説明

紡績装置、及び繊維蓄積状態の検出方法

【課題】 空気排出用空間55内の繊維Fの蓄積を早期に検出し、紡績糸の欠陥(弱糸)を防止する。
【解決手段】 空気紡績ノズル19と、この空気紡績ノズル19により生成された旋回空気流によって繊維に撚りを与えるための旋回流発生室25と、この旋回流発生室25に連通する空気排出用空間55と、前記空気排出用空間55の空気を吸引する負圧源と、前記空気排出用空間55の圧力を検出する圧力センサ63を備える。ユニットコントローラ32は、前記空気紡績ノズル19による紡績作業中に前記圧力センサ63によって検出された圧力が上昇すると、紡績作業を停止するように制御するとともに、報知ランプ71を点灯させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡績装置の構成に関し、特に、紡績糸に欠陥を生じさせ易い状態を容易に検知できる構成に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、空気紡績ノズルによって生成された旋回気流によって繊維束を開繊して、中空ガイド軸体の先端部の周囲に繊維を巻き付けつつ撚り込んで紡績する紡績装置を開示する。この構成では、中空ガイド軸体の先端部の中空室に空気排出空間が連通されており、空気紡績ノズルから生成された旋回気流は、中空室から空気排出空間へと流れて排出されるようになっている。
【0003】
そして特許文献1では、空気排出用空間内で中空ガイド軸体の周囲に繊維がループを形成すると、引き続いて中空室から排出されてきた繊維がそのループに絡み付いて外部に排出されない事態が発生し、中空室からの空気の流出が正常に行われず、中空室内の正常な旋回流が阻害され、糸の欠陥(いわゆる弱糸)の原因となるという問題を指摘する。そして特許文献1は、中空ガイド軸体の、空気排出用空間内に位置する太径部の外周長を繊維束の平均繊維長より長くすることで、こうした問題を解決できるとする。
【特許文献1】特開2001−192938号公報(図2、0005、請求項1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のように太径部の外周長を大きくしても、その周囲に繊維がループを形成してしまうことがあり、上記の構成が弱糸の防止に十分効果的であるとは必ずしも言えなかった。
【0005】
また、最近の多品種少量生産の要請の高まりにより、同じ紡績装置で様々な繊維長の繊維を紡績することも考えられる。考え得る最大繊維長よりも外周長が太くなるように中空ガイド軸体の形状を設定することも考えられるが、これでは紡績装置の大型化を招いてしまう。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
◆本発明の第1の観点によれば、以下のように構成する、紡績装置が提供される。空気紡績ノズルと、この空気紡績ノズルにより生成された旋回空気流によって繊維に撚りを与えるための中空室と、この中空室に連通する空気排出用空間と、前記空気排出用空間の空気を吸引する吸引手段と、前記空気排出用空間の圧力を検出する圧力検出手段と、前記空気紡績ノズルによる紡績作業中に前記圧力検出手段の検出結果に基づき紡績作業を制御する、制御手段と、を備える。
【0008】
これにより、空気排出用空間に繊維が蓄積して弱糸の欠陥の原因となりやすい状態を確実に検知して紡績作業を停止できるので、弱糸によるパッケージの品質低下を防止できる。また、例えば弱糸の欠陥が頻発する前に確実に紡績作業を停止させるよう制御することができるから、紡績装置の稼動効率を向上させることができる。
【0009】
◆前記の紡績装置においては、以下のように構成することが好ましい。前記吸引手段は、前記空気排出用空間の一側から空気を吸引するように構成されている。前記圧力検出手段は、前記空気排出用空間のうち、前記吸引手段による空気吸引側と糸道を挟んで反対側の部分の圧力を検出するように構成されている。
【0010】
これにより、圧力検出手段による圧力検出箇所が、吸引側からみて糸道よりも空気排出用空間の奥まった位置にあるため、空気排出用空間に繊維が蓄積したことを圧力検出手段の検出圧力の変化として確実に検出できる。従って、空気排出用空間に繊維が蓄積したことを正確に検出できる。
