説明

組立補助装置、およびこれを用いたナックル組立体とダンパ組立体の組付方法

【課題】ナックル組立体とダンパ組立体との角度を均一化して組み付けることが容易となる組立補助装置、およびこれを用いたナックル組立体とダンパ組立体の組付方法の提供。
【解決手段】ナックル組立体15を載置させる載置台60と、載置台60に載置されたナックル組立体15を載置台60に固定する固定治具61と、載置台60に載置され固定治具61で固定されたナックル組立体15にダンパ組立体16を位置決めする位置決め治具62とを有し、位置決め治具62が、ダンパ組立体16をナックル組立体15に押し付ける弾発部112を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナックル組立体にダンパ組立体を組み付ける際に用いられる組立補助装置、およびこれを用いたナックル組立体とダンパ組立体の組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナックル組立体にダンパ組立体を組み付ける際に用いられる装置として、混流方式の製造ラインを流れてくる車種に応じて選択された組ソケットを使用することにより、間隔あるいはオフセットの異なる複数のボルトを同時に締め付けることができるボルト組付装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−311556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ナックル組立体にダンパ組立体を組み付ける際には、まず、ナックル組立体を専用装置で吊持して台車から取り出し、搬送ハンガやオーバーヘッドコンベア等のエンジン搬送装置で搬送されているエンジン組立体のディファレンシャル部に、そのドライブシャフトを挿入して結合し、その後、ナックル組立体にダンパ組立体をボルトにより固定するようになっている。
【0004】
上記の組み付けにおいては、ナックル組立体とダンパ組立体との角度を均一化するために、エンジン搬送装置に装備されたバンコードを用いて適宜の部位を吊持したり、仮付けされたボルトに対して専用治具を締結させて位置合わせを行う必要等があり、組み付け作業が繁雑であった。
【0005】
したがって、本発明は、ナックル組立体とダンパ組立体との角度を均一化して組み付けることが容易となる組立補助装置、およびこれを用いたナックル組立体とダンパ組立体の組付方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ドライブシャフト(例えば実施形態におけるドライブシャフト19)、ナックル(例えば実施形態におけるナックル20)、ディスクロータ(例えば実施形態におけるディスクロータ21)およびブレーキキャリパ(例えば実施形態におけるブレーキキャリパ22)を含むナックル組立体(例えば実施形態におけるナックル組立体15)に、ダンパ(例えば実施形態におけるダンパ40)およびコイルスプリング(例えば実施形態におけるコイルスプリング41)を含むダンパ組立体(例えば実施形態におけるフロントダンパ組立体16)を組み付ける際に用いられる組立補助装置(例えば実施形態における組立補助装置10)であって、前記ナックル組立体を載置させる載置台(例えば実施形態における載置台60)と、該載置台に載置された前記ナックル組立体を前記載置台に固定する固定治具(例えば実施形態における固定治具61)と、前記載置台に載置され前記固定治具で固定された前記ナックル組立体に前記ダンパ組立体を位置決めする位置決め治具(例えば実施形態における位置決め治具62)とを有し、該位置決め治具が、前記ダンパ組立体を前記ナックル組立体に押し付ける弾発部(例えば実施形態における弾発部112)を備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記載置台は、前記ドライブシャフトが前記ディスクロータ側ほど低く傾斜するように前記ナックル組立体を載置させることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記載置台、前記固定治具および前記位置決め治具を有する装置本体(例えば実施形態における装置本体12)が、ターンテーブル(例えば実施形態におけるターンテーブル11)上に三カ所以上設置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組立補助装置を用いて、前記載置台に前記ナックル組立体を載置し、該ナックル組立体を前記固定治具を当接させて前記載置台に固定して、次に、前記位置決め治具を退避位置