説明

細胞ソート・デバイス

統合されたマイクロシステムであって、マイクロチャンネル、上記マイクロチャンネルの少なくとも1つの第1の部分における流れの方向と実質的に共線的な方向を有するマイクロチャンネルの上記部分における磁場を生成するための第1のジェネレータを備えており、上記磁場はまたグラジエントを示し、上記マイクロシステムは上記マイクロチャネルと流体連絡した検出領域を追加的に含む、前記マイクロシステム。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ここ数十年間において、医薬における進歩は、分子及び細胞生物学によって強く刺激されてきている。これは、例えば、癌についての場合である。癌研究は、ゲノミクス、バイオインフォマティックス、及び画像技術の甚だしい進展から、並びに物理学、化学と分子生物学における最前線の技術的な進歩から借用する高い処理能力ツールから恩恵を受ける。しかしながら最近、これらの進展は、例えばKurian, A. W., et al. (2007). J Clin Oncol, 25, 634-41に記載されているように、患者についての結果におけるすばらしい変化を伴って、新しいバイオマーカー及び関連する新薬の展開にすでにもたらされている。例えば、これは、HER2+表面受容体に対する抗体に基づく特定の薬(例えば、ハーセプチン)で治療されうる、この受容体について陽性についての乳癌患者についての場合である。
【0002】
しかしながら、これまで、癌治療に対するこれらの分子的アプローチは、比較的に少ない数の癌に関連するだけであり、再発がまだ存在する。現時点では、進歩の制限のうちの1つは、分子バイオマーカーが腫瘍において全体として探されるということである。最近の研究は、全体の腫瘍のごく一部分だけがほとんどの増殖及び転移能力を生じうることを強く示唆する。
【0003】
現在の方法で、最も危険な細胞の分子特性は、腫瘍のそれらによって全体として隠されうる。最も効率的な治療を処方するために、癌細胞のサブ集団の詳細な分子特性を実行することができるようにすることは癌治療における進歩のための主な挑戦である。従って、腫瘍細胞のソート及び分析は、研究のために、臨床診断、予後及び治療選択、並びに経過観察のために非常に重要である。
【0004】
特に重要な分野は、転移(すなわち器官(例えば骨髄又はリンパ節)中に存在する播種性腫瘍細胞(DTC, Disseminated Tumour Cells)、微小転移(すなわち循環腫瘍細胞(CTC, Circulating Tumour Cells))をもたらす細胞に関連する。従って、そのような腫瘍細胞を検出し且つ特徴付けることが可能である新規な方法を開発することに非常に強い必要性がある。これらの細胞は非常に低いレベルで、100,000当たり1つのように低い又はさらに100万当たり1つのように低い、サンプル中に存在しうるので、これは困難な挑戦である。
【0005】
希少細胞の特定のソートが高い価値がある他の応用は、母親の血液中の循環胎児細胞、及び循環内皮細胞の研究及び臨床のため、循環器疾患の予知のため、及びまた癌展開における血管形成のため、並びに抗血管形成治療の処方及び経過観察ためである。
【0006】
下記において、幾つかの非完全な例が上記で再呼び出しされる場合に、関心のある潜在的な細胞の全てのカテゴリは、関心のある細胞(「Cells Of Interest」)についての総称的なラベル"COI"の下に記載されるだろう。
【0007】
COIの識別のためのもっとも伝統的な方法は、ビジュアル・サイトメトリーである。遠心分離及び再懸濁後に、細胞が固定化され、浸透され、そして染色される顕微鏡スライド上で血液サンプルが展開される。次に、それらは、高い倍率で顕微鏡で観察される。複数のラベル付けプロトコルが適用されうるので、これらの技術は非常に適用が広い。それはまた、細胞の形態の視覚観察を許し、それは経験豊かな解剖病理学者の管理下において非常に有用な識別ツールのままである。しかしながら、視覚は、非常に時間を消費し、且つ、専門家である医学博士(MD)に専門的技術を要求する。
【0008】
細胞スクリーニングのために幅広く使用される他の方法は、フローサイトメトリーである。フローサイトメトリーは非常に自動化された方法であり、且つ、それは、マルチラベル付け戦略に発展のおかげで、強力な識別力をここ数十年間において得てきている。しかしながら、それは処理量において制限されており、定量データの高い分散を含む。この分散は、サンプルにおいて豊富な細胞集団(populations)で作業している場合には重大な決定でないが、希少細胞につて適用されない。典型的に、このシステムは、各カテゴリにおいて数百の細胞について信頼があるが、典型的に、10,000当たり1つに満たない割合における細胞について信頼がない。それ故に、典型的なCTC検出必要性のために使用されることができない。
【0009】
例えば国際公開第WO 2006/100366号に記載されているような濾過に基づく戦略はまた、上記に引用された古典的な方法の問題を解決するために提案されてきている。このアプローチは、簡潔性の有利点を有しているが、また強力な制限を有する。第1に、それは、サイズ、形状、又は粘弾性特性により細胞をソートするだけであり、それは、例えば種々の腫瘍細胞のサブ集団をソートするために十分でない。第2に、希少細胞スクリーニングのために必要な血液の量(典型的に、10mL)を濾過するために、かなり大きいフィルタが必要である(10〜50cm2)。従って、わずかの捕捉された細胞が広い面積上にばらまかれ、さらに、操作及び可視化を比較的面倒にさせた。
【0010】
細胞はまた、COIの特定の表面抗原に対する抗体を生み出す磁性粒子を使用してソートされうる。単位(Units)が、例えば、会社DYNAL(登録商標)又はMILTENYI(登録商標)によって提案されている。典型的に、このソートは、上記サンプルを、所与の表面抗原のために特定の抗体で結びつけられた磁性マイクロ又はナノ粒子で混合すること、撹拌下でインキュベーションすること、そして磁石で、関心のある付着された細胞を有する磁性粒子を集めることによって実行される。この方法は、操作するのに簡単である。しかしながら、捕捉された細胞は、捕捉後に特徴付けられなければならない。ビーズが大きいならば(例えば、DYNALの単位)、それらは、それらは、磁気的堆積化の間に上記細胞を集め、そして特徴付けを困難にする。MILTENYIによって提案されたより小さい粒子を使用する改良型は、上記細胞を分離するために特定のマイクロカラムを必要とするが、幾つかはカラム中でトラップされたままであり、従ってこのシステムの高感度収率を減少させる。これらの方法の全ては、いずれにせよ、多くの操作を必要とする。
【0011】
上記制限を克服するために、希少細胞ソートのための自動化機器が、名称「Cell Track(商標)」及び「Cell Search(商標)」の下でVERIDEX(登録商標)によって最近商業化された。このシステムは第1に自動化ソーターを含み、それは7.5 mlの血液サンプルにおいて磁性粒子を使用して癌細胞のバッチ・ソートを自動化する。CellSearch(商標)システムはまた、捕捉された細胞の視覚的検査のための半自動画像解析システムを備えている。このシステムは、異常な細胞候補を選択し、そしてそれらを画像のライブラリーに示すことによって病理学者の仕事を簡素化する。VERIDEX(登録商標)システムは、慣用のハンド・ヘルド・ソートよりもより少ない労働集約であるが、それはまだ、磁気的ソートの主な欠点を被る。特に、それは、最終サンプル中の上記捕捉された細胞に関して磁気的キャリヤーの巨大な過剰の存在を要求し、そして排出による非特異的な細胞による汚染をもたらす。その上、細胞はスライド上にランダムに並べられ、そして重なりうる。従って、それらの自動化された識別は、スライド上にまた存在する磁性粒子の高い量によって混乱されうる。加えて、細胞は、比較的低い解像度で蛍光サインによってのみ特定されることができ、それらの形態学的特徴によって細胞の型の決定を阻む。
【0012】
代替として、米国特許出願公開第US 2007026416号明細書は、細胞サンプルを処理するためのデバイスであって、上記デバイスは、隙間のネットワークを形成する障害物の第1のアレイを含むチャンネルを備えており、上記障害物は、1又はそれより多い第1の細胞が上記霜害物と選択的に接触することを生じさせるように構成されており、上記障害物の少なくとも幾つかは、上記第1の細胞を選択的に結合する1又はそれより多い捕捉残基を含む、上記デバイスを記載する。癌の診断、出生前診断などに対する実現の様々な様式及び様々な潜在的な適用を列挙するこの発明の様々な変形が、国際公開第WO 2006/108087号、米国特許出願公開第US 2007099207号明細書、国際公開第WO 2006108101号、米国特許出願公開第US 2007196820号明細書、米国特許出願公開第US 2007026-413号明細書、-469号明細書、-414号明細書、-415号明細書、-416号明細書、-417号明細書、-418号明細書;米国特許出願公開第US 2007059-716号明細書、- 680号明細書、-774号明細書、-719号明細書、-718号明細書、-781号明細書;米国特許出願公開第US 2007172903;米国特許出願公開第US 2007231851号明細書;米国特許出願公開第US 2007259424号明細書;米国特許出願公開第US 2007264675号明細書;国際公開第WO 2007/106598号;国際公開第WO 2007147018号;米国特許出願公開第US 2008090239号明細書;国際公開第WO 2007147079号;国際公開第WO 2008014516号;米国特許出願公開第US 2008113358号明細書;米国特許出願公開第 US 20080138809号明細書において同じグループによって開示されている。
【0013】
これらのシステムは、高い効率で希少細胞をソートすることができるが、それらはまた幾つかの欠点を被る。第1に、それらは、正しい細胞サイズで精密な商売物を達成するために、高価で且つ繊細な微細加工工程を要求する。各マイクロ流体デバイスは独立して機能的にされなければならず、それはコストがかかり且つ再現性問題を含む。また、これらのマイクロシステムは、かなり厚く無ければならず、且つ、上記捕捉された細胞の高解像度が困難である。
【0014】
従って、多数の且つ精一杯の努力にもかかわらず、分析物のソート及び研究のために、特に細胞のソートの為に使用可能であり、希少細胞の研究のために、製作の低コスト、製作の及び使用の容易性、高自動化、高識別力、及び高感度を組み合わせたシステムはまだない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そのようなシステム、及び関連する方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の例示的な実施態様は、分析物を捕捉し、ソートし、解析し、型を決定し、又は培養するためのマイクロ流体デバイスであって、少なくとも1つの活性ゾーンを含む少なくとも1つのマイクロチャンネルを備えており、上記活性ゾーンは少なくとも1つの捕捉要素、好ましくは複数の捕捉要素のアレイ、を備えており、上記活性ゾーンの幅又は複数の活性ゾーンの合計の幅は、それらの有効長よりも長い、好ましくはそれらの有効長の2倍よりも長い、より好ましくはそれらの有効長の5倍よりも長いところの上記マイクロ流体デバイスを提供する。
【0017】
活性ゾーンの上記幅は上記マイクロチャンネル内の流れに垂直な方向に測定され、且つ、活性ゾーンの上記有効長は上記流れに平行な方向に測定される。
【0018】
上記分析物が、細胞又は細胞集合体(aggregates)でありうる。
【0019】
その局面の幾つかにおいて、本発明はまた、サンプル流体からの分析物を捕捉し、ソートし、解析し、型を決定し、又は培養するためのマイクロ流体デバイスであって、少なくとも1つの活性ゾーンを含む少なくとも1つのマイクロチャンネルを備えており、上記活性ゾーンは、少なくとも1つの捕捉要素、好ましくは複数の捕捉要素のアレイ、を備えているところの上記マイクロ流体デバイスを提供する。
【0020】
「サンプル液」によって、当業者は、分析物が含まれている液を意味する。サンプル液は、体液、分析物が初めに存在している液体若しくは固体のサンプルから抽出される液、又は、上記分析物が溶解している又は懸濁されているところの人口液、例えばバッファでありうる。
【0021】
下記において、語「核酸」は、天然核酸、例えばDNA及びRNA、だけでなく、人工的な又は修飾された核酸(非完全なリストとして、例えば、PNA、LNA、チオール化された核酸など)もまたいう。それは、とりわけ、ゲノム核酸、リボソーム核酸、ミトコンドリア核酸、感染性有機体からの核酸、メッセンジャーRNA、マイクロRNA、又は、核酸薬物をいいうる。
【0022】
下記において、語「ポリペプチド」は、その最も一般的な意味において使用され、及び、特に、任意の種類の分子、又は、アミノ酸配列、天然及び人工タンパク質、ポリペプチド、タンパク質のフラグメント、タンパク質複合体、酵素、抗体、グリコペプチド若しくはグリコタンパク質、並びにそれらの化学的或いは生化学的変性物を包含する分子アセンブリをいう。
【0023】
本明細書において使用される場合、語「リガンド」は、他の種、特に分析物と可逆的に又は非可逆的に結合することができる種又は官能体をいう。多くのリガンドが、当業者に知られている。本発明内でリガンドとして特に関心のあるものは、抗体、金属、ヒスチジンタグ、疎水性残基、水素結合捕捉残基、タンパク質A、荷電種核酸配列、多価電解質、リン脂質、化学品、薬物、核酸、抗体、蛍光残基、発光性残基、染料、ナノ粒子、金ナノ粒子、量子ドット、DNA挿入(インターカレーティング)染料、アプタマーである。
【0024】
本発明の詳細な説明において使用される場合に、語「分析物」は、当業者が研究するために、解析するために、保存するために、又は培養するためにサンプルから分析物を分離することを望む何らかの化合物又は材料エンティティを示しうる。本発明内で分析物は、分子、イオン、原子、高分子であり、特に高分子、又は分析物コロイド状物体でありうる。語「分析物」によって、当業者はサンプル中に存在する、1つの単一の種類の種、又は、複数の種類の種を区別せずに示しうる。
【0025】
本発明の説明において使用される場合に、語「分析物コロイド状物体」は、細胞、細胞小器官、ウィルス、細胞集合体、島細胞、胚、花粉粒、人工又は天然の有機粒子、例えばラテックス粒子、デンドリマー、小胞、磁性粒子、ナノ粒子、量子ドット、金属マイクロ粒子、金属ナノ粒子、有機金属マイクロ又はナノ粒子、ナノチューブ、人工又は天然の高分子、マイクロゲル、高分子集合体、タンパク質又はタンパク質集合体、ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド集合体、核タンパク質集合体、ポリサッカライド、若しくは超分子アセンブリ、又は、上記化合物の組み合わせを包含する多種多様の化合物を示しうる。語「分析物粒子」は、「分析物コロイド状物体」と同じ意味を有するものとして本明細書において使用されるだろう。
【0026】
本明細書において使用される場合、「マイクロ流体の」、「顕微鏡の(マイクロスコピック)」、「マイクロスケール」、接頭辞「マイクロ−」(例えば、「マイクロチャンネル」など中におけるような)は、ある場合には、約1mmよりも小さい及び約100マイクロン(マイクロメーター)よりも小さい幅若しくは直径又はそれらの寸法の少なくとも1つを有する要素若しくは物をいう。さらに、本明細書において使用される場合、「マイクロ流体の」は、少なくとも1つのマイクロスケールチャンネルを備えているデバイス、器具、又はシステムをいう。
【0027】
本明細書において使用される場合、「チャンネル」は、流体の流れを少なくとも部分的に方向付ける品物(例えば基体)上の又はその中の特徴を意味する。ある場合には、チャンネルは、単一のコンポーネント、例えばエッチングされた基体又は成形されたユニット、によって少なくとも部分的に形成されうる。チャンネルは、任意の横断切片(cross-sectional)形状、例えば(任意のアスペクト比を有する)円、長円形、三画形、一様でない(irregular)、正方形又は長方形などを有することができ、且つ、覆われていても又は覆われていなくてもよい(すなわち、チャンネルを囲む外部環境に開かれている)。
【0028】
チャンネルが完全に覆われている実施態様において、当該チャンネルの少なくとも一部分が完全に取り囲まれている横断切片を有することができ、及び/又は、全体のチャンネルがその入口及び出口を除いて、その全体長に沿って完全に取り囲まれうる。
【0029】
チャンネルは、その切片の少なくとも幾つかにおいて、少なくとも2:1、より典型的に少なくとも、3:1、5:1、又は10:1のアスペクト比(長さ対平均横断切片寸法)を有しうる。本明細書において使用される場合に、流体又はマイクロ流体のチャンネルに関して、「横断切片寸法」は、チャンネル内の流体流れに全体的に垂直の方向において測定される。品物又は基体において、幾つかの又は全てのチャンネルは、流体流れに垂直の最大寸法を有する特定のサイズ又はそれよりも小さく、例えば、約5mm又はそれよりも小さい、約2mm又はそれよりも小さい、約1mm又はそれよりも小さい、約500ミクロン又はそれよりも小さい、約200ミクロン又はそれよりも小さい、約100ミクロン又はそれよりも小さい、約60ミクロン又はそれよりも小さい、約50ミクロン又はそれよりも小さい、約40ミクロン又はそれよりも小さい、約30ミクロン又はそれよりも小さい、約25ミクロン又はそれよりも小さい、約10ミクロン又はそれよりも小さい、約3ミクロン又はそれよりも小さい、約1ミクロン又はそれよりも小さい、約300nm又はそれよりも小さい、約100nm又はそれよりも小さい、約30nm又はそれよりも小さい、若しくは、約10nm又はそれよりも小さい、又は、ある場合にはそれよりも小さくありうる。しかしながら、本発明の下記詳細な説明中でより明らかにされるであろうように、本発明はまた、慣用のマイクロ流体システムにおいて現在でない流体流れに垂直に最長寸法、例えば1mmよりも大きい、5mmよりも大きい、1cmよりも大きい、又はさらに、3cm、5cm若しくは10cmよりも大きい、を包含しうる。
【0030】
一つの実施態様において、上記チャンネルは、キャピラリー・チャンネルである。しかしながら、幾つかの場合において、より大きい、チャンネル、チューブなどが、まとめて(in bulk)流体を保存するために、及び/又は流体をチャンネルに運ぶために使用されうる。
【0031】
本明細書において使用される場合に、語「マイクロシステム」は、自己アセンブリィのマイクロ加工をその工程の一つにおいて包含するし処理によって用意される手の込んだ且つ機能的なマイクロ構造を包含するデバイスをいう。
【0032】
マイクロシステムをさらに適任とするために本明細書において使用される場合に、語「マイクロ流体の」は、それに何ら制限されることなしに、流体がそれを通して通過される又は方向付けられることができる構造又はデバイスであり、ここで、1以上の寸法が500ミクロンよりも小さい、と理解されるべきである。幾つかの実施態様において、マイクロ流体システムは、マイクロチャンネルを包含する。
【0033】
本明細書において使用される場合、語「マイクロチャンネル」は、広い意味で解釈されるべきである。従って、それは、横断する又は長手方向の寸法が直径又は断面寸法を非常に超える伸張した構成に制限されるように意図されない。むしろ、そのような語は、空洞、トンネル又は任意の望ましい形状又は構成の3次元構造を含むように意味される。そのような空洞は、例えば、流体が連続的に渡されるところの細胞を通じる流れ、又は、代替的に、特定の個々の量の流体を保持するチャンネルを含みうる。
【0034】
本明細書において使用される場合、語「マイクロチャンネル・ネットワーク」は、2つの基体間に配置されている又は基体によって一体的に囲まれている、及び流体連絡中にあり、又は上記基体中に統合されたマイクロバルブのおかげで互いに連絡する流体中に置かれうる、1又はそれより上のマイクロスケールチャンネルをいう。
【0035】
語「マイクロチャンネル・アレイ」は、同じ基体中で微細加工された、少なくとも2つの、連絡されていないマイクロチャンネル又はマイクロチャンネル・ネットワークの集合体(ensemble)をいう。マイクロチャンネル・アレイは、マイクロチャンネル・ネットワーク中にさらに包含されるマイクロチャンネルをさらに含むことができ、従って、マイクロチャンネル・ネットワークのアレイをもたらす。
【0036】
下記において、別のような特定される場合を除いて、語「マイクロチャンネル」は、単一のマイクロチャンネル、多数のマイクロチャンネル、又はマイクロチャンネル・ネットワーク又はマイクロアレイのいずれかを包含するように考慮されるだろう。
【0037】
マイクロチャンネルの上記活性ゾーンは、少なくとも1つの直接又は間接の捕捉ドメイン、又は、分析物の直接又は間接の捕捉の為に適している捕捉要素を、それぞれ、その表面の少なくとも1部上に運ぶマイクロチャンネルのゾーンとして定義される。下記において、名称「活性ゾーン」又は「活性領域」は同じ意味を有し、区別せずに使用されるだろう。
【0038】
「捕捉」によって、我々は、上記マイクロ流体デバイスの少なくとも1つの予め定められたゾーンで分析物の意図的に固定することを意味する。
【0039】
2つの語「捕捉ドメイン」又は「捕捉要素」は、分析物がそこで又はその上で直接的に又は間接的に捕捉されうるところの、上記デバイスの活性ゾーンの特定部分を意味するための以降において使用されるだろう。この捕捉は、例えば、上記分析物と上記捕捉要素との間の直接的な接触、又は、上記分析物と第2の要素(以下、「捕捉物体」と呼ばれる)、例えば上記捕捉要素上にそれ自体固定化される捕捉コロイド状物体、に属する表面との接触を包含しうる。従って、好ましくは、上記捕捉物体は、捕捉ドメイン上で活性ゾーンにおいてそれ自体固定化され、そのような場合に上記分析物の捕捉が上記間接的である。
【0040】
本発明内において、捕捉コロイド状物体は、本発明に従うデバイス内で活性ゾーンにおいて固定化されうる且つ分析物をそれ自体結合しうるところのコロイド状物体である。上記捕捉コロイド状物体は、様々な天然体、例えばラテックスビーズ、マイクロ粒子、ナノ粒子、マイクロゲル、デンドリマー、小胞、液滴でありうる。それはまた、無機物、有機又は有機無機の物質、及びより特には、例えば、ポリマーラテックス、金属、金属酸化物、セラミックス、シリカ、ガラス、有機液体、ハイドロゲル、及びそれらの組み合わせのうちで様々な物質でありうる。
【0041】
例えば、上記活性ゾーンが磁場で活性化可能である場合、上記捕捉コロイド状物体は、好ましくは、磁性マイクロ粒子又は磁性ナノ粒子、例えば当業者に知られている様々な会社、Dynal、Miltenyi、Estapor、polysciences、Ademtechなどから提案されているものであろう。しかしながら、幾つかの目的の為に、本発明のために特に適切な特性を有する捕捉物体が、特別の目的のために合成されうることができ、従って、本発明は、マイクロ又はナノ粒子の既存のカテゴリで使用されるべきであるように制限されることを意味しない。
【0042】
上記捕捉コロイド状物体のサイズは、それらが様々な手段によって及び様々な数において捕捉要素上で固定化されうるという事実に関して、本発明内で変わることができる。下記項目4に記載されている一つの特定の実施態様において、上記捕捉コロイド状物体又は捕捉コロイド状物体は、単一鎖として結合され、そのような場合、それらは好ましくはマイクロメートル範囲内、0.5μm〜100μm、好ましくは1μm〜10μm、さらにより好ましくは1μm〜6μmである。しかしながら、他の実施態様において、それらは、カラムとして組み立てられることができ、且つ、100nmのように小さく、ある場合には50nmのように小さく、又はさらにより稀な場合に20nmのように小さくありうる。
【0043】
好ましくは、また、上記捕捉コロイド状物体又は捕捉要素は、分析物の少なくとも1つのタイプのを結合することができる。幾つかの好ましい実施態様において、それらは、上記分析物のそれらの表面リガンドに影響する。
【0044】
簡潔さのために、他に明示的に述べられる場合を除き、下記において、語「ビーズ」はまた、捕捉コロイド状物体、又は、上の定義に従う捕捉要素をいうだろう。
【0045】
従って、本発明の例示的な実施態様は、分析物を固定すること及び研究することを可能にし、それは、特に、分析物コロイド状物体、とりわけ細胞、に関する適用のために適しうる。
【0046】
本発明の例示的な実施態様を適用するために、分析物は、例えば、少なくとも1つの活性ゾーンを含むマイクロチャンネル、マイクロチャンネル・ネットワーク、又はマイクロチャンネル・アレイ内に流される。
【0047】
本発明のマイクロチャンネルにおける活性ゾーンは、任意のサイズ及び形状、例えば平行6面体でありうる。他の実施態様において、それらはまた、曲がっており、及び例えば、円又は円の一部に従いうる。上記活性ゾーンは、多種多様の厚さをとりうる。
【0048】
活性ゾーンの厚さは、捕捉間の距離に関しうる。例えば捕捉コロイド状物体又は捕捉要素を捕捉することに関連して、語 距離は、質量のそれらの中心の間の距離に関する。
【0049】
幾つかの好ましい実施態様において、活性ゾーンの厚さが、複数の捕捉要素間の距離の0.5倍〜10倍である。幾つかの他の好ましい実施態様において、上記厚さは、捕捉要素の5倍〜100倍のサイズでありうる。
【0050】
好ましい実施態様において関心のある分析物が細胞である場合に、複数の捕捉要素間の距離は、上記複数の細胞の平均直径であり、上記細胞の平均直径の20倍、好ましくは上記直径の2倍〜10倍である。ヒト細胞をソートすることについて、例えば、上記複数の捕捉要素の質量中心の間の距離は、30μm〜100μm、好ましくは40μm〜80μm、さらにより好ましくは50μm〜70μmであるだろう。
【0051】
上記サイズ及び距離は、一般的な意味において考慮される。
【0052】
本明細書において使用される場合に、語「サイズ」は、粒子又は分析物をいう場合において、その質量中心を取り囲む面におけるその寸法に関する。
【0053】
例えば、本発明は、実施態様が幾つかのマイクロチャンネルを包含する場合に、捕捉要素のサイズ若しくは間隔のいずれか又は両方が、1つのマイクロチャンネル内又は1つのマイクロチャンネルから他のマイクロチャンネルで規則的若しくは不規則的のいずれか又はランダムで変わる実施態様を包含する。従って、上記で引用された好ましい仕様は、所与の実施態様における全ての捕捉要素のサブセットのみに関することができ、及び本発明は、幾つかの捕捉要素が上記仕様の範囲から外れたとしてもその利益を発揮しうる。他に特定される場合を除いて、捕捉要素のサイズ又は磁性ドメイン間の距離が本テキストにおいて参照される場合に、上記サイズ又は距離は、本発明のマイクロシステム内で変わり、平均サイズ又は距離が参照される。
【0054】
