説明

紙製容器

【課題】アルミニウム箔を用いないでも遮光性、ガスバリア性及び廃棄性に優れた紙製容器を提供する。
【解決手段】胴部に少なくとも紙層13とバリア層14とヒートシール層17を積層した紙製容器において、バリア層の片側の面に黄色インキ層15と白色インキ層16を重ね刷りしたもので、黄色インキ層の膜厚が1〜3μm、白色インキ層の膜厚が0.5〜1.5μmである遮光層を有していることを特徴とする紙製容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光性、ガスバリア性及び廃棄性に優れた紙製容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、牛乳、清酒、焼酎、ワイン、果汁飲料などの内容物を収納する容器として紙製容器が多用されている。内容物が牛乳のように冷蔵流通及び短期冷蔵保存ならば紙と樹脂を積層しただけの積層体、例えば、低密度ポリエチレン樹脂層(LDPE)/紙層/低密度ポリエチレン樹脂層(LDPE)などの積層体を用いて作製した紙製容器でも、特に問題はないが、清酒、焼酎、ワイン、果汁飲料などの内容物は、長期常温保存及び常温流通が主体であるため、紙と樹脂を積層しただけの積層体を用いて作製した紙製容器では、紙は不透明ながら紫外線を透過し、さらにポリエチレン樹脂などもガスバリア性がないので空気中の酸素も透過して内容物成分が品質劣化してしまう。従って、従来は、遮光性とガスバリア性に優れたアルミニウム箔を積層し、例えば、低密度ポリエチレン樹脂層(LDPE)/紙層/低密度ポリエチレン樹脂層(LDPE)/アルミニウム箔層/接着剤層/ポリエチレンテレフタレート層(PET)/接着剤層/低密度ポリエチレン樹脂層(LDPE)からなる積層体が一般的である。
【0003】
前記アルミニウム箔は、厚みが7μm以上のアルミニウム箔が使用されるが、遮光性、ガスバリア性、防湿性、保香性に優れているので紙製容器以外の軟包装材料にも多用されている。
【0004】
しかしながら、近年アルミニウム箔を積層した積層体は、さまざまな問題が指摘されている。例えば、使用後の廃棄処分において焼却処理を行うと、そのアルミニウム箔が残査として残ってしまう問題や、焼却炉を傷めてしまう恐れがある問題など、いわゆる廃棄処分にともなう問題が発生している。
【0005】
また、資源再利用の要請から、該容器を使用後に回収し、材料別に分別し再利用することが要望されているが、上記のようなアルミニウム箔を使用した積層材料では、紙基材、アルミニウム箔、樹脂フィルムなどの各材料をそれぞれに分別回収することが著しく困難であり、再利用を図ることは実質的には不可能である。
【0006】
更に、内容物包装後の衛生安全面から行う金属等の異物の混入を確認する金属探知器の使用が不可能であり、衛生安全面も良くない。
【0007】
そこで、最近は、アルミニウム箔に代わる材料として、内容物保存上必要なガスバリア性に優れている酸化珪素や酸化アルミニウム(アルミナ)などの無機酸化物をプラスチックフィルムに蒸着した積層体が使用されているが、透明性を有する故に遮光性が劣るという欠点がある。
【0008】
その対策として、紙製容器の最外層に白色顔料を印刷(塗工)して遮光性を付与する方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この方法は紙製容器の最外層に白色顔料を印刷(塗工)する為、商品イメージの重要な役割であるデザイン、絵柄に大きな制約が生じるといった問題がある。また、積層体の中に白顔料と金赤インキを用いて遮光性を付与する方法が提案されているが(特許文献2)、この方法は内容物の充填前に行う事前検査に問題がある。即ち、前記事前検査とは、容器の開口部からLEDランプを用いて内面を照射し、容器に予めマーキングされた0.35mmの黒点(擬似異物のリファレンス)を検知する検査であり、この検査に支障を来たす可能性があるといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−238761号公報