から位置決め位置へ移動後、前記ダンパ組立体のロアブラケット(例えば実施形態におけるロアブラケット46)に前記ナックル組立体のナックルアーム(例えば実施形態における上部ナックルアーム25)を挿入しつつ前記位置決め治具により前記ダンパ組立体を受け、該ダンパ組立体を前記弾発部の弾発により前記ディスクロータ側に所定の角度となるように支持し、前記ナックルアームと前記ロアブラケットとを締め付けることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ナックル組立体が載置台に載置された状態で、固定治具がナックル組立体を載置台に固定することになり、この状態で、ダンパ組立体をナックル組立体に配置すると、位置決め治具が弾発部でダンパ組立体をナックル組立体に押し付けて位置決めすることになる。これにより、ナックル組立体とダンパ組立体との角度を均一化することができる。よって、この状態で、ナックル組立体にダンパ組立体を組み付けることで、容易に角度を均一化して組み付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る組立補助装置、およびこれを用いたナックル組立体とダンパ組立体の組付方法を図面を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る組立補助装置10は、平面視反時計回りに水平回転するターンテーブル11上に装置本体12が三カ所以上(図示例は三カ所)設置されて構成されている。
【0012】
組立補助装置10は、図2に示すナックル組立体15に図3に示すフロントダンパ組立体(ダンパ組立体)16を組み付ける際に用いられるものである。
【0013】
図2に示すナックル組立体15は、一端側にインボードブーツ18が設けられたドライブシャフト19と、このドライブシャフト19の他端側を回転可能に支持するナックル20と、ドライブシャフト19の他端側に一体回転可能に結合されたディスクロータ21と、このディスクロータ21を制動可能となるようにナックル20に取り付けられたブレーキキャリパ22とを有している。
【0014】
ナックル20には、図3に示すように、フロントダンパ組立体16を取り付けるための上部ナックルアーム25が上方に延出するように形成されており、この上部ナックルアーム25には、上下に離間して二カ所の取付穴26,27が形成され、これらの間の側面には凹状部24が形成されている。また、ナックル20には、側方に延出し図示略のタイロッドエンドに連結される側部ナックルアーム28と、逆の側方に延出して図2に示すブレーキキャリパ22を支持する上下の側部ナックルアーム29,30と、図示略のロアアームボールジョイントに連結される下部ナックルアーム31とが形成されている。
【0015】
図2に示すように、ディスクロータ21は、制動時にブレーキキャリパ22で把持される円板状のディスク部34と、このディスク部34の内側から軸線方向一側に突出する、図示略のホイール取り付け用のホイール取付部35とを有するハット型をなしている。
【0016】
図3に示すフロントダンパ組立体16は、シリンダ38からピストンロッド39が突設されたダンパ40と、ダンパ40の周囲を覆うように配置されたコイルスプリング41とを有している。コイルスプリング41は、シリンダ38に固定されたバネ座42とピストンロッド39に固定されたバネ座43とに介装されている。シリンダ38の下部には、互いに平行をなして側方に突出する二カ所の取付板部44,45を有するロアブラケット46が固定されており、取付板部44には上下に離間して二カ所の取付穴47,48が、取付板部45にも上下に離間して二カ所の取付穴49,50がそれぞれ形成されている。
【0017】
そして、ロアブラケット46の二カ所の取付板部44,45の間にナックル20の上部ナックルアーム25が挿入され、一方の取付板部44の上側の取付穴47、上部ナックルアーム25の上側の取付穴26、他方の取付板部45の上側の取付穴49に一本のボルト51が挿通され、同様に、一方の取付板部44の下側の取付穴48、上部ナックルアーム25の下側の取付穴27、他方の取付板部45の下側の取付穴50に一本のボルト52が挿通され、ボルト51にナット53が、ボルト52にナット54が螺合されることで、ナックル20にフロントダンパ組立体16が組み付けられるようになっている。
【0018】
組立補助装置10の装置本体12は、図4および図5に示すように、ナックル組立体15を載置させる載置台60と、載置台60に載置されたナックル組立体15を載置台60に固定する固定治具61と、載置台60に載置され固定治具61で固定されたナックル組立体15にフロントダンパ組立体16を位置決めする位置決め治具62とを有している。
