説明

組合せ

本発明は、哺乳類の癌を治療する方法、及びこのような治療に有用な医薬組合せに関する。特に、前記方法は、MEK阻害剤:N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、PI3キナーゼ阻害剤:2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩とを含んでなる、新規組合せ、それを含んでなる医薬組成物、及びNNに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類の癌を治療する方法、及びこのような治療に有用な組合せに関する。特に、前記方法は、MEK阻害剤:N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、PI3K阻害剤:2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩とを含んでなる新規組合せ、それを含んでなる医薬組成物、及び癌の治療においてこのような組合せを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
癌を含む過増殖性障害の有効な治療は、腫瘍学分野における継続的な目標である。一般的に、癌は、細胞の分裂、分化及びアポトーシス細胞死を制御する正常なプロセスの調節解除に起因する。アポトーシス(プログラム細胞死)は、胚発生、並びに神経変性疾患、心血管疾患及び癌等の各種疾患の病変形成において重要な役割を果たす。アポトーシスのキナーゼ調節に関与している経路のうち最も広く研究されている経路のうちの1つは、細胞表面の成長因子受容体から核への細胞内シグナル伝達である(Crews及びErikson,Cell,74:215−17,1993年)。
【0003】
酵素のうち重要な大きなファミリーは、タンパク質キナーゼ酵素ファミリーである。現在、約500の異なる公知のタンパク質キナーゼが存在している。タンパク質キナーゼは、ATP−Mg2+複合体のγ−ホスフェートを様々なタンパク質におけるアミノ酸の側鎖に移動させることによって前記アミノ酸の側鎖のリン酸化を触媒する機能を有する。これら酵素は、細胞内のシグナル伝達プロセスの大部分を制御して、それによって、タンパク質におけるセリン、スレオニン、及びチロシンの残基のヒドロキシル基の可逆的リン酸化を通して細胞の機能、成長、分化、及び破壊(アポトーシス)を支配する。タンパク質キナーゼが、シグナル伝達、転写調節、細胞運動、及び細胞分裂を含む多くの細胞機能の重要な調節因子であることが研究によって示されている。また、幾つかの癌遺伝子がタンパク質キナーゼをコードしていることも示されており、これは、癌遺伝子においてキナーゼが何らかの役割を果たしていることを示唆する。これらプロセスは、高度に調節されており、それは、各キナーゼが1以上のキナーゼによってそれ自体調節される複雑な相互に関連する経路によって調節されていることが多い。結果として、異常な又は不適切なタンパク質キナーゼ活性は、良性及び悪性の増殖性障害、並びに免疫系及び神経系の不適切な活性化から生じる疾患を含むこのような異常なキナーゼ活性に関連する疾患状態の発生の一因となる場合がある。その生理学的な関連性、多様性、及び偏在性に起因して、タンパク質キナーゼは、生化学的及び医学的研究において最も重要且つ広く研究されている酵素のファミリーのうちの1つになっている。
【0004】
酵素のタンパク質キナーゼファミリーは、典型的に、リン酸化するアミノ酸残基に基づいて、タンパク質チロシンキナーゼとタンパク質セリン/スレオニンキナーゼの2つの主なサブファミリーに分類される。タンパク質セリン/スレオニンキナーゼ(PSTK)としては、サイクリックAMP及びサイクリックGMP依存性タンパク質キナーゼ、カルシウム及びリン脂質依存性タンパク質キナーゼ、カルシウム及びカルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ、カゼインキナーゼ、細胞分裂周期タンパク質キナーゼ、及び他のものが挙げられる。これらキナーゼは、通常、細胞質性であるか、又は恐らくアンカリングタンパク質によって細胞の顆粒画分に結合している。異常なタンパク質セリン/スレオニンキナーゼ活性は、関節リウマチ、乾癬、敗血性ショック、骨粗鬆、多くの癌、及び他の増殖性疾患等の多数の病状に関連しているか又は前記病状に罹りやすい。したがって、セリン/スレオニンキナーゼ及び前記セリン/スレオニンキナーゼがその一部であるシグナル伝達経路は、薬物設計の重要な標的である。チロシンキナーゼは、チロシン残基をリン酸化する。チロシンキナーゼは、細胞調節において同様に重要な役割を果たしている。これらキナーゼは、上皮成長因子受容体、インスリン受容体、血小板由来成長因子受容体、及び他のものを含む成長因子及びホルモン等の分子に対する幾つかの受容体を含む。多くのチロシンキナーゼは、細胞の外側に位置する受容体ドメインと、内側のキナーゼドメインとを有する膜貫通タンパク質であることが研究によって示されている。また、同様にチロシンキナーゼの調節因子を同定するための多くの研究が進められている。
【0005】
マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)キナーゼ/細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)キナーゼ(以下、MEKと称する)は、多数の細胞過程の調節に関与していることが知られている。Rafファミリー(B−Raf、C−Raf等)は、MEKファミリー(MEK−1、MEK−2等)を活性化し、MEKファミリーは、ERKファミリー(ERK−1及びERK−2)を活性化する。概して言えば、RAF/MEK/ERK経路のシグナル伝達活性は、mRNA翻訳を制御する。これは、細胞周期と関係する遺伝子を含む。したがって、この経路の過活性化は、無制御の細胞増殖を導き得る。全てのヒト悪性腫瘍の約30%でERKの過活性化によるRAF/MEK/ERK経路の調節解除がみられている(Allen,LFら,Semin.Oncol.2003年.30(5 Suppl 16):105−16)。RAS(PI3K/AKT及びRAF/MEK/ERKの両方を通じてシグナル伝達することができる)は、全ての癌の15%において突然変異型の発癌性タンパク質を有している(Davies,Hら.Nature.2002年.417:949−54)。また、特定の腫瘍の種類(例えば、黒色腫)において、活性化BRAF突然変異が高頻度で同定されている(Davies,Hら.Nature.2002年.417:949−54)。MEK自体における活性化突然変異は、ヒト癌ではそれほど頻繁に生じないと思われるが、MEKは、ERK経路において中心的な役割を果たしているので、ヒト癌を治療するための重要な薬物標的であると考えられる。更に、MEK阻害活性は、ERK1/2活性の阻害及び細胞増殖の抑制を有効に誘導し(The Journal of Biological Chemistry,vol.276,No.4,pp.2686−2692,2001年)、化合物が腫瘍形成及び/又は癌等の望ましくない細胞増殖によって引き起される疾患に対する効果を示すと予測される。
【0006】
ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)経路は、中でもヒトの癌において最も一般に活性化される経路である。腫瘍形成及び腫瘍進行におけるこの経路の機能及び重要性は、十分に確立されている(Samuels及びEricson.Curr.Opp in Oncology,2006年.18:77−82)。PI3K−AKTシグナル伝達は、細胞の生存、増殖、及び代謝の極めて重要な調節因子であると思われる。これは、哺乳類のラパマイシンの標的(mTOR)、PI3Kタンパク質ファミリーのメンバー、並びに細胞成長及び翻訳の直接調節因子の活性化を含む。したがって、腫瘍におけるPI3K/AKT/mTORシグナル伝達の調節解除は、無制限の生殖能及びアポトーシスの回避を含む悪性腫瘍の多数の特徴を示す細胞表現型の一因となる(Hanahan及びWeinberg,Cell.2000年.100:57−70)。
【0007】
PI3Kファミリーは、特にそのキナーゼドメイン内に配列相同性を共有する15のタンパク質から成る、しかし、それらは、基質特異性及び調節様式が異なる(Vivanco及びSawyers.Nat.Rev.Cancer,2002年.2:489−501)。クラスI PI3キナーゼは、ホスファチジルイノシトール(PtdIns)として知られているイノシトール含有脂質の3位をリン酸化する。クラスIファミリーのメンバーの一次基質であるPtdIns−4,5−P2(PIP2)は、これらキナーゼによってPtdIns−3,4,5−P3(PIP3)に変換される。PIP3は、プレクストリン相同ドメインを含有するタンパク質を、それらが活性化される細胞膜に動員する重要な二次伝達物質である。これらのタンパク質のうち最も研究されているのは、細胞の生存、成長及び増殖を促進するAKTである。活性化されると、AKTは細胞質及び核に移動し、そこでmTOR(TORC1)を含む多数の基質をリン酸化する。AKTに加えて、PI3Kは、PDK1、CDC42、及びRAC1等の発癌に関連している他の経路を活性化する(Samuels及びEricson.Curr.Opp in Oncology,2006年.18:77−82)。
【0008】
ヒトの腫瘍における研究では、PI3K/AKT/mTORシグナル伝達経路の活性化は、多くの機序を介して生じる場合がある。前記経路の遺伝的調節解除が一般的であり、多数の方法で生じる場合がある(Samuels及びEricson.Curr.Opp in Oncology,2006年.18:77−82に概説されている)。(PI3Kのp110α触媒サブユニットをコードする)PIK3CA遺伝子の活性化突然変異は、乳房、卵巣、子宮内膜、及び結腸直腸の癌を含むヒトの腫瘍のかなりの割合で生じている。また、頻度は低いが、この遺伝子のDNA増幅の活性化も多数の異なる腫瘍の種類で生じている。PI3Kのp85α調節サブユニット(PIK3R1)における突然変異は、PIK3R1とPIK3CAとの間のC2−iSH2相互作用を破壊すると考えられており、卵巣、膠芽細胞腫、及び結腸直腸癌で生じる。腫瘍の抑制因子であるPTENは、PIP3を脱リン酸化してPIP2を生成するのでPI3K経路の阻害剤として作用するが、一般的に、突然変異しているか、欠失しているか、又は後成的にサイレンシングされている。最後に、前記経路は、AKTのDNA増幅又は突然変異によってPI3Kの下流で遺伝的に活性化される場合もあるが、これら遺伝的事象は、ヒトの癌において生じる頻度が非常に低い。PI3Kのアイソフォーム、特にPI3Kαの阻害は、癌の治療において有用であることが知られている(例えば、国際公開第05/121142号、国際公開第08/144463号、国際公開第08/144464号、国際公開第07/136940号を参照されたい)。
【発明の概要】
【0009】
本発明の1つの実施形態は、
(i)構造(I)の化合物:
【化1】

