細胞性血液成分を含まないかまたはそれらを本質的に含まない血漿を回収するための血液処理システムおよび血液処理方法
本血液分離システムおよび方法は、血液を血液成分に分離するため、分離チャネルを軸の回りで回転させながら、血液を低G壁と高G壁との間の環状分離チャネルに導入する。この環状分離チャネルは環状の境界壁を有している。本システムおよび方法は、第一の血液成分を低G壁に沿って狭窄チャネルに方向付ける。本システムおよび方法は、低G壁に隣接した狭窄チャネルと隣り合う開口を通じて分離チャネルと連通した第一のパスを通じて第一の血液成分を除去する。また、本システムおよび方法は、第二の血液成分を環状境界壁に向けてほぼ高G壁に沿って軸方向に広がる表面に沿って方向付ける。本システムおよび方法は、環状境界壁から軸方向に間隔を空けて位置する高G壁に隣接した表面と隣り合う開口を通じて分離チャネルと連通した第二のパスを通じて第二の血液成分を収集する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、血液、血液構成要素または他の細胞性材料の懸濁液を処理および収集するためのシステムならびに方法に関係する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
今日、人々は、全血をルーチン的に、通常は遠心分離により、赤血球、血小板および血漿などの様々な治療学的成分に分離している。
【0003】
従来の血液処理方法は、典型的にはプラスチックでできた一回のみ使用される無菌処理システムと協同する形態で耐久性遠心分離装置を使用する。操作者は、処理する前に、使い捨て式のシステムを遠心分離機に取り付け、処理後、それらのシステムを取り除く。
【0004】
従来の血液遠心分離機は、収集場所間での移動を容易に行えるような大きさではない。その上、取り付けおよび取り外し操作は時として時間が掛かる単調な操作であり得る。
【0005】
これに加え、高容量におけるオンライン血液収集環境での使用に役立ち、血漿、赤血球および血小板などの臨界的に必要な細胞性血液成分のこれまで以上に高い収量を合理的な短い処理時間で実現することができるような仕方で血液成分を収集するための更に改善されたシステムおよび方法に対するニーズが存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような流体処理システムに対する操作上および性能上の要求は、更に小型でより持ち運びに便利なシステムに対する要求が増大する一方で、一層複雑で精巧なものになってきている。従って、より詳細な情報を集め、操作者が処理効率および分離効率を最大化する上で助けとなる信号を制御することができる、自動化された血液処理制御装置に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明の一つの側面は、血液を血液成分に分離するため、分離チャネルを軸の回りで回転させながら血液を低G壁と高G壁との間の環状分離チャネルに導入する血液分離システムおよび方法を提供する。この環状分離チャネルは環状の境界壁を有している。本システムおよび方法は、第一の血液成分を低G壁に沿って狭窄チャネルに方向付ける。本システムおよび方法は、低G壁に隣接した狭窄チャネルと隣り合う開口を通じて分離チャネルと連通した第一のパスを通じて第一の血液成分を除去する。また、本システムおよび方法は、第二の血液成分を環状境界壁に向けてほぼ高G壁に沿って軸方向に広がる表面に沿って方向付ける。本システムおよび方法は、環状境界壁から軸方向に間隔を空けて位置する高G壁に隣接した表面と隣り合う開口を通じて分離チャネルと連通した第二のパスを通じて第二の血液成分を収集する。
【0008】
一つの実施態様では、第二の通路は、高G壁に沿って第二の通路を狭窄すべく第二の開口において第二の通路内で半径方向に広がるレッジを含んでいる。一つの装置では、レッジは、第二の開口から離れ、低G壁とほぼ整列した軸方向表面と隣り合っており、第二の通路に入る血液成分は、分離チャネルから除去するため、この軸方向表面に沿って環状境界壁から離れる方向に方向付けられる。
【0009】
本発明の別の側面は、血液を血液成分に分離するため、分離チャネルを軸の回りで回転させながら血液を低G壁と高G壁との間の環状分離チャネルに導入する血液分離システムおよび方法を提供する。この環状分離チャネルは環状の境界壁を有している。本システムおよび方法は、低G壁に隣接した狭窄チャネルと隣り合う第一の開口を通じて分離チャネルと連通した第一のパスを通じて除去するため、第一の血液成分を低G壁に沿って狭窄チャネルに方向付ける。また、本システムおよび方法は、高G壁に隣接し、環状境界壁に面した第二の開口を通じて分離チャネルと連通する第二のパスを通じて除去すべく第二の血液成分を方向付ける。第二の通路は、高G壁に沿った狭窄チャネルを定めるべく第二の開口で第二の通路内において半径方向に広がるレッジを含んでおり、第二の血液成分は、この狭窄チャネルを通じて、分離チャネルから除去されるべく第二のパスに入る。
【0010】
本発明のどちらの側面によっても、第一および第二の血液成分は少なくとも一時は同時的に収集することができる。
【0011】
また、本発明のどちらの側面によっても、第二の血液成分は例えば赤血球を含むことができ、望ましくは血小板および白血球も含む。この装置では、第一の血液成分は血漿、望ましくは赤血球、血小板および白血球などの細胞性血液成分が不在の血漿、または細胞性血液成分が本質的に不在の血漿を含む。
【0012】
本発明の他の特徴および利点は以下の明細書および添付図面で明らかにされる。
【0013】
本発明は、本発明の精神または基本的な特徴から逸脱することなく、種々の形態で具体化することができる。本発明の範囲は、添付の特許請求項に先立つ特定の説明においてではなく、添付の特許請求項において定義される。従って、それらの請求項の意義および同等物の範囲内に収まるすべての実施態様は、これらの特許請求項により包含されるべく意図されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
好適な実施態様の説明
図1は、本発明の特質を具体化する流体処理システム10を示している。このシステム10は様々な流体を処理するために使用することができる。
【0015】
システム10は、全血および他の生物学的細胞性材料の懸濁液を処理するのに特に良く適している。従って、例証的な実施態様は、この目的で使用されるシステム10を示す。
【0016】
I.システムの概説
システム10は2つの主要なコンポーネントを含む。これらは以下のコンポーネントである:(i)血液処理装置14(図1では移動および保管用に閉じられた状態で示されており、図2および3では操作用に開かれた状態で示されている);および(ii)1つまたはそれ以上の血液成分の分離および収集をもたらすべく血液処理装置14と相互作用する液体および血液フローセット12(セット12は、図1および4では使用前の移動および保管用にトレー48に包装された状態で示されており、図5および6ではトレー48から取り出され、使用するために血液処理装置14に取り付けられた状態で示されている)。
【0017】
A.処理装置
血液処理装置14は長期間使用することができる耐久性品目であることが意図されている。図示されているこの好適な実施態様では、血液処理装置14は、持ち運び可能なハウジングまたはケース36の内部に取り付けられている。ケース36は、テーブル面または他の比較的小さな表面での据え付けおよび操作に適したコンパクトなフットプリントを提供する。また、ケース36は収集場所へ容易に運ぶことができるようにも意図されている。
【0018】
ケース36は、基盤38と、(図1に示されている如く)移送する場合には閉じ、(図2から4までに示されている如く)使用する場合には開くちょうつがいで取り付けられた蓋40とを含む。使用に際し、基盤38は、ほぼ水平な支持表面に置かれるべく意図されている。ケース36は、例えば成型により、所望の形状に形作ることができる。ケース36は、好適には、軽量ではあるが、耐久性のあるプラスチック材料から製作される。
【0019】
コントローラー16は装置14のボード上に担持されている。コントローラー16は、操作者により選択された血液処理および収集手順を果たすべく、装置14のコンポーネントとフローセット12のコンポーネントとの間の相互作用を管理する。図示されている実施態様では、コントローラー16はメインプロセッシングユニット(MPU)を含み、MPUは、例えばIntel Corporationにより製作されたPentiumTM型のマイクロプロセッサーを含むことができるが、他のタイプの通常のマイクロプロセッサーを使用することもできる。MPUはケース36の蓋40の内側に取り付けることができる。電源コード184を伴う電源は、装置14のMPUおよび他のコンポーネントに電気的なパワーを供給する。
【0020】
好適には、コントローラー16は、操作者がシステム10の操作に関する情報を見て充分に把握することを可能にする対話型ユーザーインターフェース42も含む。図示されている実施態様では、インターフェース42は、蓋40に担持されたインターフェーススクリーンにより実施され、このインターフェーススクリーンは、操作者が英数字フォーマットで、および図式的な画像として見ることができる情報を表示する。
【0021】
コントローラー16についての更なる詳細はNayakらの米国特許第6,261,065号で見ることができ、この特許は参照により本明細書に組み入れられる。インターフェースについての更なる詳細はLyleらの米国特許第5,581,687号で見ることができ、この特許も参照により本明細書に組み入れられる。
【0022】
図1に示されているように、蓋40は、コントローラー16または装置14の他のコンポーネントへ他の外部装置を結合するための他の入力/出力端子を支持するために使用することができる。例えば、イーサネット(登録商標)ポート50もしくは(情報をコントローラー16にスキャニングするための)バーコードリーダーなどのための入力端子52、または診断ポート54もしくは血液処理中の血流量を高めるべくドナーに装着された圧力カフ60(例えば図23および24を参照)へ結合するためのポート56、またはシステムトランスデューサーのキャリブレーションポート58は、すべて、アクセス用に蓋40の外部に、または装置14のケース36のどこか別な場所に都合良く取り付けることができる。
【0023】
B.フローセット
フローセット12は一回のみ使用される無菌の使い捨て式品目であるべく意図されている。ある与えられた血液処理および収集手順を始める前に、操作者は、(図4および5に示されているように)装置14と協同するフローセット12の様々なコンポーネントを取り付ける。コントローラー16は、操作者から与えられた他の入力を考慮に入れながら、予め設定されたプロトコルに基づいてこの手順を実行する。手順が完了すると、操作者は、フローセット12を装置14との関わり合いから取り外す。収集された1つもしくは複数の血液成分を収容したセット12の部分は、装置14から取り出され、保管、輸血または更なる処理用に保持される。セット12の残りの部分は、装置14から取り外され、廃棄される。
【0024】
フローセットは、血液処理チャンバ18、流体作動式のポンプおよびバルブカセット28、アレイ状を為す協同処理容器64、ならびにチャンバ18およびカセット28に結合されたフロー配管を含み、これらについては後でもっと詳しく同定される。
【0025】
1.血液処理チャンバ
図示されている実施態様(図5参照)では、フローセット12は、遠心分離機と協同する形態で使用すべく設計された血液処理チャンバ18を含んでいる。処理装置14は、使用するために処理チャンバ18を受け入れる(図5参照)遠心分離ステーション20(図2および3参照)を含んでいる。
【0026】
図2および3に示されているように、遠心分離ステーション20は、基盤38に形成されたコンパートメント24を含んでいる。また、遠心分離ステーション20はドア22を含んでいる。ドア22は、(図3および5に示されているように)開き、これにより処理チャンバ18をコンパートメント24に取り付けることができる。操作中、処理チャンバ18をコンパートメント24内に封じ込めておくため、(図2および6に示されているように)ドア22が閉じられる。
【0027】
遠心分離ステーション20は処理チャンバ18を回転させる。回転すると、処理チャンバ18は、ドナーから与えられた全血を遠心力により成分の部分、主に赤血球、血漿および軟膜と呼ばれる中間層に分離し、この軟膜層には血小板および白血球が存在する。以降の部分で説明されているように、チャンバ18の構成は意図された血液分離目標に応じて様々に変えることができる。
【0028】
2.流体圧力作動式カセット
図示されている実施態様では、セット12は流体圧力作動式カセット28も含んでいる(図5参照)。カセット28は、ある与えられた血液処理手順に必要なすべてのポンピング機能およびバルブ開閉機能のための集中方式によるプログラム可能な総合プラットフォームを提供する。図示されている実施態様では、流体圧力は正および負の空気圧を含むが、他のタイプの流体圧力を使用することもできる。
【0029】
図5に示されているように、カセット28は、ケース36の蓋40に配置されている空気圧作動式のポンプおよびバルブステーション30において使用すべく取り付けられている。ポンプおよびバルブステーション30は、カセット28を取り付けおよび取り外しするためにポンプおよびバルブステーション30を露出する開放位置(図3参照)と、使用するためにカセット28をポンプおよびバルブステーション30内に封じ込める閉鎖位置(図6に示されている)との間をちょうつがいで動くことができるドア32を含んでいる。
ポンプおよびバルブステーション30は、バルブ面ガスケット318の後側に配置されたマニホルドアセンブリ34を含んでいる(図4参照)。マニホルドアセンブリ34は、カセット28がポンプおよびバルブステーション30に取り付けられた状態のときに、ガスケット318を通じてカセット28に正および負の空気圧を加える。この空気圧が、カセット28中を通って流れるべく液体を方向付ける。
【0030】
カセット28とポンプおよびバルブステーション30の操作に関する更なる詳細は以降で説明される。また、付加的な詳細は、参照により本明細書に組み入れられるNayakらの米国特許第6,261,065号に見出すこともできる。
【0031】
3.血液処理容器および配管
戻って図5および6を参照すると、フローセット16は、カセット28およびチャンバ18と流通状態にあるアレイ状を為すチューブおよび容器も含んでいる。これらのチューブおよび容器の配列は処理目標に応じて様々に変えることができる。代表的な血液処理手順およびそのような手順に適合する協同的フローセットについては以降で説明される。
【0032】
臍状体100はフローセット16の一部を形成する。取り付けられると、臍状体100は、シールを回転させる必要性を伴うことなく、回転する処理チャンバ18をカセット28と結合する。臍状体100は、Hytrel(登録商標)コポリエステルエラストマー(DuPont)などの回転応力抵抗性プラスチック材料から製作することができる。
【0033】
次に図7を参照すると、チューブ102、104および106が臍状体100の近位側端部から延びている。チューブ102は、分離するため、全血を処理チャンバ18内へ運ぶ。チューブ104および106は、それぞれ、遠心力により分離された赤血球および血漿を処理チャンバ18から運ぶ。血漿は、処理目標に応じて、血小板を豊富に含んでいてもよいし、血小板が少なくてもよい。
【0034】
図7に示されているように、固定具108は、臍状体100に隣接したチューブ102、104および106を遠心分離ステーション20の外側に位置する、コンパクトな系統立てられた横並びのアレイにまとめる。固定具108により、チューブ102、104および106は、チャンバ18の外側の遠心分離ステーション20に隣接して位置付けられた光学的検出ステーション46と連合した一つのグループとして配置および除去することが可能になる(図9、10および11参照)。
【0035】
光学的検出ステーション46は、チューブ104および106により運ばれてきた血液中における標的血液成分(例えば赤血球および血小板)の存在または不在を光学的にモニターする。検出ステーション46は、そのような血液成分の存在または不在を反映した出力を提供する。この出力はコントローラー16へ伝達される。コントローラー16はこの出力を処理し、部分的にこの光学的に検出された事象に基づき、処理事象を制御するための信号を発生する。光学的検出に基づいて処理事象を制御するためのコントローラーの操作についての更なる詳細は以降で説明される。また、付加的な詳細は、参照により本明細書に組み入れられるNayakらの米国特許第6,261,065号に見出すこともできる。
【0036】
図示されているように(図5および6参照)、フローセット16は瀉血針128を含み、この瀉血針を通じてドナーを血液処理するためのシステム10へ結び付けることができる。図5および6では、フローセット16は血液採取アセンブリ110も含んでいる。血液採取アセンブリ110は、瀉血針128を通じて、ある与えられた血液処理手順の初めにドナーの血液の1つもしくはそれ以上のサンプルを採取することを可能にする。採取アセンブリ110内への血液の流れを調節するため、通常のマニュアルクランプ114(例えばRoberts Clamp)が設けられている。
【0037】
同じく図5および6に示されているように、フローセット16はインライン注入部位112を含むことができる。この注入部位112は、必要な場合、技師が、付加的な針の穿刺を必要とすることなく、瀉血針128を用いて、塩類溶液もしくは別の生理学的液体、または薬剤をドナーに導入することを可能にする。
【0038】
望ましくは、付加的なインラインマニュアルクランプ116が血液採取アセンブリ110および注入部位112の上流に設けられる。このクランプ116は、ドナーの安全性または快適性が求められる場合、フローセット16からドナーを迅速に隔離することを可能にする。代替的に、この目的で、別の止血装置(図示せず)を適用することもできる。
【0039】
図1および2にも示されているように、装置14は、血液処理の助けとなるべくコンパクトに配列された他のコンポーネントを含むこともできる。既に説明されている遠心分離ステーション20とポンプおよびバルブステーション30に加え、本装置は、1つまたはそれ以上の計量ステーション62および他の形態の容器用支持具を含む。装置14上におけるこれらのコンポーネントの配列は勿論様々に変えることができる。
【0040】
図示されている実施態様では(図3参照)、計量ステーション62は、蓋40の上面に沿って配列された一連の容器ハンガー/重量センサーを含んでいる。この図示されている実施態様では、蓋40および基盤の側面に付加的なスイングアウト式のハンガー/重量センサーも設けられている。使用に際し(図5および6参照)、これらの容器は計量ステーション62に吊される。図5および6にも示されているように、計量ステーション62に隣接して蓋40に宛われた絵画アイコン66は、容器に宛われた絵画アイコン66と適合する。これらのアイコン66を適合させることにより、操作者は、意図された計量ステーション62に適切な容器を配置すべく視覚的に誘導される。
【0041】
計量ステーション62は、容器を載せるべく基盤38に成形された凹部を含むこともできる。ステーション62に隣接した基盤38上の絵画アイコン66は、セットアップ作業中に操作者が容器を適切に配置することを誘導すべく、容器に設けられた絵画アイコン66と適合する。
【0042】
処理中に血液または液体が容器内へ収容されるとき及び/又は容器から分配されるとき、計量ステーション62は時間の経過に伴う重量の変化を反映した出力を提供する。この出力はコントローラー16へ伝達される。コントローラー16は、流体処理容量を導出すべくこの増分重量変化を処理する。コントローラーは、部分的にこの導出された処理容量に基づき、処理事象を制御するための信号を発生する。処理事象を制御するためのコントローラー16の操作についての更なる詳細は以降で説明される。また、付加的な詳細は、参照により本明細書に組み入れられるNayakらの米国特許第6,261,065号に見出すこともできる。
【0043】
4.血液処理手順
コントローラー16の制御の下で、システム10は種々の異なる血液処理手順を果たすべく条件付けすることができる。MPUは、コントロールアプリケーションのライブラリーの活動化を管理するアプリケーションコントロールマネージャーを含む。各コントロールアプリケーションは、予め定められた仕方で遠心分離ステーション20とポンプおよびバルブステーション30を用いて与えられた機能的タスクを実施するための手順を定めている。これらのアプリケーションは、例えばMPUのEPROM’sにおけるプロセスソフトウェアとして常駐することができる。
【0044】
以降で説明されているように、カセット28への圧力の選択的な適用により、同じカセット28を用いて種々の異なる血液収集手順を実行することができる。
【0045】
例証のため、以下の2つの臨床的な手順の実施について説明する:(1)血漿収集手順;および(2)二単位赤血球収集手順。血漿収集手順では、ドナーから得られた全血が遠心力により処理され、収集用に88mlまでの血漿が得られる。すべての赤血球はドナーへ戻される。二単位赤血球収集手順では、ドナーから得られた全血が遠心力により処理され、収集用に2単位(約500ml)までの赤血球が得られる。すべての血漿構成要素はドナーへ戻される。
【0046】
詳細には説明しないが、システム10により他の臨床的な手順を実行することもできる。例えば、血漿/赤血球収集手順を果たすことができ、そこでは、ドナーから得られた全血が遠心力により処理され、約550mlまでの血漿と約250mlまでの赤血球が収集される。赤血球のうち収集用に保留されなかった部分は、血液分離中にドナーへ周期的に戻される。目標の550mlを超えて収集された血漿および目標の250mlを超えて収集された赤血球も、この手順の終わりにドナーへ戻される。別の例では、血漿収集及び/又は赤血球収集手順の過程で、チャンバ18から軟膜界面を取り除き、収集することもできる。その後に行われる白血球除去処理を伴い、この軟膜は血小板のソースとして使用することができる。
【0047】
システム10が果たし得る様々な血液収集手順の更なる詳細は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,261,065号で説明されている。
【0048】
II.本システムにおける血液分離コンポーネントの他の技術的な特徴
本システム10の血液処理チャンバ18および遠心分離ステーション20は、望ましくは、多様な血液処理プロトコルの実施を支持する他の技術的な特徴を有している。
【0049】
A.血液処理チャンバ
図示されている実施態様では(図7および8参照)、処理チャンバ18は、例えば可塑化されていない医用グレードのアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)などの硬質の生体適合性プラスチック材料から射出成形により所望の形および構造に予め形成されている。この装置では、チャンバ18は2つの主要なコンポーネント:基盤コンポーネント200および蓋コンポーネント202を含む。
【0050】
基盤コンポーネント200はセンターハブ204を含んでいる。ハブ204は、円周状の血液分離チャネル210を定める内側および外側の環状壁206および208により取り囲まれている。ハブ204から1つもしくはそれ以上の半径方向の通路212が延び、チャネル210と連通している。血液および他の流体は、これらの通路212を通じてハブ204からチャネル210内へ入り、チャネル210から出る方向へ方向付けられる。成形壁214は分離チャネル210の軸方向境界を形成する。蓋コンポーネント202も分離チャネル210の別の軸方向境界を形成する。これらの軸方向境界は共にほぼ平ら(即ち、回転軸に対して垂直)であるように示されているが、これらの軸方向境界はテーパーの付いた状態、丸みを帯びた状態、V字形などであってよいことを認識すべきである。
【0051】
基盤コンポーネント200の下面は、臍状体100の遠位端に設けられた成形マウント218を受け入れる成形レセプタクル216を含んでいる。マウント218は、臍状体100をチャネル210と液絡状態が得られるように結合するため、様々な方法で:例えば密着乾性圧入により、もしくは溶剤結合により、または超音波溶接によりレセプタクル216に固定することができる。臍状体100の遠位端と基盤コンポーネント200は一つのユニットとして回転する。
【0052】
血液分離プロセスの動力学に影響を及ぼすすべての輪郭、ポート、チャネルおよび壁は、1回もしくはそれ以上の射出成形操作で基盤コンポーネント200に予め形成されている。基盤コンポーネント200に予め形成されるこれらの輪郭、ポート、チャネルおよび壁は、望まれる特定の分離目標によって様々に変えることができる。代表的な例については以降でもっと詳細に説明される。
【0053】
B.遠心分離ステーション
遠心分離ステーション20(図9参照)は遠心分離アセンブリ68を含んでいる。遠心分離アセンブリ68は、使用するために成形処理チャンバ18および臍状体100を受け入れ、支持することができるように構成されている。
【0054】
図9に描かれているように、遠心分離アセンブリ68は底面壁、上面壁および側面壁72、74、76を有するフレームまたはヨーク70を含んでいる。ヨーク70は底面壁72に取り付けられたベアリングエレメント78(図9)上で回転する。軸82の回りでヨーク70を回転させるため、電気駆動モーター80がヨーク70の底面壁72に結合されている。図示されている実施態様では、軸82は本質的に水平(図3参照)であるが、他の角度的配向も使用することができる。モーター80は、コントローラー16により発せられた指令に応じて時計方向または反時計方向のどちらにもヨーク70を回転させることができる。
【0055】
キャリヤーまたはロータープレート84は、自体のベアリングエレメント86の回りでヨーク70内において回転し、このベアリングエレメントはヨーク70の上面壁74に取り付けられている。ロータープレート84は、ヨーク70の回転軸82とほぼ整列した軸の回りで回転する。
【0056】
図7に示されているように、処理チャンバ18の上面は環状リップ220を含み、この環状リップに蓋コンポーネント202が固定されている。図10に示されているように、ロータープレート84は、回転させるために処理チャンバ18をロータープレート84上に確保すべく、リップ220を取り外し可能に把持するラッチアセンブリ88を含んでいる。
【0057】
ラッチアセンブリ88の詳細は、参照により本明細書に組み入れられる「Blood Separation Systems and Methods with Quick Attachment of a Blood Separation Chamber to a Centrifuge Rotor」と題する2001年10月13日出願の同時係属米国特許出願第09/976,829号に見出すことができる。
【0058】
図10に最も分かりやすく示されているように、臍状体100の近位端に設けられたシース144が遠心分離ステーション20の予め形成された凹状ポケット90に嵌め込まれる。ポケット90は、臍状体100の近位端を、ヨーク70およびロータープレート84の相互に整列した回転軸82と整列した、回転しない定常位置において保持する。
【0059】
また、予め成形されたポケット90は、臍状体のシース144が挿入されるのと同時に固定具108の取り付けを行えるようにも形作られている。従って、チューブ102、104および106は、図11に示されているようにポケット90内にも位置付けられる検出ステーション46と連合した一つのグループとして配置および除去される。
【0060】
臍状体駆動または支持メンバー92および94(図9および10参照)は、ヨーク70の側壁76により担持されている。ロータープレート84が予め定められた回転位置に配置されると、支持メンバー92および94は、シース144と固定具108をポケット90内に嵌めるための操作を行っているのと同時に、臍状体100を受け入れるべく処理チャンバ18の左側に位置する。
【0061】
図10に示されているように、一つのメンバー92は臍状体100の中央部分を受け入れる。このメンバー92は臍状体100の中央部分を載せる表面を含んでいる。この表面は、ほぼ、ヨーク70の方に向いたチャネル96を形成する。チャネル96は、臍状体の上方部分をもう一方のメンバー94へ方向付ける、臍状体100の中央部分の通路を提供する。また、チャネル96は、臍状体100の中央部分が回転軸82に向けて、および回転軸82から離れる向きで半径方向に移動するのを抑制する。しかし、チャネル96は、臍状体100が自体の軸の回りで回転または捻り運動するのを許容する。使用する前は、チャネル96の表面はほぼ凸状である。この凸状の形態は、凸状表面を為す材料が使用中に臍状体100との回転接触により摩耗することが考慮に入れられている点において、犠牲的であるべく意図されている。この凸状の形態は、使用中における臍状体との接触により動的に変化し、使用中のチャネル96と臍状体100との間の機械的相互作用および摩擦相互作用により左右される最終的な接触形態を形成する。
【0062】
もう一方のメンバー94は、メンバー92が差し向けた臍状体100の上方部分を受け入れる。メンバー94は臍状体100の上方部分を載せる表面を含んでいる。この表面は、ヨーク70の上面壁72に向けて傾斜したチャネル98を形成する。チャネル98はほぼヨーク70から離れる向きにあり、従って、チャネル96と逆向きの関係にある。これら2つの反対向きのチャネル96および98の間に臍状体用の移行パスを提供するため、チャネル96はチャネル98から外向きに僅かにずれている。チャネル98は、臍状体100の上方部分をヨーク70の上面壁72の軸方向上方に配置された凹状ポケット90に向けて誘導し、ここで臍状体のシース144と固定具108が嵌め込まれる。チャネル96と同様に、チャネル98は、臍状体100の上方部分が回転軸82に向けて、および回転軸82から離れる向きで半径方向に移動するのを抑制する。しかし、チャネル96と同様に、チャネル98は、臍状体100が自体の軸の回りで回転または捻り運動するのを許容する。
【0063】
支持チャネル96および98は逆向きの関係で配列されているため、チャネル96および98は、ヨーク70の回転方向に関わらず、相互に相補的な「逆把持」様式で臍状体の中央部分と契合する。
【0064】
ヨーク70が(ロータープレート84の上面から見て)反時計方向に回転している間、チャネル96の内向きの配向が臍状体を最良の状態で捕獲する。これは、更に、この方向に回転している間、臍状体の残りの部分をチャネル98との契合に関して安定化させる。処理チャンバ18は、血液処理操作の間、反時計方向に回転させられるべく意図されている。
【0065】
メンバー94は、外向きのチャネル98に向けて内向きにテーパーが付いた、対向する側面エッジ99および101を含んでいる。テーパー付きの側面エッジ101は、反時計方向におけるヨーク70の回転に応答して、臍状体の中央領域を外向きのチャネル98との契合へ向けて更に誘導する。
【0066】
チャネル98の外向きの誘導エッジ99は、回転軸82へ向けて広がる拡大曲面またはランプを定めている。ランプ99は、ヨークが正規の血液処理で意図された回転方向(即ち、反時計方向)とは反対の方向の(ロータープレート84の上面から見て)時計方向に回転させられているときに、チャネル98内への臍状体の自己取り付けを果たすことができる大きさおよび形状に為されている。また、ランプ99は、その後、ヨーク70が反時計方向に回転させられているときに、臍状体100の上方部分をチャネル98から滑り抜け出ないように保つ。これは、更に、この方向に回転している間、臍状体の残りの部分をチャネル96との契合に関して安定化させる。
【0067】
従って、チャネル96および98の形状は、ヨーク70の回転方向に関わらず、ヨーク70の回転に応答して臍状体の中央領域をチャネル96および98との契合状態に保つべく、相互に補完する。
【0068】
図示されている実施態様では、支持メンバー92および94のチャネル表面96および98は、好適には、低摩擦材料から製作されており、これにより、臍状体100自体に対する外部的な潤滑または回転ベアリングの必要性が排除される。使用される材料は、例えばTeflon(登録商標)ポリテトラフルオロエチレン材料(DuPont)または超高分子量ポリエチレンを含むことができる。このような材料でできたチャネル表面96および98は、臍状体の駆動摩擦および臍状体の摩耗による粒状物質の存在を最小化する。
【0069】
支持メンバー92および94についての更なる詳細は、参照により本明細書に組み入れられる「Blood Separation Systems and Methods with Umbilicus Driven Blood Separation Chambers」と題する2001年10月13日出願の同時係属米国特許出願第09/976,830号に見出すことができる。
【0070】
遠心分離ステーションのドア20を閉じると、ドア20の下面にある保持用ブラケット21(図5参照)は、シース144を伴うレジストリーに位置付けられる。ドア20の下面にある(図5に示されている如き)別の保持用ブラケット23は、ドア20が閉じられると、固定具108を伴うレジストリーに位置付けられる。好適には、(図6に示されている如く)解放可能なラッチ25が、遠心分離アセンブリ68の操作中、ドア20を閉止状態に保持する。
【0071】
遠心分離アセンブリ68の操作中、支持メンバー92および94は、ヨーク70の回転が軸82の回りで縦列となって臍状体100をも回転させるような仕方で臍状体100を担持する。近位端においては(即ち、シース144においては)ポケット90内に拘束され、遠位端においては(即ち、マウント218により)チャンバ16に結合されている臍状体100は、チャネル表面96および98が回転軸82に対して相対的な臍状体の半径方向の移動を抑制しているときでさえ、軸82の回りで回転するときに、自体の軸の回りでチャネル表面96および98上で捻れ運動をする。チャネル表面96および98上でヨーク70と共に1オメガで(典型的には約2250RPMの速度で)回転するときの自体の軸の回りでの臍状体100の急速回転は、回転させるためにロータープレート84に確保された処理チャンバ18へ2オメガの回転を付与する。
【0072】
1オメガの回転速度におけるヨーク70と2オメガの回転速度におけるロータープレート84の相対的な回転は、臍状体100を捻れのない状態に保ち、これにより、シールを回転させる必要性を回避することができる。図示されている装置は、単一の駆動モーター80が、臍状体100を通じて、相互に回転するヨーク70とロータープレート84に担持された処理チャンバ18とに回転を付与することも可能である。この装置の更なる詳細は、参照により本明細書に組み入れられるBrownらの米国特許第4,120,449号に開示されている。
【0073】
以前に説明されているように、チャネル表面96および98は、望ましくは、時計方向または反時計方向のどちらの方向においても臍状体100の回転と処理チャンバ18の駆動を行えるように相補的な様式で形成され、配向される。従って、チャンバ18は、1つの所望の処理目標、例えば血液処理前のプライミングおよび空気抜きに貢献する一つの方向に回転させることができ、また、それとは異なる処理目標、例えば血液分離に貢献する反対方向に回転させることもできる。その上、ロータープレート84が処理チャンバ18の取り付けを行うための予め定められた回転位置にあるときの臍状体100に対する臍状体支持具92および94の近接並置、ならびに臍状体の近位端を支持ポケット90へ向けて導く支持具92および94に形成されたチャネル96および98の補完的な配向は、使用するための処理チャンバ18の取り付け、および使用後の処理チャンバ18の取り外しで、主として縦列で実施することができる、直観的な認識工程からなる「簡単な取り付け」シーケンスを可能にする。チャネル96および98の輪郭および配向は、どちらかの方向におけるヨーク70の回転の結果として臍状体100を「捕獲する」のに役立ち、これにより、何よりも先ず操作者が、万一臍状体100を完全に正しく取り付け損なったときでも、臍状体100をチャネル表面96および98に適切に配向することができる。
【0074】
より詳細には、チャネル96および98が相補的であるという特徴は、使用するために臍状体100を自己取り付けすることにおいて有利に利用することができる。望ましくは、処理チャンバ18がロータープレート84に取り付けられ、臍状体のシース144がポケット90内に配置されており、臍状体100の中央領域も最初にチャネル96および98に配置されている場合には、ヨーク70は、最初、血液処理操作中にヨーク70が回転させられる方向である時計方向に適度な速度(例えば300RPM)で回転させることができる。この方向の回転は、臍状体100を確実にチャネル98内に充分に取り付けるために細長のランプ99を利用する。この後、ヨーク70は、使用するために臍状体100の位置が両チャネル96および98内において安定化されているのを確実化するため、反対方向(反時計方向)に適度な速度で回転させることができる。次いで、ヨーク70は、血液処理に貢献する反時計方向の回転速度まで充分に突き進められてよい。
【0075】
C.光学的検出による界面の制御
上述のどの血液処理手順においても、処理チャンバ18内にもたらされる遠心力が全血を(図12で図式的に示されている如く)赤血球濃厚液領域と血漿領域に分離する。この遠心力は、血漿領域をチャンバの内側または低G壁へ移動させながら、赤血球濃厚液領域がチャンバの外側または高G壁に沿って集合する状態をもたらす。
【0076】
中間の領域は、赤血球領域と血漿領域との間の界面を形成する。血小板および白血球の如き中間的な密度の細胞性血液種がこの界面を構成し、これらの血液種は密度によって配列され、血小板の方が白血球よりも血漿層に近い位置を占める。この界面は、血漿領域が麦わら色を為し、赤血球領域が赤色を為しているのに比べ、曇った色を為しているため、「軟膜」とも呼ばれている。
【0077】
手順に応じて血漿にもしくは赤血球に軟膜材料が混入しないようにするため、または軟膜の細胞性内容物を収集するため、軟膜の位置をモニターすることが望ましい。本システムは、この目的で2つの光学的検出アセンブリ146および148を収容した光学的検出ステーション46(図11Aから11Dにも示されている)を含んでいる。この装置は図12、13および14にも図式的に示されている。
【0078】
ステーション46内の第一検出アセンブリ146は、血漿収集チューブ106を通る血液成分の通過を光学的にモニターする。ステーション46内の第二検出アセンブリ148は、赤血球収集チューブ104を通る血液成分の通過を光学的にモニターする。
【0079】
チューブ104および106は、検出のために使用される光学的エネルギーに対して、少なくともチューブ104および106が検出ステーション46と連合して配置される領域では透明なプラスチック材料(例えばポリ塩化ビニル)でできている。固定具108は、それぞれの検出アセンブリ148および146と視野整列した状態でチューブ104および106を保持する。また、固定具108は、連合したセンサーがたとえ設けられていないにしても、全血を遠心分離ステーション20へ運ぶチューブ102も保持する。固定具108は、容易に束ねられるコンパクトな束の形態で臍状体100へ結合されているすべてのチューブ102、104および106をまとめ、保持する役割を果たしている。
【0080】
第一検出アセンブリ146は、血漿収集チューブ106内における光学的に標的とされた細胞種または成分の存在を検出することができる。検出するために光学的に標的とされる成分は手順に応じて様々に変わる。
【0081】
血漿収集手順の場合、第一検出アセンブリ146は、血漿収集チューブ106内における血小板の存在を検出し、これにより、血漿と血小板細胞層との間の界面を処理チャンバへ戻すべく制御手段を起動することができる。これは、血小板を本質的に含んでいない血漿生成物、または少なくとも血小板の個数が有意に最小化されている血漿生成物をもたらすことができる。
【0082】
赤血球のみを収集する手順の場合、第一検出アセンブリ146は、軟膜と赤血球層との間の界面を検出し、これにより、この界面を処理チャンバへ戻すべく制御手段を起動することができる。これは、赤血球の収量を最大化する。
【0083】
第一検出アセンブリ146により検出された血漿中におけるこれらの細胞性成分の存在は、すべてのこれらの成分または幾分かのこれらの成分が血漿収集ラインに入り込める程充分に界面が処理チャンバの低G壁に近接していることを示している(図13参照)。この状態を「過剰流出」と呼ぶこともある。