哺乳動物からの細胞をソートすることについての例示的な実施態様において、活性ゾーンの厚さが、20μm〜100μm、特に40〜80μm、例えば50〜70μmである。
【0055】
好ましくは、本発明において、少なくとも1つの上記活性ゾーンは、高解像度顕微鏡観察に適切な厚さを有する透明材料の層によって、その一つの側の一方上でシールされる。上記レイヤーは、下記において「ウィンドウ」と呼ばれるだろう。例示的な実施態様において、上記ウィンドウは、500μmよりも小さい、好ましくは200μmよりも小さい厚さを有する。特に適切な実施態様において、上記レイヤーは、主にガラスで作られており、且つ顕微鏡カバースリップの標準な厚さに等しい厚さを有する。他の適切な実施態様において、下記でより明らかにされるであるように、上記レイヤーはまた、透明ポリマーからなり又はそれを含みうる。そのようなポリマーは、エラストマー、例えばポリジメチルシロキサン、又は、フッ素化されたポリマー、例えば「Dyneon」でありうる。上記ポリマーはまた、熱可塑性ポリマー、例えばオレフィンポリマー又はコポリマー、とりわけ環状オレフィンコポリマー、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートでありうる。上記に引用された上記ポリマーは、便宜及び例示的な実演のためにのみ引用されており、本発明の制限として考慮されるべきでない。実際に、多く透明ポリマーが当業者に知られており、単独で、又は相互に組み合わせて、又は、他の透明材料、例えばガラス又はシリカとの組み合わせで、その特定の適用に依存して本発明内で使用されうる。
【0056】
上記活性ゾーンの厚さは、その表面の少なくとも部分上で、20μm〜100μm、40〜80μm、又は50〜70μmである。
【0057】
本発明の他の例示的な実施態様に従うと、上記ウィンドウに関して、上記ウィンドウ及び上記活性ゾーンの合計の厚さが、300μmよりも小さい、好ましくは250μmよりも小さい。
【0058】
そのような厚さは、特に、高解像度顕微鏡観察のために適しうる。
【0059】
上記活性ゾーンの少なくとも一部分は、互いに向き合うその端の2つで、透明物質により境界を付けられうる。
【0060】
一つの実施態様において、上記活性ゾーンは、その表面の少なくとも一部上に、分析物の直接又は間接捕捉を実行するように配置される捕捉要素、好ましくはそのような捕捉要素のアレイを含む。
【0061】
「分析物の直接捕捉」によって、我々は、分析物が、上記捕捉要素と直接の又は密接な接触で固定化され又は結合されることを意味する。
【0062】
「分析物の間接捕捉」によって、我々は、活性ゾーンが第2の要素を固定化することができ、当該第2の要素がそれらの表面で上記分析物を捕捉し又は結合しうることを意味する。そのような第2の要素の例は、マイクロ粒子若しくはナノ粒子であり、又はより一般的に捕捉コロイド状物体若しくは捕捉物体でありうる。
【0063】
分析物の捕捉が直接的である実施態様において、捕捉要素は、例えば上記分析物に対するリガンドのパッチ(patches)である。本明細書において使用される場合、リガンドは、他の種、特に分析物と可逆的に又は逆的に結合しうる種又は官能体をいう。多くのリガンドが、当業者に知られている。本発明内でリガンドとして特に関心のあるものは、抗体、例えばCOIの表面抗原に対して向けられた抗体である、しかしながら、多くの他のリガンド、例えば金属、ヒスチジンタグ、疎水性残基、水素結合捕捉残基、タンパク質Aなどが使用されうる。使用されうる他のタイプのリガンドは、核酸に基づくリガンドであり、及び、幾つかのヌクレオチド配列に特異的に結合しうるリガンドである。
【0064】
リガンド、例えば多価電解質又はリン脂質などは、静電相互作用のおかげでそれらの捕捉を発揮しうる。
【0065】
リガンドはまた、化学品、薬物、核酸、複数の核酸の組み合わせ、及び酵素、例えばDNA増幅のために使用される混合物、抗体、蛍光残基、発光性残基、染料、ナノ粒子、金ナノ粒子、量子ドット、DNA挿入物、染料、アプタマー、又は、細胞の代謝若しくは本発明に従うコロイド状物体の特性、特にそれらの光学特性に推定的に影響を与えうる種の何らかの型を示しうる。
【0066】
そのようなリガンドは、マイクロチャンネル又はコロイド状物体の表面に付着されうる。
【0067】
そのようなリガンドは、上記分析物の可逆又は非可逆捕捉を実行するように構成されうる。「非可逆捕捉」によって、我々は、上記分析物又は物体の完全性を重要な様式において破壊し又は変更することなしに放出されることができない種、例えば分析物又はコロイド状物体、の捕捉を意味する。非可逆捕捉の典型的な例は、化学的な共有結合によって結合していることである。しかしながら、幾つかの場合に、例えばタンパク質が表面上で変性される場合には、又は、ラテックスが乾燥又は加熱によって表面に非可逆的に付着されている場合には、非可逆捕捉は共有結合なしに得られうる。
【0068】
反対に、「可逆捕捉」によって、我々は結合種を有意に変性することなしに放出されうる捕捉を意味する。可逆捕捉は、物理手段、例えば磁場の活性化によって2つの磁性粒子の捕捉など、又は、疎水性相互作用による捕捉、又は、静電気又は誘電気力に依りうる。可逆捕捉はまた、化学的手段、例えば水素結合、又は可逆的化学反応に依りうる。最後に、可逆捕捉は、生化学的相互作用、例えば核酸ストランドのハイブリダイゼーション、抗原−抗体相互作用、アプタマー−タンパク質相互作用に依りうる。
【0069】
他の例示的な実施態様において、捕捉は、物理的に又は化学的に活性化可能である。
【0070】
捕捉が、物理パラメータ、例えば温度、磁場、電場、光、又は流動場の変更によって引き起こされうる場合に、当該捕捉は「物理的に活性化可能」と呼ばれる。
【0071】
捕捉が、化学的状態、例えばpH、酸化還元電位若しくはイオン強度、又は、幾つかの特定のイオン若しくは分子、例えば界面活性、又は酵素における変化によって引き起こされうる場合に、当該捕捉は「化学的に活性化可能」と呼ばれる。
【0072】
捕捉が物理的に活性化可能である実施態様において、捕捉要素が、例えば磁性ドメイン又は導電性ドメインでありうる。
【0073】
磁性ドメインは、磁性材料からなる、又は、磁性材料、例えば超常磁性材料、強磁性、フェリ磁性若しくは反強磁性材料を含む、区切られた周囲を有する体積又は表面をいう。任意の種類の磁性材料、例えば金属、金属酸化物、磁性流体(ferrofluids)が、本発明内の磁性ドメインを用意するために使用されうる。本発明の幾つかの好ましい実施態様において、そのような磁性ドメインは、マイクロチャンネルの表面上で組織化されたアレイとして使用される。
【0074】
一つの例示的な実施態様において、上記捕捉要素が磁性であり、及び、上記デバイスは、上記捕捉要素が活性化可能であり、好ましくは可逆的に且つ物理的に活性化可能であるような様式で、上記活性ゾーンに対して外部磁場を与えるための手段を含む。
【0075】
上記手段は、コイル、永久磁石、及び任意的に、軟磁性材料から作られるコアを包含しうる。もし上記手段が永久磁石を包含する場合に、それらは、可動磁性シャント及び上記磁性材料の機械的相対移動によって、上記活性ゾーンにわたって磁力線の流れを許し又は防ぐために、可動磁性シャントを備えうる。
【0076】
幾つかの実施態様において、上記磁場は、所与の活性ゾーンにおいて本質的に均一である。
【0077】
幾つかの実施態様において、上記磁場は、マイクロチャンネル中のサンプル流体の全体的流れ方向に且つ上記ウィンドウの表面に横切る方向に沿っている。上記磁場は、例えば、上記流れ方向に且つ上記ウィンドウに垂直である。
【0078】
上記捕捉要素は、例えば、環境媒体の磁性誘電率よりもそれらの高度な磁性誘電率のおかげで活性化される。従って、本実施例においてより詳細に示されているように、この様式は、磁力線を局地化し、そして磁性物体、例えば磁性粒子、を捕捉することができる局所磁場勾配を生成しうる。
【0079】
好ましくは、上記外部磁場は、5mテスラ〜50mテスラ、好ましくは15mテスラ〜40mテスラである。
【0080】
他の例示的な実施態様に従うと、捕捉要素は電気的に導電性であり、上記デバイスは、上記活性ゾーンにおいて、DC若しくはACフィールド、又は、DC若しくはAC電流を誘発する手段を備えており、そのような手段は、上記捕捉要素が可逆的に活性化可能とされることを可能にする。
【0081】
上記捕捉要素は、例えば、電流又はフィールド生成器に直接的に接続される。
【0082】
電場又は電流は、上記活性ゾーンの外側に配置されている電極を活性化することを使用することによって、上記活性ゾーンにおいて誘発されうる。この後者の実施態様において、捕捉要素、上記環境と比較してそれらの高度な伝導性の故に活性になり、電場線を局地化し、及び上記磁場がDCコンポーネントを含む場合に荷電した化合物を引き付け又は上記電場がACコンポーネントを含む場合に分極材料を引き付ける電場グラジエントを生成する。
【0083】
誘電性と呼ばれるこの後者の効果は当業者に周知であり、彼らは、例えばBraschler et al., Lab Chip 2008, 280-6)に記載されているようなそれらの複合的な誘電率スペクトルを使用して、特定された分析物又は物体を引き付け又は反発させるために上記磁場特性、例えば強さ及び周波数を調整しうる。
【0084】
幾つかの実施態様において、捕捉要素が障害物として作用しないことができる。従って、それらは、上記チャンネル中で流体及び分析物の通過を有意に妨げない。そのような特性は、本発明に従うデバイスの自動化された操作を可能にするので有用である。
【0085】
幾つかの実施態様において、上記捕捉要素は機能的にされていない。すなわち、それらはリガンドを生じない。しかしながら、幾つかの他の好ましい実施態様において、それらは、本発明内でリガンドを運びうる。
【0086】
上記捕捉要素は、任意の形態でありうる。
【0087】
上記捕捉要素は、規則的な、対称アレイを配置されうる。しかしながら、幾つかの適用は、非対称的な又はさらにでこぼこなアレイの使用を要求しうる。
【0088】
上記捕捉要素は、本発明内で、任意のナノメートル又はマイクロメートルのサイズでありうる。それらは、例えば10nm〜50nm、又は50nm〜200nm、又は200nm〜500nm、又は500nm〜1μm、又は1μm〜2μm、又は2μm〜5μm、又は5μm〜10μm、又は10μm〜20μm、又は20μm〜50μm、又は50μm〜100μm、又は100μm〜1mmでありうる。細胞の捕捉のために、上記捕捉要素は、1μm〜20μm、好ましくは2μm〜10μmのサイズでありうる。
【0089】
また、上記複数の捕捉要素間の間隔は、分離されるべき分析物及び、サンプル中に存在する上記分析物以外の種に依存して変わりうる。捕捉要素の質量中心の間の間隔は、捕捉要素のサイズの1倍〜100倍、例えばそのサイズの2倍〜50倍、そのサイズの特に5倍〜20倍である。
【0090】
捕捉要素は、例えばマイクロ接触スタンピングを使用して表面上で微細加工された又は微細パターン化された又は表面上に配置された層として、又は、上記表面に不可逆的に付着されたマイクロ粒子又はナノ粒子として本発明において包含されうる。
【0091】
本発明のマイクロチャンネルにおける活性ゾーンは任意のサイズ及び形状であることができ、例えば本質的に平行6面体である。活性ゾーンの他の関心のあるレイアウトは、図5に例示されるであろう円弧又は円弧の部分でありうる。それらは、多種多様の厚さをとりうる。
【0092】
捕捉要素の少なくとも幾つかは、活性ゾーンのウィンドウの内部表面で層として組織化されうる。上記レイヤーは、例えば、マイクロチャンネルの底でである。しかしながら、適用に依存して、本発明に従うマイクロチャンネルは、マイクロチャンネルより下又はそれより上(地球の重力を参照して)のウィンドウを有する、種々の配置を有しうる。
【0093】
幾つかの実施態様において、完全なマイクロ流体回路のフットプリントは、好ましくは12cm2よりも小さく、例えば10cm2よりも小さい。
【0094】
他の実施態様において、特に質量(mass)生成のために適している実施態様において、完全なマイクロ流体回路のフットプリントは、CD又はミニCDの形状及びサイを有しうる。
【0095】
「マイクロ流体デバイスのフットプリント」によって又は「活性ゾーンのフットプリント」によって、活性ゾーン又は上記マイクロ流体デバイスの上記マイクロチャンネルがその中に位置する面(又は、上記マイクロ流体デバイスが面でない場合に上記表面において)において測定される領域が意味される。
【0096】
上記活性ゾーンにおける上記マイクロチャンネルの最小の厚さ、完全なマイクロ流体回路の最小フットプリント、及び最大の流速を組み合わせる間に、本発明は、活性ゾーン中の分析物を捕捉し且つ研究することを容易にする。
【0097】
適切な場合には、上記合計の活性領域の上記フットプリントは、1cm2よりも小さく、1〜2cm2又は2〜5cm2であり、及びある場合には、5〜10cm2である。上記マイクロ流体デバイスの上記フットプリント及び上記活性領域の上記フットプリントを減少させることは有利でありうる。なぜならば、それは、大きいサンプルの自動化スクリーニングのための光学ツールによってスキャンニングされなければならない領域を減少させるからである。
【0098】
そのフットプリントを最小に維持するための好都合な特徴は、図6及びそれに関連する文書に記載されているように、上記マイクロ流体デバイスが、
− 上記ウィンドウと直接的に接触する少なくとも1つの第1のマイクロチャンネルを有するマイクロチャンネルの第1の層、及び、
− 上記第1の層に本質的に平行であるマイクロチャンネルの第2の層
を備えていることができ、
上記第1の層が配置されている面と垂直の方向に沿う、上記第2の層中の少なくとも1つのマイクロチャンネルの投影が、上記第1のマイクロチャンネルに含まれるマイクロチャンネルの少なくとも1つと交差し、交差する位置で上記第2の層内の上記マイクロチャンネルと上記第1の層内の上記マイクロチャンネルとの間の流体の連絡が無い。
【0099】
上記マイクロ流体デバイスは、上記マイクロチャンネルの又は上記活性ゾーンの最大寸法を本質的に横切る方向における流れを上記マイクロチャンネルにおいて誘発するために適切な構成において、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を含みうる。
【0100】
本発明の他の例示的な実施態様は、分析物のソートのためのデバイス、任意的に上に定義された何らかのマイクロ流体デバイス、であって、
− その表面の一つの少なくとも部分上で捕捉ドメインのアレイを運ぶ少なくとも1つの活性ゾーンを含む少なくとも1つのマイクロ流体チャンネル、及び
− 上記マイクロチャンネルの又は上記活性ゾーンの最大寸法を本質的に横切る方向における流れを上記マイクロチャンネルにおいて誘発することが適切である構成において少なくとも1つの入口及び1つの出口
を備えている上記デバイスを提供する。
【0101】
そのようなマイクロ流体デバイスは、上に定義された少なくとも1つの任意のマイクロ流体デバイスをさらに備えているユニットの一部でありうる。
【0102】
上記少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口それぞれは、活性ゾーンの等価な横断領域に対する流体の又は上記活性ゾーンの等価な量を方向付けるために配置された、主要な入口及び主要な出口からの幾つかの枝口からなることができ、それは大きな変化を有することなりに上記活性ゾーンを横切るサンプル流体の流れを可能にすることができ、それによって、捕捉の均一性及び効率性を改善す。変形において、上記デバイスは、平行に作動する幾つかのマイクロ流体チャンネルを備えうる。分析物がその中でソートされる体積を分割することによって、捕捉の均一性及び効率性が改善されうる。
【0103】
本発明を実施するために適切なマイクロチャンネルのレイアウトの幾つかの例が、図5に用意されている。
【0104】
本発明において、分析物がほぼ同じ速度で全ての結合要素又は全ての捕捉コロイド状物体と接触する場合に、分析物の捕捉がより均一であり且つより効率的であると信じられる。従って、好ましくは、流れ方向に本質的に垂直である線に沿って、上記活性ゾーンの厚さに関して上記活性ゾーンの中央面において測定された流速が、上記線の長さの少なくとも90%において、流速の平均値まわりで30%よりも大きく変化するべきでなく、好ましくは20%よりも大きく変化するべきでない。
【0105】
マイクロチャンネルの上記多様性は製造の利便性であること、しかしそれらは上記マイクロチャンネルの上記合計の部位に等価な部位を有する単一の等価なマイクロチャンネルに操作的に等価であることが当業者に明らかであり、且つ、下記実施例においてより明らかになるであろう。セクションは、本明細書において、流れの全体的方向に垂直に横切る領域として定義される。
【0106】
本発明の他の例示的な実施態様は、細胞のソートのためのマイクロ流体デバイス、任意的に上に定義された何らかのマイクロ流体デバイス、であって
− 500μmよりも小さい厚さを有する透明材料からなるウィンドウと直接的に接触する少なくとも1つの第1のマイクロチャンネルを有する第1の層、及び、
−上記第1の層に本質的に平行であるマイクロチャンネルの第2の層
を備えており、上記第1の層が配置されている面に垂直である方向に沿う、上記第2の層中の少なくとも1つのマイクロチャンネルの投影が、上記第1のマイクロチャンネル内に含まれる上記マイクロチャンネルの少なくとも1つと交差し、交差する位置で上記第2の層内の上記マイクロチャンネルと上記第1の層内の上記マイクロチャンネルとの間の流体の連絡が無いところの上記マイクロ流体デバイスを提供する。
【0107】
そのようなマイクロ流体デバイスは、上に定義された少なくとも1つの任意のマイクロ流体デバイスをさらに備えているユニットの一部でありうる。
【0108】
本発明の他の例示的な実施態様は、分析物のソートのためのデバイス、任意的に上に定義された何らかのマイクロ流体デバイス、であって、上記分析物を含む液体の流れを平行に受け取るように構成された一連の少なくとも1つのマイクロチャンネルを備えており、上記少なくとも1つのマイクロチャンネルは捕捉要素のアレイをその表面の一つの少なくとも部分上で運び、上記少なくとも1つのマイクロチャンネルの上記合計の幅(流れに垂直な方向に測定される)が、それらの有効長(流れに平行な方向に測定される)よりも大きいところの上記デバイスを提供する。
【0109】
そのようなマイクロ流体デバイスは、上に定義された少なくとも1つの任意のマイクロ流体デバイスをさらに備えているユニットの一部でありうる。
【0110】
上記有効長は流れの全体的方向に沿って配置されており、且つ、上記幅は上記流れの全体的方向に垂直である。
【0111】
上記少なくとも1つのマイクロチャンネルの上記合計の幅は、それらの有効長の2倍、例えば5倍、特に10倍よりも大きくてもよい。他の実施態様において、上記合計の幅対上記有効長の比は、そのような値を超えることができ、例えば10、20、又はさらに50若しくは100よりも大きくありうる。
【0112】
上記デバイスは、同様の長さの幾つかの活性ゾーンを含みうる。
【0113】
変形において、上記活性ゾーンは種々の長さであることができ、上記有効長は、そのような場合に、上記マイクロチャンネルの平均長として測定され、当該平均は、上記マイクロチャンネルの活性ゾーンの断面に対して参照される場合に考慮される。
【0114】
上記少なくとも1つの活性ゾーンの上記合計の幅はそれらの有効長よりも大きく、例えばそれらの有効長の2倍、特にその有効長の5倍又は10倍よりも大きいことができ、上記幅は上記に定義されているとおりでありうる。
【0115】
本発明は、小さいフットプリントを有する活性領域において、大容量のサンプルを流すことを許しうる。
【0116】
本発明の装置におけるマイクロチャンネルは、任意の材料でできており、何らかのマイクロ加工処理で作られうる。
マイクロ流体ネットワークの製造のために使用可能なマイクロ加工の多くの方法及び多くの材料が当業者に知られており、且つ、本発明内で使用されうる(例えば、Zadouk, R., Park BY, Madou, MJ, Methods MoI. Biol. 321, 5, (2006)を参照)。使用可能な材料の制限されないリストの例として、本発明のマイクロ流体システムが、ポリジメチルシロキサン、シロキサンエラストマー、他のエラストマー、熱可塑性、例えばポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、環状オレフィンコポリマー、ポリアミド、ポリイミド、熱硬化性又は光重合可能な樹脂、重合可能な又は光重合可能なゲル、例えばアクリレート化合物、PEGアクリレート化合物、セラミックス、シリコン、ガラス、溶融シリカ、又はこれらの材料の組み合わせから構築されうる。
【0117】
実施態様の好ましいファミリーとして、上記材料は、光に透明又は光に部分的に透明であることができ、当該実施態様の透明部分は「ウィンドウ」と呼ばれる。当該ウィンドウは、例えばガラス又は透明ポリマーで作られている。
【0118】
上記活性ゾーンに関してウィンドウの逆に配置される上記マイクロ流体デバイスの他の部分はまた、幾つかの好ましい実施態様において透明材料で作られうる。
【0119】
本発明内の、微細加工されたネットワークを運ぶ基体は、任意の形状を有しうる。それらは、面状であることができ、又は展開可能な基体、例えばポリマーフィルム又はシートでありうる。
【0120】
任意的に、それらは、変形可能であることができ、及び、微細加工されたバルブ、ポンプ、膜、フィルタ、マイクロ構造、集積光学、電極、検出ユニット、表面処理剤、及び、例えば、Micro Total Analysis Systems 2005, K.F. Jensen, J. Han, DJ.Harrison, J. Voldman Eds, TRF press, San Diego CA, USAにおいて述べられているようなマイクロ流体コンポーネント及び技術の全ての種類を包含しうる。
【0121】
本発明の例示的な実施態様のマイクロチャンネルは、変化する厚さ、又は1より多い個々の組の厚さを含みうる。特定の実施態様において、それらは、マイクロチャンネルの少なくとも1つの第1のタイプ(それは第1の厚さを有する活性ゾーンを囲む)、及び一連の第2のマイクロチャンネル、又は、流体を上記第1のマイクロチャンネルの少なくとも1つの入口に分配するように且つ上記第1のマイクロチャンネルの少なくとも1つの出口から流体を集めるように構成された「供給」マイクロチャンネルを包含する。上記第2のマイクロチャンネルは、上記第1のマイクロチャンネルの厚さよりも大きい厚さを有する。
【0122】
本発明の他の例示的な実施態様は、コロイド状物体、特に細胞の捕捉及び研究のための機器であって、
− 上に定義されたマイクロ流体デバイス、及び
− 上記マイクロ流体デバイスのウィンドウに垂直の光学軸を有する少なくとも1つの顕微鏡対物レンズ
を備えており、
上記機器は、コロイド状物体が上記デバイスの少なくとも1つのマイクロチャンネル内に流れるように構成されており、及び、
上記対物レンズは、上記マイクロ流体デバイスの活性ゾーンの内容物の画像が上記ウィンドウを通して観察され又は記録されることができるように構成されているところの上記機器を提供する。
【0123】
上記顕微鏡対物レンズは、18Xよりも大きい、特に35Xよりも大きい、例えば59Xよりも大きい、及び幾つかの実施態様において100Xのように高い倍率を有しうる。
【0124】
上記顕微鏡対物レンズは、少なくとも0.2、例えば0.4のように高い、例えば0.6のように高い、0.8のように高い、1.0のように高い、1.3のように高い、又はさらに1.4のように高い開口数を有しうる。
【0125】
高い開口数、高い倍率対物レンズの使用は、先行技術の細胞ソート・デバイスにおいて実施できておらず、従って、本発明の例示的な実施態様の特徴的な有利点である。
【0126】
上記機器はまた、光学3次元画像化デバイス、光学切り出し画像化(optical sectioning imaging,オプティカル・セクショニング画像化)デバイス、ホログラフィック画像化デバイス、スピンニング・ディスク画像化デバイス、及び共焦点顕微鏡画像化デバイスのうちの一つを含みうる。
【0127】
「3次元画像化」は、観察されたフィールド(場)の3次元画像の再構築をいう。3次元画像化は、完全でないリストとして、共焦点画像化、二光子吸収スキャンニング画像化、スピンニング・ディスク画像化デバイス、デコンボリューション(deconvolution)顕微鏡、又は構造化照明に基づく画像方法を包含する。
【0128】
「光学切り出し画像化」は、画像化の容量のモードを意味し、上記容量は画像の集合(a stack of images)として示されており、上記集合(stack)における上記画像のそれぞれは、上記容量における所与の層に対応する。
【0129】
従って、本発明は、光学切り出しを使用して、上記捕捉された分析物の3次元画像化又は上記分析物の画像化の実施を許しうる。
【0130】
とりわけまた、光学画像化の柔軟性及び能力のおかげで、本発明は、これらのツールで上記捕捉された分析物を特徴付けるために、様々な分光学的又は分光学的画像化の方法及びツールを用いて相乗的に有利に使用されうる。これらのツールは、赤外線(IR)分光学、フーリエ変換赤外線(FTTR)分光学、IR及びFTIR画像化分光法、走査型力顕微鏡、プラズモン共鳴、プラズモン共鳴画像化、分光学的画像化及びハイパースペクトル画像化分光法、ラマン分光学、ラマン画像化分光法、表面増強ラマン分光学(SERS)、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、発光エネルギー移動方法(例えばBRET)などで有利にありうる
【0131】
本発明はまた、上記画像化又は分光学的方法の時間分解バージョン、とりわけ時間分解発光及び蛍光、又は、時間分解画像化蛍光若しくは発光画像化と有利に組み合わせられる。
【0132】
幾つかの好ましい実施態様において、上記に示された解析又は画像化の操作は、活性ゾーンにおいて直接的に実行される。しかしながら、他の実施態様において、それらは、上記活性ゾーンから上記分析物の放出及び輸送後に、異なる観察ゾーンにおいて実行されうる。これは、特に、捕捉要素の可逆的に活性化可能な性質のおかげで本発明において特に都合よくする。
【0133】
本発明の他の例示的な実施態様は、分析物、特に分析物コロイド状物体又は細胞、の捕捉及び研究のためのシステムであって、上記分析物は、少なくとも1つの活性化可能な又は可逆可能な捕捉要素を含む少なくとも1つの活性ゾーンを備えている少なくとも1つのマイクロチャンネル内に流されるところの上記システムを提供する。
【0134】
好ましくは、上記デバイスは、活性ゾーンが上記画像化デバイスの観察のフィールドに移動させられうるように配置されうる。
【0135】
本発明のマイクロ流体デバイスにおいて、上記分析物は、従前の光学サイトメトリーシステムのように、上記マイクロ流体デバイスの表面に付着されないが、粒子に対して付着され、従って、それらは、それらの3次元形状をより良く維持しうる。これは、分析物が細胞である場合に特に有利である。
