説明

細胞増殖および藻類生成物生成の切り離しを通じた藻類生成物生成の最適化

藻類では、バイオマスの最適な生成のための条件が、油/脂質生成のための最適な条件とは異なる。従来のプロセスでは、両方のステップが同時に最適化される必要があり、必然的に準最適である。本発明は、それぞれの種類の生成を個別にかつ独立して最適化し、それによって油、脂質、および他の有用な生成物の全体的な生成を改善するためのシステムおよびプロセスを提供する。本プロセスは、バイオマスからの油の生成において、個々のステップおよび生育期の最適化を可能にするため、有利である。これによって、種々のプロセスステップに対して異なる原料の使用が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオ生成物(油等)の各タイプの藻類系生成物を個別にかつ独立して最適化し、それにより油、脂質、および他の有用な生成物全体の生成を向上させる、システムおよびプロセスを提供する。
【0002】
関連出願に関する参照
本出願は、2008年12月19日に出願された米国特許仮出願第61/201,635号に対して、米国特許法第119条(e)に基づく出願日の優先権を主張するものであり、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
藻類は、地球上で最も多産で広範囲に生息する生物群である。150,000種を超える藻類が現在知られており、まだ発見されていないより多くの種があるだろう。大部分の藻類種において、基本的な同定特性および特質が知られているが、生物の全体的な分類において、全ての異なる藻類種を分類する方法について不確実な場合がある。
【0004】
藻類(多くの異なる寸法および色を有する植物様形態、珪藻、ならびに藍藻類を含む)は、地球上の最も重要な種類の生物の1つを構成しており、多くの他の生物形態の食物連鎖の基礎を形成すると共に、大気の大部分に関与している。全生態系が、藻類を軸にまたは藻類と共生的に進化しており、藻類環境は食物源、捕食動物、ウイルス、および通常高等生物と関連付けられる多くの他の環境要素を含んでいる。
【0005】
藻類の範囲および重要性にもかかわらず、人間の直接的な使用は限られている。藻類は、特にアジアにおいて、多くの場合「海藻」の形態で食物として生育または収穫されている。藻類はまた、着色剤および食品添加物等の様々な材料を生成するために広く使用されている。藻類はまた、重金属汚染および珪藻土として知られる珪藻類残留物を集めて除去する工業プロセスにおいても使用されており、ろ過媒体としておよび他の用途に使用されている。
【0006】
藻類はまた、ディーゼル燃料、アルコール(例えばエタノール)、および水素またはメタンガスの生成に使用できる油、デンプン、およびガスを生成することができる。
【0007】
他の生物材料もまたこれらの燃料を産出することができるが、藻類が並外れているのは、その生産性の高さと理論上のコストの低さである。藻類は他の形態の植物よりも10〜100倍速く生育し得る。藻類はまた、所望の油またはデンプンの生成において非常に多産であり得、場合によってはこれらの形態でそれら自体の重量の60%もの量を生成する。高産出量の便益に加えて、バイオ生成物に藻類を利用することは、耕地をめぐって農業と競合することもなく、農地も淡水も必要としない。さらに、藻類は最も基本的な投入物でこうした全てを達成し、ほとんどの場合では太陽光、水、空気、二酸化炭素、および光合成独立栄養という単純な栄養分のみが必要とされる。
【0008】
燃料源としての藻類には明らかな潜在的利益があるにもかかわらず、この可能性を実現することは、これまでいくつかの理由により、結果が出ず困難なものであった。例えば、最適な藻細胞増殖の条件は、油/脂質生成の最適条件とは異なる。従来の方法では、両方の段階が同時に最適化される必要があり、そのことが各段階にとって必然的に準最適である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、バイオ生成物(油等)の各タイプの藻類系生成物を個別にかつ独立して最適化し、それにより油、脂質、および他の有用な生成物全体の生成を向上させる、システムおよびプロセスを提供する。本プロセスは、バイオマスからの油の生成において個別のステップおよび生育期の最適化を可能にするため、有利である。これはまた、異なるプロセスステップに対して異なる供給原料および生育条件の使用を可能にする。
【0010】
そのため、本発明の一態様は、(1)藻細胞分裂の速度および藻細胞数を増加するために第1の従属栄養もしくは光従属栄養生育条件下で藻類を生育することと、(2)藻類生成物を生成するために第2の生育条件下で藻類を生育することと、を含む、藻類生成物を生成するために藻類を生育する方法を提供し、第2の生育条件では藻細胞数は著しく増加しない。
【0011】
特定の実施形態において、第1の生育条件は、最適な細胞数の増加に必要な非制限レベルの栄養分および微量元素を含む培地を含む。栄養分は1つ以上のC、N、P、S、および/またはO源を含んでいてもよい。
【0012】
特定の実施形態において、培地は、必要に応じて、任意でさらなる栄養分を補充した、嫌気性バイオ消化物分離液を含んでいてもよい。嫌気性バイオ消化物は、動物の臓物、家畜糞尿、食品加工廃棄物、都市下水、低濃度蒸留廃液(thin stillage)、蒸留かす、または他の有機材料の嫌気性消化から生じ得る。
【0013】
特定の実施形態において、栄養分の濃度は細胞分裂および/または生育に対して無毒である。
【0014】
特定の実施形態において、第1の生育条件は、非好熱性藻類については約0〜40℃、好熱性藻類については約40〜95℃、または約60〜80℃の範囲の、細胞分裂に最適な温度を含む。
【0015】
特定の実施形態において、第1の生育条件は1つ以上の成長ホルモンまたはその模倣体を含む。成長ホルモンには、オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、および/またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の成長ホルモンを挙げることができる。好ましくは、成長ホルモンには、オーキシン、サイトカイニン、またはジベレリンから選択される各分類/種類ホルモンからの少なくとも1つまたは2つが挙げられる。
【0016】
例えば、オーキシンは、インドール酢酸(IAA)および/または1−ナフタレン酢酸(NAA)を含み得る。他のオーキシン模倣体は、2,4−D、2,4,5−T、インドール−3−酪酸(IBA)、2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸(MCPA)、2−(2−メチル−4−クロロフェノキシ)プロピオン酸(メコプロップ、MCPP)、2−(2,4−ジクロロフェノキシ)プロピオン酸(ジクロロプロップ、2,4−DP)、または(2,4−ジクロロフェノキシ)酪酸(2,4−DB)が含まれ得る。
【0017】
特定の実施形態において、ジベレリンはGA3を含む。
【0018】
特定の実施形態において、サイトカイニンはアデニン型サイトカイニンまたはフェニル尿素型サイトカイニンである。例えば、アデニン型サイトカイニンまたは模倣体はキネチン、ゼアチン、および/または6−ベンジルアミノプリンを含み得、フェニル尿素型サイトカイニンはジフェニル尿素および/またはチジアズロン(TDZ)を含み得る。
【0019】
特定の実施形態において、第1の生育条件は、ビタミンB1またはその類似体/模倣体をさらに含む。
【0020】
特定の実施形態において、オーキシンとサイトカイニンの比率(w/w)は、約1:2〜2:1、好ましくは約1:1である。
【0021】
特定の実施形態において、オーキシンとジベレリンの比率(w/w)は、約1:2〜2:1、好ましくは約1:1である。
【0022】
特定の実施形態において、オーキシンとビタミンB1の比率は約1:4〜1:1、好ましくは1:2である。
特定の実施形態において、模倣体はフェノキシ酢酸化合物である。
【0023】
特定の実施形態において、第2の生育条件は、窒素制限培地(例えば、約1.5〜15mgN/L)、または藻類生成物合成に最適な窒素レベルを持つ培地を含む。
【0024】
特定の実施形態において、第2の生育条件は油刺激因子を含み得る。
【0025】
特定の実施形態において、油刺激因子はフルボ酸またはフミン酸等のフミン酸塩を含む。
【0026】
特定の実施形態において、藻類は、第1の生育条件下の第1のバイオリアクター内、および第2の生育条件下の第2のバイオリアクター内で培養される。好ましくは、第1のバイオリアクターが最適な細胞数の増加のために適応される。例えば、藻細胞は、滅菌条件下(例えば、第1のバイオリアクターが滅菌用に修正できる)で第1のバイオリアクター内で従属栄養的または光従属栄養的に生育され得る。好ましくは、第2のバイオリアクターが、藻類生成物の最適な生成のために適応される。
【0027】
特定の実施形態において、藻類は、静止生育相に達する前に(例えば、急激生育相中)第1の生育条件から第2の生育条件に切り替えられる。例えば、藻類は、第1の生育条件において1つ以上の栄養分が著しく枯渇したときに、第1の生育条件から第2の生育条件に切り替えられ得る。例えば、藻類はまた、藻培養物の細胞密度が少なくとも約5×10細胞/mLに達した場合、第1の生育条件から第2の生育条件に切り替えられ得る。藻類は、藻培養物のタンパク質濃度が約0.5〜1g/L、または約0.8g/Lに達した場合、第1の生育条件から第2の生育条件にさらに切り替えられ得る。藻類はまた、藻類培養物の色素濃度が約0.005mg/L(クロロフィルaまたはbに対して)、または約0.02mg/L(総クロロフィルに対して)に達した場合、第1の生育条件から第2の生育条件にさらに切り替えられ得る。
【0028】
特定の実施形態において、藻類は、第2の生育条件下で生育するために第1の生育条件下で藻細胞を収穫することにより、第1の生育条件から第2の生育条件に切り替えられ得る。
特定の実施形態において、藻類を新たな容器には切り替えない。代わりに、生育条件を切り替えるために培地を変える。例えば、特定の実施形態において、培地へ窒素の添加を止めると、第2の生育容器および藻類培養物の関連した移送の必要なしに、生物は自ら培地の成分を変化させることができるだろう(例えば、窒素の枯渇)。
【0029】
特定の実施形態において、藻類は、第1のバイオリアクター内において第1の生育条件下で生育する藻類培養物を連続して希釈すること、および第2の生育条件下で第2のバイオリアクター内において生育するために排水した藻類培養物を回収することにより、第1の生育条件から第2の生育条件に切り替わる。
特定の実施形態において、第1の生育条件下での藻細胞数の増加率は、第1のバイオリアクター内の藻細胞数が実質的に一定のままであるように、希釈率と実質的に等しい。
【0030】
特定の実施形態において、第1の生育条件下で藻細胞数は、少なくとも約2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、10倍、10倍、10倍、10倍、10倍、10倍、1010倍、またはそれ以上増加する。
【0031】
特定の実施形態において、藻細胞分裂の速度は、少なくとも20%、50%、75%、100%、200%、500%、1,000%、など、またはそれ以上速まる。
【0032】
特定の実施形態において、第1の生育条件下で藻類培養物の集団倍加時間は、約0.05〜2日である。
【0033】
特定の実施形態において、第1の生育条件下で前記藻類生成物の蓄積は、わずかまたは準最適である。好ましくは、藻類生成物は、第1の条件下で藻類バイオマスの約65%、30%、20%未満、または10%(w/w)未満である。
【0034】
特定の実施形態において、第2の生育条件下で藻細胞は、1ログ以下(または約10倍)、300%、200%、100%、または50%以下で増加する。
【0035】
特定の実施形態において、藻類バイオマスは第2の生育条件で著しく増加する。特定の実施形態において、本明細書で使用する藻類バイオマス増加には、生体藻細胞から抽出または排出したそれらの藻類生成物が含まれる。
【0036】
特定の実施形態において、藻類バイオマスは、主に前記藻類生成物の蓄積の結果として増加する。
【0037】
特定の実施形態において、第2の生育条件下で藻類バイオマスは、少なくとも約2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、または200倍、500倍、1000倍、1500倍、または2000倍増加する。
【0038】
特定の実施形態において、第2の生育条件下で藻類生成物は、藻類バイオマスの少なくとも約45%、55%、65%、75%、85%、90〜95%(w/w)またはそれ以上である。
【0039】
特定の実施形態において、藻類生成物は油または脂質である。他の実施形態において、藻類生成物はデンプン(または多糖)である。
【0040】
特定の実施形態において、藻類は従属栄養、光従属栄養、または独立栄養条件下で代謝を行っている。
【0041】
特定の実施形態では、藻類は緑藻植物または緑色植物(珪藻)またはアンキストロデスムスである。
【0042】
本発明の別の態様は、従属栄養条件下で表1に記載された成分を含む藻類を生育する培地を提供し、培地中の記載された各成分の最終濃度は、表1に記載された最終濃度の約50%(増加または減少)、40%、30%、20%、10%、または5%以内である。特定の実施形態において、培地は表1の従属栄養生育培地(HGM)である。
【0043】
特定の実施形態において、表1のHGM培と比較したときに、培地は、実質的に同一条件下で、クロレラプロトセコイディスに対して実質的に同一生育速度を維持する。
【0044】
本発明の別の態様は、本発明の藻類の生育プロセスに適応するシステムを提供する。好ましくは、第1の生育段階に適したバイオリアクターが滅菌され、従属栄養および光従属栄養条件下で純培養の藻類の生育を促進する。
【0045】
本明細書に記載の全ての実施形態は、該当する場合は必ず他の実施形態における特徴と組み合わせることができると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】植物成長調節剤の組み合わせの有無におけるクロレラプロトセコイディスの代表的な成長曲線を示す。
【図2】植物成長調節剤の組み合わせの有無におけるクロレラプロトセコイディスの代表的な成長曲線を示す。
【図3】植物成長調節剤の組み合わせの有無におけるクロレラプロトセコイディスの代表的な成長曲線を示す。
【図4】植物成長調節剤の組み合わせの有無におけるクロレラプロトセコイディスの代表的な成長曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、好適な生育条件下で、単一に予め形成された有機分子(糖類等)を炭素源として、藻類が光従属栄養的および従属栄養的に生育できるという発見に部分的に基づいている。
【0048】
