説明

細線・文字検出方法及び装置

【課題】画像中から、中間階調の、特に1画素線幅の細線・文字を簡素且つ高精度に検出できる細線・文字検出方法を提供する。
【解決手段】画像データの注目画素を中心とした小領域マトリクス内の、画素のばらつき度合と色数から、注目画素が細線・文字であるかを判定する。小領域マトリクスから複数のテンプレートを用いて各々画素を抽出し、前記画素間でばらつき度を求め、該各ばらつき度の中から最小となるばらつき度を求める。最小ばらつき度が所定より大きい、且つ小領域マトリクス内の画素の色数が所定より小さい場合、細線・文字であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル画像から文字や細線部を検出する画像処理方法に関し、特に、線幅が1画素、2画素、3画素の文字を簡易且つ高精度に検出することのできる細線・文字検出方法および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モニタやプリンタなどでは文字とそれ以外の領域について同じ処理を行うと、文字本来の形状を失うことがある。そこで画面内の文字・線の検出を行い別に処理する。従来技術の多くはスキャナ読み込み画像を対象としているため、TextファイルやWebページの文字など1画素幅のものまで考慮しているものは少ない。
【0003】
特許文献1に開示される従来技術では、カラーコピー機において1ドットの線幅で構成される黒文字を検出する方法が開示されている。本技術では、検出対象となる画像データを、R,G,BデータからY(輝度成分),I,Q(彩度成分)データに変換し、輝度成分であるYデータのみを利用して処理を行う。具体的には、
【0004】
1.入力画像についてラスタ順に注目画素を設定していき、注目画素を中心とした3×3画素の領域を抽出する。
【0005】
2.領域内の左上を0として、0から8までのポイントを付ける。
【0006】
3.領域内の画素のうち、輝度値の低い3画素を抽出し、その3画素のポイントを合計する。この合計ポインが12の場合はその3画素は細線候補なので次の4の処理に移る。それ以外の場合はここで処理を終了し、次の画素に移る。
【0007】
4.3×3画素領域内の画素の輝度値と閾値から最終的な細線判定を行い、細線と判定された場合は注目画素に細線コードを付加する。
【0008】
上述の処理により、3×3画素の小領域の中で直線的に並んだ周囲より特に暗い画素群を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−264689
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の方法では、黒文字以外、即ち中間階調の線検出ができない。背景が単色でなければならない、即ちグラデーションのような徐々に変化していく背景では検出できない。3×3画素領域において一直線になるものしか検出できない、1画素幅以外の線検出ができない、等の課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明においては、1画素線幅の細線または文字を検出する細線・文字検出方法において、
入力画像データから注目画素を中心とした4×4画素のマトリクスを取得するマトリクス取得手段と、複数のテンプレートを予め用意しておき、前記マトリクス取得手段と前記複数のテンプレートから、ばらつき度を判定するテンプレートばらつき判定手段と、前記マトリクス取得ステップで取得したマトリクス内の画素の色数を判定する色数判定手段と、注目画素が線または文字であるか否かを判定する文字判定手段と、を有し、
テンプレートばらつき判定手段は、前記マトリクス取得手段で取得したマトリクス内の画素のうち、前記各テンプレートと合致する画素からばらつき度を求め、各テンプレートのばらつき度が最小となるばらつき度が特定の値より大きいか否か判定し、
色数判定手段は、前記マトリクス取得手段で取得したマトリクス内の色数が特定の値より小さいか否かを判定し、
文字判定手段は、前記テンプレートばらつき判定手段の判定結果と、前記色数判定手段の判定結果から、前記注目画素が線または文字であると判定する。
【0012】
請求項1記載の細線・文字検出方法によれば、1画素線幅の細線または文字を検出する細線・文字検出方法において、注目画素を中心とした小領域マトリクス内の画素のばらつき度合から細線または文字の判定を行う。ばらつき度合を判定するだけなので、細線や文字として認識するための精密なテンプレートは必要ではなく、簡素な構成で判定できる。また、細線や文字の階調に依存することなく、あらゆる階調の細線や文字を判定することができる。
