説明

紫外線硬化型樹脂の硬化方法、フラットパネルの製造方法、および紫外線照射装置

【課題】紫外線硬化型樹脂の信頼性の高い硬化方法、それを利用するフラットパネルの製造方法、及びこれらの方法の実施に有用な安価、低消費電力、高寿命かつ小型である紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】紫外線硬化型樹脂に発光ダイオードからの紫外線を照射する際に樹脂表面における酸素濃度を5Vol.%以下に保持する硬化方法。装置は、被処理体を支持するための支持具と、発光ダイオードから紫外線を照射する手段と、前記被処理体の周囲に不活性ガスを供給することにより該被処理体表面における酸素濃度を制御できる手段とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外発光ダイオードを用い酸素阻害なく紫外線硬化型樹脂を硬化させる方法、該硬化方法を使用するフラットパネルの製造法、およびこれらの方法を実施するのに有用な紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネル、PDP、有機EL等フラットパネルの電極保護材用紫外線硬化型樹脂の硬化においては、無電極高圧水銀灯、有電極高圧水銀灯、無電極メタルハライドランプ、有電極メタルハライドランプ、キセノンランプ、超高圧水銀灯及び水銀キセノンランプから選ばれた1種以上のランプの光を樹脂に照射して硬化させていた。しかしながら、これらの光源は非常に高価でありながら寿命も短く、また発熱量も大きく当然ながら消費電力も大きいものであった。また、近年、フラットパネルの大型化により塗布面積が広くなり、塗布された大面積の樹脂を硬化させるにはランプを大面積を覆うように広範囲に配置する必要があり、大規模な装置を必要とした。
【0003】
また、紫外線硬化型樹脂は様々の形態のものが提案されているが、ほとんどのものはラジカル反応性の官能基を導入したラジカル重合型の樹脂が主剤となっている。これらのラジカル重合型の樹脂は紫外線照射により発生したラジカルにより反応が起こり、硬化が進行すると考えられている。硬化がラジカル反応で進行するため硬化は非常に短時間で終了するので、高い生産性が期待できる。しかし、ラジカル重合型の紫外線硬化樹脂を紫外線照射によって硬化させる際、空気中の酸素分子によってラジカル反応が阻害され易いので、しばしば硬化不良を引き起こす問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記の従来技術の欠点を解消し、紫外線硬化型樹脂の信頼性の高い硬化方法、それを利用するフラットパネルの製造方法、およびこれらの方法を実施することができる、安価で低消費電力、高寿命、かつ小型である紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、紫外線硬化型樹脂に対して、硬化のために必要な波長の紫外線を与える光源として、紫外線を発光する発光ダイオードを採用し、更に硬化する紫外線硬化型樹脂の表面における酸素濃度を5%以下の状態で紫外線を照射して硬化させることで、上記の目的を達成しうることを見出して本発明を完成するに至った。
【0006】
具体的には、
本発明は、第一に、
紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射して該樹脂を硬化させる方法にして、前記紫外線の光源として発光ダイオードを用い、かつ、紫外線照射の際に前記紫外線硬化型樹脂表面における酸素濃度を5%以下(%は後述のように「Vol.%」を意味し、以下同じ。)に保持することを特徴とする紫外線硬化型樹脂の硬化方法を提供する。このとき、酸素濃度5%以下とは、酸素を含まない場合を含み、即ち、5Vol.%以下0Vol.%以上を意味する。該酸素濃度は、好ましくは3%以下0%以上、より好ましくは1%以下0%以上である。
【0007】
本明細書に記載の「紫外線硬化型樹脂」とは特に限定されず、紫外線硬化型の樹脂でありさえすれば本発明は有効である。紫外線硬化型樹脂の代表的な例としては、紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
【0008】
本明細書に記載の「発光ダイオード」としては、特に紫外線発光ダイオードが好ましい。
【0009】
