説明

紫外線照射器のケース

【課題】ケース内部の気密性をある程度維持しつつ窓板の破損を防止する。
【解決手段】紫外線照射器のケースは、紫外線照射器11を収納可能に構成され紫外線出射のための開口部21aが形成された外郭21と、紫外線透過可能な窓板23を有し開口部21aを封止するように外郭21に取付けられた蓋体22とを備える。窓板23が長手方向で複数に分割され、窓板23の分割箇所を外郭の内側から覆う短冊状封止板31を備え、外郭内部に流通する冷却用エアの圧力を高めることにより短冊状封止板を窓板の分割箇所に押し付けるように構成される。蓋体は外郭に取付けられ外側から窓板が装着される窓枠26を有し、短冊状封止板の両端部を収容する横溝26fが内周から窓板の幅方向に伸びて形成される。窓枠26に窓板に接触するOリング24を収容可能な凹溝26cが形成され、横溝26fが窓枠26の内周から凹溝26cに連通して形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷対象物に付着させたインクを紫外線照射によって硬化させるための紫外線照射器を収容するケースに関する。更に詳しくは、紫外線照射器を冷却するための冷却用エアを流通可能に構成された紫外線照射器のケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷機等に搭載され印刷対象物に付着させたインクを紫外線照射によって硬化させるための紫外線照射装置が知られている。この種の装置は、紫外線ランプが内蔵された紫外線照射器を備えており、この紫外線照射器は紫外線ランプとこのランプから放射される紫外線を所定方向に反射させる反射板等で構成される。そして、近年では高出力で、且つ小型化された紫外線照射器が使用されており、この紫外線照射器では、紫外線ランプからの発熱により紫外線照射器自体の温度が高温化しやすいので、この紫外線照射器をケースに収容し、紫外線照射器を冷却するための冷却用エアをそのケース内部に流通させることが行われている。即ち、印刷機等に搭載される従来の紫外線照射装置は、紫外線ランプを内蔵する紫外線照射器と、この照射器を収容して冷却するケースとを備えるものとして知られている。
【0003】
一方、このような紫外線照射装置を搭載する印刷機等にあっては、印刷対象物に付着させたインクを硬化させる効率を向上させるために、その印刷対象物と紫外線照射装置とを包囲するパージボックスを設け、そのボックス内部に窒素を流通させることが行われている。このパージボックス内部の窒素はインクの硬化効率を維持させるために所定の濃度範囲に維持する必要があるけれども、紫外線照射装置におけるケースの気密性が低いと、そのケースに収容された紫外線照射器を冷却する冷却用エアがそのケースの外部であってボックス内部の窒素雰囲気中に漏れ出し、その窒素濃度を低下させる不具合がある。
【0004】
このような不具合を解消するために、紫外線照射器のケースとして、紫外線照射器を収納可能に構成され紫外線出射のための開口部が形成された外郭と、その開口部を封止するように外郭に取付けられた蓋体とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。そして、このケースにおける蓋体では、外郭内部に冷却用エアを流通させるために外郭の開口部を遮断しつつ目的物に紫外線を照射することが可能なように、紫外線を透過する紫外線照射窓板と、その窓板を支持して外郭に取付けられた金属製窓枠とを備えるようにして、外郭の開口部を封鎖している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−72700号公報(段落番号「0040」,段落番号「0046」,図2,図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、近年では紫外線照射装置におけるコンパクト化が進んで紫外線照射器における紫外線ランプと蓋体との距離が縮まる傾向にあり、蓋体に対する紫外線ランプからの熱輻射の影響が無視できなくなってきた。即ち、印刷機等に搭載される従来の紫外線照射装置に通常適用される紫外線ランプは800mW/cm2以上の高照度で、発光長2000mm以上の長尺のものであるため、蓋体における窓板を支持する窓枠もそれに応じて長手方向に伸長させた形態になっている。
【0007】
具体的に、上記通常適用される紫外線ランプが用いられる場合の従来の窓枠は、幅が250mm前後、厚さが15mm程度に構成されるのに対して、長さは3000mm程度で幅寸法の10倍以上あり、長手方向に極端に長く薄い構造を有している。そして、窓枠は、通常、ランプからの熱輻射を直接受けない位置に配置されるにもかかわらず、200℃程度にまで熱せられるとされている。このため、通常は細長く板厚の薄い金属材料で構成されている窓枠は、熱変形を起こし易く、高温に熱せられると、長手方向に伸びる傾向にある。