【0136】
本発明は、バイオマーカーがこの3次元形状内でどのように配置されるかを調査することを可能にしうる。
【0137】
「バイオマーカー」は、本明細書において、生物学的状態に対して又は有機体の状態に対して得られうる何らかの型の情報を意味するように使用される。例えば及び完全でないリストとして、古典的なバイオマーカーは、タンパク質の存在;所与の組織、体液、細胞、又は所与の閾値より上の又は下の細胞コンパートメントにおけるタンパク質の発現;遺伝子又は遺伝子の組み合わせの発現;変異;表現型;形態学的特徴;体液、器官、細胞、細胞コンパートメントにおける、細胞の幾つかの型の、又はタンパク質の幾つかの型の、又はイオン若しくは分子の幾つかの型の存在又は不存在;細胞又は細胞アセンブリの増殖力;科学的又は物理的刺激に対する、細胞、組織、有機体の応答でありうる。
【0138】
本発明内で、ラベルは、物理的又は化学的手段で特異的に識別されうる何らかの種類の分子、残基又は粒子でありうる。制限されない例示的なリストとして、本発明内のラベルは、蛍光基、発光基、化学発光基、電子発光基、量子ドット、金属ナノ粒子、とりわけ金又は銀のナノ粒子又は量子ドット、着色された分子、電子活性基、抗体又はペプチド配列によって認識可能である分子、例えばビオチン、ジゴキシゲニン、ニッケル(Nickel)、ヒスチジンタグを包含しうる。ラベルはまた、ELISAに基づくアッセイ中で基体を検出可能な生成物に変えることができる酵素などを包含する。上記基体の検出は、UV又は可視吸収、蛍光性、電気化学による比色分析であり、又は任意の種類の光学的又は電気的画像化又は検出方法を包含しうる。
【0139】
幾つかの細胞が、先行技術において実行されるように、慣用の2D画像化におけるそれらの画像が重なるように、本発明において配置されうる。そのような場合、3次元画像化又はオプティカル・セクショニングなしに、細胞が上記重なった画像上で見られる所与のバイオマーカーのどれに属するかを知ることは困難であろう。従って、上記分析物上で3D画像化を実行する可能性は、本発明の明確な有利点である。
【0140】
最後に、幾つかの実施態様において、上に記載された3次元画像又はオプティカル・セクショニング・スタックから、細胞の2次元画像を再構築することは有利でありうる。非常に驚くべきことに、これは、直接的な2D画像よりもより良い特徴を提供する。これは、所与の細胞に関して2D画像の再構築の間に、3D画像のサブ容量のみ又はオプティカル・セクショニング・スタックのサブセットのみが使用される場合に、特に有利である。このようにして、当業者は、所与の細胞に関して情報のみを2D画像上で得ることができ、且つ、マイクロチャンネル壁からの、又は他の細胞からの、又はマイクロ粒子若しくはナノ粒子からの無用の信号(例えば蛍光)を避けうる。
【0141】
本発明の他の例示的な実施態様は、分析物、とりわけ細胞、の保存、スクリーニング、研究又は培養のための方法であって、上記分析物がマイクロ流体デバイス又は上に定義された機器を横切って流れるところの上記方法を提供する。
【0142】
本発明の他の例示的な実施態様は、サンプル中に含まれる分析物、とりわけ細胞、の光学スクリーニングのための方法であって、
a 上記サンプルを、その表面の少なくとも1つ上に捕捉要素を運ぶ、上に定義された少なくとも1つの任意的なマイクロ流体デバイスのマイクロチャンネル中に流すこと、
b 上記マイクロチャンネルにおいて上記捕捉された分析物の光学画像化を実行し、上記分析物の種々の横断セクションに対応する複数の画像を結果として得ること
を含む上記方法を提供する。
【0143】
任意的に、工程bは、上記画像のサブセットが2次元画像を再構築するために選択され且つ組み合わせられる工程cの後に行われうる。上記画像化は、例えば多色、すなわち上記画像は少なくとも、2、好ましくは3、より好ましくは4又は5の種々の励起波長、又は種々の放射波長、又は励起及び放射波長の種々の組み合わせのいずれかに対応する種々の「光学チャンネル」である。
【0144】
任意的にまた、これらの種々の光学チャンネル中の種々の捕捉された分析物からの光放射のレベルが、関心のあるバイオマーカーの存在又は濃度又はレベル又は発現又は分布を評価するために、比較され及び/又は定量化される。
【0145】
任意的に、また、工程bは2D画像化のより慣用の工程によって置換されることができ、それにおいて、本発明は、とりわけ高倍率又は高開口数又はそれら両者の組み合わせを示す対物レンズを有する画像化を実行するその能力のおかげで、その小さいフットプリント、高い選択性、細胞に対する制限された障害、及び本明細書において後に記載される他の有利点のおかげで、従来技術に関して有利点をまだ提供する。
【0146】
上記分析物は、8cm2よりも小さい、例えば5cm2よりも小さい、及びある場合には2cm2よりも小さいフットプリントを示す活性ゾーンを有する本発明に従うマイクロ流体デバイスを横切って流されうる。
【0147】
上記分析物は、少なくとも、20μL/時間、例えば50μL/時間、特に100μL/時間、200μL/時間、500μL/時間、1mL/時間、2mL/時間、及び最大で5mL/時間超の合計の流量で流されうる。
【0148】
本発明の他の例示的な実施態様は、分析物をソートし、研究し、保管し、又は培養するための方法を提供する。当該方法は、
a 少なくとも1つの活性化可能な捕捉ドメインを備えている少なくとも1つの活性領域を備えている少なくとも1つのマイクロチャンネルを備えているマイクロ流体デバイス、任意的に上に定義された任意のマイクロ流体デバイス、を用意すること、上記マイクロ流体デバイスは、上記活性化可能な捕捉ドメインを活性化する第1の手段、及び、上記マイクロチャンネルにおいて流体を制御可能に流すための第2の手段をさらに備えており、
b 上記第1の手段の活性化に応じて上記捕捉ドメイン上に集めることが可能な捕捉コロイド状物体を、少なくとも1つの活性領域中に流すこと、そして上記分析物のためのリガンドを運ぶこと、
c 上記第1の手段を活性化すること
d 少なくとも1つの活性領域において、上記分析物を含む流体サンプルを流すこと
を含む。
【0149】
上記方法は、上記工程c及びdのうちで実行される洗う工程eをさらに含みうる。当該工程eにおいて、上記活性領域は、上記捕捉要素上で集められることができない捕捉コロイド状物体を含まず且つ分析物を含まない流体で洗われる。
【0150】
上記方法は、工程dに続き工程fをさらに含みうる。当該工程fにおいて、試薬は、上記活性領域内に流され、ここで、上記第1の手段は活性化されたまま維持される。
【0151】
上記方法は、下記工程をさらに含みうる:
− 上記マイクロ流体デバイスを、分析物の捕捉がその中で実行される第1の機器から、分析物の解析又は画像化がその中で実行される第2の機器へ移動すること。
【0152】
上記試薬は、バイオマーカーを明らかにするための試薬、例えば抗体又は核酸プローブでありうる。これらの試薬(抗体又は核酸プローブ)は、酵素で、又は、発光性、蛍光性、電気化学的、拡散性、放射性標識で、又は、量子ドットで、又は、金ナノ粒子で、又は、色染料で、又は、化学的、生物学的若しくは生化学的方法によって検出されうるより一般的な何らかのリガンドでラベル付けされうる。上記試薬が酵素を含む場合に、前記活性領域においてこの酵素のための基体を流すことを含む追加の工程が一般的に実行されうる。
【0153】
上記試薬は、有色色素、蛍光基、発光基、化学発光基、電子発光基、量子ドット、金属ナノ粒子、とりわけ金又は銀のナノ粒子又は量子ドット、着色された分子、電子活性基、抗体又はペプチド配列によって認識されることができる分子、例えばビオチン、ジゴキシゲニン、ニッケル(Nickel)、ヒスチジンタグ、又は酵素、若しくは酵素の基質から選択される少なくとも1つのラベルに結合される上記分析物に対するリガンドでありうる。
【0154】
任意的に、上記方法は、追加の工程gをさらに含み、当該工程gにおいて、引き続き、例示的且つ制限されないリストとして、捕捉された細胞、RNA若しくはDNA増幅における遺伝的完全性又は変異をチェックするために、又は、細胞質内のバイオマーカーの検索のために蛍光イン シチュー(in situ)ハイブリダイゼーションを実行するために、細胞を固定し又は透過することができる試薬が上記活性領域中に流される。
【0155】
捕捉された生物学的分析物、特に細胞、をバイオマーカーのためにスクリーニングするための多くの方法が、当業者、特に細胞生物学者及び病理学に知られており、且つ本発明内で実施されうる。本発明は、培養中の細胞にのみ現在適用可能である最新の細胞スクリーニングプロトコルについて、捕捉された希少細胞に対する適用を可能にしうる。
【0156】
本発明内で適用可能なそのようなスクリーニング方法の幾つかの制限されない例が、下記実施例において記載される。
【0157】
任意的に、例示的な実施態様はまた、捕捉された分析物、とりわけ捕捉された細胞の、上記薬物又はより一般的に化学品に対する応答をスクリーニングするために、工程dの後に、上記活性領域中に、上記薬物又は上記化学品を流す工程hをさらに含みうる。
【0158】
任意的に、例示的な実施態様は、捕捉された分析物及び捕捉コロイド状物体を固定化するために、上記活性領域内に、封入剤(mounting agent)又は硬化性材料を流すこと、及び、活性化可能な捕捉ドメインを活性化するための手段の非活性化後にさえ、観察のためにそれらを固定し続けることの工程iを含みうる。これは、例えば、分析物の捕捉が実行される第1の機器から、分析物の解析又は画像化が実行される第2の機器へ上記マイクロ流体デバイスを移動することを許す。多数の封入剤及び硬化性材料が当業者に知られており、且つ、上記分析物の特徴に依存して本発明内で使用されうる。制限されないリストとして、そのような硬化性材料は、ポリビニルアルコール、PVA、又はアガロース、又はアクリルアミド、又はPEGアクリレートの溶液でありうる。
【0159】
本明細書において使用される場合、材料が固体状態、ゲル状態、粘弾性状態、及び一般的にいえば、液体の挙動とは対照的に、刺激の適用後にその形状をその中で維持しうる状態への遷移を経験することができる場合に、材料は上記「硬化性」である。
【0160】
これは、硬化性材料として重合可能物質又は架橋性材料を使用することによって達成されうる。より特には、このポリマー化又は架橋化は、例えば上記重合可能物質が光活性剤を含む場合に例えば光活性化によって、又は、熱活性化によって、例えば材料が加熱に応じて硬化する場合に上記マイクロチャンネル・ネットワークの少なくとも一部を高温にもたらすことによって、若しくは、反対的に材料が冷却に応じて硬化する場合に低温にもたらすことによって、マイクロチャンネル・ネットワークにおいて、引き起こされうる。第2の実施態様として、これは、硬化性材料として、温度によってその粘度又は弾性係数を変更しうる材料を使用することによって達成されうる。
【0161】
例として、硬化性材料は溶融された材料であることができ、それは温度の低下によってガラス状の、結晶の、又は半結晶の状態を回復しうる。硬化性材料はまた、温度の低下によってゲル状態に遷移しうる材料、例えばアガロースの水懸濁、でありうる。反対に、硬化性材料は、温度の上昇によってゲル化しうる材料、例えばポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)、を包含しうる。
【0162】
本発明のために使用されうる硬化性材料の様々な追加の様式が、参照によって本明細書に取り込まれる、例えば、Cohenに対する米国特許US 6,558,665号において、又は"Polymer Handbook", J. Brandrup et al. eds, Wileyにおいて言及されている。
【0163】
上記材料の硬化性はまた、上記項かの組み合わせによって得られることができ、迅速な熱効果によって初め硬化をさせ、次に、化学的効果、例えば架橋化又はポリマー化によって硬化性を不可逆にする。硬化性材料は、硬化性工程の後に、特定の種に対して透過可能又は透過不可能であるように所望の適用に依存して選択されうる。硬化性材料はまた、上記第1の流体がそれによって部分的に又は完全に囲まれる第2の流体中に含まれる試薬の上記材料中に拡散することによって硬化されうる。制限されない例において、上記第1の流体はアルギン酸ナトリウムを含み、及び第2の流体はオレイン酸及び塩化カルシウムを含みうる。また、「封入剤」の名称下で細胞学及びサイトメトリーの当業者に知られている材料は、本発明内で硬化性材料として使用されうる。
【0164】
上記の任意の工程e〜iは、研究下で上記分析物に及び研究下で上記特性に依存して、工程a〜dの幾つかの間に挿入を含む、本発明において種々の順序で実行されうる。
【0165】
上において示され且つ幾つかの例示的な下記の実施態様において示されているように、本発明の有利点の一つは、高解像度画像化ツールの適用を許すことである。
【0166】
工程a〜d、及び任意的に、上記工程e〜iの何らかの組み合わせに加えて、本発明は、下記工程
− 上記少なくとも1つの活性ゾーン中で、捕捉された分析物の高解像度画像を実行すること、
− 上記された機器を使用して、上記分析物の特徴付けを実行すること、
− 画像鮮明化アルゴリズムを適用すること、
− ノイズ除去アルゴリズムを適用すること、
− ウェーブレット解析を適用すること
のうちの少なくとも1つをさらに含みうる。
【0167】
上記工程は、35よりも大きい、又は59よりも大きい倍率を有する顕微鏡対物レンズの使用を含みうる。
【0168】
上記画像が、2μmよりも良い、例えば1μmよりも良い、特に500nmよりも良い解像度を有しうる。
【0169】
上記画像が、3次元画像、又は画像の光学的にスライスされた像の集合(an optically sectioned stack of images)でありうる。
【0170】
上記画像が、自動化された様式で集められ、そして画像ライブラリー中に格納されうる。
【0171】
上記活性ゾーンの上記全ての合計の領域は、顕微鏡対物レンズに関して上記マイクロ流体デバイスの並進を含む自動化された様式で画像化されうる。
【0172】
3次元画像は、例えば、スピンニング・ディスク顕微鏡を使用して高速で得られる。当業者に知られており且つ顕微鏡会社、例えばNIKON(登録商標)、OLYMPUS(登録商標)又はZEISS(登録商標))、によって商品化されている幾つかのスピンニング・ディスク・システムが、この目的のために使用されうる。本発明は、費用及びコンパクトさの観点から特に有利であることができる、例えば会社YOKOGAWA (登録商標)、AUROX(登録商標)又は他の会社によって流通されているスピンニング・ディスク・システムと組み合わせて使用される。
【0173】
高画像化解像度のおかげで、本発明の例示的な実施態様は、特に、画像鮮明化、ノイズ除去、ウェーブレット解析、及びソートされた分析物、とりわけ希少細胞、に現在適用できない他の高性能画像ツールを包含する更なる画像解析工程に関連付けられる。
【0174】
上記方法は、多色ラベル付け、及び、捕捉された分析物の観察をさらに含みうる。
【0175】
上記ラベル付けは、例えば蛍光性であり、及び蛍光性染料又は量子ドットを包含する。本発明内で使用可能な染料は、例えば、Alexa-Fluor、Sybr染料、シアニン染料、hoecht染料である。
【0176】
病理学者によって慣用的に使用される染色プロトコル、例えば、May-Grunwald-Giemsaなどがまた使用されうる。
【0177】
本発明の他の例示的な実施態様は、診断又は予後のための方法であって、患者からのサンプルが任意の上に定義された方法に与えられるところの上記方法を提供する。
【0178】
上記診断又は予後が、癌、出生前診断、遺伝的疾患、又は心臓血管疾患に関連しうる。
【0179】
本発明は、例えば、捕捉された細胞のトランスクリプトーム又はゲノムのイン シチュー(in situ)解析を実行することを許す。上記分析物は、癌細胞、循環(血液)腫瘍細胞、播種性腫瘍細胞、循環(血液)胎児細胞、循環(血液)内皮細胞、又は循環(血液)感染性細胞の少なくとも1つを含みうる。
【0180】
臨床適用のために、分析物は、血液、微細針吸引物、生検物、骨髄、脳脊髄液、尿、唾液、リンパ液から選択されるサンプル中に初めに含まれていることができる。
【0181】
他の実施態様において、本発明は、例えば、地下水、工業水、又は水処理システムから出された液、若しくは環境バイオコレクターから出された液の表面における、環境適用についての汚染物又はバイオハザード有機体の探索及び解析を実行しうる。
【0182】
上記方法は、上記活性ゾーン内で捕捉された分析物の少なくとも1つの免疫表現型検査(immunophenotyping)を実行することをさらに含みうる。
【0183】
上記方法は、捕捉された分析物の少なくとも1つ中の核酸配列を解析することをさらに含みうる。
【0184】
上記核酸配列は、例えば、ゲノムDNA、メッセンジャーRNA、マイクロRNA、リボソーム核酸、ミトコンドリア核酸、感染性有機体からの核酸、又は、核酸薬物に属する。
【0185】
上記方法は、捕捉された分析物の少なくとも1つ中のポリペプチドを分析することをさらに含みうる。
【0186】
上記ポリペプチド又は上記核酸が、潜在的に感染性の有機体に属しうる。
【0187】
本発明の他の例示的な実施態様は、薬物、化学品又は化合物の毒性、有効性又は生物学的作用についてスクリーニングするための方法であって、
a 細胞を含むサンプルを、上に定義された任意のマイクロデバイスであるマイクロ流体デバイス中に流すこと、
b 少なくとも上記薬物、化学品又は化合物を含む溶液を、上記マイクロ流体デバイス内に流すこと、そして
c 上記細胞に対する上記薬物、化学品又は化合物の作用を観察し又は測定すること
を含む上記方法を提供する。
【0188】
本発明の他の例示的な実施態様は、癌の診断又は予後の方法であって、
a 患者からのサンプルを、上に定義されたマイクロ流体デバイス中に流すこと、
b 捕捉された細胞の少なくとも1つの生命を維持するために適切な溶液を上記マイクロ流体デバイス内に流すこと、そして、
c 上記少なくとも捕捉された細胞の増殖力を評価すること
を含む上記方法を提供する。
【0189】
本発明の他の例示的な実施態様は、癌の診断又は予後のための方法であって、
a 患者からのサンプルを、上に定義されたマイクロ流体デバイス中に流すこと、
b 癌細胞又は癌細胞のサブ集団を特に認識することを許す少なくとも1つのラベル化剤を含む少なくとも1つの溶液を、上記マイクロ流体デバイス内に流すこと、そして、
c 上記マイクロ流体デバイスで、前記少なくとも1つのラベル化剤によってラベル付けされた細胞の数を定量すること
を含む上記方法を提供する。
【0190】
任意的に、上記方法は、ラベル付けされた細胞の数だけでなく、上記細胞のラベル付け強度の分布を定量する工程を含みうる。
【0191】
本発明の他の例示的な実施態様は、癌の診断若しくは予後のための方法、又は、薬物若しくは薬物候補の作用をスクリーニングするための方法であって、
a 患者からのサンプルを、上に定義されたマイクロ流体デバイス中に流すことと、
b 癌治療剤を含む溶液を、上記マイクロ流体デバイス内に流すこと、そして、
c 上記少なくとも捕捉された細胞に対する上記癌治療剤の効果を評価すること
を含む上記方法を提供する。
【0192】
本発明の他の例示的な実施態様は、癌の診断又は予後のための方法であって、
a 患者からのサンプルを、上に定義された任意の何らかのマイクロ流体デバイスであるマイクロ流体デバイス中に流すことと、
b 捕捉された細胞の少なくとも1つの生命を維持するために適切な溶液を、上記マイクロ流体デバイス内に流すこと、そして、
c 捕捉された細胞の上記少なくとも1つを培養すること
を含む上記方法を提供する。
【0193】
本発明の他の例示的な実施態様は、幹細胞を培養し、ソートし、分化させ又は研究するための方法であって、幹細胞を、上に定義された何らかのマイクロ流体デバイス中に流すことを含む上記方法を提供する。
【0194】
上記適用及び他の適用の全てについて、本発明は、上記活性ゾーンにおいてイン・シチュー(in situ)で上記分析物を研究するために使用されうる。しかしながら、本発明はまた、幾つかの他の実施態様において、捕捉要素又は捕捉物体上で分析物を捕捉し、次に、上記分析物を記捕捉要素又は物体から放出し、そして上記活性ゾーンと異なる第2の解析ゾーンにおけるさらなる解析のために上記分析物を集めるために使用されうる。上記解析ゾーンは、活性ゾーンとして同じマイクロ流体チップ内に、又は種々のマイクロ流体チップ内に、又は種々の非マイクロ流体デバイス内に含まれうる。しかしながら、マイクロ流体チップ内に、特に捕捉ゾーンとして同じマイクロ流体チップ内に解析ゾーンを有することは、有意な有利点をもたらす。何故ならば、それは、特に、先行技術と比較して本発明によってもたらされるフットプリント及び容量の大幅な減少の完全な利益を得ることを助け、一方、汚染及びデッド・ボリュームの危険を最小化する。
【0195】
本発明の他の例示的な実施態様は、任意的に上に定義されたマイクロ流体デバイスであって、少なくとも1つのチャンネルにおける液体の流れが、上記液体によって横切られるバルブによって少なくとも部分的に制御されており、上記バルブの開閉が漸進的であり、且つ上記バルブの可動部分を流体要素が横切るために費やされる時間として定義される第2の時間に少なくとも等しい、特にこの第2の時間の少なくとも、2倍に等しい、特に5倍に等しいところの第1の時間のうちに完了されるところの上記マイクロ流体デバイスを提供する。
【0196】
本発明の他の例示的な実施態様はマイクロ流体デバイスであって、少なくとも1つのチャンネルにおける液体の流れが、上記液体によって横切られるバルブによって少なくとも部分的に制御されており、上記バルブの開閉は漸進的に行われ、且つ少なくとも1/10秒、特に少なくとも1/5秒、特に少なくとも1/2秒、及びある場合には少なくとも1秒のうちに完了されるところの上記マイクロ流体デバイスを提供する。
【0197】
そのようなマイクロ流体デバイスは、少なくとも1つの上に定義された任意のマイクロ流体デバイスをさらに備えているユニットの一部でありうる。
【0198】
本発明の他の例示的な実施態様は、チューブ又はマイクロチャンネルがアクチュエータによって挟まれる型のマイクロ流体バルブであって、そのようなバルブは、上に定義された何らかのマイクロ流体デバイスの任意的な部分であり、このアクチュエータの速度が電子回路又はコンピュータによって動的に制御され、上記アクチュエータの動きは、少なくとも1/10秒、特に少なくとも1/5秒、特に少なくとも1/2秒、ある場合には少なくとも1秒にわたって継続されうる上記バルブを提供する。
【0199】
そのようなマイクロ流体デバイスは、少なくとも1つの上に定義された任意のマイクロ流体デバイスをさらに備えているユニットの一部でありうる。
【0200】
上記アクチュエータは、任意の材料、形状又はサイズでできており、制御されるべきマイクロチャンネル又は管類(tubing)のサイズ、形状及びサイズに適合されうる。上記アクチュエータは、例えば円筒状ピストン、ブレード(blade)、球状、楕円状要素の形状を有し、且つ金属、セラミック、プラスチック又はエラストマーでありうる。
【0201】
本発明の他の例示的な実施態様は上に定義されたバルブのアレイを提供し、それは複合的なマイクロ流体ネットワークにおける流れを自動化することを可能にしうる。
【0202】
本発明の他の例示的な実施態様は、上に定義されたバルブのアレイを備えているマイクロ流体システムを提供する。
【0203】
本発明の他の例示的な実施態様は、細胞のスクリーニングのための方法であって、上記工程a〜dに加えて、任意的に、工程e〜i、更に工程jの幾つか含み、少なくとも1つの活性領域中で捕捉された少なくとも1つの細胞中に含まれる核酸の少なくとも1つのタイプが、プローブでハイブリダイゼーションされるところの上記方法を提供する。
【0204】
上記適用に依存して、上記細胞内の上記核酸は、点(ポイント)変位、遺伝的再構成、遺伝子欠失、遺伝子複製、又は染色体異常、リボソームDNA、メッセンジャーRNAをチェックするための、特定の遺伝子の過剰発現又は過小発現をチェックするための、核DNAでありうる。
【0205】
本発明は、捕捉された細胞において、マイクロRNA(miRNA)、又は干渉RNA、又はサイレンシングRNAのスクリーニングについて特に関心があり、それは従来技術の方法でスクリーニングすることは困難であるか又は不可能である。幾つかのmiRNAが、癌に関与するとして識別されている。これは、例えば、肺癌に関与する has-mir-155及びhas-let-7a-2の場合である。また、例えば、has-mir-155の過剰発現又はhas-let-7a-2の過小発現は、悪性度のマーカとして認識されており、且つ特定の治療を要求する。もちろん、当業者はこの分野における研究のまだ始めであり、且つ、これらは、癌予後のための本発明の潜在的適用の制限されない例のみである。本発明は、小さい核酸及び特に知られているがまだ発見されていないmiRNAに基づくバイオマーカーに基づく診断又は予後に関する任意のタイプのスクリーニングについて有利であろう。
【0206】
核酸プローブの任意の種類は、捕捉された分析物において関心のある核酸を検出し又は定量するために、本発明において使用されうる。例えば、上記プローブは、天然又は人工の核酸又は核酸類似物の任意の種類であることができ、少なくとも1つの核酸配列を認識する特定の核酸配列又はタンパク質でハイブリダイゼーションされうる。
【0207】
上記プローブは、ラベル、例えば蛍光ラベル、又は発光ラベル、又は電子化学的ラベル、又は化学発光ラベル、又は電子化学発光ラベルを生じうる。
【0208】
幾つかの例示的な実施態様において、上記プローブはリガンドを生じ、それはラベルを生じる多様な他のリガンドをそれ自身集め、又は、シグナル増幅カスケードを生じるために、検出可能な生成物内に基体を変性しうる。
【0209】
幾つかの他の例示的な実施態様において、上記方法は追加の工程kを含み、それは任意の上記工程e〜jを組み合わせられることができ、とりわけ工程jの前に実行され、上記工程kは核酸増幅を含む。上記増幅は、上記活性領域において、イン シチュー(in situ)で、当業者に知られている任意の方法、例えばPCR、RT-PCR、NASBA、Rolling Circle増幅、LAMPなどによって実行されうる。とりわけ、単一の細胞に対するRolling Circle増幅による核酸解析を実行するためのプロトコルが、(Jarvius, et al, Nature Meth, 2006)中に、又はA. Tachihara, et al., Proceedings uTAS2007 (The 11th International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences), Paris 2007, ISBN 978-0-9798064-0-7, Publisher CBMS, Cat Nb 07CBMS-0001中に述べられており、そして本発明に従うマイクロチャンネル内で実行されるように容易に適合されうる。