【特許文献2】特開平9−66578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、アルミニウム箔を用いないでも遮光性、ガスバリア性及び廃棄性に優れた紙製容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためのものであり、本発明の請求項1に係る発明は、胴部が少なくとも紙層とバリア層とヒートシール層を積層した積層体から成る紙製容器において、バリア層の片側の面に黄色インキ層と白色インキ層を重ね刷りしたもので、黄色インキ層の膜厚が1〜3μm、白色インキ層の膜厚が0.5〜1.5μmである遮光層を有していることを特徴とする紙製容器である。
【0012】
本発明の請求項2に係る発明は、胴部が少なくとも紙層、フィルム層、バリア層とヒートシール層を積層した積層体から成る紙製容器において、フィルム層の片側の面に黄色インキ層と白色インキ層を重ね刷りしたもので、黄色インキ層の膜厚が1〜3μm、白色インキ層の膜厚が0.5〜1.5μmである遮光層を有していることを特徴とする紙製容器である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る紙製容器は、胴部が少なくとも紙層、バリア層、ヒートシール層の積層体から成り、バリア層に無機酸化物蒸着フィルムを用いることによりアルミニウム箔相当のガスバリア性を有することが可能であり、また、該バリア層の片側の面に黄色インキ層と白色インキ層を重ねることにより、500nm以下の光の波長に対して優れた遮光性を有することが出来き、且つ、内容物充填前の容器内部の異物検査に用いられる内面検査機の機能に支障をきたす事無く、検査用マーキングの画像読み取りが出来る。また更には、アルミニウム箔を用いないことで優れた廃棄性が得られなど、多大の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の紙製容器の一実施の形態を説明する斜視図である。
【図2】本発明の紙製容器の一実施の形態を説明する断面図である。
【図3】(a)は本発明の紙製容器の一実施の形態を説明する紙層、バリア層、ヒートシール層から成る積層体の断面図である。 (b)は本発明の紙製容器の一実施の形態を説明する紙層、フィルム層、バリア層、ヒートシール層から成る積層体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を図1〜図3に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明に係る紙製容器の一実施の形態を示す斜視図であり、図2は本発明に係る紙製容器の一実施の形態を示す断面図であり、図3(a)は本発明に係る紙製容器の一実
施の形態を示す紙層、バリア層、ヒートシール層から成る積層体の断面図であり、図3(b)は本発明に係る紙製容器の一実施の形態を説明する紙層、フィルム層、バリア層、ヒートシール層から成る積層体の断面図である。
【0017】
本発明に係る紙製容器の胴部の一実施の形態である前記紙層(13)は、一般的には、賦型性、耐屈曲性、剛性、腰、強度などを持たせるものであり、例えば、強サイズ性の晒し、または未晒しの紙基材、或いは純白ロール紙、クラフト紙、カップ原紙、加工紙などの紙基材、その他などを適宜使用することができる。
【0018】
前記紙層(13)を形成する紙基材としては、坪量が200〜500g/m2程度の範囲内のものを選択して使用することが好ましい。前記坪量が200g/m2未満の場合は、座屈強度が弱く容器として十分な腰、および内容物を保護する強度が得られない。また、坪量が500g/m2を超える場合は、硬過ぎて容器に成形する際のハンドリング適性が劣るだけでなく、木材資源の無駄使いやコスト高となる。
【0019】
該紙層(13)の表面には、文字、図柄、絵柄などの印刷インキ層(12)を通常のグラビアインキ、フレキソインキ、シルクスクリーンインキ、オフセットインキなどを用いて、例えば、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、シルクスクリーン印刷方式、オフセット印刷方式などにより設けることができるが、鉄製の円筒(シリンダー)表面上に銅メッキを施して下地を形成し、該銅メッキ面上に剥離層を設け、更に銅メッキをして、その表面を鏡面状に研磨した銅面に彫刻方式や腐食方式により、凹部(セル)を作成し、該セル内の印刷インキを該紙層(13)面に転移させて、調子物でもカラフルに印刷ができ、且つ訴求効果も高いグラビア印刷方式が好ましい。この際、該紙層(13)の表面をコロナ放電処理、グロー放電処理、低温プラズマ処理、ガスフレーム処理、薬品処理などの公知の方法で前処理を行ないインキの密着性を図ることが好ましい。