N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド(以下化合物Aと称する)
又はその薬学的に許容できる塩と、
(ii)構造(II)の化合物:
【化2】

2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド(以下化合物Bと称する)
又はその薬学的に許容できる塩とを含んでなる組合せを提供する。
【0010】
本発明の1つの実施形態は、それを必要としているヒトにおける癌を治療する方法であって、治療上有効な量の化合物A又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物、好適にはそのジメチルスルホキシド溶媒和物と、化合物B又はその薬学的に許容できる塩との組合せを、上記ヒトにインビボ投与することを含んでなる方法を提供する。
【0011】
本発明の1つの実施形態は、それを必要としているヒトにおける癌を治療する方法であって、治療上有効な量の化合物A又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物、好適にはジメチルスルホキシド溶媒和物と、化合物B又はその薬学的に許容できる塩との組合せを、上記ヒトにインビボ投与することを含み、
前記組合せが、一定期間以内に投与され、
前記組合せが、持続時間にわたって投与される方法を提供する。
【0012】
本発明の1つの実施形態は、それを必要としているヒトにおける癌を治療する方法であって、治療上有効な量の化合物A又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物、好適にはジメチルスルホキシド溶媒和物と、化合物B又はその薬学的に許容できる塩との組合せを、上記ヒトにインビボ投与することを含み、
前記化合物A及び化合物Bが順次投与される方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、抗増殖性活性を示す組合せに関する。好適には、前記方法は、N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド(化合物A)又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物、好適にはジメチルスルホキシド溶媒和物であって、構造Iによって表される化合物:
【化3】

と、
2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド(化合物B)又はその薬学的に許容できる塩であって、以下の構造によって表される化合物:
【化4】