本明細書において、紫外線硬化型樹脂など物体の「表面における酸素濃度」とは、当該表面から垂直方向に1cm以内の空間における気相中の酸素の体積濃度(Vol.%)を意味する。特記しない限り、酸素濃度について単位の「%」はVol.%(体積%)を意味する。
【0010】
本明細書において、「基板」とは、例えば、液晶パネル、PDP、有機EL等フラットパネルに用いられる基板を意味し、「電子部品」とは、例えば、電極等を意味する。
【0011】
この硬化方法の好ましい一実施形態において、前記紫外線硬化型樹脂表面の周囲に不活性ガスを導入することにより、該樹脂表面における酸素濃度を5%以下に保持することが行なわれる。
【0012】
本明細書において、「不活性ガス」とは例えば窒素ガス、アルゴンガス等である。
【0013】
本発明において樹脂表面における酸素濃度を5%以下に制御する方法は特に制限されない。
【0014】
上記方法で硬化される前記紫外線硬化型樹脂は、基板に設けられた電子部品を封止するために基板上に被膜状に施されたものであってもよい。
【0015】
上記の被膜状の紫外線硬化型樹脂は広がりを持ち、時には大面積であるが、一実施形態においては、前記発光ダイオードからの紫外線を前記樹脂被膜の形状に合わせて該被膜上を走査するように移動することが行なわれる。
【0016】
発光ダイオードからの紫外線を樹脂被膜上を走査させるには、一方向に直線状に走査する、直線状に往復方向に走査する、ある方向とそれに垂直な方向とを組合わせた2次元の方向に走査する、などある。樹脂被膜の形状および面積、その樹脂の硬化性などの個別事情に応じて適宜選択すればよい。
【0017】
本発明は、第二に、
基板上に設けられた電子部品を紫外線硬化型樹脂からなる被膜で被覆し、該樹脂被膜にその表面における酸素濃度を5%以下に保持した状態で発光ダイオードからの紫外線を照射して該樹脂被膜を硬化させることを含むフラットパネルの製造方法を提供する。
【0018】
該フラットパネルの製造方法においては紫外線硬化型樹脂被膜は広がりを有し、時には大面積であるが、一実施形態では、前記発光ダイオードからの紫外線を前記樹脂被膜の形状に合わせて該被膜上を走査するように移動することが行なわれる。その結果、広い面積でも本発明では小型の照射装置で対応することができる。
【0019】
本明細書において、「フラットパネル」の例としては、前述の液晶パネル、PDP、有機EL等が挙げられる。
【0020】
本発明は、第三に、上記の硬化方法およびフラットパネルの製造方法を実施するのに好適な装置として、
被処理体を支持するための支持具と、
発光ダイオードからなる光源を有し前記被処理体に紫外線を照射する手段と、
前記被処理体の周囲に不活性ガスを供給することにより該被処理体表面における酸素濃度を制御できる手段
とを備えることを特徴とする被処理体への紫外線照射装置を提供する。
【0021】
該装置に供される前記処理体が基板上に被膜状に塗布された広がりを有する、時には大面積の被処理体である場合には、
さらに、該被処理体に照射される紫外線を該被膜状被処理体上を走査するように移動させる照射光移動手段を備えることが好ましい。
【0022】
また、別の実施形態では、前記紫外線照射手段が、1列又は2列以上の列状に並んだ複数個の発光ダイオードを一つの平面または曲面状に配置した状態で備えている。この実施形態によれば、光源が1個の発光ダイオードである場合に比較して一度に広い面積に対して紫外線を照射することができる点で優れている。
【0023】
上記の紫外線照射装置は、さらに、前記発光ダイオードと被処理体との距離を調節する手段を備えることが好ましい。被処理体が紫外線硬化型樹脂である場合、適度の硬化性が得られるように調節可能となる。
【0024】
上記紫外線照射装置に用いられる前記酸素濃度制御手段としては、例えば、前記紫外線照射手段を釣鐘状に覆い上部が閉塞し下部が開放したフードと、該フードに接続され該フード内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給管とを有するものが挙げられる。
【0025】
この例の酸素濃度制御手段は、前記の照射光移動手段により該紫外線照射装置が移動される構成である場合にはそれに応じて移動するようになっていてもよい。また、酸素濃度制御手段と前記の紫外線照射手段とは一体化していてもよい。
【発明の効果】
【0026】