【0020】
このような該印刷インキ層(12)を設けるためのグラビアインキとしては、インキに色彩を与える顔料や染料などからなる色材と該色材を微細な粒子に分散・保持しつつ、被印刷体に固着させる樹脂と該樹脂を安定して溶解し、該顔料や染料などの分散性、インキの流動性を保持し、かつ印刷の版からインキの適正量を転移できる溶剤とから構成されるビヒクル、更に色材の分散性、発色性向上や沈殿防止、流動性の改良を目的に界面活性剤などからなる助剤から形成されているが、特に色材は、耐候性の良い顔料が好ましく用いられる。
【0021】
次に、本発明に係る紙製容器の胴部の一実施の形態である積層体において、基材である紙層(13)の外面側の最外層に設ける熱可塑性樹脂層(11)は、容器に成形する際にヒートシールなどによりシール可能な材料であれば、特に、制約されるものではないが、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)、エチレン−α−オレフィン共重合体などエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂などの選択が可能であり、また、これらのオレフィン系樹脂をグラフト重合などにより酸変性した変性ポリオレフィン樹脂も使用可能である。前述したポリオレフィン系樹脂の単体、または2種以上からなるブレンド品でも構わないが、作業性、経済性などの面から、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)を使用することが好ましい。
【0022】
前記熱可塑性樹脂層(11)を形成する方法には、前記樹脂を予め製膜して作製した熱可塑性樹脂フィルムを使用し、接着層を介して形成する方法と直接熱可塑性樹脂を溶融押出ししてラミネーションするエクストルージョンラミネーション法(溶融押出しラミネー
ション法)により形成する方法がある。該熱可塑性樹脂層(11)の厚さは、20〜100μm程度の範囲内で任意に選択して形成することが好ましい。
【0023】
前記バリア層(14)としては、ガスバリア樹脂フィルムや基材フィルムにガスバ
リア層を設けたガスバリア性積層フィルムを使用することができる。
【0024】
前記ガスバリア樹脂フィルムとしては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(EVOH)、ポリビニルアルコールフィルム(PVA)、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートや2軸延伸ナイロンフィルムとエチレン−ビニルアルコール共重合体の積層フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)ケン化物などのフィルム、またこれらフィルムの1種乃至それ以上を組み合わせた積層フィルムが挙げられる。
【0025】
次に、基材フィルムにガスバリア層を設けたガスバリア性積層フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)などのフィルムにポリ塩化ビニリデンを塗工した塗工フィルムや無機酸化物(酸化珪素、酸化アルミニウムなど)の蒸着薄膜層を設けた無機酸化物蒸着フィルム、またこれらフィルムの1種乃至それ以上を組み合わせた積層フィルムなどが挙げられる。
【0026】
前記無機酸化物蒸着フィルムの基材フィルムは、特に、制約されるものではないが、加工適性などを考慮して、単体フィルム及び各種の積層フィルムを使用することができる。
【0027】
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのポリオレフィン、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)などの無延伸あるいは延伸フィルムである。
【0028】
これらの中でも、強度、加工適性、コストなどの面から、前述したように、二軸方向に任意に延伸された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)を使用することが好ましい。
【0029】
