説明

紫色レーザー励起性色素及びその使用方法

本発明は、約400nmにて至適に励起され、かつ少なくとも約80nmのストークスシフトを有する色素化合物を提供する。これらの色素は、試料中の分析物の検出及び色素複合体の調製における使用が見いだされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、反応性色素誘導体及び色素複合体を含む有色の蛍光色素、及び試料を染色し、リガンド又はその他の分析物を検出する際におけるその使用に関する。本発明は、細胞生物学、神経学、免疫学、病理学、及びプロテオミクスの分野に適用できる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
蛍光色素は、蛍光顕微鏡により生物構造の局在性を観察するため、蛍光イムノアッセイにより分析物を定量するため、細胞をフローサイトメトリーにより解析するため、細胞の生理学的状態を測定するため、及びその他の目的のためのトレーサーとして広く使用されている(Kanaoka, Angew. Chem. Intl. Ed. Engl. 16: 137 (1977)(非特許文献1); Hemmila, Clin. Chem. 31: 359 (1985)(非特許文献2))。他のタイプの吸光色素に対する蛍光剤の利点としては、励起波長とは異なる波長での発光を検出できる点、光吸収と比較して蛍光発光の検出性が何倍も大きい点、殆どの生体試料では蛍光バックグラウンドが一般に低いレベルである点、並びに蛍光偏光(Jolley et al., Clin. Chem. 27: 1190 (1981)(非特許文献3))、寿命(米国特許第4,374,120号(特許文献1))、及び励起状態エネルギー移動(米国特許第3,996,345号(特許文献2)及び第4,542,104号(特許文献3))における内因性のスペクトル特性が測定可能である点が挙げられる。
【0003】
蛍光剤は、現在、通常の健康診断又は診断法において患者の生理機能を確認するため、大気、土壌又は飲料水中の有毒若しくは発癌性の殺虫薬若しくは無機材料といった潜在的に有害な化学薬品に対する労働者やそれ以外の人々の曝露をモニターするため、疾病状態又は症状に対する医薬品の有効性を確認するため、特定の酵素のプロモーター又は阻害剤としての生物活性を持つ新化合物をスクリーニングするため、遺伝子及び導入遺伝子発現をモニタリングするため、並びに酵素結合抗体免疫吸着アッセイ法(ELISA)やウエスタンブロットなどの免疫学的及びその他の実験室でのアッセイ法を行うため、広く使用されている。
【0004】
蛍光発光、UV吸光率、及び比色などの光学的検出方法は、これらの方法によって定性的又は定量的な情報を得ることができ、また直接の目視又は計測手段によって検出することができるため、蛍光剤を検出し、モニターし、測定するために便利かつ非常に有効である。
【0005】
トレーサーとして蛍光色素を利用する多くの適用分野においては、色素を細胞、組織、タンパク質、抗体、酵素、薬物、ホルモン、ヌクレオチド、核酸、多糖体、脂質、又はその他の生体分子などの生物学的に活性なリガンドと化学的に反応させて蛍光性リガンド類似体を作製するか、又は色素を天然若しくは合成ポリマーと反応させることが必要である。これらの合成プローブとともに、生体分子は、測定中である生化学的相互作用に対して特異性を与えることが多く、蛍光色素により、相互作用の検出及び/又は定量化のための方法が提供される。したがって、有用な色素は、種々の化学的反応部位に対して反応性を示すいくつかの異なるタイプの反応性誘導体を調製することができる多用途の蛍光核に基づく。
【0006】
顕微鏡観察、フローサイトメトリー、免疫アッセイ、及び核酸シーケンシングなどの多色かつ多重的な適用のために適したフルオロフォア、特に反応性フルオロフォアに対する必要性が認識されている。現在、紫色の405nmレーザーによって励起されるが、488nmアルゴンレーザーによって励起されず、様々なレーザーが使用できるように長いストークスシフトを有する色素が望まれている。
【0007】
既存の、紫色レーザー(約405nm)で励起される色素は、一般に吸光性が弱く(これらの最大吸光度にて20,000cm−1−1未満の減衰係数)、量子収量が比較的低く、及び/又は、とりわけ水性環境では十分に可溶化されない。このような特性は、生物学的適用のために関心がもたれるフルオロフォアに対する理想にはほど遠い。カスケードイエローは、紫色レーザーで励起できる一般的な色素であるが、この色素は、キャリア分子又は固体支持体と結合したときに比較的暗く、水溶液中で凝集する傾向を有する。
【0008】
例えば、本技術分野において知られている多くの色素は、発光帯幅が広いため、蛍光発光の検出のために使用される典型的な波長(典型的には515〜525nm)において、紫色で励起された色素から有意に残留蛍光バックグラウンドが生じる。さらに、本技術分野において知られている多くの色素の蛍光は、水溶液中でクエンチされ、量子収量が低くなることが多い。量子収量が低くなるにつれて検出感度が減少し、又は蛍光性が弱い色素を過剰に使用することが必要となる。
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,374,120号
【特許文献2】米国特許第3,996,345号
【特許文献3】米国特許第4,542,104号
【非特許文献1】Kanaoka, Angew. Chem. Intl. Ed. Engl. 16: 137 (1977)
【非特許文献2】Hemmila, Clin. Chem. 31: 359 (1985)
【非特許文献3】Jolley et al., Clin. Chem. 27: 1190 (1981)
【発明の開示】
【0010】
上記の観点からみて、水溶性であるフルオロフォアの蛍光核に結合した反応基を有し、かつ狭い波長範囲内において蛍光性が強いフルオロフォアは、本技術分野において知られている一連の反応性フルオロフォアにとって非常に望ましい追加となる。本発明は、このような蛍光剤、該蛍光剤を取り込む複合体、並びに該蛍光剤及びその複合体を使用する方法を提供する。
【0011】
発明の概要
以下の構造を有する化合物が提供される

X、Y、及びZは、独立して、炭素、−CR12、窒素、−NR14、硫黄、酸素、セレン、亜リン酸、ケイ素、ヒ素、アミド、C−C、CR12−CR13、NR14−NR15、又はS−Sであり、X、Y、及びZの少なくとも1つは、炭素又はC−C以外である。
【0012】
12−R15は、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、又はチオエーテルである。
【0013】
−R、及びR−R10は、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又はR−R、及びR−R10は、反応基、キャリア分子、又は固体支持体を含む。Rは、水素、アルキル、置換されたアルキル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又はRは、反応基、キャリア分子、又は固体支持体を含む。又は、以下、
と組み合わせたR
と組み合わせたR
と組み合わせたR
と組み合わせたR
と組み合わせたR
と組み合わせたR
と組み合わせたR、及び、
10と組み合わせたR
から選択されるメンバーは、自身が連結される原子と共に、5−、6−、若しくは7−員のシクロアルキル、置換された5−、6−、若しくは7−員のシクロアルキル、5−、6−、若しくは7−員のヘテロシクロアルキル、置換された5−、6−、若しくは7−員のヘテロシクロアルキル、5−、6−、若しくは7−員のアリール、置換された5−、6−、若しくは7−員のアリール、5−、6−、若しくは7−員のヘテロアリール、又は置換された5−、6−、若しくは7−員のヘテロアリールである環を形成する。
【0014】
一つの態様において、これらの化合物は、約350nm〜約500nmで励起され、より好ましくは、これらの化合物は、約380nm〜約420nmの波長で励起される。特に好ましいのは、化合物9A、9B、9C、及び31である。
【0015】
また、色素複合体を形成するための方法、及び試料中の分析物を検出するための方法の両方が提供される。試料中の分析物を検出するための方法は、本化合物を試料と混合して混合試料を形成する工程、混合試料を、化合物が試料中の分析物と結合するために十分な時間インキュベートしてインキュベートされた試料を形成する工程、インキュベートされた試料を適切な波長で照射して照射された試料を形成する工程、及び照射された試料を検出することにより試料中の分析物を検出する工程、を含む。
【0016】
色素複合体を形成するための方法は、存在する反応基を含む化合物をキャリア分子又は固体支持体と混合して混合試料を形成する工程、及び混合試料を、化合物がキャリア分子又は固体支持体のいずれかと共有結合を形成するために十分な時間インキュベートする工程を含む。
【0017】
試料中の分析物を検出するためのキット、及び開示された方法に従って色素複合体を形成するためのキットがさらに提供される。キットは、典型的には、存在する化合物と、色素複合体を形成するための、及び/又は試料中の分析物を検出するための説明書とを含む。
【0018】
発明の詳細な説明
<導入>
研究及び診断の両方において、化学的、生化学的、及び生物学的な分析物を検出し、定量化するための迅速かつ高度に特異的な方法に対して、恒常的かつ増大する需要がある。微量の核酸、ペプチド(例えば、酵素)、医薬、代謝産物、微生物、及び診断的価値のあるその他の材料を測定するための方法は、特に価値がある。このような材料の例には、麻薬及び毒物、治療目的のために投与される薬物、ホルモン、病原性微生物及びウイルス、抗体、並びに酵素及び核酸、特にこれらのうち疾病状態に関係するものが含まれる。
【0019】
本発明は、約350nm〜約500nmの吸収を有し、かつ大きなストークスシフトを有する色素化合物であって、これらが多重化実験のために理想的、かつ特定の状況においてますます普及する紫レーザーと共に有用なにする色素化合物を提供する。この化合物は、カスケードイエロー・フルオロフォアに基づく。カスケードイエロー色素の類似体は、シグナルの輝度、安定性、水溶性、及び高いDOSでの消光がないことに関して、驚くべき、かつ予想外の結果を示した。
【0020】
<定義>
本発明を詳細に説明する前に、本発明は特定の化合物や合成方法に限定されず、変更可能であることが理解されるべきである。本明細書及び添付の請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明確に指示していない限り複数への言及を含む。つまり、例えば「化合物(a compound)」に対する言及は複数の化合物を含み、「複合体(a conjugate)」に対する言及は複数の複合体等を含むなどである。
【0021】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。以下の用語は、本明細書に記述したように、本発明の目的に即して定義される。
【0022】

