説明

紫外線安定化繊維物品および同物品の製造方法

安定化繊維物品が、1種以上の紫外線安定剤を含有する接着剤層と接触している布を有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
布の長期の紫外線(すなわち、UV)安定性の達成は、多くの屋内および屋外の適用、例えば、バナー、標識、壁装材、ジオテキスタイル(geotextiles)、ならびに自動車用および船舶用内装布にとって問題である。
【0002】
布の長期の紫外線安定性を達成する1つの方法は、繊維を合成する間、紫外線安定剤を個々の繊維に添加することである。しかしながら、繊維に直接に混合することができる紫外線安定剤の量は、例えば、繊維の組成、繊維の厚さ、繊維材料への溶解度、および繊維材料との相溶性の1つ以上によって限定されることがある。また、多量の紫外線安定剤を繊維に混入することによって、繊維の物理的弱化を起こすことがあり、いくつかの場合、紫外線安定剤は、繊維を作製するために用いられる加工条件に耐えられない。例えば、紫外線光安定剤は、メルトブローン不織布の製造に典型的に用いられる高温に耐えることができない。
【0003】
布の安定性を達成する別の方法は、紫外線光安定剤をほとんど均一な繊維コーティングとして(例えば、含浸コーティングまたは噴霧によって)繊維または布に適用することである。しかしながら、長期の紫外線安定性を達成するために必要とされた繊維表面上の比較的多量の紫外線安定剤は、例えば、表面エネルギーおよび後続のコーティング(例えば、インク)の接着性などの性質に変化をもたらす場合がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様において、本発明は、主面を有する第1の布と、前記主面と接触している感圧接着剤層と、を含む安定化繊維物品を提供し、感圧接着剤が、前記接着剤の全重量を基準にして少なくとも1種の紫外線安定剤を少なくとも20重量パーセントから40重量パーセントまで含む。
【0005】
1つの実施態様において、安定化繊維物品は、接着剤層と接触している主面を有する基材をさらに含む。
【0006】
別の態様において、本発明は、感圧接着剤を第1の布の主面と接触させる工程を含む安定化繊維物品の製造方法を提供し、前記接着剤が、前記接着剤の全重量を基準にして少なくとも1種の紫外線安定剤を20重量パーセントより多く40重量パーセントまで含む。
【0007】
本発明による紫外線安定化繊維物品は典型的に、例えば、直射日光への暴露の可能性が高いそれらの適用など、様々な適用に使用するために適している。さらに、本発明の方法は、広範囲の繊維および布のタイプに適用可能である。
【0008】
本明細書中で用いられるとき、
用語「紫外線安定剤」には、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤(HALS)を含める。
「感圧接着剤」は、室温において攻撃的および永久的に粘着性であり、かつ指圧または手圧を超える圧力を必要とすることなく触れただけで様々な異なった表面に強固に付着し、指で取り扱うことができて残留物を残さずに平滑な表面から除去するために十分に凝集性の保持性質および弾性性質を有する接着剤を意味する。
「布」は、2つの対向した主面を有する複数の相互接続繊維を意味する。用語「布」は、フィルムまたは微孔性膜を含めない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図面を参照すると、典型的な安定化繊維物品100は、主面120を有する布110を含む。感圧接着剤層130は、主面120と接触し、場合により基材140の主面150と接触する。感圧接着剤層130は、少なくとも1つの感圧接着剤と、感圧接着剤層の全重量を基準にして少なくとも1種の紫外線安定剤、例えば、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、またはそれらの組合せを少なくとも20重量パーセントで含む。本発明のいくつかの実施態様において、基材140は、例えば、剥離ライナーまたは布であってもよい。
【0010】
理論に縛られることを望まないが、接着剤層中の紫外線安定剤は感圧接着剤層から布に徐々に移動するものと考えられる。紫外線露光の間、布繊維に拡散した紫外線安定剤は一般に消耗される。紫外線安定剤を徐々に放出することによって、布繊維は、紫外線安定剤の比較的連続的な供給を達成する。
【0011】
