説明

組み合わされたホイールコントロールラジアスアーム

本発明は、ラジアスアーム12、特に自動車のホイールサスペンションのためのラジアスアーム12であって、ラジアスアーム12が、ボディ構造及びホイールコントロール構成部材にラジアスアーム12を旋回運動可能に結合するために少なくとも2つの結合ポイント13,14,15を有し、かつこれらの結合ポイントを結合するストラット構成体を有している形式のものに関する。
このような形式のラジアスアームにおいて本発明の構成では、ストラット構成体が少なくとも2つのストラット装置17,18,19から成っており、これらのストラット装置が、ほぼ平らなもしくは開放した横断面形状を備えた別体の成形部材として形成されているようにした。
本発明によって、自動車のアクスル系及びホイールサスペンションのための著しく任意に構成されたラジアスアームの構想及び製造のためのモジュラ系が得られる。ラジアスアームのバリエーション又は新たなラジアスアーム構造形態を得るためには、僅かな装置コストもしくは型コストしか発生しない。モジュラ構成部材の簡単な形状付与及び多様な使用可能性に基づいて、モジュラ構成部材は極めて安価なコストで、予測できる大きな個数を製造され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載された形式のラジアスアーム、特に自動車のホイールサスペンション用のウィッシュボーンアームに関する。
【0002】
このような形式のラジアスアームはほぼすべての形式の自動車及び自動車のほぼすべてのホイールサスペンションにおいて使用される。このようなラジアスアーム、例えばウィッシュボーンアーム(Querlenker)、トレーリングアーム(Laengslenker)、マルチリンクサスペンション(Raumlenkerachse)のアーム(Lenker)又はこれに類したものは、自動車において次のような課題、すなわちそれぞれ所属のホイールもしくは所属のホイールのホイールキャリヤをボディ構造と結合して、ホイールもしくはホイールキャリヤに単に構造的に与えられた自由度だけを残すという課題を、担っている。この自由度は多くの場合ほぼ鉛直方向におけるホイールもしくはホイールキャリヤの自由な運動可能性にあり、このようにして地面の凹凸に起因するホイール運動を補償することができる。
【0003】
多くの場合このようなホイールコントロールラジアスアーム(Radfuehrungslenker)は一体的に形成され、特に一体的な鍛造部材、一体的な鋳造部材又は1つもしくは2つのシェルから成る深絞りされた金属薄板部材として形成されている。
【0004】
市場に出回っている自動車において今日見られる複雑さ及び多様性において、ほぼ各自動車型式に対して、ホイールコントロールラジアスアームの種々異なった構造形式、構造形状、寸法、材料及び品質が必要である。さらに自動車の同一のモデルシリーズ内においても異なった装備レベル、異なったモータリゼーション、異なった駆動コンセプト、異なったトレッド幅に基づいて、又は種々様々なアクセサリ又は取付け条件に基づいて、同様に異なった特性、負荷耐性、材料及び/又は寸法を有するホイールコントロールラジアスアームが必要である。
【0005】
そしてこのことによって、ホイールコントロールラジアスアームのメーカもしくは供給業者は、常に新たに多数の種々様々なホイールコントロールラジアスアームを設計し、製造もしくは準備することが必要になる。従来技術において一般的な、実質的に一体的なホイールコントロールラジアスアームでは、その結果、ホイールコントロールラジアスアームの個々の各構造形式のために、それぞれのホイールコントロールラジアスアームを製造するためのそれぞれ異なった装置もしくは型(Werkzeug)が必要になる。ホイールコントロールラジアスアームは、比較的大面積の、しかも複雑化されて成形された極めて大きな負荷を受ける構成部材であって、高価で抵抗力のある材料から成る構成部材であるので、一体的なホイールコントロールラジアスアームを製造するための装置もしくは型は、多くの場合相応に面倒かつ複雑で、ひいては高価であり、そして故障しやすい。
【0006】
さらに、自動車における構成部材及び系の設計、製造及び準備において高まるコスト及び納期に関する圧力に起因して、ホイールコントロールラジアスアームのための安価でフレキシブルな解決策が求められており、しかも顧客の要求に基づいて、ホイールコントロールラジアスアームに求められる高い品質を維持すること、又はさらに高めることが必要である。
【0007】
このような背景に基づいて本発明の課題は、上に述べた従来技術における欠点を排除することができるホイールコントロールラジアスアームを提供することである。このラジアスアームはこの場合特に簡単かつ安価に製造可能であり、しかもホイールコントロールラジアスアームを製造するために従来技術において見られた極めて高価な装置もしくは型コストの生じないことが望まれている。さらにホイールコントロールラジアスアームは比較的僅かな個数でも合理的にかつ高いコスト効率をもって製造することができ、しかも同時に仕様書、サンプリング及び製造の間において可能な限り短い時間を実現できることが望まれている。
