説明

組合せ療法

【課題】温血動物での抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用の生成方法、具体的には、癌、特に、充実性腫瘍を伴う癌の処置方法のための組合せ療法を提供すること。
【解決手段】5−フルオロウラシルすなわち5−FUと組み合わせた4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン(ZD6474)の投与;イリノテカンすなわちCPT−11と組み合わせたZD6474の投与;および5−FUおよびCPT−11と組み合わせたZD6474の投与の内の一つを含む方法;医薬組成物であって、ZD6474および5−FU;ZD6474およびCPT−11;およびZD6474および5−FUおよびCPT−11の内の一つを含む医薬組成物;ヒトまたは動物体の療法による処置方法で用いるための、ZD6474および5−FU;ZD6474およびCPT−11;およびZD6474および5−FUおよびCPT−11の内の一つを含む組合せ製品;キットであって、ZD6474および5−FU;ZD6474およびCPT−11;およびZD6474および5−FUおよびCPT−11の内の一つを含むキット;電離放射線で処置されていてよいヒトなどの温血動物での抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474および5−FU;ZD6474およびCPT−11;およびZD6474および5−FUおよびCPT−11の内の一つの使用によって、前記課題は解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電離放射線で処置されていてもよいヒトなどの温血動物での抗血管新生作用(antiangiogenic effect)および/または血管透過性低減作用の生成方法、具体的には、癌、特に、充実性腫瘍を伴う癌の処置方法であって、5−FUと組み合わせたZD6474の投与;CPT−11と組み合わせたZD6474の投与;並びに5−FUおよびCPT−11と組み合わせたZD6474の投与の内の一つを含む方法;医薬組成物であって、ZD6474および5−FU;ZD6474およびCPT−11;並びにZD6474および5−FUおよびCPT−11の内の一つを含む医薬組成物;ヒトまたは動物体の療法による処置方法で用いるための、ZD6474および5−FU;ZD6474およびCPT−11;並びにZD6474および5−FUおよびCPT−11の内の一つを含む組合せ製品;キットであって、ZD6474および5−FU;ZD6474およびCPT−11;並びにZD6474および5−FUおよびCPT−11の内の一つを含むキット;電離放射線で処置されていてよいヒトなどの温血動物での抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474および5−FU;ZD6474およびCPT−11;並びにZD6474および5−FUおよびCPT−11の内の一つの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
正常な血管新生は、胚発生、創傷治癒およびいくつかの雌性生殖機能成分を含めた種々の過程において重要な役割を果たしている。望ましくないまたは病理学的な血管新生は、糖尿病性網膜症、乾癬、癌、関節リウマチ、アテローム、カポージ肉腫および血管腫を含めた疾患状態に関連していた(Fan et al, 1995, Trends Pharmacol. Sci. 16: 57-66; Folkman, 1995, Nature Medicine 1: 27-31)。血管透過性の変化は、正常および病理学的双方の生理学的過程においてある役割を果たしていると考えられる(Cullinan-Bove et al, 1993, Endocrinology 133: 829-837; Senger et al, 1993, Cancer and Metastasis Reviews, 12: 303-324)。酸性および塩基性の線維芽細胞増殖因子(aFGFおよびbFGF)および血管内皮増殖因子(VEGF)を含めた、in vitro 内皮細胞増殖促進活性を有するいくつかのポリペプチドが識別された。その受容体の限定発現によって、VEGFの増殖因子活性は、FGFの場合とは対照的に、内皮細胞に対して比較的特異性である。最近の立証は、VEGFが、正常および病理学的双方の血管新生(Jakeman et al, 1993, Endocrinology, 133: 848-859; Kolch et al, 1995, Breast Cancer Research and Treatment, 36:139-155)および血管透過性(Connolly et al, 1989, J. Biol. Chem. 264: 20017-20024)の重要な刺激剤であるということを示している。VEGFの隔離によるVEGF作用の抗体との拮抗は、腫瘍成長の抑制を引き起こすことがありうる(Kim et al, 1993, Nature 362: 841-844)。
【0003】
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞の原形質膜を越えた生化学的シグナルの伝達に重要である。これら膜貫通分子は、特徴的に、原形質膜中のセグメントを介して細胞内チロシンキナーゼドメインに連通した細胞外リガンド結合ドメインから成る。受容体へのリガンドの結合は、受容体上および他の細胞内分子上双方のチロシン残基のリン酸化に至る受容体関連チロシンキナーゼ活性の刺激を引き起こす。チロシンリン酸化におけるこれら変化は、種々の細胞応答に至るシグナリングカスケードを開始する。これまでに、アミノ酸配列相同性によって規定された少なくとも19種類の異なったRTKサブファミリーが識別された。これらサブファミリーの内の一つは、現在のところ、fms様チロシンキナーゼ受容体Flt−1、キナーゼインサートドメイン含有受容体KDR(Flk−1とも称される)および別のfms様チロシンキナーゼ受容体Flt−4によって構成されている。これら関連したRTKの内のFlt−1およびKDRの二つは、VEGFを高親和性で結合することが分かった(De Vries et al, 1992, Science 255: 989-991; Terman et al, 1992, Biochem. Biophys. Res. Comm. 1992, 187: 1579-1586)。異種細胞中で
発現されたこれら受容体へのVEGFの結合は、細胞タンパク質およびカルシウムフラックスのチロシンリン酸化状態の変化に関連していた。
【0004】
VEGFは、血管形成(vasculogenesis)および血管新生(angiogenesis)に不可欠の刺激物質である。このサイトカインは、内皮細胞増殖、プロテアーゼ発現および遊走、および引き続きの毛細管を形成する細胞の組織化を誘発することによって血管萌芽性表現型を誘発する(Keck, P.J., Hauser, S.D., Krivi, G., Sanzo, K., Warren, T., Feder, J., and Connolly, D.T., Science (Washington DC), 246: 1309-1312, 1989; Lamoreaux, W.J., Fitzgerald, M.E., Reiner, A., Hasty, K.A., and Charles, S.T., Microvasc. Res., 55: 29-42, 1998; Pepper, M.S., Montesano, R., Mandroita, S.J., Orci, L. and Vassalli, J.D., Enzyme Protein, 49: 138-162, 1996.)。更に、VEGFは、有意の血管透過性(Dvorak, H.F., Detmar, M., Claffey, K.P., Nagy, J.A., van de Water, L., and Senger, D.R., (Int. Arch. Allergy Immunol., 107: 233-235, 1995; Bates, D.O., Heald, R.I., Curry, F.E. and Williams, B. J. Physiol. (Lond.), 533: 263-272, 2001)を誘発して、病理学的血管新生に特徴的である高透過性未成熟血管網の形成を促
進する。
【0005】
KDR単独の活性化は、内皮細胞の増殖、遊走および生存を含めたVEGFへの主要な表現型応答の全ておよび血管透過性の誘発を促進するのに充分であるということが分かった(Meyer, M., Clauss, M., Lepple-Wienhues, A., Waltenberger, J., Augustin, H.G., Ziche, M., Lanz, C., Buttner, M., Rziha, H-J., and Dehio, C., EMBO J., 18: 363-374, 1999; Zeng, H., Sanyal, S. and Mukhopadhyay, D., J. Biol. Chem., 276: 32714-32719, 2001; Gille, H., Kowalski, J., Li, B., LeCouter, J., Moffat, B, Zioncheck, T.F., Pelletier, N. and Ferrara, N., J. Biol. Chem., 276: 3222-3230, 2001)。
【0006】
VEGF受容体チロシンキナーゼの阻害剤であるキナゾリン誘導体は、国際特許出願公開WO98/13354号およびWO01/32651号に記載されている。WO98/13354号およびWO01/32651号には、VEGF受容体チロシンキナーゼに対する活性を有すると同時に、EGF受容体チロシンキナーゼに対して若干の活性を有する化合物が記載されている。本発明の化合物ZD6474は、WO98/13354号の広く一般的な開示の範囲内であり、WO01/32651号に例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO98/13354号
【特許文献2】WO01/32651号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Fan et al, 1995, Trends Pharmacol. Sci. 16: 57-66
【非特許文献2】Folkman, 1995, Nature Medicine 1: 27-31
【非特許文献3】Cullinan-Bove et al, 1993, Endocrinology 133: 829-837
【非特許文献4】Senger et al, 1993, Cancer and Metastasis Reviews, 12: 303-324
【非特許文献5】Kolch et al, 1995, Breast Cancer Research and Treatment, 36:139-155
【非特許文献6】Connolly et al, 1989, J. Biol. Chem. 264: 20017-20024
【非特許文献7】Kim et al, 1993, Nature 362: 841-844
【非特許文献8】De Vries et al, 1992, Science 255: 989-991
【非特許文献9】Terman et al, 1992, Biochem. Biophys. Res. Comm. 1992, 187: 1579-1586
【非特許文献10】Keck, P.J., Hauser, S.D., Krivi, G., Sanzo, K., Warren, T., Feder, J., and Connolly, D.T., Science (Washington DC), 246: 1309-1312, 1989
【非特許文献11】Lamoreaux, W.J., Fitzgerald, M.E., Reiner, A., Hasty, K.A., and Charles, S.T., Microvasc. Res., 55: 29-42, 1998
【非特許文献12】Pepper, M.S., Montesano, R., Mandroita, S.J., Orci, L. and Vassalli, J.D., Enzyme Protein, 49: 138-162, 1996
【非特許文献13】Dvorak, H.F., Detmar, M., Claffey, K.P., Nagy, J.A., van de Water, L., and Senger, D.R., (Int. Arch. Allergy Immunol., 107: 233-235, 1995
【非特許文献14】Bates, D.O., Heald, R.I., Curry, F.E. and Williams, B. J. Physiol. (Lond.), 533: 263-272, 2001
【非特許文献15】Meyer, M., Clauss, M., Lepple-Wienhues, A., Waltenberger, J., Augustin, H.G., Ziche, M., Lanz, C., Buttner, M., Rziha, H-J., and Dehio, C., EMBO J., 18: 363-374, 1999
【非特許文献16】Zeng, H., Sanyal, S. and Mukhopadhyay, D., J. Biol. Chem., 276: 32714-32719, 2001
【非特許文献17】;; Gille, H., Kowalski, J., Li, B., LeCouter, J., Moffat, B, Zioncheck, T.F., Pelletier, N. and Ferrara, N., J. Biol. Chem., 276: 3222-3230, 2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
WO01/32651号には、その発明の化合物が、「単独療法として適用されてよいし、または本発明の化合物に加えて、一つまたはそれを超える他の物質および/または処置を伴ってよい。このような共同処置は、その処置の個々の成分の同時の、逐次的なまたは別々の投与によって達せられてよい」ということが述べられている。次に、WO01/32651号は、続けて、外科手術、放射線療法、および5−フルオロウラシル(5−FU)およびイリノテカン(irinotecan)(CPT−11)を含めた多数のタイプの化学療法薬を含めたこのような共同処置の実施例を記載している。WO01/32651号には、そこにある発明のいずれかの化合物の他の処置での使用が、驚くべき有益な作用を生じるであろうということはどこにも述べられていない。
【0010】
意外にも且つ驚くべきことに、本発明者は、ここで、組合せ療法の具体的な選択肢、すなわち、5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つと組み合わせて用いられるこの化合物ZD6474は、単独で用いられたZD6474;5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内のいずれか一つより有意に優れた抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用を生じるということを発見した。本発明の一つの側面により、5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つと組み合わせて用いられるZD6474は、単独で用いられたZD6474;5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内のいずれか一つより有意に優れた抗癌作用を生じる。本発明の一つの側面により、5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つと組み合わせて用いられるZD6474は、単独で用いられたZD6474;5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内のいずれか一つより有意に優れた充実性腫瘍への作用を生じる。本発明の一つの側面により、5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つと組み合わせて用いられるZD6474は、単独で用いられたZD6474;5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内のいずれか一つより有意に優れた結腸直腸癌での作用を生じる。
【0011】
本発明の処置方法の抗癌作用には、抗腫瘍作用、応答速度、疾患進行への時間および生存率が含まれるが、これに制限されるわけではない。本発明の処置方法の抗腫瘍作用には、腫瘍成長の抑制、腫瘍成長遅延、腫瘍の退縮、腫瘍の縮小、処置中断時の腫瘍の再成長への増加した時間、疾患進行の緩速化が含まれるが、これに制限されるわけではない。本発明の処置方法を、充実性腫瘍を伴うまたは伴わない癌の処置を必要としているヒトなどの温血動物に投与する場合、この処置方法は、例えば、抗腫瘍作用の程度、応答速度、疾患進行への時間および生存率の内の一つまたはそれを超えるものによって測定されるような作用を生じるであろうと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明により、ヒトなどの温血動物での抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用の生成方法であって、その動物に、有効量のZD6474としても知られる4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン:
【0013】
【化1】