【0084】
第二検出アセンブリ148は、赤血球収集チューブ104内における赤血球のヘマトクリットを検出することができる。処理中における、ある設定された最小レベル以下への赤血球ヘマトクリットの低減は、血漿が赤血球収集チューブ104に入り込める程充分に界面が処理チャンバの高G壁に近接していることを示している(図14参照)。この状態を「過少流出」と呼ぶこともある。
【0085】
検出ステーション46、ならびに第一および第二検出アセンブリ146および148の構成は様々に変えることができる。一つの望ましい実施態様では、第一検出アセンブリ146は、赤色または緑色の光のいずれかを選択的に発することができる発光ダイオード(LED)400、およびLED400による血漿チューブ106の透過光の強度を測定するために対向して配置されたフォトダイオード402を含む。LED400の異なる波長(緑色および赤色)は、血小板に対しては概して同じ減衰度を有しているが、赤血球に対しては有意に異なる減衰度を有するように選択される。従って、第一検出アセンブリ146は、(血漿収集手順中における過剰流出を検出するための)血漿フロー中における血小板の存在と、(軟膜収集手順中における赤血球との軟膜界面を検出するための)血漿フロー中における赤血球の存在を識別することができる。
【0086】
一つの望ましい実施態様では、第二検出アセンブリ148は、1つの赤外線LED404と2つのフォトダイオード406および408を含み、1つのフォトダイオード406は赤外線LED404に隣接して配置され、もう一方のフォトダイオード408は赤外線LED404に対向して配置される。フォトダイオード408は、LED404による赤血球チューブ104の透過光強度を測定する。フォトダイオード406は反射光強度を測定する。
【0087】
検出ステーション46および固定具108は、赤外線LED404およびフォトダイオード406に対して、測定された反射光強度と赤血球ヘマトクリットとの間に線型相関がもたらされることが観測されている望ましい距離関係で赤血球チューブ104を位置付ける。一つの例として、NIRスペクトルにおける1つの波長(例えば805nm)を有する入射光源(即ち、LED404)から予め定められた半径方向距離(例えば7.5mm)で測定された反射光の強度は、少なくとも10から90までのヘマトクリット範囲で、ヘマトクリットの線型関数として変動する。従って、赤血球ヘマトクリットは、赤外線LED404およびフォトダイオード406を用いて反射光強度をモニターすることにより確定することができる。
【0088】
検出ステーション46は様々な方法で構成することができる。図11Aから11Dに示されている一つの実施態様では、ステーション46は、2枚の対向するプレート502および504を包含する成形体500を含む。プレート502および504は、固定具108を受け入れ、第一および第二検出アセンブリ146および148と精確に整列した状態で赤血球チューブ104と血漿チューブ106とを保持すべく、間隔を空けて設けられている。
【0089】
各プレート502および504は、望ましくは成形体500の一体的に成形されたコンポーネントからなるアレイ状の光パイプ506A/B/Cおよび508A/B/Cを含んでいる。光パイプ506A/B/Cおよび508A/B/Cは、第一および第二検出アセンブリ146および148を構成するLED’sおよびフォトダイオードと精確な光学的整列状態にある。これらのLED’sおよびフォトダイオードは、光パイプに面する成形体500の外面に例えばファスナーを用いて取り付けられた回路基板510上に担持されている。
【0090】
より詳細には、プレート502の光パイプ506Aは、第一検出アセンブリ146のフォトダイオード402と光学的整列状態にある。これに対応し、反対側に配置されたプレート504の光パイプ508Aは、第一検出アセンブリ146の赤色/緑色LED400と光学的整列状態にある。
【0091】
プレート502の光パイプ506Bは、第二検出アセンブリ148の赤外線LED404と光学的整列状態にある。これに対応し、反対側に配置されたプレート504の光パイプ508Bは、第二検出アセンブリ148の透過光検出用フォトダイオード408と光学的整列状態にある。プレート502の光パイプ506Cは、第二検出アセンブリ148の反射光検出用フォトダイオード406と光学的整列状態にある。この装置では、プレート504の光パイプ508Cは空である。
【0092】
第一および第二検出アセンブリ146および148を支持する制御回路機構も様々に変えることができる。(図11Eおよび11Fで図式的に示されている)一つの代表的な実施態様では、CPLDコントローラー410(図11F参照)は、フォトダイオード402、406および408のうちから選択された1つのフォトダイオードからもたらされるシリアルデータストリーム(図11Eおよび11FにおけるデータストリームB)を受け取り、このデータストリームは、選択された上述のフォトダイオードによって検出された検出光強度(場合によって透過光のこともあれば、反射光の場合もある)の指標である。CPLDコントローラー410は、データストリームを受け取るべきフォトダイオード(402、406または408)を選択するためのフォトダイオード選択信号(図11Eおよび11Fにおける選択信号C)を発生する。
【0093】
CPLDコントローラー410は、コントローラー410に包含されているシリアル出力ポートにより発生されたデジタルデータストリーム(図11Eおよび11FにおけるデータストリームC)を介して、各フォトダイオード402、406および408と個々に連合したゲイン増幅器412(図11E参照)のゲインを制御する。それぞれのゲイン増幅器412は、各フォトダイオード404、406および408の電流出力を電圧に変換する、それぞれのフォトダイオード402、406、408と個々に連合した電流−電圧変換器414からの電圧信号を受け取る。各ゲイン増幅器412の増幅されたアナログ電圧信号は個々のアナログ−デジタル変換器へ加えられ、このアナログ−デジタル変換器は、アナログ電圧を選択されたフォトダイオードに対するシリアルデータストリーム(データストリームB)に変換し、CPLDコントローラー410は、更なる処理のため、このデータストリームを受け取る。
【0094】
CPLDコントローラー410に受け取られたシリアルデータストリームBは、パラレルデータストリームを創出するため、シリアル−パラレルポート418へ加えられる。選択されたゲイン増幅器412からの元のアナログ電圧はデジタル−アナログ変換器420によって再構成され、バンドパスフィルター422へ加えられる。バンドパスフィルター422は、被変調ソース光の搬送周波数における中心周波数(即ち、図示されている実施態様では2KHz)を有している。バンドパスフィルター422の出力(正弦波出力である)は全波整流器へ送られ、この全波整流器は、上述の正弦波出力を検出光強度に比例したDC出力に変換する。
【0095】
電流源428がLED’s400および404に結合されている。電流源428は、温度および電源電圧レベルに関係なく、各LED400および404に一様に電流を供給する。変調器430は予め定められた周波数でこの定電流を変調する。変調器430による変調は、光学的に検出された読み取り信号から周囲光および電磁妨害(EMI)の影響を除去する。一様な電流源428と組み合わせて、CPLDコントローラー410は、この一様な電流の大きさも調節し、従って、各LED400および404の強度も調節する。LED電流制御データは、コントローラー410によってシリアル形式で発生される(図11Eおよび11FにおけるシリアルデータストリームA)。このシリアルデータは、各LED400および404に対するそれぞれの電流源428と個々に連合したデジタル−アナログ変換器426へ加えられる。
【0096】
検出アセンブリ146および148はコントローラー16により操作され、コントローラー16は周期的に検出アセンブリ146および148を作動させ、検出された強度出力をサンプリングする。望ましくは、制御のために使用されるある与えられたセンサーの出力は、予め定められたサンプリング期間中に採取された多数のサンプルの平均を含む。例えば、ある与えられたサンプリング期間(例えば100μsec毎)の間に多数のサンプル(例えば64個)が採取される。これらの多数のサンプルの平均が導出される。望ましくは、通常の方法論によりサンプル平均の分散も決定され、この分散が予め定められた最大値未満である場合には、上述のサンプル平均の妥当性が認められる。サンプル平均の分散が予め定められた最大値と同じかそれ以上に大きい場合、このサンプル平均は制御用に使用されない。望ましくは、より信頼性の高い出力を得るため、妥当性が確認された最後の5つのサンプル平均の移動平均が制御値として使用される。以降でもっと詳細に説明されているように、サンプル分散の大きさも、ある与えられた血液処理手順の最後に実施されるエアーパージ中の気泡の存在を検出するための手段として使用することができる。
【0097】
光学的検出装置についての更なる詳細は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,261,065号に開示されている。
【0098】
III.本システムにおける空気圧作動式フロー制御コンポーネントの技術的な特徴
望ましくは、システム10のカセット28ならびにポンプおよびバルブステーション30は、多様な血液処理プロトコルを支持する他の技術的な特徴も有している。
【0099】
A.カセット
一つの好適な実施態様では(図15参照)、カセット28は医用グレードの硬質プラスチック材料でできた射出成形体300からなっている。好適には医用グレードの可撓性プラスチックシートでできた可撓性隔膜302および304が、それぞれ、カセット28の前面および後面を覆っている。隔膜302および304は、これらの隔膜の辺縁がカセット28の前面および後面の周辺エッジへ密封されている。
【0100】
図15に示されているように、カセット28は前面と後面の両面に形成された内部空洞を有している。これらの内部空洞は空気圧式ポンプステーション(図15では図式的にPSで表されている)を規定しており、これらのポンプステーションは、アレイ状のインライン空気圧式バルブステーション(図15では図式的にVSで表されている)を通じて、あるパターンを為す流体流路(図15では図式的にFPで表されている)により相互に連結されている。
【0101】
内部空洞のレイアウトは、種々の異なる血液処理手順の様々な異なる目標に応じて変えることができる。望ましくは、カセット28の内部空洞はプログラム可能な血液処理回路306(図16および17参照)を定めている。プログラム可能な回路306は、例えば赤血球を収集する、もしくは血漿を収集する、または血漿と赤血球の両方を収集する、もしくは軟膜を収集するなどの様々な異なる血液処理手順を果たすべく、コントローラー16により条件付けすることができる。
【0102】
図16は、図15に示されているタイプの射出成形空気圧制御式カセット28として実施され得る、プログラム可能な流体回路306を概略的に示している。図17は、カセット本体300における流体回路306の特定の実施態様を示している。以降で説明されているように、カセット28は、種々の異なる血液処理機能を果たすことができる、集中方式によるプログラム可能な総合プラットフォームを提供すべく、空気圧式のポンプおよびバルブステーション30と相互作用する。
【0103】
流体回路306は複式の空気圧式ポンプチャンバDP1およびDP2を含む(図16および23参照)。望ましくは、ポンプチャンバDP1およびDP2は、汎用のドナーインターフェースポンプとして機能すべく縦列でコントローラー16により操作される。複式ドナーインターフェースポンプチャンバDP1およびDP2は並行して働く。一つのポンプチャンバは流体を引き込み、一方、他方のポンプチャンバは流体を排出する。これにより、複式ポンプチャンバDP1およびDP2は、一様なアウトレットフローをもたらすべく、引き込み機能と排出機能を交互に果たす。取り付けられた瀉血針128を有するドナーチューブ126は、ポンプチャンバDP1およびDP2へ結合される。
【0104】
また、望ましくは、流体回路306は、外部容器150から抗凝固剤を引き込み、計量された量の抗凝固剤をドナーチューブ126に結合されている抗凝固剤チューブ152を通じてドナーから引き込まれた血液に送り込むための抗凝固剤専用ポンプとして機能する空気圧式ポンプチャンバACPも含む。
【0105】
流体回路306の外部にあるドナー用クランプ154(図4および5も参照)は、血液処理中にドナーの快適性または安全性に影響を及ぼしかねない特定の状態が生じたときに、ドナーチューブ126および抗凝固剤チューブ152を閉止すべくコントローラー16により操作される。ドナー用クランプ154は、これらの状態が生じたときに、流体回路306からドナーを隔離する機能を果たす。望ましくは、ドナーの安全性を高めるため、ドナーチューブ−抗凝固剤チューブ152の接合点の下流に手操作式のクランプ116または止血鉗子も配置される。
【0106】
また、望ましくは、図16に示されている流体回路306は、レザバー158から全血を処理チャンバ18内へ運ぶためのインプロセス全血専用ポンプとして機能する空気圧式ポンプチャンバIPPも含む。ポンプチャンバIPPの専用機能により、ドナーインターフェースポンプチャンバDP1およびDP2は、全血を処理チャンバ18へ供給するという付加的な機能から解放される。従って、インプロセス全血用ポンプチャンバIPPは、単一の瀉血針を通じてドナーから血液を引き込む操作とドナーへ血液を戻す操作を同時的に行うべくドナーインターフェースポンプチャンバDP1およびDP2を直列的に操作しながら、処理チャンバ18への連続的な血液供給を維持することができる。これにより、処理時間が最小化される。
【0107】
また、望ましくは、流体回路306は、処理チャンバ18から血漿を収集容器160内へ運ぶための血漿用ポンプとして機能する空気圧式ポンプチャンバPPも含む。別々のポンピング機能を専用化できる能力は、処理チャンバ18内へおよび処理チャンバ18からの、ならびにドナーへおよびドナーからの血液の連続的な流れを提供する。
【0108】
流体回路306は、ポンプチャンバDP1、DP2、IPP、PPおよびACPを、ドナーへおよびドナーから、ならびに処理チャンバへおよび処理チャンバから血液および血液成分を運ぶアレイ状の流路へ接続する、図16においてV1からV26で表されているアレイ状のバルブを含む。バルブV1からV26の機能が以下の表にまとめられている:
【0109】
【表1】
【0110】
カセット本体300の前面および後面を覆っている可撓性隔膜302および304は、ポンプチャンバDP1、DP2、IPP、PPおよびACP;バルブV1からV26、およびアレイ状の接続流路を取り囲んでいる直立した周辺エッジに載る。予め成形されているポートP1からP13(図16および17参照)は、カセット本体300内の流体回路306を既に説明されている外部容器およびドナーへ結合すべく、カセット本体300の2つの側面エッジに沿って延びている。
【0111】
図5に示されているように、カセット28は、使用するためにポンプおよびバルブステーション30内で垂直に取り付けられる。この配向(図15も参照)では、隔膜302はバルブステーション30のドア32へ向けて外側を向き、ポートP8からP13は下側を向き、ポートP1からP7は相互に垂直に積み重なって内側を向く。
【0112】
以降で説明されているように、ポンプおよびバルブステーション30により後面の隔膜304に正および負の流体圧力が局部的に加わると、隔膜304が撓み、バルブステーションのV1からV26が閉止および開放し、及び/又はポンプチャンバのDP1、DP2、IPP、PPおよびACPから液体の排出および引き込みが行われる。
【0113】
上の表で説明されているように、カセット本体300には付加的な内部空洞308が設けられている。この空洞308は、血液処理中に形成され得る凝塊および細胞凝集物を取り除くための血液濾過材料174(図17参照)を保持するステーションを形成する。図16で図式的に示されているように、空洞308は回路306内のポートP8とドナーインターフェースポンプステーションDP1およびDP2との間に配置されており、従って、ドナーへ戻される血液はこのフィルター174を通過する。また、空洞308は、ドナーへの流路およびドナーからの流路中に存在するエアーをトラップする機能も果たす。
【0114】
カセット本体300には別の内部空洞310(図16参照)も設けられている。この空洞310は回路306内のポートP5とインプロセスポンピングステーションIPPのバルブV16との間に配置されている。空洞310は、分離チャンバ18を供する全血流路におけるカセット本体300内の別のエアーとラップとして機能する。また、空洞310は、分離チャンバ18を供するインプロセスポンプIPPの脈動性ポンプ行程を緩衝するためのキャパシターとしても機能する。
【0115】
B.ポンプおよびバルブステーション
カセット28は、ケース36の蓋40に取り付けられている空気圧作動式のポンプおよびバルブステーション30と相互作用する(図15参照)。
【0116】
ポンプおよびバルブステーション30のドア32の内面324(以降で説明されているように、望ましくは金属である)は、弾性体のガスケット312を担持している。ガスケット312は、ドア32が閉じられると、カセット本体300の前面と接触する。ガスケット312とドアの内面324との間には膨張可能な袋314が設けられている。ドア32が開いているときに(図3参照)、操作者はカセット28をポンプおよびバルブステーション30に設置することができる。ドア32を閉じ、ラッチ316(図3から5に示されている)を締めると、ガスケット312は、カセット本体300の前面にある隔膜302と向き合い、接触する。袋314を膨らませると、ガスケット312が押され、隔膜302に対する緊密な密封契合がもたらされる。これにより、カセット本体300は、気密な密封取り付け状態でポンプおよびバルブステーション30内に確保される。
【0117】
ポンプおよびバルブステーション30は、図15に最も分かりやすく示されている空気圧式のマニホルドアセンブリ34を含んでいる。使用中、隔膜304は、ポンプステーション20のドア32が閉じられ、袋314が膨らまされたときに、マニホルドアセンブリ34に対する緊密な契合状態の下で袋314により保持される。望ましくは、バルブ面ガスケット318は、流出シールドとして機能すべく、空気圧式マニホルドアセンブリ34上に重なる。図3はバルブ面ガスケット318の存在を示しており、一方、図4および15では、マニホルドアセンブリ34を更に分かりやすく示すため、バルブ面ガスケット318は部分的に除かれている。
【0118】
マニホルドアセンブリ34は、カセット28上のアレイ状を為すポンプチャンバおよびバルブを反映すべく配列されたアレイ状のアクチュエーターポート320を含む。コントローラー16の制御の下で、マニホルドアセンブリ34は種々の異なる圧力および真空レベルをアクチュエーターポート320へ選択的に分配し、これらのアクチュエーターポートは、流体回路306を通じて意図的仕方で血液および処理液体を送るべく、隔膜304を通じてカセット28のポンプチャンバおよびバルブへ系統的に圧力および真空のレベルを加える。また、コントローラー16の制御の下で、マニホルドアセンブリ34は、(既に説明されている)ドアの袋314、ならびにドナー用の圧力カフ60(図23参照)および(既に説明されている)ドナー用クランプ154へも種々の圧力レベルを分配する。
【0119】
マニホルドアセンブリ34は、カセットバルブV1からV26を閉じるため、ならびにインプロセスポンプIPPおよび血漿用ポンプPPからの液体の表出を駆動するために加えられる高い正の圧力(例えば、+500mmHg)であるPhard即ちHard PressureおよびPinpr即ちIn−Process Pressureを発生する。Pinprの大きさは、典型的には処理チャンバ18内にもたらされる約300mmHgの最小圧力に打ち勝つのに充分な大きさである。PinprおよびPhardは、ポンピングと連係して使用される上流および下流のバルブがこれらのポンプを操作すべく加えられる圧力によって無理に開放されてしまわないことを保証するため、最も高い圧力で操作される。
【0120】
また、マニホルドアセンブリ34は、ドナーインターフェースポンプDP1およびDP2、ならびに抗凝固剤用ポンプACPからの液体の表出を駆動するために加えられるPgen即ちGeneral Pressure(+300mmHg)も発生する。
【0121】
更に、マニホルドアセンブリ34は、カセットバルブV1からV26を開くためにマニホルドアセンブリ34に加えられる最も深い真空であるVhard即ちHard Vaccum(−350mmHg)も発生する。また、マニホルドアセンブリ34は、ポンプDP1、DP2、IPP、PPおよびACPのそれぞれの引き込み機能を駆動するために加えられるVgen即ちGeneral Vaccum(−300mmHg)も発生する。Vgenは、ポンプDP1、DP2、IPP、PPおよびACPが上流および下流のカセットバルブV1からV26を壊滅させないことを保証するため、Vhardよりも過激さに劣ることが要求される。
【0122】
ポンプおよびバルブステーション30の操作についての更なる詳細は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,261,065号に見出すことができる。
【0123】
C.容量性フロー検出
望ましくは、コントローラー16は、カセット28のポンプチャンバを通じる流体の流れをモニターするための手段を含む。図示されている実施態様では、ポンプおよびバルブステーション30は小さなプリント回路基板アセンブリ(PCBA’s)332を含んでいる。1つのPCBA332が、カセットポンプチャンバDP1;DP2;IPP;PP;およびACPに流体を引き込むべく、またこれらのチャンバから流体を排出すべく隔膜304へ負および正の圧力を加える各空気圧式アクチュエーターポート320と連合している。PCBA’s332はそれぞれが電源に結合されており、それぞれが、それぞれのポンプチャンバ内において流体と電気伝導性の相互作用または接触を為す容量性回路の一部である。これらの容量性回路は各ポンプチャンバを間にはさむコンデンサーを含んでいる。各PCBA332が一方のコンデンサープレートを形成し、ポンプおよびバルブステーション30のドア32の金属性内面324がもう一方のコンデンサープレートを形成する。これらのプレート間にポンプチャンバ自体がある。ポンプチャンバ内の流体は、カセット隔膜302および304、空気圧式マニホルドアセンブリ34を覆っているバルブ面ガスケット318、およびドア32の内面324を覆っているガスケット312によって回路との実際の物理的接触から保護されている。各PCBA332を通じる電気エネルギーの移動は、それぞれのポンプチャンバ内において電場を創出する。ポンプチャンバに流体を引き込み、またポンプチャンバから流体を排出するために行われる、ある与えられたポンプチャンバと連合した隔膜304の周期的な撓みは、電場を変化させ、これにより、このPCBA332を通じる回路の全静電容量が変化する。静電容量は、流体がポンプチャンバ内へ引き込まれるときに増大し、流体がポンプチャンバから排出されるときに減少する。
【0124】
この装置では、PCBA’s332は、それぞれが静電容量センサー(例えばQprox E2S)を含んでいる。静電容量センサーは、各ポンプチャンバに対する回路332での静電容量の変化を記録する。ある与えられた回路332に対する静電容量信号は、ポンプチャンバが液体で満たされているときには高い信号振幅を有し、ポンプチャンバに流体がないときには低い信号振幅を有し、隔膜が中間的な位置を占めているときには一連の中間的な信号振幅を有する。
【0125】
血液処理手順の着手時に、コントローラー16は、それぞれのポンプチャンバの最大行程体積に対して各センサーの高信号振幅と低信号振幅との間の差分を校正することができる。この後、コントローラー16は、以降の引き込みサイクルおよび排出サイクル中に検出された最大信号値と最小信号値との間の差分を、ポンプチャンバを通じて引き込まれた流体の体積および排出された流体の体積と関係付けることができる。コントローラー16は、あるサンプリング期間にわたってポンピングされた流体の体積を合計し、実際の流量を求めることができる。
【0126】
コントローラー16は、このようにして得られた実際の流量を望ましい流量と比較することができる。逸脱が存在する場合、コントローラー16は、この逸脱を最小化すべく、これらのカセットポンプチャンバに対するアクチュエーターへ送給される空気圧パルスを変えることができる。
【0127】
図15は、連合したアクチュエーターポート320内において面−取り付けされ、全体がカセット28の外部に位置付けられたPCBA’s332を示している。一つの代替的な実施態様では、回路332の一つのコンポーネント(例えば、一方のコンデンサープレート)は、ポンプチャンバの外側に回送された回路の残りの部分と電気的に接続した状態で、カセット28のポンプチャンバの内部に配置することもできる。別の代替的な実施態様では、回路332および電気的接続は、マニホルドアセンブリ34に面−取り付けされた可撓性の電極回路により、またはマニホルドアセンブリ34の本体と一体化された成形回路基板コンポーネントとして実施することができる。後者の実施態様では、電気回路機構または経路は、例えばリソグラフィー式パターン形成もしくは重畳成形により、または可撓性回路をコンポーネント部品に密封することにより、熱可塑性パーツ上に成形される。電気的な機能を果たす熱可塑性パーツは、コンパクトな多層式多機能アセンブリを形成すべく、例えば超音波溶接により、マニホルドアセンブリ34の空気力学的機能を果たす他のコンポーネント上へ一体化される。この装置では、外部コントローラー16および他の外部センサーとの電気的な接続は、例えばコントローラー16および関連するセンサーからの電気的なピンを受け入れるべく適切な箇所にハンダ付けされた雌型の電気的コネクターにより、及び/又は統合型リボンケーブルを用いることにより達成することができる。
【0128】
IV.血漿収集手順を実施するための本システムの使用
次に、一つの典型的な血漿収集手順を実施するために行われる、装置14およびコントローラー16と協同する形態での血液フローセット12の使用について説明する。
【0129】
この血漿収集手順は、前収集サイクル、収集サイクルおよび後収集サイクルを含む。前収集サイクルでは、静脈穿刺に先立って空気抜きするため、フローセット16が塩類溶液でプライミングされる。収集サイクルでは、ドナーから引き込まれた全血が処理され、赤血球をドナーへ戻しながら血漿が収集される。後収集サイクルでは、過剰な血漿がドナーへ戻され、以降でもっと詳しく説明されているように、セット16がエアーでフラッシングされる。
【0130】
A.血液処理チャンバ
図18は、血小板、赤血球および白血球を含まない血漿、またはこれらを実質的に含まない血漿を得る血漿収集手順を果たすべく、図1に示されているシステム10と協同する形態で使用することができる遠心分離処理チャンバ18の一つの実施態様を示している。また、図18に示されているチャンバ18は血漿/赤血球収集手順を果たすために使用することもできる。
【0131】
図8に示されているチャンバの実施態様に関して以前に説明されているように(同様な部分には同様な参照番号が割り振られている)、処理チャンバ18は、望ましくは、別々に成形された基盤コンポーネント200および蓋コンポーネント202として製作される。成形ハブ204は、円周状の血液分離チャネル210を定める内側および外側の環状壁206および208により半径方向的に取り囲まれている。成形壁214(図19参照)は、チャネル210の軸方向境界を形成している。蓋コンポーネント202は、チャネル210の別の軸方向境界を形成している。これらの軸方向境界は共にほぼ平ら(即ち、回転軸に対して垂直)であるように示されているが、これらの軸方向境界はテーパーの付いた状態、丸みを帯びた状態、V字形などであってよいことを認識すべきである。組み立ての際、蓋コンポーネント202は、例えば円筒状の音波溶接ホーンを用いることにより、チャンバ18の上面に固定される。
【0132】
図18に示されているチャンバ18では、内側の環状壁206は1対の補強壁の間で開いている。これらの対向する補強壁はハブ204内における開いた内部領域222を形成しており、この内部領域はチャネル210と連通している。血液および流体は臍状体100からこの領域222を通じて分離チャネル210内へ入る方向に、および分離チャネル210から出る方向に導かれる。
【0133】
図18に示されている実施態様では、成形された内部壁224が領域222の内部に形成されており、この内部壁は、チャネル210を完全に横断して延び、外側の環状壁208につながっている。壁224は分離チャネル210内に終端を形成しており、この終端は、分離中にチャネル210に沿って円周方向に流れるのを阻止する。
【0134】
成形された付加的な内部壁がこの領域222を3つの通路226、228および230に分割している。これらの通路226、228および230はハブ204から延び、終端壁224の反対側の側面でチャネル210と連通している。血液および他の流体はハブ204からこれらの通路226、228および230を通じてチャネル210内へ入る方向に、およびチャネル210から出る方向に方向付けられる。
【0135】
処理チャンバ18が回転させられると(図18の矢印R)、臍状体100(図示されていない)は通路226を通じて全血をチャネル210内へ運ぶ。全血は回転方向(図18では反時計方向である)と同じ方向でチャネル210に流入する。最適な血液分離を得るためには、全血の流れは回転方向と同じ方向であることが望ましいものと確信されるが、代替的に、チャンバ18を全血の円周方向の流れと反対の方向、即ち時計方向に回転させることもできる。
【0136】
全血は、遠心力の結果として、図12に示されている仕方でチャンバ18内において分離する。赤血球は高G壁208へ向けて駆動され、一方、それより軽い血漿構成要素は低G壁206へ向けて移送される。軟膜層は壁206と208の間に存在する。
【0137】
血漿収集用通路228および赤血球収集用通路230は、終端壁224に隣接して、円周方向に全血インレット通路226から略360度の間隔を空けて位置している。これらの収集用通路228および230から上流へ向かう流れの方向には、バリヤー232が高G壁208からチャネル210内へ突き出している。バリヤー232は、低G壁206に沿った分離チャネル210における狭窄部位を形成している。血液の円周方向に沿った流れの方向において、この狭窄部位は血漿収集用通路228へと通じている。
【0138】
図20および21に示されているように、バリヤー232の前縁234は、終端壁224へ向けた方向における、チャネル210の環状境界(図示されている実施態様では、環状壁214である)へ向けたテーパーが付いている。バリヤー232のテーパー付きエッジ234は分離チャネル210の環状境界に面した開口236へと通じている。開口236は、高G壁208に近接して隣り合った環状境界に面しているが、軸方向的にはこの環状境界から間隔を空けて離れている。開口236は赤血球収集用通路230と連通している。
【0139】
レッジ238は低G壁206から半径方向に開口236内においてある軸方向距離だけ延びている。レッジ238は、高G壁208に沿った開口236の半径方向寸法を狭窄している。レッジ238により、高G壁208に隣接した赤血球と他のもっと高い密度の成分のみが開口236と連絡する。レッジ238は、高G壁208に隣接していない血漿を開口236と連絡のない状態に保つ。開口236が高G壁208に沿って半径方向的に制限されているため、血漿は、血漿収集用通路228へ向けて流れる以外に行き場を失う。従って、分離チャネル210を出る血漿は、制限された高−G開口236を通じて分離チャネル210を出るもっと高い密度の材料を含んでおらず、またはこれらの材料を実質的に含んでいない。
【0140】
レッジ238は、低G壁206とほぼ整列した軸方向表面240とつながっている。軸方向表面240は回転軸に沿って軸方向に赤血球収集用通路230へ延びている。(図22に示されているように)バリヤー232、レッジ238および他の内部壁により、赤血球収集用通路230は血漿収集用通路228から隔離されている。
【0141】
また、図22で最も分かりやすく示されてもいるように、低G壁206に沿って存在する血漿は、バリヤー232およびレッジ238により、円周方向に沿って血漿収集用通路228へ、および臍状体100内へ方向付けられる。もっと高G壁208の近くに存在する、もっと高い密度の流体を含有した赤血球および軟膜成分(血小板および白血球)は、環状境界および制限された高−G開口236へ向けて、バリヤー232のテーパー付きエッジ234に沿って軸方向に方向付けられる。高−G開口236から、この比較的高い密度の流体を含有した赤血球および軟膜成分は半径方向レッジ238上を低G壁206へ向けて方向付けられ、この後、軸方向に沿って赤血球収集用通路230内へ、および臍状体100内へ方向付けられる。
【0142】
収集するために相対的に高い密度の材料を分離チャネル210の環状境界へ向けて軸方向に導くテーパー付きエッジ234は、相対的に高い密度の材料および相対的に低い密度の材料をそれらの個々の収集用通路230および228へ差し向けながら、流れの方向の急激な変化を軽減する。流れの方向の急激な変化は、軟膜材料を血漿中に混ぜ合わせる不所望の渦を誘発しかねない。また、開口236における半径方向レッジ238の存在は血漿と高密度流体の分離を促進する機能も有し、これにより、望ましく高い赤血球ヘマトクリットが維持される。
【0143】
バリヤー232は、テーパー付きエッジ234が上部境界環状壁へ向けて底部環状境界壁から上方へ軸方向の流れの方向で血液を高G壁208に沿って方向付けるように、血液の流れの方向に関して反対側に配置されてもよいことを認識すべきである。この装置では、高−G開口236は上部環状境界壁に隣接しているが、この上部環状境界壁から軸方向的に間隔を空けて配置され、血液の除去が処理チャンバの反対側から、即ち、底部環状壁側から起こり得るように為されるであろう。高−G表面と低−G表面との間に確立された半径方向の分離フィールドでは、血液が環状境界へ向けて高−G表面に沿って取る(回転軸に沿った「上向き」または「下向き」のいずれかの)軸方向の流れの方向は、分離目標を達成する上で重要ではない;重要なのは、寧ろ、上述の半径方向フィールド内において分離された相対的に高い密度の材料と相対的に低い密度の材料をそれらの個々の収集用通路へ差し向けながら、流れの方向の急激な変化を軽減することである。
【0144】
血液分離プロセスに影響を及ぼす輪郭、ポート、チャネルおよび壁は、単一の射出成形操作で基盤コンポーネント200に予め形成されてよく、この成形操作中に、成形用マンドレルが基盤コンポーネント200の開放端を通じて挿入および除去される。蓋コンポーネント202は、成形後に基盤コンポーネントを閉止すべく基盤コンポーネント200の開放端へ容易に溶接され得るシンプルな平坦部分を含んでいる。分離プロセスに影響を及ぼすすべての特質が1つの射出成形コンポーネントに組み込まれているため、基盤200と蓋202との間のどんな許容差もチャンバ18の分離能力に影響を及ぼさないであろう。
【0145】
基盤200に予め形成されている輪郭、ポート、チャネルおよび壁が、基盤200の単一の端部を通じて成形用マンドレルを容易に挿入および除去することができない表面を創出している場合には、基盤200は、カップ形のサブアセンブリを入れ子にするか、2つの対称な半割体を用いるかのいずれかにより、別々な成形パーツで形成することができる。
【0146】
代替的に、成形用マンドレルを基盤200の両端から挿入および除去することもできる。この装置の場合(図19参照)、チャンバ18は3つの部片;即ち、基盤200、蓋202(上面側の成形用マンドレルがこの端部を通じて挿入および除去される基盤200の一方の端部を閉止する)、および別々に成形された挿入具242(図19に示されているように、底面側の成形用マンドレルがこの端部を通じて挿入および除去される基盤200のもう一方の端部を閉止する)において成形することができる。
【0147】
チャンバ18は様々な仕方で回転に対するつり合いを取ることができる。チャンバ18の反対側の内部構造と釣り合わせるべく、チャンバ18の一方の側に内部構造を成形することができる。つり合いを達成するため、チャンバ18の周りの壁厚を変えることもできる。代替的に、図18に示されているように、チャンバ18は、適切なつり合い重りを担持するための成形ポケット248を含むことができる。
【0148】
B.カセットおよびフローセット
図23は、血漿収集手順で使用することができる形態の外部処理容器へ結合された、以前に説明されているカセット28を示している。血漿収集手順では、これらの容器は血漿収集容器160、赤血球収集容器またはレザバー162、全血インプロセス容器158、抗凝固剤容器150および処理流体(例えば塩類溶液)容器164を含む。
【0149】
1.血漿収集サイクル
血漿収集手順の一つの典型的な収集サイクルでは、血漿を収集し、その一方で赤血球をドナーへ戻すべく、ドナーから引き込まれた全血が処理される。カセット内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2、カセット内の抗凝固剤用ポンプACP、カセット内のインプロセスポンプIPPおよびカセット内の血漿用ポンプPPは、抗凝固血液をインプロセス容器158内へ引き込み、その一方でこの血液を分離するためにある制御された速度QWBでインプロセス容器158から処理チャンバ18内へ運ぶべく、連合した空気圧式バルブV1からV26と協同する形態で、コントローラー16によって空気圧により駆動される。また、この装置は、ある制御された速度QPで血漿を処理チャンバ18から血漿容器160内へ移し、その一方で赤血球を(速度QRBC=QWB−QPで)処理チャンバ18から赤血球容器162内へ移す。この位相は、(重量センサーでモニターしたときに)目標とする体積の血漿が血漿収集容器160に収集されるまで、または(同じく重量センサーでモニターしたときに)目標とする体積の赤血球が赤血球収集容器162に収集されるまで続く。
【0150】
目標とする体積の血漿または赤血球のいずれかが収集される前に、インプロセス容器158内における全血の体積が予め定められた最大閾値に達した場合には、コントローラー16は、インプロセス容器158内における全血の収集を終結し、その一方で血液の分離を尚も継続すべく、ドナーインターフェースポンプDP1/DP2の操作を終結させる。血液の分離中ではあるが、目標とする体積の血漿または赤血球のいずれかが収集される前に、インプロセス容器158内における全血の体積が予め定められた最小閾値に達した場合には、コントローラー16は全血を引き込む工程に戻り、これにより、全血がインプロセス容器158内へ入ることが可能になる。コントローラーは、どちらが先に起こるかにかかわらず、目標とする体積の血漿が収集されるまで、または目標とする体積の赤血球が収集されるまで、インプロセス容器158に対する高体積閾値および低体積閾値に応じて、これら2つの状態間でトグル動作する。
【0151】
2.赤血球帰還サイクル
一つの典型的な帰還サイクル(目標とする体積の血漿が収集されていないとき)では、コントローラー16は、分離するために抗凝固全血をインプロセス容器158から処理チャンバ18内へ運び、その一方で血漿を血漿容器160内へ、および赤血球を赤血球容器162内へ移すべく、カセット28内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2、カセット内のインプロセスポンプIPPおよびカセット内の血漿用ポンプPPを連合した空気圧式バルブと協同する形態で操作する。また、この装置は、赤血球を赤血球容器162からドナーへ運び、その一方で容器164からの塩類溶液を帰還された赤血球とインラインで混合する。この塩類溶液と赤血球のインライン混合は塩類溶液の温度を高め、ドナーの快適性を改善する。この位相は、重量センサーでモニターしたときに、赤血球容器162が空になるまで続く。
【0152】
赤血球容器162が空になる前に、インプロセス容器158内の全血の体積が特定の低値側閾値に達した場合には、コントローラー16は、血液の分離を終結させるべく、インプロセスポンプIPPの操作を終結させる。この位相は赤血球容器162が空になるまで続く。
