説明

組立ラインにおける部品配膳システム

【課題】載置された部品がワークに組み付けられて空となったトレイの回収ラインの短縮化ができ、部品を搬送する走行台車の走行経路の短縮化が可能で、ワークに部品を組み付ける搬送ラインを短縮化できるものを提供。
【解決手段】搬送パレット3に積載されたワークWを搬送する連続した複数の平行な搬送ライン2より構成され、隣接する搬送ライン2の搬送方向の各上流端に配設され部品棚17を備えた部品配膳ステーション7と、隣接する搬送ライン2の搬送方向の各上流端の一側に配設された搬送台車分離ステーション4と、隣接する搬送ライン2の搬送方向の各下流端の一側に配設された搬送台車連結ステーション5とを有し、一方の搬送ライン2の部品配膳ステーション7、搬送台車分離ステーション4、他方の搬送ライン2の搬送台車連結ステーション5との間を結び、自走式搬送台車8の軌道Kが配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、組立ラインにおける部品配膳システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図7に示すように、ワーク搬送ラインWLは微速でワークW(クランクケース)を搬送するエンジン組立ラインであって、ワーク搬送ラインWLに沿って配置された各作業者m1が、パーツ搬送ラインPL1,PL2を搬送される部品を取り出してワークWに組み付ける。組立ラインLは、前半組立ラインL1と後半組立ラインL2を直線状に配置して構成され、前半組立ラインL1の前端側に、各種パーツが組み付けられるワークWが搬入されると共に、後半組立ラインL2の終端部から組み上がったエンジンが搬出されるようになっている。
【0003】
ストックエリアSA1では前半組立ラインL1で組み付ける各種パーツが、また、ストックエリアSA2では後半組立ラインL2で組み付ける各種パーツがそれぞれ仕分けされて収納棚56に収納されている。作業者m2はワークW毎に指定されたパーツを収納棚56から取り出して自走する走行台車55に装着されているパーツトレイ51に収容して送り出す。尚、走行台車55には3台のパーツトレイ51が並列して載置可能となっている。パーツ搬送用の走行台車55は、各ストックエリアSA1,SA2を取り囲む巡回経路bに沿って移動して、各トレイ搬入ラインc1,c2の始端側に配備されたトレイ搬入ステーション58,59に至る。
【0004】
このトレイ搬入ステーション58,59は、走行台車55上のパーツトレイ51を取り出して所定高さまで持ち上げ、トレイ搬入ラインc1,c2に受け渡すように構成されている。トレイ搬入ラインc1,c2に受け渡されたパーツトレイ51はパーツ搬送ラインPL1,PL2の始端側に送られる。また、各パーツ搬送ラインPL1,PL2の始端部には、トレイ搬入ラインc1,c2に沿って搬送されてきたパーツトレイ51をパーツ搬送ラインPL1,PL2に搬入移載するトレイ移載機構60,61が配備されている。
【0005】
そして、トレイ搬入ステーション58,59でパーツトレイ51を送り出して空になった走行台車55は、その移動方向の下手に配備されたトレイ搬出ステーション62,63に移動する。
【0006】
各パーツ搬送ラインPL1,PL2はワーク搬送ラインWLの搬送速度と同速度で搬送する。そして、各パーツ搬送ラインPL1,PL2の終端にはトレイ回収ラインd1,d2が接続され、全てのパーツが取り出されて空になったパーツトレイ51がこのトレイ回収ラインd1,d2に送り出される。トレイ回収ラインd1,d2の終端にトレイ搬出ステーション62,63が位置しており、トレイ搬出ステーション62,63まで送り出されてきた空のパーツトレイ51は、ここに待機している空の走行台車55に受け渡され、再びストックエリアSA1,SA2に送り戻される。
【0007】
パーツ搬送用の走行台車55が走行する巡回経路bは、床面に形成された溝64に沿って駆動チェーンを循環回動させる構造となっており、走行台車55側のピンを下降させ溝64内のチェーンに係止することで走行台車55が巡回経路bに沿って牽引走行されピンを抜き上げて駆動チェーンから離脱することで走行台車55をその位置で停止させることができる(特許文献1参照)。
【0008】