【0019】
載置台60は、一側が低くなるように傾斜する上面65を有する基台66と、この基台66の上面65の低位側に上面65に垂直をなして立設された載置部67と、基台66の上面65の高位側に上面65に垂直をなして立設された載置部68とを有している。載置部67の上部には、図6に示すように下方に凹む円弧溝69が形成されており、載置部68の上部には、図7にも示すように下方に凹むV字溝70が形成されている。低位側の載置部67には、図6に示すように、その円弧溝69にナックル組立体15のディスクロータ21がそのホイール取付部35の外周面において載置されることになり、高位側の載置部68には、そのV字溝70にナックル組立体15のインボードブーツ18がその外周面において載置されることになる。
【0020】
このように両側の載置部67,68に載置された状態でナックル組立体15は、図5に示すように、ドライブシャフト19がインボードブーツ18側に対してディスクロータ21側ほど低く傾斜する状態となり、ディスクロータ21もその中心軸線がディスク部34側に対してホイール取付部35側が低く傾斜する状態となる。このナックル組立体15の傾斜により、ディスクロータ21は、そのディスク部34のホイール取付部35側の面72が載置部67の載置部68側の当接面73に当接する。なお、載置部67,68は、機種等に応じて交換可能となっており、載置部67には交換作業時に把持される把持部74が設けられている。なお、載置台60においても機種により設定角度を変更しても良い。
【0021】
固定治具61は、図4に示すように、載置台60に揺動可能に支持されて横向きと縦向きとに手動で切り替えられる操作レバー77と、操作レバー77に連結された連動部材78と、図8に示すように、連動部材78に一端側が回転可能に連結され、基台66に固定された支持板79の支持軸80に中間部が回転可能に支持された揺動アーム81と、揺動アーム81の他端側に回転可能に連結されたスライダ82と、載置台60に固定されてナックル組立体15の軸線方向にスライダ82を案内するガイド83とを有している。これにより、操作レバー77の揺動で、ガイド83に案内されてスライダ82が往復動することになる。
【0022】
また、固定治具61は、スライダ82の先端側にナックル組立体15に当接可能な複数のストッパ治具85,86を有している。一方のストッパ治具85は、タイロッドエンド部支持用の一方の側部ナックルアーム28に圧接可能となっており、他方のストッパ治具86は、図4に示すように他方の側部ナックルアーム30のブレーキキャリパ22を連結しているマウンティングボルト87の近傍に圧接可能となっている。
【0023】
操作レバー77が一方に揺動させられると、固定治具61は、スライダ82およびストッパ治具85,86が図示略のスプリングの付勢力でナックル組立体15から離れることになり、ナックル組立体15の載置台60への固定を解除する。また、操作レバー77が他方に揺動させられると、固定治具61は、ストッパ治具85,86が図示略のスプリングの付勢力に抗して移動してナックル組立体15に圧接し、ディスクロータ21の図5に示す面72を載置部67の当接面73に押し付ける。これにより、ナックル組立体15のディスクロータ21、ブレーキキャリパ22およびナックル20を、載置部67との間に挟持し、ナックル組立体15を載置台60に固定する。なお、固定治具61も、機種等に応じて交換可能となっており、固定治具61には交換作業時に把持される把持部88が設けられている。
【0024】
位置決め治具62は、図9に示すように、基台66の上面65に垂直に設けられた支軸91を中心に旋回する旋回アーム92に搭載されており、この旋回アーム92の旋回によって位置決め位置と退避位置との間を移動する。旋回アーム92には、手動操作が入力される操作ノブ93が支軸91とは反対側に設けられており、この操作ノブ93は、旋回アーム92に対し昇降可能であって下降方向にバネ付勢されている。そして、旋回アーム92の旋回時に上記した支持板79上を操作ノブ93が移動することになり、支持板79には、下降した操作ノブ93の下部を係合させる係合穴94,95が、図8に示すように、旋回アーム92の実線で示す退避位置と二点鎖線で示す位置決め位置とに対応してそれぞれ形成されている。
【0025】