【0153】
赤血球容器162が空になると、コントローラー16は、インプロセス容器158から全血を引き込むべくドナーインターフェースポンプステーションDP1を操作してドナーチューブ126を満たし、これにより、別の全血引き込みサイクルのための準備において、(塩類溶液と混合された)赤血球をパージする。この後、コントローラー16は別の収集サイクルを実施する。コントローラー16は、重量センサーが血漿収集容器160に所望体積の血漿が収集されていることを指示するまで、連続的な収集および帰還サイクルを運転する。コントローラー16は、処理チャンバへの血液の供給および処理チャンバからの血液の除去を終結させ、その一方で、赤血球容器162内に残存している赤血球をドナーへ運ぶべく、カセット28内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2を操作する。次に、コントローラー16はエアーパージサイクルに入り、この詳細は以降で説明される。
【0154】
D.界面の制御
ある与えられた血漿収集サイクルでは、コントローラー16は、望ましくは、血漿収集チューブ106内における標的とされた細胞性血液種成分(特に血小板もしくは白血球、またはこれらの両方)の存在をモニターすべく検出ステーション46を操作する。第一センサー146によって検出される、血漿中におけるこれらの細胞性成分の存在は、過剰流出状態を指示し、即ち、これらの血液種成分のすべてまたは幾分かが血漿収集チューブ106内へ入り込めるほど充分に界面が処理チャンバの低G壁に近接していることを指示している(図13参照)。目標が、細胞性血液成分を含まない血漿または実質的含まない血漿(即ち、乏血小板血漿)を収集することであるため、これは望ましくない。
【0155】
(図13に示されている)過剰流出状態に応答して、コントローラー16は、全血を予め定められた流量でインプロセス容器158から処理チャンバ18内へ引き込むべく、インプロセスポンプIPPを操作する。赤血球は、収集容器162に収集するためのチューブ104を通じて出続ける。しかし、コントローラー16は予め定められた時間の間(例えば20秒間)血漿用ポンプPPの操作を中止する。この動作は、赤血球の体積に対して相対的なチャンバ18内の血漿の体積を増大させ、(図12に示されているように)界面を低G壁から離し、分離チャンバの中央へ向けて戻すような力を及ぼす。予め定められた時間の後、コントローラー16は短時間の間(例えば10秒間)血漿用ポンプPPの操作を再開し、その一方で血漿をドナーへ戻すための赤血球収集容器162へ方向付ける。この時間の後、流出が正されている場合には、第一センサー146で清浄な血漿が検出され、通常の血漿収集を再開することができる。もし清浄な血漿が検出されなかった場合、これは過剰流出が正されていないことを指示しており、コントローラー16は上述のシーケンスを繰り返す。
【0156】
上述のシーケンスは、分離チャンバ内における界面の実際の物理的な位置を確かめることに拠るものではなく、代わりに、高G壁に近付きすぎてチャンバを出ることとなる細胞性成分の存在を識別するセンサー146の測定分解能に拠るものである。予め定められた許容可能な最大血小板混入度が所望の低値側閾値に設定されているときには、この血小板混入閾値はセンサー146の測定分解能以下であり得る。従って、専ら過剰流出状態を検出することに依存した制御計画は最適でない可能性がある。
【0157】
分離チャンバへ入る全血の流量(QWB)と分離チャンバ18を出る血漿の流量(QP)の差は、チャンバを出る赤血球の流量(QRBC)を決定する(即ち、QRBC=(QWB)−(QP))。(QWB)は、処理時間を最適化するため、典型的には一定の所望流量に維持され、血漿収集手順の場合には一般的に約70ml/分である。従って、比(QP)/(QWB)は分離チャンバ18内における界面の物理的な位置と相関する。ある与えられた一定の(QWB)で(QP)を増大させると、これにより、前述の比が増大し、相対的に大きな体積の血漿が移動することとなり、従って、(図13に示されているように)界面が低G壁へ向けて移動する。逆に、ある与えられた一定の(QWB)で(QP)を減少させると、これにより、前述の比が減少し、相対的に少ない体積の血漿が移動することとなり、従って、(図14に示されているように)界面が高G壁へ向けて移動する。
【0158】
「理想的」な比(QP)/(QWB)は、先ず第一に、過剰流出状態を回避すべく、(図12に示されているように)界面をチャンバ内の望ましい位置に保てるような比である。しかし、この「理想的」な比(QP)/(QWB)は、血液処理手順の過程で容易に調節または測定することができないドナーの全血のヘマトクリットの関数である。
【0159】
チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリット(HCTRBC)の大きさを利用して分離チャンバ18内における界面の物理的な位置を制御し、これにより、過剰流出状態を最小化または回避できることが発見された。より詳細には、チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリット(HCTRBC)は、界面と高G壁との間の距離が増大すると(即ち、比(QP)/(QWB)が大きくなると)増大する。逆に、チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリット(HCTRBC)は、界面と高G壁との間の距離が減少すると(即ち、比(QP)/(QWB)が小さくなると)減少する。チャンバ18を出る赤血球の目標とするヘマトクリット(HCTRBC)を達成すべく比(QP)/(QWB)を調節することにより、過少流出状態または過剰流出状態を誘発することなく、高G壁に対する相対的な界面の目標とする物理的な位置を達成することができる。
【0160】
以前に説明されているように、赤血球収集チューブ104用のセンサー148は、望ましくは、ヘマトクリットHCTRBC、および時間の経過にわたる処理チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリットの変化を光学的に検出できるように適合化および構成されている。代替的に、赤血球ヘマトクリットを検出するための様々な通常の手段を使用することもできる。
【0161】
HCTRBCの最適な設定ポイント(SET_HCTRBC)は、測定された最適な血漿品質(血小板、赤血球および白血球の混入、特にこれらの不在に関して)と測定された最適な収集時間とを相互に関連付ける、システムの運転中に発生した実験的な臨床データの分析に基づいて選択することができる。このデータは、ある決定可能な高値側閾値HCTRBCで、血小板が赤血球と一緒にチャンバ58を出なくなることを示している。この与えられた高値側閾値HCTRBCにおいて、血小板は血漿と共にチャンバ18内に留まる傾向を有しており、従って、血漿と混合されやすい。この発見に基づき、SET_HCTRBCは、この高値側閾値赤血球ヘマトクリット値に近付くように、但し超えないように設定される。一つの代表的な実施形態では、SET_HCTRBCは約80±5に等しい。ある与えられた血漿収集手順中に(SET_HCTRBC)を達成すべく比(QP)/(QWB)を調節することは、過剰流出を軽減または回避するだけでなく、この手順での血漿収集パラメーターを最適化する機能も果たす。一つの制御手段としてSET_HCTRBCを使用することにより、過剰流出状態を回避すべく血小板が赤血球と共にチャンバを去ることを誘発しながら、手順に要する時間を最適化し、赤血球ヘマトクリットを最大化すべく、(QP)を最大化することが可能になる。
【0162】
この装置では、コントローラー16は、(センサー148により検出された)検出HCTRBCをSET_HCTRBCと定期的に比較し、検出されたHCTRBCとSET_HCTRBCとの差を最小化すべく比(QP)/(QWB)を調節する。SET_HCTRBCに基づく制御は、過剰流出状態を回避または最小化しながら、血漿の純度および収集時間を最適化するために実験的に決定された分離チャンバ内のある位置に界面を保つ。
【0163】
一つの代表的な実施形態では、比(QP)/(QWB)は、望ましくは、ある与えられた血漿収集手順の着手時に、「理想的」な(QP)/(QWB)に幾分満たない値に設定される。一つの代表的な実施形態では、「理想的」な(QP)/(QWB)に約95%の減衰係数が掛け算され、初期比(QP)/(QWB)が設定される。この実施形態では、「理想的」な(QP)/(QWB)は(1−Hi/Ho)[式中、Hiは分離チャンバ18に入る抗凝固全血のヘマトクリットであり、HoはSET_HCTRBCである]に等しく設定される。Hiは、ドナーの実際のヘマトクリットまたは推定ヘマトクリット(Donor_HCT)および抗凝固剤を加えた結果としての全血の希釈率に基づいて導出される。Hiは、例えばDonor_HCTに(1マイナス抗凝固剤と全血との比/100)を掛け算することにより導出することができる。
【0164】
手順が進行する際、検出されたHCTRBCはSET_HCTRBCと定期的に比較され、その差を最小化すべく初期比(QP)/(QWB)がインクリメントまたはデクリメントされる。好適には、過剰流出状態を回避するため、この比(QP)/(QWB)への増分は、検出されたHCTRBCとSET_HCTRBCとの間の差、ならびにその差が変化する速度を考慮に入れて決定される。通常のPID制御技術を使用することができる。望ましくは、比(QP)/(QWB)は、「理想的」な比(QP)/(QWB)に基づいて設定された最小数値範囲および最大数値範囲内でインクリメントまたはデクリメントされる。
【0165】
万一過剰流出に遭遇したときには、上で検討されている仕方でこの過剰流出が正され、この後、処理が進行される。
【0166】
上述の如く、「理想的」な(QP)/(QWB)は、少なくとも一部には、ドナーの抗凝固全血ヘマトクリット(Hi)の関数である。ドナーの全血ヘマトクリットは処理手順の着手時に物理的に測定することができ、または実験的に決定されたデフォルト値(例えば、女性ドナーの場合には0.41、男性ドナーの場合には0.43)に基づくものであってもよい。
【0167】
システム10は最大容量が既知の血液処理チャンバ18を含んでいるため、コントローラー16は、ある与えられた血液処理手順の着手時に、ドナーの抗凝固全血ヘマトクリットをオンラインで実験的に導出することができる。
【0168】
静脈穿刺が実施され、血液のインレット用および帰還用通路が全血でプライミングされた後、コントローラー16は、ランプアップ位相を受けるべく遠心分離ステーション20を条件付ける。ランプアップ位相では、処理チャンバ18が血液収集速度にまで加速される。全血が分離チャンバ18内へポンピングされる。赤血球出口側チューブが閉止され、一方、血漿出口側チューブが開放される。コントローラー16は、血漿チューブに設けられているセンサーが赤血球の存在を検出するまで、この状態を保持する。この状況の発生は、処理チャンバ18が抗凝固全血で満たされていることを意味する。この状況が発生すると、コントローラー16は処理チャンバ18内へ運ばれた全血の体積を登録する。処理チャンバ18を満たすのに必要な全血の体積は、ドナーの抗凝固全血ヘマトクリットと共に反比例して変動するであろう。成形された処理チャンバ18の体積は一定であり、既知であるため、このドナーに対する抗凝固全血ヘマトクリット値は、ある与えられた処理手順の着手時に測定された、この処理チャンバを満たすのに必要な抗凝固全血の体積から直接的に導出することができる。
【0169】
V.二重赤血球収集手順を果たすための本システムの使用
次に、例証を目的として、一つの典型的な二単位赤血球収集手順を実施するための、装置14およびコントローラー16と協同する形態でのセット12の使用について説明する。
【0170】
A.血液処理チャンバ
図8は、意図された赤血球収集手順を果たすために図1に示されているシステム10と協同する形態で使用することができる遠心分離処理チャンバ18の一つの実施態様を示している。チャンバ18は、図18に示されているチャンバの多くの技術的な特徴および以前に説明されている特徴を共有しており、このため、共通の参照番号を使用する。以前に説明されているように、処理チャンバ18は2つの別々に成形された部片;即ち、基盤200および蓋202で製作される。ハブ204は、円周方向の血液分離チャネル210を定める内側および外側の環状壁206および208により半径方向的に取り囲まれている。成形された環状壁214(図7参照)はチャネル210の底面を閉止する。蓋202はチャネル210の上面を閉止する。組み立ての際、蓋202は、例えば円筒状の音波溶接ホーンを用いることにより、チャンバ18の上面に固定される。
【0171】
以前に説明されているように、内側の環状壁206は1対の補強壁の間で開いている。これらの対向する補強壁はハブ204内の開いた内部領域222を形成しており、この内部領域はチャネル210と連通している。血液および流体は、この領域222を通じて、臍状体100から分離チャネル210内へ入る方向に、および分離チャネル210から出る方向に導かれる。領域222の内側に形成された成形内部壁224はチャネル210を完全に横断して延び、外側の環状壁208とつながっている。壁224は分離チャネル210内の終端を形成しており、この終端は、分離中に、チャネル210に沿って円周方向に流れるのを阻止する。
【0172】
付加的な成形内部壁は領域222を3つの通路226、228および230に分割している。これらの通路226、228および230はハブ204から延び、終端壁224の反対側の側面でチャネル210と連絡している。血液および他の流体はハブ204からこれらの通路226、228および230を通じてチャネル210内へ入る方向に、およびチャネル210から出る方向に方向付けられる。
【0173】
以前に説明されているように、チャンバ18は様々な仕方で回転に対するつり合いを取ることができる。
【0174】
図8に示されている処理チャンバ18が回転させられると(図18の矢印R)、臍状体100は通路226を通じて全血をチャネル210内へ運ぶ。全血は回転方向(図8では反時計方向である)と同じ方向でチャネル210に流入する。血液分離効率にとっては、回転方向と同じ方向の全血の流れが望ましいものと確信されるが、代替的に、チャンバ18を全血の円周方向の流れと反対の方向、即ち時計方向に回転させることもできる。
【0175】
全血は、遠心力の結果として、図12に示されている仕方で分離する。赤血球は高G壁208へ向けて駆動され、一方、それより軽い血漿構成要素は低G壁206へ向けて移送される。
【0176】
図8に示されているように、ダム244が高G壁208へ向けてチャネル210内へ突き出ている。ダム244は血漿の通過を阻止し、一方、赤血球が高G壁208内の窪んだチャネル246に流入するのを許容する。チャネル246は、半径方向通路230を通じて赤血球を臍状体100内へ方向付ける。血漿構成要素は、半径方向通路228を通じてチャネル210から臍状体100内へ運ばれる。
【0177】
赤血球出口側チャネル246は、高G壁よりも回転軸から更に間隔を空けている、高G壁208の外側へ延びているため、赤血球出口側チャネル246は、赤血球収集用通路230内への軟膜の流出(過剰流出状態を創出する)を伴うことなく、血液処理中に、赤血球と軟膜との間の界面を高G壁208に非常に近接して位置付けることを可能にする。これにより、窪んだ出口側チャネル246は、(赤血球収集手順において)赤血球の収量を最大化することを可能にし、または(血漿収集手順において)本質的に血小板を含まない血漿の収集を可能にする。
【0178】
前に説明されているように、血液分離プロセスに影響を及ぼす輪郭、ポート、チャネルおよび壁は、単一の射出成形操作で基盤200に予め形成されてよく、この成形操作中に、成形用マンドレルが基盤200の開放端を通じて挿入および除去される。もし基盤200に予め形成されている輪郭、ポート、チャネルおよび壁が、基盤200の単一の端部を通じて成形用マンドレルを容易に挿入および除去することができない表面を創出している場合には、基盤200は、カップ形のサブアセンブリを入れ子にするか、2つの対称な半割体を用いるかのいずれかにより、または基盤200の両側の端部を通じて成形用材料を除去し、図19に示されているように挿入具242を用いることにより、別々な成形パーツで形成することができる。
【0179】
B.カセット
二単位赤血球手順で使用されるカセット28用のポンプチャンバ、バルブおよび流体パスの内部構成は血漿手順で使用されるカセット28の場合と同じであり、このため、共通の参照番号が使用されている。図24は、二単位赤血球収集手順で使用することができる形態の外部処理容器へ結合された、以前に説明されているカセット28を示している。二単位赤血球収集手順では、これらの容器は血漿収集手順で使用されたのと同じアレー状の容器;即ち、血漿収集容器160、赤血球収集容器またはレザバー162、全血インプロセス容器158、抗凝固剤容器150および処理流体(例えば塩類溶液)容器164を含む。二単位赤血球収集手順では、付加的な容器が使用される;即ち、赤血球添加剤溶液容器168、ならびに白血球除去フィルター170および1つもしくはそれ以上の赤血球貯蔵容器172とこれらに関わる配管178を含む白血球低減収集アセンブリ176。図5および6は、図24に示されているカセット28および収集容器の二単位赤血球収集手順用装置への取り付けを示している。
【0180】
1.収集サイクル
二単位赤血球収集手順の一つの典型的な収集サイクルでは、2単位の赤血球を収集し、その一方で血漿をドナーへ戻すべく、ドナーから引き込まれた全血が処理される。カセット内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2、カセット内の抗凝固剤用ポンプACP、カセット内のインプロセスポンプIPPおよびカセット内の血漿用ポンプPPは、抗凝固血液をインプロセス容器158内へ引き込み、その一方でこの血液を分離するためにインプロセス容器158から処理チャンバ18内へ運ぶべく、連合した空気圧式バルブと協同する形態で、コントローラー16によって空気圧により駆動される。また、この装置は、血漿を処理チャンバから血漿容器160内へ移し、その一方で赤血球を処理チャンバから赤血球容器162内へ移す。この位相は、(重量センサーでモニターしたときに)増分量の血漿が血漿収集容器160に収集されるまで、または(重量センサーでモニターしたときに)目標とする体積の赤血球が赤血球収集容器162に収集されるまで続く。
【0181】
目標とする体積の血漿または赤血球のいずれかが収集される前に、インプロセス容器158内における全血の体積が予め定められた最大閾値に達した場合には、コントローラー16は、インプロセス容器158内における全血の収集を終結し、その一方で血液の分離を尚も継続すべく、ドナーインターフェースポンプDP1/DP2の操作を終結させる。血液の分離中ではあるが、目標とする体積の血漿または赤血球のいずれかが収集される前に、インプロセス容器158内における全血の体積が予め定められた最小閾値に達した場合には、コントローラー16は全血を引き込む工程に戻り、これにより、全血がインプロセス容器158内へ入ることが可能になる。コントローラーは、どちらが先に起こるかにかかわらず、必要な体積の血漿が収集されるまで、または目標とする体積の赤血球が収集されるまで、インプロセス容器158に対する高体積閾値および低体積閾値に応じて、これら2つの状態間でトグル動作する。
【0182】
2.帰還サイクル
一つの典型的な帰還サイクル(目標とする体積の赤血球が収集されていないとき)では、コントローラー16は、分離するために抗凝固全血をインプロセス容器158から処理チャンバ18内へ運び、その一方で血漿を血漿容器160内へ、および赤血球を赤血球容器162内へ移すべく、カセット28内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2、カセット内のインプロセスポンプIPPおよびカセット内の血漿用ポンプPPを連合した空気圧式バルブと協同する形態で操作する。また、この装置は、血漿を血漿容器160からドナーへ運び、その一方で容器164からの塩類溶液を帰還された血漿とインラインで混合する。この塩類溶液と血漿のインライン混合は塩類溶液の温度を高め、ドナーの快適性を改善する。この位相は、重量センサーでモニターしたときに、血漿容器160が空になるまで続く。
【0183】
血漿容器160が空になる前に、インプロセス容器158内の全血の体積が特定の低値側閾値に達した場合には、コントローラー16は、血液の分離を終結させるべく、インプロセスポンプIPPの操作を終結させる。この位相は血漿容器160が空になるまで続く。
【0184】
血漿容器160が空になると、コントローラー16は別の収集サイクルを実施する。コントローラー16は、重量センサーが赤血球収集容器162に所望体積の赤血球が収集されていることを指示するまで、連続的な収集および帰還サイクルを運転する。コントローラー16は、処理チャンバへの血液の供給および処理チャンバからの血液の除去を終結させ、その一方で、血漿容器160内に残存している血漿をドナーへ運ぶべく、カセット28内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2を操作する。次に、コントローラー16は、重量センサーでモニターしたときに、予め定められた置換体積量が注入されるまで、インプロセス容器158内に残存している血液内容物をドナーへ運ぶべく、ならびに塩類溶液をドナーへ運ぶべく、カセット内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2を操作する。
【0185】
3.強制的過少流出(最終的な赤血球パージ)
一つの代替的な実施態様では、コントローラー16は、手順の終わり近くに、分離チャンバから赤血球収集容器への赤血球の強制的な過少流出を引き起こすことにより、全体的な手順に要する時間を短縮する。意図的に強制された過少流出は、手順の終わりに、残存する赤血球体積を分離チャンバからパージし、これにより、収集および最終帰還サイクルを簡単化し、このサイクルに要する時間を短縮する。
【0186】
この実施態様では、コントローラー16は、ある与えられた手順の間に収集されねばならない残りの赤血球の体積を定期的にまたは常にモニターする。コントローラー16は、収集されねばならない残りの赤血球の体積が分離チャンバ18を占有している赤血球の体積に等しくまたは略等しくなったときに、強制的な過少流出状態を開始する。分離チャンバを占有している赤血球の体積は、(i)分離チャンバ18の面積(KA)(チャンバの幾何学的形状に基づく既知の量である);(ii)赤血球パージ中における界面位置の変化(KI)(これもチャンバの幾何学的形状に基づく既知の量である);(iii)インレット側の抗凝固全血ヘマトクリット(Hi)(これの導出方法については前に説明されており、または性別に依存するデフォルト値からなっていてもよい);(iv)アウトレット側の赤血球ヘマトクリットHCTRBC(これの導出方法についても前に説明されている);および(v)赤血球パージシーケンスの開始時にチャンバ18に存在していた赤血球の絶対体積(KRBC)(分離チャンバ18の幾何学的形状に基づく一定値である)に基づいて導出することができる。上述のファクターに基づいて、分離チャンバを占有している赤血球の体積(Forced Under SpillRBC)を導出するための代表的なアルゴリズムは:
Forced Under SpillRBC=(KRBC)+ΔIP*HCTRBC
であり、ここで:ΔIPは過少流出を達成するのに必要なインプロセス血液体積である=(KI)/[(1−(Hi))/HCTRBC/(KA)]。
【0187】
強制的過少流出では、赤血球収集チューブ104は閉止され、血漿収集チューブ106は開放される。この状態で、界面の血小板および白血球層はドナーへ戻すべく血漿と共にチャンバ18から運ばれる。これは赤血球の白血球混入を低減する。赤血球が血漿収集チューブ106に入った状態(これはセンサー146により検出される)であることをコントローラー16が検出すると、コントローラーは血漿収集チューブを閉じ、赤血球収集チューブを開く。この状態は、分離チャンバに蓄積されている赤血球が赤血球収集容器へ運ばれることを可能にする。典型的には、血球収集目標はこの状態により達成される。もし目標に達していない場合には、コントローラー16は正規の赤血球収集状態へ復帰する。
【0188】
赤血球収集手順が完了すると、コントローラー16はエアーパージサイクルに入り、このサイクルの詳細については以降で説明される。
【0189】
4.白血球濾過
赤血球の収集、ならびに血漿および残存血液成分の帰還が完了すると、コントローラー16は、自動的にまたは操作者を促した後に、インライン白血球濾過サイクルに切り替えることができる。このサイクルでは、赤血球が赤血球収集レザバー162から移動され、白血球除去用フィルター170を通じて赤血球貯蔵容器172内へ運ばれる。同時に、容器168から運ばれた所望体積の赤血球貯蔵溶液がこれらの赤血球と混合される。
【0190】
白血球フィルター170は様々に構成することができる。フィルターは、例えば濾過材を包含したハウジングから構成することができ、この濾過材は膜からなっていてよく、またはメルトブローンもしくはスパンボンド合成繊維(例えばナイロンもしくはポリエステル、またはポリプロピレン)、半合成繊維、再生繊維もしくは無機繊維などの繊維性材料でできていてもよい。繊維性材料の場合、この濾過材は深層濾過により白血球を除去する。膜の場合、この濾過材は遮断により白血球を除去する。上述のハウジングは、辺縁を密封された硬質プラスチックプレートからなっていてよい。代替的に、ハウジングは、ジ−2−エチルヘキシル−フタラートで可塑化されたポリ塩化ビニル(PVC−DEHP)などの医療用グレードのプラスチック材料でできた可撓性シートからなっていてもよい。フィルター170は、使用中、本装置の基盤に設けられた保持用固定具182に担持することができる。
【0191】
白血球濾過サイクルの第一段階では、コントローラー16は、赤血球貯蔵容器172、フィルター170および配管178からエアーを引き込み、このエアーを赤血球収集レザバー162へ移送すべく、カセット内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2を操作する。この段階は、白血球除去プロセスが始まる前に赤血球貯蔵容器172内に存在するエアーの体積を最小化する。また、この段階は、ある体積のエアーを赤血球収集容器162に供給し、このエアーは、白血球除去プロセスが完了した後に、フィルター170から赤血球収集容器172へ赤血球をパージするために使用することができる。
【0192】
次の段階では、コントローラー16は、溶液容器168から赤血球収集レザバー162内へプライミング体積の貯蔵溶液を引き込むべく、カセット28内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2を操作する。この段階は、最終的な赤血球貯蔵容器172内へポンピングされるエアーの体積を最小化するため、容器168とカセット28との間の配管180をプライミングする。
【0193】
次の段階では、コントローラー16は、赤血球収集レザバー162から(フィルター170を通じる)赤血球収集容器172内への赤血球のポンピングと、容器168から(同じくフィルター170を通じる)赤血球収集容器172内への赤血球貯蔵溶液のポンピングとを交互に行うべく、カセット28内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2を操作する。この交互プロセスは、貯蔵溶液を赤血球と混合する。コントローラー16は、望ましい比の赤血球体積と貯蔵溶液体積を得るため、赤血球および貯蔵溶液に対する空気圧式ポンプの行程数を計数する(例えば、赤血球に対して5回のポンプ行程、続いて、貯蔵溶液に対して2回のポンプ行程を実施し、この交互するシーケンスを繰り返す)。この赤血球と貯蔵溶液との交互供給は、赤血球収集レザバー162に対する重量目盛りがレザバー162が空であることを指示するまで続く。
【0194】
赤血球収集レザバー162が空になると、コントローラー16は、予め定められた体積のエアーをフィルター170を通じて赤血球収集レザバー162からポンピングすべく、ドナーインターフェースポンプDP1/DP2を操作する。このエアーの体積は、白血球除去プロセスが始まる前に赤血球収集レザバー308内へ引き込まれたエアーの体積に基づいて予め決定される。このエアーは、配管、カセット28およびフィルター170内の残存赤血球の存在を最小化すべく、フィルター170から赤血球をパージする機能を果たす。また、この工程は、赤血球収集レザバー162が完全に空であることを確実化する。
【0195】
次に、コントローラー16は、貯蔵溶液体積と赤血球体積との間に所望の比が存在することを確実化するという求めに応じ、フィルター170を通じて付加的な貯蔵溶液を赤血球貯蔵容器172内へポンピングする。この後、最終工程として、コントローラー16は、フィルター170から尚も残存するあらゆる赤血球をすすぎ落とすため、フィルター170を通じて少なくとも予め定められた体積の貯蔵溶液を貯蔵容器172内へポンピングする。この最終工程は、濾過後の赤血球回収百分率を最大化する。望ましくは、コントローラー16は、フィルター170が排液を果たすのを可能に為すため、予め定められた時間の間(例えば20秒間)待機する。
【0196】
白血球濾過サイクルおよび白血球濾過用フィルター170についての更なる詳細は、参照により本明細書に組み入れられる「Blood Separation Systems and Methods that Alternate Flow of Blood Component and Additive Solution through an In−Line Leukofilter」と題する、2001年10月13日に出願された同時係属米国特許出願第09/976,832号に見出すことができる。
【0197】
VI.エアーパージ
ある与えられた血液収集手順の終わりに、チャンバ18は残留体積の赤血球および血漿を含んでいるであろう。これらの残留体積の血液成分をドナーへ戻すことが望ましい。赤血球の場合には特にこれが当てはまる。できるだけ多くの赤血球を戻せる能力を備えていれば、ドナーの赤血球損失を最小化することができ、ドナーからの赤血球収集が許容されない、その後の据え置き期間を短縮することもできる。
【0198】
ドナーへ戻すために分離チャンバから赤血球をフラッシュするための最も効率的な方法は、この分離チャンバを通じて無菌エアーを送り込むことによるものであることが発見された。血液処理後の分離チャンバから赤血球をフラッシュするために、液体ではなく、無菌エアーを使用することにより、血液処理後に処分しなければならない潜在的バイオハザード性廃棄物の重量を少なくすることもできる。
【0199】
無菌エアーは、ある与えられた血液処理手順に先立つ最初のプライミングサイクル中に、本システムからパージされ、インプロセス全血レザバーに停留する。この無菌エアーが、血液処理手順の完了後、続いて分離チャンバから赤血球をフラッシュするための無菌エアーのソースになる。
【0200】
エアーフラッシュの第一位相では、赤血球収集チューブ104が閉止される。エアーが全血インレットチューブ102を通じて分離チャンバ18内へポンピングされ、その間に、残留赤血球は、血漿用ポンプPPの操作により、血漿アウトレットチューブ106を通じてチャンバ18から引き込まれる。この位相は、エアーが血漿チューブ106で検出されるまで続く。この後、エアーフラッシュの第二位相が始まる。
【0201】
第二位相では、血漿アウトレットチューブ106が閉止され、赤血球チューブ104が開放される。分離チャンバ18は、除去するために赤血球をチャンバ18の高G壁に向けて移動させ、また、分離チャンバ18内に存在しているエアーを分離チャンバ18の低G壁に向けて移動させるのに充分な比較的穏やかな回転速度(例えば300RPM)を達成すべく、回転に突入する。この第二位相は、エアーが赤血球チューブ104で検出されるまで続く。この時点で、エアーフラッシュが終結される。
【0202】
赤血球チューブ104および血漿チューブ106におけるエアーの検出は通常の超音波式エアー検出器を用いて果たすことができる。しかし、血漿チューブ106および赤血球チューブ104中の細胞性成分を光学的に検出するために用いられている同じセンサー146および148は、これらのチューブ106および104中におけるエアーの存在を検出するためにも使用できることが発見された。
【0203】
以前に説明されているように、血漿チューブ106のセンサー146は、赤色および緑色の透過光を用いて、チャンバ18を出る血漿中の血小板及び/又は赤血球の濃度を決定する。赤血球チューブ104のセンサー148は、赤外(805nm)の反射光および透過光を用いて、分離チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリットを決定する。センサー146および148はコントローラー16により操作され、コントローラー16はセンサー146および148を定期的に作動させ、出力をサンプリングする。ある与えられたセンサー出力は多数のサンプルの平均である。
【0204】
センサー146または148のいずれかの近くを通る気泡の存在は、このセンサーにより採取された測定サンプルの中で突出した分散を創出し、その大きさは、通常の操作中のサンプル平均の正当性を確認するために使用される分散を有意に上回ることが明らかになっている。サンプリング期間中に採取されたサンプル中における、ある設定された閾値分散を、エアーフラッシュサイクル中のエアーの存在と相互に関連付けることができる。ある与えられたサンプリング期間中に採取された多数のサンプルの分散は、例えば各サンプルとサンプル平均との間の差を総和し、この差の総和を二乗し、この量をサンプルマイナス1の数で割り算することにより決定することができる。
【0205】
血漿ラインセンサー146のケースにおいて、赤色または緑色の透過光測定値のいずれかに対する分散が約4000の閾値分散(この分散は、通常の界面検出を目的としてサンプルの正当性を評価する基準となる分散よりも大きい)を超えている場合には、コントローラー16は、この血漿チューブ106に対する気泡検出信号を発生する。コントローラー16は、エアーフラッシュプロトコルの第一位相から第二位相へシフトする。
【0206】
赤血球ラインセンサー148のケースにおいて、赤外透過光測定値または赤外反射光測定値のいずれかの分散が約2000の閾値分散(この分散も、通常の界面検出を目的としてサンプルの正当性を評価する基準となる分散よりも大きい)を超えている場合には、コントローラー16は、この赤血球チューブ104に対する気泡検出信号を発生する。コントローラー16は、エアーフラッシュプロトコルの第二位相を終結する。
【0207】
VII.カセットの完全性チェック
血液フローセット12の据え付けは、ポンプおよびバルブステーション30におけるカセット28の正しい配置、ドナークランプ154を通じるドナーチューブ126および抗凝固剤チューブ152の正しい引き回し、ならびにドナーチューブ−抗凝固剤チューブ152の接合点の下流におけるクランプ116または止血鉗子の正しい配置を含む。カセットの正しい配置、ドナークランプ154を通じるこれらのチューブ126および152の正しい引き回し、ならびにクランプ116または止血鉗子の存在は、望ましくは、ドナーをフローセットへ接続する前に、あらゆる手順でチェックされる。
【0208】
カセット隔膜304と空気圧式マニホルドアセンブリ34との間の気密シールは、流体圧力作動式のバルブおよびポンプが適切に機能することを保証する上で、ならびにカセット内における流体フローチャネルの完全性を保証する上で必要である。気密シールに加え、流体圧力作動式のバルブおよびポンプを効果的に操作するためには、カセット隔膜304と空気圧式マニホルドアセンブリ34のバルブ面ガスケット318との間にトラップされるエアーの量を最小化すべきである。マニホルドアセンブリ34へのカセット28の据え付けを果たす前のドア袋314の膨張はシーリングを弱める可能性がある。カセットのシーリング表面における遷移点および被損傷部分などの欠陥、ならびにカセットホルダー26内におけるカセット28の不適切な取り付けもシーリングを弱める可能性がある。望ましくは、これらの状態もドナーをフローセット12へ接続する前に検出される。
【0209】
これらの理由から、コントローラー16は、望ましくは、カセットの据え付けおよび完全性に関する一連のチェックも請け負う。一つの代表的な実施形態では、これらの据え付けおよび完全性に関するチェックは(1)ドア袋314の膨張に先立ってポンプおよびバルブステーション30内にカセット28が存在していることを確認する、カセットの存在チェック;(2)カセット隔膜304とバルブ面ガスケット318との間にトラップされたエアーの量を最小化するための排ガスルーチン;(3)カセット28がマニホルドアセンブリ34に適切に着座し、バルブ面ガスケット318に漏れがないことを確認する、バルブクロストークチェック;(4)ドナークランプ154を通じてドナーチューブ126および抗凝固剤チューブ152が正しく引き回されていることを−エアーを用いて−確認する、乾性カセット完全性試験;および(5)バルブのシーリングおよび流体チャネルの完全性を損なわしかねないカセットの欠陥がないことを−液体(例えば塩類溶液)を用いて−確認する、湿性カセット完全性試験を含む。
【0210】
A.カセットの存在チェック
この試験は、ドナーを接続して所望の血液処理セッションを開始する前に、カセット28が据え付けられ、ポンプおよびバルブステーション30のドア32が閉じられていることを確認する。
【0211】
図15を参照しながら説明すると、操作者は、カセット28をポンプおよびバルブステーション30に据え付け、このステーションのドア32を閉じる。もしカセット28が存在していれば、ドア袋314の膨張に利用可能な体積は低減されている。従って、ある与えられた圧力レベルに到達するのに必要な時間は短縮される。ポンプおよびバルブステーション30にカセット28が存在することを確認するためのカセット存在チェックでは、この特性が利用される。
【0212】
コントローラー16は、すべてのカセットバルブおよびポンプを開放すべく真空を加えるようマニホルドアセンブリ34に指示する。次いで、コントローラー16は、空気圧をドア袋314へ加えるようマニホルドアセンブリ34に指示する。コントローラー16は、経過時間も追跡しながら袋314内における圧力の増大を登録する。袋314内の圧力が、予め定められた時間(例えば30秒間)内において、予め定められた閾値圧力(PBLAD)(例えば800mmHg)に等しくなるか、この圧力を超えた場合、コントローラー18は、ステーション内にカセット28が存在するものと判断する。そうでない場合には、コントローラー16は警報を発し、カセット28を取り付けるよう操作者を促す。
【0213】
カセット28の存在が確認されると、コントローラー18は、排ガスルーチンである、次の完全性試験へ進む。
【0214】
B.排ガスルーチン
排ガスルーチンは、ドア32が閉じられた後の、バルブ面ガスケット318とカセット隔膜304との間にトラップされたエアーの量を最小化する(ほぼ、図15参照)。トラップされたエアーは、カセット28内のバルブおよびポンプの性能に悪影響を及ぼしかねない。
【0215】
コントローラー16は、カセット28の存在が確認された後、排ガスルーチンを起動する。排ガスルーチンでは、ドア袋314は、カセット28をマニホルドアセンブリ34に着座させるが、バルブ面ガスケット318との気密シールはもたらさない、予め定められた低めの圧力レベル(例えば約800mmHg未満)にまで膨らまされる。この後、ドア袋314がこの低めの圧力にある間に、コントローラー16は、ある定められた時間の間、PHARD次いでPGENを調節するようマニホルドアセンブリ34に指示する。バルブ面ガスケット318に対するこの異なる圧力の調節は、バルブ面ガスケット318の息吹きをもたらす。この動作は、カセット隔膜304とバルブ面ガスケット318との間にトラップされていた残存エアーを放出させるであろう。予め定められた時間の間、この動作が実施され、その後、ドア袋の圧力はシーリング圧力を意味する全圧(例えば約900mmHg)に調節される。コントローラー18は、バルブクロストーク試験である、次の完全性試験へ進む。
【0216】
C.バルブクロストーク試験