該無機酸化物の蒸着薄膜層(図示せず)としては、基本的には金属の酸化物を使用することが可能であり、例えば珪素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウムなどの酸化物またはそれらの混合物が挙げられる。
【0030】
一般的には、透明性、物性面、生産性などから、酸化珪素、酸化アルミニウムなどを使用することが好ましい。
【0031】
このような無機酸化物の蒸着薄膜層を形成する方法は、真空蒸着法、スパッタリング法などを使用することができるが、生産性、生産コスト面などを考慮すると、真空蒸着法が好ましい。
【0032】
次に、本発明に係る紙製容器の胴部の一実施の形態である積層体において、バリア層(14)の片側の面に、黄色インキ層(15)と白色インキ層(16)を重ね刷りして、遮光性を付与する方法について説明する。
【0033】
本発明に係る前記黄色インキおよび白色インキは、顔料、バインダー樹脂、添加剤、助剤、溶剤などから構成される。
【0034】
本発明に係る前記黄色インキ層に用いることが出来る黄色顔料は、特に制約を受けるものではなく、一般よく使用されている、例えば、黄鉛などの無機顔料や、モノアゾ系、ジズアゾ系、金属錯体系などの有機顔料を挙げることが出来る。これらの黄色顔料は単独で用いることも出来るし、または2種以上を混合して用いることも出来る。
【0035】
次に、本発明に係る前記白色インキ層に用いることが出来る白色顔料は、例えば、酸化チタン、亜鉛華など汎用の無機顔料を用いることが出来る。これらの白色顔料は単独で用いることも出来るし、または2種以上を混合して用いることも出来る。
【0036】
本発明に係る前記黄色インキおよび白色インキに使用されるバインダー樹脂は、前記バリア層の基材フィルムによるが、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂などを用いることが出来る。
【0037】
本発明に係る前記黄色インキおよび白色インキに使用される添加剤、助剤としては、特に制約されるものではないが、塗工方法により、その塗工特性に応じたインキ特性の調整として、例えば、分散剤、帯電防止剤、粘度調整剤、硬化剤などを用いることが出来る。
【0038】
本発明に係る前記黄色インキおよび白色インキに使用される溶剤としては、特に制約されるものではないが、塗工方法により、その塗工特性に応じたインキ特性の調整として、アルコール系、エーテル系、エステル系、芳香族炭化水素系などを用いることが出来る。なお、これらの溶剤は単独で用いることも出来るし、または2種以上を混合して用いることも出来る。
【0039】
次に、本発明に係る前記黄色インキおよび白色インキの塗工方法としては、特に制約されるものではないが、通常のグラビア塗工方法やロールコート方法などを用いることができる。
【0040】
本発明に係る前記黄色インキ層の膜厚は、1μm〜3μmが好ましく、1μm未満では遮光性が不十分であり、また、3μm以上ではインキ剥がれやブロッキングの問題がある。
【0041】
また、本発明に係る前記白色インキ層の膜厚は、0.5μm〜1.5μmが好ましく、0.5μm未満では遮光性が不十分であり、また、1.5μm以上ではインキ剥がれやブロッキングの問題がある。
【0042】
次に、最内層に設けるヒートシール層(17)は、容器に成形する際にヒートシールなどによりシール可能な材料であれば、特に、制約されるものではないが、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)、エチレン−α−オレフィン共重合体などエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂などの選択が可能であり、また、これらのオレフィン系樹脂をグラフト重合などにより酸変性した変性ポリオレフィン樹脂も使用可能である。前述したポリオレフィン系樹脂の単体、または2種以上からなるブレンド品でも構わないが、作業性、経済性、味覚などの面から、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)を使用することが好ましい。
【0043】
前記ヒートシール層(17)を形成する方法には、前記樹脂を予め製膜して作製した熱可塑性樹脂フィルムを使用し、接着層を介して形成する方法と直接熱可塑性樹脂を溶融押出ししてラミネーションするエクストルージョンラミネーション法(溶融押出しラミネー