本発明はまた、付加価値のあるバイオ生成物(油等)の藻類ベースの生成が2段階生育で実行でき、第1段階では主に細胞分裂および藻類増殖(「生育段階」)を促進する、という発見に部分的に基づいている。藻細胞が指数生育に達した後(であって静止生育相前)、細胞は主に生成物(「生成段階」)の生成に集中する第2の生育条件に切り替わり得る。所望の藻類生成物の生成は、例えば窒素源等の1つ以上の栄養源に限定した培地を使用することにより引き起こし得る。第2の生育条件において藻細胞の生育は、大部分のエネルギーおよび資源を、さらなる細胞分裂/増殖ではなく所望の藻類生成物の生成に費やす。この2段階生育は、生育段階および生成段階の最適化を分けることがでるため、バイオ生成物の最大効率および最適生成を確実にする。
【0049】
独立栄養の第1の生育段階は、バイオマスの生成率と共に生成できるバイオマスの全体量を制限するので、第1(生育)段階において藻類を従属栄養的または光従属栄養的に(独立栄養的とは対照的に)生育することにより、藻細胞の生成を最適化することができ、経済性が大幅に向上する。これらの非効率を補うために、独立栄養の第1の生育段階を行う培養設備の全体の大きさは大規模でなくてはならず、そのためさらに効率は下がり、藻類ベースのバイオ生成物の設備を操作するコストは上がる。
従属栄養または光従属栄養の第1の生育段階を利用する別の利点は、培養容器の滅菌が可能なことである。これは、単藻培養とは対照的に、滅菌条件下で藻類培養が純培養として生育されることを可能にする。これは、バイオリアクター内の種間の競争を減少させ、栄養分利用および藻類生成物生成の最適を可能にする。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「純(培養)」とは、他のいかなる培養物または生物で汚染されていない、純粋培養を意味する。例えば、純藻類培養は1つの藻類種のみを有し、細菌、カビ、ウイルス、または他の競合する/望ましくない藻類種等、他のいかなる微生物は存在しない、または実質的に存在しない。純培養は、純培養に関わる汚染している生物を有していない限り、単一または複数細胞の生物であり得る。対照的に「単藻(培養)」は、1種類の藻類のみを含み得るが、同じ培養物中に細菌または他の微生物も存在し得る。
【0051】
本発明の別の態様は、藻類培養が、従来「廃棄物」と見なされていた多くの有機物の嫌気性消化によって生じる嫌気性消化物から得られた分離液によって強固に支えられるという発見に部分的に基づいている。こうした「廃棄物」の例として、動物の臓物、家畜糞尿、食品加工廃棄物、都市下水、低濃度蒸留廃液、蒸留かす、または他の有機材料、など、が(制限されずに)挙げられる。これは、消化物を利用する有効な方法を提供するだけでなく、所望の藻類生成物を生成する費用を大幅に削減する。
【0052】
そのため、本発明は、(1)藻細胞分裂の速度および藻細胞数を増加させるために第1の従属栄養または光従属栄養生育条件下で藻類を生育する、(2)藻類生成物を生成するために第2の生育条件下で藻類を生育することと、を含む、藻類生成物を生成するために藻類を生育する方法を提供し、第2の生育条件下では藻細胞は著しく増加しない。
【0053】
本明細書で使用されるとき、「著しく増加しない」とは、全藻細胞数が約1桁未満または約10倍(例えば、8〜16倍、または約3〜4細胞分裂)で増加する状況を含む。指数増殖段階の間、10〜10倍(または4〜9ログ)の藻細胞数の増加は珍しく、ある程度は培養開始における細胞数による。藻細胞が対数増殖相から生成段階に切り替わるときまでに、第2の生育条件下で多くの藻細胞が少なくとももう1回(高い頻度で3〜4回)分割しようとする。そのため、第2の生育条件におけるほんの1ログまたは10倍くらいの細胞数増加は、指数第1生育段階中の飛躍的な細胞数の増加に比べるとかなり少ない。
【0054】
様々な異なる培地が藻類の生育をサポートするために使用され得る。通常、好適な培地は、生育に必要不可欠であろう窒素、微量金属の無機塩(例えば、亜リン酸、カリウム、マグネシウム、および鉄、など)、ビタミン類(例えば、チアミン)、等を含み得る。例えば、VT培地、C培地、MC培地、MBM培地、およびMDM培地(Sorui Kenkyuho,ed.by Mitsuo Chihara and Kazutoshi Nishizawa,Kyoritsu Shuppan(1979)参照)、OHM 培地(Fabregas et al.,J.Biotech.,Vol.89,pp.65−71(2001)参照)、BG−11培地、等の培地、およびその修正物が使用される。その他の好適な培地の例としてはこれらに限定されないが、L培地、汽水、添加された栄養分を含む水、酪農排水、1%以下の塩分濃度の培地、1%超の塩分濃度の培地、2%超の塩分濃度の培地、3%超の塩分濃度の培地、4%超の塩分濃度の倍地、およびその組み合わせが挙げられる。最も好ましい培地は、嫌気性バイオ消化物分離液を含み、任意で追加の栄養分が補足される。液体は、ねじプレスまたは遠心分離等の機械的方法を使用することにより、嫌気性バイオ消化物から分離され得る。液体は、理想的には5〜10%以下の固形分を含み、好ましくは8%以下の固形分を含む。
【0055】
これらの培地は、生育または所望の藻類生成物の誘導、等の目的によって選択され得る。例えば、最適な細胞分裂/増殖には、窒素源として働く大量の成分を有する培地が使用される(例えば、窒素について表すと、少なくとも約0.15g/Lを含む豊かな培地)。藻類生成物の生成には、窒素源として働く少量の成分を有する培地が好ましい(例えば、窒素について表すと、0.02g/L未満を含む)。一方、これらの培地間の中間濃度で窒素源を含む培地が使用されてもよい(窒素について表すと、少なくとも0.02g/Lおよび0.15g/L未満を含む低栄養培地)。
【0056】
つまり、第1の生育条件の間、培地は好ましくは無制限の栄養レベル(1つ以上のC、N、P、S、および/またはO源を含む)および最適な細胞増加に必要な微量元素を有する。好ましくは、栄養分の濃度は細胞分裂および/または生育に無毒である。
【0057】
窒素濃度、リン濃度、および他の培地の特性は、植え付けられた藻類の量および藻類の予想される生育率により決定され得る。例えば、ほぼ1L当たり10細胞程度の藻類量が低栄養(例えば、窒素)培地に植え付けられた場合、藻類はある程度までは生育するが、窒素の量が少なすぎるために生育は止まるだろう。そのような低栄養培地は、生育および藻類生成物の生成を単一段階(例えば、バッチ式)で連続して行うのに適している。さらに、N/Pモル率を約10〜30、好ましくは15〜25からの値に調節することにより、またはC/Nモル率を約12〜80(例えば、低N含有)からの値に調節することにより、藻が所望のバイオ生成物(例えば、油)を生成するために導入され得る。植え付け用の藻類数が多い場合、豊かな培地は上記に記載した培養を行うために用い得る。この方式で、様々な条件を考慮して培地の成分が決定される。
【0058】
藻類生育培地中の窒素または窒素補充物には、硝酸塩、アンモニア、尿素、亜硝酸塩、アンモニウム塩、水酸化アンモニウム、硝酸アンモニウム、グルタミン酸ナトリウム、可溶性タンパク質、不溶性タンパク質、加水分解物タンパク質、動物由来成分、酪農廃棄物、カゼイン、ホエー、加水分解カゼイン、加水分解ホエー、大豆生成物、加水分解大豆生成物、酵母、加水分解酵母、トウモロコシ浸出液、トウモロコシ浸出水、トウモロコシ浸出体固体、蒸留かす、酵母抽出物、窒素酸化物、NO、または他の好適な原料源(例えば、他のペプチド、オリゴペプチド、およびアミノ酸、など)が挙げられる。炭素源または炭素補充物には、糖類、単糖類、ニ糖類、糖アルコール類、脂質類、脂肪酸類、リン脂質類、脂肪アルコール類、エステル類、オリゴ糖類、多糖類、混合単糖類、グリセロール、二酸化炭素、一酸化炭素、デンプン、加水分解デンプン、または他の好適な原料源(例えば、他の5炭糖、など)が挙げられる。
【0059】
追加の培地成分または補充物には、緩衝剤、ミネラル類、生育要素、消泡剤、酸類、溶剤、抗生物質、界面活性剤、または望ましくない細胞の成育を抑制する材料を挙げることができる。
【0060】
栄養分は全て最初に、またはいくらかを最初に、いくらかを生育過程の進行中にその後1回の添加として、藻類生育中に連続投与として、生育の進行中に同一または異なる栄養分の連続投与として、またはこれらの方法の組み合わせとして、添加することができる。
【0061】
必要であれば、培養のpHは、生育の最初または進行中に緩衝剤の使用、あるいは酸または塩基を添加することによって制御または調節することができる。いくつかの例では、望ましいpHの制御度を実現するために、酸および塩基の両方を同時または別のときにリアクターの別の域または同じ域で使用することができる。緩衝システムの非制限例には、一塩基性、二塩基性、または三塩基性リン酸塩、TRIS、TAPS、ビシン、トリシン、HEPES、TES、MOPS,PIPES、カコジル酸塩、MES、および酢酸塩が挙げられる。酸類の非制限例には、硫酸、HCl、乳酸、および酢酸が挙げられる。塩基の非制限例には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、アンモニア、重炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、および炭酸ナトリウムが挙げられる。これらの酸および塩基のいつくかはpHを変更することに加えて、細胞の栄養分としても働くことができる。培養のpHは生育の全過程を通じておおよそ一定値に制御され、または生育中に変更され得る。こうした変更は、別の分子経路を開始または終えるため、ある生成物を生成させるため、脂質、染料、または生物活性化合物、等の生成物を蓄積させるため、他の微生物の生育を抑制させるため、泡生成を抑制または促進させるため、細胞を不活動状態にさせるため、それらを不活動状態から復活させる、またはその他の目的のために使用され得る。
【0062】
特定の実施形態において、培養時期を通じてpHが約4〜10、または約6〜8に維持されることが好ましい。
【0063】
同様に、いくつかの実施形態において、培養の温度はおおよそ特定の値に制御または調整、あるいはpH変更に挙げられた様に同じまたは別の目的のために生育過程中に変更できる。例えば、第1の生育条件の間、細胞分裂の最適温度は約0〜40℃、20〜40℃、15〜35℃、または非好熱性藻類には約20〜25℃、好熱性藻類には約40〜95℃、好ましくは60〜80℃であり得る。
【0064】
このような実施形態において、培地の温度等システム内の温度を測定する温度測定装置、および測定に反応する温度を制御できる制御装置を含む、温度制御装置が提供される。制御装置は、培養容器の側壁または底壁上に水面下のコイルまたは被覆が含まれ得る。
【0065】
特定の実施形態において、植物成長ホルモン/調節剤、またはその模倣体、等の1つ以上の成長ホルモン/調節剤、またはその模倣体が、第1の生育条件下で細胞分裂または増殖するために藻類培養に添加され得る。
【0066】
植物ホルモンは、植物の遺伝子発現および転写レベル、細胞分裂および生育に影響を及ぼす。関連する化学化合物の多くはヒトによって合成され、栽培植物、海藻、および培養した植物および植物細胞の生育を調節するために使用されている。これらの人工の化合物はまた、植物成長調節剤または略してPGRと呼ばれている。本明細書で使用されるとき、「成長ホルモン(またはその模倣体)」は自然植物ホルモンおよび人工/合成調節剤の両方、模倣体、またはその誘導体を含んでいる。好ましくは、成長ホルモン/調節剤、またはその模倣体が、少なくとも1つの濃度、好ましくは実施例3〜7等の下記の例で使用された1つに近いまたは同一の条件下で藻類生育を促進する。本明細書において「成長ホルモン」および「成長調節剤」は同じ意味で使用され得る。
【0067】
通常、植物ホルモンおよび調節剤は5つの主要な種類に分類され、そのいくつかは、1つの植物から次へと構造が変化する、多くの異なる化合物を作り上げた。化合物は、その構造の類似性および植物生理学上の効果に基づき、それぞれこれらの分類の1つにまとめられる。他の植物ホルモンおよび成長調節剤をこれらの分類にまとめるのは容易ではない。正確に言えば、それらは自然に存在あるいはヒト、または植物の生育を抑制または植物内の生理的過程を妨げる化学物質を含む他の生物によって合成された。
【0068】
この5つの主要な種類とは、アブシジン酸(ABAともいう)、オーキシン、サイトカイニン、エチレン、およびジベレリンである。他に確認されている植物成長調節剤には、ブラシノライド(化学的に動物ステロイドホルモンに近い植物ステロイド、それらは細胞伸長および細胞分裂、木部組織の分化を促進し、落葉を阻止する)、サルチル酸(病原性進入植物に対する防御に役立つ化学物質を生成するいくつかの植物の遺伝子を活性化する)、ジャスモン(脂肪酸から生成され、進入する生物を回避するために使用される防御タンパク質を促進するようであり、種子発芽の役割があり、種子中のタンパク質保存に影響を及ぼすと考えられており、根の生育に影響を及ぼすようである)、植物ペプチドホルモン(細胞間信号伝達に関わる全ての小さい分泌ペプチドを含み、これらの小さいペプチドホルモンは、植物生育および成長において防御機構、細胞分裂および膨張の制御、ならびに花粉の自家不和合性を含む重要な役割を果たしている)、ポリアミン(これまで研究された生物において発見された低分子量の強塩基性分子であり、植物の生育および成長に不可欠で、有糸分裂および減数分裂の過程に影響を及ぼす)、一酸化窒素(NO)(ホルモンおよび防御反応において信号として働く)、ストリゴラクトン(芽の分枝の抑制に関わる)が挙げられる。
【0069】
PGRの種類であるアブシジン酸は、特に植物がストレス下にある場合に、通常、葉緑体由来の植物の葉で生成される1つの化学化合物から構成されている。一般に、アブシジン酸は芽の生育、種子および芽の不活動状態に影響を及ぼす化学化合物として働く。
【0070】
オーキシンは細胞拡大、芽の形成および発根開始に良い影響を与える化合物である。オーキシンはまた、他のホルモンの生成およびサイトカイニンとともに、茎、根、および果実の生育を制御し、茎を花に変える。オーキシンは細胞壁の可塑性を変化させることにより細胞伸長に影響を与える。オーキシンは光を受けると減少し、暗い場所で増加する。オーキシンは高濃度では植物に有毒であり、双子葉植物に最も有毒であるが、単子葉植物にはそれほど有毒ではない。この特性のため、2,4−Dおよび2,4,5−Tを含む合成オーキシンの除草剤は、海藻の制御用に開発され使用されてきた。特に1−ナフタレン酢酸(NAA)およびインドール−3−酪酸(IBA)のオーキシンは、植物の挿し木を取った場合、根の生育を促進するのにも通常用いられる。植物に見られる最も一般的なオーキシンはインドール酢酸またはIAAである。
【0071】
オーキシンファミリーの重要なメンバーは、インドール−3−酢酸(IAA)である。これは、無傷植物においてオーキシン効果の大部分を生み出し、最も強力な天然オーキシンである。しかしながら、IAAの分子は水溶液中では化学的に不安定である。他の自然発生のオーキシンには、4−クロロ−インドール酢酸、フェニル酢酸(PAA)、およびインドール−3−酪酸(IBA)が挙げられる。一般的な合成オーキシン類似物には、1−ナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、などが挙げられる。本発明に使用されてもよい、いくつかの代表的な(非制限)天然または合成オーキシンが下記に示されている。
【化1】