さらに、誤判別を防ぐために、小領域マトリクス内の画素の色数を判定する。これにより、誤判別を起こしやすい自然画などある程度まばらな画素の集合部分でも正確に判定できる。
【0013】
請求項2記載の発明においては、2画素線幅の細線または文字を検出する細線・文字検出方法において、
入力画像データから注目画素を中心とした5×5画素のマトリクスを取得するマトリクス取得手段と、複数のテンプレートを予め用意しておき、前記マトリクス取得手段と前記複数のテンプレートから、ばらつき度を判定するテンプレートばらつき判定手段と、前記マトリクス取得手段で取得したマトリクス内の画素の色数を判定する色数判定手段と、注目画素が細線または文字であるか否かを判定する文字判定手段と、を有し、
テンプレートばらつき判定手段は、前記マトリクス取得手段で取得したマトリクス内の画素のうち、前記各テンプレートと合致する画素からばらつき度を求め、各テンプレートのばらつき度が最小となるばらつき度が特定の値より大きいか否か判定し、
色数判定手段は、前記マトリクス取得手段で取得したマトリクス内の色数が特定の値より小さいか否かを判定し、
文字判定手段は、前記テンプレートばらつき判定ステップの判定結果と、前記色数判定手段の判定結果から、前記注目画素が細線または文字であると判定する。
【0014】
請求項2記載の細線・文字検出方法によれば、2画素線幅の細線・文字を検出することができる。
【0015】
請求項3記載の発明においては、さらに請求項1記載の細線・文字検出方法に加え、注目画素と周囲画素を含む2×2画素のマトリクスを取得するマトリクス中央部取得手段と、1画素線幅の線または文字か否かを判定する線幅判定手段と、を有し、
線幅判定手段は、前記マトリクス中央部取得手段で取得したマトリクス内の画素のばらつき度を求め、ばらつき度が特定の値より大きいとき、1画素線幅の細線又は文字と判定する。
【0016】
請求項3記載の細線・文字検出方法によれば、さらに1画素線幅の線又は文字か否かの判定を追加することで、より高精度且つ簡素な構成で1画素線幅の細線や文字を判別できる。
【0017】
請求項4記載の発明においては、さらに請求項2記載の細線・文字検出方法に加え、注目画素と周囲画素を含む3×3画素のマトリクスを取得するマトリクス中央部取得手段と、2画素線幅の線または文字か否かを判定する線幅判定手段と、を有し、
線幅判定手段は、前記マトリクス中央部取得手段で取得したマトリクス内の画素のばらつき度を求め、ばらつき度が特定の値より大きいとき、2画素線幅の細線又は文字と判定する。
【0018】
請求項4記載の細線・文字検出方法によれば、さらに2画素線幅の線又は文字か否かの判定を追加することで、より高精度且つ簡素な構成で2画素線幅の細線や文字を判別できる。
【0019】
請求項5記載の発明においては、ばらつき度の求め方として、対象画素の分散を用いる。
【0020】
請求項5記載の細線・文字検出方法によれば、画素毎に対比する等の計算をすることなく、対象画素間の分散を計算するだけで、簡素且つ精度良く判定できる。
【0021】
請求項6記載の発明においては、テンプレートは、対象となるマトリクスから判定に使用する画素を抽出するために用いられる。
【0022】
請求項6記載の細線・文字検出方法によれば、テンプレートは対象マトリクスとデータ単位で照合するわけではなく、単に判定に使用する画素を抽出するだけなので、簡素な構成で済む。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、n画素線幅の線や文字を検出することができる。
【0024】
請求項8記載の細線・文字検出方法によれば、さらにn画素線幅の線又は文字か否かの判定を追加することで、より高精度且つ簡素な構成でn画素線幅の細線や文字を判別できる。
【発明の効果】
【0025】
上記のように構成した本発明によれば、注目画素を含む小領域内の画素のばらつきから文字や線の判定を行うため、文字や線の階調に依存することはない。また色数判定によって背景が単一色でない場合にも閾値の設定のみで対応できる。
【0026】
さらに、テンプレート内のばらつきをもとに判定するため検出文字などが小領域内で一直線である必要もなく、小領域マトリクスの大きさやテンプレートを変更することで、任意の太さの線・テキスト検出が可能となる。

