説明

組合せ秤及びそれを備える計量包装システム

【課題】生産ラインに異常が生じた場合に、品質が劣化した被計量物の包装を防止し、かつ、生産コストの増加や資源の浪費を抑制することができる組合せ秤を提供することを目的とする。
【解決手段】被計量物を生産する上流ラインの後及び/又は被計量物を包装する下流ラインの前に配置された組合せ秤101であって、機器の運転情報を取得する運転情報取得手段と、組合せ秤量する組合せ秤量手段と、被計量物を排出する排出機構15と、組合せ秤101の運転を制御する運転制御手段と、を備え、運転制御手段は、運転情報取得手段により運転停止を示す情報を取得した場合、組合せ秤101の運転を停止し、該運転の停止から第1所定時間経過後に組合せ秤量手段により保持されている被計量物を排出機構15を通じて排出(以下、全排出)するよう構成されている、組合せ秤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組合せ秤及びそれを備える計量包装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
計量包装システムは、被計量物を計量する組合せ秤と、袋を作製しながら、組合せ秤で計量された被計量物を充填して包装する包装機と、を備えたシステムである。組合せ秤は、複数の計量ホッパに供給された洗剤や菓子類等の被計量物を、計量し、計量した被計量物の計量値に基づいて、組合せ演算を行い、計量値の合計が、所定重量範囲となる計量ホッパの組合せを求める。そして、その組合せに該当する計量ホッパの被計量物をまとめて排出することにより、包装機へ被計量物が投入されるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、包装機は、帯状の包材をフォーミングチューブにより筒状に整形し、筒状に整形された包材(以下、筒状包材)の両側をシールしながら下方に引き出し、筒状包材の下端をシールし、下端をシールした筒状包材に組合せ秤から排出された被計量物が投入され、筒状包材の上端をシールして被計量物を包装するように構成されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
このような計量包装システムにおいて、組合せ秤に供給される被計量物の製造が終了したような場合や、組合せ秤に供給する被計量物の品種を変更するような場合には、組合せ秤の全ての計量ホッパに残存している被計量物を排出する処理を行う必要がある。このような全排出処理を行う場合に、全排出処理にあった作動を製袋包装装置に行わせる計量及び製袋包装システムが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
特許文献3に開示されている計量及び製袋包装システムでは、商品の重量データあるいは容積データを考慮に入れて袋の大きさを決めているため、製造する袋を商品の量にあった大きさにすることができる。また、特許文献3に開示されている計量及び製袋包装システムでは、所定の計量ホッパ内に許容範囲以上の重量の商品が投入された等のエラーが検出されると、所定の計量ホッパ内の商品を強制的に排出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−170884号公報
【特許文献2】特開平10−218122号公報
【特許文献3】特開2001−2013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、生産ラインにおいて異常が発生した場合に、組合せ秤に存在する被計量物は、異常が解消されるまで、長時間生産ライン中に存在することとなる。このとき、例えば、被計量物が、アイスや冷凍食品など溶けやすい製品、または、生鮮食品等鮮度の劣化が激しい製品である場合、その品質が劣化する場合がある。しかしながら、特許文献3に開示されている計量及び製袋包装システムでは、生産ラインにおいて異常が発生したような場合については、何ら考慮されていない。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、生産ラインに異常が生じた場合に、早期に処理を行うことにより、品質が劣化した被計量物の包装を防止し、かつ、生産コストの増加や資源の浪費を抑制することができる、組合せ秤及びそれを備える計量包装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明に係る組合せ秤は、組合せ秤量すべき被計量物を生産する上流ラインの後及び/又は少なくとも組合せ秤量された被計量物を包装する下流ラインの前に配置され、前記組合せ秤量を行う組合せ秤であって、前記上流ライン及び/又は前記下流ラインを構成する機器の運転情報を取得する運転情報取得手段と、前記被計量物を組合せ秤量する組合せ秤量手段と、前記組合せ秤量された被計量物を排出する排出機構と、前記組合せ秤の運転を制御する運転制御手段と、を備え、前記運転制御手段は、前記運転情報取得手段により前記上流ライン及び/又は前記下流ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得した場合、前記組合せ秤の運転を停止し、該運転の停止から第1所定時間経過後に前記組合せ秤量手段により保持されている被計量物を前記排出機構を通じて排出(以下、全排出)するよう構成されている。