【0072】

【0073】
サイトカイニンまたはCKは、細胞分裂および芽の形成に影響を与える化学物質のグループである。それらはまた、組織の老化または加齢を遅らせるのに役立ち、植物全体にわたってオーキシン輸送の調節に関与し、節間長および葉の生育に作用する。それらはオーキシンと接触して高い相乗効果を持ち、これらの2つの植物ホルモンは、植物の生存期間中ほぼ主要な生育期に作用する。サイトカイニンは、葉、花部、および果実のエチレン促進脱離とともにオーキシンにより引き起こされた頂芽優勢に逆らう。
【0074】
2種類のサイトカイニンがあり、キネチン、ゼアチン、および6−ベンジルアミノプリンに代表されるアデニン型サイトカイニンと、ジフェニル尿素またはチジアズロン(TDZ)のようなフェニル尿素型サイトカイニンである。
【化2】

【0075】
エチレンは、全細胞中にあるメチオニンの分解からYangサイクルを通じて生じるガスである。植物ホルモンとしての効果は、その生成速度と大気中へ放出する速度による。エチレンは、特に暗闇で、急速に生育および分裂する細胞内で、急速な速度で生成される。新たな生育および新たに発芽した実生が、植物から放出できるよりも多くのエチレンを生成し、エチレンの量を上昇させ葉の膨張を抑制する。新たな芽が光にさらされるので、植物の細胞におけるフィトクロムによる反応がエチレン生成を減少させる信号を出し、葉の膨張を可能にする。エチレンは細胞の成育および細胞の形に作用する。生育している芽が地中にいる間に障害物に当たった場合、エチレンの生成が大きく増え、細胞伸長を止め、茎を膨らませる。その結果生じた太い茎は、表面への通路に迫っていた物に対してさらに圧力を加えることができる。その芽が表面に達せず、エチレンの刺激が持続する場合、真っすぐに伸びるという茎の自然の屈地性反応に作用し、物体の周辺で成長するようになる。研究では、エチレンが茎の直径および高さに作用することが示されているようである。木の茎が風にさらされ、横応力を生じ、大量のエチレン生成が生じた場合、その結果、さらに厚く頑丈な木の幹と枝になる。エチレンは果実の熟成に作用する。通常、種子が成熟した場合、エチレン生成が増加し果実内で蓄積し、その結果種子の散乱直前にクリマクテリック事象を起こす。核タンパク質であるエチレン非感受性2(EIN2)は、エチレン生成により調節され、同様にABAおよびストレスホルモンを含む他のホルモンを調節する。
【化3】

【0076】
ジベレリンまたはGAは、植物内および菌類によりに自然に生成される広範な化学物質を含む。ジベレリンは、種子発芽において重要であり、新たな細胞の生育に使用される食物生成を準備する酵素生成に作用する。これは、染色体転写を調整することにより行われる。穀物(米、麦、トウモロコシ、など)種子では、糊粉層と呼ばれる細胞の層が胚乳組織の周りを覆っている。種子による水の吸収は、GAの生成を引き起こす。GAは糊粉層へ移動し、胚乳内に貯蔵している食物貯蔵物を分解する酵素を生成することにより反応し、実生を生育するのに利用される。GAはロゼット形態の植物の抽だいを生成し、節間長を増加する。それらは開花、細胞分裂、および発芽後の種子生育を促進する。ジベレリンはまた、ABAによって引き起こされた芽の生育および不活動状態の抑制を逆行させる。
【0077】
既知のジベレリンは全て、色素体においてテルペノイド経路により合成され、次いで、生物活性態様に達するまで小胞体およびシトソルにおいて修正される、ジテルペノイド酸である。全てのジベレリンは、ent−ジベレラン骨格由来であるが、ent−カウレンにより合成される。ジベレリンは、発見順に、GA1…GAnと命名されている。第1ジベレリンであった構造的に特徴付けられるジベレリン酸は、GA3である。2003年現在で、植物、菌類、および細菌から126のGAが発見された。ジベレリンは、四環ジテルペン酸である。19炭素または20炭素の存在によって2つの種類がある。ジベレリン酸等の19−炭素ジベレリンは炭素20を失い、定位置に炭素4および10をつなげる5員ラクトン橋を持つ。一般に、19−炭素形態は、ジベレリンの活性形態である。ヒドロキシル化はまた、ジベレリンの生物活性に大きな効果を及ぼす。一般に、大部分の生物活性化合物は、炭素3および炭素13の両方上にヒドロキシ基を持つヒドロキシル化ジベレリンである。ジベレリン酸は、ジヒドロキシル化ジベレリンである。代表的な(非制限)ジベレリンを下記に示す。
【化4】