【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施の形態に係る細線・文字検出方法の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に係るテンプレートばらつき判定部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態に係る色数判定部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態に係る入力画像から取得する小領域マトリクスのイメージ図である。
【図5】第1の実施の形態に係るテンプレート対のイメージ図である。
【図6】第1の実施の形態1に係る文字と判定する動作を説明するイメージ図である。
【図7】第1の実施の形態に係る文字でないと判定する動作を説明するイメージ図である。
【図8】第2の実施の形態に係る細線・文字検出方法の概略構成を示すブロック図である。
【図9】第2の実施の形態に係る線幅判定部の概略構成を示すブロック図である。
【図10】第2の実施の形態に係る概略フローチャートである。
【図11】第2の実施の形態に係る動作を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態に係る小領域マトリクスから取得するマトリクス中央部のイメージ図である。
【図13】本発明に係る2画素線幅文字判定において取得する小領域マトリクスのイメージ図である。
【図14】本発明に係る2画素線幅文字判定において用いるテンプレート対のイメージ図である。
【図15】本発明に係る2画素線幅文字判定において取得するマトリクス中央部のイメージ図である。
【図16】第1の実施の形態に係る概略フローチャートである。
【図17】第1の実施の形態に係る動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
100 … 液晶表示装置
200 … マトリクス取得手段(マトリクス取得ステップ)
300 … テンプレートばらつき判定手段(テンプレートばらつきステップ)
400 … 色数判定手段(色数判定ステップ)
500 … 文字判定手段(文字判定ステップ)
310 … テンプレート画素取得手段
320a … 1対で構成するばらつき度算出手段a
320b … 1対で構成するばらつき度算出手段b
330 … 最大値取得手段
340 … 最小値取得手段
350 … 閾値判定手段


【発明を実施するための形態】
【0029】
〈第1の実施の形態〉
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態について説明する。
本発明は、細線・文字検出方法及び装置の一部を構成するものであり、細線・文字検出方法及び装置に適用される全体の装置については、例えば表示装置等に使われ、広く汎用性を有するため、詳細は省略する。また、ここでは方法について説明を行うが、装置の場合も同様の処理構成となり、例えば画像処理ASIC等においても、以下に説明する各処理構成が、装置として適用される。
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態を示すブロック図であり、図16及び図17はフローチャートである。第1の実施形態は、入力画像信号が入力され、対象画素を中心とした小領域マトリクスを取得するマトリクス取得手段(マトリクス取得ステップ)(200)、マトリクス取得手段から対象画素を中心とする小領域マトリクスが入力されるテンプレートばらつき判定手段(テンプレートばらつき判定ステップ)(300)、同様に小領域マトリクスが入力される色数判定手段(色数判定ステップ)(400)、及び、テンプレートばらつき判定手段(300)と色数判定手段(400)から各々判定フラグが入力され、細線・文字であるか否かを判定しフラグを出力する文字判定手段(文字判定ステップ)(500)を備える。ここでいう入力画像信号はデジタル信号であり、RGB信号やYUV信号等の様々な形式で適用可能である。
【0031】
文字判定手段(500)では、入力された判定結果が、全て細線・文字であると判定されている場合、最終結果として細線・文字であると決定する。
【0032】