【0210】
他の例示的な実施態様において、捕捉された分析物は、捕捉のための手段を非活性化することによって放出されることができ、従って、それら内容物の次の解析のために、上記マイクロ流体デバイスの他の領域において又は外部のバイアルにおいて集められうる。
【0211】
他の例示的な実施態様において、本発明に従うマイクロチャンネルの活性領域において捕捉された細胞は、幾つかの生物学的特性、例えば、薬物、毒剤、又は化学品に応じて増殖力、遺伝子型、表現型、核型(caryotype)のために、培養され、且つスクリーニングされうる。これは、そのような培養が従来技術の方法で可能でなかった希少細胞について有利でありうる。
【0212】
本発明の他の例示的な実施態様は、マイクロ流体デバイス中で細胞の捕捉及び培養を含む、診断若しくは予後、又は薬物スクリーニング又は薬物発見、又はバイオテクノロジー適用、又は幹細胞選択のための方法であって、上記細胞は、1マイクロリットル当たり10細胞よりも少ない、1マイクロリットル当たり1細胞よりも少ない、又は10μL当たり1細胞よりも少ない、又は100μL当たり1細胞よりも少ない、又はさらに1ml当たり1細胞よりも少ない濃度で上記マイクロ流体デバイスにおいて流れるサンプル中に存在する上記方法を提供する。
【0213】
本発明の他の例示的な実施態様は、マイクロ流体デバイス、任意的に何らかの上に定義されたマイクロ流体デバイス、において少なくとも1つの細胞の捕捉を含む、診断若しくは予後、又は薬物スクリーニング又は薬物発見、又はバイオテクノロジー適用、又は幹細胞選択のための方法であって、上記少なくとも1つの細胞は動物又は植物から抽出されたサンプル中に存在し、上記サンプルは上記マイクロ流体デバイスにおい流れ、上記捕捉された少なくとも1つの細胞が培養される上記方法を提供する。
【0214】
実施態様の第1のファミリーにおいて、上記培養は、上記細胞が捕捉される上記マイクロ流体デバイス内の側部で実行される。実施態様の第2のファミリーにおいて、上記培養は、エクス シチュー(ex situ)で実行され、それは第1に捕捉ゾーンの小容量により、そして第2に捕捉要素の非活性化可能な性質により容易にされる。
【0215】
本発明の他の例示的な実施態様は、上記分析物、特に細胞又は細胞小器官の捕捉のための方法であって、少なくとも1つのマイクロチャンネルを備えているマイクロ流体デバイス、任意的に上に定義された何らかのマイクロ流体デバイス、を備えており、上記マイクロチャンネルは自己アセンブルされたコロイド状粒子の物理的に可逆なアレイを備えており、上記分析物を含む上記サンプルは、上記マイクロ流体デバイスにおいて、少なくとも、20μL/時間、例えば50μL/時間、100μL/時間、200μL/時間、500μL/時間、1mL/時間、2mL/時間、及び最大で5mL/時間超の流量で流れるところの上記方法を提供する。
【0216】
本発明の他の例示的な実施態様は、分析物を捕捉し、解析し、培養し、用意し、ソートし、又は研究するための方法であって、
十分に区別のつくサイズ又は十分に区別のつく磁性を備える捕捉コロイド状物体の少なくとも2つの集団が、任意的に何らかの上に定義されたマイクロ流体デバイスのマイクロチャンネル中に流され、
捕捉コロイド状物体の前記2つの集団のうちの少なくとも1つが、上記分析物の不存在下で上記マイクロチャンネル中に流され、そして、
捕捉コロイド状物体の前記集団のうちの少なくとも1つが、上記分析物のためのリガンドを保有しているところの上記方法を提供する。
【0217】
任意の上に定義された方法は、上記活性ゾーンから分析物を放出する工程、及び少なくとも1つの第2の解析ゾーンで上記分析物を解析し、培養し、又は分化させる工程を含みうる。
【0218】
捕捉コロイド状物体の両集団は、上記分析物の不存在下でマイクロチャンネルにおいて流れうる。
【0219】
幾つかの例示的な実施態様において、両集団は共に流され、及び、他の例示的な実施態様において、それらは別々に流されうる。後者の場合、より大きい粒子が,例えばより小さい粒子よりも前に流れる。
【0220】
「十分に区別のつくサイズを備える捕捉コロイド状物体の2つの集団(population)」によって、我々は、それらが2よりも大きい、特に5よりも大きい、さらに10よりも大きい合計の多分散性を有することを意味する。
【0221】
他の例示的な実施態様において、捕捉コロイド状物体の2つの集団はバイモーダルである組み合わせ(joint)サイズ分布を有し、当該分布のピークの一つは捕捉コロイド状物体の第1の型に対応し、且つ、他のピークは捕捉コロイド状物体の第2の型に対応する。
【0222】
本発明の他の例示的な実施態様は、分析物コロイド状物体及び分析物を捕捉するための手段を活性化可能に、特に可逆的に活性化可能に実行するための方法を提供する。
【0223】
例えば、本発明に従う捕捉要素が磁性ドメイン又は電気的に導電性ドメインである場合に、それらは外部の磁場又は電場の適用によって活性化されることができ、及び、上記捕捉要素上にそれぞれ磁性又は誘電性の捕捉コロイド状物体のを自己アセンブリを誘発しうる。
【0224】
上記捕捉コロイド状物体は、上記分析物のためのリガンドをそれらの表面上で運ぶことができ、そして一旦自己アセンブルされると、上記活性化可能捕捉要素それ自体が上記分析物を直接的に捕捉することばできない場合であっても上記分析物を捕捉することができ、それは、本発明の他の観点と組み合わせられる場合に幾つかの有利点、例えば従来技術で利用可能でなかった大容量又は小容量のフットプリントのサンプルを適合させる可能性、を提供しうる。
【0225】
特に、当業者は、リガンドで個々に各マイクロデバイスを機能的にすることを必要とせず、且つ、大容量の捕捉コロイド状物体が、本発明の上記マイクロ流体デバイス以外の単一の工程において機能的にされることができ、且つ、単一のバッチ調製において、上記大容量の捕捉コロイド状物体が、本発明に従うマイクロデバイスの10、100、又はさらに1000を操作するために使用されうる。
【0226】
他の有利点として、これは、例えば使用後にマイクロ流体チャンネルをリフレッシュするために、又は更なる研究又は培養のために上記捕捉された分析物を損なうことなしに再収集するために、外的に活性可能な且つ不活性可能な手段によって上記捕捉コロイド状物体の捕捉をスイッチオン及びオフすることを許す。
【0227】
本発明の他の例示的な実施態様は、分析物、とりわけ細胞、のソート、解析、型の決定、又は培養のための方法であって、上記分析物を含むサンプルが、マイクロ流体デバイス、任意的に上に定義された何らかのマイクロ流体デバイス、の活性ゾーン中に初めに流され、引き続き、試薬のアリコートが上記活性ゾーン中に流され、上記分析物を含むサンプルの初期容量対上記分析物をソートし、型を決定し又は解析するために使用される少なくとも1つの試薬アリコートの容量、好ましくは全ての試薬アリコートの容量が、少なくとも10、好ましくは少なくとも、50、100、200、500、又は1000であるところの上記方法を提供する。
【0228】
本発明の他の例示的な実施態様は、分析物、とりわけ希少細胞、の捕捉、培養、又はソートのための方法であって、容量Aの血液サンプルを用意する第1の工程と、上記サンプルからの赤血球細胞を溶解する第2の工程と、容量Bの上記サンプルからの有核細胞を再懸濁する第3の工程と、マイクロ流体デバイス、任意的に上に定義された何らかのマイクロ流体デバイス、において上記容量Bからの有核細胞のサブセットをソートする第4の工程とを含み、上記容量Bは、上記容量Aよりも3倍未満倍少なく、好ましくは5倍未満倍少なく、さらに好ましくは10、20、50又はさらには100未満倍少ないところの上記方法を提供する。
【0229】
本発明の他の例示的な実施態様は、希少細胞の捕捉のための方法であって、容量Aの第1の血液サンプルを用意する第1の工程と、上記サンプルを、又は上記第1の血液サンプルから得られた予備処理されたサンプルを、マイクロ流体デバイス、任意的に上に定義された何らかのマイクロ流体デバイス、の上記希少細胞が捕捉される1つの活性ゾーン又は活性ゾーンの組み合わせ中に流す少なくとも1つの第2の工程とを含み、ここで、上記流す工程は2時間よりも少なく、好ましくは1時間よりも少なく、さらにより好ましくは1/2時間よりも少なく続き、1時間未満において、初めのサンプル容量Aと上記細胞が捕捉される活性ゾーンの容量又は複数の活性ゾーンの合計容量との比が、100よりも大きく、好ましくは500、1000、2000、5000、10,000、及び特に最適化された場合に100,000までより大きいところの上記方法を提供する。
【0230】
本発明の他の例示的な実施態様は、マイクロ流体デバイス、任意的に上に定義された何らかのマイクロ流体デバイス、を使用して、初めの生サンプルから細胞又は分析物を磁気捕捉するための方法であって、処理するために使用される時期粒子の総量が、生サンプルの少なくとも1mL、及び好ましくは少なくとも5、10、20及び50mLまでを処理するために使用される磁性粒子の総量が、10mgよりも低い、好ましくは5mg、2mg、1mg、0.5mg、0.2mg、又は100μgよりも低いところの上記方法を提供する。
【0231】
本発明の他の例示的な実施態様は、マイクロ流体デバイス、任意的に上に定義された何らかのマイクロ流体デバイス、を使用して、分析物、とりわけ細胞、のソート若しくは解析、又はソート及び解析の組み合わせのための方法であって、
− 上記分析物を磁性粒子で捕捉すること、
− 上記分析物を画像化し又は解析すること、
− 上記画像から又は上記解析から生じる上記データから、少なくとも1つの所定の判断基準に関して少なくとも1つの定量的な計算結果を抽出すること、上記抽出は少なくとも1つの分析物について実行される、
− 上記少なくとも1つの定量的な計算結果を参照値と比較すること
の各工程を含むところの上記方法を提供する。
【0232】
幾つかの好ましい実施態様の記載に応じてより明らかになるであろう本発明の他の有利点は、従来技術と比較して試薬容量の大幅な減少である。これらの試薬はしばしば、生物学的材料、例えば抗体、又は化学品、例えばマイクロ若しくはナノ粒子、又は蛍光性染料を包含し、そのような材料はしばしば非常に高価であり、又は制限された量で入手可能であるので、この有利点は考慮されるべきものである。典型的に、活性ゾーンの合計の容量の数倍に等しい試薬の容量は、捕捉された分析物を処理するために十分である。従って、本発明は、1mLと同じ規模、好ましくは2 mL規模、又はさらに10mLの規模である初めのサンプル容量について、1mLよりも小さい、好ましくは500μLよりも小さい、200μLよりも小さい、100μLよりも小さい、そして時々50μLよりも小さい試薬のアリコートの成功で実行されうる。従って、典型的に、上記活性ゾーン中に流される上記分析物を含むサンプルの初めの容量対上記活性ゾーン中に流される少なくとも1つの試薬アリコットの容量、好ましくは上記分析物をソートし、型を決定し、又は解析するために使用される全ての上記試薬アリコットの容量、の比は、少なくとも10、好ましくは少なくとも、0、100、200、500、又は1,000である。
【0233】
本発明の幾つかの好ましい実施態様の他の例は、細胞の捕捉及び最適な解析のための方法であって、細胞が、捕捉され、且つ上に定義された任意である同じマイクロ流体チップにおいて又は上記同じマイクロチャンネルにおいて最適な分析に付されるところの上記方法を提供する。
【0234】
本発明の他の例示的な実施態様は、細胞の捕捉のための及び細胞の内容物の分子解析のための方法であって、上記捕捉及び上記分子解析が同じマイクロ流体チップ内において又は同じマイクロチャンネル内において実行されるところの上記方法を提供する。
【0235】
下記項9において記載されている実施態様からより明らかであろう他の観点において、本発明の他の目的は、分析物がその中でソートされ、解析され、型を決定され又は培養されうるところの少なくとも1つの活性ゾーンを備えている機器であって、上記活性ゾーンにおいて磁場を活性化するための手段をさらに備えており、上記手段は永久磁石の並進を含み、上記並進は、上記活性ゾーン中の上記磁場の強さにおける変化をその方向又はその均質性を有意に変化させることなしに誘発するところの上記機器を提供することである。
【0236】
本発明の他の例示的な実施態様は、分析物がその中でソートされ、解析され、型を決定され又は培養されうるところの1つの活性ゾーンを備えている機器であって、上記活性ゾーンは任意的に、当該活性ゾーンにおいて磁場を活性化するための手段をさらに備えている特に上に定義された何らかのマイクロ流体デバイスであるマイクロ流体デバイスの一部であり、上記手段は永久磁石の並進を含み、上記並進は、上記活性ゾーン中の上記磁場の強さにおける変化をその方向又はその均質性を有意に変化させることなしに誘発するところの上記機器を提供する。
【0237】
本発明の他の例示的な実施態様は、任意的に上に定義されたマイクロ流体デバイスであって、分析物がその中で捕捉され、ソートされ、解析され、型を決定され又は培養されうるところの1つの活性ゾーン又は複数の活性ゾーンの組み合わせを含んでおり、上記活性ゾーン又は活性ゾーンの合計の容量は、50μLよりも小さく、好ましくは20μL、10μL、5μL、2μL又は1μLよりも小さく、液体が1mm/秒、好ましくは800μm/秒若しくは200μm/秒、又は約100μm/秒の平均流れ流量速度を超えることなしに、少なくとも、100μL/時間、200μL/時間、500μL/時間、1mL/時間、2mL/時間、及び最大で5mL/時間超の流量で上記活性ゾーン内を流されうるところの上記マイクロ流体デバイスを提供する。
【0238】
上記1つの活性ゾーン又は複数の活性ゾーンの合計の平均厚さが、200μmよりも小さい、好ましくは100μmよりも小さく、とりわけ30μm〜100μm、好ましくは40μm〜80μm、さらにより好ましくは50μm〜70μmでありうる。
【0239】
そのようなマイクロ流体デバイスは、上に定義された少なくとも1つ何らかのマイクロ流体デバイスをさらに含むユニットの一部でありうる。
【0240】
上述の全ての例示的な実施態様において、上記マイクロ流体デバイス又は上記機器は、第2の解析ゾーン及び、上記分析物を上記活性ゾーンから上記解析ゾーンに輸送する手段を含みうる。
【0241】
上記第2の解析ゾーンは、同じマイクロ流体デバイス中に活性ゾーンとして備えられることができ、且つ、輸送するための上記手段がマイクロ流体手段でありうる。
【0242】
本発明の他の特徴及び有利点は、制限されない実施態様の下記発明の詳細な説明を読むこと及び下記添付図面を検討することで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0243】
【図1】本発明の適用のためのマイクロ流体及び画像化システムのための一般的なレイアウトを示す図である。
【図2】マイクロ接触スタンピングに基づく、本発明の適用のための磁性ドメインを生成する第1の様式を示す図である。
【図3】対流自己アセンブリに基づく、本発明の適用のための磁性ドメインを生成する他の様式を示す図である。
【図4】本発明を実施するために適切な磁性ドメインの種々のありうる配置を示す図である。
【図5】本発明の実施のためのマイクロチャンネルのレイアウトの例を示す図である。
【図6】小さいフットプリントのために最適化された本発明の実施態様の3Dビューを示す図である。
【図7】本発明の実施のために適切なマイクロチャンネルにおける流れのシミュレーションの例、及びどのようにしてこのシミュレーションが流れの均質性を改善するために使用されうるかを示す図である。
【図8】本発明内の流れのパルスレススイッチングを提供するためのデバイスの例を示す図である。
【図9】本発明のために適切な切り替え可能な磁場を生成するための種々の様式を示す図である。
【図10】図9Bの実施態様における、巨視的磁場切り替えのシミュレーションを示す。
【図11】マイクロ接触プリンティングによって用意される磁気捕捉要素上でのそれらの自己アセンブリ後の、磁性ビーズのカテゴリの磁性捕捉物体の近くにおけるローカル磁場の数値モデリングを示す図である。
【図12】本発明の実施態様における捕捉効率プロファイルの例を提供する図である。
【図13】本発明における、小容量サンプルからの癌細胞の表現の型の決定の例を示す図である。
【図14】本発明における、共焦点顕微鏡からの3D画像の再構成のイメージを示す図である。
【図15】本発明における、乳癌転移腫瘍細胞の型の決定の例を示す図である。
【図16】ノイズ除去ソフトウェアによって、本発明内の、加速された画像化の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0244】
幾つかの例示的な実施態様及び実施例の詳細な記述
【0245】
1 一般的なレイアウト
【0246】
ありうる実施態様の一般的なレイアウトが、図1に記載される(正確な縮尺でない)。
【0247】
それは、マイクロ流体チップ1及びウィンドウ2のうちで閉じられたマイクロチャンネル・ネットワーク21(カットされ且つ簡素化されて示されている)を含むマイクロ流体システムを含む。上記ウィンドウは、マイクロチャンネルと接触しているその表面上に捕捉要素3を運ぶ。任意的に、上記ウィンドウは、20X〜100Xまでの高い倍率及び高い開口数を好ましくは有する顕微鏡対物レンズ4の前に配置されている。この対物レンズは、画像化システム5の一部である。
【0248】
本質的に、(例えば、制限されない例示リストとして、会社 ZEISS(登録商標)、LEICA(登録商標)、OLYMPUS(登録商標)、NIKON(登録商標)によって)市場で入手可能な全ての高品質の顕微鏡が、その目的の為に使用されうる。好ましくは、強制的でなく、上記顕微鏡は倒立顕微鏡である。とりわけ、また、本発明における画像化システムはまた、本発明の目的のために構築され且つそのために最適化されたカスタム品でありうる。幾つかの実施態様において、上記画像化システムは、3D画像化又は光学分割を実行することができる。特に、興味のあるものは共焦点顕微鏡、及びスピンニング・ディスク・システムに基づく顕微鏡である。他の実施態様において、上記画像化は、慣用の顕微鏡であり、好ましくは自動化スキャンニング及びポジショニングを実行することができる慣用の顕微鏡である。
【0249】
サンプル10を含有する、1つ又は幾つかのサンプル入口バイアル9に接続された入口が、マイクロ流体チップ1に接続されている。
【0250】
任意的に、上記マイクロ流体チップはまた、フラクション15の収集のための、1つ又は幾つかのサンプル出口バイアル14に接続されている1つ又は幾つかの出口へと接続されている。
【0251】
任意的に、また、上記マイクロ流体チップは、バッファ又は試薬12を含む、1つ又は幾つかのバッファ又は試薬バイアル11に接続されている。
【0252】
ここで、バイアルは、個々の要素として示されている。しかしながら、幾つかの他の実施態様において、サンプル、試薬及び画分のためのバイアルは、よりコンパクトなレイアウトを得て且つ流体連絡を最小化するために、上記チップに統合されうる。
【0253】
ここで示されている実施態様において、試薬、サンプル・バッファなどの流れは、上記フローコントローラを対応するバイアルに関連付ける管のおかげで、圧力コントローラ13、例えばFLUIGENT(登録商標)からのMFCSなど、によって制御される。
【0254】
他の実施態様において、流れは、例えばHarvard Instruments(登録商標)若しくはCETONI(登録商標)によって販売されているような注射器ポンプ、又は、蠕動ポンプによって生成されうる。他の実施態様において、流れは、例えばUnger et al., Science 2000, 288, 113-116において記載されているように、チップに不可欠な微細加工されたポンプによって監視されうる。
【0255】
しかしながら、圧力コントローラの使用は有利でありうる。なぜならば、それは、本発明の適切な機能性を邪魔しうるパルシング(pulsing)を避けるからである。
【0256】
任意的に、また、バイアル9、11、14をチップ1に関連付けるチューブは、それらの経路に沿って追加のバルブ(図1に示されていない)を含みうる。好ましくは、上記バルブは、図8及び下記項7においてより詳細に記載されているように、漸進的な(progressive)閉鎖及び開口を備えた型である。
【0257】
図1に戻って、サンプル流体が、沈降する傾向にある要素(例えば、細胞など)を含む場合に、サンプル・バイアル10は、任意的に、そのような沈降を防ぐための混合手段16を含みうる。混合手段は、種々の種類のものであってよく、例えばバイアルそれ自体を回転させるもの、又は、バイアル中に小さな磁性撹拌子を有するもの、又は、ここに示されるとおり、サンプル流体を連続的に又は間欠的に再循環する蠕動ポンプ16を有するものでありうる。
【0258】
上記捕捉要素3が活性化可能な捕捉要素のタイプのものであるならば、本発明は、任意的に、それらを活性化するための手段を含みうる。例えば、それらが磁性である場合に、チップは、電流生成器8から電流を受け取る場合に、チップの平面に対して本質的に垂直に磁場を生成することができる、コイル7(ここでは切断部(a cut)として示されている)中に有利に配置される。流される電流は、AC又はDCでありうる。磁性捕捉要素を活性化するために適切なコンポーネントの他の例示的な実施態様が図9及び図10に示されている。
【0259】
捕捉要素が、導電性の活性化可能な要素のタイプのものである場合、磁気コイル7及び電源供給8が必要でない。代わりに、当業者は、そのような導電性要素を活性化するための手段を用意すべきである。これは、例えば、各バイアル11及び14の少なくとも1つ中に配置され且つ電圧生成器、好ましくは高電圧生成器、例えばLABSMITH(登録商標)高電圧生成器、Trek(登録商標)10kV、Trek(登録商標)20kV、又はEMCO(登録商標)"OctoChannel"など、に接続された電極17のおかげで、マイクロチャンネル21中に長手方向の電場を誘発することによって達成されうる。とりわけ、高電圧生成器を使用する場合、生成器緊急高電圧切断エントリに接続されたキャビネット中に電極と電気的に又は流体的に接触している全ての要素を囲み、安全緊急停止を含む、高電圧操作のための規則に従って注意が払われるべきである。
【0260】
電圧生成器を作動させることによって、マイクロチャンネル中の流体中の流体中を伝わる力線が、流体よりもより導電性である本実施例における電極型の捕捉要素3によって引き付けられ、それによって、電場グラジエントを生成する。これらのグラジエントは、マイクロチャンネル中に含まれる流体を使用して、複素誘電率(complex dielectric constant)の相違を示す誘電粒子を誘電泳動によって引き付けることが可能である。好ましくは、上記誘電粒子は関心のある分析物についてのリガンドを有する。
【0261】
任意的に、本発明に関連付けられた電気及び電子デバイスの幾つか又は全ては、コンピュータ又は電子デバイスによって制御されうる。任意的に、上記コンピュータは、画像解析のために使用されたものと同じコンピュータ6であり、しかしそれはまた他のコンピュータでありうる。
【0262】
2 マイクロ接触スタンピングによる、磁気型の捕捉物体の活性化可能捕捉のための磁気型の捕捉要素のアレイの用意
【0263】
図2は、磁気型の捕捉要素は項1を参照することによって用意されうる方法の流れストリームを示す:
− 図2Aにおいて、所望の磁性構造のネガティブ(negative)な部分に対応するパターン化されたフォトレジスト層を有するガラス・マスターが慣用のフォトリソグラフィーによって用意される;
− 図2B及びCにおいて、PDMS(ポリジメチルシリスコン)がこのマスター上に投じられ、そしてはがされて、インクのでるスタンプ(inking stamp)を形成する;
− 図2Dにおいて、第2のガラス・プレートは、酸素プラズマで洗浄される;
− 図2Eにおいて、上記第2のガラス・プレートは、スピン・コーティングによって磁性流体インクの薄いフィルムで覆われる;
− 図2Fにおいて、上記スタンプは、そのポスト上で磁性インキを集めるために、インク・パッドに接触される;
− 図2Gにおいて、上記スタンプは、その上に磁性パターンを写すために、マニュアル又は機械的手段によってカバースリップに対して押される;及び
− 図2Hにおいて、上記カバースリップが、一晩焼かれる。
【0264】
図2Ia、2Ib、2Ic及び2Idは、この様式で得られる磁性ドメインの六角形アレイの、種々のスケールでのスキャンニング電子顕微鏡で得られる図を示す。
【0265】
磁性パターンを微細加工するための幾つかの方法が、以前に提案されている。
ニッケル(Inglis DW, Riehm R, Austin RH, Sturm JC (2004) J Appl Phys 85: 5093-5095)又はコバルト(Yellen B, Friedman G, Feinerman A(2003) J Appl Phys 93: 7331-7333)テンプレートが標準のリフト・オフ処理によって得られうる。Niパターンはまた、電気メッキによって生成されうる(Guo SS, Zuo CC, Huang WH, Peroz C, Chen Y (2006) Microelec Eng 83: 1655-1659)。これらの技術は、高度の装置及びクリーンルーム装置を要求する。UV光重合化後にPEG中で磁性ビーズをカプセル化することからなるソフトリソグラフィー技法がまた提案されたが(Pregibon DC, Toner M, Doyle PS(2006) Langmuir 22: 5122-5128)、これは、表面上に磁性ビーズを組織化するためのアップストリーム工程を要求する。本明細書において提案される、ガラス上に水をベースとする磁性流体(「磁性インキ」)のマイクロ接触プリンティングに基づいて磁性パターンを用意し、そしてポストベーク熱処理による固定化のための新規且つ特に簡単な方法が図2にまとめられている。
【0266】
10μmドットの40μm六角形パターンを有するマスクが、Qcadソフトウェアを使用して設計され、そしてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に24.000 dpi(SELBA(登録商標)、スイス)の解像度で印刷された。当該マスク特徴はガラス基体上のスピン・コーティングされたpositive resist AZ9260 (MICROCHEMICALS(登録商標)、ドイツ)に転写され、直径において10 μm且つ高さにおいて8 μmの穴を有するマスターを形成する。スタンプは、マスターのPDMS複製を用意することによって形成された:PDMS(SYLGARD(登録商標) 184, Dow Corning、フランス)が、1 :10ベース : 硬化剤で混合され、そしてはがされる前に3時間、65℃で硬化された。「インク・パッド」は、予めアセトンで洗浄されたガラス・スライド上に磁性インキ(water based ferrofluid MJ300, LIQUIDS RESEARCH(登録商標)、英国)をスピン・コーティングすることによって調製された。上記スタンプは、インク・パッドと接触され、そして離された。次に、磁性インキは、等角のマイクロ接触スタンピングによって裸のガラス・スライド(カバースリップ)上に移された。スタンピング後に、上記スタンプは、例えば、即座にイソプロパノールで拭き取られ、多くの再使用を許した。パターン化された磁性を有するガラス・スライドが、一晩、15O℃焼かれた。