関わらず、示した部分が分子、固体支持体などの残りの部分に結合している位置を示す。
【0023】
本発明の特定の化合物は、溶媒和されていない形態、及び水和形態を含む溶媒和された形態で存在することができる。一般に、溶媒和された形態は、溶媒和されていない形態と当量であり、本発明の範囲に包含される。本発明の特定の化合物は、様々な結晶又は非晶質の形態で存在してもよい。一般に、全ての物理的形態は、本発明で想定される使用において同等であり、本発明の範囲内であることが意図される。
【0024】
本発明の特定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)又は二重結合を有し、ラセミ化合物、ジアステレオマー、幾何異性体、及び個々の異性体が、本発明の範囲に包含される。
【0025】
本発明の化合物は、単一の異性体(例えば、鏡像異性体、シス−トランス、位置的、ジアステレオマー)であってもよく、異性体の混合物であってもよい。好ましい態様において、化合物は、実質的に単一の異性体とされる。異性体的に実質的に純粋な化合物を調製する方法は、本技術分野において公知である。例えば、鏡像異性的に濃縮された混合物、及び純粋な鏡像異性化合物は、キラル中心における立体化学を変更しないままにするか、又はその完全な反転を生じる反応と組み合わせて、鏡像異性的に純粋な合成中間体を使用することにより調製することができる。あるいは、合成経路に沿った最終生成物又は中間体を、単一の立体異性体に分離することができる。特定の立体中心を反転するか、又は不変のままにするための技術、及び立体異性体の混合物を分離するための技術は、本技術分野において周知であり、特定の状況を選択すること、及び適した方法は、十分に当業者の能力の範囲内である。一般に、Furniss et al. (eds.), Vogel’s Encyclopedia of Practical Organic Chemistry, 5th ed., Longman Scientific and Technical Ltd., Essex, 1991, pp. 809−816;およびHeller, Acc. Chem. Res. 23: 128 (1990)を参照されたい。
【0026】
また、本発明の化合物は、このような化合物を構成する1つ以上の原子について、原子同位体比が天然とは異なっていてもよい。例えば、本化合物は、トリチウム(H)、ヨウ素125(125I)、炭素14(14C)などの放射性同位体で放射標識してもよい。放射性であるか否かにかかわらず、本発明の化合物の全ての同位体のバリエーションが本発明の範囲に包含されることが意図される。
【0027】
置換基が、慣用的な化学式によって左から右に書かれて特定される場合、これらは、右から左に構造を書くことにより生じる化学的に同一の置換基を同様に包含し、例えば−CHO−は、−OCH−も記述されていることが意図される。
【0028】
「Su」は、スクシンイミド、スクシンイミジル、又はスクシンイミジルエステルをいう。
【0029】
「アシル」又は「アルカノイル」という用語は、特に明記しない限り、それ自体で、又は別の用語と組み合わせて、定まった炭素原子数及びアルカン・ラジカルの少なくとも1つの末端上のアシルラジカルからなる、安定な直鎖、分岐鎖、若しくは環状炭化水素ラジカル、又はこれらの組み合わせを意味する。「アシルラジカル」は、カルボン酸から−OH部分を除くことによって誘導される基である。
【0030】
「アルキル」という用語は、特に明記しない限り、それ自体で、又は別の置換基の一部として、直鎖、分岐鎖、若しくは環状の炭化水素ラジカル、又はこれらの組み合わせを意味する。これは完全に飽和した、モノ又はポリ不飽和のものであってもよく、二価(「アルキレン」)及び指定された炭素原子数(すなわち、C−C10は、炭素原子数1〜10を意味する)を有する多価ラジカルを含むことができる。飽和炭化水素ラジカルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチルや、例えばn−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどの相同体及び異性体などの基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。不飽和アルキル基は、1つ以上の二重結合又は三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−及び3−プロピニル、3−ブチニル、並びにより高い相同体及び異性体を含むが、これらに限定されるわけではない。また、「アルキル」という用語は、他に断らない限り、「ヘテロアルキル」などのアルキルの誘導体が下記のさらに詳細に定義したものを含むことが意味される。炭化水素基に限定されるアルキル基は「ホモアルキル」と呼ばれる。
【0031】
本発明に使用する例示的なアルキル基は、約1〜約25の炭素原子を含む(例えば、メチル、エチルなど)。また、8以下の炭素原子を有する直鎖、分枝、または環状の炭化水素鎖は、本明細書において「低級アルキル」と称される。加えて、本明細書で使用される「アルキル」という用語は、炭化水素鎖断片の1つ以上の炭素原子が1つ以上に置換されたものをさらに含む。
【0032】
「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、及び「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)という用語は、これらの通常の意味で使用され、それぞれ、酸素原子、アミノ基、又は硫黄原子を介して残りの分子に対して結合されたアルキル基をいう。
【0033】
「ヘテロアルキル」という用語は、特に明記しない限り、それ自体で、又は別の用語と組み合わせて、直鎖若しくは分枝鎖、若しくは環状の炭素を含むラジカル、又はこれらの組み合わせを意味し、定まった数の炭素原子と、O、N、Si、P、及びSからなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子とからなる。式中、窒素、リン、及び硫黄原子は酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は四級化されていてもよい。ヘテロ原子O、N、P、S、及びSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に配置されてもよく、アルキル基が残りの分子に結合している位置に配置されてもよい。例としては、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH、−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−Si(CH、−CH−CH=N−OCH、及び−CH=CH−N(CH)−CHが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。例えば、−CH−NH−OCH及び−CH−O−Si(CHなど、2つ以下のヘテロ原子が連続していてもよい。同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、それ自体で、又は別の置換基の一部として、例示した−CH−CH−S−CH−CH−及び−CH−S−CH−CH−NH−CH−(但し、これらに限定されるわけではない)のような、ヘテロアルキルに由来する二価のラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基については、鎖末端のいずれか又は両方をヘテロ原子が占めることができる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。さらに、アルキレン及びヘテロアルキレン連結基については、連結基の向きは、連結基の式が記述される方向によって暗示されることはない。例えば、式−C(O)R’−は、−C(O)R’−および−R’C(O)−の両方を表す。
【0034】
「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語は、特に明記しない限り、それぞれ単独で、又はその他の用語と組み合わせて、「アルキル」及び「ヘテロアルキル」の環状体を表す。加えて、ヘテロシクロアルキルについては、ヘテロ原子は、複素環が残りの分子に結合している位置を占めることができる。シクロアルキルの例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。ヘテロシクロアルキルの例としては、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1-ピペラジニル、2−ピペラジニルなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0035】
「アリール」という用語は、特に明記しない限り、多価不飽和芳香族部分を意味し、単一環であっても複数環(好ましくは1〜3環まで)であってもよく、その複数の環は共に融合されていてもよく、共有結合で連結されていてもよい。「ヘテロアリール」という用語は、N、O、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含むアリール基(又は環)をいう。窒素及び硫黄原子は酸化されていてもよく、窒素原子は四級化されていてもよい。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して残りの分子に対して結合することができる。アリール及びヘテロアリール基の限定されない例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピリジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、テトラゾリル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チエニル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、及び6−キノリルが挙げられる。上記のアリール及びヘテロアリール環系のそれぞれの置換基は、以下に記述した許容される置換基群から選択される。
【0036】
簡潔さのために、「アリール」という用語は、その他の用語と組み合わせて使用したときに(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)、上記記載のとおりのアリール及びヘテロアリール環を含む。したがって、「アリールアルキル」という用語は、アリール基がアルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)に結合されたラジカルを含むことが意味され、このアルキル基は、炭素原子(例えば、メチレン基)が例えば酸素原子(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)によって置換されたアルキル基を含む。
【0037】
上記の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」、及び「ヘテロアリール」)のそれぞれは、示されたラジカルの置換された形態及び非置換の形態を含む。それぞれのタイプのラジカルにとって好ましい置換基は、下記に示すとおりである。
【0038】
アルキル及びヘテロアルキルラジカル基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、及びヘテロシクロアルケニルとも称される基を含む)のための置換基は、一般的に「アルキル基置換基」と称され、これらは、以下から選択される1つ以上の種々の基であることができる(但し、これらに限定されるわけではない):0から(2m’+1)の範囲で、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R”’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R”’、−NR”C(O)R’、−NR−C(NR’R”R’”)=NR””、−NR−C(NR’R”)=NR’”、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R”、−NRSOR’、−CN、及び−NO。m’は、このようなラジカルの総炭素原子数である。R’、R”、R”’、及びR””は、好ましくは、独立して水素原子、置換若しくは非置換のヘテロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、例えば1〜3個のハロゲンで置換されたアリール、置換若しくは非置換のアルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、又はアリールアルキル基を表す。本発明の化合物が複数のR基を含むとき、例えば、R基のそれぞれは、これらの基のうちの1つ以上が存在するときは、それぞれ独立してR’、R”、R”’、及びR””基として選択される。R’及びR”が同じ窒素原子に結合している場合、これらは窒素原子と共に5−、6−、又は7−員環を形成することができる。例えば−NR’R”は、1−ピロリジニル及び4−モルホリニルを含むことが意味されるが、これらに限定されるわけではない。置換基の上記説明から、当業者であれば、「アルキル」という用語が、ハロアルキル(例えば−CF及び−CHCF)及びアシル(例えば−C(O)CH、−C(O)CF、−C(O)CHOCHなど)などの水素基以外の基に結合した炭素原子を含む基を含むことを意味することを理解すると考えられる。
【0039】
アルキルラジカルに関して記載した置換基と同様に、アリール及びヘテロアリール基のための置換基は、一般的に「アリール基置換基」と称される。置換基は、例えば以下から選択される:0から芳香環上の開放原子価の総数までの範囲で、ハロゲン、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R”’、−OC(O)R’、−C(O)R’,−COR’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R”’、−NR”C(O)R’、−NR−C(NR’R”R’”)=NR””、−NR−C(NR’R”)=NR’”、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R”、−NRSOR’、−CN及び−NO、−R’、−N、−CH(Ph)、フルオロ(C−C)アルコキシ、並びにフルオロ(C−C)アルキル。R’、R”、R”’、及びR””は、好ましくは、独立して水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、及び置換若しくは非置換のヘテロアリールから選択される。本発明の化合物が複数のR基を含むとき、例えば、R基のそれぞれは、これらの基のうちの1つ以上が存在するときは、それぞれ独立してR’、R”、R”’、及びR””基として選択される。下記のスキームでは、記号Xは上記のとおりの「R」を表す。
【0040】
アリール又はヘテロアリール環の隣接した原子上の置換基のうちの2つは、任意に式−T−C(O)−(CRR’)−U−の置換基(式中、T及びUは、独立して−NR−、−O−、−CRR’−、又は単結合であり、qは0〜3の整数である)で置換されていてもよい。あるいは、アリール又はヘテロアリール環の隣接した原子上の置換基のうちの2つは、任意に式−A−(CH−B−の置換基(式中、A及びBは、独立して−CRR’−、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR’−、又は単結合であり、rは1〜4の整数である)で置換されていてもよい。このようにして形成された新たな環の単結合のうちの1つは、任意に二重結合で置換されていてもよい。あるいは、アリール又はヘテロアリール環の隣接した原子上の置換基のうちの2つは、任意に式−(CRR’)−X−(CR”R’”)−の置換基(式中、s及びdは、独立して0〜3の整数であり、Xは、−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、または−S(O)NR’−である)で置換されていてもよい。置換基R’、R”、R”’、及びR””は、好ましくは独立して水素原子、又は置換若しくは非置換の(C−C)アルキルから選択される。
【0041】
本明細書で使用される「ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)、及びシリコン(Si)を含む。
【0042】
「アミノ」又は「アミン基」という用語は、基−NR’R’’(又はNRR’R”)(式中、R、R’、及びR”は、独立して水素原子、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アリールアルキル、置換されたアリールアルキル、ヘテロアリール、及び置換されたヘテロアリールからなる群より選択される)を表す。置換アミンは、R’及びR”が水素原子以外であるアミン基である。一級アミノ基では、R’及びR’’は共に水素原子であるが、二級アミノ基では、R’及びR’’のいずれか一方のみが水素原子である。加えて、「アミン」及び「アミノ」という用語は、プロトン化され四級化された窒素原子を含み、基−NRR’R’’及びその生物学的に適合性のアニオン性対イオンを含む。
【0043】
本明細書で使用される「水溶液」という用語は、主として水であり、水の特性を保持している溶液を表す。水溶液が水以外の溶媒を含む場合、典型的には水が主溶媒である。
【0044】
本明細書で使用される「検出可能な反応」という用語は、観察によって、又は計測手段によって直接的又は間接的に検出可能であるシグナルの変化の発生を表す。典型的には、検出可能な反応は、波長分布パターン、吸光若しくは蛍光の強度、光散乱変化、蛍光寿命、蛍光偏光、又は上記パラメータの組み合わせの変化を生じる光学的反応である。
【0045】
本明細書で使用される「色素」という用語は、光を放射して観察可能かつ検出可能なシグナルを生じる化合物をいう。「色素」は、限定されるわけではないが、顔料、フルオロフォア、化学発光化合物、発光化合物、及び発色団を含む、蛍光性及び非蛍光性の化合物を含む。本明細書で使用される「フルオロフォア」という用語は、本質的に蛍光性であるか、又は生物学的化合物若しくは金属イオンに結合することによって蛍光の変化を示す、蛍光発生的化合物をいう。多数のフルオロフォアが当業者に公知であり、クマリン、アクリジン、フラン、インドール、キノリン、シアニン、ベンゾフラン、キナゾリノン、ベンズ・アゾール、ボラポリアザインダセン、及びキサンテンが含まれるが、これらに限定されるわけではない。後者にはフルオレッセイン、ローダミン、ロードール、ロサミン、及びこれらの誘導体、並びにRICHARD P. HAUGLAND, MOLECULAR PROBES HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICALS (9th edition, CD−ROM, 2002)に記述されているような他のフルオロフォアを含む。
【0046】
本明細書で使用される「キャリア分子」という用語は、本発明の化合物に共有結合的に結合される生物学的又は非生物学的成分を表す。このような成分には、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、多糖体、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸、ハプテン、ソラレン、薬物、ホルモン、脂質、脂質集合体、合成ポリマー、ポリマー性微粒子、生物学的細胞、ウイルス、及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0047】
本明細書で使用される「リンカー」又は「L」という用語は、C、N、O、S、及びPからなる群より選択される1〜20個の非水素原子を取り込んでいる単一の共有結合又は一連の安定な共有結合を表し、これらは、蛍光発生的又は蛍光性の化合物を、化学的に反応性の基、又は生物学的及び非生物学的成分などの別の部分に対して共有結合的に結合させる。例示的な連結メンバーとしては、−C(O)NH−、−C(O)O−、−NH−、−S−、−O−などを含む部分が挙げられる。リンカーは、化合物を、ターゲティング部分(例えば、抗体、リガンド、非共有結合性のタンパク質結合基など)、分析物、生体分子、薬物などの複合体のもう一つの成分に結合させるために使用することができる。
【0048】
本明細書で使用される「ペプチド」という用語は、モノマーがアミノ酸であって、かつアミド結合を介して共に連結されたポリマー、又はポリペプチド若しくはタンパク質を表す。アミノ酸がα−アミノ酸である場合、L−光学異性体又はD−光学異性体を使用することができる。加えて、非天然のアミノ酸、例えば、β−アラニン、フェニルグリシン、及びホモアルギニンも含まれる。遺伝子でコードされない一般に生じるアミノ酸も本発明で使用してもよい。本発明で使用される全てのアミノ酸は、D−又はL−異性体のいずれであってもよい。一般に、L−異性体が好ましい。加えて、その他のペプチド模倣薬も本発明に有用である。一般的な総説については、Spatola, A. F., in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids, Peptides and Proteins, B. Weinstein, eds., Marcel Dekker, New York, p. 267 (1983)を参照されたい。
【0049】
本明細書で使用される「反応基」という用語は、別の化学基と反応して共有結合を形成することができる基、すなわち適切な反応条件下で共有結合的に反応性を有する基を表し、一般に別の物質に対して結合する位置を示す。反応基は、カルボン酸又はスクシンイミジルエステルなどの異なる化合物上の官能基と化学的に反応して共有結合を形成することができる本発明の化合物上の部分である。反応基は、一般に求核試薬、求電子試薬、及び光励起性基を含む。
【0050】
例示的な反応基としては、これらに限定されるわけではないが、オレフィン、アセチレン、アルコール、フェノール、エーテル、オキシド、ハライド、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミド、シアナート、イソシアネート、チオシアナート、イソチオシアナート、アミン、ヒドラジン、ヒドラゾン、ヒドラジド、ジアゾ、ジアゾニウム、ニトロ、ニトリル、メルカプタン、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、スルホン酸、スルフィン酸、アセタール、ケタール、無水物、サルフェート、スルフェン酸イソニトリル、アミジン、イミド、イミダート、ニトロン、ヒドロキシルアミン、オキシム、ヒドロキサム酸、チオヒドロキサム酸、アレン、オルトエステル、スルフィット、エナミン、イナミン、尿素、イソ尿素、セミカルバジド、カルボジイミド、カルバメート、イミン、アジド、アゾ化合物、アゾキシ化合物、及びニトロソ化合物が挙げられる。反応性官能基は、生体複合体を調製するために使用されるもの、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミドなどを含む。これらの官能基のそれぞれを調製する方法は、本技術分野において周知であり、特定の目的のためのこれらの適用又は修飾は、当業者の能力の範囲内である(例えば、Sandler and Karo, eds., Organic Functional Group Preparations, Academic Press, San Diego, 1989を参照されたい)。
【0051】
本明細書で使用される「これらの塩」という用語は、本発明の薬剤の塩及びこれらの複合体を含み、本明細書で記述した化合物上の特定の置換基に応じて、好ましくは比較的無毒の酸又は塩基で調製される。本発明の化合物が比較的酸性の官能性を含むときは、中性形態の化合物を、そのまま又は適切な不活性溶媒中の十分な量の所望の塩基と接触させることによって塩基付加塩を得ることができる。塩基付加塩の例には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、マグネシウム、又は同様の塩が含まれる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能性を含むときは、中性形態の化合物を、そのまま又は適切な不活性溶媒中の十分な量の所望の酸と接触させることによって酸付加塩を得ることができる。付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸一水素、ヨウ化水素酸、亜リン酸などの無機酸に由来した塩、並びに酢酸、イソブチル酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、コルク、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸などの比較的無毒の有機酸に由来した塩が含まれる。また、アルギン酸などのアミノ酸の塩、及びグルクロン酸、ガラクツロン酸などの有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge et al., “Pharmaceutical Salts”, Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1−19を参照されたい)。本発明のある特定の化合物は、化合物を塩基又は酸の付加塩に変換することができる塩基性及び酸性の官能性を含む。
【0052】
本明細書で使用される「試料」という用語は、検出又は定量化のための分析物を含んでいるかもしれない任意の材料をいう。分析物は、反応基、例えばそれを介して本発明の化合物を分析物に複合させることができる基を含んでいてもよい。また、試料は、希釈剤、緩衝液、洗浄剤、および混入種(標的と混合されて見いだされる細片など)を含んでいてもよい。図示の例では、尿、血清、血漿、総血液、唾液、涙液体、脳脊髄液、乳頭からの分泌液などを含む。また、緩衝液、抽出物、溶媒などの液体材料に懸濁されたか、又は溶解された鼻水、体組織、細胞などの固体、ゲル、又はゾル物質も含む。典型的には、試料は、生細胞、並びに内因性の宿主細胞タンパク質、核酸ポリマー、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド、及び緩衝液を含む体液である。試料は、水溶液中にあっても、生細胞培地であっても、ポリアクリルアミドゲル、膜ブロット、マイクロアレイなどの固体又は半固体表面上に固定されていてもよい。
【0053】
<化合物>
一般に、本発明の理解を容易にするために、まず色素化合物及び対応する置換基について詳述し、続いて化合物の数多くの様々な使用方法について詳述し、続いて特に本発明の方法に有用な特定の新規化合物の使用方法及び合成方法の例について詳述する。
【0054】
本化合物は、周知のフルオロフォアであるカスケードイエローの誘導体である。予想外に、本発明者らは、コア構造を改変することにより、色素複合体上のDOLを大きな消光を伴わずに増大し、部分的により明るいシグナルを生じさせることができることを見いだした。加えて、これらの化合物は、優れた水溶性、安定性、及び大きなストークスシフト(Stokes shift)を示した。
【0055】
カスケードイエローは、以下の構造を有する


【0056】
本発明者らは、窒素に直接結合している置換基を改変することにより、驚くべき望ましい化合物が得られることを見いだした。したがって、理論に縛られることは望まないが、この改変が、本化合物で観察される改善された特徴を直接生じさせるように見える。
【0057】
本発明の化合物は、以下の構造を有する:

式中、
Xは、独立して、炭素、−CR12、窒素、−NR14、硫黄、酸素、セレン、亜リン酸、ケイ素、ヒ素、アミド、C−C、CR12−CR13、NR14−NR15、又はS−Sであり、
Yは、独立して、炭素、−CR12、窒素、−NR14、硫黄、酸素、セレン、亜リン酸、ケイ素、ヒ素、アミド、C−C、CR12−CR13、NR14−NR15、又はS−Sであり、
Zは、独立して、炭素、−CR12、窒素、−NR14、硫黄、酸素、セレン、亜リン酸、ケイ素、ヒ素、アミド、C−C、CR12−CR13、NR14−NR15、又はS−Sであり、
ここで、少なくとも1つのX、Y、及びZは、炭素又はC−C以外であり、
12は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、又はチオエーテルであり、
13は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、又はチオエーテルであり、
14は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、又はチオエーテルであり、
15は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、又はチオエーテルであり、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又はは、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
10は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、R10は、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、又は、以下、
と組み合わせたR
と組み合わせたR
と組み合わせたR
と組み合わせたR
と組み合わせたR
と組み合わせたR
と組み合わせたR、及び、
10と組み合わせたR
から選択されるメンバーは、自身が連結される原子と共に、5−、6−、若しくは7−員のシクロアルキル、置換された5−、6−、若しくは7−員のシクロアルキル、5−、6−、若しくは7−員のヘテロシクロアルキル、置換された5−、6−、若しくは7−員のヘテロシクロアルキル、5−、6−、若しくは7−員のアリール、置換された5−、6−、若しくは7−員のアリール、5−、6−、若しくは7−員のヘテロアリール、又は置換された5−、6−、若しくは7−員のヘテロアリールである環を形成する。
【0058】
本発明の化合物/態様は、カスケードイエローを含まない