バルブクロストーク試験の目的は、フローセット12の塩類溶液プライミングを開始する前に、バルブ面ガスケット318の漏れを検出することである。コントローラー16は、ドア袋314をシーリング圧力に設定するようマニホルドアセンブリ34に指示する。隣接したバルブおよびポンプチャンバは、例えば以下の如く、コントローラー16により圧力カテゴリーと真空カテゴリーにグループ分けされる(これらのバルブの配列に関する概略的な総括図については図25Aを参照のこと):
【0217】
【表2】
【0218】
コントローラー16は、圧力領域に対しては逐次的にPHARD、PGENを加え、真空領域に対してはVHARDおよびVGENを加えるようマニホルドアセンブリ34に指示する。各圧力/真空レベルでの各領域の圧力漏れ速度が決定され、特定された許容可能なレベル(例えば、約2から3mmHg/秒未満)と比較される。いずれかの領域がこの特定された許容可能なレベルと等しいか、それを上回る漏れ速度を呈している(これは、バルブ面ガスケット318の漏れを指示している)場合には、コントローラーが警報を発する。
【0219】
すべての領域が特定された許容可能なレベル未満の漏れ速度を呈している場合には、コントローラー18は、乾性のカセット完全性試験である、次の完全性試験へ進む。
【0220】
D.乾性カセット完全性試験
乾性のカセット完全性チェックは、フローセットの塩類溶液プライミングを実施する前に、ドナーチューブ126および抗凝固剤チューブ152に関わる取り付け間違い状態を検出する。取り付け間違い状態は以下のいずれか1つまたはこれらの組合せであり得る:(1)ドナーチューブ126及び/又は抗凝固剤チューブ152がドナークランプ154を迂回している;(2)ドナーチューブ126及び/又は抗凝固剤チューブ152が締めつけられている;(3)ドナーチューブ126/抗凝固剤チューブ152の接合点にクランプ116または止血鉗子が無い。取り付け間違い状態に加え、この試験は、製造後の品質保証試験の後、例えば出荷中および使用前の取扱中に生じた可能性のある、ドナーチューブ126、抗凝固剤チューブ152もしくは抗凝固剤容器150のピンホールまたは破損ポートなどのフローセットの欠陥も検出することができる。
【0221】
乾性カセット完全性試験は、エアーを用いてカセット28の選定された領域を加圧する。乾性カセット完全性試験は、流体がカセット28内へ導入される前に適切なカセットの据え付けを確認することができるように、液体の代わりにエアーを使用する。従って、取り付け間違いが検出された場合には、カセット28を未使用の無菌の状態で容易に据え付けし直すことができる。
【0222】
(図25A/25Bおよび26A/26Bに図式的に描かれているように)乾性カセット完全性試験では、コントローラー16は、選定された領域に臍状体100からエアーを引き込むべく、また、この領域内で圧力を保持するために指定されたバルブを閉じるべくカセット28内の指定されたポンプチャンバを作動させるようマニホルドアセンブリ34に指示する。この領域と連通しているポンプチャンバ内において初期圧力が検出される。このポンプチャンバが、閉止状態に設定されているドナークランプ154を通じて、目標とするチューブへ結合される。マニホルドアセンブリ34は、ポンプチャンバからのエアーの放出を試行させるべく、この領域に仕えるポンプチャンバへ正圧を加えるよう指示される。特定された時間の経過後、最終圧力が検出される。目標とするドナーチューブ126または抗凝固剤チューブ152がドナークランプ154に適切に取り付けられている場合には、ドナークランプ154はエアーの流れを阻止し、これにより、圧力降下が起こるのを防止するはずである。圧力降下比(最終圧力/初期圧力)が予め定められた閾値よりも大きい状態を呈している場合には、ドナークランプ154はエアーの流れを阻止しておらず、取り付け間違いが存在するものと判断される。
【0223】
一つの代表的な実施形態では、乾性カセット完全性試験は2つのフェーズから構成される。第一フェーズでは、ドナーチューブ126に関わる取り付け間違い状態が検出される。第二フェーズでは、抗凝固剤チューブ152に関わる取り付け間違い状態が検出される。
【0224】
1.フェーズ1(ドナーチューブの取り付け間違い状態)
フェーズ1の着手時における流体回路306の状態が図25Aに示されている。
【0225】
フェーズ1では、コントローラー16はPGEN、PHARD、VGENおよびVHARDをシステム圧力レベルに調節する。ドナークランプ154が開かれ、カセット28全体が血液処理チャンバ18へ通気される。この後、血漿ポンプPPの操作によりエアーを臍状体からドナーポンプチャンバDP1内へ引き込むことができるパス内のバルブを除き、すべてのカセットバルブを閉止する。流体回路306内において、このパスは、例えばV2/V21を開き(赤血球チューブ104を臍状体100から赤血球容器162まで開く);V1/V16を開き(全血チューブ102を臍状体100内へインプロセスポンプPPPを通じてインプロセス容器158まで開く);V5/V6/V10/V11/V17を開く(血漿チューブ106を臍状体100から血漿ポンプPPを通じてドナーポンプDP1まで開く)ことにより創出することができる。流体回路306内のそれ以外のバルブと同様に、ドナークランプ154は閉じられている。
【0226】
コントローラー16は、指定された回数のポンプ行程で血漿ポンプPPを作動させるべくマニホルドアセンブリ34に指示する。これにより、(図25Aの矢印AIRパスで示されているように)臍状体100からドナーポンプDP1内へエアーが引き込まれる。
【0227】
この後、コントローラー16はV6を閉じるべくマニホルドアセンブリ34に指示し、これにより、臍状体100からのエアーパスが閉止される。次いで、コントローラーはバルブV12/V13/V18を開くべくマニホルドアセンブリ34に指示し、これにより、ドナーポンプPP1からドナーチューブ126へのパスが開放され、このパスは、閉じたままのドナークランプ154のみによって調節される。フェーズ1のこの段階における流体回路306の状態が図25Bに示されている。
【0228】
次に、コントローラー16はPGENおよびVHARDを保持し、VGENを通気し、予め定められた遅延時間の後、ドナーポンプDP1における初期PGEN1を記録すべくマニホルドアセンブリ34に指示する。
【0229】
この後、コントローラー16は、DP1へ予め定められた時間の間圧力を加えるべくマニホルドアセンブリ34に指示する。これにより、エアーは、図25Bの矢印AIRパスで示されているようにドナーポンプDP1からドナークランプ154へ方向付けられる。コントローラー16は存在するPGEN2を記録する。
【0230】
比PGEN2/PGEN1が特定されている値に満たない場合、コントローラー16は、ドナークランプ154を通じてエアーの漏れが生じており、ドナーチューブ126がドナークランプ154に適切に据え付けられていないものと判断する。コントローラー16は、操作者にカセット28を据え付けし直すように促す。比PGEN2/PGEN1が特定されている値に等しいか、その値よりも大きい場合、コントローラー16は、ドナークランプ154を通じるエアーの漏れが起こっておらず、ドナーチューブ126がドナークランプ154に適切に据え付けられているものと判断する。この場合、コントローラー16は乾性カセット完全性試験フェーズ2へ移る。
【0231】
2.フェーズ2(抗凝固剤チューブの取り付け間違い状態)
フェーズ2の着手時における流体回路306の状態が図26Aに示されている。
【0232】
フェーズ2の着手時に、コントローラーは、PGEN、PHARD、VGENおよびVHARDをシステム圧力レベルに調節する。ドナークランプ154が開かれ、カセット28全体が血液処理チャンバ18へ通気される。血漿ポンプPP、ドナーポンプPP1およびドナークランプ154を通じてエアーを臍状体100から抗凝固剤ポンプチャンバACP内へ引き込むことができるパスを確立するバルブを除き、すべてのカセットバルブを閉止する。流体回路306内において、このパスは、例えばV2/V21を開き(赤血球チューブ104を臍状体100から赤血球容器162まで開く);V1/V16を開き(全血チューブ102をインプロセス容器158からインプログレスポンプPPPを通じて臍状体100内へ開く);V5/V6/V10/V11/V17を開き(血漿チューブ106を臍状体100から血漿ポンプPPを通じてドナーポンプDP1まで開く);V12/V13/V22を開く(ドナーチューブ126をドナーポンプPP1からドナーチューブ126および抗凝固剤チューブ152を通じて抗凝固剤ポンプチャンバACP内へ開く)ことにより創出することができる。クランプ116または止血鉗子もクランプ閉止されている。コントローラー16は、指定された回数のポンプ行程で血漿ポンプPPを作動させるべくマニホルドアセンブリ34に指示する。これにより、(図26Aの矢印AIRパスで示されているように)ドナーチューブ126と抗凝固剤チューブ152との接合点を通じて臍状体100から抗凝固剤ポンプACP内へエアーが引き込まれる。この後、コントローラー16は、臍状体100への残りのパスは開いた状態に保ちながら、V22およびドナークランプ154を閉止すべくマニホルドアセンブリ34に指示する。
【0233】
次に、コントローラー16はPGENおよびVHARDを保持し、VGENを通気し、予め定められた遅延時間の後、初期PGEN1を記録すべくマニホルドアセンブリ34に指示する。この後、コントローラー16は、予め定められた時間の間、V22を開放しながらACPに圧力を加えるべくマニホルドアセンブリ34に指示する。抗凝固剤チューブ152を通じてV22を越えるエアーの流れは、閉じられたままのドナークランプ154によってのみ調節される。コントローラー16は存在するPGEN2を記録する。フェーズ2のこの段階における流体回路306の状態が図26Bに示されており、この図にはACPからドナークランプ154への矢印AIRパスが指示されている。
【0234】
比PGEN2/PGEN1が特定されている値に満たない場合、コントローラーは、ドナークランプ154を通じてエアーの漏れが生じており、抗凝固剤チューブ152がドナークランプ154に適切に据え付けられていないものと判断する。コントローラーは、操作者にカセット28を据え付けし直すように促す。比PGEN2/PGEN1が特定されている値に等しいか、その値よりも大きい場合、コントローラーは、ドナークランプ154を通じるエアーの漏れが起こっておらず、抗凝固剤チューブ152がドナークランプ154に適切に据え付けられているものと判断する。この場合、コントローラーは、湿性のカセット完全性チェックである、最後の完全性チェックへ移る。
【0235】
E.湿性カセット完全性チェック
この湿性のカセット完全性チェックは、カセット28自体に起こり得る製品の質およびドナーの安全性に関わる欠陥を検出すべく設計されている。このチェックは、流体回路がプライミング流体、例えば塩類溶液で完全にプライミングされた後に実施される。このチェックは容量性検出を利用し、流体通路にプライミング流体が満たされた状態での選定された試験領域における気密性を維持する流体回路の能力を決定する。
【0236】
湿性カセット完全性試験では、少なくとも1つのポンプチャンバを包含する、選定された試験領域が創られる。試験領域は、試験領域の境界周りのバルブを閉じることにより、流体回路306の残りの部分から空気力学的に密封される。試験では、ポンプチャンバがプライミング流体で満たされる。コントローラー16は、ポンプチャンバからこのプライミング流体を密閉された試験領域内に空ける試行を為すようマニホルドアセンブリ34を条件付ける。容量性検出を用いて、コントローラー16は、空化試行が為された後にチャンバ内に残っている流体の体積を評価する。試行後にポンプチャンバ内に残っている流体の体積が予め定められた最小体積よりも大きい場合、コントローラー16は、試験領域からの流体の漏れを妨げるのに充分な程度、この試験領域が空気力学的に密封されていたものと判断する。試行後にポンプチャンバ内に残っている流体の体積が予め定められた最小体積と等しいか、最小体積よりも少ない場合、コントローラー16は、この試験領域から流体の漏れが起こったものと判断し、欠陥警報を発生する。望ましくは、この試験法は、一連の試験領域を連続的に創出し、試験する。
【0237】
様々な試験領域の境界は、回路が呈し得る種々の可能なシーリング故障を評価することにより定めることができる。
【0238】
一つの代表的な実施形態ではコントローラー16は、目標とする最初の試験領域を創出するため、以下のバルブを開放する:V3;V5;V6;V7;V15;V20;V25。図27は太い実線で試験領域を示している。この試験領域はドナーポンプDP1およびDP2を含み、また、この試験領域は、これを通じて血液および血液成分がドナーへ、およびドナーから運ばれるパスも含んでいる。
【0239】
コントローラー16は、塩類溶液容器164から塩類溶液を試験領域内へ引き込み、塩類溶液で試験領域を予め定められた検出圧力にまで加圧すべく、ドナーポンプDP1/DP2を操作し、適切なバルブを作動させる。このプロセスにおいて、ポンプチャンバDP1/DP2は塩類溶液で満たされる。
【0240】
図27の場合、試験領域は境界バルブV2、V4、V10、V8、V13およびV14により空気力学的に密封されている。コントローラー16は、望ましくは、境界バルブを通じて試験料域を出る流体が辿ることができるリークパスを提供するため、境界バルブの下流に位置する付加的なバルブを開放し、これにより、特定の境界バルブ自体の一層高感度な試験を行うことができる。図27の場合、リークパスを提供するため、境界バルブの下流に位置する以下のバルブを開放することができる:V1;V11;V17;V22;V23;抗凝固剤ポンプACP;血漿ポンプPP;インプロセスポンプIPP;およびドナークランプ154。可能な流体リークパスが図27に仮想線で示されており、リークパスにおいて開放され得る境界バルブの外側のバルブには星印(*)のマークが付けられている。
【0241】
コントローラー16は、バルブV6/V7/V13/V14を閉じることによりポンプチャンバDP1/DP2を隔離し、容量性検出により各チャンバに対するポンプ充填体積を記録する。コントローラー16は、流体を試験領域内へ移動させるため、予め定められた短縮プッシュ時間の間、バルブV6およびV7を開放し、ドナーポンプチャンバDP1およびDP2を閉止することにより、試験下の領域をドナーポンプへ開く。この後、コントローラー16はバルブV6およびV7を閉じ、あるサンプル遅延時間の間待機する。次いで、コントローラー16は容量センサーの読み取り値を得る。どちらかのポンプチャンバに対する最終値が閾値最小値(この値は、例えば完全に空のチャンバでのベースライン体積を表すことができる)よりも小さい場合、試験領域から液漏れが起こっている。警報が発生される。両ポンプチャンバに対する最終値が閾値最小値と等しいか、最小値よりも大きい場合には、液漏れは起こっておらず、試験が先へ進められる。
【0242】
以下のバルブ:V5;V6;V7;V15;V20;V25を開放することにより、別の試験領域の完全性を試験することができる。図28は、太い実線でこの試験領域を示している。コントローラー16は、一層感度の高い試験を創出するための流体リークパスを提供すべく、境界バルブの下流に位置する以下のバルブを開くことができる:V11;V17;V21;V22;V23;抗凝固剤ポンプACP;血漿ポンプPP;インプロセスポンプIPP;およびドナークランプ154。これらの流体リークパスが図28に仮想線で示されており、リークパスにおいて開放され得る境界バルブの外側のバルブには星印(*)のマークが付けられている。
【0243】
ドナーポンプDP1/DP2は、外部塩類溶液容器164からの塩類溶液で試験下の領域を加圧するため、予め定められた回数のポンプ行程で作動される。この時間の間、ドナーポンプチャンバDP1およびDP2は塩類溶液容器164からの塩類溶液で満たされる。コントローラー16は、バルブV6/V7/V13/V14を閉じることによりポンプチャンバDP1/DP2を隔離し、容量性検出により各チャンバに対するポンプ充填体積を記録する。コントローラー16は、流体を試験領域内へ移動させるため、予め定められた短縮プッシュ時間の間、バルブV6およびV7を開放し、ドナーポンプチャンバDP1およびDP2を閉止することにより、試験下の領域をドナーポンプDP1/DP2へ開く。この後、コントローラー16はバルブV6およびV7を閉じ、あるサンプル遅延時間の間待機する。次いで、コントローラー16は容量センサーの読み取り値を得る。どちらかのポンプチャンバに対する最終値が閾値(この値は空のチャンバでのベースライン体積を表す)よりも小さい場合、試験領域への液漏れが起こっている。警報が発生される。両ポンプチャンバに対する最終値が閾値(この値は空のチャンバでのベースライン体積を表す)と等しいか、この値よりも大きい場合には、液漏れは起こっておらず、試験が先へ進められる。
【0244】
以下のバルブを開放することにより別の試験領域の完全性を試験することができ、以下のバルブは更なる別の試験領域を創出するために開放される:V4;V13;V14;V15;およびV20。図29はこの試験領域を太い実線で示している。先行する試験領域の場合と同様に、リークパスを創出するため、境界バルブの下流に位置する以下のバルブを開放することができる:V3;V5;V10;V11;V21;V22;V23;抗凝固剤ポンプACP;血漿ポンプPP;インプロセスポンプIPP;およびドナークランプ154。これらの流体リークパスが図29に太い仮想線で示されており、リークパスにおいて開放され得る境界バルブの外側のバルブには星印(*)のマークが付けられている。
【0245】
ドナーポンプDP1/DP2は、臍状体100を通すことにより、インプロセス容器158からの塩類溶液で試験下の領域を加圧するため、予め定められた回数のポンプ行程で作動される。この時間の間、ドナーポンプチャンバDP1およびDP2は塩類溶液で満たされる。コントローラー16は、バルブV6/V7/V13/V14を閉じることによりポンプチャンバDP1/DP2を隔離し、容量性検出により各チャンバに対するポンプ充填体積を記録する。コントローラー16は、流体を試験領域内へ移動させるため、予め定められた短縮プッシュ時間の間、バルブV13およびV14を開放し、ドナーポンプチャンバDP1およびDP2を閉止することにより、試験下の領域をドナーポンプへ開く。この後、コントローラー16はバルブV13およびV14を閉じ、あるサンプル遅延時間の間待機する。次いで、コントローラー16は容量センサーの読み取り値を得る。どちらかのポンプチャンバに対する最終値が閾値(この値は空のチャンバでのベースライン体積を表す)よりも小さい場合、試験領域への液漏れが起こっている。警報が発生される。両ポンプチャンバに対する最終値が閾値(この値は空のチャンバでのベースライン体積を表す)と等しいか、この値よりも大きい場合には、液漏れは起こっておらず、代表的な実施形態の3−フェーズ試験が終了される。
【0246】
勿論、他の試験領域を確立し、上述の論理的根拠により試験することもできよう。
【0247】
一連のカセット完全性試験の後、静脈穿刺および本システム10を用いる血液処理を進めることができる。
【0248】
VIII.結論
保管および血液成分療法のため、全血を構成成分部分に分離する用途での使用を説明することにより、本発明の多くの特徴を明らかにしてきた。これは、本発明がこれらの血液処理手順を実施する用途での使用に非常に適合していることによるものである。しかし、本発明の特徴は他の処理手順での使用にも同等に役立つことを理解すべきである。
【0249】
例えば、血液処理チャンバと協同する形態でプログラム可能なカセットを使用する、ここで説明されているシステムおよび方法は、手術中に血球を洗浄または回収する目的で、もしくは治療学的な血漿交換を実施する目的で、または血液が治療のための体外パス内で循環される他のあらゆる手順において使用することができる。更に、ここで説明されているシステムおよび方法は、血管循環系から引き込まれた人間または動物の血液の処理に限定されるものではなく、血管循環系の外部で創られ、細胞性血液成分、または組換え技術により生成された物質もしくは天然に生じるソースから収集された物質を包含した懸濁液を処理または分離するために使用することもできる。
【0250】
本発明の特徴は以下の特許請求項で明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0251】
【図1】図1は、理想的には血液を処理するのに適した流体処理システムの透視図であり、このシステムは、(移動および保管用に閉じられた状態で示されている)血液処理装置と、(使用前の移動および保管用にトレーに包装された状態で示されている)使い捨て式の液体および血液フローセットとを含み、このフローセットは、1つもしくはそれ以上の血液成分の分離および収集をもたらすべく上述の血液処理装置と相互作用する。
【図2】図2は、図1に示されている血液処理装置の透視図であり、操作用に開かれた状態で示されている。
【図3】図3は、血液処理チャンバおよびポンプを受け入れるべく開かれた遠心分離ステーション、ならびに流体圧力作動式カセットを受け入れるべく開かれたバルブステーションを伴った状態の、図2に示されている血液処理装置の透視図である。
【図4】図4は、フローセットを本装置に取り付けるべく位置付けられた使い捨て式の液体および血液フローセットを含むトレーを伴った状態の、図3に示されている血液処理装置の透視図である。
【図5】図5および6は、それぞれ、使用するために液体および血液フローセットを本装置に取り付けた後の状態の、図2に示されている血液処理装置の右側および左側からの透視図である。
【図6】図5および6は、それぞれ、使用するために液体および血液フローセットを本装置に取り付けた後の状態の、図2に示されている血液処理装置の右側および左側からの透視図である。
【図7】図7は、血液処理チャンバと、図5および6に示されている液体および血液フローセットの一部を形成する、取り付け後の臍状体の透視図である。
【図8】図8は、図7に示されているタイプの血液処理チャンバにおける一つの代表的な実施態様の内部の透視図であり、このチャンバの内部は、図5および6に示されている装置を用いて赤血球の分離および収集手順を果たすことができるように構成されている。
【図9】図9は、図7に示されているタイプの血液処理チャンバを受け入れるべく開かれた状態のステーションドアを伴う、図5および6に示されている装置における遠心分離ステーションの内部の透視図である。
【図10】図10は、使用するために図7に示されているタイプの血液処理チャンバが取り付けられた後の状態の、図9に示されている遠心分離ステーションの内部の透視図である。
【図11A】図11Aは、図7に示されている臍状体により担持された固定具の拡大透視図であり、図5および6に示されている装置の一部を形成する光学的検出ステーションとの意図的関わり合いが示されている。
【図11B】図11Bは、図11Aに示されている光学的検出ステーションの側面断面図である。
【図11C】図11Cは、図11Aに示されている光学的検出ステーションの分解透視図である。
【図11D】図11Dは、図11Aに示されている光学的検出ステーション上面図である。
【図11E】図11Eおよび11Fは、図11Aに示されている光学的検出ステーションと協同する状態で使用することができる回路の略図である。
【図11F】図11Eおよび11Fは、図11Aに示されている光学的検出ステーションと協同する状態で使用することができる回路の略図である。
【図12】図12は、図7に示されているタイプにおける血液処理チャンバの内部の概略図であり、全血を赤血球層、血漿層および中間の軟膜層に分離した様子を描いており、これらの層の位置が望ましい関係で示されている。
【図13】図13は、図7に示されているタイプにおける血液処理チャンバの内部の概略図であり、軟膜層が低G壁に非常に近接した位置へ移動し、収集される血漿中に軟膜成分が入り込む、望ましくない過剰流出状態が創出された様子を示している。
【図14】図14は、図7に示されているタイプにおける血液処理チャンバの内部の概略図であり、軟膜層が高G壁に非常に近接した位置へ移動し、収集される赤血球のヘマトクリットの低減をもたらす、望ましくない過少流出状態が創出された様子を示している。
【図15】図15は、図5および6に示されている液体および血液フローセットの一部を形成する流体圧力作動式カセットの分解透視図であり、このカセットを通じて液体および血液を循環させるべくこのカセットに正および負の空気圧を加える、これも図5および6に示されている、本装置のポンプおよびバルブステーションとの操作上の関わり合いが示されている。
【図16】図16は、異なる血液処理および収集手順の実行を可能にすべく、図15に示されているカセットに装備され得る流体回路の略図である。
【図17】図17は、カセットの平面図であり、このカセットには図17に示されている流体回路が装備されている。
【図18】図18は、図7に示されているタイプの血液処理チャンバの代表的な実施態様における内部の上面透視図であり、このチャンバの内部は、図5および6に示されている装置を用いて血漿分離および収集手順を果たすことができるように構成されている。
【図19】図19は、図18に示されている血液処理チャンバの底面透視図である。
【図20】図20は、図18に示されている血液処理チャンバにおける内部領域の拡大された側面透視図であり、分離ゾーンから赤血球を血漿とは別のパスに方向付けるテーパー付き表面を有するバリヤーを示している。
【図21】図21は、図20に示されている領域の拡大された底面透視図であり、赤血球がバリヤーにより分離ゾーンから方向付けられたときにそれらの赤血球が辿るパスを示している。
【図22】図22は、図20に示されている領域の拡大された上面透視図であり、赤血球と血漿がバリヤーにより分離ゾーンから方向付けられたときにそれらの赤血球および血漿が辿る別々のパスを示している。
【図23】図23は、血漿収集手順で使用することができる構成の液体および血液フローセットに結合された、図16および17に示されているタイプのカセットの略図である。
【図24】図24は、二単位赤血球収集手順で使用することができる構成の液体および血液フローセットに結合された、図16および17に示されているタイプのカセットの略図であり、血液処理装置に取り付けられた後の、図5および6に示されている血液フローセットも描かれている。
【図25A】図25Aおよび25Bは、ドナーへおよびドナーから血液および液体を運ぶべく意図された配管が、図5および6に示されている如く、本装置に適切に取り付けられていることを確証する制御された仕方でエアーを移送することができるように、正および負の空気圧を加えることにより条件付けされている、図16に示されている流体回路の略図である。
【図25B】図25Aおよび25Bは、ドナーへおよびドナーから血液および液体を運ぶべく意図された配管が、図5および6に示されている如く、本装置に適切に取り付けられていることを確証する制御された仕方でエアーを移送することができるように、正および負の空気圧を加えることにより条件付けされている、図16に示されている流体回路の略図である。
【図26A】図26Aおよび26Bは、ドナーから引き込まれた血液中に抗凝固剤を運ぶべく意図された配管が、図5および6に示されている如く、本装置に適切に取り付けられていることを確証する制御された仕方でエアーを移送することができるように、正および負の空気圧を加えることにより条件付けされている、図16に示されている流体回路の略図である。
【図26B】図26Aおよび26Bは、ドナーから引き込まれた血液中に抗凝固剤を運ぶべく意図された配管が、図5および6に示されている如く、本装置に適切に取り付けられていることを確証する制御された仕方でエアーを移送することができるように、正および負の空気圧を加えることにより条件付けされている、図16に示されている流体回路の略図である。
【図27】図27から29までは、使用する前にカセットの物理的な完全性を確証する制御された仕方で液体を移送することができるように、正および負の空気圧を加えることにより条件付けされている、図16に示されている流体回路の略図である。
【図28】図27から29までは、使用する前にカセットの物理的な完全性を確証する制御された仕方で液体を移送することができるように、正および負の空気圧を加えることにより条件付けされている、図16に示されている流体回路の略図である
【図29】図27から29までは、使用する前にカセットの物理的な完全性を確証する制御された仕方で液体を移送することができるように、正および負の空気圧を加えることにより条件付けされている、図16に示されている流体回路の略図である。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、血液、血液構成要素または他の細胞性材料の懸濁液を処理および収集するためのシステムならびに方法に関係する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
今日、人々は、全血をルーチン的に、通常は遠心分離により、赤血球、血小板および血漿などの様々な治療学的成分に分離している。
【0003】
従来の血液処理方法は、典型的にはプラスチックでできた一回のみ使用される無菌処理システムと協同する形態で耐久性遠心分離装置を使用する。操作者は、処理する前に、使い捨て式のシステムを遠心分離機に取り付け、処理後、それらのシステムを取り除く。
【0004】
従来の血液遠心分離機は、収集場所間での移動を容易に行えるような大きさではない。その上、取り付けおよび取り外し操作は時として時間が掛かる単調な操作であり得る。
【0005】
これに加え、高容量におけるオンライン血液収集環境での使用に役立ち、血漿、赤血球および血小板などの臨界的に必要な細胞性血液成分のこれまで以上に高い収量を合理的な短い処理時間で実現することができるような仕方で血液成分を収集するための更に改善されたシステムおよび方法に対するニーズが存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような流体処理システムに対する操作上および性能上の要求は、更に小型でより持ち運びに便利なシステムに対する要求が増大する一方で、一層複雑で精巧なものになってきている。従って、より詳細な情報を集め、操作者が処理効率および分離効率を最大化する上で助けとなる信号を制御することができる、自動化された血液処理制御装置に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明の一つの側面は、血液を血液成分に分離するため、分離チャネルを軸の回りで回転させながら血液を低G壁と高G壁との間の環状分離チャネルに導入する血液分離システムおよび方法を提供する。この環状分離チャネルは環状の境界壁を有している。本システムおよび方法は、第一の血液成分を低G壁に沿って狭窄チャネルに方向付ける。本システムおよび方法は、低G壁に隣接した狭窄チャネルと隣り合う開口を通じて分離チャネルと連通した第一のパスを通じて第一の血液成分を除去する。また、本システムおよび方法は、第二の血液成分を環状境界壁に向けてほぼ高G壁に沿って軸方向に広がる表面に沿って方向付ける。本システムおよび方法は、環状境界壁から軸方向に間隔を空けて位置する高G壁に隣接した表面と隣り合う開口を通じて分離チャネルと連通した第二のパスを通じて第二の血液成分を収集する。
【0008】
一つの実施態様では、第二の通路は、高G壁に沿って第二の通路を狭窄すべく第二の開口において第二の通路内で半径方向に広がるレッジを含んでいる。一つの装置では、レッジは、第二の開口から離れ、低G壁とほぼ整列した軸方向表面と隣り合っており、第二の通路に入る血液成分は、分離チャネルから除去するため、この軸方向表面に沿って環状境界壁から離れる方向に方向付けられる。
【0009】
本発明の別の側面は、血液を血液成分に分離するため、分離チャネルを軸の回りで回転させながら血液を低G壁と高G壁との間の環状分離チャネルに導入する血液分離システムおよび方法を提供する。この環状分離チャネルは環状の境界壁を有している。本システムおよび方法は、低G壁に隣接した狭窄チャネルと隣り合う第一の開口を通じて分離チャネルと連通した第一のパスを通じて除去するため、第一の血液成分を低G壁に沿って狭窄チャネルに方向付ける。また、本システムおよび方法は、高G壁に隣接し、環状境界壁に面した第二の開口を通じて分離チャネルと連通する第二のパスを通じて除去すべく第二の血液成分を方向付ける。第二の通路は、高G壁に沿った狭窄チャネルを定めるべく第二の開口で第二の通路内において半径方向に広がるレッジを含んでおり、第二の血液成分は、この狭窄チャネルを通じて、分離チャネルから除去されるべく第二のパスに入る。
【0010】
本発明のどちらの側面によっても、第一および第二の血液成分は少なくとも一時は同時的に収集することができる。
【0011】
また、本発明のどちらの側面によっても、第二の血液成分は例えば赤血球を含むことができ、望ましくは血小板および白血球も含む。この装置では、第一の血液成分は血漿、望ましくは赤血球、血小板および白血球などの細胞性血液成分が不在の血漿、または細胞性血液成分が本質的に不在の血漿を含む。
【0012】
本発明の他の特徴および利点は以下の明細書および添付図面で明らかにされる。
【0013】
本発明は、本発明の精神または基本的な特徴から逸脱することなく、種々の形態で具体化することができる。本発明の範囲は、添付の特許請求項に先立つ特定の説明においてではなく、添付の特許請求項において定義される。従って、それらの請求項の意義および同等物の範囲内に収まるすべての実施態様は、これらの特許請求項により包含されるべく意図されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
好適な実施態様の説明
図1は、本発明の特質を具体化する流体処理システム10を示している。このシステム10は様々な流体を処理するために使用することができる。
【0015】
システム10は、全血および他の生物学的細胞性材料の懸濁液を処理するのに特に良く適している。従って、例証的な実施態様は、この目的で使用されるシステム10を示す。
【0016】
I.システムの概説
システム10は2つの主要なコンポーネントを含む。これらは以下のコンポーネントである:(i)血液処理装置14(図1では移動および保管用に閉じられた状態で示されており、図2および3では操作用に開かれた状態で示されている);および(ii)1つまたはそれ以上の血液成分の分離および収集をもたらすべく血液処理装置14と相互作用する液体および血液フローセット12(セット12は、図1および4では使用前の移動および保管用にトレー48に包装された状態で示されており、図5および6ではトレー48から取り出され、使用するために血液処理装置14に取り付けられた状態で示されている)。
【0017】
A.処理装置
血液処理装置14は長期間使用することができる耐久性品目であることが意図されている。図示されているこの好適な実施態様では、血液処理装置14は、持ち運び可能なハウジングまたはケース36の内部に取り付けられている。ケース36は、テーブル面または他の比較的小さな表面での据え付けおよび操作に適したコンパクトなフットプリントを提供する。また、ケース36は収集場所へ容易に運ぶことができるようにも意図されている。
【0018】
ケース36は、基盤38と、(図1に示されている如く)移送する場合には閉じ、(図2から4までに示されている如く)使用する場合には開くちょうつがいで取り付けられた蓋40とを含む。使用に際し、基盤38は、ほぼ水平な支持表面に置かれるべく意図されている。ケース36は、例えば成型により、所望の形状に形作ることができる。ケース36は、好適には、軽量ではあるが、耐久性のあるプラスチック材料から製作される。
【0019】
コントローラー16は装置14のボード上に担持されている。コントローラー16は、操作者により選択された血液処理および収集手順を果たすべく、装置14のコンポーネントとフローセット12のコンポーネントとの間の相互作用を管理する。図示されている実施態様では、コントローラー16はメインプロセッシングユニット(MPU)を含み、MPUは、例えばIntel Corporationにより製作されたPentiumTM型のマイクロプロセッサーを含むことができるが、他のタイプの通常のマイクロプロセッサーを使用することもできる。MPUはケース36の蓋40の内側に取り付けることができる。電源コード184を伴う電源は、装置14のMPUおよび他のコンポーネントに電気的なパワーを供給する。
【0020】
好適には、コントローラー16は、操作者がシステム10の操作に関する情報を見て充分に把握することを可能にする対話型ユーザーインターフェース42も含む。図示されている実施態様では、インターフェース42は、蓋40に担持されたインターフェーススクリーンにより実施され、このインターフェーススクリーンは、操作者が英数字フォーマットで、および図式的な画像として見ることができる情報を表示する。
【0021】
コントローラー16についての更なる詳細はNayakらの米国特許第6,261,065号で見ることができ、この特許は参照により本明細書に組み入れられる。インターフェースについての更なる詳細はLyleらの米国特許第5,581,687号で見ることができ、この特許も参照により本明細書に組み入れられる。
【0022】
図1に示されているように、蓋40は、コントローラー16または装置14の他のコンポーネントへ他の外部装置を結合するための他の入力/出力端子を支持するために使用することができる。例えば、イーサネット(登録商標)ポート50もしくは(情報をコントローラー16にスキャニングするための)バーコードリーダーなどのための入力端子52、または診断ポート54もしくは血液処理中の血流量を高めるべくドナーに装着された圧力カフ60(例えば図23および24を参照)へ結合するためのポート56、またはシステムトランスデューサーのキャリブレーションポート58は、すべて、アクセス用に蓋40の外部に、または装置14のケース36のどこか別な場所に都合良く取り付けることができる。
【0023】
B.フローセット
フローセット12は一回のみ使用される無菌の使い捨て式品目であるべく意図されている。ある与えられた血液処理および収集手順を始める前に、操作者は、(図4および5に示されているように)装置14と協同するフローセット12の様々なコンポーネントを取り付ける。コントローラー16は、操作者から与えられた他の入力を考慮に入れながら、予め設定されたプロトコルに基づいてこの手順を実行する。手順が完了すると、操作者は、フローセット12を装置14との関わり合いから取り外す。収集された1つもしくは複数の血液成分を収容したセット12の部分は、装置14から取り出され、保管、輸血または更なる処理用に保持される。セット12の残りの部分は、装置14から取り外され、廃棄される。
【0024】
フローセットは、血液処理チャンバ18、流体作動式のポンプおよびバルブカセット28、アレイ状を為す協同処理容器64、ならびにチャンバ18およびカセット28に結合されたフロー配管を含み、これらについては後でもっと詳しく同定される。
【0025】
1.血液処理チャンバ
図示されている実施態様(図5参照)では、フローセット12は、遠心分離機と協同する形態で使用すべく設計された血液処理チャンバ18を含んでいる。処理装置14は、使用するために処理チャンバ18を受け入れる(図5参照)遠心分離ステーション20(図2および3参照)を含んでいる。
【0026】
図2および3に示されているように、遠心分離ステーション20は、基盤38に形成されたコンパートメント24を含んでいる。また、遠心分離ステーション20はドア22を含んでいる。ドア22は、(図3および5に示されているように)開き、これにより処理チャンバ18をコンパートメント24に取り付けることができる。操作中、処理チャンバ18をコンパートメント24内に封じ込めておくため、(図2および6に示されているように)ドア22が閉じられる。
【0027】
遠心分離ステーション20は処理チャンバ18を回転させる。回転すると、処理チャンバ18は、ドナーから与えられた全血を遠心力により成分の部分、主に赤血球、血漿および軟膜と呼ばれる中間層に分離し、この軟膜層には血小板および白血球が存在する。以降の部分で説明されているように、チャンバ18の構成は意図された血液分離目標に応じて様々に変えることができる。
【0028】
2.流体圧力作動式カセット
図示されている実施態様では、セット12は流体圧力作動式カセット28も含んでいる(図5参照)。カセット28は、ある与えられた血液処理手順に必要なすべてのポンピング機能およびバルブ開閉機能のための集中方式によるプログラム可能な総合プラットフォームを提供する。図示されている実施態様では、流体圧力は正および負の空気圧を含むが、他のタイプの流体圧力を使用することもできる。
【0029】