ション法)により形成する方法がある。該ヒートシール層(17)の厚さは、30〜100μm程度の範囲内が好ましく、30μm未満ではシール不良が発生し易く、100μmを超えると成形時に樹脂の染み出しなど問題が発生する。
【実施例】
【0044】
以下に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0045】
本発明に係る紙製容器について、構成部材である蓋部積層体、底部積層体および胴部積層体について以下に説明する。
【0046】
本発明に係る蓋部積層体は、以下の構成で作製した。
ヒートシール層(LDPE40μm)/紙層(坪量250g/m)/第2基材層(LDPE55μm)/第1基材層(PET12μm)/蒸着フィルム層(酸化珪素/PET12μm)/ヒートシール層(LDPE60μm)
【0047】
本発明に係る底部積層体は、以下の構成で作製した。
ヒートシール層(LDPE20μm)/紙層(坪量200g/m)/第2基材層(LDPE35μm)/第1基材層(PET12μm)/蒸着フィルム層(酸化珪素/PET12μm)/ヒートシール層(LDPE60μm)
【0048】
以下、本発明に係る胴部積層体について具体的に説明する。
【0049】
<実施例1>
図3(a)に示すような胴部積層体を作製した。先ず、紙層(13)に、坪量が320g/m2の板紙を使用し、片面にグラビア印刷方式により、印刷インキ層(12)を施し、次に、該印刷インキ層(12)上にLDPEを厚さ20μmとなるようにエクストルージョンラミネーション法により、押し出して最外熱可塑性樹脂層(11)を積層した。
【0050】
次に、別工程で厚さ12μmのPETフィルムに酸化アルミニウムを蒸着してバリア層(14)を得た。
【0051】
上記バリア層(14)の非蒸着面上に、黄色インキ(東洋インキ製造製、商品名:ファインスターF23黄)をグラビア塗工方法により膜厚25μm塗工し、乾燥後の膜厚2μmの黄色インキ層(15)を得た。
【0052】
次に、上記黄色インキ層の上に、同じくグラビア塗工方法を用いて、白色インキ(東洋インキ製造製、商品名:LPGTRM2K白)を膜厚30μm塗工し、乾燥後の膜厚1.2μmの白色インキ層(16)を得た。
【0053】
次に、前記バリア層(14)の白色インキ層(16)面側に、ドライラミネーション法によりポリウレタン系接着剤を介して厚さ60μmのLDPEフィルムからなるヒートシール層(17)を積層した。
【0054】
次に、前記紙層(13)の未加工面側と前記バリア層(14)の酸化アルミニウム蒸着層側とを、ポリウレタン系接着剤を介して積層し、以下に示す本発明の胴部積層体(40)を得た。
最外熱可塑性樹脂層(LDPE20μm)/印刷インキ層(12)/紙層(坪量320g/m2)/接着剤(5μm)/酸化アルミニウム蒸着層/PET(12μm)/黄色インキ層(2μm)/白色インキ層(1.2μm)/接着剤(5μm)/ヒートシール層(60μm)
【0055】
<実施例2>
図3(b)に示すような胴部積層体を作製した。先ず、紙層(13)に、坪量が320g/m2の板紙を使用し、片面にグラビア印刷方式により印刷インキ層(12)を施し、次に、該印刷インキ層(12)面にLDPEを厚さ20μmとなるようにエクストルージョンラミネーション法により最外熱可塑性樹脂層(11)を積層し、積層中間体(A)を得た。
【0056】
次に、厚さ12μmのPETフィルム(a)の片面に、黄色インキ(東洋インキ製造製、商品名:ファインスターF23黄)をグラビア塗工方法により膜厚25μm塗工し、乾燥後の膜厚2μmの黄色インキ層(15)を得た。
【0057】
上記黄色インキ層(15)の上に、同じくグラビア塗工方法を用いて、白色インキ(東洋インキ製造製、商品名:LPGTRM2K白)を膜厚30μm塗工し、乾燥後の膜厚1.2μmの白色インキ層(16)を得た。
【0058】
次に、別工程で厚さ12μmのPETフィルム(b)に酸化アルミニウムを蒸着してバリア層(14)を得た。
【0059】
上記PETフィルム(b)のバリア層(14)に、エクストルージョン法により厚さ60μmのLDPEを積層してヒートシール層(17)を得た。
【0060】
次に、上記PETフィルム(b)の非蒸着面側と前記PETフィルム(a)の白色インキ層(16)面側とを、接着剤を介してドライラミネーション法により積層し、積層中間体(B)を得た。
【0061】
