説明

紙葉類取扱装置

【課題】紙葉類の繰出しの安定性が改善された紙葉類取扱装置を提供する。
【解決手段】紙葉類取扱装置である紙幣処理ユニット10は、検知手段20により、最もピックローラ14側に積層された紙幣12の少なくとも一部が搬出口16よりも高い位置にある状態である不良状態を検知する。検知手段20が不良状態を検知すると、ピックローラ14は回転を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ATM(Automated Teller Machine)の紙幣処理ユニットなどの紙葉類取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積されて積層された紙葉類を一枚ずつ取り出す紙葉類取扱装置は、金融機関に設置されるATMの紙幣処理ユニットや、複写機やプリンタの給紙部など、さまざまな用途で利用されている。例えば、特許文献1及び特許文献2では、ATMの紙幣処理ユニットなどに関連する技術が開示されている。また、特許文献3では、複写機やプリンタの給紙部などに関連する技術が開示されている。
【0003】
図1は、従来技術に係るATMの紙幣処理ユニットの概略構成図である。紙幣処理ユニットは、紙幣の識別処理や紙幣の入出金処理を行うユニットであり、図1では、そのうちの紙幣保留庫から紙幣を繰出すための構成が概略的に示されている。
【0004】
図1に例示されるように、紙幣処理ユニット100は、紙幣保留庫101内に集積された紙幣102を載せて昇降するステージ103と、一定の荷重が加わったときに回転するピックローラ104と、ピックローラ104より搬送された紙幣を搬出口106から繰出すフィードローラ105を備えている。
【0005】
ATMの紙幣処理ユニット100では、ステージ103を上昇させてピックローラ104に一定の荷重で紙幣102を押し付けることにより、ピックローラ104が回転して紙幣102を繰出す方式が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−217439号公報
【特許文献2】特開2000−219333号公報
【特許文献3】特開平4−129931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ATMの紙幣処理ユニットでは、使用済みの紙幣が多数取り扱われる。使用済みの紙幣は、ステージに載せた状態で必ずしも平らではなく、折れや曲げなどが生じていることがあるが、紙幣の折れや曲げは、紙幣処理ユニットによる紙幣の安定した繰出しを妨げる要因となる。
【0008】
以下、図2A及び図2Bを参照しながら、紙幣の折れや曲げが紙幣処理ユニットの繰出しの安定性を劣化させ得ることについて具体的に説明する。図2Aは、図1に例示される従来技術に係る紙幣処理ユニットの側面概略図である。図2Bは、図1に例示される従来技術に係る紙幣処理ユニットの正面概略図である。
【0009】
従来の紙幣処理ユニット100は、図2A及び図2Bに例示されるように、回転時にピックローラ104の下面の高さが、搬出口106が形成されている高さの範囲(以下、単に、搬出口106の高さ範囲と記す。)内となるように、設計されている。
【0010】
このため、紙幣102が平らな場合であれば、搬送時には紙幣102全体がピックローラ104の下面と同じ高さに位置することになるので、ピックローラ104により紙幣102を確実に搬出口106の内部へ搬送することができる。
【0011】
一方、紙幣102が平らでない場合には、紙幣102全体が搬出口106の高さ範囲内に位置しているとは限らない。図2Bでは、ピックローラ104に接触していない部分である紙幣102の両端部分や中心部分が搬出口106の高さ範囲外に位置し、さらに、紙幣102の一端がガイド部材107に接触している例が示されている。
【0012】
図2Bに例示される状態で、紙幣102をピックローラ104により搬送すると、紙幣12のうちの搬出口106の高さ範囲外にある部分が、搬出口106の入り口で引っ掛かってしまう。または、仮に紙幣102を内部へ搬送することができた場合であっても、搬出口106の入り口やガイド部材107との接触(摩擦)により紙幣102の搬送姿勢が変化してしまう。このような入り口で引っ掛かった紙幣や搬送姿勢が変化した紙幣は、紙幣処理ユニット100の正常な動作を阻害し、ある場合には、紙詰まり(ジャム)等の搬送不良を発生させ、ATMが休止となる。
【0013】
このように、紙幣処理ユニット100には、折れや曲げのある紙幣102によって、紙幣の繰出しの安定性が劣化してしまうという技術的な課題がある。なお、以上では、ATMの紙幣処理ユニットを例に説明したが、同様の課題は、折れや曲げのある紙葉類が取り扱われる紙葉類取扱装置全般で生じ得る。
【0014】
