組成物
本発明は、組成物であって、(a)1又は複数の生菌ビフィドバクテリウム・ラクティス株と(b)糖成分とを含み、糖成分が、重合度2〜100のキシロオリゴ糖を含む組成物を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物及びかかる組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロバイオティクスは、宿主の腸管内の微生物バランスを改善することによって宿主に潜在的に利益を与える生きた微生物、特に細菌を含む栄養補助食品である。異なるいくつかの微生物が使用されており、最も一般的なものは乳酸菌である。典型的には、このような微生物を含む食品組成物は、ヨーグルトなどの発酵乳製品に組み込まれる。
【0003】
プロバイオティクス及びプレバイオティクスの理論的根拠は、体が、腸管内菌叢と総称される微生物の生態環境を含むことである。いくつかの状況(抗生物質若しくは他の薬物の使用、過剰のアルコール、ストレス、疾患、又は毒性物質への曝露)は、微生物のバランスを変更する可能性がある。このような状況では、体で良好に働く微生物は数が減少することがあり、有害な競合相手の繁殖が可能になる恐れがあり、体の健康を害する。
【0004】
プロバイオティクスは、体の自然発生の腸内フローラを支援するよう意図されている。例えば、プロバイオティクスは、体の自然のフローラの再建を支援するために、医師によって、より頻繁には栄養士によって抗生物質の過程の後に推奨されることもある。
【0005】
プレバイオティクスは、1995年に初めて「結腸において限定された数の細菌の増殖及び/又は活性を選択的に刺激することによって宿主に有益な作用をもたらす非消化性食品材料」と定義された(Gibson, G.R., Roberfroid, M.B. J. Nutr. 125 (1995) 1401-1412)。これらの物質は、上消化管では消化も吸収もされないが、結腸において選択的に発酵される。プレバイオティクスは、結腸における有用な微生物、主に乳酸桿菌(lactobacilli)及びビフィドバクテリウム(bifidobacteria)のための標的エネルギー源として働き、非常に競合的な結腸環境で栄養上の利点をそれらにもたらす(Tuohy, K.M., et al. Curr. Pharmaceut. Design 11 (2005) 75-90)。
【0006】
機能性食品は、プレバイオティクス、プロバイオティクス、又はこれらの成分の組合せを含有することができる。プロバイオティクス細菌、主にビフィドバクテリウム及び乳酸桿菌によるプレバイオティクスの発酵は、宿主の健康に有益であると考えられる。プレバイオティクスは、腸の機能、病原の定着に対する抵抗性、免疫学、大腸癌、並びに脂質及び鉱質代謝に影響を及ぼすことによって良好な健康を促進すると考えられる(Gibson, G.R., Roberfroid, M.B. J. Nutr. 125 (1995) 1401-1412)。
【0007】
米国特許第6,544,568号明細書には、プレバイオティクス非消化性繊維を含むベーキング部分、及び凍結乾燥した生菌プロバイオティクス乳酸菌を含む非ベーキング部分を含む機能性食品が開示されている。
【0008】
Crittenden, R.G., et al. Journal of Applied Microbiology 90 (2001) 268-278には、シンバイオティクスヨーグルト中でのビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)Lafti(商標)B94及び難消化性デンプンの使用が開示されている。難消化性デンプンに加えて、この細菌は、いくつかの他のプレバイオティクス物質を利用することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,544,568号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Gibson, G.R., Roberfroid, M.B. J. Nutr. 125 (1995) 1401-1412
【非特許文献2】Tuohy, K.M., et al. Curr. Pharmaceut. Design 11 (2005) 75-90
【非特許文献3】Crittenden, R.G., et al. Journal of Applied Microbiology 90 (2001) 268-278
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの開示にもかかわらず、プロバイオティクスとプレバイオティクスのより選択的で且つ効率的な組合せが引き続き求められている。
【0012】
本発明は、従来技術の問題を軽減する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様において、本発明は、組成物であって、
(a)1又は複数の生菌ビフィドバクテリウム・ラクティス株と、
(b)糖成分と
を含み、
糖成分が、重合度2〜100のキシロオリゴ糖を含む組成物を提供する。
【0014】
別の態様において、本発明は、本発明の組成物を含む経口摂取用の製品であって、ドライ経口サプリメント、液体経口サプリメント、牛乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、発酵穀類で製造された製品、乳児用調製粉乳、粉末飲料、菓子、栄養バー、及び粉乳から選択される製品を提供する。
【0015】
別の態様において、本発明は、対象の腸でのビフィドバクテリウム・ラクティスの定着及び/又は活性を選択的に増強させる医薬品の製造における本発明に従う組成物の使用を提供する。
【0016】
別の態様において、本発明は、プロバイオティクス含有食品の発酵中にビフィドバクテリウム・ラクティスのレベルを選択的に上昇させる手段を提供する。
【0017】
キシロオリゴ糖
キシロオリゴ糖は、1,4−β−結合によって連結された五炭糖であるキシロース分子を含むが、他の結合も可能である。キシロオリゴ糖の重合度は、キシロース単位数を指す。したがって、キシロビオースは、1,4−β−結合によって連結されたキシロース分子2個からなり、重合度2である。同様に、キシロトリオースは、重合度3である。重合度又はdpは、重合反応の時間tにおける平均ポリマー鎖中の繰返し単位数である。
【0018】
別の態様において、好ましくは、糖成分(b)は、その主成分として重合度2のキシロオリゴ糖を含む。即ち、このような糖成分において、キシロオリゴ糖の最大単一基の重合度は2である。したがって、例えば、このようなキシロオリゴ糖は、重合度2のキシロオリゴ糖を重合度3のキシロオリゴ糖より高い割合で含有する。しかし、このようなキシロオリゴ糖中の重合度2のキシロオリゴ糖の割合は、必ずしもキシロオリゴ糖の大部分を構成しているわけではなく、50%未満でもよい。
【0019】
好ましくは、糖成分(b)における重合度2のキシロオリゴ糖の割合は、少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも55%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%である。これらの百分率は、乾燥重量ベースの百分率である。
【0020】
好ましくは、キシロオリゴ糖の重合度は2である。
【0021】
別の態様において、好ましくは、糖成分(b)は、その主成分として重合度3のキシロオリゴ糖を含む。
【0022】
好ましくは、糖成分(b)における重合度3のキシロオリゴ糖の割合は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも12%、好ましくは少なくとも14%、好ましくは少なくとも15%、好ましくは少なくとも16%、好ましくは少なくとも17%、好ましくは少なくとも18%である。
【0023】
好ましくは、糖成分(b)における重合度が少なくとも4であるキシロオリゴ糖の割合は、少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも55%、好ましくは少なくとも60%である。
【0024】
好ましくは、糖成分(b)における重合度が少なくとも5であるキシロオリゴ糖の割合は、90%未満、好ましくは85%未満、好ましくは80%未満、好ましくは75%未満、好ましくは70%未満、好ましくは65%未満、好ましくは60%未満である。
【0025】
好ましくは、糖成分(b)における重合度2〜10のキシロオリゴ糖の割合は、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%である。
【0026】
好ましくは、糖成分(b)における重合度1のキシロオリゴ糖の割合は、80%未満、好ましくは70%未満、好ましくは60%未満、好ましくは50%未満、好ましくは40%未満、好ましくは35%未満、好ましくは30%未満、好ましくは25%未満、好ましくは20%未満である。
【0027】
好ましくは、糖成分(b)における重合度1〜2のキシロオリゴ糖の割合は、80%未満、好ましくは70%未満、好ましくは60%未満、好ましくは50%未満、好ましくは40%未満、好ましくは35%未満、好ましくは30%未満、好ましくは25%未満、好ましくは20%未満である。
【0028】
好ましくは、キシロオリゴ糖の重合度は2〜10である。
【0029】
別の態様において、好ましくは、糖成分(b)における重合度が少なくとも5であるキシロオリゴ糖の割合は、45%超、好ましくは50%超、好ましくは55%超、好ましくは60%超、好ましくは65%超、好ましくは70%超、好ましくは75%超、好ましくは80%超、好ましくは85%超、好ましくは90%超である。
【0030】
一態様において、好ましくはキシロオリゴ糖はキシランである。
【0031】
好ましくは、キシランの重合度は少なくとも30である。好ましくは、キシランは、重合度35〜40のキシラン、重合度41〜50のキシラン、重合度51〜60のキシラン、重合度61〜70のキシラン、及び重合度71〜80のキシランから選択される。
【0032】
キシロオリゴ糖としては、トウモロコシ、サトウキビ、竹、綿実、及び木材から得ることができるキシランが挙げられる。好ましくは、キシロオリゴ糖は木材から得られる。キシランより低い重合度のキシロオリゴ糖は、キシランの酵素加水分解により調製してもよい。キシランの酵素加水分解は、キシラナーゼEC 3.2.1.8を使用して実施してもよい。或いは、キシランの化学分解は、蒸気、鉱酸(例えば、リン酸)希釈溶液又はアルカリ性溶液を使用して予備生成してもよい。このような化学及び酵素工程は、連続して使用してもよい。キシロオリゴ糖の分離及び精製は、種々のプロセスによって実施してもよい。これらのプロセスとしては、酢酸などの揮発性不純物を除去する真空蒸着、及び有機溶媒を用いた溶媒抽出が挙げられる。所与のdp範囲のキシロオリゴ糖の分離は、膜、さらには異なる濃度のエタノール性溶液を用いて実施した。吸着、イオン交換、及びクロマトグラフ分離技法を使用して、キシロオリゴ糖を精製してもよい。種々のキシロオリゴ糖が市販されている。
【0033】
米国特許第6,942,754号明細書には、酵素を用いたリグノセルロースパルプからキシロオリゴ糖を調製する方法が開示されている。
【0034】
ビフィドバクテリウム・ラクティス
いずれのビフィドバクテリウム・ラクティス株を使用してもよい。
【0035】
好ましくは、1又は複数の生菌ビフィドバクテリウム・ラクティス株は、B.ラクティス(B.lactis)Bl−04、B.ラクティスBi−07、B.ラクティス420、B.ラクティスDN 173 010、B.ラクティスHN019、B.ラクティスBb−12、B.ラクティスDR10、B.ラクティスDSM10140、B.ラクティスLKM512、B.ラクティスDSM 20451、及びそれらの混合物から選択されるが、これらに限定されない。
【0036】