【0059】
カスケード化合物の中間の環構造は、オキサゾール環であるが、記述したとおり、さらなる環も望ましい色素化合物を提供する。したがって、任意の5−、6−、又は7−員の置換又は非置換のヘテロアリール環も、本化合物の当該部分に関して想定される。特に、X、Y、及びZは、独立して、炭素、−CR12、窒素、−NR14、硫黄、酸素、セレン、亜リン酸、ケイ素、ヒ素、アミド、C−C、CR12−CR13、NR14−NR15、又はS−Sであり、少なくとも1つのX、Y、及びZは、炭素又はC−C以外である。
【0060】
12−R15は、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、又はチオエーテルである。
【0061】
−R及びR−R10は、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、R−R及びR−R10は、独立して、反応基、キャリア分子、又は固体支持体を含む。Rは、水素、アルキル、置換されたアルキル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含む。
【0062】
任意の上記置換基の代わりに、または加えて、隣接したR−R10の1つ以上が、縮合環構造を形成する。したがって、一つの局面において、Rと組み合わせたR、Rと組み合わせたR、Rと組み合わせたR、Rと組み合わせたR、Rと組み合わせたR、Rと組み合わせたR、Rと組み合わせたR、及びR10と組み合わせたRから選択されるメンバーは、自身が連結される原子と共に、5−、6−、若しくは7−員のシクロアルキル、置換された5−、6−、若しくは7−員のシクロアルキル、5−、6−、若しくは7−員のヘテロシクロアルキル、置換された5−、6−、若しくは7−員のヘテロシクロアルキル、5−、6−、若しくは7−員のアリール、置換された5−、6−、若しくは7−員のアリール、5−、6−、若しくは7−員のヘテロアリール、又は置換された5−、6−、若しくは7−員のヘテロアリールである環を形成する。
【0063】
別のより特定の態様において、Rは、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R”’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R”’、−NR”C(O)R’、−NR−C(NR’R”R’”)=NR””、−NR−C(NR’R”)=NR’”、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R”、−NRSOR’、−CN、及び−NOで置換されたアルキルであり、R’、R”、R”’、及びR””は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、及びアリールアルキルからなる群より選択される。
【0064】
さらに特定の態様において、Rは、−(CHSOである。
【0065】
別の態様において、Rは、式−L−R8aを有し、式中、Lは存在しないか、又はアルキル、カルボニル、アミノ、チオ、若しくはスルホからなる群より選択される二価のラジカルであり、R8aは、H、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロシクリル、置換又は非置換のヘテロアリール、−SO、スルホ、スルホンアミド、−CN、アミノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、アミノカルボニル、カルボニルアミノ、及びアルキルからなる群より選択される。但し、R8aは、−CH−(C)−CONHSではないことを条件とする。
【0066】
より詳しくは、R8aは、少なくとも1つの−SOで置換されたアルキル又はアリールである。これらの特定の態様において、Rは、−アルキル−SOである。
【0067】
別の態様において、Xは−CR12(すなわち=C(R12)−)であり、Yは窒素であり、Zは酸素である。特にR12は、水素である。
【0068】
別の態様において、Rは、−SOである。
【0069】
別の態様において、Rは、反応基である。
【0070】
別の態様において、Rは、アルコキシである。
【0071】
特に好ましくは、以下の構造を有する化合物である:

式中、Suは、スクシンイミジルである。
【0072】
<反応基>
本発明の別の例示的態様において、本化合物は、化学的に反応性であり、かつ少なくとも1つの反応基によって置換されている。反応基は、キャリア分子又は固体支持体などの別の部分に対して結合する部位として機能し、この場合、反応基は、キャリア分子又は固体支持体上の適切な反応性又は官能基と化学的に反応する。したがって、本発明の別の局面において、化合物は、キレート部分、リンカー、リポーター部分、反応基部分、並びに任意にキャリア分子及び/又は固体支持体を含む。
【0073】
ある例示的態様において、本発明の化合物は、アクリルアミド、活性化されたカルボン酸のエステル、カルボン酸エステル、アシルアジド、アシルニトリル、アルデヒド、アルキルハライド、無水物、アニリン、アミン、アリールハライド、アジド、アジリジン、ボロナート、ジアゾアルカン、ハロアセトアミド、ハロアルキル、ハロトリアジン、ヒドラジン、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアナート、マレイミド、ホスホラミダイト、光励起性基、反応性白金錯体、シリルハライド、スルホニルハライド、及びチオールから選択される反応基をさらに含む。特定の態様において、反応基は、カルボン酸、カルボン酸のスクシンイミジルエステル、ヒドラジド、アミン、及びマレイミドからなる群より選択される。例示的態様において、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、及びR11から選択される少なくとも1つは反応基を含む。好ましくは、R、R、R、R、及びRの少なくとも1つが反応基を含む。あるいは、本化合物がキャリア分子又は固体支持体を含む場合、反応基は、独立してそれらの置換基に対して共有結合により結合し、リポーター分子、キャリア分子、又は固体支持体に対してさらに複合させることができる。
【0074】
一つの局面において、化合物は、アミン基と選択的に反応する少なくとも1つの反応基を含む。このアミン反応性基は、スクシンイミジルエステル、スルホニルハライド、テトラフルオロフェニルエステル、及びイソチオシアナートからなる群より選択される。したがって、一つの局面において、本化合物は、試料中のアミン含有分子と共有結合を形成する。別の局面において、化合物は、チオール基と選択的に反応する少なくとも1つの反応基を含む。このチオール反応性基は、マレイミド、ハロアルキル、及びハロアセトアミドからなる群より選択される(第5,362,628号;第5,352,803号及び第5,573,904号に開示された任意の反応基を含む)。
【0075】
これらの反応基は、化学的に反応性の色素を提供するために、本化合物、並びにキャリア分子及び固体支持体を含む化合物を形成する間に合成される。このような方法で、反応基を取り込んだ化合物は、適切な反応性を有する官能基を含むか、又は含むように改変された様々なキャリア分子又は固体支持体と共有結合し、成分同士の化学的な結合を生じさせることができる。ある例示的態様において、本発明の化合物の反応基、及びキャリア分子又は固体支持体の官能基は、これらの間で共有結合を生じることができる求電子試薬及び求核試薬を含む。あるいは、反応基は、光励起性基を含み、適切な波長の光による照射後にのみ化学的に反応性になる。典型的には、反応基とキャリア分子又は固体支持体との複合反応により、反応基の1個以上の原子が、本発明の化合物をキャリア分子又は固体支持体に結び付ける新たな結合に取り込まれることになる。官能基及び結合として選択した例を表1に示す。表1では、求電子基と求核基との反応により、共有結合が生じる。
【0076】
(表1)有用な共有結合へのいくつかの経路の例


本技術分野において理解されるように、活性化されたエステルは、一般に式−COΩを有し、式中Ωは、優れた脱離基である(例えば、スクシンイミジルオキシ(−OC)スルホスクシンイミジルオキシ(−OC−SOH)、−1−オキシベンゾトリアゾニル(−OC);又は、アリールオキシ基又は活性化されたアリールエステルを形成するために使用されるニトロ、フルオロ、クロロ、シアノ、若しくはトリフルオロメチル、又はこれらの組み合わせなどの電子吸引置換基によって1回以上置換されたアリールオキシ;又は、無水物、又は混合無水物−OCOR若しくは−OCNRNHR(式中、R及びRは同一であっても異なっていてもよく、C−Cアルキル、C−Cペルフルオロアルキル、又はC−Cアルコキシである)を形成するためのカルボジイミドによって活性化されたカルボン酸;又は、シクロヘキシル、3−ジメチルアミノプロピル、又はN−モルホリノエチル)。
** アシルアジドは、イソシアネートにも再構成することができる。
【0077】
一部の態様において、反応基は、反応性の官能性部分に加えてリンカー(L)をさらに含む。リンカーは、反応性の機能的な部分を本発明の化合物の3−アルコキシキサンテン色素/生物学的部分に対して共有結合的に結合させるために使用される。存在するときは、リンカーは、単一の共有結合又は一連の安定な結合である。したがって、反応性の官能性部分は、3−アルコキシキサンテン/生物学的部分化合物に直接結合してもよく(リンカーが単結合である場合)、又は一連の安定な結合を介して結合してもよい。リンカーが一連の安定な共有結合であるときは、リンカーは、典型的にはC、N、O、S、及びPからなる群より選択される1〜20個の非水素原子を取り込む。加えて、共有結合では、米国特許第5,714,327号に記述されたものなどの白金原子を取り込むことができる。リンカーが単一の共有結合でないときは、リンカーは、任意に一重、二重、三重、又は芳香族炭素−炭素結合、並びに炭素−窒素結合、窒素−窒素結合、炭素−酸素結合、硫黄−硫黄結合、炭素−硫黄結合、リン−酸素結合、リン−窒素結合、及び窒素−白金結合を含む安定な化学結合の任意の組み合わせであってもよい。例示的態様において、リンカーは、15未満の非水素原子を取り込み、エーテル、チオエーテル、チオ尿素、アミン、エステル、カルボキサミド、スルホンアミド、ヒドラジド結合、及び芳香族又はヘテロ芳香族結合の組み合わせで構成される。典型的には、リンカーは、単一の共有結合か、又は単一の炭素−炭素結合とカルボキサミド、スルホンアミド、若しくはチオエーテル結合との組み合わせである。以下の部分は、リンカーにおいて見いだすことができる。エーテル、チオエーテル、カルボキサミド、チオ尿素、スルホンアミド、尿素、ウレタン、ヒドラジン、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキル、及びアミン部分。Lの例には、置換若しくは非置換のポリメチレン、アリーレン、アルキルアリーレン、アリーレンアルキル、又はアリールチオが含まれる。
【0078】
反応基と本化合物とを互いに結合させるときに、リンカーの任意の組み合わせを利用することができる。典型的には、本発明の化合物は、複数の反応基に結合される場合、同一であっても異なっていてもよい1つ又は2つのリンカーが結合される。また、リンカーは、化合物の溶解度及びスペクトル特性などの本化合物の物理的特性を変化させるために置換してもよい。
【0079】
本発明の化合物を複合される物質に結合するために使用される反応基の選択は、典型的には複合される物質上の反応性基又は官能基、及び所望の共有結合のタイプ又は長さに依存する。有機又は無機物質(生体分子又は非生体分子)上に典型的に存在する官能基のタイプには、アミン、アミド、チオール、アルコール、フェノール、アルデヒド、ケトン、ホスフェート、イミダゾール、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、二置換アミン、ハライド、エポキシド、シリルハライド、カルボン酸エステル、スルホナートエステル、プリン、ピリミジン、カルボン酸、オレフィン結合、又はこれらの基の組み合わせが含まれるが、これらに限定されるわけではない。物質上の単一型の反応部位を利用してもよく(多糖体又はシリカにおいて典型的に見られる)、又はタンパク質において典型的に見られるように、種々の部位を生じてもよい(例えば、アミン、チオール、アルコール、フェノール)。
【0080】
典型的には、反応基は、アミン、チオール、アルコール、アルデヒド、ケトン、又はシリカと反応すると考えられる。好ましくは、反応基は、アミン、チオール性官能基、又はシリカと反応する。一つの態様において、反応基は、アクリルアミド、活性化されたカルボン酸のエステル、アシルアジド、アシルニトリル、アルデヒド、アルキルハライド、シリルハライド、無水物、アニリン、アリールハライド、アジド、アジリジン、ボロナート、ジアゾアルカン、ハロアセトアミド、ハロトリアジン、ヒドラジン(ヒドラジドを含む)、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアナート、マレイミド、ホスホラミダイト、反応性白金錯体、スルホニルハライド、又はチオール基である。「反応性白金複合体」とは、特に米国特許第5,714,327号に記述されたものなどの化学的に反応性の白金錯体を意味する。
【0081】
反応基が、カルボン酸のスクシンイミジルエステル、スルホニルハライド、テトラフルオロフェニルエステル、又はイソチオシアナートなどの活性化されたカルボン酸のエステルである場合、生じる化合物は、タンパク質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、又はハプテンなどのキャリア分子の複合体を調製するために特に有用である。反応基がマレイミド、ハロアルキル、又はハロアセトアミド(第5,362,628号;第5,352,803号、及び第5,573,904号に開示された任意の反応基を含む(前記))である場合、生じる化合物は、特にチオール含む物質に対する複合のために有用である。反応基がヒドラジドである場合、生じる化合物は、特に過ヨウ素酸で酸化された炭水化物、及び糖タンパク質に対する複合のために有用であり、加えて、細胞微量注入のためのアルデヒド固定可能極性トレーサーとなる。反応基がシリルハライドである場合、生じる化合物は、特にシリカ表面に複合するために、特にシリカ表面を光ファイバ・プローブに取り込んで、その後に遠隔イオン検出又は定量化するために使用する場合に有用である。
【0082】
特定の局面において、反応基は光励起性基であり、その結果、その基のみが適切な波長での照射後に反応性核種に変換される。適切な波長は、一般に400nm未満であるUV波長である。本方法によれば、溶液中の、又は固体若しくは半固体マトリックス上に固定された標的分子のみに特異的に結合する。光励起性反応基には、ベンゾフェノン、アリールアジド、及びジアジリン誘導体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0083】
好ましくは、反応基は、光励起性基、カルボン酸のスクシンイミジルエステル、ハロアセトアミド、ハロアルキル、ヒドラジン、イソチオシアナート、マレイミド基、脂肪族アミン、シリルハライド、カダベリン、又はソラレンである。より好ましくは、反応基は、カルボン酸のスクシンイミジルエステル、マレイミド、ヨードアセトアミド、又はシリルハライドである。特定の態様において、反応基は、カルボン酸のスクシンイミジルエステル、スルホニルハライド、テトラフルオロフェニルエステル、イソチオシアナート、又はマレイミドである。
【0084】
<キャリア分子>
例示的態様において、キャリア分子に対して共有結合的に複合された色素が提供される。これには、上述した化合物及び本明細書で開示した任意のキャリア分子の任意の組み合わせを含むが、これらに限定されるわけではない。典型的には、化合物は、キャリア分子に対する共有結合的複合を容易にする反応基を含む。反応基は、反応性の官能性部分とリンカーとの両方を含んでいてもよく、反応性の官能性部分のみを含んでいてもよい。
【0085】
一つの態様において、本化合物、第一のフルオロフォア、及びキャリア分子を含む第一の化合物が提供される。別の態様において、第二の複合体と組み合わせた第一の化合物を含む第二の化合物が提供される。第二の複合体は、以下に開示したように、第二のフルオロフォアに共有結合的に結合されているキャリア分子又は固体支持体を含む。第一のフルオロフォアと第二のフルオロフォアとは、異なる構造を有し、好ましくは異なる発光スペクトルを有する。さらにより好ましくは、第一及び第二のフルオロフォアは、これらの蛍光発光が本質的に重複しないように選択される。別の態様において、フルオロフォアは、異なる励起スペクトルを有するか、あるいはフルオロフォアは同じレーザーによって励起される。
【0086】
第二の複合体上のフルオロフォアは、実質的に本技術分野において公知の任意の蛍光性構造を含むことができる。この蛍光性構造には、小さな有機フルオロフォア、蛍光性タンパク質、及びレポーター基が含まれるが、これらに限定されるわけではない。これらは、必ずしも蛍光性ではないが、適正な条件下で、蛍光発生基質をフルオロフォアに変換する(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)。本発明で使用される例示的な第二のフルオロフォアは、クマリン、キサンテン(例えば、フルオレッセイン)、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、オキサジン、及びビマンから選択される部分を含むものを含む。
【0087】
第二の化合物における複合体のキャリア分子(又は固体支持体)は、同一であっても異なる分子であってもよい。本明細書における種々のキャリア分子の同一性に関係する考察は、一般に本発明の実施例及びその他の態様に適用できる。
【0088】
種々のキャリア分子が本発明に有用である。例示的なキャリア分子には、抗原、ステロイド、ビタミン、薬物、ハプテン、代謝産物、毒素、環境汚染物、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸、核酸ポリマー、炭水化物、脂質、及びポリマーが含まれる。別の例示的態様において、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR10から選択される少なくとも1つのメンバーは、キャリア分子を含むか、又はキャリア分子に結合されている。一つの局面において、R、R、R、及びRの少なくとも1つが、キャリア分子を含むか、又はキャリア分子に結合されている。
【0089】
ある例示的態様において、キャリア分子は、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、多糖体、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸、ハプテン、ソラレン、薬物、ホルモン、脂質、脂質集合体、合成ポリマー、ポリマー性微粒子、生物学的細胞、ウイルス、及びこれらの組み合わせを含む。別の例示的態様において、キャリア分子は、ハプテン、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸ポリマー、タンパク質、ペプチド、又は多糖体から選択される。好ましい態様において、キャリア分子は、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、多糖体、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸、ハプテン、ソラレン、薬物、ホルモン、脂質、脂質集合体、チラミン、合成ポリマー、ポリマー性微粒子、生物学的細胞、細胞成分、イオンキレート化部分、酵素基質、又はウイルスである。別の好ましい態様において、キャリア分子は、抗体又はこれらの断片、抗原、アビジン又はストレプトアビジン、ビオチン、デキストラン、IgG結合タンパク質、蛍光タンパク質、アガロース、及び非生物学的微粒子である。
【0090】
一部の態様において、キャリア分子は、本発明の化合物を結合するためのキャリア分子反応性の官能基を含んでいてもよい。この官能基には、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、チオール、アルデヒド、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミド、尿素、カルボナート、カルバメート、イソシアネート、スルホン、スルホナート、スルホンアミド、スルホキシドなどが含まれるが、これらに限定されるわけではない。有用な反応基は、上述してあり、本明細書においてキャリア分子反応性の官能基にも同様に適用できる。
【0091】
ある例示的態様において、酵素基質は、アミノ酸、ペプチド、糖、アルコール、アルカノン酸、4−グアニジノ安息香酸、核酸、脂質、サルフェート、ホスフェート、−CHOCOアルキル、及びこれらの組み合わせから選択される。したがって、酵素基質は、ペプチダーゼ、ホスファターゼ、グリコシダーゼ、デアルキラーゼ、エステラーゼ、グアニジノベンゾターゼ、スルファターゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ヒストンデアセチラーゼ、エンドグリコセラミダーゼ、エキソヌクレアーゼ、レダクターゼ、及びエンドヌクレアーゼからなる群より選択される酵素によって切断することができる。
【0092】
別の例示的態様において、キャリア分子は、アミノ酸(保護されているもの、又はホスフェート、炭水化物、若しくはC−C22カルボン酸によって置換されたものを含む)、又はペプチド若しくはタンパク質などのアミノ酸の重合体である。関連した態様において、キャリア分子は、少なくとも5つのアミノ酸、より好ましくは5〜36個のアミノ酸を含む。例示的なペプチドには、神経ペプチド、サイトカイン、毒素、プロテアーゼ基質、及びプロテインキナーゼ基質が含まれるが、これらに限定されるわけではない。その他の例示的なペプチドは、細胞小器官局在化ペプチド、すなわち細胞の輸送機構によって特定の細胞の下部構造に局在化するために、複合された化合物をターゲットする役割を果たすペプチドとして機能し得る。好ましいタンパク質キャリア分子には、酵素、抗体、レクチン、糖タンパク質、ヒストン、アルブミン、リポタンパク質、アビジン、ストレプトアビジン、プロテインA、タンパク質G、フィコビリンタンパク質などの蛍光タンパク質、ホルモン、毒素、及び成長因子が含まれる。典型的には、タンパク質キャリア分子は、抗体、抗体断片、アビジン、ストレプトアビジン、毒素、レクチン、又は成長因子である。例示的なハプテンには、ビオチン、ジゴキシゲニン、及びフルオロフォアが含まれる。
【0093】
別の例示的態様において、キャリア分子は、核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、又は核酸重合体を含み、任意に、フルオロフォア、又はアルキニル結合(米国特許第5,047,519号)、アミノアリル結合(米国特許第4,711,955号)、若しくはその他の結合などのその他のリガンドを結合するためのさらなるリンカー又はスペーサを含む。別の例示的態様において、ヌクレオチドキャリア分子は、ヌクレオシド、デオキシヌクレオシド、又はジデオキシヌクレオシドである。
【0094】
例示的な核酸重合体キャリア分子は、単鎖若しくは複数鎖の、天然若しくは合成のDNA若しくはRNAオリゴヌクレオチド、若しくはDNA/RNAハイブリッドであるか、又はモルホリン誘導体化されたホスフェート(AntiVirals、Inc., Corvallis OR)、若しくはN−(2−アミノエチル)グリシン単位などのペプチド核酸(この場合、核酸は、50以下、より典型的には25以下のヌクレオチドを含む)などの普通でないリンカーを取り込んでいる。
【0095】
別の例示的態様において、キャリア分子は、デキストラン、FICOLL、ヘパリン、グリコーゲン、アミロペクチン、マンナン、イヌリン、デンプン、アガロース、セルロースなどの、典型的には多糖体である炭水化物若しくはポリオールを含むか、又はポリ(エチレングリコール)などの重合体である。関連した態様において、多糖体キャリア分子は、デキストラン、アガロース、又はFICOLLを含む。
【0096】
別の例示的態様において、キャリア分子は、糖脂質、リン脂質、及びスフィンゴ脂質を含む脂質(典型的には、6〜25炭素を有する)を含む。あるいは、キャリア分子は、リポソームなどの脂肪小胞を含むか、又はリポタンパク質である(下記を参照されたい)。幾つかの親油性置換基は、複合された色素の細胞又は細胞内小器官への輸送を容易にするために有用である。
【0097】
あるいは、キャリア分子は、ウイルス粒子、細菌粒子、ウイルス構成体、生物学的細胞(動物細胞、植物細胞、細菌、酵母など)、又は細胞成分を含む、細胞、細胞系、細胞断片、又は細胞下粒子である。キャリア分子として有用である細胞成分の例は、リソソーム、エンドソーム、細胞質、核、ヒストン、ミトコンドリア、ゴルジ体、小胞体、及び空胞を含む。
【0098】
別の例示的態様において、キャリア分子は、有機又は無機材料と非共有結合的に結合される。親油性置換基を有するキャリア分子の例示的態様は、膜内に色素化合物を非共有結合的に組み込むことによって生体膜又はリポソームなどの脂質集合体をターゲットするために、例えば膜構造のためのプローブとして使用するために、又はリポソーム、リポタンパク質、フィルム、プラスチック、親油性の微粒子、若しくは同様の材料に組み込むために使用することができる。
【0099】
ある例示的態様において、キャリア分子は、特異的結合対のメンバーを含み、この場合、本化合物が特異的結合対のメンバーに複合され、かつ結合対の形成に使用される。あるいは、標識された特異的結合対のメンバーの存在は、その特異的結合対の相補メンバーの位置を示す。それぞれの特異的結合対メンバーは、表面上又は空洞内に、他の特定の空間的及び極性組織に特異的に結合し、かつ相補的である領域を有する。この場合、本発明の色素化合物は、特異的結合対のためにリポーター分子として機能する。例示的な結合対を表2に示す。
【0100】
(表2)代表的な特異的な結合対