図2は、テンプレートばらつき判定手段(300)のブロック図である。テンプレート画素取得手段(310)は、テンプレート記憶手段を有し、入力された小領域マトリクスから各テンプレートに当てはまる画素を抽出し、各々出力する。ばらつき度算出手段(320a、320b)は、記憶されたテンプレートの数だけ準備され、320aと320bとが対として構成されており、入力された各テンプレート画素の分散を計算し出力する。最大値取得手段(330)は、ばらつき度算出手段320aと320bから各々算出された分散値を受け取り、大きい方の値を出力する。最小値取得手段(340)は、夫々の最大値取得手段(330)から出力された最大分散値が入力され、このうちの最小値を最小ばらつき度として出力する。閾値判定手段(350)は、最小値取得手段(340)から入力された値と、特定の閾値とを比較して、最小ばらつき度の方が大きい場合、細線・文字であると判定し、フラグを出力する。
【0033】
図3は、色数判定手段(400)のブロック図である。小領域内構成画素種類数測定手段(410)は、マトリクス取得手段(200)から入力された小領域マトリクスの画素の種類数、即ち色数を測定する。閾値判定手段(420)は、小領域内構成画素種類数測定手段(410)から入力された画素種類数と、特定の閾値とを比較し、画素種類数の方が小さい場合、細線・文字であると判定し、フラグを出力する。
【0034】
テンプレートばらつき判定手段(300)による判定だけでは、自然画などある程度まばらな画素の集合部分でも検知してしまう。色数判定ステップでは、これらの過検出を抑えるために、多くのテキストエディタやWebページでは文字の背景は単色あるいはグラデーション、または虹のような一定の色の集合と仮定して、小領域マトリクス内に含まれる色の数によって自然画領域か否かを判定する。色の数はヒストグラムなどを用いて数える。判定には色の数に対する閾値を用いるが、この値は小領域マトリクスの大きさと許容する背景の各色の幅によって異なる。
【0035】
図4は、1画素細線文字を検出する場合の、マトリクス取得手段(200)で取得される小領域マトリクスである。入力画像全体から、処理対象となる注目画素を中心として、図示のとおり周辺画素を含めた4×4画素の小領域マトリクスを取り出す。尚、注目画素とその周辺画素の取り方は如何様でも可能であるが、よりマトリクスの中心に近い方が望ましい。
【0036】
図5はテンプレートの一例である。ここでは2つのテンプレートを1対とし、4組合計8つのテンプレートを用いる例を示す。テンプレートは、(V0、V1)、(V2、V3)、(V4、V5)、(V6、V7)と1対4組で構成しており、小領域マトリクスと同じ4×4画素の大きさである。テンプレートばらつき判定手段(300)の前段であるテンプレート画素取得手段(310)で、入力された小領域マトリクスに適用されて、マトリクスから画素を抽出する。例えば、V0の場合、右2×4画素を抽出し、左2×4画素はマスクされる。V1の場合、左2×4画素が抽出され、右2×4画素がマスクされる。
【0037】
テンプレートにより抽出された画素は、1対で構成されたばらつき度算出手段(320a,320b)にそれぞれ送られる。V0で抽出された画素は320aに、V1で抽出された画素は320bに、その他の組も同様にそれぞれのばらつき度算出手段に送られる。
【0038】
ばらつき度算出手段(320a、320b)では、それぞれ画素間の分散を計算する。分散の計算は、対象となる画素数をm、対象画素値をi(n=a、b)とすると、
【0039】
【数1】

として表される。対象画素数mは本実施形態では、テンプレートV0、V1、V2、V3の場合は8画素、V4、V5、V6、V7の場合は10画素となる。
【0040】
ばらつき度算出手段(320a、320b)で算出された分散値は、1対として最大値取得手段(330)にそれぞれ送られる。最大値取得手段(330)では、大きい方の値を最大値としてそれぞれ選択する。
最小値取得手段(340)は、最大値取得手段(330)から送られた最大値のうち、最小値を選択する。
【0041】
最小値取得手段(340)で選択された最小値は、閾値判定手段(350)で所定の閾値と比較され、大きい場合、細線・文字であると判定され、フラグを立てられる。
前述のテンプレートばらつき判定手段での計算をまとめると下記の式で表すことができる。
【0042】
min(max(V0,V1),max(V2,V3),max(V4,V5),max(V6,V7))
【0043】
精度は落ちるが、より単純に、
【0044】
min(V0,V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7)
【0045】
としてもよい。
【0046】
