葉類Pがそれぞれ所定の枚数(例えば100枚)に達した100枚紙葉類は、結束装置85〜88に渡される。その際、その集積方向ごとに設定された結束位置が設定される(S8、S12、S16、S19)。
【0060】
結束装置85〜88は、受け渡された100枚紙葉類を上記結束位置に基づいて結束し、把Hを形成する(S25〜S28)。
【0061】
このようにして形成された把Hは、方向変換装置81〜83に受け渡される。方向変換装置81〜83は受け渡された把Hを指定された方向(例えばFF方向)に方向変換する。この方向変換の動作は、実施例1同様であるため、その説明を省略する。なお、上記ステップS32においては、方向反転処理は行われないが、結束装置において結束された把Hを次にステップに受け渡す処理が行われる。
【0062】
以上の動作によって指定方向に揃えられた把Hは、排出される(S32)。
【0063】
以上説明したように本発明の実施例3によれば、実施例1と同様の効果が得られる。すなわち紙葉類束Psを供給後、それを構成する紙葉類Pの処理の途中で紙葉類に対して搬送、停止又はねじれなどの変形を加えることによる紙葉類にたいするダメージを与えずに100枚紙葉類の方向を設定した方向に揃えることができる。
【0064】
また、搬送方向ごとに設けられた集積庫71a〜74aに所定枚数集積されると、搬送方向ごとに結束位置が設定され、その設定された結束位置に結束される。このようにして結束された把Hが、その後、方向変換装置によって方向変換されるために、方向変換の際に荷崩れなどの発生を防止することができる効果がある。
【実施例4】
【0065】
図9は、本発明の実施例4に基づき、集積後に方向変換装置によって方向変換する方法を具体的に説明する図である。本実施例4は、紙葉類供給部1に紙葉類Psが供給されてから(S1)、当該紙葉類Pが判別部6によって判別され(S3)、紙葉類Pの搬送方向によって集積庫71a〜74aに集積される(S7、S11、S15、S18)。この集積された紙葉類が例えば100枚に達すると(100枚紙葉類)、その搬送方向により設定された結束位置で結束装置85〜88によって結束され(S25〜S28)把Hが形成される。ここまでの処理は実施例3同様であり、図7に示してあるのでその説明を省略する。
【0066】
このようにして形成された把Hは、方向変換装置29a、29b、29cによって変換されるが、本実施例4では、この方向変換装置29a、29b、29cの動作が異なっているためその説明を行う。
【0067】
搬送方向がFF方向で結束された把HFF及びBR方向で結束された把HBRを一まとめにする。この際、HFFの下面側端部が底部になるように上部端面を手前に90°回転する。また、把HBRの上面側端部が底部になるように下部端面を奥側に90°回転する。すなわち立位状態で積層する(図10(1C)参照)。すなわち90°Y軸反転をそれぞれ異なる方向に行うことになる。
【0068】
さらに、搬送方向がFR方向で結束された把HFR及びBF方向で結束された把BFを一まとめにする。この際、方向変換装置把HFRの上面側端部が底部になるように下部端面を奥側に90°回転する。また、把HBFの下面側端部が底部になるように上部端面を手前に90°回転する。すなわち立位状態で積層する(図10(3C)参照)。上述同様に90°Y軸反転をそれぞれ異なる方向に行うことになる。
【0069】
次に、このようにして立位状態で積層された把の結束位置が設定された取揃方向設定手段によって設定された取揃方向(例えばFF方向)と異なる把を立位状態のまま90°Z軸反転する。本実施例では、把HFR及び把HBRがZ軸反転される。従って、例えば取揃方向がFF方向でない場合には、それに合わせてZ軸反転する把も異なる場合がある。
【0070】
このようにして各側端部を底部に積層された把HFF、把HBR、把HFR、把HBFを一まとめにして10把積層することにより束を形成することができる。
【0071】
以上説明したように本発明の実施例4によれば、実施例1又は実施例3と同様の効果が得られる。すなわち紙葉類束Psを供給後、それを構成する紙葉類Pの処理の途中で紙葉類Pに対して搬送、停止又はねじれなどの変形を加えることによる紙葉類Pにたいするダメージを与えずに集積された100枚紙葉類の方向を設定した方向に揃えることができる。
【0072】
また、本実施例4によれば、把Hを立位状態で積層することにより、比較的簡単な機構で、10把を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施例1による方向変換装置を搭載した紙葉類処理装置の概略断面図。
【図2】図1に示す方向変換装置によって方向変換する場合の流れを示すフローチャート。
【図3】本発明の実施例1による方向変換装置を用いた方向変換方法を説明する図。
【図4】本発明の実施例1による方向変換装置の動作を具体的に説明する図。
【図5】本発明の実施例2による方向変換装置を用いた方向変換方法を説明する図。
【図6】本発明の実施例2による方向変換装置の動作を具体的に説明する図。
【図7】本発明の実施例3による方向変換装置の動作を具体的に説明する図。
【図8】本発明の実施例3による方向変換装置の動作を具体的に説明する図。
【図9】本発明の実施例4による方向変換装置の動作を具体的に説明する図。
【図10】本発明の実施例4による方向変換装置の動作を具体的に説明する図。
【符号の説明】
【0074】
H 把
P 紙葉類
Ps 紙葉類束
G1〜G4 分岐装置
1 紙葉類供給部
4 取出部
4a 供給部
4b 取出ロータ
4c バックアッププレート
5 搬送路
6 判別部
6a、6b 紙葉類判別部
20 搬送制御装置
30 主制御部
7 集積部
71〜73 集積装置