【0008】
一方、窓板は石英ガラス等で構成され、窓枠に比べれば耐熱性が高く熱変形し難いが、窓枠の熱変形の度合いが大きい場合、細長い窓板の長手方向両端部に生じる窓枠とのずれの量は著しく大きなものとなり、例えばガラス押さえ等によって窓枠に窓板が強固に取付けられていると、窓枠との熱膨張の差に基づく撓みやねじれの応力が窓板に加わり、その窓板自体が破損したり、密封のためにガラス押さえに貼っているパッキンが剥がれたりするような不具合を生じさせる。
【0009】
このような応力による窓板の破損等を防ぐために、上記特許文献1にあっては、窓板を予め分割しておく手法が提案されている(段落番号「0046」,図8)。しかし、この手法にあっても、窓板分割片どうしの間に微細な隙間が生じることを回避することはできずに、そこから照射器冷却用エアが漏れ出すことを防ぐことはできなかった。
【0010】
本発明の目的は、ケース内部の気密性をある程度維持しつつ窓板の破損を有効に防止し得る紫外線照射器のケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、紫外線照射器を収納可能に構成され紫外線出射のための開口部が形成された外郭と、紫外線透過可能な窓板を有し開口部を封止するように外郭に取付けられた蓋体とを備え、蓋体が開口部を封止した外郭内部に冷却用エアを流通可能に構成された紫外線照射器のケースの改良である。
【0012】
その特徴ある構成は、窓板が長手方向で複数に分割され、窓板の分割箇所を外郭の内側から覆う短冊状封止板を備え、外郭内部に流通する冷却用エアの圧力を高めることにより短冊状封止板を窓板の分割箇所に押し付けるように構成されたところにある。
【0013】
蓋体は外郭に取付けられ外側から窓板が装着される窓枠を有する場合、短冊状封止板の両端部を収容する横溝を窓枠の窓板が装着される側に内周から窓板の幅方向に伸びて形成することが好ましい。また、窓板の周囲に対向する窓枠に窓板に接触するOリングを収容可能な凹溝を形成し、短冊状封止板の端部が収容される横溝を窓枠の内周から凹溝に連通して形成することが更に好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の紫外線照射器のケースでは、幅寸法に対して長手方向に極端に長く形成されている窓板をその長手方向で複数に分割するので、細長い蓋体が高温に熱せられて長手方向に伸びたとしても、窓枠と窓板の膨張率の差に基づく双方の伸びの相違は複数の分割された窓板の分割片と分割片の間の隙間が拡がり又は縮小することにより吸収される。そのため、窓枠との熱膨張の差に基づく撓みやねじれの応力が窓板に加わることはなく、その窓板が破損したり、密封のためにガラス押さえに貼っているパッキンが剥がれたりするような不具合は生じない。
【0015】
一方、窓板の分割箇所は外郭の内側から短冊状封止板により覆われるので、内部を流通させる冷却用エアの圧力を高めて外郭内部の圧力を外部より高めに設定することにより、その短冊状封止板を窓板の分割箇所に押し付けて封止し、分割箇所である窓板の分割片と分割片の間に隙間が生じたとしても、その隙間からケース内部における冷却用エアが外部に漏れ出すことを防止することができる。よって、本発明の紫外線照射器のケースでは、ケース内部の気密性をある程度維持しつつ窓板の破損を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明実施形態の紫外線照射装置の長手方向に直交する面における断面図である。
【図2】そのケースを蓋体方向から見た分解斜視図である。
【図3】その短冊状封止板の両端部が横溝に嵌め込まれた状態を示す図2のA部拡大斜視図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1に示すように、紫外線照射装置10は、紫外線を実際に発する紫外線照射器11と、この照射器11を収容して冷却するケース20とを備える。紫外線照射器11は、ステンレス鋼等を板金加工して得られ紫外線出射のための開口が形成された直方体形状を有する筺体12と、その筺体12の内部に長手方向に沿って配置した紫外線ランプ13と、その筺体12の内部であって紫外線ランプ13の側面を一定間隔を隔てて長手方向に延在させて配置され紫外線ランプ13が放射する紫外線を開口に向けて反射させる一対の反射鏡14,14とを備える。紫外線ランプ13としては、例えば全長2500mm、有効発光長2000mm、管径28mmの直管型32kWメタルハライドランプ等が使用され、反射鏡14としては、凹面側表面を反射性を有する被膜を形成するなど、既知の形態を適宜取り入れて構成される。