好ましくは、1又は複数の生菌ビフィドバクテリウム・ラクティス株は、B.ラクティスBI−04、B.ラクティスBi−07、B.ラクティス420、B.ラクティスBb−12、B.ラクティスDN 173 010、B.ラクティスHN019、及びそれらの混合物から選択される。
【0037】
好ましくは、組成物が食品組成物であるとき、食品組成物は、1食(serving)当たり1×106〜1×1012コロニー形成単位(CFU)のビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む。好ましくは、食品組成物は、1食当たり107−1010CFUのビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む。
【0038】
経口摂取用の製品
別の態様において、本発明は、本明細書に記載されたように、組成物を含む経口摂取用の製品に関する。このような経口摂取用の製品としては、食糧、又は経口サプリメントを挙げることができる。本明細書に記載する組成物は、このような経口摂取用の製品の成分である。
【0039】
好ましくは、経口摂取用の製品は、ドライ経口サプリメント、液体経口サプリメント、牛乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、穀類で製造された製品、乳児用調製粉乳、粉末飲料、菓子、栄養バー、及び粉乳から選択される。好ましくは、ドライ経口サプリメントは錠剤又は丸剤である。好ましくは、穀類はミューズリである。
【0040】
好ましくは、経口摂取用の製品は、1食又は1用量当たり2〜10gのキシロオリゴ糖、好ましくは1食又は1用量当たり3〜9gのキシロオリゴ糖、好ましくは1食又は1用量当たり4〜8gのキシロオリゴ糖、好ましくは1食又は1用量当たり5〜7gのキシロオリゴ糖を含む。好ましくは、キシロオリゴ糖の上記用量は1日用量である。
【0041】
好ましくは、経口摂取用の製品は、1食又は1用量当たり5gのキシロオリゴ糖を含む。
【0042】
好ましくは、経口摂取用の製品は、1食又は1用量当たり1×106〜1×1012コロニー形成単位(CFU)のビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む。この範囲を下回る場合、その量のビフィドバクテリウム・ラクティスは、効率的ではなく、この範囲を上回る量のビフィドバクテリウム・ラクティスを使用することは、ヒトにとって大量すぎる経口摂取用の製品が必要になると考えられる。好ましくは、経口摂取用の製品は、1食又は1用量当たり107〜1010CFUのビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む。好ましくは、上記用量は1日用量である。
【0043】
好ましくは、経口摂取用の製品はヨーグルトである。好ましくは、ヨーグルトは、1食当たり106〜108CFU/mlのビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む。
【0044】
経口摂取用の製品は、さらに保存剤、安定剤、染料、酸化防止剤、懸濁剤、及び矯味剤から選択される成分を含んでもよい。保存剤としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが挙げられる。
【0045】
薬学的組成物
一態様において、本明細書に記載する組成物は薬学的組成物であり、これは、さらに薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を(それらの組合せを含めて)含む。
【0046】
薬学的組成物は、ヒト及び動物の医薬としてヒト又は動物に使用してもよく、典型的には薬学的に許容される希釈剤、担体、又は賦形剤のいずれか1又は複数を含む。治療上使用するのに許容される担体又は希釈剤は、薬学技術分野で周知であり、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co.(A. R. Gennaro edit. 1985)に記載されている。医薬用の担体、賦形剤、又は希釈剤の選択は、所期の投与経路及び標準薬学慣例に関連して選択することができる。薬学的組成物は、担体、賦形剤、若しくは希釈剤として、又はそれらに加えて、任意の適当な結合剤、滑沢剤、懸濁剤、コーティング剤、可溶化剤を含んでもよい。
【0047】
キット
別の態様において、本発明は、キットであって、1又は複数の生菌ビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む第1の容器と、糖成分を含む第2の容器とを備え、糖成分は重合度2〜100のキシロオリゴ糖を含むキットを提供する。
【0048】
したがって、本明細書に記載する組成物の成分は、キットの形で用いられてもよい。成分は、同時、連続、又は分離投与で用いられてもよい。キットの第1の容器は、組成物に関して本明細書に記載するビフィドバクテリウム・ラクティス株に関するさらなる特徴のいずれかをさらに含む1又は複数のビフィドバクテリウム・ラクティス株を含んでもよい。同様に、キットの第2の容器は、組成物に関して本明細書に記載する糖成分及びキシロオリゴ糖に関するさらなる特徴のいずれかをさらに含む糖成分を含んでもよい。
【0049】
好ましくは、キットは、丸剤又はヨーグルト(これらに限定されない)に組み込まれたビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む。
【0050】
好ましくは、キットは、果汁、及び穀類で製造された製品(これらに限定されない)から選択される食糧に組み込まれたキシロオリゴ糖を含む。好ましくは、穀類はミューズリである。
【0051】
好ましくは、キットは指示書も含む。これらの指示書は、キット成分の推奨投与方法又は順序に関する可能性がある。
【0052】
使用
別の態様において、本発明は、本明細書に記載されたように、対象の腸でのビフィドバクテリウム・ラクティスの定着及び/又は活性を選択的に増大させる医薬品の製造における組成物又はキットの使用を提供する。
【0053】
組成物又はキットは、本明細書に記載されたように、発酵食品中のビフィドバクテリウム・ラクティスのレベルを上昇させるのに使用してもよい。
【0054】
組成物又はキットは、本明細書に記載されたように、対象の腸でのクロストリジウム・パーフィンジェンス(Clostridium perfingens)の定着を低減又は抑制する医薬品の製造において使用してもよい。
【0055】
組成物又はキットは、本明細書に記載されたように、対象の腸でのサルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)の定着を低減又は抑制する医薬品の製造において使用してもよい。
【0056】
組成物又はキットは、本明細書に記載されたように、対象の腸での腸管病原性大腸菌(enteropathogenic Escherichia coli)の定着を低減又は抑制する医薬品の製造において使用してもよい。
【0057】
組成物は、本明細書に記載されたように、ドライ経口サプリメント、液体経口サプリメント、牛乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、発酵穀類で製造された製品、調製粉乳、粉末飲料、菓子、栄養バー、及び粉乳から選択される経口摂取用の製品でも使用してよい。
【0058】
組成物又はキットは、本明細書に記載されたように、アトピー性湿疹を軽減する医薬品の製造において使用してもよい。
【0059】
組成物又はキットは、本明細書に記載されたように、下痢の治療用の医薬品の製造において使用してもよい。
【0060】
組成物又はキットは、本明細書に記載されたように、免疫機能を向上させる医薬品の製造において使用してもよい。
【0061】
組成物又はキットは、本明細書に記載されたように、腸機能を改善する医薬品の製造において使用してもよい。
【0062】
方法
本明細書に記載されたように、組成物又はキットを対象に経口投与することによって、対象の腸でのビフィドバクテリウム・ラクティスの定着を選択的に増大させる方法。
【0063】
本明細書に記載されたように、有効量の組成物又はキットを対象に経口投与することによって、対象の腸でのクロストリジウム・パーフィンジェンスの定着を低減又は抑制する方法。
【0064】
本明細書に記載されたように、有効量の組成物又はキットを対象に経口投与することによって、対象の腸でのサルモネラ・ティフィムリウムの定着を低減又は抑制する方法。
【0065】
本明細書に記載されたように、有効量の組成物又はキットを対象に経口投与することによって、対象の腸での大腸菌(Escherichia coli)の定着を低減又は抑制する方法。
【0066】
本明細書に記載されたように、有効量の組成物又はキットを対象に経口投与することによって、対象におけるアトピー性湿疹を低減する方法。
【0067】
本明細書に記載されたように、有効量の組成物又はキットを対象に経口投与することによって、対象における下痢を治療する方法。
【0068】
本明細書に記載されたように、有効量の組成物又はキットを対象に経口投与することによって、対象における免疫機能を向上させる方法。
【0069】
本明細書に記載されたように、有効量の組成物又はキットを対象に経口投与することによって、対象における腸機能を改善する方法。
【0070】
好ましくは、対象は動物又はヒトである。
【0071】
好ましくは、対象は哺乳類、魚、又は家禽である。
【0072】
好ましくは、対象は哺乳類、好ましくはヒトである。
【0073】
糖成分(b)
糖成分(b)は、6.5重量%未満の単糖、好ましくは6.0重量%未満の単糖、好ましくは5.5%未満の単糖、好ましくは5.0%未満の単糖、好ましくは4.5%未満の単糖、好ましくは4.0%未満の単糖、好ましくは3.5%未満の単糖、好ましくは3.0%未満の単糖、好ましくは2.5%未満の単糖、好ましくは2.0%未満の単糖、好ましくは1.5%未満の単糖、好ましくは1.0%未満の単糖、好ましくは0.5%未満の単糖を含有してもよい。
【0074】
別の態様において、糖成分(b)は、0重量%〜6.9重量%の単糖を含有する。糖成分(b)は、好ましくは0〜5.0重量%の単糖、好ましくは0〜4.0重量%の単糖、好ましくは0〜3.0重量%の単糖、好ましくは0〜2.0重量%の単糖、好ましくは0〜1.0重量%の単糖を含有する。
【0075】
別の態様において、糖成分(b)は、単糖を実質的に含有しない。
【0076】
次に、添付図を参照してほんの一例として、本発明を、さらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】一連のプレバイオティクス上でのビフィドバクテリウム・ラクティスBl−04の増殖曲線を示す図である。
【図2】一連のプレバイオティクス上でのビフィドバクテリウム・ラクティスBl−04の別の増殖曲線を示す図である。
【図3】増殖曲線下面積の計算方法を示す図である。
【図4】一連のプレバイオティクス上でのラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)の増殖曲線を示す図である。
【図5】一連のプレバイオティクス上でのラクトバチルス・アシドフィラスの別の増殖曲線を示す図である。
【図6】一連の単一糖類上でのビフィドバクテリウムの様々な株の細菌増殖速度を示す棒グラフである。
【図7】一連の単一糖類上でのビフィドバクテリウムの様々な株の細菌増殖速度を示す棒グラフである。
【図8】一連の単一糖類上での細菌の様々な株の細菌増殖速度を示す棒グラフである。
【図9】一連の単一糖類上での細菌の様々な株の細菌増殖速度を示す棒グラフである。
【図10】一連の単一糖類上での様々な病原体の増殖速度を示す棒グラフである。
【図11】一連の単一糖類上での様々な病原体の増殖速度を示す棒グラフである。
【図12】一連の単一糖類を用いたビフィドバクテリウムの結腸シミュレーションを示す棒グラフである。
【図13】一連の単一糖類を用いたビフィドバクテリウム・ラクティスの結腸シミュレーションを示す棒グラフである。