次に、前記積層中間体(A)の紙層の未加工面と前記積層中間体(B)のPETフィルム(a)の未加工面とを、接着剤を介してドライラミネーション法により積層し、以下に示す本発明の胴部積層体(40)を得た。
最外熱可塑性樹脂層(LDPE20μm)/印刷インキ層/紙層(坪量320g/m2)/接着剤(5μm)/フィルム層(PET12μm)/黄色インキ層(2μm)/白色インキ層(1.2μm)/酸化アルミニウム蒸着層/PET(12μm)/接着剤(5μm)/ヒートシール層(60μm)
【0062】
以下に、本発明の比較例について説明する。
<比較例1>
黄色インキの替わりに、金赤インキ(東洋インキ製造製、商品名:ファインスターR180赤)をグラビア塗工方法により膜厚25μm塗工し、乾燥後の膜厚2μmの金赤色インキ層を得た。
【0063】
他は、実施例2と同じ方法で、以下に示す胴部積層体(40)を得た。
最外熱可塑性樹脂層(LDPE20μm)/印刷インキ層/紙層(坪量320g/m2)/接着剤(5μm)/フィルム層(PET12μm)/金赤色インキ層(2μm)/白色インキ層(1.2μm)/酸化アルミニウム蒸着層/PET(12μm)/接着剤(5μm)/ヒートシール層(60μm)
【0064】
<比較例2>
白色インキ層を施さず、他は実施例2と同じ方法で、以下に示す胴部積層体(40)を得た。
最外熱可塑性樹脂層(LDPE20μm)/印刷インキ層/紙層(坪量320g/m2
/接着剤(5μm)/フィルム層(PET12μm)/黄色インキ層(2μm)/酸化アルミニウム蒸着層/PET(12μm)/接着剤(5μm)/ヒートシール層(60μm)
【0065】
<比較例3>
白色インキ層および黄色インキ層のいずれも施さないこと以外は実施例2と同じ方法で、以下に示す胴部積層体(40)を得た。
最外熱可塑性樹脂層(LDPE20μm)/印刷インキ層/紙層(坪量320g/m2)/接着剤(5μm)/フィルム層(PET12μm)/酸化アルミニウム蒸着層/PET(12μm)/接着剤(5μm)/ヒートシール層(60μm)
【0066】
<比較結果>
本発明に係る紙製容器の効果を評価するにあたり、前記蓋部積層体、底部積層体および実施例1,2および比較例1,2,3に記載の胴部積層体を用いて、熱融着法により一体化した、内容物195gが入る筒状紙製容器を作成した。
【0067】
次に、内容物充填前の容器内部の異物検査に用いられる内面検査機(クラボウ社製)にて、検査用マーキングの画像読み取り性を評価した。
【0068】
更に、食品用容器として通常必要とされる、外観、色差(ΔE)および味覚(官能テスト)について評価した。評価結果を表1に記載する。
【0069】
【表1】

【0070】
上記実施例1および2は、比較例1,2,3に比べて、内部検査機の動作性、内壁の外観、色差、味覚において、いずれも良好な結果を示した。
【符号の説明】
【0071】
10・・・・紙製容器
11・・・最外熱可塑性樹脂層
12・・・印刷インキ層
13・・・紙層
14・・・バリア層
15・・・黄色インキ層
16・・・白色インキ層
17・・・ヒートシール層
18・・・フィルム層
20・・・・蓋部積層体
30・・・・底部積層体
40・・・・胴部積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部が少なくとも紙層とバリア層とヒートシール層を積層した積層体から成る紙製容器において、バリア層の片側の面に黄色インキ層と白色インキ層を重ね刷りしたもので、黄色インキ層の膜厚が1〜3μm、白色インキ層の膜厚が0.5〜1.5μmである遮光層を有していることを特徴とする紙製容器。
【請求項2】
胴部が少なくとも紙層、フィルム層、バリア層とヒートシール層を積層した積層体から成る紙製容器において、フィルム層の片側の面に黄色インキ層と白色インキ層を重ね刷りしたもので、黄色インキ層の膜厚が1〜3μm、白色インキ層の膜厚が0.5〜1.5μmである遮光層を有していることを特徴とする紙製容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−40823(P2012−40823A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185864(P2010−185864)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】