【0011】
◆前記の紡績装置においては、前記圧力検出手段によって検出された圧力が上昇したことを報知する報知手段を備えていることが好ましい。
【0012】
これにより、空気排出用空間に繊維が蓄積したことをオペレータに素早く報知でき、空気排出用空間内の繊維の除去を促して、紡績作業が可能な状態へ早期に復旧させることができる。
【0013】
◆前記の紡績装置においては、以下のように構成することが好ましい。前記圧力検出手段は、前記空気排出用空間の壁面に開口した圧力検出孔に接続されている。この圧力検出孔から空気を噴出可能に構成されている。
【0014】
これにより、圧力検出孔に繊維が詰まっても、当該圧力検出孔から空気を噴出することで繊維を確実に除去することができるから、圧力検出手段の誤検出を防止できる。
【0015】
◆本発明の第2の観点によれば、以下のような、紡績装置の繊維蓄積状態の検出方法が提供される。空気紡績ノズルと、この空気紡績ノズルにより生成された空気流によって繊維に撚りを与えるための中空室と、この中空室に連通する空気排出用空間と、前記空気排出用空間の空気を吸引する吸引手段と、を有する紡績装置において、前記空気排出用空間の圧力を検出する圧力検出手段を設ける。この圧力検出手段によって検出された圧力が上昇したことをもって、前記空気排出用空間に繊維が蓄積していると判定する。
【0016】
これにより、空気排出用空間に繊維が蓄積された状態(弱糸の欠陥の原因)となっているか否かを、簡単かつ確実に判定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0018】
図1は、並設された多数の紡績ユニット2を備えた紡績装置1を示している。この紡績装置1には、紡績ユニット2が並べられる方向に走行自在に設けられた糸継台車3と、ブロアボックス4と、原動機ボックス5とが装備される。
【0019】
図1に示すように、各紡績ユニット2は、ドラフト装置7と、紡績部9と、糸送り装置11と、巻取装置12と、を主要な構成として有している。ドラフト装置7は紡績装置1本体のケーシング6の上端近傍に設けられており、このドラフト装置7から送られてくる繊維束8を紡績部9で紡績するように構成している。紡績部9から排出された紡績糸10は糸送り装置11で送られて、巻取装置12によって巻き取られ、パッケージ45を形成する。
【0020】
ドラフト装置7は図2に示すように、スライバ13を延伸して繊維束8にするためのものであり、バックローラ14、サードローラ15、エプロンベルト16を装架したミドルローラ17及びフロントローラ18の4つのローラから構成されている。
【0021】
ケーシング6の適宜位置には電動モータからなるドラフトモータ31が設置されており、前記バックローラ14とサードローラ15は、このドラフトモータ31にベルトを介して連結される。このドラフトモータ31の駆動/停止は、各紡績ユニット2ごとに設けられたユニットコントローラ(制御手段)32によって制御される。なお、本実施形態の紡績装置1では、ミドルローラ17やフロントローラ18を駆動するための電動モータもケーシング6に設けられているが、ここでは図示を省略する。
【0022】
また糸送り装置11は、紡績装置1本体のケーシング6に支持されたデリベリローラ39と、デリベリローラ39に接触して設けられたニップローラ40とからなる。この構成で、紡績部9から排出された紡績糸10をデリベリローラ39とニップローラ40との間に挟んでデリベリローラ39を図示しない電動モータで回転駆動することにより、紡績糸10を巻取装置12側へ送るようになっている。
【0023】
なお、前記ケーシング6の正面には報知ランプ(報知手段)71が設置され、紡績部9の異常の有無を報知するようになっている。報知ランプ71は前記ユニットコントローラ32に接続されている。
【0024】
糸継台車3は図1や図2に示すように、紡績装置1本体のケーシング6に設けられたレール41上を走行するように設けられている。この台車3には、糸継装置(例えばスプライサ)43と、この台車3に俯仰自在に設けられ、軸を中心に旋回しながら、紡績部9から排出される糸端を吸い込みながら捕捉して糸継装置43へ案内するサクションパイプ44と、台車3に俯仰自在に設けられ、軸を中心に旋回しながら、巻取装置12に回転自在に支持されたパッケージ45から糸端を吸引捕捉して糸継装置43へ案内するサクションマウス46と、を備えている。