IgGは、免疫グロブリンである。
cDNA及びcRNAは、ハイブリダイゼーションのために使用される相補鎖である。
【0101】
特定の局面において、キャリア分子は、抗Fc、抗Fcアイソタイプ、抗J鎖、抗κ軽鎖、抗λ軽鎖、若しくは可変単鎖断片タンパク質などの(但し、これらに限定されるわけではない)抗体断片、又は可溶性Fc受容体、タンパク質G、プロテインA、タンパク質L、レクチン、若しくはこれらの断片などの(但し、これらに限定されるわけではない)非抗体ペプチド若しくはタンパク質である。一つの局面において、キャリア分子は、標的−結合抗体のFc部分に、又は標的−結合抗体のFc部分のアイソタイプに特異的なFab断片である(米国特許出願第10/118,204号)。一価のFab断片は、典型的にはマウス・モノクローナル抗体、又は種々の動物、例えばウサギ又はヤギ(但し、これらに限定されるわけではない)から産生されるポリクローナル抗体から作製される。これらの断片は、マウスIgM、IgG、IgG2a、IgG2b、又はIgGなどの任意のアイソタイプから作製することができる。
【0102】
あるいは、プロテインGなどの非抗体タンパク質若しくはペプチド、又はその他の適切なタンパク質を単独で使用し、又はアルブミンと結合することができる。好ましいアルプロテインA、G、及びLは、当業者に公知の、IgGのための少なくとも1つの結合ドメインを含むタンパク質又はこれらの誘導体、すなわちIgGに対して親和性を有するタンパク質を含むことが定義される。これらのタンパク質は、修飾することができるが、必ずしもする必要はなく、本発明のその他のキャリア分子と同様の陽性基で反応性ラベルに複合される。
【0103】
別の局面において、キャリア分子は、無処理の抗体全体である。抗体は、抗原に応答して動物によって分泌され、又は産生される可溶性物質又は分子を意味する当技術分野の用語であり、これは、その形成を誘導した抗原と特異的に結合する特定の特性を有する。また、抗体それ自体も、これらが糖タンパク質であって、抗種抗体を産生するために使用されるので、抗原又は免疫原としての役割を果たす。抗体(免疫グロブリンとしても知られる)は、5つの異なるクラスIgG、IgA、IgM、IgD、及びIgEに分類されている。基本的なIgG免疫グロブリン構造は、2つの同一の軽鎖ポリペプチド及び2つの同一の重鎖ポリペプチドからなる(ジスルフィド結合によって互いに連結されている)。
【0104】
IgGを酵素パパインで処理すると、一価の抗体結合性断片を単離することができ、本明細書においてFab断片という。IgGをペプシン(別のタンパク質分解酵素)で処理卯すると、より大きな断片、F(ab’)が生成される。この断片は、穏やかな還元緩衝液で処理すると半分に分かれ、一価のFab’断片が生じる。Fab’断片は、Fabより僅かに大きく、ヒンジ領域由来の1つ以上の遊離のスルフヒドリルを含む(これは、より小さなFab断片では見られない)。「抗体断片」という用語は、本明細書において抗体のFab’、F(ab’)、及びFab部分を定義するために使用される。抗体断片を生成するためにペプシン及びパパインで抗体分子を処理することは、当技術分野において周知である(Gorevic et al., Methods of Enzyol., 116:3 (1985))。
【0105】
本発明の一価のFab断片は、外来抗体若しくはこれらの断片で免疫されたマウス・モノクローナル抗体、又は種々の動物において産生されるポリクローナル抗体から作製される。米国特許第4,196,265号には、モノクローナル抗体を産生する方法が開示されている。典型的には、ウサギ又はヤギ(ポリクローナル抗体を産生するために当業者に公知の任意の動物)において産生されたポリクローナル抗体に由来する二次抗体を、抗種抗体を産生するために使用することができる。「一次抗体」という用語は、一次抗体の領域と結合する「二次抗体」とは逆に、抗原と直接結合する抗体を表す。モノクローナル抗体は、ポリクローナル抗体と同等であるか、場合によってはポリクローナル抗体よりも好ましい。但し、リガンド結合抗体は、典型的には当業者に周知の方法を使用してマウス・ハイブリドーマ細胞株から産生されるモノクローナル抗体に適合性であることを条件とする。
【0106】
一つの局面において、抗体は、外来抗体のFc領域のみに対して作製される。本質的には、マウスなどの動物を外来抗体のFc領域断片のみで免疫する。その後、採血によってポリクローナル抗体を回収し、酵素(ペプシン又はパパイン)で消化して一価の断片を作製する。次いで、断片を、動物を免疫した免疫グロブリン・タンパク質全体、又はFc断片のみを含むカラムでアフィニティー精製する。
【0107】
<固体支持体>
例示的態様において、固体支持体に共有結合的に複合された色素が提供される。これには、上述した化合物及び本明細書において開示した任意の固体支持体の任意の組み合わせを含むが、これらに限定されるわけではない。典型的には、化合物は、固体支持体に対する共有結合的複合を容易にする反応基を含む。反応基は、反応性の官能性部分とリンカーとの両方を含んでいてもよく、又は反応性の官能性部分のみを含んでいてもよい。
【0108】
一つの態様において、本化合物、第一のフルオロフォア、及び固体支持体を含む第一の化合物が提供される。別の態様において、第二の複合体と組み合わせた第一の化合物を含む第二の化合物が提供される。第二の複合体は、以下に開示したように、第二のフルオロフォアに共有結合的に結合されているキャリア分子又は固体支持体を含む。第一のフルオロフォアと第二のフルオロフォアとは、異なる構造を有し、好ましくは異なる発光スペクトルを有する。さらにより好ましくは、第一及び第二のフルオロフォアは、これらの蛍光発光が本質的に重複しないように選択される。別の態様において、フルオロフォアは、異なる励起スペクトルを有するか、あるいは、フルオロフォアは、同じレーザーによって励起される。
【0109】
第二の複合体上のフルオロフォアは、実質的に本技術分野において公知の任意の蛍光性構造を含むことができる。この蛍光性構造には、小さな有機フルオロフォア、蛍光性タンパク質、及びレポーター基が含まれるが、これらに限定されるわけではない。これらは、必ずしも蛍光性ではないが、適正な条件下で、蛍光発生基質をフルオロフォアに変換する(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)。本発明で使用される例示的な第二のフルオロフォアは、クマリン、キサンテン(例えば、フルオレッセイン)、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、オキサジン、及びビマンから選択される部分を含むものを含む。
【0110】
第二の化合物における複合体の固体支持体(又はキャリア分子)は、同一であっても異なる分子であってもよい。本明細書における種々のキャリア分子の同一性に関係する考察は、一般に本発明の実施例及びその他の態様に適用できる。
【0111】
種々の固体支持体が本発明に有用である。例示的態様において、本発明の化合物は、固体支持体に対して共有結合的に結合されている。固体支持体は、存在するならば反応基を介して、又は存在するならばキャリア分子を介して、化合物に結合してもよい。別の例示的態様において、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、及びR11から選択される少なくとも1つは、固体支持体を含むか、又は固体支持体に結合されている。一つの局面において、R、R、R、R、Rの少なくとも1つは、固体支持体を含むか、又は固体支持体に結合されている。
【0112】
本発明に使用するために適した固体支持体は、典型的には、液相中で実質的に不溶性である。本発明の固体支持体は、特定のタイプの支持体に限定されるわけではない。むしろ、多数の支持体を利用でき、これらは当技術分野の当業者に公知である。したがって、有用な固体支持体は、エアロゲル及びヒドロゲル、樹脂、ビーズ、バイオチップ(薄膜コーティングしたバイオチップを含む)、マイクロ流体チップ、シリコンチップ、多ウェルプレート(マイクロタイタープレート又はマイクロプレートとも称する)、膜、伝導性及び非伝導性金属、ガラス(顕微鏡用スライドを含む)、並びに磁気支持体などの、固体及び半固体基材を含む。有用な固体支持体のより具体的な例は、シリカゲル、高分子膜、粒子、誘導体化されたプラスチック薄膜、ガラスビーズ、ワタ、プラスチックのビーズ、アルミナゲル、セファロースなどの多糖体、ポリ(アクリラート)、ポリスチレン、ポリ(アクリルアミド)、ポリオール、アガロース、寒天、セルロース、デキストラン、デンプン、FICOLL、ヘパリン、グリコーゲン、アミロペクチン、マンナン、イヌリン、ニトロセルロース、ジアゾセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン(ポリ(エチレングリコール)を含む)、ナイロン、ラテックスビーズ、磁気ビーズ、常磁性ビーズ、超常磁性ビーズ、デンプンなどを含む。
【0113】
一部の態様において、固体支持体は、本発明の化合物を結合するための固体支持体反応性の官能基を含んでいてもよい。この官能基には、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、チオール、アルデヒド、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミド、尿素、カルボナート、カルバメート、イソシアネート、スルホン、スルホナート、スルホンアミド、スルホキシドなどが含まれるが、これらに限定されるわけではない。有用な反応基は、上述してあり、本明細書において固体支持体反応性の官能基にも同様に適用できる。
【0114】
適切な固相支持体は、所望の最終用途及び種々の合成プロトコルに対する適合性に基づいて選択することができる。例えば、固体支持体に本発明の化合物を結合させるためにアミド結合形成が望ましい場合、ポリスチレン(例えば、Bachem Inc., Peninsula Laboratoriesなどから得られるPAM樹脂)、POLYHIPE(商標)樹脂(Aminotech, Canadaから得られる)、ポリアミド樹脂(Peninsula Laboratoriesから得られる)、ポリエチレングリコールでグラフトしたポリスチレン樹脂(TentaGel(商標)、Rapp Polymere, Tubingen, Germany)、ポリジメチル−アクリルアミド樹脂(Milligen/Biosearch, Californiaから入手可能)、又はPEGAビーズ(Polymer Laboratoriesから得られる)などの、ペプチド合成において一般に有用な樹脂を使用してもよい。
【0115】
<複合体の調製>
別の態様において、本色素化合物と、キャリア分子又は固体支持体との複合体を形成する方法が提供される。本方法は、
a)反応基を含む本化合物をキャリア分子又は固体支持体と合わせて、混合試料を形成させる工程、及び、
b)混合試料を、化合物がキャリア分子又は固体支持体のいずれかと共有結合を形成するために十分な時間インキュベートする工程、
を含み、これにより複合体を形成する。
【0116】
薬物、ペプチド、毒素、ヌクレオチド、リン脂質、及びその他の有機分子などの、キャリア分子又は固体支持体の色素複合体は、本発明の反応性色素を使用して有機合成方法によって調製され、一般に当技術分野において十分に認識される手段によって調製される(Haugland, MOLECULAR PROBES HANDBOOK、前記(2002))。好ましくは、共有結合を形成するための複合体は、反応性化合物と複合される物質とが共に可溶性である適切な溶媒中で本発明の反応性化合物を単に混合することからなる。反応は、好ましくは室温以下で試薬を添加することなく自発的に進行する。光活性化される反応性化合物については、複合は、反応混合物に光を照射して反応性化合物を活性化することによって促進される。所望の化合物複合体を調製し得るように、好ましくは、水に不溶性の物質の化学修飾がジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、酢酸エチル、トルエン、又はクロロホルムなどの非プロトン性溶媒中で行われる。同様の水溶性材料の修飾は、即時反応性化合物を使用することで容易に達成され、これらが有機溶媒により容易に溶解するようになる。
【0117】
ペプチド又はタンパク質複合体の調製は、典型的には、まず複合されるタンパク質を室温以下で約1〜10mg/mLの水性緩衝液に溶解することを含む。スクシンイミジルエステルとの反応のためにはバイカーボネート緩衝液(pH約8.3)が、チオール反応性官能基との反応のためにはホスフェート緩衝液(pH約7.2〜8)が、そしてイソチオシアナート及びジクロロトリアジンとの反応のためにはカーボネート又はボレート緩衝液(pH約9)が特に適している。次いで、適切な反応性化合物を、複合されるタンパク質の溶液に添加したときに、適切な程度の複合を与えるのに十分な量で非ヒドロキシル溶媒(通常、DMSO又はDMF)に溶解する。任意のタンパク質またはその他の成分のための化合物の適切な量は、簡便には、様々な量の化合物をタンパク質に添加し、複合体をクロマトグラフィーで精製して複合していない化合物を分離し、化合物−タンパク複合体を所望の目的に適用する実験によってあらかじめ決定される。
【0118】
反応性化合物を成分溶液に添加後、混合物を適切な時間(典型的には、室温で約1時間〜氷上で数時間)インキュベートして、過剰な化合物をゲル濾過、透析、HPLC、イオン交換、疎水性ポリマーに対する吸着、その他の適切な手段によって除去する。化合物−複合体は、溶液中で使用されるか、又は凍結乾燥される。このようにして、抗体、抗体断片、アビジン、レクチン、酵素、タンパク質A及びG、細胞のタンパク質、アルブミン、ヒストン、成長因子、ホルモン、並びにその他のタンパク質から適切な複合体を調製することができる。
【0119】