【0010】
これにより、上流ライン及び下流ラインを有する生産ラインで異常が発生した場合に、早期に組合せ秤に存在する被計量物を強制排出するため、品質が劣化した被計量物を市場に出すことを抑制することができる。
【0011】
また、本発明に係る組合せ秤では、前記運転制御手段は、前記上流ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得した場合には、さらに、前記組合せ秤量手段により組合せ秤量ができなくなった場合に、前記組合せ秤の運転を停止し、該運転の停止から第1所定時間経過後に前記組合せ秤量手段により保持されている被計量物を全排出するよう構成されていてもよい。
【0012】
これにより、生産ラインの上流ラインで異常が発生した場合には、生産ラインの下流ラインは正常に稼動することができるため、組合せ秤に存在する被計量物を組合せ秤量して、該組合せ秤量された被計量物を下流ラインに流すことにより、組合せ秤に存在する被計量物を市場に出すことができ、生産コストの増加や資源の浪費を抑制することができる。
【0013】
また、本発明に係る組合せ秤では、前記運転制御手段は、前記下流ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得した場合には、前記組合せ秤量手段により組合せ秤量をすることなく前記組合せ秤の運転を停止し、該運転の停止から第1所定時間経過後に前記組合せ秤量手段により保持されている被計量物を全排出するよう構成されていてもよい。
【0014】
これにより、生産ラインの下流ラインで異常が発生した場合には、早期に組合せ秤に存在する被計量物を強制排出するため、品質が劣化した被計量物を市場に出すことを抑制することができる。
【0015】
また、本発明に係る組合せ秤では、前記排出機構は、通常排出口と強制排出口を有しており、前記運転制御手段は、前記運転情報取得手段により前記上流ライン及び/又は前記下流ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得しない場合には、前記通常排出口から前記被計量物を包装機に排出し、前記運転情報取得手段により前記上流ライン及び/又は前記下流ライン生産ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得した場合には、前記強制排出口から前記被計量物を全排出するように構成されていてもよい。
【0016】
また、本発明に係る組合せ秤では、前記組合せ秤量手段は計量ホッパを有し、前記運転制御手段は、前記運転情報取得手段により前記上流ライン及び/又は前記下流ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得した場合には、前記計量ホッパを開放状態に維持して前記全排出するように構成されていてもよい。
【0017】
また、本発明に係る組合せ秤では、表示器をさらに備え、前記運転制御手段は、前記運転情報取得手段により前記上流ライン及び/又は前記下流ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得した場合には、前記第1所定時間よりも短い時間である第2所定時間経過後、前記表示器に警告情報を表示させてもよい。
【0018】
これにより、作業者は、生産ラインに異常が発生していることを容易に知ることができる。
【0019】
さらに、本発明に係る組合せ秤では、警報器をさらに備え、前記運転制御手段は、前記運転情報取得手段により前記上流ライン及び/又は前記下流ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得した場合には、前記第1所定時間よりも短い時間である第2所定時間経過後、前記警報器を作動させてもよい。
【0020】
これにより、作業者は、生産ラインに異常が発生していることを容易に知ることができる。
【0021】
また、本発明に係る計量包装システムは、前記組合せ秤と、前記組合せ秤で計量された被計量物を包装する包装機と、を備え、前記運転制御手段は、前記包装機の運転を制御するように構成され、前記運転情報取得手段により前記上流ライン及び/又は前記下流ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得した場合には、予め設定された前記被計量物の重量よりも大きい重量で包装するように前記包装機を制御する。
【0022】
また、本発明に係る計量包装システムは、前記組合せ秤と、前記組合せ秤で計量された被計量物を包装する包装機と、前記包装機が前記被計量物を包装した包装品の重量により選別する重量選別器と、を備える。
【0023】