【0267】
光学画像化は、規則正しく、均一で且つ本質的に不具合のないアレイが全表面にわたって達成されたことを示す(図2Ia)。電子顕微鏡によるドットの特徴付けは、それらがむしろ再現可能な錐体様形状を採用することを示した(図2Ib及び図2Icを参照)。この特徴は、スポット中心上の磁気的カラムのよりよいセンタリングのために好ましい。ドットの直径、5 +/-1 μm、は上記スタンプの初期おサイズより有意に小さい。磁性流体は、上記ドットの間で見つけられなかった。原子力顕微鏡(AFM)測定(データは示されていない)は、スポットの頂点が500 +/- 50 nm高さである。新しく調製されたアレイは、生物学的バッファの適用に耐えないが、焼いた後(一晩、150℃で焼いた後)に、アレイは洗浄され、そして幾日も繰り返し使用されうる。焼くことは、熱硬化性ペイントにおいて効果を現すそれと同様の処理に続いて、ガラス状の疎水性バルクポリマー材料内において、磁性流体中に存在する磁性粒子を囲むポリマー層の溶融をもたらしうる。
【0268】
3 本発明の実施のための、磁性タイプの捕捉要素のアレイの調製のための方法(上記方法は、対流自己アセンブリに基づく)
【0269】
上に記載されたマイクロ接触プリンティングは、表面パターン付けのための多用途の且つ迅速な技術として知られている。それにもかかわらず、この技術は、高度に粘性のあるインクに対するその貧しい適用性に苦しむ。特に、磁性流体プリンティングの場合に、高い注意がプリンティング処理の間に発揮されないならば特に、実験はこの技術の再現性の明らかな欠如且つ貧弱な空間分解能を示す。平行な且つ低コストパターン付け技術を維持する一方でこれらの制限を克服するために、自己アセンブリ技術が、表面上の磁性粒子を直接的に統合する為に提案される。このアプローチにおいて、粒子は、磁性カラムのアセンブリのための基準点としてさらに使用されうる表面上の磁性パターンを生成する為に、ビルティング・ブロックとして使用される。
【0270】
自己アセンブリは、規則正しい構造への自動的組織化として定義される。それは、表面上の多数の小さい物体を整理するために最も有効なアプローチである。しかしながら、得られた構造はしばしば、ある密度のパッキングに制限されるが、そのような方法を通じての個々の物体の配置は、通常困難である。自己アセンブリと基体のトポグラフィカルパターン付けとを組み合わせる技術は、この制限を処理するために適切である。
【0271】
本発明の特に関心のある実施態様において、対流自己アセンブリが、磁場下で磁性捕捉要素の次のアセンブリをガイドするために、表面上で磁性ビーズを集合させるために使用される。
【0272】
このアプローチにおいて、毛管力が、パターン化された表面(例えば、パターン化されたPDMS表面)上の粒子の組織化に向けるために使用される。それは、基体にわたってドラッグされる液滴の三相接触線で誘発される粒子の閉じ込めに基づく。磁性粒子のコロイド状懸濁物の液滴は、固定された閉じ込めスライドと移動する基体との間に固定される。該接触線の近くで誘発される毛管力は、基体の埋め込み領域中でのそれらの固定化を誘発し、一方、堆積は平面な領域上で生じない。
【0273】
該接触線領域に近い粒子の蓄積は、アセンブリプロセスを開始するために要求される。第1に局所粒子濃度の局所増加が、上記構造中の粒子トラッピングの確率を最大化させるために必要である。第2に、ブラウン粒子の場合、この蓄積は粒子の自己拡散を減少させるのに役立ち、及び、すなわち、表面上のそれらの固定化を促進する。両方の場合に、この機構は、実験的パラメータ、例えば粒子固形分含有量又は及び基体温度など、を調節することによって容易に制御される。この後者の場合、該接触線の近くの溶媒の蒸発は、バルク懸濁液から該接触線に向けてのブラウン粒子の予備濃縮機構を誘発するであろう(図3Ba及び図3Bbを参照)。沈降している重い粒子の場合、この蓄積プロセスは、基体上を移動している間に、メニスカスによって発揮されるドラッギング力によって誘発される(図3Bb)。
【0274】
この対流自己アセンブリに適切なデバイス100が、図3Aに体系的に示されている。上記捕捉要素3がアセンブルされることになる基体102(ここで、ガラスカバースリップは、微細加工された穴を有するPDMSの薄い膜を有する)が、温度制御を有する電動プラットフォーム103上に配置され、そして傾いたガラス・スライド104(典型的な角度、5°)は、PDMS上面上の約1mmに配置される。該温度制御は、例えば、熱交換器106及び/又はペルチェ素子107のおかげで達成される。界面活性剤を添加されたバッファ(組成の例: Dynabeads及びPDMSについてPBS 0.1%、Triron X45、SDS 0.01 M:当該溶液組成は、ビーズの疎水性に及び構造化された表面に依存して適合されうる)中の磁性ビーズ105(例えば、Dynabeads4.5 μm)を含む液滴が、ガラス・スライドとPDMSとの間に配置される。次に、当該スライドは、窪みのあるメニスカスを生成するために、構造化されたPDMS表面に平行に移される(図3Ba及び図3Bbを参照)。スピードがまた、ビーズ、溶液及び基体に依存して適合されうる。上記溶液及びPDMS表面について、20μm/sが良い値である。
【0275】
パターン化されたPDMS表面(図3Bc及び図3Bd)上でアセンブルされた4.5μm 磁性粒子(DYNAL(登録商標))での例示的な実験は、lOOμm.秒までのアセンブリ速度で得られる結果を示す。これらの粒子は、7分未満で4x4 cm2 基体上に効率的にアセンブルされうる。図3Bdは、頂上に接触線、12個の微細加工された穴、及びそれらのそれぞれ中の単一のビーズを有する高倍率画像を示す。穴のサイズを調節することによって、ビーズの種々の数がアセンブルされうる。単一粒子トラッピングの為の構造(直径 5μm、深さ 4μm)を使用して、アセンブリ効率、すなわち固定化されたパターンの数/固定部位の数、が約98.5%測定された(示されていない)。図3Bcは、より低い解像度の画像を示し、アセンブリの高い品質及び規則性を示す。
【0276】
図3において、上記アレイは六角形アレイである。しかしながら、アレイの他のタイプ、例えば正方形(図4Bに見られる)、平行6面体、又は本質的に任意の種類の周期性アレイなど、が捕捉されべき分析物のサイズ、サイズの分布、濃度、形状に依存して本発明において使用されうる。また、アレイは、所与のアレイから開始し、そして、図4Cに見られるようにそれを流れの方向に又は逆に図4Dに見られるように流れと垂直の方向にそのサイズを相似的に減少させることによって変形することによって設計されうる。また、捕捉ドメイン間の種々の配置及び間隔が、図4E又は図4Fに例示されているように単一の活性ゾーンにおいて組み合わされうる。上記実施は、分離されるべき分析物がさまざまなサイズを有している場合、又は、それらのサイズによって分析物を分離することが興味深い場合に、とりわけ興味深い。最後に、他の実施態様において、それは、周期的でないアレイに捕捉要素を配置することに興味がありうる。
【0277】
4 本発明に従う活性ゾーンを定義するために、且つ上記活性ゾーン中にサンプル及び試薬を流すために適切なマイクロチャンネルのレイアウトの例
【0278】
本発明内のマイクロチャンネル21のための多くのレイアウトが使用されることができ、且つ、幾つかの実施態様が図5において示されている。典型的に、レイアウトの目的は、活性ゾーン中における捕捉物体、例えば磁性粒子、サンプル、試薬、洗浄溶液を流すための及び任意的に上記捕捉された分析物を放出し且つ集めるための手段を提供することである。
【0279】
図5A及び図5Bは、活性ゾーンがその中で平行6面体である例を提供する。とりわけ、本発明において、「デルタ」構成を通じて流体を分散させることが興味深く、その結果流れは、活性ゾーン中全体に平らに分散される(これを達成するための様式についてより詳細が下記に提供されるだろう)。図5A及び図5Bにおいて、捕捉ゾーンは、流れ方向におけるその長さよりも大きい、流れ方向に垂直の幅を有する。図5Aにおいて、長さに対する幅の比は約3.5であり、図5Bにおいて上記デバイスは、約17の合計の幅対長さの比を有する2つの捕捉ゾーンを含む。上記幅は、流れに垂直(これは図5Aにおいて水平、すなわち紙の最短の辺に平行、及び、図5Bにおいて垂直、すなわち紙の最長の辺に平行、を意味する)であるとして定義され、及び、上記長さは、流れ方向に沿う(これは、図5Aにおいて垂直、及び図5Bにおいて水平を意味する)として定義される。
【0280】
レイアウトの他のタイプが図5Cにおいて提供される。図5Cは、該システムによって占められた上記領域が制限されていることを維持する為に、及び、上記流れが活性ゾーンにわたって均一であることを維持する為に、放射状配置用いられるシステムを示す。この場合、該活性ゾーンは、円に沿って刻み込まれる。このレイアウトは、当業者がまた、独立の入口及び出口を有する幾つかの(本例において4チップ)種々の活性ゾーンを単一のチップ中で組み合わせうることを示す。典型的に、これらのチップ設計は1つ又は幾つかの入口20を備えており、分散マイクロチャンネル21のアレイを通じて1つ又は幾つかの活性ゾーン23に向かって均一に流れを分布させる。次に、流れは、マイクロチャンネル21のコレクション(a collection of microchannels 21)によって出口25に向かって方向付けられる。
【0281】
また、レイアウトの他のタイプが、図5D〜図5Gにおいて示されている。:それらは入口20を備えており、出口25に向かって、マイクロチャンネル21のアレイを通じて、活性ゾーン23に流れを分散する。この場合、活性ゾーン23中の流れ均一性は、活性ゾーンの長さlよりも有意に大きいマイクロチャンネルの長さL、典型的に少なくとも、5倍よりも大きく、10倍よりも大きく、又は50倍までより大きい、を維持することによって達成される。
【0282】
全てのこれらの種々のレイアウトは概略の様式で示され、当業者は、例えば流れの均一性に関して、とりわけ水力学シミュレーションを使用して、どのように設計を最適化するかを知っている。
【0283】
5 本発明のマイクロ流体レイアウトにおける活性ゾーン中の流れの不均一性を改善するための最適化プロセスの例
【0284】
図6A〜図6Dは、2D及び3Dの両方で、図5Bに記載されたタイプのレイアウトの2つの生成を示す:3D画像は、フットプリントを最小に維持するために、第2の流体層中に流体を分散する方法を示す。図7A及び図7Bそれぞれは、図6Aのそれと比較可能なレイアウトについて、活性ゾーン幅を横切る、活性ゾーンの長さの真ん中における流れ速度の流れベクター及び分布を示す。これらのデータは、COMSOLシミュレーションによって得られた。
【0285】
ソフトウェアCOMSOL 3.4を用いて、厚さ50μm及び下記境界条件を有する水力学流れが、図1bに示される配置において、シミュレーションされた。
入力速度:1.3 mm/秒
出力圧力:0 Pa
他の壁全てにわたってスリップ境界条件なし
【0286】
マイクロシステム中のレイノルドズ(Reynolds)数は弱く(Re = 0.1)、使用されるモデルは下記式によって支配されるストークス(Stokes)流れである:
【0287】

【0288】
ここで、
− ρは、流体の密度(kg/m3)であり、
− uは、速度ベクター(m/s)を示し、
− pは、圧力(Pa)に等しく、
− ηは、動的粘度(Pa*s)を示し、
− Fは、ボディ・フォース・ターム(body forceterm)(N/m3)であり、
− Iは、アイデンティティ・ マトリックスである。
【0289】
下記シミュレーションにおいて、密度ρは1000kg/m3に等しく、且つ、上記粘度は10-3 Pa.sに等しい。
【0290】
図7C及び図7Dは、分配及び回収マイクロチャンネルのより精密な分散を有する改善された設計のための同じものを示す:図7Bにおいて、変動は平均値の約20%を示し、一方、図7Dにおいて、それらは5%未満を示すだけである。
【0291】
5 マイクロチャンネル及び活性ゾーンのための製造方法の例
【0292】
マイクロチャンネル21及び活性ゾーン23のレイアウトが一旦設計されると、マイクロチャンネル・アレイは製造され、そして基体、典型的にウィンドウ2によって閉じられなければならない。上記ウィンドウ2は、例えば上記項2及び項3に従い調製される捕捉要素3を備えうる。代替的に、幾つかの実施態様において、上記捕捉要素3は、上記ウィンドウに対して反対の活性ゾーン23の側にありうる。例として、上記マイクロチャンネル・アレイ21は、PDMSで作られうる。2つのマイクロチャンネル層を有する図6に記載されいるタイプのそのようなマイクロチャンネル・アレイを調製するためのプロトコルは、下記の通りである。
【0293】
マスター製造
マイクロ流体チップ1を製造するために、初めに、ガラス又はシリコン上にモールドを用意する必要がある。簡単にいうと、該ステージは、マイクロ流体チャンネルの設計がその上に印刷されるマスクを認識することを含む。これらのパターンは、UV光(Suss Mask aligner)への曝露によって、光感受性レジスト(MicrochemからのSU8 resist、又はElga EuropeからのSY resist)上に転写される。事前に、このレジストは、マイクロ流体チャンネルの厚さを決める厚さを有するガラス又はシリコン基体上に、微細な層中にスピン・コーター(spin-coater)を使用して広げられた。最後に、モチーフがそれぞれの種類のレジストに適する試薬中に展開される。シランの微細なコーティングが、PDMSが次の成形の間にモールドの表面に吸着することを避けるために、処理の最後にその表面上に配置される。
【0294】
PDMS複製
ポリジメチルシロキサン(PDMS)Sylgard 184シリコンエラストマーと硬化剤(Dow Corning)との10:1混合物が、ウェハにわたって注がれて5 mm厚さの層を形成し、そして65℃、2時間で硬化される。次に、PDMSチャンネルがウェハからはがされ、2mmのリザーバー穴が、末端が平らな針で穴を開けられた。PDMS表面は、イソプロパノールできれいにされ、空気で乾燥され、(その表面を活性化させるために)30秒間、空気プラズマ中で処理され、そして基体上で不可逆的に密閉される。
【0295】
チップ・アセンブリ
我々のチップの設計は、例示的な実施態様において、3つの重ね合わされたPDMS層からなる:マイクロ流体チャンネルの2つの層及び、磁性カラム・アレイの配置を制御し且つその安定性を高める磁性パターンを有する1つの層。両マイクロ流体層は、初めに穴が開けられ、空気プラズマ処理後にくっつけられる。次に、マイクロ流体チップが、下記に記載されるように、磁性粒子を有する底のPDMS層に渡って密閉される。
【0296】
PDMS壁に対する粒子又は細胞吸着を避けるために、幾つかのPDMA-AGE[Chiari, electrophoresis, 2000]が、1時間のチップシーリング後に即座にチャンネルへと導入されて、次にPBS + 0.5% BSA (仔牛血清アルブミン、Sigma)で洗浄される。
【0297】
6 統合されたピンチバルブを有するマイクロチャンネル・アレイ
【0298】
本発明はまた、その局面の1つにおいて、流れが、捕捉物体のアレイの外乱を避けるために、制御され且つ漸進的な様式で開閉可能である複数のバルブ、及び、そのような特徴を示す1つのバルブによって制御されるマイクロ流体デバイスを提供する。これを提供する第1の例示的な手法は、流体の磁性マイクロカラムアレイへの及びそれからの輸送を制御することを目的とされた統合されたバルブを備えているマイクロ流体チャンネルを使用することである。
【0299】
そのようなアレイは、xia and Whitesides, Angew. Chem, 1998, 110, 568-594から与えられたプロセスに従って用意されうる。ポジ型フォトレジスト(AZ9260)の二重層が、2インチのガラス基体上に1000 rpmでスピン・コーティングされ、そして標準的なフォトリソグラフィーによってパターン化された。Shipley 351 Developer中で一旦展開されると、上記フォトレジストが、数秒の間に、150℃で、そのガラス転移温度よりも上に加熱され、従ってチャンネル横断面を取り巻く。上記チャンネルは、その最高点で500 μmの幅及び50 μmの高さを有する。
【0300】
バルブ制御層のマスターは、2インチのガラス・プレート上でSU8-2075 ネガティブ型フォトレジストをスピン・コーティングすることによって作られ、そして標準的なフォトリソグラフィーによってパターン化された。作動チャンネルは、40μmの高さ及び250μmの幅を有する長方形セクションを有する。
【0301】
PDMS Sylgard 184シリコンエラストマーと硬化剤との10:1混合物がバルブ上に注がれ、5 mmの厚さの層を形成した。PDMSの20:1混合物が、マイクロチャンネルのためのマスター上で、1600 rpmで、30秒間、スピン・コーティングされた。両層は、65 ℃で、1時間硬化された。バルブ層は、モールドから放出された。0.5 mmのバルブ作動穴が開けられた。上記バルブ層は、イソプロパノールできれいにされ、空気で乾燥され、その表面を反応性にするために、1分間、空気プラズマ中で処理された。バルブ層は、流動チャンネル層に対して光学的に整列された。2つの層を結びつけることが2時間、65℃で達成され、そしてアセンブルされた層は、流動体チャンネルマスターから引き離され、そして流体の2.5 mmのアクセス穴が開けられた。
【0302】
作動チャンネルを備えたPDMS流動チャンネルは、イソプロパノールできれいにされ、整列され、そして、空気プラズマへの1分の曝露後に、磁性流体パターンを有するカバースリップ上に不可逆的に密閉された。
【0303】
先行技術において知られていなかったこれらのバルブの漸進的な制御を達成するために、この実施態様において、当業者は、それ自体で漸進的で且つプログラム可能な様式で圧力を制御することができる圧力コントローラ、例えばFluigentからのMFCSなど、によってバルブの制御チャンネルを活性化しうる。好ましい実施態様において、この流れコントローラはまた、該デバイス中のそれらの流れ速度を制御する為に、同期された様式で、試薬及び/又はサンプル・バイアルに適用された圧力を制御するために用いられうる。
【0304】
7 外部漸進的(プログレッシブ)ピンチバルブ
【0305】
マイクロ流体チップ中に統合されたバルブを有する上記実施態様の代替、特に液体の大容量を流すことに関心のある他の実施態様として、例えば図8において示されるようなマイクロチャンネル・アレイ中で統合されていないプログレッシブ・バルブ80をむしろ使用することも有用でありうる。この特定のバルブは、マイクロ流体チップの入口20に接続された可ぎょう性チューブ82をピストン81でピンチすることによって作動する。図8Aは、バルブ80のコンピュータ支援された設計を示し、及び、図8Bは、決まった場所にそのチュービングを有する上記作成されたバルブの図を示す。ピンチングが例えばソレノイドピストンによって一つのショット中で得られる先行技術のピンチバルブと対比して、ここでは、チュービング82をピンチするブレード83の動きがモーター、例えばステッピング・モーター84によって制御され、その速度は、閉鎖及び開口の所望の速度を与えるために制御されうる。
【0306】
マイクロ流体デバイス中の流体流れを制御するためのそのような電動のピンチバルブ80は、慣用のバルブ、例えば普通のピンチバルブ、「震え(quake)」微細加工されたバルブ、又は回転バルブなど、に影響を与えるパルス無しに、本発明のマイクロ流体システム内で流れを制御し且つ自動化する為に、本発明の例示的な実施態様内で特に有用である。本発明のこれらの新しいバルブは、任意のマイクロ流体システムを供給する外部チューブ上に積載されるように設計され、且つ、多種多様のサイズ(1〜5mm)を有するチューブをピンチする為の多用途の小型化されたシステムを提供しうる。バルブの全体的な形状は、光学顕微鏡ステージ上にバルブの容易性及びチューブ上に迅速な取り付け(取り外し可能な末端部)を提供するために最適化された。図8Aは、バルブの例示的な設計の3Dビューを示す。
【0307】
この実施態様は、ギア・ヘッド(10/1 256:1)を備えられたFAULHABER(登録商標)(1024 M 012 S)からのDCモーター84 10*24mmを使用して、1分間当たり1ラウンドへ速度減少させる。これは、チューブの閉鎖を通じて正確な制御を与えるべきである。
【0308】
図8Bは、3mmの直径シリコンチューブを通じてPDMSマイクロ流体デバイスに接続されたピンチバルブの画像を示す。
【0309】
モーターを通じて電流値の監視及び制御をすることは、電動機トルクへの、従って開閉工程の間にチューブに与えられる力への直接的なアクセスを与える。この特徴はまた、流れコントローラとしてバルブを使用することの機会を提供する。
【0310】
バルブ性能の第一の実験的特徴付けは、2バールまでの流体圧力について完全な密閉を示した(1時間の実験)。最大開閉時間は、上記されたモーター及びギアヘッドを用いて2秒より上の任意の値で調節されることができ、望まれる場合に、より短い時間定数が、より低いギア比を有するモーターで達成されうる。
【0311】
8 本発明における磁性タイプの活性化可能な捕捉物体の磁性活性化の例
【0312】
いったん、マイクロ流体アレイがアセンブルされ且つ試薬11及びサンプル9のための種々のバイアルに接続されると、幾つかの実施態様、とりわけ上記分析物の捕捉が間接的である態様において、上記捕捉要素上へと捕捉物体をアセンブルすることが必要とされうる。これは、下記様式で行われる:
a 捕捉コロイド状物体(例えば、ここにおいて、磁性ビーズ)の懸濁物が、例えば上記項6及び項7に記載されているような制御バルブ80及び流れ制御要素を活性化することによって、活性ゾーン23に流される、
b 磁場が、活性ゾーン23を通じて施与される。当該活性ゾーン23は、好ましくは、上記項2及び項3に従い調製される捕捉ドメインを有する。そのような磁場を活性化するための手段は、下記項9において記載されている。好ましくは、上記磁場は、捕捉要素3の間の典型的な距離よりも大きい寸法で本質的に均一であり、及び、その強さは連続的な様式で制御されうる。
c 少なくとも1つの活性領域において、上記分析物を含む流体サンプルを流すこと。
【0313】
上記方法は、上記工程b及びcの間に実行される洗浄工程dをさらに含むことができ、洗浄工程dにおいて上記活性領域は、上記捕捉要素3上にアセンブルすることができる捕捉コロイド状物体を含まず且つ分析物を含まない流体で洗浄される。
【0314】
上記方法は、工程Cの後に、追加の工程eをさらに含むことができ、工程eにおいて、試薬が上記活性領域内へ流され、一方上記第1の手段が活性化されたまま維持される。
【0315】
例として、上記磁性粒子はDynabeads、4.5μmである。しかしながら、用途に依存して、商業的に入手可能な又は先行技術に従い調製される20nm〜20μmの多種多様のサイズを有する多種多様の磁性ビーズが使用されうる。例えば、当業者は、DYNAL(登録商標)からの直径lμm若しくは2.8μmを有する他のより小さいビーズ、又はESTAPOR(登録商標)、ADEMTECH(登録商標)、POLYSCIENCES(登録商標)、IMMUNICON(登録商標)などの競合会社による種々のビーズを使用しうる。
【0316】
より大きい磁性及びより大きなサイズを有するビーズは、項4中でより明らかになるであろうとおり、より強力な固定化力を生じる傾向にあり、従って、好ましくは、本発明内で使用されるビーズは、少なくとも200nm、好ましくは少なくとも500nm、さらに好ましくは少なくとも1μm、少なくとも2.5μm、及び、ハイスループット細胞ソートに適切な幾つかの好ましい実施態様において少なくとも4μmの直径を有するべきである。
【0317】
例示的な実施態様において、本発明は、磁場は不活性である一方で、最大2、好ましくは最大1.5、さらに好ましくは最大1.2のサイズ多分散性を有する磁性ビーズを活性ゾーン内で流すことを含む。
【0318】
上記したように、特に本明細書において記載される実施態様において、上記磁性ビーズは、上記サンプルから関心のある分析物を捕捉するために適切なそれらの表面リガンドを運ぶ。
【0319】
しかしながら、幾つかの場合において、上記した全ての物理特性を有し且つ同時に所与の用途のための正しいリガンドを運ぶ磁性ビーズを見つけること又は調製することは簡単でなく又は不可能でさえある。その場合において、磁性ビーズの2つの異なる集団が使用されうる。本発明の他の例示的な実施態様において、第1の工程において、磁性ドメイン上の強い固定化に適切な、しかし関心のある分析物のためのリガンドを運ばない、第1のサイズを有する磁性粒子の第1の集団が磁場の不存在下で活性ゾーン中を流され、流れが中止され、そして、第2の工程において、次に磁場が施与され、そして磁性粒子の第1の集団が組織化される。任意的に、洗浄工程が適用され、一方、磁場は活性化されたまま維持され、次に、下記の工程において、関心のある分析物へリガンドを運び且つ上記第1の磁性粒子のそれよりも有意に小さいサイズ又は磁化を有する磁性粒子の第2の集団が、上記活性ゾーン中を流され、そして、磁気的相互作用によって磁性粒子の第1の集団に付着する。他の実施態様において、ビーズの上記第1及び第2の集団は、活性ゾーン中で同時に流される。
【0320】
流体実施についてのより多くの詳細は、適用の幾つかの実施例に関して、とりわけ癌細胞型の決定について、以下に与えられる。
【0321】
代替的に、当業者は同じリガンドで分析物を捕捉しうるが、引き続き、種々のバイオマーカーを明らかにするために、例えば図13に示されているように、種々のリガンドで少なくとも2つの活性ゾーンを処理しうる。最後に、当業者はまた、第1のサンプルを少なくとも第1の捕捉ゾーン中に、及び第2のサンプルを第2の捕捉ゾーン中に流す。この後者の実施態様は、例えば種々の細胞集団に対する種々の刺激の効果を研究するために、又は、同じ患者からの種々の体液若しくは種々の組織を比較するために、非常に有用でありうる。同じチップ内で少なくとも2つの活性ゾーンのディファレンシャルな使用を含む全ての様々なこれら実施態様は、図1、図5又は図6に示されているレイアウトに関して小さい変更によって、当業者によって容易に実施されうる。
【0322】
最後に、本発明はまた、高度に自動化され且つ高度に再現可能な様式で、複雑な細胞の特徴付け及び且つラベル付けプロトコルの適用を可能にしうる。これは、以下の癌細胞の型の決定の実施例において示される。
【0323】