有用な布には、織布、編布、および不織布がある。適した織布および編布には、例えば、綿、リネン、レーヨン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、およびそれらの組合せなどの合成または天然材料の糸またはヤーンから形成された布がある。適した不織布には、例えば、カード処理、エアーレイド、スパンレース、スパンボンド、およびメルトブローン布などがある。例えば、不織布は、複数の連続した合成繊維を含んでもよい。不織布はかさ高(lofty)で目が粗くてもよく(例えば、少なくとも75、80、または85パーセントから95パーセントまでまたはさらにそれ以上の内部空隙率を有する)または、例えば、ニードルタッキング(needletacking)および/またはエンボス加工によって部分的に圧縮されてもよい。適した不織布には、例えば、綿、リネン、レーヨン、アクリル誘導体、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロースエステル、ポリウレタン、およびそれらの組合せなどの合成または天然材料の繊維または糸から形成された布がある。布は、例えば、印刷(例えば、インクジェット印刷またはスクリーン印刷)または染色によって、グラフィックイメージをその上に有してもよい。
【0012】
布ははどんな厚さを有してもよいが、典型的に、厚さは少なくとも10、25、または1000マイクロメートルから0.5、2.5またはさらに5ミリメートルまでの範囲、あるいはそれ以上である。
【0013】
感圧接着剤層は、感圧接着剤性質を有する少なくとも1種の材料を含む。例えば、感圧接着剤は単一の感圧接着剤であってもよく、または感圧接着剤は2種以上の感圧接着剤の組合せであってもよい。有用な感圧接着剤には、例えば、溶剤系感圧接着剤、固形分100パーセントの感圧接着剤、ラテックス系感圧接着剤、ホットメルト感圧接着剤、微小球感圧接着剤、およびそれらの組合せなどがある。
【0014】
適した感圧接着剤には、例えば、天然ゴム、合成ゴム、スチレンブロックコポリマー、ポリビニルエーテル、ポリ(メタ)アクリレート(アクリレートおよびメタクリレートの両方を含める)、ポリオレフィン、およびシリコーン系の接着剤がある。感圧接着剤は、本質的に粘着性の材料を含んでもよく、あるいは必要ならば、粘着付与剤を粘着性または不粘着性基礎材料に添加して感圧接着剤を形成してもよい。有用な粘着付与剤には、例えば、ロジンエステル樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、およびテルペン樹脂などがある。例えば、可塑剤、水素化ブチルゴム、ガラスビード、導電粒子、充填剤、染料、顔料、およびそれらの組合せなどの他の材料を特殊な目的のために添加することができる。
【0015】
感圧接着剤は、例えば、ミネソタ州、セントポールの3Mカンパニー(3M Company,Saint Paul,Minnesota)などの多数の供給元から市販されている。有用な感圧接着剤のさらに別の例には、米国特許第4,112,213号明細書(ウォールドマン(Waldman))、米国特許第4,917,928号明細書(ハイネッケ(Heinecke))、米国特許第4,917,929号明細書(ハイネッケ(Heinecke))、米国特許第5,141,790号明細書(カルフーン(Calhoun))、米国特許第5,045,386号明細書(スタン(Stan)ら)、米国特許第5,229,207号明細書(パケット(Paquette)ら)、米国特許第5,296,277号明細書(ウィルソン(Wilson)ら)、米国特許第5,670,557号明細書(ディーツ(Dietz)ら)、および米国特許第6,232,366号明細書(ワン(Wang)ら)(その開示内容を参照によって本願明細書に援用するものとする)に一般に記載されているような感圧接着剤がある。
【0016】
感圧接着剤層はどんな厚さであってもよい。例えば、感圧接着剤層は、少なくとも25、100、または250マイクロメートルから500、1000、または2500マイクロメートルまでのの範囲あるいはさらにそれ以上の厚さであってもよい。
【0017】
選択された特定の布および所期の適用に応じて、感圧接着剤層は、布を損なわずに布から機械的に分離できないように選択されてもよい。これは、例えば、2つの布が感圧接着剤層によって一体に接着される場合、望ましいことがある。
【0018】
感圧接着剤層は、例えば、布の一方の主面の繊維上の連続した接着フィルムまたは連続したコーティングとして、連続していてもよい。あるいは、感圧接着剤層は、不連続な層であってもよい。1つの実施態様において、感圧接着剤層は、英数字またはグラフィックイメージの形状を有してもよい。感圧接着剤層を適用するための適した方法には、例えば、ロールコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、噴霧コーティング、スクリーン印刷などがあり、方法は典型的に、所望のコーティングのタイプに基づいて選択される。