これにより、強制排出する被計量物を特別に包装(例えば、包装する袋の大きさを大きくする等)しなくても、強制排出した被計量物として排除することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の組合せ秤及びそれを備える計量包装システムによれば、生産ラインに異常が生じた場合に、品質が劣化した被計量物の包装を防止し、かつ、生産コストの増加や資源の浪費を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る計量包装システムの概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示す計量包装システムにおける組合せ秤の概略構成を示す模式図である。
【図3】図3は、図1に示す計量包装システムにおける包装機の主要部の概略構成を示す模式図である。
【図4】図4は、本実施の形態1に係る計量包装システムにおける生産ラインで異常が発生した場合における停止処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の実施の形態2に係る計量包装システムの概略構成を示す模式図である。
【図6】図6は、図5に示すに示す計量包装システムの制御装置の概略構成を示す模式図である。
【図7】図7は、本実施の形態2に係る計量包装システムにおける生産ラインで異常が発生した場合における停止処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、全ての図面において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0027】
(実施の形態1)
[計量包装システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る計量包装システムの概略構成を示す模式図である。
【0028】
図1に示すように、本発明の実施の形態1に係る計量包装システム100は、生産ライン200に配置されていて、組合せ秤101と、包装機102と、制御装置103と、を備えている。また、生産ライン200は、ここでは、計量包装システム100と、被計量物生産エリア104と、重量選別機105と、検査装置106と、箱詰め装置107と、から構成されていて、被計量物生産エリア104が、生産ライン200の上流ラインを構成し、包装機102、重量選別機105、検査装置106、及び箱詰め装置107が、生産ライン200の下流ラインを構成する。すなわち、生産ライン200の上流ラインとは、生産ライン200において、組合せ秤101よりも上流側の各機器の配置構成をいい、生産ライン200の下流ラインとは、組合せ秤101よりも下流側の各機器の配置構成をいう。そして、制御装置103が、生産ライン200全体を制御する。
【0029】
被計量物生産エリア104には、被計量物(例えば、アイスクリームや冷凍食品等)を生産するための種々の機器(図示せず)と、ベルトコンベア(図示せず)、バケットコンベア(供給装置)109等の搬送装置と、生産された被計量物を一時的にストックするストックフィーダ108と、が配置されている。被計量物生産エリア104では、被計量物が生産され、生産された被計量物は、図示されないベルトコンベア等でストックフィーダ108に供給される。ストックフィーダ108に供給された被計量物は、バケットコンベア109によって、計量包装システム100の上方にまで搬送され、組合せ秤101に被計量物を供給する。
【0030】
計量包装システム100は、上述したように、組合せ秤101と、包装機102と、制御装置103と、重量選別器105と、を備えている。ここで、図2を参照しながら、組合せ秤101の構成について説明する。図2は、図1に示す計量包装システム100における組合せ秤101の概略構成を示す模式図である。
【0031】
図2に示すように、組合せ秤101は、トップコーン3、メインフィーダ加振器4、リニアフィーダ加振器6、供給ホッパ10、計量ホッパ12、重量センサ8、集合シュート14、及び集合ホッパ(排出機構)15を有している。トップコーン3は、組合せ秤101上部の中央に設けられており、円錐状に形成されていて、トップコーン3の下方には、メインフィーダ加振器4が設けられている。メインフィーダ加振器4の振動により、トップコーン3は、バケットコンベア109から供給された被計量物を放射状に分散する。また、トップコーン3の上方には、レベル検出器2が設けられており、レベル検出器2は、トップコーン3上の被計量物の量を検出して、検出した被計量物の量を制御装置103に出力するように構成されている。これにより、制御装置103は、レベル検出器2で検出された被計量物の量によって、バケットコンベア109を制御して、トップコーン3上の被計量物の量を一定に保つ。
【0032】
トップコーン3の周囲には、トップコーン3から被計量物を受け取って下流に供給するためのリニアフィーダパン5が放射状に複数設けられている。リニアフィーダパン5には、リニアフィーダ加振器6が設けられており、また、リニアフィーダパン5の先端の下方には、複数の供給ホッパ10が円状に設けられている。供給ホッパ10の下方には、該供給ホッパ10に対応するように計量ホッパ12が設けられている。供給ホッパ10及び計量ホッパ12は、それぞれ、供給ホッパゲート11及び計量ホッパゲート13を有している。また、各計量ホッパ12には、ロードセル等の重量センサ8が取り付けられており、この重量センサ8が計量ホッパ12に供給された被計量物の重量を検出する。