【0014】
またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の
(a)5−FU;
(b)CPT−11;および
(c)5−FUおよびCPT−11
の内の一つの前に、の後に、またはと同時に投与することを含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つの前に、の後に、またはと同時に投与することを含む方法を提供する。
【0016】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の充実性腫瘍を伴う癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つの前に、の後に、またはと同時に投与することを含む方法を提供する。
【0017】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の結腸直腸癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つの前に、の後に、またはと同時に投与することを含む方法を提供する。
【0018】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物での抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用の生成方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つの前に、の後に、またはと同時に投与することを含み;ここにおいて、ZD6474、5−FUおよびCPT−11は各々、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に投与されてもよい方法を提供する。
【0019】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つの前に、の後に、またはと同時に投与することを含み;ここにおいて、ZD6474、5−FUおよびCPT−11は各々、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に投与されてもよい方法を提供する。
【0020】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の充実性腫瘍を伴う癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つの前に、の後に、またはと同時に投与することを含み;ここにおいて、ZD6474、5−FUおよびCPT−11は各々、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に投与されてもよい方法を提供する。
【0021】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の結腸直腸癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つの前に、の後に、またはと同時に投与することを含み;ここにおいて、ZD6474、5−FUおよびCPT−11は各々、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に投与されてもよい方法を提供する。
【0022】
本発明のもう一つの側面により、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩および5−FUを、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。
本発明のもう一つの側面により、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩およびCPT−11を、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。
【0023】
本発明のもう一つの側面により、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩、および5−FUおよびCPT−11を、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。
【0024】
本発明のもう一つの側面により、ヒトまたは動物体の療法による処置方法で用いるための、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩および5−FUを含む組合せ製品を提供する。
【0025】
本発明のもう一つの側面により、ヒトまたは動物体の療法による処置方法で用いるための、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩およびCPT−11を含む組合せ製品を提供する。
【0026】
本発明のもう一つの側面により、ヒトまたは動物体の療法による処置方法で用いるための、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩、および5−FUおよびCPT−11を含む組合せ製品を提供する。
【0027】
本発明のもう一つの側面により、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩および5−FUを含むキットを提供する。
本発明のもう一つの側面により、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩およびCPT−11を含むキットを提供する。
【0028】
本発明のもう一つの側面により、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩、および5−FUおよびCPT−11を含むキットを提供する。
本発明のもう一つの側面により、キットであって、
(a)第一単位剤形中のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩;
(b)第二単位剤形中の5−FU;および
(c)それら第一および第二剤形を含有するための容器手段
を含むキットを提供する。
【0029】
本発明のもう一つの側面により、キットであって、
(a)第一単位剤形中のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩;
(b)第二単位剤形中のCPT−11;および
(c)それら第一および第二剤形を含有するための容器手段
を含むキットを提供する。
【0030】
本発明のもう一つの側面により、キットであって、
(a)第一単位剤形中のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩;
(b)第二単位剤形中の5−FU;
(c)第三単位剤形中のCPT−11;および
(d)それら第一、第二および第三剤形を含有するための容器手段
を含むキットを提供する。
【0031】
本発明のもう一つの側面により、キットであって、
(a)第一単位剤形中の薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩;
(b)第二単位剤形中の薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒の5−FU;および
(c)それら第一および第二剤形を含有するための容器手段
を含むキットを提供する。
【0032】
本発明のもう一つの側面により、キットであって、
(a)第一単位剤形中の薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩;
(b)第二単位剤形中の薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒のCPT−11;および
(c)それら第一および第二剤形を含有するための容器手段
を含むキットを提供する。
【0033】
本発明のもう一つの側面により、キットであって、
(a)第一単位剤形中の薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩;
(b)第二単位剤形中の薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒の5−FU;
(c)第三単位剤形中の薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒のCPT−11;および
(d)それら第一、第二および第三剤形を含有するための容器手段
を含むキットを提供する。
【0034】
本発明のもう一つの側面により、
ヒトなどの温血動物での抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩、および
(a)5−FU;
(b)CPT−11;および
(c)5−FUおよびCPT−11
の内の一つの使用を提供する。
【0035】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物での抗癌作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩、および
(a)5−FU;
(b)CPT−11;および
(c)5−FUおよびCPT−11
の内の一つの使用を提供する。
【0036】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物での抗腫瘍作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩、および
(a)5−FU;
(b)CPT−11;および
(c)5−FUおよびCPT−11
の内の一つの使用を提供する。
【0037】
本発明のもう一つの側面により、癌が結腸直腸癌であるヒトなどの温血動物での抗癌作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩、および
(a)5−FU;
(b)CPT−11;および
(c)5−FUおよびCPT−11
の内の一つの使用を提供する。
【0038】
本発明のもう一つの側面により、治療的組合せ処置であって、このような治療的処置を必要としているヒトなどの温血動物への、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒であってよい有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩の投与、および薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒であってよい有効量の5−FUの投与を含み、ここにおいて、ZD6474および5−FUは、同時に、逐次的にまたは別々に、任意の順序で投与されてよい治療的組合せ処置を提供する。
【0039】
本発明のもう一つの側面により、治療的組合せ処置であって、このような治療的処置を必要としているヒトなどの温血動物への、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒であってよい有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩の投与、および薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒であってよい有効量のCPT−11の投与を含み、ここにおいて、ZD6474およびCPT−11は、同時に、逐次的にまたは別々に、任意の順序で投与されてよい治療的組合せ処置を提供する。
【0040】
本発明のもう一つの側面により、治療的組合せ処置であって、このような治療的処置を必要としているヒトなどの温血動物への、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒であってよい有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩の投与、および薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒であってよい有効量の5−FUの投与、および薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒であってよい有効量のCPT−11の投与を含み、ここにおいて、ZD6474、5−FUおよびCPT−11は、同時に、逐次的にまたは別々に、任意の順序で投与されてよい治療的組合せ処置を提供する。
【0041】
本明細書中に定義の本発明の組合せ処置は、その処置の個々の成分の同時の、逐次的なまたは別々の投与によって達せられてよい。本明細書中に定義の組合せ処置は、単独療法として適用されてよいし、または本発明の組合せ処置に加えて、外科手術または放射線療法、または追加の化学療法薬を伴ってよい。外科手術は、部分的なまたは完全な腫瘍切除のステップを、本明細書中に記載のZD6474での組合せ処置の投与前、投与中または投与後に含んでよい。
【0042】
本発明の組合せ処置での任意の使用のための他の化学療法薬には、本明細書中に援用されるWO01/32651号に記載のものが含まれる。このような化学療法薬は、WO01/32651号に述べられたような主な5種類の治療薬:
(i)血管標的指向薬(vascular targeting agent)を含めた他の抗血管新生薬;
(ii)細胞増殖抑制薬;
(iii)生物学的応答調節剤(例えば、インターフェロン);
(iv)抗体(例えば、エドレコロマブ(edrecolomab));および
(v)医学腫瘍学で用いられるような抗増殖薬および/または抗新生物薬およびそれらの組合せにわたっていてよく;そして他の種類の薬剤は、
(vi)アンチセンス療法;
(vii)遺伝子治療アプローチ;および
(ix)免疫療法アプローチである。
【0043】
ZD6474、5−FUおよび電離放射線;またはZD6474、CPT−11および電離放射線;またはZD6474、5−FU、CPT−11および電離放射線の複合的な組合せの投与は、単独で用いられたZD6474、5−FU、CPT−11および電離放射線によって達せられる作用よりも大きい、抗腫瘍作用などの作用を生じることができる。ZD6474、5−FUおよび電離放射線;またはZD6474、CPT−11および電離放射線;またはZD6474、5−FU、CPT−11および電離放射線の複合的な組合せの投与は、ZD6474および5−FUの組合せで達せられる作用よりも大きい、ZD6474およびCPT−11の組合せで達せられる作用よりも大きい、そしてZD6474、5−FUおよびCPT−11の組合せで達せられる作用よりも大きい、抗腫瘍作用などの作用を生じることができる。ZD6474、5−FUおよび電離放射線;またはZD6474、CPT−11および電離放射線;またはZD6474、5−FU、CPT−11および電離放射線の複合的な組合せの投与は、ZD6474および電離放射線の組合せで達せられる作用よりも大きい、5−FUおよび電離放射線の組合せで達せられる作用よりも大きい、CPT−11および電離放射線の組合せで達せられる作用よりも大きい、そして5−FU、CPT−11および電離放射線の組合せで達せられる作用よりも大きい、抗腫瘍作用などの作用を生じることができる。
【0044】
本発明により、ヒトなどの温血動物での抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用の生成方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FUの前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含む方法を提供する。
【0045】
本発明により、ヒトなどの温血動物での抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用の生成方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量のCPT−11の前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含む方法を提供する。
【0046】