とを共投与することにより癌を治療する方法に関する。
【0014】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドとしても知られている化合物Aは、その薬学的に許容できる塩及び溶媒和物と共に、特に癌の治療においてMEK活性の阻害剤として有用であることが、国際出願日が2005年6月10日である国際特許出願第PCT/JP2005/011082号に開示され、請求されている。国際公開日が2005年12月22日である国際特許公開第2005/121142号は、参照することによって全開示が本明細書に組み込まれ、化合物Aは、実施例4−1の化合物である。化合物Aは、国際特許出願第PCT/JP2005/011082号に記載の通り調製することができる。化合物Aは、引用することにより本明細書の一部とされる2006年1月19日公開の米国特許出願公開第2006/0014768号に記載の通り調製することができる。
【0015】
好適には、化合物Aは、ジメチルスルホキシド溶媒和物の形態である。好適には、化合物Aは、ナトリウム塩の形態である。好適には、化合物Aは、水和物、酢酸、エタノール、ニトロメタン、クロロベンゼン、1−ペンタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール及び3−メチル−1−ブタノールから選択される溶媒和物の形態である。これら溶媒和物及び塩の形態は、国際特許出願第PCT/JP2005/011082号又は米国特許出願公開第2006/0014768号の記載から当業者によって調製され得る。
【0016】
化合物Bは、その薬学的に許容できる塩と共に、特に癌の治療においてPI3K活性の阻害剤として有用であることが、国際出願日が2008年5月16日である国際特許出願第PCT/US2008/063819号に開示され、請求されている。国際公開日が2008年11月27日である国際特許公開第2008/144463号は、引用することにより本明細書の一部とされ、化合物Bは、実施例345の化合物である。化合物Bは、国際特許出願第PCT/US2008/063819号に記載の通り調製することができる。
【0017】
好適には、化合物Bは、遊離塩基の形態である。
【0018】
本発明の化合物は、溶質(本発明では、化合物A又はその塩及び/又は化合物B又はその塩)及び溶媒によって形成される可変化学量論の複合体であると理解される溶媒和物を形成することができる。本発明の目的のためのこのような溶媒は、溶質の生物活性に干渉することはできない。好適な溶媒の例としては、水、メタノール、ジメチルスルホキシド、エタノール及び酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。好適には、使用される溶媒は、薬学的に許容できる溶媒である。好適な薬学的に許容できる溶媒の例としては、限定するものではないが、水、ジメチルスルホキシド、エタノール及び酢酸が挙げられる。好適には、使用される溶媒は水である。
【0019】
本発明の化合物の薬学的に許容できる塩は、当業者によって容易に調製される。
【0020】
本発明で使用する用語「治療」及びその派生語は、治療的療法を意味する。特定の病態に関して、治療は、以下を意味する:(1)病態の生物学的徴候のうちの1つ以上の病態を寛解又は予防する、(2)(a)病態を導くか若しくは病態の原因となる生物学的カスケードにおける1以上の点、又は(b)病態の生物学的徴候のうちの1つ以上に干渉する、(3)病態又はその治療に関連する症状、作用、又は副作用のうちの1以上を軽減する、あるいは(4)病態又は病態の生物学的徴候のうちの1つ以上の進行を遅らせる。これらによる予防的療法も検討される。当業者は、「予防」が絶対的な用語ではないことを認識する。医学では、「予防」とは、病態又はその生物学的徴候の可能性又は重篤度を実質的に低下させるか、又はこのような病態又はその生物学的徴候の発生を遅らせるために薬物を予防的に投与することを指すと理解される。例えば、被験体が強い癌の家族歴を有している場合、又は被験体が発癌物質に曝露された場合等、被験体が癌を発現するリスクが高いと考えられる場合、予防的療法が適切である。
【0021】
用語「定期的投与(periodically administration)」又はその派生語は、休薬期間には薬物をヒトに投与しないことを意味する。休薬期間(時に、薬物休暇、薬剤休暇、構造化治療中断、又は戦略的治療中断とも呼ばれる)は、患者がある期間服用を中止しているときであり、数日間から数ヶ月間のいずれであってもよい。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「有効な量」は、例えば、研究者又は臨床医によって求められている組織、系、動物、又はヒトの生物学的反応又は医学的反応を誘発する薬物又は医薬剤の量を意味する。更に、用語「治療上有効な量」は、このような量を投与されていない対応する被験体と比較したとき、疾患、障害又は副作用の治療、治癒、予防又は寛解を改善させるか、あるいは疾患又は障害の進行速度を低下させる任意の量を意味する。また、この用語は、正常な生理機能を強化するのに有効な量を範囲内に含む。
【0023】
本発明で使用する用語「組合せ」及びその派生語は、治療上有効な量の化合物A又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と化合物B又はその薬学的に許容できる塩との同時投与又は任意の方式による別々の連続投与を意味する。好ましくは、投与が同時ではない場合、互いに近接した時間に化合物を投与する。更に、同じ剤形で化合物を投与するかどうかは重要ではなく、例えば、ある化合物を局所的に投与してもよく、他の化合物を経口で投与してもよい。好適には、両方の化合物を経口で投与する。
【0024】
本発明で使用する用語「組合せキット」は、本発明に係る化合物A又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と化合物B又はその薬学的に許容できる塩とを投与するために用いられる1つ又は複数の医薬組成物を意味する。両方の化合物を同時に投与する場合、組合せキットは、化合物A又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と化合物B又はその薬学的に許容できる塩とを、錠剤等の単一の医薬組成物に又は別々の医薬組成物に含有することができる。化合物を同時には投与しない場合、組合せキットは、化合物A又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、化合物B又はその薬学的に許容できる塩とを、別々の医薬組成物に含有する。組合せキットは、化合物A又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、化合物B又はその薬学的に許容できる塩とを、単一の包装内の別々の医薬組成物に、又は別々の包装内の別々の医薬組成物に含むことができる。
【0025】
1つの態様では、以下の構成要素:
薬学的に許容できる担体を伴う、化合物A又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、
薬学的に許容できる担体を伴う、化合物B又はその薬学的に許容できる塩と、
を含んでなる組合せキットが提供される。
【0026】
本発明の1つの実施形態では、組合せキットは以下の構成要素:
薬学的に許容できる担体を伴う、化合物A又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、
薬学的に許容できる担体を伴う、化合物B又はその薬学的に許容できる塩と、を含み、
前記構成要素は、順次、別々に、及び/又は同時に投与されるのに好適な形態で提供される。
【0027】
1つの実施形態では、組合せキットは、
薬学的に許容できる担体を伴う、化合物A又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を含んでなる第1の容器と、
薬学的に許容できる担体を伴う、化合物B又はその薬学的に許容できる塩を含んでなる第2の容器と、前記第1の容器及び第2の容器を収容するための収容手段を含んでなる。
【0028】
「組合せキット」は、用法・用量に関する説明書等の説明書を備えていてもよい。このような用法・用量に関する説明書は、例えば、薬物の製品ラベルによって医師に提供される種類であってもよく、患者に対する説明書等の医師によって提供される種類であってもよい。
【0029】
本発明で使用する用語「三重陰性」乳癌とは、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)又はHer2/neuの遺伝子を発現しない任意の乳癌を意味する。乳癌のこのサブタイプは、臨床的に、より侵襲性が高く且つ標準的な治療に対してより応答性が低いことを特徴とし、全体的な患者の予後の悪さと関連している。若年女性、BRCA1突然変異を有する女性、並びにアフリカ系アメリカ人及びヒスパニック系民族に属する女性、及び出産後間もない女性において診断される頻度が高い。
【0030】
基底様乳房腫瘍は、再発までの時間が短い侵襲性の強い乳癌のサブタイプである。閉経前のアフリカ系アメリカ人女性は、通常エストロゲン、プロゲステロン、及びHER2受容体について三重陰性である基底様乳房腫瘍を発現する平均リスクがより高い。基底様乳房腫瘍は、悪性度が高く、後期で診断され、且つ強力な化学療法レジメンを必要とする場合がある。
【0031】
本発明で使用する用語「化合物A」は、化合物A又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を意味する。
【0032】
本発明で使用する用語「化合物B」は、化合物B又はその薬学的に許容できる塩を意味する。
【0033】
好適には、「一定期間」内に本発明の組合せを投与する。
【0034】
本発明で使用する用語「一定期間」及びその派生語は、ある化合物A及び化合物Bの投与と他の化合物A及び化合物Bの投与との間の時間間隔を意味する。別段の定義がない限り、一定期間は、同時投与を含んでもよい。別段の定義がない限り、一定期間は、単一日の間の化合物A及び化合物Bの投与を指す。
【0035】
好適には、化合物が「一定期間」以内に投与されるが、同時には投与されない場合、前記化合物は、互いに約24時間以内で両方とも投与され、この場合一定期間は約24時間になり、好適には、互いに約12時間以内で両方とも投与され、この場合一定期間は約12時間になり、好適には、互いに約11時間以内で両方とも投与され、この場合一定期間は約11時間になり、好適には、互いに約10時間以内で両方とも投与され、この場合一定期間は約10時間になり、好適には、互いに約9時間以内で両方とも投与され、この場合一定期間は約9時間になり、好適には、互いに約8時間以内で両方とも投与され、この場合一定期間は約8時間になり、好適には、互いに約7時間以内で両方とも投与され、この場合一定期間は約7時間になり、好適には、互いに約6時間以内で両方とも投与され、この場合一定期間は約6時間になり、好適には、互いに約5時間以内で両方とも投与され、この場合一定期間は約5時間になり、好適には、互いに約4時間以内で両方とも投与され、この場合一定期間は約4時間になり、好適には、互いに約3時間以内で両方とも投与され、この場合一定期間は約3時間になり、好適には、互いに約2時間以内で両方とも投与され、この場合一定期間は約2時間になり、好適には、互いに約1時間以内で両方とも投与され、この場合一定期間は約1時間になる。本発明で使用するとき、化合物Aの投与と化合物Bの投与との間隔が約45分間未満である場合は、同時投与とみなされる。
【0036】
好適には、本発明の組合せが「一定期間」投与されるとき、化合物は、「持続時間」にわたって共投与される。
【0037】
本発明で使用する用語「持続時間」及びその派生語は、本発明の両方の化合物が指定の連続日数にわたって投与されることを意味する。別段の定義がない限り、連続日数は、治療の開始と共に始まるか又は治療の終わりと共に終わる必要はなく、連続日数が治療の過程における幾つかの点で生じることのみを必要とする。
【0038】
「一定期間」の投与に関して:
好適には、両方の化合物は、少なくとも1日間一定期間以内に投与され、この場合持続時間は少なくとも1日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも3日間連続して一定期間以内に投与され、この場合持続時間は少なくとも3日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも5日間連続して一定期間以内に投与され、この場合持続時間は少なくとも5日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも7日間連続して一定期間以内に投与され、この場合持続時間は少なくとも7日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも14日間連続して一定期間以内に投与され、この場合持続時間は少なくとも14日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも30日間連続して一定期間以内に投与され、この場合持続時間は少なくとも30日間になる。
【0039】
好適には、「一定期間」中に化合物が投与されない場合、前記化合物は順次投与される。本発明で使用する用語「順次投与」及びその派生語は、化合物A及び化合物Bのうちの一方を2日間以上連続して1日当たり1回投与し、次いで、化合物A及び化合物Bのうちの他方を2日間以上連続して1日当たり1回投与することを意味する。また、本発明では、化合物A及び化合物Bのうちの一方と化合物A及び化合物Bのうちの他方との順次投与間で利用される休薬日も考えられる。本発明で使用する休薬日は、化合物A及び化合物Bのうちの一方の順次投与後且つ化合物A及び化合物Bのうちの他方の投与前の、化合物Aも化合物Bも投与されない期間である。好適には、休薬日は、以下から選択される期間になる:1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間。
【0040】
順次投与に関して:
好適には、2〜30日間連続して化合物A及び化合物Bのうちの一方を投与し、次いで、任意の休薬日を設け、次いで、2〜30日間連続して化合物A及び化合物Bのうちの他方を投与する。好適には、2〜21日間連続して化合物A及び化合物Bのうちの一方を投与し、次いで、任意の休薬日を設け、次いで、2〜21日間連続して化合物A及び化合物Bのうちの他方を投与する。好適には、2〜14日間連続して化合物A及び化合物Bのうちの一方を投与し、次いで、1〜14日間の休薬日を設け、次いで、2〜14日間連続して化合物A及び化合物Bのうちの他方を投与する。好適には、3〜7日間連続して化合物A及び化合物Bのうちの一方を投与し、次いで、3〜10日間の休薬日を設け、次いで、3〜7日間連続して化合物A及び化合物Bのうちの他方を投与する。
【0041】
好適には、化合物Bを順序の最初に投与し、次いで、任意の休薬日を設け、次いで、化合物Aを投与する。好適には、3〜21日間連続して化合物Bを投与し、次いで、任意の休薬日を設け、次いで、3〜21日間連続して化合物Aを投与する。好適には、3〜21日間連続して化合物Bを投与し、次いで、1〜14日間の休薬日を設け、次いで、3〜21日間連続して化合物Aを投与する。好適には、3〜21日間連続して化合物Bを投与し、次いで、3〜14日間の休薬日を設け、次いで、3〜21日間連続して化合物Aを投与する。好適には、21日間連続して化合物Bを投与し、次いで、任意の休薬日を設け、次いで、14日間連続して化合物Aを投与する。好適には、14日間連続して化合物Bを投与し、次いで、1〜14日間の休薬日を設け、次いで、14日間連続して化合物Aを投与する。好適には、7日間連続して化合物Bを投与し、次いで、3〜10日間の休薬日を設け、次いで、7日間連続して化合物Aを投与する。好適には、3日間連続して化合物Bを投与し、次いで、3〜14日間の休薬日を設け、次いで、7日間連続して化合物Aを投与する。好適には、3日間連続して化合物Bを投与し、次いで、3〜10日間の休薬日を設け、次いで、3日間連続して化合物Aを投与する。
【0042】
「一定期間」の投与及び「順次」投与に続いて反復投薬を行ってもよく、続いて交互投薬プロトコールを行ってもよく、また、前記反復投薬又は交互投薬プロトコールの前に休薬日を設けてもよいことが理解される。
【0043】
好適には、本発明に係る組合せの一部として投与される化合物Aの量は、約0.125mg〜約10mgから選択される量であり、好適には、前記量は、約0.25mg〜約9mgから選択され、好適には、前記量は、約0.25mg〜約8mgから選択され、好適には、前記量は、約0.5mg〜約8mgから選択され、好適には、前記量は、約0.5mg〜約7mgから選択され、好適には、前記量は、約1mg〜約7mgから選択され、好適には、前記量は、約5mgである。したがって、本発明に係る組合せの一部として投与される化合物Aの量は、約0.125mg〜約10mgから選択される量である。例えば、本発明に係る組合せの一部として投与される化合物Aの量は、0.125mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mgであってよい。