【0008】
この課題は、請求項1の特徴部に記載されたラジアスアームによって解決される。
【0009】
本発明の別の有利な構成は、請求項2以下に記載されている。
【0010】
本発明によるラジアスアームは、それ自体公知の形式で少なくとも2つの結合ポイントを有しており、これらの結合ポイントは、一方では自動車のボディ構造にかつ他方ではホイールコントロール構成部材にラジアスアームを可動に結合するために働く。ホイールコントロール構成部材(Radfuehrungsbauteil)は例えばアクスルジャーナル、ホイールキャリヤ又はマックファーソンストラット(Federbein)である。同様に公知のようにラジアスアームはストラット構成体(Strebeanordnung)を有しており、このストラット構成体はラジアスアームの少なくとも2つの結合ポイントを結合するために働く。
【0011】
本発明によるラジアスアームは、ストラット構成体が少なくとも2つのストラット装置から成っており、これらのストラット装置が、ほぼ平らなもしくは開放した横断面形状を備えた別体の成形部材として形成されていることを特徴とする。
【0012】
言い換えれば本発明によるラジアスアームは、一体的なストラット構成体を有しておらず、少なくとも2つの別体のストラット装置から成っており、これらのストラット装置は、幾何学的に比較的単純な成形部材の形をしている。このように構成されていることによってストラット装置もしくは成形部材は、互いに別個に、比較的単純な規格化されたつまり安価な装置もしくは型を用いて製造することができる。本発明はさらに次のような大きな利点をももたらす。すなわち本発明によるラジアスアームでは、別体の成形部材の形をしたストラット装置を、成形部材もしくはストラット装置における大きな変更なしに、かつストラット装置用の製造装置もしくは製造型における大きな変更なしに、種々様々な多数のラジアスアームを生産するために使用することができる。
【0013】
本発明によれば例えば、種々異なったジオメトリ、種々異なった寸法又は種々異なったトレッド幅を有するウィッシュボーンアームを、ウィッシュボーンアームが有するストラット装置に何ら変更を加えることなしに製造することができる。このように種々異なったウィッシュボーンアームを変更されない個別部材から製造するために、ラジアスアームの成形部材もしくはストラット装置は、それぞれ異なった配置形式もしくは異なった相対ポジションにおいて互いに結合される。
【0014】
本発明によるラジアスアームの特に有利な構成では、ストラット装置が、少なくとも2つの異なった相対ポジションもしくは相対角度で互いに結合可能である。このように構成されていると、同じストラット装置を使用しながら、少なくとも2つの異なったジオメトリもしくは少なくとも異なった寸法を有するラジアスアームを製造することができる。それぞれ少なくとも2つの異なった相対ポジションもしくは相対角度で互いに結合可能な3つ以上のストラット装置を有するラジアスアームでは、これによって製造可能なバリエーションの数が相応に高められる。
【0015】
本発明の別の特に有利な構成では、ストラット装置が、調節範囲内で複数の異なった相対ポジションもしくは相対角度において互いに結合可能である。このように構成されていると、同じストラット装置によって、さらに多数の様々なバリエーションのラジアスアームを製造することができ、しかもこの場合ストラット装置を製造する装置もしくは型における変更は不要である。例えば、異なった寸法に調節可能なラジアスアーム、例えば1つの自動車モデルシリーズの異なった型式における異なったトレッド幅に調節可能なラジアスアームを製造することも可能である。
【0016】
本発明の別の有利な構成におけるように、ストラット装置が、調節範囲内で無段階式に選択可能な相対ポジションもしくは相対角度において互いに結合可能であると、所定の実施形態の範囲において、原則的に任意に多数の種々様々なバリエーションによるラジアスアームを得ることができる。そしてこのように構成されていると、ラジアスアームのストラット装置の相対ポジションを相応に変化させることによって、アクスルジオメトリ又はトレッド幅の微調整をも行うことができる。
【0017】
この構成に関連してさらに本発明の別の有利な構成では、ラジアスアームが、弾発的又は弾性的に係止する複数の係止段を備えた係止装置を有している。この係止装置によって、ストラット装置が互いに最終的に結合される前に、ストラット装置を互いに対して所定の間隔をおいたポジションにもたらすことができる。このような係止装置はストラット装置の取付けを容易にし、ラジアスアーム構造内におけるストラット装置の相対ポジションの再現可能性を改善することができる。