本発明により、ヒトなどの温血動物での抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用の生成方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FUの前に、の後に、またはと同時に、有効量のCPT−11の前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含む方法を提供する。
【0047】
本発明により、ヒトなどの温血動物の癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FUの前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含む方法を提供する。
【0048】
本発明により、ヒトなどの温血動物の癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量のCPT−11の前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含む方法を提供する。
【0049】
本発明により、ヒトなどの温血動物の癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FUの前に、の後に、またはと同時に、有効量のCPT−11の前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含む方法を提供する。
【0050】
本発明により、ヒトなどの温血動物の充実性腫瘍を伴う癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FUの前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含む方法を提供する。
【0051】
本発明により、ヒトなどの温血動物の充実性腫瘍を伴う癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量のCPT−11の前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含む方法を提供する。
【0052】
本発明により、ヒトなどの温血動物の充実性腫瘍を伴う癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FUの前に、の後に、またはと同時に、有効量のCPT−11の前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含む方法を提供する。
【0053】
具体的には、充実性腫瘍を伴う癌は、結腸直腸癌である。
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物での抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用の生成方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FUの前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含み、ここにおいて、ZD6474および5−FUは各々、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に投与されてもよい方法を提供する。
【0054】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物での抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用の生成方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量のCPT−11の前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含み、ここにおいて、ZD6474およびCPT−11は各々、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に投与されてもよい方法を提供する。
【0055】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物での抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用の生成方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FUの前に、の後に、またはと同時に、有効量のCPT−11の前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含み、ここにおいて、ZD6474、5−FUおよびCPT−11は各々、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に投与されてもよい方法を提供する。
【0056】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FUの前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含み、ここにおいて、ZD6474および5−FUは各々、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に投与されてもよい方法を提供する。
【0057】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量のCPT−11の前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含み、ここにおいて、ZD6474およびCPT−11は各々、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に投与されてもよい方法を提供する。
【0058】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FUの前に、の後に、またはと同時に、有効量のCPT−11の前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含み、ここにおいて、ZD6474、5−FUおよびCPT−11は各々、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に投与されてもよい方法を提供する。
【0059】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の充実性腫瘍を伴う癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FUの前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含み、ここにおいて、ZD6474および5−FUは各々、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に投与されてもよい方法を提供する。
【0060】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の充実性腫瘍を伴う癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量のCPT−11の前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含み、ここにおいて、ZD6474およびCPT−11は各々、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に投与されてもよい方法を提供する。
【0061】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の充実性腫瘍を伴う癌の処置方法であって、その動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の5−FUの前に、の後に、またはと同時に、有効量のCPT−11の前に、の後に、またはと同時に、および有効量の電離放射線の前に、の後に、またはと同時に投与することを含み、ここにおいて、ZD6474、5−FUおよびCPT−11は各々、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に投与されてもよい方法を提供する。
【0062】
本発明のもう一つの側面により、電離放射線で処置されているヒトなどの温血動物での抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩および5−FUの使用を提供する。
【0063】
本発明のもう一つの側面により、電離放射線で処置されているヒトなどの温血動物での抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩およびCPT−11の使用を提供する。
【0064】
本発明のもう一つの側面により、電離放射線で処置されているヒトなどの温血動物での抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩、および5−FUおよびCPT−11の使用を提供する。
【0065】
本発明のもう一つの側面により、電離放射線で処置されているヒトなどの温血動物での抗癌作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩および5−FUの使用を提供する。
【0066】
本発明のもう一つの側面により、電離放射線で処置されているヒトなどの温血動物での抗癌作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩およびCPT−11の使用を提供する。
【0067】
本発明のもう一つの側面により、電離放射線で処置されているヒトなどの温血動物での抗癌作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩、および5−FUおよびCPT−11の使用を提供する。
【0068】
具体的には、ヒトなどの温血動物は、結腸直腸癌を有する。
本発明のもう一つの側面により、電離放射線で処置されているヒトなどの温血動物での抗腫瘍作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩および5−FUの使用を提供する。
【0069】
本発明のもう一つの側面により、電離放射線で処置されているヒトなどの温血動物での抗腫瘍作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩およびCPT−11の使用を提供する。
【0070】
本発明のもう一つの側面により、電離放射線で処置されているヒトなどの温血動物での抗腫瘍作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩、および5−FUおよびCPT−11の使用を提供する。
【0071】
本発明のもう一つの側面により、治療的組合せ処置であって、このような治療的処置を必要としているヒトなどの温血動物への、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒であってよい有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩の投与、および薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒であってよい有効量の5−FUの投与、および有効量の電離放射線の投与を含み、ここにおいて、ZD6474、5−FUおよび電離放射線は、同時に、逐次的にまたは別々に、任意の順序で投与されてよい治療的組合せ処置を提供する。
【0072】
本発明のもう一つの側面により、治療的組合せ処置であって、このような治療的処置を必要としているヒトなどの温血動物への、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒であってよい有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩の投与、および薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒であってよい有効量のCPT−11の投与、および有効量の電離放射線の投与を含み、ここにおいて、ZD6474、CPT−11および電離放射線は、同時に、逐次的にまたは別々に、任意の順序で投与されてよい治療的組合せ処置を提供する。
【0073】
本発明のもう一つの側面により、治療的組合せ処置であって、このような治療的処置を必要としているヒトなどの温血動物への、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒であってよい有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩の投与、および薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒であってよい有効量の5−FUの投与、および薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒であってよい有効量のCPT−11の投与、および有効量の電離放射線の投与を含み、ここにおいて、ZD6474、5−FU、CPT−11および電離放射線は、同時に、逐次的にまたは別々に、任意の順序で投与されてよい治療的組合せ処置を提供する。
【0074】
電離放射線で処置されているヒトなどの温血動物とは、ZD6474と、5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つを含む薬剤または組合せ処置の投与前に、投与後にまたは投与と同時に、電離放射線で処置されているヒトなどの温血動物を意味する。例えば、この電離放射線は、ヒトなどのその温血動物に、ZD6474と、5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つを含む薬剤または組合せ処置の投与の1週間前〜1週間後の期間内に与えられてよい。これは、ZD6474、5−FU、CPT−11および電離放射線が、別々にまたは逐次的にいずれかの順序で投与されてよいしまたは同時に投与されてよいということを意味する。その温血動物は、ZD6474、5−FU、CPT−11および放射線の各々の作用を同時に経験することができる。
【0075】
本発明の一つの側面により、電離放射線は、一つのZD6474と、5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つの前に、または一つのZD6474と、5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つの後に投与する。
【0076】
本発明の一つの側面により、電離放射線は、任意のZD6474と、5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つの前に、または全てのZD6474と、5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つの後に投与する。
【0077】
本発明の一つの側面により、ZD6474は、温血動物に、その動物が電離放射線で処置された後に投与する。
上述のように、本発明の組合せ処置、すなわち、本明細書中に定義のような、5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つと組み合わされた、電離放射線を伴ってよいZD6474は、それらの抗血管新生作用および/または血管透過作用について興味深い。血管新生および/または増加した血管透過性は、癌(白血病、多発性骨髄腫およびリンパ腫を含めた)、糖尿病、乾癬、関節リウマチ、カポージ肉腫、血管腫、急性および慢性の腎症、アテローム、動脈再狭窄、自己免疫疾患、急性炎症、リンパ浮腫、過度の瘢痕形成および癒着、子宮内膜症、不正子宮出血、および網膜血管増殖を伴う眼疾患(加齢性横斑変性を含めた)を含めた広範囲の疾患状態に存在する。本発明の組合せ処置は、癌およびカポージ肉腫などの疾患の予防および処置に特に有用であると考えられる。具体的には、本発明の組合せ処置は、例えば、結腸、乳房、前立腺、肺および皮膚の原発性および再発性の充実性腫瘍の成長を好都合に遅くすると考えられる。より詳しくは、本発明のこのような組合せ処置は、白血病、多発性骨髄腫およびリンパ腫を含めた、VEGFに関連した任意の形の癌を抑制すると考えられるし、そして更に、例えば、VEGFに関連している原発性および再発性の充実性腫瘍、特に、それらの成長および拡散についてVEGFに有意に依存している腫瘍、例えば、結腸、乳房、前立腺、肺、外陰部および皮膚の若干の腫瘍を含めた腫瘍の成長を抑制すると考えられる。