【0078】
本発明で使用され得る代表的な成長ホルモン/調節剤またはその模倣体には、オーキシンファミリー、サイトカイニンファミリー、および/またはジベレリンファミリーのものが挙げられる。
【0079】
例えば、本発明に有用なオーキシンおよび模倣体には、インドール酢酸(IAA)、2,4−D、2,4,5−T、1−ナフタレン酢酸(NAA)、インドール−3−酪酸(IBA)、2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸(MCPA)、2−(2−メチル−4−クロロフェノキシ)プロピオン酸(メコプロップ、MCPP)、2−(2,4−ジクロロフェノキシ)プロピオン酸(ジクロロプロップ、2,4−DP)、(2,4−ジクロロフェノキシ)酪酸(2,4−DB)、4−クロロインドール酢酸(4−Cl−IAA)、フェニル酢酸(PAA)、2−メトキシ−3,6−ジクロロ安息香酸(ジカンバ)、4−アミノ−3,5,6−トリクロピコリン酸(トルドンまたはピクロラム)、α−(p−クロロフェノキシ)イソ酪酸、(PCIB、アンチオーキシン)、またはその混合物が挙げられる(制限なし)。混合物として使用する場合、好ましくは混合物が、IAA(単独で使用した場合)の有効量またはIAA+NAAの有効量として同等の生物活性(例えば、実質的に同じ生育条件下で、藻細胞の生育を実質的に同じ範囲に、好ましくは実質的に同じ時間内で刺激する)を有する。例えば、下記の実施例で使用した条件を示す。
【0080】
本発明に有用なサイトカイニンおよび模倣体は、アデニン型またはフェニル尿素型であり得、キネチン、ゼアチン、6−ベンジルアミノプリン(6−BAまたは6−BAP)、ジフェニル尿素、チジアズロン(TDZ)、またはその混合物が含まれ得る(制限なし)。好ましくは、キネチン、ゼアチン、6−ベンジルアミノプリン(6−BAまたは6−BAP)、またはその混合物等のアデニン型サイトカイニンが使用される。混合物として使用する場合、好ましくは、混合物がキネチン+6−BAの有効量として同等の生物活性(例えば、実質的に同じ生育条件下で、藻細胞の生育を実質的に同じ範囲に、好ましくは実質的に同じ時間内で刺激する)を有する。例えば、下記の実施例で使用した条件を示す。
【0081】
本発明に有用なジベレニンおよび模倣体は、本明細書に記載されている、または当該技術分野で既知の、GA3等のジベレリンのいずれかがあり得る。好ましくは、ジベレリン、模倣体、誘導体、またはそれらの混合物は、GA3の有効量として、同等の生物活性(例えば、同じ生育条件下で、藻細胞の生育を実質的に同じ範囲に、好ましくは実質的に同じ時間内で刺激する)を有する。例えば、下記の実施例で使用した条件を示す。
【0082】
模倣体はまた、フェノキシ酢酸化合物であり得る。
【0083】
最適な生育刺激作用を達成するために、培地における総オーキシン対総サイトカイニンの(重量)比は、約1:2〜2:1、好ましくは1:1に調節され得る。
【0084】
ジベレリンが存在する場合、培地における総オーキシン対総ジベレリンの(重量)比は、約1:4〜1:1、好ましくは約1:2に調節され得る。
【0085】
特定の実施形態において、ビタミンB1またはその模倣体、誘導体、または機能的な同等物が存在し得る。好ましくは、培地における総オーキシン対総ビタミンB1の(重量)比は、約1:2〜2:1、好ましくは約1:1に調節され得る。
【0086】
特定の実施形態において、生育培地におけるオーキシンの総濃度は、約0.01〜0.04μg/L、約0.003〜0.12μg/L、約0.002〜0.2μg/L、または約0.001〜0.4μg/Lである。
【0087】
特定の実施形態において、生育培地におけるサイトカイニンの総濃度は、約0.01〜0.04μg/L、約0.003〜0.12μg/L、約0.002〜0.2μg/L、または約0.001〜0.4μg/Lである。
【0088】
特定の実施形態において、生育培地におけるジベレリンの総濃度は約0.01〜0.04μg/L、約0.003〜0.12μg/L、約0.002〜0.2μg/L、または約0.001〜0.4μg/Lである。
【0089】
特定の実施形態において、生育培地においてビタミンB1化合物の総濃度は約0.02〜0.08μg/L、約0.006〜0.24μg/L、約0.004〜0.4μg/L、または約0.002〜0.8μg/Lである。
【0090】
特定の実施形態において、エチレン、ブラシノライド、サリチル酸、ジャスモン酸、植物ペプチドホルモン、ポリアミン、一酸化窒素、および/またはストリゴラクトンが使用され得る。
【0091】
特定の実施形態において、エチレン、プラシノリド、ジャスモン酸、植物ペプチドホルモン、および/またはポリアミンが使用され得る。
【0092】
特定の実施形態において、1つ以上のホルモン/調節剤の存在は、約15%(例えば、1.4〜1.6)、20%、25%、30%、35%、あるいはそれ以上、好ましくは、例えば実施例3〜7のような実施例にある生育条件の1つの下で、藻類の増殖を増加する。
【0093】
藻類培養は、第1の生育条件(例えば、第1のステップ/段階)下で、第1のバイオリアクター内で、第2の生育条件(例えば、第2のステップ/段階)下で、第2のバイオリアクター内で生育し得る。第1のステップおよび第2のステップが、分離培養タンクまたは容器を使用したバッチ式において、独立して実行され得る。第1のステップの最後に生育した藻類を洗浄し回収することも可能で、藻類を同じ培養タンクに戻し、次いで第2のステップを実行する。特定の実施形態において、洗浄は任意で、第1のリアクター内の培地によって必要であり得るか、またはあり得ない。
【0094】
野外の池または密閉された(好ましくは滅菌可能な)バイオリアクターは、バッチ式、連続式、または半連続式で操作され得る。例えば、バッチ式では、池/バイオリアクターは、未使用および/または再生培地および接種材料を好適なレベルまで満たす。そして、この培養は所望の生育度が行われるまで生育させる。この時点で、生成物の収穫が行われるだろう。一実施形態において、池/バイオリアクターの全内容物が収穫され、必要に応じて池/バイオリアクターは清浄され消毒され得(例えば、バイオリアクターの滅菌)、培地および接種材料を補充する。別の実施形態において、内容物の一部のみが収穫され、例えば約50%、次いで、池/バイオリアクターを補充するために培地が添加され、生育が続けられる。
【0095】
一方、連続式では、細胞物質の収穫が連続して行われる間、未使用および/または再生培地、および未使用接種材料が、池/バイオリアクターに連続して供給される。連続操作では、好適な細胞濃度が高まるようにするため収穫を遅らせる、スタートアップ相になることがある。このスタートアップ相中、培地の供給および/または接種材料の供給が中断され得る。一方、培地および接種材料が、池/バイオリアクターに添加され得、池/バイオリアクターが所望の液体体積に達し場合、収穫が始まる。操作条件を満たすのに望ましいとして、また特定の生成物の生物および生育培養に好適だとして、他のスタートアップ技術が使用され得る。培養が、第1の池/バイオリアクター内で生育される場合、培養の約10〜90%、または20〜80%、または30〜70%が、第2の池/バイオリアクターへ移送され得、残留物は第1の池/バイオリアクター内に次の生育用のスタータ培養を供給する。一方、第1の池/バイオリアクターが新たな供給源から接種される間、培養の約100%が第2の池/バイオリアクターへ移送される。
【0096】
連続的な池/バイオリアクター培養は、「撹拌式」または「栓流式」で操作され得る。撹拌式では、培地および接種材料が、通常量の池/バイオリアクター中に添加され混合される。混合装置としては、垂直、水平、または複合方向における、外輪、プロペラ、タービン、またはエアリフト作業を含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、混合は、培地または接種材料を添加することにより作られる乱流により、達成または促進され得る。細胞および培地成分の濃度は、池/バイオリアクターの水平部分にわったて大きな差はない。栓流式では、培地および接種材料は、池/バイオリアクターの一端で添加され、反対側で収穫が行われる。栓流式では通常、培養は培地の入口から収穫地点に向かって移動する。培養が入口から収穫地点に移動すると、細胞生育が行われる。培養の移動は、池/バイオリアクター、混合装置、ポンプを傾斜させる、池/バイオリアクターの表面にわたってガスが飛ぶ、および池/バイオリアクターの一端で材料を添加し反対側で取出すことに関連する動き、を含む方法により達成し得るが、これらに限定されない。培養成分は、細胞生育の異相のための異なる生育条件を提供するために、池/バイオリアクター中の様々な地点で添加し得る。同様に、培養の温度およびpHは、池/バイオリアクターの異なる地点で変化し得る。任意で、逆混合が様々な地点で提供され得る。活性混合は、ミキサ、パドル、バッフルの使用、または他の好適な技術を通じて達成され得る。
【0097】
組み合わせ式では、池/バイオリアクターの一部を栓流式で操作し、一部を撹拌式で操作するだろう。例えば、「自然播種」または「自然接種」を作り出すために、培地は撹拌域に添加され得る。生育細胞を持つ培地は、撹拌域から、細胞が収穫の地点まで生育をつづけるだろう栓流域に移動するだろう。撹拌域は、希望する効果に応じて、池/バイオリアクターの初め、途中、または終わり頃に置くことができる。自然播種培養を作ることに加えて、こうした撹拌域は、細胞を特定の試薬または培養成分の特定の条件または濃度にさらす特定の滞留時間を提供することを含む目的に使用され得るが、これに限定されない。そのような撹拌域は、バッフル、バリア、および/または混合装置の使用を通じで達成され得る。
【0098】
半連続培養は、培地および接種材料の初期量を持つ池/バイオリアクターを充填することにより操作し得る。生育が続くと、追加の培地が連続してまたは間隔をおいて添加される。
【0099】
特定の好ましい実施形態において、藻類培養は、1つ以上の密閉された(好ましくは滅菌可能な)バイオリアクター内で生育され得る。そのような密閉された培養および収穫システムは滅菌され得るため、汚染藻類、細菌、ウイルス、および微生物を摂取する藻類、および/または他の外来種からの問題を大幅に減らす。
【0100】
本明細書で使用する「消毒」には、表面、装置、食物または薬剤品、あるいは生物培養培地から伝染性物質(菌類、細菌、ウイルス、胞子の形状、など、等)を効果的に殺生または取除くいかなる方法も含まれる。消毒は熱、化学物質、照射殺菌、高圧、ろ過、またはそれらの組み合わせの適用により達成され得る。消毒には、物理的および化学的、の少なくとも2つの広義なカテゴリーがある。物理的な消毒には、加熱滅菌、放射線滅菌、高圧ガス滅菌(超臨界CO)、が挙げられる。化学的消毒には、エチレンオキシド、オゾン、塩素系漂白剤、グルタルアルデヒドホルムアルデヒド、過酸化水素、過酢酸、または70%エタノール、70%プロパノール、などが挙げられる。放射線を介する消毒には、紫外(UV)線の使用が挙げられる。本明細書に記載されている全ての方法および当該技術分野で既知の方法は、本発明で使用される培養タンク、容器、および入れ物の消毒に適応され得る。
【0101】
特定の実施形態において、このようなバイオリアクターは、環境光および/または温度にさらされる、野外環境でインストールおよび操作されるようにデザインされ得る。装置、システム、および方法は、最適生育および油生成に適合する範囲で温度維持に有用な改良した熱調節を提供するためにデザインされ得る。特定の実施形態において、これらのシステムは、通常の農作物(例えば、トウモロコシ、小麦、大豆、キャノーラ、米)の栽培には限界または使用できない土地に構築し、操作し得る。
【0102】
特定の実施形態において、藻類は、滅菌可能または可能ではない野外の池において、少なくとも特定の段階で、生育し得る。例えば、特定の実施形態において、従属栄養の好塩性藻類は、他の全ての細胞の生育を実質的に制限する条件の、野外の塩ベースの培地において生育し得る。同様に、特定の実施形態において、好熱性従属栄養藻類は、他の生物の生育を実質的に制限する温度で生育し得る。