図5に示されているように、カセット28は、ケース36の蓋40に配置されている空気圧作動式のポンプおよびバルブステーション30において使用すべく取り付けられている。ポンプおよびバルブステーション30は、カセット28を取り付けおよび取り外しするためにポンプおよびバルブステーション30を露出する開放位置(図3参照)と、使用するためにカセット28をポンプおよびバルブステーション30内に封じ込める閉鎖位置(図6に示されている)との間をちょうつがいで動くことができるドア32を含んでいる。
ポンプおよびバルブステーション30は、バルブ面ガスケット318の後側に配置されたマニホルドアセンブリ34を含んでいる(図4参照)。マニホルドアセンブリ34は、カセット28がポンプおよびバルブステーション30に取り付けられた状態のときに、ガスケット318を通じてカセット28に正および負の空気圧を加える。この空気圧が、カセット28中を通って流れるべく液体を方向付ける。
【0030】
カセット28とポンプおよびバルブステーション30の操作に関する更なる詳細は以降で説明される。また、付加的な詳細は、参照により本明細書に組み入れられるNayakらの米国特許第6,261,065号に見出すこともできる。
【0031】
3.血液処理容器および配管
戻って図5および6を参照すると、フローセット16は、カセット28およびチャンバ18と流通状態にあるアレイ状を為すチューブおよび容器も含んでいる。これらのチューブおよび容器の配列は処理目標に応じて様々に変えることができる。代表的な血液処理手順およびそのような手順に適合する協同的フローセットについては以降で説明される。
【0032】
臍状体100はフローセット16の一部を形成する。取り付けられると、臍状体100は、シールを回転させる必要性を伴うことなく、回転する処理チャンバ18をカセット28と結合する。臍状体100は、Hytrel(登録商標)コポリエステルエラストマー(DuPont)などの回転応力抵抗性プラスチック材料から製作することができる。
【0033】
次に図7を参照すると、チューブ102、104および106が臍状体100の近位側端部から延びている。チューブ102は、分離するため、全血を処理チャンバ18内へ運ぶ。チューブ104および106は、それぞれ、遠心力により分離された赤血球および血漿を処理チャンバ18から運ぶ。血漿は、処理目標に応じて、血小板を豊富に含んでいてもよいし、血小板が少なくてもよい。
【0034】
図7に示されているように、固定具108は、臍状体100に隣接したチューブ102、104および106を遠心分離ステーション20の外側に位置する、コンパクトな系統立てられた横並びのアレイにまとめる。固定具108により、チューブ102、104および106は、チャンバ18の外側の遠心分離ステーション20に隣接して位置付けられた光学的検出ステーション46と連合した一つのグループとして配置および除去することが可能になる(図9、10および11参照)。
【0035】
光学的検出ステーション46は、チューブ104および106により運ばれてきた血液中における標的血液成分(例えば赤血球および血小板)の存在または不在を光学的にモニターする。検出ステーション46は、そのような血液成分の存在または不在を反映した出力を提供する。この出力はコントローラー16へ伝達される。コントローラー16はこの出力を処理し、部分的にこの光学的に検出された事象に基づき、処理事象を制御するための信号を発生する。光学的検出に基づいて処理事象を制御するためのコントローラーの操作についての更なる詳細は以降で説明される。また、付加的な詳細は、参照により本明細書に組み入れられるNayakらの米国特許第6,261,065号に見出すこともできる。
【0036】
図示されているように(図5および6参照)、フローセット16は瀉血針128を含み、この瀉血針を通じてドナーを血液処理するためのシステム10へ結び付けることができる。図5および6では、フローセット16は血液採取アセンブリ110も含んでいる。血液採取アセンブリ110は、瀉血針128を通じて、ある与えられた血液処理手順の初めにドナーの血液の1つもしくはそれ以上のサンプルを採取することを可能にする。採取アセンブリ110内への血液の流れを調節するため、通常のマニュアルクランプ114(例えばRoberts Clamp)が設けられている。
【0037】
同じく図5および6に示されているように、フローセット16はインライン注入部位112を含むことができる。この注入部位112は、必要な場合、技師が、付加的な針の穿刺を必要とすることなく、瀉血針128を用いて、塩類溶液もしくは別の生理学的液体、または薬剤をドナーに導入することを可能にする。
【0038】
望ましくは、付加的なインラインマニュアルクランプ116が血液採取アセンブリ110および注入部位112の上流に設けられる。このクランプ116は、ドナーの安全性または快適性が求められる場合、フローセット16からドナーを迅速に隔離することを可能にする。代替的に、この目的で、別の止血装置(図示せず)を適用することもできる。
【0039】
図1および2にも示されているように、装置14は、血液処理の助けとなるべくコンパクトに配列された他のコンポーネントを含むこともできる。既に説明されている遠心分離ステーション20とポンプおよびバルブステーション30に加え、本装置は、1つまたはそれ以上の計量ステーション62および他の形態の容器用支持具を含む。装置14上におけるこれらのコンポーネントの配列は勿論様々に変えることができる。
【0040】
図示されている実施態様では(図3参照)、計量ステーション62は、蓋40の上面に沿って配列された一連の容器ハンガー/重量センサーを含んでいる。この図示されている実施態様では、蓋40および基盤の側面に付加的なスイングアウト式のハンガー/重量センサーも設けられている。使用に際し(図5および6参照)、これらの容器は計量ステーション62に吊される。図5および6にも示されているように、計量ステーション62に隣接して蓋40に宛われた絵画アイコン66は、容器に宛われた絵画アイコン66と適合する。これらのアイコン66を適合させることにより、操作者は、意図された計量ステーション62に適切な容器を配置すべく視覚的に誘導される。
【0041】
計量ステーション62は、容器を載せるべく基盤38に成形された凹部を含むこともできる。ステーション62に隣接した基盤38上の絵画アイコン66は、セットアップ作業中に操作者が容器を適切に配置することを誘導すべく、容器に設けられた絵画アイコン66と適合する。
【0042】
処理中に血液または液体が容器内へ収容されるとき及び/又は容器から分配されるとき、計量ステーション62は時間の経過に伴う重量の変化を反映した出力を提供する。この出力はコントローラー16へ伝達される。コントローラー16は、流体処理容量を導出すべくこの増分重量変化を処理する。コントローラーは、部分的にこの導出された処理容量に基づき、処理事象を制御するための信号を発生する。処理事象を制御するためのコントローラー16の操作についての更なる詳細は以降で説明される。また、付加的な詳細は、参照により本明細書に組み入れられるNayakらの米国特許第6,261,065号に見出すこともできる。
【0043】
4.血液処理手順
コントローラー16の制御の下で、システム10は種々の異なる血液処理手順を果たすべく条件付けすることができる。MPUは、コントロールアプリケーションのライブラリーの活動化を管理するアプリケーションコントロールマネージャーを含む。各コントロールアプリケーションは、予め定められた仕方で遠心分離ステーション20とポンプおよびバルブステーション30を用いて与えられた機能的タスクを実施するための手順を定めている。これらのアプリケーションは、例えばMPUのEPROM’sにおけるプロセスソフトウェアとして常駐することができる。
【0044】
以降で説明されているように、カセット28への圧力の選択的な適用により、同じカセット28を用いて種々の異なる血液収集手順を実行することができる。
【0045】
例証のため、以下の2つの臨床的な手順の実施について説明する:(1)血漿収集手順;および(2)二単位赤血球収集手順。血漿収集手順では、ドナーから得られた全血が遠心力により処理され、収集用に88mlまでの血漿が得られる。すべての赤血球はドナーへ戻される。二単位赤血球収集手順では、ドナーから得られた全血が遠心力により処理され、収集用に2単位(約500ml)までの赤血球が得られる。すべての血漿構成要素はドナーへ戻される。
【0046】
詳細には説明しないが、システム10により他の臨床的な手順を実行することもできる。例えば、血漿/赤血球収集手順を果たすことができ、そこでは、ドナーから得られた全血が遠心力により処理され、約550mlまでの血漿と約250mlまでの赤血球が収集される。赤血球のうち収集用に保留されなかった部分は、血液分離中にドナーへ周期的に戻される。目標の550mlを超えて収集された血漿および目標の250mlを超えて収集された赤血球も、この手順の終わりにドナーへ戻される。別の例では、血漿収集及び/又は赤血球収集手順の過程で、チャンバ18から軟膜界面を取り除き、収集することもできる。その後に行われる白血球除去処理を伴い、この軟膜は血小板のソースとして使用することができる。
【0047】
システム10が果たし得る様々な血液収集手順の更なる詳細は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,261,065号で説明されている。
【0048】
II.本システムにおける血液分離コンポーネントの他の技術的な特徴
本システム10の血液処理チャンバ18および遠心分離ステーション20は、望ましくは、多様な血液処理プロトコルの実施を支持する他の技術的な特徴を有している。
【0049】
A.血液処理チャンバ
図示されている実施態様では(図7および8参照)、処理チャンバ18は、例えば可塑化されていない医用グレードのアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)などの硬質の生体適合性プラスチック材料から射出成形により所望の形および構造に予め形成されている。この装置では、チャンバ18は2つの主要なコンポーネント:基盤コンポーネント200および蓋コンポーネント202を含む。
【0050】
基盤コンポーネント200はセンターハブ204を含んでいる。ハブ204は、円周状の血液分離チャネル210を定める内側および外側の環状壁206および208により取り囲まれている。ハブ204から1つもしくはそれ以上の半径方向の通路212が延び、チャネル210と連通している。血液および他の流体は、これらの通路212を通じてハブ204からチャネル210内へ入り、チャネル210から出る方向へ方向付けられる。成形壁214は分離チャネル210の軸方向境界を形成する。蓋コンポーネント202も分離チャネル210の別の軸方向境界を形成する。これらの軸方向境界は共にほぼ平ら(即ち、回転軸に対して垂直)であるように示されているが、これらの軸方向境界はテーパーの付いた状態、丸みを帯びた状態、V字形などであってよいことを認識すべきである。
【0051】
基盤コンポーネント200の下面は、臍状体100の遠位端に設けられた成形マウント218を受け入れる成形レセプタクル216を含んでいる。マウント218は、臍状体100をチャネル210と液絡状態が得られるように結合するため、様々な方法で:例えば密着乾性圧入により、もしくは溶剤結合により、または超音波溶接によりレセプタクル216に固定することができる。臍状体100の遠位端と基盤コンポーネント200は一つのユニットとして回転する。
【0052】
血液分離プロセスの動力学に影響を及ぼすすべての輪郭、ポート、チャネルおよび壁は、1回もしくはそれ以上の射出成形操作で基盤コンポーネント200に予め形成されている。基盤コンポーネント200に予め形成されるこれらの輪郭、ポート、チャネルおよび壁は、望まれる特定の分離目標によって様々に変えることができる。代表的な例については以降でもっと詳細に説明される。
【0053】
B.遠心分離ステーション
遠心分離ステーション20(図9参照)は遠心分離アセンブリ68を含んでいる。遠心分離アセンブリ68は、使用するために成形処理チャンバ18および臍状体100を受け入れ、支持することができるように構成されている。
【0054】
図9に描かれているように、遠心分離アセンブリ68は底面壁、上面壁および側面壁72、74、76を有するフレームまたはヨーク70を含んでいる。ヨーク70は底面壁72に取り付けられたベアリングエレメント78(図9)上で回転する。軸82の回りでヨーク70を回転させるため、電気駆動モーター80がヨーク70の底面壁72に結合されている。図示されている実施態様では、軸82は本質的に水平(図3参照)であるが、他の角度的配向も使用することができる。モーター80は、コントローラー16により発せられた指令に応じて時計方向または反時計方向のどちらにもヨーク70を回転させることができる。
【0055】
キャリヤーまたはロータープレート84は、自体のベアリングエレメント86の回りでヨーク70内において回転し、このベアリングエレメントはヨーク70の上面壁74に取り付けられている。ロータープレート84は、ヨーク70の回転軸82とほぼ整列した軸の回りで回転する。
【0056】
図7に示されているように、処理チャンバ18の上面は環状リップ220を含み、この環状リップに蓋コンポーネント202が固定されている。図10に示されているように、ロータープレート84は、回転させるために処理チャンバ18をロータープレート84上に確保すべく、リップ220を取り外し可能に把持するラッチアセンブリ88を含んでいる。
【0057】
ラッチアセンブリ88の詳細は、参照により本明細書に組み入れられる「Blood Separation Systems and Methods with Quick Attachment of a Blood Separation Chamber to a Centrifuge Rotor」と題する2001年10月13日出願の同時係属米国特許出願第09/976,829号に見出すことができる。
【0058】
図10に最も分かりやすく示されているように、臍状体100の近位端に設けられたシース144が遠心分離ステーション20の予め形成された凹状ポケット90に嵌め込まれる。ポケット90は、臍状体100の近位端を、ヨーク70およびロータープレート84の相互に整列した回転軸82と整列した、回転しない定常位置において保持する。
【0059】
また、予め成形されたポケット90は、臍状体のシース144が挿入されるのと同時に固定具108の取り付けを行えるようにも形作られている。従って、チューブ102、104および106は、図11に示されているようにポケット90内にも位置付けられる検出ステーション46と連合した一つのグループとして配置および除去される。
【0060】
臍状体駆動または支持メンバー92および94(図9および10参照)は、ヨーク70の側壁76により担持されている。ロータープレート84が予め定められた回転位置に配置されると、支持メンバー92および94は、シース144と固定具108をポケット90内に嵌めるための操作を行っているのと同時に、臍状体100を受け入れるべく処理チャンバ18の左側に位置する。
【0061】
図10に示されているように、一つのメンバー92は臍状体100の中央部分を受け入れる。このメンバー92は臍状体100の中央部分を載せる表面を含んでいる。この表面は、ほぼ、ヨーク70の方に向いたチャネル96を形成する。チャネル96は、臍状体の上方部分をもう一方のメンバー94へ方向付ける、臍状体100の中央部分の通路を提供する。また、チャネル96は、臍状体100の中央部分が回転軸82に向けて、および回転軸82から離れる向きで半径方向に移動するのを抑制する。しかし、チャネル96は、臍状体100が自体の軸の回りで回転または捻り運動するのを許容する。使用する前は、チャネル96の表面はほぼ凸状である。この凸状の形態は、凸状表面を為す材料が使用中に臍状体100との回転接触により摩耗することが考慮に入れられている点において、犠牲的であるべく意図されている。この凸状の形態は、使用中における臍状体との接触により動的に変化し、使用中のチャネル96と臍状体100との間の機械的相互作用および摩擦相互作用により左右される最終的な接触形態を形成する。
【0062】
もう一方のメンバー94は、メンバー92が差し向けた臍状体100の上方部分を受け入れる。メンバー94は臍状体100の上方部分を載せる表面を含んでいる。この表面は、ヨーク70の上面壁72に向けて傾斜したチャネル98を形成する。チャネル98はほぼヨーク70から離れる向きにあり、従って、チャネル96と逆向きの関係にある。これら2つの反対向きのチャネル96および98の間に臍状体用の移行パスを提供するため、チャネル96はチャネル98から外向きに僅かにずれている。チャネル98は、臍状体100の上方部分をヨーク70の上面壁72の軸方向上方に配置された凹状ポケット90に向けて誘導し、ここで臍状体のシース144と固定具108が嵌め込まれる。チャネル96と同様に、チャネル98は、臍状体100の上方部分が回転軸82に向けて、および回転軸82から離れる向きで半径方向に移動するのを抑制する。しかし、チャネル96と同様に、チャネル98は、臍状体100が自体の軸の回りで回転または捻り運動するのを許容する。
【0063】
支持チャネル96および98は逆向きの関係で配列されているため、チャネル96および98は、ヨーク70の回転方向に関わらず、相互に相補的な「逆把持」様式で臍状体の中央部分と契合する。
【0064】
ヨーク70が(ロータープレート84の上面から見て)反時計方向に回転している間、チャネル96の内向きの配向が臍状体を最良の状態で捕獲する。これは、更に、この方向に回転している間、臍状体の残りの部分をチャネル98との契合に関して安定化させる。処理チャンバ18は、血液処理操作の間、反時計方向に回転させられるべく意図されている。
【0065】
メンバー94は、外向きのチャネル98に向けて内向きにテーパーが付いた、対向する側面エッジ99および101を含んでいる。テーパー付きの側面エッジ101は、反時計方向におけるヨーク70の回転に応答して、臍状体の中央領域を外向きのチャネル98との契合へ向けて更に誘導する。
【0066】
チャネル98の外向きの誘導エッジ99は、回転軸82へ向けて広がる拡大曲面またはランプを定めている。ランプ99は、ヨークが正規の血液処理で意図された回転方向(即ち、反時計方向)とは反対の方向の(ロータープレート84の上面から見て)時計方向に回転させられているときに、チャネル98内への臍状体の自己取り付けを果たすことができる大きさおよび形状に為されている。また、ランプ99は、その後、ヨーク70が反時計方向に回転させられているときに、臍状体100の上方部分をチャネル98から滑り抜け出ないように保つ。これは、更に、この方向に回転している間、臍状体の残りの部分をチャネル96との契合に関して安定化させる。
【0067】
従って、チャネル96および98の形状は、ヨーク70の回転方向に関わらず、ヨーク70の回転に応答して臍状体の中央領域をチャネル96および98との契合状態に保つべく、相互に補完する。
【0068】
図示されている実施態様では、支持メンバー92および94のチャネル表面96および98は、好適には、低摩擦材料から製作されており、これにより、臍状体100自体に対する外部的な潤滑または回転ベアリングの必要性が排除される。使用される材料は、例えばTeflon(登録商標)ポリテトラフルオロエチレン材料(DuPont)または超高分子量ポリエチレンを含むことができる。このような材料でできたチャネル表面96および98は、臍状体の駆動摩擦および臍状体の摩耗による粒状物質の存在を最小化する。
【0069】
支持メンバー92および94についての更なる詳細は、参照により本明細書に組み入れられる「Blood Separation Systems and Methods with Umbilicus Driven Blood Separation Chambers」と題する2001年10月13日出願の同時係属米国特許出願第09/976,830号に見出すことができる。
【0070】
遠心分離ステーションのドア20を閉じると、ドア20の下面にある保持用ブラケット21(図5参照)は、シース144を伴うレジストリーに位置付けられる。ドア20の下面にある(図5に示されている如き)別の保持用ブラケット23は、ドア20が閉じられると、固定具108を伴うレジストリーに位置付けられる。好適には、(図6に示されている如く)解放可能なラッチ25が、遠心分離アセンブリ68の操作中、ドア20を閉止状態に保持する。
【0071】
遠心分離アセンブリ68の操作中、支持メンバー92および94は、ヨーク70の回転が軸82の回りで縦列となって臍状体100をも回転させるような仕方で臍状体100を担持する。近位端においては(即ち、シース144においては)ポケット90内に拘束され、遠位端においては(即ち、マウント218により)チャンバ16に結合されている臍状体100は、チャネル表面96および98が回転軸82に対して相対的な臍状体の半径方向の移動を抑制しているときでさえ、軸82の回りで回転するときに、自体の軸の回りでチャネル表面96および98上で捻れ運動をする。チャネル表面96および98上でヨーク70と共に1オメガで(典型的には約2250RPMの速度で)回転するときの自体の軸の回りでの臍状体100の急速回転は、回転させるためにロータープレート84に確保された処理チャンバ18へ2オメガの回転を付与する。
【0072】
1オメガの回転速度におけるヨーク70と2オメガの回転速度におけるロータープレート84の相対的な回転は、臍状体100を捻れのない状態に保ち、これにより、シールを回転させる必要性を回避することができる。図示されている装置は、単一の駆動モーター80が、臍状体100を通じて、相互に回転するヨーク70とロータープレート84に担持された処理チャンバ18とに回転を付与することも可能である。この装置の更なる詳細は、参照により本明細書に組み入れられるBrownらの米国特許第4,120,449号に開示されている。
【0073】
以前に説明されているように、チャネル表面96および98は、望ましくは、時計方向または反時計方向のどちらの方向においても臍状体100の回転と処理チャンバ18の駆動を行えるように相補的な様式で形成され、配向される。従って、チャンバ18は、1つの所望の処理目標、例えば血液処理前のプライミングおよび空気抜きに貢献する一つの方向に回転させることができ、また、それとは異なる処理目標、例えば血液分離に貢献する反対方向に回転させることもできる。その上、ロータープレート84が処理チャンバ18の取り付けを行うための予め定められた回転位置にあるときの臍状体100に対する臍状体支持具92および94の近接並置、ならびに臍状体の近位端を支持ポケット90へ向けて導く支持具92および94に形成されたチャネル96および98の補完的な配向は、使用するための処理チャンバ18の取り付け、および使用後の処理チャンバ18の取り外しで、主として縦列で実施することができる、直観的な認識工程からなる「簡単な取り付け」シーケンスを可能にする。チャネル96および98の輪郭および配向は、どちらかの方向におけるヨーク70の回転の結果として臍状体100を「捕獲する」のに役立ち、これにより、何よりも先ず操作者が、万一臍状体100を完全に正しく取り付け損なったときでも、臍状体100をチャネル表面96および98に適切に配向することができる。
【0074】
より詳細には、チャネル96および98が相補的であるという特徴は、使用するために臍状体100を自己取り付けすることにおいて有利に利用することができる。望ましくは、処理チャンバ18がロータープレート84に取り付けられ、臍状体のシース144がポケット90内に配置されており、臍状体100の中央領域も最初にチャネル96および98に配置されている場合には、ヨーク70は、最初、血液処理操作中にヨーク70が回転させられる方向である時計方向に適度な速度(例えば300RPM)で回転させることができる。この方向の回転は、臍状体100を確実にチャネル98内に充分に取り付けるために細長のランプ99を利用する。この後、ヨーク70は、使用するために臍状体100の位置が両チャネル96および98内において安定化されているのを確実化するため、反対方向(反時計方向)に適度な速度で回転させることができる。次いで、ヨーク70は、血液処理に貢献する反時計方向の回転速度まで充分に突き進められてよい。
【0075】
C.光学的検出による界面の制御
上述のどの血液処理手順においても、処理チャンバ18内にもたらされる遠心力が全血を(図12で図式的に示されている如く)赤血球濃厚液領域と血漿領域に分離する。この遠心力は、血漿領域をチャンバの内側または低G壁へ移動させながら、赤血球濃厚液領域がチャンバの外側または高G壁に沿って集合する状態をもたらす。
【0076】
中間の領域は、赤血球領域と血漿領域との間の界面を形成する。血小板および白血球の如き中間的な密度の細胞性血液種がこの界面を構成し、これらの血液種は密度によって配列され、血小板の方が白血球よりも血漿層に近い位置を占める。この界面は、血漿領域が麦わら色を為し、赤血球領域が赤色を為しているのに比べ、曇った色を為しているため、「軟膜」とも呼ばれている。
【0077】
手順に応じて血漿にもしくは赤血球に軟膜材料が混入しないようにするため、または軟膜の細胞性内容物を収集するため、軟膜の位置をモニターすることが望ましい。本システムは、この目的で2つの光学的検出アセンブリ146および148を収容した光学的検出ステーション46(図11Aから11Dにも示されている)を含んでいる。この装置は図12、13および14にも図式的に示されている。
【0078】
ステーション46内の第一検出アセンブリ146は、血漿収集チューブ106を通る血液成分の通過を光学的にモニターする。ステーション46内の第二検出アセンブリ148は、赤血球収集チューブ104を通る血液成分の通過を光学的にモニターする。
【0079】
チューブ104および106は、検出のために使用される光学的エネルギーに対して、少なくともチューブ104および106が検出ステーション46と連合して配置される領域では透明なプラスチック材料(例えばポリ塩化ビニル)でできている。固定具108は、それぞれの検出アセンブリ148および146と視野整列した状態でチューブ104および106を保持する。また、固定具108は、連合したセンサーがたとえ設けられていないにしても、全血を遠心分離ステーション20へ運ぶチューブ102も保持する。固定具108は、容易に束ねられるコンパクトな束の形態で臍状体100へ結合されているすべてのチューブ102、104および106をまとめ、保持する役割を果たしている。
【0080】
第一検出アセンブリ146は、血漿収集チューブ106内における光学的に標的とされた細胞種または成分の存在を検出することができる。検出するために光学的に標的とされる成分は手順に応じて様々に変わる。
【0081】
血漿収集手順の場合、第一検出アセンブリ146は、血漿収集チューブ106内における血小板の存在を検出し、これにより、血漿と血小板細胞層との間の界面を処理チャンバへ戻すべく制御手段を起動することができる。これは、血小板を本質的に含んでいない血漿生成物、または少なくとも血小板の個数が有意に最小化されている血漿生成物をもたらすことができる。
【0082】
赤血球のみを収集する手順の場合、第一検出アセンブリ146は、軟膜と赤血球層との間の界面を検出し、これにより、この界面を処理チャンバへ戻すべく制御手段を起動することができる。これは、赤血球の収量を最大化する。
【0083】
第一検出アセンブリ146により検出された血漿中におけるこれらの細胞性成分の存在は、すべてのこれらの成分または幾分かのこれらの成分が血漿収集ラインに入り込める程充分に界面が処理チャンバの低G壁に近接していることを示している(図13参照)。この状態を「過剰流出」と呼ぶこともある。
【0084】
第二検出アセンブリ148は、赤血球収集チューブ104内における赤血球のヘマトクリットを検出することができる。処理中における、ある設定された最小レベル以下への赤血球ヘマトクリットの低減は、血漿が赤血球収集チューブ104に入り込める程充分に界面が処理チャンバの高G壁に近接していることを示している(図14参照)。この状態を「過少流出」と呼ぶこともある。
【0085】
検出ステーション46、ならびに第一および第二検出アセンブリ146および148の構成は様々に変えることができる。一つの望ましい実施態様では、第一検出アセンブリ146は、赤色または緑色の光のいずれかを選択的に発することができる発光ダイオード(LED)400、およびLED400による血漿チューブ106の透過光の強度を測定するために対向して配置されたフォトダイオード402を含む。LED400の異なる波長(緑色および赤色)は、血小板に対しては概して同じ減衰度を有しているが、赤血球に対しては有意に異なる減衰度を有するように選択される。従って、第一検出アセンブリ146は、(血漿収集手順中における過剰流出を検出するための)血漿フロー中における血小板の存在と、(軟膜収集手順中における赤血球との軟膜界面を検出するための)血漿フロー中における赤血球の存在を識別することができる。
【0086】
一つの望ましい実施態様では、第二検出アセンブリ148は、1つの赤外線LED404と2つのフォトダイオード406および408を含み、1つのフォトダイオード406は赤外線LED404に隣接して配置され、もう一方のフォトダイオード408は赤外線LED404に対向して配置される。フォトダイオード408は、LED404による赤血球チューブ104の透過光強度を測定する。フォトダイオード406は反射光強度を測定する。
【0087】
検出ステーション46および固定具108は、赤外線LED404およびフォトダイオード406に対して、測定された反射光強度と赤血球ヘマトクリットとの間に線型相関がもたらされることが観測されている望ましい距離関係で赤血球チューブ104を位置付ける。一つの例として、NIRスペクトルにおける1つの波長(例えば805nm)を有する入射光源(即ち、LED404)から予め定められた半径方向距離(例えば7.5mm)で測定された反射光の強度は、少なくとも10から90までのヘマトクリット範囲で、ヘマトクリットの線型関数として変動する。従って、赤血球ヘマトクリットは、赤外線LED404およびフォトダイオード406を用いて反射光強度をモニターすることにより確定することができる。
【0088】
検出ステーション46は様々な方法で構成することができる。図11Aから11Dに示されている一つの実施態様では、ステーション46は、2枚の対向するプレート502および504を包含する成形体500を含む。プレート502および504は、固定具108を受け入れ、第一および第二検出アセンブリ146および148と精確に整列した状態で赤血球チューブ104と血漿チューブ106とを保持すべく、間隔を空けて設けられている。
【0089】
各プレート502および504は、望ましくは成形体500の一体的に成形されたコンポーネントからなるアレイ状の光パイプ506A/B/Cおよび508A/B/Cを含んでいる。光パイプ506A/B/Cおよび508A/B/Cは、第一および第二検出アセンブリ146および148を構成するLED’sおよびフォトダイオードと精確な光学的整列状態にある。これらのLED’sおよびフォトダイオードは、光パイプに面する成形体500の外面に例えばファスナーを用いて取り付けられた回路基板510上に担持されている。
【0090】
より詳細には、プレート502の光パイプ506Aは、第一検出アセンブリ146のフォトダイオード402と光学的整列状態にある。これに対応し、反対側に配置されたプレート504の光パイプ508Aは、第一検出アセンブリ146の赤色/緑色LED400と光学的整列状態にある。
【0091】
プレート502の光パイプ506Bは、第二検出アセンブリ148の赤外線LED404と光学的整列状態にある。これに対応し、反対側に配置されたプレート504の光パイプ508Bは、第二検出アセンブリ148の透過光検出用フォトダイオード408と光学的整列状態にある。プレート502の光パイプ506Cは、第二検出アセンブリ148の反射光検出用フォトダイオード406と光学的整列状態にある。この装置では、プレート504の光パイプ508Cは空である。
【0092】
第一および第二検出アセンブリ146および148を支持する制御回路機構も様々に変えることができる。(図11Eおよび11Fで図式的に示されている)一つの代表的な実施態様では、CPLDコントローラー410(図11F参照)は、フォトダイオード402、406および408のうちから選択された1つのフォトダイオードからもたらされるシリアルデータストリーム(図11Eおよび11FにおけるデータストリームB)を受け取り、このデータストリームは、選択された上述のフォトダイオードによって検出された検出光強度(場合によって透過光のこともあれば、反射光の場合もある)の指標である。CPLDコントローラー410は、データストリームを受け取るべきフォトダイオード(402、406または408)を選択するためのフォトダイオード選択信号(図11Eおよび11Fにおける選択信号C)を発生する。
【0093】
CPLDコントローラー410は、コントローラー410に包含されているシリアル出力ポートにより発生されたデジタルデータストリーム(図11Eおよび11FにおけるデータストリームC)を介して、各フォトダイオード402、406および408と個々に連合したゲイン増幅器412(図11E参照)のゲインを制御する。それぞれのゲイン増幅器412は、各フォトダイオード404、406および408の電流出力を電圧に変換する、それぞれのフォトダイオード402、406、408と個々に連合した電流−電圧変換器414からの電圧信号を受け取る。各ゲイン増幅器412の増幅されたアナログ電圧信号は個々のアナログ−デジタル変換器へ加えられ、このアナログ−デジタル変換器は、アナログ電圧を選択されたフォトダイオードに対するシリアルデータストリーム(データストリームB)に変換し、CPLDコントローラー410は、更なる処理のため、このデータストリームを受け取る。
【0094】
CPLDコントローラー410に受け取られたシリアルデータストリームBは、パラレルデータストリームを創出するため、シリアル−パラレルポート418へ加えられる。選択されたゲイン増幅器412からの元のアナログ電圧はデジタル−アナログ変換器420によって再構成され、バンドパスフィルター422へ加えられる。バンドパスフィルター422は、被変調ソース光の搬送周波数における中心周波数(即ち、図示されている実施態様では2KHz)を有している。バンドパスフィルター422の出力(正弦波出力である)は全波整流器へ送られ、この全波整流器は、上述の正弦波出力を検出光強度に比例したDC出力に変換する。
【0095】
電流源428がLED’s400および404に結合されている。電流源428は、温度および電源電圧レベルに関係なく、各LED400および404に一様に電流を供給する。変調器430は予め定められた周波数でこの定電流を変調する。変調器430による変調は、光学的に検出された読み取り信号から周囲光および電磁妨害(EMI)の影響を除去する。一様な電流源428と組み合わせて、CPLDコントローラー410は、この一様な電流の大きさも調節し、従って、各LED400および404の強度も調節する。LED電流制御データは、コントローラー410によってシリアル形式で発生される(図11Eおよび11FにおけるシリアルデータストリームA)。このシリアルデータは、各LED400および404に対するそれぞれの電流源428と個々に連合したデジタル−アナログ変換器426へ加えられる。
【0096】
検出アセンブリ146および148はコントローラー16により操作され、コントローラー16は周期的に検出アセンブリ146および148を作動させ、検出された強度出力をサンプリングする。望ましくは、制御のために使用されるある与えられたセンサーの出力は、予め定められたサンプリング期間中に採取された多数のサンプルの平均を含む。例えば、ある与えられたサンプリング期間(例えば100μsec毎)の間に多数のサンプル(例えば64個)が採取される。これらの多数のサンプルの平均が導出される。望ましくは、通常の方法論によりサンプル平均の分散も決定され、この分散が予め定められた最大値未満である場合には、上述のサンプル平均の妥当性が認められる。サンプル平均の分散が予め定められた最大値と同じかそれ以上に大きい場合、このサンプル平均は制御用に使用されない。望ましくは、より信頼性の高い出力を得るため、妥当性が確認された最後の5つのサンプル平均の移動平均が制御値として使用される。以降でもっと詳細に説明されているように、サンプル分散の大きさも、ある与えられた血液処理手順の最後に実施されるエアーパージ中の気泡の存在を検出するための手段として使用することができる。
【0097】
光学的検出装置についての更なる詳細は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,261,065号に開示されている。
【0098】
III.本システムにおける空気圧作動式フロー制御コンポーネントの技術的な特徴
望ましくは、システム10のカセット28ならびにポンプおよびバルブステーション30は、多様な血液処理プロトコルを支持する他の技術的な特徴も有している。
【0099】
A.カセット
一つの好適な実施態様では(図15参照)、カセット28は医用グレードの硬質プラスチック材料でできた射出成形体300からなっている。好適には医用グレードの可撓性プラスチックシートでできた可撓性隔膜302および304が、それぞれ、カセット28の前面および後面を覆っている。隔膜302および304は、これらの隔膜の辺縁がカセット28の前面および後面の周辺エッジへ密封されている。
【0100】
図15に示されているように、カセット28は前面と後面の両面に形成された内部空洞を有している。これらの内部空洞は空気圧式ポンプステーション(図15では図式的にPSで表されている)を規定しており、これらのポンプステーションは、アレイ状のインライン空気圧式バルブステーション(図15では図式的にVSで表されている)を通じて、あるパターンを為す流体流路(図15では図式的にFPで表されている)により相互に連結されている。
【0101】
内部空洞のレイアウトは、種々の異なる血液処理手順の様々な異なる目標に応じて変えることができる。望ましくは、カセット28の内部空洞はプログラム可能な血液処理回路306(図16および17参照)を定めている。プログラム可能な回路306は、例えば赤血球を収集する、もしくは血漿を収集する、または血漿と赤血球の両方を収集する、もしくは軟膜を収集するなどの様々な異なる血液処理手順を果たすべく、コントローラー16により条件付けすることができる。
【0102】
図16は、図15に示されているタイプの射出成形空気圧制御式カセット28として実施され得る、プログラム可能な流体回路306を概略的に示している。図17は、カセット本体300における流体回路306の特定の実施態様を示している。以降で説明されているように、カセット28は、種々の異なる血液処理機能を果たすことができる、集中方式によるプログラム可能な総合プラットフォームを提供すべく、空気圧式のポンプおよびバルブステーション30と相互作用する。
【0103】
流体回路306は複式の空気圧式ポンプチャンバDP1およびDP2を含む(図16および23参照)。望ましくは、ポンプチャンバDP1およびDP2は、汎用のドナーインターフェースポンプとして機能すべく縦列でコントローラー16により操作される。複式ドナーインターフェースポンプチャンバDP1およびDP2は並行して働く。一つのポンプチャンバは流体を引き込み、一方、他方のポンプチャンバは流体を排出する。これにより、複式ポンプチャンバDP1およびDP2は、一様なアウトレットフローをもたらすべく、引き込み機能と排出機能を交互に果たす。取り付けられた瀉血針128を有するドナーチューブ126は、ポンプチャンバDP1およびDP2へ結合される。
【0104】
また、望ましくは、流体回路306は、外部容器150から抗凝固剤を引き込み、計量された量の抗凝固剤をドナーチューブ126に結合されている抗凝固剤チューブ152を通じてドナーから引き込まれた血液に送り込むための抗凝固剤専用ポンプとして機能する空気圧式ポンプチャンバACPも含む。
【0105】
流体回路306の外部にあるドナー用クランプ154(図4および5も参照)は、血液処理中にドナーの快適性または安全性に影響を及ぼしかねない特定の状態が生じたときに、ドナーチューブ126および抗凝固剤チューブ152を閉止すべくコントローラー16により操作される。ドナー用クランプ154は、これらの状態が生じたときに、流体回路306からドナーを隔離する機能を果たす。望ましくは、ドナーの安全性を高めるため、ドナーチューブ−抗凝固剤チューブ152の接合点の下流に手操作式のクランプ116または止血鉗子も配置される。
【0106】