生体高分子及びその他のより高分子量の重合体を含む重合体の複合体は、典型的には本技術分野において十分に認識される手段によって調製される(例えば、Brinkley et al., Bioconjugate Chem., 3: 2 (1992))。これらの態様では、単一タイプの反応部位が利用されてもよく(多糖体に典型的である)、または複数のタイプの反応部位(例えば、アミン、チオール、アルコール、フェノール)が利用されてもよい(タンパク質に典型的である)。標識化の選択性は、適切な反応性色素を選択することによって最良に得られる。例えば、ハロアセトアミド若しくはマレイミドなどのチオール選択的試薬でのチオールの修飾、又は活性化されたエステル、アシルアジド、イソチオシアナート、若しくは3,5−ジクロロ−2,4,6−トリアジンなどのアミン反応性試薬でのアミンの修飾がある。また、反応条件を慎重に制御することによって、部分的な選択性を得ることもできる。
【0120】
重合体を化合物で修飾する場合には、化合物置換において予想される程度に対して、典型的には過剰量の化合物が使用される。残留する、未反応の化合物、又は化合物の加水分解産物のいずれも、典型的には透析、クロマトグラフィー、又は沈澱によって除去される。残留する複合されていない色素の存在は、複合体から色素を溶出する溶媒を用いた薄層クロマトグラフィーによって検出することができる。全ての例において、試薬は、適切な割合の複合を得るために実用的である程度に濃縮しておくことが通常好ましい。
【0121】
例示的態様において、本発明の複合体は追加的な物質と結合してもよく、この物質は、非共有結合的な相互作用を介して、フルオロフォア、又は複合された物質(キャリア分子又は固体支持体)のいずれかに対して結合する。別の例示的態様において、追加的な物質は、抗体、酵素、ハプテン、レクチン、受容体、オリゴヌクレオチド、核酸、リポソーム、又は重合体である。この追加的な物質は、任意に、色素複合体の位置をプローブするため、例えば色素複合体のシグナルを増強する手段として使用される。
【0122】
<使用方法>
また、本発明は、試料中の分析物を検出するために本明細書に記述した化合物を使用する方法を提供する。当業者であれば、この焦点が例証を明確にするためであって、本発明の化合物の使用方法の範囲を限定しないことを認識すると考えられる。
【0123】
ある態様において、本発明の化合物は、a)上述した色素化合物を含む色素溶液を、所望の条件下で検出可能な光学的反応を得るために十分な濃度で調製すること、所望の条件下で色素化合物が検出可能な光学的反応を得るために十分な期間の間、対象試料を色素溶液と合わせること、及びc)光学的反応を誘発するために選択した波長にて試料に光を照射することにより、所望の条件下で検出可能な光学的反応を与えるために試料を染色するために利用される。任意に、試料は、残留する、過剰な、又は結合していない色素を除去するために洗浄される。色素化合物は、典型的には試料成分と共有結合的又は非共有結合的な会合又は複合体を形成するか、単に試料又は試料の一部の境界の中に存在する。
【0124】
一つの態様において、光学的反応を標準的又は予想される反応とさらに比較して、試料の特定の特徴を決定するために、染色が利用される。例えば、色素溶液は、試料の特定の成分を、試料中のこれらの空間的及び時間的分布に関してモニターするために使用される。あるいは、色素は、試料中の特定の分析物と優先して結合し、研究者は、その特定の分析物の存在又は量を決定することができる。この場合、色素は、典型的には対象となる分析物と直接相互作用するキャリア分子又は固体支持体に結合される。このような方法において、本発明の色素は、リポーター分子である。しかし、特定の状況において、色素は、試料中の対象となる分析物に直接、共有結合的に、又は非共有結合的に結合してもよい。行った所望の解析により、色素溶液の組成及び色素自体の化学的性質が決定される。別の例において、色素は、色素自体を標的とした抗体に結合し、典型的には色素の蛍光が消光する。
【0125】
本発明の別の態様において、本発明の色素化合物は、本技術分野において公知の方法に従ってレーザー色素としての有用性を有する。特に、色素は、UV又は紫色レーザーによって励起される。これは、多くの公知の色素が488nm以上の波長によって励起される点で、多重化のために特に利点がある。したがって、一つの態様において、本色素は、約405nmの範囲で励起されるが、488nm以上では励起されず、これらの発光スペクトルは、より長い波長で励起されたこれらの色素と識別可能である。フローサイトメトリーによって解析したときに、これらの色素には、特定の適用がある。加えて、本化合物の長いストークスシフトにより、その他の色素と比較して検出可能なシグナルを回復することができるため、これらの色素は、約400nmにて励起されるその他の色素と共に使用することができる。したがって、一つの局面において、約50nmより長い、好ましくは約100nmより長い、さらにより好ましくは約150nmより長いストークスシフトをもつ色素がある。一つの局面において、本化合物は、約140nmのストークスシフトを有する。
【0126】
本発明の一つの局面において、試料中の分析物を検出するための方法であって、
a. 本化合物を試料と合わせて、混合試料を形成する工程、
b. 混合試料を、化合物が試料中の分析物と結合するために十分な時間インキュベートしてインキュベートされた試料を形成する工程、
c. インキュベートした試料を適切な波長で照射して照射された試料を形成する工程、及び、
d. 照射された試料を検出することにより試料中の分析物を検出する工程
を含む方法が提供される。
【0127】
複合体と分析物との混合試料を、分析物集合の少なくとも一部分が複合体と相互作用するために十分な時間、任意の適切な条件下でインキュベートする。相互作用は、任意の公知の相互作用メカニズムによることができ、本発明は、いずれのただ一つのタイプの分析物−複合体の相互作用メカニズムにも限定されない。分析物と複合体との間の相互作用により、蛍光分析物が形成される。蛍光分析物は、蛍光分析物に蛍光を放射させる波長の光でこれを照射することによって容易に検出され、及び/又は定量化される。
【0128】
一つの態様において、色素は、約405nmの波長で、一般に紫色レーザーで照射される。特定の局面において、照射及び/又は検出工程は、フローサイトメーターを含む。
【0129】
上記した方法において、任意の数又は組み合わせの精製、分離、又は誘導体化工程が、任意に方法における工程として含まれる。例示的態様において、蛍光分析物の蛍光を決定する前に、蛍光分析物は、試料の残りから、非蛍光分析物から、又は結合していない過剰な複合体から分離される。
【0130】
別の例示的態様において、本発明は、分析物又は複数の分析物を検出するための多色方法を提供する。例えば、分析物を検出し、特に同一性を確認することが望まれるときは、好ましくは異なる波長にて蛍光を発する複数の蛍光複合体を単一の分析物上に共存させることができる。
【0131】
したがって、試料中の第一の分析物と第二の分析物とを検出するための方法が提供される。本方法は、試料を、第一及び第二の蛍光標識された複合体を含む本発明の化合物と共にインキュベートすることを含む。第一の複合体の成分は、第一の分析物のためのパートナーであり、第二の複合体の成分は、第二の分析物のための結合パートナーである。第一複合体と第一の分析物の少なくとも一部分の集団との間の相互作用を誘導するために適した時間及び条件下でインキュベーションを続ける。このインキュベーション期間の間に、一般に同様の相互作用が第二の分析物と第二の複合体との間で生じることが好ましいが、必要に応じて、第二の複合体と第二の複合物との間の複合体−分析物複合体の形成を推進するために、インキュベーション条件を変更することも本発明の範囲内である。
【0132】
少なくとも第一の分析物−複合体の複合体の形成に続いて、試料を適切な波長の光で照射して複合体に蛍光を生じさせ、これにより第一の分析物を検出する。第二の分析物は、同様の方法で検出され、それぞれの蛍光複合体の蛍光を誘導するために、第一の分析物と同時に、又は適切な波長で試料を順番に照射することによって検出してもよい。
【0133】
別の態様において、分析物あたりに複数の色の蛍光複合体を使用することにより、蛍光の異なる色又は色の組み合わせが検出の間に空間的に同時に発生することが必要なことによって特異性が劇的に増大されたアッセイ法が提供される。これにより、非特異的に結合した標的又は標識の検出を激減し、又は無くすことができ、アッセイ法の特異性及び感受性が増強する。複数の異なった色の蛍光複合体の使用によって示される改善は、同時に同じ位置で2つ以上の予め選択された異なる色が偶然に遭遇する確率はないことが根底にある。異なる色のより多くの蛍光複合体を使用するほど、起こらない確率が増大する。あるいは、別の例示的態様において、2つ以上の異なる色の蛍光複合体からの発光を組み合わせて、他にはアッセイ法に存在しない第3の色を形成する。
【0134】
本方法の例示的適用において、分析物、例えば細胞又は分子のエピトープの種々の特色が、異なる色の蛍光複合体で標識される。標的を検出し、それぞれの標的におけるそれぞれの色の共存又は「同時発生」を使用してその存在が確認される。同時染色により、異なる表面マーカーを発現する生物体の異なる生物体又は株の検出及び区別が可能になる。さらに、同時染色により、異なる構造の分子を異性体の相違及び立体化学の相違のレベルにまで区別する方法が提供される。
【0135】
病原体の検出において、最も直接的な分析物は、病原体自体である。この場合、アッセイ法では、好ましくは表面タンパク質などの生物体の特定の特色を同定する。特性付けにおいてさらに補助するために、分子分析物をアッセイすることも同様に好ましい。分子分析物の例は、コレラ毒素などの外毒素である。分析物の種々の特徴を高特異性で認識する抗原特異的な結合受容体が作製される。分子分析物の場合、受容体は、タンパク質又は小分子の種々のエピトープを認識するが、一方で、細胞分析物では、細胞表面上の種々の分子を介して認識される。
【0136】
同時染色を容易にするために、それぞれの複合体からの蛍光を同時に検出することができるが、一つの態様において、それぞれの分析物からの蛍光は独立して検出される。
【0137】
別の例示的態様において、共存は、分析物複合体の複合体の形成とアッセイ系内の別の種に対する分析物の非特異的結合とを区別するために使用される。アッセイ法における内因性の感受性は、基質に対する分析物又はその他のアッセイ混合物の成分の非特異的結合によって制限されることが多い。単一の分析物の同時染色を使用して、蛍光複合体の色の共存に基づいて、複合体に対する分析物の特異的結合と、複合体に対するアッセイ混合物の成分の非特異的結合とを区別することができる。当業者であれば、本明細書に記述したとおり、同時染色が固相(例えば、遺伝子チップ)及び溶液に基づいたアッセイ法における非特異的結合を区別するためにも有用であることを認識すると考えられる。
【0138】
同時染色は、また単一の分析物を同定するためにも使用することができる。例えば、構造的に類似する(例えば、共通抗原決定基を有する)か、又は複合体の成分に対して類似した親和性を有する分析物の混合物中の選択した分析物の存在を確認することが望まれるかもしれない。このような環境では、標的の決定的同定のために単一のエピトープの検出では十分ではないことが証明され得る。単一の分析物内の2つ、好ましくは3つ、より好ましくは4つ、さらに好ましくは5つ以上のマーカーのレベルを測定することにより、対象となる分析物に特異的な明白なプロフィールが提供される。
【0139】
別の例示的態様において、本発明は、細胞生存度を評価するための方法を提供する。この場合、アミン反応基(固体支持体又はキャリア分子上のアミンと共有結合を形成することが考えられる反応基を意味する)を含む本化合物を生細胞及び死細胞の両方を含む試料と共にインキュベートする。本化合物は、生細胞の膜上のアミン基との複合に関し、適切な光源で照射されるときに蛍光シグナルを生じる。しかし、死細胞に関しては、細胞膜が損なわれて、細胞内に化合物が侵入することができ、これらは、細胞内のアミンと複合体を形成する。これらの死細胞における複合体は、適切な光源で照射したときに、生細胞からのシグナルよりもかなり明るい蛍光シグナルを生じる。一つの局面において、死細胞からのシグナルは、生細胞からのシグナルよりも10倍明るい。別の局面において、死細胞からのシグナルは、生細胞からのシグナルよりも50倍明るい。さらに別の局面において、死細胞からのシグナルは、生細胞からのシグナルよりも100倍明るい。実施例37及び38を参照されたい。
【0140】
したがって、一つの態様において、本発明は、試料中の細胞の生存度を評価するための方法であって、
a. アミン反応基を含む本化合物を試料と混合して、混合試料を形成させる工程、
b. 混合試料を、化合物が試料中の生細胞の細胞膜上のアミン基と共有結合を形成し、かつ死細胞内部のアミン基と共有結合を形成するために十分な時間インキュベートしてインキュベートされた試料を形成する工程、
c. インキュベートされた試料を適切な波長で照射して照射された試料を形成する工程、及び、
b. 照射された試料を検出することにより試料中の細胞の生存度(via)を評価する工程、
を含む方法を提供する。
【0141】
代わりの態様において、死細胞を本化合物で染色し、生細胞を公知の生細胞染色で染色し、2つの蛍光シグナルを互いに区別することができる。
【0142】
別の例示的態様において、本発明は、同じ表面マーカーを発現する生物体間を区別するための方法を提供する。同時染色を使用して、表面マーカー発現の比率に基づいて標的の相違を同定することが可能である。例えば、集中的努力にもかかわらず、遺伝的に単一の種であるB.セレウス及びB.チューリンゲンシスと比較して広範な交差反応性のために、炭疽菌胞子の明白な検出のための単一の結合受容体は見いだされていない((Helgason et al., Appl. Envir. Microbiol. 66:2627−2630 (2000))。しかし、同じ種であるにもかかわらず、種々の表面タンパク質の相対量は、3つの細菌間で異なる。したがって、単一細胞レベルの種々のマーカーの複数点での検出により、炭疽菌を検出するために必要とされる特異性が提供される。
【0143】
単一のマーカーの有無を検出する診断試験では、遺伝子レベルにてほとんど同一の株間を区別することができず、密接に関連した生物体間に区別するための新たなツールの需要が強調される。公知の病原体において出現する変異体によって生じる流行は、感染症における共通のテーマである(Jiang et al., Appl Environ Microbiol 66:148−53 (2000)) (Hedelberg et al. Nature 406:477−483 (2000))。また、その他の種からの病原性決定因子を取り込む病原体を慎重に操作する問題がある。このような病原体による攻撃は、攻撃する病原体において通常見いだされないマーカーが存在のために誤診され得る。本発明の方法を用いて単一生物体内の複数のマーカーをプローブすることよって、このような変異体が検出され、好ましくは同定される。