図6に具体例を示す。図6は、1画素細線文字「スポーツ」(910)の中の「ス」の文字領域が対象画素の場合である。小領域マトリクスとして、対象画素である上2左2番目の画素を中心として4×4画素のマトリクス(920)を取り出す。このマトリクスに、各テンプレートV0〜V7を適用してテンプレート画素(930,940,950,960)を抽出する。各々のテンプレート画素対から分散値の大きい方の値(970)を取り、この中から最小値(980)を採択する。所定の閾値との判定(990)を行い、閾値より大きければ1画素線幅細線・文字であると判定する。
【0047】
図7は、1画素細線文字「スポーツ」の周辺領域における具体例である。この例では、文字周辺が無地であり、1画素線幅細線・文字ではないと判定されている。
【0048】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施形態は、さらに精度を向上するため、第1の実施形態の構成に線幅判定手段を加えたものである。
【0049】
図8は、第2の実施形態におけるブロック図、図10及び図11はフローチャートである。第2の実施形態におけるマトリクス取得手段(マトリクス取得ステップ)(200)、テンプレートばらつき判定手段(テンプレートばらつき判定ステップ)(300)、色数判定手段(色数判定ステップ)(400)、文字判定手段(文字判定ステップ)(500)は、第1の実施形態と動作含めて同一であり、線幅判定手段(線幅判定ステップ)(700)が追加されるのみである。
【0050】
図9は、線幅判定手段のブロック図である。マトリクス取得手段(200)から小領域マトリクスが入力され、マトリクス中央部取得手段(710)でマトリクスの中央部が取得される。例えば、1画素線幅判定の場合では、図12に示すように、小領域マトリクスは4×4画素であり、マトリクス中央部は中央の2×2画素になる。
【0051】
マトリクス中央部は、ばらつき判定手段(720)に入力され、ばらつき度を求める。ばらつき度としては、テンプレートばらつき判定手段(300)と同様に、分散値算出を用いるが、それ以外の方法を用いてもよい。ばらつき度は、閾値判定手段(730)に送られ、所定の閾値と比較される。ばらつき度が所定閾値より大きい場合、当該線幅細線・文字であると判定し、フラグを立てる。
【0052】
以上、第2の実施形態では、第1の実施形態にさらに判定処理を追加した分、さらなる精度向上が見込める。
【0053】
本発明は、上記実施形態に限られることなく、下記のように変形実施することができる。
【0054】
(1)第1の実施形態および第2の実施形態において、テンプレートばらつき判定手段、色数判定手段、線幅判定手段の各構成を並列に構成したが、これに限らず、直列的に構成してもよい。この場合、図10、11及び図16,17に例示するようなフローで構成すると精度、効率ともによくなる。
【0055】
(2)第1の実施形態および第2の実施形態において、1画素線幅の細線・文字を検出する4×4画素の小領域マトリクスによる構成を例示したが、2画素線幅の細線・文字検出に用いる処理単位は5×5画素になる。図13に小領域マトリクス、図14にテンプレート、図15に線幅判定に用いる画素の例を示す。2画素線幅を含む3画素線幅以上の場合、小領域マトリクス及びテンプレートは(2n+1)×(2n+1)に、線幅判定には(2n−1)×(2n−1)のサイズを用いることになる。また、ここで示した8つのテンプレートはあくまで一例であり、より精度を上げるためには、さらにテンプレートの数を増やしても良い。なお、上述した各サイズは、本発明における精度、構成の簡素化の点で最も効率がよくなる大きさを示したものであり、より大きなサイズでも可能であることはいうまでもないが、この場合構成や処理が大きくなり、効率的ではない。
【0056】
(3)第1の実施形態および第2の実施形態において、テンプレートばらつき判定手段のばらつき度算出部や最大値取得部等を、テンプレート数分だけ用意する構成を例示したが、これに限られることはなく、ばらつき度算出部及び最大値取得部を各々1つだけの構成にして、ループ処理にしてもよく、ソフトウェアによる実施のときはこの方法になる。並列構成と比べると処理速度は低下するが、コスト面で有利となる。
【0057】
(4)第1の実施形態および第2の実施形態において、1画素線幅の細線・文字判定を中心に個別の線幅単位で例示したが、これに限ることはなく、各構成要素を各線幅に選択適用可能に構成し、各線幅毎に判定を繰り返すルーチン処理とすることもできる。
【0058】
(5)第1の実施形態および第2の実施形態において、テンプレートを用意する手段をテンプレート記憶手段に記憶しておくとして例示したが、これに限ることなく、ネットワーク接続可能な任意の場所に用意し、必要なタイミングでアクセスして取得する方法をとることも含む。また、予め準備した記憶手段を更新可能にしておいて、改良したテンプレートに書き換えていくことも含む。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