つまり、作業者は、例えば退避位置にある旋回アーム92の操作ノブ93を引き上げて係合穴94から抜いて旋回アーム92を旋回させることになり、その後、操作ノブ93の引き上げを解除した状態で旋回アーム92が位置決め位置に位置すると、操作ノブ93がバネ付勢で係合穴95に係合して旋回アーム92をロックする。同様に、作業者は、位置決め位置にある旋回アーム92の操作ノブ93を引き上げて係合穴95から抜いて旋回アーム92を旋回させることになり、その後、操作ノブ93の引き上げを解除した状態で旋回アーム92が退避位置に位置すると、操作ノブ93がバネ付勢で係合穴94に係合して旋回アーム92をロックする。支持板79には、旋回アーム92の位置決め位置および退避位置間を越えた旋回を規制するための二カ所の規制ボルト96,97が取り付けられている。
【0026】
位置決め治具62は、図5に示すように、旋回アーム92に垂直に立設された支柱部100と、旋回アーム92が位置決め位置にある状態で支柱部100からナックル20の方向に延出する下端支持部101と、同状態で支柱部100の下端支持部101よりも上部のナックル20側に設けられた下側面支持部102と、支柱部100の下側面支持部102よりも上側に、支柱部100および下端支持部101の各延在方向に直交して設けられた揺動軸103と、この揺動軸103に揺動可能に支持されて上方に延出する押圧アーム104と、押圧アーム104の上端部のナックル20側に設けられた上側面押圧部105とを有している。また、位置決め治具62には、図10に示すように、押圧アーム104の受板部108をナックル20の方向に付勢する、シリンダ109、スプリング110およびピストン111からなる弾発部112が設けられている。前記弾発部112の構成については、上記に限定することはなく、エアシリンダを用いる、シリンダ内にエアを封入した空気バネの構成を用いる他、位置決め治具62の押圧アーム104、上側面押圧部105、支柱部100のいずれかを板バネで構成して、ダンパ組立体16を弾発しても良い。なお、位置決め治具62も、機種等に応じて交換可能となっており、位置決め治具62には交換作業時に把持される図4に示す把持部113が設けられている。
【0027】
そして、位置決め治具62は、上記した位置決め位置にある状態で、上側からフロントダンパ組立体16が挿入されることになり、その際に、図4および図5に示すように、フロントダンパ組立体16はロアブラケット46の両側の取付板部44,45の間にナックル組立体15のナックル20の上部ナックルアーム25を挿入させながら、下端部を位置決め治具62の下端支持部101の所定位置に載置させることになる。また、この状態でフロントダンパ組立体16はその下部側面が下側面支持部102に当接し、中間部が上側面押圧部105に当接する。上側面押圧部105は弾発部112の付勢力でナックル20側に押し付けられるため、フロントダンパ組立体16のシリンダ38の中間部をナックル組立体15の上部ナックルアーム25に押し付ける。以上により、フロントダンパ組立体16がナックル組立体15に対して位置決めされることになる。この状態で、フロントダンパ組立体16は、上部ほどがディスクロータ21側に位置するように鉛直に対して若干傾斜する。
【0028】
このようにして、ナックル組立体15に対してフロントダンパ組立体16を位置決めした状態で、図3に示すように、取付板部44の取付穴47、上部ナックルアーム25の取付穴26、取付板部45の取付穴49にボルト51が挿通され、取付板部44の取付穴48、上部ナックルアーム25の取付穴27、取付板部45の取付穴50に一本のボルト52が挿通され、ボルト51にナット53が、ボルト52にナット54がそれぞれ螺合されることで、ナックル組立体15にフロントダンパ組立体16が組み付けられることになる。
【0029】
次に、上記した組立補助装置10を用いてフロントダンパ組立体16をナックル組立体15に組み付ける組み付け工程の流れ(組付方法)について説明する。
【0030】
図示略の台車によってナックル組立体15およびフロントダンパ組立体16が、図1に示す組立補助装置10のターンテーブル11の作業位置Aの近傍に搬入されることになり、このターンテーブル11の作業位置Aにある装置本体12に対して作業者aが、まず、図11に示す吊持装置115を操作して、ナックル組立体15を、図4に示すように、そのディスクロータ21のホイール取付部35を低位側の載置部67に、そのインボードブーツ18を高位側の載置部68に載置させることになる。このとき、吊持装置115は、図2に示す上部ナックルアーム25の上側の取付穴26に図11に示す軸部116を挿入し、図2に示す上部ナックルアーム25のこの取付穴26よりも下側の凹状部24に図11に示す当接片部117を当接させ、さらに図2に示すドライブシャフト19の中間部を図11に示す鉤部118で下側から支持することでナックル組立体15を吊持する。また、このとき、位置決め治具62は図4に二点鎖線で示すように退避位置に退避しており、ナックル組立体15の載置動作に対して干渉しないようになっている。