【0103】
特定の実施形態において、本発明で使用するバイオリアクターには、野外の操作に適した溝および水路、または他の設備は含まれていない。
【0104】
緑藻類を栽培するための最も単純な装置は装置が二酸化炭素を供給し、任意として、従属栄養生育条件下で浮遊培養に光を照射することができる限り、特に制限はない。例えば、小規模な培養の場合、平らな培養フラスコが好ましく使用され得る。大規模な培養の場合、必要であれば、照射装置および撹拌器を備えた、ガラス、プラスチック、または同様なものから作られる透明板により形成される培養フラスコ、または容器が使用され得る。このような培養タンクの例として、平板培養タンク、管型培養タンク、エアドーム型培養タンク、および中空のシリンダー型タンクが挙げられる。どの場合でも、密閉容器が好んで使用される。
【0105】
自然光が独立栄養(例えば、第2の生育段階の間)および光従属栄養に使用され得るとしても、本発明において、人工の光源もまた使用され得る。特定の実施形態において、誘導光源(自然または人工起源)が本発明において使用され得る。例えば、太陽光を蓄積するために太陽熱収集器が使用され得、太陽光は同様に、導波管(たとえば、光ファイバーケーブル)を通じて特定の場所(バイオリアクター)へ伝送し得る。好ましい人工の光源はLEDであり、LEDは、最大の細胞利用に適合できる非常に特殊な波長で光を供給できるため、最も効率的な光エネルギー源の1つを提供する。特定の実施形態において、約400〜500nmおよび/または600〜700nmの波長を持つLED発光が使用され得る。
【0106】
様々な炭素源が、藻類生育の異なる段階で使用され得る。例えば、第1および第2の生育段階の1つまたは両方で、単糖が炭素源として使用され得る。あるいは、COが炭素源として使用され得る。
【0107】
COが炭素源として使用されるならば、例えば、水培地を通じて泡立たてることにより、密閉システムのバイオリアクターに導入され得る。好ましい実施形態において、COは、最大交換用の体積比に高表面を持つ小泡を生成する、有孔ネオプレン膜を通じでガスを泡立てることにより導入され得る。さらに好ましい実施形態において、泡の動きと反対方向に水が流れる、水カラムの低面でガス泡が導入され得る。この逆流の配置はまた、泡が水培地にさらされる時間を増加することにより、ガス交換を最大化する。COの分解をさらに増加するために、泡が培地にさらされる時間を伸ばすことで、水カラムの高さが増加され得る。HCOを作り出すためにCOを水に分解し、そして有機化合物を作り出す光合成藻類により「固定」され得る。例えば、二酸化炭素は、約1〜3%(v/v)の濃度、約0.2〜2vvmの速度で供給され得る。平板培養タンクが使用される場合、緑藻類が光で均一に照射され得るように、浮遊培養もまた二酸化炭素が供給されることにより撹拌され得る。
【0108】
培養が第1の生育条件下で十分な生育度に達したら、所望の藻類生成物(例えば油)を生成するために、細胞は第2の生育条件に切り替わり得る。第2の生育条件は、限定窒素供給(例えば、1.5〜7mg/NL)下で、または藻類生成物合成を最適化する窒素レベル(例えば、1.5〜7mg/NL)を持つ培地で藻細胞を生育することを含む。好ましくは、藻類が、静止生育相に達する前に第1の生育条件から第2の生育条件に切り替えられる。
【0109】
第1と第2の生育条件間に、切り替えるタイミングを決定する場合に使用できるいくつかのパラメータがある。特定に実施形態において、第1の生育条件の1つ以上の栄養分(例えば、窒素)が実質的に枯渇した場合、藻類が第1の生育条件から第2の生育条件に切り替わる。これは、最初の培養の窒素源の量、または第1の生育条件下で生育中に藻類培養に添加する窒素量を調節することによって制御し得る。
【0110】
他の実施形態において、藻類は、藻類培養の細胞密度が、約5×10細胞/mL、等の特定の既定のレベルに達した場合、第1の生育条件から第2の生育条件に切り替わる。
【0111】
さらに他の実施形態において、藻類培養のタンパク質濃度が、約0.5〜1g/Lまたは約0.8g/Lに達した場合、藻類は第1の生育条件から第2の生育条件に切り替わる。藻類はさらに、藻類培養の色素濃度が約0.005mg/L(クロロフィルaおよびbに対して)、または約0.02mg/L(総クロロフィルに対して)に達した場合、第1の生育条件から第2の生育条件に切り替わり得る。
【0112】
藻類培養はまた、培養時間、1mLあたりのバイオマス(例えば、4/L)、細胞生成物(例えば、約0.005mg/Lでのクロロフィルaおよびb、または総クロロフィル0.02mg/L、など、等の色素、操作中に測定)の濃度、光学密度(678nm)>3など、等の他の基準の数またはその組み合わせによって、第1の生育条件から第2の生育条件に切り替わり得る。
【0113】
異なる生育条件間で藻類培養が切り替わるために、藻類は培地から物理的に収穫され、分離され得る。収穫は、池/バイオリアクターから直接、または培養を貯蔵タンクに移した後に行われ得る。収穫ステップには、培地の大部分から細胞を分離するステップ、および/または藻類培養の他のバッチ用に培地を再使用するステップが含まれ得る。
【0114】
一方で、第1のバイオリアクター内で第1の生育条件下で藻類培養を連続して希釈すること、および第2の生育条件下で第2のバイオリアクター内で生育する排水した藻類培養を回収することにより切り替わりが生じ得る。好ましくは、第1の生育条件下での藻細胞数増加の速度は、第1のバイオリアクター内の藻細胞数が実質的に一定のままであるように、実質的に希釈速度と等しい。
【0115】
好ましくは油の生成に、第2の生育条件が、フミン酸塩(例えば、フルボ酸またはフミン酸)等の油刺激因子を添加することをさらに含み得る。
【0116】
本発明の方法によれば、第1の生育条件下で、藻細胞数は少なくとも約2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍(3ログ)、10倍(4ログ)、10倍(5ログ)、10倍(6ログ)、10倍(7ログ)、10倍(8ログ)、10倍(9ログ)、1010倍(10ログ)、あるいはそれ以上増加する。
【0117】
好ましくは、第1の生育条件下で、藻細胞分裂の速度は少なくとも約20%、50%、75%、100%、200%、500%、1,000%、またはそれ以上増加する。
【0118】
好ましくは、第1の生育条件下で、藻類培養の個体群倍加時間は、約0.05〜2日である。
【0119】
第1の生育段階の目的は、細胞数および/または細胞分裂速度を増加させることなので、第1の生育条件下で藻類生成物の蓄積は重要ではない、または準最適である。例えば、第1の生育条件下で、藻類生成物は、藻類バイオマスの約65%、30%、20%未満、またはさらに10%(w/w)未満であり得る。
【0120】
一方、第2の条件下で生育する主目的は、所望の藻類生成物を生成することなので、さらなる藻細胞の増加は、貴重な資源またはエネルギーを浪費するため、望ましくない。好ましくは、藻細胞数は、第2の生育相/条件の間、1ログ(または約10倍)、300%、200%、100%、または50%以下増加する。
【0121】
好ましくは、藻類バイオマスは、第2の生育条件下で著しく増加する。例えば、藻類バイオマスは、藻類生成物の蓄積の結果大量に増加し得る。特定の実施形態において、藻類バイオマスは、第2の生育条件下で、少なくとも約2倍、5倍、10倍、20倍、または50倍増加する。例えば、細胞の藻類生成物(例えば、油、脂質、など)比率が1%から99%に増加した場合、藻類バイオマスにおいておよそ19〜20倍の増加が達成される。
【0122】
特定の実施形態において、蓄積した藻類生成物は、第2の生育条件下で、少なくとも約10倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、1500倍、2000倍、2500倍、またはそれ以上増加する。例えば、細胞の非藻類生成物バイオマス(例えば、核、細胞質、など)が1%から99%に増加する場合、藻類生成物においておよそ1900倍の増加が達成される。
【0123】
2段階生育の終わりに、藻類は、生育容器(池およびバイオリアクター)から回収される。水/培地の大部分からの細胞集団の分離は、いくつかの方法で達成できる。非限定的な例には、ふるい分け、遠心分離、回転真空ろ過、加圧ろ過、液体遠心分離、浮上分離、除さい、ふるい分け、および重力沈降が挙げられる。沈殿剤、凝集剤、または凝固剤などの添加、等の他の方法もまた、これらの方法と併せて使用し得る。2つまたはそれ以上の分離段階もまた使用され得る。複数の段階が使用される場合、それらは同じまたは別の方法に基づき使用され得る。非限定的な例としては、藻類培養物の大部分のふるい分け、続いて第1段階からの排出物のろ過または遠心分離が挙げられる。
【0124】
例えば、下記に述べるように、藻類はよどんだ過流プール循環を使用し、渦および/または吸水管を収集し、培地から部分的に分離され得る。一方、大容量の工業規模商業遠心分離機が、他の分離方法の補足または代わりに使用され得る。このような遠心分離機は、既知の仕入先(例えば、GermanyのシンブリアスケットまたはIBGモンフォール、Denmark企業のアルファラバル)から購入され得る。遠心分離、ろ過、および/または沈殿分離は、また他の藻類成分から油を精製するためにも使用され得る。藻類の水培地からの分離は、粘土(例えば、2マイクロメートル以下の粒径)、硫酸アルミニウム、またはポリアクリルアミド、等の凝集剤の添加により促進され得る。凝集剤の存在で、藻類は単純な重力沈降により分離、または遠心分離によってさらに容易に分離し得る。例えば、凝集剤ベースの藻類の分離が、米国特許出願公開第20020079270に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0125】
当業者であれば、液体培地から藻類等の細胞を分離するためには当該技術分野で既知のいかなる方法も利用され得ることが分かるだろう。例えば、米国特許出願公開第20040121447号、および米国特許第6,524,486号は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれ、藻類を水培養から部分的に分類するための接線流量ろ過装置および機器を開示している。藻類を培地から分類する他の方法が、米国特許第5,910,254号および第6,524,486号に記載され、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。他の公開された藻類の分離および/または抽出方法もまた使用され得る。例えば、Rose et al.,Water Science and Technology 25:319−327,1992、Smith et al.,Northwest Science 42:165−171,1968、Moulton et al.,Hydrobiologia204/205:401−408,1990、Borowitzka et al.,Bulletin of Marine Science47:244−252,1990、Honeycutt,Biotechnology and Bioengineering Symp.13:567−575,1983を参照のこと。
【0126】
大部分の細胞が収穫されると、藻類生成物(例えば、油)は、機械的方法、化学的(例えば、酵素による)方法、および/または溶媒抽出を使用して藻細胞を破壊すること(例えば、溶解)から開放される。
【0127】
細胞破壊の機械的方法の非限定的な例には、圧搾プレス機、バッチ式プレス機、フィルタープレス機、コールドプレス機、プレンチプレス機、圧力低下装置、圧力低下ホモジナイザ、コロイドミル、ビーズまたはボールミル、機械的せん断装置(例えば、高せん断ミキサ)、熱衝撃、熱処理、浸透圧衝撃、超音波処理、圧搾、圧締、研磨、蒸気爆発、ロータステーター破壊器、バルブ型プロセッサ、固体形状プロセッサ、窒素減圧、または他のいかなる既知の方法、等の様々なタイプのプレスが挙げらる。大容量の商業細胞破壊器は、既知の仕入先から購入し得る。(例えば、Columbia,MDのGEAニロ社、Daventry,Englandのコンスタントシステム社、Newton,MAのマイクロフルイディクス社)。例えば、水性懸濁液内の微細藻類をつぶす方法が、米国特許第6,000,551号に記載されており、参照により本発明に組み込まれる。