また、望ましくは、図16に示されている流体回路306は、レザバー158から全血を処理チャンバ18内へ運ぶためのインプロセス全血専用ポンプとして機能する空気圧式ポンプチャンバIPPも含む。ポンプチャンバIPPの専用機能により、ドナーインターフェースポンプチャンバDP1およびDP2は、全血を処理チャンバ18へ供給するという付加的な機能から解放される。従って、インプロセス全血用ポンプチャンバIPPは、単一の瀉血針を通じてドナーから血液を引き込む操作とドナーへ血液を戻す操作を同時的に行うべくドナーインターフェースポンプチャンバDP1およびDP2を直列的に操作しながら、処理チャンバ18への連続的な血液供給を維持することができる。これにより、処理時間が最小化される。
【0107】
また、望ましくは、流体回路306は、処理チャンバ18から血漿を収集容器160内へ運ぶための血漿用ポンプとして機能する空気圧式ポンプチャンバPPも含む。別々のポンピング機能を専用化できる能力は、処理チャンバ18内へおよび処理チャンバ18からの、ならびにドナーへおよびドナーからの血液の連続的な流れを提供する。
【0108】
流体回路306は、ポンプチャンバDP1、DP2、IPP、PPおよびACPを、ドナーへおよびドナーから、ならびに処理チャンバへおよび処理チャンバから血液および血液成分を運ぶアレイ状の流路へ接続する、図16においてV1からV26で表されているアレイ状のバルブを含む。バルブV1からV26の機能が以下の表にまとめられている:
【0109】
【表1】
【0110】
カセット本体300の前面および後面を覆っている可撓性隔膜302および304は、ポンプチャンバDP1、DP2、IPP、PPおよびACP;バルブV1からV26、およびアレイ状の接続流路を取り囲んでいる直立した周辺エッジに載る。予め成形されているポートP1からP13(図16および17参照)は、カセット本体300内の流体回路306を既に説明されている外部容器およびドナーへ結合すべく、カセット本体300の2つの側面エッジに沿って延びている。
【0111】
図5に示されているように、カセット28は、使用するためにポンプおよびバルブステーション30内で垂直に取り付けられる。この配向(図15も参照)では、隔膜302はバルブステーション30のドア32へ向けて外側を向き、ポートP8からP13は下側を向き、ポートP1からP7は相互に垂直に積み重なって内側を向く。
【0112】
以降で説明されているように、ポンプおよびバルブステーション30により後面の隔膜304に正および負の流体圧力が局部的に加わると、隔膜304が撓み、バルブステーションのV1からV26が閉止および開放し、及び/又はポンプチャンバのDP1、DP2、IPP、PPおよびACPから液体の排出および引き込みが行われる。
【0113】
上の表で説明されているように、カセット本体300には付加的な内部空洞308が設けられている。この空洞308は、血液処理中に形成され得る凝塊および細胞凝集物を取り除くための血液濾過材料174(図17参照)を保持するステーションを形成する。図16で図式的に示されているように、空洞308は回路306内のポートP8とドナーインターフェースポンプステーションDP1およびDP2との間に配置されており、従って、ドナーへ戻される血液はこのフィルター174を通過する。また、空洞308は、ドナーへの流路およびドナーからの流路中に存在するエアーをトラップする機能も果たす。
【0114】
カセット本体300には別の内部空洞310(図16参照)も設けられている。この空洞310は回路306内のポートP5とインプロセスポンピングステーションIPPのバルブV16との間に配置されている。空洞310は、分離チャンバ18を供する全血流路におけるカセット本体300内の別のエアーとラップとして機能する。また、空洞310は、分離チャンバ18を供するインプロセスポンプIPPの脈動性ポンプ行程を緩衝するためのキャパシターとしても機能する。
【0115】
B.ポンプおよびバルブステーション
カセット28は、ケース36の蓋40に取り付けられている空気圧作動式のポンプおよびバルブステーション30と相互作用する(図15参照)。
【0116】
ポンプおよびバルブステーション30のドア32の内面324(以降で説明されているように、望ましくは金属である)は、弾性体のガスケット312を担持している。ガスケット312は、ドア32が閉じられると、カセット本体300の前面と接触する。ガスケット312とドアの内面324との間には膨張可能な袋314が設けられている。ドア32が開いているときに(図3参照)、操作者はカセット28をポンプおよびバルブステーション30に設置することができる。ドア32を閉じ、ラッチ316(図3から5に示されている)を締めると、ガスケット312は、カセット本体300の前面にある隔膜302と向き合い、接触する。袋314を膨らませると、ガスケット312が押され、隔膜302に対する緊密な密封契合がもたらされる。これにより、カセット本体300は、気密な密封取り付け状態でポンプおよびバルブステーション30内に確保される。
【0117】
ポンプおよびバルブステーション30は、図15に最も分かりやすく示されている空気圧式のマニホルドアセンブリ34を含んでいる。使用中、隔膜304は、ポンプステーション20のドア32が閉じられ、袋314が膨らまされたときに、マニホルドアセンブリ34に対する緊密な契合状態の下で袋314により保持される。望ましくは、バルブ面ガスケット318は、流出シールドとして機能すべく、空気圧式マニホルドアセンブリ34上に重なる。図3はバルブ面ガスケット318の存在を示しており、一方、図4および15では、マニホルドアセンブリ34を更に分かりやすく示すため、バルブ面ガスケット318は部分的に除かれている。
【0118】
マニホルドアセンブリ34は、カセット28上のアレイ状を為すポンプチャンバおよびバルブを反映すべく配列されたアレイ状のアクチュエーターポート320を含む。コントローラー16の制御の下で、マニホルドアセンブリ34は種々の異なる圧力および真空レベルをアクチュエーターポート320へ選択的に分配し、これらのアクチュエーターポートは、流体回路306を通じて意図的仕方で血液および処理液体を送るべく、隔膜304を通じてカセット28のポンプチャンバおよびバルブへ系統的に圧力および真空のレベルを加える。また、コントローラー16の制御の下で、マニホルドアセンブリ34は、(既に説明されている)ドアの袋314、ならびにドナー用の圧力カフ60(図23参照)および(既に説明されている)ドナー用クランプ154へも種々の圧力レベルを分配する。
【0119】
マニホルドアセンブリ34は、カセットバルブV1からV26を閉じるため、ならびにインプロセスポンプIPPおよび血漿用ポンプPPからの液体の表出を駆動するために加えられる高い正の圧力(例えば、+500mmHg)であるPhard即ちHard PressureおよびPinpr即ちIn−Process Pressureを発生する。Pinprの大きさは、典型的には処理チャンバ18内にもたらされる約300mmHgの最小圧力に打ち勝つのに充分な大きさである。PinprおよびPhardは、ポンピングと連係して使用される上流および下流のバルブがこれらのポンプを操作すべく加えられる圧力によって無理に開放されてしまわないことを保証するため、最も高い圧力で操作される。
【0120】
また、マニホルドアセンブリ34は、ドナーインターフェースポンプDP1およびDP2、ならびに抗凝固剤用ポンプACPからの液体の表出を駆動するために加えられるPgen即ちGeneral Pressure(+300mmHg)も発生する。
【0121】
更に、マニホルドアセンブリ34は、カセットバルブV1からV26を開くためにマニホルドアセンブリ34に加えられる最も深い真空であるVhard即ちHard Vaccum(−350mmHg)も発生する。また、マニホルドアセンブリ34は、ポンプDP1、DP2、IPP、PPおよびACPのそれぞれの引き込み機能を駆動するために加えられるVgen即ちGeneral Vaccum(−300mmHg)も発生する。Vgenは、ポンプDP1、DP2、IPP、PPおよびACPが上流および下流のカセットバルブV1からV26を壊滅させないことを保証するため、Vhardよりも過激さに劣ることが要求される。
【0122】
ポンプおよびバルブステーション30の操作についての更なる詳細は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,261,065号に見出すことができる。
【0123】
C.容量性フロー検出
望ましくは、コントローラー16は、カセット28のポンプチャンバを通じる流体の流れをモニターするための手段を含む。図示されている実施態様では、ポンプおよびバルブステーション30は小さなプリント回路基板アセンブリ(PCBA’s)332を含んでいる。1つのPCBA332が、カセットポンプチャンバDP1;DP2;IPP;PP;およびACPに流体を引き込むべく、またこれらのチャンバから流体を排出すべく隔膜304へ負および正の圧力を加える各空気圧式アクチュエーターポート320と連合している。PCBA’s332はそれぞれが電源に結合されており、それぞれが、それぞれのポンプチャンバ内において流体と電気伝導性の相互作用または接触を為す容量性回路の一部である。これらの容量性回路は各ポンプチャンバを間にはさむコンデンサーを含んでいる。各PCBA332が一方のコンデンサープレートを形成し、ポンプおよびバルブステーション30のドア32の金属性内面324がもう一方のコンデンサープレートを形成する。これらのプレート間にポンプチャンバ自体がある。ポンプチャンバ内の流体は、カセット隔膜302および304、空気圧式マニホルドアセンブリ34を覆っているバルブ面ガスケット318、およびドア32の内面324を覆っているガスケット312によって回路との実際の物理的接触から保護されている。各PCBA332を通じる電気エネルギーの移動は、それぞれのポンプチャンバ内において電場を創出する。ポンプチャンバに流体を引き込み、またポンプチャンバから流体を排出するために行われる、ある与えられたポンプチャンバと連合した隔膜304の周期的な撓みは、電場を変化させ、これにより、このPCBA332を通じる回路の全静電容量が変化する。静電容量は、流体がポンプチャンバ内へ引き込まれるときに増大し、流体がポンプチャンバから排出されるときに減少する。
【0124】
この装置では、PCBA’s332は、それぞれが静電容量センサー(例えばQprox E2S)を含んでいる。静電容量センサーは、各ポンプチャンバに対する回路332での静電容量の変化を記録する。ある与えられた回路332に対する静電容量信号は、ポンプチャンバが液体で満たされているときには高い信号振幅を有し、ポンプチャンバに流体がないときには低い信号振幅を有し、隔膜が中間的な位置を占めているときには一連の中間的な信号振幅を有する。
【0125】
血液処理手順の着手時に、コントローラー16は、それぞれのポンプチャンバの最大行程体積に対して各センサーの高信号振幅と低信号振幅との間の差分を校正することができる。この後、コントローラー16は、以降の引き込みサイクルおよび排出サイクル中に検出された最大信号値と最小信号値との間の差分を、ポンプチャンバを通じて引き込まれた流体の体積および排出された流体の体積と関係付けることができる。コントローラー16は、あるサンプリング期間にわたってポンピングされた流体の体積を合計し、実際の流量を求めることができる。
【0126】
コントローラー16は、このようにして得られた実際の流量を望ましい流量と比較することができる。逸脱が存在する場合、コントローラー16は、この逸脱を最小化すべく、これらのカセットポンプチャンバに対するアクチュエーターへ送給される空気圧パルスを変えることができる。
【0127】
図15は、連合したアクチュエーターポート320内において面−取り付けされ、全体がカセット28の外部に位置付けられたPCBA’s332を示している。一つの代替的な実施態様では、回路332の一つのコンポーネント(例えば、一方のコンデンサープレート)は、ポンプチャンバの外側に回送された回路の残りの部分と電気的に接続した状態で、カセット28のポンプチャンバの内部に配置することもできる。別の代替的な実施態様では、回路332および電気的接続は、マニホルドアセンブリ34に面−取り付けされた可撓性の電極回路により、またはマニホルドアセンブリ34の本体と一体化された成形回路基板コンポーネントとして実施することができる。後者の実施態様では、電気回路機構または経路は、例えばリソグラフィー式パターン形成もしくは重畳成形により、または可撓性回路をコンポーネント部品に密封することにより、熱可塑性パーツ上に成形される。電気的な機能を果たす熱可塑性パーツは、コンパクトな多層式多機能アセンブリを形成すべく、例えば超音波溶接により、マニホルドアセンブリ34の空気力学的機能を果たす他のコンポーネント上へ一体化される。この装置では、外部コントローラー16および他の外部センサーとの電気的な接続は、例えばコントローラー16および関連するセンサーからの電気的なピンを受け入れるべく適切な箇所にハンダ付けされた雌型の電気的コネクターにより、及び/又は統合型リボンケーブルを用いることにより達成することができる。
【0128】
IV.血漿収集手順を実施するための本システムの使用
次に、一つの典型的な血漿収集手順を実施するために行われる、装置14およびコントローラー16と協同する形態での血液フローセット12の使用について説明する。
【0129】
この血漿収集手順は、前収集サイクル、収集サイクルおよび後収集サイクルを含む。前収集サイクルでは、静脈穿刺に先立って空気抜きするため、フローセット16が塩類溶液でプライミングされる。収集サイクルでは、ドナーから引き込まれた全血が処理され、赤血球をドナーへ戻しながら血漿が収集される。後収集サイクルでは、過剰な血漿がドナーへ戻され、以降でもっと詳しく説明されているように、セット16がエアーでフラッシングされる。
【0130】
A.血液処理チャンバ
図18は、血小板、赤血球および白血球を含まない血漿、またはこれらを実質的に含まない血漿を得る血漿収集手順を果たすべく、図1に示されているシステム10と協同する形態で使用することができる遠心分離処理チャンバ18の一つの実施態様を示している。また、図18に示されているチャンバ18は血漿/赤血球収集手順を果たすために使用することもできる。
【0131】
図8に示されているチャンバの実施態様に関して以前に説明されているように(同様な部分には同様な参照番号が割り振られている)、処理チャンバ18は、望ましくは、別々に成形された基盤コンポーネント200および蓋コンポーネント202として製作される。成形ハブ204は、円周状の血液分離チャネル210を定める内側および外側の環状壁206および208により半径方向的に取り囲まれている。成形壁214(図19参照)は、チャネル210の軸方向境界を形成している。蓋コンポーネント202は、チャネル210の別の軸方向境界を形成している。これらの軸方向境界は共にほぼ平ら(即ち、回転軸に対して垂直)であるように示されているが、これらの軸方向境界はテーパーの付いた状態、丸みを帯びた状態、V字形などであってよいことを認識すべきである。組み立ての際、蓋コンポーネント202は、例えば円筒状の音波溶接ホーンを用いることにより、チャンバ18の上面に固定される。
【0132】
図18に示されているチャンバ18では、内側の環状壁206は1対の補強壁の間で開いている。これらの対向する補強壁はハブ204内における開いた内部領域222を形成しており、この内部領域はチャネル210と連通している。血液および流体は臍状体100からこの領域222を通じて分離チャネル210内へ入る方向に、および分離チャネル210から出る方向に導かれる。
【0133】
図18に示されている実施態様では、成形された内部壁224が領域222の内部に形成されており、この内部壁は、チャネル210を完全に横断して延び、外側の環状壁208につながっている。壁224は分離チャネル210内に終端を形成しており、この終端は、分離中にチャネル210に沿って円周方向に流れるのを阻止する。
【0134】
成形された付加的な内部壁がこの領域222を3つの通路226、228および230に分割している。これらの通路226、228および230はハブ204から延び、終端壁224の反対側の側面でチャネル210と連通している。血液および他の流体はハブ204からこれらの通路226、228および230を通じてチャネル210内へ入る方向に、およびチャネル210から出る方向に方向付けられる。
【0135】
処理チャンバ18が回転させられると(図18の矢印R)、臍状体100(図示されていない)は通路226を通じて全血をチャネル210内へ運ぶ。全血は回転方向(図18では反時計方向である)と同じ方向でチャネル210に流入する。最適な血液分離を得るためには、全血の流れは回転方向と同じ方向であることが望ましいものと確信されるが、代替的に、チャンバ18を全血の円周方向の流れと反対の方向、即ち時計方向に回転させることもできる。
【0136】
全血は、遠心力の結果として、図12に示されている仕方でチャンバ18内において分離する。赤血球は高G壁208へ向けて駆動され、一方、それより軽い血漿構成要素は低G壁206へ向けて移送される。軟膜層は壁206と208の間に存在する。
【0137】
血漿収集用通路228および赤血球収集用通路230は、終端壁224に隣接して、円周方向に全血インレット通路226から略360度の間隔を空けて位置している。これらの収集用通路228および230から上流へ向かう流れの方向には、バリヤー232が高G壁208からチャネル210内へ突き出している。バリヤー232は、低G壁206に沿った分離チャネル210における狭窄部位を形成している。血液の円周方向に沿った流れの方向において、この狭窄部位は血漿収集用通路228へと通じている。
【0138】
図20および21に示されているように、バリヤー232の前縁234は、終端壁224へ向けた方向における、チャネル210の環状境界(図示されている実施態様では、環状壁214である)へ向けたテーパーが付いている。バリヤー232のテーパー付きエッジ234は分離チャネル210の環状境界に面した開口236へと通じている。開口236は、高G壁208に近接して隣り合った環状境界に面しているが、軸方向的にはこの環状境界から間隔を空けて離れている。開口236は赤血球収集用通路230と連通している。
【0139】
レッジ238は低G壁206から半径方向に開口236内においてある軸方向距離だけ延びている。レッジ238は、高G壁208に沿った開口236の半径方向寸法を狭窄している。レッジ238により、高G壁208に隣接した赤血球と他のもっと高い密度の成分のみが開口236と連絡する。レッジ238は、高G壁208に隣接していない血漿を開口236と連絡のない状態に保つ。開口236が高G壁208に沿って半径方向的に制限されているため、血漿は、血漿収集用通路228へ向けて流れる以外に行き場を失う。従って、分離チャネル210を出る血漿は、制限された高−G開口236を通じて分離チャネル210を出るもっと高い密度の材料を含んでおらず、またはこれらの材料を実質的に含んでいない。
【0140】
レッジ238は、低G壁206とほぼ整列した軸方向表面240とつながっている。軸方向表面240は回転軸に沿って軸方向に赤血球収集用通路230へ延びている。(図22に示されているように)バリヤー232、レッジ238および他の内部壁により、赤血球収集用通路230は血漿収集用通路228から隔離されている。
【0141】
また、図22で最も分かりやすく示されてもいるように、低G壁206に沿って存在する血漿は、バリヤー232およびレッジ238により、円周方向に沿って血漿収集用通路228へ、および臍状体100内へ方向付けられる。もっと高G壁208の近くに存在する、もっと高い密度の流体を含有した赤血球および軟膜成分(血小板および白血球)は、環状境界および制限された高−G開口236へ向けて、バリヤー232のテーパー付きエッジ234に沿って軸方向に方向付けられる。高−G開口236から、この比較的高い密度の流体を含有した赤血球および軟膜成分は半径方向レッジ238上を低G壁206へ向けて方向付けられ、この後、軸方向に沿って赤血球収集用通路230内へ、および臍状体100内へ方向付けられる。
【0142】
収集するために相対的に高い密度の材料を分離チャネル210の環状境界へ向けて軸方向に導くテーパー付きエッジ234は、相対的に高い密度の材料および相対的に低い密度の材料をそれらの個々の収集用通路230および228へ差し向けながら、流れの方向の急激な変化を軽減する。流れの方向の急激な変化は、軟膜材料を血漿中に混ぜ合わせる不所望の渦を誘発しかねない。また、開口236における半径方向レッジ238の存在は血漿と高密度流体の分離を促進する機能も有し、これにより、望ましく高い赤血球ヘマトクリットが維持される。
【0143】
バリヤー232は、テーパー付きエッジ234が上部境界環状壁へ向けて底部環状境界壁から上方へ軸方向の流れの方向で血液を高G壁208に沿って方向付けるように、血液の流れの方向に関して反対側に配置されてもよいことを認識すべきである。この装置では、高−G開口236は上部環状境界壁に隣接しているが、この上部環状境界壁から軸方向的に間隔を空けて配置され、血液の除去が処理チャンバの反対側から、即ち、底部環状壁側から起こり得るように為されるであろう。高−G表面と低−G表面との間に確立された半径方向の分離フィールドでは、血液が環状境界へ向けて高−G表面に沿って取る(回転軸に沿った「上向き」または「下向き」のいずれかの)軸方向の流れの方向は、分離目標を達成する上で重要ではない;重要なのは、寧ろ、上述の半径方向フィールド内において分離された相対的に高い密度の材料と相対的に低い密度の材料をそれらの個々の収集用通路へ差し向けながら、流れの方向の急激な変化を軽減することである。
【0144】
血液分離プロセスに影響を及ぼす輪郭、ポート、チャネルおよび壁は、単一の射出成形操作で基盤コンポーネント200に予め形成されてよく、この成形操作中に、成形用マンドレルが基盤コンポーネント200の開放端を通じて挿入および除去される。蓋コンポーネント202は、成形後に基盤コンポーネントを閉止すべく基盤コンポーネント200の開放端へ容易に溶接され得るシンプルな平坦部分を含んでいる。分離プロセスに影響を及ぼすすべての特質が1つの射出成形コンポーネントに組み込まれているため、基盤200と蓋202との間のどんな許容差もチャンバ18の分離能力に影響を及ぼさないであろう。
【0145】
基盤200に予め形成されている輪郭、ポート、チャネルおよび壁が、基盤200の単一の端部を通じて成形用マンドレルを容易に挿入および除去することができない表面を創出している場合には、基盤200は、カップ形のサブアセンブリを入れ子にするか、2つの対称な半割体を用いるかのいずれかにより、別々な成形パーツで形成することができる。
【0146】
代替的に、成形用マンドレルを基盤200の両端から挿入および除去することもできる。この装置の場合(図19参照)、チャンバ18は3つの部片;即ち、基盤200、蓋202(上面側の成形用マンドレルがこの端部を通じて挿入および除去される基盤200の一方の端部を閉止する)、および別々に成形された挿入具242(図19に示されているように、底面側の成形用マンドレルがこの端部を通じて挿入および除去される基盤200のもう一方の端部を閉止する)において成形することができる。
【0147】
チャンバ18は様々な仕方で回転に対するつり合いを取ることができる。チャンバ18の反対側の内部構造と釣り合わせるべく、チャンバ18の一方の側に内部構造を成形することができる。つり合いを達成するため、チャンバ18の周りの壁厚を変えることもできる。代替的に、図18に示されているように、チャンバ18は、適切なつり合い重りを担持するための成形ポケット248を含むことができる。
【0148】
B.カセットおよびフローセット
図23は、血漿収集手順で使用することができる形態の外部処理容器へ結合された、以前に説明されているカセット28を示している。血漿収集手順では、これらの容器は血漿収集容器160、赤血球収集容器またはレザバー162、全血インプロセス容器158、抗凝固剤容器150および処理流体(例えば塩類溶液)容器164を含む。
【0149】
1.血漿収集サイクル
血漿収集手順の一つの典型的な収集サイクルでは、血漿を収集し、その一方で赤血球をドナーへ戻すべく、ドナーから引き込まれた全血が処理される。カセット内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2、カセット内の抗凝固剤用ポンプACP、カセット内のインプロセスポンプIPPおよびカセット内の血漿用ポンプPPは、抗凝固血液をインプロセス容器158内へ引き込み、その一方でこの血液を分離するためにある制御された速度QWBでインプロセス容器158から処理チャンバ18内へ運ぶべく、連合した空気圧式バルブV1からV26と協同する形態で、コントローラー16によって空気圧により駆動される。また、この装置は、ある制御された速度QPで血漿を処理チャンバ18から血漿容器160内へ移し、その一方で赤血球を(速度QRBC=QWB−QPで)処理チャンバ18から赤血球容器162内へ移す。この位相は、(重量センサーでモニターしたときに)目標とする体積の血漿が血漿収集容器160に収集されるまで、または(同じく重量センサーでモニターしたときに)目標とする体積の赤血球が赤血球収集容器162に収集されるまで続く。
【0150】
目標とする体積の血漿または赤血球のいずれかが収集される前に、インプロセス容器158内における全血の体積が予め定められた最大閾値に達した場合には、コントローラー16は、インプロセス容器158内における全血の収集を終結し、その一方で血液の分離を尚も継続すべく、ドナーインターフェースポンプDP1/DP2の操作を終結させる。血液の分離中ではあるが、目標とする体積の血漿または赤血球のいずれかが収集される前に、インプロセス容器158内における全血の体積が予め定められた最小閾値に達した場合には、コントローラー16は全血を引き込む工程に戻り、これにより、全血がインプロセス容器158内へ入ることが可能になる。コントローラーは、どちらが先に起こるかにかかわらず、目標とする体積の血漿が収集されるまで、または目標とする体積の赤血球が収集されるまで、インプロセス容器158に対する高体積閾値および低体積閾値に応じて、これら2つの状態間でトグル動作する。
【0151】
2.赤血球帰還サイクル
一つの典型的な帰還サイクル(目標とする体積の血漿が収集されていないとき)では、コントローラー16は、分離するために抗凝固全血をインプロセス容器158から処理チャンバ18内へ運び、その一方で血漿を血漿容器160内へ、および赤血球を赤血球容器162内へ移すべく、カセット28内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2、カセット内のインプロセスポンプIPPおよびカセット内の血漿用ポンプPPを連合した空気圧式バルブと協同する形態で操作する。また、この装置は、赤血球を赤血球容器162からドナーへ運び、その一方で容器164からの塩類溶液を帰還された赤血球とインラインで混合する。この塩類溶液と赤血球のインライン混合は塩類溶液の温度を高め、ドナーの快適性を改善する。この位相は、重量センサーでモニターしたときに、赤血球容器162が空になるまで続く。
【0152】
赤血球容器162が空になる前に、インプロセス容器158内の全血の体積が特定の低値側閾値に達した場合には、コントローラー16は、血液の分離を終結させるべく、インプロセスポンプIPPの操作を終結させる。この位相は赤血球容器162が空になるまで続く。
【0153】
赤血球容器162が空になると、コントローラー16は、インプロセス容器158から全血を引き込むべくドナーインターフェースポンプステーションDP1を操作してドナーチューブ126を満たし、これにより、別の全血引き込みサイクルのための準備において、(塩類溶液と混合された)赤血球をパージする。この後、コントローラー16は別の収集サイクルを実施する。コントローラー16は、重量センサーが血漿収集容器160に所望体積の血漿が収集されていることを指示するまで、連続的な収集および帰還サイクルを運転する。コントローラー16は、処理チャンバへの血液の供給および処理チャンバからの血液の除去を終結させ、その一方で、赤血球容器162内に残存している赤血球をドナーへ運ぶべく、カセット28内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2を操作する。次に、コントローラー16はエアーパージサイクルに入り、この詳細は以降で説明される。
【0154】
D.界面の制御
ある与えられた血漿収集サイクルでは、コントローラー16は、望ましくは、血漿収集チューブ106内における標的とされた細胞性血液種成分(特に血小板もしくは白血球、またはこれらの両方)の存在をモニターすべく検出ステーション46を操作する。第一センサー146によって検出される、血漿中におけるこれらの細胞性成分の存在は、過剰流出状態を指示し、即ち、これらの血液種成分のすべてまたは幾分かが血漿収集チューブ106内へ入り込めるほど充分に界面が処理チャンバの低G壁に近接していることを指示している(図13参照)。目標が、細胞性血液成分を含まない血漿または実質的含まない血漿(即ち、乏血小板血漿)を収集することであるため、これは望ましくない。
【0155】
(図13に示されている)過剰流出状態に応答して、コントローラー16は、全血を予め定められた流量でインプロセス容器158から処理チャンバ18内へ引き込むべく、インプロセスポンプIPPを操作する。赤血球は、収集容器162に収集するためのチューブ104を通じて出続ける。しかし、コントローラー16は予め定められた時間の間(例えば20秒間)血漿用ポンプPPの操作を中止する。この動作は、赤血球の体積に対して相対的なチャンバ18内の血漿の体積を増大させ、(図12に示されているように)界面を低G壁から離し、分離チャンバの中央へ向けて戻すような力を及ぼす。予め定められた時間の後、コントローラー16は短時間の間(例えば10秒間)血漿用ポンプPPの操作を再開し、その一方で血漿をドナーへ戻すための赤血球収集容器162へ方向付ける。この時間の後、流出が正されている場合には、第一センサー146で清浄な血漿が検出され、通常の血漿収集を再開することができる。もし清浄な血漿が検出されなかった場合、これは過剰流出が正されていないことを指示しており、コントローラー16は上述のシーケンスを繰り返す。
【0156】
上述のシーケンスは、分離チャンバ内における界面の実際の物理的な位置を確かめることに拠るものではなく、代わりに、高G壁に近付きすぎてチャンバを出ることとなる細胞性成分の存在を識別するセンサー146の測定分解能に拠るものである。予め定められた許容可能な最大血小板混入度が所望の低値側閾値に設定されているときには、この血小板混入閾値はセンサー146の測定分解能以下であり得る。従って、専ら過剰流出状態を検出することに依存した制御計画は最適でない可能性がある。
【0157】
分離チャンバへ入る全血の流量(QWB)と分離チャンバ18を出る血漿の流量(QP)の差は、チャンバを出る赤血球の流量(QRBC)を決定する(即ち、QRBC=(QWB)−(QP))。(QWB)は、処理時間を最適化するため、典型的には一定の所望流量に維持され、血漿収集手順の場合には一般的に約70ml/分である。従って、比(QP)/(QWB)は分離チャンバ18内における界面の物理的な位置と相関する。ある与えられた一定の(QWB)で(QP)を増大させると、これにより、前述の比が増大し、相対的に大きな体積の血漿が移動することとなり、従って、(図13に示されているように)界面が低G壁へ向けて移動する。逆に、ある与えられた一定の(QWB)で(QP)を減少させると、これにより、前述の比が減少し、相対的に少ない体積の血漿が移動することとなり、従って、(図14に示されているように)界面が高G壁へ向けて移動する。
【0158】
「理想的」な比(QP)/(QWB)は、先ず第一に、過剰流出状態を回避すべく、(図12に示されているように)界面をチャンバ内の望ましい位置に保てるような比である。しかし、この「理想的」な比(QP)/(QWB)は、血液処理手順の過程で容易に調節または測定することができないドナーの全血のヘマトクリットの関数である。
【0159】
チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリット(HCTRBC)の大きさを利用して分離チャンバ18内における界面の物理的な位置を制御し、これにより、過剰流出状態を最小化または回避できることが発見された。より詳細には、チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリット(HCTRBC)は、界面と高G壁との間の距離が増大すると(即ち、比(QP)/(QWB)が大きくなると)増大する。逆に、チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリット(HCTRBC)は、界面と高G壁との間の距離が減少すると(即ち、比(QP)/(QWB)が小さくなると)減少する。チャンバ18を出る赤血球の目標とするヘマトクリット(HCTRBC)を達成すべく比(QP)/(QWB)を調節することにより、過少流出状態または過剰流出状態を誘発することなく、高G壁に対する相対的な界面の目標とする物理的な位置を達成することができる。
【0160】
以前に説明されているように、赤血球収集チューブ104用のセンサー148は、望ましくは、ヘマトクリットHCTRBC、および時間の経過にわたる処理チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリットの変化を光学的に検出できるように適合化および構成されている。代替的に、赤血球ヘマトクリットを検出するための様々な通常の手段を使用することもできる。
【0161】
HCTRBCの最適な設定ポイント(SET_HCTRBC)は、測定された最適な血漿品質(血小板、赤血球および白血球の混入、特にこれらの不在に関して)と測定された最適な収集時間とを相互に関連付ける、システムの運転中に発生した実験的な臨床データの分析に基づいて選択することができる。このデータは、ある決定可能な高値側閾値HCTRBCで、血小板が赤血球と一緒にチャンバ58を出なくなることを示している。この与えられた高値側閾値HCTRBCにおいて、血小板は血漿と共にチャンバ18内に留まる傾向を有しており、従って、血漿と混合されやすい。この発見に基づき、SET_HCTRBCは、この高値側閾値赤血球ヘマトクリット値に近付くように、但し超えないように設定される。一つの代表的な実施形態では、SET_HCTRBCは約80±5に等しい。ある与えられた血漿収集手順中に(SET_HCTRBC)を達成すべく比(QP)/(QWB)を調節することは、過剰流出を軽減または回避するだけでなく、この手順での血漿収集パラメーターを最適化する機能も果たす。一つの制御手段としてSET_HCTRBCを使用することにより、過剰流出状態を回避すべく血小板が赤血球と共にチャンバを去ることを誘発しながら、手順に要する時間を最適化し、赤血球ヘマトクリットを最大化すべく、(QP)を最大化することが可能になる。
【0162】
この装置では、コントローラー16は、(センサー148により検出された)検出HCTRBCをSET_HCTRBCと定期的に比較し、検出されたHCTRBCとSET_HCTRBCとの差を最小化すべく比(QP)/(QWB)を調節する。SET_HCTRBCに基づく制御は、過剰流出状態を回避または最小化しながら、血漿の純度および収集時間を最適化するために実験的に決定された分離チャンバ内のある位置に界面を保つ。
【0163】
一つの代表的な実施形態では、比(QP)/(QWB)は、望ましくは、ある与えられた血漿収集手順の着手時に、「理想的」な(QP)/(QWB)に幾分満たない値に設定される。一つの代表的な実施形態では、「理想的」な(QP)/(QWB)に約95%の減衰係数が掛け算され、初期比(QP)/(QWB)が設定される。この実施形態では、「理想的」な(QP)/(QWB)は(1−Hi/Ho)[式中、Hiは分離チャンバ18に入る抗凝固全血のヘマトクリットであり、HoはSET_HCTRBCである]に等しく設定される。Hiは、ドナーの実際のヘマトクリットまたは推定ヘマトクリット(Donor_HCT)および抗凝固剤を加えた結果としての全血の希釈率に基づいて導出される。Hiは、例えばDonor_HCTに(1マイナス抗凝固剤と全血との比/100)を掛け算することにより導出することができる。
【0164】
手順が進行する際、検出されたHCTRBCはSET_HCTRBCと定期的に比較され、その差を最小化すべく初期比(QP)/(QWB)がインクリメントまたはデクリメントされる。好適には、過剰流出状態を回避するため、この比(QP)/(QWB)への増分は、検出されたHCTRBCとSET_HCTRBCとの間の差、ならびにその差が変化する速度を考慮に入れて決定される。通常のPID制御技術を使用することができる。望ましくは、比(QP)/(QWB)は、「理想的」な比(QP)/(QWB)に基づいて設定された最小数値範囲および最大数値範囲内でインクリメントまたはデクリメントされる。
【0165】
万一過剰流出に遭遇したときには、上で検討されている仕方でこの過剰流出が正され、この後、処理が進行される。
【0166】
上述の如く、「理想的」な(QP)/(QWB)は、少なくとも一部には、ドナーの抗凝固全血ヘマトクリット(Hi)の関数である。ドナーの全血ヘマトクリットは処理手順の着手時に物理的に測定することができ、または実験的に決定されたデフォルト値(例えば、女性ドナーの場合には0.41、男性ドナーの場合には0.43)に基づくものであってもよい。
【0167】
システム10は最大容量が既知の血液処理チャンバ18を含んでいるため、コントローラー16は、ある与えられた血液処理手順の着手時に、ドナーの抗凝固全血ヘマトクリットをオンラインで実験的に導出することができる。
【0168】
静脈穿刺が実施され、血液のインレット用および帰還用通路が全血でプライミングされた後、コントローラー16は、ランプアップ位相を受けるべく遠心分離ステーション20を条件付ける。ランプアップ位相では、処理チャンバ18が血液収集速度にまで加速される。全血が分離チャンバ18内へポンピングされる。赤血球出口側チューブが閉止され、一方、血漿出口側チューブが開放される。コントローラー16は、血漿チューブに設けられているセンサーが赤血球の存在を検出するまで、この状態を保持する。この状況の発生は、処理チャンバ18が抗凝固全血で満たされていることを意味する。この状況が発生すると、コントローラー16は処理チャンバ18内へ運ばれた全血の体積を登録する。処理チャンバ18を満たすのに必要な全血の体積は、ドナーの抗凝固全血ヘマトクリットと共に反比例して変動するであろう。成形された処理チャンバ18の体積は一定であり、既知であるため、このドナーに対する抗凝固全血ヘマトクリット値は、ある与えられた処理手順の着手時に測定された、この処理チャンバを満たすのに必要な抗凝固全血の体積から直接的に導出することができる。
【0169】
V.二重赤血球収集手順を果たすための本システムの使用
次に、例証を目的として、一つの典型的な二単位赤血球収集手順を実施するための、装置14およびコントローラー16と協同する形態でのセット12の使用について説明する。
【0170】
A.血液処理チャンバ
図8は、意図された赤血球収集手順を果たすために図1に示されているシステム10と協同する形態で使用することができる遠心分離処理チャンバ18の一つの実施態様を示している。チャンバ18は、図18に示されているチャンバの多くの技術的な特徴および以前に説明されている特徴を共有しており、このため、共通の参照番号を使用する。以前に説明されているように、処理チャンバ18は2つの別々に成形された部片;即ち、基盤200および蓋202で製作される。ハブ204は、円周方向の血液分離チャネル210を定める内側および外側の環状壁206および208により半径方向的に取り囲まれている。成形された環状壁214(図7参照)はチャネル210の底面を閉止する。蓋202はチャネル210の上面を閉止する。組み立ての際、蓋202は、例えば円筒状の音波溶接ホーンを用いることにより、チャンバ18の上面に固定される。
【0171】
以前に説明されているように、内側の環状壁206は1対の補強壁の間で開いている。これらの対向する補強壁はハブ204内の開いた内部領域222を形成しており、この内部領域はチャネル210と連通している。血液および流体は、この領域222を通じて、臍状体100から分離チャネル210内へ入る方向に、および分離チャネル210から出る方向に導かれる。領域222の内側に形成された成形内部壁224はチャネル210を完全に横断して延び、外側の環状壁208とつながっている。壁224は分離チャネル210内の終端を形成しており、この終端は、分離中に、チャネル210に沿って円周方向に流れるのを阻止する。