【図14】一連の単一糖類を用いたビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)の結腸シミュレーションを示す棒グラフである。
【図15】一連の単一糖類を用いたクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)の結腸シミュレーションを示す棒グラフである。
【図16】一連の単一糖類を用いた全短鎖脂肪酸の結腸シミュレーションを示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0078】
次に、下記の実施例で、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例]
【0079】
Longlive 041021, 95Pは、Shandong Longlive、Chinaから入手可能である。
RaftiloseP95は、Orafti、Belgiumから入手可能である。
α-D-グルコースは、Serva、Germanyから入手可能である。
de Man Rogosa Sharpe培地(MRS)は、(LabM)から入手可能である。
MRS 2は、グルコースを含まないMRS培地である。
トリプシンダイズブロス培地(TSB)は、Becton Dickinson、Franceから入手可能である。
ビフィドメディウム(Bifidomedium)(Bif58)の処方は、DSM、Deutsche Sammlung von Mikroorganismenから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ラクティスBl-07は、Danisco A/Sから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ラクティスBl-04は、Danisco A/Sから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ラクティスHN019(Howaru)は、Danisco A/Sから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ラクティスDN 173 010は、Groupe Danoneから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ラクティスBb-12は、Christian Hansen A/Sから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ラクティス420は、Danisco A/Sから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ブレーベBb-03は、Danisco A/Sから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ロンガムKC-1は、Danisco A/Sから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ロンガム913(Wisby)は、Danisco A/Sから入手可能である。
ラクトバチルス・アシドフィラスNCFMは、Danisco A/Sから入手可能である。
ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)1260は、Danisco A/Sから入手可能である。
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)Lpc-37は、Danisco A/Sから入手可能である。
ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)HN001(Howaru)は、Danisco A/Sから入手可能である。
ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)715は、Danisco A/Sから入手可能である。
【0080】
実験で使用した他の微生物は、菌株保存機関から入手可能である。
ATCC=American Type Culture Collection
DSM=Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen
CCUG=Culture Collection、University of Goteborg、Sweden
EELA=Finnish Food Safety Authority
プレバイオティクス候補及びそれらの組成物を表1に示す。
Abbr.=略語、Ster.=滅菌手順、F=濾過、UV=紫外線。
【0081】
【表1】
【0082】
プレバイオティクスを10%濃縮保存溶液に溶解し、糖鎖長に応じて濾過(0.2μm Minisart NML、Sartorius AG、Germany)又は紫外線(30秒、120mJ/cm2)(XL-1500 UV Crosslinker、Spectronics Corporation、US)によって無菌化し、+4℃、好気状態で貯蔵した。培養で使用した被検菌株及びそれらの増殖培地(括弧内の培地は、第1の前培養で使用した培地である)を表2に示す。ビフィドバクテリウム、乳酸桿菌、及びストレプトコッカス・サーモフィルス(Strep. thermophilus)はMRS培地中で増殖させ、他の細菌類はTSB中で増殖させた。
【0083】
すべての培養物を、ビーズバイアル(Technical Service Consultants社製、UK)中−70℃で貯蔵した。継代培養では、細菌を2つのビーズからそれらの適切な増殖培地5ml(表2)に接種した。前培養物は、凍結保存物から、適切な媒体中、37℃、嫌気的条件下で混濁するまで24〜48時間増殖させた。次いで、細菌をさらにMRS又はTSB(表2)に接種し、さらに37℃で24時間インキュベートした。これらの懸濁液を増殖密度測定に使用した。
【0084】
【表2】
【0085】
プレバイオティクス上でのプロバイオティクスのインビトロ増殖
単一糖上での細菌増殖速度を決定する一般方法
マルチウェルプレート中の液体試料の吸光度の動的変化を記録する自動オンライン濁度計(Bioscreen C、Labsystems社製、Finland)で、嫌気性増殖を測定した。プレートの各ウェルに、20μlの10w/v%プレバイオティクス溶液を好気的状態で充填し、続いて適切な培地中1v/v%定常期初期試験細菌180μlを嫌気的に添加した。対照ウェルには、200μlの1v/v%定常期初期試験細菌又は当該の細菌を培養するのに使用した同じ培地しか含まれなかった。最終プレバイオティクス濃度は1w/v%であった。
【0086】
すべての株を37℃で24時間インキュベートし、吸光度(OD 600nm)を30分ごとに測定した。各測定の前に、プレートを10秒間振盪した。各株と糖の組合せについて、異なる2組の実験を5回反復して行った。
【0087】
単一糖源上の細菌増殖の速度は、ソフトウェア(BioLink、Version 5.07、Labsystems社製、UK)によって自動的に処理された吸光度の結果から増殖曲線(24時間)下面積を算出することによって確定した。同様の分析がJaskari et al. Appl. Microbiol Biotechnol 49 (1998) 175-181によって行われた。各ウェルについて、連続した時点で測定された吸光度値から作製された対称的な長方形を用いて、増殖曲線下面積を算出した。これを図1に示す。
【0088】
この長方形の面積の半分は、連続した時点間の増殖曲線下面積であり、これは次式で書き表すことができる。
【0089】
【数1】
(1)
【0090】
測定期間(24時間、30分ごとに測定)の面積をすべて合計して、各ウェルの増殖曲線について増殖曲線下面積を得た。対照培地(糖類を添加していない基本増殖培地)での増殖を、ベースライン増殖(abs0)の結果から差し引いた。平均の標準誤差(SE)を使用して、各細菌とプレバイオティクスの組合せの並列結果間のバラツキを算出した。10個の並列ウェルについて増殖曲線下面積の平均を使用して、SEを以下の通り算出した。
【0091】
【数2】
(2)
【0092】
式中、n=並列対象の数
【0093】
【数3】
【0094】
式中、n=並列対象の数
χi=対象iの値
【0095】
【数4】
【0096】
ビフィドバクテリウム・ラクティスBl−04の増殖
一般方法を用いて、一連のプロバイオティクス上でのビフィドバクテリウム・ラクティスBl−04の増殖を実施した。これらについての結果を表3に示し、このデータから得られた増殖曲線を図1に示す。
【0097】
【表3】
【0098】
一連のプロバイオティクス上でのビフィドバクテリウム・ラクティスBl−04の増殖について、一般方法を用いてさらに試験を実施した。このさらなる試験の結果を表4に示し、このデータから得られた増殖曲線を図2に示す。
【0099】
【表4】
【0100】
他のB.ラクティス株についても同様の増殖曲線が得られた。
【0101】
ラクトバチルス・アシドフィラスの増殖
一般方法を用いて、一連のプロバイオティクス上でのラクトバチルス・アシドフィラスの増殖が実施されたと確定するために、2つの実験を行った。実験1の結果を図4に示し、実験2の結果を図5に示す。
【0102】
これらの曲線の比較から、キシロオリゴ糖はB.ラクティスの増殖をはるかによく支援することが理解できる。一方、フルクトオリゴ糖は両方の増殖を支援する。したがって、キシロオリゴ糖の方が選択性が高い。
【0103】
ビフィドバクテリウム及び単一糖類
一連の単一糖類上でのビフィドバクテリウムの様々な株の細菌増殖速度を、一般方法に従って確定した。培地を含まない増殖曲線下平均面積は、表5及び図6に示す通りであった。
【0104】
【表5】
【0105】
一般方法に従って、さらに実験を行って、一連の単一糖類上でのビフィドバクテリウムのより広範囲な株の細菌増殖速度を確定した。培地を含まない増殖曲線下平均面積は、表6及び図7に示す通りであった。
【0106】
【表6】
【0107】
B.ラクティスはすべて、キシロオリゴ糖Longlive、dp2、及びdp2〜10を大いに利用した。大部分の被検ビフィドバクテリウムは、グルコース上と同様のレベル、又ははるかに高いレベルで、FOS上で増殖することができ、したがってXOSはFOSより選択性が高い。
【0108】
乳酸桿菌及びS.サーモフィルスと単一糖類
一連の単一糖類を用いた乳酸桿菌の様々な株及びS.サーモフィルスの細菌増殖の速度を測定するために2つの実験を行った。一般方法に従って、細菌増殖速度を確定した。第1の実験では、培地を含まない増殖曲線下平均面積は、表7及び図8に示す通りであった。
【0109】
【表7】
【0110】
第2の実験では、培地を含まない増殖曲線下平均面積は、表8及び図9に示す通りであった。
【0111】
【表8】
【0112】
これらの細菌はすべて、グルコースで発酵したが、キシロオリゴ糖では優れた程度には発酵しなかった。FOSは、ラクトバチルス・アシドフィラスNCFM及びパラカゼイLpc−37の増殖を大いに向上させた。
【0113】
病原体及び単一糖類
一連の単一糖類を用いた結腸由来の様々な病原体及び他の微生物の増殖速度を測定するために、2つの実験を行った。一般方法に従って、増殖速度を確定した。第1の実験では、培地を含まない増殖曲線下平均面積は、表9及び図10に示す通りであった。
【0114】
【表9】
【0115】
第2の実験では、培地を含まない増殖曲線下平均面積は、表10及び図11に示す通りであった。
【0116】
【表10】
【0117】
キシロオリゴ糖はFOS又はグルコースより、これらの病原体に対して低い増殖速度を発現した。FOSは、ユウバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、バクテロイデス・ブルガータス(Bacteroides vulgatus)、及びバクテロイデス・フラギリス、並びにスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の増殖を正の対照であるグルコースと同じレベルに向上させた。潜在的に病原性の微生物、大腸菌、クロストリジウム・パーフリンジェンス、サルモネラ・ティフィムリウム、並びにスタフィロコッカス・アウレウス及びスタフィロコッカス・エピデルミスの増殖は、糖を含まないMRS又はTSB媒体上での増殖に比べて、抑制さえ認められた。