【0033】
これにより、リニアフィーダ加振器6は、その振動により、メインフィーダ加振器4により分散された被計量物をリニアフィーダパン5から各供給ホッパ10に供給する。また、供給ホッパ10は、その下方に配置された計量ホッパ12が空になると供給ホッパゲート11を開いて計量ホッパ12に被計量物を投入する。
【0034】
計量ホッパ12の下方には、その下部に排出口を有する集合シュート14が設けられており、集合シュート14の排出口には、集合ホッパ15が配設されている。集合ホッパ15は、ここでは、2つの集合ホッパゲート16、17を有しており、集合ホッパゲート16が、リジェクト側排出ゲート(強制排出口)16を構成し、集合ホッパゲート17が、包装機側排出ゲート17を構成する。リジェクト側排出ゲート16の下方には、容器(図示せず)が配置されていて、包装機側排出ゲート17の下方には、包装機102が配置されている。
【0035】
これにより、計量ホッパ12から送出された被計量物は、集合シュート14上を滑り、集合シュート14の排出口から集合ホッパ15に排出される。そして、制御装置103の制御により、集合ホッパ15のリジェクト側排出ゲート16が開放されると、被計量物は図示されない容器に排出され、包装機側排出ゲート17が開放されると、被計量物は包装機102に排出される。なお、ここでは、リジェクト側排出ゲート16の下方には、容器を配置する構成としたが、これに限定されず、容器に代えて袋を配置してもよい。
【0036】
次に、図3を参照しながら、包装機102について説明する。図3は、図1に示す計量包装システム100における包装機102の主要部の概略構成を示す模式図である。
【0037】
図3に示すように、包装機102は、筒状のフォーミングチューブ21、フォーマ22、プルダウンベルト機23、縦シール機24、横シール機25、ローラ26、及びシート状の包材27が巻回された包材ロール28を備えている。
【0038】
フォーミングチューブ21は、包装機102に固設されており、包材ロール28は、包装機102に回動自在に設けられている。フォーミングチューブ21の中央部には、包材27をフォーミングチューブ21に巻きつけるためのフォーマ22が設けられている。フォーマ22近傍には、ローラ26が設けられている。これにより、包材ロール28から引き出された包材27が、ローラ26に巻き掛けられ、フォーマ22によってフォーミングチューブ21に巻きつけられる。
【0039】
フォーミングチューブ21の下部には、包材27を下方に送り出すためのプルダウンベルト機23が該フォーミングチューブ21に押し付けられるように設けられている。また、プルダウンベルト機23とほぼ同じ高さの位置に、縦シール機24が配設されている。さらに、フォーミングチューブ21の下方には、横シール機25が配設されている。これにより、包材27は、筒状に成形され、縦の縁が縦シール機24にシール(溶着による封止)され、横シール機25により横方向のシールが行われることにより、袋(包装品)が形成される。袋が形成されると、横シール機25に内蔵されているカッターにより、横方向のシール部分の中央が切断されて、形成された袋が分離される。
【0040】
そして、図1に示すように、包装機102で包装された被計量物(袋)Aをベルトコンベア110が重量選別機105まで搬送する。重量選別機105は、ベルトコンベア110(搬送装置)により搬送された袋Aの重量を検出すると共に、重量が所定の範囲内にあるか否かの判定を行う。また、検出した重量及び判定結果を制御装置103に出力する。なお、生産ライン200は、袋Aの重量が所定の範囲内にない場合には、適宜な手段により、該袋Aが生産ライン200の重量選別機105より下流側に搬送されないように構成されている。また、本実施の形態においては、重量選別機105が、袋Aの重量が所定の範囲にあるか否かを判定したが、これに限定されず、制御装置103が判定するように構成されていてもよい。
【0041】
重量選別機105で重量を検出された袋Aは、ベルトコンベア113(搬送装置)により、検査装置106にまで搬送される。検査装置106は、例えば、金属検知器やX線異物検査装置等で構成されていて、袋A内に金属等の異物が混入していないか検査するように構成されている。検査装置106で異常が検出されなかった袋Aは、適宜な手段により、箱詰め装置107に搬送され、そこで箱詰めされる。なお、生産ライン200は、袋Aに異物が混入している等の異常が検出された場合には、適宜な手段により、該袋Aが箱詰め装置107に搬送されないように構成されている。
【0042】
次に、制御装置103について、図1を参照しながら説明する。
【0043】