【0172】
付加的な成形内部壁は領域222を3つの通路226、228および230に分割している。これらの通路226、228および230はハブ204から延び、終端壁224の反対側の側面でチャネル210と連絡している。血液および他の流体はハブ204からこれらの通路226、228および230を通じてチャネル210内へ入る方向に、およびチャネル210から出る方向に方向付けられる。
【0173】
以前に説明されているように、チャンバ18は様々な仕方で回転に対するつり合いを取ることができる。
【0174】
図8に示されている処理チャンバ18が回転させられると(図18の矢印R)、臍状体100は通路226を通じて全血をチャネル210内へ運ぶ。全血は回転方向(図8では反時計方向である)と同じ方向でチャネル210に流入する。血液分離効率にとっては、回転方向と同じ方向の全血の流れが望ましいものと確信されるが、代替的に、チャンバ18を全血の円周方向の流れと反対の方向、即ち時計方向に回転させることもできる。
【0175】
全血は、遠心力の結果として、図12に示されている仕方で分離する。赤血球は高G壁208へ向けて駆動され、一方、それより軽い血漿構成要素は低G壁206へ向けて移送される。
【0176】
図8に示されているように、ダム244が高G壁208へ向けてチャネル210内へ突き出ている。ダム244は血漿の通過を阻止し、一方、赤血球が高G壁208内の窪んだチャネル246に流入するのを許容する。チャネル246は、半径方向通路230を通じて赤血球を臍状体100内へ方向付ける。血漿構成要素は、半径方向通路228を通じてチャネル210から臍状体100内へ運ばれる。
【0177】
赤血球出口側チャネル246は、高G壁よりも回転軸から更に間隔を空けている、高G壁208の外側へ延びているため、赤血球出口側チャネル246は、赤血球収集用通路230内への軟膜の流出(過剰流出状態を創出する)を伴うことなく、血液処理中に、赤血球と軟膜との間の界面を高G壁208に非常に近接して位置付けることを可能にする。これにより、窪んだ出口側チャネル246は、(赤血球収集手順において)赤血球の収量を最大化することを可能にし、または(血漿収集手順において)本質的に血小板を含まない血漿の収集を可能にする。
【0178】
前に説明されているように、血液分離プロセスに影響を及ぼす輪郭、ポート、チャネルおよび壁は、単一の射出成形操作で基盤200に予め形成されてよく、この成形操作中に、成形用マンドレルが基盤200の開放端を通じて挿入および除去される。もし基盤200に予め形成されている輪郭、ポート、チャネルおよび壁が、基盤200の単一の端部を通じて成形用マンドレルを容易に挿入および除去することができない表面を創出している場合には、基盤200は、カップ形のサブアセンブリを入れ子にするか、2つの対称な半割体を用いるかのいずれかにより、または基盤200の両側の端部を通じて成形用材料を除去し、図19に示されているように挿入具242を用いることにより、別々な成形パーツで形成することができる。
【0179】
B.カセット
二単位赤血球手順で使用されるカセット28用のポンプチャンバ、バルブおよび流体パスの内部構成は血漿手順で使用されるカセット28の場合と同じであり、このため、共通の参照番号が使用されている。図24は、二単位赤血球収集手順で使用することができる形態の外部処理容器へ結合された、以前に説明されているカセット28を示している。二単位赤血球収集手順では、これらの容器は血漿収集手順で使用されたのと同じアレー状の容器;即ち、血漿収集容器160、赤血球収集容器またはレザバー162、全血インプロセス容器158、抗凝固剤容器150および処理流体(例えば塩類溶液)容器164を含む。二単位赤血球収集手順では、付加的な容器が使用される;即ち、赤血球添加剤溶液容器168、ならびに白血球除去フィルター170および1つもしくはそれ以上の赤血球貯蔵容器172とこれらに関わる配管178を含む白血球低減収集アセンブリ176。図5および6は、図24に示されているカセット28および収集容器の二単位赤血球収集手順用装置への取り付けを示している。
【0180】
1.収集サイクル
二単位赤血球収集手順の一つの典型的な収集サイクルでは、2単位の赤血球を収集し、その一方で血漿をドナーへ戻すべく、ドナーから引き込まれた全血が処理される。カセット内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2、カセット内の抗凝固剤用ポンプACP、カセット内のインプロセスポンプIPPおよびカセット内の血漿用ポンプPPは、抗凝固血液をインプロセス容器158内へ引き込み、その一方でこの血液を分離するためにインプロセス容器158から処理チャンバ18内へ運ぶべく、連合した空気圧式バルブと協同する形態で、コントローラー16によって空気圧により駆動される。また、この装置は、血漿を処理チャンバから血漿容器160内へ移し、その一方で赤血球を処理チャンバから赤血球容器162内へ移す。この位相は、(重量センサーでモニターしたときに)増分量の血漿が血漿収集容器160に収集されるまで、または(重量センサーでモニターしたときに)目標とする体積の赤血球が赤血球収集容器162に収集されるまで続く。
【0181】
目標とする体積の血漿または赤血球のいずれかが収集される前に、インプロセス容器158内における全血の体積が予め定められた最大閾値に達した場合には、コントローラー16は、インプロセス容器158内における全血の収集を終結し、その一方で血液の分離を尚も継続すべく、ドナーインターフェースポンプDP1/DP2の操作を終結させる。血液の分離中ではあるが、目標とする体積の血漿または赤血球のいずれかが収集される前に、インプロセス容器158内における全血の体積が予め定められた最小閾値に達した場合には、コントローラー16は全血を引き込む工程に戻り、これにより、全血がインプロセス容器158内へ入ることが可能になる。コントローラーは、どちらが先に起こるかにかかわらず、必要な体積の血漿が収集されるまで、または目標とする体積の赤血球が収集されるまで、インプロセス容器158に対する高体積閾値および低体積閾値に応じて、これら2つの状態間でトグル動作する。
【0182】
2.帰還サイクル
一つの典型的な帰還サイクル(目標とする体積の赤血球が収集されていないとき)では、コントローラー16は、分離するために抗凝固全血をインプロセス容器158から処理チャンバ18内へ運び、その一方で血漿を血漿容器160内へ、および赤血球を赤血球容器162内へ移すべく、カセット28内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2、カセット内のインプロセスポンプIPPおよびカセット内の血漿用ポンプPPを連合した空気圧式バルブと協同する形態で操作する。また、この装置は、血漿を血漿容器160からドナーへ運び、その一方で容器164からの塩類溶液を帰還された血漿とインラインで混合する。この塩類溶液と血漿のインライン混合は塩類溶液の温度を高め、ドナーの快適性を改善する。この位相は、重量センサーでモニターしたときに、血漿容器160が空になるまで続く。
【0183】
血漿容器160が空になる前に、インプロセス容器158内の全血の体積が特定の低値側閾値に達した場合には、コントローラー16は、血液の分離を終結させるべく、インプロセスポンプIPPの操作を終結させる。この位相は血漿容器160が空になるまで続く。
【0184】
血漿容器160が空になると、コントローラー16は別の収集サイクルを実施する。コントローラー16は、重量センサーが赤血球収集容器162に所望体積の赤血球が収集されていることを指示するまで、連続的な収集および帰還サイクルを運転する。コントローラー16は、処理チャンバへの血液の供給および処理チャンバからの血液の除去を終結させ、その一方で、血漿容器160内に残存している血漿をドナーへ運ぶべく、カセット28内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2を操作する。次に、コントローラー16は、重量センサーでモニターしたときに、予め定められた置換体積量が注入されるまで、インプロセス容器158内に残存している血液内容物をドナーへ運ぶべく、ならびに塩類溶液をドナーへ運ぶべく、カセット内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2を操作する。
【0185】
3.強制的過少流出(最終的な赤血球パージ)
一つの代替的な実施態様では、コントローラー16は、手順の終わり近くに、分離チャンバから赤血球収集容器への赤血球の強制的な過少流出を引き起こすことにより、全体的な手順に要する時間を短縮する。意図的に強制された過少流出は、手順の終わりに、残存する赤血球体積を分離チャンバからパージし、これにより、収集および最終帰還サイクルを簡単化し、このサイクルに要する時間を短縮する。
【0186】
この実施態様では、コントローラー16は、ある与えられた手順の間に収集されねばならない残りの赤血球の体積を定期的にまたは常にモニターする。コントローラー16は、収集されねばならない残りの赤血球の体積が分離チャンバ18を占有している赤血球の体積に等しくまたは略等しくなったときに、強制的な過少流出状態を開始する。分離チャンバを占有している赤血球の体積は、(i)分離チャンバ18の面積(KA)(チャンバの幾何学的形状に基づく既知の量である);(ii)赤血球パージ中における界面位置の変化(KI)(これもチャンバの幾何学的形状に基づく既知の量である);(iii)インレット側の抗凝固全血ヘマトクリット(Hi)(これの導出方法については前に説明されており、または性別に依存するデフォルト値からなっていてもよい);(iv)アウトレット側の赤血球ヘマトクリットHCTRBC(これの導出方法についても前に説明されている);および(v)赤血球パージシーケンスの開始時にチャンバ18に存在していた赤血球の絶対体積(KRBC)(分離チャンバ18の幾何学的形状に基づく一定値である)に基づいて導出することができる。上述のファクターに基づいて、分離チャンバを占有している赤血球の体積(Forced Under SpillRBC)を導出するための代表的なアルゴリズムは:
Forced Under SpillRBC=(KRBC)+ΔIP*HCTRBC
であり、ここで:ΔIPは過少流出を達成するのに必要なインプロセス血液体積である=(KI)/[(1−(Hi))/HCTRBC/(KA)]。
【0187】
強制的過少流出では、赤血球収集チューブ104は閉止され、血漿収集チューブ106は開放される。この状態で、界面の血小板および白血球層はドナーへ戻すべく血漿と共にチャンバ18から運ばれる。これは赤血球の白血球混入を低減する。赤血球が血漿収集チューブ106に入った状態(これはセンサー146により検出される)であることをコントローラー16が検出すると、コントローラーは血漿収集チューブを閉じ、赤血球収集チューブを開く。この状態は、分離チャンバに蓄積されている赤血球が赤血球収集容器へ運ばれることを可能にする。典型的には、血球収集目標はこの状態により達成される。もし目標に達していない場合には、コントローラー16は正規の赤血球収集状態へ復帰する。
【0188】
赤血球収集手順が完了すると、コントローラー16はエアーパージサイクルに入り、このサイクルの詳細については以降で説明される。
【0189】
4.白血球濾過
赤血球の収集、ならびに血漿および残存血液成分の帰還が完了すると、コントローラー16は、自動的にまたは操作者を促した後に、インライン白血球濾過サイクルに切り替えることができる。このサイクルでは、赤血球が赤血球収集レザバー162から移動され、白血球除去用フィルター170を通じて赤血球貯蔵容器172内へ運ばれる。同時に、容器168から運ばれた所望体積の赤血球貯蔵溶液がこれらの赤血球と混合される。
【0190】
白血球フィルター170は様々に構成することができる。フィルターは、例えば濾過材を包含したハウジングから構成することができ、この濾過材は膜からなっていてよく、またはメルトブローンもしくはスパンボンド合成繊維(例えばナイロンもしくはポリエステル、またはポリプロピレン)、半合成繊維、再生繊維もしくは無機繊維などの繊維性材料でできていてもよい。繊維性材料の場合、この濾過材は深層濾過により白血球を除去する。膜の場合、この濾過材は遮断により白血球を除去する。上述のハウジングは、辺縁を密封された硬質プラスチックプレートからなっていてよい。代替的に、ハウジングは、ジ−2−エチルヘキシル−フタラートで可塑化されたポリ塩化ビニル(PVC−DEHP)などの医療用グレードのプラスチック材料でできた可撓性シートからなっていてもよい。フィルター170は、使用中、本装置の基盤に設けられた保持用固定具182に担持することができる。
【0191】
白血球濾過サイクルの第一段階では、コントローラー16は、赤血球貯蔵容器172、フィルター170および配管178からエアーを引き込み、このエアーを赤血球収集レザバー162へ移送すべく、カセット内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2を操作する。この段階は、白血球除去プロセスが始まる前に赤血球貯蔵容器172内に存在するエアーの体積を最小化する。また、この段階は、ある体積のエアーを赤血球収集容器162に供給し、このエアーは、白血球除去プロセスが完了した後に、フィルター170から赤血球収集容器172へ赤血球をパージするために使用することができる。
【0192】
次の段階では、コントローラー16は、溶液容器168から赤血球収集レザバー162内へプライミング体積の貯蔵溶液を引き込むべく、カセット28内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2を操作する。この段階は、最終的な赤血球貯蔵容器172内へポンピングされるエアーの体積を最小化するため、容器168とカセット28との間の配管180をプライミングする。
【0193】
次の段階では、コントローラー16は、赤血球収集レザバー162から(フィルター170を通じる)赤血球収集容器172内への赤血球のポンピングと、容器168から(同じくフィルター170を通じる)赤血球収集容器172内への赤血球貯蔵溶液のポンピングとを交互に行うべく、カセット28内のドナーインターフェースポンプDP1/DP2を操作する。この交互プロセスは、貯蔵溶液を赤血球と混合する。コントローラー16は、望ましい比の赤血球体積と貯蔵溶液体積を得るため、赤血球および貯蔵溶液に対する空気圧式ポンプの行程数を計数する(例えば、赤血球に対して5回のポンプ行程、続いて、貯蔵溶液に対して2回のポンプ行程を実施し、この交互するシーケンスを繰り返す)。この赤血球と貯蔵溶液との交互供給は、赤血球収集レザバー162に対する重量目盛りがレザバー162が空であることを指示するまで続く。
【0194】
赤血球収集レザバー162が空になると、コントローラー16は、予め定められた体積のエアーをフィルター170を通じて赤血球収集レザバー162からポンピングすべく、ドナーインターフェースポンプDP1/DP2を操作する。このエアーの体積は、白血球除去プロセスが始まる前に赤血球収集レザバー308内へ引き込まれたエアーの体積に基づいて予め決定される。このエアーは、配管、カセット28およびフィルター170内の残存赤血球の存在を最小化すべく、フィルター170から赤血球をパージする機能を果たす。また、この工程は、赤血球収集レザバー162が完全に空であることを確実化する。
【0195】
次に、コントローラー16は、貯蔵溶液体積と赤血球体積との間に所望の比が存在することを確実化するという求めに応じ、フィルター170を通じて付加的な貯蔵溶液を赤血球貯蔵容器172内へポンピングする。この後、最終工程として、コントローラー16は、フィルター170から尚も残存するあらゆる赤血球をすすぎ落とすため、フィルター170を通じて少なくとも予め定められた体積の貯蔵溶液を貯蔵容器172内へポンピングする。この最終工程は、濾過後の赤血球回収百分率を最大化する。望ましくは、コントローラー16は、フィルター170が排液を果たすのを可能に為すため、予め定められた時間の間(例えば20秒間)待機する。
【0196】
白血球濾過サイクルおよび白血球濾過用フィルター170についての更なる詳細は、参照により本明細書に組み入れられる「Blood Separation Systems and Methods that Alternate Flow of Blood Component and Additive Solution through an In−Line Leukofilter」と題する、2001年10月13日に出願された同時係属米国特許出願第09/976,832号に見出すことができる。
【0197】
VI.エアーパージ
ある与えられた血液収集手順の終わりに、チャンバ18は残留体積の赤血球および血漿を含んでいるであろう。これらの残留体積の血液成分をドナーへ戻すことが望ましい。赤血球の場合には特にこれが当てはまる。できるだけ多くの赤血球を戻せる能力を備えていれば、ドナーの赤血球損失を最小化することができ、ドナーからの赤血球収集が許容されない、その後の据え置き期間を短縮することもできる。
【0198】
ドナーへ戻すために分離チャンバから赤血球をフラッシュするための最も効率的な方法は、この分離チャンバを通じて無菌エアーを送り込むことによるものであることが発見された。血液処理後の分離チャンバから赤血球をフラッシュするために、液体ではなく、無菌エアーを使用することにより、血液処理後に処分しなければならない潜在的バイオハザード性廃棄物の重量を少なくすることもできる。
【0199】
無菌エアーは、ある与えられた血液処理手順に先立つ最初のプライミングサイクル中に、本システムからパージされ、インプロセス全血レザバーに停留する。この無菌エアーが、血液処理手順の完了後、続いて分離チャンバから赤血球をフラッシュするための無菌エアーのソースになる。
【0200】
エアーフラッシュの第一位相では、赤血球収集チューブ104が閉止される。エアーが全血インレットチューブ102を通じて分離チャンバ18内へポンピングされ、その間に、残留赤血球は、血漿用ポンプPPの操作により、血漿アウトレットチューブ106を通じてチャンバ18から引き込まれる。この位相は、エアーが血漿チューブ106で検出されるまで続く。この後、エアーフラッシュの第二位相が始まる。
【0201】
第二位相では、血漿アウトレットチューブ106が閉止され、赤血球チューブ104が開放される。分離チャンバ18は、除去するために赤血球をチャンバ18の高G壁に向けて移動させ、また、分離チャンバ18内に存在しているエアーを分離チャンバ18の低G壁に向けて移動させるのに充分な比較的穏やかな回転速度(例えば300RPM)を達成すべく、回転に突入する。この第二位相は、エアーが赤血球チューブ104で検出されるまで続く。この時点で、エアーフラッシュが終結される。
【0202】
赤血球チューブ104および血漿チューブ106におけるエアーの検出は通常の超音波式エアー検出器を用いて果たすことができる。しかし、血漿チューブ106および赤血球チューブ104中の細胞性成分を光学的に検出するために用いられている同じセンサー146および148は、これらのチューブ106および104中におけるエアーの存在を検出するためにも使用できることが発見された。
【0203】
以前に説明されているように、血漿チューブ106のセンサー146は、赤色および緑色の透過光を用いて、チャンバ18を出る血漿中の血小板及び/又は赤血球の濃度を決定する。赤血球チューブ104のセンサー148は、赤外(805nm)の反射光および透過光を用いて、分離チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリットを決定する。センサー146および148はコントローラー16により操作され、コントローラー16はセンサー146および148を定期的に作動させ、出力をサンプリングする。ある与えられたセンサー出力は多数のサンプルの平均である。
【0204】
センサー146または148のいずれかの近くを通る気泡の存在は、このセンサーにより採取された測定サンプルの中で突出した分散を創出し、その大きさは、通常の操作中のサンプル平均の正当性を確認するために使用される分散を有意に上回ることが明らかになっている。サンプリング期間中に採取されたサンプル中における、ある設定された閾値分散を、エアーフラッシュサイクル中のエアーの存在と相互に関連付けることができる。ある与えられたサンプリング期間中に採取された多数のサンプルの分散は、例えば各サンプルとサンプル平均との間の差を総和し、この差の総和を二乗し、この量をサンプルマイナス1の数で割り算することにより決定することができる。
【0205】
血漿ラインセンサー146のケースにおいて、赤色または緑色の透過光測定値のいずれかに対する分散が約4000の閾値分散(この分散は、通常の界面検出を目的としてサンプルの正当性を評価する基準となる分散よりも大きい)を超えている場合には、コントローラー16は、この血漿チューブ106に対する気泡検出信号を発生する。コントローラー16は、エアーフラッシュプロトコルの第一位相から第二位相へシフトする。
【0206】
赤血球ラインセンサー148のケースにおいて、赤外透過光測定値または赤外反射光測定値のいずれかの分散が約2000の閾値分散(この分散も、通常の界面検出を目的としてサンプルの正当性を評価する基準となる分散よりも大きい)を超えている場合には、コントローラー16は、この赤血球チューブ104に対する気泡検出信号を発生する。コントローラー16は、エアーフラッシュプロトコルの第二位相を終結する。
【0207】
VII.カセットの完全性チェック
血液フローセット12の据え付けは、ポンプおよびバルブステーション30におけるカセット28の正しい配置、ドナークランプ154を通じるドナーチューブ126および抗凝固剤チューブ152の正しい引き回し、ならびにドナーチューブ−抗凝固剤チューブ152の接合点の下流におけるクランプ116または止血鉗子の正しい配置を含む。カセットの正しい配置、ドナークランプ154を通じるこれらのチューブ126および152の正しい引き回し、ならびにクランプ116または止血鉗子の存在は、望ましくは、ドナーをフローセットへ接続する前に、あらゆる手順でチェックされる。
【0208】
カセット隔膜304と空気圧式マニホルドアセンブリ34との間の気密シールは、流体圧力作動式のバルブおよびポンプが適切に機能することを保証する上で、ならびにカセット内における流体フローチャネルの完全性を保証する上で必要である。気密シールに加え、流体圧力作動式のバルブおよびポンプを効果的に操作するためには、カセット隔膜304と空気圧式マニホルドアセンブリ34のバルブ面ガスケット318との間にトラップされるエアーの量を最小化すべきである。マニホルドアセンブリ34へのカセット28の据え付けを果たす前のドア袋314の膨張はシーリングを弱める可能性がある。カセットのシーリング表面における遷移点および被損傷部分などの欠陥、ならびにカセットホルダー26内におけるカセット28の不適切な取り付けもシーリングを弱める可能性がある。望ましくは、これらの状態もドナーをフローセット12へ接続する前に検出される。
【0209】
これらの理由から、コントローラー16は、望ましくは、カセットの据え付けおよび完全性に関する一連のチェックも請け負う。一つの代表的な実施形態では、これらの据え付けおよび完全性に関するチェックは(1)ドア袋314の膨張に先立ってポンプおよびバルブステーション30内にカセット28が存在していることを確認する、カセットの存在チェック;(2)カセット隔膜304とバルブ面ガスケット318との間にトラップされたエアーの量を最小化するための排ガスルーチン;(3)カセット28がマニホルドアセンブリ34に適切に着座し、バルブ面ガスケット318に漏れがないことを確認する、バルブクロストークチェック;(4)ドナークランプ154を通じてドナーチューブ126および抗凝固剤チューブ152が正しく引き回されていることを−エアーを用いて−確認する、乾性カセット完全性試験;および(5)バルブのシーリングおよび流体チャネルの完全性を損なわしかねないカセットの欠陥がないことを−液体(例えば塩類溶液)を用いて−確認する、湿性カセット完全性試験を含む。
【0210】
A.カセットの存在チェック
この試験は、ドナーを接続して所望の血液処理セッションを開始する前に、カセット28が据え付けられ、ポンプおよびバルブステーション30のドア32が閉じられていることを確認する。
【0211】
図15を参照しながら説明すると、操作者は、カセット28をポンプおよびバルブステーション30に据え付け、このステーションのドア32を閉じる。もしカセット28が存在していれば、ドア袋314の膨張に利用可能な体積は低減されている。従って、ある与えられた圧力レベルに到達するのに必要な時間は短縮される。ポンプおよびバルブステーション30にカセット28が存在することを確認するためのカセット存在チェックでは、この特性が利用される。
【0212】
コントローラー16は、すべてのカセットバルブおよびポンプを開放すべく真空を加えるようマニホルドアセンブリ34に指示する。次いで、コントローラー16は、空気圧をドア袋314へ加えるようマニホルドアセンブリ34に指示する。コントローラー16は、経過時間も追跡しながら袋314内における圧力の増大を登録する。袋314内の圧力が、予め定められた時間(例えば30秒間)内において、予め定められた閾値圧力(PBLAD)(例えば800mmHg)に等しくなるか、この圧力を超えた場合、コントローラー18は、ステーション内にカセット28が存在するものと判断する。そうでない場合には、コントローラー16は警報を発し、カセット28を取り付けるよう操作者を促す。
【0213】
カセット28の存在が確認されると、コントローラー18は、排ガスルーチンである、次の完全性試験へ進む。
【0214】
B.排ガスルーチン
排ガスルーチンは、ドア32が閉じられた後の、バルブ面ガスケット318とカセット隔膜304との間にトラップされたエアーの量を最小化する(ほぼ、図15参照)。トラップされたエアーは、カセット28内のバルブおよびポンプの性能に悪影響を及ぼしかねない。
【0215】
コントローラー16は、カセット28の存在が確認された後、排ガスルーチンを起動する。排ガスルーチンでは、ドア袋314は、カセット28をマニホルドアセンブリ34に着座させるが、バルブ面ガスケット318との気密シールはもたらさない、予め定められた低めの圧力レベル(例えば約800mmHg未満)にまで膨らまされる。この後、ドア袋314がこの低めの圧力にある間に、コントローラー16は、ある定められた時間の間、PHARD次いでPGENを調節するようマニホルドアセンブリ34に指示する。バルブ面ガスケット318に対するこの異なる圧力の調節は、バルブ面ガスケット318の息吹きをもたらす。この動作は、カセット隔膜304とバルブ面ガスケット318との間にトラップされていた残存エアーを放出させるであろう。予め定められた時間の間、この動作が実施され、その後、ドア袋の圧力はシーリング圧力を意味する全圧(例えば約900mmHg)に調節される。コントローラー18は、バルブクロストーク試験である、次の完全性試験へ進む。
【0216】
C.バルブクロストーク試験
バルブクロストーク試験の目的は、フローセット12の塩類溶液プライミングを開始する前に、バルブ面ガスケット318の漏れを検出することである。コントローラー16は、ドア袋314をシーリング圧力に設定するようマニホルドアセンブリ34に指示する。隣接したバルブおよびポンプチャンバは、例えば以下の如く、コントローラー16により圧力カテゴリーと真空カテゴリーにグループ分けされる(これらのバルブの配列に関する概略的な総括図については図25Aを参照のこと):
【0217】
【表2】
【0218】
コントローラー16は、圧力領域に対しては逐次的にPHARD、PGENを加え、真空領域に対してはVHARDおよびVGENを加えるようマニホルドアセンブリ34に指示する。各圧力/真空レベルでの各領域の圧力漏れ速度が決定され、特定された許容可能なレベル(例えば、約2から3mmHg/秒未満)と比較される。いずれかの領域がこの特定された許容可能なレベルと等しいか、それを上回る漏れ速度を呈している(これは、バルブ面ガスケット318の漏れを指示している)場合には、コントローラーが警報を発する。
【0219】
すべての領域が特定された許容可能なレベル未満の漏れ速度を呈している場合には、コントローラー18は、乾性のカセット完全性試験である、次の完全性試験へ進む。
【0220】
D.乾性カセット完全性試験
乾性のカセット完全性チェックは、フローセットの塩類溶液プライミングを実施する前に、ドナーチューブ126および抗凝固剤チューブ152に関わる取り付け間違い状態を検出する。取り付け間違い状態は以下のいずれか1つまたはこれらの組合せであり得る:(1)ドナーチューブ126及び/又は抗凝固剤チューブ152がドナークランプ154を迂回している;(2)ドナーチューブ126及び/又は抗凝固剤チューブ152が締めつけられている;(3)ドナーチューブ126/抗凝固剤チューブ152の接合点にクランプ116または止血鉗子が無い。取り付け間違い状態に加え、この試験は、製造後の品質保証試験の後、例えば出荷中および使用前の取扱中に生じた可能性のある、ドナーチューブ126、抗凝固剤チューブ152もしくは抗凝固剤容器150のピンホールまたは破損ポートなどのフローセットの欠陥も検出することができる。
【0221】
乾性カセット完全性試験は、エアーを用いてカセット28の選定された領域を加圧する。乾性カセット完全性試験は、流体がカセット28内へ導入される前に適切なカセットの据え付けを確認することができるように、液体の代わりにエアーを使用する。従って、取り付け間違いが検出された場合には、カセット28を未使用の無菌の状態で容易に据え付けし直すことができる。
【0222】
(図25A/25Bおよび26A/26Bに図式的に描かれているように)乾性カセット完全性試験では、コントローラー16は、選定された領域に臍状体100からエアーを引き込むべく、また、この領域内で圧力を保持するために指定されたバルブを閉じるべくカセット28内の指定されたポンプチャンバを作動させるようマニホルドアセンブリ34に指示する。この領域と連通しているポンプチャンバ内において初期圧力が検出される。このポンプチャンバが、閉止状態に設定されているドナークランプ154を通じて、目標とするチューブへ結合される。マニホルドアセンブリ34は、ポンプチャンバからのエアーの放出を試行させるべく、この領域に仕えるポンプチャンバへ正圧を加えるよう指示される。特定された時間の経過後、最終圧力が検出される。目標とするドナーチューブ126または抗凝固剤チューブ152がドナークランプ154に適切に取り付けられている場合には、ドナークランプ154はエアーの流れを阻止し、これにより、圧力降下が起こるのを防止するはずである。圧力降下比(最終圧力/初期圧力)が予め定められた閾値よりも大きい状態を呈している場合には、ドナークランプ154はエアーの流れを阻止しておらず、取り付け間違いが存在するものと判断される。
【0223】
一つの代表的な実施形態では、乾性カセット完全性試験は2つのフェーズから構成される。第一フェーズでは、ドナーチューブ126に関わる取り付け間違い状態が検出される。第二フェーズでは、抗凝固剤チューブ152に関わる取り付け間違い状態が検出される。
【0224】
1.フェーズ1(ドナーチューブの取り付け間違い状態)
フェーズ1の着手時における流体回路306の状態が図25Aに示されている。
【0225】
フェーズ1では、コントローラー16はPGEN、PHARD、VGENおよびVHARDをシステム圧力レベルに調節する。ドナークランプ154が開かれ、カセット28全体が血液処理チャンバ18へ通気される。この後、血漿ポンプPPの操作によりエアーを臍状体からドナーポンプチャンバDP1内へ引き込むことができるパス内のバルブを除き、すべてのカセットバルブを閉止する。流体回路306内において、このパスは、例えばV2/V21を開き(赤血球チューブ104を臍状体100から赤血球容器162まで開く);V1/V16を開き(全血チューブ102を臍状体100内へインプロセスポンプPPPを通じてインプロセス容器158まで開く);V5/V6/V10/V11/V17を開く(血漿チューブ106を臍状体100から血漿ポンプPPを通じてドナーポンプDP1まで開く)ことにより創出することができる。流体回路306内のそれ以外のバルブと同様に、ドナークランプ154は閉じられている。
【0226】
コントローラー16は、指定された回数のポンプ行程で血漿ポンプPPを作動させるべくマニホルドアセンブリ34に指示する。これにより、(図25Aの矢印AIRパスで示されているように)臍状体100からドナーポンプDP1内へエアーが引き込まれる。
【0227】
この後、コントローラー16はV6を閉じるべくマニホルドアセンブリ34に指示し、これにより、臍状体100からのエアーパスが閉止される。次いで、コントローラーはバルブV12/V13/V18を開くべくマニホルドアセンブリ34に指示し、これにより、ドナーポンプPP1からドナーチューブ126へのパスが開放され、このパスは、閉じたままのドナークランプ154のみによって調節される。フェーズ1のこの段階における流体回路306の状態が図25Bに示されている。
【0228】
次に、コントローラー16はPGENおよびVHARDを保持し、VGENを通気し、予め定められた遅延時間の後、ドナーポンプDP1における初期PGEN1を記録すべくマニホルドアセンブリ34に指示する。
【0229】
この後、コントローラー16は、DP1へ予め定められた時間の間圧力を加えるべくマニホルドアセンブリ34に指示する。これにより、エアーは、図25Bの矢印AIRパスで示されているようにドナーポンプDP1からドナークランプ154へ方向付けられる。コントローラー16は存在するPGEN2を記録する。
【0230】
比PGEN2/PGEN1が特定されている値に満たない場合、コントローラー16は、ドナークランプ154を通じてエアーの漏れが生じており、ドナーチューブ126がドナークランプ154に適切に据え付けられていないものと判断する。コントローラー16は、操作者にカセット28を据え付けし直すように促す。比PGEN2/PGEN1が特定されている値に等しいか、その値よりも大きい場合、コントローラー16は、ドナークランプ154を通じるエアーの漏れが起こっておらず、ドナーチューブ126がドナークランプ154に適切に据え付けられているものと判断する。この場合、コントローラー16は乾性カセット完全性試験フェーズ2へ移る。
【0231】
2.フェーズ2(抗凝固剤チューブの取り付け間違い状態)
フェーズ2の着手時における流体回路306の状態が図26Aに示されている。
【0232】
フェーズ2の着手時に、コントローラーは、PGEN、PHARD、VGENおよびVHARDをシステム圧力レベルに調節する。ドナークランプ154が開かれ、カセット28全体が血液処理チャンバ18へ通気される。血漿ポンプPP、ドナーポンプPP1およびドナークランプ154を通じてエアーを臍状体100から抗凝固剤ポンプチャンバACP内へ引き込むことができるパスを確立するバルブを除き、すべてのカセットバルブを閉止する。流体回路306内において、このパスは、例えばV2/V21を開き(赤血球チューブ104を臍状体100から赤血球容器162まで開く);V1/V16を開き(全血チューブ102をインプロセス容器158からインプログレスポンプPPPを通じて臍状体100内へ開く);V5/V6/V10/V11/V17を開き(血漿チューブ106を臍状体100から血漿ポンプPPを通じてドナーポンプDP1まで開く);V12/V13/V22を開く(ドナーチューブ126をドナーポンプPP1からドナーチューブ126および抗凝固剤チューブ152を通じて抗凝固剤ポンプチャンバACP内へ開く)ことにより創出することができる。クランプ116または止血鉗子もクランプ閉止されている。コントローラー16は、指定された回数のポンプ行程で血漿ポンプPPを作動させるべくマニホルドアセンブリ34に指示する。これにより、(図26Aの矢印AIRパスで示されているように)ドナーチューブ126と抗凝固剤チューブ152との接合点を通じて臍状体100から抗凝固剤ポンプACP内へエアーが引き込まれる。この後、コントローラー16は、臍状体100への残りのパスは開いた状態に保ちながら、V22およびドナークランプ154を閉止すべくマニホルドアセンブリ34に指示する。
【0233】
次に、コントローラー16はPGENおよびVHARDを保持し、VGENを通気し、予め定められた遅延時間の後、初期PGEN1を記録すべくマニホルドアセンブリ34に指示する。この後、コントローラー16は、予め定められた時間の間、V22を開放しながらACPに圧力を加えるべくマニホルドアセンブリ34に指示する。抗凝固剤チューブ152を通じてV22を越えるエアーの流れは、閉じられたままのドナークランプ154によってのみ調節される。コントローラー16は存在するPGEN2を記録する。フェーズ2のこの段階における流体回路306の状態が図26Bに示されており、この図にはACPからドナークランプ154への矢印AIRパスが指示されている。
【0234】
比PGEN2/PGEN1が特定されている値に満たない場合、コントローラーは、ドナークランプ154を通じてエアーの漏れが生じており、抗凝固剤チューブ152がドナークランプ154に適切に据え付けられていないものと判断する。コントローラーは、操作者にカセット28を据え付けし直すように促す。比PGEN2/PGEN1が特定されている値に等しいか、その値よりも大きい場合、コントローラーは、ドナークランプ154を通じるエアーの漏れが起こっておらず、抗凝固剤チューブ152がドナークランプ154に適切に据え付けられているものと判断する。この場合、コントローラーは、湿性のカセット完全性チェックである、最後の完全性チェックへ移る。
【0235】
E.湿性カセット完全性チェック
この湿性のカセット完全性チェックは、カセット28自体に起こり得る製品の質およびドナーの安全性に関わる欠陥を検出すべく設計されている。このチェックは、流体回路がプライミング流体、例えば塩類溶液で完全にプライミングされた後に実施される。このチェックは容量性検出を利用し、流体通路にプライミング流体が満たされた状態での選定された試験領域における気密性を維持する流体回路の能力を決定する。
【0236】
湿性カセット完全性試験では、少なくとも1つのポンプチャンバを包含する、選定された試験領域が創られる。試験領域は、試験領域の境界周りのバルブを閉じることにより、流体回路306の残りの部分から空気力学的に密封される。試験では、ポンプチャンバがプライミング流体で満たされる。コントローラー16は、ポンプチャンバからこのプライミング流体を密閉された試験領域内に空ける試行を為すようマニホルドアセンブリ34を条件付ける。容量性検出を用いて、コントローラー16は、空化試行が為された後にチャンバ内に残っている流体の体積を評価する。試行後にポンプチャンバ内に残っている流体の体積が予め定められた最小体積よりも大きい場合、コントローラー16は、試験領域からの流体の漏れを妨げるのに充分な程度、この試験領域が空気力学的に密封されていたものと判断する。試行後にポンプチャンバ内に残っている流体の体積が予め定められた最小体積と等しいか、最小体積よりも少ない場合、コントローラー16は、この試験領域から流体の漏れが起こったものと判断し、欠陥警報を発生する。望ましくは、この試験法は、一連の試験領域を連続的に創出し、試験する。
【0237】
様々な試験領域の境界は、回路が呈し得る種々の可能なシーリング故障を評価することにより定めることができる。
【0238】
一つの代表的な実施形態ではコントローラー16は、目標とする最初の試験領域を創出するため、以下のバルブを開放する:V3;V5;V6;V7;V15;V20;V25。図27は太い実線で試験領域を示している。この試験領域はドナーポンプDP1およびDP2を含み、また、この試験領域は、これを通じて血液および血液成分がドナーへ、およびドナーから運ばれるパスも含んでいる。
【0239】
コントローラー16は、塩類溶液容器164から塩類溶液を試験領域内へ引き込み、塩類溶液で試験領域を予め定められた検出圧力にまで加圧すべく、ドナーポンプDP1/DP2を操作し、適切なバルブを作動させる。このプロセスにおいて、ポンプチャンバDP1/DP2は塩類溶液で満たされる。
【0240】