【0019】
任意選択の基材はどんな固体材料であってもよく、どんな形状を有してもよい。適した基材材料には、例えば、セラミックス(例えば、タイル、組石造)、ガラス(例えば、窓)、金属、厚紙、布、およびポリマーフィルム(例えば、コーティングされたまたはコーティングされないポリマーフィルム)などがある。より詳しくは、基材は、例えば、自動車、建物、窓、掲示板、ボート、壁、床、戸、またはそれらの組合せであってもよい。
【0020】
1つの実施態様において、基材は、例えば、使用前に接着剤を保護するための、剥離ライナーであってもよい。剥離ライナーの例には、シリコーンでコーティングされたクラフト紙、シリコーンでコーティングされたポリエチレンコート紙、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのシリコーンでコーティングされたまたはコーティングされていないポリマー材料、ならびにシリコーン尿素、ウレタン、および長鎖アルキルアクリレートなどのポリマー剥離剤でコーティングされた前述の基礎材料などがあり、例えば、米国特許第3,997,702号明細書(シャーブ(Schurb)ら)、米国特許第4,313,988号明細書(コーシャー(Koshar)ら)、米国特許第4,614,667号明細書(ラルソン(Larson)ら)、米国特許第5,202,190号明細書(カントナー(Kantner)ら)、および米国特許第5,290,615号明細書(タッシュハウス(Tushaus)ら)に一般に記載されているような例がある。適した市販されている剥離ライナーには、イリノイ州、オークブルックのレキサム・リリース(Rexam Release,Oakbrook,Illinois)から商品名「ポリシルク(POLYSLIK)」として、ペンシルベニア州、スプリング・グローブのP.H.グラットフェルター・カンパニー(P.H. Glatfelter Company,Spring Grove,Pennsylvania)から商品名「エクスヒア(EXHERE)」として入手可能な剥離ライナーがある。
【0021】
別の実施態様において、基材は、第1の布と同じであるかまたは異なっていてもよい布であってもよい。この実施態様において、繊維物品は、外面に粘着性をほとんどまたは全く有さない多層布であってもよい。従って、得られた安定化繊維物品は、例えば、布について公知のどんな用途に使用されてもよいが、典型的に、それを作製する成分布と比較して長期の紫外線安定性を有する。例えば、安定化メルトブローン布は、少なくとも1つの紫外線安定剤を少なくとも20重量パーセントで含む感圧接着剤でメルトブローン布の2つの層を結合することによって製造されてもよい。
【0022】
適した紫外線安定剤には、紫外線吸収剤(UV吸収剤)およびヒンダードアミン光安定剤(HALS)などがある。紫外線安定剤はHALS組成物を全く用いずに1種以上の紫外線吸収剤を含んでもよく、あるいはその逆でもよいが、典型的に、紫外線吸収剤およびHALS組成物が両方とも感圧接着剤層に含有される。例えば、重量に基づいてHALSの、紫外線吸収剤に対する比は、少なくとも1:1、2:1、または3:1から4:1、5:1、6:1までの範囲、またはさらにそれ以上であってもよい。
【0023】
感圧接着剤層に混入するための適した紫外線吸収剤には、紫外線を吸収してそれを例えば、熱などのエネルギーの有害でない形に変換することによって機能するそれらの化合物がある。紫外線吸収剤は公知であり、例えば、ジョージア州、ノークロスのメイゾ社(Mayzo,Inc.,Norcross,Georgia)、ニューヨーク州、タリータウンのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ・コーポレーション(Ciba Specialty Chemicals Corp.,Tarrytown,New York)、およびノースカロライナ州、シャーロットのクラリアント・コーポレーション(Clariant Corp.,Charlotte,North Carolina)などの商業供給元から広く入手可能である。
【0024】