上記の本発明の紫外線硬化型樹脂の硬化方法によれば硬化性の信頼性が向上し、高信頼性のフラットパネルを製造することができる。しかも、これらの方法は、上述の安価で低消費電力、高寿命、且つ小型である紫外線照射装置により実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明の実施形態を図面に即して説明する。
【0028】
図1は、本発明に係る紫外線照射装置1の一例の概略を示す図である。支持台2の上に載置された基板3上に紫外線硬化型樹脂が塗布され該樹脂の被膜4が形成されている。支持台2に一方の端に近い箇所に支柱5が垂直に固定されていて、該支柱5に昇降自在に一定の高さに水平なレール6が固定されている。このレール6に光源として発光ダイオードを下端部に備えた紫外線照射器7がレール6上を移動可能に支持されていて駆動装置(図示略)によりレール6上を任意の速度で所望の方向に移動させられる。紫外線照射器7を釣鐘状に覆うフード8が設けられていて、フード8は下端が開放し、上方天井部に不活性ガス供給管9が外部から接続している以外は実質的に閉塞しており、レール6との接触ないし近接部も実質的に気密もしくはリークが極小に抑制されている。このフード8は紫外線照射器7がレール6を移動するときに一緒に移動するように構成されている。
【0029】
樹脂被膜4の表面における酸素濃度は、例えば、被膜表面から1cm以内の空間から気体を採取し酸素濃度計により測定する。そして、該濃度が所望値になるように不活性ガス供給管9からの不活性ガス導入の流量を調整する。これは手動で行なうこともでき、自動化することもできる。自動化は、例えば、被膜4の表面近傍、例えば、被膜表面から1cm以内の空間から気体を採取し酸素濃度計に導き得られたデータに基づいて供給管9からの不活性ガスの流量を調節するようにする。
【0030】
紫外線硬化型樹脂の塗布された被膜4は紫外線照射器7がある位置に静止している状態では発光ダイオードの光では全体を照射しきれないほど面積が広い。しかし、紫外線照射器7はレール6、図示しない駆動装置などよりなる照射光移動装置により被膜4の形状に合わせて走査するように移動させられるので被膜4の全範囲を照射し硬化させる。この紫外線照射器7の移動速度の設定により、硬化時間を自由に設定することが可能である。
【0031】
また、発光ダイオード1個の光量は比較的少ないが、1列または2列以上の列状に複数の発光ダイオードを並べた紫外線照射器を用いることにより1個の場合よりも一回の照射でより範囲を照射することができ、硬化樹脂は大きな光量を得ることが可能となる。複数の発光ダイオードの配列の仕方は、紫外線照射器7の移動方向に対して垂直方向でも平行方向でもあるいはそれ以外の方向でもよい。また、紫外線照射器7の移動速度を速くしても紫外線照射器からの紫外線受光量を十分にすることができる。また、紫外線照射器7を往復移動させることによっても受光量を増すことができる。
【0032】
また、図示の実施例では、レール6は支柱5に沿って上下方向に自在に位置を調節することができるようになっているので、紫外線照射器7を硬化樹脂被膜4に近づけて照射することもでき、これにより被膜4が紫外線照射器7からの紫外線を効率よく受けることが可能となる。そのようにすることにより、結果として、紫外線照射器7の移動速度を速くしても発光ダイオードからの紫外線を十分に受けることが可能となり、硬化時間の短縮化が可能となる。
【0033】
従来の技術で述べたようにラジカル重合型の紫外線硬化樹脂を紫外線照射によって硬化させる際、空気中の酸素分子によってラジカル反応が阻害され場合がある。特に発光ダイオードから発生する紫外線波長は、その特性上、300nm〜400nmの単一ピーク波長となるので、広範囲の発光波長帯を持つ従来の無電極高圧水銀灯、有電極高圧水銀灯、無電極メタルハライドランプ、有電極メタルハライドランプ、キセノンランプ、超高圧水銀灯及び水銀キセノンランプに比べ、光エネルギーが小さくなってしまう。そのため、空気中の酸素分子によるラジカル反応の阻害の影響を受けやすく、結果として塗布した樹脂の表面の硬化性が従来方式に比べ著しく悪くなる問題が生じた。
【実施例】
【0034】
次に実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の記載において、特記しない限り、酸素濃度を示す「%」は体積濃度(Vol.%)を示し、「部」は「質量部」を示す。Me、Etはそれぞれメチル基、エチル基を示す。
【0035】
−調製例1−
(紫外線感応性オルガノポリシロキサンの調製)