図1に示すように、制御装置103は、ここでは、マイコン等のコンピュータによって構成されており、CPU等からなる演算処理器51、メモリ等からなる記憶器52、時計器53、入力器54、表示器111、及び通信器55を有している。制御装置103の演算処理器51は、記憶器52に格納された所定の制御プログラムを読み出し、これを実行することにより、計量包装システム100及び生産ライン200に配置された種々の機器(例えば、ストックフィーダ108等)に関する各種の制御を行う。また、制御装置103の演算処理器51は、記憶器52に記憶されたデータや入力器54から入力されたデータを処理し、特に、生産ライン200で異常が発生した場合には、生産ライン200に配置された各機器を停止させ、所定の時間経過すると、組合せ秤101に存在する被計量物を強制排出させる。すなわち、組合せ秤101と制御装置103により組合せ秤量手段が構成され、運転制御手段及び運転情報取得手段は、制御装置103で構成されている。
【0044】
ここで、本明細書において、制御装置とは、単独の制御器だけでなく、複数の制御器が協働して計量包装システム100及び生産ライン200の制御を実行する制御器群をも意味する。このため、制御装置103は、単独の制御器から構成される必要はなく、複数の制御器が分散配置され、それらが協働して計量包装システム100及び生産ライン200を制御するように構成されていてもよい。
【0045】
なお、制御装置103として、マイコンを例示したが、例えば、マイコンと論理回路で構成されてもよい。
【0046】
次に、本実施の形態1に係る計量包装システム100の動作について説明する。なお、計量包装システム100の一般的動作(被計量物を組合せ秤101で計量し、計量した被計量物を包装機102で包装する動作)については周知であるため、その詳細な説明は省略し、生産ライン200で異常が発生した場合における動作(停止処理)について、図1及び図4を参照しながら説明する。
【0047】
図4は、本実施の形態1に係る計量包装システム100における生産ライン200で異常が発生した場合における停止処理の一例を示すフローチャートである。
【0048】
図4に示すように、制御装置103の演算処理器51は、生産ライン200に配置された各機器から異常が検出されたことを確認する(ステップS101)。そして、発生した異常が、生産ライン200の上流ラインに配置された機器であるか下流ラインに配置された機器であるかを判定する(ステップS102)。上流ラインに配置された機器である場合には、ステップS103に進み、下流ラインに配置された機器である場合には、ステップS108に進む。
【0049】
ステップS103では、制御装置103は、生産ライン200の上流ラインに配置されている機器(ここでは、ストックフィーダ108等)を停止させる。上流ラインに配置された機器に異常が発生した場合には、組合せ秤101に存在する被計量物を計量して、該計量された被計量物を包装機102で包装することができるからである。
【0050】
次に、制御器103は、組合せ秤量が不可であるか否かを判定する(ステップS104)。ここで、組合せ秤量とは、各計量ホッパ12に投入された被計量物の重量を基に、予め作業者から指示された目標重量(例えば、100g)になるように組合せ演算をし、複数の計量ホッパ12の中から排出すべき計量ホッパ12の組合せを求め、その組合せに該当する計量ホッパ12から被計量物を集合シュート14に排出する、一連の動作をいう。制御装置103は、組合せ秤量が不可になるまで、組合せ秤101に存在する被計量物を計量して、該計量された被計量物を生産ライン200の下流に流し、組合せ秤量が不可になると(ステップS104でYes)、ステップS105に進む。
【0051】
ステップS105では、制御装置103は、生産ライン200の下流ラインに配置された各機器を停止させる。ついで、制御装置103の演算処理器51は、ステップS104で組合せ秤量が不可になってから経過した時間t1を時計器53から取得し(ステップS106)、該時間t1が、第1所定時間以上であるか否かを判定する(ステップS107)。時間t1が第1所定時間未満である場合には、ステップS106に戻り、第1所定時間以上になるまで、ステップS106とステップS107を繰り返す。一方、時間tが第1所定時間以上である場合には、ステップS111に進む。ここで、第1所定時間は、計量包装システム100を使用する使用者によって適宜設定される時間である。なお、第1所定時間は、被計量物の品質劣化を考慮して、実験等により決定される。このため、被計量物の品種ごとに異なるように設定されていてもよい。
【0052】
一方、ステップS102で、下流ラインに配置された機器に異常が発生していると判定された場合には、制御装置103は、生産ライン200に配置されている全ての機器(制御装置103を除く)を停止させる(ステップS108)。生産ライン200の下流ラインで異常が発生した場合には、被計量物を包装機102で包装等の処理が行えず、品質が劣化した被計量物を市場に出さないようにするためである。
【0053】