【0078】
本発明の一つの側面により、本発明のこのような組合せ処置は、結腸直腸癌における原発性および二次性(再発性)の腫瘍の成長を好都合に遅くすると考えられる。
本発明の別の側面において、電離放射線を伴ってよいZD6474と、5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つは、VEGFに関連している原発性および再発性の充実性腫瘍、特に、それらの成長および拡散についてVEGFに有意に依存している腫瘍の成長を抑制すると考えられる。
【0079】
本発明の別の側面において、電離放射線を伴ってよいZD6474と、5−FU;CPT−11;および5−FUおよびCPT−11の内の一つは、VEGFおよびEGF双方に関連している原発性および再発性の充実性腫瘍、特に、それらの成長および拡散についてVEGFおよびEGFに有意に依存している腫瘍の成長を抑制すると考えられる。
【0080】
本発明の別の側面により、本発明の処置方法の作用は、単独で用いられたこの処置の成分各々の、すなわち、単独で用いられたZD6474、5−FU、CPT−11および電離放射線各々の作用の相加に少なくとも均等であると考えられる。
【0081】
本発明の別の側面により、本発明の処置方法の作用は、単独で用いられたこの処置の成分各々の、すなわち、単独で用いられたZD6474、5−FU、CPT−11および電離放射線各々の作用の相加より大きいと考えられる。
【0082】
本発明の別の側面により、本発明の処置方法の作用は、相乗作用であると考えられる。
本発明により、組合せ処置は、例えば、応答の程度、応答速度、疾患進行への時間または生存期間によって測定されるような作用が、組合せ処置の成分の一つまたはその他をその慣用的な用量で投与時に達成可能な作用より治療的に優れている場合、相乗作用を与えると定義される。例えば、組合せ処置の作用は、単独で用いられたZD6474、5−FU、CPT−11、5−FUおよびCPT−11、または電離放射線で達成可能な作用より治療的に優れている場合、相乗的である。更に、組合せ処置の作用は、単独で用いられたZD6474、5−FU、CPT−11、5−FUおよびCPT−11、または電離放射線に応答しない(または不充分にしか応答しない)患者群において有益な作用が得られる場合、相乗的である。更に、組合せ処置の作用は、成分の内の一つがその慣用的な用量で投与され且つ一つまたは複数の他の成分が減用量で投与され、そして例えば、応答の程度、応答速度、疾患進行への時間または生存期間によって測定されるような治療的作用が、組合せ処置の成分の慣用的な量を投与時に達成可能な作用に均等である場合、相乗作用を与えると定義される。特に、相乗作用は、ZD6474、5−FU、CPT−11、5−FUおよびCPT−11、または電離放射線の慣用的な用量が、応答の程度、応答速度、疾患進行への時間および生存データの内の一つまたはそれを超えるものを損なうことなく、具体的には、各々の成分の慣用的な用量を用いた場合に起こるものより少ないおよび/または厄介でない副作用を伴う以外は応答持続期間を損なうことなく、減少することができる場合に存在すると考えられる。
【0083】
本明細書中に記載の組成物は、経口投与に適する形で、例えば、錠剤またはカプセル剤として、鼻腔投与または吸入による投与用に、例えば、散剤または液剤として、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、脈管内(intravascular)または注入を含めた)用に、例え
ば、滅菌液剤、懸濁剤または乳剤として、局所投与用に、例えば、軟膏剤またはクリーム剤として、直腸投与用に、例えば、坐剤としてあってよいし、または投与経路は、腫瘍中への直接注射、または局所デリバリー(regional delivery)若しくは限局デリバリー(local delivery)によってよい。本発明の他の態様において、組合せ処置の内のZD64
74は、内視鏡的に、鞘内に、病巣内に、経皮で、静脈内に、皮下に、腹腔内にまたは腫瘍内に送達することができる。概して、本明細書中に記載の組成物は、慣用的な賦形剤を用いて慣用法で製造することができる。本発明の組成物は、好都合には、単位剤形で与えられる。
【0084】
ZD6474は、通常は、温血動物に、その動物の平方メートルの体表面積につき10〜500mgの範囲内、例えば、ヒトの場合、約0.3〜15mg/kgの単位用量で投与されるであろう。例えば、約0.3〜15mg/kg、好ましくは、0.5〜5mg/kgの範囲内の単位用量が考えられるが、通常は、これが治療的有効量である。錠剤またはカプセル剤などの単位剤形は、通常は、例えば、25〜500mgの活性成分を含有するであろう。好ましくは、0.5〜5mg/kgの範囲内の1日用量を用いる。
【0085】
CPT−11は、イリノテカン(irrinotecan)としても知られている。CPT−11は、いずれか既知の投与経路および投与量によって投与されてよい。
例えば、CPT−11は、静脈内注入として350mg/mで、3週間毎に30〜90分間にわたって投与されてよい。
【0086】
CPT−11は、カンプトテシン(canptothecin)の半合成誘導体であり、in vivo において活性代謝産物SN−38へと代謝される。
5−FUは、5−フルオロウラシルである。5−FUは、いずれか既知の投与経路および投与量によって投与されてよい。
【0087】
例えば、5−FUは、500mlの5%デキストロース溶液または500mlの0.9%塩化ナトリウム溶液中に希釈された15mg/kgの静脈内1日注入として、静脈内注入によって、40滴/分の速度で4時間にわたって;または30〜60分間にわたって注入される;または24時間にわたる1日連続注入として与えられてよい。5−FUのその1日用量は、1gを超えないように推奨される。5−FUは、通常は、これら方法の内の一つで毎日、12〜15gが与えられるまで与えられるが、これが、5−FUの1過程を構成する。5−FUの過程の間に4〜6週間おくことは、通常の慣例である。或いは、5−FUは、静脈内注射により、12mg/kgの用量で3日続けて投与後、6mg/kgを5日目、7日目および9日目に、すなわち、引き続き1日おきに3回の後、5〜15mg/kgの維持量を静脈内注射によって週1回投与されてよい。或いは、5−FUは、静脈内注射により、15mg/kgの用量で、患者の処置期間に週1回与えられてよい。5−FUは、動脈内に局所灌流として5〜7.5mg/kgで24時間連続注入によって投与されてもよい。5−FUは、経口によって、15mg/kgの用量で週1回、または15mg/kgの用量で連続6日間の後、15mg/kgを週1回投与されてもよい。
【0088】
5−FUは、一般的には、ロイコボリン(leucovorin)と一緒に投与される。疑わしさを免れるために、本発明の組合せ処置には、ロイコボリンを伴ってまたは伴うことなく与えられる場合の5−FUの使用が含まれる。
【0089】
ロイコボリンは、いずれか既知の投与経路および投与量によって投与されてよい。例えば、ロイコボリンは、経口投与されてよい。5−FUと組み合わせて用いられる場合、ロイコボリンは、好都合には、カルシウムロイコボリンとして投与され、静脈内に与えられる。例えば、カルシウムロイコボリンは、200mg/mの用量で緩速静脈内注射によって与えられた直後に、5−FUを370mg/mの初期用量で静脈内注射によって与えることができる。ロイコボリンの注射は、溶液のカルシウム含量のために、3〜5分間にわたるより速く与えられるべきではない。この処置は、連続5日間毎日繰り返される。その後の過程は、21〜28日の無処置間隔後に与えられてよい。
【0090】
或いは、次の投薬方式を用いてよい。500mg/mのロイコボリンを、毎週2時間注入で6週間与え、500mg/mの5−FUを、その6週間中の途中に静脈内ボーラス(iv bolus)として与える。
【0091】
或いは、次の投薬方式を用いてよい。200mg/mのロイコボリンを、静脈内に2時間注入によって与えた後、400mg/mの5−FUを静脈内ボーラス後、600mg/mの5−FUを静脈内に22時間注入によって与え、連続2日間繰り返す。そのサイクルを、2週間毎に繰り返す。
【0092】
或いは、5−FUは、カペシタビン(capecitabine)(XelodaTM)、テガフル(tegafur)またはTS−1として経口投与されてよい。カペシタビンは、5−FUの経口投与
された前駆物質として機能する比較的非細胞毒性のフルオロピリミジンカルバメートである。カペシタビンは、いずれか既知の投与量によって投与されてよい。例えば、1250mg/mの用量を、経口によって1日2回(2500mg/mの1日用量に相当する)、14日間与えた後、7日の休止期間をおくことができる。
【0093】
本発明の組合せ処置には、5−FUについて、(全身的にまたは腫瘍内で5−FUに変換されるプロドラッグおよび前駆体を含めた)任意の形で与えられた場合の、任意の投与経路によって投与された場合の、およびロイコボリンを伴ってまたは伴うことなく与えられた場合の使用が含まれる。
【0094】
本発明の組合せ処置には、CPT−11またはSN−38について、(全身的にまたは腫瘍内でSN−38に変換されるプロドラッグおよび前駆体を含めた、およびリポソーム製剤を含めた)任意の形で与えられた場合の、任意の投与経路によって投与された場合の使用が含まれる。
【0095】
放射線療法は、臨床的放射線療法における既知の慣例にしたがって投与されてよい。電離放射線の投与量は、臨床的放射線療法での使用について知られているものであろう。用いられる放射線療法には、例えば、γ線、X線、および/または放射線同位体からの放射線の指向送達(directed delivery)の使用が含まれるであろう。マイクロ波およびUV
照射などのDNA損傷性因子の他の形も、本発明に包含される。例えば、X線は、1.8〜2.0Gyの1日線量において、週5日で5〜6週間投与されてよい。通常は、全分割線量が、45〜60Gyの範囲内であろう。より大きい単回線量、例えば、5〜10Gyを、ある放射線療法過程の一部分として投与してよい。単回線量は、手術中に投与されてよい。高分割放射線療法を用いてよく、それによって、小さい線量のX線が、一定時間にわたって定期的に、例えば、0.1Gy/時が何日間にもわたって投与される。放射性同位体の線量範囲は、広く異なり、その同位体の半減期、放射される放射線の強さおよびタイプ、および細胞による吸収量に依存する。
【0096】
上述のように、特定の疾患状態の治療的または予防的処置に必要とされる各々の療法の用量サイズは、必然的に、処置される宿主、投与経路および処置されている疾患の重症度に依存して異なるであろう。したがって、最適投与量は、いずれか特定の患者を処置している医療の実務家によって決定されてよい。例えば、組合せ処置の成分の上述の用量を、毒性を減少させるために減少させることは、必要でありうるしまたは望ましいことがありうる。
【0097】
本発明の組合せ処置は、ZD6474および5−FU;ZD6474およびCPT−11;ZD6474、5−FUおよびCPT−11;ZD6474、5−FUおよび電離放射線;ZD6474、CPT−11および電離放射線;ZD6474、5−FU、CPT−11および電離放射線を含む。その場合の薬剤は、別々にまたは逐次的に、任意の順序で投与されてよいし、または同時に投与されてよい。
【0098】
本発明は、5−FUまたはCPT−11、または5−FUおよびCPT−11と、ZD6474とのまたはZD6474の塩との組合せを含む。
医薬組成物中で用いるための塩は、薬学的に許容しうる塩であろうが、他の塩は、ZD6474およびその薬学的に許容しうる塩の製造に有用でありうる。このような塩は、薬学的に許容しうる陽イオンを与える無機塩基または有機塩基で形成されてよい。無機塩基または有機塩基とのこのような塩には、例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩またはマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;または例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリンまたはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンとの塩が含まれる。
【実施例】
【0099】
ZD6474は、例えば、実施例(a)〜(c)のいずれかによって詳しく説明される次の方法のいずれかによって製造することができるが、ここにおいて、特に断らない限り、
(i)蒸発は、ロータリーエバポレーションによって真空中で行い、処理手順は、濾過による乾燥剤などの残留固体の除去後に行った;
(ii)操作は、周囲温度、すなわち、18〜25℃の範囲内の温度でおよびアルゴンなどの不活性ガスの雰囲気下で行った;
(iii)カラムクロマトグラフィー(フラッシュ法による)および中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)は、E. Merck, Darmstadt, Germany より入手した Merck Kieselgel シリカ(Art. 9385)またはMerck Lichroprep RP−18(Art. 9303)逆相シリカ上で行った;
(iv)収率は、単に例示のために与えられ、必ずしも達成可能な最大値ではない;
(v)融点は未補正であるが、Mettler SP62自動融点装置、油浴装置または Koffler ホットプレート装置を用いて決定した。
【0100】
(vi)式Iの最終生成物の構造は、核(一般的には、プロトン)磁気共鳴(NMR)および質量スペクトルの技法によって確かめた;プロトン磁気共鳴化学シフト値は、δスケールで測定したが、ピーク多重性は、次のように示される:s,一重線;d,二重線;t,三重線;m,多重線;br,幅広;q,四重線;NMRスペクトルは、400MHz試験機において24℃で実験した。
【0101】
(vii)中間体は、概して、充分に特性決定されなかったが、純度は、薄層クロマトグ
ラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、赤外(IR)またはNMR分析によって評価した;
(viii)次の略語を用いた:
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
NMP 1−メチル−2−ピロリジノン。
【0102】
方法(a)
37%ホルムアルデヒド水溶液(50μl,0.6mmol)およびその後、水素化シアノホウ素ナトリウム(23mg,0.36mmol)を、THF/メタノール(1.4ml/1.4ml)混合物中の4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(ピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン(139mg,0.3mmol)の溶液に加えた。周囲温度で1時間撹拌後、水を加え、そして揮発物を真空下で除去した。残留物を水で研和し、濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させた。その固体を、中性アルミナ上のクロマトグラフィーにより、塩化メチレンで、次に塩化メチレン/酢酸エチル(1/1)で、次に塩化メチレン/酢酸エチル/メタノール(50/45/5)で溶離して精製した。予想される生成物を含有する画分を、真空下で蒸発させた。得られた白色固体を、塩化メチレン/メタノール(3ml/3ml)中に溶解させ、エーテル中の3N塩化水素(0.5ml)を加えた。揮発物を真空下で除去した。固体をエーテルで研和し、濾過し、エーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン塩酸塩(120mg,69%)を生じた。
【0103】
MS−ESI:475〜477[MH]
プロトン化された形の4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン塩酸塩のNMRスペクトルは、二つの形AおよびBの約9:1のA:B比での存在を示している。
【0104】
【化2】