紫外線吸収剤の例には、ベンゾフェノンおよびその誘導体、例えば、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジエトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−4’−エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4,4’−5’−トリメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−4’,6’−ジブロモベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−エトキシ−4’−ブロモベンゾフェノン)、ベンゾトリアゾールおよびその誘導体、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェニル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、α−[3−[3−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロピル]−ω−ヒドロキシポリ(オキソ−1,2−エタンジイル)、α−[3−[3−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロピル]−ω−[3−[3−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロポキシ]ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、および2−(2’−ヒドロキシ−3’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールの他、ベンゾエートエステル、フェニルサリチレート、クロトン酸の誘導体(例えば、α−β−メチル−β−(p−メトキシフェニル)クロトン酸メチルエステルおよびα−シアノ−β−N−(2−メチル−インドリニル)クロトン酸メチルエステル)、マロン酸エステル、シアノアクリレート、およびそれらの組合せなどがある。
【0025】
ヒンダードアミン光安定剤(「HALS」)組成物は本技術分野に公知であり、例えば、テトラメチルピペリジンの誘導体(例えば、ヒドロキシピペリジンと適した酸またはトリアジンとの重縮合物などの置換ヒドロキシテトラメチルピペリジン)、ポリマー第三アミンと考えられる組成物などがある。概して、これらには、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリアミン、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアミノトリアジンおよびそれらのコポリマーなど、ポリアルキルピペリジン成分を含有する、高分子量(すなわち、約500を超える)、オリゴマー、およびポリマー化合物がある。ヒンダードアミン光安定剤およびそれらの調製に関するさらに別の詳細は、例えば、米国特許第5,015,682号明細書(ガルボ(Galbo))、米国特許第4,895,901号明細書(レイミー(Ramey)ら)、および米国特許第4,895,901号明細書(カーラー(Karrer))に見出すことができる。
【0026】
多くのHALS組成物が例えば、ニューヨーク州、タリータウンのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ・コーポレーションから商品名「チヌビン(TINUVIN)152」、「チヌビン622」、「チヌビン770」、「チヌビン123」、「チヌビン292」、「チヌビン144」、「チヌビン765」、または「キマソーブ(CHIMASSORB)119」として市販されている。
【0027】
紫外線安定剤を感圧接着剤層の全重量を基準にして20または25重量パーセント超から30、35、またはさらに40重量パーセントまでの量で感圧接着剤層に混入するが、ただし、感圧性質が維持されることを条件とする。40重量パーセントを超える紫外線安定剤のレベルにおいて、感圧接着剤性質は典型的に実質的に低下し、20重量パーセントを下回る紫外線安定剤のレベルにおいて、典型的に、長期の紫外線安定化を達成するのに不十分である。
【0028】
接着剤中への混入および/または紫外線安定剤の拡散速度を促進するために、紫外線安定剤の少なくとも1つの成分(例えば、全て)は、室温またはその付近において液体であるように、および/またはまたは接着剤混合物に可溶性であるように選択することができる。
【0029】
紫外線安定剤は典型的に、感圧接着剤を布および/または支持体に適用する前に接着剤に混合するかまたは十分にブレンドする。紫外線遮断剤と接着材料との混合またはブレンディングは、例えば、最初に接着材料を有機溶剤または水などの溶剤に溶解し、次いで紫外線安定剤をこの溶液中に混合することによって行なわれてもよい。次いで、紫外線安定剤を含有する溶液を前述の方法のいずれかによって布および/または基材にコーティングし、溶剤を蒸発させ、従って、紫外線安定剤をその中に溶解および/または分散させた接着剤の層を形成する。
【0030】
本発明の安定化繊維物品は、例えば、マット、車内装、保護被覆、壁装材、室内装飾材料、グラフィックアートディスプレイ材料(標識、掲示板およびバナーなどの特に屋外ディスプレイ材料)、およびジオテキスタイルなどの多種多様な適用において有用である。