後述の実施例に使用するラジカル重合型紫外線硬化型樹脂を調製した。攪拌装置、還流冷却器、滴下ロート、乾燥空気導入器を備えた1,000mLの反応容器に、次の平均式:
【0036】
【化1】


で示されるオルガノポリシロキサン571gと、2−ヒドロキシ−1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシプロパン(商品名:NKエステル701−A、 新中村化学工業(株)製)47gと、トルエン200mLと、トリエチルアミン26gと、重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン2,000ppmとを仕込み、これらを攪拌しながら、70℃に昇温して7時間加熱した。その後、放冷し、濾過し、得られたろ液にプロピレンオキサイド4g添加し室温20℃にて1時間攪拌した。その後、100℃/30mmHgでストリップを行って次式で示される透明なオイル状のオルガノポリシロキサンが得られた。
【0037】
【化2】

【0038】
−調製例2−
(ラジカル重合型紫外線硬化樹脂の調製)
調製例1で合成したオルガノポリシロキサン100部に2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン2部と、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド1部と、下記式:
【0039】
【化3】



で示されるアルコキシシリル変性トリアリルイソシアヌレート1部と、下記式:
【0040】
【化4】


で示されるチタンキレート化合物0.1部とを混合してラジカル重合型紫外線硬化性オルガノポリシロキサン組成物を得た。
【0041】
得られた組成物を以下の実施例ならびに比較例に使用した。
【0042】
−実施例1−
ガラス板上に厚さ0.2mmで、幅10mm、長さ200mmの形状に調製例2で調製した紫外線硬化性樹脂組成物を塗布して被膜を形成した後、このガラス板を図1に示す紫外線照射装置1の支持台2に載せた。紫外線照射器7を80mm/secの速度で被膜4の長手方向(矢印10の方向)に一回移動させて被膜4に紫外線を照射し硬化させた。操作中の被膜4の表面の酸素濃度は、被膜4の表面から0.5cmの位置に先端が開口したガス採取管により採取したガスを酸素濃度計(LC−800、東レ・エンジニアリング(株)製)に導いて測定し、その測定値が1%になるように不活性ガス供給管9から導入される窒素ガスの流量を調節した。
【0043】
−実施例2−
樹脂組成物被膜4近傍での酸素濃度を3%に制御した以外は実施例1と同様にして該被膜を硬化させた。
【0044】
−実施例3−
樹脂組成物被膜4近傍での酸素濃度を5%に制御した以外は実施例1と同様にして該被膜を硬化させた。
【0045】
−実施例4−
紫外線照射器7の移動速度を80mm/secから100mm/secに変えた以外は、実施例1と同様にして該被膜を硬化させた。
【0046】
−実施例5−
紫外線照射器7の移動速度を80m/secから60m/secに変えた以外は、実施例1と同様にして該被膜を硬化させた。
【0047】
−比較例1−
樹脂組成物被膜4を硬化させる際にガス供給管9から不活性ガスを導入せず、照射装置周囲及び内部の雰囲気を特に操作しない以外は、実施例1と同様にして該被膜を硬化させた。
【0048】
−比較例2−
樹脂組成物被膜4近傍での酸素濃度を10%に制御した以外は実施例1と同様にして該被膜を硬化させた。
【0049】
−比較例3−
図1に示す紫外線照射装置の代りに従来型のメタルハライド水銀灯2灯を備えるコンベア炉内で紫外線硬化型樹脂被膜を80mm/secの速度で移動させながら該被膜に2秒間紫外線を照射した以外は実施例1と同様にして被膜を硬化させた。
【0050】
−評価方法−
上記の実施例および比較例で得られた硬化被膜の硬化状態を、評価する為、表面状態を指触法およびタック力測定で評価した。
【0051】
〔指触評価〕
指先で硬化被膜の表面に指触し、硬化被膜表面に指紋が残るか、さらに指に樹脂が付着するかを試験した。指紋の残留及び樹脂の付着状態を以下の3段階にランクした。
【0052】
○:硬化物表面に指紋が残らず、かつ指に樹脂の付着が起らなかった。
【0053】
△:硬化物表面に指紋が残ったが、指に樹脂の付着は起らなかった。
【0054】
×:硬化物表面に指紋が残り、かつ指に樹脂の付着が起った。
【0055】
〔表面タック力〕
硬化被膜表面上の相互に離れた3個所においてタック力をタック力テスター(商品名:ポリケンプロッグタックテスター、(株)東洋精機製作所製)にて測定した。