以上のような実情を踏まえ、本発明は、紙葉類の繰出しの安定性が改善された紙葉類取扱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は、紙葉類を搬出するための搬出口が形成された、紙葉類を積層して収納する収納庫と、前記収納庫内で積層された紙葉類を前記紙葉類の積層方向に移動させるステージと、前記ステージによりローラ表面に押し付けられた前記紙葉類を前記搬出口へ搬送する搬送ローラと、前記収納庫内で最も搬送ローラ側に積層された前記紙葉類の少なくとも一部が、前記搬送ローラによる紙葉類の搬送方向から見て、前記搬出口よりも前記搬送ローラの回転軸側に位置する状態を検知する検知手段と、を含む紙葉類取扱装置を提供する。
【0016】
本発明の別の一態様は、紙葉類を搬出するための搬出口が形成された、紙葉類を積層して収納する収納庫と、前記収納庫内で積層された紙葉類を前記紙葉類の積層方向に移動させるステージと、前記ステージによりローラ表面に押し付けられた前記紙葉類を前記搬出口へ搬送する搬送ローラと、前記ステージと対向して設けられたガイド部材と、前記収納庫内で最も搬送ローラ側に積層された前記紙葉類の少なくとも一部が、前記搬送ローラによる紙葉類の搬送方向から見て、前記搬出口と前記ガイド部材のうちの前記ステージに近い一方よりも前記搬送ローラの回転軸側に位置する状態を検知する検知手段と、を含む紙葉類取扱装置を提供する。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、紙葉類を搬出するための搬出口が形成された、紙葉類を積層して収納する収納庫と、前記収納庫内で積層された紙葉類を前記紙葉類の積層方向に移動するステージと、前記ステージによりローラ表面に押し付けられた前記紙葉類を前記搬出口へ搬送する搬送ローラと、前記収納庫内で最も搬送ローラ側に積層された前記紙葉類の少なくとも一部が、前記搬出口よりも高い位置にある状態を検知する検知手段と、を含む紙葉類取扱装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、紙葉類の繰出しの安定性が改善された紙葉類取扱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来技術に係るATMの紙幣処理ユニットの概略構成図である。
【図2A】図1に例示される紙幣処理ユニットの側面概略図である。
【図2B】図1に例示される紙幣処理ユニットの正面概略図である。
【図3A】本発明の実施例に係る紙幣処理ユニットの基本構成を示す側面概略図である。
【図3B】図3Aに例示される紙幣処理ユニットの基本構成を示す正面概略図である。
【図4A】実施例1に係る紙幣処理ユニットの上面図である。
【図4B】図4Aに示される矢印Cの方向から見たときの、図4Aに例示される紙幣処理ユニットの側面図である。
【図4C】図4Aに示される矢印Dの方向から見たときの、図4Aに例示される紙幣処理ユニットの側面図である。
【図5】図4Aに例示される紙幣処理ユニットに含まれるレバー部材とフォトインタラプタの関係について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、本発明の実施例について具体的に説明する前に、図3A及び図3Bを参照しながら、本発明の実施例に係る紙幣処理ユニットの基本構成について説明する。図3Aは、本発明の実施例に係る紙幣処理ユニットの基本構成を示す側面概略図である。図3Bは、図3Aに例示される紙幣処理ユニットの基本構成を示す正面概略図である。
【0021】
図3A及び図3Bに例示される紙幣処理ユニット10は、紙幣保留庫11に収納された紙幣12を取り出す紙葉類取扱装置である。紙幣処理ユニット10は、紙幣12を積層して収納する収納庫である紙幣保留庫11を備えていて、紙幣保留庫11の一側面には、紙幣12を搬出するために設けられた搬出口16が形成されている。
【0022】
紙幣処理ユニット10は、さらに、紙幣保留庫11内で積層された紙幣12を紙幣12の積層方向(矢印A(上下方向))に移動させるステージ13と、ステージ13によりローラ表面に押し付けられた紙幣12を搬出口16へ搬送する搬送ローラであるピックローラ14と、ピックローラ14により搬出口16に搬送された紙幣12を搬出口16から外部へ送り出すフィードローラ15と、搬出口16への紙幣12の搬送を補助するガイド部材17と、紙幣保留庫11からの紙幣12の搬出を妨げる紙幣12の折れや曲げを検知する検知手段20とを備えている。
【0023】
紙幣処理ユニット10は、検知手段20を含む点、及び、検知手段20の検知結果によりピックローラ14の動作が制限される点が、図2A及び図2Bに例示される従来技術に係る紙幣処理ユニット100と異なっている。
【0024】
検知手段20は、紙幣保留庫11からの紙幣12の搬出を妨げる紙幣12の折れや曲げを検知する手段であるが、より具体的には、ピックローラ14による紙幣12の搬送方向(矢印B)から見て、紙幣保留庫11内で最もピックローラ14側に積層された紙幣12の少なくとも一部が、搬出口16よりも高い位置にある状態、つまり、搬出口16よりもピックローラ14の回転軸14a側に位置する状態(以降、不良状態と記す。)を検知するように構成されている。