【0031】
本発明の目的および利点は以下の非限定的な実施例においてさらに説明されるが、これらの実施例に記載された特定の材料およびそれらの量、ならびに他の条件および詳細は、本発明を不当に限定すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0032】
特に記載しない限り、実施例において用いられた全ての試薬は、ミズーリ州、セント・ルイスのシグマ・アルドリッチ・コーポレーション(Sigma−Aldrich Corp.,Saint Louis,Missouri)などの一般的な化学薬品供給元から得られたかまたは入手可能であり、あるいは周知の方法によって合成されてもよい。
【0033】
促進耐候性試験
布試料が付着されたアルミニウムプレートを促進耐候性試験装置(商品名「モデルCI65Aウェザー−O−メーター(MODEL CI65A WEATHER−O−METER)」としてイリノイ州、シカゴのアトラス・エレクトリック・デバイス・カンパニー(Atlas Electric Devices Company,Chicago,Illinois)から得られた)内に置き、試験をアメリカ材料試験協会(ASTM)G155、サイクル1(昼光フィルター、0.35W/m2/nmの輻射照度、340nmの紫外線波長、63℃のブラックパネル温度において102分の光、および18分の光と水噴霧)によって実施する。
【0034】
促進耐候性試験の間、布試料を繊維のシェディング、割れ、および変色などの劣化の徴候について定期的に検査した。劣化の1つ以上の徴候が最初に観察された時間を最大安定限界として記録した。
【0035】
以下の略語を実施例全体に用いた。
「布A」は、商品名「ハーキュロン・オレフィン・ファイバー(HERCULON OLEFIN FIBER)」としてジョージア州、コビントンのファイバービジョンズ社(FiberVisions,Inc.,Covington,Georgia)から得られた1.5デニール×3.8センチメートルの長さのポリプロピレンステープル繊維のエアーレイドウェブを水流交絡することによって作製された55グラム/平方メートル(g/m2)の坪量および0.30ミリメートル(mm)の厚さを有するスパンレース不織布を指す。6マニホールド/ジェット(上3および下3)からなる従来の水流交絡システムを使用した。基本運転手順は、米国特許第5,389,202号明細書(エバーハート(Everhart)ら)に記載されている。各マニホールドは120ミクロンのオリフィス直径を有した。オリフィスは、マニホールドの1線センチメートル当たり約16オリフィスの間隔で一列に配置された。マニホールドの水圧を127kg/cm2まで連続的に増加させ、高エネルギー微細柱状水噴射を発生させた。エアーレイドウェブを約10m/分の線速度においてマニホールド下を通過させ、次いで乾燥させた。
【0036】
「布B」は、概して米国特許第6,107,219号明細書(ジョセフ(Joseph))の支持材料試料16の手順によるメルトブローン繊維製造技術によって作製された、100g/m2の坪量および0.30mmの厚さを有する多成分繊維ウェブを指す。多成分繊維は、ホットメルト接着剤成分(20重量パーセント)およびポリウレタン成分(80重量パーセント)を有した。
【0037】
「布C」は、商品名「タイプ(TYPE)TM07−27−98−02」としてニュージャージー州、バインランドのトランスウェブ・LLC(TransWeb,LLC,Vineland,New Jersey)から得られた86g/m2の坪量および0.20mmの厚さを有するメルトブローンポリエチレン布を指す。
【0038】
「布D」は、商品名「セレックス(CEREX)G066380」としてカリフォルニア州、カーソンのウェスタン・ノンウォーブン社(Western Nonwovens,Inc.,Carson,California)から得られたスパンボンドナイロン布(坪量=65g/m2、厚さ=0.15ミリメートル)を指す。
【0039】
「布E」は、47.5重量パーセントのレーヨン繊維(1.5デニール×3.8cmの長さ、テネシー州、ローランドのレンツィング・ファイバー・コーポレーション(Lenzing Fiber Corporation,Lowland,Tennessee)から得られた商品名「タイプB649」)、47.5重量パーセントのポリエステルステープル繊維(2.0デニール×3.8cmの長さ、テキサス州、ヒューストンのコーサB.V.(KoSa B.V.,Houston,Texas)から得られた商品名「タイプT224」)、および5重量パーセントのPET/coPETシース/コアー二成分繊維(2.0デニール×3.8cmの長さ、テキサス州、ヒューストンのコーサB.V.(KoSaB.V.,Houston,Texas)から得られた商品名「セルボンド(CELBOND)タイプT254」)からなるエアーレイドウェブを、概して布Aを作製するために用いられた手順によって水流交絡することによって作製されたスパンレース不織布を指すが、ただし、水流交絡する前に、カード処理ウェブを最初に炉を通過させて二成分繊維のシース成分を溶融し、それによっていくぶん凝集性のエアーレイドウェブが得られた。不織布は、57g/m2の坪量および0.25mmの厚さを有した。