【0025】
本実施形態の紡績部9は、図3に示すように、フロントローラ18から送られてくる前記繊維束8を挿通させながらその繊維束8に旋回流を与える空気紡績ノズル19と、空気紡績ノズル19に先端部が同軸挿入される中空ガイド軸体20と、を主に備えて構成される。
【0026】
空気紡績ノズル19は、ニードルホルダ23と、ノズルブロック34と、該ノズルブロック34を支持するノズル部ケーシング53とを有する。ニードルホルダ23は、上流側のドラフト装置7でドラフトされた繊維束を導入する案内孔21を有し、また、案内孔21から排出された繊維束の流路上にニードル22を保持している。
【0027】
ニードルホルダ23より下流側の位置において、ノズルブロック34にテーパ孔54が設けられ、このテーパ孔54に、当該テーパ孔54とほぼ等しいテーパ角を有する中空ガイド軸体20の先端部24が、同軸に且つ所定の隙間を隔てて挿入されている。中空ガイド軸体20の先端面とニードルホルダ23との間には紡績室26が形成され、この紡績室26には前記ニードル22の先端が突出されており、ニードル22の先端が中空ガイド軸体20の先端面と対向している。
【0028】
前記テーパ孔54と前記先端部24との間には、旋回流発生室(中空室)25が形成される。また、ノズル部ケーシング53には空気排出用空間55が形成され、この空気排出用空間55の一側に配管60を通じて図略の負圧源(吸引手段)が接続されている。
【0029】
ノズルブロック34には、出口端が紡績室26に開口される複数の旋回流発生ノズル27が設けられる。これら旋回流発生ノズル27はノズルブロック34に穿設された孔からなり、紡績室26の接線方向に且つ糸送り下流側に傾斜して設けられている。旋回流発生ノズル27は図示しない圧空源から圧空の供給を受けてその圧縮空気(圧空)を紡績室26に噴射し、例えば平面視反時計回りの旋回流(図4参照)を紡績室26に発生させる。この旋回流は中空ガイド軸体20の先端部24の周りの旋回流発生室25に沿って螺旋状に下流側に流れ、ノズル部ケーシング53に形成された空気排出用空間55から排出される。
【0030】
中空ガイド軸体20は、前記先端部24を有する筒体56から構成される。中空ガイド軸体20の軸心に沿って糸通路29が形成され、この糸通路29内を糸が通過した後、下流側の図示しない出口孔を介して紡績糸10が排出されるようになっている。
【0031】
筒体56には、その先端部24より下流側に拡径状の太径部58が形成され、この太径部58は前記空気排出用空間55に露出される。この太径部58は軸体保持部材59に挿入固定される。
【0032】
ここで、軸体保持部材59はノズル部ケーシング53に対して近接・離反自在とされている。これは、紡績室26や旋回流発生室25に繊維が詰まったり空気排出用空間55に繊維が蓄積したりして、前記の負圧源によって吸引除去できなくなった場合に、軸体保持部材59をノズル部ケーシング53から離反させて、空気排出用空間55、旋回流発生室25、紡績室26を開放することで容易に除去できるようにするためである。
【0033】
軸体保持部材59には、圧力検出孔61が斜状に貫通形成されている。この圧力検出孔61は、空気排出用空間55の壁面、具体的には、筒体56の太径部58の基端部近傍の床面に開口している。この圧力検出孔61は、チューブ62を介して圧力センサ(圧力検出手段)63に接続される。この圧力センサ63は図示しないデータ処理部を備えており、検出圧力が所定のしきい値よりも大きい場合に、前記ユニットコントローラ32に繊維蓄積信号を送信するように構成されている。
【0034】
また、本実施形態の紡績装置1は適宜の圧空源64を備えており、この圧空源64は、圧空チューブ65を介してクリーニングライン66に接続されている。このクリーニングライン66は、空気紡績ノズル19の例えば案内孔21の周辺に圧縮空気を噴射してクリーニングするためのラインである。上記圧空チューブ65には電磁弁67が設置されており、その開閉制御はユニットコントローラ32からの作動信号によって行われる。クリーニングライン66と前記チューブ62とは、継手68・68、中継管69を通じて連結されている。中継管69の中途にはオリフィス70が設置されている。