【0025】
不良状態の検知は、検知手段20が、例えば、紙幣保留庫11内で最もピックローラ14側に積層された紙幣12との接触により移動するレバー部材18と、その接触によるレバー部材18の所定量以上の移動を検知するセンサ19と、を含むことにより実現される。
【0026】
ピックローラ14は、基本的には、図2A及び図2Bに例示されるピックローラ104と同様に、ステージ13の移動によりローラ表面に紙幣12が押し付けられてピックローラ14に一定の荷重が加わったときに回転する。ただし、ピックローラ14は、検知手段20が不良状態を検知すると、ピックローラ14に一定の荷重が加わっていた場合であっても回転せず、紙幣12の搬送を停止するように構成されている点が、ピックローラ104と異なっている。
【0027】
なお、ピックローラ14は、回転時にピックローラ14の下面の高さが、搬出口16が形成されている高さの範囲内となるように設計されている点は、図2A及び図2Bに例示される紙幣処理ユニット100のピックローラ104と同様である。
【0028】
紙幣処理ユニット10によれば、不良状態を検知してピックローラ14による紙幣12の搬送を停止することで、ピックローラ14により搬送された紙幣12が搬出口16の入り口で引っ掛かってしまう事態や、搬出口16の入り口やガイド部材17との接触(摩擦)により紙幣12の搬送姿勢が変化してしまう事態を防止することができる。これにより、紙詰まり(ジャム)の発生を抑制して紙幣処理ユニット10を正常に動作させることが可能となるため、紙幣12の繰出しの安定性を改善することができる。
【0029】
なお、図3A及び図3Bでは、ガイド部材17が搬出口16よりも高い位置、つまり、搬出口16よりもピックローラ14の回転軸14a側に設けられている例が示されているが、ガイド部材17と搬出口16の位置関係は、これに限られない。ガイド部材17は、回転時のピックローラ14の下面よりも回転軸14a側に設けられていれば、搬出口16の高さ範囲内に設けられていてもよい。
【0030】
ただし、ガイド部材17が搬出口16の高さ範囲内に設けられている場合を考慮すると、検知手段20は、紙幣保留庫11内で最もピックローラ14側に積層された紙葉類の少なくとも一部が、ピックローラ14による紙幣12の搬送方向から見て、搬出口16またはガイド部材17のうちのステージ13に近い一方よりもピックローラ14の回転軸14a側に位置する状態を検知するように構成されていることが望ましい。
【0031】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
【実施例1】
【0032】
図4Aは、本実施例に係る紙幣処理ユニットの上面図である。図4B及び図4Cは、図4Aに例示される紙幣処理ユニットの側面図であり、それぞれ、図4Aに示される矢印C、矢印Dの方向から見たときの図である。図5は、図4Aに例示される紙幣処理ユニットに含まれるレバー部材とフォトインタラプタの関係について説明するための図である。
【0033】
本実施例に係る紙幣処理ユニット30は、図4Cに例示されるように、紙幣32を積層して収納する収納庫である紙幣保留庫31を備え、その一側面に紙幣32を搬出するために設けられた搬出口36が形成されている。搬出口36は、紙幣32が複数枚(例えば、10枚程度)通ることができる開口幅を有しているが、セパレータ41によりピックローラ34に接触している紙幣以外の紙幣の搬出口36への進入が防止されている。
【0034】
紙幣処理ユニット30は、図示しないが、紙幣保留庫31内で積層された紙幣32を載せて、紙幣32の積層方向に移動するステージを備えている。なお、ステージは図示しないモータ等により駆動される。
【0035】
紙幣処理ユニット30は、図4Aに例示されるように、ステージの移動によりローラ表面に押し付けられた紙幣32を搬出口36へ搬送する4つのピックローラ34と、ピックローラ34により搬送された紙幣32を搬出口36から外部へ送り出す3つのフィードローラ35と、フィードローラ35と回転軸35aを共有する4つの金属ローラ42と、を備えている。
【0036】
なお、ピックローラ34、フィードローラ35は、それぞれ回転軸34a、回転軸35aの回転により駆動する駆動ローラであるのに対して、金属ローラ42は、回転軸35aに対して回転自在に取り付けられた従動ローラである。ピックローラ34は、一定の荷重が加わったときに回転するが、後述する検知手段40が不良状態を検知すると、加わっている荷重によらず停止するように構成されている。
【0037】
また、図4Aに例示されるように、ピックローラ34とフィードローラ35は、紙幣保留庫31内の回転軸方向の比較的中心に近い領域に配置されている。一方、4つの金属ローラ42のうちの2つは、ピックローラ34とフィードローラ35と同様に、回転軸方向の比較的中心に近い領域に配置されているが、残りの2つは、より外側の領域に配置されている。このように従動ローラである金属ローラ42を比較的広範囲にわたって複数配置することで、紙幣32の搬送姿勢の安定性を向上させることができる。