【0118】
結腸シミュレーション
4つの並列ユニットV1〜V4からなる半連続4チャネル結腸シミュレーターモデルを使用して、いくつかの結腸シミュレーションを行った。ユニットの状態を、盲腸/上行結腸を表すV1から、遠位結腸/直腸を表すV4までヒト結腸の異なる区画を表すように調整した。結腸シミュレーションは、Makivuokko, H., et al. Nutr. Cancer, 52, (2005), 94-104;及びMakivuokko, H., et al. Biosci. Biotechnol. Biochem., 70, (2006), 2056-2063に記載されているように行った。
【0119】
一般方法
第1の容器(V1)に供給する培地容器から最後の容器(V4)まで、シミュレーターユニットは、容器に無酸素性N2を供給することによって嫌気的に維持した。4段階ユニットはそれぞれ、無菌シミュレーター培地中50mlに溶解した適切な糖1gを含み(Macfarlane, G. T., et al. Microb. Ecol., 35, (1998), 180-187を参照のこと)、嫌気性キャビネット内部のガラス血清瓶に封止した。対照シミュレーションユニットでは、50mlの無菌シミュレーター培地を同様にガラス血清瓶に封止した。シミュレーターユニットのすべての容器に、適切な細菌の試料を嫌気的に接種した。
【0120】
結腸シミュレーション−ビフィドバクテリウム
一連の単一糖類を用いたビフィドバクテリウムの結腸シミュレーションの平均値結果(平均値のプラス又はマイナス標準誤差、+/−SE)を図12に示す。
【0121】
結腸シミュレーション−B.ラクティス
一連の単一糖類を用いたビフィドバクテリウム・ラクティスの結腸シミュレーションの結果を図13に示す。
【0122】
結腸シミュレーション−B.ロングム
一連の単一糖類を用いたビフィドバクテリウム・ロングムの結腸シミュレーションの結果を図14に示す。
【0123】
結腸シミュレーション−C.パーフリンゲンス
一連の単一糖類を用いたクロストリジウム・パーフリンゲンスの結腸シミュレーションの結果を図15に示す。
【0124】
結腸シミュレーション−短鎖脂肪酸
一連の単一糖類を用いた全短鎖脂肪酸の結腸シミュレーションの結果を図16に示す。全短鎖脂肪酸という用語は、C1−C5鎖脂肪酸、特に酢酸、プロピオン酸、及び酪酸を指す。
【0125】
結論
これらの結腸シミュレーションから、キシロオリゴ糖種は、B.ロングムやCl.パーフリンゲンスなどの他の種よりビフィドバクテリウム・ラクティスに対してはるかに高い選択性を示すことが理解できる。
【実施例1】
【0126】
106〜108CFU/mlのB.ラクティスHN0019及び1食当たり5gのキシロオリゴ糖(dp2〜10)を含有するヨーグルト。標準発酵過程の後に、キシロオリゴ糖を添加した。
【0127】
この実施例は、本明細書に記載されたように任意のB.ラクティス株又は任意のキシロオリゴ糖試料を使用するように変えてもよい。さらに、キシロオリゴ糖の量は、1食当たり2〜10gを使用するように変えてもよい。
【実施例2】
【0128】
107〜1010CFUのB.ラクティスHN0019及び1食当たり5gのキシロオリゴ糖(dp2〜10)を含有する栄養バー。
【0129】
この実施例は、本明細書に記載されたように任意のB.ラクティス株又は任意のキシロオリゴ糖試料を使用するように変えてもよい。さらに、キシロオリゴ糖の量は、1食当たり2〜10gを使用するように変えてもよい。
【実施例3】
【0130】
1食当たり107〜1010CFUのB.ラクティスHN0019株及び1食当たり5gのキシロオリゴ糖(dp2〜10)を含有する粉末飲料。但し、水分活性は0.5未満に維持する。
【0131】
この実施例は、本明細書に記載されたように任意のB.ラクティス株又は任意のキシロオリゴ糖試料を使用するように変えてもよい。さらに、キシロオリゴ糖の量は、1食当たり2〜10gを使用するように変えてもよい。
【実施例4】
【0132】
1食当たり107〜1010CFUのB.ラクティスHN0019株及び1食当たり5gのキシロオリゴ糖(dp2〜10)を含有する調製粉乳。但し、水分活性は0.5未満に維持する。
【0133】
この実施例は、本明細書に記載されたように任意のB.ラクティス株又は任意のキシロオリゴ糖試料を使用するように変えてもよい。さらに、キシロオリゴ糖の量は、1食当たり2〜10gを使用するように変えてもよい。
【実施例5】
【0134】
1食当たり107〜1010CFUのB.ラクティスHN0019株及び1食当たり5gのキシロオリゴ糖(dp2〜10)を含有する粉乳。キシロオリゴ糖は、スプレー乾燥する前に溶液として添加される。
【0135】
この実施例は、本明細書に記載されたように任意のB.ラクティス株又は任意のキシロオリゴ糖試料を使用するように変えてもよい。さらに、キシロオリゴ糖の量は、1食当たり2〜10gを使用するように変えてもよい。
【実施例6】
【0136】
1食当たり107〜1010CFUのB.ラクティスHN0019株及び1食当たり5gのキシロオリゴ糖(dp2〜10)を含有する粉乳。キシロオリゴ糖は、スプレー乾燥した後に添加される。
【0137】
この実施例は、本明細書に記載されたように任意のB.ラクティス株又は任意のキシロオリゴ糖試料を使用するように変えてもよい。さらに、キシロオリゴ糖の量は、1食当たり2〜10gを使用するように変えてもよい。
【0138】
上記の明細書に記載された刊行物はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。記載された本発明の方法及びシステムの様々な修正及び変形は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明を特定の好ましい実施形態に関連して説明してきたが、特許請求される本発明は、このような特定の実施形態に不当に限定されるべきでないと理解されたい。実際、本発明を実施するための記載されたモードの様々な修正は、化学又は関連分野の技術者に明らかであり、次の特許請求の範囲内に入るよう意図されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物及びかかる組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロバイオティクスは、宿主の腸管内の微生物バランスを改善することによって宿主に潜在的に利益を与える生きた微生物、特に細菌を含む栄養補助食品である。異なるいくつかの微生物が使用されており、最も一般的なものは乳酸菌である。典型的には、このような微生物を含む食品組成物は、ヨーグルトなどの発酵乳製品に組み込まれる。
【0003】
プロバイオティクス及びプレバイオティクスの理論的根拠は、体が、腸管内菌叢と総称される微生物の生態環境を含むことである。いくつかの状況(抗生物質若しくは他の薬物の使用、過剰のアルコール、ストレス、疾患、又は毒性物質への曝露)は、微生物のバランスを変更する可能性がある。このような状況では、体で良好に働く微生物は数が減少することがあり、有害な競合相手の繁殖が可能になる恐れがあり、体の健康を害する。
【0004】
プロバイオティクスは、体の自然発生の腸内フローラを支援するよう意図されている。例えば、プロバイオティクスは、体の自然のフローラの再建を支援するために、医師によって、より頻繁には栄養士によって抗生物質の過程の後に推奨されることもある。
【0005】
プレバイオティクスは、1995年に初めて「結腸において限定された数の細菌の増殖及び/又は活性を選択的に刺激することによって宿主に有益な作用をもたらす非消化性食品材料」と定義された(Gibson, G.R., Roberfroid, M.B. J. Nutr. 125 (1995) 1401-1412)。これらの物質は、上消化管では消化も吸収もされないが、結腸において選択的に発酵される。プレバイオティクスは、結腸における有用な微生物、主に乳酸桿菌(lactobacilli)及びビフィドバクテリウム(bifidobacteria)のための標的エネルギー源として働き、非常に競合的な結腸環境で栄養上の利点をそれらにもたらす(Tuohy, K.M., et al. Curr. Pharmaceut. Design 11 (2005) 75-90)。
【0006】
機能性食品は、プレバイオティクス、プロバイオティクス、又はこれらの成分の組合せを含有することができる。プロバイオティクス細菌、主にビフィドバクテリウム及び乳酸桿菌によるプレバイオティクスの発酵は、宿主の健康に有益であると考えられる。プレバイオティクスは、腸の機能、病原の定着に対する抵抗性、免疫学、大腸癌、並びに脂質及び鉱質代謝に影響を及ぼすことによって良好な健康を促進すると考えられる(Gibson, G.R., Roberfroid, M.B. J. Nutr. 125 (1995) 1401-1412)。
【0007】
米国特許第6,544,568号明細書には、プレバイオティクス非消化性繊維を含むベーキング部分、及び凍結乾燥した生菌プロバイオティクス乳酸菌を含む非ベーキング部分を含む機能性食品が開示されている。
【0008】
Crittenden, R.G., et al. Journal of Applied Microbiology 90 (2001) 268-278には、シンバイオティクスヨーグルト中でのビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)Lafti(商標)B94及び難消化性デンプンの使用が開示されている。難消化性デンプンに加えて、この細菌は、いくつかの他のプレバイオティクス物質を利用することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,544,568号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Gibson, G.R., Roberfroid, M.B. J. Nutr. 125 (1995) 1401-1412
【非特許文献2】Tuohy, K.M., et al. Curr. Pharmaceut. Design 11 (2005) 75-90
【非特許文献3】Crittenden, R.G., et al. Journal of Applied Microbiology 90 (2001) 268-278
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの開示にもかかわらず、プロバイオティクスとプレバイオティクスのより選択的で且つ効率的な組合せが引き続き求められている。
【0012】
本発明は、従来技術の問題を軽減する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様において、本発明は、組成物であって、
(a)1又は複数の生菌ビフィドバクテリウム・ラクティス株と、
(b)糖成分と
を含み、
糖成分が、重合度2〜100のキシロオリゴ糖を含む組成物を提供する。
【0014】
別の態様において、本発明は、本発明の組成物を含む経口摂取用の製品であって、ドライ経口サプリメント、液体経口サプリメント、牛乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、発酵穀類で製造された製品、乳児用調製粉乳、粉末飲料、菓子、栄養バー、及び粉乳から選択される製品を提供する。
【0015】
別の態様において、本発明は、対象の腸でのビフィドバクテリウム・ラクティスの定着及び/又は活性を選択的に増強させる医薬品の製造における本発明に従う組成物の使用を提供する。
【0016】
別の態様において、本発明は、プロバイオティクス含有食品の発酵中にビフィドバクテリウム・ラクティスのレベルを選択的に上昇させる手段を提供する。