【0105】
出発物質を、次のように製造した。
2−プロパノール(200ml)中の7−ベンジルオキシ−4−クロロ−6−メトキシキナゾリン塩酸塩(8.35g,27.8mmol)(例えば、WO97/22596号の実施例1に記載のように製造される)および4−ブロモ−2−フルオロアニリン(5.65g,29.7mmol)の溶液を、還流しながら4時間加熱した。得られた沈殿を濾過によって集め、2−プロパノールで、次にエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、7−ベンジルオキシ−4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシキナゾリン塩酸塩(9.46g,78%)を生じた。
【0106】
【化3】

【0107】
TFA(90ml)中の7−ベンジルオキシ−4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシキナゾリン塩酸塩(9.4g,19.1mmol)の溶液を、還流しながら50分間加熱した。その混合物を冷却させ、氷上に注いだ。得られた沈殿を濾過によって集め、メタノール(70ml)中に溶解させた。その溶液を、濃アンモニア水溶液でpH9〜10に調整した。その混合物を蒸発によって濃縮して、最初の容量の半分にした。得られた沈殿を濾過によって集め、水で、次にエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(5.66g,82%)を生じた。
【0108】
【化4】

【0109】
温度を0〜5℃の範囲内に維持しながら、酢酸エチル(75ml)中のジ炭酸ジ−tert−ブチル(41.7g,0.19mol)の溶液を、5℃で冷却された酢酸エチル(150ml)中の4−ピペリジンカルボン酸エチル(30g,0.19mol)の溶液に少量ずつ加えた。周囲温度で48時間撹拌後、その混合物を水(300ml)上に注いだ。有機層を分離し、逐次的に、水(200ml)、0.1N水性塩酸(200ml)、飽和炭酸水素ナトリウム(200ml)およびブライン(200ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、4−(1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン)カルボン酸エチル(48g,98%)を生じた。
【0110】
【化5】