【0038】
さらに、図4Cに例示されるように、ピックローラ34は、回転時にピックローラ34の下面の高さが、搬出口36の高さ範囲内となるように設計されている。
紙幣処理ユニット30は、図4A及び図4Cに例示されるように、搬出口36への紙幣32の搬送を補助するガイド部材37と、紙幣保留庫31内で最もピックローラ34側に積層された紙幣32との接触により回転軸38a周りに回転する4つのレバー部材38と、レバー部材38の移動による入射光量の変化を検知する光センサである3つのフォトインタラプタ39と、を備えている。なお、レバー部材38とフォトインタラプタ39は、不良状態を検知する検知手段40として機能している。
【0039】
ガイド部材37は、図4Cに例示されるように、搬出口36よりも高い位置、つまり、ピックローラ34による搬送方向から見て搬出口36よりもピックローラ34の回転軸34a側に設けられている。レバー部材38は、ガイド部材37の隙間から、ガイド部材37よりも図示しないステージ側に突出した状態で回転軸38aによって支持されている。フォトインタラプタ39は、図示しないが、互いに対向する発光素子と受光素子とを有している。なお、フォトインタラプタ39の代わりに、フォトリフレクタなどの他の光センサを用いてもよい。
【0040】
以下、図5を参照しながら、紙幣32の位置の変化に応じて、レバー部材とフォトインタラプタの関係がどのように変化するかについて、具体的に説明する。
まず、最もピックローラ側の紙幣32が、例えば、図5の点線で示す位置にあり、紙幣32がレバー部材38と接触していない場合には、ガイド部材37よりもステージ側に突出したレバー部材38の部分(以降、突出部と記す。)が比較的低い位置にある。この状態では、回転軸38aに対して突出部と反対側にあるレバー部材38の端部(以降、遮断部と記す。)は、フォトインタラプタ39の光軸39aを跨っている。このため、フォトインタラプタ39の発光部から射出された光は、レバー部材38の遮断部で遮られて、フォトインタラプタ39の受光部では検出されない。
【0041】
紙幣32がレバー部材38に接触して、レバー部材38の突出部が押し上げられると、レバー部材38が回転軸38aを中心に時計周り方向に回転して、レバー部材38の遮断部が低い位置に移動する。そして、紙幣32が図5の実線で示す位置まで移動して、レバー部材38の突出部が所定量以上の押し上げられると、レバー部材38の遮断部は、フォトインタラプタ39の光軸39a上から外れた位置まで移動する。この状態では、フォトインタラプタ39の発光部から射出された光は、受光部まで到達して受光部で検出されることになる。
【0042】
このように、フォトインタラプタ39は、光が検出されるか否かにより、つまり、入射光量の変化を検知することにより、レバー部材38が所定量以上移動したか否かを検知することができる。
【0043】
つまり、フォトインタラプタ39が光を検出した場合は紙幣状態が不良と判断しピックローラ34の回転を停止し、フォトインタラプタ39が光を検出しない場合は紙幣状態が良好と判断しピップローラ34の回転を駆動することとなる。
【0044】
紙幣処理ユニット30では、この所定量と、紙幣32がレバー部材38に接触してから紙幣32が搬出口36の高さ範囲を超えるまでにレバー部材38が移動する移動量と、が一致するように、予めレバー部材38とフォトインタラプタ39の位置関係が調整されている。
【0045】
これにより、検知手段40は、不良状態、つまり、紙幣保留庫31で最もピックローラ側に積層された紙幣32の少なくとも一部が、ピックローラによる紙幣32の搬送方向から見て、搬出口36よりもピックローラ34の回転軸34a側に位置する状態、を検知することができる。
【0046】
以上のように構成された紙幣処理ユニット30によれば、不良状態を検知してピックローラ34による紙幣32の搬送を停止することで、ピックローラ34により搬送された紙幣32が搬出口36の入り口で引っ掛かってしまう事態や、搬出口36の入り口やガイド部材37との接触(摩擦)により紙幣32の搬送姿勢が変化してしまう事態を防止することができる。これにより、紙詰まり(ジャム)の発生を抑制して紙幣処理ユニット30を正常に動作させることが可能となるため、紙幣32の繰出しの安定性を改善することができる。
【0047】
なお、本実施例では、レバー部材38が4つ設けられた構成を例示したが、レバー部材38の数は4つに限れず、少なくとも1つ以上あればよい。ただし、より多く設けることで、紙幣の安定した繰出しを妨げる紙幣の折れや曲げをより確実に検知することが可能となる。本実施例に係る紙幣処理ユニット30では、一般に良く見られる折り方(例えば、4つ折や3つ折など)で折られた紙幣が搬出口36よりも高く位置しやすいと考えられる両端部分と中心部分にそれぞれ2つずつ、レバー部材38を配置している。これにより、少ない数のレバー部材38でより確実に不良状態を検出することが可能となっている。