【0017】
キシロオリゴ糖
キシロオリゴ糖は、1,4−β−結合によって連結された五炭糖であるキシロース分子を含むが、他の結合も可能である。キシロオリゴ糖の重合度は、キシロース単位数を指す。したがって、キシロビオースは、1,4−β−結合によって連結されたキシロース分子2個からなり、重合度2である。同様に、キシロトリオースは、重合度3である。重合度又はdpは、重合反応の時間tにおける平均ポリマー鎖中の繰返し単位数である。
【0018】
別の態様において、好ましくは、糖成分(b)は、その主成分として重合度2のキシロオリゴ糖を含む。即ち、このような糖成分において、キシロオリゴ糖の最大単一基の重合度は2である。したがって、例えば、このようなキシロオリゴ糖は、重合度2のキシロオリゴ糖を重合度3のキシロオリゴ糖より高い割合で含有する。しかし、このようなキシロオリゴ糖中の重合度2のキシロオリゴ糖の割合は、必ずしもキシロオリゴ糖の大部分を構成しているわけではなく、50%未満でもよい。
【0019】
好ましくは、糖成分(b)における重合度2のキシロオリゴ糖の割合は、少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも55%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%である。これらの百分率は、乾燥重量ベースの百分率である。
【0020】
好ましくは、キシロオリゴ糖の重合度は2である。
【0021】
別の態様において、好ましくは、糖成分(b)は、その主成分として重合度3のキシロオリゴ糖を含む。
【0022】
好ましくは、糖成分(b)における重合度3のキシロオリゴ糖の割合は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも12%、好ましくは少なくとも14%、好ましくは少なくとも15%、好ましくは少なくとも16%、好ましくは少なくとも17%、好ましくは少なくとも18%である。
【0023】
好ましくは、糖成分(b)における重合度が少なくとも4であるキシロオリゴ糖の割合は、少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも55%、好ましくは少なくとも60%である。
【0024】
好ましくは、糖成分(b)における重合度が少なくとも5であるキシロオリゴ糖の割合は、90%未満、好ましくは85%未満、好ましくは80%未満、好ましくは75%未満、好ましくは70%未満、好ましくは65%未満、好ましくは60%未満である。
【0025】
好ましくは、糖成分(b)における重合度2〜10のキシロオリゴ糖の割合は、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%である。
【0026】
好ましくは、糖成分(b)における重合度1のキシロオリゴ糖の割合は、80%未満、好ましくは70%未満、好ましくは60%未満、好ましくは50%未満、好ましくは40%未満、好ましくは35%未満、好ましくは30%未満、好ましくは25%未満、好ましくは20%未満である。
【0027】
好ましくは、糖成分(b)における重合度1〜2のキシロオリゴ糖の割合は、80%未満、好ましくは70%未満、好ましくは60%未満、好ましくは50%未満、好ましくは40%未満、好ましくは35%未満、好ましくは30%未満、好ましくは25%未満、好ましくは20%未満である。
【0028】
好ましくは、キシロオリゴ糖の重合度は2〜10である。
【0029】
別の態様において、好ましくは、糖成分(b)における重合度が少なくとも5であるキシロオリゴ糖の割合は、45%超、好ましくは50%超、好ましくは55%超、好ましくは60%超、好ましくは65%超、好ましくは70%超、好ましくは75%超、好ましくは80%超、好ましくは85%超、好ましくは90%超である。
【0030】
一態様において、好ましくはキシロオリゴ糖はキシランである。
【0031】
好ましくは、キシランの重合度は少なくとも30である。好ましくは、キシランは、重合度35〜40のキシラン、重合度41〜50のキシラン、重合度51〜60のキシラン、重合度61〜70のキシラン、及び重合度71〜80のキシランから選択される。
【0032】
キシロオリゴ糖としては、トウモロコシ、サトウキビ、竹、綿実、及び木材から得ることができるキシランが挙げられる。好ましくは、キシロオリゴ糖は木材から得られる。キシランより低い重合度のキシロオリゴ糖は、キシランの酵素加水分解により調製してもよい。キシランの酵素加水分解は、キシラナーゼEC 3.2.1.8を使用して実施してもよい。或いは、キシランの化学分解は、蒸気、鉱酸(例えば、リン酸)希釈溶液又はアルカリ性溶液を使用して予備生成してもよい。このような化学及び酵素工程は、連続して使用してもよい。キシロオリゴ糖の分離及び精製は、種々のプロセスによって実施してもよい。これらのプロセスとしては、酢酸などの揮発性不純物を除去する真空蒸着、及び有機溶媒を用いた溶媒抽出が挙げられる。所与のdp範囲のキシロオリゴ糖の分離は、膜、さらには異なる濃度のエタノール性溶液を用いて実施した。吸着、イオン交換、及びクロマトグラフ分離技法を使用して、キシロオリゴ糖を精製してもよい。種々のキシロオリゴ糖が市販されている。
【0033】
米国特許第6,942,754号明細書には、酵素を用いたリグノセルロースパルプからキシロオリゴ糖を調製する方法が開示されている。
【0034】
ビフィドバクテリウム・ラクティス
いずれのビフィドバクテリウム・ラクティス株を使用してもよい。
【0035】
好ましくは、1又は複数の生菌ビフィドバクテリウム・ラクティス株は、B.ラクティス(B.lactis)Bl−04、B.ラクティスBi−07、B.ラクティス420、B.ラクティスDN 173 010、B.ラクティスHN019、B.ラクティスBb−12、B.ラクティスDR10、B.ラクティスDSM10140、B.ラクティスLKM512、B.ラクティスDSM 20451、及びそれらの混合物から選択されるが、これらに限定されない。
【0036】
好ましくは、1又は複数の生菌ビフィドバクテリウム・ラクティス株は、B.ラクティスBI−04、B.ラクティスBi−07、B.ラクティス420、B.ラクティスBb−12、B.ラクティスDN 173 010、B.ラクティスHN019、及びそれらの混合物から選択される。
【0037】
好ましくは、組成物が食品組成物であるとき、食品組成物は、1食(serving)当たり1×106〜1×1012コロニー形成単位(CFU)のビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む。好ましくは、食品組成物は、1食当たり107−1010CFUのビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む。
【0038】
経口摂取用の製品
別の態様において、本発明は、本明細書に記載されたように、組成物を含む経口摂取用の製品に関する。このような経口摂取用の製品としては、食糧、又は経口サプリメントを挙げることができる。本明細書に記載する組成物は、このような経口摂取用の製品の成分である。
【0039】
好ましくは、経口摂取用の製品は、ドライ経口サプリメント、液体経口サプリメント、牛乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、穀類で製造された製品、乳児用調製粉乳、粉末飲料、菓子、栄養バー、及び粉乳から選択される。好ましくは、ドライ経口サプリメントは錠剤又は丸剤である。好ましくは、穀類はミューズリである。
【0040】
好ましくは、経口摂取用の製品は、1食又は1用量当たり2〜10gのキシロオリゴ糖、好ましくは1食又は1用量当たり3〜9gのキシロオリゴ糖、好ましくは1食又は1用量当たり4〜8gのキシロオリゴ糖、好ましくは1食又は1用量当たり5〜7gのキシロオリゴ糖を含む。好ましくは、キシロオリゴ糖の上記用量は1日用量である。
【0041】
好ましくは、経口摂取用の製品は、1食又は1用量当たり5gのキシロオリゴ糖を含む。
【0042】
好ましくは、経口摂取用の製品は、1食又は1用量当たり1×106〜1×1012コロニー形成単位(CFU)のビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む。この範囲を下回る場合、その量のビフィドバクテリウム・ラクティスは、効率的ではなく、この範囲を上回る量のビフィドバクテリウム・ラクティスを使用することは、ヒトにとって大量すぎる経口摂取用の製品が必要になると考えられる。好ましくは、経口摂取用の製品は、1食又は1用量当たり107〜1010CFUのビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む。好ましくは、上記用量は1日用量である。
【0043】
好ましくは、経口摂取用の製品はヨーグルトである。好ましくは、ヨーグルトは、1食当たり106〜108CFU/mlのビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む。
【0044】
経口摂取用の製品は、さらに保存剤、安定剤、染料、酸化防止剤、懸濁剤、及び矯味剤から選択される成分を含んでもよい。保存剤としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが挙げられる。
【0045】
薬学的組成物
一態様において、本明細書に記載する組成物は薬学的組成物であり、これは、さらに薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を(それらの組合せを含めて)含む。
【0046】
薬学的組成物は、ヒト及び動物の医薬としてヒト又は動物に使用してもよく、典型的には薬学的に許容される希釈剤、担体、又は賦形剤のいずれか1又は複数を含む。治療上使用するのに許容される担体又は希釈剤は、薬学技術分野で周知であり、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co.(A. R. Gennaro edit. 1985)に記載されている。医薬用の担体、賦形剤、又は希釈剤の選択は、所期の投与経路及び標準薬学慣例に関連して選択することができる。薬学的組成物は、担体、賦形剤、若しくは希釈剤として、又はそれらに加えて、任意の適当な結合剤、滑沢剤、懸濁剤、コーティング剤、可溶化剤を含んでもよい。
【0047】
キット
別の態様において、本発明は、キットであって、1又は複数の生菌ビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む第1の容器と、糖成分を含む第2の容器とを備え、糖成分は重合度2〜100のキシロオリゴ糖を含むキットを提供する。
【0048】
したがって、本明細書に記載する組成物の成分は、キットの形で用いられてもよい。成分は、同時、連続、又は分離投与で用いられてもよい。キットの第1の容器は、組成物に関して本明細書に記載するビフィドバクテリウム・ラクティス株に関するさらなる特徴のいずれかをさらに含む1又は複数のビフィドバクテリウム・ラクティス株を含んでもよい。同様に、キットの第2の容器は、組成物に関して本明細書に記載する糖成分及びキシロオリゴ糖に関するさらなる特徴のいずれかをさらに含む糖成分を含んでもよい。
【0049】
好ましくは、キットは、丸剤又はヨーグルト(これらに限定されない)に組み込まれたビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む。
【0050】
好ましくは、キットは、果汁、及び穀類で製造された製品(これらに限定されない)から選択される食糧に組み込まれたキシロオリゴ糖を含む。好ましくは、穀類はミューズリである。
【0051】
好ましくは、キットは指示書も含む。これらの指示書は、キット成分の推奨投与方法又は順序に関する可能性がある。
【0052】
使用
別の態様において、本発明は、本明細書に記載されたように、対象の腸でのビフィドバクテリウム・ラクティスの定着及び/又は活性を選択的に増大させる医薬品の製造における組成物又はキットの使用を提供する。