また、特許文献2に開示されているように、各工程で順次部品を組み付けることによって製品を生産するようにした組立ラインにおいて、各工程で組み付けられ、かつ1つの製品を構成するのに必要な部品を予めパレットに載置して組立ラインに沿って移動させる組立ラインにおける部品配膳システムも知られている。パレットは、作業台がプランジャを介して上下動・回動自在に配置されて無人搬送台車により牽引され、無人搬送台車は各組立工程で停止しながら移動する。
【0009】
更に、特許文献3に記載されているように、部品を復数の組み付け工程毎に異なる部品収納箱に収容すると共に、それらの部品収納箱を、対応する組み付け工数の実施順が若いものほど上になるように上下に積み重ねて段積梱包体を構成し、この段積梱包体をワークの搬送と同期するように部品組み付けラインに沿って搬送して各組み付け工程の終了と共にその終了に係る部品収納箱を段積梱包体より除去する組立ラインにおける部品配膳システムが知られている。ここで、各段積梱包体の搬送手段としては組立コンベア自体であっても良いし、組立コンベアに同期する搬送装置であってもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−291170号公報
【特許文献2】特開平02−65934号公報
【特許文献3】特開平06−328333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載されたものにあっては、パーツトレイ51をワーク搬送ラインWLに同期して搬送するパーツ搬送ラインPL1,PL2を敷設する必要があり、コスト高となる課題がある。また、ワークWが比較的小型のエンジンを対象とした組立ラインの場合には問題ではないが、車体などのようにワークが大型の組立ラインに採用するとトレイ回収ラインd1,d2が長くなり、空になったパーツトレイ51がトレイ回収ラインd1,d2上に多数存在することになりパーツトレイ51の作成費用が嵩む課題があり、これを回収するためにトレイ搬出ステーション62,63を前半組立ラインL1あるいは後半組立ラインL2の終端近くに配置すると、走行台車55の巡回経路bが長くなり、駆動チェーン等の敷設に費用が嵩むという課題がある。
【0012】
また、特許文献2に記載された従来技術にあっては、パレット毎に無人搬送台車が必要となりコスト高になるという課題がある。
【0013】
そして、特許文献3に記載された従来技術にあっては、搬送手段としては組立コンベア自体を用いた場合に、組立コンベア上に段積梱包体を載置する必要があるため、組立コンベアの幅を広くする必要がありコスト高となる。また、ワーク間の距離を多く確保する必要があり、その結果組み付け工程間が離間し組立コンベアを長くしたり、組立コンベアの搬送速度を高くする必要がありコスト高になる課題がある。
【0014】
そこで、この発明は、載置された部品がワークに組み付けられて空となったトレイの回収ラインの短縮化ができ、部品を搬送する走行台車の走行経路の短縮化が可能で、ワークに部品を組み付ける搬送ラインを短縮化できる組立ラインにおける部品配膳システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、搬送パレット(例えば、実施形態における搬送パレット3)に積載されたワーク(例えば、実施形態におけるワークW)を搬送する連続した複数の平行な搬送ライン(例えば、実施形態における搬送ライン2a,2b)より構成された組立ライン(例えば、実施形態における車体組立ライン1)における部品配膳システムにおいて、隣接する前記搬送ラインの搬送方向の各上流端側に配設され部品棚(例えば、実施形態における部品棚17)を備えた部品配膳ステーション(例えば、実施形態における部品配膳ステーション7)と、前記隣接する搬送ラインの搬送方向の各上流端側の一側に配設された搬送台車分離ステーション(例えば、実施形態における搬送台車分離ステーション4)と、前記隣接する搬送ラインの搬送方向の各下流端側の一側に配設された搬送台車連結ステーション(例えば、実施形態における搬送台車連結ステーション5)とを有し、前記各部品配膳ステーションで搬送台車(例えば、実施形態における搬送台車6)に部品を積載し、前記部品が積載された搬送台車に自走式搬送台車(例えば、実施形態における自走式搬送台車8)が連結可能に構成され、前記自走式搬送台車は前記各部品配膳ステーションから当該搬送ラインの上流端側に配設された搬送台車分離ステーションに向けて各々搬送可能に構成され、前記各搬送台車分離ステーションで搬送台車と自走式搬送台車とが分離可能に構成され、前記自走式搬送