1画素幅の線または文字を検出する細線・文字検出方法において、
入力画像データから注目画素を中心とした4×4画素以上のマトリクスをマトリクス取得手段が取得し、
複数のテンプレートを予め用意しておき、前記取得した4×4画素以上のマトリクスと前記複数のテンプレートから、
テンプレートばらつき判定手段がばらつき度を判定し、
前記取得した4×4画素以上のマトリクス内の画素の色数が特定の値より小さいか否かを色数判定手段が判定し、
前記ばらつき度の判定結果と前記色数が特定の値より小さいか否かの判定結果から、
文字判定手段が前記注目画素が線または文字であると判定する、細線・文字検出方法。
【請求項2】
2画素幅の線または文字を検出する細線・文字検出方法において、
入力画像データから注目画素を中心とした5×5画素以上のマトリクスをマトリクス取得手段が取得し、
複数のテンプレートを予め用意しておき、前記取得した5×5画素以上のマトリクスと前記複数のテンプレートから、
テンプレートばらつき判定手段がばらつき度を判定し、
前記取得した5×5画素以上のマトリクス内の画素の色数が特定の値より小さいか否かを色数判定手段が判定し、
前記テンプレートばらつき判定手段の判定結果と前記色数判定手段の判定結果から、文字判定手段が前記注目画素が線または文字であると判定する、細線・文字検出方法。
【請求項3】
前記マトリクスから線幅判定手段が注目画素と周囲画素を含む2×2画素以上のマトリクスを抽出し、
画素のばらつき度を求め、ばらつき度が特定の値より大きいとき、1画素線幅の線又は文字と判定する請求項1記載の細線・文字検出方法。
【請求項4】
前記マトリクスから線幅判定手段が注目画素と周囲画素を含む3×3画素以上のマトリクスを抽出し、
画素のばらつき度を求め、ばらつき度が特定の値より大きいとき、2画素線幅の線又は文字と判定する請求項2記載の細線・文字検出方法。
【請求項5】
前記ばらつき度は、判定対象となる画素群の分散であることを特徴とする請求項1乃至4記載の細線・文字検出方法。
【請求項6】
前記テンプレートは、前記マトリクス取得手段が取得するマトリクスの画素のうち、判定に用いる画素を抽出するものであることを特徴とする請求項1乃至4記載の細線・文字検出方法。
【請求項7】
n画素幅(n≧1)の線または文字を検出する細線・文字検出方法において、
入力画像データから注目画素を中心とした(2n+1)×(2n+1)画素以上のマトリクスをマトリクス取得手段が取得し、
前記取得したマトリクスと同一の大きさである複数のテンプレートをテンプレート記憶手段が記憶しておき、
前記マトリクス取得手段で取得したマトリクス内の画素のうち、前記テンプレート記憶手段に記憶された各テンプレートと合致する画素からばらつき度を求め、各テンプレートのばらつき度が最小となるばらつき度が特定の値より大きいか否かを、テンプレートばらつき判定手段が判定し、
前記マトリクス取得手段で取得したマトリクス内の色数が特定の値より小さいか否かを、色数判定手段が判定し、
前記テンプレートばらつき判定手段の判定結果と前記色数判定手段の判定結果から、文字判定手段が前記注目画素が線または文字であると判定する、細線・文字検出方法。
【請求項8】
前記マトリクスから線幅判定手段が注目画素と周囲画素を含む(2n−1)×(2n−1)画素以上のマトリクスを抽出し、
画素のばらつき度を求め、ばらつき度が特定の値より大きいとき、n画素線幅の線又は文字と判定する請求項1記載の細線・文字検出方法。
【請求項9】
1画素幅の線または文字を検出する細線・文字検出装置において、
入力画像データから注目画素を中心とした4×4画素以上のマトリクスを取得するマトリクス取得手段と、
複数のテンプレートを予め用意しておき、前記マトリクス取得手段と前記複数のテンプレートから、ばらつき度を判定するテンプレートばらつき判定手段と、
前記マトリクス取得手段で取得したマトリクス内の画素の色数を判定する色数判定手段と、
注目画素が線または文字であるか否かを判定する文字判定手段と、
テンプレートばらつき判定手段は、前記マトリクス取得手段で取得したマトリクス内の画素のうち、前記各テンプレートと合致する画素からばらつき度を求め、各テンプレートのばらつき度が最小となるばらつき度が特定の値より大きいか否か判定し、
色数判定手段は、前記マトリクス取得手段で取得したマトリクス内の色数が特定の値より小さいか否かを判定し、