【0128】
化学的方法の非限定的な例には、酵素、酸化剤、溶媒、界面活性剤、およびキレート剤の使用が挙げられる。使用される方法の正確な性質によって、破砕は乾燥した場所、あるいは溶媒、水、または蒸気が存在する場所で行われ得る。
【0129】
破砕または破砕を助けるために使用され得る溶媒には、へキサン、ヘプタン、アルコール、超臨界流体、塩素系溶剤、アルコール、アセトン、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アルデヒド、ケトン、塩素系溶媒、フッ素化―塩素系溶媒、およびそれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。代表的な界面活性剤には、合成洗剤、脂肪酸、部分的グリセリド、リン脂質、リゾリン脂質、アルコール、アルデヒド、ポリソルベート化合物、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な超臨界流体には、二酸化炭素、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、トリフルオロメタン、塩化フッ化メタン、アンモニア、水、シクロへキサン、n−ペンタン、およびトルエンが挙げられる。超臨界流体溶媒はまた、流体の溶媒特性を調整するために、水またはいくつかの他の化合物の含有により調整され得る。化学的な破砕に好適な酵素には、プロテアーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、リゾチーム、ポリサッカラーゼ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。好適なキレート剤には、EDTA、ポルフィン、DTPA、NTA、HEDTA、PDTA、EDDHA、グルコヘプトン酸、リン酸イオン(様々にプロトン化および非プロトン化された)、およびそれらの組み合わせが挙げられるがそれらに限定されない。本明細書に記載したように、いくつかの例において、溶媒抽出は機械的または化学的細胞破砕と組み合わせ得る。化学的および機械的方法の組み合わせもまた使用され得る。
【0130】
部分または相を含む生成物からの破壊細胞の分離は、様々な方法により成し遂げ得る。非限定的な例には、遠心分離、液体遠心分離、ろ過、浮上分離、および重力沈降が挙げられる。いくつかの状況において、溶媒または超臨界流体を含むことが望ましいだろう、例えば、所望の生成物を可溶化するために、生成物と破壊細胞間の相互作用を減少し、分離後の破壊細胞を持つ生成物の残量を減少、または損失をさらに減少させる洗浄ステップを提供する。この目的のための好適な溶媒には、へキサン、へプタン、超臨界流体、塩素系溶剤、アルコール、アセトン、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アルデヒド、ケトン、およびフッ素化−塩素系溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な超臨界流体には、二酸化炭素、エタン、エチレン、プロパン、トリフルオロメタン、塩化フッ化メタン、アンモニア、水、シクロへキサン、n−ペンタン、トルエン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。超臨界流体溶媒もまた、流体の溶媒特性を調節するために、水またはいくつかの他の化合物の含有により調整され得る。
【0131】
そのように分離された生成物は、その後、溶媒除去、乾燥、ろ過、遠心分離、化学変性、エステル交換反応、さらなる精製による、またはステップのいくつかの組み合わせを用いることによる等のその望ましい使用に応じて、さらに処理され得る。
【0132】
例えば、脂質/油は、バイオマスから分離し得、次いで、バイオディーゼルを生成する既知の方法を使用して、バイオディーゼルを生成するために使用される。例えば、本明細書に記載のいずれかの方法を用いて、バイオマスをプレスし、得られた脂質に富む液体を分離することができる。分離した油は、次いで、既知のコネマンプロセス(例えば、米国特許第5,354,878号を参照されたく、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、等のエステル交換方法を使用してバイオディーゼルへと処理される。
【0133】
例えば、藻類は液体培地から収穫され、分離され、破砕し、油分が分離(上記参照)され得る。藻類の生成した油は、トリグリセリドが豊富だろう。このような油は、なたね油等の植物源からのバイオディーゼル生成用に確立した、コネマンプロセス(例えば、米国特許第5,354,878号を参照されたく、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)、等の既知の方法を使用してバイオディーゼル化され得る。標準エステル交換反応プロセスは、トリグリセリドとアルコール、一般にメタノールとの間のアルカリ性触媒エステル交換を含む。トリグリセリドの脂肪酸はメタノールに移行し、アルキルエステル(バイオディーゼル)を生成し、グリセロールを放出する。グリセロールは取り除かれ、他の用途に使用され得る。
【0134】
バッチ反応式(例えば、J.Am.Oil Soc.61:343,1984)、コネマンプロセスは、リアクターカラムを通じて反応混合物の連続的な流動を利用し、その流動速度はグリセリンの沈降速度よりも低い。これにより、グリセリンのバイオディーゼルからの連続的な分離がもたらされる。反応混合物は、エステル交換プロセスを完了するために、さらにリアクターカラムを通じて処理され得る。残留メタノール、グリセリン、遊離脂肪酸、および触媒が、水抽出により取り除かれる。
【0135】
しかしながら、当業者であれば、油を含むトリグリセリドからバイオディーゼルを生成するためには、当該技術分野で既知のいかなる方法も利用され得ることが分かるだろう。例えば、米国特許第4,695,411号、第5,338,471号、第5,730,029号、第6,538,146号、第6,960,672号は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。エステル交換を必要としない代替方法もまた使用され得る。例えば、熱分解、ガス化、または熱化学的液化による(例えば、Dote,Fuel73:12,1994、Ginzburg,Renewable Energy3:249−252,1993、Benemann and Oswald,DOE/PC/93204−T5,1996を参照)。
【0136】
何千種もの既知の自然発生藻類が存在するが、多くは(大部分でないとしても)油/脂質/バイオディーゼル生成および他の生成物の生成に使用され得る。これらの藻類は、従属栄養、光従属栄養、または独立栄養条件下で代謝し得る。本発明で使用され得る、特に好ましい藻類には、緑藻植物または珪藻が挙げられる。
【0137】
特定の実施形態において、単位エーカー当たりのバイオディーゼル原料生成をさらに増加させるために、藻類は伝子組み換え/操作され得る。特定の生成物の生成のための藻類の遺伝子組み換えは、当該技術分野で既知の方法を使用し、比較的容易である。しかしながら、本明細書に開示の、低コストな栽培、収穫、および生成物抽出方法は、遺伝子組み換え(例えば、トランスジェニック、非トランスジェニック)藻類を使用し得る。当業者であれば、異なる藻類の株が、異なる生育および油の生産力を示し、その上異なる条件下で、システムは藻類の単一株または異なる特性を持つ株の混合、または藻類の株に加えて共生細菌を含み得る、と理解するだろう。使用された藻類種は、地理的位置、温度感受性、光感受性、pH感受性、塩分、水質、養分利用性、温度または光の季節差、藻類から得られる所望の最終生成物、および様々な他の要素に最適化され得る。
【0138】
特定の実施形態において、油/バイオディーゼルを生成するために役立つ藻類は、油生成を向上させる1つ以上の分離した核酸配列を含む、または藻類培養、生育、収穫、または使用、の他の使用特性を提供するために、遺伝子操作(例えば、トランスジェニックまたは特定部位の突然変異誘発により発生する等)され得る。藻類種の安定転換方法および分離した使用核酸を含む組成物は、当該技術分野で既知であり、このような方法および組成物は、本発明の実施に際して使用され得る。代表的な形質転換の使用方法には、微粒子銃、エレクトロポレーション、原形質融合、PEG−仲介転換、DNA−被覆炭化ケイ素ウィスカ、またはウイルス仲介形質転換の使用(例えば、Sanford et al.,1993,Meth.Enzymol.217:483−509、Dunahay et al.,1997,Meth.Molec.Biol.62:503−9、米国特許第5,270,175号、5,661,017号を参照されたく、参照により本明細書に組み込まれる、)を挙げることができる。
【0139】
例えば、米国特許第5,661,017号は、珪藻類、黄金色藻類、褐藻類、黄緑藻類、ラフィド藻類、プリムネシオ藻類、クリプト藻類、シクロテラ、ナビキューラ、シリンドロセカ、ファエオダクチラム、アンフォラ、キートセロス、ニッチア、またはタラシオシラ、等のクロロフィルC含有藻類の藻類転換方法を開示している。アセチル−CoAカルボキシラーゼ等の使用核酸を含む組成物もまた開示されている。
【0140】
様々な実施形態において、転換した藻類を選択するために、選択可能なマーカが、分離した核酸またはベクターに組み込まれ得る。選択可能な使用マーカには、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ、アミノグリコシド、リン酸転移酵素、アミノグリコシドアセチルトランスフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ヒグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ、ブレオマイシン結合タンパク質、ホスフィノトリシンアセチル転移酵素、ブロモキシニルニトリラーゼ、グリホセート耐性5−エノールピルビルシキメート−3−ホスフェートシンターゼ、クリプトプレウリン耐性リボソームタンパク質S14、エメチン耐性リボソームタンパク質S14、スルホ二ル尿素耐性アセト乳酸シンターゼ、イミダゾリノン耐性アセト乳酸シンターゼ、ストレプトマイシン耐性16SリボソームRNA、スペクチノマイシン耐性16SリボソームRNA、エリスロマイシン耐性23SリボソームRNA、またはメチルベンズイミダゾール耐性チューブリンを挙げることができる。導入遺伝子の発現を向上させるために、Cクリプティカアセチル−CoAカルボキシラーゼ5’−非翻訳制御調節配列、Cクリプティカアセチル−CoAカルボキシラーゼ3’−非翻訳制御調節配列、およびそれらの組み合わせ等の制御核酸配列が既知である。
【実施例】
【0141】
本発明を概して説明したが、下記の具体的な実施例は、本発明の特定の態様を説明するために提供されるに過ぎない。実施例に記載される特定の特徴は、記載されている本発明に概して適用可能ではあるが、これらの実施例がいかなる点においても制限されることを意図するものではない。
【0142】
実施例1
段階1従属栄養リアクターおよび段階1独立栄養リアクターにおける静止および振とう生育状況下でのクロレラブルガリスの成長比較
ガラス製バイオリアクター(3重)を滅菌し、滅菌独立栄養生育培養(ブリストル培地)または滅菌従属栄養生育培地(酵母抽出物1g/Lおよびグルコース5g/Lで調整されたブリストル培地)のどちらかで満たした。3つのバイオリアクターをそのままにし、3つを穏やかに攪拌して混合を促進した。全培養に、16/8明/暗サイクルで光が当てられた(27〜30uEinsteins/cm)。7日間で、細胞が収穫され、乾燥重量、1mLあたりの細胞数、および総クロロフィルが測定された。
【0143】
代表的なブルストル培地を下記に記載する:

1Lのブリストル培地を作るために、下記の方法が使用され得る。
【0144】
1.およそ900mLのdHOに、上記の各成分を連続的に撹拌しながら指定の順に添加する。
【0145】
2.全容量を、dHO(*1.5%寒天培地用にフラスコに寒天15gを添加し、混合しない)を用いて1Lにする。
【0146】
3.培地を覆い、オートクレーブする。
【0147】
4.冷蔵庫内温度で保存する。
【0148】
本明細書で使用する光条件は、本発明における光従属栄養生育に通常適用される。
【0149】
下記の表において、従属栄養生育が、バイオマス、細胞数、およびクロロフィルにおいてかなり著しい(少なくとも1桁)増加をもたらしたことがわかる。この生育は、藻類生成物の生成でさらに使用される藻類バイオマス生成の効率を向上する。
【0150】

実施例2
段階1従属栄養リアクターおよび段階1独立独立栄養リアクターにおける静止および振とう生育状況下でのアンキストロデスムスブラウニーの成長比較
ガラス製バイオリアクター(3重)を滅菌し、滅菌独立栄養生育培地(ブルストル培地)または滅菌従属栄養生育培地(酵母抽出物1g/Lおよびグルコース5g/Lで調整したブリストル培地)のどちらかで満たす。下記の通り、バイオリアクターにアンキストロデスムスブラウニーを接種し、培養した。3つのバイオリアクターをそのままにし、3つを穏やかに攪拌して混合を促進した。全培養に、16/8明/暗サイクルで光が当てられた(27〜30uEinsteins/cm)。7日間で、細胞が収穫され、乾燥重量、1mLあたりの細胞数、および総クロロフィルが測定された。
【0151】
本明細書で使用する光条件は、本発明における光従属栄養生育に通常適用される。
【0152】
下記の表において、従属栄養生育が、バイオマス、細胞数、およびクロロフィルにおいてかなり著しい(少なくとも1桁)増加をもたらしたことがわかる。この生育は、藻類生成物の生成でさらに使用される藻類バイオマス生成の効率を向上する。
【0153】

実施例3
一定の成長因子の組み合わせを用いるか、用いないクロレラプロトセコイディスの成長比較
使用された保存成分は、キネチンが0.25g、6−BAが0.25g、NAAが0.5g、GA3が0.5g、ビタミンB1が1.0g、dHOが1.0Lであった。成分2をつくるためにHGM(下記の表参照)250mLに19.5nLを添加した。フラスコにクロレラプロトセコイディスを接種し、吸光度単位0.04の開始光学濃度を得た。フラスコを従属栄養(暗)条件下、125rpmで、撹拌器上に置いた。温度は約23℃に維持された。光学濃度を毎日測定した。表1に要約した結果を示す。
【表1】