【0053】
組成物又はキットは、本明細書に記載されたように、発酵食品中のビフィドバクテリウム・ラクティスのレベルを上昇させるのに使用してもよい。
【0054】
組成物又はキットは、本明細書に記載されたように、対象の腸でのクロストリジウム・パーフィンジェンス(Clostridium perfingens)の定着を低減又は抑制する医薬品の製造において使用してもよい。
【0055】
組成物又はキットは、本明細書に記載されたように、対象の腸でのサルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)の定着を低減又は抑制する医薬品の製造において使用してもよい。
【0056】
組成物又はキットは、本明細書に記載されたように、対象の腸での腸管病原性大腸菌(enteropathogenic Escherichia coli)の定着を低減又は抑制する医薬品の製造において使用してもよい。
【0057】
組成物は、本明細書に記載されたように、ドライ経口サプリメント、液体経口サプリメント、牛乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、発酵穀類で製造された製品、調製粉乳、粉末飲料、菓子、栄養バー、及び粉乳から選択される経口摂取用の製品でも使用してよい。
【0058】
組成物又はキットは、本明細書に記載されたように、アトピー性湿疹を軽減する医薬品の製造において使用してもよい。
【0059】
組成物又はキットは、本明細書に記載されたように、下痢の治療用の医薬品の製造において使用してもよい。
【0060】
組成物又はキットは、本明細書に記載されたように、免疫機能を向上させる医薬品の製造において使用してもよい。
【0061】
組成物又はキットは、本明細書に記載されたように、腸機能を改善する医薬品の製造において使用してもよい。
【0062】
方法
本明細書に記載されたように、組成物又はキットを対象に経口投与することによって、対象の腸でのビフィドバクテリウム・ラクティスの定着を選択的に増大させる方法。
【0063】
本明細書に記載されたように、有効量の組成物又はキットを対象に経口投与することによって、対象の腸でのクロストリジウム・パーフィンジェンスの定着を低減又は抑制する方法。
【0064】
本明細書に記載されたように、有効量の組成物又はキットを対象に経口投与することによって、対象の腸でのサルモネラ・ティフィムリウムの定着を低減又は抑制する方法。
【0065】
本明細書に記載されたように、有効量の組成物又はキットを対象に経口投与することによって、対象の腸での大腸菌(Escherichia coli)の定着を低減又は抑制する方法。
【0066】
本明細書に記載されたように、有効量の組成物又はキットを対象に経口投与することによって、対象におけるアトピー性湿疹を低減する方法。
【0067】
本明細書に記載されたように、有効量の組成物又はキットを対象に経口投与することによって、対象における下痢を治療する方法。
【0068】
本明細書に記載されたように、有効量の組成物又はキットを対象に経口投与することによって、対象における免疫機能を向上させる方法。
【0069】
本明細書に記載されたように、有効量の組成物又はキットを対象に経口投与することによって、対象における腸機能を改善する方法。
【0070】
好ましくは、対象は動物又はヒトである。
【0071】
好ましくは、対象は哺乳類、魚、又は家禽である。
【0072】
好ましくは、対象は哺乳類、好ましくはヒトである。
【0073】
糖成分(b)
糖成分(b)は、6.5重量%未満の単糖、好ましくは6.0重量%未満の単糖、好ましくは5.5%未満の単糖、好ましくは5.0%未満の単糖、好ましくは4.5%未満の単糖、好ましくは4.0%未満の単糖、好ましくは3.5%未満の単糖、好ましくは3.0%未満の単糖、好ましくは2.5%未満の単糖、好ましくは2.0%未満の単糖、好ましくは1.5%未満の単糖、好ましくは1.0%未満の単糖、好ましくは0.5%未満の単糖を含有してもよい。
【0074】
別の態様において、糖成分(b)は、0重量%〜6.9重量%の単糖を含有する。糖成分(b)は、好ましくは0〜5.0重量%の単糖、好ましくは0〜4.0重量%の単糖、好ましくは0〜3.0重量%の単糖、好ましくは0〜2.0重量%の単糖、好ましくは0〜1.0重量%の単糖を含有する。
【0075】
別の態様において、糖成分(b)は、単糖を実質的に含有しない。
【0076】
次に、添付図を参照してほんの一例として、本発明を、さらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】一連のプレバイオティクス上でのビフィドバクテリウム・ラクティスBl−04の増殖曲線を示す図である。
【図2】一連のプレバイオティクス上でのビフィドバクテリウム・ラクティスBl−04の別の増殖曲線を示す図である。
【図3】増殖曲線下面積の計算方法を示す図である。
【図4】一連のプレバイオティクス上でのラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)の増殖曲線を示す図である。
【図5】一連のプレバイオティクス上でのラクトバチルス・アシドフィラスの別の増殖曲線を示す図である。
【図6】一連の単一糖類上でのビフィドバクテリウムの様々な株の細菌増殖速度を示す棒グラフである。
【図7】一連の単一糖類上でのビフィドバクテリウムの様々な株の細菌増殖速度を示す棒グラフである。
【図8】一連の単一糖類上での細菌の様々な株の細菌増殖速度を示す棒グラフである。
【図9】一連の単一糖類上での細菌の様々な株の細菌増殖速度を示す棒グラフである。
【図10】一連の単一糖類上での様々な病原体の増殖速度を示す棒グラフである。
【図11】一連の単一糖類上での様々な病原体の増殖速度を示す棒グラフである。
【図12】一連の単一糖類を用いたビフィドバクテリウムの結腸シミュレーションを示す棒グラフである。
【図13】一連の単一糖類を用いたビフィドバクテリウム・ラクティスの結腸シミュレーションを示す棒グラフである。
【図14】一連の単一糖類を用いたビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)の結腸シミュレーションを示す棒グラフである。
【図15】一連の単一糖類を用いたクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)の結腸シミュレーションを示す棒グラフである。
【図16】一連の単一糖類を用いた全短鎖脂肪酸の結腸シミュレーションを示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0078】
次に、下記の実施例で、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例]
【0079】
Longlive 041021, 95Pは、Shandong Longlive、Chinaから入手可能である。
RaftiloseP95は、Orafti、Belgiumから入手可能である。
α-D-グルコースは、Serva、Germanyから入手可能である。
de Man Rogosa Sharpe培地(MRS)は、(LabM)から入手可能である。
MRS 2は、グルコースを含まないMRS培地である。
トリプシンダイズブロス培地(TSB)は、Becton Dickinson、Franceから入手可能である。
ビフィドメディウム(Bifidomedium)(Bif58)の処方は、DSM、Deutsche Sammlung von Mikroorganismenから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ラクティスBl-07は、Danisco A/Sから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ラクティスBl-04は、Danisco A/Sから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ラクティスHN019(Howaru)は、Danisco A/Sから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ラクティスDN 173 010は、Groupe Danoneから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ラクティスBb-12は、Christian Hansen A/Sから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ラクティス420は、Danisco A/Sから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ブレーベBb-03は、Danisco A/Sから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ロンガムKC-1は、Danisco A/Sから入手可能である。
ビフィドバクテリウム・ロンガム913(Wisby)は、Danisco A/Sから入手可能である。
ラクトバチルス・アシドフィラスNCFMは、Danisco A/Sから入手可能である。
ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)1260は、Danisco A/Sから入手可能である。
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)Lpc-37は、Danisco A/Sから入手可能である。
ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)HN001(Howaru)は、Danisco A/Sから入手可能である。
ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)715は、Danisco A/Sから入手可能である。
【0080】
実験で使用した他の微生物は、菌株保存機関から入手可能である。
ATCC=American Type Culture Collection
DSM=Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen
CCUG=Culture Collection、University of Goteborg、Sweden
EELA=Finnish Food Safety Authority
プレバイオティクス候補及びそれらの組成物を表1に示す。
Abbr.=略語、Ster.=滅菌手順、F=濾過、UV=紫外線。
【0081】
【表1】
【0082】
プレバイオティクスを10%濃縮保存溶液に溶解し、糖鎖長に応じて濾過(0.2μm Minisart NML、Sartorius AG、Germany)又は紫外線(30秒、120mJ/cm2)(XL-1500 UV Crosslinker、Spectronics Corporation、US)によって無菌化し、+4℃、好気状態で貯蔵した。培養で使用した被検菌株及びそれらの増殖培地(括弧内の培地は、第1の前培養で使用した培地である)を表2に示す。ビフィドバクテリウム、乳酸桿菌、及びストレプトコッカス・サーモフィルス(Strep. thermophilus)はMRS培地中で増殖させ、他の細菌類はTSB中で増殖させた。
【0083】
すべての培養物を、ビーズバイアル(Technical Service Consultants社製、UK)中−70℃で貯蔵した。継代培養では、細菌を2つのビーズからそれらの適切な増殖培地5ml(表2)に接種した。前培養物は、凍結保存物から、適切な媒体中、37℃、嫌気的条件下で混濁するまで24〜48時間増殖させた。次いで、細菌をさらにMRS又はTSB(表2)に接種し、さらに37℃で24時間インキュベートした。これらの懸濁液を増殖密度測定に使用した。
【0084】
【表2】
【0085】
プレバイオティクス上でのプロバイオティクスのインビトロ増殖