【0144】
また、目視による検出も、同時染色に依存する本発明のこれらの態様において有用である。ヒトの眼は、微妙な異なる色の組み合わせ間を区別する際には、特に色が正しく選択されるときには極めて優れている。例証として、人々が赤、緑、及び黄色の間を区別することは自明である。しかし、黄色は、単に赤及び緑のスペクトルの合計であり、そして赤緑の蛍光複合体を同時染色のために使用する場合、陽性アッセイシグナルは、予測色(黄色)によって容易に同定することができる。赤、緑、及び青の組み合わせが白を形成するなど、本発明の本実施例に有用なその他の色の組み合わせも、当業者には直ちに明らかであると考えられる。
【0145】
本発明の化合物の溶液は、一般に当技術分野において公知の方法に従って調製される。関連した公知のフルオロフォア及び発蛍光団と同様に、色素及び色素複合体は、一般に約6以上のpHを有する水及び水溶液に可溶性である。しかし、純粋な色素の保存液は、典型的には水溶液又は緩衝液に希釈する前に、有機溶媒に溶解される。好ましい有機溶媒は、DMSO、DMF、N−メチルピロリドン、アセトン、アセトニトリル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、及びその他の非ヒドロキシルの、完全に水溶性溶媒などの非プロトン性極性溶媒である。一般に、色素溶液中の色素又は複合体の量は、相当の期間内に、最小限のバックグラウンド蛍光又は望ましくない染色で、試料中の検出可能な染色を得るために必要とされる最小限の量である。使用される色素又は色素複合体の正確な濃度は、実験条件及び所望の結果に依存的であり、所与の適用に使用される染料の最適濃度を決定するために、典型的には実験条件の最適化が必要とされる。色素溶液に存在する色素の濃度は、典型的にはナノモル〜マイクロモルの範囲である。色素溶液に必要とされる濃度は、満足な色素染色が達成されるまで、色素又は色素複合体の濃度を系統的に変更することによって決定される。開始範囲は、所望の光学的反応のために相当する条件下で類似化合物を使用するための本技術分野において公知の方法から容易に決定される。
【0146】
色素化合物は、好ましくは、生体試料、すなわち生物学的成分を含む試料を染色するために使用される。本発明の一つの態様において、試料は、無処置の細胞、細胞抽出物、細菌、ウイルス、細胞小器官、及びこれらの混合物を含む、成分の不均質混合物を含む。本発明の別の局面において、試料は、単一成分又は成分の均一群、例えば、重合体が合成又は天然であるか否かにかかわらず、アミノ酸重合体、核酸重合体、炭水化物重合体、又は脂質膜複合体などの生物重合体を含む。
【0147】
試料は、典型的には、受動的手段によって、すなわち色素溶液と共にインキュベーションすることによって染色される。細胞又は細胞小器官への色素溶液の微量注入などの、色素を試料に導入するその他のいかなる方法も、試料への色素の導入を促進するために使用することができる。本発明の色素は、有用な濃度において、一般に生細胞及びその他の生物学的成分に対して非毒性である。
【0148】
本発明の一つの局面において、試料は、液体の供与源から直接的に、又は固体物質(有機又は無機)からの洗浄液、細胞の培養のために用いられた増殖培地、若しくは細胞が評価のために配置された緩衝液として得られる。さらなる局面において、細胞は、血液などの体液から単離される。試料が細胞を含む場合、細胞は、任意に、微生物を含む単細胞、又は胚、組織、生検、フィラメント、バイオフィルムなどを含む二次元又は三次の層のその他の細胞に付随する多細胞生物若しくは複数の細胞である。
【0149】
あるいは、試料は、固体、任意にスミア、若しくは切屑、又は濾過によって液体又は蒸気から除去された保留物である。本発明の一つの局面において、試料は、尿、脳脊髄液、血液、リンパ液体、組織ホモジネート、間質液、細胞抽出物、鼻水、唾液、痰、糞便、生理学的分泌物、又はその他の同様の液体などの、分離されたか、又は濾過されてない体液を含む体液から得られる。あるいは、試料は、土壌、水、空気などの環境の供与源から;又は廃液流、水供与源、供給ラインまたは産生ロットから採取されるモノなどの産業的な供与源から得られる。
【0150】
さらに別の態様において、試料は、固体又は半固体マトリックス上、又はマトリックス内に存在する。本発明の一つの局面において、マトリックスは、膜である。別の局面において、マトリックスは、核酸又はタンパク質を分離し、かつ特徴付けるために使用されるものなどの、電気泳動ゲルである。別の局面において、マトリックスは、シリコンチップ又はガラススライドであり、対象となる分析物は、チップ又はアレイのスライド上に固定されている。さらに別の局面において、マトリックスは、マイクロウェルプレート又はマイクロ流体チップであり、典型的には、薬物スクリーニングなどの高スループットスクリーニング系の種々の方法よって、試料は、自動化された方法によって解析される。
【0151】
試料は、染色の直後に観察することができる。検出可能な光学的反応は、観察によって、又は機器によって検出可能である光学的シグナルの変化又は発生を意味する。典型的には、検出可能な反応は、蛍光強度などの蛍光の変化、励起若しくは放出波長分布の変化、蛍光寿命、蛍光偏光、又はこれらの組み合わせである。標準的又は予想される反応と比較した染色の程度及び/又は位置は、試料が所与の特徴を有するか否か、どの程度有するかを示す。
【0152】
試料は、任意に、染色する間に、洗浄溶液、透過化処理溶液、及び/又は固定溶液を含むその他の溶液、並びにさらなる検出試薬を含むその他の溶液と合わせられる。染色に続く洗浄は、一般に洗浄後に非特異的バックグラウンド蛍光を減少することにより、光学的反応の検出を改善する。より低い標識化濃度使用することにより、洗浄することなく満足な可視化が可能である。本発明を実施するために適した多数の固定液及び固定条件は、本技術分野において公知であり、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ホルマリン、グルタルアルデヒド、冷却メタノール及び3:1メタノール:酢酸を含む。固定は、典型的には細胞の形態を保存し、及び病原性試料を研究するときに生物災害を減少させるために使用される。上記した色素の選択された態様は、細胞に十分に保持され、これらの色素で染色された試料細胞は、固定後にかなりの蛍光染色を保持する。固定は、任意に、一般に当技術分野において公知の方法に従って、アセトン、エタノール、DMSOまたは種々の洗浄剤などでの透過化処理し、上記した色素複合体を含む大きな色素化合物を、細胞膜を透過させることによって行われ、または伴う。本発明の染色は、任意に、一般に本技術分野において公知の方法に従って、特定の細胞成分、細胞内物質、又は細胞条件の存在によって検出可能な反応を生じるさらなる検出試薬の使用と組み合わせられる。さらなる検出試薬が、対象色素化合物と異なる分光特性を有する場合、多色の適用が可能である。
【0153】
また、本発明の化合物は、キャピラリーゾーン電気泳動(CZE)、HPLC、又はその他の分離技術によるこれらの解析のために、低分子量化合物に誘導体化するためにも有用である。
【0154】
<試料調製>
エンドユーザーが、試料の選択及び試料を調製する方法を決定する。試料としては、標的分析物又はリガンドを含むと考えられる任意の生物由来材料又は水溶液が挙げられるが、これに限定されるわけではない。あるいは、試料は、分析物またはリガンドが添加された材料も含む。
【0155】
試料は、全血、血漿、血清、経鼻分泌物、痰、唾液、尿、汗、経皮浸出物、脳脊髄液などの体液であることができる。また、体液は、関心対象の分析物が培地に分泌された組織培養培地及び細胞培養培地を含む。あるいは、試料は、動物からの器官全体、組織、又は細胞であってもよい。このような試料の供与源の例は、筋肉、眼、皮膚、生殖腺、リンパ節、心臓、脳、肺、肝臓、腎臓、脾臓、胸腺、膵臓、固形腫瘍、マクロファージ、乳腺、中皮等を含む。細胞は、限定されるわけではではないが、初代培養及び不死化した株化細胞を含む原核細胞並びに真核細胞を含む。真核細胞は、限定されるわけではではないが、卵巣、上皮細胞、循環免疫細胞、細胞、肝細胞、及びニューロンを含む。
【0156】
本発明の個別の化合物、本発明の複数の化合物、又は本発明の化合物と試料中の標的の存在を検出するか、または特徴を決定するための種々の構造のフルオロフォア又は消光剤との組み合わせを使用してもよい。
【0157】
本発明の成分が、特定の生物構造(例えば、酵素、受容体、リガンド、抗原、抗体、その他)である標的と結合する種であるとき、本発明の化合物又は複合体と標的との間の反応時間は、温度、酵素、及び基質の濃度、その他に応じて、通常少なくとも約5分、より通常には少なくとも約30分、及び好ましくはせいぜい180分、好ましくはせいぜい120分である。反応に特異的な時間を使用し、又は2つの異なる時間にアリコートを得ることにより、その他の決定と比較するために反応速度を決定することができる。温度は、一般に約20〜50℃の範囲、より通常には約25〜40℃の範囲である。
【0158】
種々の緩衝液を本発明のアッセイ法に使用することができる。これらの緩衝液は、PBS、Tris、MOPS、HEPES、リン酸塩などを含む。pHは、特定のアッセイ法系によって変化し、一般に容易に決定可能な範囲内にあり、スルホン酸部分の1つ以上が脱プロトンされる。緩衝液の濃度は、一般に約0.1〜50mM、より通常には0.5〜20mMの範囲である。
【0159】
多くの例において、試料に少量の非イオン性界面活性剤を添加することが有利であるかもしれない。一般に、洗浄剤は、約0.01〜0.1 vol.%で存在する。例示的非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレンジオール、たとえばPluronics、Tween、TritonX−100、などを含む。
【0160】
蛍光実験において、反応は、任意にクエンチされる。物理的及び化学的の両方の種々の消光剤を使用してもよい。好ましくは、アセトニトリル、DMSO、SDS、メタノール、DMFなどの、少量の水溶性溶媒を添加してもよい。
【0161】
<照射>
本発明の化合物は、アッセイ法の後又は間のいつでも、検出可能な光学的反応を生じる光の波長で照射して、光学的反応を検出するための手段で観察してもよい。紫または可視波長発光ランプ、アーク灯、レーザー、又は日光若しくは通常の部屋光などの照射により、相補特異的結合対メンバーに結合したものを含む蛍光化合物は、強度の見える吸収並びに蛍光発光を示す。本発明の蛍光化合物を照射するために有用である選択される設備には、任意に携帯紫外線灯、水銀アーク灯、キセノン灯、アルゴンレーザー、レーザーダイオード、及びYAGレーザーを含むが、これらに限定されるわけではない。これらの照射光源は、レーザースキャナ、フローサイトメーター、蛍光マイクロプレートリーダー、標準的若しくはミニ蛍光光度計、又はクロマトグラフィー検出器に組み込まれる。この蛍光発光は、任意に目視検査によって、又は以下の装置:CCDカメラ、ビデオカメラ、写真フィルム、レーザー走査装置、蛍光光度計、光ダイオード、量子カウンタ、エピフロレッセンス顕微鏡、走査顕微鏡、フローサイトメーター、蛍光マイクロプレートリーダーを使用することによって、又は光電増倍管などのシグナルを増幅するための手段によって検出される。試料がフローサイトメーター、蛍光顕微鏡、又は蛍光光度計を使用して検査される場合、機器は、任意に本発明の蛍光化合物と検出可能な種々の光学的性質をもつ第二のフルオロフォアとの間を、典型的には本発明の蛍光化合物の蛍光反応を第二のフルオロフォアのものと区別することによって区別するために使用される。試料がフローサイトメーターを使用して調べられる場合、試料の検査には、任意に、ソーティング装置を使用することにより蛍光反応に基づいて試料内の粒子を単離することを含む。
【0162】
<本発明のキット>
別の局面において、本発明は、本発明の蛍光化合物を含むキットを提供する。また、キットは、一般に1つ以上の方法において本発明の化合物を使用するための説明書を含む。
【0163】
例示的態様において、キットは、本発明の反応化合物と、適切な官能基を有する任意の物質に対して色素を複合するための、及び任意に標識した材料をこれにより回収し、又は精製するための説明書とを含む。したがって、反応性色素と説明書とのこの組み合わせには、適切な物質を標識するためのキットを含む。選択された適切な物質には、生体分子(例えば、タンパク質、オリゴヌクレオチド、又は炭水化物)、重合樹脂及びプラスチック(例えば、ポリスチレン)、金属、ガラス、並びにその他の有機又は無機重合体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。本発明の色素は、このようなキットの製造のために適している。
【0164】
本発明の別の例示的なキットにおいて、試料中の分析物又はリガンドを検出するアッセイ法を行うための説明書が提供される。典型的には、キットは、二次抗体に複合された色素を含む。このような方法で、エンドユーザーは、検出することができる無制限の数のリガンド又は分析物を生じる一次抗体を提供する。あるいは、キットは、色素標識された二次抗体と一次抗体とを含む。例えば、一つの態様において、細胞受容体又は抗体が結合する酵素、生物体、又はその他のリガンドを検出するための説明書が提供される。
【0165】
以上で提供された発明の詳細な説明、以下の実施例は、本発明を例証するために挙げられたものであり、本発明又は請求の範囲に対する限定として解釈されるべきではない。
【0166】
<実施例1:化合物1の合成>
3.6gの4−ヒドロキシアセトフェノン、5.7gのメチル5−ブロモ吉草酸、及び8.1gのKCOの混合物を含むDMF溶液50mLを75℃にて一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却した後、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄して、無水NaSOを通して乾燥させ、化合物1を得た。