【0018】
本発明にとっては、結合がラジアスアームの運転時に生じる負荷を増大させない限り、最終的に個々のストラット装置の結合がどのような形式で行われるか、ひいてはラジアスアームのジオメトリ、構造形態及び寸法の最終的な決定がどのような形式で行われるかは、重要なことではない。例えば個々のストラット装置相互の結合は特に、摩擦力結合式(kraftschluessig)、形状結合式(formschluessig)又は素材結合式(stoffschluessig)に行うことができる。
【0019】
本発明の別の有利な構成では、しかしながらストラット装置が解離可能に結合されている。このような構成は、例えばトレッド幅又はアクスルジオメトリを変化させるためにストラット装置の相対ポジションを後から調節することに関して有利であり、また、損傷や摩耗に基づいて個々のラジアスアーム構成部材もしくはストラット装置を交換又はラジアスアームを修理することに関して有利である。
【0020】
本発明の別の有利な構成では、ストラット装置が素材結合式に互いに結合されている。ストラット装置の素材結合式の結合形式、特に溶接は、ラジアスアームのジオメトリ又は寸法の後からの変更が問題にならないような場合に、有利に使用することができ、このことは例えば、所定の自動車のために所定のラジアスアーム構造形式が大量生産されるような場合に当て嵌まる。
【0021】
本発明の同様に有利な別の構成では、ストラット装置が付加材料なしに互いにかしめられて結合されている。このようなストラット装置のかしめによる結合形式は特に有利である。それというのは、このような結合形式では、溶接の場合におけるように構成部材を損傷するおそれのある熱負荷が発生せず、また比較的面倒なねじ結合部又はリベット結合部を形成する必要がないからである。本発明のこの実施形態では、ストラット装置の結合は例えばいわゆるトックス(Toxen)によって行われ、トックスと呼ばれるこの結合では、互いに結合すべき金属薄板が特殊な装置を用いて、点状に歯列形成する変形によってリベットのように、しかしながら付加的な材料なしに、互いに結合される。
【0022】
本発明にとっては、ストラット装置の最終的な結合が行われる前に、どのような形式でストラット装置相互の位置決めが行われるかは、重要ではない。例えば、ストラット装置を特定の装置を用いて相互に位置決めし、次いで、このようにして固定された位置においてストラット装置を例えば素材結合式に又は形状結合式に互いに結合することが可能である。
【0023】
本発明の別の有利な構成では、少なくとも2つのストラット装置が、滑子案内状もしくはテレスコープ状に互いに内外において摺動可能である。このように構成されていると、ストラット装置を互いに最終的に結合する前に、ストラット装置の前組立て及び前固定を容易にすることができる。またこの構成では、ストラット装置を、考えられる最も簡単な形式で種々異なった相対ポジションにもたらすことができ、これによって、種々異なったジオメトリもしくは種々異なった寸法を備えたラジアスアームを、簡単に得ることができる。さらに、ストラット装置を形成する成形部材の滑子案内状もしくはテレスコープ状に互いに内外において摺動可能な構成は、このように形成されたストラットもしくはストラット構成体の曲げ強さ及びねじれ強さ並びに座屈強度を高める。
【0024】
本発明の別の有利な構成では、ラジアスアームの少なくとも2つのストラット装置が円弧に沿って、滑子案内状もしくはテレスコープ状に互いに内外において摺動可能である。このような構成は、既に述べた滑子案内状もしくはテレスコープ状の構成における利点の他に、ラジアスアームのより複雑な調節可能性及び円弧状のラジアスアームジオメトリが得られるという利点を有している。
【0025】
本発明のさらに別の有利な構成では、少なくとも2つのストラット装置が、互いに内外で係合する押込みカラーを用いて互いに結合されている。ストラット装置のこのような結合形式は、そのために必要な押込みカラーもしくは押込み開口を極めて簡単に深絞りによって生ぜしめることができることによって、またこのようにして、極めて頑丈で特に簡単に製造可能でしかも角度調節可能なストラット装置の結合が可能になることによって、特に有利である。
【0026】
本発明の別の有利な構成では、なくとも2つのストラット装置が、少なくとも1つの別のストラット装置を用いて互いに結合可能である。このような構成によって、ラジアスアームの多様な構造形状、特に三角アーム及びこれに類したものを得ること及び製造することができる。
【0027】
次に図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
【0028】
図1は、本発明によるラジアスアームの第1実施例の2つのストラット装置を示す斜視図であり、
図2は、図1に示されたストラット装置の横断面図であり、