単一糖上での細菌増殖速度を決定する一般方法
マルチウェルプレート中の液体試料の吸光度の動的変化を記録する自動オンライン濁度計(Bioscreen C、Labsystems社製、Finland)で、嫌気性増殖を測定した。プレートの各ウェルに、20μlの10w/v%プレバイオティクス溶液を好気的状態で充填し、続いて適切な培地中1v/v%定常期初期試験細菌180μlを嫌気的に添加した。対照ウェルには、200μlの1v/v%定常期初期試験細菌又は当該の細菌を培養するのに使用した同じ培地しか含まれなかった。最終プレバイオティクス濃度は1w/v%であった。
【0086】
すべての株を37℃で24時間インキュベートし、吸光度(OD 600nm)を30分ごとに測定した。各測定の前に、プレートを10秒間振盪した。各株と糖の組合せについて、異なる2組の実験を5回反復して行った。
【0087】
単一糖源上の細菌増殖の速度は、ソフトウェア(BioLink、Version 5.07、Labsystems社製、UK)によって自動的に処理された吸光度の結果から増殖曲線(24時間)下面積を算出することによって確定した。同様の分析がJaskari et al. Appl. Microbiol Biotechnol 49 (1998) 175-181によって行われた。各ウェルについて、連続した時点で測定された吸光度値から作製された対称的な長方形を用いて、増殖曲線下面積を算出した。これを図1に示す。
【0088】
この長方形の面積の半分は、連続した時点間の増殖曲線下面積であり、これは次式で書き表すことができる。
【0089】
【数1】
(1)
【0090】
測定期間(24時間、30分ごとに測定)の面積をすべて合計して、各ウェルの増殖曲線について増殖曲線下面積を得た。対照培地(糖類を添加していない基本増殖培地)での増殖を、ベースライン増殖(abs0)の結果から差し引いた。平均の標準誤差(SE)を使用して、各細菌とプレバイオティクスの組合せの並列結果間のバラツキを算出した。10個の並列ウェルについて増殖曲線下面積の平均を使用して、SEを以下の通り算出した。
【0091】
【数2】
(2)
【0092】
式中、n=並列対象の数
【0093】
【数3】
【0094】
式中、n=並列対象の数
χi=対象iの値
【0095】
【数4】
【0096】
ビフィドバクテリウム・ラクティスBl−04の増殖
一般方法を用いて、一連のプロバイオティクス上でのビフィドバクテリウム・ラクティスBl−04の増殖を実施した。これらについての結果を表3に示し、このデータから得られた増殖曲線を図1に示す。
【0097】
【表3】
【0098】
一連のプロバイオティクス上でのビフィドバクテリウム・ラクティスBl−04の増殖について、一般方法を用いてさらに試験を実施した。このさらなる試験の結果を表4に示し、このデータから得られた増殖曲線を図2に示す。
【0099】
【表4】
【0100】
他のB.ラクティス株についても同様の増殖曲線が得られた。
【0101】
ラクトバチルス・アシドフィラスの増殖
一般方法を用いて、一連のプロバイオティクス上でのラクトバチルス・アシドフィラスの増殖が実施されたと確定するために、2つの実験を行った。実験1の結果を図4に示し、実験2の結果を図5に示す。
【0102】
これらの曲線の比較から、キシロオリゴ糖はB.ラクティスの増殖をはるかによく支援することが理解できる。一方、フルクトオリゴ糖は両方の増殖を支援する。したがって、キシロオリゴ糖の方が選択性が高い。
【0103】
ビフィドバクテリウム及び単一糖類
一連の単一糖類上でのビフィドバクテリウムの様々な株の細菌増殖速度を、一般方法に従って確定した。培地を含まない増殖曲線下平均面積は、表5及び図6に示す通りであった。
【0104】
【表5】
【0105】
一般方法に従って、さらに実験を行って、一連の単一糖類上でのビフィドバクテリウムのより広範囲な株の細菌増殖速度を確定した。培地を含まない増殖曲線下平均面積は、表6及び図7に示す通りであった。
【0106】
【表6】
【0107】
B.ラクティスはすべて、キシロオリゴ糖Longlive、dp2、及びdp2〜10を大いに利用した。大部分の被検ビフィドバクテリウムは、グルコース上と同様のレベル、又ははるかに高いレベルで、FOS上で増殖することができ、したがってXOSはFOSより選択性が高い。
【0108】
乳酸桿菌及びS.サーモフィルスと単一糖類
一連の単一糖類を用いた乳酸桿菌の様々な株及びS.サーモフィルスの細菌増殖の速度を測定するために2つの実験を行った。一般方法に従って、細菌増殖速度を確定した。第1の実験では、培地を含まない増殖曲線下平均面積は、表7及び図8に示す通りであった。
【0109】
【表7】
【0110】
第2の実験では、培地を含まない増殖曲線下平均面積は、表8及び図9に示す通りであった。
【0111】
【表8】
【0112】
これらの細菌はすべて、グルコースで発酵したが、キシロオリゴ糖では優れた程度には発酵しなかった。FOSは、ラクトバチルス・アシドフィラスNCFM及びパラカゼイLpc−37の増殖を大いに向上させた。
【0113】
病原体及び単一糖類
一連の単一糖類を用いた結腸由来の様々な病原体及び他の微生物の増殖速度を測定するために、2つの実験を行った。一般方法に従って、増殖速度を確定した。第1の実験では、培地を含まない増殖曲線下平均面積は、表9及び図10に示す通りであった。
【0114】
【表9】
【0115】
第2の実験では、培地を含まない増殖曲線下平均面積は、表10及び図11に示す通りであった。
【0116】
【表10】
【0117】
キシロオリゴ糖はFOS又はグルコースより、これらの病原体に対して低い増殖速度を発現した。FOSは、ユウバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、バクテロイデス・ブルガータス(Bacteroides vulgatus)、及びバクテロイデス・フラギリス、並びにスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の増殖を正の対照であるグルコースと同じレベルに向上させた。潜在的に病原性の微生物、大腸菌、クロストリジウム・パーフリンジェンス、サルモネラ・ティフィムリウム、並びにスタフィロコッカス・アウレウス及びスタフィロコッカス・エピデルミスの増殖は、糖を含まないMRS又はTSB媒体上での増殖に比べて、抑制さえ認められた。
【0118】
結腸シミュレーション
4つの並列ユニットV1〜V4からなる半連続4チャネル結腸シミュレーターモデルを使用して、いくつかの結腸シミュレーションを行った。ユニットの状態を、盲腸/上行結腸を表すV1から、遠位結腸/直腸を表すV4までヒト結腸の異なる区画を表すように調整した。結腸シミュレーションは、Makivuokko, H., et al. Nutr. Cancer, 52, (2005), 94-104;及びMakivuokko, H., et al. Biosci. Biotechnol. Biochem., 70, (2006), 2056-2063に記載されているように行った。
【0119】
一般方法
第1の容器(V1)に供給する培地容器から最後の容器(V4)まで、シミュレーターユニットは、容器に無酸素性N2を供給することによって嫌気的に維持した。4段階ユニットはそれぞれ、無菌シミュレーター培地中50mlに溶解した適切な糖1gを含み(Macfarlane, G. T., et al. Microb. Ecol., 35, (1998), 180-187を参照のこと)、嫌気性キャビネット内部のガラス血清瓶に封止した。対照シミュレーションユニットでは、50mlの無菌シミュレーター培地を同様にガラス血清瓶に封止した。シミュレーターユニットのすべての容器に、適切な細菌の試料を嫌気的に接種した。
【0120】
結腸シミュレーション−ビフィドバクテリウム
一連の単一糖類を用いたビフィドバクテリウムの結腸シミュレーションの平均値結果(平均値のプラス又はマイナス標準誤差、+/−SE)を図12に示す。
【0121】
結腸シミュレーション−B.ラクティス
一連の単一糖類を用いたビフィドバクテリウム・ラクティスの結腸シミュレーションの結果を図13に示す。
【0122】
結腸シミュレーション−B.ロングム
一連の単一糖類を用いたビフィドバクテリウム・ロングムの結腸シミュレーションの結果を図14に示す。
【0123】
結腸シミュレーション−C.パーフリンゲンス
一連の単一糖類を用いたクロストリジウム・パーフリンゲンスの結腸シミュレーションの結果を図15に示す。
【0124】
結腸シミュレーション−短鎖脂肪酸
一連の単一糖類を用いた全短鎖脂肪酸の結腸シミュレーションの結果を図16に示す。全短鎖脂肪酸という用語は、C1−C5鎖脂肪酸、特に酢酸、プロピオン酸、及び酪酸を指す。
【0125】
結論
これらの結腸シミュレーションから、キシロオリゴ糖種は、B.ロングムやCl.パーフリンゲンスなどの他の種よりビフィドバクテリウム・ラクティスに対してはるかに高い選択性を示すことが理解できる。
【実施例1】
【0126】
106〜108CFU/mlのB.ラクティスHN0019及び1食当たり5gのキシロオリゴ糖(dp2〜10)を含有するヨーグルト。標準発酵過程の後に、キシロオリゴ糖を添加した。
【0127】
この実施例は、本明細書に記載されたように任意のB.ラクティス株又は任意のキシロオリゴ糖試料を使用するように変えてもよい。さらに、キシロオリゴ糖の量は、1食当たり2〜10gを使用するように変えてもよい。
【実施例2】
【0128】
107〜1010CFUのB.ラクティスHN0019及び1食当たり5gのキシロオリゴ糖(dp2〜10)を含有する栄養バー。
【0129】
この実施例は、本明細書に記載されたように任意のB.ラクティス株又は任意のキシロオリゴ糖試料を使用するように変えてもよい。さらに、キシロオリゴ糖の量は、1食当たり2〜10gを使用するように変えてもよい。
【実施例3】
【0130】
1食当たり107〜1010CFUのB.ラクティスHN0019株及び1食当たり5gのキシロオリゴ糖(dp2〜10)を含有する粉末飲料。但し、水分活性は0.5未満に維持する。
【0131】
この実施例は、本明細書に記載されたように任意のB.ラクティス株又は任意のキシロオリゴ糖試料を使用するように変えてもよい。さらに、キシロオリゴ糖の量は、1食当たり2〜10gを使用するように変えてもよい。
【実施例4】
【0132】
1食当たり107〜1010CFUのB.ラクティスHN0019株及び1食当たり5gのキシロオリゴ糖(dp2〜10)を含有する調製粉乳。但し、水分活性は0.5未満に維持する。
【0133】
この実施例は、本明細書に記載されたように任意のB.ラクティス株又は任意のキシロオリゴ糖試料を使用するように変えてもよい。さらに、キシロオリゴ糖の量は、1食当たり2〜10gを使用するように変えてもよい。
【実施例5】
【0134】
1食当たり107〜1010CFUのB.ラクティスHN0019株及び1食当たり5gのキシロオリゴ糖(dp2〜10)を含有する粉乳。キシロオリゴ糖は、スプレー乾燥する前に溶液として添加される。
【0135】
この実施例は、本明細書に記載されたように任意のB.ラクティス株又は任意のキシロオリゴ糖試料を使用するように変えてもよい。さらに、キシロオリゴ糖の量は、1食当たり2〜10gを使用するように変えてもよい。
【実施例6】
【0136】
1食当たり107〜1010CFUのB.ラクティスHN0019株及び1食当たり5gのキシロオリゴ糖(dp2〜10)を含有する粉乳。キシロオリゴ糖は、スプレー乾燥した後に添加される。
【0137】
この実施例は、本明細書に記載されたように任意のB.ラクティス株又は任意のキシロオリゴ糖試料を使用するように変えてもよい。さらに、キシロオリゴ糖の量は、1食当たり2〜10gを使用するように変えてもよい。
【0138】