文字判定手段は、前記テンプレートばらつき判定手段の判定結果と、前記色数判定手段の判定結果から、前記注目画素が線または文字であると判定する細線・文字検出装置。
【請求項10】
2画素幅の線または文字を検出する細線・文字検出装置において、
入力画像データから注目画素を中心とした5×5画素以上のマトリクスを取得するマトリクス取得手段と、
複数のテンプレートを予め用意しておき、前記マトリクス取得手段と前記複数のテンプレートから、ばらつき度を判定するテンプレートばらつき判定手段と、
前記マトリクス取得手段で取得したマトリクス内の画素の色数を判定する色数判定手段と、
注目画素が線または文字であるか否かを判定する文字判定手段と、
テンプレートばらつき判定手段は、前記マトリクス取得手段で取得したマトリクス内の画素のうち、前記各テンプレートと合致する画素からばらつき度を求め、各テンプレートのばらつき度が最小となるばらつき度が特定の値より大きいか否か判定し、
色数判定手段は、前記マトリクス取得手段で取得したマトリクス内の色数が特定の値より小さいか否かを判定し、
文字判定手段は、前記テンプレートばらつき判定手段の判定結果と、前記色数判定手段の判定結果から、前記注目画素が線または文字であると判定する細線・文字検出装置。
【請求項11】
さらに、1画素線幅の線または文字か否かを判定する線幅判定手段を有し、線幅判定手段は、前記マトリクスから注目画素と周囲画素を含む2×2画素以上のマトリクスを抽出し、
画素のばらつき度を求め、ばらつき度が特定の値より大きいとき、1画素線幅の線又は文字と判定する請求項9記載の細線・文字検出装置。
【請求項12】
さらに、2画素線幅の線または文字か否かを判定する線幅判定手段を有し、
前記線幅判定手段は、前記マトリクスから注目画素と周囲画素を含む3×3画素以上のマトリクスを抽出し、
画素のばらつき度を求め、ばらつき度が特定の値より大きいとき、2画素線幅の線又は文字と判定する請求項10記載の細線・文字検出装置。
【請求項13】
前記ばらつき度は、判定対象となる画素群の分散であることを特徴とする請求項9乃至12記載の細線・文字検出装置。
【請求項14】
前記テンプレートは、前記マトリクス取得手段が取得するマトリクスの画素のうち、判定に用いる画素を抽出するものであることを特徴とする請求項9乃至12記載の細線・文字検出装置。
【請求項15】
n画素幅(n≧1)の線または文字を検出する細線・文字検出装置において、
入力画像データから注目画素を中心とした(2n+1)×(2n+1)画素以上のマトリクスを取得するマトリクス取得手段と、
前記取得したマトリクスと同一の大きさである複数のテンプレートを記憶しておくテンプレート記憶手段と、
前記マトリクス取得手段と前記テンプレート記憶手段で記憶された複数のテンプレートから、ばらつき度を判定するテンプレートばらつき判定手段と、
前記マトリクス取得手段で取得したマトリクス内の画素の色数を判定する色数判定手段と、
注目画素が線または文字であるか否かを判定する文字判定手段と、
を有し、
テンプレートばらつき判定手段は、前記マトリクス取得手段で取得したマトリクス内の画素のうち、前記テンプレート記憶手段に記憶された各テンプレートと合致する画素からばらつき度を求め、各テンプレートのばらつき度が最小となるばらつき度が特定の値より大きいか否か判定し、
色数判定手段は、前記マトリクス取得手段で取得したマトリクス内の色数が特定の値より小さいか否かを判定し、
文字判定手段は、前記テンプレートばらつき判定手段の判定結果と、前記色数判定手段の判定結果から、前記注目画素が線または文字であると判定する細線・文字検出装置。
【請求項16】
さらに、n画素線幅の線または文字か否かを判定する線幅判定手段を有し、
前記線幅判定手段は、前記マトリクスから注目画素と周囲画素を含む(2n−1)×(2n−1)画素以上のマトリクスを抽出し、
画素のばらつき度を求め、ばらつき度が特定の値より大きいとき、n画素線幅の線又は文字と判定する請求項9記載の細線・文字検出装置。



















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−216956(P2012−216956A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80121(P2011−80121)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(391010116)株式会社ナナオ (160)
【Fターム(参考)】