次に、制御装置103の演算処理器51は、ステップS101で異常を確認してから経過した時間t2を時計器53から取得し(ステップS109)、該時間t2が、第1所定時間以上であるか否かを判定する(ステップS110)。時間t2が第1所定時間未満である場合には、ステップS109に戻り、第1所定時間以上になるまで、ステップS109とステップS110を繰り返す。一方、時間t2が第1所定時間以上である場合には、ステップS111に進む。
【0054】
ステップS111では、制御装置103の演算処理器51は、組合せ秤101内に存在する被計量物を強制排出させる。これにより、組合せ秤101は、集合ホッパ15のリジェクト側排出ゲート16を開放し、被計量物を図示されない容器に排出する(図2参照)。
【0055】
このように、本実施の形態1に係る計量包装システム100では、生産ライン200の上流ラインを構成する機器で異常が発生した場合には、組合せ秤101に存在する被計量物を計量して、該計量された被計量物を包装機で包装して、生産ライン200の下流ラインに流すことにより、組合せ秤101に存在する被計量物を市場に出すことができ、生産コストの増加や資源の浪費を抑制することができる。
【0056】
一方、生産ライン200の下流ラインで異常が発生した場合には、被計量物を組合せ秤量しても、組合せ秤量した被計量のその後の処理が行えないため、組合せ秤101に存在する被計量物は、異常が解消されるまで、長時間生産ライン200中に存在することとなる。このとき、例えば、被計量物が、アイスや冷凍食品など溶けやすい製品、または、生鮮食品等鮮度の劣化が激しい製品である場合、その品質が劣化する場合がある。
【0057】
しかしながら、本実施の形態1に係る計量包装システム100では、早期に組合せ秤101に存在する被計量物を強制排出するため、品質が劣化した被計量物を市場に出すことを防止することができる。
【0058】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る計量包装システム100の概略構成を示す模式図である。また、図6は、図5に示すに示す計量包装システム100の制御装置103の概略構成を示す模式図である。
【0059】
図5及び図6に示すように、本発明の実施の形態2に係る計量包装システム100は、実施の形態1に係る計量包装システム100と基本的構成は同じであるが、警報器112をさらに備えている点と、制御装置103がパネルコンピュータで構成されている点と、が異なる。
【0060】
具体的には、制御装置103は、ここでは、表示器111である液晶ディスプレイを利用して入力器54であるタッチパネルが構成されている。表示器111には、ここでは、品種番号、品名表示エリア31と、複数のホッパの計量情報及びフィーダの強度情報を表示するヘッド情報円形表示エリア32と、本発明の警告情報が表示されるメッセージ表示エリア33と、運転開始/停止キー34と、アクセスレベル変更スイッチ35と、計量情報表示エリア36と、他の画面に切り替えるための復帰スイッチ37と、が表示される。このように、本実施の形態2に係る計量包装システム100では、制御装置103が、本発明の表示器を兼ねる構成となっている。なお、アクセスレベル変更スイッチ35は、表示情報のレベルを切り替えるためのアクセスレベルを切り替えるためパスワード等を入力するためのタッチスイッチである。
【0061】
また、制御装置103の演算処理器51は、特に、生産ライン200で異常が発生した場合には、生産ライン200に配置された各機器を停止させ、所定の時間経過すると、表示器111に警告情報を表示させ、また、警報器112を作動させるように構成されている。
【0062】
また、図5に示す警報器112は、音声を出力するスピーカ、警報音を出力するブザー、警報を表す光を出射する光源等が挙げられる。これにより、作業者は、生産ライン200で異常が発生したことを容易に知ることができる。なお、本実施の形態においては、表示器111と警報器112の両方を備えて、これらの機器に異常が発生したことを示すようにする構成としたが、これに限定されず、表示器111のみを備えて、該表示器111のみに異常が発生したことを示す構成としてもよく、また、警報器112のみに異常が発生したことを示す構成としてもよい。
【0063】
次に、本実施の形態2に係る計量包装システム100の動作について、図7を参照しながら説明する。
【0064】
図7は、本実施の形態2に係る計量包装システム100における生産ライン200で異常が発生した場合における停止処理の一例を示すフローチャートである。
【0065】
図7に示すように、本実施の形態2に係る計量包装システム100における生産ライン200で異常が発生した場合における停止処理は、実施の形態1に係る計量包装システム100の停止処理(図4参照)におけるステップS105とステップS106との間、又は、ステップS108とステップS109との間に警報器112を作動させる処理を有する点が異なる。
【0066】