図3は、本発明によるラジアスアームの別の実施例のストラット装置を示す横断面図であり、
図4は、本発明によるラジアスアームの台3実施例のストラット装置を示す横断面図であり、
図5は、本発明によるラジアスアームの第4実施例の2つのストラット装置を示す斜視図であり、
図6は、本発明による三角アームを形成するラジアスアームの1実施例を示す概略図であり、
図7は、図6に示された三角アームもしくはラジアスアームのA−A線に沿った断面図であり、
図8は、図6に示された三角アームもしくはラジアスアームのB−B線に沿った断面図である。
【0029】
図1には、本発明による特徴を備えたラジアスアーム(Lenker)の2つの成形部材1,2もしくはストラット装置1,2が略示されている。両成形部材1,2は、図1に示された成形部材1,2の横断面図である図2からも分かるように、長孔3及びねじ4を用いて互いに結合されている。成形部材1,2はこのようにして、例えばロッドアーム(Stablenker)又は三角アーム(Dreiecks-Querlenker)の、図面には部分的にしか示されていないホイールコントロールラジアスアーム(Radfuehrungslenker)のストラット装置の一部を形成する。
【0030】
図面から分かるように、本発明によるラジアスアームの成形部材1,2は、従来技術とは異なり、折り曲げもしくは深絞りによって比較的簡単に製造可能な成形部材1,2の形を有している。成形部材1における孔5は、ラジアスアームを、例えばボールジョイント又はエラストマジョイントを用いてボディ構造又はホイールコントロール構成部材に、例えばアクスルジャーナル、ホイールキャリヤ又はマックファーソンストラットに、結合するために働く。
【0031】
図1から既に明らかなように、本発明のように構成されたホイールコントロールラジアスアームは、種々様々な要求に合わせられることができ、例えば1つの自動車モデルシリーズ内における様々な自動車型式の種々異なったトレッド幅のために使用することができる。図1及び図2に示されているように構成されたホイールコントロールラジアスアームはこの場合付加的な利点、すなわちラジアスアームを原則的に、自動車の運転状態においても後から調節することができ、これによってアクスルジオメトリを合わせることができるという利点を、有している。
【0032】
図3には、本発明のように構成されたラジアスアームの別の実施例によるストラット装置もしくは成形部材6,7が横断面図で示されている。このラジアスアームでは、成形部材6,7の間における結合はラジアスアームの製造の時点において一度解離不能にリベット8を用いて行うことができるが、しかしながらまた、この実施例においても同じストラット装置もしくは成形部材6,7によって、寸法の種々異なった又は形状付与の種々異なった様々なラジアスアームを製造することができ、この場合にはリベット8のためもしくは別のリベットのための孔が、相応に様々な形式で配置される。
【0033】
図4には、本発明によるラジアスアームの別の実施例によるストラット装置もしくは成形部材9,10が横断面図で示されている。図面から分かるように、成形部材9は、プリズム状のガイドを形成するように、折り曲げられており、このガイド内には成形部材10が滑子案内状にもしくはテレスコープ状に押し込まれることができる。これによって一方では、ラジアスアームの製造時の成形部材9,10の最終的な結合の前における両成形部材9,10の前組立てが容易になり、かつ他方ではラジアスアームのこのように形成されたストラットもしくはストラット装置の曲げ剛性及びねじり剛性並びに座屈強度が高められる。
【0034】
図4に示された成形部材9,10は、図5に示されているように例えばクランプもしくはかしめ又は縁曲げによって互いに結合されることができる。図4及び図5から明らかなように、成形部材9によって形成されたプリズム状のガイドへの成形部材10の挿入後、次いで行われる、箇所11におけるプリズム状のガイドの縁部をプレスすることによる成形部材9における成形部材10の最終的な位置決め後に、両成形部材9,10の間における解離不能な結合がなされる。
【0035】
図6には本発明によるラジアスアーム12の別の実施形態が示されている。この場合ラジアスアームは自動車用の三角アーム12であり、この場合ラジアスアーム12は全部で3つの結合ポイント13,14,15を有している。これらの結合ポイントのうち、2つの結合ポイント13,14は例えば、ボディ構造にラジアスアーム12を結合するためにゴム金属軸受を受容するために働き、これに対して第3の結合ポイント15は例えば、ホイールキャリヤ(Radtraeger)に結合可能なボールジョイントを受容するために働き、このボールジョイントのピン又はボールシェルは符号15のところで例えば押込み又は溶接されることができる。
【0036】