【0035】
次に、本実施形態の作用について説明する。先ず紡績の開始時に、ユニットコントローラ32は電磁弁67を所定時間だけ開いてクリーニングライン66に圧縮空気を供給し、空気紡績ノズル19の案内孔21周辺をクリーニングする。
【0036】
なおこのとき、圧空源64からの圧縮空気は中継管69を通じて圧力検出孔61へ供給され、圧力検出孔61から空気排出用空間55へ噴出される。この結果、圧力検出孔61に繊維(後述)が詰まっていた場合でも、それを圧力検出孔61から吹き飛ばすことができ、圧力センサ63が圧力検出孔61の開口部分の圧力を正確に測定できるようになっている。なお、圧力検出孔61内の圧力が大きく上昇して圧力センサ63の許容測定範囲を外れることのないように、上記圧縮空気の供給量はオリフィス70によって調整される。
【0037】
その上で紡績部9による紡績を開始するのであるが、紡績時において繊維束8ないし紡績糸10は、フロントローラ18から案内孔21、紡績室26、糸通路29を通じて糸送り装置11に至る連続状態にあり、糸送り装置11により下流側への送り力が付与されることによって、糸に張力が付与される。
【0038】
ドラフト装置7のフロントローラ18から排出された繊維束8は、図4に示すように案内孔21から紡績室26に入って、旋回流発生ノズル27による旋回流の作用を受ける。これにより繊維束8のうちの芯繊維となる長繊維に対して残りの短繊維の一端が分離されて開繊され、旋回流発生室25内で振り回され、加撚される。なお、この撚りはフロントローラ18側へ伝播しようとするが、その伝播はニードル22によって阻止されるので、フロントローラ18から送り出される繊維束8が上記の撚りによって撚り込まれることがない。このように、ニードル22は撚り伝播防止手段をなしている。上記のように加撚された繊維は、大部分が巻付き繊維となる実撚り状の糸に順次生成され、糸通路29を通過し出口孔34から排出される。そして、図2の糸送り装置11を経て巻取装置12(図1)に巻き取られる。
【0039】
なお、上記の短繊維の開繊・加撚時に切れるなどして紡績糸10に撚り込まれなかった繊維は、旋回流発生ノズル27で生起された旋回流によって旋回流発生室25から空気排出用空間55へ送られ、負圧源の吸引によって、配管60を経由して排出される。
【0040】
一方、上記のように配管60を経由して排出されるべき繊維が、太径部58の周囲にループを形成し、図5のように空気排出用空間55に蓄積される場合がある。この原因としては例えば、空気排出用空間55の内部で何らかの部材に繊維が引っ掛かることで負圧源からの吸引流によっても排出されず、紡績が行われるにつれてその繊維に他の繊維が絡み合って徐々に成長することで太径部58の外周長を上回り、太径部58の外側を周回するようなループ状の繊維Fにまで成長することが考えられる。あるいは、本実施形態ではメンテナンス作業の便宜のために軸体保持部材59をノズル部ケーシング53から離反可能に構成しているが、メンテナンス終了後に軸体保持部材59をノズル部ケーシング53へ近接させた図示のような所定位置に取り付ける際に、その接合部分に繊維を挟み込んでしまい、これが排出されずに他の繊維と絡み合って成長してループ状の繊維Fになること等が考えられる。
【0041】
このように空気排出用空間55において繊維Fがある程度成長して風綿状になると、旋回流発生室25から空気排出用空間55への空気の流出を阻害するので、旋回流発生室25の正常な旋回流が阻害され、弱糸の原因になってしまう。また、紡績時に開繊された短繊維が旋回流発生室25内で振り回される際に、太径部58の周囲に蓄積された繊維に接触してしまって撚り込みが阻害され、この意味でも弱糸の原因になってしまう。
【0042】
本実施形態では以上の点に鑑み、上記の紡績時においては、圧力センサ63によって前記圧力検出孔61の開口部分の圧力を監視させるようにしている。圧力検出孔61の開口部分の圧力は、前記負圧源からの吸引流によって通常は適度の負圧に保たれているが、中空ガイド軸体20の周囲に繊維が蓄積されてくると、その蓄積された繊維Fによって吸引流が阻害されるために、圧力検出孔61の開口部分の圧力は徐々に上昇し、大気圧に近づくことになる。圧力センサ63はこの部分の圧力をモニタし、この検出値が圧力センサ63に予め設定されたしきい値を超えると、ユニットコントローラ32に対し繊維蓄積信号を送る。