【0019】
図1及び図2に示すように、このような紫外線照射器11を収容する本発明の紫外線照射器のケース20は、その紫外線照射器11を収納可能に構成され紫外線照射器11から発せられた紫外線を出射するための開口部21aが形成された外郭21と、紫外線透過可能な窓板23を有しその開口部21aを封止するように外郭21に取付けられた蓋体22とを備える。外郭21は、例えばステンレス等の金属により概略箱型に構成され、上記大きさの紫外線照射器11を収容する外郭21にあっては、全長、奥行(幅)、高さをそれぞれ例えば3200mm、270mm、250mmとして形成される。
【0020】
この実施の形態における外郭21は、図1に示すように、開口部21aを成す面に平行な隔壁21bによりその内部が上下の二室に分かれ、筺体12の開口が外郭21の開口部21aに臨むように隔壁21bにより仕切られた下室に紫外線照射器11が収容される。一方、外郭21の隔壁21bにより仕切られた上室には紫外線ランプ13に近接して排気ダクト16が配置される。隔壁21bは冷却用エアを流通可能に構成され、その上室の内部であって排気ダクト16の周囲に供給された冷却用エアはこの隔壁21bを通過して下室の紫外線照射器11の周囲に流入し、一点鎖線矢印で示すように、筺体12の開口からその筺体12の内部に流入して紫外線ランプ13の周囲に至り、その紫外線ランプ13周辺の熱とともに再び隔壁21bを通過して排気ダクト16に流入して排出されるように構成される。
【0021】
また、外郭21の内部には紫外線照射器11における開口を開放可能に遮断する一対のシャッタ部材17が設けられる。この実施の形態におけるシャッタ部材17は外郭21の長手方向の両端部に一端が枢支されたレバー18の他端に架設され、そのレバー18が一端を中心として揺動すると、その他端に架設されたシャッタ部材17が紫外線照射器11における開口を遮断する図1の実線で示す第1位置と、その開口を開放する図1の破線で示す第2位置との間で揺動するように構成される。このシャッタ部材17は、第1位置で開口を遮断するので、紫外線ランプ13をいちいち消灯せずに紫外線の照射が必要な場合だけシャッタ部材17を揺動させて第2位置に移動させ、その開口を開放して処理を行なうことができる、という効果を生じさせるものである。
【0022】
一方、外郭21に開口部21aを封止するように取付けられた蓋体22は、その開口部21aと所定の間隔を空けて対向し紫外線透過可能な例えば石英ガラス等から成る窓板23と、外郭21に取付けられ外側から紫外線照射窓板23がOリング24を介して装着される窓枠26とを有する。この窓枠26は、外径が外郭21の開口部21aを有する面の外形に略等しい外形を有する金属板の略中央部分を打ち抜くような加工により作られ、その周囲には外郭21に取付けるための取付孔26a(図2)が複数形成され、外郭21の開口部21aの周囲にはその取付孔26aに対向する被取付孔21c(図2)が形成される。この窓枠26は、窓板23を装着する必要から比較的厚い、例えばその厚さが15mmのものが用いられ、中央に形成されて窓板23が装着される抜き孔26eは、窓枠26の長手方向に長い長方形に形成される。
【0023】
図2〜図4に示すように、窓枠26の外面側であって窓板23が装着される抜き孔26eの周囲には、その窓板23を落とし込んで窓板23がずれることを防止する薄肉部26bが形成される。そしてその薄肉部26bには、抜き孔26eを包囲して窓板23の周囲に密着するOリング24を収容する凹溝26cと、その凹溝26cの外側の薄肉部26bにその抜き孔26eを包囲して窓板23を固定するためのガラス押さえ27をネジ止めするための複数の雌ねじ穴26dが形成される。窓板23は抜き孔26eを覆うに足りる外形を有しかつその薄肉部26bに装着可能な長方形状に形成される。図1,図2及び図4に示すように、ガラス押さえ27は、ネジ孔27aが形成されてそのネジ孔27aに挿通された雄ねじ28(図4)を先の雌ねじ穴26dに螺合させることにより窓枠26に固定される固定部27bと、その固定部27bに連続して一体的に設けられ窓板23の周囲に厚さ方向から接触してその窓板23の周囲を窓枠26に外側から押し付けるフランジ部27cとを有する。
【0024】