図面から明らかなように、図6に示されたラジアスアーム12は完全にモジュールとして構成されており、図6に示されたラジアスアーム12の個々の構成部材は特に、本発明に基づく広範なモジュールに由来することができ、つまりその一部を成すことができ、このモジュールの構成部材は、事実上任意の形状付与、デザイン及び寸法を有するラジアスアームの問題のない製造及びコンセプトを可能にする。図6に示されたラジアスアーム12はこの場合まず初めに2つのストラット16,17から形成されたストラット装置を有しており、この場合両ストラット16,17は図示の実施例では互いの間に45°の角度を成している。
【0037】
ストラット16はこの実施例においても同様に2つのストラット装置もしくは成形部材18,19から成っており、両成形部材18,19は図3に示されたのと同様に、リベット20,21によって互いに結合されている。このことはもちろん、図3に示された配置形式におけると同様に次のことを意味している。すなわち、2つの成形部材18,19のリベット結合によって形成されたストラット16は、その基本構成部材を変化させることなしに、異なった長さで形成されることができ、この場合単にリベット20,21用の孔が相応に配置されるだけでよい。
【0038】
2つの成形部材18,19から成るストラット16は、他方のストラット17とまず初め、互いに係合する押込みカラー22,23を用いて結合されており、この状態は図6のA−A線に沿って断面した拡大断面図である図7に示されている。図6及び図7からは、どのようにして両ストラット16,17に一体成形された押込みカラー22,23が互いに係合し合っているか、そしてこれにより両ストラット16,17の頑丈ではあるがなお角度調節可能な結合部を形成しているかが、分かる。
【0039】
押込みカラー22,23を用いて互いに結合されている両ストラット16,17を、両ストラット16,17の間に所定の角度をおいて固定するという課題は、ラジアスアーム・モジュールの一部である別のラジアスアーム・構成部材24が引き受けている。この安定化構成部材24は同様に例えばリベット25,26によって両ストラット16,17と結合されていて、これにより両ストラット16,17を適正な角度で固定及び安定化させている。ラジアスアームを付加的に補強するために、押込みカラー22,23によって形成された両ストラット16,17の結合部は、付加的に例えば互いに係合する両押込みカラー22,23のプレス又は溶接によって、持続的に固定されることができる。
【0040】
図7に示されているリング状の構成部材27は、両ラジアスアームストラットの間の間隔に相応して、両ラジアスアームストラットの間におけるスペーサとして働き、このスペーサは、両ストラット16,17の間に配置された別の安定化構成部材24に基づいて必要である。
【0041】
以上述べたことから明らかなように、本発明によれば、特に自動車のアクスル系及びホイールサスペンションのためのラジアスアームを事実上任意の多様性をもって構成及び生産することができ、しかもこの場合別のバリエーションを生ぜしめるためにほとんど装置コストもしくは型コストがかからない。種々様々なラジアスアームを生産するための同一のモジュール構成部材の多種多様な使用可能性に基づいて、かつラジアスアーム構成部材の比較的単純な構成、ひいてはこれによる僅かな切断屑発生に基づいて、並びにこれに関連した比較的単純な装置もしくは型に基づいて、これらの構成部材は、予測できる最大の個数を極めて安価なコストで製造することができる。
【0042】
このようにして、僅かな基本エレメントでフレキシブルなジオメトリのラジアスアームを、可能な最大の多種多様性で得ることができる。
【0043】
これによって本発明は、ホイールサスペンション及びアクスル系の分野における生産性を改善するために極めて大きく貢献することができる。また同時に本発明によって、顧客の要求に迅速かつ容易にしかもフレキシブルに対応することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明によるラジアスアームの第1実施例の2つのストラット装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたストラット装置の横断面図である。
【図3】本発明によるラジアスアームの別の実施例のストラット装置を示す横断面図である。
【図4】本発明によるラジアスアームの台3実施例のストラット装置を示す横断面図である。
【図5】本発明によるラジアスアームの第4実施例の2つのストラット装置を示す斜視図である。
【図6】本発明による三角アームを形成するラジアスアームの1実施例を示す概略図である。
【図7】図6に示された三角アームもしくはラジアスアームのA−A線に沿った断面図である。