台車は、前記各搬送台車分離ステーションから隣接する搬送ラインの前記各搬送台車連結ステーションに向けて搬送可能に構成され、前記搬送台車は前記搬送ラインを上流から下流に向けて搬送される前記搬送パレットに係合可能に構成され、前記搬送台車に積載された部品が各搬送ラインの各組立工程で前記ワークに組み付け可能に構成され、前記隣接する各搬送ラインの下流に搬送された前記搬送台車は、前記搬送パレットとの係合を解除した後、当該搬送ラインの各搬送台車連結ステーションで整列可能に構成され、前記各搬送台車連結ステーションに到着した前記自走式搬送台車に前記搬送台車を連結して、前記自走式搬送台車が隣接する各搬送ラインの前記部品配膳ステーションに搬送可能に構成されることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載した発明は、前記組立ラインが前記ワークを車体とする車体組立ラインであることを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載した発明は、一方の前記搬送ラインの部品配膳ステーション内、前記部品配膳ステーションと一方の搬送ラインの前記搬送台車分離ステーションとの間、前記搬送台車分離ステーションと他方の搬送ラインの前記搬送台車連結ステーションとの間、前記搬送台車連結ステーションと前記一方の搬送ラインの前記部品配膳ステーションとの間に、前記自走式搬送台車の軌道が配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載した発明によれば、一方の搬送ラインの下流端側の搬送台車連結ステーションで空となった搬送台車が、部品配膳ステーションを経由して部品が載置された搬送台車となり、この搬送台車が他方の搬送ラインの上流端側の搬送台車分離ステーションまでの短い経路を搬送されて短時間で部品組み立てに使用されるため、搬送台車が空となっている時間を短くでき、搬送台車の回収のための軌道、つまり搬送台車分離ステーションから部品配膳ステーションまでの経路を短縮化でき、自走式搬送台車の搬送経路も短くでき、自走式搬送台車の設置台数も各搬送ラインで減少することができるため低コスト化を図ることができる。
また、搬送台車を用い、この搬送台車を搬送パレットに係合可能にしたため搬送パレットを小型化できワーク間の距離を少なくできるため、搬送ラインを短縮化でき、搬送速度を必要以上に高くする必要も無くなる。
請求項2に記載した発明によれば、車体のような大物のワークを組み立てる車体組立ラインを短縮化できると共に使用される自走式搬送台車、搬送台車の走行経路を短縮化できる。
請求項3に記載した発明によれば、隣接する搬送ラインの上流端と下流端同士を近接させた場合には、自走式搬送台車を最短の軌道で走行できる。したがって、自走式搬送台車により走行する空の搬送台車を搬送台車分離ステーションから部品配膳ステーションまで移動させる経路を最短距離にでき、搬送台車の配膳経路の無駄を最小限にできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施形態の組立ラインにおける部品配膳システムの平面図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】前記実施形態の搬送パレットと搬送台車との結合位置を示す図である。
【図4】図3の搬送パレットの拡大平面図である。
【図5】各停止マーカーにおける自走式搬送台車の停止状態を示す図である。
【図6】図5に示す自走式搬送台車の側面図である。
【図7】従来技術の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、自動車の車体組立ライン1を示している。車体組立ライン1は複数の平行な搬送ライン2によって構成されている。このうち上流側の搬送ライン2を搬送ライン2aとし、下流側の搬送ライン2を搬送ライン2bとする。各搬送ライン2a,2bは互いに上流端と下流端が近接して配置され、各搬送ライン2a,2bは複数の部品組み付け工程を有している。各搬送ライン2a,2bでは搬送パレット3上に大物のワークWである車体が載置されて矢印方向に搬送される。
【0021】