【0044】
好適には、本発明に係る組合せの一部として投与される化合物Bの量は、約0.25mg〜約75mgから選択される量であり、好適には、前記量は、約0.5mg〜約50mgから選択され、好適には、前記量は、約1mg〜約25mgから選択され、好適には、前記量は、約2mg〜約20mgから選択され、好適には、前記量は、約4mg〜約16mgから選択され、好適には、前記量は、約6mg〜約12mgから選択され、好適には、前記量は、約10mgである。したがって、本発明に係る組合せの一部として投与される化合物Bの量は、約0.5mg〜約50mgから選択される量である。例えば、本発明に係る組合せの一部として投与される化合物Bの量は、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、20mg、21mg、22mg、23mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、35mg、40mg、45mg、又は50mgであってよい。
【0045】
本発明で使用するとき、化合物A及び化合物Bについて指定される全ての量は、1用量当たり遊離又は非塩及び非溶媒和化合物の投与量として示される。
【0046】
癌治療の他の療法的方法と共に本発明の方法を使用してもよい。
【0047】
療法で使用するために、治療上有効な量の本発明の組合せは、化学物質原料として投与することが可能であるが、1つ又は複数の医薬組成物として前記組合せを提示することが好ましい。したがって、本発明は、化合物A及び/又は化合物Bと1つ以上の薬学的に許容できる担体とを含んでなる医薬組成物を更に提供する。本発明の組合せは、上記の通りである。担体は、製剤の他の成分と適合し、医薬製剤化でき、且つそのレシピエントに対して有害でないという意味で許容可能でなければならない。本発明の別の態様によれば、化合物A及び/又は化合物Bを1つ以上の薬学的に許容できる担体と混合することを含んでなる医薬製剤の調製プロセスも提供される。上述の通り、利用される医薬組合せのこのような要素は、別々の医薬組成物で提示されてもよく、又は1つの医薬製剤に一緒に製剤化されてもよい。
【0048】
1単位用量当たり所定の量の活性成分を含有する単位用量形態で医薬製剤を提示してもよい。当業者に公知であるように、1用量当たりの活性成分の量は、治療される病態、投与経路、並びに患者の年齢、体重、及び病態に依存する。好ましい単位投薬量製剤は、日用量若しくはサブ用量(sub−dose)、又はその適切な割合の活性成分を含有しているものである。更に、薬学分野において周知である任意の方法によってこのような医薬製剤を調製することもできる。
【0049】
化合物A及び化合物Bは、任意の適切な経路によって投与することができる。適切な経路としては、経口、直腸内、鼻内、局所(頬側及び舌下を含む)、膣内、及び非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、鞘内、及び硬膜外を含む)が挙げられる。好ましい経路は、例えば、組合せのレシピエントの病態、及び治療される癌によって変化し得ることが認識される。また、投与される剤の各々は、同一経路によって投与されても異なる経路によって投与されてもよく、且つ化合物A及び化合物Bは、1つの医薬組成物/製剤に一緒に配合されてもよいことも認識される。
【0050】
本発明の化合物又は組合せは、カプセル剤、錠剤又は注射可能な調製物等の便利な剤形に組み込まれる。固体又は液剤の医薬担体が使用される。固体の担体としては、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水塩、白土、スクロース、滑石、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸が挙げられる。液体の担体としては、シロップ、落花生油、オリーブ油、生理食塩水及び水が挙げられる。同様に、担体は、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル等の持続放出材料を単独で又はろうと共に含んでもよい。固体の担体の量は広く変化するが、好ましくは、1投薬量単位当たり約25mg〜約1gである。液体の担体が用いられるとき、調製物は、好適には、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、軟質ゼラチンカプセル剤、アンプル等の無菌注射液、又は水性若しくは非水性の液体懸濁剤の形態である。
【0051】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態の経口投与については、活性薬物構成要素は、エタノール、グリセロール、水等の経口で無毒な薬学的に許容できる不活性担体と組合せてもよい。散剤は、化合物を好適な微細な大きさに粉砕し、例えばデンプン又はマンニトール等の可食性炭水化物等の同様に粉砕された医薬担体と混合することによって調製される。また、着香剤、防腐剤、分散剤及び着色剤が存在してもよい。
【0052】
上述の成分に加えて、製剤が、対象の製剤の種類を考慮して当技術分野において従来用いられている他の剤を含んでもよく、例えば、経口投与に好適な製剤が、着香剤を含んでもよいことを理解すべきである
【0053】
上述の通り、治療上有効な量の本発明の組合せ(化合物Bと組合せられた化合物A)がヒトに投与される。典型的に、本発明の投与される剤の治療上有効な量は、例えば、被験者の年齢及び体重、治療を必要とする正確な病態、病態の重篤度、製剤の性質、並びに投与経路を含む多くの要因に依存する。最終的に、治療上有効な量は、主治医の裁量による。
【0054】
公知の手順に従って有効性、有利且つ相乗的な特性について本発明の組合せを試験する。好適には、一般的に以下の組合せ細胞増殖アッセイに従って、有効性、有利且つ相乗的な特性について本発明の組合せを試験する。10%のFBS及び1%のペニシリン/ストレプトマイシンを添加した各細胞種に適切な培養培地中96又は384ウェルプレートに細胞をプレーティングし、37℃、5%COで一晩インキュベートする。化合物Aの希釈液(10の希釈液、化合物を含まないもの、化合物によって0.250〜20μMから出発して3倍ずつ希釈したものを含む)で細胞を格子状方式(grid manner)で処理し、また、化合物B(10の希釈液、化合物を含まないもの、化合物によって0.150〜20μMから出発して3倍ずつ希釈したものを含む)でも処理し、更に72時間上記の通りインキュベートする。場合によっては、化合物を互い違いの方式(staggered manner)で添加し、インキュベーション時間を最高7日間延長してもよい。製造業者のプロトコールに従って、CellTiter−Glo(登録商標)試薬を使用して細胞増殖を測定し、0.5秒間読み取る発光モードに設定されたPerkinElmer EnVision(商標)リーダーでシグナルを読み取る。下記の通りデータを分析する。
【0055】
t=0値の百分率として結果を表し、化合物濃度に対してプロットする。t=0値を100%に正規化し、化合物の添加時に存在する細胞数を表す。Microsoft ExcelソフトウェアのIDBS XLfitプラグインを使用して濃度に対する細胞の生存率の4−又は6−パラメータ曲線当てはめを用い、細胞増殖の50%の阻害に必要な濃度(gIC50)を求めて、各化合物及び/又は化合物の組合せについての細胞応答を求める。細胞を含有していないウェルから得られた値を減じることによってバックグラウンド補正を行う。各薬物の組合せについて、Chou及びTalalay(1984年)Advances in Enzyme Regulation,22,37−55;並びにBerenbaum,MC(1981年)Adv.Cancer Research,35,269−335に記載されている方法等の公知の方法に従って組合せ指数(CI)、最高の単剤に対する超過(Excess Over Highest Single Agent,EOHSA)、及びBliss超過(Excess Over Bliss,EOBliss)を計算する。
【0056】
本発明の組合せは上記アッセイにおいて活性であるので、前記組合せは癌の治療において有利な治療的有用性を示す。
【0057】
好適には、本発明は、以下から選択される癌を治療するか又は重篤度を低下させる方法に関する:脳(神経膠腫)、膠芽腫、Bannayan−Zonana症候群、カウデン病、レルミット−デュクロス病、乳房、炎症性乳癌、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、脳室上衣腫、髄芽細胞腫、結腸、頭頸部、腎臓、肺、肝臓、黒色腫、卵巣、膵臓、前立腺、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺、
リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核球性白血病、前骨髄性白血病、赤白血病、
悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、
神経芽細胞腫、膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、外陰部癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽頭癌、頬側癌、口腔癌、GIST(消化管間質腫瘍)及び睾丸癌。
【0058】
好適には、本発明は、以下から選択される癌を治療するか又は重篤度を低下させる方法に関する:脳(神経膠腫)、膠芽腫、Bannayan−Zonana症候群、カウデン病、レルミット−デュクロス病、乳房、結腸、頭頸部、腎臓、肺、肝臓、黒色腫、卵巣、膵臓、前立腺、肉腫及び甲状腺。
【0059】
好適には、本発明は、卵巣、肝臓、結腸、乳房、膵臓、及び前立腺から選択される癌を治療するか又は重篤度を低下させる方法に関する。
【0060】
好適には、本発明は、乳房、肝臓、肺、膵臓、及び結腸から選択される癌を治療するか又は重篤度を低下させる方法に関する。
【0061】
好適には、本発明は、特定のバイオマーカーについて野性型又は突然変異型のいずれかである癌を治療するか又は重篤度を低下させる方法に関する。
【0062】
用語「野性型」は、当技術分野において理解されている通り、遺伝子改変を含まないネイティブな集団で生じるポリペプチド又はポリヌクレオチドの配列を指す。また、当技術分野において理解されている通り、「突然変異型」は、それぞれ野性型のポリペプチド又はポリヌクレオチドで見出される対応するアミノ酸又は核酸と比べて、アミノ酸又は核酸の少なくとも1つが改変されているポリペプチド又はポリヌクレオチドを含む。突然変異型という用語には、最も広く見出される(野性型)核酸鎖と比べて、核酸鎖の配列中に単一塩基対の差異が存在する一塩基多型(SNP)が含まれる。
【0063】
特定のバイオマーカーについて野性型又は突然変異型のいずれかであり且つPI3K/Ptenについて野性型又は突然変異型のいずれかである癌は、公知の方法によって同定される。
【0064】
KRASとしても知られているV−Ki−ras2 Kirstenラット肉腫ウイルス癌遺伝子のホモログは、ヒトではKRAS遺伝子によってコードされているタンパク質である。Rasファミリーの他のメンバーと同様に、KRASタンパク質は、GTPaseであり、多くのシグナル伝達経路の初期に働く。KRASは、通常、C末端にイソプレニル基が存在しているので、細胞膜に拘束されている。突然変異すると、KRASは癌遺伝子になる。正常なKRAS遺伝子のタンパク質生成物は、正常な組織のシグナル伝達において必須の機能を果たしており、KRAS遺伝子の突然変異は、多くの癌における発現の必須段階である。
【0065】
N−ras癌遺伝子は、RAS遺伝子ファミリーのメンバーである。N−ras癌遺伝子は、1番染色体に位置し、前骨髄球性白血病株であるHL60において活性化される。近傍の遺伝子の順序は、以下の通りである:cen――CD2――NGFB――NRAS――tel。哺乳類のras遺伝子ファミリーは、harvey及びkirsten ras遺伝子(c−Hras1及びc−Kras2)、それぞれの不活性偽遺伝子(c−Hras2及びc−Kras1)、並びにN−ras遺伝子からなる。これらは、C末端の40アミノ酸のみが著しく異なる。これらras遺伝子は、GTP/GDP結合活性及びGTPase活性を有し、その正常な機能は、細胞増殖の正常な制御に関与するG様調節タンパク質である可能性がある。アミノ酸残基12、13、又は61を変化させる突然変異は、培養細胞を形質転換させるN−rasの能力を活性化し、様々なヒト腫瘍に関連している。N−ras遺伝子は、2Kb及び4.3Kbの2つの主な転写産物を特定する。この2つの転写産物間の差は、2Kbの転写産物の末端部位が単に伸長されていることである。N−ras遺伝子は、7つのエキソン(−I、I、II、III、IV、V、VI)からなる。より小さな2Kbの転写産物は、VIaエキソンを含有し、より大きな4.3Kbの転写産物は、単にVIaエキソンのより長い形態であるVIbエキソンを含有する。両方の転写産物は、3’非翻訳領域が異なるだけであるので、同一のタンパク質をコードしている。より短い2Kbの転写産物の配列を本明細書に提示する。4.3Kbの転写産物の配列は、入手不可能である。
【0066】
野性型又は突然変異型のRas/Raf又はPI3K/PTEN腫瘍細胞は、DNA増幅及びシーケンシング技術、それぞれノーザンブロット及びサザンブロットが挙げられるがこれらに限定されないDNA及びRNAの検出技術、並びに/又は様々なバイオチップ及びアレイ技術によって同定することができる。これは、細胞遺伝学的異常及び転写産物量を含み得る。野性型及び突然変異型のポリペプチドは、ELISA、ウエスタンブロットまたは、免疫細胞化学等の免疫診断技術が挙げられるが、これらに限定されない様々な技術によって検出することができる。
【0067】
本発明は、N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩とを含んでなる組合せを提供する。
【0068】
また、本発明は、療法で使用するための、N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩とを含んでなる組合せを提供する。
【0069】
また、本発明は、癌の治療において使用するための、N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩とを含んでなる組合せを提供する。
【0070】
また、本発明は、N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩との組合せを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0071】
また、本発明は、N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩とを含んでなる組合せキットを提供する。
【0072】
また、本発明は、薬剤の製造における、N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩とを含んでなる組合せの使用を提供する。
【0073】
また、本発明は、癌を治療するための薬剤の製造における、N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩とを含んでなる組合せの使用を提供する。
【0074】
また、本発明は、それを必要としている被験体に、N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩との組合せを投与することを含んでなる癌を治療する方法を提供する。
【0075】
また、本発明は、癌を治療する方法であって、それを必要としている被験体に、N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩との組合せを投与することを含み、前記N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物の量が、約0.5mg〜約3mgから選択され、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物の量が、約0.5mg〜約3mgから選択される方法を提供する。
【実施例】
【0076】
以下の実施例は、例示のみを意図し、いかなる方法でも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0077】
実験の詳細
MEK阻害剤の調製
本発明の組合せにおいて使用するのに好適なMEK阻害剤、特に、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシド
【化5】