上記の明細書に記載された刊行物はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。記載された本発明の方法及びシステムの様々な修正及び変形は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明を特定の好ましい実施形態に関連して説明してきたが、特許請求される本発明は、このような特定の実施形態に不当に限定されるべきでないと理解されたい。実際、本発明を実施するための記載されたモードの様々な修正は、化学又は関連分野の技術者に明らかであり、次の特許請求の範囲内に入るよう意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1又は複数の生菌ビフィドバクテリウム・ラクティス株と、
(b)糖成分と
を含み、前記糖成分が、重合度2〜100のキシロオリゴ糖を含む組成物。
【請求項2】
糖成分(b)における重合度2のキシロオリゴ糖の割合が、少なくとも50%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
糖成分(b)における重合度2のキシロオリゴ糖の割合が、少なくとも70%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
糖成分(b)における重合度3のキシロオリゴ糖の割合が、少なくとも10%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
糖成分(b)における重合度が少なくとも4であるキシロオリゴ糖の割合が、少なくとも30%である、請求項1又は4に記載の組成物。
【請求項6】
キシロオリゴ糖の重合度が2〜10である、請求項1、4、又は5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
糖成分(b)における重合度が少なくとも5であるキシロオリゴ糖の割合が、50%超である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
キシロオリゴ糖がキシランである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
1又は複数の生菌ビフィドバクテリウム・ラクティス株が、B.ラクティスBl−04、B.ラクティスBi−07、B.ラクティス420、B.ラクティスDN 173 010、B.ラクティスHN019、B.ラクティスBb−12、B.ラクティスDR10、B.ラクティスDSM10140、B.ラクティスLKM512、B.ラクティスDSM 20451、及びそれらの混合物から選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
食品組成物である、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
食品組成物が、1食当たり1×106〜1×1012コロニー形成単位のビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の組成物を含む経口摂取用の製品であって、ドライ経口サプリメント、液体経口サプリメント、牛乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、穀類で製造された製品、乳児用調製粉乳、粉末飲料、菓子、栄養バー、及び粉乳から選択される製品。
【請求項13】
1又は複数の生菌ビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む第1の容器と、
糖成分を含む第2の容器とを備え、前記糖成分が重合度2〜100のキシロオリゴ糖を含むキット。
【請求項14】
ビフィドバクテリウム・ラクティス株が、丸剤又はヨーグルトに組み込まれている、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
キシロオリゴ糖が、果汁、及び穀類で製造された製品から選択される食糧に組み込まれている、請求項13又は14に記載のキット。
【請求項16】
対象の腸でのビフィドバクテリウム・ラクティスの定着及び/又は活性を選択的に増強させる医薬品の製造における、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物、又は請求項14若しくは15に記載のキットの使用。
【請求項17】
対象の腸でのクロストリジウム・パーフィンジェンスの定着を低減又は抑制する医薬品の製造における、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物、又は請求項14若しくは15に記載のキットの使用。
【請求項18】
発酵食品中のビフィドバクテリウム・ラクティスのレベルを上昇させる医薬品の製造における、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物、又は請求項14若しくは15に記載のキットの使用。
【請求項19】
アトピー性湿疹を軽減させる医薬品の製造における、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物、又は請求項14若しくは15に記載のキットの使用。
【請求項20】
下痢の治療用の医薬品の製造における、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物、又は請求項14若しくは15に記載のキットの使用。
【請求項21】
免疫機能を向上させる医薬品の製造における、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物、又は請求項14若しくは15に記載のキットの使用。
【請求項22】
腸機能を改善する医薬品の製造における、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物、又は請求項14若しくは15に記載のキットの使用。
【請求項1】
(a)1又は複数の生菌ビフィドバクテリウム・ラクティス株と、
(b)糖成分と
を含み、前記糖成分が、重合度2〜100のキシロオリゴ糖を含む組成物。
【請求項2】
糖成分(b)における重合度2のキシロオリゴ糖の割合が、少なくとも50%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
糖成分(b)における重合度2のキシロオリゴ糖の割合が、少なくとも70%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
糖成分(b)における重合度3のキシロオリゴ糖の割合が、少なくとも10%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
糖成分(b)における重合度が少なくとも4であるキシロオリゴ糖の割合が、少なくとも30%である、請求項1又は4に記載の組成物。
【請求項6】
キシロオリゴ糖の重合度が2〜10である、請求項1、4、又は5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
糖成分(b)における重合度が少なくとも5であるキシロオリゴ糖の割合が、50%超である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
キシロオリゴ糖がキシランである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
1又は複数の生菌ビフィドバクテリウム・ラクティス株が、B.ラクティスBl−04、B.ラクティスBi−07、B.ラクティス420、B.ラクティスDN 173 010、B.ラクティスHN019、B.ラクティスBb−12、B.ラクティスDR10、B.ラクティスDSM10140、B.ラクティスLKM512、B.ラクティスDSM 20451、及びそれらの混合物から選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
食品組成物である、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
食品組成物が、1食当たり1×106〜1×1012コロニー形成単位のビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の組成物を含む経口摂取用の製品であって、ドライ経口サプリメント、液体経口サプリメント、牛乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、穀類で製造された製品、乳児用調製粉乳、粉末飲料、菓子、栄養バー、及び粉乳から選択される製品。
【請求項13】
1又は複数の生菌ビフィドバクテリウム・ラクティス株を含む第1の容器と、
糖成分を含む第2の容器とを備え、前記糖成分が重合度2〜100のキシロオリゴ糖を含むキット。
【請求項14】
ビフィドバクテリウム・ラクティス株が、丸剤又はヨーグルトに組み込まれている、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
キシロオリゴ糖が、果汁、及び穀類で製造された製品から選択される食糧に組み込まれている、請求項13又は14に記載のキット。
【請求項16】
対象の腸でのビフィドバクテリウム・ラクティスの定着及び/又は活性を選択的に増強させる医薬品の製造における、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物、又は請求項14若しくは15に記載のキットの使用。
【請求項17】
対象の腸でのクロストリジウム・パーフィンジェンスの定着を低減又は抑制する医薬品の製造における、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物、又は請求項14若しくは15に記載のキットの使用。
【請求項18】
発酵食品中のビフィドバクテリウム・ラクティスのレベルを上昇させる医薬品の製造における、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物、又は請求項14若しくは15に記載のキットの使用。
【請求項19】
アトピー性湿疹を軽減させる医薬品の製造における、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物、又は請求項14若しくは15に記載のキットの使用。
【請求項20】
下痢の治療用の医薬品の製造における、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物、又は請求項14若しくは15に記載のキットの使用。
【請求項21】
免疫機能を向上させる医薬品の製造における、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物、又は請求項14若しくは15に記載のキットの使用。
【請求項22】
腸機能を改善する医薬品の製造における、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物、又は請求項14若しくは15に記載のキットの使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2010−512145(P2010−512145A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539807(P2009−539807)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004714
【国際公開番号】WO2008/071930
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(397060588)ダニスコ エイ/エス (67)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004714
【国際公開番号】WO2008/071930
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(397060588)ダニスコ エイ/エス (67)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]