【0043】
紡績作業中に上記の繊維蓄積信号を受信したユニットコントローラ32は、直ちにドラフトモータ31を停止させて紡績部9への繊維束8の供給を停止し、更に空気紡績ノズル19への圧空の供給を停止して、紡績作業を停止させる。そして報知ランプ71を点灯させて、空気排出用空間55内に繊維が蓄積したことをオペレータに報知する。
【0044】
以上に示すように、本実施形態の紡績装置1(紡績ユニット2)においては、負圧源によって空気が吸引される空気排出用空間55の圧力を検出するために圧力センサ63が備えられており、空気紡績ノズル19による紡績作業中に圧力センサ63によって検出された圧力が上昇すると、ユニットコントローラ32が紡績作業を停止するように構成している。
【0045】
これにより、空気排出用空間55に繊維Fが蓄積して弱糸の欠陥の原因となりやすい状態を確実に検知して紡績作業を自動停止できるので、弱糸によるパッケージの品質低下を防止できる。また、弱糸の欠陥が頻発する前に確実に紡績作業を停止させることができるから、紡績装置1の稼動効率を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態の紡績ユニット2においては、前記負圧源は、空気排出用空間55の一側から空気を吸引するように構成されている。そして、前記圧力センサ63は、前記空気排出用空間55のうち、負圧源によって空気が吸引される側と、紡績糸10の糸道(中空ガイド軸体20)を挟んで反対側の部分の圧力を検出するように構成されている。
【0047】
これにより、圧力センサ63による圧力検出箇所が吸引側からみて空気排出用空間55の奥まった部分に位置しているため、空気排出用空間55に繊維Fが蓄積すると、それを圧力センサ63で検出圧力の上昇という形で確実に検出できる。従って、圧力センサ63による誤検出を回避できる。
【0048】
更に、本実施形態の紡績ユニット2は報知ランプ71を備えており、紡績作業時に圧力センサ63による検出圧力が上昇すると、ユニットコントローラ32は上記のように紡績を停止させるとともに、報知ランプ71を点灯させるように構成している。
【0049】
これにより、空気排出用空間55に繊維Fが蓄積したことをオペレータに素早く報知でき、空気排出用空間55内の繊維Fの除去を促して、早期に紡績ユニット2を紡績作業が可能な状態へ復旧させることができる。
【0050】
また、本実施形態の紡績ユニット2においては、圧力センサ63は、空気排出用空間55の壁面に開口した圧力検出孔61に接続されているとともに、この圧力検出孔61から空気を噴出可能に構成されている。
【0051】
これにより、圧力検出孔61に繊維Fが詰まったとしても、当該圧力検出孔61から空気を噴出することで繊維Fを確実に除去することができるから、圧力センサ63の誤検出を防止できる。
【0052】
また、本実施形態の紡績ユニット2において、ユニットコントローラ32は、紡績作業中に圧力センサ63によって検出された圧力が上昇したことをもって、空気排出用空間55に繊維Fが蓄積していると判定し、紡績停止制御を行うようになっている。
【0053】
上記の判定方法を用いることによって、空気排出用空間55内の繊維Fの蓄積の有無を簡単かつ確実に判定できる。
【0054】
以上に本発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は更に以下のように変更して実施することができる。
【0055】
(1)圧力検出孔61の位置は、空気排出用空間55の壁面に開口するものであれば任意であり、例えば図3の鎖線(符号61’)で示すように、空気排出用空間55の(床面ではなく)内壁面に開口するように圧力検出孔を設けても良い。
【0056】
(2)上記実施形態では圧力センサ63はデータ処理部を備えたものとし、検出圧力が所定のしきい値(圧力センサ63に対し設定する)を上回ると圧力センサ63がユニットコントローラ32に対し繊維蓄積信号を送るように構成している。しかしながら、圧力センサ63のデータ処理部に相当する機能をユニットコントローラ32側に備えさせても構わない。