は、国際公開第2005/121142号パンフレットに従って調製することができる。
【0078】
本発明の組合せにおいて使用するのに好適なPI3K阻害剤、特に、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド
【化6】

は、国際公開第08/144463号パンフレット(実施例345)に従って調製することができる。
【0079】
実験の章に記載される化合物Aは、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドのジメチルスルホキシド溶媒和物を指す。
【0080】
腫瘍細胞株における、化合物A、化合物B、及びこれらの組合せによるインビトロ細胞増殖阻害及びアポトーシス誘導
実験番号1:結腸、肺、及び膵臓細胞株
実験の準備
ヒト結腸癌(n=26)、肺癌(n=14)、及び膵臓癌(n=6)由来の細胞株のパネルを用いて化合物AとBとの組合せ薬物試験を実施した(表1)。細胞株は、[ATCC(Manassas,VA,USA)又はDSMZ(Braunschweig,Germany)から]商業的に購入し、(20%のウシ胎仔血清で増殖させたCapan−1及びHuP−T4を除いて)2mMのグルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、及び10%のウシ胎仔血清を添加したRPMI−1640中で増殖させ、多湿インキュベータ内で37℃及び5%COにて維持した。
【0081】
実験のプロトコール
固定比の薬物組合せアッセイ
固定比の薬物組合せアッセイの希釈設計は、図1から分かる。まず、100%のジメチルスルホキシド(DMSO)中10mMの原液として試験化合物を調製した。DMSOを用いて化合物の更なる希釈を行った。第1の試験化合物(化合物Aと命名した)は、10希釈点にわたって3倍希釈系列を用いて96ウェルマイクロタイタープレートの列B〜Eにて水平希釈した。第2の試験化合物(化合物Bと命名した)は、10希釈点にわたって3倍希釈系列を用いて別個の96ウェルマイクロタイタープレートの列D〜Gにて同様に水平希釈した。各薬物プレートから等体積を用いて2つの化合物を細胞培養培地中で合わせた。これによって、薬物の細胞培養培地による1:50希釈物が得られた。化合物Aを列B及びCに個々に滴定し、化合物BのみをプレートのF及びGに投薬した。細胞に添加する前に細胞培養培地において薬物を更に1:10で希釈した。細胞に薬物を添加することによって、更に薬物が1:2で希釈された。薬物プレートは、細胞に対して合計で1:1000に希釈された。化合物Bの最終投薬濃度範囲は、0.008〜150.0nMであり、化合物Aでは0.013〜250.0nMであった。ポジティブコントロールは、0.1%のDMSO及び細胞を含み、薬物を含まない培養培地からなっていた。ネガティブコントロールは、0.1%のDMSO溶液を含む培養培地からなっていた。
【0082】
アッセイは、各細胞株に関する以前の研究から推定される適切な播種密度を用いて96ウェルマイクロタイタープレートにて実施された。投薬後、細胞株を37℃、5%CO、湿り空気中で72時間インキュベートする。製造業者のプロトコールに従ってCellTiter Glo(Promega Corporation,Madison,WI,USA)試薬を用いて細胞の増殖を測定した。プレートをCellTiter Glo溶液で処理し、Molecular Devices SpectraMax M5(Sunnyvale,CA,USA)プレートリーダーを用いてRLU(相対光単位)について分析する。
【0083】
データ分析
3つの独立したメトリック(metrics)を用いて化合物B及び化合物Aの増殖阻害に対する組合せ効果について分析した。
1.最高の単剤に対する超過(EOHSA)−薬物の組合せ効果を測定するための1つの標準的な基準は、絶対的な条件で細胞増殖阻害に対する効果を分析することである。この場合、薬物の組合せをより応答性の高い2つの個々の処理(単剤)と比較する。各組合せの実験について、曲線に沿って各用量について最高の単剤に対する効果の百分率を求める。この「最高の単剤の超過(EOHSA)」の尺度は、薬物の組合せの相乗作用を評価するために用いられる基準の1つである(Borisy AA Elliott PJ,Hurst NW,Lee MS,Lehar J,Price ER,Serbedzija G,Zimmermann GR,Foley MA,Stockwell BR,Keith CT.Systematic discovery of multicomponent therapeutics.Proc Natl Acad Sci USA.2003年6月24日;100(13):7977−82)。
2.Bliss相乗作用−組合せの相乗作用を求めるために用いられることが多い第2の基準は、Bliss独立性又は「相加性」を超える過剰な阻害を評価することである(Bliss,C.I,Mexico,DF,The Toxicity of Poisons Applied Jointly.Annals of Applied Biology1939年,Vol26,Issue3,1939年8月)。このモデルは、以下を用いて、独立に2つの化合物の併用応答を推定する:
スコア=E+E−(E*E
(式中、Eは、化合物Aの効果(又は阻害率)であり、Eは、化合物Bの効果である)。2つの化合物の組合せから得られる効果を、Blissによって予測される相加性と比較し、応答曲線に沿って各用量について相乗作用スコアを求める。
3.組合せ指数(CI)−相乗作用を評価するための第3の基準は、Chou及びTalalay(Chou TC,Talalay P.Quantitative analysis of dose−effect relationships:the combined effects of multiple drugs or enzyme inhibitors.Adv Enzyme Regul.1984年;22:27−55)によって導かれた組合せ指数(CI)である。以下の等式は、異なる作用機序で挙動する化合物に用いられるモデルである(互いに排反ではない)。
【数1】