【図8】図6に示された三角アームもしくはラジアスアームのB−B線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1,2 成形部材、 3 長孔、 4 ねじ、 5 孔、 6,7 成形部材、 8 リベット、 9,10 成形部材、 11 押込み部、 12 ラジアスアーム、 13,14,15 結合ポイント、 16,17 ストラット、 18,19 成形部材、 20,21 リベット、 22,23 押込みカラー、 24 構成部材、 25,26 リベット、 27 構成部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジアスアーム(12)、特に自動車のホイールサスペンションのためのラジアスアーム(12)であって、ラジアスアーム(12)が、ボディ構造及びホイールコントロール構成部材にラジアスアーム(12)を旋回運動可能に結合するために少なくとも2つの結合ポイント(13,14,15)を有し、かつこの少なくとも2つの結合ポイント(13,14,15)を結合するストラット構成体を有している形式のものにおいて、ストラット構成体が少なくとも2つのストラット装置(1,2;17,18,19)から成っており、これらのストラット装置が、ほぼ平らなもしくは開放した横断面形状を備えた別体の成形部材(1,2;17,18,19)として形成されていることを特徴とするラジアスアーム。
【請求項2】
ストラット装置(1,2;17,18,19)が、少なくとも2つの異なった相対ポジションもしくは相対角度で互いに結合可能である、請求項1記載のラジアスアーム。
【請求項3】
ストラット装置(1,2;17,18,19)が、調節範囲内で複数の異なった相対ポジションもしくは相対角度において互いに結合可能である、請求項1又は2記載のラジアスアーム。
【請求項4】
ストラット装置(1,2;17,18,19)が、調節範囲内で無段階式に選択可能な相対ポジションもしくは相対角度において互いに結合可能である、請求項1から3までのいずれか1項記載のラジアスアーム。
【請求項5】
所定の相対ポジションにおいてストラット装置(1,2;17,18,19)を前固定するための、弾発的もしくは弾性的に係止する複数の係止段を備えた係止装置が設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載のラジアスアーム。
【請求項6】
ストラット装置(1,2;17,18,19)が解離可能に結合されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のラジアスアーム。
【請求項7】
ストラット装置(1,2;17,18,19)が素材結合式に互いに結合されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のラジアスアーム。
【請求項8】
ストラット装置(1,2;17,18,19)が付加材料なしに互いにかしめられて結合されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のラジアスアーム。
【請求項9】
少なくとも2つのストラット装置(1,2;17,18,19)が、滑子案内状もしくはテレスコープ状に互いに内外において摺動可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載のラジアスアーム。
【請求項10】
少なくとも2つのストラット装置(1,2;17,18,19)が円弧に沿って、滑子案内状もしくはテレスコープ状に互いに内外において摺動可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載のラジアスアーム。
【請求項11】
少なくとも2つのストラット装置(1,2;17,18,19)が、互いに内外で係合する押込みカラー(22,23)を用いて互いに結合されている、請求項1から10までのいずれか1項記載のラジアスアーム。
【請求項12】
少なくとも2つのストラット装置(1,2;17,18,19)が、少なくとも1つの別のストラット装置(24)を用いて互いに結合可能である、請求項1から11までのいずれか1項記載のラジアスアーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−523790(P2007−523790A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500044(P2007−500044)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/DE2005/000332
【国際公開番号】WO2005/082649
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(506054589)ツェットエフ フリードリヒスハーフェン アクチエンゲゼルシャフト (151)
【氏名又は名称原語表記】ZF Friedrichshafen AG
【住所又は居所原語表記】D−88038 Friedrichshafen,Germany
【Fターム(参考)】