各搬送ライン2a,2bの上流端の一側には搬送台車分離ステーション4が配設されている。各搬送ライン2a,2bの下流端の一側には搬送台車連結ステーション5が配設されている。各搬送ライン2a,2bの上流端又は下流端には各搬送ライン2a,2bにおいて一つの製品を組み立てるのに必要な部品を各々1台の搬送台車6に配膳する部品配膳ステーション7が配置されている。尚、図1において、図示都合上、部品配膳ステーション7はやや小さめに描かれている。また、図1に示す搬送台車6において×で示すのは部品が収納されている様子を示す。
【0022】
自走式搬送台車8には複数の搬送台車6が縦列連結可能にされている。部品配膳ステーション7では自走式搬送台車8に近い搬送台車6から車体組立ライン1上で組立られる製品順に部品が載置され、自走式搬送台車8により縦列連結された搬送台車6が各搬送台車分離ステーション4に向けて搬送される。
【0023】
各搬送台車分離ステーション4では、自走式搬送台車8と搬送台車6の連結が解除され、かつ搬送台車6同士の連結も解除され、車体組立ライン1上で組み立てられる製品順に搬送台車6が整列される。
【0024】
図2〜図4に示すように、各搬送パレット3の一側には搬送台車6の一側に配設された車輪6aを載置するため係合凹部9が形成されている。係合凹部9の前後には搬送台車6の車輪6aが係合凹部9から脱輪するのを防止するためのコの字形状の係止バー10を挿通する係止孔11が形成されている。搬送パレット3の係合凹部9には、各搬送パレット3に載置されたワークWに組み付ける部品を載置した搬送台車6の車輪6aが載置され、係止バー10を係合凹部9の前後の係止孔11に係合した状態で各部品組み付け工程で部品の組付けを行う。
【0025】
図1に示すように、各搬送ライン2a,2bにおいて部品の組み付けが完了し空になった搬送台車6は、係止バー10と係止孔11との係合が解除された後に各搬送ライン2a,2bの下流端の一側に配設された搬送台車連結ステーション5に整列される。
【0026】
隣り合った2本の搬送ライン2のうち上流側の搬送ライン2aの上流端の一側に配置された搬送台車分離ステーション4で搬送台車6と分離された自走式搬送台車8は、下流側の搬送ライン2bの下流端の一側に配設された搬送台車連結ステーション5に向けて移動し搬送台車連結ステーション5で整列された空となった搬送台車6を連結して部品配膳ステーション7に復帰する。
また、隣り合った2本の搬送ライン2のうち下流側の搬送ライン2bの上流端の一側に配置された搬送台車分離ステーション4で搬送台車6と分離された自走式搬送台車8は、上流側の搬送ライン2aの下流端の一側に配設された搬送台車連結ステーション5に向けて移動し搬送台車連結ステーション5で整列された空となった搬送台車6を連結して部品配膳ステーション7に復帰する。
【0027】
図5、図6に示すように、自走式搬送台車8と搬送台車6の係脱は自走式搬送台車8の係止部12を上方に突出させ、搬送台車6の係止凹部13に係止部12を係合することで係合し、自走式搬送台車8の係止部12を没入させることにより搬送台車6の係止凹部13との係合を解除する。
【0028】
各部品配膳ステーション7内と、各部品配膳ステーション7から各搬送ライン2a,2bの上流端の一側に配設された搬送台車分離ステーション4との間、各搬送台車分離ステーション4と各搬送ライン2a,2bの下流端の一側に配設された搬送台車連結ステーション5との間、各搬送台車連結ステーション5から各部品配膳ステーション7間には、磁気テープ等からなる軌道Kが敷設されている。自走式搬送台車8は磁気テープに従って軌道K上を移動する。
【0029】
各搬送ライン2a,2bの上流端の一側に配設された搬送台車分離ステーション4には第1停止マーカー14が敷設され、自走式搬送台車8は第1停止マーカー14で停止した後、係止部12を没入させることにより部品を載置した搬送台車6の係止凹部13との係合を解除する。
また、各搬送ライン2の下流端の一側に配設された搬送台車連結ステーション5には第2停止マーカー15が敷設され、自走式搬送台車8は第2停止マーカー15で停止した後、係止部12を突出させることにより空の搬送台車6の係止凹部13と係合する。
部品配膳ステーション7には第3停止マーカー16が敷設され、自走式搬送台車8は第3停止マーカー16で停止した後、係止部12を没入させることにより搬送台車6の係止凹部13との係合を解除する。尚、第1停止マーカー14、第2停止マーカー15、第3停止マーカー16をまとめて図5に示す。
【0030】
部品配膳ステーション7では、作業者は空の搬送台車6同士の連結を解除し、所定の位置に空の搬送台車6を整列させる。