そして、本発明の特徴ある構成は、紫外線照射窓板23が長手方向で複数に分割され、紫外線照射窓板23の分割箇所が外郭21の内側から短冊状封止板31により覆われたところにある。窓板23の分割の回数は、分割片の支持のし易さの点からすると2分割程度に留めるのが好ましいけれども、窓板23の実際の分割の回数はその窓板23の全長により異なり、この実施の形態では、図2に示すように6枚の分割片により窓板23が形成される場合を示す。
【0025】
一方、短冊状封止板31は窓板23と同一の石英ガラス等から成り、その短冊状封止板31は窓板23における分割片23aと分割片23aとの間の分割箇所に重合してその隙間を封止するに十分な幅W1(図4)に形成される。そして、図1に示すように、その短冊状封止板31の長さLは窓板23の幅W2より短く、かつ抜き孔26eの幅W3より長く形成される。この実施の形態における短冊状封止板31では、その長さLが、抜き孔26eの幅方向のOリング24が収容される両側の凹溝26cの間の寸法W4より僅かに短く形成される。そして、窓板23を落とし込む窓枠26の薄肉部26bには、窓枠26の内周、即ち抜き孔26eの周囲からOリング24を収容する凹溝26cに連通して短冊状封止板31の端部が収容される横溝26fが形成される。この横溝26fは、短冊状封止板31の端部の収容を容易にするため、図4に示すように、その幅W5が短冊状封止板31の幅W1より僅かに大きく形成される。
【0026】
この短冊状封止板31の取付けは、図3に示すように、その両端部を窓枠26にその幅方向に形成された横溝26fに予め挿入し、図2に示すように幅方向に伸びる複数の短冊状封止板31を抜き孔26eの長手方向に所定の間隔を空けて架設させておく。そして、図2に示すように、それらの封止板31を覆うように窓枠26の外側から複数に分割された分割片23aから成る窓板23をその窓枠26の薄肉部26bに落とし込むように装着する。すると、その薄肉部26bに形成された凹溝26cに収容されたOリング24に窓板23の周囲が密着し、その状態で、ガラス押さえ27を窓枠26に取付けて窓板23の周囲をその窓枠26に外側から取付ける。すると、両端部が凹溝26cの収容された短冊状封止板31もその両端が横溝26fから抜け出すようなことが抑止され、その窓枠26に取付けられる。
【0027】
なお、この紫外線照射器のケース20は、上記説明の他に、蓋体22が開口部21aを封止した外郭21内部に冷却用エアを流通させるために、その冷却用エアを外郭21内であって排気ダクト16の周囲に導入する送風筒と、その外郭21内の冷却用エアを排気ダクト16を介して排出する排風筒が設けられる。また、外郭21には紫外線ランプ13に電気エネルギーを供給する電源との接続部と、シャッタ部材17を揺動させる揺動機構が設けられる。この送風筒、排風筒、電源との接続部及びシャッタの揺動機構は、図面では省略してある。
【0028】
このような構成の紫外線照射器のケース20では、長尺な構成部材である蓋体22の熱変形に基づく不具合を防ぐのに有効である。即ち、この紫外線照射器のケース20では、幅寸法に対して長手方向に極端に長く形成されている窓板23をその長手方向で複数に分割するので、複数の分割された窓板23の分割片23a一枚当たりの長さは小さくなり、各分割片23a毎の熱膨張は小さく押さえられる。このため、その窓板23と窓枠26を含む細長い蓋体22が高温に熱せられて長手方向に伸びたとしても、その窓枠26と窓板23の膨張率の差に基づく双方の伸びの相違は複数に分割された窓板23の分割片23aと分割片23aの間の隙間が拡がり又は縮小することにより吸収される。よって、窓板23と窓枠26との熱膨張の差に基づく撓みやねじれ等の応力が窓板23に加わることはなく、その応力に起因して窓板23が破損したりするようなことはない。
【0029】
一方、窓板23の分割箇所は外郭21の内側から短冊状封止板31により覆われるので、内部に流通させる冷却用エアの圧力を高めてケース20内部の圧力を外部より高めに設定することにより、その短冊状封止板31を窓板23の分割箇所に押し付けることができる。すると、分割箇所である窓板23の分割片23aと分割片23aの間に隙間が生じたとしても、その隙間からケース20内部における冷却用エアが外部に漏れ出すことを防止することができる。そして、窓板23の周囲に対向する窓枠26に形成された凹溝26cに収容されたOリング24に窓板23の周囲が密着するので、窓板23と窓枠26の密着性は確保される。よって、この紫外線照射器のケース20では、ケース20内部の気密性をある程度維持しつつ窓板23の破損を有効に防止することができる。
【0030】