【0111】
THF中の1M水素化アルミニウムリチウムの溶液(133ml,0.133mol)を、0℃で冷却された乾燥THF(180ml)中の4−(1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン)カルボン酸エチル(48g,0.19mol)の溶液に少量ずつ加えた。0℃で2時間撹拌後、水(30ml)を加えた後、2N水酸化ナトリウム(10ml)を加えた。沈殿を、珪藻土を介する濾過によって取り出し、酢酸エチルで洗浄した。その濾液を、水で、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジン(36.3g,89%)を生じた。
【0112】
【化6】

【0113】
1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(42.4g,0.378mol)を、tert−ブチルメチルエーテル(525ml)中の1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジン(52.5g,0.244mol)の溶液に加えた。周囲温度で15分間撹拌後、その混合物を5℃に冷却し、そして tert−ブチルメチルエーテル(525ml)中のトルエンスルホニルクロリド(62.8g,0.33mmol)の溶液を、温度を0℃に維持しながら少量ずつ2時間にわたって加えた。周囲温度で1時間撹拌後、石油エーテル(1l)を加えた。沈殿を濾過によって除去した。濾液を蒸発させて、固体を生じた。その固体をエーテル中に溶解させ、そして逐次的に、0.5N水性塩酸(2x500ml)、水、飽和炭酸水素ナトリウムおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(4−メチルフェニルスルホニルオキシメチル)ピペリジン(76.7g,85%)を生じた。
【0114】
【化7】

【0115】
炭酸カリウム(414mg,3mmol)を、DMF(5ml)中の4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(546mg,1.5mmol)の懸濁液に加えた。周囲温度で10分間撹拌後、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(4−メチルフェニルスルホニルオキシメチル)ピペリジン(636mg,1.72mmol)を加え、その混合物を95℃で2時間加熱した。冷却後、混合物を、冷却された水(20ml)上に注いだ。沈殿を濾過によって集め、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−7−(1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イルメトキシ)−6−メトキシキナゾリン(665mg,79%)を生じた。
【0116】
【化8】

【0117】
TFA(3ml)を、塩化メチレン(10ml)中の4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−7−(1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イルメトキシ)−6−メトキシキナゾリン(673mg,1.2mmol)の懸濁液に加えた。周囲温度で1時間撹拌後、揮発物を真空下で除去した。残留物を、水/エーテルの混合物で研和した。有機層を分離した。水性層を、再度エーテルで洗浄した。水性層を、2N水性水酸化ナトリウムでpH10に調整した。水性層を塩化メチレンで抽出した。有機層を乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空下で除去した。固体を、エーテル/石油エーテル(1/1)混合物で研和し、濾過し、エーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(ピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン(390mg,70.5%)を生じた。
【0118】
【化9】

【0119】
方法(b)
37%水性ホルムアルデヒド(3.5ml,42mmol)を、ギ酸(35ml)中の4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−7−(1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イルメトキシ)−6−メトキシキナゾリン(3.49g,6.22mmol)(上の方法(a)の出発物質について記載のように製造される)の溶液に加えた。95℃で4時間加熱後、揮発物を真空下で除去した。残留物を水中に懸濁させ、その混合物を、2N水酸化ナトリウム溶液を徐々に加えることによってpH10.5に調整した。その懸濁液を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、蒸発させて、4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン(2.61g,88%)を生じた。
【0120】
【化10】

【0121】
方法(c)
イソプロパノール中の6N塩化水素(110μl,0.68ml)を含有するイソプロパノール(3ml)中の4−クロロ−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン(200mg,0.62mmol)および4−ブロモ−2−フルオロアニリン(142mg,0.74mmol)の懸濁液を、還流しながら1.5時間加熱した。冷却後、沈殿を濾過によって集め、イソプロパノールで、次にエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン塩酸塩(304mg,90%)を生じた。
【0122】
【化11】

【0123】
プロトン化された形の4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン塩酸塩のNMRスペクトルは、二つの形AおよびBの約9:1のA:B比での存在を示している。
【0124】
【化12】

【0125】
別のNMR読みについて、NMR管中の遊離塩基を放出するために、若干の固体炭酸カリウムを、上記の4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン塩酸塩のDMSO溶液中に加えた。次に、NMRスペクトルを再度読み取り、一つの形だけを下記のように示した。
【0126】
【化13】

【0127】
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン(遊離塩基)の試料は、4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン塩酸塩(上記のように製造される)から、次のように生じた。
【0128】
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシキナゾリン塩酸塩(50mg)を、塩化メチレン(2ml)中に懸濁させ、そして飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄した。その塩化メチレン溶液を乾燥させ(MgSO)、揮発物を蒸発によって除去して、4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン(遊離塩基)を生じた。そのようにして生じた遊離塩基のNMRは、一つの形だけを下記のように示す。
【0129】
【化14】

【0130】
別のNMR読みについて、若干のCFCOODを、上記の4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン(遊離塩基)のNMR DMSO溶液中に加え、NMRスペクトルを再度読み取った。そのようにして得られた4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリントリフルオロ酢酸塩のプロトン化された形のスペクトルは、二つの形AおよびBの約9:1のA:B比での存在を示している。
【0131】
【化15】