次いで、部品配膳ステーション7では、作業者が加工順位データに基づいて部品棚17から該当する部品を取り出し、搬送台車6に積載し、加工順位通りに連結する。
加工順位通りに連結された先頭の搬送台車6の係止凹部13を、停止状態にある自走式搬送台車8の係止部12上に移動し、作業者が起動ボタンを押すことにより自走式搬送台車8を無線で起動させ、自走式搬送台車8の係止部12を突出させ自走式搬送台車8と搬送台車6を係合状態とし、各搬送ライン2の上流端の一側に配設された搬送台車分離ステーション4に向けて軌道上を移動する。
【0031】
ここで、搬送台車6には複数段の載置部6bが形成され、この載置部6bに複数の部品パレット18が互いに載置されている。各部品の積載位置は定番地化され、該当する部品パレット18に載置される。
【0032】
搬送台車6同士の連結は、搬送台車6の後方に配設された、係合プレート19の係合孔と搬送台車6の前方に配設された垂直方向に回転軸20を中心に回動自在な係合アーム21の係合孔22の軸芯を合わせた状態で、鉤形係合ピン23により係合することにより行う。
【0033】
部品棚17の1列の部品棚7aには同種の部品(例えばドアミラー)であり、かつ異機種のものが混在して加工順位通りに配列され、作業者は部品棚7aから順番に取り出し部品パレット18の定番地に積載する。
これにより、同種の部品について、機種毎の部品棚7aを配置する必要は無いため、省スペース化を図ることが可能となり、作業者の歩行数も削減できる。また、同種の部品について、複数の部品棚7aが存在しないため、人為的な部品の誤抽出を防止できる。
また、図4に示すように、搬送パレット3上における搬送台車6の係合位置は、搬送ライン2における大物のワークWへの部品の組み付け位置により、搬送パレット3の前端、後端、中央部付近の2箇所の3つの位置に係合可能となっている。
【0034】
ところで、この実施形態のように組立ラインが車体組立ライン1である場合には、各搬送ライン2a,2bは機能を集約した機能集約ラインであることが望ましい。ここで、機能集約ラインとは、配線、配管、ケーブルの組み付け、その他の組み付け前作業を行う伝達通線ゾーンやインストルメントパネル、ペダル類、床マット等の内装部品を組み付けるインテリアゾーンやサスペンション、エンジン、その他下からの組み付け作業を行う足廻りゾーンやタイヤ、ウインドウガラス、バンパ、ドア、シート等の外装部品を組み付けるエクステリアゾーン等より構成され、各ゾーン毎に機能保証を行うことにより、最終検査工程での不良の検出を低減し、また大掛かりな分解を必要とする補修作業を低減でき、車体の組立を効率的に行うことができる。そして、ゾーン毎に部品を組み付ける車体の部位(例えば、エンジンルーム内、車室内、車体外側面、車体下廻り等)が略集約されているため、搬送パレット3上における搬送台車6の係合位置を最適な一箇所に固定することができ、組み立て作業を効率的に行うことができる。
【0035】
上記実施形態によれば、一方の搬送ライン2a(あるいは搬送ライン2b)の下流端の搬送台車連結ステーション5で空となった搬送台車6が、他方の搬送ライン2b(あるいは搬送ライン2a)の上流端にある部品配膳ステーション7を経由して部品が載置された搬送台車6となり、この搬送台車6が他方の搬送ライン2b(あるいは搬送ライン2a)の上流端の搬送台車分離ステーション4までの短い経路を搬送されて、他方の搬送ライン2b(あるいは搬送ライン2a)において短時間で部品組み立てに使用されるため、搬送台車6が空となっている時間を短くでき、搬送台車6の回収のための軌道K、つまり搬送台車分離ステーション4から部品配膳ステーション7までの経路を短縮化でき、自走式搬送台車8の搬送経路も短くでき、自走式搬送台車8の設置台数も各搬送ライン2a,2bで減少することができるため低コスト化を図ることができる。
【0036】
また、搬送台車6を用い、この搬送台車6を搬送パレット3に係合可能にしたため搬送パレット3を小型化できワークW間の距離を少なくできるため、搬送ライン2a,2bを短縮化でき、搬送速度を必要以上に高くする必要も無くなる。
そして、車体組立ライン1が大物のワークWである車体を組み立てる車体組立ライン1であっても、これを短縮化できると共に使用される自走式搬送台車8、搬送台車6の軌道Kを短縮化できる。
【0037】