本発明の幾つかの有利点が、制御された様式で、サンプル及び試薬を、外部磁場によって可逆的にそれらの位置で維持される、コロイド状物体のアレイにおいて、流すことの可能性から生じうる。流れが不規則すぎ、とりわけ先行技術におけるのように、バルブの粗野に開けること又は閉じることに関連付けられたパルスを含む場合に、上記コロイド状物体は攪乱され、及び本発明の有利点がある場合にはなくなった。
【0324】
9 捕捉要素を活性化し及び不活性化するために適切なコンポーネントの例示的な実施態様
【0325】
先行技術に比較して、本発明の明確な有利点は、捕捉要素又は捕捉物体を活性化し及び不活性化する可能性である。我々は、本明細書において例として、磁性である捕捉要素を考慮する。図1に示されているように、捕捉要素3は、電磁石又は電気コイル7のおかげで磁場を与えることによって活性化されうる。しかしながら、これは、幾つかの不利点、とりわけ電気消費に関する不利点、及びコイル7を冷やす必要性を有しうる。従って、捕捉要素を磁性的に活性化し、これらの不利点を被らない方法を提供することが本発明の目的の一つである。とりわけ, 好ましい実施態様において、当業者は、活性ゾーン中の磁場の強さを増加させ又は減少させ、一方それを活性ゾーン全てのいたるところで本質的に均一であることを維持する方法を必要とする。
【0326】
N極及びS極が互いに向き合う2つの平行な平らな磁石30及び31間で活性ゾーンを含む少なくとも1つのマイクロ流体チップ1を「サンドイッチする」ことからなる第1の実施態様が、図9Aに体系的に示されている。好ましくは、上記チップの面において、磁石の最小寸法が、上記チップ1の最大寸法の少なくとも、3倍、好ましくは5倍よりも大きい。トレンスレータ33は、磁石30及び31間の中心ゾーンにおいて、上記磁場を減少させ、一方それを上記チップ1に本質的に垂直に維持し且つ均一に維持しながら、上記磁石間の間隔を増加させることを許す。任意的に、磁場を約0へ減少する為に、それらのより広い間隔で、該磁石は磁気分路(a magnetic shunt)34に「ドッキング」されうる。任意的に、少なくとも1つの上記磁石は、上記チップ1に向かう管のための1つ又は幾つかの穴35をさらに備えうる。
【0327】
この実施態様はまた、高い処理量の用途のために特に興味深くありうる。そのような用途において、本発明に従う幾つかのマイクロチャンネル・アレイは、複数の磁石間でスタックされ、そして平行に操作されうる。この実施態様の組み合わせにおいて、流体連絡は、それらの頂上よりはむしろチップの側部37上に配置されうる。この実施態様との組み合わせにおいてまた、薄い厚さ、典型的にそれぞれ、2mm未満、好ましくは1mm未満の厚さを有する本発明のマイクロ流体デバイスを使用することが好ましい。実施例上、上記デバイスは、CD又はミニCDのフォーマットを有しうる。
【0328】
当業者が上記磁場の存在下で光学的手段によって1つ又は複数の活性ゾーンを観察することを欲する場合に好ましい第2の実施態様が、図9Bに示される。その場合において、上記チップは、円状の配置において平行分極(parallel polarizations)を有する一連の幾つかの磁石41の中心40に配置され、そして、磁石は、上記磁場を増加又は減少させるために半径方向に移動される。任意的に、それらの最も離れた位置において、磁石41は、個々の又は集合の磁気分路にドッキングされうる。図10A及び図10Bは、3Dにおける磁石及びそれらの分路のコンピュータ支援設計(左上)、及び、疑似色における磁場での上面図(右上)、及び、垂直中心軸に沿う上記磁場のCOMSOL シミュレーション(左下)、及び、直径に沿う上記磁場のCOMSOL シミュレーション(右下)を示す。当業者は、図10Aについて、上記磁場が、約0.1テスラであり、及び、複数の磁石間の距離の半分上で合理的に均一であり、一方、図10Bにおいて、それが本質的にゼロであることを特に注目しうる。
【0329】
10 本発明内で、磁性粒子の固定及び流れの特徴付け及び最適化のために有用でありうる方法の例
【0330】
捕捉要素上に捕捉物体を固定化するためのシステムの一般的操作が、図9に示されている。例えば0.01%より下の濃度及び1%の非イオン性界面活性剤で添加された、懸濁液中の、水中の又はバッファ中の磁性ビーズが、マイクロ流体制御下で分離チャンネル内に導入される。
【0331】
次に、流れが捕捉され、そして磁場が即座に適用される。ビーズは、予測されるように、カラム中で磁性流体ドット上に自己組織化する(図4C)。我々は、穏やかな流れ、例えば20μm/秒未満のオーダーの流れがアレイに施与されそして磁場がオフにされた場合、カラムが磁性ドットに不可逆的に結合され且つ付着されたままであるということに気づいた。場により媒介されたビーズ-ビーズ吸着が、双極子−双極子相互作用(Goubault et ai, Langmuir, 2005, 21(11), pp 4773-4775)によって誘発される圧力下で、ビーズの表面でポリマー又はタンパク質層の相互貫入の結果として観察される。ビーズ懸濁液の最適な濃度のために、カラムが、チャンネルの厚さと等しい高さを有することができ、且つ、ほとんどわずかの欠陥を有する単一の整列されたビーズから作られる。小数の「独立の(free standing)」カラムはドット間に核をなし、しかし、それらは磁場をオンに維持しながら施与される穏やかな流れによって容易に取り除かれる。
【0332】
より低い濃度について、カラムは不完全であり、又は幾つかのドットが不在である。
【0333】
対照的に、最適なものを超える濃度について、「独立の」カラムの数が増加し、及び磁性ドット上でアセンブルされたカラムはそれらのシリンダー形状を失う傾向にあり、及び平面配置を採る傾向にある。最後に、複雑な構造が六角形アレイの代わりに得られる。
【0334】
磁性カラムが最適な条件下でアセンブルされるときに、それらは、(チャンネルの中央面において達成される)最大流れ速度が約400 μm/sであり、チャンネルの中央面におけるバッファ速度が800μm/秒〜1mm/秒である場合にそれらは脱離しはじめ、全てのカラムが、後者に損傷を与えることなしに磁性ドットから引き離され、そしてマイクロチャンネルが洗浄されうるということが観察された。これは、テンプレート化されていない磁気アレイに関して相当な改良であり、それは典型的に約10μm/秒の流体粘度について不安定化される。
【0335】
細胞捕捉のための流れ速度の最適値は約100 μm/s、典型的に50μm/秒〜200μm/秒であり、従って、細胞捕捉は所与のカラム上で粘性抵抗を有意に増加しうるという事実を考慮しても、カラムの安定性は操作の十分な余裕を残す。
【0336】
デバイスの種々の幾何学的パラメータのための流れ及び磁性パラメータを最適化するための理論的なガイドラインが下記に用意されている。
【0337】
磁性ビーズのカラムは、基本的に、2つの力、磁性流体のドット上にカラムを維持する磁性力とそれを引き抜くことをもたらす、流れに起因する流体力(hydrodynamic force)、に付される。実験的に、カラムが上記ドットからそれら自体を引き離される液体速度閾値があったことが示された。この研究の目的は、これら2つの力を評価すること及び実験的尺度を使用して一貫性を検証することである。
【0338】
流体力の見積もり
固体が流体と比較して相対的移動にあるときに、当該流体はこの物体に、流体(V)の相対的速度と平行な抗力(a drag force)T及びVに垂直な揚力(a lift)に分解されうる力を施与する。
【0339】

【0340】
Υ及びCρ それぞれ、抗力及び揚力の係数、S Vに垂直の面上に投影される固体の表面、及びμ 流体の密度。CΥは固体の配置に依存し、及び、CΥは流れのレイノルズ数に依存する。
【0341】
均一の速度場中の球体及び弱いレイノルズ数の場合に、CΥは下記実験則に従う:
【0342】

【0343】
ここで、S = π.r2 、r は、球体の半径、及び、υは、流体の運動学的粘度。
【0344】
次に、球体の抗力は、下記である。
【0345】

【0346】
それにもかかわらず、我々の実験システムはこのモデルと少し異なる。なぜならば、ビーズのカラムは均一の速度場にないからである。チャンネル内の流体流れは、実際に、ポアズイユの法則に従う。
【0347】

【0348】
Vmax、チャンネル中の流れによって到達する最大速度、及びL、当該チャンネルの高さ、及び、z、当該チャンネル内の高さ。さらに、カラムの各ビーズはポアズイユの法則を修正し、しかし、我々はこのカップリングを後に無視するだろう。第2の概算において、我々は、ビーズ上の流体の相対速度がその質量中心における速度であることを考慮するだろう。これらの状態において、当業者は、下記式によって流体力を評価しうる。
【0349】

【0350】
磁気力の見積もり
磁性ビーズが超常磁性であり、且つ、プロットが磁性流体から作られる。外部磁場なしに、これらの物体は磁気的でなく、しかし、それらが外部磁場下にある場合に、それらは磁気的になり、すなわち、それらはそれら自身の磁性を有し、且つ、近隣の磁気流線を修正するであろう。
【0351】
COMSOLソフトウェアを使用して、我々は、5μmの基部、1μmの高さ、及びχ= 3.3の磁化率を有する磁性流体の錐体ドット上に配置される、4.5μmの直径を有し、χ = 2.6の磁化率を有する8個の球形ビーズのカラムによるシステムを示る、2D軸対称モデルを構築した。図11Aは、マイクロ接触スタンピングによって調製される磁性捕捉要素の場合について、このモデルの磁場の強度を示す。磁場は錐体の先端で最大であり、及びそのサイズはかなり小さく、当業者は、第1の近似値において、プロットの貢献は、錐体の質量中心に配置された磁気双極子に等価であることを考慮するであろう。その磁気的モーメントは錐体の一つと等しい。その上、カラムの磁気的貢献は、上記錐体の上記一つよりも明らかに優れており、我々は、カラムの上記磁場上の錐体による磁場崩壊が無視してよいことを考慮するであろう。これらの条件下において、当業者は、カラムをプロット上に維持する力を下記式によって評価しうる。
【0352】

【0353】
カラム下の水平線 0.6μm上の磁場(図11B)、及び、カラムなしの錐体の磁性が該ソフトウェアによって測定されている。
【0354】
当業者は、捕捉要素の種々の種類に対してこのモデル化方法を適用することができるであろう。
【0355】
パラメータの影響
カラムの抗力は、原理上、Vmax及びLに依存する。チャンネルの限定的な高さは、例えば38μmであり、上記抗力は、Vmax:T= 2.87 10-7Vmaxと線形に変わる。lmm/秒の流体の最大相対的速度について、当業者は、T (1 mm/秒)=2.38 10-10 Nを得る。上記速度が20%変わる場合に、当業者は、T(1.2 mm/s)=2.86 10-10N及びT(0.8 mm/s)=1.9 10-10 Nを得る。上記速度が20%変わる場合に、当業者は、T(1.2 mm/s)=2.86 10-10N及びT(0.8 mm/s)=1.9 10-10 Nを得る。
【0356】
磁気力は、カラムに起因して磁性体錐体の磁気的モーメント及び磁気的グラジエントに依存する。これらの2つの成分は、外部場の強度で変わる:第1のものはまた、錐体の容量で変わり、及び、第1のものはカラムの高さで変わる。
【0357】
− 磁性カラムの長さの影響:カラムに起因する磁気的グラジエントは、その長さでかなり変わる。28.9 mTの外部場について、カラムに起因する最大の磁気的グラジエントは、8のビーズに対するカラムについて6.8 10-3 T/μm、及び、2のビーズに対するカラムについて6.69 T/μmであり、従って、変化は1.6%である。
【0358】
− 外部磁場の影響:5μmの直径及び1μmの高さを有する円錐ドット、及び8ビーズのカラム、について、磁気力は、28.9 mTの外部磁場において6.73 10-10 Nであり、及び、25.1 mTの外部磁場において5.1 10-10 Nであり、すなわち24.3%の変化。
【0359】
− 錐体容量の影響:磁性体ドットの容量は、主な様式において磁気力に影響を与えない。8ビーズのカラムについて、28.9 mTの外部磁場において、6μmの直径及び1μmの高さを有するドットについての磁気力は9.43 10-10Nであり、及び、4μmの直径及びlμmの高さを有するドットについての磁気力は4.49 10-10 Nであり、すなわち52.4%の変化。
【0360】
実験的に、我々は、磁性流体ドットが約5μmの直径、及び1μmの高さを有すること、
並びに外部磁場は約 28 mTであることを検証することができた。これらの値についての磁気力は、6.7 10-10Nで見積もられる。
【0361】
それ故に、これらのモデルを使用して得られる結果は一貫性があり、競合にある2つの力について、同じ桁オーダーに十分あり、当該モデルは、実際に、カラムの磁気的抵抗を予測するために及び上記記述を使用して本発明の多くの他の様々な実施態様を調製するために使用可能であることを示す。
【0362】
11 細胞株に対する細胞捕捉効率性の評価
【0363】
細胞株培養及び調製
細胞培養試薬は、Invitrogenから購入された。Bリンパ球「Raji」(ATCC CCL-86)ヒト細胞株が、100U/mLの水性ペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、及び10%のウシ胎児血清を補われたRPMI 1640中で培養された。上皮細胞「MCF7」が、100U/mLの水性ペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、及び10%のウシ胎児血清を補われたDMEM中で培養された。細胞は、5% CO2を有する湿気のある環境中で、37℃で培養される。
【0364】
スパイクされた細胞株を用いての実験において、長期細胞トラッカー染料、グリーン 5- クロムメチルフルオレセインジアセタート(CMFDA) (Invitrogen、フランス)が、一つの集団を他から識別するために使用された:MCF7 細胞が、30分間、37℃で、1μmのCMFDAを含有するフォスフェート緩衝液l×(PBS、pH 7.4、Gibco、フランス)中でインキュベーションされた。次に、細胞が洗浄され、そして、30分間、37℃で、培養培地でインキュベーションされた。次に、細胞が洗浄され、Sigma(フランス)から得られた0.1%仔牛血清アルブミン(BSA)を補われたPBS溶液中に再懸濁された。細胞懸濁物の濃度は、血球計を使用して測定された。
【0365】
細胞分離の定量化
分離収率及び選択性を定量するために、抗EpCAMラベル付けされた磁性ビーズのアレイが形成された:ビーズがチャンネル中に注入され、流れが中止され、磁場が施与され、過剰のビーズがPBSで洗浄された。MCF7細胞が、上記されたCMFDA細胞トラッカーでラベル付けされた。MCF7及びRaji細胞の混合物が調製され、そして各集団の細胞数が、マラッセ(Malassez)チャンバーで定量化された。
【0366】
血液を使用する場合に、MCF7が0.5mLの血液に添加された。
【0367】
FACS溶解バッファを使用する場合に、0.5mLの細胞が、15分間、室温で5mLの溶解バッファ 1X中でインキュベーションされた。次に、細胞が、10分間、40Ogで遠心分離され、そして上清が廃棄され、そして0.5mLの細胞懸濁物のみが維持された。
【0368】
細胞サンプルが、蛍光性ラベル付け(癌患者からの血液サンプル又は腰椎穿刺)によって解析されさえすればよい場合に、CMFDAラベル付けを使用する必要性はない。
【0369】
上記混合物が、これらの2つの細胞集団間での接着を避けるために、マイクロ流体チップ中に即座にロードされた。次に、マイクロ流体チャンネルは、捕捉されていない細胞を除去するために、PBS + 0.1% BSAで洗浄された。蛍光細胞が、磁気アレイにわたって捕捉収率及び捕捉プロファイルを決定するために数えられた。
【0370】
本発明の、細胞に関する捕捉性能の評価
細胞を捕捉するための本発明の効率が評価された。細胞が、図6C及び図6Dに記載されたこれらに対応するレイアウトを有するマイクロ流体デバイス中において、特異的な捕捉抗体で被覆された磁性ビーズのアレイ上に捕捉され、そして、下記項8に記載されたようにアセンブルされた。上記捕捉要素のアレイは上記項3に従い調製され、及び、マイクロ流体チップは上記項5に従い調製された。
【0371】
実験の第1の系において、幾つかのリンパ球(Raji細胞株)が、デバイス中に導入され、そして抗CD 19 Dynalビーズによって捕捉された。ビーズの列当たりの捕捉された細胞の数が測定された。
【0372】
表面抗原EpCAMを発現する幾つかの上皮癌細胞(細胞株MCF7)が、CMFDA (CellTracker(商標)Green CMFDA、Invitrogen)で染色された。MCF7の既知数が、1 MCF7 /10000 Raji比で、リンパ球(Raji 細胞株)を含むバッファ中でスパイクされた。それらは、抗EpCAM Dynalビーズで捕捉された。全体的な捕捉収率は、75+/-10%であった。ビーズの列当たりの捕捉された細胞の数は、それらの捕捉前にアレイ中に上記細胞の浸透深さの関数として測定された(図12A)。これは、本発明の捕捉効率が極めて高いこと、及び、特にこの特定の実施態様において、列15の前で、上記細胞のほとんどが捕捉されることを示す。
【0373】
次に、当業者は、赤血球細胞が溶解された血液サンプルから細胞を捕捉するの該システムの効率性を研究した。血液サンプルは非常に粘性であり、従って、カラムの磁気アレイを損傷することなしに生の血液をアレイ中に導入するために、低い流速を使用することが本発明において必要である。従って、好ましい実施態様において、赤血球細胞が、血液サンプル中の細胞の数(そして結果的に、粘度)を減少させるために選択的に溶解される。フローサイトメトリーを使用して、我々はEpCAM及びCD45抗原が、FACS溶解バッファ(BD Bioscience)を用いた次の溶解工程で損傷されなかったことをチェックした。
【0374】
最終的に、MCF7細胞は、0.5mlのヒト血液中で既知の濃度でスパイクされた。赤血球細胞が溶解された(FACS 溶解バッファ、BD Bioscience)。有核細胞が、0.5 mLのPBS中で再懸濁された。60+/-5%の捕捉収率が得られ、そしてビーズの列当たりの捕捉された細胞の数が測定された(図12B)。
【0375】
また、列当たりの捕捉の効率は高いままであることがわかる。なぜならば、全ての細胞が列番号1及び列番号30のうちで捕捉されるからである。これは、先行技術、とりわけNagrath, Nature, 2007, nature, Vol 450|20/27 December, 2007と比較してかなり有利である。先行技術のこのデバイスにおいて、活性ドメインは、伸張した平行六面体であり、高いフットプリント、例えば51mm長について19mm幅を有し、入口及び出口を有する。上記細胞は、走査電子顕微鏡によって示されているように、大きいサイズの永久的な障害物上に捕捉される。本発明において、とりわけ捕捉ゾーンのはるかにより短い長さ(ここでは3mm)のおかげで、同じ処理量がはるかにより小さいフットプリントを有するシステムにおいて達成されうる。これはまた、Saliba et al., Proceedings uTAS 2007 (The 11th International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences), Paris 2007, ISBN 978-0-9798064-0-7, Publisher CBMS, Cat Nb 07CBMS-0001(その中で、活性ゾーンがその幅よりも大きい長さを有し、従って高い処理量を生成できない)に開示されているレイアウトに関して有利である。
【0376】
12 高解像度癌細胞特徴付けのためのラベル付けプロトコル
【0377】
抗体蛍光性ラベル付けプロトコル
高解像度顕微鏡観察を許すために、特異的な蛍光的にラベル付けされた抗体が用意されなければならなかった。特異的タンパク質(サイトケラチン、CD45)の細胞ラベル付けが、特異的な抗体をZenon Mouse IgG Labeling Units (Invitrogen)により与えられた蛍光性抗IgG 抗体でコンジュゲートすることによって実現される。
【0378】
1μgの抗体が、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(=20μL)中に希釈される。5μLのZenon mouse IgGラベル付け試薬(成分A)が抗体溶液に添加され、そして5分間、室温でインキュベーションされる。5 μLのZenonブロッキング試薬(成分B)が反応混合物に添加され、そして5分間、室温でインキュベーションされる。次に、複合体が用意され、そしてほぼ30分内にサンプルに適用されるべきである。
【0379】
免疫蛍光細胞特徴付け
磁気アレイにおける細胞捕捉後に、細胞を30分間、室温でインキュベーションすることによって細胞核がHoechst 33342 (Invitrogen、フランス)で染色された。PBSでの洗浄工程の後に、細胞が抗体ラベル付け混合物(Zenon unitによるAlexa Fluor 488でコンジュゲーションされた抗CD45)で、30分間インキュベーションされた。次に、マイクロ流体チャンネルがPBSで洗浄され、引き続き、細胞が15分間、3.7% パラホルムアルデヒド (Sigma)溶液によってチップ中に固定化され、そして15分間、PBSで洗浄された。次に、それらの膜は、5分間、室温で、0.1% TritonR X-100を含むPBS中で上記サンプルをインキュベーションすることによって透過処理され、そして、15分間、PBSで洗浄された。次に、細胞が、30分間、抗体ラベル付け混合物(Zenon unitによるAlexa Fluor 555でコンジュゲートされた抗 EpCAM)でインキュベーションされた。最後に、細胞が、15分間、3.7%パラホルムアルデヒド(Sigma)溶液によってチップ中で固定化され、15分間、PBSで洗浄された。レーザー共焦点顕微鏡を介してエクス シチュー(ex-situ)解析を通じてより都合良く実行するために、磁性カラム及び細胞は、最後に、チップ中に、PBS中の低融点アガロース(Euromedex)の1%溶液を流すことによって安定化された。アガロースは、チップ中で温度を減少させることによってゲル化される。チップ中の温度は、チップを囲む磁気コイルの温度を監視することによって制御されうる(ペルチェ素子を有する他のシステムがまた使用されうる)。
【0380】
この手順に沿って、ビーズカラムのアレイ及びそれらに付着された上記細胞は、磁場をスイッチオフした後でさえ所定の場所に維持され、そしてマイクロ流体チップはその流体制御システムから接続を断たれ、そして画像化のために送られうる。ときには、操作の間に、磁性カラムの全アレイが、次の画像化を妨げることなしに、磁気的テンプレートに関してシフトされうる。
【0381】
13 患者血液からの白血病の型の決定のための本発明の使用
【0382】
オンチップ細胞B細胞悪性腫瘍免疫表現型の決定
lnstitut Curie Hospitalから、パーソナル・データ匿名化プロトコルで、静脈血が、患者において既に診断されたB-細胞悪性腫瘍から、EDTAチューブ内にサンプリングされ、そして即座に処理された。白血球が、Ficoll(Lymphoprep)によって赤血球から単離された。白血球から単離された細胞核が、下記指示に従い、Hoescht nuclear 染料 (Invitrogen、フランス)で染色された。
【0383】
統合されたマイクロバルブを有するタイプのマイクロ流体チップが上記実施例に従い用意される。それは、42mmの直径及び厚さ170μmを有するガラス顕微鏡カバースリップ上に結合された活性領域において50μmの厚さを有するPDMSマイクロ流動チャンネルを含む。上記カバースリップは、上記項1に従い調製された、間接的捕捉要素として、その表面上に磁性ドメインを有する。当該チップは、上記項4に従い、サンプルの自動化された注入のためのMFCS 8C (Fluigent)に接続され、そして抗CD 19 磁性ビーズ (DYNAL(登録商標)1)が上記アレイ内に流される。チップ表面に本質的に均一であり且つ垂直の25 mテスラの磁場が、チップを囲う磁気コイルを活性化することによって施与された。
【0384】
次に、10μLの白血球溶液がチップ中に導入される。約8μLの溶出後に、捕捉されたB細胞が、非特異的な抗体捕捉部位をブロックするために、PBS-1%BSA及びウシ胎仔血清で洗浄された。
【0385】
次に、蛍光的にラベル付けされた抗体の混合物が、チップ中に送られた。上記抗体は、この特定の実施例において、ラベル付けされたmAb抗CD5 Alexa Fluor 488(BIOEGEND(登録商標)、フランス)、mAb 抗CD 10 AlexaFluor 555(BD BIOSCIENCES(登録商標)、フランス、Zenon Unitにコンジュゲートされた、Invitrogen)、及びmAb 抗CD23Alexa Fluor 647 (BIOEGEND(登録商標)、フランス)である。30分のインキュベーション後に、細胞がPBS-BSA 0.2%で洗浄される。引き続き、細胞が3.7% パラホルムアルデヒド(SIGMA(登録商標)、フランス)で30分、チップ内で固定化され、そして30分、PBSで洗浄された。レーザー 共焦点顕微鏡によって解析されるために、細胞 が、PBS中1%アガロースゲル(低融点、SIGMA(登録商標)、フランス)に埋め込まれて、アレイの3D構造が維持される。細胞が、NIKON(登録商標)A1R 共焦点顕微鏡を用いて解析される。
【0386】
結果
【0387】
患者1:慢性リンパ球白血病
図13Aは、慢性リンパ球白血病患者から捕捉された3のB細胞を示すパネルを示す。複数の画像は、関与する種々の染料に対応する種々の光チャンネルにおいて記録された3D共焦点集合(stack)からの及び明視野透過画像からの、選択された切断面に対応する。
【0388】
前記パネルにおいて、
− 左上は、統合画像であり、
− 中上は、Hoescht 染色であり、
− 右上は、CD23免疫ラベル付けであり、
− 左下は、CD10ラベル付けであり、
− 中下は、CD5ラベル付けであり、及び
− 右下は、明視野画像である。
【0389】
画像を提示するために、画像の共焦点集合(stack)が、種々の源、特にマイクロチャンネルの表面上に吸着されたフルオロフォア、からの迷光(stay light)を除くために選択され、はるかによりよいシグナル対ノイズ比をもたらした。パネルC及びEにおける周辺の色付けは、抗原の局在化が膜局在であるという明らかな証拠を提供する。
【0390】
当業者は、捕捉コロイド状物体として使用される磁性ビーズが緑(右上)及び黄(左下)のチャンネルにおいて自己蛍光を有し、従って、それらは、上記分析物に関して、より正確な定量的シグナルを得るための参照シグナルとして使用されうる。
【0391】
患者2:急性リンパ芽球性白血病
図13Bは、図13Aのために使用されたそれらに類似する状況において得られた、急性リンパ芽球性白血病を被った患者からの細胞からの画像を示す。表現型は、今回は、CD23+、CDl0+、CD5-である。この結果は、並行に得られたサイトメトリック・データに従う。
【0392】
.