【0132】
出発物質を、次のように製造した。
1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(4−メチルフェニルスルホニルオキシメチル)ピペリジン(40g,0.11mol)(上の方法(a)の出発物質について記載のように製造される)を、乾燥DMF(200ml)中の4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸エチル(19.6g,0.1mol)および炭酸カリウム(28g,0.2mol)の懸濁液に加えた。95℃で2.5時間撹拌後、その混合物を周囲温度に冷却し、水と酢酸エチル/エーテルとに分配した。有機層を、水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させた。得られた油状物を石油エーテルから結晶化させ、懸濁液を5℃で一晩貯蔵した。固体を濾過によって集め、石油エーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、4−(1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イルメトキシ)−3−メトキシ安息香酸エチル(35g,89%)を生じた。
【0133】
【化16】

【0134】
ホルムアルデヒド(12M,水中37%,35ml,420mmol)を、ギ酸(35ml)中の4−(1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イルメトキシ)−3−メトキシ安息香酸エチル(35g,89mmol)の溶液に加えた。95℃で3時間撹拌後、揮発物を蒸発によって除去した。残留物を塩化メチレン中に溶解させ、そしてエーテル中の3M塩化水素(40ml,120mmol)を加えた。エーテルで希釈後、その混合物を、固体が形成されるまで研和した。その固体を濾過によって集め、エーテルで洗浄し、真空下において50℃で一晩中乾燥させて、3−メトキシ−4−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)安息香酸エチル(30.6g,定量的)を生じた。
【0135】
【化17】

【0136】
塩化メチレン(75ml)中の3−メトキシ−4−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)安息香酸エチル(30.6g,89mmol)の溶液を、0〜5℃に冷却した。TFA(37.5ml)を加えた後、塩化メチレン(15ml)中の発煙24N硝酸(7.42ml,178mmol)の溶液を15分間にわたって滴加した。添加完了後、その溶液を暖め、周囲温度で2時間撹拌した。揮発物を真空下で除去し、残留物を塩化メチレン(50ml)中に溶解させた。溶液を0〜5℃に冷却し、エーテルを加えた。沈殿を濾過によって集め、真空下において50℃で乾燥させた。固体を塩化メチレン(500ml)中に溶解させ、そしてエーテル(30ml)中の3M塩化水素を加えた後、エーテル(500ml)を加えた。固体を濾過によって集め、真空下において50℃で乾燥させて、3−メトキシ−4−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)−6−ニトロ安息香酸エチル(28.4g,82%)を生じた。
【0137】
【化18】

【0138】
活性炭(50%湿潤)(389mg)上の10%白金を含有するメタノール(80ml)中の3−メトキシ−4−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)−6−ニトロ安息香酸エチル(3.89g,10mmol)の懸濁液を、1.8気圧において、水素の吸収が止まるまで水素化した。その混合物を濾過し、濾液を蒸発させた。残留物を、水(30ml)中に溶解させ、そして飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpH10に調整した。その混合物を酢酸エチル/エーテル(1/1)で希釈し、有機層を分離した。水性層を、酢酸エチル/エーテルで更に抽出し、有機層を一緒にした。有機層を、水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、蒸発させた。得られた固体を、エーテル/石油エーテルの混合物中で研和し、濾過し、石油エーテルで洗浄し、真空下において60℃で乾燥させて、6−アミノ−3−メトキシ−4−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)安息香酸エチル(2.58g,80%)を生じた。
【0139】
【化19】

【0140】
酢酸ホルムアミジン(5.2g,50mmol)を含有する2−メトキシエタノール(160ml)中の6−アミノ−3−メトキシ−4−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)安息香酸エチル(16.1g,50mmol)の溶液を、115℃で2時間加熱した。酢酸ホルムアミジン(10.4g,100mmol)を、30分毎に少量ずつ4時間にわたって加えた。加熱は、最後の添加後30分間延長した。冷却後、揮発物を真空下で除去した。固体を、エタノール(100ml)および塩化メチレン(50ml)中に溶解させた。沈殿を濾過によって除去し、濾液を濃縮して、100mlの最終容量とした。その懸濁液を5℃に冷却し、固体を濾過によって集め、冷エタノールで、次にエーテルで洗浄し、真空下において60℃で一晩乾燥させて、6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(12.7g,70%)を生じた。
【0141】
【化20】

【0142】
DMF(280μl)を含有する塩化チオニル(28ml)中の6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(2.8g,9.24mmol)の溶液を、85℃で還流しながら1時間加熱した。冷却後、揮発物を蒸発によって除去した。沈殿をエーテルで研和し、濾過し、エーテルで洗浄し、真空下で乾燥させた。固体を塩化メチレン中に溶解させ、そして飽和水性炭酸水素ナトリウムを加えた。有機層を分離し、水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、4−クロロ−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン(2.9g,98%)を生じた。
【0143】
【化21】

【0144】
或いは、6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンは、次のように製造することができる。
水素化ナトリウム(1.44gの鉱油中60%懸濁液,36mmol)を、DMF(70ml)中の7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(8.46g,30mmol)(例えば、WO97/22596号の実施例1に記載のように製造される)の溶液に、少量ずつ20分間にわたって加え、その混合物を1.5時間撹拌した。ピバル酸クロロメチル(5.65g,37.5mmol)を少量ずつ加え、その混合物を周囲温度で2時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(100ml)で希釈し、そして氷/水(400ml)および2N塩酸(4ml)上に注いだ。有機層を分離し、水性層を酢酸エチルで抽出し、合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を蒸発によって除去した。残留物を、エーテルおよび石油エーテルの混合物で研和し、固体を濾過によって集め、真空下で乾燥させて、7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3−((ピバロイルオキシ)メチル)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(10g,84%)を生じた。
【0145】
【化22】

【0146】
酢酸エチル(250ml)、DMF(50ml)、メタノール(50ml)および酢酸(0.7ml)中の7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3−((ピバロイルオキシ)メチル)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(7g,17.7mmol)および10%木炭上パラジウム触媒(700mg)の混合物を、水素下において大気圧で40分間撹拌した。触媒を濾過によって除去し、溶媒を蒸発によって濾液から除去した。残留物をエーテルで研和し、濾過によって集め、真空下で乾燥させて、7−ヒドロキシ−6−メトキシ−3−((ピバロイルオキシ)メチル)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(4.36g,80%)を生じた。
【0147】
【化23】

【0148】
トリフェニルホスフィン(1.7g,6.5mmol)を、塩化メチレン(20ml)中の7−ヒドロキシ−6−メトキシ−3−((ピバロイルオキシ)メチル)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(1.53g,5mmol)の懸濁液に窒素下で加えた後、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(ヒドロキシメチル)ピペリジン(1.29g,6mmol)(上の方法(a)の出発物質について記載のように製造される)と、塩化メチレン(5ml)中のアゾジカルボン酸ジエチル(1.13g,6.5mmol)の溶液を加えた。周囲温度で30分間撹拌後、反応混合物をシリカカラム上に注ぎ、酢酸エチル/石油エーテル(1/1の後、6/5、6/4および7/3)で溶離した。予想される生成物を含有する画分の蒸発は、油状物をもたらし、それは、ペンタンでの研和後に結晶化した。その固体を濾過によって集め、真空下で乾燥させて、7−(1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イルメトキシ)−6−メトキシ−3−((ピバロイルオキシ)メチル)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(232g,92%)を生じた。
【0149】
【化24】

【0150】
TFA(5ml)を含有する塩化メチレン(23ml)中の7−(1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イルメトキシ)−6−メトキシ−3−((ピバロイルオキシ)メチル)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(2.32g,4.6mmol)の溶液を、周囲温度で1時間撹拌した。揮発物を真空下で除去した。残留物を、酢酸エチルと炭酸水素ナトリウムとに分配した。有機溶媒を真空下で除去し、残留物を濾過した。その沈殿を水で洗浄し、真空下で乾燥させた。固体をトルエンと一緒に共沸させ、真空下で乾燥させて、6−メトキシ−7−(ピペリジン−4−イルメトキシ)−3−((ピバロイルオキシ)メチル)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(1.7g,92%)を生じた。
【0151】
【化25】

【0152】
37%ホルムアルデヒド水溶液(501μl,6mmol)の後、水素化シアノホウ素ナトリウム(228mg,3.6mmol)を、THF/メタノール(10ml/10ml)混合物中の6−メトキシ−7−(ピペリジン−4−イルメトキシ)−3−((ピバロイルオキシ)メチル)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(1.21g,3mmol)の溶液に少量ずつ加えた。周囲温度で30分間撹拌後、有機溶媒を真空下で除去し、残留物を塩化メチレンと水とに分配した。有機層を分離し、水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、そして揮発物を蒸発によって除去した。残留物をエーテルで研和し、得られた固体を濾過によって集め、エーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)−3−((ピバロイルオキシ)メチル)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(1.02g,82%)を生じた。
【0153】
【化26】