81〜84 方向変換装置
85〜88 結束装置
100 紙葉類処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類が積層された紙葉類束から前記紙葉類を1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類を判別して処理する紙葉類処理装置であって、
前記紙葉類を判別する紙葉類判別手段と、
この紙葉類判別手段の判別結果に基づいて前記紙葉類を集積する複数の集積庫と、
この集積庫に集積する紙葉類の種類、表裏及び正逆からなる搬送方向を集積庫ごとに設定する集積庫設定手段と、
この集積庫設定手段によって前記集積庫に集積された紙葉類の取り揃え方向を設定する取揃方向設定手段と、
前記集積庫に集積された紙葉類が所定枚数に到達したとき、当該所定枚数の紙葉類を前記取揃方向設定手段で設定された取り揃え方向に一括して変換する方向変換手段と、
この方向変換手段によって変換された前記所定枚数の紙葉類を結束する結束手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記方向変換手段は、
前記集積庫に集積された前記所定枚数の紙葉類をX軸方向に変換するX軸反転手段と、
前記集積庫に集積された前記所定枚数の紙葉類をY軸方向に変換するY軸反転手段と、
前記集積庫に集積された前記所定枚数の紙葉類をZ軸方向に変換するZ軸反転手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の紙葉類処理装置
【請求項3】
紙葉類が積層された紙葉類束から前記紙葉類を1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類を判別して処理する紙葉類処理装置であって、
前記紙葉類を判別する紙葉類判別手段と、
この紙葉類判別手段の判別結果に基づいて前記紙葉類を集積する複数の集積庫と、
この集積庫に集積する紙葉類の種類、表裏及び正逆からなる搬送方向を集積庫ごとに設定する集積庫設定手段と、
この集積庫設定手段によって前記集積庫に集積された紙葉類の取り揃え方向を設定する取揃方向設定手段と、
前記複数の集積庫に集積された紙葉類の合計枚数が設定枚数に到達した際、前記各集積庫に集積された紙葉類ごとに前記取揃方向設定手段で設定した方向に方向変換する方向変換手段と、
この方向変換手段によって方向変換された前記紙葉類を積層し、当該積層された紙葉類を結束する結束手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項4】
紙葉類が積層された紙葉類束から前記紙葉類を1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類を判別して処理する紙葉類処理装置であって、
前記紙葉類を判別する紙葉類判別手段と、
この紙葉類判別手段の判別結果に基づいて前記紙葉類を集積する複数の集積庫と、
この集積庫に集積する紙葉類の種類、表裏及び正逆からなる搬送方向を集積庫ごとに設定する集積庫設定手段と、
この集積庫設定手段によって前記集積庫に集積された紙葉類の取り揃え方向を設定する取揃方向設定手段と、
前記集積庫に集積された紙葉類がそれぞれ所定枚数に到達したとき、当該所定枚数の紙葉類をそれぞれ結束して把を形成する結束手段と、
この結束手段によって結束された把を、前記取揃方向設定手段によって設定された取り揃え方向にそれぞれ変換する方向変換手段と、
この方向変換手段によって方向変換された把を排出する排出手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項5】
紙葉類が積層された紙葉類束から前記紙葉類を1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類を判別して処理する紙葉類処理装置であって、
前記紙葉類を判別する紙葉類判別手段と、
この紙葉類判別手段の判別結果に基づいて前記紙葉類を集積する複数の集積庫と、
この集積庫に集積する紙葉類の種類、表裏及び正逆からなる搬送方向を集積庫ごとに設定する集積庫設定手段と、
この集積庫設定手段によって前記集積庫に集積された紙葉類の取り揃え方向を設定する取揃方向設定手段と、
前記集積庫に集積された紙葉類がそれぞれ所定枚数に到達したとき、当該所定枚数の紙葉類をそれぞれ結束して把を形成する結束手段と、
この結束手段によって結束された把を、当該把の結束帯位置が搬送方向前方又は搬送方向後方になる紙葉類把同士を、側端面を底部に立位状態で載置する第1の方向変換手段と、
この第1の方向変換手段によって載置された把の結束位置が前記取り揃え方向と異なる場合に当該異なる把の載置位置を方向変換する第2の方向変換手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項6】
前記第1の方向変換手段は、
側端面の一部が底部になるように90°Y軸反転するY軸反転手段と、
前記第2の方向変換手段は、
前記第1の方向変換手段によって立位状態になった把の結束帯位置が前記取揃方向設定手段によって設定された方向と異なる把を立位状態のまま90°Z軸反転するZ軸反転手段と、
を備えたことを特徴とする請求項5記載の紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−15588(P2009−15588A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176504(P2007−176504)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】