【0031】
そして、上記載置後に、作業者aは、ナックル組立体15への吊持を解除してナックル組立体15から吊持装置115を離した後、図4に示すように、固定治具61の操作レバー77を操作して、ストッパ治具85,86をナックル組立体15に圧接させて、図5に示すように、ディスクロータ21の面72を載置部67の当接面73に押し付けて、ナックル組立体15を載置台60に固定する。これにより、振動等によってナックル組立体15が載置台60に対し動いてしまうことを防止する。
【0032】
次に、作業者aは、図8に示す操作ノブ93を引き上げて退避位置にあった旋回アーム92および位置決め治具62を旋回させることになり、操作ノブ93の引き上げを解除した状態で旋回アーム92を図8に二点鎖線で示すように位置決め位置に位置させると、操作ノブ93がバネ付勢で係合穴95に係合して旋回アーム92および位置決め治具62をロックする。
【0033】
次に、作業者aは、図示略の吊持装置を操作して、フロントダンパ組立体16をナックル組立体15および位置決め治具62の間に上から挿入する。つまり、図4および図5に示すように、フロントダンパ組立体16のロアブラケット46の両側の取付板部44,45間にナックル組立体15の上部ナックルアーム25を挿入させながら、フロントダンパ組立体16の下端部を位置決め治具62の下端支持部101の所定位置に載置させることになる。このとき、位置決め治具62は、下側面支持部102がフロントダンパ組立体16の下部に当接し、上側面押圧部105が弾発部112の付勢力でフロントダンパ組立体16の中間部をナックル20側に押し付ける。これにより、フロントダンパ組立体16は、取付板部44,45間のシリンダ38の側面が上部ナックルアーム25に当接し、ナックル組立体15に対して所定の角度で位置決めされた状態に保持されることになる。そして、作業者aは、図3に示すように、取付板部44の取付穴47、上部ナックルアーム25の取付穴26、取付板部45の取付穴49にボルト51を挿通させてこのボルト51にナット53を仮付けし、同様に、取付板部44の取付穴48、上部ナックルアーム25の取付穴27、取付板部45の取付穴50にボルト52を挿通させて、このボルト52にナット54を仮付けする。
【0034】
以上が、組立補助装置10の作業位置Aにある装置本体12に対して作業者aが行う工程である。
【0035】
また、上記と並行して行われるターンテーブル11上の作業位置Bにある装置本体12に対する作業者bが行う工程は、図示略の回止治具を取り付けてナット53,54の回り止めを図り、ナットランナーを用いて上記した二本のボルト51,52を締め付ける工程である。これにより、フロントダンパ組立体16がナックル組立体15に規定の角度で取り付けられる。その後、作業者bは、操作ノブ93を引き上げて位置決め位置にあった旋回アーム92および位置決め治具62を旋回させることになり、操作ノブ93の引き上げを解除した状態で旋回アーム92を退避位置に位置させると、操作ノブ93がバネ付勢で係合穴94に係合して旋回アーム92および位置決め治具62をロックする。続いて、固定治具61の操作レバー77を操作して、スライダ82およびストッパ治具85,86,をナックル組立体15から離間させて、ナックル組立体15の載置台60への固定を解除する。
【0036】
また、上記と並行して行われるターンテーブル11上の作業位置Cにある装置本体12に対する作業者cが行う工程は、吊持装置を操作して、フロントダンパ組立体16が組み付けられた状態のナックル組立体15を、エンジン組立体に組み付ける工程である。つまり、エンジン組立体のディファレンシャル部に、フロントダンパ組立体16が組み付けられた状態のナックル組立体15のドライブシャフト19を挿入して結合する。
【0037】
以上に述べた本実施形態の組立補助装置10、およびこれを用いたナックル組立体15とフロントダンパ組立体16の組付方法によれば、ナックル組立体15が載置台60に載置された状態で、固定治具61がナックル組立体15を載置台60に固定することになり、この状態で、フロントダンパ組立体16をナックル組立体15に配置すると、位置決め治具62が弾発部112でフロントダンパ組立体16をナックル組立体15に押し付けて位置決めすることになる。これにより、ナックル組立体15とフロントダンパ組立体16との角度を均一化することができる。よって、この状態で、ナックル組立体15にフロントダンパ組立体16を組み付けることで、容易に角度を均一化して組み付けることができる。