【0154】
メタノール中の飽和アンモニア溶液(14ml)を、メタノール(5ml)中の6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)−3−((ピバロイルオキシ)メチル)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(1.38g,3.3mmol)の溶液に加えた。周囲温度で20時間撹拌後、その懸濁液を塩化メチレン(10ml)で希釈した。その溶液を濾過した。濾液を真空下で乾燥させ、残留物をエーテルで研和し、濾過によって集め、エーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(910mg,83%)を生じた。
【0155】
【化27】

【0156】
次の試験を用いて、5−FUおよびCPT−11と組み合わせたZD6474の活性を示した。
【0157】
ヌードマウスにおけるヒトLS−174T結腸腫瘍異種移植片
0.2mlの血清不含 Roswell Park Memorial Institute(RPMI)−1640培地中の10個のLS−174T腫瘍細胞を、10匹の無胸腺(nu/nu遺伝子型)マウスの側腹部に皮下(s.c.)注射した。腫瘍サイズが700〜1000mmに達した時(3〜4週間)、腫瘍を外科的に切除し、そしてそれらのより小さい腫瘍断片(20〜30mg)を、120匹のヌードマウスの右側腹部s.c.に植え込んだ。腫瘍が100〜200mmの体積に達した時(移植後14〜6日目)、マウスを無作為にグループに分け(13〜15匹/群)、処置を開始した。
【0158】
(a)5−FU+ZD6474
□対照群(群1)には、生理食塩水(5−FUのビヒクル)の0日目および7日目の2回の静脈内(i.v.)注射と組み合わせた、ZD6474ビヒクルの連続14日間(0〜13日目)毎日の経口(p.o.)投与を行った。
【0159】
□群2について、処置は、生理食塩水(5−FUのビヒクル)の0日目および7日目のの2回のi.v.注射と組み合わせた、ZD6474単独の25mg/kg/投与で連続14日間(0〜13日目)毎日のp.o.投与から成った。ZD6474は、1%ポリソルベート80(すなわち、脱イオン水中の1%(v/v)ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート溶液)中の懸濁液として調製した。
【0160】
□群3には、ZD6474ビヒクルの連続14日間(0〜13日目)毎日のp.o.投与と組み合わせた、5−FUの75mg/kg/注射で0日目および7日目の2回のi.v.注射を行った。
【0161】
□群4には、5−FUの75mg/kg/注射で0日目および7日目の2回のi.v.注射と組み合わせた、ZD6474の25mg/kg/投与で連続14日間(0〜13日目)毎日のp.o.投与を行った。
【0162】
ZD6474の投与容量は、10.0ml/kg(20gのマウスにつき200μl)であった。5−FUの注射容量は、10.0ml/kg(20gのマウスにつき200μl)であった。
【0163】
【表1】

【0164】
腫瘍体積(mm)は、両側Vernier カリパス測定によって少なくとも週2回評価したが、長さを、腫瘍を横切る最長径とし、幅は、対応する垂直線として、式(π/6)x(長さx幅)x((長さx幅)の平方根)を用いて計算した。処置開始からの成長抑制は、対照群と被処置群との間の腫瘍体積の差の比較によって評価した。全てのマウスについて、腫瘍が2,000mmに達した時に、研究を止めた。全てのマウスについて、研究終結時に、腫瘍を切除し、重量を記録した。
【0165】
【表2】

【0166】
5−FUとZD6474との組合せは、5−FU単独よりも有意に大きい腫瘍成長抑制を生じた(片側二標本t検定(one-tailed two-sample t test)により、13日目にP=0.018)。
【0167】
5−FUとZD6474との組合せは、ZD6474単独よりも有意に大きい腫瘍成長抑制を生じた(片側二標本t検定により、13日目にP=0.027)。
5−FUとZD6474との組合せは、ZD6474単独(33%)または5−FU単独(40%)より大きい腫瘍退縮(62%)を生じた。
【0168】
(b)CPT−11+ZD6474
□対照群(群1)には、生理食塩水(CPT−11のビヒクル)の0日目および7日目の2回の静脈内(i.v.)注射と組み合わせた、ZD6474ビヒクルの連続14日間(0〜13日目)毎日の経口(p.o.)投与を行った。対照群は、若干の腫瘍体積が大きすぎる(約2cm)と考えられたので、この期間を超えて継続しなかった。
【0169】
□群2について、処置は、生理食塩水(CPT−11のビヒクル)の0日目、7日目および14日目の3回のi.v.注射と組み合わせた、ZD6474単独の25mg/kg/投与で連続21日間(0〜20日目)毎日のp.o.投与から成った。ZD6474は、1%ポリソルベート80(すなわち、脱イオン水中の1%(v/v)ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート溶液)中の懸濁液として調製した。
【0170】
□群3には、ZD6474ビヒクルの連続21日間(0〜20日目)毎日のp.o.投与と組み合わせた、CPT−11の20mg/kg/注射で0日目、7日目および14日目の3回のi.v.注射を行った。
【0171】
□群4には、5−FUの20mg/kg/注射で0日目、7日目および14日目の3回のi.v.注射と組み合わせた、ZD6474の25mg/kg/投与で連続21日間(0〜20日目)毎日のp.o.投与を行った。
【0172】
ZD6474の投与容量は、10.0ml/kg(20gのマウスにつき200μl)であった。CPT−11の注射容量は、10.0ml/kg(20gのマウスにつき200μl)であった。
【0173】
【表3】

【0174】
腫瘍体積(mm)は、両側Vernier カリパス測定によって少なくとも週2回評価したが、長さを、腫瘍を横切る最長径とし、幅は、対応する垂直線として、式(π/6)x(長さx幅)x(長さx幅)の平方根を用いて計算した。処置開始からの成長抑制は、対照群と被処置群との間の腫瘍体積の差の比較によって評価した。全てのマウスについて、腫瘍が2,000mmに達した時に、研究を止めた。全てのマウスについて、研究終結時に、腫瘍を切除し、重量を記録した。
【0175】
【表4】

【0176】
ZD6474(25mg/kg/日p.o.,0〜20日目)、CPT−11(20mg/kg i.v.,0日目、7日目および14日目)またはその組合せで処置されたマウスについて、20日目の平均腫瘍体積は、それぞれ、475mm、552mmおよび336mmであった。
【0177】
類似の実験を用いて、この動物モデルでZD6474、5−FUおよびCPT−11の組合せを調べることができる。
類似の実験を用いて、この動物モデルでZD6474、5−FU、CPT−11および電離放射線の組合せを調べることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトなどの温血動物での抗血管新生作用および/または血管透過性低減作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474としても知られる、4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン:
【化1】

またはその薬学的に許容しうる塩、
および
(a)5−FU;
(b)CPT−11;および
(c)5−FUおよびCPT−11
の内の一つの使用。
【請求項2】
ヒトなどの温血動物での抗癌作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩、および
(a)5−FU;
(b)CPT−11;および
(c)5−FUおよびCPT−11
の内の一つの使用。
【請求項3】
ヒトなどの温血動物での抗腫瘍作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩、および
(a)5−FU;
(b)CPT−11;および
(c)5−FUおよびCPT−11
の内の一つの使用。
【請求項4】
電離放射線で処置されているヒトなどの温血動物での抗癌作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩および5−FUの使用。
【請求項5】
電離放射線で処置されているヒトなどの温血動物での抗癌作用の生成に用いるための薬剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩およびCPT−11の使用。
【請求項6】
電離放射線で処置されているヒトなどの温血動物での抗癌作用の生成に用いるための薬
剤の製造における、ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩、および5−FUおよびCPT−11の使用。
【請求項7】
癌が、結腸直腸癌である、請求項2、請求項4、請求項5および請求項6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩および5−FUを、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に含む医薬組成物。
【請求項9】
ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩およびCPT−11を、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に含む医薬組成物。
【請求項10】
ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩、および5−FUおよびCPT−11を、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に含む医薬組成物。
【請求項11】
ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩および5−FUを含むキット。
【請求項12】
ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩およびCPT−11を含むキット。
【請求項13】
ZD6474またはその薬学的に許容しうる塩、および5−FUおよびCPT−11を含むキット。
【請求項14】
ヒトなどの温血動物の癌の処置方法であって、該動物に、有効量のZD6474またはその薬学的に許容しうる塩を、有効量の
(a)5−FU;
(b)CPT−11;および
(c)5−FUおよびCPT−11
の内の一つの前に、の後に、またはと同時に投与することを含む方法。

【公開番号】特開2011−16853(P2011−16853A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238996(P2010−238996)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【分割の表示】特願2006−502268(P2006−502268)の分割
【原出願日】平成16年2月11日(2004.2.11)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】