【0040】
「フィルムF」は、2.5メートルトンの力および170℃の温度下で15分間、ホットプレスされてそれを厚さ0.06mmのフィルムに完全に変換した布Aを指す。
【0041】
「ADH1」は、概して国際公開第92/13924号パンフレット(スティールマン(Steelman)ら)の実施例1に記載されたように調製された中空粘着性微小球の分散系42.7重量部と、商品名「ファストボンド(FASTBOND)49」として3Mカンパニー(3M Company)から市販されているアクリレート感圧接着剤48.8部と、商品名「アクリゾール(ACRYSOL)ASE−60」としてペンシルベニア州、フィラデルフィアのローム・アンド・ハス・カンパニー(Rohm & Haas Company,Philadelphia,Pennsylvania)から入手可能なアクリル樹脂溶液0.9重量部と、2.5重量部のn−オクタノールと、58部の水、3部の水酸化リチウム一水和物、および39部の水酸化アンモニウムの混合物5重量部と、商品名「フォーマスターJMY(FOAMASTER JMY)」としてペンシルベニア州、アンブラーのコグニス・コーポレーション(Cognis Corp.,Ambler,Pennsylvani)から入手可能な脱泡剤0.1重量部とをブレンドすることによって、概して国際公開第01/81491A1号パンフレット(ロンカー(Loncar))の実施例6および7に記載された手順によって調製された水性ラテックス接着剤を指す。
【0042】
「LS1」は、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートであると考えられるヒンダードアミン光安定剤を指し、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・コーポレーションから商品名「チヌビン123」として得られる。
【0043】
「LS2」は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・コーポレーションから商品名「チヌビン1130」として得られた紫外線吸収剤を指し、50重量部のa−[3−[3−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロピル]−ω−ヒドロキシポリ(オキソ−1,2−エタンジイル)、38重量部のa−[3−[3−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロピル]−ω−[3−[3−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロポキシ]ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、および12重量部のポリエチレングリコール300の混合物であると考えられる。
【0044】
実施例1〜5および比較例A〜H
ADH1アクリルラテックス接着剤に、表1に示された紫外線吸収剤および/またはHALS組成物の量を配合し、ポリエステル剥離ライナー上にコーティングして乾燥させ、乾燥厚さ0.06mmのフィルムを得た。次に、乾燥フィルムを表1に示されたフィルムまたは布に付着させ、次いでポリエステルフィルムを剥離し、感圧接着剤層をアルミニウム試験パネルに付着した。次に、集成体に促進耐候性試験を行なった。
【0045】
【表1】

【0046】
本発明の様々な予測できない変更および変更を本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者によって実施することができ、本発明は、本願明細書に示した例示的な実施態様によって不当に限定されるものではないことは理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による安定化不織物品の典型的な側断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する第1の布と前記主面と接触している感圧接着剤層とを含む安定化繊維物品であって、前記感圧接着剤が、少なくとも1種の紫外線安定剤を前記接着剤の全重量を基準にして少なくとも20重量パーセントから40重量パーセントまで含む、安定化繊維物品。