【0038】
また、載置台60は、ドライブシャフト19がそのディスクロータ21側ほど低く傾斜するようにナックル組立体15を載置させるため、作業者の腕、腰等の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る組立補助装置を示す平面図である。
【図2】ナックル組立体を示す斜視図である。
【図3】ダンパ組立体およびナックルを示す分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る組立補助装置の装置本体を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る組立補助装置の装置本体を示す側面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る組立補助装置の装置本体を示す正面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る組立補助装置の装置本体を示す背面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る組立補助装置の装置本体のナックル組立体の固定状態を示す平面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る組立補助装置の装置本体へのダンパ組立体の配置状態を示す平面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る組立補助装置の位置決め治具の上部を示す側面図である。
【図11】吊持装置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0040】
10 組立補助装置
11 ターンテーブル
12 装置本体
15 ナックル組立体
16 フロントダンパ組立体(ダンパ組立体)
19 ドライブシャフト
20 ナックル
21 ディスクロータ
22 ブレーキキャリパ
25 上部ナックルアーム(ナックルアーム)
40 ダンパ
41 コイルスプリング
46 ロアブラケット
60 載置台
61 固定治具
62 位置決め治具
112 弾発部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブシャフト、ナックル、ディスクロータおよびブレーキキャリパを含むナックル組立体に、ダンパおよびコイルスプリングを含むダンパ組立体を組み付ける際に用いられる組立補助装置であって、
前記ナックル組立体を載置させる載置台と、
該載置台に載置された前記ナックル組立体を前記載置台に固定する固定治具と、
前記載置台に載置され前記固定治具で固定された前記ナックル組立体に前記ダンパ組立体を位置決めする位置決め治具とを有し、
該位置決め治具が、前記ダンパ組立体を前記ナックル組立体に押し付ける弾発部を備えていることを特徴とする組立補助装置。
【請求項2】
前記載置台は、前記ドライブシャフトが前記ディスクロータ側ほど低く傾斜するように前記ナックル組立体を載置させることを特徴とする請求項1に記載の組立補助装置。
【請求項3】
前記載置台、前記固定治具および前記位置決め治具を有する装置本体が、ターンテーブル上に三カ所以上設置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の組立補助装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組立補助装置を用いて、前記載置台に前記ナックル組立体を載置し、該ナックル組立体を前記固定治具を当接させて前記載置台に固定して、次に、前記位置決め治具を退避位置から位置決め位置へ移動後、前記ダンパ組立体のロアブラケットに前記ナックル組立体のナックルアームを挿入しつつ前記位置決め治具により前記ダンパ組立体を受け、該ダンパ組立体を前記弾発部の弾発により前記ディスクロータ側に所定の角度となるように支持し、前記ナックルアームと前記ロアブラケットとを締め付けることを特徴とするナックル組立体とダンパ組立体の組付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−297797(P2009−297797A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151854(P2008−151854)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】