図27の場合、試験領域は境界バルブV2、V4、V10、V8、V13およびV14により空気力学的に密封されている。コントローラー16は、望ましくは、境界バルブを通じて試験料域を出る流体が辿ることができるリークパスを提供するため、境界バルブの下流に位置する付加的なバルブを開放し、これにより、特定の境界バルブ自体の一層高感度な試験を行うことができる。図27の場合、リークパスを提供するため、境界バルブの下流に位置する以下のバルブを開放することができる:V1;V11;V17;V22;V23;抗凝固剤ポンプACP;血漿ポンプPP;インプロセスポンプIPP;およびドナークランプ154。可能な流体リークパスが図27に仮想線で示されており、リークパスにおいて開放され得る境界バルブの外側のバルブには星印(*)のマークが付けられている。
【0241】
コントローラー16は、バルブV6/V7/V13/V14を閉じることによりポンプチャンバDP1/DP2を隔離し、容量性検出により各チャンバに対するポンプ充填体積を記録する。コントローラー16は、流体を試験領域内へ移動させるため、予め定められた短縮プッシュ時間の間、バルブV6およびV7を開放し、ドナーポンプチャンバDP1およびDP2を閉止することにより、試験下の領域をドナーポンプへ開く。この後、コントローラー16はバルブV6およびV7を閉じ、あるサンプル遅延時間の間待機する。次いで、コントローラー16は容量センサーの読み取り値を得る。どちらかのポンプチャンバに対する最終値が閾値最小値(この値は、例えば完全に空のチャンバでのベースライン体積を表すことができる)よりも小さい場合、試験領域から液漏れが起こっている。警報が発生される。両ポンプチャンバに対する最終値が閾値最小値と等しいか、最小値よりも大きい場合には、液漏れは起こっておらず、試験が先へ進められる。
【0242】
以下のバルブ:V5;V6;V7;V15;V20;V25を開放することにより、別の試験領域の完全性を試験することができる。図28は、太い実線でこの試験領域を示している。コントローラー16は、一層感度の高い試験を創出するための流体リークパスを提供すべく、境界バルブの下流に位置する以下のバルブを開くことができる:V11;V17;V21;V22;V23;抗凝固剤ポンプACP;血漿ポンプPP;インプロセスポンプIPP;およびドナークランプ154。これらの流体リークパスが図28に仮想線で示されており、リークパスにおいて開放され得る境界バルブの外側のバルブには星印(*)のマークが付けられている。
【0243】
ドナーポンプDP1/DP2は、外部塩類溶液容器164からの塩類溶液で試験下の領域を加圧するため、予め定められた回数のポンプ行程で作動される。この時間の間、ドナーポンプチャンバDP1およびDP2は塩類溶液容器164からの塩類溶液で満たされる。コントローラー16は、バルブV6/V7/V13/V14を閉じることによりポンプチャンバDP1/DP2を隔離し、容量性検出により各チャンバに対するポンプ充填体積を記録する。コントローラー16は、流体を試験領域内へ移動させるため、予め定められた短縮プッシュ時間の間、バルブV6およびV7を開放し、ドナーポンプチャンバDP1およびDP2を閉止することにより、試験下の領域をドナーポンプDP1/DP2へ開く。この後、コントローラー16はバルブV6およびV7を閉じ、あるサンプル遅延時間の間待機する。次いで、コントローラー16は容量センサーの読み取り値を得る。どちらかのポンプチャンバに対する最終値が閾値(この値は空のチャンバでのベースライン体積を表す)よりも小さい場合、試験領域への液漏れが起こっている。警報が発生される。両ポンプチャンバに対する最終値が閾値(この値は空のチャンバでのベースライン体積を表す)と等しいか、この値よりも大きい場合には、液漏れは起こっておらず、試験が先へ進められる。
【0244】
以下のバルブを開放することにより別の試験領域の完全性を試験することができ、以下のバルブは更なる別の試験領域を創出するために開放される:V4;V13;V14;V15;およびV20。図29はこの試験領域を太い実線で示している。先行する試験領域の場合と同様に、リークパスを創出するため、境界バルブの下流に位置する以下のバルブを開放することができる:V3;V5;V10;V11;V21;V22;V23;抗凝固剤ポンプACP;血漿ポンプPP;インプロセスポンプIPP;およびドナークランプ154。これらの流体リークパスが図29に太い仮想線で示されており、リークパスにおいて開放され得る境界バルブの外側のバルブには星印(*)のマークが付けられている。
【0245】
ドナーポンプDP1/DP2は、臍状体100を通すことにより、インプロセス容器158からの塩類溶液で試験下の領域を加圧するため、予め定められた回数のポンプ行程で作動される。この時間の間、ドナーポンプチャンバDP1およびDP2は塩類溶液で満たされる。コントローラー16は、バルブV6/V7/V13/V14を閉じることによりポンプチャンバDP1/DP2を隔離し、容量性検出により各チャンバに対するポンプ充填体積を記録する。コントローラー16は、流体を試験領域内へ移動させるため、予め定められた短縮プッシュ時間の間、バルブV13およびV14を開放し、ドナーポンプチャンバDP1およびDP2を閉止することにより、試験下の領域をドナーポンプへ開く。この後、コントローラー16はバルブV13およびV14を閉じ、あるサンプル遅延時間の間待機する。次いで、コントローラー16は容量センサーの読み取り値を得る。どちらかのポンプチャンバに対する最終値が閾値(この値は空のチャンバでのベースライン体積を表す)よりも小さい場合、試験領域への液漏れが起こっている。警報が発生される。両ポンプチャンバに対する最終値が閾値(この値は空のチャンバでのベースライン体積を表す)と等しいか、この値よりも大きい場合には、液漏れは起こっておらず、代表的な実施形態の3−フェーズ試験が終了される。
【0246】
勿論、他の試験領域を確立し、上述の論理的根拠により試験することもできよう。
【0247】
一連のカセット完全性試験の後、静脈穿刺および本システム10を用いる血液処理を進めることができる。
【0248】
VIII.結論
保管および血液成分療法のため、全血を構成成分部分に分離する用途での使用を説明することにより、本発明の多くの特徴を明らかにしてきた。これは、本発明がこれらの血液処理手順を実施する用途での使用に非常に適合していることによるものである。しかし、本発明の特徴は他の処理手順での使用にも同等に役立つことを理解すべきである。
【0249】
例えば、血液処理チャンバと協同する形態でプログラム可能なカセットを使用する、ここで説明されているシステムおよび方法は、手術中に血球を洗浄または回収する目的で、もしくは治療学的な血漿交換を実施する目的で、または血液が治療のための体外パス内で循環される他のあらゆる手順において使用することができる。更に、ここで説明されているシステムおよび方法は、血管循環系から引き込まれた人間または動物の血液の処理に限定されるものではなく、血管循環系の外部で創られ、細胞性血液成分、または組換え技術により生成された物質もしくは天然に生じるソースから収集された物質を包含した懸濁液を処理または分離するために使用することもできる。
【0250】
本発明の特徴は以下の特許請求項で明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0251】
【図1】図1は、理想的には血液を処理するのに適した流体処理システムの透視図であり、このシステムは、(移動および保管用に閉じられた状態で示されている)血液処理装置と、(使用前の移動および保管用にトレーに包装された状態で示されている)使い捨て式の液体および血液フローセットとを含み、このフローセットは、1つもしくはそれ以上の血液成分の分離および収集をもたらすべく上述の血液処理装置と相互作用する。
【図2】図2は、図1に示されている血液処理装置の透視図であり、操作用に開かれた状態で示されている。
【図3】図3は、血液処理チャンバおよびポンプを受け入れるべく開かれた遠心分離ステーション、ならびに流体圧力作動式カセットを受け入れるべく開かれたバルブステーションを伴った状態の、図2に示されている血液処理装置の透視図である。
【図4】図4は、フローセットを本装置に取り付けるべく位置付けられた使い捨て式の液体および血液フローセットを含むトレーを伴った状態の、図3に示されている血液処理装置の透視図である。
【図5】図5および6は、それぞれ、使用するために液体および血液フローセットを本装置に取り付けた後の状態の、図2に示されている血液処理装置の右側および左側からの透視図である。
【図6】図5および6は、それぞれ、使用するために液体および血液フローセットを本装置に取り付けた後の状態の、図2に示されている血液処理装置の右側および左側からの透視図である。
【図7】図7は、血液処理チャンバと、図5および6に示されている液体および血液フローセットの一部を形成する、取り付け後の臍状体の透視図である。
【図8】図8は、図7に示されているタイプの血液処理チャンバにおける一つの代表的な実施態様の内部の透視図であり、このチャンバの内部は、図5および6に示されている装置を用いて赤血球の分離および収集手順を果たすことができるように構成されている。
【図9】図9は、図7に示されているタイプの血液処理チャンバを受け入れるべく開かれた状態のステーションドアを伴う、図5および6に示されている装置における遠心分離ステーションの内部の透視図である。
【図10】図10は、使用するために図7に示されているタイプの血液処理チャンバが取り付けられた後の状態の、図9に示されている遠心分離ステーションの内部の透視図である。
【図11A】図11Aは、図7に示されている臍状体により担持された固定具の拡大透視図であり、図5および6に示されている装置の一部を形成する光学的検出ステーションとの意図的関わり合いが示されている。
【図11B】図11Bは、図11Aに示されている光学的検出ステーションの側面断面図である。
【図11C】図11Cは、図11Aに示されている光学的検出ステーションの分解透視図である。
【図11D】図11Dは、図11Aに示されている光学的検出ステーション上面図である。
【図11E】図11Eおよび11Fは、図11Aに示されている光学的検出ステーションと協同する状態で使用することができる回路の略図である。
【図11F】図11Eおよび11Fは、図11Aに示されている光学的検出ステーションと協同する状態で使用することができる回路の略図である。
【図12】図12は、図7に示されているタイプにおける血液処理チャンバの内部の概略図であり、全血を赤血球層、血漿層および中間の軟膜層に分離した様子を描いており、これらの層の位置が望ましい関係で示されている。
【図13】図13は、図7に示されているタイプにおける血液処理チャンバの内部の概略図であり、軟膜層が低G壁に非常に近接した位置へ移動し、収集される血漿中に軟膜成分が入り込む、望ましくない過剰流出状態が創出された様子を示している。
【図14】図14は、図7に示されているタイプにおける血液処理チャンバの内部の概略図であり、軟膜層が高G壁に非常に近接した位置へ移動し、収集される赤血球のヘマトクリットの低減をもたらす、望ましくない過少流出状態が創出された様子を示している。
【図15】図15は、図5および6に示されている液体および血液フローセットの一部を形成する流体圧力作動式カセットの分解透視図であり、このカセットを通じて液体および血液を循環させるべくこのカセットに正および負の空気圧を加える、これも図5および6に示されている、本装置のポンプおよびバルブステーションとの操作上の関わり合いが示されている。
【図16】図16は、異なる血液処理および収集手順の実行を可能にすべく、図15に示されているカセットに装備され得る流体回路の略図である。
【図17】図17は、カセットの平面図であり、このカセットには図17に示されている流体回路が装備されている。
【図18】図18は、図7に示されているタイプの血液処理チャンバの代表的な実施態様における内部の上面透視図であり、このチャンバの内部は、図5および6に示されている装置を用いて血漿分離および収集手順を果たすことができるように構成されている。
【図19】図19は、図18に示されている血液処理チャンバの底面透視図である。
【図20】図20は、図18に示されている血液処理チャンバにおける内部領域の拡大された側面透視図であり、分離ゾーンから赤血球を血漿とは別のパスに方向付けるテーパー付き表面を有するバリヤーを示している。
【図21】図21は、図20に示されている領域の拡大された底面透視図であり、赤血球がバリヤーにより分離ゾーンから方向付けられたときにそれらの赤血球が辿るパスを示している。
【図22】図22は、図20に示されている領域の拡大された上面透視図であり、赤血球と血漿がバリヤーにより分離ゾーンから方向付けられたときにそれらの赤血球および血漿が辿る別々のパスを示している。
【図23】図23は、血漿収集手順で使用することができる構成の液体および血液フローセットに結合された、図16および17に示されているタイプのカセットの略図である。
【図24】図24は、二単位赤血球収集手順で使用することができる構成の液体および血液フローセットに結合された、図16および17に示されているタイプのカセットの略図であり、血液処理装置に取り付けられた後の、図5および6に示されている血液フローセットも描かれている。
【図25A】図25Aおよび25Bは、ドナーへおよびドナーから血液および液体を運ぶべく意図された配管が、図5および6に示されている如く、本装置に適切に取り付けられていることを確証する制御された仕方でエアーを移送することができるように、正および負の空気圧を加えることにより条件付けされている、図16に示されている流体回路の略図である。
【図25B】図25Aおよび25Bは、ドナーへおよびドナーから血液および液体を運ぶべく意図された配管が、図5および6に示されている如く、本装置に適切に取り付けられていることを確証する制御された仕方でエアーを移送することができるように、正および負の空気圧を加えることにより条件付けされている、図16に示されている流体回路の略図である。
【図26A】図26Aおよび26Bは、ドナーから引き込まれた血液中に抗凝固剤を運ぶべく意図された配管が、図5および6に示されている如く、本装置に適切に取り付けられていることを確証する制御された仕方でエアーを移送することができるように、正および負の空気圧を加えることにより条件付けされている、図16に示されている流体回路の略図である。
【図26B】図26Aおよび26Bは、ドナーから引き込まれた血液中に抗凝固剤を運ぶべく意図された配管が、図5および6に示されている如く、本装置に適切に取り付けられていることを確証する制御された仕方でエアーを移送することができるように、正および負の空気圧を加えることにより条件付けされている、図16に示されている流体回路の略図である。
【図27】図27から29までは、使用する前にカセットの物理的な完全性を確証する制御された仕方で液体を移送することができるように、正および負の空気圧を加えることにより条件付けされている、図16に示されている流体回路の略図である。
【図28】図27から29までは、使用する前にカセットの物理的な完全性を確証する制御された仕方で液体を移送することができるように、正および負の空気圧を加えることにより条件付けされている、図16に示されている流体回路の略図である
【図29】図27から29までは、使用する前にカセットの物理的な完全性を確証する制御された仕方で液体を移送することができるように、正および負の空気圧を加えることにより条件付けされている、図16に示されている流体回路の略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸の回りで回転させるための血液分離チャンバであって、該チャンバは、以下:
低G壁および高G壁であって、該軸の周りを円周方向に間隔をあけた関係で広がり、該低G壁および該高G壁の間に、環状の境界壁を有する環状分離チャネルを規定する、低G壁および高G壁;
インレット通路であって、血液を、血液成分に分離するために、円周方向の流路に沿って該分離チャネル内へ運ぶためのインレット通路;
該インレット通路から下流の流れ方向に間隔を空けて位置するバリヤー壁であって、該バリヤー壁は、該高G壁から低G壁へとほぼ半径方向に該分離チャネル内へと部分的に広がっており、それによって、該低G壁に沿った狭窄チャネルを規定しており、該低G壁に隣接した血液成分は該狭窄チャネルに方向付けられ、また、該バリヤー壁は、該環状境界壁へ向けて高G壁に沿ってほぼ軸方向に広がる表面を有しており、高G壁に隣接した血液成分は、該表面に沿って方向付けられる、バリヤー壁;
該低G壁に隣接した第一の開口を通じて該分離チャネルと連絡する第一の通路であって、該狭窄チャネルが、該第一の開口と隣り合っており、その結果、該分離チャネルから除去されるために、該狭窄チャネルに方向付けられた血液成分が該第一の通路に入る、第一の通路;および
該環状境界壁から軸方向に間隔を空けて高G壁に隣接している第二の開口を通じて該分離チャネルと連絡する第二の通路であって、前記バリヤー壁の表面は、該表面に沿って方向付けられた血液成分が該分離チャネルから除去するための該第二の通路に入ることができるように該第二の開口と隣り合っている、第二の通路;
を備える、血液分離チャンバ。
【請求項2】
前記第二の通路が、前記高G壁に沿って該第二の通路を狭窄すべく前記第二の開口において該第二の通路内で半径方向に広がるレッジを備える、
請求項1に記載のチャンバ。
【請求項3】
前記第二の開口から離れ、前記レッジが低G壁とほぼ整列した軸方向表面と隣り合っており、該第二の通路に入る血液成分が、該分離チャネルから除去するため、前記軸方向表面に沿って該環状境界壁から離れる方向へ方向付けられる、請求項2に記載のチャンバ。
【請求項4】
前記第一の通路および前記第二の通路が、相互に隔離されている、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項5】
前記バリヤー壁は、前記表面に沿って方向付けられる血液成分が赤血球を含むようなサイズおよび形状に為されている、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項6】
前記バリヤー壁は、前記表面に沿って方向付けられる血液成分が、赤血球、血小板および白血球を含むようなサイズおよび形状に為されている、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項7】
前記バリヤー壁は、前記狭窄チャネルに方向付けられる血液成分が血漿を含むようなサイズおよび形状に為されている、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項8】
前記低G壁および前記高G壁、ならびに前記バリヤー壁が、単一形成体からなる、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項9】
前記形成体が、該血液分離チャンバを一つのユニットとして該回転軸の回りで回転させるためのローター機構に解放可能に取り付けるためのコンポーネントを備える、請求項8に記載のチャンバ。
【請求項10】
前記環状分離チャネルが、前記回転軸と整列したセンターハブの周りに延びており;
前記第一の通路および前記第二の通路が、前記環状分離チャネルへ向けて該ハブから半径方向に延びている、
請求項1に記載のチャンバ。
【請求項11】
前記ハブが、前記第一の通路および第二の通路から血液を運ぶべく該第一の通路および第二の通路と協同する形態で外部配管を該ハブに結合するためのコネクターを備える、請求項10に記載のチャンバ。
【請求項12】
前記表面は該高G壁に沿ってほぼ軸方向のテーパーが付いている、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項13】
請求項1に記載のチャンバであって、該チャンバは、前記分離チャネルにおける終端を定めるべく、該環状分離チャネルを半径方向に横断して広がる内部壁
をさらに備え、ここで、前記バリヤー壁が、血液の流れの方向において、前記終端から円周方向に間隔を空けている、チャンバ。
【請求項14】
軸の回りで回転させるための血液分離チャンバであって、該チャンバは、以下:
低G壁および高G壁であって、該軸の周りを円周方向に間隔をあけた関係で広がり、該低G壁および該高G壁の間に、環状の境界壁を有する環状分離チャネルを規定する、低G壁および高G壁;
血液を、円周方向の流路に沿って、血液成分に分離するための該分離チャネル内へ運ぶためのインレット通路;
該インレット通路から下流の流れ方向に間隔を空けて位置するバリヤー壁であって、該バリヤー壁は高G壁から低G壁へ向けてほぼ半径方向に該分離チャネルへ部分的に延びていて、これにより、低G壁に沿った狭窄チャネルを規定しており、低G壁に隣接した血液成分は該狭窄チャネルに方向付けられる、バリヤー壁;
第一の開口を通じて該分離チャネルと連絡する第一の通路であって、該第一の開口は、低G壁と隣接し、また、該狭窄チャネルに方向付けられた血液成分が該分離チャネルから除去するための該第一の通路に入ることができるように該狭窄チャネルと隣り合っている、第一の通路;および
第二の開口を通じて該分離チャネルと連絡する第二の通路であって、該第二の開口は、高G壁と隣接し、また、該環状境界壁に面しており、該第二の通路は高G壁に沿った狭窄チャネルを定めるべく該第二の開口において該第二の通路内で半径方向に広がるレッジを含み、高G壁に沿った血液成分は、該狭窄チャネルを通じて該分離チャネルから除去するための該第二の通路に入る、第二の通路;
を備える、血液分離チャンバ。
【請求項15】
前記第二の開口から離れ、前記レッジが低G壁とほぼ整列した軸方向表面と隣り合っており、該第二の通路に入る血液成分が、該分離チャネルから除去するため、前記軸方向表面に沿って該環状境界壁から離れる方向へ方向付けられる、請求項14に記載のチャンバ。
【請求項16】
前記第一および第二の通路が相互に隔離されている、
請求項14に記載のチャンバ。
【請求項17】
前記バリヤー壁は、該第二の通路により除去される血液成分が赤血球を含むようなサイズおよび形状に為されている、請求項14に記載のチャンバ。
【請求項18】
前記バリヤー壁は、該第二の通路により除去される血液成分が赤血球、血小板および白血球を含むようなサイズおよび形状に為されている、請求項14に記載のチャンバ。
【請求項19】
前記バリヤー壁は、該第一の通路により除去される血液成分が血漿を含むようなサイズおよび形状に為されている、請求項14に記載のチャンバ。
【請求項20】
前記低G壁および前記高G壁、ならびに前記バリヤー壁が単一形成体からなる、請求項14に記載のチャンバ。
【請求項21】
前記形成体が、該血液分離チャンバを一つのユニットとして前記回転軸の回りで回転させるためのローター機構に解放可能に取り付けるためのコンポーネントを備える、請求項20に記載のチャンバ。
【請求項22】
前記環状分離チャネルが、該回転軸と整列したセンターハブの周りに延びており;
前記第一の通路および第二の通路が、前記環状分離チャネルへ向けて該ハブから半径方向に延びている、
請求項14に記載のチャンバ。
【請求項23】
前記ハブが、前記第一の通路および第二の通路から血液を運ぶべく該第一の通路および第二の通路と協同する形態で外部配管を該ハブに結合するためのコネクターを備える、請求項22に記載のチャンバ。
【請求項24】
前記分離チャネルにおける終端を定めるべく、前記環状分離チャネルを半径方向に横断して広がる内部壁をさらに備え、ここで、前記バリヤー壁が、血液の流れの方向において、前記終端から円周方向に間隔を空けている、請求項14に記載のチャンバ。
【請求項25】
血液分離方法であって、該方法は、以下の工程:
血液を血液成分に分離するために、軸の回りで分離チャネルを回転させながら、低G壁と高G壁との間の該環状分離チャネルに血液を導入する工程であって、該環状分離チャネルが環状の境界壁を有している、血液導入工程;
第一の血液成分を該低G壁に沿って狭窄チャネルへ方向付ける工程;
低G壁に隣接した該狭窄チャネルと隣り合う開口を通じて該分離チャネルと連絡する第一のパスを通じて該第一の血液成分を除去する工程;
該環状境界壁へ向けて高G壁に沿ってほぼ軸方向に広がる表面に沿って第二の血液成分を方向付ける工程;および
該環状境界壁から軸方向に間隔を空けて高G壁に隣接した該表面と隣り合う開口を通じて該分離チャネルと連絡する第二のパスを通じて該第二の血液成分を収集する工程;
を包含する、血液分離方法。
【請求項26】
前記第二の通路が、高G壁に沿って該第二の通路を狭窄すべく前記第二の開口において該第二の通路内で半径方向に広がるレッジを備える、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第二の開口から離れ、前記レッジが低G壁とほぼ整列した軸方向表面と隣り合っており、該第二の通路に入る血液成分が、該分離チャネルから除去するため、前記軸方向表面に沿って該環状境界壁から離れる方向へ方向付けられる、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記第一および第二の血液成分が少なくとも一時は同時的に収集される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記第二の血液成分が赤血球を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記第二の血液成分が赤血球、血小板および白血球を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記第一の血液成分が血漿を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
血液分離方法であって、該方法は、以下の工程:
血液を血液成分に分離するために、軸の回りで分離チャネルを回転させながら、低G壁と高G壁との間の環状分離チャネルに血液を導入する工程であって、該環状分離チャネルが環状の境界壁を有している、血液導入工程;
該低G壁に隣接した狭窄チャネルと隣り合う第一の開口を通じて該分離チャネルと連絡する第一のパスを通じて除去するために、第一の血液成分を低G壁に沿って該狭窄チャネルへ方向付ける工程;および
第二の血液成分を、高G壁に隣接し、また、該環状境界壁に面する第二の開口を通じて該分離チャネルと連絡する第二のパスを通じて除去すべく方向付ける工程であって、該第二の通路は高G壁に沿った狭窄チャネルを定めるべく該第二の開口において該第二の通路内で半径方向に広がるレッジを含み、高G壁に沿った該血液成分は、該狭窄チャネルを通じて該分離チャネルから除去するための該第二のパスに入る、第二の血液成分の指向工程;
を包含する、
血液分離方法。
【請求項33】
前記第二の開口から離れ、前記レッジが低G壁とほぼ整列した軸方向表面と隣り合っており、該第二の通路に入る血液成分が、該分離チャネルから除去するため、前記軸方向表面に沿って該環状境界壁から離れる方向へ方向付けられる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第一および第二の血液成分が、少なくとも一時は同時的に収集される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記第二の血液成分が、赤血球を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記第二の血液成分が、赤血球、血小板および白血球を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記第一の血液成分が、血漿を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項1】
軸の回りで回転させるための血液分離チャンバであって、該チャンバは、以下:
低G壁および高G壁であって、該軸の周りを円周方向に間隔をあけた関係で広がり、該低G壁および該高G壁の間に、環状の境界壁を有する環状分離チャネルを規定する、低G壁および高G壁;
インレット通路であって、血液を、血液成分に分離するために、円周方向の流路に沿って該分離チャネル内へ運ぶためのインレット通路;
該インレット通路から下流の流れ方向に間隔を空けて位置するバリヤー壁であって、該バリヤー壁は、該高G壁から低G壁へとほぼ半径方向に該分離チャネル内へと部分的に広がっており、それによって、該低G壁に沿った狭窄チャネルを規定しており、該低G壁に隣接した血液成分は該狭窄チャネルに方向付けられ、また、該バリヤー壁は、該環状境界壁へ向けて高G壁に沿ってほぼ軸方向に広がる表面を有しており、高G壁に隣接した血液成分は、該表面に沿って方向付けられる、バリヤー壁;
該低G壁に隣接した第一の開口を通じて該分離チャネルと連絡する第一の通路であって、該狭窄チャネルが、該第一の開口と隣り合っており、その結果、該分離チャネルから除去されるために、該狭窄チャネルに方向付けられた血液成分が該第一の通路に入る、第一の通路;および
該環状境界壁から軸方向に間隔を空けて高G壁に隣接している第二の開口を通じて該分離チャネルと連絡する第二の通路であって、前記バリヤー壁の表面は、該表面に沿って方向付けられた血液成分が該分離チャネルから除去するための該第二の通路に入ることができるように該第二の開口と隣り合っている、第二の通路;
を備える、血液分離チャンバ。
【請求項2】
前記第二の通路が、前記高G壁に沿って該第二の通路を狭窄すべく前記第二の開口において該第二の通路内で半径方向に広がるレッジを備える、
請求項1に記載のチャンバ。
【請求項3】
前記第二の開口から離れ、前記レッジが低G壁とほぼ整列した軸方向表面と隣り合っており、該第二の通路に入る血液成分が、該分離チャネルから除去するため、前記軸方向表面に沿って該環状境界壁から離れる方向へ方向付けられる、請求項2に記載のチャンバ。
【請求項4】
前記第一の通路および前記第二の通路が、相互に隔離されている、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項5】
前記バリヤー壁は、前記表面に沿って方向付けられる血液成分が赤血球を含むようなサイズおよび形状に為されている、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項6】
前記バリヤー壁は、前記表面に沿って方向付けられる血液成分が、赤血球、血小板および白血球を含むようなサイズおよび形状に為されている、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項7】
前記バリヤー壁は、前記狭窄チャネルに方向付けられる血液成分が血漿を含むようなサイズおよび形状に為されている、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項8】
前記低G壁および前記高G壁、ならびに前記バリヤー壁が、単一形成体からなる、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項9】
前記形成体が、該血液分離チャンバを一つのユニットとして該回転軸の回りで回転させるためのローター機構に解放可能に取り付けるためのコンポーネントを備える、請求項8に記載のチャンバ。
【請求項10】
前記環状分離チャネルが、前記回転軸と整列したセンターハブの周りに延びており;
前記第一の通路および前記第二の通路が、前記環状分離チャネルへ向けて該ハブから半径方向に延びている、
請求項1に記載のチャンバ。
【請求項11】
前記ハブが、前記第一の通路および第二の通路から血液を運ぶべく該第一の通路および第二の通路と協同する形態で外部配管を該ハブに結合するためのコネクターを備える、請求項10に記載のチャンバ。
【請求項12】
前記表面は該高G壁に沿ってほぼ軸方向のテーパーが付いている、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項13】
請求項1に記載のチャンバであって、該チャンバは、前記分離チャネルにおける終端を定めるべく、該環状分離チャネルを半径方向に横断して広がる内部壁
をさらに備え、ここで、前記バリヤー壁が、血液の流れの方向において、前記終端から円周方向に間隔を空けている、チャンバ。
【請求項14】
軸の回りで回転させるための血液分離チャンバであって、該チャンバは、以下:
低G壁および高G壁であって、該軸の周りを円周方向に間隔をあけた関係で広がり、該低G壁および該高G壁の間に、環状の境界壁を有する環状分離チャネルを規定する、低G壁および高G壁;
血液を、円周方向の流路に沿って、血液成分に分離するための該分離チャネル内へ運ぶためのインレット通路;
該インレット通路から下流の流れ方向に間隔を空けて位置するバリヤー壁であって、該バリヤー壁は高G壁から低G壁へ向けてほぼ半径方向に該分離チャネルへ部分的に延びていて、これにより、低G壁に沿った狭窄チャネルを規定しており、低G壁に隣接した血液成分は該狭窄チャネルに方向付けられる、バリヤー壁;
第一の開口を通じて該分離チャネルと連絡する第一の通路であって、該第一の開口は、低G壁と隣接し、また、該狭窄チャネルに方向付けられた血液成分が該分離チャネルから除去するための該第一の通路に入ることができるように該狭窄チャネルと隣り合っている、第一の通路;および
第二の開口を通じて該分離チャネルと連絡する第二の通路であって、該第二の開口は、高G壁と隣接し、また、該環状境界壁に面しており、該第二の通路は高G壁に沿った狭窄チャネルを定めるべく該第二の開口において該第二の通路内で半径方向に広がるレッジを含み、高G壁に沿った血液成分は、該狭窄チャネルを通じて該分離チャネルから除去するための該第二の通路に入る、第二の通路;
を備える、血液分離チャンバ。
【請求項15】
前記第二の開口から離れ、前記レッジが低G壁とほぼ整列した軸方向表面と隣り合っており、該第二の通路に入る血液成分が、該分離チャネルから除去するため、前記軸方向表面に沿って該環状境界壁から離れる方向へ方向付けられる、請求項14に記載のチャンバ。
【請求項16】
前記第一および第二の通路が相互に隔離されている、
請求項14に記載のチャンバ。
【請求項17】
前記バリヤー壁は、該第二の通路により除去される血液成分が赤血球を含むようなサイズおよび形状に為されている、請求項14に記載のチャンバ。
【請求項18】
前記バリヤー壁は、該第二の通路により除去される血液成分が赤血球、血小板および白血球を含むようなサイズおよび形状に為されている、請求項14に記載のチャンバ。
【請求項19】
前記バリヤー壁は、該第一の通路により除去される血液成分が血漿を含むようなサイズおよび形状に為されている、請求項14に記載のチャンバ。
【請求項20】
前記低G壁および前記高G壁、ならびに前記バリヤー壁が単一形成体からなる、請求項14に記載のチャンバ。
【請求項21】
前記形成体が、該血液分離チャンバを一つのユニットとして前記回転軸の回りで回転させるためのローター機構に解放可能に取り付けるためのコンポーネントを備える、請求項20に記載のチャンバ。
【請求項22】
前記環状分離チャネルが、該回転軸と整列したセンターハブの周りに延びており;
前記第一の通路および第二の通路が、前記環状分離チャネルへ向けて該ハブから半径方向に延びている、
請求項14に記載のチャンバ。
【請求項23】
前記ハブが、前記第一の通路および第二の通路から血液を運ぶべく該第一の通路および第二の通路と協同する形態で外部配管を該ハブに結合するためのコネクターを備える、請求項22に記載のチャンバ。
【請求項24】
前記分離チャネルにおける終端を定めるべく、前記環状分離チャネルを半径方向に横断して広がる内部壁をさらに備え、ここで、前記バリヤー壁が、血液の流れの方向において、前記終端から円周方向に間隔を空けている、請求項14に記載のチャンバ。
【請求項25】
血液分離方法であって、該方法は、以下の工程:
血液を血液成分に分離するために、軸の回りで分離チャネルを回転させながら、低G壁と高G壁との間の該環状分離チャネルに血液を導入する工程であって、該環状分離チャネルが環状の境界壁を有している、血液導入工程;
第一の血液成分を該低G壁に沿って狭窄チャネルへ方向付ける工程;
低G壁に隣接した該狭窄チャネルと隣り合う開口を通じて該分離チャネルと連絡する第一のパスを通じて該第一の血液成分を除去する工程;
該環状境界壁へ向けて高G壁に沿ってほぼ軸方向に広がる表面に沿って第二の血液成分を方向付ける工程;および
該環状境界壁から軸方向に間隔を空けて高G壁に隣接した該表面と隣り合う開口を通じて該分離チャネルと連絡する第二のパスを通じて該第二の血液成分を収集する工程;
を包含する、血液分離方法。
【請求項26】
前記第二の通路が、高G壁に沿って該第二の通路を狭窄すべく前記第二の開口において該第二の通路内で半径方向に広がるレッジを備える、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第二の開口から離れ、前記レッジが低G壁とほぼ整列した軸方向表面と隣り合っており、該第二の通路に入る血液成分が、該分離チャネルから除去するため、前記軸方向表面に沿って該環状境界壁から離れる方向へ方向付けられる、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記第一および第二の血液成分が少なくとも一時は同時的に収集される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記第二の血液成分が赤血球を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記第二の血液成分が赤血球、血小板および白血球を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記第一の血液成分が血漿を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
血液分離方法であって、該方法は、以下の工程:
血液を血液成分に分離するために、軸の回りで分離チャネルを回転させながら、低G壁と高G壁との間の環状分離チャネルに血液を導入する工程であって、該環状分離チャネルが環状の境界壁を有している、血液導入工程;
該低G壁に隣接した狭窄チャネルと隣り合う第一の開口を通じて該分離チャネルと連絡する第一のパスを通じて除去するために、第一の血液成分を低G壁に沿って該狭窄チャネルへ方向付ける工程;および
第二の血液成分を、高G壁に隣接し、また、該環状境界壁に面する第二の開口を通じて該分離チャネルと連絡する第二のパスを通じて除去すべく方向付ける工程であって、該第二の通路は高G壁に沿った狭窄チャネルを定めるべく該第二の開口において該第二の通路内で半径方向に広がるレッジを含み、高G壁に沿った該血液成分は、該狭窄チャネルを通じて該分離チャネルから除去するための該第二のパスに入る、第二の血液成分の指向工程;
を包含する、
血液分離方法。
【請求項33】
前記第二の開口から離れ、前記レッジが低G壁とほぼ整列した軸方向表面と隣り合っており、該第二の通路に入る血液成分が、該分離チャネルから除去するため、前記軸方向表面に沿って該環状境界壁から離れる方向へ方向付けられる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第一および第二の血液成分が、少なくとも一時は同時的に収集される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記第二の血液成分が、赤血球を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記第二の血液成分が、赤血球、血小板および白血球を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記第一の血液成分が、血漿を含む、請求項32に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11E】
【図11F】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11E】
【図11F】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28】
【図29】
【公表番号】特表2006−503650(P2006−503650A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546955(P2004−546955)
【出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/033297
【国際公開番号】WO2004/037066
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/033297
【国際公開番号】WO2004/037066
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】
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