【0057】
(3)また、空気排出用空間55に繊維が蓄積したと判定する条件(言い換えれば、空気排出用空間55の圧力上昇の判定条件)としては、圧力センサ63による検出値が上記のしきい値を一瞬でも上回ったことを判定条件としても良いし、しきい値を上回っている時間が所定時間を超えたことを判定条件としても良いし、様々な方法が考えられる。
【0058】
(4)報知ランプ71の配設位置や消灯/点灯の態様は任意であり、通常時は点灯させておき、空気排出用空間55に繊維が蓄積したと判定した時点で消灯させる制御であっても良い。また、報知ランプ71のほかにも報知手段としてブザー等色々な態様が考えられ、要はオペレータの視覚や聴覚等の五感に訴えて繊維蓄積状態を報知できるものであれば良い。
【0059】
(5)圧力センサ63や圧力検出孔61は、中空ガイド軸体20を用いた紡績部9に限定されず、他の構成の紡績部に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係る紡績装置の正面図。
【図2】同じく縦断側面図。
【図3】紡績部の縦断正面図。
【図4】紡績時における紡績の様子を示す図。
【図5】空気排出用空間に繊維が蓄積した状態を示す図。
【符号の説明】
【0061】
1 紡績装置
9 紡績部
19 紡績ノズル
25 旋回流発生室(中空室)
32 ユニットコントローラ(制御手段)
55 空気排出用空間
61 圧力検出孔
63 圧力センサ(圧力検出手段)
71 報知ランプ(報知手段)
F 蓄積された繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気紡績ノズルと、
この空気紡績ノズルにより生成された旋回空気流によって繊維に撚りを与えるための中空室と、
この中空室に連通する空気排出用空間と、
前記空気排出用空間の空気を吸引する吸引手段と、
前記空気排出用空間の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記空気紡績ノズルによる紡績作業中に前記圧力検出手段の検出結果に基づき紡績作業を制御する、制御手段と、
を備える、紡績装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紡績装置であって、
前記吸引手段は、前記空気排出用空間の一側から空気を吸引するように構成されており、
前記圧力検出手段は、前記空気排出用空間のうち、前記吸引手段による空気吸引側と糸道を挟んで反対側の部分の圧力を検出するように構成されていることを特徴とする、紡績装置。
【請求項3】
請求項1に記載の紡績装置であって、
前記圧力検出手段によって検出された圧力が上昇したことを報知する報知手段を備えていることを特徴とする、紡績装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の紡績装置であって、
前記圧力検出手段は、前記空気排出用空間の壁面に開口した圧力検出孔に接続されているとともに、
この圧力検出孔から空気を噴出可能に構成されていることを特徴とする、紡績装置。
【請求項5】
空気紡績ノズルと、
この空気紡績ノズルにより生成された空気流によって繊維に撚りを与えるための中空室と、
この中空室に連通する空気排出用空間と、
前記空気排出用空間の空気を吸引する吸引手段と、を有する紡績装置において、
前記空気排出用空間の圧力を検出する圧力検出手段を設け、
この圧力検出手段によって検出された圧力が上昇したことをもって、前記空気排出用空間に繊維が蓄積していると判定することを特徴とする、紡績装置の繊維蓄積状態の検出方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−132035(P2006−132035A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322320(P2004−322320)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】