14:大サンプル容量からの希少細胞のソートのための本発明の使用
【0393】
ソート・デバイスの性能を定量するために、Tリンパ球(Jurkat細胞株、CDl9-)と混合された、CD19膜タンパク質を発現するBリンパ球(Raji細胞株、CD19+)が検出された。標的細胞が、本実施例において、緑色細胞トラッカーCMFDA染料を使用して認識される。リンパ球の混合物中でのスパイクされた上皮細胞(MCF7細胞株)の捕捉はまた、血液中の原発腫瘍(例えば乳癌)からの上皮細胞の播種についてのモデルとして研究された。実験はまた、全血サンプルで実現された。
【0394】
磁性流体スポット六角形アレイが、カバーガラス上のマイクロ接触プリンティングによって形成された。PDMSマイクロチャンネルが、プラズマ処理後に密閉された。試薬の流れは、 MFCSを使用して動的に制御された。磁性ビーズ (Φ=4.5μm、DYANL(登録商標))が分離チャンネル中に注入され、そして3OmT 磁場を使用して磁性流体ポット上でカラム内で自己組織化する。上記ビーズは、標的とされた細胞集団に依存して、抗CD19抗体又は抗EpCAM抗体で接合される。
【0395】
洗浄後、上記細胞混合物がソートシステム中に注入される。最終的に、洗浄溶液及び染色のための試薬がMFCS流体自動化の下で連続的に注入される。Rajiが、(細胞形態のアッセイのための)固定化後に、抗CD19-AlexaFluor488(膜), Hoechst (核)で及び May-Grunwald-Giemsa 試薬でチップ内で染色された。MCF7捕捉された細胞が、固定化後に、抗EpCAM-AlexaFluor488, Hoechst、及び抗cytokeratin-AlexaFluor594で染色される。細胞は、高倍率で、明視野において且つ蛍光灯において観察される。
【0396】
1000個の陰性細胞当たり1個の陽性細胞を有する細胞混合物が研究された。全体的な捕捉収率は、55+/-10%である。捕捉の間の上記細胞速度は約300μm/秒であり、且処理量は図5Aの配置で0.5 mL/時間である。
【0397】
図6Aの配置で、我々は、約106細胞/mLの総細胞濃度を有する細胞株混合物を使用して、約3mL/時間の処理量を期待する。PBS中に2倍に希釈された全血サンプルで行なわれた実験は、106細胞/mLで細胞を含むサンプルと比較して全血のより高い粘度の故に、カラムが0.3 mL/時間を超える流速で耐えないことを示した。従って、この値よりも大きな流れ処理量、且つ、この特定の例において示されるような総セクション33 mm x 0.05 mm x 2 = 3.3 mm2(活性ゾーンの数、当該活性ゾーンの幅を乗じ、当該活性ゾーンの厚さを乗じる)を有する場合に、本発明は、赤血球溶解の工程に好ましく関連付けられている。
【0398】
代替的に、当業者がRBC溶解を避けることを望む場合に、当業者は、例えば活性ゾーンのその幅又は活性ゾーンの数を増加させることによって、活性ゾーンの総断片領域(the total sectional area)を増加しうる。
【0399】
細胞株培養
ヒト乳癌細胞株MCF7が維持され、且つ、4mMのL-グルタミンを含み10%のウシ胎仔血清及び1%のペニシリン-ストレプトマイシン液(Gibco)を補完されたDMEM(Invitrogen)培地中でコンフルエンスになるように成長され、及び、リンパ球細胞株(Raji及びJurkat)が、GlutaMAX(Invitrogen)を含み、10%のウシ胎仔血清及び1%のペニシリン-ストレプトマイシン液 (Gibco) で補完されたRPMI-1640中で成長され、両者は、37℃、5%CO2中、湿度下である。
【0400】
MCF7を解離させるために、培地が吸引され、そして細胞が再懸濁され、300gで5分間遠心分離され、そしてHBSSで2回洗浄され、そして2分間、トリプシン-EDTAでインキュベーションされる。次に、細胞は懸濁され、そしてPBS + 2mM EDTA + 0.l% BSAで洗浄された。リンパ球細胞は再懸濁され、300gで5分間遠心分離され、そして106細胞/mLの濃度でPBS + 0.l% BSAで洗浄された。
【0401】
スパイク実験.
スパイクされるべき細胞(MCF7又はRaji)は、製造者によって提供される標準プロトコルを使用して、CMFDA 細胞トラッカーで予めラベル付けされる。上記細胞力価は、血球計算器(haemocytometer)を用いて計数することによって決定された。次に、細胞の所望の濃度が、PBS + 2mM EDTA + 0.1% BSA中における元の細胞懸濁物の連続的な希釈によって調製される。ラベル付けされた細胞が、Jurkatリンパ球(約106細胞/mLの濃度である)を1/1000の濃度でスパイクされ、そして、ソートシステム中に注入された。捕捉された細胞が計数され、そして、蛍光によって識別される。
【0402】
固定及び染色
捕捉された細胞は、15分間、PBS + 4% ホルムアルデヒドでそれらをインキュベーションすることによって固定化され、そして次に、15分間、PBSで洗浄された。次に、細胞は、5分間、PBS + 0.1% Triton X-100でインキュベーションされ、そして、5分間、PBSで洗浄された。捕捉されたMCF7細胞は、30分間、抗EpCAM- AlexaFluor488及び抗cytokeratin-AlexaFluor594で染色される。抗EpCAM-AlexaFluor488及び抗cytokeratin-AlexaFluor594は、製造者によって提供される標準プロトコルに沿って、Zenon (Invitrogen) によって供給される抗IgG-AlexaFluor 抗体と抗EpCAM-IgG及び抗cytokeratin-IgGを混合することによって得られる。
【0403】
捕捉された細胞の核の染色はまた、15分間、DAPIでそれらをインキュベーションすることによって行われうる。次に、細胞はPBSで洗浄される。可視化が、項5におけるものと同じ手順に沿って行われた。
【0404】
共焦点顕微鏡での細胞画像化の実施例
細胞は、本発明のマイクロ流体システムにおいて共焦点顕微鏡によって画像化された。例示的な画像が図14において示される。
【0405】
この場合における抗体の色ラベル付けが、核 300について黄であり、表面抗原CD5 301、CDl0 302及びCD23 303についてそれぞれ赤、青及び緑である(黒色背景上で色画像写真コピー問題を避けるために、画像は反転された色で示されている)。右側の最も大きな3つの細胞は表現型 CD5+、CD10-、CD23-を有し、且つ、左側の最も小さな細胞は、CD5-、CD10-、CD23+である。
【0406】
15 乳癌患者からの腫瘍細胞の免疫表現型検査
【0407】
患者からの血液が、Veridexチューブに集められ、そして本場合においてCMFDAラベル付けを使用する必要性がないということを除いて項11におけるものと同じ方法で調製された。
【0408】
赤血球細胞が、製造者のプロトコルに沿って、FACS lysing(BD Bioscience) で溶解された。:バッファ、0.5mLの細胞が、15分、室温で5 mLの溶解バッファ1X中でインキュベーションされた。次に、細胞が、10分、400gで遠心分離され、そして上清が捨てられて、0.5 mLの細胞懸濁物のみが維持された。
【0409】
上記混合物は、これら2つの細胞集合間での付着を避けるために、マイクロ流体チップ中に即座にロードされた。次に、マイクロ流体チャンネルが、捕捉されていない細胞を除くためにPBS + 0.1% BSAで洗浄された。蛍光細胞は、磁気アレイにわたって捕捉収率及び捕捉プロファイルを決定するために数えられた。
【0410】
図15は、図6Dに従うデバイスにおいて得られた、乳癌患者からの末梢血の静脈穿刺からの細胞からの画像を示す。図15Aは正常な血球を示し、図15Bは2つの正常な血球及び潜在的な腫瘍細胞を示す。
【0411】
図15Aaはブルー・チャンネル(hoescht染色)に対応し、図15Abはレッド・チャンネル(サイトケラチン 染色)に対応し、図15Acはグリーン・チャンネル(CD45染色)に対応する。
【0412】
16 ノイズ除去ソフトウェア及びスピンニング・ディスク画像化を使用する画像品質及び取得スピードの改善
【0413】
図16は、本発明と組み合わせてヨコガワ・スピンニング・ディスク・システム、ニコン倒立顕微鏡を使用する、Bリンパ球(CD45ラベル付け)の画像を示す:完全細胞画像の非常に速い取得が、20msで、画像の良好な品質を維持しながら達成されうる。加えて、ノイズ除去ソフトウェアがさらにスピードを増加させ、この状況において5msの取得時間を許す。ノイズ除去アルゴリズムがまた、本発明との組み合わせにおける慣用の画像顕微鏡と一緒に使用されることができ、総取得時間について妥協することなしにその非常に高い解像度画像化を活かすことを許す。
【0414】
本発明の追加の有利点
【0415】
慣用のマイクロ/ナノ製造ツールと比較して、本発明の例示的な実施態様によって可能とされる分析物の間接捕捉の使用は低コストであり、ロバストであり、そしてそれは高いアスペクト比構造を許す。それは可逆であり、従って、ルーチン・プラクティスにおいて使用可能な工業機器の開発の為に使用される場合に、汚されたアレイは完全自動化された様式で置換されうる。それは95%よりもよい収率及び特異性で細胞を捕捉することができ、そして我々は、長い時間細胞を培養し且つ再生することができた。
【0416】
本発明の例示的な実施態様はまた、細胞がその中で捕捉されるチップにおける直接的な複雑なプロトコル、例えば、細胞染色、バイオアッセイ、DNAアッセイ、タンパク質アッセイ、トランスクリプトーム解析、ゲノム解析など、を完全に自動化することを許し、従って、従来技術と比較して操作を相当に簡素化する。
【0417】
上記に記載された有利点以外に、本発明の例示的な実施態様、本質的に細胞生物学の発展下で最も複雑化されたツールの本質的に全てを、例えばマイクロ流体環境制御及び高解像度自動化光学スクリーニングなどを、上記捕捉された細胞に適用する非常にユニークな可能性を提供する。
【0418】
実際に、本発明の例示的な実施態様は、単一の方法及びデバイスにおいて、従来技術の種々の状態の個々の有利点を組み合わせ、且つ、それ自体の幾つかを追加する。
【0419】
ビジュアル・サイトメトリーに関して、本発明の例示的な実施態様は、光学サイトメトリーにおいて現在使用されている全ての染色及び観察プロトコルの施与を可能にする。なぜしかしながら、スクリーニングするための総表面は、白血球との重複なしに且つかなり少ないヒトの関与でスクリーニングがより短時間で高解像度で実行されうるようにかなり減少させられる。なぜならば、関心のある上記細胞は大量の不要な細胞からソートされるからである。最後に、本発明の例示的な実施態様は、高価なロボットの必要性なしに且つスライド調製ロボットと上記顕微鏡観察プラットフォームとの間の操作なしに、完全自動化及び染色及び観察工程を許す。
【0420】
フローサイトメトリーを使用して、本発明は、使用の簡素化、高い自動化及び定量化の有利点を共有する。
【0421】
フローサイトメトリーとして、それは、複雑なプロトコルに沿って、蛍光的にラベル付けされたバイオマーカーの多様性に関して、癌細胞の同時の、定量的な、多色の型の決定の可能性を提供する。しかしながら、それは、主要な定性的な改良を示す。第1に、それは、両方向において、解析を受けることができるサンプル体積の範囲の相当な拡張を許す:関心のある細胞の大画分を含むサンプルについてのその高度に統合された且つマイクロ流体性質のおかげで、それはフローサイトメトリーよりも10倍低い、典型的に10〜20 μLの範囲の容量で統計的に有効な完全な型の決定を可能にする。しかしながら、本発明はまた、1時間当たり数mlを処理し、従ってフローサイトメトリーの範囲外の適用において血液からCTCをソートすることができる。
【0422】
従って、本発明の他の目的は、フローサイトメトリーとビジュアル・サイトメトリーの有利点を組み合わせて、分析物、とりわけ細胞、のソート若しくは解析、又はソート及び解析の組み合わせのための方法を提供する。
【0423】
より特には、本発明は、分析物、とりわけ細胞、のソート若しくは解析、又はソート及び解析の組み合わせのための方法であって、
− 上記分析物を磁性粒子で捕捉すること、
− 上記分析物を画像化し又は解析すること、
− 上記画像から又は上記解析から得られた上記データから、少なくとも1つの所定の判断基準、好ましくは3より多い、5より多い、7より多い、9以上の所定の基準に関して少なくとも1つの定量的な計算結果を抽出すること、上記抽出は少なくとも1つの分析物について、好ましくは幾つかの分析物について、より好ましくは多くの分析物について、理想的には捕捉された全ての分析物について実行される、
− 上記定量的な計算結果を参照値と比較すること
の工程を含む上記方法を提供する。
【0424】
任意的に、本発明は、例えばフローサイトメトリーにおいて実行される場合に、多次元マップにおいて上記で得られたデータをプロットすることからなる工程を有用に含みうる。
【0425】
任意的に、また、上記参照値は、上記分析物の解析のために使用されるものと同じ条件におけるアイソタイプの解析によって、又は、内部参照の使用によってのいずれかで得られうる。
上記内部参照は、例えば上記サンプル中に天然に含まれる幾つかの細胞、例えば造血細胞など、によって、又は解析の前に上記サンプル中にスパイクされた予めラベル付けされた細胞によって、又は解析の前に上記サンプル中に導入されたラベル付けされたコロイド状物体によって、又はマイクロ加工中に上記活性ゾーン中に導入されたシグナル放出性コンポーネントによって、又は分析物の捕捉の前若しくは後に上記活性ゾーン中に流される少なくとも1つの試薬中に導入されるラベル付けされたコロイド状物体によって放出されるシグナルにより提供されうる;上記参照はまた、捕捉コロイド状物体の幾つかの固有の特性によって提供されうる。
【0426】
校正された膜(calibrated membranes)上での濾過に関して、本発明の例示的な実施態様は、特定のバイオマーカーによって(又は、好ましくはタンパク質に基づく、核酸に基づく又は形態学的のいずれかでありうる複数のバイオマーカーの組み合わせによって) 関心のある上記細胞の選択を許すという主な有利点を示す。加えて、本発明の例示的な実施態様内で、上記捕捉された細胞は、最も強力的なマイクロ及びナノ画像化ツールと、並びに、細胞培養及びインビボ研究と互換可能なフォーマットにおいて、はるかに小さい領域上示される。
【0427】
慣用の磁気的にソートする方法及びデバイスに類似して、本発明の例示的な実施態様は、細胞を捕捉するために、十分に豊富な十分に特徴付けられ且つ高度に特異的な機能化された磁性粒子を使用しうる。それは、より良いルーチンの品質制御及びラン−ツー−ラン再現性(run-to-run reproducibility)のためのバッチ調製、検定テストを通過するための且つ更なる標準化に着手するための必要な特性を許す。これはまた、生産費用を相当に減少させる。しかしながら、さらに、磁気的ソートのパラダイムは完全に覆され、ソートの効率及び感度において劇的な増加をもたらす。本発明の例示的な実施態様内で、磁性粒子は初めに固定化され、次に、上記細胞が流される。これは、2つの主な有利点を示す: 1つは、必要な粒子の数が捕捉されるべき細胞の数に本質的に比例することであり、及び従来技術の方法のように、サンプルの総容量に本質的に比例しないことである。
【0428】
従って、CTCについて、磁性粒子の総数は、桁単位で減少される。これは、費用だけでなく、粒子の大過剰の使用は細胞障害をもたらす故に、収率を低下させ、そして、正確な形態学的観察を不可能にするので、興味深い。第2に、我々のシステムにおいて、上記細胞と固定化された粒子との間の相互作用は、ブラウン運動によって誘発されないが、アレイ内のよく制御された流体力によって誘発され、相当に増加した捕捉収率を結果する。最後に、本発明の例示的な実施態様はまた、上記背景に記載されたように、以前のマイクロ流体細胞ソート方法と比較して相当な有利点をもたらす。
【0429】
第1に、本発明の例示的な実施態様において、我々のカラムのアレイを作成するために「トップ−ダウン」マイクロ加工プロセスの代わりに「ボトム−アップ」活性化可能自己アセンブリプロセスを使用して、当業者は、より高いアスペクト比を達成し、かなりの製造費用を削減し、且つ再現性を改善しうる。加えて、上記アレイの可逆性質は、汚れたアレイが純粋に流動手段に置換されることができるので容易な自動化及び工業化を許す
【0430】
第2の主な変更は、生きている捕捉された細胞に対して高度に自動化された高解像度顕微鏡検査及び細胞生物学を実行することの可能性である。先行技術において、細胞はマイクロチャンネルにおいて厚い微細加工された酸化されたシリコンウエハー上に捕捉され、従って、それらの観察に適用されうる画像化ツールは制限され且つ低解像度である。本発明の例示的な実施態様で、対照的に、慣用の及び慣用でない顕微鏡方法を使用することが可能であろう。この有利点は、実際に、希少な腫瘍細胞の特徴付けのための既存の又は開発中の全ての方法に関して、本発明のアプローチをユニークなものにする。
【0431】
先行技術と比較した他の有利点として、本発明は、細胞スクリーニング操作をかなり簡素化し且つ加速化する。なぜならば、それは、同じデバイス内において、ソート、捕捉、及び解析を実行しうるからである。例えば米国特許出願公開第US2008090239号明細書又は米国特許出願公開第US2007059680号明細書に開示されているようなマイクロ流体の先行技術において、放出のための第1のモジュール及び捕捉のための第2のモジュール、そして、ある場合には、核酸がさらなる解析のためにその中に集められるであろう第3の容器が必要である。
先行技術において、磁気的ソート・デバイス、例えばVERIDEX(登録商標)によって提案されているものなど、において、プロセスは、また多くの操作、並びに、2台の機械の使用、1つ目は磁気ソートのため及び2つ目は結果の解析を実行するため、を含む。
【0432】
本発明の例示的な実施態様が、バイオアッセイ、細胞スクリーニング、細胞に基づく診断及び予後、細胞生物学、発生生物学、薬物発見、薬物スクリーニング、幹細胞研究、細菌学、感染学、バイオテクノロジーの全ての分野において重要且つ有用な適用を有しうることは当該分野の当業者に明らかであろう。
【0433】
本発明内の分析物を含むサンプルは例えば流体であるが、それらは任意の起源由来でありうる。特に適切なサンプルは、体液、例えば血液、尿、血漿、血清、脳脊髄液、リンパ液、唾液である。
【0434】
これらのサンプルは、幾つかの前処理、例えば、遠心分離、フィコールグラジエント、幾つかの細胞の選択された溶解、沈殿、タンパク質消化、及び本発明に従うデバイス及び方法が適用される特定の適用のための関心のある任意の他の処理、を用いて使用されうる。
【0435】
血液は、例えば、生で、好ましくは細胞を生かしたまま保存し且つ凝固を避けるために適切なチューブ、例えばVERIDEX(登録商標)によって販売されているものなど、若しくは他の血液収集チューブに集めた後に、使用されうる。それはまた、本発明内で使用する前に、赤血球細胞(RBC)溶解の工程、又は、希釈の工程を含みうる。それはまた、幾つかの適用のために、フィコール(ficoll)処理を含む。しかしながら、一般的に本発明の有利点の一つは、そのようなフィコール処理を避けることである。
【0436】
サンプルはまた、骨髄から、生検物、例えば外科的生検物から、又は吸引物、とりわけ微細針吸引物(FNA)、から用意されうる。サンプルが初めは固形のものである場合に、それは好ましくは本発明内で使用される前に、液体培地に細胞を解離させ且つ懸濁させるために適切な処理によって処理されるであろう。
【0437】
環境的及び安全性適用のために、本発明内のサンプルはまた、環境、例えば農作物、食品、表面又は地下水、汚水、空気由来でありうる。
【0438】
とりわけ、細胞ソート及び型の決定の数多くの潜在的な適用が先行技術において、とりわけ、国際公開第WO 2006/108087号、米国特許出願公開第US 2007/099207号明細書、国際公開第WO 2006/108101号、米国特許出願公開第US 2007/196820号明細書、米国特許出願公開第US 2007/026-413号明細書、-469号明細書、-414号明細書、-415号明細書、-416号明細書、-417号明細書、-418号明細書;米国特許出願公開第US 2007/059-716号明細書、-680号明細書、-774号明細書、-719号明細書、-718号明細書、-781号明細書;米国特許出願公開第US 2007/172903号明細書;米国特許出願公開第US 2007/231851号明細書;米国特許出願公開第US 2007/259424号明細書;米国特許出願公開第US 2007/264675号明細書;国際公開第WO 2007/106598号、; 国際公開第WO 2007/147018号;米国特許出願公開第US 2008/090239号明細書;国際公開第WO 2007/147079号;国際公開第WO 2008/014516号;米国特許出願公開第US 2008/113358号明細書、米国特許出願公開第US 2008/0138809号明細書 において列挙されている。驚くべきことに、これらの適用が先行技術デバイスによるよりもより効率よく本発明により実際に処理されることができることを我々は発見した。
【0439】
また、その非常に高い捕捉効率のおかげで、本発明は、赤血球細胞の溶解の工程及び有核細胞の再濃縮の工程の後でさえ、血液中の希少細胞を損失することなしに捕捉することが可能であることが注目されるべきである。これは、処理されるべきサンプルの容量を有意に減少させること、及び従って、溶解されていない血液が使用されなければならなかった従来技術と比較して処理量を増加させることを許す。
【0440】
従って、分析物、とりわけ希少細胞、の捕捉、培養、又はソートのための方法であって、容量Aの血液サンプルを用意する第1の工程と、上記サンプルからの赤血球細胞を溶解する第2の工程と、容量Bの上記サンプルからの有核細胞を再懸濁する第3の工程と、マイクロ流体デバイスにおいて上記容量Bからの有核細胞のサブセットをソートする第4の工程とを含み、上記容量Bは、上記容量Aよりも3倍未満倍少なく、好ましくは5倍未満倍少なく、さらに好ましくは10、20、50又はさらには100未満倍少ないところの上記方法を提供することがまた本発明の目的である。
【0441】
また、本発明は、大容量の初めのサンプルからの細胞を小容量に集めることを可能にする。実施例上、50μmの厚さを有する図6に記載された実施態様における活性ゾーンの容積は、約5μLである。従って、少なくとも1mL、好ましくは少なくとも、5、10、20及び50mLまでの初めのサンプルの容量からの希少細胞を、少なくとも20、好ましくは少なくとも40、50、60及び80%よりも上までの捕捉効率で捕捉するための方法であって、上記捕捉された細胞が50μLよりも小さく、好ましくは20μL、10μL及びある場合には5μLよりも小さい活性ゾーン中に含まれるところの上記方法を提供することがことがまた本発明の目的である。
【0442】
本発明の実施態様、例えば図6において示されるようなものは、典型的に1〜3mL/時間の流速を維持しうる。
【0443】
従って、上記に示された容積減少により、本発明は、初めのサンプル容量と希少細胞がその中で捕捉されたチャンバーの容積との比が100よりも大きく、好ましくは500、1000、2000、5000、10,000、特に最適化された場合に100,000までより大きく、1時間未満において、希少細胞をソートすることを許しうる。従って、希少細胞の捕捉のための方法であって、容量Aの第1の血液サンプルを用意する第1の工程と、上記サンプルを、又は上記第1の血液サンプルから得られた予備処理されたサンプルを上記希少細胞が捕捉される1つの活性ゾーン又は複数の活性ゾーンの組み合わせ中に流す少なくとも1つの第2の工程とを含み、、上記流す工程は2時間未満、好ましくは1時間未満、さらにより好ましくは1/2時間未満続き、1時間未満である場合に、初めのサンプル容量Aと、上記細胞が捕捉される上記活性ゾーンの容量、又は、上記複数の活性ゾーンの合計の容量の比が、100よりも大きく、好ましくは500、1000、2000、5000、10,000、及び特に最適化された場合に100,000までより大きいところの上記方法を提供することがまた本発明の目的である。
【0444】
これらの有利点に関連して、本発明はまた、捕捉ゾーンの減少に関連付けられた、消耗品の非常の強力な減少を提供する。例えば、図6に示される実施態様において捕捉物体の総量は、50μgのオーダーである。これは、典型的に、先行技術デバイス、例えばVeridexシステムにおいて、サンプルの同じ容量を分析するために使用されるビーズの量よりも100〜1000倍より小さい。従って、初めの生サンプル、例えば血液(これに限定されない)から細胞又は分析物を磁気捕捉するための方法であって、生サンプルの少なくとも1mL、好ましくは少なくとも、5、10、20及び50mLまでを処理するために使用される磁性粒子の総量が、10 mgよりも低い、好ましくは5mg、2mg、1mg、0.5mg、0.2mg、又は100μgよりも低いところの上記方法を提供することが本発明の別の目的である。
【0445】
好ましくは、上記捕捉は、少なくとも20、好ましくは少なくとも、40、50、60及び80%までの効率で生じる。
【0446】
本明細書において述べられている全ての刊行物及び特許出願公開公報は、各個々の刊行物又は特許公開公報が参照によって取り込まれるように具体的に且つ個々に示されているかのように、本明細書に参照によって取り込まれる。
【0447】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、不定冠詞"a"及び"an"は、反対を示すものとして明らかに示されない限り、「少なくとも1つの」を意味すると理解されるべきである。
【0448】
本明細書において使用される場合、数又は要素のリストの「又は」は、包括的に、すなわち、少なくとも1つの包含を意味するが、数の又は要素のリストの、1よりも多いをもまた含むとして意味しうると、理解されるべきである。反対に明らかに示される唯一の語、例えば、「1つのみ」又は「まさに1つの」は、数又は要素のリストのまさに1つの要素の包含をいう。
【0449】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、句「少なくとも1つ」は、1又はそれより上の要素のリストの参照において、要素のリスト中のいずれか1又はそれよりも上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味し、しかし、上記要素のリスト内に具体的にリストされた各及び全ての要素の少なくとも1つを必ずしも包含せず、及び、上記要素のリスト中の要素の任意の組み合わせを排除しないものであると理解されるべきである。この定義はまた、具体的に同定されたそれら要素に関連するか又は関連しないかどうか、句「少なくとも1つ」が言及する要素のリスト内で具体的に同定された要素以外に、要素が任意的に存在しうることを許す。従って、制限されない例として、「少なくとも1つのA及びB」(又は、等価的に「少なくとも1つのA又はB」、又は、等価的に「少なくとも1つのA及び/又はB」)は、一つの実施態様において、少なくとも1つの、任意的に1よりも多いを包含する、Aを、Bの存在無しで(及び任意的に、B以外の要素を含む)、いい得る;他の実施態様において、少なくとも1つの、任意的に1よりも多いを包含する、Bを、Aの存在無しで(及び任意的に、A以外の要素を含む)、いい得る;さらに他の実施態様において、少なくとも1つの、任意的に1より多いを包含する、Aと、少なくとも1つの、任意的に1よりも多いを包含する、Bとを(及び任意的に、他の要素を含む)、などをいい得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物を捕捉し、ソートし、解析し、型を決定し、又は培養するためのマイクロ流体デバイスであって、少なくとも1つの活性ゾーンを含む少なくとも1つのマイクロチャンネルを備えており、上記活性ゾーンは少なくとも1つの捕捉要素、好ましくは複数の捕捉要素のアレイ、を備えており、流れに垂直な方向における上記活性ゾーンの幅又は複数の活性ゾーンの合計の幅は、上記流れの上記方向におけるそれらの有効長よりも長い、好ましくはそれらの有効長の2倍よりも長い、より好ましくはそれらの有効長の5倍よりも長い、上記マイクロ流体デバイス。