【0056】
評価および測定の結果を表1に示す。
図2は、表1の酸素濃度とタック力(3位置での平均値)の関係をグラフ化したものである(なお、実施例1において酸素濃度を15%または22%に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂被膜を硬化させた場合の結果を補足した。)。
【0057】
表1および図2に示す結果から、本発明の実施例1〜5と従来型の紫外線照射装置を使用した比較例3の結果から、本発明の発光ダイオードを使用する硬化方法・紫外線照射装置によれば従来の装置を使用した場合と同等の硬化性が得られることが分った。また、比較例1、2でから、本発明の硬化方法では良好な硬化性を得るには紫外線硬化型樹脂表面における酸素濃度を5%以下に制御することが不可欠であることが示された。
【0058】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る紫外線照射装置の実施形態を模式的に示す図である。
【図2】酸素濃度と表面の硬化性の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1.紫外線照射装置
2.支持台
3.基板
4.紫外線硬化型樹脂の被膜
5.支柱
6.レール
7.発光ダイオードを備える紫外線照射器
8.フード
9.不活性ガス供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射して該樹脂を硬化させる方法にして、前記紫外線の光源として発光ダイオードを用い、かつ、紫外線照射の際に前記紫外線硬化型樹脂表面における酸素濃度を5%以下に保持することを特徴とする紫外線硬化型樹脂の硬化方法。
【請求項2】
前記紫外線硬化型樹脂表面の周囲に不活性ガスを導入することにより、該樹脂表面における酸素濃度を5%以下に保持する請求項1に係る硬化方法。
【請求項3】
前記紫外線硬化型樹脂が、基板に設けられた電子部品を封止するために基板上に被膜状に施されたものである請求項1または2に係る硬化方法。
【請求項4】
前記発光ダイオードからの紫外線を前記樹脂被膜の形状に合わせて該被膜上を走査するように移動する請求項3に係る硬化方法。
【請求項5】
基板上に設けられた電子部品を紫外線硬化型樹脂からなる被膜で被覆し、該樹脂被膜にその表面における酸素濃度を5%以下に保持した状態で発光ダイオードからの紫外線を照射して該樹脂被膜を硬化させることを含むフラットパネルの製造方法。
【請求項6】
前記発光ダイオードからの紫外線を前記樹脂被膜の形状に合わせて該被膜上を走査するように移動する請求項5に係るフラットパネルの製造方法。
【請求項7】
被処理体を支持するための支持具と、
発光ダイオードからなる光源を有し前記被処理体に紫外線を照射する手段と、
前記被処理体の周囲に不活性ガスを供給することにより該被処理体表面における酸素濃度を制御できる手段
とを備えることを特徴とする被処理体への紫外線照射装置。
【請求項8】
前記被処理体が基板上に被膜状に塗布された被処理体であって、
さらに、該被処理体に照射される紫外線を該被膜状被処理体上を走査するように移動させる照射光移動手段を備える請求項7に係る紫外線照射装置。
【請求項9】
前記紫外線照射手段が、1列又は2列以上の列状に並んだ複数個の発光ダイオードを一つの平面または曲面状に配置した状態で備えている請求項7または8に係る紫外線照射装置。
【請求項10】
さらに、前記発光ダイオードと被処理体との距離を調節する手段を備える請求項7−9のいずれか1項に係る紫外線照射装置。
【請求項11】
前記酸素濃度制御手段が、前記紫外線照射手段を釣鐘状に覆い上部が閉塞し下部が開放したフードと、該フードに接続され該フード内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給管とを有するものである請求項7−10のいずれか1項に係る紫外線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−152942(P2007−152942A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305388(P2006−305388)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】