更に、隣接する搬送ライン2a,2bの上流端と下流端と同士を近接させて、両搬送ライン2a,2bを平行に配置した状態で、一方の搬送ライン2a(又は搬送ライン2b)の部品配膳ステーション7内、この部品配膳ステーション7と搬送台車分離ステーション4との間、搬送台車分離ステーション4と他方の搬送ライン2b(又は搬送ライン2a)の搬送台車連結ステーション5との間、この搬送台車連結ステーション5と一方の搬送ライン2a(又は搬送ライン2b)の部品配膳ステーション7との間に、自走式搬送台車8の軌道Kが配設されているため、最短の軌道Kとすることができる。
【0038】
したがって、空の搬送台車6を搬送台車分離ステーション4から部品配膳ステーション7まで移動させる経路を最短距離にでき、搬送台車6の数も少なくて済み、無駄を最小限にできる搬送台車6の配膳を可能とできる。
尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、車体組立ライン1に限られない。また、部品配膳ステーション7、搬送台車分離ステーション4及び搬送台車連結ステーション5を搬送ライン2a,2bの上流端と下流端に配置した場合について説明したが、上流端側、下流端側であれば完全に搬送ライン2a,2bの端部である必要は無い。
【符号の説明】
【0039】
3 搬送パレット
W ワーク
2a,2b 搬送ライン
1 車体組立ライン(組立ライン)
17 部品棚
7 部品配膳ステーション
4 搬送台車分離ステーション
5 搬送台車連結ステーション
6 搬送台車
8 自走式搬送台車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送パレットに積載されたワークを搬送する連続した複数の平行な搬送ラインより構成された組立ラインにおける部品配膳システムにおいて、
隣接する前記搬送ラインの搬送方向の各上流端側に配設され部品棚を備えた部品配膳ステーションと、
前記隣接する搬送ラインの搬送方向の各上流端側の一側に配設された搬送台車分離ステーションと、
前記隣接する搬送ラインの搬送方向の各下流端側の一側に配設された搬送台車連結ステーションとを有し、
前記各部品配膳ステーションで搬送台車に部品を積載し、前記部品が積載された搬送台車に自走式搬送台車が連結可能に構成され、
前記自走式搬送台車は前記各部品配膳ステーションから当該搬送ラインの上流端側に配設された搬送台車分離ステーションに向けて各々搬送可能に構成され、
前記各搬送台車分離ステーションで搬送台車と自走式搬送台車とが分離可能に構成され、
前記自走式搬送台車は、前記各搬送台車分離ステーションから隣接する搬送ラインの前記各搬送台車連結ステーションに向けて搬送可能に構成され、
前記搬送台車は前記搬送ラインを上流から下流に向けて搬送される前記搬送パレットに係合可能に構成され、
前記搬送台車に積載された部品が各搬送ラインの各組立工程で前記ワークに組み付け可能に構成され、
前記隣接する各搬送ラインの下流に搬送された前記搬送台車は、前記搬送パレットとの係合を解除した後、当該搬送ラインの各搬送台車連結ステーションで整列可能に構成され、
前記各搬送台車連結ステーションに到着した前記自走式搬送台車に前記搬送台車を連結して、前記自走式搬送台車が隣接する各搬送ラインの前記部品配膳ステーションに搬送可能に構成されることを特徴とする組立ラインにおける部品配膳システム。
【請求項2】
前記組立ラインが前記ワークを車体とする車体組立ラインであることを特徴とする請求項1記載の組立ラインにおける部品配膳システム。
【請求項3】
一方の前記搬送ラインの部品配膳ステーション内、前記部品配膳ステーションと一方の搬送ラインの前記搬送台車分離ステーションとの間、前記搬送台車分離ステーションと他方の搬送ラインの前記搬送台車連結ステーションとの間、前記搬送台車連結ステーションと前記一方の搬送ラインの前記部品配膳ステーションとの間に、前記自走式搬送台車の軌道が配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の組立ラインにおける部品配膳システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−148357(P2012−148357A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7142(P2011−7142)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】