具体的には、生産ライン200の上流ラインに配置された機器に異常が発生した場合には、制御装置103の演算処理器51は、上述したように、ステップS103からステップS105の処理を行う。そして、ステップS105の処理が終わると、制御装置103の演算処理器51は、ステップS104で組合せ秤量が不可になってから経過した時間t1を時計器53から取得し(ステップS201)、該時間t1が、第2所定時間以上であるか否かを判定する(ステップS202)。時間t1が第2所定時間未満である場合には、ステップS201に戻り、第2所定時間以上になるまで、ステップS201とステップS202を繰り返す。一方、時間tが第2所定時間以上である場合には、ステップS203に進む。ここで、第2所定時間は、第1所定時間よりも短い時間であって、計量包装システム100を使用する使用者が任意に設定した時間をいう。なお、第2所定時間は、被計量物の品種ごとに異なるように設定されていてもよい。
【0067】
ステップS203では、制御装置103の演算処理器51は、表示器111に警告情報を表示させ(図6参照)、また、警報器112を作動させて、計量包装システム100の使用者に異常が発生していることを知らせる。そして、制御装置103の演算処理器51は、ステップS106以下の処理を行う。
【0068】
一方、生産ライン200の下流ラインに配置された機器に異常が発生した場合には、制御装置103の演算処理器51は、上述したように、ステップS108の処理を行う。そして、ステップS108の処理が終わると、制御装置103の演算処理器51は、ステップS101で異常を確認してから経過した時間t2を取得し(ステップS301)、該時間t2が、第2所定時間以上であるか否かを判定する(ステップS302)。時間t2が第2所定時間未満である場合には、ステップS301に戻り、第2所定時間以上になるまで、ステップS301とステップS302を繰り返す。一方、時間t2が第2所定時間以上である場合には、ステップS303に進む。
【0069】
ステップS303では、制御装置103の演算処理器51は、ステップS203と同様に、表示器111に警告情報を表示させ(図6参照)、また、警報器112を作動させて、計量包装システム100の使用者に異常が発生していることを知らせる。そして、制御装置103の演算処理器51は、ステップS109以下の処理を行う。
【0070】
このように構成された、本実施の形態2に係る計量包装システム100であっても、実施の形態1に係る計量包装システム100と同様の作用効果を奏する。また、本実施の形態2に係る計量包装システム100では、表示器111に警告情報を表示させ、また、警報器112を作動させることにより、容易に使用者に生産ラインで異常が発生していることを知らせることができる。
【0071】
なお、上記実施の形態においては、集合ホッパ15が2つのゲート(リジェクト側排出ゲート16、包装機側排出ゲート17)を有するように構成したが、これに限定されず、1つのゲートがリジェクト側排出ゲート16、包装機側排出ゲート17を兼ねるように構成されていてもよい。この場合、強制排出された被計量物が、非出荷品であることが一目でわかるようにする観点から、制御装置103は、予め設定された被計量物の重量よりも大きい重量で被計量物を包装するように包装機102を制御することが好ましい。また、集合ホッパの1つのゲートがリジェクト側排出ゲート16、包装機側排出ゲート17を兼ねるように構成されている場合に、使用者は、組合せ秤101から被計量物を強制排出する際に、包装機102に代えて、容器等を配置して、容器内に被計量物を排出させるようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態においては、重量選別機105を配置する構成としたが、これを配置しない構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の組合せ秤及びそれを備える計量包装システムは、生産ラインに異常が生じた場合に、品質が劣化した被計量物の包装を防止し、かつ、生産コストの増加や資源の浪費を抑制することができることから、組合せ秤の分野で有用である。
【符号の説明】
【0074】
2 レベル検出器
3 トップコーン
4 メインフィーダ加振器
5 リニアフィーダパン
6 リニアフィーダ加振器
8 重量センサ
10 供給ホッパ
11 供給ホッパゲート
12 計量ホッパ
13 計量ホッパゲート
14 集合シュート
15 集合ホッパ
16 リジェクト側排出ゲート(強制排出口)
17 包装機側排出ゲート
21 フォーミングチューブ
22 フォーマ
23 プルダウンベルト機
24 縦シール機
25 横シール機
26 ローラ
27 包材
28 包材ロール
31 品名表示エリア
32 ヘッド情報円形表示エリア
33 メッセージ表示エリア
34 運転開始/停止キー
35 アクセスレベル変更スイッチ
36 計量情報表示エリア
37 復帰スイッチ
51 演算処理器
52 記憶器
53 時計器
54 入力器
55 通信器
100 計量包装システム
101 組合せ秤
102 包装機
103 制御装置
104 被計量物生産エリア
105 重量選別機
106 検査装置
107 箱詰め装置
108 ストックフィーダ
109 バケットコンベア(供給装置)