【0167】
<実施例2:化合物2の合成>
7.0gの化合物1を含むCHCl溶液60mLに、4.3gの臭素(10mLのCHCl溶液)を室温でゆっくりと添加して、さらに3時間撹拌した。全ての揮発成分を減圧下で除去して、残渣は酢酸エチル及びヘキサンを用いてシリカゲルカラムで精製した。

【0168】
<実施例3:化合物3の合成>
6.0gの化合物2を含むCHCl溶液30mLに、0℃にて3.1gのメテアミン(50mLのCHCl溶液)を室温でゆっくりと添加して、さらに4時間撹拌した。全ての揮発成分を減圧下で除去し、化合物3を得た。

【0169】
<実施例4:化合物4の合成>
150mLのエタノールに懸濁した9.2gの化合物3に、0℃にて12mLの濃HClをゆっくりと添加して、混合物を40℃にて4時間撹拌した。次いで、全ての揮発成分を減圧下で除去し、化合物4を回収した。

【0170】
<実施例5:化合物5の合成>
9.0gの化合物4を含むCHCl溶液150mLに、0℃にて12gのトリエチルアミンを、続いてイソ−ニコチノイルクロライドハイドロクロライド(CHCl50mLとDMF50mLとの混合溶液中に6.4g)の溶液を導入した。混合物を室温に暖め、室温にて一晩撹拌した。次いで、反応混合物を水中に注ぎ、CHClで抽出した。有機層を飽和NaCO水溶液及び水で洗浄して、粗生成物をMeOH及びCHClを用いてシリカゲルカラムで精製した。

【0171】
<実施例6:化合物6の合成>
2.0gの化合物5及びオキシ塩化リン25mLの混合物を10時間還流温度にて加熱した。反応混合物を室温に冷却した後、過剰なオキシ塩化リンをロータリーエバポレーターによって除去し、残渣を酢酸エチル100mLに溶解して、飽和NaCO水溶液、水で洗浄し、無水NaSOを通して乾燥させた。溶媒を除去し、1.9gの化合物6を得た。

【0172】
<実施例7:化合物7の合成>
1.9gの化合物6と8.0gのプロパンスルトンとの混合物を含むアセトニトリル溶液30mLを2時間、110℃にて加熱した。約50℃に冷却した後、酢酸エチル/ヘキサン混合物(150mL、1:1、v/v)を添加し、濾過によって化合物7を回収した。

【0173】
<実施例8:化合物8の合成>
3.6gの化合物7を含むの濃HCl150mLと水100mLとを65℃にて2日間加熱し、全ての揮発成分を減圧下で除去して、粗製カルボン酸を得た。粗製酸を15mLの濃HSOに溶解して、0℃に冷却した。30%発煙HSO15mLを添加して、混合物を低温にて1時間撹拌した。反応混合物を冷却EtO500mLに注ぎ、粗生成物を濾過によって回収して、HPLCによってさらに精製し、1.6gの純粋な化合物8を得た。

【0174】
<実施例9:化合物9Aの合成>
1.6gの化合物8を含む無水DMA溶液500mLに、1.6gのN,N’−ジスクシンイミジルカルボナート及び62mgのN,N−ジメチルアミノピリジンを添加して、反応混合物を懸濁液として2日間室温で撹拌した。期間の終わりに、反応混合物の体積を減圧下で約100mLに減少させ、酢酸エチル300mLを添加し、1/2時間撹拌した。固体を濾過によって回収して酢酸エチルで洗浄し、1.7gの化合物9Aを得た。

【0175】
<実施例10:化合物9Bの合成>
100mgの化合物9Aを含む無水ジメチルアセトアミド溶液10mLに、0℃にて100mgのヒドラジンを添加して、反応混合物を0℃にて1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をHPLCによって精製し、化合物9Bを得た。

【0176】
<実施例11:化合物9Cの合成>
100mgの化合物9Aを含む無水ジメチルアセトアミド溶液10mLに、0℃にて90mgのN−(2−アミノエチル)マレイミドトリフルオロ酢酸塩及びトリエチルアミン0.1mLを添加して、反応混合物を0℃にて1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、残渣をHPLCによって精製し、化合物9Cを得た。

【0177】
<実施例12:化合物10の合成>
化合物10は、出発原料として4−ヒドロキシフェニルアセトンを用いて、化合物1と同じ手順に従って調製した。

【0178】
<実施例13:化合物11の合成>
2.5gの化合物10、0.72gの塩酸ヒドロキシルアミン、及び1.8gのジイソプロピルエチルアミンの混合物を含むEtOH溶液50mLを75℃にて20分間加熱した。溶媒を除去して、残渣を200mLの酢酸エチルに溶解し、1%HClで洗浄して、無水NaSOを通して乾燥し、化合物11を得た。

【0179】
<実施例14:化合物12の合成>
1.9gの化合物11、及び1.8gのイソ−ニコチノイルクロライドハイドロクロライドの混合物を含むピリジン溶液30mLを一晩95℃にて加熱した。溶媒を除去して、残渣を酢酸エチルと飽和炭酸ナトリウムとの間で分離し、有機層を、無水NaSOを通して乾燥させた。粗生成物をMeOH及びCHClを用いてシリカゲルカラムで精製した。

【0180】
<実施例15:化合物13の合成>
化合物13は、化合物12から、化合物6から化合物9Aへの変換と同じ手順に従って調製した。

【0181】
<実施例16:化合物14の合成>
300mgの2−アミノ−4’−メトキシアセトンフェノンハイドロクロライド、及び270mgの4−キノリンカルボン酸の混合物を含むのオキシ塩化リン溶液5mLを5時間還流して、室温に冷却し、過剰なオキシ塩化リンを減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチルと飽和炭酸ナトリウムとの間で分離し、次いで有機層を水で洗浄して、無水NaSOを通して乾燥させた。粗生成物をCHCl及び酢酸エチルを用いてシリカゲルカラムで精製する。

【0182】
<実施例17:化合物15の合成>
化合物15は、出発原料として化合物14を用いて、化合物8と同じ手順に従って調製した。

【0183】
<実施例18:化合物16の合成>
化合物16は、4−クロロアセチル−1−メトキシナフタレンから、上述した手順に従って調製した。

【0184】
<実施例19:化合物17の合成>
化合物17は、2,4−ジメトキシアセトフェノンおよび6−メトキシ−2−フェニル−4−キノリンカルボン酸から、上述した手順に従って調製した。

【0185】
<実施例20:化合物18の合成>
化合物18は、2,4−ジメトキシアセトフェノン及び4−キノリンカルボン酸から、上述した手順に従って調製した。

【0186】
<実施例21:化合物19の合成>
化合物19は、3,4−ジメトキシアセトフェノン及び4−キノリンカルボン酸から、上述した手順に従って調製した。

【0187】
<実施例22:化合物20の合成>
2.5gの6’−メトキシ−2’−アセトナフトン、及び5.6gの銅(II)ブロミドの混合物を含むCHCl/酢酸エチル(1:1 v/v)100mLを還流温度にて3時間加熱した。反応混合物を室温に冷却した後、沈殿物を濾過して、CHClで洗浄した。粗生成物をCHCl及びヘキサンを用いて再結晶させた。

【0188】
<実施例23:化合物21の合成>
0.7gの化合物20を含む0℃のCHCl溶液50mLに、0.44gのメテアミンを室温でゆっくりと添加して、一晩撹拌した。期間の終わりに、ヘキサン100mLを反応混合物に添加して、沈殿物を回収し、化合物21(1.0g)を得た。

【0189】
<実施例24:化合物22の合成>
0.65gの化合物21を懸濁した0℃のエタノール30mLに、濃HCl5mLをゆっくりと添加して、混合物を40℃にて4時間撹拌した。次いで、全ての揮発成分を減圧下で除去し、化合物22を回収した。

【0190】
<実施例25:化合物23の合成>
100mgの化合物22、及び150mgの4−キノリンカルボン酸の混合物を含むオキシ塩化リン溶液5mLを10時間還流して、室温に冷却し、過剰なオキシ塩化リンを減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチルと飽和炭酸ナトリウムとの間で分離し、次いで有機層を水で洗浄して、無水NaSOを通して乾燥させた。粗生成物をCHCl及び酢酸エチルを用いてシリカゲルカラムで精製する。

【0191】
<実施例26:化合物24A及び24Bの合成>
化合物24A及び24Bは、化合物23から、先ずプロパンスルトンと反応させ、続いて上述した手順に従って発煙硫酸を用いたスルホン化によって調製した。


【0192】
(表3)

【0193】
<実施例27:化合物25〜31の合成>
4−ヒドロキシフェニルホウ酸(1.38g)、2,5−ジブロモチオフェン(4.84g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.24g)、トルエン(60mL)、及びイソプロピルアルコール(30mL)の混合物に、4.14gのKCO(10mLの水溶液)を添加した。Nを、数分間混合物を介して泡立てて、生じる懸濁液を5時間激しく攪拌しながらN下で100℃にて加熱した。室温に冷却し、水で希釈した後に、生じる混合物を4%HClでpH2に酸性化して、EtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄して、無水NaSOを通して乾燥させた。残渣をヘキサン及びEtOAcを用いてシリカゲルカラムで精製し、1.2gの25を得た。

【0194】
化合物25(1.2g)を、DMF30mL中でメチル5−ブロモ吉草酸(1.38g)及びKCO(1.95g)と共に75℃にて4時間加熱した。混合物を室温に冷却し、水で希釈して、EtOAcで抽出した。粗製をヘキサン及びEtOAcを用いてシリカゲルカラムで精製し、1.25gの26を得た。

【0195】
化合物26(1.05g)、4−ピリジンホウ酸(0.53g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.35g)、トルエン(30mL)、及びイソ−プロピルアルコール(15mL)の混合物に、1.2gのKCO(5mLの水溶液)を添加した。懸濁液をNでパージして、N下で100℃にて2時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水で希釈して、EtOAcで抽出した。粗製をCHCl及びMeOHを用いてシリカゲルカラムで精製し、0.81gの27を得た。

【0196】
化合物27(0.52g)、及び1,3−プロパンスルトン(4.0g)の混合物をCHCN10mL中で10時間還流した。混合物を約50℃に冷却した後、EtOAc/ヘキサンの1/1混合物(v/v)150mLを添加し、濾過によって生成物28を回収した。

【0197】
化合物28(0.36g)を65℃にて3日間、HCl水溶液で加水分解した(濃HCl/水、60mL/20mL)。全ての揮発成分を真空中で除去し、29を得た。このようにして得られた粗製化合物29を濃HSO(10mL)に溶解し、0℃に冷却した後、30%発煙HSO5mLをゆっくりと導入して、生じる混合物を0℃にて1時間撹拌した。次いで、反応混合物を冷却EtO300mLに注ぎ、粗製を濾過によって回収して、HPLCで精製し、0.15gの30を得た。

【0198】
化合物30(50mg)を含む無水ジメチルアセトアミド溶液10mLに、40mgのN,N’−ジスクシンイミジルカルボナート及び3mgの4−ジメチルアミノピリジンを添加して、生じる混合物を室温で3時間撹拌した。期間の終わりに、EtOAc100mLを添加して、さらに0.5時間撹拌し、固体を濾過して、EtOAcで洗浄し、真空中で乾燥して、50mgの生成物31を得た。

【0199】
<実施例28:化合物32〜34の合成>
2−アミノ−4’−メトキシアセトンフェノンハイドロクロライド(0.5g)を含む0℃の無水ジメチルアセトアミド溶液30mLに、トリエチルアミン(3.0mL)を、続いてイソ−nニコチノイルクロライドハイドロクロライド(0.52g)を添加した。次いで、混合物を室温に暖め、さらに3時間撹拌した。反応物を水で希釈し、EtOAcで抽出して、無水NaSOを通して乾燥させた。粗製収量は、0.63gの化合物32であった。

【0200】
粗製32(0.63g)及びLawesson試薬(2.4g)の混合物をN下で8時間、80mLの無水THF中で還流した。揮発成分を減圧下で除去して、粗製をCHCl及びMeOHを用いてシリカゲルカラムで精製し、0.75gの33を得た。

【0201】
化合物33(0.70g)及び1,3−プロパンスルトン(3.0g)の混合物をCHCN10mL中で10時間還流した。混合物を約50℃に冷却し、EtOAc/ヘキサンの1:1(v/v)混合物150mLを添加して、生成物である化合物34を濾過によって回収した。

【0202】
<実施例29:化合物35の合成>
化合物35は、化合物34から開始して、化合物30と同じ手順に従って調製した。

【0203】
<実施例30:化合物36の合成>
フラスコ中のN−[2−ケト−2−(4−ピリジル)エチル]−4−メトキシベンズアミド(0.50g)に、POCl(10mL)を添加して、1時間還流した。反応混合物を室温に冷却して、全ての揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をEtOAcに溶解して、飽和水溶液NaCOで洗浄した。このようにして得られた粗製を、CHCl及びMeOHを用いてシリカゲルカラムで精製し、0.3gの36を得た。