【請求項2】
上記分析物が細胞又は細胞集合体である、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
上記少なくとも1つの捕捉要素が活性化可能である、請求項1又は2に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
上記少なくとも1つの捕捉要素が磁性である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
上記少なくとも1つの活性ゾーン内部に磁場を与えるための手段をさらに備えている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスを備えている機器。
【請求項6】
上記少なくとも1つの活性ゾーンが、500μmよりも小さい、好ましくは200μmよりも小さい厚さを有する透明ウィンドウによってその両側の少なくとも一つで閉じられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
上記活性ゾーンの厚さが、その表面の少なくとも一部で、20μm〜100μm、好ましくは40〜80μm、さらにより好ましくは50〜70μmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
上記ウィンドウ及び上記活性ゾーンの合計の厚さが、上記ウィンドウの領域の少なくとも一部で、300μmよりも小さい、好ましくは250μmよりも小さい、請求項1〜7のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスを備えている機器であって、18Xよりも大きい、好ましくは35Xよりも大きい、好ましくは59Xよりも大きい、及び幾つかの実施態様において100Xのように高い同じ倍率を有する顕微鏡対物レンズをさらに備えており、上記対物レンズが、上記ウィンドウを通して上記活性ゾーンの内容物の画像を観察し又は記録するために適している構成にある、上記機器。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスを備えている機器であって、0.4に等しい、好ましくは0.6に等しい、0.8に等しい、1.0に等しい、1.3に等しい、又は1.4に等しい開口数をさらに有する顕微鏡対物レンズをさらに備えており、上記対物レンズは、上記ウィンドウを通して上記活性ゾーンの内容物の画像を観察し又は記録するために適している構成にある、上記機器。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスを備えている機器であって、光学3次元画像化デバイス、又は光学切り出し画像化デバイス、又はホログラフィック画像化デバイス、又はスピンニング・ディスク画像化デバイス、又は共焦点顕微鏡画像化デバイスをさらに備えている、上記機器。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスを備えている機器であって、少なくとも1つの上記活性ゾーンにおいて上記分析物を特徴付けるように構成されている画像化又は分光学的手段をさらに備えており、上記分光学的又は画像化手段が、赤外線(IR)分光法、フーリエ変換赤外線(FTIR)分光法、IR及びFTIR画像化分光法、走査型力顕微鏡、プラズモン共鳴、プラズモン共鳴画像化、分光学的画像化及びハイパースペクトル画像化分光法、ラマン分光法、ラマン画像化分光法、表面増強ラマン分光学(SERS)、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、発光エネルギー移動方法、例えばBRETのうちで、又は、上記分光法或いは画像化方法の時間分解、とりわけ時間分解発光及び蛍光、若しくは、時間分解画像化蛍光或いは発光画像化のうちで選択される、上記機器。
【請求項13】
少なくとも1つの上記活性ゾーンの少なくとも一部分が、互いに向き合うその端の2つで、透明物質により境界を付けられている、請求項1〜12のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス又は機器。
【請求項14】
上記捕捉要素が導電性ドメインである、請求項1〜13のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス又は機器。
【請求項15】
上記少なくとも1つの活性ゾーン内部に電場を与えるための手段をさらに備えている、請求項14に記載のマイクロ流体デバイス又は機器。
【請求項16】
上記捕捉要素が間接的である、請求項1〜15のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス又は機器。
【請求項17】
上記捕捉要素が、上記活性ゾーン内での流れに対する有意な障害を生じさせない、請求項1〜16のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス又は機器。
【請求項18】
上記捕捉要素が、10nm〜50nm、又は50nm〜200nm、又は200nm〜500nm、又は500nm〜1μm、又は1μm〜2μm、又は2μm〜5μm、又は5μm〜10μm、又は10μm〜20μm、又は20μm〜50μmのサイズを有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス又は機器。
【請求項19】
上記複数の捕捉要素の質量中心の間の平均距離が、上記捕捉要素のサイズの1倍〜100倍、より好ましくはそのサイズの2倍〜50倍、より好ましくはそのサイズの5倍〜20倍である、請求項1〜18のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス又は機器。
【請求項20】
上記複数の捕捉要素の質量中心の間の平均距離が、30μm〜100μm、好ましくは40μm〜80μm、さらにより好ましくは50μm〜70μmである、請求項1〜19のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス又は機器。
【請求項21】
請求項1〜8又は13〜20のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスであって、そのフットプリントが12cm2よりも小さい、好ましくは10cm2よりも小さい、上記マイクロ流体デバイス。
【請求項22】
請求項1〜8又は13〜21のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスであって、1つの活性領域のフットプリント又は複数の活性領域の合計のフットプリントが、1cm2よりも小さく、1〜2cm2若しくは2〜5cm2であり、又は5〜10cm2である、上記マイクロ流体デバイス。
【請求項23】
請求項1〜8又は13〜22のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスであって、500μmよりも小さい厚さを有する透明材料からなるウィンドウと直接的に接触する少なくとも1つの第1のマイクロチャンネルを有するマイクロチャンネルの第1の層、及び、上記第1の層に本質的に平行であるマイクロチャンネルの第2の層を備えており、上記第1の層が配置されている面に垂直である方向に沿う、上記第2の層中の少なくとも1つのマイクロチャンネルの投影が、上記第1のマイクロチャンネル内に含まれる上記マイクロチャンネルの少なくとも1つと交差し、交差する位置で上記第2の層内の上記マイクロチャンネルと上記第1の層内の上記マイクロチャンネルとの間の流体の連絡が無い、上記マイクロ流体デバイス。
【請求項24】
請求項1〜8又は13〜23のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスであって、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を有する活性ゾーンを備えており、前記少なくとも1つの活性ゾーンの最大寸法を本質的に横切る方向の上記活性ゾーンにおける流れを誘発するために適切な構成である、上記マイクロ流体デバイス。
【請求項25】
請求項1〜8又は13〜24のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスであって、上記少なくとも1つの活性ゾーンの上記合計の幅がそれらの有効長の10倍よりも大きく、上記長さは流れの全体的方向に沿って整列されており、上記幅は上記流れの全体的方向に垂直である、上記マイクロ流体デバイス。
【請求項26】
請求項1〜8又は13〜25のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスであって、少なくとも1つのチャンネルにおける液体の流れが、上記液体によって横切られるバルブによって少なくとも部分的に制御されており、上記バルブの開閉が漸進的であり、且つ上記バルブの可動部分を流体要素が横切るために費やされる第2の時間に少なくとも等しい、好ましくはこの第2の時間の少なくとも2倍に等しい、より好ましくは5倍に等しいところの第1の時間のうちに完了される、上記マイクロ流体デバイス。
【請求項27】
請求項1〜8又は13〜25のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスであって、少なくとも1つのチャンネルにおける液体の流れが、上記液体によって横切られるバルブによって少なくとも部分的に制御されており、上記バルブの開閉は漸進的に行われ、且つ少なくとも1/10秒、好ましくは少なくとも1/5秒、好ましくは少なくとも1/2秒、及びある場合には少なくとも1秒のうちに完了される、上記マイクロ流体デバイス。
【請求項28】
請求項1〜8又は13〜27のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスのマイクロ流体バルブであって、チューブ又はマイクロチャンネルがアクチュエータによって挟まれ、このアクチュエータの速度が電子回路又はコンピュータによって動的に制御され、上記アクチュエータの動きは、少なくとも1/10秒、好ましくは少なくとも1/5秒、好ましくは少なくとも1/2秒、及びある場合には少なくとも1秒にわたって継続されうる、上記マイクロ流体バルブ。
【請求項29】
複数のバルブのアレイであって、当該バルブは請求項28に記載に従うものである、上記アレイ。
【請求項30】
請求項28に記載の1つのバルブ又は、複数のバルブのアレイを備えているマイクロ流体デバイス。
【請求項31】
請求項1〜8又は13〜27のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスであって、流れ方向に本質的に垂直である線に沿って、上記活性ゾーンの厚さに関して上記活性ゾーンの中央面において測定された流速が、上記線の長さの少なくとも90%において、流速の平均値まわりで30%よりも大きく変化せず、好ましくは20%、10%又は5%よりも大きく変化しない、上記マイクロ流体デバイス。
【請求項32】
請求項1〜8又は13〜27又は31のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスを含む機器であって、上記デバイスは、分析物がその中でソートされ、解析され、型を決定され又は培養されうる活性ゾーンを備えており、上記活性ゾーンにおいて磁場を活性化するための手段を備えており、上記手段は永久磁石の並進を含み、上記並進は、上記活性ゾーン中の上記磁場の強さにおける変化を、その方向又はその均質性を有意に変化させることなしに誘発する、上記機器。
【請求項33】
請求項1〜8又は13〜27又は31のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスであって、分析物がその中で捕捉され、ソートされ、解析され、型を決定され又は培養されうる1つの活性ゾーン又は複数の活性ゾーンの組み合わせを含んでおり、上記活性ゾーン又は上記活性ゾーンの合計の容量は、50μLよりも小さい、好ましくは20μL、10μL、5μL、2μL又は1μLよりも小さく、液体が1mm/秒、好ましくは800μm/秒若しくは200μm/秒、又は約100μm/秒の平均流速を超えることなしに、少なくとも100μL/時間、200μL/時間、500μL/時間、1mL/時間、2mL/時間、及び最大で5mL/時間超の流量で上記活性ゾーン中において流れることができる、上記マイクロ流体デバイス。
【請求項34】
上記1つの活性ゾーン又は複数の活性ゾーンの合計の平均厚さが、200μmよりも小さい、好ましくは100μmよりも小さく、及びとりわけ30μm〜100μm、好ましくは40μm〜80μm、さらにより好ましくは50μm〜70μmである、請求項33に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項35】
第2の解析ゾーン及び、上記活性ゾーンから上記解析ゾーンへ上記分析物を輸送するための手段をさらに備えている、請求項1〜34のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス又は機器。
【請求項36】
上記第2の解析ゾーンが、上記活性ゾーン以外で同じマイクロ流体デバイス中に備えられており、上記手段はマイクロ流体手段である、請求項35に記載のマイクロ流体デバイス又は機器。
【請求項37】
分析物、とりわけ細胞、のソート、スクリーニング、研究、又は培養のための方法であって、上記分析物が請求項1〜36のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスを横切って又は機器の内部を流される、上記方法。
【請求項38】
上記マイクロ流体デバイスは、8cm2よりも小さい、好ましくは5cm2よりも小さい、及びある場合には2cm2よりも小さいフットプリントを示す活性ゾーンを有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
上記サンプルは、少なくとも、20μL/時間、好ましくは50μL/時間、より好ましくは100μL/時間、200μL/時間、500μL/時間、1mL/時間、2mL/時間、又は最大で5mL/時間超の合計の流量で、上記マイクロ流体デバイス内を流される、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
分析物をソートし、研究し、保管し又は培養するための方法であって、
a 少なくとも1つの活性化可能な捕捉ドメインを備えている少なくとも1つの活性ゾーンを備えている少なくとも1つのマイクロチャンネルを備えている、請求項1〜8、13〜27、31又は33〜36のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスを用意すること、上記マイクロ流体デバイスは、上記活性化可能な捕捉ドメインを活性化する第1の手段、及び、上記マイクロチャンネルにおいて流体を制御可能に流すための第2の手段をさらに備えている、
b 上記第1の手段の活性化に応じて上記捕捉ドメイン上に集まることが可能な捕捉コロイド状物体を、少なくとも1つの活性領域中に流すこと、そして上記分析物のためのリガンドを運ぶこと、
c 上記第1の手段を活性化すること
d 少なくとも1つの活性領域において、上記分析物を含む流体サンプルを流すこと
を含む上記方法。
【請求項41】
− 上記マイクロ流体システムの少なくとも一部を、上記捕捉要素上で集まることができる捕捉コロイド状物体を含まず且つ分析物を含まない流体で洗うこと、
− 上記少なくとも1つの活性ゾーン内に試薬を流すこと、ここで上記第1の手段は活性化されたまま維持される、
− 上記活性領域内に、封入剤又は硬化性材料を流すこと、
− 上記マイクロ流体デバイスを、分析物の捕捉が実行される第1の機器から、分析物の解析又は画像化が実行される第2の機器へ移動すること
の少なくとも1つさらにを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
上記試薬が、バイオマーカーを明らかにするための試薬の少なくとも1つのタイプを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
上記試薬が、有色色素、蛍光基、発光基、化学発光基、電子発光基、量子ドット、金属ナノ粒子、とりわけ金又は銀のナノ粒子又は量子ドット、着色された分子、電子活性基、抗体又はペプチド配列によって認識されることができる分子、例えばビオチン、ジゴキシゲニン、ニッケル(Nickel)、ヒスチジンタグ、又は酵素、若しくは酵素の基質から選択される少なくとも1つのラベルに結合される上記分析物に対するリガンドである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
下記工程
− 上記少なくとも1つの活性ゾーン中で分析物の高解像度画像を得ること、
− 請求項11又は12に記載の機器を使用して、上記分析物の特徴付けを実行すること、
− 画像鮮明化アルゴリズムを適用すること、
− ノイズ除去アルゴリズムを適用すること、
− ウェーブレット解析を適用すること
の少なくとも1つの工程をさらに含む、請求項37〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
上記工程の少なくとも1つが、35よりも大きい、又は59よりも大きい倍率を有する顕微鏡対物レンズを使用することを包含する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
上記画像が、3D画像、又は画像の光学的にスライスされた像の集合である、請求項44又は45に記載の方法。
【請求項47】
患者からのサンプルが請求項37〜46のいずれか一項に記載の方法に付される、診断又は予後の方法。
【請求項48】
上記診断又は予後が、癌に、出生前診断に、遺伝的疾患に、又は心臓血管疾患に関連する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
上記分析物が、癌細胞、循環腫瘍細胞、播種性腫瘍細胞、循環胎児細胞、循環内皮細胞の少なくとも1つを含む、請求項37〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
上記分析物は、血液、微細針吸引物、生検物、骨髄、脳脊髄液、尿、唾液、リンパ液から選択されるサンプル中に初めに含まれている、請求項37〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
上記活性ゾーン内で捕捉された分析物の少なくとも1つの免疫表現型検査を実行することを含む、請求項37〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
捕捉された分析物の少なくとも1つにおける核酸配列を解析することを含む、請求項37〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
上記核酸配列は、ゲノムDNA、メッセンジャーRNA、マイクロRNA、リボソーム核酸、ミトコンドリア核酸、感染性有機体からの核酸、又は核酸薬物に属する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
捕捉された分析物の少なくとも1つ中のポリペプチドを分析することを含む、請求項37〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
上記ポリペプチド又は上記核酸が潜在的に感染性の有機体に属する、請求項37〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
薬物、化学品又は化合物を毒性、有効性又は生物学的作用についてスクリーニングするための方法であって、
a 細胞を含むサンプルを、請求項1〜8、13〜27、31及び33〜36のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス中に流すこと、
b 少なくとも上記薬物、化学品又は化合物を含む溶液を、上記マイクロ流体デバイス内に流すこと、そして
c 上記細胞に対する上記薬物、化学品又は化合物の作用を観察し又は測定すること
の工程を含む、上記方法。
【請求項57】
癌の診断又は予後のための方法であって、
a 患者からのサンプルを、請求項1〜8、13〜27、31又は33〜36のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス中に流すこと、
b 捕捉された細胞の少なくとも1つの生命を維持するために適切な溶液を上記マイクロ流体デバイス内に流すこと、そして
c 上記少なくとも捕捉された細胞の増殖力を評価すること
を含む、上記方法。
【請求項58】
癌の診断又は予後のための方法であって、
a 患者からのサンプルを、請求項1〜8、13〜27、31又は33〜36のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス中に流すことと、
b 捕捉された細胞の少なくとも1つの生命を維持するために適切な溶液を、上記マイクロ流体デバイス内に流すこと、そして、
c 捕捉された細胞の上記少なくとも1つを培養すること
を含む、上記方法。
【請求項59】
癌の診断、治療オリエンテーション、又は予後のための方法であって、
a 患者からのサンプルを、請求項1〜8、13〜27、31又は33〜36のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス中に流すことと、
b 癌治療剤を含む溶液を、上記マイクロ流体デバイス内に流すこと、
c 上記少なくとも捕捉された細胞に対する上記癌治療剤の効果を評価すること
を含む、上記方法。
【請求項60】
幹細胞を培養し、ソートし、分化させ又は研究するための方法であって、幹細胞を、請求項1〜8、13〜27、31又は33〜36のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス中に流すことを含む、上記方法。
【請求項61】
分析物を捕捉し、解析し、培養し、用意し、ソートし、又は研究するための方法であって、
十分に区別のつくサイズ又は十分に区別のつく磁性を備えるビーズの少なくとも2つの集団が請求項1〜8、13〜27、31又は33〜36のいずれか一項に記載のマイクロチャンネル中に流され、
ビーズの少なくとも前記2つの集団のうちの少なくとも1つが、上記分析物の不存在下で上記マイクロチャンネル中に流され、そして、
前記ビーズの前記集団のうちの少なくとも1つが、上記分析物についてのリガンドを保有している、上記方法。
【請求項62】
上記活性ゾーンから分析物を放出する工程、及び少なくとも1つの第2の解析ゾーンで上記分析物を解析し、培養し、又は分化させる工程を含む、請求項37〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
分析物、とりわけ細胞、をソートし、解析し、型を決定し、又は培養するための方法であって、
上記分析物を含むサンプルが、請求項項1〜8、13〜27、31又は33〜36のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスの活性ゾーン中に初めに流され、次に、試薬のアリコートが上記活性ゾーン中に流され、上記分析物を含むサンプルの初期容量対上記分析物をソート、型の決定又は解析するために使用される少なくとも1つの試薬アリコートの容量、好ましくは全ての試薬アリコートの容量の比が、少なくとも10、好ましくは少なくとも、50、100、200、500、又は1000である、上記方法。
【請求項64】
分析物、とりわけ希少細胞、を捕捉し、培養し、又はソートするための方法であって、容量Aの血液サンプルを用意する第1の工程と、上記サンプルからの赤血球細胞を溶解する第2の工程と、容量Bの上記サンプルからの有核細胞を再懸濁する第3の工程と、請求項1〜8、13〜27、31又は33〜36のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスにおいて上記容量Bからの有核細胞のサブセットをソートする第4の工程とを含み、ここで、上記容量Bは、上記容量Aよりも3倍未満倍少なく、好ましくは5倍未満倍少なく、さらに好ましくは10、20、50又はさらには100未満倍少ない、上記方法。
【請求項65】
希少細胞を捕捉するための方法であって、容量Aの第1の血液サンプルを用意する第1の工程と、上記サンプルを、又は上記第1の血液サンプルから得られた予備処理されたサンプルを上記希少細胞が捕捉される1つの活性ゾーン又は複数の活性ゾーンの組み合わせ中に流す少なくとも1つの第2の工程とを含み、ここで、上記流す工程は2時間よりも少なく、好ましくは1時間よりも少なく、さらにより好ましくは1/2時間よりも少なく続き、1時間未満において、初めのサンプル容量Aと、上記細胞が捕捉される請求項1〜8、13〜27、31又は33〜36のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスの上記活性ゾーンの容量、又は、上記マイクロ流体デバイスの上記複数の活性ゾーンの合計容量の比が、100よりも大きく、好ましくは500、1000、2000、5000、10,000、及び特に最適化された場合に100,000までより大きい、上記方法。
【請求項66】
請求項1〜8、13〜27、31又は33〜36のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスを使用して、初めの生サンプルから細胞又は分析物を磁気的に捕捉するための方法であって、生サンプルの少なくとも1mL、好ましくは少なくとも5、10、20及び50mLまでを処理するために使用される磁性粒子の総量が、10mgよりも少ない、好ましくは5mg、2 mg、1mg、0.5mg、0.2mg、又は100μgよりも少ない、上記方法。
【請求項67】
請求項1〜8、13〜27、31又は33〜36のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスを使用して、分析物、とりわけ細胞、のソート若しくは解析、又はソート及び解析の組み合わせのための方法であって、
− 上記分析物を磁性粒子で捕捉すること、
− 上記分析物を画像化し又は解析すること、
− 上記画像から又は上記解析から得られるデータから、少なくとも1つの所定の判断基準に関して少なくとも1つの定量的な計算結果を抽出すること、上記抽出は少なくとも1つの分析物について実行される、
− 上記少なくとも1つの定量的な計算結果を参照値と比較すること
の工程を含む、上記方法。
【請求項68】
分析物を捕捉し、ソートし、解析し、型を決定し、又は培養するためのマイクロ流体デバイスであって、少なくとも1つの活性ゾーンを含む少なくとも1つのマイクロチャンネルを備えており、上記活性ゾーンは、少なくとも1つの捕捉要素、好ましくは複数の捕捉要素のアレイ、を備えている、上記マイクロ流体デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図3】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−504956(P2012−504956A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530626(P2011−530626)
【出願日】平成21年10月12日(2009.10.12)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055207
【国際公開番号】WO2010/041231
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(511089619)セントレ ナショナル デ ラ レシェルシェ サイエンティフィーク−ディーエーイー (1)
【出願人】(506413937)
【出願人】(511089974)ユニベルシテ ピエール エ マリー キュリー (パリ シィス) (1)
【出願人】(511089985)
【Fターム(参考)】