【0084】
CI値が小さいほど、組合せが潜在的に有している相乗作用が大きい。CIが1を超えることは、試験されている組合せが拮抗的である可能性があることを示唆する。また、CIスコアは、各化合物について上記式中のIC50をそれぞれの阻害濃度に置き換えることによって25%(IC25)及び75%(IC75)の阻害濃度が求められる。
【0085】
4パラメータロジスティック当てはめを用いてgIC50値を計算するためにMicrosoft ExcelにおけるXLfitのモデル205において強度値の百分率を用いた。増殖域の中点(gIC50)は、化合物添加時(T=0)における細胞数と、72時間目におけるDMSOで処理された対象細胞の増殖との間の中間に入る。時間0における細胞数(T)を応答曲線の底部の強度値(Ymin)で除して、細胞死の尺度を求める(Ymin/T)。Ymin/Tの値が1未満であることは、より高い値と比べたとき、処理による効力がより強いことを示す。
【0086】
EOHSA及びBlissの場合、適切な命名(相乗作用、中程度の相乗作用等)を行うために実験における両方の技術的複製物において相乗作用スコアを見なければならない。各組合せの実験は、単剤としての2つの化合物についての複製物、並びに組合せについての技術的複製物を含む。
【0087】
極めて低い濃度(例えば、用量1、用量2)におけるEOHSA及びBlissの相乗作用スコアは、より変動が大きいので、一般的に分析から除外される。対照的に、治療上の投薬範囲から大きく外れた最高濃度(用量10)における相乗作用スコアは、観察される効果が標的としない事象を受けやすいので一般的に分析から除外される。
【0088】
EOHSA及びBliss相乗作用尺度について、スコアは、応答曲線に沿って各用量について求められる。スコアは、「拮抗的」(<−10)、「相加的」(−10〜10)、「中程度に相乗的」(10〜20)、又は「相乗的」(>20)に分類した。これらスコアは、どのモデルが解釈されるかによって、最高の単剤を超える百分率又はBliss相加性を超える百分率を反映する。
【0089】
組合せ指数については、CIが低いほど、組合せが潜在的に有している相乗作用が大きい。0〜0.7のスコアは、相乗的であるとみなされ、一方0.7〜0.9のスコアは中程度に相乗的であるとみなされる。全ての他のスコアは、組合せ指数について相乗作用を示さなかった。
【0090】
組合せにおける化合物のうちの1つについて25%の阻害濃度に達しなかった細胞株については、CI値が計算できなかったので、CIの欄に「NA」と記載した。
【0091】
細胞株の突然変異データ
KRAS遺伝子の状態について突然変異データを照合した。データ源は、Catolog of Somatic Mutations in Cancer database(COSMIC)の一部として公開されている癌細胞株の突然変異スクリーニングデータである(Bamford S.ら.Br.J.Cancer.2004年.91:355−58)。増殖アッセイにおいて用いられる細胞株の同一性をCOSMICデータベースのものと確実に一致させるために、感受性スクリーニングにおける細胞株とCOSMICにおける細胞株との間で遺伝子型の比較を行った。具体的には、以下の通りであった:
1.Affymetrix 500K「SNP Chip」(Affymetrix,Inc.,Sunnyvale,CA)及びRLMMアルゴリズム(Rabbee及びSpeed,Bioinformatics,2006年.22:7−12)を用いて各細胞株の遺伝子型を計算する。
2.COSMICにおける突然変異プロファイルを有する各細胞株について予め計算された遺伝子型一致に対して各細胞株の遺伝子型一致を同定する。
3.遺伝子型一致に基づいて各細胞株の突然変異状態を割り当てる。
【0092】
結果
PI3K阻害剤である化合物BとMEK阻害剤である化合物Aとの組合せで処理された各細胞株について、相乗作用の程度の包括的分類を行った。細胞株は、少なくとも1メトリックで相乗的であるとスコア付けされた場合、相乗作用を有するとみなした。結腸、膵臓、及び肺の細胞株についての相乗作用データを表1〜4に提示する。膵臓細胞株の計算についてのデータは、補遺Aの表7〜9に見出すことができる。
【0093】
【表1−1】

【表1−2】

【0094】
【表2−1】

【表2−2】

【0095】
【表3】

【0096】
【表4】

【0097】
実験番号2:エストロゲン受容体について分析された乳癌細胞株
実験の準備
ヒト乳癌(n=10)由来の細胞株のパネルを用いてMEK阻害剤(化合物A)とPI3K阻害剤(化合物B)との組合せ薬物試験を実施した(表1)。細胞株は、[ATCC(Manassas,VA,USA)又はDSMZ(Braunschweig,Germany)から]商業的に購入し、2mMのグルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、及び10%のウシ胎仔血清を添加したRPMI−1640中で増殖させ、多湿インキュベータ内で37℃及び5%COにて維持した。
【0098】
実験のプロトコール
固定比の薬物組合せアッセイ
固定比の薬物組合せアッセイの希釈設計は、図1から分かる。まず、100%のジメチルスルホキシド(DMSO)中10mMの原液として試験化合物を調製した。DMSOで化合物の更なる希釈を行った。第1の試験化合物(化合物1と命名した)は、10希釈点にわたって3倍希釈系列を用いて96ウェルマイクロタイタープレートの列B〜Eにて水平希釈した。第2の試験化合物(化合物2と命名した)は、10希釈点にわたって3倍希釈系列を用いて別個の96ウェルマイクロタイタープレートの列D〜Gにて同様に水平希釈した。各薬物プレートから等体積を用いて2つの化合物を細胞培養培地中で合わせた。これによって、細胞培養培地による薬物の1:50希釈物が得られた。化合物1を列B及びCに個々に滴定し、化合物2のみをプレートの列F及びGに投薬した。細胞に添加する前に細胞培養培地において薬物をさらに1:10で希釈した。細胞に薬物を添加することによって、更に薬物が1:2で希釈された。薬物プレートは、細胞に対して合計で1:1000に希釈された。GSK2126458Aの最終投薬濃度範囲は、0.008〜150.0nMであり、GSK1120212Bでは0.013〜250.0nMであった。ポジティブコントロールは、0.1%のDMSO及び細胞を含み、薬物を含まない培養培地からなっていた。ネガティブコントロールは、0.1%のDMSO溶液を含む培養培地からなっていた。
【0099】
アッセイは、各細胞株に関する以前の研究から推定される適切な播種密度を用いて96ウェルマイクロタイタープレートにて実施された。投薬後、細胞株を37℃、5%CO、湿り空気中で72時間インキュベートした。製造業者のプロトコールに従ってCellTiter Glo(Promega Corporation,Madison,WI,USA)試薬を用いて細胞の増殖を測定した。プレートをCellTiter Glo溶液で処理し、Molecular Devices SpectraMax M5(Sunnyvale,CA,USA)プレートリーダーを用いてRLU(相対光単位)について分析する。
【0100】
データ分析
4パラメータロジスティック当てはめを用いて増殖域の中点(gIC50)、時間ゼロにおける細胞数(T)、及び応答曲線の底部の強度値(Ymin)を含む応答メトリックを計算するためにMicrosoft ExcelにおけるXLfitのモデル205において強度値の百分率を用いた。各組合せの実験は、単剤としての2つの化合物についての複製物、並びに組合せについての技術的複製物を含む。平均値は、後続の分析のために用いた。
【0101】
3つの独立したメトリック:i)最高の単剤を超える超過(EOHSA、Borisyら,2003年;FDA 21 CFR 300.50)、ii)Bliss相乗作用、及びiii)組合せ指数(CI)を用いて、化合物A及び化合物Bの増殖阻害に対する組合せ効果を分析した。これら3つのメトリックの説明及びこれらの計算方法は、上記の通りである。また、各メトリックによる相乗作用の程度を求めるために用いられる基準も上記に見出される。EOHSA及びBlissについては、適切な命名(相乗作用、中程度の相乗作用等)を行うために実験における両方の技術的複製物において相乗作用スコアを見なければならない。簡潔に述べると、上記3つのメトリック(CI、Bliss相乗作用、EOHSA)のうちの少なくとも1つが上述の相乗作用の範囲内にスコア付けされた場合、細胞株は相乗的であるとみなした。
【0102】
エストロゲン受容体(ER)及びプロゲステロン受容体(PR)の転写産物量は、トリプリケートでAffymetrix U133 Plus2 GeneChipsを用いて全ての細胞株について測定した。全てのプローブのシグナル強度を正規化することによって推定された転写産物量は、Affymetrix Microarray Analysis Suite 5.0におけるmas5アルゴリズムを用いて150の値に正規化した。続く分析では、代表的なプローブを選択し、トリプリケートについての平均プローブ強度を用いた。
【0103】
結果
化合物Aと化合物Bとの組合せで処理された各細胞株について、相乗作用の程度の包括的分類を行った。
【0104】
【表5】