【0204】
<実施例31:化合物37の合成>
化合物37は、化合物36から開始して、化合物35と同じ手順に従って調製した。

【0205】
<実施例32:パシフィックブルー色素及び化合物9を使用した2色免疫表現型検査>
ヒト単核細胞をCPT(Ficol)チューブ(BD Bioscience)から回収した。細胞を1%のBSA/PBSで洗浄して、10,000,000/mLの濃度に再懸濁した。マウス抗ヒトCD4一次抗体(BD Pharmingen)をZenon Pacific Blue(商標)Labeling Kitで標識した。次いで、細胞は、Zenon Pacific Blueマウス抗ヒトCD4複合体及び1μgのマウス抗ヒトCD8 化合物9で30分間染色した。細胞を1%のBSA/PBSで洗浄し、遠心して、400μLの1% BSA/PBSで再懸濁した。試料は、405nmダイオードレーザーで励起して、450/50nm及び575/26発光フィルターで発光を収集するLSR IIフローサイトメーターで解析した。前方散乱対側方散乱ドットプロットを使用して、リンパ球をゲート制御し、リンパ球ゲートを使用してプロットを作成した。補正は、単一の色彩対照を使用して適用した。図1を参照されたい。
【0206】
<実施例33:化合物9Aスクシンイミジルエステル(SE)とヤギ抗マウスIgG(GAM)との複合体>
10mMリン酸カリウム、及び150mM塩化ナトリウムを含む緩衝液(PBS)中にGAMが6.8mg/mLとなるように溶解された溶液0.221mL(1.5mg)を
試験管内で測定し、1M炭酸水素ナトリウム(pH 9.0)22μLを加えて、pHを>8.0に上げた。GAM溶液を、20mg/mLにて10、20、30、40、又は50倍過剰モルの化合物9の無水DMSO溶液と室温にて1時間反応させた。色素−タンパク質複合体は、BioRad(商標)Bio−Gel(登録商標)P−30 fineのPBS溶液を充填した5−0.75×20cmのカラムを使用したサイズ排除クロマトグラフィーによって遊離色素から分離し、同じもので溶出した。それぞれのカラムからの初期タンパク質含有バンドを収集した。
【0207】
吸光度スペクトルは、Perkin−Elmer Lambda 35 UV/Vis分光計で得た。蛍光発光スペクトルはAminco Bowman Series 2 Luminescence Spectrometerを使用して390nmにて励起して得た。GAM−化合物9A複合体の細胞染色をINOVA Diagnostics, Inc.12ウェル/スライド形式の前置されたHEp−2細胞を使用して行い、ヒト抗核抗体のマウス抗ヒトIgG抗体標識化を検出した。試料は、1μg/mL及び10μg/mLにて、1%ウシ血清アルブミンのPBS溶液に調製して、ポジティブウェル及びコントロールウェルの両方において、室温にて30分インキュベートした。ウェルをPBSで4回洗浄し、カバースリップを用いてPBS中にてウェットマウンティングを行う前に、PBSに10分間浸漬した。細胞は、Universal Imaging CorporationからのMetaMorph Imaging System使用して、Nikon Eclipse E400蛍光顕微鏡のOmega(登録商標)Optical、XF12からのフィルターセット及びPrinceton Instruments, Inc. RTE/ CCD−728−Yカメラを使用して撮像した。
【0208】
<実施例34:化合物9Aスクシンイミジルエステル(SE)とストレプトアビジン(SA)との複合体>
0.1M炭酸水素ナトリウム溶液中にSAが10.0mg/mLとなるように溶解された溶液0.1mL(1mg)を、20mg/mLにて5、10、20、30、40、又は80倍過剰モルの化合物9Aの無水DMSO溶液と室温にて1時間反応させた。色素−タンパク質複合体は、BioRad(商標)Bio−Gel(登録商標)P−30 fineのPBS溶液を充填した6−0.75×20cmのカラムを使用したサイズ排除クロマトグラフィーによって遊離色素から分離し、同じもので溶出した。それぞれのカラムからの初期タンパク質含有バンドを収集した。
【0209】
吸光度スペクトルは、Perkin−Elmer Lambda 35 UV/Vis分光計で得た。蛍光発光スペクトルはAminco Bowman Series 2 Luminescence Spectrometerを使用して390nmにて励起して得た。SA−化合物9A複合体の細胞染色をINOVA Diagnostics, Inc.12ウェル/スライド形式の前置されたHEp−2細胞を使用して行い、ヒト抗核抗体のマウス抗ヒトIgG抗体標識化を検出した。試料は、10μg/mLにて1%のウシ血清アルブミンのPBS溶液に調製して、ポジティブウェル及びコントロールウェルの両方において、室温にて30分インキュベートさせた。ウェルをPBSで4回洗浄し、カバースリップを用いてPBS中にてウェットマウンティングを行う前に、PBSに10分間浸漬した。細胞は、Universal Imaging CorporationからのMetaMorph Imaging System使用して、Nikon Eclipse E400蛍光顕微鏡のOmega(登録商標)Optical、XF12からのフィルターセット及びPrinceton Instruments, Inc. RTE/ CCD−728−Yカメラを使用して撮像した。
【0210】
<実施例35:カスケードイエロー及び化合物9A複合体の比較>
単核細胞は、CPTフィコール・チューブから回収した。細胞を計数して、1×10/mLに再懸濁した。100μLの細胞を試験管に一定分量とった。細胞を10μLマウスIgGでブロックして、適切な一次抗体マウス抗ヒトCD4ビオチンと共に、室温/暗闇にて30分インキュベートして、細胞を1%のBSA/PBSで洗浄し、1μg〜0.008μgの範囲の濃度にてストレプトアビジン複合体とインキュベートした。細胞を洗浄して、1%のBSA/PBSに再懸濁して、青/赤/紫/及びUV励起を使用してLSR IIで解析した。
【0211】
結果:化合物9Aは、カスケードイエローよりも明るく、化合物9Aは、488の発光を有さず、紫色のパシフィックブルーフィルターにごく僅かなな発光しか示さない。図3を参照されたい。
【0212】
<実施例36:化合物9Aマウス抗ヒトCD8のAmCyanマウス抗ヒトCD8及びCD4に対する比較>
ヒトPBMCは、ヒト・アフェレーシスのフロースルー画分から回収した。細胞を2%のFBS及び0.1%のアジ化ナトリウムを含むPBSに、4℃にて1mLあたり10E6の濃度に再懸濁した。細胞を2μg/試料の濃度にてマウス抗ヒトCD8 化合物9A又はマウス抗ヒトCD8 AmCyan又はマウス抗ヒトCD4 AmCyanで染色して、30分間インキュベートした。細胞を洗浄して再懸濁して、405nmの紫色ダイオードレーザー(25mW)及び530/30又は560/55nmバンドパスフィルタを使用してLSRIIフロー・サイトメータ(BD Bioscience)で解析した。結果は、化合物9A抗hCD8が、AmCyan抗hCD8及びAmCyan抗hCD4よりも明るかったことを示した。
【0213】
<実施例37:化合物31での死細胞及び固定細胞の染色>
Jurkat細胞の4集団(生培養細胞、古い培養細胞、熱で死滅させた細胞、及びETOH死滅させた細胞)を使用し、それぞれの細胞タイプを1×10細胞/mLにてPBSに懸濁する。1mLの細胞懸濁液をチューブに添加し、5μLの0.1mg/mLの化合物31の溶液を添加し、混合して、室温で遮光して30分インキュベートした。インキュベーション後、チューブをPBSで一度洗浄し、細胞をペレットにして、ペレットを1mLのPBSに再懸濁した。BD LSRIIフローサイトメーターを使用して、405nm励起及び525/50帯域通過を使用し、10,000イベント/チューブを収集した。初期の収集後、細胞を3.7%のホルムアルデヒドのPBS溶液に再懸濁し、15分インキュベートして、LSRIIで再実行した。
【0214】
生細胞は、死細胞から区別され、生細胞は、僅かに自己蛍光以上の蛍光を示し、死細胞は、少なくとも1ログ単位の蛍光増大を示した。生細胞のMFI(蛍光強度の中央値)値(MFI=108)を使用して、死/生比率を算出するためのそれぞれの細胞タイプについてMFI比率を算出すると、35の比率が古い培養細胞で得られ、92の比率がETOH死滅させた細胞で得られ、74の比率が熱で死滅させた細胞で得られた。固定後、光散乱又は蛍光の変化は、強調されなかった。化合物31は、死細胞に対してポジティブに染色し、3.7%のホルムアルデヒドによる固定では、結果を変化させない。図5を参照されたい。
【0215】
<実施例38:化合物31での死細胞及び2つの異なるカルセインAM染料での生細胞の染色>
生細胞及び熱で死滅させたJurkat細胞の混合物、並びに生細胞及びエタノール死滅させたJurkat細胞の混合物を、それぞれPBS中に1×10細胞/mlにて懸濁した。1mlの細胞懸濁液をチューブに添加して、0.1mg/mlの化合物31の溶液5μlをそれぞれのセットに添加した。また、二重染色のために、1つのセットにカルセイングリーン,AMを終濃度50μMにて添加した。二重染色のために、その他のチューブのセットには、カルセイン・バイオレット,AM(Invitrogen Corp. C34858)を添加した。チューブを室温にて遮光して30分インキュベートした。インキュベーション後、チューブをPBSで一度洗浄し、細胞をペレットにして、細胞ペレットを1mlのPBSに再懸濁した。BD LSRIIフローサイトメーターを使用して、化合物31には405nm励起及び525/50帯域通過を、カルセイン・バイオレット,AM染料には405nm励起及び450/50帯域通過を、カルセイングリーン,AM染料には488nm励起及び530/30帯域通過を使用して、10,000イベント/チューブを収集した。単一及び二重蛍光を測定した。
【0216】
生細胞(カルセイングリーン、AM及びカルセイン・バイオレット,AM染色によって定義されるもの)、及び死細胞(化合物31によって定義されるもの)は分離されて、排他的集団として容易に区別された。化合物31は、死細胞に対してポジティブに、生細胞に対してネガティブに染色する。図6を参照されたい。
【0217】
本実施例で使用した試薬は市販されているか、又は市販の機器、方法、若しくは本技術分野において公知の試薬を使用して調製することができる。上述の実施例は、本発明の種々の態様、及び本発明の方法の実施を例証するものである。本実施例は、本発明の多くの異なる態様を網羅的に記述することを意図したものではない。したがって、上述した本発明は、理解の明快さのために図と例とを挙げていくつか詳細に記述してあるが、当業者であれば、本発明の要旨又は添付の請求の範囲から逸脱することなく、多くの変更及び改変を加えることができることを容易に理解すると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0218】
【図1】パシフィックブルー色素及び化合物9を使用した免疫表現型検査を示す。
【図2】化合物9Aの励起及び発光スペクトルを示す。
【図3】3つの異なるDOLでの化合物9Aに対するカスケードイエローの比較を示す。
【図4】AmCyanマウス抗ヒトCD8及びCD4と比較したときの化合物9Aマウス抗ヒトCD8のより明るいシグナルを示す。
【図5】化合物31で染色した細胞についてのヒストグラムを示す。a)培養生細胞は低い蛍光を示し、b)老齢培養細胞、c)エタノールで死滅させた細胞、及びd)熱で死滅させた細胞は、全て生細胞よりも高い蛍光を示す。
【図6】二重パラメータードットブロットを示す。2つのカルセインAM生細胞染色での化合物31の染色を示す。a)生きたJurkat細胞と熱で死滅させたJurkat細胞との混合物をカルセイングリーン、AM及び化合物31で染色したものであり、2つの異なった集団を示した。b)生きたJurkat細胞と熱で死滅させたJurkat細胞との混合物をカルセイングリーン、AM及び化合物31で染色したものであり、2つの異なった集団を示した。c)生きたJurkat細胞と熱で死滅させたJurkat細胞との混合物をカルセイン・バイオレット、AM及びペリウィンクルデッド(Periwinkle dead)染料で染色したものであり、2つの異なった集団を示した。d)生きたJurkat細胞と熱で死滅させたJurkat細胞との混合物をカルセイン・バイオレット、AM及び化合物31で染色したものであり、2つの異なった集団を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式を有する化合物:

式中、
Xは、独立して、炭素、−CR12、窒素、−NR14、硫黄、酸素、セレン、亜リン酸、ケイ素、ヒ素、アミド、C−C、CR12−CR13、NR14−NR15、又はS−Sであり、
Yは、独立して、炭素、−CR12、窒素、−NR14、硫黄、酸素、セレン、亜リン酸、ケイ素、ヒ素、アミド、C−C、CR12−CR13、NR14−NR15、又はS−Sであり、
Zは、独立して、炭素、−CR12、窒素、−NR14、硫黄、酸素、セレン、亜リン酸、ケイ素、ヒ素、アミド、C−C、CR12−CR13、NR14−NR15、又はS−Sであり、
少なくとも1つのX、Y、及びZは、炭素又はC−C以外であり、
12は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、又はチオエーテルであり、
13は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、又はチオエーテルであり、
14は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、又はチオエーテルであり、
15は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、又はチオエーテルであり、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環もしくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、Rは、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、
10は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ハロゲン、アミノ、置換されたアミノ、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アジド、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオエーテル、5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環、置換された5−、6−、若しくは7−芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又は、R10は、反応基、キャリア分子、若しくは固体支持体を含み、又は、以下、
と組み合わせたR
と組み合わせたR
と組み合わせたR
と組み合わせたR
と組み合わせたR
と組み合わせたR
と組み合わせたR、及び、
10と組み合わせたR
から選択されるメンバーは、自身が連結される原子と共に、5−、6−、若しくは7−員のシクロアルキル、置換された5−、6−、若しくは7−員のシクロアルキル、5−、6−、若しくは7−員のヘテロシクロアルキル、置換された5−、6−、若しくは7−員のヘテロシクロアルキル、5−、6−、若しくは7−員のアリール、置換された5−、6−、若しくは7−員のアリール、5−、6−、若しくは7−員のヘテロアリール、又は置換された5−、6−、若しくは7−員のヘテロアリールである環を形成する。
【請求項2】
が、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R”’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R”’、−NR”C(O)R’、−NR−C(NR’R”R’”)=NR””、−NR−C(NR’R”)=NR’”、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R”、−NRSOR’、−CN、及び−NOで置換されたアルキルであり、ここで、R’、R”、R”’、及びR””は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、及びアリールアルキルからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、−(CHSOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Xが−CR12であり、Yが窒素であり、及びZが酸素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
12が水素である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が−SOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がアルコキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
、R、R、R、R、R、R、R、又はRのうちの少なくとも1つ、2つ、又は3つが、スルホ基を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
、R、R、R、R、R、R、R、又はRのうちの少なくとも1つが、反応基、キャリア分子、又は固体支持体を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
又はRが、反応基、キャリア分子、又は固体支持体を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
前記反応基が、アクリルアミド、活性化されたカルボン酸のエステル、カルボン酸エステル、アシルアジド、アシルニトリル、アルデヒド、アルキルハライド、無水物、アニリン、アミン、アリールハライド、アジド、アジリジン、ボロナート、ジアゾアルカン、ハロアセトアミド、ハロアルキル、ハロトリアジン、ヒドラジン、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアナート、マレイミド、ホスホラミダイト、反応性白金錯体、シリルハライド、スルホニルハライド、又はチオールを含む反応基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
前記反応基が、カルボン酸、カルボン酸のスクシンイミジルエステル、ヒドラジド、アミン、及びマレイミドを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
前記固体支持体が、マイクロ流体チップ、シリコンチップ、顕微鏡用スライド、マイクロプレート・ウェル、シリカゲル、高分子膜、粒子、誘導体化されたプラスチック薄膜、ガラスビーズ、綿、プラスチックビーズ、アルミナゲル、多糖体、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ラテックスビーズ、磁気ビーズ、常磁性ビーズ、及び超常磁性ビーズを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
前記固体支持体が、セファロース、ポリ(アクリラート)、ポリスチレン、ポリ(アクリルアミド)、ポリオール、アガロース、寒天、セルロース、デキストラン、デンプン、FICOLL、ヘパリン、グリコーゲン、アミロペクチン、マンナン、イヌリン、ニトロセルロース、ジアゾセルロース、及びデンプンを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
前記キャリア分子が、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、多糖体、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、核酸、ハプテン、ソラレン、薬物、ホルモン、脂質、脂質集合体、合成ポリマー、重合体の微小粒子、生物学的細胞、又はウイルスを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
前記キャリア分子が、抗体若しくはこれらの断片、アビジン若しくはストレプトアビジン、ビオチン、血液成分タンパク質、デキストラン、酵素、酵素阻害剤、ホルモン、IgG結合タンパク質、蛍光タンパク質、成長因子、レクチン、リポ多糖、微生物、金属結合タンパク質、金属キレート化部分、非生物学的微小粒子、ペプチド毒素、ホスファチジルセリン結合タンパク質、構造タンパク質、小分子薬物、又はチラミド(tryamide)を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
以下の式で示される、請求項1に記載の化合物:

式中、Suは、スクシンイミジルである。
【請求項18】
試料中の分析物を検出するための方法であって、
a. 請求項1〜17のいずれか1項記載の化合物を試料と合わせて、混合試料を形成させる工程、
b. 前記混合試料を、前記化合物が前記試料中の分析物と結合するために十分な時間インキュベートしてインキュベートされた試料を形成する工程、
c. 前記インキュベートされた試料を適切な波長で照射して照射された試料を形成する工程、及び、
d. 前記照射された試料を検出することにより前記試料中の分析物を検出する工程、
を含む方法。
【請求項19】
照射及び/又は検出工程がフローサイトメーターを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
色素複合体を形成するための方法であって、
a. 請求項1〜17のいずれか1項記載の反応基を含む化合物をキャリア分子又は固体支持体と混合して、混合試料を形成させる工程、及び、
a. 混合試料を、前記化合物が前記キャリア分子又は固体支持体のいずれかと共有結合を形成するために十分な時間インキュベートする工程、
を含む方法。
【請求項21】
複合されていない化合物を、前記キャリア分子又は固体支持体と共有結合を形成した化合物から分離する工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
試料中の細胞の生存度を評価するための方法であって、
a. 請求項1〜17のいずれか1項記載のアミン反応基を含む化合物を試料と混合して、混合試料を形成させる工程、
d. 前記混合試料を、前記化合物が前記試料中の生細胞の細胞膜上のアミン基と共有結合を形成し、かつ死細胞内部のアミン基と共有結合を形成するために十分な時間インキュベートしてインキュベートされた試料を形成する工程、
c. 前記インキュベートされた試料を適切な波長で照射して照射された試料を形成する工程、及び、
b. 前記照射された試料を検出することにより試料中の細胞の生存度(via)を評価する工程、
を含む方法。
【請求項23】
試料中の分析物を検出するためのキットであって、
a. 請求項1〜17のいずれか1項記載の化合物、
b. 前記分析物を検出するための説明書、
を含むキット。
【請求項24】
色素複合体を形成するためのキットであって、
a. 請求項1〜17のいずれか1項記載の反応基を含む化合物、及び、
b. キャリア分子又は固体支持体との色素複合体を形成するための説明書
を含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【公表番号】特表2009−510198(P2009−510198A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532510(P2008−532510)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/037794
【国際公開番号】WO2007/038659
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(507054548)インヴィトロジェン コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】