また、短冊状封止板31の両端部を収容する横溝26fを窓枠26の窓板23が装着される側に内周から窓板23の幅方向に伸びて形成したので、その横溝26fに短冊状封止板31の両端部を挿入すると、図2に示すように幅方向に伸びる複数の短冊状封止板31は抜き孔26eの長手方向に所定の間隔を空けて架設されることになる。そして、その後それら複数の封止板31を覆うように窓枠26の外側から複数に分割された分割片23aから成る窓板23を装着することにより、短冊状封止板31が窓枠26から取り外されるようなことを抑止できる。よって、窓板23を装着する従来の作業で、その窓枠26に短冊状封止板31も取付けることができ、短冊状封止板31を取付けるための作業が著しく増大することはない。
【0031】
ここで、短冊状封止板31の端部を収容する横溝26fは窓枠26の内周からOリング24を収容する凹溝26cに連通して形成したので、短冊状封止板31の長さLをそのOリング24が収容される窓枠26の幅方向両側における凹溝26cと凹溝26cの間の寸法W4、即ち、窓板23の幅方向の両側に密着するOリング24間の寸法に近づけることが可能になる。そして、短冊状封止板31の長さを窓板23の幅方向の両側に密着するOリング24間の寸法に近づけることにより、窓板23の分割片23aと分割片23aとの間に生じる隙間の大部分をその短冊状封止板31により覆うことが可能になり、ケース20内部の気密性をより向上させることができる。
【0032】
更に、窓板23にあっては、内部に収容される紫外線照射器11の大きさが変わり、この紫外線照射器のケース20仕様が変更された場合であっても、窓板23を構成する分割片23aの使用枚数を変更することにより、長さが異なる窓板23を得ることができる。例えば、窓板23を構成する分割片23aの全てが同じ長さのものであれば、その分割片23aの使用枚数を変更することにより、分割片23aの長さの整数倍の長さを有する窓板23を比較的容易に得ることができる。また、長さが等しい複数の分割片23aとその分割片23aと長さが異なる余材により窓板23が構成されている場合には、その分割片23aの使用枚数を変更することにより、分割片23aの長さの整数倍に余材の長さを加えた長さを有する窓板23を比較的容易に得ることができる。このため、窓板23の長さの仕様変更が分割片23aの長さの整数倍又は分割片23aの長さの整数倍に余材の長さを加えたものである限り、長さが異なる分割片23a又は長さの異なる単一の窓板23を新たに制作する必要はない。その結果、本発明では、窓板23の長さの仕様変更に対する対応が従来に比較して容易であってかつ安価に行うことができるという効果も生じさせる。
【符号の説明】
【0033】
10 紫外線照射装置
11 紫外線照射器
20 ケース
21 外郭
21a 開口部
22 蓋体
23 窓板
24 Oリング
26 窓枠
26c 凹溝
26f 横溝
31 短冊状封止板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線照射器(11)を収納可能に構成され紫外線出射のための開口部(21a)が形成された外郭(21)と、紫外線透過可能な窓板(23)を有し前記開口部(21a)を封止するように前記外郭(21)に取付けられた蓋体(22)とを備え、前記蓋体(22)が前記開口部(21a)を封止した前記外郭(21)内部に冷却用エアを流通可能に構成された紫外線照射器のケースにおいて、
前記窓板(23)が長手方向で複数に分割され、
前記窓板(23)の分割箇所を前記外郭(21)の内側から覆う短冊状封止板(31)を備え、
前記外郭(21)内部に流通する冷却用エアの圧力を高めることにより前記短冊状封止板(31)を前記窓板(23)の分割箇所に押し付けるように構成された
ことを特徴とする紫外線照射器のケース。
【請求項2】
蓋体(22)は前記外郭(21)に取付けられ外側から窓板(23)が装着される窓枠(26)を有し、
短冊状封止板(31)の両端部を収容する横溝(26f)が前記窓枠(26)の前記窓板(23)が装着される側に内周から前記窓板(23)の幅方向に伸びて形成された請求項1記載の紫外線照射器のケース。
【請求項3】
窓板(23)の周囲に対向する窓枠(26)に前記窓板(23)に接触するOリング(24)を収容可能な凹溝(26c)が形成され、
短冊状封止板(31)の端部が収容される横溝(26f)が前記窓枠(26)の内周から前記凹溝(26c)に連通して形成された請求項2記載の紫外線照射器のケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−245811(P2011−245811A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123658(P2010−123658)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】