【0105】
【表6】

【0106】
【表7】

【0107】
実験番号3:Her2 DNAコピー数の変化について分析されたパネルの肝細胞癌細胞株及びパネルの乳癌細胞株における化合物A及びBによるインビトロ細胞増殖阻害及びアポトーシス誘導
細胞株及び増殖条件
肝細胞癌(HCC)由来のヒト腫瘍細胞株、C3A、Hep3B、HepG2、PLC/PRF/5、SNU182、SNU387、SNU398、SNU423、SNU449、及びSNU475は、ATCCから購入した。ATCCから入手したヒト乳房腫瘍細胞株HCC2218、HCC1419、BT−474、SK−BR−3、UACC893、JIMT−1、MDA−MB−361、HCC202、MDA−MB−175−VII、HCC1569、HCC1937、HCC38、MDA−MB−157、HCC1954、HCC1500、BT483、KPL−1、SUM225、及びZR−75−1、Asterand,PLC(Detroit MI)から入手したSUM52及びSUM190は、10%FBSを含有しているRPMI1640培地中で培養し、SKBR3−W13及びBT−474−J4は、10%FBS及び1μMのラパチニブを含有しているRPMI1640培地中で培養し、KPL−4株は、紅林淳一博士(川崎医科大学、岡山、日本)より供与頂き、5%のFBSを含有するDMEM中で培養した。欧州細胞バンク(European Collection of Cell Cultures(UK))から入手したJIMT−1は、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))に対して臨床的に抵抗性である患者に由来する株である。SK−BR−3−W13は、0.5μMのラパチニブでSK−BR−3細胞を単回処理した後クローニングシリンダによって単離された単一細胞クローンである。BT−474−J4は、選択したBT−474細胞のプールに由来する単一細胞クローンであり、3μMの濃度までラパチニブ中で増殖させた。
【0108】
細胞増殖阻害アッセイ及び組合せのデータ分析
1ウェル当り500〜2,000細胞で、96ウェル組織培養プレート(NUNC 136102)中の10%FBSを含有しているRPMI培地に細胞を播種した。プレーティングの約24時間後、化合物A又はB又は2:1(それぞれ化合物A及びB)の一定モル比の2つの剤の組合せのいずれかの10個の、2倍又は3倍連続希釈液に細胞を曝露した。場合によっては、10%FBSを含有しているRPMI培地中で、2ng/mLの肝細胞成長因子(HGF)の存在下又は不在下にて、細胞を増殖させた。3日間化合物の存在下で細胞をインキュベートした。製造業者のプロトコールに従ってCell Titer Glo(登録商標)(Promega)を添加することにより、ATPレベルを求めた。簡潔に述べると、Cell Titer Glo(登録商標)を各プレートに添加し、20分間インキュベートし、次いで、積分時間0.5秒間のSpectraMax Lプレートリーダーで発光シグナルを読み取った。全てのアッセイは、少なくともデュープリケートで行った。
【0109】
3日間化合物又は化合物の組合せで処理した後、細胞増殖の阻害を推定し、ビヒクル(DMSO)で処理された細胞とシグナルを比較した。ビヒクル(DMSO)で処理された対照ウェルに対する細胞増殖を計算した。対照細胞の増殖の50%を阻害する化合物の濃度(IC50)を、以下の等式
【数2】

(式中、Aは、最小応答(ymin)であり、Bは最大応答(ymax)であり、Cは曲線の変曲点(EC50)であり、Dは、ヒル係数である)によって非線形回帰を用いてy=DMSO処理された対照ウェルの50%であるとき後方補間した。
【0110】
効力に対する組合せの効果は、組合せ指数(CI)及び最高単剤を超える超過(EHOSA)法を用いて評価した。
【0111】
この実験では、化合物A及びBの共投与は、CI<0.9又はEOHSATD>0である場合、効力に対する特定の細胞株において又は応答尺度において相乗的相互作用を示す。
【0112】
細胞のアポトーシスアッセイ−カスパーゼ−3/7活性化及びDNA断片化
アポトーシスの誘導について調べるために、全ての細胞株を96ウェル組織培養プレートに1ウェル当たり5,000細胞でプレーティングし、約24時間付着させた。次いで、細胞を上記化合物で処理した。化合物処理の24時間後、製造業者によって提供される説明書に従ってCaspase Glo(商標)3/7(Promega,カタログ番号G8093)を用いて活性カスパーゼ3及びカスパーゼ7のレベルを求めた。化合物処理の48時間後、製造業者によって提供される説明書に従ってRoche Cell Death ELISA(Roche,Inc.,Basel,Switzerland;カタログ番号11 774 425 001)を用いてアポトーシスのレベルを推定した。
【0113】
選択された細胞株を分子的に特性評価する目的のために、幾つかの鍵となるタンパク質の発現レベルをウエスタンブロットによって測定した。これらは、E−カドヘリン(CDH−1)、ビメンチン(VIM)、HER3 STAT3、MET、AKT及びERK1/2を含んでいた。いずれの場合もアクチンを対照として用いた。
【0114】
DNAコピー数
Affymetrix 500K chip(Affymetrix Inc,Sunnyvale,CA)を用いて、全ての乳癌細胞株について、HER2遺伝子におけるDNAコピー数のデータを集めた。簡潔に述べると、各株からDNAを抽出し、制限酵素Nsp又はStyで切断し、アダプターにライゲーションし、PCRによって増幅した。PCR後、DNAを断片化し、標識し、変性させ、Affymetrix 500K chipにハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションが完了したら、各アッセイ物を洗浄し、染色した。イメージデータを収集した。パネル10の2倍体非腫瘍形成性リンパ芽球性細胞株から同様に集めたデータを用いてDNAのコピー数を計算した。全ての「SNPチップ」イメージ(「CELファイル」)を抽出し、dChipソフトウェアパッケージを用いて読み取り、正規化した(Linら.2004年.Bioinformatics.20:1233−40)。リンパ芽球性レファレンスパネルを用いて全ての癌細胞株についてSNPに関する「コピー数比」(log目盛)を計算し、循環二分割(circular binary segmentation)によって分析してノイズを低減した(Olshenら.2004年.Biostatistics.5:557−72)。HER2>0.65のlog比を有する細胞株をHER2+とみなした。
【0115】
結果
化合物Aと化合物Bとの組合せによる肝細胞癌細胞株に対する細胞増殖阻害及びアポトーシスの効果
10個の肝細胞癌(HCC)細胞株においてウエスタンブロットによって分析された遺伝的背景及びタンパク質の発現を図2に示した。細胞株C3A、Hep3B、HepG2、PLC/PRF/5及びSNU182は、高レベルのCDH−1を発現し、非常に低い〜低いレベルのVIMを発現するが、一方、SNU387、SNU398、SNU423、SNU449、及びSNU475細胞株は、比較的高いレベルのVIM及び非常に低いレベルのCDH−1を発現する。高レベルのCDH−1及び低レベルのVIM又はVIMが発現しないことは、上皮細胞に特徴的であり、一方、高いVIM及び低いCDH−1は、間葉細胞に特徴的である。したがって、C3A、Hep3B、HepG2、PLC/PRF/5、及びSNU182は、上皮様細胞と定義され、SNU387、SNU398、SNU423、SNU449及びSNU475は、間葉様細胞と定義される。これは、HER3が上皮様HCC細胞で高度に発現し、AXLが間葉様細胞において高度に発現するという事実に一致している(このデータも図2に示す)。STAT3、AKT、及びERK1/2(総タンパク質)は、上皮様細胞及び間葉様細胞において同程度のレベルで発現し、一方、METの発現は可変的であるが、細胞のいずれの群との関連も異なっていなかった。AKTのリン酸化/活性化は、間葉様細胞株において選択的に観察され、pAKT−T308よりもpAKT−S473のレベルの方が高かった。また、pERK1/2も、間葉様細胞において異なって存在していたが、排他的ではなかった。
【0116】
化合物A、化合物B、及びこれらの組合せによる細胞増殖阻害の効果を10個のHCC細胞株で求めた。(少なくとも2つの独立した実験から得られた)平均IC50及びIC50における組合せ効果を表8に要約する。3つの上皮様HCC細胞株(HepG2、C3A、及びHep3B)は、化合物Aによる細胞増殖阻害に対する感受性が強く(IC50<37nM)、SNU182及びPLC/PRF/5上皮様細胞株は、化合物Aに対する感受性が弱かった(IC50=1.2〜2.8μM)。2つの間葉様HCC細胞株(SNU387及びSNU423)は、化合物Aによる細胞増殖阻害に対する感受性が中程度であったが(IC50=74〜577nM)、3つの間葉様細胞株(SNU398、SNU449、及びSNU475)は、化合物Aによる細胞増殖阻害に対して感受性ではなかった。全ての10個のHCC株は、化合物Bによる細胞増殖阻害に対して感受性であった(IC50<103nM)。更に、化合物A及び化合物B(1:2比)による組合せ処理は、8〜10個のHCC細胞株において、0.22〜0.78の組合せ指数値によって示される、又はEOHSATD分析(5〜20ppt)及びEOHSA分析(12〜27ppt)による最高の単剤よりも大きいことによって示される通り強い相乗作用を示した。HGFの存在は、薬物単独又は組合せのいずれかに対する応答性において一貫した効果を有していなかった。
【0117】
カスパーゼ−3/7の活性によって示される、化合物A、化合物B、又は化合物Aと化合物Bとの組合せがアポトーシスを誘導する能力についてこれら10個のHCC株を更に評価した。カスパーゼ3の活性化は、アポトーシスの誘導の指標である。これら細胞についての代表的なカスパーゼ3/7活性曲線を図3に示す。SNU182を除く全ての細胞株は、化合物A又は化合物Bによる単剤処理に対して化合物Aと化合物Bとの組合せ処理によってアポトーシスの強い増強を示した。SNU182細胞は、これら単剤処理に対する化合物Aと化合物Bとの組合せ処理によって中程度のアポトーシス増強を示した。
【0118】
化合物Aと化合物Bとの組合せによるHer2レベルについて測定されたヒトの乳房腫瘍細胞株に対する細胞増殖阻害の効果
HER2遺伝子のコピー数変化の分析によって、14個がHER2陽性(HER2+)乳房腫瘍株であると同定された。これらは、BT474、BT474−J4、HCC1419、HCC1954、HCC202、HCC2218、JIMT−1、KPL−4、MDA−MB−361、SK−BR−3、SK−BR−3−W13、SUM190、SUM225、及びUACC893であった。合計10個が、HER2陰性(HER2−)であるとみなされた。これらは、BT483、HCC1500、HCC1569、HCC1937、HCC38、KPL−1、MDA−MB−157、MDA−MB−175−VII、ZR−75−1、及びSUM52を含んでいた。
【0119】
化合物A、化合物B、及びこれらの組合せによる細胞増殖阻害の効果をこれら25個の細胞株について求めた。(少なくとも2つの独立した実験から得られた)平均IC50値及びIC50における組合せ効果を表9に要約する。
【0120】
細胞株SUM52及びMDA−MB−175IIは、IC50値が0.099μM以下と化合物Aに対して感受性である。対照的に、HCC1937、SK−Br−3−W13、及びMDA−MB−157を除く全ての株は、IC50<0.1μMと化合物Bに対して感受性である。化合物Aと化合物Bとの組合せは、0.48〜0.83の組合せ指数(CI)値、及びSUM52、HCC1954(HER2+)及びMDA−MB−175II(HER2−)細胞株において最も活性の高い単剤分析(EOSHA)よりも15〜25ppt高い相乗作用を示した。また、化合物Aと化合物Bとの組合せは、HER2(SUM190、HCC202)及びHER2−株(MDA−MB−157、HCC1937)のサブセットにおいて最も活性の高い単剤分析(EOSHA)よりも10〜15ppt超える利点を示した。化合物Aと化合物Bとの組合せは、残りの株において最も活性の高い単剤に匹敵する効果を示した。Her2+株(n=14)についての平均EOHSAスコアは、9.1(±7.4)であり、一方、Her2株(n=10)についての平均スコアは、6.9(±7.2)であった。これらEOHSAスコアは、群間で有意に異なってはいなかった(p=0.45;t−検定)。
【0121】
【表8】