【0154】
注1:NaEDTA.2HO、075g/L、FeCl.6HO、0.097g/L、MgCl.4HO、0.041g/L、ホウ酸、0.011g/L、Zncl、0.005g/L、CoCl.6HO、0.002g/L、CuSO、0.002g/L、NaMoC.HO、0.002g/L。
【0155】
注2:HGMは、増加したNaNO濃度(2.94mM最終濃度から8.82mM最終濃度に)、および酵母抽出物(バクト)0.4%、グルコース2.0%、および微量金属の混合物(注1を参照)、を含む追加成分で調整されたブリストル培地である。炭素水和物等の有機化合物をつくるために光合成を使用する光栄養下で藻類が生育するので、グルコースは従来のブリストル培地には不在である。
【0156】
注3:培地をネフェロフラスコ(250L)に入れ、121℃で20分間滅菌した。
【0157】
対照従属栄養生育培地よりも速い速度でバイオマスを作り出した成分1が示されている。特定の成長率、μはそれぞれ対照が1.4および成分1が1.8であった。
【0158】

実施例4
一定の成長因子の組み合わせを用いるか、または用いないクロレラプロトセコイディスの成長比較
使用された保存配合成分は、キネチンが0.25g、6BAが0.25g、NAAが0.5g、GA3が0.5g、ビタミンB1が1.0g、dHOが1.0Lであった。成分2をつくるために、HGM(下記の表参照)250mLに4.7nLを添加した。フラスコにクロレラプロトセコイディスを接種し、吸光度単位0.04の開始光学濃度を得た。フラスコを従属栄養(暗)条件下125rpmで、撹拌器上に置いた。温度は約23℃に維持された。光学濃度を毎日測定した。表2に要約した結果を示す。
【0159】
対照従属栄養生育培地よりも速い速度でバイオマスを作り出した成分2が示されている。特定の成長率、μはそれぞれ対照が1.4および成分2が1.6であった。
【0160】

実施例5
一定の成長因子の組み合わせを用いるか、または用いないクロレラプロトセコイディスの成長比較
使用された保存配合成分は、キネチンが0.25g、6BAが0.25g、NAAが0.5g、IAAが0.25g、GA3が0.5g、ビタミンB1が1.0g、dHOが1.0Lであった。成分3をつくるためにHGM(下記の表参照)250mLに19.5nLを添加した。フラスコにクロレラプロトセコイディスを接種し、吸光度単位0.04の開始光学濃度を得た。フラスコを従属栄養(暗)条件下125rpmで、撹拌器上に置いた。温度は約23℃に維持された。光学濃度を毎日測定した。表3に要約した結果を示す。
【0161】
対照従属栄養生育培地よりも速い速度でバイオマスを作り出した成分3が示されている。特定の成長率、μはそれぞれ対照が1.4および成分3が1.8であった。
【0162】

実施例6
一定の成長因子の組み合わせを用いるか、または用いないクロレラプロトセコイディスの成長比較
使用された保存配合成分は、キネチンが0.25g、6BAが0.25g、NAAが0.5g、IAAが0.25g、GA3が0.5g、ビタミンB1が1.0g、dHOが1.0Lであった。成分4をつくるためにHGM(下記の表参照)250mLに4.7nLを添加した。フラスコにクロレラプロトセコイディスを接種し、吸光度単位0.04の開始光学濃度を得た。フラスコを従属栄養(暗)条件下125rpmで、撹拌器上に置いた。温度は約23℃に維持された。光学濃度を毎日測定した。表4に要約した結果を示す。
【0163】
対照従属栄養生育培地よりも速い速度でバイオマスを作り出した配合4が示されている。特定の成長率、μはそれぞれ対照が1.4および成分4が1.8であった。
【0164】
上記で使用された調節剤濃度を下記の表2に要約した。
【表2】

実施例7
光従属栄養および従属栄養生育
セネデスムスオブリカスおよびクロレラプロトセコイディス生育中の光露出の影響が測定された。両方の藻類の成長率は、光従属栄養生育条件で高かった。セネデスムスオブリカスの成長率は、光従属栄養生育下で約86.7%高かった。一方で、生育が光従属栄養生育下で行われた場合、クロレラプロトセコイディスの成長率は39.07%増加した。これらの実験の結果を下記の表3〜6に要約する。
【表3】

【表4】

【表5】

【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
藻類生成物を生成するために藻類を生育するための方法であって、
(1)藻細胞分裂の速度および藻細胞数を増加させるように、第1の従属栄養もしくは光従属栄養生育条件下で該藻類を生育することと、
(2)藻類生成物を生成するために第2の生育条件下で該藻類を生育することと、
を含み、藻細胞数は、該第2の生育条件下では著しく増加しない、上記方法。
【請求項2】
前記第1の生育条件は、最適な細胞数の増加に必要な非制限レベルの栄養分および微量元素を含む培地を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記栄養分は、1つ以上のC、N、P、S、および/またはO源を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記培地は、任意でさらなる栄養分を補充した、嫌気性バイオ消化物の液体分離物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記嫌気性バイオ消化物は、動物の臓物、家畜糞尿、食品加工廃棄物、都市下水、低濃度蒸留廃液(thin stillage)、蒸留かす、または他の有機材料の嫌気性消化から生じる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記栄養分の濃度は、細胞分裂および/または生育に対して無毒である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の生育条件は、非好熱性藻類については約0〜40℃、および好熱性藻類については約40〜95℃、または約60〜80℃の範囲の、細胞分裂に最適な温度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の生育条件は、1つ以上の成長ホルモンまたはその模倣体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記成長ホルモンは、オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、および/またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の成長ホルモンを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記オーキシンは、インドール酢酸(IAA)および/または1−ナフタレン酢酸(NAA)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ジベレリンはGA3を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記サイトカイニンは、アデニン型サイトカイニンまたはフェニル尿素型サイトカイニンである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記アデニン型サイトカイニンまたは模倣体は、キネチン、ゼアチン、および/または6−ベンジルアミノプリンを含み、前記フェニル尿素型サイトカイニンは、ジフェニル尿素および/またはチジアズロン(TDZ)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の生育条件は、ビタミンB1またはその類似体/模倣体をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
オーキシンとサイトカイニンとの比率(w/w)は、約1:2〜2:1、または約1:1である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
オーキシンとジベレリンとの比率(w/w)は、約1:2〜2:1、または約1:1である、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記模倣体はフェノキシ酢酸化合物である、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の生育条件は、窒素制限培地(例えば、約1.5〜15mgN/L)、または藻類生成物合成に最適な窒素レベルを有する培地を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の生育条件は油刺激因子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記油刺激因子は、フルボ酸またはフミン酸等のフミン酸塩を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記藻類を、前記第1の生育条件下の第1のバイオリアクター内で、および前記第2の生育条件下の第2のバイオリアクター内で培養する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のバイオリアクターを、最適な細胞数の増加のために適合する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のバイオリアクターは滅菌し易い、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第2のバイオリアクターを、前記藻類生成物の最適な生成のために適合する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記藻類を、静止生育相に達する前に、前記第1の生育条件から前記第2の生育条件に切り替える、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記藻類を、前記第1の生育条件の1つ以上の栄養分が著しく枯渇したときに、前記第1の生育条件から前記第2の生育条件に切り替える、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記藻類を、前記第2の生育条件下で生育するために前記第1の生育条件下で藻細胞を収穫することによって、前記第1の生育条件から前記第2の生育条件に切り替える、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記藻類を、前記藻培養物の細胞密度が少なくとも約5×10細胞/mLに達したときに、前記第1の生育条件から前記第2の生育条件に切り替える、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記藻類を、前記藻培養物のタンパク質濃度が少なくとも約0.8g/Lに達したとき、あるいは前記藻培養物の色素濃度が、クロロフィルaおよびbについて少なくとも約0.005mg/L、または総クロロフィルについて少なくとも約0.02mg/Lに達したときに、前記第1の生育条件から前記第2の生育条件に切り替える、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記藻類を、第1のバイオリアクター内で、前記第1の生育条件下で生育する前記藻培養物を継続的に希釈し、前記第2の生育条件下の第2のバイオリアクター内で生育するために、前記移動させた藻培養物を回収することによって、前記第1の生育条件から前記第2の生育条件に切り替える、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の生育条件下での藻細胞数の増加率は、前記希釈率と実質的に等しく、それによって前記第1のバイオリアクター内の前記藻細胞数が実質的に一定のままである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
藻細胞数は、前記第1の生育条件下で少なくとも約2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、10倍、10倍、10倍、10倍、10倍、10倍、1010倍、またはそれ以上増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
藻細胞分裂の速度は、少なくとも約20%、50%、75%、100%、200%、500%、1,000%、またはそれ以上増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の生育条件下での前記藻培養物の集団倍加時間は、約0.05〜2日間である、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の生育条件下での前記藻類生成物の蓄積は、わずかまたは準最適である、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記藻類生成物は、前記第1の生育条件下で、藻類バイオマスの約65%、30%、20%未満、またはさらには10%(w/w)未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
藻細胞数は、前記第2の生育条件下で、1,000%、300%、200%、100%、または50%以下増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
藻類バイオマスは、前記第2の生育条件下で実質的に増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
藻類バイオマスは、主に前記藻類生成物の蓄積の結果として増加する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
藻類バイオマスまたはバイオ生成物は、前記第2の生育条件下で、少なくとも約10倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、1500倍、または2000倍増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記藻類生成物は、油または脂質である、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記藻類が代謝する前記第2の生育条件下は、従属栄養条件、光従属栄養条件、または独立栄養条件である、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記藻類は、緑藻植物または緑色植物(珪藻)である、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
従属栄養条件下で藻類を生育するための培地であって、表1に列挙された成分を含み、前記培地中のそれぞれの列挙された成分の最終濃度は、前記表1に列挙された最終濃度の約50%(増加または減少)、40%、30%、20%、10%、または5%以内である、上記培地。
【請求項45】
表1の従属栄養生育培地(HGM)である、請求項44に記載の培地。
【請求項46】
表1の前記HGM培地と比較したときに、実質的に同一条件下で、クロレラプロトセコイディスに対して実質的に同一生育速度を維持する、請求項44に記載の培地。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2012−512655(P2012−512655A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542316(P2011−542316)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/067961
【国際公開番号】WO2010/080377
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(511148695)アルファ−ジェイ リサーチ リミテッド パートナーシップ (2)
【Fターム(参考)】