【0048】
また、本実施例に係る紙幣処理ユニット30では、4つのレバー部材38のうち中心に近い2つのレバー部材38は、互いに連結されていて、一方の回転に応じて他方も回転するように構成されている。このような構成は、図4Aに例示されるように、レバー部材38あたりのフォトインタラプタ39の数を減らすことができるため、部品点数の削減、装置の小型化に寄与する点で望ましい。
【符号の説明】
【0049】
10、30、100 紙幣処理ユニット
11、31、101 紙幣保留庫
12、32、102 紙幣
13、103 ステージ
14、34、104 ピックローラ
15、35、105 フィードローラ
16、36、106 搬出口
17、37、107 ガイド部材
18、38 バー部材
19 センサ
20、40 検知手段
14a、34a、35a、38a 回転軸
39a 光軸
39 フォトインタラプタ
41 セパレータ
42 金属ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を搬出するための搬出口が形成された、紙葉類を積層して収納する収納庫と、
前記収納庫内で積層された紙葉類を前記紙葉類の積層方向に移動させるステージと、
前記ステージによりローラ表面に押し付けられた前記紙葉類を前記搬出口へ搬送する搬送ローラと、
前記収納庫内で最も搬送ローラ側に積層された前記紙葉類の少なくとも一部が、前記搬送ローラによる紙葉類の搬送方向から見て、前記搬出口よりも前記搬送ローラの回転軸側に位置する状態を検知する検知手段と、を含む
ことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紙葉類取扱装置において、
前記搬送ローラは、前記検知手段が前記状態を検知すると、前記ステージにより押し付けられた前記紙葉類の搬送を停止する
ことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項3】
請求項2に記載の紙葉類取扱装置において、
前記検知手段は、
前記収納庫内で最も搬送ローラ側に積層された前記紙葉類との接触により移動するレバー部材と、
前記接触による前記レバー部材の所定量以上の移動を検知するセンサと、を含む
ことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項4】
請求項3に記載の紙葉類取扱装置において、さらに、
前記搬送方向から見て、前記搬出口よりも前記搬送ローラの回転軸側に設けられたガイド部材を含み、
前記レバー部材は、前記ガイド部材よりも前記搬送方向から見て、前記ステージ側に突出している
ことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の紙葉類取扱装置において、
前記センサは、前記レバー部材の前記所定量以上の移動による入射光量の変化を検出する光センサである
ことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項6】
紙葉類を搬出するための搬出口が形成された、紙葉類を積層して収納する収納庫と、
前記収納庫内で積層された紙葉類を前記紙葉類の積層方向に移動させるステージと、
前記ステージによりローラ表面に押し付けられた前記紙葉類を前記搬出口へ搬送する搬送ローラと、
前記ステージと対向して設けられたガイド部材と、
前記収納庫内で最も搬送ローラ側に積層された前記紙葉類の少なくとも一部が、前記搬送ローラによる紙葉類の搬送方向から見て、前記搬出口と前記ガイド部材のうちの前記ステージに近い一方よりも前記搬送ローラの回転軸側に位置する状態を検知する検知手段と、を含む
ことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項7】
紙葉類を搬出するための搬出口が形成された、紙葉類を積層して収納する収納庫と、
前記収納庫内で積層された紙葉類を前記紙葉類の積層方向に移動させるステージと、
前記ステージによりローラ表面に押し付けられた前記紙葉類を前記搬出口へ搬送する搬送ローラと、
前記収納庫内で最も搬送ローラ側に積層された前記紙葉類の少なくとも一部が、前記搬出口よりも高い位置にある状態を検知する検知手段と、を含む
ことを特徴とする紙葉類取扱装置。

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−201470(P2012−201470A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68830(P2011−68830)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】