【0122】
【表9−1】

【表9−2】

【0123】
実施例1−カプセル剤組成物
以下の表Iに示される比率の成分を標準的な2部分硬質カプセルに充填することによって、本発明の組合せを投与するための経口剤形を作製する。
【表10】

【0124】
実施例2−カプセル剤組成物
以下の表IIに示される比率の成分を標準的な2部分硬質カプセルに充填することによって、本発明の化合物のうちの1つを投与するための経口剤形を作製する。
【表11】

【0125】
実施例3−カプセル剤組成物
以下の表IIIに示される比率の成分を標準的な2部分硬質カプセルに充填することによって、本発明の化合物のうちの1つを投与するための経口剤形を作製する。
【0126】
【表12】

【0127】
実施例4−錠剤組成物
以下の表IVに示されるように、スクロース、微結晶性セルロース及び本発明の組合せの化合物を、示されている比率で10%のゼラチン溶液と混合し、果粒化する。濡れた状態の果粒を篩にかけ、乾燥させ、デンプン、滑石及びステアリン酸と混合し、次いで、篩にかけ、錠剤に圧縮する。
【0128】
【表13】

【0129】
実施例5−錠剤組成物
以下の表Vに示されるように、スクロース、微結晶性セルロース及び本発明の組合せの化合物のうちの1つを、示されている比率で10%のゼラチン溶液と混合し、果粒化する。濡れた状態の果粒を篩にかけ、乾燥させ、デンプン、滑石及びステアリン酸と混合し、次いで、篩にかけ、錠剤に圧縮する。
【0130】
【表14】

【0131】
実施例6−錠剤組成物
以下の表VIに示されるように、スクロース、微結晶性セルロース及び本発明の組合せの化合物のうちの1つを、示されている比率で10%のゼラチン溶液と混合し、果粒化する。濡れた状態の果粒を篩にかけ、乾燥させ、デンプン、滑石及びステアリン酸と混合し、次いで、篩にかけ、錠剤に圧縮する。
【表15】

【0132】
本発明の好ましい態様を上に例証しているが、本発明は、本明細書に開示される正確な説明に限定されるものではなく、以下の請求項の範囲内で行われる全ての変更に対する権利が保持されると理解するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】
【図2】
【図3】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)構造(I)の第1の化合物:
【化1】

又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、
(ii)構造(II)によって表される第2の化合物:
【化2】

又はその薬学的に許容できる塩と、
を含んでなる、組合せ。
【請求項2】
構造(I)の化合物が、水和物である、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
構造(I)の化合物が、酢酸、エタノール、ニトロメタン、クロロベンゼン、1−ペンタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、3−メチル−2−ブタノール、及びジメチルスルホキシドからなる群より選択される溶媒和物である、請求項1に記載の組合せ。
【請求項4】
構造(I)の化合物が、ジメチルスルホキシド溶媒和物である、請求項1に記載の組合せ。
【請求項5】
1つ又は複数の薬学的に許容できる担体と共に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組合せを含んでなる、組合せキット。
【請求項6】
構造(I)の化合物又はその溶媒和物の量が、0.125mg〜10mgから選択される量であり、構造(II)の化合物の量が、0.05mg〜10mgから選択される量である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項7】
それを必要としているヒトにおける癌を治療する方法であって、治療上有効な量のN−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物との組合せを、上記ヒトに投与することを含み、
前記組合せが、一定期間以内に投与され、
前記組合せが、持続時間にわたって投与される、方法。
【請求項8】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物の量が、約0.5mg〜約4mgから選択され、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物の量が、約0.5mg〜約5mgから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物の量が、約0.125mg〜約3mgから選択され、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物の量が、約0.05mg〜約3mgから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物の量とが、各日互いに12時間以内で、少なくとも7日間連続して投与され、任意で、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物の量とが、各日互いに24時間以内で、少なくとも7日間連続して投与され、任意で、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
それを必要としているヒトにおける癌を治療する方法であって、約0.125mg〜10mgのN−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を、1日1回、1日目〜30日目まで前記ヒトに投与し、任意で、次いで、1サイクル以上反復すること、および約0.05mg〜10mgの2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を、1日目から30日目まで上記ヒトに定期的に投与し、任意で、次いで1サイクル以上反復することを含んでなる、方法。
【請求項13】
それを必要としているヒトにおける癌を治療する方法であって、約0.5mg〜4mgのN−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を、1日1回、1日目から30日目まで前記ヒトに投与し、任意で、次いで、1サイクル以上反復すること、および約0.5mg〜5mgの2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を、1日目から30日目まで前記ヒトに定期的に投与し、任意で、次いで1サイクル以上反復することを含んでなる、方法。
【請求項14】
それを必要としているヒトにおける癌を治療する方法であって、約0.05mg〜10mgの2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を、1日1回または2回、1日目からから30日目まで前記ヒトに投与し、任意で、次いで、1サイクル以上反復すること、および約0.125mg〜10mgのN−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を、1日目から30日目まで前記ヒトに定期的に投与し、任意で、次いで1サイクル以上反復することを含んでなる、方法。
【請求項15】
それを必要としているヒトにおける癌を治療する方法であって、約0.5mg〜5mgの2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を、1日1回または2回、1日目から30日目まで前記ヒトに投与し、任意で、次いで、1サイクル以上反復すること、および約0.5mg〜4mgのN−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミド又はその薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物を、1日目から〜30日目まで上記ヒトに定期的に投与し、任意で、1サイクル以上反復することを含んでなる、方法。
【請求項16】
2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドが、2〜4日毎に1回投与され、任意で、次いで1サイクル以上反復される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項17】
2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドが、5〜7日毎に1回投与され、任意で、次いで1サイクル以上反復される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項18】
2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドが、8〜15日毎に1回投与され、任意で、次いで1サイクル以上反復される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項19】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドが、2〜4日毎に1回投与され、任意で、次いで1サイクル以上反復される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項20】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドが、5〜7日毎に1回投与され、任意で、次いで1サイクル以上反復される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項21】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドが、8〜15日毎に1回投与され、任意で、次いで1サイクル以上反復される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項22】
前記癌が、結腸癌、肺癌、肝臓癌、膵臓癌、または乳癌である、請求項12〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記癌が、膵臓癌、結腸癌、または肺癌である、請求項12および14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記癌が、乳癌である、請求項13および15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記癌が、KRAS突然変異体である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記乳癌が、ER陰性乳癌である、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記乳癌が、基底様乳癌である、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記乳癌が、三重陰性癌である、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記癌が、肝臓癌である、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記癌が、膵臓癌である、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記癌が、HER2陰性、ER陰性、およびPR陰性癌である、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記肝臓癌が、NRAS突然変異体である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記癌が、HER2陽性乳癌である、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]フェニル}アセトアミドが、ジメチルスルホキシド溶媒和物の形態で投与される、請求項7〜15のいずれか一項に記載の方法。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−505962(P2013−505962A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531109(P2012−531109)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/050495
【国際公開番号】WO2011/038380
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】