【請求項2】
前記布が織布または編布を含む、請求項1に記載の安定化繊維物品。
【請求項3】
前記布が不織布を含む、請求項1に記載の安定化繊維物品。
【請求項4】
前記不織布が、メルトブローン布、スパンボンド布、スパンレース布、ニードルタック布、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項3に記載の安定化繊維物品。
【請求項5】
前記不織布が複数の連続した合成繊維を含む、請求項3に記載の安定化繊維物品。
【請求項6】
前記不織布が目の粗いかさ高不織布を含む、請求項3に記載の安定化繊維物品。
【請求項7】
前記接着剤が2種以上の感圧接着材料を含む、請求項1に記載の安定化繊維物品。
【請求項8】
前記紫外線安定剤が少なくとも1種の紫外線吸収剤を含む、請求項1に記載の安定化繊維物品。
【請求項9】
前記接着剤が、少なくとも1種の紫外線吸収剤を前記感圧接着剤の全重量を基準にして20重量パーセントより多く含む、請求項8に記載の安定化繊維物品。
【請求項10】
前記紫外線安定剤が少なくとも1種のヒンダードアミン光安定剤を含む、請求項1に記載の安定化繊維物品。
【請求項11】
前記接着剤が、少なくとも1つのヒンダードアミン光安定剤を前記接着剤の全重量を基準にして20重量パーセントより多く30重量パーセントまで含む、請求項8に記載の安定化繊維物品。
【請求項12】
前記紫外線安定剤が少なくとも1種の紫外線吸収剤と少なくとも1種のヒンダードアミン光安定剤とを含む、請求項1に記載の安定化繊維物品。
【請求項13】
前記接着剤が、少なくとも1種の紫外線安定剤を前記接着剤の全重量を基準にして20重量パーセントより多く30重量パーセントまで含む、請求項12に記載の安定化繊維物品。
【請求項14】
前記感圧接着剤層が基材の主面とさらに接触する、請求項1に記載の安定化繊維物品。
【請求項15】
前記基材が剥離ライナーを含む、請求項14に記載の安定化繊維物品。
【請求項16】
前記基材が不織布を含む、請求項14に記載の安定化繊維物品。
【請求項17】
前記不織布が、メルトブローン布、スパンボンド布、スパンレース布、ニードルタック布、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項16に記載の安定化繊維物品。
【請求項18】
前記不織布が複数の連続した合成繊維を含む、請求項16に記載の安定化繊維物品。
【請求項19】
前記不織布が目の粗いかさ高不織布を含む、請求項16に記載の安定化繊維物品。
【請求項20】
前記感圧接着剤層が2種以上の感圧接着材料を含む、請求項14に記載の安定化繊維物品。
【請求項21】
前記紫外線安定剤が少なくとも1種の紫外線吸収剤を含む、請求項14に記載の安定化繊維物品。
【請求項22】
前記接着剤が、少なくとも1種の紫外線吸収剤を前記接着剤の全重量を基準にして20重量パーセントより多く含む、請求項14に記載の安定化繊維物品。
【請求項23】
前記紫外線安定剤が少なくとも1種のヒンダードアミン光安定剤を含む、請求項14に記載の安定化繊維物品。
【請求項24】
前記接着剤が、少なくとも1種のヒンダードアミン光安定剤を前記接着剤の全重量を基準にして20重量パーセントより多く30重量パーセントまで含む、請求項14に記載の安定化繊維物品。
【請求項25】
前記紫外線安定剤が少なくとも1種の紫外線吸収剤と少なくとも1種のヒンダードアミン光安定剤とを含む、請求項14に記載の安定化繊維物品。
【請求項26】
前記感圧接着剤層が、少なくとも1種の紫外線安定剤を前記接着剤の全重量を基準にして20重量パーセントより多く30重量パーセントまで含む、請求項14に記載の安定化繊維物品。
【請求項27】
感圧接着剤を第1の布の主面と接触させる工程を含み、前記接着剤が、少なくとも1種の紫外線安定剤を前記接着剤の全重量を基準にして20重量パーセントより多く含む、安定化繊維物品の製造方法。
【請求項28】
前記感圧接着剤を基材と接触させる工程をさらに含む、請求項27に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−514070(P2007−514070A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543805(P2006−543805)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/034400
【国際公開番号】WO2005/061644
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】