110 ベルトコンベア
111 表示器
112 警報器
113 ベルトコンベア
200 生産ライン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
組合せ秤量すべき被計量物を生産する上流ラインの後及び/又は少なくとも組合せ秤量された被計量物を包装する下流ラインの前に配置され、前記組合せ秤量を行う組合せ秤であって、
前記上流ライン及び/又は前記下流ラインを構成する機器の運転情報を取得する運転情報取得手段と、
前記被計量物を組合せ秤量する組合せ秤量手段と、
前記組合せ秤量された被計量物を排出する排出機構と、
前記組合せ秤の運転を制御する運転制御手段と、を備え、
前記運転制御手段は、前記運転情報取得手段により前記上流ライン及び/又は前記下流ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得した場合、前記組合せ秤の運転を停止し、該運転の停止から第1所定時間経過後に前記組合せ秤量手段により保持されている被計量物を前記排出機構を通じて排出(以下、全排出)するよう構成されている、組合せ秤。
【請求項2】
前記運転制御手段は、前記上流ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得した場合には、さらに、前記組合せ秤量手段により組合せ秤量ができなくなった場合に、前記組合せ秤の運転を停止し、該運転の停止から第1所定時間経過後に前記組合せ秤量手段により保持されている被計量物を全排出するよう構成されている、請求項1に記載の組合せ秤。
【請求項3】
前記運転制御手段は、前記下流ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得した場合には、前記組合せ秤量手段により組合せ秤量をすることなく前記組合せ秤の運転を停止し、該運転の停止から第1所定時間経過後に前記組合せ秤量手段により保持されている被計量物を全排出するよう構成されている、請求項1に記載の組合せ秤。
【請求項4】
前記排出機構は、通常排出口と強制排出口を有しており、
前記運転制御手段は、前記運転情報取得手段により前記上流ライン及び/又は前記下流ライン生産ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得しない場合には、前記通常排出口から前記被計量物を包装機に排出し、
前記運転情報取得手段により前記上流ライン及び/又は前記下流ライン生産ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得した場合には、前記強制排出口から前記被計量物を全排出するように構成されている、請求項1に記載の組合せ秤。
【請求項5】
前記組合せ秤量手段は計量ホッパを有し、
前記運転制御手段は、前記運転情報取得手段により前記上流ライン及び/又は前記下流ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得した場合には、前記計量ホッパを開放状態に維持して前記全排出するように構成されている、請求項4に記載の組合せ秤。
【請求項6】
表示器をさらに備え、
前記運転制御手段は、前記運転情報取得手段により前記上流ライン及び/又は前記下流ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得した場合には、前記第1所定時間よりも短い時間である第2所定時間経過後、前記表示器に警告情報を表示させる、請求項1に記載の組合せ秤。
【請求項7】
警報器をさらに備え、
前記運転制御手段は、前記運転情報取得手段により前記上流ライン及び/又は前記下流ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得した場合には、前記第1所定時間よりも短い時間である第2所定時間経過後、前記警報器を作動させる、請求項1又は6に記載の計量包装システム。
【請求項8】
請求項3に記載の組合せ秤と、
前記組合せ秤で計量された被計量物を包装する包装機と、を備え、
前記運転制御手段は、前記包装機の運転を制御するように構成され、前記運転情報取得手段により前記上流ライン及び/又は前記下流ラインを構成する機器から運転停止を示す情報を取得した場合には、予め設定された前記被計量物の重量よりも大きい重量で包装するように前記包装機を制御する、計量包装システム。
【請求項9】
請求項3に記載の組合せ秤と、
前記組合せ秤で計量された被計量物を包装する包装機と、
前記包装機が前記被計量物を包装した包装品の重量により選別する重量選別器と、を備える、計量包装システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−230621(P2010−230621A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81005(P2009−81005)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】